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エルフ「ダンジョン荒らして金稼ぎ!」戦士「不安しかないが……」
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555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 10:09:10.12 ID:PNZJdIla0
盗賊「……」ピッピッ…
・バウンデッドバトラー
HP:1200
こうげき:430
ぼうぎょ:210
まほう:420
すばやさ:640
エルフ「あ、直った……直った? まあ、いいや」
盗賊「これでボタンロックできそうね。うん、確かにかかってる」カチッ…ポチッポチッ
エルフ「どもども。……しかし、判断に困る。普通に強いから不意打ちされると危険だよねぇ」
バトラー「そう言われるのでしたら、多色の無力化は甘んじて受け入れましょう。私としてもあなた方の他に頼れる方もおりません」
銃士「頼る、ねぇ」
バトラー「みだりに留まっていると流石に旦那様がいらっしゃいます」
<<ズゥゥゥンーーッッ
銃士「あかんな」
戦士「(旦那様というのはあの魔物のことみたいだな)」
赤魔「よしっ、行こう! 早く行こう! はやくぅ……!」
商人「(赤魔さんは正常な判断が出来そうにありませんね)」
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 10:13:46.29 ID:PNZJdIla0
バトラー「こちらです。どうしても信頼できないと言うのならば諦めざるを得ませんが」
盗賊「エルフ、どうする?」
エルフ「えー……うーん……」
商人「あっ、中に『ビスクドール』がありますよ!?」
エルフ「1000Gドール!?」
バトラー「ビスクドールならば屋敷内にも幾つかあります」
エルフ「ついてくついてく! 金は命よりも重い!」
盗賊「清々しいまでの拝金主義ね」
エルフ「当たり前じゃん!? お金で買えないものはあるけど、それ以外のものはお金で買えるんだよ!?」
戦士「生命は金じゃ買えないだろ……」
銃士「売ることはできるんやけどな」
赤魔「はやく入ろぉ……」ぶるぶる…
商人「(産まれたての子鹿みたいです)」
to be continued...
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 10:15:32.67 ID:PNZJdIla0
○戦士メモ
・死霊の街:俺たちが『セフィロトの杖』を引き抜いたことで『幻惑の街』は変貌を遂げた。しかし大賢者が杖を安置したことを考えると死霊の街こそがこのダンジョンの本当の姿だったのかもしれない。
・ドレッドダド:巨大な骨の魔物。街に漂っている死霊を取り込むことで血肉を纏い、恐ろしい見た目となっている。非常に強力な魔物で正攻法では勝てそうにない。
・バウンデッドバトラー:執事のような姿をしたドール。非常に理性的な魔物のようだが……。
○エルフメモ
・お金:10億Gほしい。
○赤魔の似顔絵ノート
エルフ
・ぶき:セフィロトの杖(その前はマジックワンドだった)
・からだ:魔道士のケープ
・アクセサリ:理力のペンダント
・小憎たらしい笑顔のエルフの似顔絵が添えられている…
戦士
・ぶき:ディフェンダー(その前はショートソードだった)
・たて:ウインドシールド
・からだ:鉄の鎧
・アクセサリ:天使のペンダント(その前は堅身のアミュレットだった)
・少し美化された戦士の似顔絵が添えられている…
商人
・ぶき:チキンナイフ
・からだ:魔防の前掛け
・アクセサリ:大容量バックパック
・困り笑顔の商人の似顔絵が添えられている…
銃士
・ぶき:汎用型魔導銃
・からだ:ハンタージャケット
・アクセサリ:鷹目のイヤリング
・軽薄そうな笑顔の銃士の似顔絵が添えられている…
盗賊
・ぶき:バトルブーツ
・からだ:アサシンの服
・アクセサリ:身躱しマント
・優しそうに微笑む盗賊の似顔絵が添えられている…
558 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 10:33:14.01 ID:jr1lzWGcO
乙ー。復帰おめ。
赤魔の萌え度がどんどん上がっていく…
559 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 11:56:50.35 ID:05wpvicDO
投下乙
なんか役割上仕方ないとはいえ戦士が気絶しまくってる気が
560 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 12:18:18.16 ID:khOaokCwo
はー赤魔保護してえ
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/18(月) 07:01:02.34 ID:uFa1ZNfn0
エルフかわいいすこ
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/18(月) 07:13:01.41 ID:B2ZxrFtZ0
死んでも死体を盾にすればいい
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/18(月) 07:21:46.07 ID:NBfwMWcyo
>>552
>エルフ「とにかく戦士さんを蘇生させますね」ぐいっ
ここエルフじゃなくて商人か?
敬語エルフもそれはそれで可愛いけども
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/19(火) 11:39:02.18 ID:FKAQKiVRO
生命もお金で買えてるんだよなぁ本来なら亡くなってるのに気付け薬で命吹き替えしてるんやから
565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/20(水) 18:51:11.05 ID:e94nvo34o
力尽きたからの蘇生だから実はぎりぎり死んでないって可能性もある
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:24:46.56 ID:P8I9KBp3O
【死霊の街・名家地下】
エルフ「はー、地下さむぅ……」
戦士「これを羽織るといい」ひらっ
エルフ「うむうむ、でも私が寒がる前に出さないとダメだよもう」
戦士「へいへい。赤魔も羽織るものいるか?」
赤魔「もう盗賊にもらったぜ! あったかい♪」
盗賊「……」どやっ
戦士「お、おう」
銃士「(ふむふむ、こういうところで差が出るんやな。俺は学習した)」
銃士「商人くん、寒いなら俺の……」
商人「防寒着を用意してるのでお気遣いなく」
銃士「あ、はい」
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:26:52.67 ID:P8I9KBp3O
バトラー「ふむ、身動きが取れませんな」ギチッ
銃士「完全に信用は置けへんから堪忍してや」
戦士「少し我慢してくれ。すまないな」
バトラー「仕方ありません。譲歩いただいて頼みを聞いていただけるならば有り難いですから」
エルフ「うぇいうぇい、まだ聞くとは言ってないよ?」
バトラー「そうでしたか?」
盗賊「魔物のくせに調子に乗るなよ」ごりっ
赤魔「盗賊、そういう言い方はイヤだ」
盗賊「む……」
バトラー「私なりのアイスブレイクですよ」
商人「むしろ場が凝ったのでは……?」
バトラー「それは失敬」
銃士「アイスブレイクでもテクノブレイクでも何でもええねん。まずは色々と説明をして欲しいわ」
エルフ「いちいち下ネタを挟まないでよ。やれやれ、これだから拗らせた童貞は」
銃士「どどどど童貞ちゃうわ!」
商人「(それはやめるんじゃなかったんですか?)」
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:30:41.37 ID:P8I9KBp3O
エルフ「やーい、非モテー」
銃士「くぅぅ、戦士、商人くん、言い返しちゃれ!」
戦士「商人、LEDライトをもう一つ出してくれないか」
商人「はい」
銃士「シカトせんどいてぇな!」
盗賊「エルフも耳年増なだけで初心だろ」
エルフ「想定外の横槍だ!? ……いやいや、むしろ付加価値だしー? プレミアムつくしー? 明らかにキズモノっぽいクールぶったお姉さんとは一緒にしないで欲しいね」
盗賊「……そう」
エルフ「え、なに、えっ?」
商人「(藪蛇ですよエルフさん。盗賊さんは経歴的にそういう点でも不幸な目に遭っててもおかしくないんですから。あまり他人を信頼しない辺りとかからも察しておくべきですよ)」
エルフ「(エルフちゃん重い話は嫌いじゃないけど好きでもないよ)」
