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【安価】 ガンダムビルドファイターズトライ・アズールU【艦これ×GBF-T】
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342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/15(月) 04:57:12.25 ID:P/LGecRb0
3で
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/15(月) 05:14:14.48 ID:B51XQoE3O
2
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/15(月) 05:58:06.31 ID:qcfbBQnW0
2
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/15(月) 08:05:42.37 ID:F1ZCW80qO
3
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/15(月) 08:08:26.85 ID:OjcyfBms0
これ三択で下5より先取三票の方がよくない?
安価下
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/15(月) 09:34:03.74 ID:JQsFA1GwO
2
348 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/16(火) 01:50:31.32 ID:xqk2mux80
結果
・霞編…0
・朝雲・萩風編…3☆
・天津風編…2
なので朝雲・萩風編やります
>>346
次回試しにやってみます…
ところでアズール編完結後、新章に移行予定なのですが…
現在主人公として考えているのは
・親潮『ルート・クルセイド』
・由良『ルート・ソレイユ』
・鈴谷『ルート・テンペスト』
を予定しております。
共通設定は
・アズール編から2〜3年経過
・トライ準拠
・アズール編のキャラはチョイ役として続投(大筋には関わらない)
・チームは『フリューゲル・ヴェント』ではなくなる予定
のような感じでやっていこうかと…
349 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/16(火) 03:54:52.78 ID:xqk2mux80
第15話『言葉よりも記憶よりも』
《大会会場内 カフェ》
萩風「妹さん、どうですか?」
朝雲「体調も安定してるし、準決勝からは来れそうだって。私達が勝ち続けてればだけど」
萩風「問題はそこ、ですよね。次の相手は…」
朝雲「知ってる。海風の従姉妹なんでしょ?」
萩風「あの三人、腕は確かです。それに最大戦力である姉さんの機体はリミッターの解除調整中、明後日の戦いには間に合いません。
さらにお母様も今世界大会と掛け持ちでこちら用の武装も新規製造している為助力は期待できませんし…」
朝雲「成る程ね… じゃあ次点じゃ海風が最大戦力か」
萩風「しかし親戚相手に本気を出せるでしょうか?」
朝雲「大丈夫よ。アイツ戦いは基本誰にでも容赦無いから」
萩風「…海風さん、意外と信頼が厚いのですね」
朝雲「そりゃそうよ。 私、私達は海風の直向な努力を間近で見てきたもの。 じゃなきゃ信じないし、従うつもりも無いわよ。
それに海風だけじゃなく、霞や先輩だって色々抱えながら頑張ってきた。天津風は… まぁ、頑張ってるんじゃないの? だからこそ私はチームを信じてる」
萩風「信じてる、ですか…」
朝雲「それは萩風もよ。結果的に私は萩風に助けられたし、萩風が導いてくれたお陰で先輩達の援護にだって入れた。
他の誰が疑おうと、私は萩風を信じる。一緒に戦う仲間として、友達としてね」
萩風「朝雲さん…」
朝雲「…い、今のは忘れて。ちょっと恥ずかしいから…」
萩風「あ、あはは… そろそろ戻りましょうか。海風さん達は先に戻ってますし」
朝雲「えぇ〜!私ちょっとこのハロールケーキって食べたかったのに…」
萩風「駄目です。ただでさえ甘い物食べ過ぎてるのに、もう夕飯も近いんですよ」
朝雲「海風のは黙認してるのに…」
萩風「彼女の能力は膨大なカロリーを消費します。 仕方の無い処置です」
朝雲「ちぇっ… ま、良いわ。今日は我慢する」
「お、居た居た。おーい」
朝雲「あれって… 私達に?」
萩風「みたい、ですけど… 彼女、確か海風さんの従姉妹さんと同じチームの…」
嵐「何だよ、鳩が豆鉄砲食らったような顔してよ」
朝雲「確か嵐、って言ったわよね? 何か用? 海風なら…」
嵐「アイツは勘弁してくれ… 知らずに地雷踏んづけて、顔合わせるのが気まずいんだよ…」
朝雲「ガトリング罵倒の被害受けたのね… スドウの一件も地雷踏まれた反撃の罵倒が遠因になってたのに…」
嵐「スドウ?」
朝雲「…私達が遭遇した昏睡事件の犯人よ」
嵐「ああ、スドウ・シュンスケだったっけか… 実名公表されてなくても、大会記録には残ってるから名前は知ってるけど…」
朝雲「誰にも話さないでよ。一応私には事件に関わった守秘義務ってのがあるもの」
嵐「あ、ああ… ってそうじゃない。東京に引っ越したのは知ってたけど、まさかお前が『フリューゲル・ヴェント』に参加してるとはなぁ…」
萩風「…一体、誰の話を?」
嵐「は? お前に決まってんだろ、萩」
朝雲「萩…? 萩風…?」
萩風「私…?」
350 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/16(火) 23:55:59.98 ID:xqk2mux80
萩風「…」
朝雲「…」
朝雲(そう言えば前に、『未来の萩風』が『この時代の萩風』に成り代わったって聞いた… まさか、この人『この時代の萩風』を知ってる!?)
嵐「お、おい… 忘れたのかよ!? 前に近所で一緒に遊んでた嵐だぞ!?」
萩風「え、えっと… 私は…」
朝雲「…ごめん、ちょっと良いかしら?」
嵐「何だよ!」
朝雲「この子、ちょっと記憶障害なの」
萩風「朝雲さん…?」
嵐「記憶、障害…?」
朝雲「ちょっと前に事故にこの子も巻き込まれて、昔の事を思い出せないの。
幸い脳に障害は無いから心因性のものの可能性が高いけど、逆に思い出させるようなことはしちゃ駄目」
嵐「何でだよ…!昔の事を思い出せ無いなんて、萩が可哀想だろ!」
朝雲「違うわよ。確かに可哀想、だけど思い出す方がもっと可哀想になる。 ちょっとこっち来なさい」
嵐「…なんだよ。萩風に聞かれちゃマズイのか?」
朝雲「良く聞きなさい。 記憶を無理に思い起こそうとするって言うのはね、辛い記憶も引き出しちゃうことなの。
あの子の両親は事故で亡くなった。そのショッキングな光景が原因で記憶を封じていたとしたら?」
嵐「どうなるんだ…」
朝雲「間違いなく精神の均衡が崩れる。 貴女の望む良い結果にはならない」
嵐「ッ…!?」
朝雲「今は時間をかけてあの子の精神を安定させる事の方が大事なの。記憶も無いし親御さんも居ない、そんな状態で今あの子は生きてる。
もし貴方があの子の友達だって言うなら、もう少しあの子の事を考えてあげて」
朝雲(咄嗟の嘘、成功… でもちょっとマズイわね。先輩や瑞鳳さんにも後でちょっと相談しとくか… でも最大の問題は…)
萩風「私は、一体…」
萩風(今更だけど… 私は『過去の私』を踏み台して…)
萩風「違う…!私は…!」
萩風(そんな感傷は今は必要ない…!)
朝雲(あっちの方が問題ね)
351 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/17(水) 04:48:12.80 ID:9V+zkIQT0
《その夜 朝雲・天津風の部屋》
神通「…成る程、過去の自分の知り合いですか」
瑞鳳「厄介っちゃ厄介でもあるね。魂は同じでも心は別人、全くの他人だもの」
朝雲「先輩はそんな人は現れましたか?」
神通「いえ。同じ学校の出身は居ますが、特に友人関係でも無かった様なので」
朝雲「流石に前例は無いかぁ…」
瑞鳳「問題は萩風ちゃんだよねぇ… 朝雲ちゃんがフォローしたけど、下手すりゃ消しにかかるかもしれないし」
天津風「…いくら萩風でも、します?」
神通「やりかねません」
朝雲「信頼低っ!?」
瑞鳳「逆の意味でやる、って分かってるからの信頼?かもしれないけど。割と思い込みと突っ走りっぷりが激しいからねぇ… 誰に似たんだか」
神通「お母様の影響を受けた人間の遺伝子を受け継ぎ、お母様に育てられた子供ですよ? それ以外誰に似てるとでも」
瑞鳳「あはははは… 大変すみませんでした」
天津風「子供が出来たら育て方は考えざるを得ないわね…」
神通「ですが、私の家族であり尊敬する師であり… 大事な人ですよ」
瑞鳳「まぁねぇ… でもちょっと愛が重いというか…」
朝雲「助ける為に過去まで跳んで来るのはちょっと…」
天津風「そう言う無謀すらやらかすのも瑞鳳さんそっくりと言うか…」
瑞鳳「…おかしい。未来の話なのに、今の私まで被害を被ってる」
神通「延長線上の同一人物ですから」
瑞鳳「そりゃそうだけどさ。 まぁ、その話はそこら辺に投げておいて。 ただ由々しき問題ではあるね。
自分の知らない自分を語られるって結構ショッキングだからさ」
天津風「経験が?」
瑞鳳「3日くらい記憶喪失った時があったのよ。その時なんだけど… 自分がどれだけイカれてるか飛龍さん達に教えられて、認めたく無いって思ったもの。
記憶戻っちゃったから特に今は問題無いけど、知らない自分が存在するのは怖いんだよ」
朝雲「サラッと凄いこと言ってますが… 一体どうやって治したんです?」
瑞鳳「荒療治も荒療治… 語りたく無いくらいには…」
神通(確か業を煮やした飛龍さん達4人に丸一日お尻でヤられて気絶させられた次の日には治ったと聞きましたが…)
瑞鳳「例えば朝雲ちゃんの今の人格を表、もう一人別個に裏が存在したとする。 他人から自覚の無い、裏の人格の話をされたらどう思う?」
朝雲「誰?とは思いますけど…」
瑞鳳「それだけなら良いよ。 でももし人を殺していたりしたら? もし悪行を行っていたとしたら? それを聞かされてどう思う?」
朝雲「確かに、それは怖いわ… じゃあ萩風は、今そう言う気分なのね…」
瑞鳳「そう言う気分なんだよ、今のあの子は。知らない自分が居て、他人に語られるってそう言うことなの」
神通「怖いだろうし、あまり愉快な話でもありません。 それに下手を打てば、成り代わった筈の元の『この時代の萩風』になって今の自我が消える可能性も…」
瑞鳳「そこまで行くと飛躍のし過ぎ、とは思うけど無いとは言い切れないからね… 早急に対策して、安心させないと」
天津風「でもどうやって?」
瑞鳳「これ貸したげる」
朝雲「世界選手権、大会関係者フリーパス!?」
瑞鳳「気晴らしにでもなるだろうし、二人っきりで見て来なさいな。私達二人を除くと、一番あの子を理解しているのは朝雲ちゃんだからね。
私の可愛い娘、貴女に任せるから」
352 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/20(土) 06:46:13.85 ID:PRqd4idx0
《翌日 世界大会会場》
ガヤガヤ
朝雲「凄い人ねぇ… アナハイムの一件があったって言うのに、流石ガンプラってところかしら?」
萩風「これでも去年より人が減ってるらしいですよ。大会参加者の辞退も相次いでましたし」
朝雲「瑞鳳さんがそんな事言ってたっけ。実際どれくらいなの?」
萩風「昨年は全68カ国93人、今年は56カ国80人になったとか」
夕雲「あら、確かお二人は… 朝雲さんと萩風さん、でしたか?」
浜風「先日ぶりです。 そして妹がお世話になってます」
朝雲「あ、どうも。海風にはこちらも色々と助けられてますから」
萩風「バビロニアの一件以来ですね」
夕雲「瑞鳳さんは…」
朝雲「今日は諸用があるそうで」
萩風「お母様にフリーパスを借りられたので私達が」
浜風「そう言う事でしたか。 バトルの無い日にまで研究とは良いことです」
朝雲「まぁ、世界のレベルがどんなものか見てみたくて… 機体の性能もファイターも、中高生の部とはレベルが違うとか聞いたんで」
夕雲「実際、桁違いの選手ばかりですよ。 一癖も二癖もある選手がはびこってますから」
萩風「お二人がそう言うのであれば、相当でしょうね…」
浜風「特に今年は、大波乱の予感がします。 今年は参加者が減ったとは言え、質はあがっていますから」
「あら、貴女達は…」
浜風「どっちで呼びます? メイジンか、矢矧さんか」
メイジン「今は職務中だからメイジンでお願い。 そこの二人は、『フリューゲル・ヴェント』のストライクとエクシア使いね」
朝雲「は、はい! 朝雲と言います!」
萩風「萩風です」
メイジン「私の自己紹介は不要ね。開会式にも出てたから。二人共、一回戦の試合は面白い戦い方だったわ。
長距離狙撃とステルスを用いた奇襲、それにダインスレイヴを銃で弾く芸当… ガン=カタまで瑞鳳さんは教えられるのね」
朝雲「えっと、ガン=カタは… 瑞鳳さんではなく榛名さんに教えて貰って…」
メイジン「…え? 何であの人!?」
浜風「まぁ、色々あって現在協力関係なもので…」
メイジン「そう言うことね… でもあの人が率先して教えるのは珍しいわね…」
萩風「そうなんですか?」
メイジン「しかも貴女達はいずれあの人の妹達と戦うかもしれない。その相手にわざわざ…?」
夕雲「それだけでは飽き足らず、この子は『改RX-0』までちゃっかり頂いてますからね」
メイジン「はぁ!?」
浜風「素が出てますよ」
メイジン「し、失礼… 『改RX-0』の話、本当?」
朝雲「はい。 榛名さん達の使う北欧系統の名前じゃないけど、きちんとした『改RX-0』です」
メイジン「本当に何考えてるのかしら…」
イベント 直下
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 15:28:16.88 ID:uq0k/yI/O
世界大会出場ファイターとの交流
354 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/23(火) 03:36:25.01 ID:TG6cUZAE0
浜風「お二人はどうします? 私達は午後の試合まで時間があるので観戦してますが」
朝雲「私達は… どうする?」
萩風「このまま見学していきましょう。今日一日、やる事はありませんから」
萩風(それに私の遺伝子ベースとなった二人… 一応私にとっては母にあたる人、でも私には殆どお母様は話してくれなかった… どんな人だったのか、って興味もあるし…)
夕雲「ではご一緒しましょうか。 瑞鳳さん達も居ませんし、飛龍さん達は今年はこちらに来ない予定ですから」
朝雲「あれ、そうなんですか?」
浜風「ええ。 大会中の方がガンプラの売れ行きが良いので」
萩風「ああ、そっちの方で…」
「おい、浜風に夕雲。何やってんだ?」
夕雲「あら、フェリーニさん?」
フェリーニ「今日も瑞鳳は居ないのか。 そっちの二人は?」
浜風「妹のチームメイトです」
フェリーニ「妹… ああ! 近くでやってる日本の学生大会に出てるって言ってたな! あの瑞鳳の教え子なんだろ?」
朝雲(えっと… 誰?)