赤魔「……」バシッ
エルフ「いだっ! 何すんだ黒チビ!」
赤魔「……お前のそういうところ本当にイヤだ!」ムスッ
エルフ「んぐっ……べ、べつに私わるいことしてないのに……そりゃ、ちょぉっと軽率だったかもしれないけどさぁ……ちぇ……」
盗賊「(……ん、もしかして妙な勘繰りをされている?)」
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/23(土) 00:32:07.44 ID:3etKmvUG0
LEDが作れるほど技術が進んでるのか
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:32:30.51 ID:P8I9KBp3O
銃士「バトラーはん、ダンジョンについて質問タイムね」
戦士「ああ。このダンジョンについて詳しく教えて欲しい」
商人「そ、そうですね。この街の変わりようは一体何なんですか?」
バトラー「時計塔の時計が動き始めて、旦那様がお目覚めになったのです」
銃士「旦那様っちゅうのはあのデカ骨からゴッツい肉塊に変化した魔物やんね?」
バトラー「ええ。元々は魔物ではなかったのですが、20年前に街がダンジョン化すると共に魔物にお変わりになられました」
戦士「もしかして、ここの魔物たちも元は人間だったのか……?」
バトラー「私などはそうですが、多くは新しく湧き出た者たちかと。死霊……浮遊している淡い赤い光などは元は街の住人かと存じます」
商人「ど、どうして街はダンジョン化したんですか!? ご存知!? ご存知ですか!?」
銃士「(商人くんがやけに興奮しとるな。まあ、誰も知らない謎の答えがあるかもしれへん状況やし無理もないか)」
バトラー「それは私が与り知るところではございません」
商人「そ、そうですか……」
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:34:02.32 ID:P8I9KBp3O
盗賊「ダンジョン発生の経緯はおそらく私のほうが詳しい」
エルフ「ほわっつ?」
盗賊「それよりも聞きたいのは『セフィロトの杖』と大賢者だ」
商人「え、ま、待って! 待ってください! ダンジョン誕生について何か知っているんですか!?」
盗賊「それは後で話す。私も全てを知ってるわけではない」
エルフ「えぇ……もっと早く話してよ」
赤魔「ふふん、そんな大切な情報を俺の盗賊がそう簡単に話すわけないだろ」ドヤッ
エルフ「次に盗賊は『なんであなたがイキるのよ。それに私はあなたのものじゃないわ』と言う!」
盗賊「ダンジョン化してから最初のうちは逆に現在の状態だったのよね?」
エルフ「ノリが悪いなぁ」
エルフ「(まだ怒ってるかな……?)」
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:40:04.44 ID:P8I9KBp3O
戦士「エルフ、飴をやるから少し大人しくしてろ」
エルフ「君、ちょっとエルフちゃんを安く見過ぎじゃない?」コロコロ…
銃士「そう言いつつ舐めるんかい」
赤魔「あめ……」クイクイッ
戦士「ああ、ほら」
赤魔「やった♪」
盗賊「(可愛過ぎる。箱にしまいたい。私だけのものにしたい)……こほっ、どうして大賢者はセフィロトの杖をこのダンジョンに安置した? ダンジョンを様変わりさせた目的は?」
バトラー「私には皆目見当がつきません。ただダンジョンの魔物と化して分かりましたが、私たちはあくまでギミックに過ぎないのです」
商人「……どういうことですか?」
バトラー「上手く表現できませんが、ダンジョンはどこかでその存在を壊して欲しがっているような……言うなれば攻略されたがっているように思うのです」
銃士「RPGじゃあるまいしアホか……とは言えんわな。難易度はどうあれトラップには解除する手段が存在しとる」
商人「ダンジョンは攻略されたがっている……うーん……?」
盗賊「解釈を間違えているだけで、別にそれは不自然な話ではないわ」
銃士「解釈違い……ダンジョンはドMっちゅうことかいな……?」
戦士「それはお前だろ」
エルフ「戦士も大概じゃん」コロコロ…
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:43:14.10 ID:P8I9KBp3O
盗賊「大賢者は重要なギミックに歪みを与えることで、この場合はあの少女と時計塔に魔法を用いることでダンジョンを変容させた」
バトラー「そのようですね。もうどれほど前かは私には分かりません」
商人「『憤怒の火山』の封印は18年前ですから、それよりは後ですね」
盗賊「18年前……ドレッドダドが邪魔だった……ダンジョンがこのままだと不都合だった……時を止めたかった……あの少女に力を与えたかった……これだけじゃ絞り切れないな……」ぶつぶつ…
商人「大賢者は何を考えてたんでしょうね」
銃士「『なぜ?』を考えるとダンジョンの出自やら発生原因が謎過ぎて分からへん。盗賊はん、はよ情報をくださいな」
戦士「それもいいが、俺たちの一番の目的は街から出るために即死トラップを解除することだ。そこを誤るなよ」
エルフ「やっぱり青リンゴ味が一番美味しいよ」
赤魔「レモン味の方が美味いだろー」
盗賊「(盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味)」
戦士「(俺の言葉は聞いてくれていただろうか。しかしあの真剣な面持ち……邪魔はしないでおこう)」
商人「(赤魔さんのことしから考えてなさそうですね)」
銃士「(おっぱいや、ああおっぱいや、おっぱいや)」
574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/23(土) 00:45:30.47 ID:P8I9KBp3O
バトラー「個人的な……これはあくまで私個人の当てずっぽうに過ぎないのですが、その方は純粋にお嬢様を救おうと考えたのではないかと存じます」
銃士「お嬢様?」きらんっ
戦士「あの少女だろ」
エルフ「女の子に対してすぐ反応するよねぇ。下半身に脳みそがあるのかな?」
銃士「否定できひんのが男の悲しいところやな」
盗賊「それなら邪な思考をしないように抉ってやろうか?」
銃士「ひぇ……いや、でも盗賊はんほどの女の子に去勢されるなら…………アリかもしれへん!」クワッ
盗賊「こわ……」
赤魔「盗賊を怖がらせた!? 銃士やるな!?」
エルフ「褒めるところじゃない。一切褒めるところじゃないからね」
商人「あはは……」
戦士「うちのが下品ですまん」
バトラー「いえいえ」
to be continued...
575 :
短し
[saga]:2017/09/23(土) 00:51:05.35 ID:P8I9KBp3O
○戦士メモ
・LEDライト:『魔物の洞穴』で手に入るアイテム。商人によると、大量に獲れて従来の照明器具をほとんど駆逐してしまったらしく今では流通に制限がかかっている。異界の技術であり極めて有用であるらしいのだが、原理を深く理解して応用する段階にはまだまだ至っていない。
○エルフメモ
・アイスブレイク:あれだよね。イチゴ味が美味しいよね。あと体力回復するよね。……すぐに横文字を使うのは思考停止なんじゃないの!?
・耳年増:盗賊はただの年増だ! おばさんめ!ばーか! ……メモを見られたら頭を潰されちゃう。
576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 11:07:09.08 ID:y5rn42Sl0
流石に話の脱線が多過ぎてちょっと読みにくいな
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 11:10:58.32 ID:j7AK3C+7o
>赤魔「あめ……」クイクイッ
んんんんんん可愛い
578 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:02:57.52 ID:mpoU9NgkO
盗賊「また随分と話が逸れた。お嬢様……幻惑の少女を救うとはどういうことだ?」
バトラー「その前にかつてのお話を致しましょう」
エルフ「別に興味ないけどね。まあ、続けて」
バトラー「私がお仕えしたマーチャント家は由緒あるものの先代の御当主様よりも以前は細々と続く家系でございました」
銃士「ふうん、親近感わくわ」
戦士「旧家の末っ子だったな」
銃士「お前に言ってたか? よう覚えとるな」
商人「本当なんですか?」
銃士「せやせや、やんごとなきお家の出なんやで」
赤魔「へー! すげー!」
盗賊「こんなのが上流階級か……」
銃士「辛辣や。んまっ、今は完全に名ばかりな上に、末っ子にゃ家に関する権利はほぼほぼ存在しとらん。ご覧の通り俺はやくざな仕事しとるパンピーや」
商人「(発言はアレですけど所作などがどことなく上品な感じなのはそういうことですか)」
バトラー「お話を続けさせていただきます」
戦士「いちいち話の腰を折ってばかりですまないな」
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:06:02.77 ID:mpoU9NgkO
バトラー「先代さまは類稀なる才能と努力の方であり、一代でマーチャント家およびこの街の発展に寄与した偉大な方でした。稀代の大商人と人口に膾炙なされたほどです」
商人「すごい……」
赤魔「商人もそうならないとな!」
商人「あはは……頑張りマス……」
盗賊「その話がなんだと言うんだ?」
エルフ「分かりづらいなぁ。どうダンジョンと結びつくの?」
バトラー「これはその後の背景となる話なのです」
エルフ「なるほど、君は説明をするのがヘタクソなんだね。時系列にそって仔細に話すよりも全体の概要をまず話してくれないかな?」
銃士「せやな。話の鳥瞰図がある方が理解しやすいんや」
バトラー「左様でございますか。結論から言ってしまいますと、御当主さまとお嬢様の間には悲劇がございまして、それが街のダンジョン化の際にギミックとなったようです」
戦士「無知ですまん、ダンジョンのギミックの意味がイマイチ掴めていないんだが」
バトラー「なんといえば良いのでしょうか」
盗賊「ギミックは、ダンジョンを特徴付けるものだ。そのダンジョン固有のトラップや固有の魔物などがあげられる」
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:10:48.75 ID:mpoU9NgkO
戦士「ダンジョンを特徴付けるもの……なぜギミックはダンジョンで異なってどのようにしてそれが決まるんだ」
商人「ダンジョンが何たるかをはっきりさせない以上、今は外生変数とすべきでしょう」
エルフ「分かりづらい」
商人「……今は既にそう決まっていて僕たちには変えられないものとして扱うべきでしょう」
銃士「ホントに噛み砕いて表現するなんて商人くんはぶきっちょ真面目くんやね」
赤魔「難しい言葉は分かんないから最初から易しく言って欲しいな」
商人「すみません……」
銃士「ギミックいう表現がメタな上に、ちゅーしょー的やから俺や戦士みたいなおバカには分かりづらいんや。要はパパと娘の問題を解決して欲しいという話やろ?」
バトラー「乱暴にまとめれば左様でございますね」
戦士「なんだ、そういうことか。ようやく腑に落ちた」
赤魔「解決すればこの怖い……い、いや怖くはない! うん! この怖くないダンジョンから出られるんだな!?」
バトラー「ええ、そうでしょう」
エルフ「ご都合主義の塊だね」
盗賊「ダンジョンは仕様上そうなっているんだ」
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:14:26.16 ID:mpoU9NgkO
エルフ「父親と娘の問題ね……具体的に何をしろって?」
バトラー「お嬢様を旦那様より救い出して欲しいのです」
エルフ「……ふうん」
戦士「任せてくれていい。しかし具体的に何をすればいい?」
バトラー「ダンジョン化前のお話をしますと、旦那様は先代さまの偉大な御栄光もございまして過大な期待をお背負いになられておりました。それは清廉潔白であった旦那様を患わせ、とうとう旦那様は凶行とも狂行ともいえる恐ろしい所業をなさったのです」
銃士「チャカポコチャカポコ」
赤魔「急にどうした?」
盗賊「……当主は具体的に何をしたんだ?」
バトラー「お嬢様を軟禁……いいえ監禁なさり、そして……ああ、これ以上は私の口からは到底申せませぬ」
商人「ダンジョン化前の話ですよね? 事後はどうなったんです?」
バトラー「あなた方も旦那様を目の当たりにしましたでしょう? そういうことです」
商人「変わらないということですか。大賢者はその現状を是正したいから死霊の街を幻惑の街に変化させたというのがバトラーさんの意見でしたね」
バトラー「はい」
エルフ「つまり魔物となった後も娘を抑圧して悦に入ってるわけ? クソ変態最低鬼畜ゴミクズ親父じゃん。滅びろ」
バトラー「しかし、旦那様がお狂いになってしまったのは先に話したような経緯がございまして……」
赤魔「辛い目にあったからって、それを誰かにぶつけちゃダメだろ! 腹が立ってきた!」
銃士「女性陣がお怒りや。くわばらくわばら」
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:17:49.92 ID:mpoU9NgkO
戦士「救い出すにしてもどうすればいい? 正直、ドレッド・ダドを倒すのは厳しいぞ」
バトラー「お嬢様は何処かに囚われているはずです。お嬢様が救われることでダンジョン周囲に存在するトラップは解けるでしょう」
商人「何処に囚われているんでしょうか?」
バトラー「かつてはこの屋敷の地下部屋でした。しかし現在は何処なのか存じません」
エルフ「使えないねぇ」
バトラー「何せ、私はかつてお嬢様をお逃しになろうとしたことが旦那様に見破られ、拷問の末に死んでしまったのです。おそらく私の死後、監禁なさる場所をお変えになりましたでしょう」
エルフ「おおう……」
赤魔「なんだよ、それ……!」
バトラー「一度は朽ちたこの身、こうしてギミックとして復活したのは此度こそお嬢様を救い、そして旦那様をその狂気から解放致すためと存じております」
戦士「死んで尚、その忠誠と慈悲深い心に感服した。俺たちがお前の悲願を達成してみせる」
商人「(すぐ人の言葉を鵜呑みにしますよね)」
エルフ「お人好しめぇ。というか、リーダーは私なんだから勝手に決めないでよ、もう」
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:20:50.96 ID:mpoU9NgkO
バトラー「ありがとうございます。旅の方々」
エルフ「街荒らしみたいなもんだけどね。ところで何か報酬はないわけ?」
銃士「銭ゲバやなぁ」
バトラー「このお屋敷マーチャント家の私有財産です。しかし今では新たに出現したものがほとんどであり、それをあなた方が獲得することは私が関知するところではございません」
赤魔「???」
盗賊「屋敷内のアイテムは持って行っていいそうよ」
エルフ「商人、1000Gドールの確保!」
商人「6つ確保しました!」
戦士「仕事が早い……」
エルフたちは『ビスクドール』を6つ手に入れた!
エルフ「6000G……1人頭1000G……ふへへ……!」
銃士「女の子がしちゃダメな顔しとる」
戦士「男でもダメだろ」
エルフ「うるさいよ!」
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:23:40.28 ID:mpoU9NgkO
赤魔「うう、また外に出なきゃダメか? あのデカい魔物どうするんだ? 白いフヨフヨもいっぱいだろうし……」
盗賊「その必要はないわよ」コンコンッ……カリッカリッ
エルフ「ん?」
盗賊「はっ」バゴッ…!
盗賊は隠し通路を見つけた!
バトラー「!!」
商人「流石ですね!」
エルフ「やるねぇ……」
銃士「……このパーティ、盗賊はんと商人くんだけでほぼほぼ回りそうや」
赤魔「俺だって必要だろ!?」
戦士「全員がそれぞれのやるべきことをやる。それが大事だろ」
エルフ「そういうことだよ、肉壁二枚たち」
戦士「相変わらず言い方がひどいな……」
銃士「俺はエルフはんより華奢なんやけどね」
エルフ「私が太ましいみたいに聞こえるからやめてくれる?」
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:25:43.66 ID:mpoU9NgkO
バトラー「おそらくこの先には再び旦那様……旦那様の御分身がお出になるかもしれません。私はこのお屋敷からあまり離れることはできませんからついていくことは出来ません。お気をつけて」
エルフ「あの肉塊、分身すんのかよぉ……」
赤魔「うぅ、やだなぁ……」
銃士「あたち、怖いのキライー!」
エルフ「きっも」
銃士「ふえぇ……」
盗賊「こんなのが上流階級か……」
銃士「それはちょっとやめてくだはる?」
赤魔「銃士はなー、もう少ししっかりしてたらなー」
銃士「えっ、なになに? 素敵なお話聞けそうな感じかいな?」
盗賊「ない。死ね」
銃士「女性陣は辛辣やわー」
戦士「すぐに死ねとか言うのはダメだぞ」
盗賊「……」
商人「(戦士さんはすっかりパーティの保護者ですね)」
赤魔「早く帰りたい……」
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:28:35.04 ID:mpoU9NgkO
・・・
【死霊の街・地下道】
死霊の大群<<フヨフヨ…
赤魔「……」ぶるぶる…
エルフ「地下深いだけじゃなくてこんなに広いとはね。フヨフヨのせいで仄かに明るいけどさ」
戦士「崩れたりしたら生き埋めだぞ……崩落しないだろうか」