萩風(リカルド・フェリーニ、イタリア代表です)
朝雲(ああ、毎年ロワイヤルで追い回されてる…)
浜風「二人は朝雲さんと萩風さん、妹と同じ『フリューゲル・ヴェント』のファイターです」
朝雲「朝雲です。よろしくお願いします」
萩風「萩風と言います。どうぞお見知りおきを」
フェリーニ「俺はリカルド・フェリーニ、まぁお前達の先生とは腐れ縁でな。 確か二人共、一回戦に出てたろ」
夕雲「中継、ご覧になっていたのですか?」
フェリーニ「ああ。本場・日本の学生ファイターの実力を観てみたかったんだよ」
浜風「私達でも、見てて参考になる時もありますからね」
フェリーニ「確かステルスを使うエクシアと狙撃型のストライクだったか… 中々良い戦いっぷりだったぜ」
朝雲「ありがとうございます」
フェリーニ「やっぱりアイツ、見る目は一流だな。飛龍達と言い、浜風達と言い、春雨と三日月と言い…」
萩風「時雨さんは?」
フェリーニ「時雨? アイツの基礎を作ったのは俺だぞ」
朝雲「そうなんですか?」
フェリーニ「ああ。知り合いから頼まれて、付き合ってやったんだよ」
時雨「そうさ。 僕はフェリーニと練習し続けて腕を磨いたんだ」
フェリーニ「うおっ!?」
浜風「時雨!?」
時雨「瑞鳳に呼ばれてね。 見回り役だよ」
フェリーニ「何だよ、見回りって」
時雨「『昏睡事件』さ。 瑞鳳だって体は一つなんだ、同時に事件が起きたら片方しか対処出来ないだろ」
萩風「し、時雨さん…!? 一般人の前で何を…!」
フェリーニ「いや、事件についての詳細はある程度瑞鳳から聞いて知ってるぜ。俺以外にもグラハムってヤツとロシアのが知ってる筈だが、一体どこ行ったんだアイツ…」
萩風(グラハム・エーカー、確か米軍関係者でしたか… ロシアのは多分スミルノフの…)
現れた人 直下
1.グラハム・エーカー
2.ビス子
3.その他(人物も)
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/23(火) 05:26:48.46 ID:57ptVzHh0
ルワン・ダラーラ
356 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/25(木) 02:39:35.27 ID:1MNs6t5e0
「リカルド、またナンパか?」
フェリーニ「おいおい、まだコイツ等学生だぞ。ナンパなんてしてねぇ」
浜風「流石に妹の友人を毒牙にかけさせはしませんよ」
朝雲「あの人は?」
時雨「ルワン・ダラーラ。タイ代表の選手、僕も一度戦ったよ。野球でね…」
萩風「や、野球…?」
ルワン「その節以来だな、ミス時雨。 ミス春雨は?」
時雨「もう少し後になったら来るよ。 本当なら選手としてここには来たかったけどね… 再戦も出来てないから」
ルワン「それを聞けて安心した。二度と合見える事は無いかと思ったからな」
時雨「ただ野球は勘弁して欲しいね。 本式のバトルの方が楽しめそうだし」
ルワン「野球も良いと思うんだが…」
夕雲「二人共、この方は何しろ生涯打率.899と言う記録保持者でして… メジャーリーグからも招致された事もある方なんです」
萩風「…えっと、生涯打率ってどんなに多くても3割程度ですよね?」
朝雲「ぶ、ぶっちぎってる…」
時雨「野球で勝ったのだってRGを発動して機体出力底上げした結果、この人のアビゴルが球に耐え切られなくて吹っ飛んだからなんだよ…
あれ、パワー無ければ平気でホームラン打たれてたから正直機体性能で勝ったとしか言い様がね…」
浜風「その前にロワイヤルで遭遇戦になった時、私達と4機がかりでようやく撃退出来た有様ですから」
ルワン「あの時は連戦だっただろう。あの変態と」
朝雲「変態…?」
萩風「ああ、例の…」
フェリ−ニ「そう言えばアイツ今年は見てねぇな…」
浜風「えっと… 大会前にあるファイターにブチのめされたので武者修行をしてくると瑞鳳さんに手紙が…」
フェリーニ「アイツって結構な実力あったよな、あれでも…」
ルワン「お陰で、ライナー・チョマーが再び出てきてくれたがな」
フェリーニ「アイツはアイツで厄介なんだよなぁ… 去年みたいに大人しく全日本選手権の実況やってろよ」
夕雲「ガールフレンドを横取りしている罰ですよ。その内『本命』さんに愛想尽かされても知りませんから」
フェリーニ「お、おう… 確かにソイツは怖いな…」
ルワン「ところでそこの二人もファイターと見たが」
朝雲「全日本選手権・東京代表の一人、朝雲と言います」
萩風「同じく、全日本選手権に出場する萩風です」
ルワン「タイ代表のルワン・ダラーラだ。よろしく頼む、若きファイター達」
浜風「あとウチの海風もどうぞよろしく…」
時雨「…キミはとことんシスコンを拗らせてるね」
夕雲「ここに居ない人の紹介してどうするんですか、全く…」
357 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/26(金) 03:33:43.98 ID:d21iBWH10
《カフェテリア》
時雨「午前中のチーム戦、まずまずだったね」
夕雲「一番盛り上がりが大きいのは午後の試合に持っていくつもりでしょうね」
フェリーニ「チーム戦に関しちゃお前達の方がプロだろ? 感想とかあるか?」
萩風「初見、事前練習無しでチームを組んでいるので仕方ありませんが… どうしても連携が上手くいってない様子でした」
朝雲「動きもバラバラ、役割もゴチャゴチャ。もう少し他人に合わせるようにすれば良いのに…」
浜風「普通、初見の相手と組んでそれは難しいですよ。世界選手権は個人参加の大会、『自分が一番』だと自負している人が多いもので」
フェリーニ「それぞれ国の名前を背負ってるからな。Gガンダムみたいなもんだ」
ルワン「しかも機体も『一人で戦う』ことを前提として作られてる。合わせ難いのも当然だろう」
夕雲「世界大会においては朝雲さんのストライクのような機体の方が異端扱いされ易いんです。チーム戦の全日本では逆に重宝されますが」
朝雲「海風のアズライトとか先輩のロンギフローラムの方が正統、ってことね…」
浜風「その点においては私達も充分異端です。私のニクスと夕雲のミラージュは2機での連携が前提の機体ですから」
萩風「確かに、射撃・通信能力特化と近接・ステルス特化の機体では真逆の特性ですね」
フェリーニ「しかもどっちも世界大会で5本の指に入る性能ときてる… 厄介にも程があるってんだ」
時雨「僕も、キミ達と同時に戦うのは可能な限り避けたいね。次は春雨と一緒でも勝てるかどうか分からない」
ルワン「あれ以降、機体は弄ったか?」
時雨「定期的にアップデートしてるよ。浜風の妹に渡したフレスヴェルグのデータも瑞鳳経由で貰ってるし、その技術を活かしてね」
フェリーニ「フレスヴェルグ? 『アズライト』じゃないのか」
時雨「元々の機体名は『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』さ。春雨と浜風が作った機体を、瑞鳳が改修したんだ。機体名はファイターの趣味だと」
萩風「宝石、花、英語の名詞、天体、神話… ウチは統一性皆無ですから」
朝雲「そのせいでチーム名で揉めたのよね…」
時雨「因みに言うと若干だけどフェニーチェの技術入ってるよ」
フェリーニ「マジかよ!?」
浜風「ベース機をウイングゼロに決めた時に、少しだけ参考にして汎用性を高めようとしたんです。武器は翼に接続軸を付けたから交換して使えるようにしておいたけど…
初期装備にしてたバスターソードを気に入っちゃったみたいで、それがメイン武装になったと…」
朝雲「あれ、そう言う経緯だったのね」
ルワン「しかし姉妹揃ってファイター、しかも戦術のセンス持ちとは… 中々面白いな」
浜風「それだけではありません。あの子の運もありますよ。 チームメイトや講師に恵まれ、それを開花出来るだけの環境を得られたのですから。
特に朝雲さんを含めたチームメイトがあの子を信頼して、任せてくれているのも大きいでしょう。二人共、本当にありがとうございます」
朝雲「い、いえ! 感謝されることなんて…」
萩風「私も、特に役に立っているとは…」
浜風「いえ、あの子は誰かに信じられている限りその信に応えて…」
『間もなく、午後の部に移行します。 参加選手の方は…』
夕雲「あら、もうそんな時間?」
浜風「行きましょう、夕雲。 あとこれ、後で海風に会ったらに渡しておいてください」
朝雲「1000円札…?」
浜風「鬼怒にお金払っておいて、と伝言も」
萩風「立替のお金ですか…」
フェリーニ「ルワン、お前も午後からだろ」
ルワン「そうだった。 ではまた会おう、ミス萩風にミス朝雲!」
358 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/27(土) 03:08:18.62 ID:17jFt8X60
《観客席》
『これより第8試合の選手を発表いたします。Aチーム、3代目メイジンカワグチ『ヘビーガンダムビクトリア』…』
朝雲「あの人ね。 ヘビーガンダムだから、あのエキシビジョン試合で使ってた…」
萩風「はい。ヘビーガンダム、U.C.0090仕様の改修機ですね」
フェリーニ「ここで強力なヤツが出てきたか…!」
『『ニクスプロヴィデンス・クロイツリバイ』、浜風。マスクド・セカンドG『ゲイジングハウンド』』
朝雲「浜風さんが…!?」
萩風「『マスクド・セカンドG』…?」
フェリーニ「今大会で一番のジョーカーだ。経歴不明、素顔不明… だが戦い方は先代のメイジンにそっくりなんだよ」
「はい。ガワもスタイルもそっくり… まるで『本人』そっくりです」
朝雲「榛名さん!?」
榛名「…ですが、余りにも似すぎて違和感が拭えません。それに妙な気配を感じます」
萩風「妙な気配…?」
榛名「だから、それを確かめたいのです。その為に高いお金払ってチケット買いました」
フェリーニ「アンタどこかで…」
榛名「お久し振りです、リカルド・フェリーニさん。 一昨年の取材以来でしょうか?」
フェリーニ「取材…? あ、あの時のライター!?」
榛名「ガンプラ専門ライター『ホワイトウルフ』、まぁライター業は只今休業中ですので今は榛名とお呼びください」
朝雲「そう言えばライターの仕事してましたね…」
萩風「会った事があるのですね」
フェリーニ「あ、あれはな…」
榛名「ナンパしようとして、ガンプラを差し出してくるとは思いませんでした。つい作りこんだザクVで対抗してしまって…」
朝雲・萩風「えぇ…」
フェリーニ「アンタ本当に何者だよ… しかも先代メイジンの事を知り尽くしてやがる」
榛名「ガンプラ塾第二期主席、過去の話ですよ。でもだからこそ、彼は5年前に最後に会った時から比べて違和感があるんです」
フェリーニ「塾生だったのか… 対戦経験があるのか?」
榛名「ええ。想定外の行動からの不意打ちによる一撃、それでも左肩のアーマーを砕くことしか出来ませんでしたし無理が祟って機体も自壊しましたが」
フェリーニ「マジかよ… だがそれなら、アレが誰か癖で分かるだろう」
榛名「だからこそ、それを確かめるのです」
『続いてBチーム、ルワン・ダラーラ『ハンブラビスバン』。ラマーン・カーン、『シュネー・ヴァイス』。レナート兄弟、『貨物船』…?』
フェリーニ「レナート兄弟が対戦相手か…」
榛名「やは、現メイジンを嫌い浜風さんを嫌う… 最悪の札でしょう。どんな手を使うか…」
萩風「それに、先程のルワンさんも…」
朝雲「どうなるのよ、この試合…」
視点選択 直下
1.浜風『倒すべき敵』
2.海風『羨望』
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/27(土) 09:43:10.67 ID:kdC0vBvj0
1
360 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/28(日) 05:35:27.15 ID:YU54maTt0
side-浜風-『倒すべき敵』
セカンドG「…ガンプラバトルは勝利こそ絶対、全てを犠牲にしてでも勝利の頂を目指すべし。故に貴様の指図は受けんぞ、3代目!」
メイジン「くっ… 勝手な事を…!」
浜風「…では、私が指揮を執りましょう。私が目指すのは『最良の勝利』、犠牲無く眼前の敵を圧倒して得る勝利こそ私が目指す頂です」
セカンドG「ほう… 出来るのか、貴様に」
浜風「出来ます。私なら… 来ます、全機ニクスの後ろに!」
浜風が瞬時にドラグーンを展開し、バリアを形成する。その直後にビームの光弾が直撃しバリアに弾かれた。
頭の中に思考を巡らせる浜風は答えに辿り着く。誰がこのビームを撃ったのか、何が目的なのかを。
浜風「レナート兄弟… まさか策も無しに撃ってくるとは」
メイジン「この距離からの正確な狙撃、やるわね…!」
セカンドG「だが愚策だ」
浜風「はい。何の作戦も無くスタンドプレーに走っている… 連携が主眼となる3on3と言う場では足並みを乱す愚策、これならまだ隣会場の学生トーナメントの方が上手い」
ラマーン「貴様、何をしている!?」
フリオ「敵を倒している! 連携なんて必要ねぇ! ここはスナイパーの距離だ!手も足も出す暇を与えず蜂の巣にしてやる!」
ルワン「あのバカ…! あっちにはヤツが居るんだぞ!?」
プロヴィデンスが形成するバリアフィールドを盾に3機は有効射程目がけて一直線に突っ込む。
高速で思考をフル回転させ、浜風は目指す『最良の勝利』への道標を描き出す。
浜風(バリアフィールドは残り6発程度なら耐えられる、それまでに有効射程には余裕で入れるけど… 問題はレナート兄弟、あの輸送船には今の『ゴーストジェガンF』以外にも『何か』隠している。
ジェガン1機隠しているだけなら単機出せば良い、なら去年と同じ様にMを確実に隠している。だけど完全に同じ手を使う愚策はしない筈… まだ2つくらい札があるかもしれない)
浜風「では作戦を伝えます。私は多数砲撃による面制圧とスナイパーへの囮を務めます。メイジンは前衛をしつつギリギリまで敵を引き付けてください。
マスクド・セカンドG、貴方は『猟犬』、スナイパーを食い殺す役目を。 ただし敵はあの機体以外に隠している機体がある筈なので警戒を厳に」
メイジン「了解したわ」
セカンドG「承知した。 では各々勝利の為に」
浜風「全機、ブレイク! オープンコンバット!」
浜風はバリアフィールドを解除すると同時に装備されたユーキディウム・ビームライフルをシュネー・ヴァイスへと数発ほど発砲する。
当然当てるつもりも無いため、避けられ反撃の如くシュネー・ヴァイスのビットキャリアから数機のビットが襲い掛かった。
ラマーン「その様な鈍重な機体で!」
浜風「私と、瑞鳳さんのニクスを舐めるな!」
襲い掛かるビットの攻撃を軽々と避け、浜風は全てのビットの未来位置を推測して機関砲やライフルを用いて撃ち落していく。
そして全身に装備されたドラグーンの内、先程使った6基以外を全て射出しビットキャリアを攻撃した。
ラマーン「狙いはビットキャリアか!」
浜風「手数など与えは… ッ!」
遠く離れた輸送機、それに搭載されたゴーストジェガンFからの狙撃をシールドで防ぐ。
必殺と思われた一撃が防がれたフリオは苛立ちを隠せない。
フリオ「戦術家気取りのクソガキッ…!テメェだけは、俺達の戦場を汚したテメェは絶対許さねぇ!」
浜風「戦争ごっこ遊びの大人が…! こちらとしても、前にバスターを壊された仇を取らせて貰います!」
361 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/30(火) 03:23:37.82 ID:xlm/7STP0
朝雲「凄い戦い…」
萩風「ニクスが面制圧を行いつつ狙撃への囮を務めて、ヘビーガンダムが牽制役、あのAGE系の機体は…」
朝雲「多分、後ろの狙撃手を狩るタイミングを計ってるのよ。まだビットキャリアはいっぱい残ってる、そんな状態での突撃は自殺になるわ」
榛名「その通りです。さらにはニクスが戦線を押し上げているのも、あの機体『ゲイジングハウンド』を近づけ易くする為でしょう」
フェリーニ「だがルワン達のチームは連携がなって無い。浜風の動き、見てみろ」
朝雲「シュネー・ヴァイスとハンブラビに近過ぎる… あの機体、見るからに近接戦は苦手そうなのに…」
榛名「あれは恐らく友軍誤射の誘発を狙っているのでしょう。 フリオ・レナートは明らかに感情的に成り過ぎた、ただニクスを出鱈目に狙撃しているだけです」
フェリーニ「余程嫌ってんだろうな、浜風の事。 ポリシーである欺き・企て・嵌める、そのやり方を全部浜風は台無しに出来る。 自分は子供以下って思い知らされて、腹が立ってんだよ」
萩風「大人げ無いですね…」
榛名「感情的になるのは理解出来ます。しかし私情を挟み、恨みや個人の執着で足並みを乱した時点で勝敗は決しました。
戦場は常に推移するもの、そしてその推移に乗り切れ無い者には『敗北』の二文字しかありません」
ラマーン「ビットキャリアを、よくも!」
浜風(これで残りは2基のキャリア、戦力は大幅にダウンした…! ドラグーンは全機健在だけどエネルギー残量は30%弱、補充が要る。 そしてハンブラビは…)
ルワン「コマンダーを落とせばこちらに流れが…!」
浜風「やはり、こちらに来るか!」
狙撃の雨を掻い潜りながらハンブラビを攻撃するニクス。 ビームライフルによる射撃は回避され、近づいてきたハンブラビがサーベルを抜く。
そして高速で背後に回りこみ斬撃を加えようとした直後、『何者か』に放たれたビームよってバインダーを貫かれてしまう。
ルワン「なにっ…!?」
フリオ「しまっ…!!」
浜風「よしっ!」
不敵に笑う浜風、彼女は隙を見せた瞬間狙撃されると分かった上で背中をガラ空きにしていた。
さらに正面から火力の高いニクスに挑むのは難しいと踏んだハンブラビが背後に回るのは自明の理、そして結果として何が起きるかなど考えるまでも無い。
ルワン「やってくれたなレナート…! これ以上の高機動戦は無理だ! メイジンは任せた、ラマーン!」
ラマーン「了解した!」
2機はポジションを入れ替え、ターゲットの狙いを変える。 だがそこに起きる隙を浜風達は見逃さない。
ビットを落とし、お膳立てを整えていたマスクド・セカンドGの機体が加速し一直線に貨物船へと駆ける。
ラマーン「くっ…!あの男、大人しいと思えば最初から狙撃手狙いか!? だが…」
メイジン「易々とやらせないわよ!」
メガ・ガトリングガンとミサイル攻撃により残存するビットキャリアを破壊するヘビーガンダム。
迎撃網を掻い潜ったゲイジングハウンドが貨物船のゴーストジェガンFへと襲い掛かり、その左腕をシザーで奪い取り装着した。
セカンドG「ゲイジング…!」
フリオ「て、テメェッ!」
ゲイジングハウンドが奪い取った左腕に持っていたハンドガンを使って貨物船を攻撃し、そのまま爆散する貨物船。
ジェガンは間一髪で貨物船から逃走し、ゲイジングハウンドはその追撃を試みる。
362 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/01/30(火) 03:56:44.65 ID:xlm/7STP0
セカンドG「スナイパーは姿を見せ標的を読まれた時点で8割は勝負がついている。戦術に長けたレナート兄弟ともあろうものが判断を誤ったな。敗因は、唯一人の子供への執着だ!」
そのままゴーストジェガンFへと距離を詰めるゲイジングハウンド、トドメを刺そうとするも既にゴーストジェガンFに動きは無い。
次の瞬間、船の残骸から姿を現し一直線にもう1機のゴーストジェガン、『ゴーストジェガンM』がゲイジングハウンドへと襲い掛かるが…
浜風「二度も同じ手が通じるか!」
フリオ「なにっ!?」
ニクスに装備された『レジェンディアストライカー』のドラグーンの内、2基の『GDU-X7 突撃ビーム機動砲』がスパイクを形成しゴーストジェガンMの両肩を貫く。
浜風は以前、去年の対戦の際に同じ手をやられていた。そしてマスクド・セカンドGと共に一計を案じていたのだ。
セカンドG「やはりその手を使うか… だが浅はかだったな」
浜風「残骸の中に隠していた『GN-XW』も『ストライカージンクス』も破壊しました。もう残る札はありません」
フリオ「な、何だと…!?」
浜風「大局を見失い、足並みを乱した時点で貴方の勝利は在り得ない」
フリオ「ふざけるな…!企て欺き嵌める、それが俺達の戦争だ!そうして俺達は勝利の頂を目指す筈だった!
テメェみてぇなクソガキ風情に台無しにされて!二代目のバトルを、俺達の戦争(ガンプラバトル)を!」
両肩を切り離し、ゲイジングハウンドへと特攻を仕掛けようとするゴーストジェガンM。
だがマスクド・セカンドGは動じることなくシザーを構える。
セカンドG「成る程… それがお前達のガンプラバトルか。素晴らしいな」
フリオ「!?」
セカンドG「だが大局を見失っていることに変わりは無い。 いくら個人が強くともこれはチーム戦、要を中心とする連携を徹底することこそが勝利への頂への道だった」
セカンドG「勝負、ありだ」
浜風「勝負、ありです」
そしてゲイジングハウンドは敵へとシザ−を突き立て、ゴーストジェガンMは静止する。
動かなくなったゴーストジェガンMに『GDU-X7 突撃ビーム機動砲』がビームのシャワーを浴びせて爆散させた。
BATTLE ENDED
『ここでタイムアップ!手に汗握る第8試合、制したのはAチームだ!』
朝雲「これが、海風のお姉さんの…」
浜風「『クロイツ』を持つ人の戦い…」
榛名「…」
榛名(戦い方は似てた… 敵から装備を奪い取る戦い方は確かにやっていたけど… 何か違うような…?)