盗賊「おそらく大丈夫だとは思うが……この広さは何なんだ? 街全体に広がっていそうだ。それにあまりにも分岐が多い」
商人「道順の記録は任せてください」
銃士「俺も一応やっとくわ。それにしても、地下道はダンジョン化で新しく生まれた場所やと思うんやけど 」
商人「そう考えた方が妥当ですよね。普通の都市にこんな広大な地下があったとは少し考えられません」
エルフ「作る意味も分からないしね」
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:30:23.17 ID:mpoU9NgkO
赤魔「怖くない、怖くなんてない……俺は最強、俺は無敵……」ぶつぶつ…
エルフ「……」ニヤッ
エルフ<<ススス…
赤魔「……オバケなんていないさ、オバケなんてうーそさ」ぶつぶつ…
エルフ「わぁっ!」
赤魔「ひゃぁぁっっ!?」
エルフ「ぷっぷくぷー♪」
赤魔「う……」
エルフ「随分かわいい悲鳴ですこと♪」
赤魔「うう……」ぷるぷる…
エルフ「おこなの? ねえねえ、おこなの?」
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:35:52.76 ID:mpoU9NgkO
赤魔「うぅぅ……っ」ぐすっぐすっ
エルフ「えぇっ、ガチ泣き……?」
盗賊「赤魔……」なでなで…
戦士「大丈夫だぞ」さすさす…
銃士「せんせー、エルフはんが赤魔はんを泣かせましたー」
商人「エルフさん……」
戦士「エルフ、なんでこんなことしたんだ?」
エルフ「つい出来心で……」
盗賊「人の嫌がることをするのはそんなに楽しいか?」
赤魔「……」ぐすぐすっ
エルフ「えと……」
商人・銃士「……」
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:38:39.69 ID:mpoU9NgkO
戦士「エルフ、赤魔に謝るんだ」
エルフ「は?」
盗賊「謝れ!」ぐいっ
エルフ「いたっ!」
赤魔「と、盗賊、やめ、やめて……」ぐすっ…
盗賊「……」チッ…
エルフ「……」
戦士「エルフ、今回は全面的にお前が悪いぞ。チームのリーダーならふざけたりせず、もう少し責任感を持った行動をするべきじゃないのか? それに他人の嫌がることを人にするのは……」
エルフ「……うっさいな」ボソッ
戦士「……エルフ」
エルフ「はいはい、ごめんなさいってば」
戦士「エルフ」ぎゅっ
エルフ「腕つかまないでよっ! 変態なのッ!?」
戦士「エルフ」
エルフ「う……ぅぅ……っ」ぽろっ…
ぐすぐす……
商人「(なんというか、十代前半って感じですね)」
銃士「(エルフはん、自分で考えて判断できる賢い娘なんやろうけど、こういうところはまだまだ子どもなんやなぁ……俺の視点、完全にオッさんや)」
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:39:32.48 ID:mpoU9NgkO
エルフ「……ごめんなさい」
赤魔「うん、いいよ……」
戦士「よしっ、謝れて偉いな。許せて偉いな」ぽんぽんっ
エルフ「子ども扱いすんな……」
赤魔「そ、そうだ!」
戦士「すまんな」
盗賊「……」
銃士「盗賊はんも謝っておいた方がええんちゃう?」
盗賊「はあ?」
銃士「いやぁ、ちょっと感情的になり過ぎやん? エルフはんの胸ぐら?みかかるのは適切やないやろ?」
盗賊「……」
銃士「エルフはんが謝ったのなら、盗賊はんも謝っておいた方があと腐れなくてええ。年下やから頭下げるのを嫌がるとか言っとるど俺みたいにロクな大人にならへんぞ」
盗賊「……銃士みたいにはなりたくないな」
銃士「わっはっは」
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:47:57.90 ID:mpoU9NgkO
盗賊「悪かった。すまない」
エルフ「べつにいいよ……」
戦士「さて、進むか」
エルフ・赤魔・盗賊「…………」
商人「(空気が重いです……)」
銃士「戦士ー、おいちゃんあまり恐ろしうておしっこチビりそうやわー」
商人「絶対にやめてくださいねっ!」
銃士「いざとなったら商人くんにかけるわ」
商人「『最も強い言葉』で非難します!」
戦士「(具体的にどんな言葉なんだ?)」
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:49:45.65 ID:mpoU9NgkO
銃士「はー、こわこわ。はよ帰りたいわ」
赤魔「銃士も怖いんだな」
銃士「年取っても怖いもんは怖いでほんま。まんじゅう怖い。一杯のお茶が怖い」
盗賊「それは本当に怖がってるのか?」
銃士「おっぱい怖い」
エルフ「下ネタを挟まないと死ぬの?」
銃士「俺の熱き魂が死ぬんや」キリッ
えろー
男はみんなエロなんや!
商人「……」ほっ
戦士「(……ここからは波乱なく事が運べばいいが)」」ふぅ…
「ふふふ……ついに来たみたいだね……!」
to be continued...
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/25(月) 00:51:55.60 ID:mpoU9NgkO
○戦士メモ
・ギミック:各ダンジョンによって固有なトラップや魔物などのことを差す。どうして様々なギミックが存在するのかは分からない。ダンジョンの存在と関係があるんだろうか。
・マーチャント家:現在の死霊の街にかつて栄えた名家。ドレッド・ダドの父にあたる人物が交易にて隆盛させたが、ドレッド・ダドはその偉大な父と比較されて心を病んだようだ。そして自身の娘に非道な振る舞いをしたようだ。単純で愚かしい話だ。
・地下道:死霊の街の地下に広がる幾つにも分岐した通路が続く。地図をしっかりと残さなければ道迷いになりかねないが商人と銃士が記録を取るならば問題はないだろう。
○エルフメモ
・上流階級:べつに良いことばかりでもないでしょ
・謝罪:ぷっぷくぷー
○商人の鑑定
・ビスクドール:売値は1000G。非常に精巧な陶器の人形であり、その品質や技術は現在のドール製造の技術とは全く異なっており謎に包まれています。あまりに精巧すぎて本物の小人にすら見えます……あれ、いま目が動いたような……気のせいですかね?
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/28(木) 17:23:35.44 ID:ICTnHTVP0
そろそろパワーアップイベントが欲しいかな
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/17(火) 00:28:37.91 ID:munm4aVY0
はよ
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/27(金) 11:02:34.14 ID:TagWX7vwo
舞ってる
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 06:07:26.99 ID:G+ICnRzCo
はよ
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/10(日) 01:04:40.35 ID:uJGfHq7A0
まだか?
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 18:51:45.01 ID:L+p8/a3pO
・・・
『乙女の涙』を手に入れた!
『黒色クレジットカード』を手に入れた!
『魚っとっと』を手に入れた!
商人「地下にもアイテムがあるんですね」
銃士「ダンジョン化が地下にも及んどる証拠やな」
戦士「それはつまり地下にも魔物がいるってことだろう?」
<<ゥゥゥ……
ファザーシャドウが出現!
エルフ「はいはい、噂をしたら出てくるよね」カシャッ
ステータス解析マシン<<ピピ……ピロンッ
・ファザーシャドウ
HP:100
こうげき:0
ぼうぎょ:0
まほう:400
すばやさ:0
銃士「また特殊そうな敵やな」
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 18:53:00.05 ID:L+p8/a3pO
盗賊の『加速蹴り』!
しかし効果は無かった…
盗賊「ちっ……」
赤魔の『火炎魔法』!
ファザーシャドウ<<メラメラ……シュゥゥ……
ファザーシャドウを倒した!
赤魔「いよっし!」
戦士「物理的な攻撃は効かないのか? 俺と盗賊は力になれなそうだな」
赤魔「俺とエルフに任せろ! 二人の分も倒してやるさ!」
エルフ「しっかたないなぁ」
銃士「俺も魔法攻撃できるから忘れんどいて」
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 18:53:49.96 ID:L+p8/a3pO
・・・
『ミスリルナイフ』を手に入れた!
商人「わっ、魔法金属ミスリルでできたナイフです!」
赤魔「ミスリル!?」
エルフ「ミスリルかぁ。RPGなら冒険も中盤に差し掛かったって感じだよね」
銃士「おいくらで売れますのん?」
商人「400Gです。ミスリルはまだまだ希少ですから」
エルフ「ふへへ、がっぽしがっぽし」
赤魔「ミスリルのナイフかぁ。魔法剣にピッタリなんだよな」キラキラ…
戦士「エルフ……」
エルフ「へいへい……ちゃんと価格分の働きをしてよね」
赤魔「えっ、私が使っていいの!?」
エルフ「要らないなら売るけど」
赤魔「要る要る! すごく要る! これで私もミスリル持ちだ! やったぁ! 」
戦士「良かったな」
赤魔「うん!」にこにこ
銃士「(盗賊はんはこの赤魔はんを見てどんな表情してるんやろか)」ちらっ
商人「(盗賊さん、もしかして鼻血を出してたりしてないでしょうね?)」ちらっ
盗賊「……」
銃士・商人「し、死んでる……」
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 18:55:07.23 ID:T4MsWnLao
遅すぎてどんな展開だったかもう覚えてねーよ
最初から読みなおしてきます
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 18:58:50.48 ID:L+p8/a3pO
・・・
赤魔「さあー、敵出てこい! ミスリル魔法剣で八つ裂きだー!」ふんすふんすっ
エルフ「さっきまであんなに怖がってたくせに……現金なやつ」
戦士「お前が言うか」
盗賊「……トラップがあるな」
商人「た、宝箱?」
宝箱?「……」
銃士「デカい箱やなぁ。誰か入っとるんやないの?」
宝箱?「……!」ぎくっ
エルフ「というか宝箱って……他のアイテムは宝箱に入ってないじゃん……」
赤魔「盗賊、これはトラップなのか?」
盗賊「間違いなくトラップね。何故宝箱なのかはちょっとよく分からないけど」
エルフ「こんなアホらしいトラップ、誰が引っかかるの?」
戦士「まあ、そのまま馬鹿正直に開けようとする奴はいないだろうな」
商人「でも中身はなんでしょう? やっぱり魔物ですかね」
エルフ「そうなんじゃない? けど、爆弾とかだったら嫌だし、アイテムじゃないならスルー安定でしょ」
赤魔「そっかー、魔物以外の可能性もあるんだよな。攻撃しないでおこ」
銃士「こういうタイプは魔物でも移動しないやろうし、放置で構わへんやろ。ほな進みましょ」
ぞろぞろ…
宝箱?「……」
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:02:31.93 ID:L+p8/a3pO
宝箱?<<パカッ
「こら〜! 無視はダメ、絶対!」
赤魔「うわ、箱から出てきた!?」
銃士「女の子! 女の子や!」
エルフ「うるさいよ童貞」
少女?「あのさ〜、君たちさ〜。ダンジョン冒険者ともあろうものが目の前の宝箱を開けないってどうなの?」
商人「だってトラップだって分かってますし……」
少女?「か〜、ひよってるな〜。ひよってるよ〜。たとえ中身が私みたいにミミックだって開けて見るのが真の冒険者ってもんじゃないの? これだから最近の若人は〜」
エルフ「そんな何千年も前から使い古されてるフレーズで暴論を言われてもね」
銃士「いやしかし、トラップでも箱の中身が女の子やったら、確かに開けるべきやね! これからもトラップと分かっても開けていく強い意志を持つわ!」
エルフ「危ない目に遭ったらどうせどっかのアホ戦士が助けに行くからダメ」
銃士「ああ、せやな」
戦士「……」
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:05:03.39 ID:L+p8/a3pO
戦士「それで何か用か」
ミミックガール「そりゃ、ミミックは宝箱を開けた相手に襲いかかるでしょ」
盗賊「開けてない。そっちが勝手に出てきたんでしょ」
ミミックガール「……確かに」
「「「「「「「…………」」」」」」」
ミミックガール「あ、じゃあ一度引っ込むから開けてもらっていい?」
赤魔「なんでだよ!?」
ミミックガール「じゃあ、このまま私との戦闘になってもいいの!? グダグダじゃん!」
赤魔「もう既にグダグダだよ!」
ミミックガール「それ確かに〜!」
エルフ「もう、何なの……」げんなり…
銃士「わはは、面白い魔物ちゃんやな」チャキッ
ミミックガール「んにゃ?」
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:06:40.88 ID:L+p8/a3pO
銃士の『クリティカルショット』!
ミミックガール「ミミック相手に不意打ちなんて効くわけないじゃん?」ピシッ
ミミックは指先で弾丸を弾いた!
銃士「!?」
ミミック「ばーん」ぱしっ
ミミックの『究極指弾』!
銃士「ぐぶっ……」
銃士は力尽きた!
戦士「銃士!?」
エルフ「もしかして……強い?」カシャッ
ステータス解析マシン<<ピピ……ピロンッ
・ミミックガール(?)
HP:N/A
こうげき:N/A
ぼうぎょ:N/A
まほう:N/A
すばやさ:N/A
エルフ「えぇ……」
ミミックガール「……さあて、楽しいケンカの始まりだね」にやっ
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:07:34.73 ID:lpmJLBvZO
おお、再開きたw
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/15(金) 19:07:36.00 ID:+WQvrK430
強さバグってるな
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:08:15.19 ID:L+p8/a3pO
商人「待ってください!」
ミミックガール「うん?」
商人「僕たちは貴女を一度スルーしたはずです。それなのに襲いかかるというのは一般的なミミックとしては有り得ない行為です。ダンジョンにも一定の法則があるはずなのに貴女はそれに違反していませんか?」
ミミックガール「え〜、積極的に襲いかかるミミックがいてもいいじゃんいいじゃん?」
エルフ「良くないっ」
ミミックガール「なんでよ?」
エルフ「私たちが困るから」びしっ
ミミックガール「……」
エルフ「……」ふんすっ
ミミックガール「それ確かに〜!」
赤魔「なんなんだコイツ……」
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:14:48.89 ID:L+p8/a3pO
銃士「」ちーん…
盗賊の『蘇生魔法(物理)』!
銃士「とげっびゃぁぁっ!」
銃士は蘇生した!
戦士「……変わった魔物もいるんだな。ずっとこの地下にいたのか?」
ミミックガール「うんにゃ。私は回遊する魔物なんで〜。ミミックなのに回遊するとか面白いでしょ?」
赤魔「普通のミミックだってたまには移動するだろ。……しないのか?」
ミミックガール「さあ? 普通のミミックの生態なんて私の知るところじゃないし〜興味もないんで〜」
赤魔「なんか適当なやつだな……」
商人「(そもそも知る限りの他のミミックは宝箱に入ってなければ人型でもないんですけどね……)」
ミミックガール「とにかく私は色んなダンジョンを行き来できて、それなりに奥じゃないと出現できないんだよね」
商人「一体なぜです?」
ミミックガール「そりゃ情報エネルギーの濃度の問題でしょ」
エルフ「あん?」
ミミックガール「あれ? もしや情報空間のこととかご存知でない感じ? それなら、このお話はやめやめ」
盗賊「貴様、何を知ってる? 話しなさい」
ミミックガール「うっせ〜、自分で調べろ魔人やろ〜」べーっ
盗賊「!」
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:18:54.51 ID:L+p8/a3pO
戦士「魔人……?」
銃士「神話に出てくる滅びた伝説の種族やで。かつて大陸を支配したものの神の怒りをかって滅んだいわれとる種族や」
エルフ「歴史の教科書の初めのコラムとかに神話の話って出るよね。……で、マジなの?」
赤魔「……」
盗賊「……何故私が魔人だと分かった?」
ミミックガール「ミミックガールだからねっ」パチンッ☆
エルフ「ウインクで星を飛ばしてんじゃないよ。幼児向け作品か」
商人「えーと……色々と聞きたいことがあるのですが」
ミミックガール「私を倒したら教えてあげてもいいけどねー。言っておくけど私はめちゃんこ強いよ?」にやっ
戦士「(自惚れでも冗談でもなさそうだな……ふざけた態度をとってるが、正統派の強者の風格だ)」
赤魔「RPGなら負けバトルなやつじゃないか?」
エルフ「むしろランダムでたまに出てくるレア敵って感じ」
盗賊「……」
戦士「盗賊。やめておけ。おそらく勝てない」
盗賊「……そうね」
ミミックガール「ありゃ、やらないんだね。ざーんねんっ」
商人「(色々とダンジョンのことについて深く知っていそうなのに……)」
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:23:39.67 ID:L+p8/a3pO
ミミックガール「……ところでお嬢ちゃん」にゅっ
エルフ「うぎゃっ」
ミミックガール「『セフィロトの杖』に『解放の宝玉』? ははあ、『憤怒の火山』に行くつもりだ? ここを脱出したらあとは『蠢く砂漠』だけじゃん〜、やるじゃ〜ん」ベタベタ
エルフ「ちょ、離れ……やめろっ!」べしっ
ミミックガール「あいた〜!」
エルフ「はあはあ……」
ミミックガール「ひどいな〜。せっかくアイテムを合成してあげたのに」
エルフ「はあ?」
商人「エルフさん! アイテムが変化してます!」
エルフは『破魔の杖』を手に入れた!
エルフ「え、勝手に何してくれてんの?」
エルフ「(なんかすごく強力になってるんだけど……)」
ミミックガール「『開闢の台座』を持ってる時にまた会ったらまた合成してあげるよ〜。合成しなくても大賢者の封印は破れるけどね」
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:27:19.52 ID:L+p8/a3pO
銃士「……つかぬことをお聞きしますが、ダンジョン全体の黒幕さんだったりしますぅ?」
ミミックガール「んっふっふ」
盗賊「……」
赤魔「……」ごくっ
商人「……」どきどきっ
ミミックガール「ざんねん! それは私じゃないんだな!」
商人「あ、違うんですか」
ミミックガール「まあ〜、もしかしたらいつかはちゃんとした態で会うかもね〜」
エルフ「ちゃんとした態?」
ミミックガール「じゃねじゃね〜」
ミミックガールは逃げ出した!