霞「勝っちゃったわよ、アンタの姉貴」※ちゃっかり観てた
海風「当然でしょう。あの状況で負けてたら、思いっきり顎にアッパーカット食らわせましたよ」※ちゃっかり観てた
シア「素直じゃ無いのね」※なんか居た
363 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/02(金) 04:01:28.19 ID:KsYkGri40
浜風「今戻りました」
夕雲「どうです、浜風さんの実力は?」
朝雲「何と言うか… 桁外れだなって…」
萩風「戦術看破と対応、ほぼ無損傷、加えて伏兵撃破に囮役… 普通、ここまでやれる人はほぼ居ないかと…」
浜風「この程度、私達『クロイツ』を持つファイターなら容易く出来ます。飛龍さんや蒼龍さんなら、全滅だって可能でしょう」
フェリーニ「あの二人はとびっきりの規格外だ。余程、例えば世界大会の選手全員が一斉に敵にでもならない限りは簡単にやられねぇよ」
時雨「でもこの二人も規格外だよ。世界的に見ても上に居る人間が両手で数えられるランクに位置するファイターなんだから」
夕雲「それは貴女もです、時雨さん。私達と互角に渡り合ってる人間でしょうに」
時雨「まぁね。 でも僕達を一方的に追い詰めたじゃないか」
浜風「そう言う風に戦略を組みましたし」
フェリーニ「コイツ等さらっと言ってるがな、夕雲以外はガンプラ歴5年以下だぞ」
萩風「片手の指より少ないとは…」
夕雲「実力など、経験を重ねれば自然と身に付きます」
朝雲「実戦経験の場が世界大会って…」
時雨「僕達にはそれしか選択肢が無かったからね。そのお陰でガンプラマフィアだの訳の分からない連中とまで戦わされたんだ…」
萩風「ガンプラマフィア、確かガンプラに関する汚れを一手に請け負う組織だとか」
フェリーニ「ああ。俺もストーク卿、時雨を鍛えた内の一人から話を聞かされていたがまさかそんな組織が居るとは思わなかったよ。
だがお前達の先生、瑞鳳相手にでしゃばって来たのが悪かったんだ… 文字通り、叩き潰されちまった」
時雨「ものの見事にね。 一族総出でカチコミ、しかも米軍とロシア軍のオマケ付き。恐怖以外の何者でもないよ」
浜風「しかし大本は日本から消えましたがまだ世界中には点在しているみたいで…」
浜風(そして今回の昏睡事件の発端になってる可能性もあるんですよね…)
朝雲「あれ… 榛名さんは?」
萩風「先程から姿がありませんが…」
セカンドG「…来たか」
榛名「…」
セカンドG「頃合だと思っていた」
榛名「…貴方、何者ですか」
セカンドG「今の私はマスクド・セカンドG、それ以上でもそれ以下でも非ず」
榛名「でしょうね。そう言う回答しか来ないと思ってましたよ。だけど貴方の正体に心当たりが一つ」
セカンドG「ほう…」
榛名「言葉で語る必要は無し。それは、自分の腕で見極めさせて貰います」カチャッ
セカンドG「『RX-0[F] フェンリル』、か。 当時とは見違えるが、『グシスナウタル』はどうした」
榛名「あんなもの、先代へのメタ装備でしかありません。『全てを避けられるのなら絶対に当たる装備を作れば良い』などと思い至った結果出来た代物…
妹に譲りましたよ。他の人に特殊装備を与えているのに、一人無しとはフェアではありませんから」
セカンドG「ではこちら相手に『グシスナウタル』無しで戦えるか?」
榛名「舐めるな。あれから、ずっとガンプラの腕も戦闘技術も磨いてきた。 今日こそ、越えて見せる…
あの日の壁を、あの日の絶望を… 己が目指す『願い』の為に…!」
364 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/03(土) 03:33:46.92 ID:9rP3xHeg0
《会場の外》
朝雲「流石、世界大会ってだけあったわね」
萩風「ええ。皆さんの実力も桁違いでした」
朝雲「結局榛名さんは見つからず仕舞いだけど…」
萩風「あの人の事ですから… 姉さんに聞いた、因縁のあるマスクド・セカンドGとか言う方に会っているかもしれません」
朝雲「浜風さんと組んでた人でしょ? あの不気味な」
萩風「先代メイジンらしい、と言っていましたがどこまで本当なのか… あ…」フラッ
朝雲「おっと… どうかした?」ガシッ
萩風「少し、眩暈が…」
朝雲(海風が前に言った事象改変の影響…? でも今までそんな兆候は一度も無かった筈よ)
海風「…何やってるんです?」
霞「外でイチャイチャするなんて堂々としてるわね」
朝雲「ゲッ… よりによってアンタ達…!」
萩風「違っ… これはちょっと、眩暈したから支えて貰っただけで…!」
「そう言うの、あからさまじゃないかしら?」
萩風「…!貴女は…」
朝雲「…誰?」
海風「ガンプラ学園のキジマさんの妹さん、『キジマ・シア』さんです」
シア「初めまして、キジマ・シアです」
萩風「何故二人と…」
霞「試合観終わって暇つぶししてたら偶然会って、気が合ったから一緒に居たのよ」
シア「そう言うこと。よろしくね、二人共」
萩風「えぇ…」
朝雲「アンタ達、交流広すぎ… あ、海風。これ浜風さんが鬼怒って人に渡しておけって」
海風「まだ立替してもらったの払ってなかったんですね… すみません、朝雲さん。 アレに人をパシリに使うなって言っておかないと…」
朝雲「まぁまぁ… 大会に出場して忙しいのよきっと。今日だって試合で戦ってたんだから」
海風「それはそれ、これはこれです。常識的にも無いでしょう」
シア「お姉さんと何かあったの?」
霞「個人的な問題よ。前はもっと酷かった。単語出しただけでマジギレするくらい」
シア「複雑なのね。あら、噂をすれば…」
鬼怒「おーい、海風!」
海風「あぁ、丁度良いところに。これこの前の代金、ウチのアレから。お釣りは多分返す必要無いかと」
鬼怒「はいはーい、毎度〜。 ってどうしてこんな所に?」
海風「世界大会の会場の外でお祭みたいなのやってたので」
鬼怒「ああ、そっち行ってたんだ。鬼怒はね、皆で買い物に…」
江風「あンま走ンなって…!追いつくの大変なンだからな…!」
嵐「荷物全部押し付けて…! って萩…!」
鬼怒「あ、ごめんごめん」
萩風「…」
朝雲「…」
365 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/03(土) 04:10:54.55 ID:9rP3xHeg0
海風(あ、気まずい空気)
霞(何とかしなさいよ…! アンタ空気ブチ壊すの得意でしょ!)
海風(こう言うシーンの破壊は得意じゃないんですよ…!)
鬼怒「え、えと… 前に話してた幼馴染だっけ…?」
嵐「…!そ、そうだよ!コイツが萩で…」
朝雲「はいストップ!」
嵐「何だよ…!」
朝雲「昨日忠告した筈よ。この子の記憶を…」
江風「おい、そりゃ無いンじゃないのか? 部外者がせっかくの再会を邪魔すンなって」
朝雲「アンタこそ部外者じゃない。余計な口は出さないで」
江風「ンだとコラ! こっちはな…」
鬼怒「江風ストップ!ストップ!」
霞「朝雲も、あまり熱くなり過ぎ無い様に…」
江風「せっかく再会したンだからゆっくり話ぐらいさせてやれよ!」
朝雲「事情も何も分からない癖に、要らぬお世話よ…!」
嵐「…本当に分からないのか、俺が? 嵐だぞ、隣に住んでた…!」
萩風「…ごめん、さない。私は… うっ…!」ドサッ
朝雲「萩風!」
嵐「お、おい萩!」
霞「ちょ、大丈夫!? …って、何これ…」ピキィイン
シア「どうかしたの?」
霞「意識が、二つある…? どうなって…」
海風「シア、朝雲さん。萩風さんを運んでください」
朝雲「分かった。ちょっと手伝って…!」
シア「え、ええ。分かったわ」
霞「私も…!」
海風「いえ、霞はこちらに。さて、と… 覚悟、出来てます?」ゴゴゴ
江風「ひっ…!?」
鬼怒(ま、前とは違ってオーラが迸ってる…!?)
嵐「な、なんだよ…!」
海風「…霞、今からちょっとばかり三人に『お説教』をするので、ヤバくなったら止めて下さい」
霞「…止めないわ。思いっきりやっちゃいなさい。加勢するわよ」
海風「その言葉を待ってました。今からキッチリ、『お話』しましょうか」
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/03(土) 12:51:43.92 ID:lhmVNM7dO
乙
あとビルドシリーズ新作記念
367 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/04(日) 02:38:10.62 ID:QSxoVYmF0
《神通・萩風の部屋》
神通「そうですか… すみません、朝雲さん」
朝雲「いえ… でもどうしていきなり倒れて…」
神通「キジマさんもありがとうございます。妹をここまで運んできて貰って」
シア「…妹? でも登録されてる名前は…」
神通「…その辺は複雑な家庭環境でして」
シア「そう? じゃあ私は戻りますから、二人によろしく伝えてください」
神通「分かりました。本当にありがとうございます」
ガチャッ
神通「…しかし、どうしていきなり倒れたと言うのが腑に落ちません。この子こそ一番『健康』に執着してるのに」
朝雲「そう言えば霞が意味深な事を… 意識が二つ、とかって…」
神通「意識が二つ…? まさか、三日月さんのように…」
朝雲「多分そう言うんじゃ無いと思います。 あの嵐ってのに話しかけられた後に気を失ったから、多分『この時代の本来の萩風』が関係してるんじゃないかなって。
ここからは私の推測と、荒唐無稽な話になるんですけど良いですか?」
神通「もとより私達の存在が荒唐無稽ですから大丈夫ですよ」
朝雲「分かりました。 今ここに居る先輩達と『この時代の本来の先輩達』は同じ魂、ですが肉体は違う筈です。
多分なんですけど、先輩達が成り代わった時『この時代の本来の肉体』は作りかえられたんです」
神通「作りかえられた?」
朝雲「先輩達は瑞鳳さんの遺伝子を継いでいる、でも『この時代の本来の二人』は先輩達とは遺伝子が違う筈… 多分同じ遺伝子ならそもそも事故で死にようがありませんし」
神通「まぁ、そうですよね… 鍛えてなくともきっと事故では死なないと思います」
朝雲「でも作りかえられたとしても元の肉体は同じ、残留思念のようなものが残っていても不思議じゃ無いし『同一の魂』である以上そう言うものに反応し易いのかもしれない…
多分意識が二つ、って霞が言ったのは何かが切欠で『この時代の萩風』の意識か残留思念が目覚めたんじゃないかなって。だから萩風はその意識が混濁して倒れたんじゃないかと」
神通「分かるような、分からないような…? 要するに、『この時代の本来の萩風』の残留思念か意識が原因だと」
朝雲「ほぼ私の妄想レベルの話ですけど。詳しくは当人に聞くしか」
神通「成る程… …朝雲さん、萩風の事をお願いしても? 少しお母様を呼んでくるので」
朝雲「良いんですか、私で?」
神通「この子は貴女に一番懐いている、この子の精神安定剤には私より朝雲さんの方が良いと思います」
朝雲「そう言うことなら… 分かりました」
神通「あと、あの二人もそろそろ止めないと… 多分話を聞かされてるその三人、心がへし折られそうなので…」
朝雲「海風の連射してくるガトリング罵倒と霞の一撃が重いバズーカ罵倒のコンボ喰らってる筈ですからね…」
368 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/05(月) 17:42:28.17 ID:sJCdd3580
《数十分後》
瑞鳳「事情は把握したけど、今は対処のしようが無いね」
神通「対処出来ないって…」
瑞鳳「まず二人は存在がイレギュラー過ぎるし状況自体もイレギュラー、イレギュラー要素が多すぎて何も出来ないんだよ。
医療では対処出来ないし、かと言ってオカルトが通じるとも限らない。実際対処出来ないよ、この状況じゃ」
朝雲「そんな…」
瑞鳳「…ただ出来ない事はないかも。リスクが大きいし、何より出来るとも限らないし」
神通「その方法は…!」
瑞鳳「萩風ちゃんと感応して深層意識の中に潜りこんで、『もう一人の人格』を切り離すか完全に消す。
ただそれには『サイコフレーム』と『感応波を使える萩風ちゃんが完全に心を許した人間』が要る。それに深層意識に潜れても自我が崩壊の危険性もあるし、『もう一人の人格』を消すって事は…」
朝雲「…もう一人を、もう一度殺すのと同義語ってことね」
瑞鳳「そう言うことだよ。 切り離すのだって、肉体から脳を引っこ抜いて別人の脳を植えつけるようなもんだしこれも殺人とほぼ同義語になる」
神通「では目覚めるのを待つしか無いと、このまま目覚めるか分からないまま放置しろと…!」
瑞鳳「じゃあ私の言う策を実行するその役を担うのは誰になると思う? 現時点で能力的に出来るのは霞ちゃんだけなんだよ?
ニュータイプとして覚醒しつつある人間は今霞ちゃん一人だけ、全部霞ちゃんに押し付けるつもり?」
神通「それは…」
瑞鳳「それに霞ちゃんと萩風ちゃんは、互いに完全に心を許しきれて無い。その状況でやれば確実に霞ちゃんに害が出る。
リスクが大きすぎるのに私が許容してゴーサインを出すと思う?」
神通「…」
瑞鳳「大体、霞ちゃんのサイコフレームは1個しかこの場に無いのにどうやって感応する気なの?
その問題がまず拭えないのに…」
朝雲「感応する手段なら『アリスタ』を使えば…」
瑞鳳「だとしても、『アリスタ』を持ってるのは海風ちゃんと神通ちゃんだけで… ん…?」
神通「この子も未来から来た、なら過去に転移するために…」
瑞鳳「アリスタを持ってても不思議じゃ無い…?」
瑞鳳「あったね、チョカー。アリスタ付きの」
神通「じゃあこれで感応は出来ると…」
瑞鳳「だけど問題は誰がやるか、だよ。 サイコフレームじゃなくてアリスタを介せば出来るようになって感応波は不要になったけど」
369 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/06(火) 03:09:12.41 ID:NmWL1lNb0
朝雲「…私に、私にやらせて貰えませんか?」
神通「朝雲さん…?」
朝雲「萩風には色々と助けられて陰から支えて貰った恩もあるし、何より友達として今の状態を放っておけ無い。だから、私がやります」
瑞鳳「リスクもデメリットも大きすぎる。私が言ったのはあくまでも机上の空論、出来るかどうかなんてわからない。
それに自分でも言ったでしょ。『もう一人の萩風ちゃんをもう一度殺すことになる』のと同じ意味だって」
朝雲「何とかしてみせます」
神通「そんな無茶な…!」
朝雲「無茶でも何でもやり通す、私はもうとっくに『覚悟』してるんです」
瑞鳳「…自分が壊れる覚悟も、罪を背負う覚悟も… 命を奪う覚悟もある?」
神通「良いんですかお母様…!」
瑞鳳「良くは無いと思ってる。でもあれが最善策だし、当人の希望でもあるんだよ」
神通「なら私が…!」
瑞鳳「神通ちゃんは駄目。姉妹だけど、あの子は神通ちゃんに対して翳りがあるし、神通ちゃんも流派・東方不敗の一件での負い目がある。
互いに少しでも負を抱えてる状態で意識共有したら、それこそ互いの精神や人格が崩壊しかねない」
神通「それは… なら、お母様は…!」
瑞鳳「…私も、ちょっとだけ貴女達に負い目があるから」
神通「え…?」
瑞鳳「貴女達を生み出したのは私が昏睡事件を止められなかったから、自分の心に出来た隙間を埋められなかった『弱さ』が原因なの。
私のエゴで命を作って、色々と勝手に押し付けて勝手に死んで… 私があの事件を止められれていれば、こうやって貴女達を…」
神通「違います!お母様は必死に戦って、犠牲者を1億に押し留めたんです! それにその後の深海棲艦の侵攻だって一人で止めて…!」
瑞鳳「だとしても… 未来の私は多くの人を死なせて貴女達の命を弄んだ、その結果に変わりは無い」
神通「…」
瑞鳳「…朝雲ちゃんに覚悟云々って聞いたけど、私自身が覚悟出来てなかった。私なんかよりずっと貴女達の方が覚悟できてる。
ごめん… こんな話、するべきじゃなかったね」
神通「いえ… ですがお母様、私の知る『お母様』は数多の人を助けてきました。誰かの力になろうとして、誰かを護る為に立ち上がって。
人の明日を、未来を、希望を… 創り続けるために駆け抜けて。私達をまだ生んでなくとも、今まで貴女はそう戦ってきた筈です。昏睡事件だけではなく、今まであった様々な事件を戦ってきたのでしょう」
瑞鳳「そう、だね… 誰かが傷付くのを見過ごせ無くて、誰かが泣いてるのが嫌で、今まで戦ってきた…
私が何の為に戦うか、ちょっとは理解できてきた気がする。ありがとう、神通ちゃん」
神通「いえ。 ですが萩風は…」
瑞鳳「あの子には私なんかよりもっと相応しい、覚悟が出来たヒーローが居る。だからきっと、朝雲ちゃんなら大丈夫だよ」
370 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/06(火) 03:31:32.21 ID:NmWL1lNb0
朝雲「…さて、と。これからどうすれば良いの?」
朝雲(先輩からアリスタは借りたけど… これで意識共有領域を作れば良いのよね?)
萩風「…」
朝雲「失敗なんて考え無い… やれる事をやる、それだけよ…!」
朝雲(Are you ready? なんてね。 覚悟は出来てる、ならここから突っ走るだけよ…!)コォォォォ
朝雲「え、嘘!?本当に光が広がって…!」
《深層意識内部》
朝雲「これが、深層意識なの…?」
朝雲(それっぽいけど… 一面百合の花畑かと思ったら一箇所だけ茨っぽいところがある。あそこで何かがせめぎあってる…?)
朝雲「行ってみるしか無いか…!」
「――今更、何を!」
『だから――』
朝雲「萩風!」
「あさ、ぐも、さん…?」
『え…?』
朝雲「ってアレ、どっちが私の知る方…?」
萩風「こっちです!」
朝雲「あ、そりゃそうか。この花畑の花は萩風の『ヒメサユリ』だし」
『どうしてここに、他の人が…!』
朝雲「ちょっとした裏技で意識共有してんのよ」
萩風「まさか、アリスタを…?」
朝雲「そう言うこと。そんなに長くは保て無いけどね。 で、アンタは… 『本来の萩風』、オリジンとか真とかって呼べば良いのかしら?」
萩風(オリジン)『好きなほうでどうぞ…!いい加減、私の体を返してください!』
萩風「今更出てきて勝手を言わないで下さい!第一貴女は既に―――」
朝雲「はいストップ! 意見の押し付け合いじゃどうにもならないでしょ。まずお互いの言い分を聞かせなさいな」
371 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/08(木) 03:55:49.20 ID:yx3oGJh20
朝雲「まずは現在の主人格、私の知る方からよ」
萩風「私にはやらなきゃいけない事があります。それに『私』が目覚めとき『本来の人格』は存在していなかった。
それを今更出てきて返せとか出て行けとか言われる筋合いはありません」
朝雲「まぁ、こっちの人格に関しちゃ言わずもかなだけど… じゃあオリジン、アンタは?」
萩風(オリジン)『眠っていたら外から声が、懐かしい声が聞こえて… でも体が自由に動かせ無くて…
。
それで気が付いたら体が乗っ取られたことに気付いて、返して欲しいと…』
朝雲「…ちょっと質問良いかしら? 貴女は最後、どこで意識が途絶えたの?」
萩風(オリジン)『えっと… 確か、大阪から帰る途中の高速道路だったかしら…? 確か静岡の辺りから何も思い出せなくて…』
萩風「…間違い無い。あの『事故』の…」
朝雲「…事故、ってまさか…!?」
萩風(オリジン)『事故? 何ですか?』
朝雲(間違い無い… 今の話、前に萩風から聞かされた『事故』と一致する…!『この時代の萩風』が本来死ぬ筈だった事故、『本来の萩風』以外は即死して『本来の萩風』も意識不明の植物人間になった後生涯を終えた筈の…
この子の時間は、事故の瞬間か事故の直前で止まってる。 眠ったまま消えるだけの意識があの嵐ってやつのせいで目覚めたのね…)
朝雲「外の記憶は? 意識なくしたあと、こっちの萩風になったあとの記憶」
萩風(オリジン)『ない、ですね…』
萩風「…最悪です」
朝雲「ええ。思った以上に最悪の事態になってる」
萩風(オリジン)『え…?』
朝雲(そう、何も知らないのよ… 外に関する全てを…! 昏睡事件どころか、それ以前の記憶すらも…
両親が既に居ないことも、自分が死んでたことも…!)
朝雲「…」
朝雲(考えるのよ、朝雲… 私はバカだけど、悪知恵だけはある筈よ…!)
かけるべき言葉 ↓3まで
1.『事情は分かった。でもこっちにも事情があるの』
2.『…貴女に真実を教えてあげる。貴女に起きた全ての』
372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/08(木) 09:49:50.92 ID:ICFwa37D0
1
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 12:45:38.43 ID:bEtxxFDcO
1
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/02/14(水) 05:00:25.46 ID:FAvl6Vz8O
2
375 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/15(木) 02:49:45.40 ID:lYq5DJFI0
朝雲「事情は分かった。でもこっちにも事情があるの」
萩風(オリジン)『事情なんて…!』
朝雲「今、外の世界で大きなテロが起きようとしてるのよ。この子はそれを止める為に未来から来た。
未来から、母親を助けたい一心で…」
萩風『母親…?』
朝雲「この子のお母さんはテロで全部を失って、後の時代でこの子を遺して戦争の果てに亡くなった。
そのテロが引き金で起きた戦争、世界が滅びかけるような大きな戦争がこのままじゃ起きるの」
萩風(大体流れは間違ってないけど深海棲艦の現出の原因はEXAMじゃないんですが…
可能性としては無くは無いですけど。 一度に億単位で死んで、負念が一気に膨張したからそれが引き金になったって学説ありましたし)
萩風(オリジン)『それと私に何が関係するんですか!』
朝雲「分からないの? この子は… 貴女の生まれ変わりなのよ」
萩風(オリジン)『え…?』
朝雲「人はいつか死ぬ。それは貴女も私も例外じゃない。だけどその魂は、輪廻転生を繰り返す…
その輪廻転生を果たしたのはこの子、今貴女の身体、『存在』を借りている萩風なの」
萩風(オリジン)『どうして私が…』
萩風「…必要だったんです、この世界に留まるのに。 未来から身体は持ってこれ無い、だからこの時代の『私』の助力が必要だったんです。
1億の人間が死んで、もっと多くの人が死ぬ未来を防ぐために… 何より、お母様を助けたいから」
朝雲「そして多分、このテロを阻止できゃなきゃ私達に未来は無くなる。だからこそこの子への協力を私は選んだ。
お願い、テロ事件が終わるまでで良い… それまで、あと1ヵ月くらい私達に力を貸して…!」
萩風(オリジン)『ふざけないで… そんなの、貴女達の勝手過ぎるでしょう!』
朝雲「勝手なのは分かってる! だけど貴女の大事な人達だって事件に巻き込まれるかもしれないのよ!
それにこの子が身体を失えば間違いなくこの子は消える! そうなったら貴女にテロを止められるの!?」
萩風(オリジン)『それは…』
朝雲「私達が勝手なのは承知の上、危険なのも覚悟の上… それでも必死にテロを阻止しようと足掻いている人も居る、だからほんの少しで良いの!
私達に時間、テロを止めるための時間を頂戴…!」
萩風(オリジン)『…じゃあせめて、私の身体が本当に無事かどうか確かめさせてください』
朝雲・萩風「…!」
朝雲(ヤバイ… 身体はもう、この子が知ってる身体じゃなくなってる。それに時間経過が外の情報で分かったら…
置かれてる状況に混乱するどころか、自分が死んだことも知っちゃうんじゃ…)
萩風(ある意味最悪の札を出してきました… 私と同じ魂ならやりかねないと思ったけど…)
選択 直下
1.一時的に返却する
2.それは出来ない
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/15(木) 12:31:04.28 ID:h6J992Wf0
2
377 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/16(金) 05:12:45.90 ID:i/M30ogZ0
萩風「…それは出来ません」
萩風(オリジン)『やっぱり…!』
萩風「私は、本来この時代の存在ではありません。肉体だって仮初の借り物、なのに表層から意識が消えたら…
テロ事件を阻止する前に消えてしまう可能性があるんです。貴女は意識を残留できてるけど、私がそうとは限らないんです」
朝雲「それに… 今目を醒ましたらきっと貴女は混乱する。そんな状況に今なってるの。
私と貴女は知り合いじゃない、そうでしょ? 貴女の知らない人に今囲まれて、平静を保つ自信がある?」
萩風(オリジン)『それは… でも声が、私を呼ぶ声が聞こえて…』
萩風「『貴女』の知り合いに偶然会ってしまったから、です。彼女は『私』を『貴女』と認識していたから…」
萩風(オリジン)『知り合い…?』
朝雲「嵐、とか言う俺女よ。一応、元気だったわ。多分今頃、私の仲間がちょっと説教で心へし折ってるところだけど」
海風「だから何故無関係なのに余計な首を突っ込み、挙句…」
鬼怒「うぅ…もう勘弁して…」正座
江風「アスファルトが、熱い…」正座
嵐「何で俺まで…」正座
霞「元はと言えば原因はアンタよ。散々朝雲にやめろ、って言われたのを無視した」
天津風「…えっと、先輩。これ止められますか?」
神通「海風さん、そろそろ…」
海風「止めないで下さい。多分ここでお灸を据えないと、3歩歩いてまた忘れるのが鬼怒さんです」
鬼怒「扱い酷っ!? と言うか私直接関係ないよね!?」
海風「二人を御せ無い監督責任」
鬼怒「うぐっ…!」
萩風(オリジン)『嵐…!? どうして…』
朝雲「幼馴染、なんでしょ。 聞いたわよ」
萩風(オリジン)『お願い、彼女に会わせて…!』
萩風「それは…」
萩風(オリジン)『昔からの幼馴染で、私の大切な… だから、会いたいんです…!』
朝雲「今は無理、ね。だけどきっと、終わらせるから。テロも何もかも… だからその時まで待って。
私が、私達がきっと… 全部終わらせて、身体を返すから」
378 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/22(木) 02:52:43.58 ID:pXuXRbZiO
《現実世界》
萩風「あ…」
朝雲「ん… あ、戻った。萩風、大丈夫?」
萩風「ええ。もう一人の人格は眠ったようです」
朝雲「納得はしたのね。だからリンクが切れて現実世界に引き戻されたって訳か」
萩風「全く、なんて無茶を…! 他人の深層意識に潜るなんて自殺行為です!」
朝雲「だけどこうでもしなきゃ目覚めなかったでしょ」
萩風「アレはただの残留思念、もう少し粘れば消滅させられてたのに…!」
朝雲「でも、それが正しい手段なの?」
萩風「正しいとは言えません。だけど、最善手です。
…正直、見てられません。可哀想過ぎるんです、『彼女』」
朝雲「そうね… 両親が死んでることも自分も死んでたことも知らないなんて、残酷にも程があるかも…
でも強引な手段は良く無いと思う。納得して、成仏して貰うのが一番良いんだけど…」
萩風「その手段が無いから頭を抱えているのに…」
朝雲「…明日、私達はアイツ等と対戦することになる。編成には私と萩風が組み込まれてたけど…
海風に言って編成を変えてもらう? このままじゃ萩風の中のもう一人が何時目覚めるのか分からないし」
萩風「…いえ。明日の戦い、私も出ます」
朝雲「だけど…」
萩風「私に、考えがあります。朝雲さん、いざと言う時はフォローを」
朝雲「分かった。そこまで言うなら私が『シームルグ』でフォローする」
萩風「温存しないんですか?」
朝雲「しないし、する理由も無いわよ。 それに一度は使っとかないと準決勝と決勝への牽制にならないから」
萩風「ところで、ここは私の部屋のようですけど… 姉さんは?」
朝雲「えっと…」
海風「(ピー)が(ピー)で、貴女たちの頭は(ピー)以下だと…」
神通「そろそろ本当にストップしてください!」
天津風「そうよ!言葉が汚くなりすぎて聞くに堪えないから!」
嵐「畜生… なんでこんな目に…(半泣き)」
江風「悪かったから…!もう止めてくれ…!(半泣き)」
鬼怒「土下座でもなんでもするから…!(半泣き)」
霞「アンタ達の土下座にどんな価値があると思ってるの?」(ニッコリ
天津風「こっちもこっちで容赦無いわね!?」
神通「二人共、本気でストップ!」
379 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/25(日) 02:20:22.92 ID:DwROrLi0O
《その夜 神通・萩風の部屋》
天津風「じゃあ今は眠ってるだけ、ってことね」
朝雲「ええ。納得の上でね」
萩風「しかしいつ外的要因によって目覚めるか分からないんです」
霞「なら尚更明日の試合に出せないじゃない」
海風「はい。戦闘中に今日みたいな事が起これば…」
萩風「それならそれで、何とか出来る秘策があります。そして私には彼女達、特に嵐と言う人へのアドバンテージがあります」
愛宕「アドバンテージ?」
海風「確かに心理的なアドバンテージ、彼女が萩風さんを狙うのに多少の躊躇、もしくは全く攻撃できなくなる可能性もありますが…
あまり良い手とは言えません。理に適ってはいますが個人的には嫌悪を抱きたいくらいには」
萩風「分かっています。あまりフェアではありませんし、私でも気が引けますよ。
私が彼女に持つアドバンテージは… 『もう一人の記憶』なんです」
神通「もう一人の記憶?」
萩風「私の中の『もう一人の私』、その記憶が先程多少こちら側に流入してきて… その中には彼女との戦闘経験の記憶がありました。
一度や二度だけでなく、数十回近くのバトル経験が『前の萩風』と彼女の間にはあったようです」
天津風「じゃあ今のアンタはアイツを知り尽くしてる、ってこと?」
萩風「ええ。さらに言えば『以前の萩風』と今の私では戦闘スタイルが全く異なります」
霞「じゃあ一方的に相手を知り尽くした状態、ってことになる…」
瑞鳳「しかも相手は過去に引き摺られて、今の戦い方に対応出来ない。確かに萩風ちゃんはあの子にアドバンテージがある」
神通「少し卑怯な気もしなくはありませんが…」
愛宕「さっきの心理作戦よりは遥かにマシね。 それに萩風ちゃんの実力は相当よ。アドバンテージがなくてもあの三人に引けは取らない」
海風「では最終確認を。 編成は…」
ファイター選択
・朝雲:『シームルグ』
・萩風:『ガンダムエクシアルベルム』
・三人目 直下
選択可能ファイター
・海風:ウイングガンダム・アズライト
・霞:ブラストアクロスZZ
・天津風:ガンダムハルートボーライド or シューティングスターガンダム(改)
条件:とくになし。『天津風』を選択の場合機体を明記すること(シューティングスターを選択の場合、強化改修有り)。
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/25(日) 09:57:01.84 ID:7aCXCKMK0
海風
381 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/02/27(火) 01:53:19.09 ID:HurrnIiiO
海風「戦闘指揮は海風、そして残りは朝雲さんと萩風さんとなります」
霞「…その編成、大丈夫なの?」
天津風「ウチのアレな部分を凝縮して煮込んだような編成じゃない…」
神通「頭が少々痛くなってきました…」
海風「失敬な」
瑞鳳「確かに一番クセが大きい編成ね。だけど機体はウチのツートップが揃ってる」
愛宕「アズライトバーストの圧倒的な爆発力を持つ『ウイングガンダム・アズライト』と同じくNT-Dと『コード・ブレイヴ』で機体ブーストを掛けられる『シームルグ』…
ジャスティスとZZもかなり高い性能だけど、この2機は出自が出自なだけに他と一線を画してるわね」
瑞鳳「そしてエクシアも追随出来るだけの性能は持ってる。流石、私の愛娘なだけあるよ」
萩風「お母様…」
天津風「それって私のハルートの性能が評価されてないような…」
瑞鳳「そう言う意味じゃないよ。ハルートは素の状態なら一番速い、それに運動性もかなり高いし。
逆に言えばこのイカれた機体が勢ぞろいしたチームで引けを取って無い時点で凄いと思う。ウイングとシームルグがイカれてるだけ」
霞「じゃあこの編成は『そこまでやらないと倒せない敵』用ってこと?」
海風「はい。 戦闘分析によれば3人は… 正直、おバカです」
一同「…」
海風「だけどそれは『余計な思考』を持ち合わせないという意味、守りを気にせず攻めてくるタイプだと思います。
それに余計な事を考えないからその分迷いが無い、単純な戦闘能力はかなり高いかと」
神通「ですがこれはチーム戦… 単純な、単機に頼った戦い方では勝てません」
海風「それを此処まで貫いてきた時点で相当、だと考えられますが… だけど、それもここで終わらせてしまいましょう。
我々は『戦術』を以って彼女達を打ち倒します。瑞鳳さん、例のブツを」
瑞鳳「あいよ」ドサッ
朝雲「何これ、ジュラルミンケース?」
萩風「これは?」
瑞鳳「ウイング、シームルグ、エクシア用の強化パーツだよ。 先行して3機分だけ完成させてきたのよ。
ZZ、ジャスティス、ハルート、ストライクの分は追って完成させるから、先に出来たブツの確認よろしく」
機体強化装備
・ウイングガンダム・アズライト 直下
・シームルグ 下3
・ガンダムエクシアルベルム 下5
※あまり無茶苦茶、また現在の機体から変化が大きくなるようなものは却下させて頂きます
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 01:33:35.30 ID:Ymn2Tt2X0
・メッサーツバーグラズールスタイン(ドライツバーグラズールスタイン)
メッサーツバーグの改修型で銃口からビームサーベルを展開可能。
軽量化のため威力は落ちたがある程度出力を絞れば連射が出来る。
さらにツインバスターライフルと連結することで高出力ビーム砲以外に巨大なサーベルにもなる。
またメッサーツバーグ自体にエネルギータンクが有り、本体の粒子は消耗しない。
数はドライツバーグ2つ分、計6本。ラズールスタインはドイツ語で青い石を意味する。
・ウイングアズライトシールド
従来のシールドにアブソーブ機能と対実弾用粒子フィールド生成機能を追加したもの。
外観はノーマルのものと変化は無い。
射撃武装が足りないからこれくらいなら追加しても大丈夫だろう…
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 02:34:48.48 ID:DsFH9HREO
踏み台
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 01:42:41.98 ID:hADJlLLN0
アームド・アーマーAW(アークウイング)
背部に装備するための新型ウイング。ウイング自体にもサイコフレームが再現されておりNT-D発動時は連動して装甲がスライドする。
以前のものより大型化し出力が強化、運動性能が大幅に向上した。
また予備バッテリーも兼ねておりコード・ブレイヴにより本体が粒子を使いきってもこちらの粒子を使えば継続して戦闘可能に。
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/01(木) 03:25:45.80 ID:DjE7JwZNO
踏み台
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 14:28:30.52 ID:Wp9Fe5X+0
GNHW/R
バックパックのマガノイクタチストライカーを改修し、元の機能そのままにGNランチャーを二つ装備している。
射程と貫通力に特化した作りとなっており、ビームが細く弾速も速いため目視が難しくなっている。
ただし、狙いをつけるために相応の狙撃能力は必要となっている。
また、分離しオートパイロットで支援機扱いで動かすことも可能。
387 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/02(金) 02:39:12.89 ID:GldtNKBOO
瑞鳳「まずウイング用のはこれ。メッサーツバーグの強化型武装『メッサーツバーグラズールスタイン』」
海風「名前長くないですか?」
霞「『ラズールスタイン』はドイツ語で『青い石』、つまり『アズライト』も含んでる。ドイツ語で揃えるならこうなっちゃうのよ」
天津風「どうしてそんな事知ってるのよ」
霞「私これでもドイツ系のクォーターよ。言ってなかった?」
朝雲「聞いて無い」
神通「ですが前にドイツ語でチーム名考えたり、ニーチェの原文をそのままドイツ語で読んだりしていました」
霞「ま、単語と日常会話ぐらいしか分からないからほぼ役に立たないけど。続けてください、瑞鳳さん」
瑞鳳「ウイングは射撃武装が少なかったからね。それを補うための武器がこれ。 改良点は軽量化による取り回しの改善。代わりに威力は落ちたけど連射が利くようになってる。
あと近接戦に持ち込まれても良いようにビームサーベル発振機能とツインバスターライフルとの連結時に砲撃以外に巨大サーベルを形成できるって能力も追加した」
萩風「ですがこれ、アズライトの特性に反しているのでは? 『アズライトバースト』が完全な性能を発揮するには粒子を溜め込む必要が…」
瑞鳳「だからメッサーツバーグ自体に粒子タンクを埋め込んでる。つまり本体からのエネルギー供給無しで使えるのよ。
で、それを合計6丁。ドライツバーグ二つ分用意しておいた」
海風「ではこのシールドは?」
瑞鳳「『ウイングアズライトシールド』。見た目は変化無いけど蒼龍さんのDXのシールドと同じ『アブソーブシステム』を新しく内蔵しといた。これで敵のビームはほぼ効かない。
ただそのせいで実弾に弱くなっちゃったんだよね」
神通「本末転倒では?」
瑞鳳「だからもう一つの機能として対・実弾用粒子フィールド形成機能を追加した。 これでビーム・実弾への対策は完璧よ」
霞「徹底的ね…」
瑞鳳「次に『シームルグ』用のはこの『アームドアーマーAW(アークウイング)』。今までのV字ウイングをちょっと大型化したの。
推力比は20%増し、大きく機動性が上がってる」
朝雲「この装甲… もしかしてNT-Dに連動しているんですか?」
瑞鳳「うん。サイコフレームを作りこんで、本体がNT-Dを発動するとこっちも変形して装甲がスライドするの。
でもコレの真価は『コード・ブレイヴ』の『発動後』に発揮する」
萩風「発動後、とは?」
瑞鳳「シームルグには欠点があって、『コード・ブレイヴ』発動時の大出力砲撃、『プラフスキー・ステラ・ストレイターレット』を放つと本体の粒子が尽きるまで放射が止まらないのよ。
強制的に粒子をカットする機能を付けたけどほぼ焼け石に水でその後も極端に性能が低下しちゃって… だからこのアークウイングにジェネレーターを付けた。本体の粒子が尽きたら、こっちから粒子を供給して継戦できるようにね」
天津風「確かにそれなら全力を発揮できる… 良い装備ね」
瑞鳳「そしてエクシアのは『GNHW/R』、エクシアのバックパックに追加機能を施した装備だよ」
萩風「これは、ランチャーですか?」
瑞鳳「このGNランチャーは貫通力と射程に特化して、しかもビームが細い上に弾速も速い。見切るには相当の視力が要る。
その分狙撃技能もそれなりに要するけど…」
萩風「私なら問題ありません。狙撃の訓練は受けています」
瑞鳳「そしてもう一つ、オートでの自律戦闘機能。バックパックを切り離すと支援機として扱うことが出来るってこと。
本体が格闘を挑んでる間にコソコソ隠れながら狙撃支援、なんてこともやれるよ」
萩風「私向け、と言う訳ですね」
瑞鳳「まず第一陣はこんな感じ。第二陣はもう少し待っててね」
愛宕「ここまでの装備だと、後がちょっと怖いわね…」
388 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/05(月) 02:19:19.76 ID:DQehqA8HO
《選手宿舎屋上》
朝雲「…何よ、急に呼び出して」
嵐「その… すまなかった。萩の事、何も考えて無くて… 自分の事ばっか考えて、萩を傷つけちまった」
朝雲「謝るべき相手は私じゃ無い。ま、人の制止を無視したのには怒ってるけど… 二度としないなら良いわよ。
それより、『前の萩風』について教えて貰え無い? 私は『今の萩風』しか知らない、だから友達として前のあの子についても知っておきたいの」
嵐「…アイツは世話焼きな癖に、妙に怖がりでいっつも俺の後ろに居たんだ。
野菜が大好きで甘いもんが苦手で… でも明るくていつも居て楽しかった。だけど俺が中学に入るのと同時に居なくなった… 初めは連絡が取れてたんだ。でも急に連絡が途絶えて…」
朝雲「事故にあって、再会した時には今まで知ってる萩風は居なくなったって訳か… まあ、アンタが困惑する気持ちも多少は分かるわ」
嵐「ああ… なぁ、アイツは本当に萩なのか…? 俺には何か、違うような… 他人になったような気がするんだ」
朝雲「そうね… 私には答えられない質問よ。だけど一つ言えるとすれば… あの子の心は、魂は本物よ。例え記憶が無くても、以前とは違っていたとしても…
あの子が『萩風』である限り、偽物も本物も無い。 私はそう思ってるし、あの子を信じてるから」
嵐「そうか… 良い友達を見つけたんだな、アイツも…」
朝雲「立ち聞き、良くないわよ」
萩風「気配は完全に消していたのですが…」
朝雲「ええ、気配はね。 私と萩風、さっきのリンクがまだ完全に切れてないみたいなのよ」
萩風「道理で、私もここが分かった訳ですか」
朝雲「…さっき記憶が流れ込んだって言ったわね。 多分もう一人にも同じ現象が起きてる筈よ」
萩風「はい… 私の記憶を垣間見て、どうやら真相に辿り着いてしまったようで…」
朝雲「そう…」
萩風「今ギリギリ形を保っていますが、次に覚醒すれば確実に…」
朝雲「消える、のね。 ねぇ、意識を一時的に覚醒を遅らせることって出来る?」
萩風「彼女の人格が弱ってる今なら出来ますが…」
朝雲「…」
萩風「…私と、同じこと考えてますね」
朝雲「そうみたい」
萩風「一つ、聞かせてください」
朝雲「何よ」
萩風「彼女、嵐さんに言った言葉… 偽りはありませんか?」
朝雲「無いわ。 私は信じてる、萩風を。一人の友として、チームメイトとして… ううん、それ以上の存在として」
萩風「例え私が昏睡病のキャリアーを葬ってきた、血塗られた人間だとしても?」
朝雲「勿論。 贖罪が要るなら、私も付き合ってあげる。 罪も重責も一緒に背負って分かち合う、萩風を信じるって決めた時そう決めたから」
萩風「そうですか… その答えが聞けただけで、満足です。 私が貴女を守り抜く、そう誓いましたが…
改めて言わせてください。 私と共に、未来を壊すために戦ってくれませんか?」
朝雲「良いわよ。 全部ぶち壊してやるから。 アンタと一緒に、ね」
389 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/05(月) 03:08:04.09 ID:/dAFFcgVO
《翌日 大会アリーナ》
『これより東京代表『フリューゲル・ヴェント』対栃木代表『トリオ・ザ・レッド』の試合を開始します』
海風「二人共、準備は?」
朝雲「OKよ。いつでもやれる」
萩風「こちらも、問題なく」
鬼怒「よしっ…!やるよ!」
江風「昨日の借り、返させてもらうぜ…!」
嵐「萩… 例えお前だとしても…!」
Please set your GP Base
Beginning plavsky particle dispersal
Field to "SKY"
Please set your GUNPLA
BATTLE START!