戦士「……嵐みたいなやつだったな」
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:38:12.77 ID:L+p8/a3pO
盗賊「……」
エルフ「魔人なんだ?」
盗賊「ああ。……忌避するか?」
エルフ「は、なんで?」
盗賊「……私はかつて恐怖の象徴だった種族の末裔だ」
エルフ「いや、魔人だから何だって感じだけど。むしろその事実を話してくれてなかったことの方がムカつくよ」
銃士「珍しい亜人なんや、ぐらいの印象やな、ぶっちゃけ。エルフはん、盗賊はんにも事情があるやろし」
商人「神話で滅んだ種族が実在して、今も生き残ってることは驚きますけどね」
戦士「魔人族がどうだとかは置いておいて、盗賊が本当はとても仲間思いで真面目な良いやつってことは知ってる」
エルフ「すぐまたそういうクサいこと言う……」
赤魔「俺の盗賊なんだから口説いちゃダメだぞ!」
盗賊「……いつアンタのものになったのよ」ふっ
戦士「別に口説いてるつもりはないんだが……まあ、いい」
銃士「はいはい、積もる話はあれどまずは進みましょか。戦士は往ね」
to be continued...
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:39:42.80 ID:L+p8/a3pO
○戦士メモ
・情報空間:ミミックガールの発言に含まれていた不可解な言葉。情報エネルギーとも言っていた。どうやらダンジョンに関わる用語のようだがその定義は不明なままだ。
・魔人:神の子が生まれる遥か以前に世界を手中に収めていたとされる伝説の種族。非常に獰猛で悪の象徴として創作のモチーフになることもある。神へと至る塔を建設し始めた結果、神の不興をかって滅んだとも、力に驕れて滅んだともいわれるが真相は定かではない。盗賊が本当に魔人族ならば神話は拡大解釈を多分に含んでいるのかもしれない。
○エルフメモ
・ミミックガール:今まで魔物とは色々と異質な人型の魔物(?)。目的もよく分からないし、色々とダンジョンのこととかにも詳しそうだけど何なんだろうね。正面衝突にならなくて良かったよね。
・究極指弾:いわゆる跳ぶデコピン。たぶん相手に9999ダメージを与える。チートだ!
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 19:43:29.37 ID:L+p8/a3pO
○商人の鑑定
・乙女の涙:売値は20G。乙女の涙というロマンチックな名前が付けられた赤い小石。とてつもない悲恋に打ちひしがれたためにその涙が赤くなったという噂話のためにそれなりの価値がついています。実際はガーネットなんですけどね。
・黒色クレジットカード:売値は0.1G。ただのプラスチック製の黒いカードですが、僕には分かるんです。このカードは本当は0.1G以上の価値があることを……しかし0.1Gでしか売れません。
・魚っとっと:売値は0.1G。軽やかな食感でさくさく食べられるスナック菓子です。様々な魚介類の形は見て楽しく、また爽やかな塩味にもマッチしてます。袋は小分けされていて食べる量の調節がしやすく持ち運びも便利ですよ。僕の働いてるお店でも取り扱ってますから是非お試しください、と宣伝しておきます。
・ミスリルナイフ:売値は400G。魔法金属ミスリルは原料も少なく、精製も加工も複雑で熟練の冶金職人によってのみ行われます。高純度のミスリルは非常に貴重でかなり高価になるためほとんど工業用に用いられており、日常的にミスリル金属を使うことはあまりありません。応用の有名な例としては高い魔法伝導性とエネルギー変換に対する柔軟性、耐久性から魔法を動力源とした炉の開発などがあげられるでしょうか。魔法剣としてはこれ以上適した金属はそうないでしょうね。
・破魔の杖:売値は貴重なためつけられません。ミミックガールさんによって『セフィロトの杖』と『解放の宝玉』を合成して得られた杖です。とんでもない力を秘めていて、使用者の魔法を非常に強力なものにするでしょうが、扱いは非常に難しいでしょう。エルフさんなら大丈夫だと思いますが。
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/15(金) 20:00:49.74 ID:lpmJLBvZO
おつおつ。忙しいだろうが無理せんといてなー。
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 20:07:52.45 ID:QL4J8Cy3o
久しぶりに言わせてもらうぞ
赤魔可愛い
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 21:39:18.52 ID:bEupp7neo
久々に読めて嬉しい!乙!
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/16(土) 02:25:32.38 ID:TaqTH4RU0
待ってた
621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/16(土) 17:30:14.00 ID:iptKsD+b0
これからは装備だけじゃなく本人のレベル上げも必要だな
622 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/16(土) 21:19:55.94 ID:j0jZ2ouA0
>>621
sageろハゲ
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 13:43:24.22 ID:c1y7PfnIO
エルフ「魔人族は本当にかつて大陸を支配してたの?」
盗賊「そうらしいけど、正直言って私はほとんど知らないのよね」
エルフ「またどうして?」
盗賊「私が10歳にも満たないうちに家族も住んでいたところも無くなったから」
エルフ「あー……サモナーね」
銃士「はいはーい。俺たちヒトとの違いはどこなん?」
盗賊「バケモノに変身できる」
銃士「どういうこっちゃ」
盗賊「そのままの意味だが」
赤魔「盗賊が魔人化するとびっくりするくらい強いぞ!」どやっ
盗賊「……」
戦士「それは頼もしいな」
商人「それなら常に変身していて欲しいですけどね。そうしないということは何かデメリットがあるんですよね?」
盗賊「体力の消耗が激しいから3秒が限界なのよ」
エルフ「みじかっ。せめてカップラーメンがわく時間くらいは頑張ろうよ」
盗賊「しかも解除後は大抵気絶するわね」
商人「そうなると確かに変身場面が限られそうですね」
赤魔「で、でも本当に強いからな! 本当だぞ!」
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 13:44:50.13 ID:c1y7PfnIO
戦士「話は変わるがさっきの変わった魔物は何者だったんだ? 色々とダンジョンの謎について詳しそうだったが」
商人「異様に強い上に、貴重なアイテムを変化させたりもしてましたよね。盗賊さんは情報エネルギーや情報空間という言葉はご存知ですか?」
盗賊「遥か昔に聞いたような……いや、何も分からないわね」
商人「そうですか……」
商人「(『不帰の虚』に来いと言ってましたよね。あとは情報エネルギーの濃度とやらが出現に影響を及ぼしているといったことを言ってました。……基本的には不帰の虚にいるのでしょうか。……色々と推測は出来そうですけど、流石に情報が断片的過ぎて頑健な推論はできないですね)」
エルフ「しかし『不帰の虚』なんて行くわねないじゃん。生還者ゼロは流石に尻込みするよ。そりゃあ10億G貰えるなら考えるかもだけど」
商人「盗賊さんは『不帰の虚』について何か詳しく知っていることはありますか?」
盗賊「……特にないが、おそらくダンジョンの中では一番特別なものだろう」
戦士「重要?」
盗賊「説明が難しいな……この際だから言ってしまうが、ダンジョンの発生には私たちの一族が関わっているんだ」
銃士「えっ!」
エルフ「まあ、何となく予想はついてたよ」
商人「それでダンジョンについて詳しかったんですね」
赤魔「待て! それは聞いてなかった!」
盗賊「言ってなかったから」
赤魔「お、俺とお前の仲だろぉ……」
盗賊「な、泣くことないじゃない」
盗賊「(赤魔の涙! 甘露にも等しい奇跡の雫! 見ているだけで浄化されそう。この世のありとあらゆる穢れをそそぎ落としてしまいそう。もしも舐めとったら……いや、私の穢れきった心身では化学反応が起きて爆発する。いや、そもそも天使を泣かせるなんて私はなんてことを……)」
625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 14:02:58.89 ID:c1y7PfnIO
戦士「ということはイカサマ師も魔人で、ダンジョンの発生に関わってるわけか」
盗賊「アイツもまだまだ赤子だったから直接は関係ないがな。とりわけ大きく関わっていたのは……というかダンジョン発生の提案と指揮をしたのはサモナーだった。当時私は生まれていなかったが、そう聞いている」
銃士「(あら、ということは20よりも下なんか。やっぱ俺が一番年長みたいやな)」
エルフ「とんでもない事実を隠していたよね。じゃあサモナーも魔人?」
盗賊「ああ。一族の有力者だった。急進的で、対立した者たちを村ごと焼くような奴だがな」
赤魔「……」
商人「そもそもどうして魔人族の方々はダンジョンを生み出そうとしたのですか?」
盗賊「再び世界を支配するための手段としてと聞いた……最初は強大な兵器を生み出す計画だったらしい。出てきたのは何故かこのような奇妙なダンジョンだったが」
エルフ「サモナーの陰謀かな。おかげで稼がせてもらってます!」
赤魔「おい!」
戦士「そんな危険人物がまだ野放しなのは気がかりだな。転移石のことを考えると、近いうちにダンジョンだけでなくて市街地にも被害が出るようなことをしそうだ」
商人「その人を見つけるためにもまずは火山に行ってイカサマ師さんに会わないといけませんね」
銃士「そんで、その為には蠢く砂漠で『開闢の台座』を手に入れる必要があるわけやね」
赤魔「さらにさらにそのためには、まずはこの幽霊だらけのダンジョンから脱出する!」
エルフ「それには、街の中を暴れてるあのデカい魔物を何とかしなきゃいけないわけで」
盗賊「そのヒントが隠されているだろう監禁部屋がこれか」バキィッ
盗賊は隠し部屋の扉を蹴り破った!