朝雲「朝雲! RX-0[Sm]シームルグ!」
萩風「ガンダムエクシアルベルム、萩風!」
海風「ウイングガンダム・アズライト、海風! チーム・フリューゲル・ヴェント!」
朝雲「出るわよ!」
萩風「行きます!」
海風「出撃します!」
天城「あれは… 『シームルグ』、ですが…」
榛名「バックパック、換装されてますね。天城、念のためデータを取ってください」
陽炎「それだけじゃない。全員新装備持ってる」
長波「追加武装の類だけど… 使いこなせるのか?」
阿武隈「多分出来る筈だよ。あのチームのメンバーならね」
能代「なっ…!? 改RX-0!?」
アドウ「おいおいおいおい… 何がどうなってやがる」
シア「あの機体、間違いなく宮城の…」
ウィルフリッド「コピー機か? いや、だがあの『真紅の戦乙女』が…」
能代「あれは間違いなくオリジナルよ…! 私の知らないタイプだし多少調整は受けてるみたいだけど、あの機体の作り込みや癖は間違いなく…」
能代(どうして…? 確かあの子の機体はストライクで… まさか、前に使ってたガン=カタはまさか先輩の…!?)
朝雲「敵、見えてきたわよ」
海風「そのようです。 各機へ、今回のステージは洋上の空です。遮蔽物などはなく、重力下なので充分注意を」
萩風「ステルスはあまり役に立ちそうにないわね… 敵機識別開始します」
敵編成(機体名・改造内容も併記)
・鬼怒機 直下
・嵐機 下3
・江風機 下5
ベース機条件:機体が元々『赤いMS』であること
改造条件:塗装は赤系統限定
390 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 09:57:37.54 ID:7xrqJiEy0
レイジングアヘッド
GNバルカンx2
GNサブマシンガン
GNメイスx2
GNショートキャノンx2
GNシールド
GNショートビームサーベル
ブシドー専用アヘッドを近接機として別の方向性から改装した機体。
原型機と比べ機動性は少し低下しているが、その分装甲は分厚くなっている。
主武装は鉄血オプションセットの変形メイスを改造したGNメイス。
変形時にはビーム刃を展開することができる。
隠し玉としてトランザムも使えるが、1分しか使えない。
また本人の趣味なのか、所々鬼の意匠が施されている。塗装は原型機と同じ。
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 10:42:23.46 ID:7xrqJiEy0
ksk
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 11:19:40.11 ID:KmtoLomk0
レコードブレイカー・フルウェポン
右手にムラマサブラスター、左手にピーコックスマッシャー、背中にGキャノン方式でヴェスバー、両手のビームシールドはブランドマーカー、両脚にヒートダガー、右腰にスクリューウェップ、左腰にビームサーベル×2、MEPEを登載したサナリィ製ガンダムの武装てんこ盛り機体
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 22:20:15.79 ID:rOJmprrj0
踏み台
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/07(水) 20:22:47.43 ID:Dz0KOO78O
ハウンド・コンティオ
リグ・コンティオの改造機
原型からの改修点はヴァリアブルメガランチャーのバレルを延長していること。
またゴドラタンのビームトンファーを移植、ゲンガオゾのバックパックを装備している。
395 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/08(木) 01:45:32.82 ID:f4mBP7I1O
萩風「敵機は擬似太陽炉搭載型1、通常型2と断定。目視による機種判別、『アヘッド・サキガケ』『レコードブレイカー』『リグ・コンティオ』と推測」
朝雲「飛べないヤツでも来てくれれば良かったのに…」
海風「しかしチーム名の通り全機赤とは… 機体データ共有開始。各機、事前の打ち合わせ通りに」
敵部隊捕捉
レイジングアヘッド(鬼怒機)
武装
・GNバルカンx2
・GNサブマシンガン
・GNメイスx2
・GNショートキャノンx2
・GNシールド
・GNショートビームサーベル
概要
アヘッド近接格闘型『サキガケ』を近接機として別の方向性から改装した機体。
原型機と比べ機動性は少し低下しているが、その分装甲は分厚くなっている。
主武装は鉄血オプションセット08の変形メイスを改造したGNメイス。 変形時にはビーム刃を展開することができる。
隠し玉としてトランザムも使えるが、1分しか使えない。
本人の趣味として、所々鬼の意匠が施されている。塗装は原型機と同じ。
レコードブレイカー・フルウエポン(嵐機)
武装
・ムラマサブラスター
・ピーコックスマッシャー
・ヴェスバー×2
・ビームシールド(ブラインド・マーカー)×2
・ヒートダガー×2
・スクリュー・ウェッブ
・ビームサーベル×2
概要
F99レコードブレイカーにF90系統の機体の武装を取り付けた機体。主にF97(クロスボーン)のものが多い。
右腕にムラマサブラスター、左腕にピーコック・スマッシャーを保持。
Gキャノン方式で両肩にヴェスバー、右腰にスクリュー・ウェッブ、左腰にサーベル2本を装備。さらに両脚裏にヒートダガー、両腕にブラインド・マーカーが追加されている。
また機体に放熱機構を搭載したことでM.E.P.Eが可能となっている。
しかし武装が多くなっていることでエネルギー消費増加の点や質量増加による運動性の低下は免れられない…
ハウンド・コンティオ(江風機)
武装
・ヴァリアブル・ビーム・ランチャー改×1
・胸部ビーム砲×3
・ビーム内蔵式ショット・クロー
・ビーム・サーベル×2
・ビーム・ライフル×1
・ビーム・シールド×2
・ビーム・トンファー×2
・マルチプル・ビーム・ランチャー×5(バック・エンジン・ユニット)
概要
リグ・コンティオの改修機。他の2機と比較すると改修点は多くない。
原型からの変更点はヴァリアブル・ビーム・ランチャーは原型よりバレルが長くなっており射程が増していること。
またゴドラタンのビーム・トンファーを両腕に、ゲンガオゾのバック・エンジン・ユニットをバックパックに追加装備している。
余談だがコンティオを逆さに読んではいけない。そして決して女性が言って良い言葉では無い(戒め)。
鬼怒「あれ、あの青い機体新型…?」
嵐「エクシアは萩、ウイングは鬼怒の従姉妹だから… アイツか…!」
江風「おいおい… あれ、もしかして宮城のヤツか?」
朝雲「もうすぐ戦闘域よ、良いわね!」
萩風「はい。 追加武装も良好、やれます!」
海風「では今回は天津風さん監修、空中戦術と参りましょう! 全機ブレイク!」
396 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/09(金) 01:35:35.65 ID:UJGAy7wkO
天津風「何で空のステージで私じゃないのよ…!」
霞「仕方無いじゃない。ステージは全部ランダムなんだから」
神通「お母様、愛宕先生。この試合どう見ますか?」
愛宕「大気圏内の高高度戦闘は始めての実戦だから… どれだけその点を活かせるか、ね」
瑞鳳「勝利の鍵は朝雲ちゃんと海風ちゃんが機動力を活かして上手く萩風ちゃんから目を逸らせるか、かな。
二人がステージの雲海や太陽を利用して敵を翻弄、そこからエクシアが奇襲をかけるのが最善策ってところでしょ」
天城「さらに言えば今回のステージ、どれだけ空戦技能を持っているかと言う点が勝敗を分かちますね」
榛名「空中戦は重力がある分宇宙戦とは違いその点を考慮して戦闘をしなければなりません。また空中を『飛ぶ』必要がある為持久戦はエネルギー消費の点を考えても得策ではありませんから…
いかに短時間で敵を殲滅できるか、そして消費を抑えた戦いが出来るかに懸かっています」
鬼怒「敵が2機、突っ込んでくるよ!」
江風「あのウイング…!絶対落としてやる!」
嵐「突っ込んでくるなら、迎撃だ!」
真っ直ぐ敵陣に突っ込むウイングとシームルグ、そして鬼怒達3機は編隊を組んでのビーム砲撃で迎撃を行う。
そしてシームルグがウイングを盾にするように後方に就く。
朝雲「海風、防御任せた!」
海風「了解! アブソーブシステム、展開!」
海風がシールドを前面に翳すと装甲がスライドし内部機構が露にり、殺到するビーム攻撃を『ウイングアズライトシールド』が防ぎ、吸収した。
鬼怒「嘘!?効いて無い!?」
嵐「ビームが、消えた!?」
江風「どンな手品してやがンだ!?」
海風「粒子吸収機構、これなら…! 朝雲さん、やります!」
朝雲「オッケー!まずは牽制、海風!」
海風「ツイン・バスター・ライフル、メッサーツバーグ6基連結完了! これでも受けなさい!」
ツイン・バスター・ライフルに新造武器である『メッサーツバーグ』を全て連結し放つ海風。
吸収した粒子を攻撃に転換した極大のビームは鬼怒達3機目がけて一直線に駆けていく。だが鬼怒達は咄嗟に散開することで攻撃を回避した。
鬼怒「うわぁっ!? ちょ、なんて威力なの!」
嵐「掠ってもヤられるぞ、あの出力…!」
江風「おい、余所見を…」
鬼怒「っ…!」
朝雲「こっちが、本命よ!」
シームルグの持つ『シェーバティール』から放たれるライフリングされた実体弾がアヘッドへと放たれる。
直撃コースの攻撃を辛うじてシールドで防ぐがシールドは一撃で砕け、アヘッドは吹き飛ばされてしまう。
鬼怒「シールドが無かったらヤられてたよ…!」
海風「流石に一撃じゃ倒しきれない…! 朝雲さん、近接戦闘に移行します!」
397 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/09(金) 03:06:48.54 ID:5q/4JGWxO
海風「では作戦通り、朝雲さんはレコードブレイカーを引き離してください!残りはこちらで引き受けます!」
朝雲「ごめん、助かる! こっちが終わるまで墜ちないでよ!」
海風「勿論です! 寧ろそちらも気を付けてください!」
シームルグがレコードブレイカー目がけて加速し、海風は残存する2機へと向かう。
そして朝雲と嵐による1対1、海風と鬼怒・江風による1対2のドッグファイトが始まった。
天津風「…一体、何やってるの?」
愛宕「セオリーを無視して、どうする気なの…?」
瑞鳳「きっと、個人の感情を優先させたんだね」
霞「嵐ってヤツと朝雲、そして萩風の私闘にケリを着けさせようとしてんのよ」
神通「『前の自分』と『今の自分』の決別、きっと萩風が望んだのでしょう」
朝雲と嵐、両者の譲れないものの為に二人は激突する。たった一人『萩風』と言う少女を巡って。
ピーコックスマッシャーから放たれるビームを回避し機体を上昇させる朝雲、太陽を背に急降下を行いながらシェーバティールで実弾を放つ。
嵐「っ…! 嫌な手使いやがって!」
朝雲「避けられた…! 流石に速いわね!」
咄嗟に攻撃を避ける嵐のレコードブレイカー、だがシームルグは追撃を止めない。
シェーバティールから粒子結晶の刀身を形成して切りかかるが嵐はムラマサブラスターで斬撃を防ぐ。
嵐「パワーが、違う…!」
朝雲「このまま押し切る!」
嵐「なら…! コイツを使うしか…!」
機体を後退させる嵐、背部のミノフスキー・ドライブユニットから光の翼が形成されると同時に機体が放熱を始める。
レコードブレイカーの機体が光を帯び、直感的に危機感を覚えた朝雲がシェーバティールの刃を射出したが…
朝雲「分身…!? M.E.P.E!」
嵐「まさか、コイツを使わされるとはな…!」
放たれた刃が切り裂いたのは分身、そしてレコードブレイカーは一瞬で機体を上昇させて回避していた。
だから朝雲も新たな手を打つ。 機体装甲がスライドし、内部のフレームが露出して黄緑の光があふれ出す。
嵐「NT-Dか!やっぱり宮城の…」
朝雲「高速戦闘はこっちも得意なのよ!シームルグの全力、見せてあげる!」
行動安価 直下
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/11(日) 10:30:14.45 ID:PUSjj/fX0
機動力を削ぐためにスラスターを集中攻撃
399 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/16(金) 03:10:15.21 ID:IcSjGGic0
シェーバティールによる攻撃を間一髪のところで避けるレコードブレイカー。
朝雲の駆るシームルグは分身に惑わされず的確に本体を狙い攻撃を仕掛けていく。
朝雲(やっぱり実弾じゃちょっと遅い…!これがビームなら…!)
嵐「コイツ、なんでこっちの本体が分かるんだ…! M.E.P.Eでセンサーがイカれてる筈だろ!?」
朝雲「なら、センサーに頼らず『目』で見て撃てば良いだけなのよ!」
嵐「この状況で正気かよ!?」
嵐にとっては耳を疑う発言だった。目の前の敵は照準にセンサーを使わず自分の目と腕だけで先程から直撃弾スレスレの弾を放っていたと言う事実。
機動格闘戦においてそれは至難の技であり少なくとも嵐自身は出来ないと思っている。しかし敵対する朝雲はそれを平気でやってのけているのだ。
朝雲(だけど小さい上にすばしっこいわね… これじゃ致命傷は難しいかも)
致命傷を与えるには機動力を封じる必要がある、朝雲は考えた結果『背部のミノフスキー・ドライブ・ユニットの破壊』を考えた。
だがそれはレコードブレイカーを封じるための最良手段でありながら最難関の手段でもある。
朝雲「大丈夫よ… だって私には『見ていてくれる人』が居るんだから!」
嵐「来るか!」
シェーバティールから数発の弾丸がタイミングをズラして放たれる。 レコードブレイカーはその弾を掻い潜ろうと弾丸の隙間を掻い潜り、シームルグとの距離を詰め間合いに入る。
加速性の高いレコードブレイカーだからこそ出来る芸当、そしてシームルグのシェーバティールは取り回しが悪く近接格闘の応戦には不向きであると踏んだ嵐が一気に勝負に出たのだ。
嵐「貰ったぁぁぁぁぁぁっ!」
朝雲「今よっ!」
ムラマサブラスターによる斬撃が振り下ろされようとしたその刹那、2条のビームがレコードブレイカーの翼を貫く。
翼を折られた敵機が失速するのを朝雲は見逃さない。シェーバティールを打撃武装のように振るいレコードブレイカーを殴り飛ばした。
嵐「ッ!? な、何だよ!」
萩風「見ていましたよ、朝雲さん。一時も目を逸らさずに」
レコードブレイカーが姿勢制御を行い体勢を立て直した瞬間、雲間からステルスモードを解除したエクシアが現れレコードブレイカーへと肉薄し右腕のクナイを振り下ろす。
そしてその斬撃はピーコックスマッシャーを切り裂き爆散させた。ピーコックスマッシャーを囮に斬撃を間一髪で逃れた嵐、そして状況がようやく理解するに到る。
嵐「お前がやったのか、萩!」
萩風「貴女はすぐ背中が疎かになる…!前や上だけ見ているから!」
嵐「なっ…!? 萩、お前…」
『前世の自分』の記憶を垣間見た萩風は彼女の癖を知り尽くしている。だから朝雲が最高のタイミング、確実に直撃を与えられる絶好の位置にレコードブレイカーを誘導する瞬間を狙っていたのだ。
朝雲の一挙一動に注目して、通信で言葉を交わさずともその意図を理解して、朝雲がきっとチャンスを作ってくれると信じて。
朝雲「前や上を見るのは結構! でもね、大事な人はすぐ後ろや隣に居てくれるかもしれないのよ!」
嵐「ふざ、けんなぁぁぁぁぁぁっ!」
シェーバティールの銃口に粒子が結晶化し、刀身を形成したシームルグが目にも止まらぬスピードでレコードブレイカーへと迫る。
嵐はその攻撃を切り払おうとムラマサブラスターを構えるがエクシアが『マガノイクタチ』を射出しその両肩を貫き破壊した。
萩風「やって!朝雲さん!」
朝雲「これで、決めるわ!」
撃墜判定(15以上で撃墜) 直下
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/16(金) 07:27:03.47 ID:0CtKaCpp0
はいよ
401 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/17(土) 03:14:09.57 ID:8wNkpo0E0
次の瞬間、粒子の結晶で形成された刃がレコードブレイカーを貫いた。
だがレコードブレイカーはまだ生きており、残るヴェスバーの銃口をシームルグに向ける。
嵐「これで、お前も…!」
萩風「終わるのは、貴女だけよ」
背中からエクシアの左腕に装備されたGNクナイが振り落ろされ機体を両断され、貫いていた粒子結晶が砕けてレコードブレイカーは空から落ちていく。
『自分は前しか見ていない』、前から萩風に告げられていた筈なのに気がつけなかったのだ。だがいつも背中を守ってくれる人が居た筈だったのにもう居ないことに気付いてしまった。
嵐(だからか… もう俺は、一人なんだな)
あの頃の、自分の背中に居てくれた『萩風』は居ない。今目の前に相対する『萩風』はもうあの頃の彼女では無かった。
強くなったと言うべきか、変わってしまったと言うべきかは分からない。だが一抹の寂しさを感じながら、嵐は操縦桿から手を放す。そして次の瞬間、レコードブレイカーの機体は爆散する。
萩風「…」
朝雲「…このバトルを終わらせたら、ちゃんとやらないとね」
萩風「追い討ち、になりませんか?」
朝雲「大丈夫よ、きっと…」
NT-Dを解除したシームルグと一緒に佇むエクシア。青と紫の機体が互いの両隣に立ち、顔を見合わせる。
第一の目的は達したがまだ戦闘が終わった訳ではなく感傷に浸る余裕は無い。まだ海風が2機相手に奮戦している、その援護に向かわなくてはならないのだ。
朝雲「行くわよ!さっさと残りも片付ける!」
萩風「了解! 戦闘を継続します!」
バック・エンジン・ユニットに向けツインバスターライフルを放ち撃ち落とす海風。そして背後から襲い掛かるアヘッドのメイスによる攻撃を連結した『アズライトウイングブレイド』で防ぐ。
チーム内で最高性能を誇る『ウイングガンダム・アズライト』と海風の能力を組み合わせれば全国級の2機すら手玉に取れていた。
江風「なンで墜ちないンだよコイツっ!」
鬼怒「まるでこっちの動きを全部見透かされてるみたい…!」
鬼怒(機動や連携だけじゃない、動作一つ一つも読まれて先手を打たれる… どうなってるの…!?)
海風「保ち堪えれば良いかと思いましたが… 本気でかからないとこちらも少し危うい…!」
このまま防戦を続けて疲弊するのはあまり良くないと考えた海風は動き出す。
機体出力差を活かしてアヘッドを弾き飛ばしコンティオへと肉薄する。当然迎撃しようと胸部のビーム砲を放つコンティオ、それを海風は難なく回避し距離を詰めた。
江風「しまっ…!?」
海風「まず1機!」
メッサーツバーグ6基と連結したツイン・バスター・ライフルから機体の3倍はあろう長さの巨大サーベルが展開され、海風はコンティオへとその刃を振るう。
トンファーを展開してサーベルを受け流そうとするがあまりにも出力に差があり過ぎて防ぎきれず、コンティオはそのままビームの刃で真っ二つにされた。
江風「こンな…!嘘だろ…」
海風「残り1機… 覚悟してください」
鬼怒「こっちだって、負けられないんだから…!行くよ、海風!」
行動安価 直下
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/19(月) 01:23:15.18 ID:1Y1bIntP0
朝雲、萩風を待ち、連携で仕留める
403 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/19(月) 03:02:34.98 ID:zfmOsac60
アヘッドのメイスによる打撃をブレイドで防ぎ切り結ぶウイング。パワーはウイングが上回っており徐々にアヘッドを押していく。
このままでは負ける、そう考え最後の切り札を鬼怒は解き放った。
鬼怒「トランザム!」
海風「っ…!擬似太陽炉の機体なのに…!」
鬼怒「『アレ』を使われる前にカタをつけるよ!」
より赤色化したアヘッドが逆にウイングを押し返す。 だがこの優勢は長くは保たないだろう。
自身の技術力で製作した機体でトランザムを行使できるのは1分が限界、その制限時間内にウイングの『アズライトバースト』を発動される前に海風を倒さないといけないのだ。
鬼怒「このまま、押し切って…!」
朝雲「これでも、喰らえ!」
警報音に気付くが既に遅い。左肩のスラスターにシームルグの放った弾丸が直撃し吹き飛ばされる。
警戒はしていた筈なのにシームルグの存在に気付けなかった、その理由に鬼怒はようやく気付く。
鬼怒「エクシア…!ステルスを使って!」
萩風「流石にシームルグの熱反応は隠せませんでしたが… 赤外線センサーを使わなければ探知は出来ないでしょう!」
シームルグに抱きつく形でエクシアがステルス能力を行使していたのだ。シームルグの並外れた推力ならMS1機抱えたところで大したデッドウェイトにはならない。
だからこそエクシアがステルスに余剰な出力を割けるようにシームルグに掴まり、なおかつシームルグを隠匿すると言う連携が出来た。
海風「二人共、決めます!」
萩風「はい!」
朝雲「わかったわ!」
エクシアがシームルグから離れ、ダガーを投擲するがアヘッドはダガーを打ち払い、そこで生じた隙を逃さずシームルグが腕部を狙撃し両手を吹き飛ばす。
近接の手段を喪失した鬼怒、だがまだビームキャノンは残っておりシームルグへとその銃口を向けた。しかしエクシアがGNピストルUを抜き、連射してもう片方のスラスターを撃ち抜く。
鬼怒「あ…!」
海風「これで…!決めます!」
ウイングが左腕に装備している連結した『ウイングアズライトブレイド』。その一閃がアヘッドの頭部から叩き付けられ、アヘッドは真っ二つに裂ける。
自分より年下でガンプラ経験なんて無い筈なのに。そんな妹分相手に手玉に取られて負ける、少し悔しい思いの鬼怒だった。
鬼怒(成長したね…)
海風「敵機殲滅を確認。戦闘終了です」
BATTLE ENDED
Winner"Flügel Vento"
『Aブロック2回戦、第三試合。勝者、東京代表・『フリューゲル・ヴェント』!』
ワァァァァァァァァァ
404 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/19(月) 04:13:21.68 ID:zfmOsac60
天津風「これで、次は決勝トーナメント…!」
神通「…しかし、これで良かったのでしょうか」
愛宕「萩風ちゃんの事?」
神通「はい。わざわざ彼女と戦うなんて…」
霞「きっと何かしらの考えがあるんだと思いますよ」
瑞鳳「朝雲ちゃんも居るし、きっと大丈夫だよ」
神通「あの二人だからこそ余計心配なんです…!」キリキリ
瑞鳳「ああ、うん… 問題児ではあるけどね。だけど朝雲ちゃん、意外とチーム内じゃ真っ当な考え方の持ち主だから大丈夫じゃない?
何かやらかしたら私が〆るから」
《その後 選手宿舎 屋上》
嵐「…なんだよ、話って」
朝雲「これじゃ昨日のパターンと真逆ね… ま、ここしか話せる場所が無いんだけど」
嵐「用件があるなら早くしてくれ。俺だって帰る準備で忙しいんだよ」
朝雲「用があるのは私じゃ無いわ。この子よ」
萩風「…」
嵐「萩… お前、どこから現れた?」
萩風「気配を消すの得意なんです。そう十年近く鍛えてきましたから」
嵐「え、十年…? どう言う事だよ、お前記憶が…!」
萩風「実は私、『萩風』であって貴女の知る『萩風』ではありません」
嵐「どう言う事だよ… こんなふざけた冗談はやめろよ…!」
朝雲「…この子は今からちょっと後、15年未来からやってきた存在なの。貴女の知る『萩風』が輪廻転生を迎えた、それがこの子よ」
嵐「輪廻、転生…?」
萩風「本来のこの時代の『私』は… 両親と一緒に事故に遭って、植物状態のまま死を迎えて『私』に転生する筈でした。
そこに『私』、『転生した萩風』が存在を成り変わる形で今の時代に来たんです」
嵐「じゃあ何だよ、俺の知ってる萩風はもう…」
朝雲「…」
嵐「…ふざけんなよ。ふざけんな! 返せよ… 萩を返してくれよ!」
朝雲「…それは、私達には出来ない事よ。もう事故の時点でアンタの知る萩風は…」
萩風「だけど、たった一つ奇跡が起きました。貴女が呼びかけたから、私の中に『前の私』の残滓が目覚めて…
先程、貴女の動きを読めたのはその影響… 彼女の記憶を共有しているからなんです」
朝雲「それだけじゃない。まだ『彼女』の残滓は消えて無い」
嵐「消えて無い…?」
萩風「最早風前の灯ですが… まだ彼女の人格は残っています。だけどこの機会を逃せば、二度とチャンスはありません」
朝雲「話したいことがあるなら… 最後に話すことがあるなら、この石を握りなさい」
405 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/20(火) 02:58:23.99 ID:VrQ7eNdx0
《深層意識》
嵐「何だよ、これ」
萩風「私の心の中、と言えば良いでしょうか。表層に彼女の意識を出すことは難しいので」
朝雲「私達はここで待ってる。あっち、微妙に花畑が途切れてるところに彼女が居るわ」
嵐「分かった…!」
朝雲「…萩風はこれで良かったの?」
萩風「ええ。一番大事な人を失くしてしまう痛みは知っていますから」
朝雲「そうね… 瑞鳳さんが死んで、神通先輩は行方不明になって…」
萩風「何も告げずに居なくなられるのは辛いから、本当に… だからこれが私に出来る精一杯、してあげられる最善です」
朝雲「そっか… でもこれが本人にとっては吉なのか、凶なのか…」
萩風「最後に言葉を交わせる、と言う点では吉です。凶の中の吉、でしかありませんが…
だけど、この時代の『本来の私』にとっては最後の救いになると思います」
嵐「萩!」
萩風(オリジン)『え…? あら、し…?』
嵐「ああ…!やっと、やっと会えたな…!」
萩風(オリジン)『嵐っ…!』
朝雲「ここから先は、私達が立ち入るべきじゃないわ。あの二人きりにしましょ」
萩風「…そうですね。私の共有してる記憶も、封印しておくことにします」
朝雲「でもお別れ、か… 人はいつか遅かれ早かれ終わりが来る。大事な人との別れは、相当辛いわよね…」
萩風「…朝雲さんは、耐えられますか?」
朝雲「無理。私これでも寂しがり屋だから」
萩風「そうですか」
朝雲「でも私もアンタといつか別れる日が来る、のよね… 未来を変えたら、どうなるか分かったもんじゃないし」
萩風「その時は… 私の事は忘れてください」
朝雲「嫌よ。忘れる訳ないじゃない。 例え記憶を失くしても絶対に憶えててやる」
萩風「朝雲さん…」
朝雲「言葉に出来なくなっても、記憶が消えていても、多分この手がアンタを憶えてるから。
だから私は絶対にアンタを忘れない。忘れてなんかやるもんか」
406 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/20(火) 03:34:24.84 ID:VrQ7eNdx0
《現実世界》
朝雲「…リンク、切れたみたいね」
萩風「はい… 私も、もう何も感じません」
嵐「…」
朝雲「その… 大丈夫?」
嵐「んな訳、あるかよ…!」
朝雲「そう、よね…」
嵐「だけど… ありがとう、な。アイツと最後に話す機会をくれて」
萩風「いえ… 私は、彼女への『最善』をやったまでです」
嵐「いや、アイツは最後笑ってくれた。 それだけで充分だよ」
朝雲「だってさ」
嵐「それと、アイツから話は聞いた。お前、未来の自分の母親を助けに来たんだろ?」
萩風「はい。その為に、私はこの時代に来ました」
嵐「アイツからの伝言だ。 『絶対に願いを叶えて』って」
萩風「無論、そのつもりです。未来を変える、そしてお母様が死ぬ原因を覆してみせます」
嵐「あとお前、朝雲って言ったな」
朝雲「何よ」
嵐「萩の事、頼んだぞ」
朝雲「分かってるわよ。私の大事なパートナーなんだから」
瑞鳳「で、何か言い訳は?」
朝雲・萩風「ございません…」※正座
瑞鳳「全く、何やってるのよ…!」
神通「散々意識共有の危険性は説明したのに、あまつさえ他の人を巻き込むなんて…!」
瑞鳳「確かにそうしたくなる気持ちは分かる。でも無謀過ぎるのよ。自我が崩壊したらどうする気だったの…!」
天津風「…どうする?助け舟出す?」
海風「いつもの事なので放置しましょう」
霞「ええ。行動事態は理解できなく無いけども、流石に危険に巻き込んだのは擁護できないし」
海風「それに他の人には秘密のことをポロポロ喋っちゃってますからね」
神通(その後、二人はお母様にこってり絞られました。 まあ、萩風が『彼女』の願いを叶えたい気持ちは理解できなくはありませんが…)
第15話『言葉よりも記憶よりも』 終
407 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/20(火) 04:11:08.46 ID:VrQ7eNdx0
次話選択、といきたいところですが…
ここで『ルート分岐』が発生します。16話以降の選択により未来が変動、大筋に変化はありませんが終盤の状況と結末が変化(結構大きい)いたします。
そして第16話において選択した話が、その基点となっており誰の話を選んだかによってルートが変わります。また『あるキャラクターの話』にのみ『2つの分岐』が存在しており、その分岐によって『最高の未来』か『最悪の未来』かに変わってしまうのでご注意を(他のキャラは一本道のみ)
また『最高の未来』へと行く道は…
・『そのキャラクターが主役の話』を選択する
・海風・霞・神通の3人が阿武隈・陽炎・長波と『決勝戦』で戦う
・海風が『ある出来事を乗り越え』、自らの能力の本質に気付く
・霞が覚醒を果たし『ある人物』と感応を行う
・神通が『母親を越える』こと
・全日本選手権が終わるまでに海風が3度目の『浜風との共闘』を行う
・9月1日を迎えるまでに『EXAMに関する全ての出来事』を終わらせる
となります。また『三番目』と『六番目』の出来事は『16話』でしか発生しません。予めご注意を。
では次話選択 ↓多数決で4先取
1.海風編(ルート『Azurite Creator』)『Belive Myself』…海風の前に再度現れるスドウ・シュンスケ。嫌々ながら浜風と再度の共闘をするがその中で自ら
の能力が暴走してしまう…
2.霞編(ルート『Across Fate』)『因縁の終わり』…選手権大会準決勝、戦う相手は一度ずつの敵対・共闘をした『ホワイトクリーン』だった。互いに以前より成長し、その全力を以って6人が激突する…
3.神通編(ルート『Another Heaven』)『変わる未来と』…選手権大会準決勝、その戦いの直前ニムバス率いる一味が襲撃をかけてくる。本来起きなかった出来事、徐々に変動していく未来が神通を蝕む…
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/20(火) 06:43:11.51 ID:aEUmcNyL0
2は罠
という訳で1
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/20(火) 08:11:38.92 ID:XneIVznn0
あえて3
410 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/20(火) 10:00:58.26 ID:PPvz1yCT0
3
411 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/20(火) 11:38:43.80 ID:2Krv5yNnO
1
412 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/20(火) 12:08:44.07 ID:Smt2z2cg0
1
413 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/20(火) 18:41:01.19 ID:kM1fCDcXO
1で
414 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/21(水) 02:27:09.37 ID:WU2VAqgA0
海風ルート『Azurite Creator』
第16話『Belive Myself』
《世界選手権用選手宿舎・トレーニングルーム》
海風(射線予測開始、接近に最適な軌道を算出… 見えた!)