626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 14:06:39.36 ID:c1y7PfnIO
エルフ「この部屋は一際ホコリっぽいね」ごほっ
盗賊「魔物が潜んでいる気配はないわね。トラップもないだろう」
戦士「6畳ほどか。古ぼけたベッドと机、本棚……これだけか」
赤魔「……ここにあの娘はずっと閉じ込められていたのか? そんなのひどいよ……」
戦士「……本棚には小説が数冊か。申し訳程度の気晴らしだな」
銃士「お、机の引き出しに日記が入っとるな」
赤魔「人の日記を勝手に呼んじゃダメだろぉ……」
銃士「こちらも命かかってるんやから堪忍な」ぺらぺらっ
エルフ「ホコリっぽいから静かにめくってくれる?」こほっ
銃士「すんまへん」ぺらっ
627 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 14:08:12.70 ID:c1y7PfnIO
戦士「これは少女が書いた絵か。家族の絵か?」
戦士「(母親とおそらく執事だろう老人は普通に描かれているが……父親の絵は目がやたらと怖いし、少女は顔も書いてないし、体の輪郭が大幅に歪んでる。他の絵もあるが色使いといい、少し常軌を逸してるな)」
エルフ「うわぁ……流石にちょっと怖くなってきたかも」
商人「ここに一人で来たら泣き出しそうです……」
赤魔「ほんと帰りたい……」
盗賊「銃士、日記の中身は?」
銃士「創作の物語やな。少女がお供を連れて色んなところに冒険に出る物語や」
エルフ「なに、私の話?」
銃士「この日記の持ち主の話やろ。体はこの狭い部屋にあっても想像の力で世界に飛び立とうとしたんやね」
エルフ「銃士にしてはやけにエモいこと言うね」
銃士「不憫すぎておセンチにもなるわ」
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 14:10:21.32 ID:c1y7PfnIO
商人「と、ところで、先程から気になってるんですけど、この布団、やけに膨らんでますよね……?」
赤魔「ま、魔物か……?」
銃士「動いてるようには見えへんけどな?」
盗賊「違うとは思うが……」
エルフ「あー、銃士くん、ちょっとめくってみたら?」ひしっ
商人「銃士さん、お願いします」すっ
赤魔「……」ぶるぶる…がしっ
戦士「俺と盗賊はこの通りだから、手ぶらなお前に任せろ」
銃士「くそっ、商人くんは俺にくっついてくれる思うとったんに!」チャキッ
盗賊「重要なアイテムかもしれないから撃つな」
銃士「えぇ……」
盗賊「もしも即死したら蘇生はしてやる」
銃士「あれ、えろう痛うから堪忍してほしいんやけどなぁ」
629 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 14:12:32.23 ID:c1y7PfnIO
ドクンドクンッ……
銃士「ほ、ほな、めくりまっせ。ほんまめくりまっせ?」
エルフ「しつこいよっ」
バクンバクンッ……
銃士「……」そーっ
バクンバクンッ……
エルフ「……っ」ゴクッ
ーーバッ
銃士「ひっ…………女の子の人形? 他は特に何もない」
エルフ「……なんだ」ふぅ
「それは私の人形」ピトッ
エルフ「」
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 14:49:09.81 ID:c1y7PfnIO
銃士の『アルカナショット』!
ミス!
少女「すぐに撃つのね……私は何もできないのに」
銃士「ヘタレやからね」
エルフ「」←腰砕け
赤魔「」←失神
商人「」←思わず死んだふり
盗賊「……現れただけでパーティが半壊だ」
少女「少しだけ驚かそうと思ったんだけど」
銃士「(さっき外で見たんと同じ少女のはずなんに、今は痣やら傷やらでボロボロやな……父親にやられた傷か?)」
戦士「……君がこの部屋の少女でいいんだな?」
少女「そう。私はここにずっと閉じ込められてここで死んだの。最期はお父様に首を絞められて」
銃士「ひどいパパもいるもんやな。この人形は?」
少女「お父様が私を殺した後に作ったのよ。私の死体を詰めてね」
盗賊「狂ってるな」
戦士「俺たちは君を父親から救いに来た。来たが、どうすればいい? どうすれば君を救える?」
少女「あはは、私を救う? 私はもう死んでいるのに?」
戦士「……そうだとしても、死して尚、こうして囚われている君を解放したい」
少女「綺麗事ね。私のことなんか本当はどうでも良くて自分たちが助かりたいだけのくせに。それとも人を救った気分になって悦に入りたいの? どうせみんな汚い心をもって生きてるのよ。誰も私に本当の優しさなんてくれないのよ」
631 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 15:01:38.15 ID:c1y7PfnIO
エルフ「めんどくさいやつだなー。そっちも解放される。私たちも解放されるでウィンウィンじゃんかよ。本当の優しさとか無償の奉仕とか真実の愛とかほざいてぐずってるヒマがあったら立ちあがれよ」ぷるぷる…すくっ
少女「私の苦しみが分からないからそう言えるのよ……」
エルフ「わかるわけないじゃん。みんな別の人間なんだよ。少しでも幸せになりたいなら幸せになれるよう自分からもがいてみなよ」
銃士「天は自ら助くる者を助く、やね」
少女「……私はもう死んでしまっているのに、幸せになんてなれないわよ。私の人生は絶望しかなかった。もう救われないのに何をもがくのよ……!」
戦士「でも、君はここにいるじゃないか」
少女「けれど私は……」
エルフ「私から言わせれば、君は生前も全く生きてなんかいなかったね。死んでいなかっただけだよ」
少女「……」
エルフ「だから私たちがもう一度、君に生命をあげるよ。あのクソ馬鹿親父をぶっ倒してね」
少女「……そんなことできるわけがない」
エルフ「自由を求めて立ち向かう。きっとその時はどんな時よりも確かに生きてるでしょ。君が君でいるうちにもう一度生きるべきじゃないの」
少女「……」
エルフ「分かったら協力して! 分からなくても協力して!」
少女「……本当に自分勝手なのね。こんな人知らない」
エルフ「私は主人公だからね」ふんすっ
少女「主人公……私は……私だって……」
エルフ「……」
少女「……もし、いつかまた会えたら今度は本当に友だちになってくれる?」
エルフ「えー、それは別の話かな」
少女「ふふ、本当にひどい人ね」
エルフ「……ま、考えておくよ」
少女「……」にこっ
632 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 15:11:28.26 ID:c1y7PfnIO
少女「……その人形の中」
エルフ「ん?」
銃士「……」ぶちっ…ごそごそっ
『おもちゃの剣』を手に入れた!
少女「……きっと私の力だけじゃ足りないだろうけど、私にできるのはこれくらい」
エルフ「……ま、足りない分は貸しにしておいてあげる」
少女「ええ……」すぅ…
少女は姿を消した
銃士「エルフはんにしてはやたら熱く語ってたなぁ」
エルフ「うるさいよ。ちょっと思うところがあったんだよ」
戦士「(……思うところ、か)」
エルフ「さて、最低変態親父の妄執を終わらせにいきますか」
盗賊「赤魔と商人を起こしてからな」
エルフ「いつまでくたばってんの、もう」
to be continued...
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 15:16:59.41 ID:c1y7PfnIO
○戦士メモ
・アルカナショット:魔力で生成された弾丸は実体のない魔物にも効く……はずだが幻惑の少女には全く効かなかった。地下通路では実体のない魔物を数多く倒していたのだが、どういうわけか攻撃が無効化されている印象が強い。
○エルフメモ
・死んだふり:一部の動物は身の危険を感じると『擬死』といって実際に身体が硬直して動かないような状態になるらしい。……商人、君は人間だから擬死しないでしょ! ヘタな言い訳すんな!