ドラグーンの射線を予測し最小限の動作でビームを掻い潜りながらウイングはプロヴィデンスとの距離を詰める。
そしてプロヴィデンスに迫り、翼から『ウイングアズライトブレイド』を抜き放ちプロヴィデンスへと迫っていく。
海風「貰っ… いや、誘い込まれた!」
浜風「見抜かれた…!だけど!」
海風「一々嫌な手を使う…!」
浜風「それは海風もです!」
背後から、デブリの陰に隠れていたドラグーンのビーム砲が放たれたのを察知して回避機動を行い射線から逃がれた。
浜風を相手に、3年の経験差を海風が覆すのは容易ではない。だが彼女は芽生えた『未来予測演算』の力を以って必死に喰らいついている。
浜風「…ふぅ。夕雲、バトルシステムを終了してください。テストはこれで終了です」
夕雲「分かりました。バトルシステム、終了します」
BATTLE ENDED
浜風「海風、ありがとう。これで有意義なデータを取れました」
海風「何で海風が…」
浜風「ニクスの代わりの機体を製作するためのデータ取り、そして同時に『ウイングガンダム・アズライト』のデータ取りも兼ねています」
海風「今更取りますか、普通」
夕雲「どうにも瑞鳳さん曰く『アズライトのデータも欲しい』、とのことで」
海風「ハァ… 瑞鳳さんに整備して貰ってるので仕方ありませんけど… 約束、忘れないでくださいよ」
浜風「分かってます。 昼食に連れて行けばよいのでしょう」
海風(絶対高いの選んでやる…)
415 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/21(水) 03:19:07.71 ID:WU2VAqgA0
浜風(バビロニア学園の戦い以来、ある程度海風とは話すことが出来るようになってきた。
未だに多少棘はあるが態度は柔らかくなってきている。だが懸念事項はそれではない)
浜風「海風、頭の調子に問題は? 頭痛とか、眩暈とか」
海風「貴女に心配される程ヤワではありません。慣らしました」
浜風「そ、そう…? 今の、多分全力行使をしていたと思って…」
海風「先程のは限定予測です。全力なんて10秒も使えませんよ」
夕雲「神通さんに聞いた所、全力時の情報量は読み取った超能力者の脳を一瞬で破壊する情報量だったとか…」
浜風「ELS並…」
海風「人を変異性金属体扱いしないでください」
浜風(未来予測演算、それが海風の能力。 脳の『その時使用していない部分』を全て使って数多の未来を想像する力…
『ゼロシステム』が頭にあるようなものだと瑞鳳さんは言っていた。そしてその能力を全力で行使する事は海風の脳にも多大な影響を与えて…)
海風(確かに今は能力をセーブして使っているから行使出来ているようなものだ。そもそもこの能力は本来ただの『妄想』でしかない。
妄想を、脳に膨大な負荷を与える形でしているだけなのだから能力と言って良いのかすら危ういが。だけど… 最近は制御が少し追いつけていない。鬼怒さんと戦った時も…)
夕雲「では夕雲は瑞鳳さんの所にデータを持って行きます。後は二人でごゆっくり」パタン
浜風「…」
海風「…」
浜風(い、いきなり気まずい… やっぱり二人きりは…)
海風「…何でそんなに狼狽えてるんですか」
浜風「別に狼狽えてなんか… それより、食事に行きましょう。何でもご馳走…」
海風「うなぎ」
浜風「え」
海風「静岡と言えばうなぎでしょう」
浜風「さ、流石にそれは…」
海風「何でも、と言いましたよね」
浜風「それはそうだけど、流石に子供だけでうなぎは…」
海風「冗談です。確か少し街中に行ったところに噂に聞いた静岡限定の美味しいハンバーグのお店があったかと」
浜風「まあ、それなら…」ホッ
イベント 直下
416 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/21(水) 07:14:17.33 ID:MG68Mvaf0
ガンプラ学園組と鉢合わせ
417 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/23(金) 03:41:13.42 ID:2HIH/udF0
《街中》
浜風「海風、チーム戦はどう?」
海風「どうしてそんな事を」
浜風「私はチーム戦を出来ません。 私や春雨は本来の大会規定では世界選手権に出場出来ない。
だけど第7回までの実績があるから『特例』として認められているだけです」
海風「貴女がベスト4、そして春雨さん達が優勝をした大会ですか」
浜風「そう。あの選手権以降ルールが細分化されて3on3のU-19の国内大会、そしてそれ以外のオープントーナメント式の世界選手権に分かれた。
だけど私達は国内大会で戦うには『強すぎ』ました。世界大会すら上位に登りつめてしまった私達が学生を相手にうるのはフェアじゃない。見た事のある貴女なら分かる筈」
海風「確かに、バビロニア学園の一件の際に春雨さん達の戦いを見ていましたが… 少なくとも私達では張り合うのは難しいかと」
浜風「だから運営は特例を設けるしかなかった。そして参加レギュレーションに『年齢制限を満たしておらずとも過去の選手権で上位の成績を残したファイターは世界選手権への参加を認める』と言う1文が追加されました。
だけどそれは逆に『私達はU-19の試合に出場出来ない』と言うのと同義語、つまり私達は世界大会の場でしか戦う事が許されません。だからコンビ戦はあってもチーム戦、チームメイトとの3on3は未経験なんです」
海風「…連携で動けるようになるまでは苦労しましたが、慣れてみればとても楽しいです。
多分一人ではガンプラバトルを続けてはいなかったでしょう。 未だに苦労することはありますが、とても楽しいと思います」
浜風「そう… なら良かったです。春雨と一緒に『フレスヴェルグ』を作った甲斐がありました」
海風「装甲の半分くらいしか作って無いと聞きましたが? フレームとクリアパーツの外装、武器は全部春雨さんが製作したとか」
浜風「作業スピードの差があるんですよ… 私がガンプラの素組にHGで2時間なのに春雨はMGで1時間に満たない時間で私より上手くできるし…」
海風「まぁその師匠がPGを1時間で組み上げる猛者ですからね…」
浜風「人外は伝染するって初めて思い知らされました…」
「おいおい… マジかよ。不仲って聞いてたんだがな…」
「アドウさん、女心は複雑なのよ」
「こんな所で巡り合うとは…」
海風「シア、それにキジマさん。あと…」
アドウ「アドウ・サガだ。アイツから聞いてないのか?」
海風「聞いてますよ」
浜風「この三人、確かガンプラ学園の…」
ウィルフリッド「初めまして。キジマ・ウィルフリッドと言います」
シア「同じく、妹のシアです」
浜風「私の方は… まぁ言わなくても分かるでしょう」
ウィルフリッド「ええ。前年度世界チャンプの一角、『最強の戦術家』の名前を持つ日本代表ファイター・浜風。
ガンプラを学ぶ者に貴女を知らない者は居ないでしょう。いずれ貴女とも対戦したいものです」
海風「確かガンプラ学園は午後からの試合の筈ですが…」
シア「そうよ。だから学園で練習してたのよ」
浜風「確かガンプラ学園は静岡市内にありますから練習にはうってつけですね。宿舎のバトルルームは誰に見られるかわかりませんし」
ウィルフリッド「『フリューゲル・ヴェント』が既にベスト4入りを決めている今、我々も負けていられないからな」
アドウ「あの女… 確か神通つったな。伝えておけ、お前は俺が倒してやる、ってな」
海風「あ、はい」
シア「じゃあね、海風。霞によろしく伝えておいて」
418 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/23(金) 04:10:09.83 ID:2HIH/udF0
海風「…まさかガンプラ学園と鉢合わせとは」
浜風「偶然もあるものですね。えと、確かこっちにお店… …海風、そこの建物の陰に」
海風「え…?」
浜風「早く…!気付かれる前に…!」
海風「一体なんですか…!」
浜風「アレを見てください」
海風「ッ…!?」
スドウ「クククッ… やってやるよ…!」
海風「スドウ・シュンスケ…!どうして静岡に…!」
浜風「分かりません。ですが彼はEXAMキャリアー、被害が出るかもしれません。
海風、瑞鳳さんに連絡を。大きな被害が出る前に彼を止めないと。私は彼を追います」
海風「いえ、海風も追います」
浜風「何を… 貴女をこれ以上危険に巻き込む訳には…!」
海風「もうとっくに危険に巻き込まれています。それに『死の因果』の可能性が残ってる人間を一人で行かせられるとでも?」
浜風「それは…」
海風「それに被害を出したく無いのは海風も同じです。しかも海風が彼を追い込んでしまった責任の一端があります。
自分のケリは自分で着けます。もうこれ以上、誰も何も傷つけさせたくはありません」
浜風「海風… 分かりました。ですが決して無理はしないでください。 それと瑞鳳さんと榛名さんへの増援要請も行っておいてください」
海風「ここは… バー…?」
浜風「確かここはガンプラファンが多く集うガンプラバーです。私も一度、飛龍さん達に付き合わされてここに来ました。
そして記憶が正しければ… バトルシステムがあったと思います」
海風「と言う事は… バビロニア学園の時と同じことを起こすつもりですか…!」
浜風「…海風、増援を待ってる猶予はありません。彼を止めます」
海風「言われるまでもありません…!」
419 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/24(土) 03:44:31.33 ID:Boo9/uDJ0
《ガンプラバー》
スドウ「クク… これでシステムは…!」
浜風「残念ですがそこまです」
スドウ「何っ!?」
海風「脱獄犯が白昼堂々とお散歩とは暢気なものですね。それともテロでも起こすつもりですか?」
スドウ「お前か…! お前だけは殺してやらないと気が済まないな… 俺をこんな風にした、お前を!」
海風「逆恨みとは甚だしい… 海風が多少なりとも原因を作ったのは認めますが、それ以外は貴方が招いた結末でしょう。
薬など使わなければ良かった、心の弱さを認めていれば良かった、仲間を手にかけなければ多少なりとも今よりはマシになっていた、でもそうしなかったのは全部自分の責任です」
スドウ「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇッ! 俺は、お前のせいでこうなっちまったんだよ!」
浜風「煽らないで、海風。 スドウ・シュンスケ、大人しく降伏しろ。 今ならまだ警察行きで済ませる。
少なくとも流派・東方不敗の拳を浴びずに、痛い目に合わずに済むうちに降伏するのが身の為だ」
スドウ「ふざけるな!俺は化け物共を殺し尽くすまで止まる気はないんだよ!」ダッ
海風「来る…!」
浜風「海風、後ろに! ナノマテリアル、コントロールスタート!」
ブォン ガキィン!
スドウ「ッ…! 何だ、今のは!? 弾かれて…」
浜風「『クラインフィールド』。 小さなポーチ分のナノマテリアルしかありませんが、対人ならばこれで充分です」
海風「ナノマテリアル…?」
浜風「詳しくはまた後で。 私達にはご覧の通り物理攻撃は通用しません。 貴方に打つ手は無い」
スドウ「チィッ…! なら…!」
Beginning plavsky particle dispersal
パァァァァァァ
浜風「バトルシステムが!?」
海風「ここは市街地の中心部、このまま暴走すれば大きな被害が…!」
スドウ「死にたくなければ俺を倒すか、それとも結晶を破壊するか… どちらか、だ!
だが生かして返すと思うなよ!このバケモノが!」
海風「どちらにしろ戦いは避けられませんね…! 不本意ですが、背中は任せます…!」
浜風「任されました…! 絶対に止めるぞ、海風!」
GUNPLA BATTLE COMBAT MODE EMERGENCY STRAT UP
海風「ウイングガンダム・アズライト、海風!」
浜風「ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ、浜風!」
海風・浜風「行きます!」
420 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/24(土) 04:41:34.74 ID:Boo9/uDJ0
フィールドに降り立つ2機のMS、『ウイングガンダム・アズライト』と『ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ』が結晶体に向けて直進する。
だがその2機を阻むように高出力のビーム攻撃が放たれるが、プロヴィデンスがドラグーンでフィールドを張ることで威力を弱め、その弱体化したビームをウイングのシールドが吸収した。
海風「ターゲット捕捉… あの時と同じ『百万式』…!」
浜風「あれは警察が押収していた筈ですが…」
スドウ「そうだ!だから返して貰ったんだよ! 何人かは潰してやったがな!」
海風「警察官を手に掛けるなんて、本当の犯罪者に成り下がったようですね」
浜風「ここで倒す…!犠牲になった人達の為にも! 海風!」
海風「言われなくとも!」
現出するコピー体をツイン・バスター・ライフルと6基の『メッサーツバーグラズールスタイン』を連結した一射で薙ぎ払う海風。
そして浜風のドラグーンが百万式の本体へと大量のビームを放ち砲撃形態になっていたメガライドランチャーを粉砕する。
スドウ「何っ!?」
海風「機体性能があの時のままだと思うな!」
浜風「地力はこちらが上、このまま押し通すぞ海風!」
海風「了解!」
スドウ「糞ッ…!」
海風はライフルを投棄し『アズライトウイングブレイド』を両腕で抜き放ち百万式へと右腕のブレイドで斬撃を放つ。
百万式もサーベルを抜いて斬撃を防ぐがパワーで劣る百万式は押されて吹き飛び、そのまま壁に叩きつけられた。そしてその機を逃さず浜風はドラグーンによるビーム砲撃を叩き込む。
浜風「これで… いや、まだか…!」
海風「あれなら全部直撃していた…! やっぱり、再生能力も…!」
スドウ「やったな…! この借りは、今すぐ返してやる! 『EXAM』!」
壁から這い出てきた百万式のカメラが赤く光り、全身から放熱が行われる。二人は瞬時に何が起きたかを理解して身構えた。
本来は使えない筈の『EXAMシステム』、だが彼はナノマシンキャリアーであり『オリジナル』と接続して使用できるのは当然の事だ。
浜風「やはり使ってきますか…!」
海風「EXAMシステム…!」
スドウ「お前達も、これで終わらせてやるよ!」
海風(未来予測演算開始…! 敵行動・動作予測、パターンを可能な限り推測開始!)
浜風「海風!」
海風「分かっています!フォロー頼みます!」
行動安価 直下
421 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 12:08:02.30 ID:C9j3EW6x0
ドラグーンで逃げ場を無くしつつバスターライフルで消し飛ばす
422 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/25(日) 05:34:15.55 ID:XD4eYRNf0
海風「速い、だけど!」
スドウ「避けた!?」
高速で背後から襲い掛かる百万式の斬撃を左腕のブレイドで防ぐ。並みの人間なら対応出来ない攻撃も海風は余裕で対処出来る。
例えEXAMシステムによる補助があろうとも海風の脳の思考速度を上回らない限り、脳が限界を迎えない限りは彼女を倒すことは難しいだろう。
スドウ「何故だ…!EXAMを使ってるんだぞ!」
海風「確かにシステムは強力で厄介、だけど! 動きのパターンは読めます!」
浜風「それに、複数の敵意には対処出来ない!」
浜風がすかさずドラグーンによる砲撃を行いサーベルを持っていた右腕を吹き飛ばす。
後退を図るスドウの百万式、だが浜風のドラグーンのビームが道を遮り逃げ道を断つ。
スドウ「チイッ…!だが、お前達は再生出来ない!」
ライフルと右腕を再生させてドラグーンをライフルで狙撃しようとする。だが浜風も負けじとドラグーンを巧みに操作して射撃をかわす。
そして浜風が拾っていた『ある武器』をウイングに向け投擲し、それを海風のウイングは掴んで照準を合わせる。
浜風「チャンスは一度、決めてください!」
海風「分かっています!出力最大、メッサーツバーグ全エネルギー解放!」
海風(続いて機動予測開始、敵回避パターンから『必殺』の位置を推定!照準マニュアル設定、プロヴィデンスに緒元データを転送!)
浜風(緒元データ? ここに誘導しろ、と言う事ですか!)
浜風が海風の意図を汲み、ドラグーンを使い百万式を壁際の逃げ難い位置まで追い込んでいく。
その位置に百万式が付いた瞬間、集束していたエネルギーを海風は解放し一撃を放つ!
海風「これで、終われぇぇぇぇぇぇっ!」
スドウ「な、なんだと…!」
一直線に進む極大のビーム砲撃、だが百万式は既に回避は間に合わない。
そして海風の一撃は容易く百万式を呑み込み、周囲一体をも吹き飛ばした。
浜風「今度こそ、塵に返してあげましたよ」
海風「ビルダーの方には申し訳ありませんが… だけど犯罪に利用されるよりは良い結末でしょう」
423 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/25(日) 06:17:07.16 ID:XD4eYRNf0
「ククッ… 誰が終わりだと言った…!」
浜風「直撃したのに…!あれで消し飛ばないなんて、どんなビームコーティングを…!」
視線の先にはボロボロになっていた百万式の姿があった。既に各部に亀裂が入り右脚と左腕は吹き飛んでいる。
海風は機体の損傷状況、そして周囲に飛散している『モノ』でどうやって彼が攻撃を防いだかを見極めた。
海風「粒子結晶により防御、そして粒子結晶でも防げなかったからメガライドランチャーによって威力を無理矢理弱めた…」
スドウ「そうだ…! だがこっちは、再生できんだよ!」
浜風「くっ…!こちらもドラグーンのエネルギーが…!」
海風「なら一人で下がってください!あとはこっちでやります!」
浜風「海風!?」
再生する百万式に向けて連結した『アズライトウイングブレイド』を構えてスドウへと肉薄する。
だがその道を阻むように無数のコピー体が現れるが海風は容易くそれらを切り裂き消していく。
海風(思考速度をもっと上げないと…!)
『ウイングガンダム・アズライト』の直進は止まらない。目の前の全てを薙ぎ払いながら百万式の本体へと迫る。
そして彼女に目がけて百万式の本体がサーベルを構えて突っ込んできた。
海風(来い…! 今なら、コイツと『相討ち』になれる!)
確実にスドウ・シュンスケと百万式を倒す最良の手段、突撃してくる本体と刺し違えてでも彼を倒そうとする海風。
そして互いの機体の距離が近付き、互いに剣を突き立てようとした瞬間、割ってはいる機体があった。
海風「なっ…!?」
浜風「やらせる、かぁぁぁぁぁぁぁっ!」
百万式のサーベルが割って入ったプロヴィデンスの脇腹を貫く。その光景に海風は唖然となった。
何故浜風が割って入ったのか理解出来ない。このままなら自分一人の犠牲で彼を確実に倒せた筈なのに、と。
スドウ「コイツ…!」
浜風「大事な妹を、やらせるか…!」
海風「い、一体何を…!」
浜風(マズイ、致命傷かも… でも海風を守れたなら、それで…)
「良い訳、無いでしょう!」
高速の機体が百万式へと迫り、背後からクローシールドでサーベルを持っていた右腕を引きちぎりプロヴィデンスから剣を抜かせる。
そして百万式を蹴り飛ばして地面へと叩きつけた。 海風の前に立つのは深緑のMS、『改RX-0』の1機。
海風「スレイプニル…!?」
天城「姉さん、二人を連れて後退を!ここは引き受けます! あとニクスの応急処置も!」
榛名「了解!二人共、下がりますよ!」
増援到着
・RX-0[S]スレイプニル
・RX-0[FR]フェンリルtype-R
424 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/25(日) 07:00:28.00 ID:XD4eYRNf0
海風「榛名さん、あの…」
榛名「…何があったかは後で聞かせてもらいます。今はこちらの応急処置が先です」
浜風「しかし今は…」
榛名「動かさないで。致命傷一歩手前ですが、まだギリギリ直せる範囲です。リペアシステム起動、マテリアライズ」
RX-0[FR]フェンリルtype-R
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・タクティカルアームズUL改『イチイバル』
・カレトヴルッフ改『グロッティ』
概要
フェンリルのもう一つの姿で味方の補助、修理に特化した仕様。
スライサービットは取り外されており、大幅に戦闘力がダウンしているがあくまでも前衛で戦うためでは無いので問題はないとのこと。
専用装備はカレトヴルッフを改造した『グロッティ』。カレトヴルッフの戦闘機能の大半を削り、修理に特化させたもの。
通常の修理機能としてパテ等を内臓してはいるが、特殊な能力としては損傷箇所に粒子結晶を損傷箇所に形成することで『補填』することも出来る。
ただしあくまでも一時的な『補填』であり、戦闘で激しい動きをすれば壊れてしまうほど脆弱な結晶しか形成できないというネックも。
『イチイバル』はフェンリル用に新造された装備であり、全仕様共通の装備。応戦する際はもっぱらこちらを使う。
浜風「損傷が、直って…!」
榛名「一時的に損傷箇所を粒子結晶で補填しただけです。本格的な修理は今から…」
海風「あの…」
浜風「大丈夫、多分一時的に頭が熱くなっただけです」
海風「どうして、あの時海風を庇って…」
浜風「当然でしょう。海風は私の妹、私が守らなくてはならない存在ですから」
榛名「だからと言って、身体と機体は大事に扱ってください」
浜風「はい…」
榛名(海風さんの状態、間違いなくあれは『理性の暴走』、海風さんの能力の本質である『脳のリミッター解除』したことがトリガーとなって起きたこと…
なら必要なのは『使いこなすだけの強い心』だけど… 何か本質が違うような気が…)
スドウ「何なんだよ、お前は!」
天城「コード・ブレイヴ! 終わらせます!」
スレイプニルが百万式の四肢を切り落とし、再生を許さぬように破損箇所をズタズタに破壊し歪めていく。
そしてリミッターを解除したスレイプニルは『レーヴァテイン』から巨大な粒子刃形成して、百万式へと振り下ろす。
スドウ「こ、この俺が…!」
天城「簡単に誰かを傷付ける貴方にバトルをする資格はない!天城達の前から、失せろ!」
スドウ「これで勝ったと思うなよ…!」
そして百万式の機体は真っ二つに叩き割られ、大爆発を引き起こす。
しかしそれと同時に粒子結晶が暴走して建物の天井を貫いていく。
天城「不味いですね… 姉さん、バトルシステム強制終了コード入力、脱出します!」
榛名「分かりました!システム強制終了、逃げますよ二人共!」
425 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/25(日) 23:54:18.59 ID:XD4eYRNf0
《屋外》
天城「ケホッ… 姉さん!」
榛名「流石にこれは誤魔化せませんね…」
浜風「ビルが崩落して…」
海風「そうだ… 彼は!?」
天城「逃げられましたね… 知覚出来ません」
榛名「ええ。気配はもうありません」
海風「くっ…!」
浜風「…だけど今回はテロを阻止して誰も犠牲を出さなかった。それだけで充分です」
榛名「今回は榛名と天城が街中に偶然居たから何も起きなかっただけです。さらに偶然『フェンリル』のtype-R用装備を所持していたことで誰も犠牲者が出なかった…
だけどもし持っていなかったとすれば浜風さん、貴女は死んでいました」
浜風「はい…」
海風「それは海風が…!」
榛名「海風さんも、です。 おおよそ『自身と引き換えにでも彼を倒す』と言う予測が『最良の結末』として出てしまったのでしょう。
それは恐らく能力の過剰使用による『理性の暴走』です」
海風「『理性の暴走』…」
天城「能力は通常以上に行使出来るようになりますが命の危険性や肉体への負荷を完全に無視し『効率』だけを重視するようになる状態です。
だから現状で『最適』だと思った行動しか出来なくなってしまう、非常に危険な状態… 本来の自分を見失っている状態とも言えますね」
榛名「暫く未来予測演算は封じた方が良いかと。それと暴走が収まるまでは指揮を執らないように」
海風「しかしそれでは…!」
天城「一番それが危険なんです。理性が暴走している人間が指揮を執ったらどうなると思いますか?
当人には最良の結果になろうとも、周囲にとっては最悪の結末になるかもしれないんですよ? 誰かを犠牲にする重みを背負えますか?」
海風「あ…」
瑞鳳「二人共!…ってあれ、どうしたの?」
榛名「ここではマズイでしょう。人が集まってきました」
瑞鳳「…分かりました。では移動しましょう」
426 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/26(月) 01:05:21.16 ID:JRDi0bHQ0
《旅館 瑞鳳の部屋》
瑞鳳「理性の暴走、ね。それでプロヴィデンスが破損しちゃった、って訳か」
浜風「機体はどうですか…?」
瑞鳳「あと2mmずれてたらアウト。しかもフレームやっちゃってるから全とっかえしないと修復不可能」
浜風「そんな…」
瑞鳳「寧ろどうしたらこんな奇跡が起きるのかが不思議なくらいだよ… 天城さんが間に合って無ければ確実にやられてた」
海風「…」
瑞鳳「…多分、頭がそう判断しちゃったから暴走が起きちゃったんだよね。これで責めるのは少し酷かな…」
榛名「ええ。ですが暴走が起きた原因の中には確実に焦りがあったと思います」
天城「人間、焦ると頭がこんがらがりますから。だけどこの事態は軽くは済ませられないでしょう」
榛名「どうにかして対処しない限り… また暴走が起きれば、次は誰かが犠牲になります」
海風「っ…!」
榛名「『理性の暴走』は榛名に経験はありませんが、『突然変異者』としてなら能力の暴走を引き起こした時があります。
人の心を無差別に読んで、頭をパンクさせて… 精神壊しかけました」
天城(天城は特にありませんが… まあ、基本姉さんとしか感応できないから意味ないですけど)
榛名「『暴走』は時に誰かを巻き込むことがある。それを理解してください。
そして己の力をどうにか出来ない限り能力行使は愚か、バトルも止めざるを得なくなります」
「ここで私の出番ね!」ガラッ
瑞鳳「出てくんな!」バキィッ
大鯨「きゃ〜っ」ドゴォォォォ
浜風「た、大鯨さん!?」
天城「庭の壁越えて雑木林転がり落ちていきましたよ…?」
榛名「あれでも多分死なないのが恐ろしいところですね」
瑞鳳「ハァ… 確かにお母さんは精神制御のプロだけどさ!? シリアス空気壊さないでよ!?ともかく、どうにかしないとね…」
海風(海風が、暴走… ちゃんと、制御できてなかったの…?)
行動選択 3票先取まで↓
・天城&萩風『シスターズ・カウンセリング』
・神通&朝雲『シスターズ・リーズン』
・大鯨&霞『滝・トレーニング』
427 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 02:01:37.26 ID:+K+MImTrO
陣痛朝雲
428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 09:37:57.50 ID:Q5OZ2e5u0
大鯨&霞
429 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 13:47:17.37 ID:7ZWAAQd9O
1
430 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 17:41:43.19 ID:fu9jepG8O
>>427
まるで陣痛起こしてる朝雲みたいでワロタ
安価は神通&朝雲で
431 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 18:18:22.67 ID:MO/DGH5gO
3
432 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 18:36:18.36 ID:ZOOfrwkO0
大鯨&霞
433 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/27(火) 00:28:49.68 ID:sVuTvGbR0
大鯨「だからこそ私の出番じゃない♪」ガラッ
天城「て、天井!?」
榛名「気が薄いと思ったら… 今のは分身でしたか」
大鯨「YES♪」
海風「分身って…」
大鯨「よっと」シュタッ
瑞鳳「今度は宮城までぶっ飛ばしてあげようか…」パキポキ
浜風「本当に飛ばせそうなのが瑞鳳さんなんですよね…」
瑞鳳「と言うか脇に抱えてる霞ちゃんは何?」
霞「いや、なんか気が付いたら抱えられてて…」
大鯨「ちょっと精神修業に滝行でも、と。準決勝までには帰ってくるけど」
瑞鳳「確かにウチにはお隣の富士山の近くに修業用の別荘と滝もあるけどさ… それはお母さんが決めることじゃないでしょ」
大鯨「だから海風ちゃんの意思も聞いてみないとね」
瑞鳳「じゃあ訳に抱えてる霞ちゃんは何?」
霞「滝行ってどんなのかな、って言ったら気が付いたら抱えられて…」
榛名「本物の拉致じゃないですか」
天城「興味あるって言っただけでこの始末ですよ」
浜風「海風、嫌なら嫌って…」
海風「…いえ、行きます」
瑞鳳「良いの?」
海風「はい。 心が弱いと言うのなら、その心を鍛えなおすしかありません」
大鯨「まぁ今回は瑞鳳がやったようなベリーハードなことはしないから平気平気」
瑞鳳「怪しい… でも海風ちゃんが決めたことなら、そうすべきだと思う」
大鯨「じゃあしゅっぱーつ♪」
434 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/27(火) 03:09:29.68 ID:sVuTvGbR0
《滝》
大鯨「じゃあまず15分の精神統一から」
霞(白装束)「え、そんな短くて良いんですか?」
大鯨「うん。滝行って言うのは長い時間居れば良い、ってものじゃないのよ。別に効果さえ出れば5分でも構わないし」
海風(白装束)「じゃあよくフィクション作品にありがちなのは?」
大鯨「実際の滝行を知らないから適当な感じになっちゃってるのよね。私達から見れば普通は1時間が精々、それ以上はバカよ。
冷たい滝に打たれて体の感覚がなくなっちゃって体冷やしたら元の子も無いじゃない」
霞「じゃあ瑞鳳さんのベリーハードって言うのは?」
大鯨「滝に打たれながら精神統一、そして水の一滴を見極めてその滝を手刀で斬るのよ。ここまで行くと『明鏡止水』の域だから普通の人はやらないけど」
海風「そ、そうですか…」
大鯨「じゃあ時間計っておくからね。よーい、スタート!」
ザァァァァァァァァ
霞「っ…!」
霞(痛いじゃない、これ…!)
海風「…!」
海風(余計な事を考える余裕が…)
大鯨「痛くても我慢、何も考えれなくなった時が貴女達の到るべき場所よ」
霞「…」
海風「…」
大鯨「15分、終わって良いよ〜」
霞「っ、はぁ… 痛い…」
海風「流石に水圧が強いような…」
大鯨「まだ弱いほうの滝よ、これ。流れを少しだけせき止めておいたもの。
はい、二人共体を温めるストレッチして。 あと体を温め易いように生姜湯も用意しておいたわ」
霞「ありがとうございます…」
海風「あの… これで終わりですか?」
大鯨「そうよ? この後はそうね… 座禅とかもやるけど」
イベント選択 直下
1.大鯨『えがお』
2.霞『こころ』
435 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/27(火) 09:45:03.59 ID:F9fw6/sf0
1
436 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/28(水) 01:03:49.13 ID:y8fphHwC0
《別荘 大鯨の部屋》
大鯨「ねぇ、どうして『相討ち』と言う手段を選んだの?」
海風「え…?」
大鯨「理性の暴走があったとは言え貴女の『真価』ならそうじゃない方法も見出せた筈よ。
その時貴女が『相討ち』って手段を選んだのは何かあったんじゃないかしら?」
海風「それ、は…」
大鯨「戦いを終わらせなきゃいけないって使命感か、それとも早く終わらせなきゃいけないって焦燥感か…
あるいはそのどっちも、か。 当たってる?」
海風「…」
大鯨「だんまり、ね… じゃあ別の質問。貴女はどうして昏睡病キャリアー、EXAMと戦う道を選んだの?」
海風「…誰も笑えて無いから…」
大鯨「笑えて無い?」
海風「だっておかしいじゃないですか… 身勝手な、頭の狂った誰かの為にチームのみんなが笑えなくなったんですよ…!
誰も彼もが取り繕った笑顔ばかりで誰もかも心から笑えなくなった! 地区決勝の時はまだマシでした… 合宿を終えたあたりから皆おかしくなっていって、バビロニア学園の虐殺で完全に狂った!」
大鯨「…」
海風「天津風さんも朝雲さんも、地区予選の頃はまだ笑ってた… 霞や先輩も、少し翳りはあっても笑えてた…
なのに今じゃ誰も笑えない! 瑞鳳さんや愛宕先生からも本当の意味での笑顔がなくなった!そんなの理不尽で、絶対おかしいじゃないですか!」
大鯨「だから笑顔を取り戻すために戦う、それが貴女の戦う理由?」
海風「海風、間違ってますか? 皆楽しむためにガンプラバトルをやってた筈なのに、ガンプラバトルを殺人の道具にされて…!
人類の進化だとかふざけた事をほざいた連中に何度も襲われて、戦って! アイツ等さえ居なければ皆平和だったのに!」
大鯨「そうね… 彼等は絶対に間違えてる。だからこそ、奪われた皆の笑顔を取り戻したい気持ちも痛いくらいにわかる…
でもね、海風ちゃんは少しだけ… ううん、一つだけ間違えてる事があるの」
海風「どこが間違えてるんですか…!」
大鯨「貴女が選んだ『選択』よ。 海風ちゃんが犠牲になって、誰が笑えるの?
自分の近しい人が居なくなって、それで平和が齎されたところで誰が心から笑うことが出来ると思う?」
海風「…あ…」
大鯨「少なくとも霞ちゃんや神通ちゃん達は笑わない。瑞鳳も愛宕ちゃんも笑わない。
貴女はそれが見えてなかったの。 違う、そもそも自分を勘定に入れてなったのが間違いって言えば良いのかしら」
海風「でも海風は…」
大鯨「自分より他人の笑顔が良いって言うのはわかる。だけど本当に皆の本当の笑顔を取り戻したいのなら、貴女自身も笑えるようにならなきゃいけない。
本当に誰かを笑顔にしたいのなら自己犠牲の特攻や相討ちなんて考えは持っちゃいけないのよ」
海風「…」
大鯨「そして何より… 理性の暴走を起こしたのはその自己犠牲が原因ね。 戦わなきゃいけない使命と早く皆の笑顔を取り戻したい焦燥が生んだ、ちょっとしたミスよ。
理性の暴走は、自分を強く保ってる限りは起こらない。 自分を含めて皆が心から笑える未来を『創る』、その願いを胸に秘めていれば絶対に暴走はしないわ」
海風「大鯨さん…」
大鯨「ただ思い描くだけじゃない。貴女が持つ『ソウゾウ』の力は無限大なんだから。
いつか望んだ未来を、貴女の信じる明日を、その胸の鼓動が止まらない限りは『ソウゾウ』しなさい。それが貴女の、本当の力になるから」
437 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/28(水) 03:59:48.80 ID:y8fphHwC0
《その頃・某所》
「ほう、作戦は失敗したか…」
スドウ「申し訳御座いません。あの化け物共が邪魔さえしなければ…!」
「女子供に負けるとは不甲斐ないな。せっかく見出されたと言うのに、稀少なナノマシンが…」
「言うなトリスタン。貴様も一度は子供相手に手玉に取られただろう」
トリスタン「クッ…!」
「まぁ良い。セルジュ、同士からの連絡は?」
セルジュ「ハッ。真紅の戦乙女に動向は無し、大会にかかりきりのようです。またホエールグループの手の内の者は動向不明、しかし会長が富士山の麓にある別荘に滞在中とのこと。
そしてそこには例の二人、『進化に辿り着いた少女達』が同行しているとの情報が」
「ほう… 残る粒子結晶の数は?」
トリスタン「10個です。いかがいたしますか?」
「では仕掛けるとしよう。しかしたかが二人と言えど『進化に到りし者』だ。全員でかかるぞ」
トリスタン・セルジュ「ハッ!」
スドウ「今度こそ、奴等を葬ってやる…!」
霞「ッ…!」ピキィン
海風「霞?」
霞「敵意が、何か…!」
大鯨「警戒態勢に入ったほうが良さそうね… 瑞鳳や榛名ちゃんたちにもいざと言う時の救援要請も行っておきましょう。
二人共、機体を。私が整備しておくわ」
霞「え、でもこの機体は…」
大鯨「大丈夫よ。私は瑞鳳のガンプラの師匠、見て整備するだけなら出来る。それに瑞鳳謹製のZZ用強化パーツも預かってるもの」
霞「ZZの?」
大鯨「ええ。それに強化改修されて『ブラストアクロスZZ』になった今でも旧ブラスト時のFAパーツは使える。
それに急場凌ぎにしかならないと思うけど、工作室もあるから即応で装備や部品も作れるわよ」
海風「そう言えば瑞鳳さんの家で見たような工作室が…」
大鯨「それに戦力が私含めて3機じゃ心もとないだろうし、予備戦力もね」
如月「今買出しから戻ったけど… あら、確か二人は…」
野分「どうしてここに?我が家の別荘ですけど…」
秋月「どうなんです、お母さん?」
大鯨「ちょっと滝で修業するのにね。皆、機体の用意を。敵襲に備えておいて」
イベント 直下
438 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 23:45:51.64 ID:Rf2xS5XYO
増援(チーム全員と瑞鳳・愛宕・浜風)&新武装到着
439 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/03/30(金) 04:30:28.36 ID:QuYRZEaa0
ガサガサッ
海風「っ…!敵!?」
大鯨「違うわよ。多分この気配は、瑞鳳ね」
瑞鳳「はい正解。まぁお母さんなら気付くよね、普通」
大鯨「あと、瑞鳳以外にも来てるでしょ」
神通「ここ、この時代にもあったんですね…」
萩風「なんだか懐かしい気持ちのような、ちょっと切なくなるような…」
海風「先輩、萩風さん!?」
朝雲「ったく、面白いことするなら私も誘いなさいよ」
天津風「別に精神修業は面白いことじゃないと思うけど」
海風「朝雲さん、天津風さん…」
愛宕「先生も、ちゃんと居るわよ〜」
海風「愛宕先生まで…」
浜風「勿論、私も居ます」
海風「チッ…」
浜風「酷い!?」
霞「いや、暴言吐かないだけまだマシじゃないかしら…」
大鯨「望んだ、のね… 戦うことを」
瑞鳳「うん。 それに私が不在の間にこの子達に何かあったら大変だから、私の側に置いておくって意味合いもある」
如月「あら、一気に増えたわね… でも、お布団足りるかしら…?」
瑞鳳「足りない分は旅館の人に言って借りてきたよ。あと夕飯用の食材と… あと海風ちゃんに、春雨ちゃんからの預かり物」
海風「海風に…?」
瑞鳳「『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』の製作に関わったビルダーとして、だって。
フィッティングは出来る用に貰ったデータで調整しておいたから即実戦でも使えるし」
海風「だからあの時データを…」
瑞鳳「ま、データ取りの理由はそれだけじゃないんだけどね」
イベント選択 直下
1.神通『理由』
2.浜風『姉妹』
440 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 09:56:34.86 ID:SdNfNOMe0
2
441 :
◆6G6UiAPa1Q
[saga]:2018/04/01(日) 05:41:34.65 ID:+kzb1FuD0
浜風編『姉妹』
《夜・別荘の外》
海風「…」
浜風「こんな所に居ましたか。夜は冷えますよ」
海風「別に、貴女に心配される謂れはありません」
浜風「そうですか」
海風「…あの時、どうして海風を助けたんですか」
浜風「え?」
海風「ニクスを大破させ、死の因果に呑まれかけてまで何で助けたんですか。 貴女にも劣り、憎まれ口しか叩かないような、歪な人間を」
浜風「そうですね… あまりよく考えてませんでした。あの時必死になってて、気が付いたら機体が前に出てたもので」
海風「真面目に答えてください…!」
浜風「真面目です。 もしかすれば私も『理性の暴走』が起きていたかもしれません」
海風「え…?」
浜風「あの時、海風なら未来を託して大丈夫だと何処かで考えていたんでしょうね… だからこそ命を賭したのかも」
海風「どうして… また、全部押し付けて逃げる気だったんですか…!」
浜風「そう言うわけではありませんが、そう取られても不思議では無いでしょう… 私は一度、海風から逃げてしまったから」
海風「…」
浜風「海風が『そう』なってしまったのは私の責任です。きっと私がもう少し貴女と向き合っていれば、3年前に貴女を連れ出していれば…
だからその贖いにでもなれば良い、とでも思っていたのでしょうね…」
海風「…もう、その話は済んだ事です。貴女を殴って、もうケリはつけましたから」
浜風「海風、EXAMの事が全部終わったらもう一度ゆっくり話をしましょう。 もう逃げないで、これから私が『姉』として貴女と向き合うために」
海風「構いませんよ。それに『約束』、守ってもらってませんから」
浜風「『約束』…?」
海風「ハンバーグですよ、ハンバーグ。結局食べそびれてます」
浜風「ああ… それくらいなら付き合いますよ」
海風「『妹』との約束、破らないで下さいね」
浜風「変わりましたね、海風… 私が家に居た頃でもそんな事は言わなかったのに」
海風「『今の海風』があるのは全部チームの皆のお陰です。先輩が海風を見つけてくれたから、霞が友達になってくれたから…
天津風さんと朝雲さん、そして萩風さんと出会ってチームを組んで… 居場所が出来て、今の海風を皆が創ってくれたんです」
浜風「良い仲間に恵まれましたね」
海風「だからこそ、海風は何としても守りたいんです。 皆の未来を、明日と言う希望を… その為に、戦うと決めたから。
なんて、言葉では言えますが… 現実では暴走して、死にかけたんですけどね」
浜風「それでも、謳い続けなさい。どれだけ脆くとも、弱くとも… 言葉にする限り、その灯火は絶対に消え無いから。
積み重ねた『これまで』が『これから』に変わるように、謳い続けた願いを力に変えて戦うんです」
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