・主人公:私は私の物語の主人公だし、他の人は私を引き立てる物語の主人公だ。
○商人の鑑定
・おもちゃの剣:売値はつけられません。誰も傷付けられそうにないハリボテの剣ですが、それでもある虐げられた少女のささやかな反抗はその少女にとって会心の一撃たりえるでしょう。
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/18(月) 16:14:43.58 ID:YRdDN2cTO
おつおつ。核心に近付いてきたかな。
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/19(火) 02:38:00.54 ID:MJ4wPsG00
特効技や即死級の技は話を盛り上げるため無効化されるお約束
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/19(火) 16:39:26.15 ID:27sRh9490
エルフ優遇されてるなぁ、さすが主人公
637 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 03:43:04.06 ID:bOxyqSh7O
エルフ「さて、死んだふり名人な商人くんの による鑑定の結果、『おもちゃの剣』はドレッドダドに有効そうだと分かったね」
商人「擬死なんだから仕方ないです……」
エルフ「タヌキか昆虫かよ……まあ、だからこれを活用してドレッドダドを倒しちゃおう」
銃士「しっかしほんまにあの巨大魔物を倒すだけで外に出れるんやろか? いくらダンジョンはそういうもんと言われてもな」
戦士「お前が悪魔の湿原で『解放の宝玉』を手に入れた時はこういうことはなかったのか?」
銃士「あらへんかったね。……せやかて、ほかに当てもないし……まずは試してみましょ」
エルフ「それなら冷や水をかけるようなこと言わないで欲しいよ」
銃士「あれ? これだけでシラけてまうん?」
エルフ「心の機微が分からないからモテないんだよ」
銃士「それ言われると説得力はんぱないわ」
赤魔「銃士はそういうとこあるよな」
盗賊「ああ」
銃士「oh...」
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 03:46:29.50 ID:bOxyqSh7O
戦士「作戦はどうする?」
赤魔「刺せば終わりじゃないのか?」
盗賊「あの少女の話だとそれだけで決定的な一撃になり得るわけではないみたいよ」
エルフ「まあ、けど刺せば弱るでしょ」
戦士「作戦はどうする?」
商人「挟み撃ちにしてしまったほうが、おそらく敵も対処し辛くて有利かと」
銃士「デカブツ相手に固まっとったら不利やろうしな」
盗賊「……とりあえず地下から出るべきだ。ここは監禁のためのスペースだけあって袋小路だ。加えて息苦しいし黴くさい」
エルフ「さんせー」
赤魔「よしっ、脱出だ……ひゃぁぁっ!?」
ドレッドダド「……」ジィィ……
ドレッドダドの一部分が出現!
戦士「ここまで来たか!」
エルフ「ここには入れないんじゃなかったの!? ほんと気持ち悪い見た目しちゃって!」
商人「(逃げ場がないです、これはまずいです)」ゴクッ
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 03:47:34.39 ID:bOxyqSh7O
ドレッドダド「おもちゃの剣を取ったな?」
エルフ「うわ、喋るのかよ!」
商人「(敵は間違いなくパワーアップしてますね。僕たちが地下にいる間もさらに死霊を喰らっていたのでしょう)」
ドレッドダド「俺の娘を奪うやつは許さん。俺の娘は俺のものだ。どこにもやらせん。永遠に俺の愛と共にあるのだ」
赤魔「……っ、いい加減にしろぉぉっ!」
赤魔の『火炎魔法』!
ゴオオオ……ッッ!!
エルフ「(え、なにその威力……)」
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 03:50:17.31 ID:bOxyqSh7O
ドレッドダド<<ズズズ……
ドレッドダドは逃げ出した!
赤魔「はあはあ……」
エルフ「こんなとこで火炎魔法使うなよー」げほっ
赤魔「ごめん……なんかもう恐怖を通り越して怒りしかわいて来なくなった」
銃士「分かるわ。恐怖が続くと余裕がなくなるもんな」
戦士「赤魔のお陰で退却できたようだし、まずは地下から脱出だな」
盗賊「おそらく待ち伏せされてるだろうな」
戦士「……バトラーは大丈夫なんだろうか」
銃士「あんまり良い予感はせえへんな」
641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 03:51:27.88 ID:bOxyqSh7O
・・・
バウンテッドバトラー「……」
盗賊「おい、大丈夫か? ドレッドダドにやられたのか?」
バトラー「ぅ……」
盗賊「少しまっていろ。回復できる奴を呼んでくる」
バトラー「そ、それより、階上に旦那様が……街の全ての死霊を吸収……隙を作らなければ勝機は……」
盗賊「……そうか」
バトラー「……お嬢様を救っていただいて……ありが……」
バウンテッドバトラーは事切れた……
盗賊「……」
642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 03:55:58.72 ID:bOxyqSh7O
赤魔「バトラーは良いやつだったのに……っ」
戦士「ドレッドダドを倒して決着をつけよう。犠牲になった全てのものたちのために」
エルフ「……隙を作らないとダメっぽいの?」
盗賊「ああ」
商人「強化されたドレッドダドが上に待ち構えているんですよね……どうしましょう……」
銃士「そら、出て行くしかないやろ」
戦士「……先に俺が行く。銃士、支援を頼む」
銃士「しゃーない」
赤魔「あ、危なくないか?」
戦士「それは全員同じだ」
エルフ「……」
銃士「んまっ、そんな心配そうな顔せんどいてや。戦士の死にたがりを死なずにすんのが俺やからな」
エルフ「別にしてないっての」
銃士「あら、そう。俺の見間違いかぁ」
エルフ「うっといな……」
戦士「先制でやられても俺が一番耐えられるからな。それがベターだろう。他は俺の後に続いてくれ。商人は安全を確保してくれ」
エルフ「……君たちが死んだら取り分が増えるね」
戦士「残念だがそうはならない」
商人「ところで『おもちゃの剣』なんですけど……相手の知能と先入観を利用しませんか?」
643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:11:50.34 ID:bOxyqSh7O
・・・
ドレッドダド<<ズズズ……
ドレッドダド「ふん、やはり最初は捨て駒か」
戦士「(デカいなっ……!)」ドドドッ……
戦士「うぉぉっ!」
ドレッドダドは無数の触手で戦士を絡めとろうとする!
銃士の『クリティカルバースト』!
触手がわずかに怯む!
銃士「巨大なアンモナイトみたいな見た目に化けよって!」
ドレッドダドの『ぶん回し』!
戦士は銃士を庇った!
戦士「ぐぅぅ……っ!」
銃士「戦士! 右に展開しろ!」
ドレッドダド「(挟撃するつもりか? 恐らくこいつらはデコイだ。後続がナイフを持っているだろう)」
戦士の攻撃!
触手がわずかに怯んだ!
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:13:19.29 ID:bOxyqSh7O
銃士に向かって触手が伸ばされる!
赤魔の『火炎魔法』!
触手が大きく怯む!
赤魔「炎が嫌いか! もっと燃やしてやる!」
ドレッドダド「(こいつは始めからナイフを装備している上に女児だ。こいつは要警戒だ)」
戦士「赤魔! こっちだ! 右に来い!」
赤魔「あ、ああ!」
エルフ「おりゃぁぁぁっ!」
エルフはナイフを持って直線的にドレッドダドへ駆ける!
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:16:55.56 ID:bOxyqSh7O
ドレッドダド「(特攻……に見せかけたフェイクかもしれないが、こいつは無力化しなければいけない)」
エルフは触手に絡め取られた!
エルフ「やめて……! 私に乱暴する気でしょう! 同人みたいに!」
ドレッドダド「愚かな。あの娘の些細な抵抗では私をどうにもできないというに……」
エルフ「エルフの美少女だからって! エルフの美少女だからって! このロリコンど変態野郎!」
ドレッドダド「うるさいぞ小娘……! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」ギチチッ
エルフ「んぎっ……!」
戦士の攻撃!
赤魔の『火炎魔法』!
触手が怯んだ!
エルフへの拘束が解かれた!
エルフ「あいてて……かわいいエルフちゃん相手にこのグロど変態ロリコン狂気化け物野郎め」
エルフは右に移動した!
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:24:52.28 ID:bOxyqSh7O
ドレッドダド「ふん……しかしナイフは奪った。後は貴様らも始末して取り込んでやる!」
ドレッドダド「(……待て!? これは、おもちゃのナイフじゃない!?)」
赤魔「落書きした俺のミスリルナイフちゃんと返せよ!」
ドレッドダド「(それでは本物はどこだ……)」ザワザワ…
盗賊の『魔人化』!
魔人「……」スッ
エルフ「盗賊選手ー!」
赤魔「大きく振りかぶってー!」
ドレッドダド「(全力でナイフを投げるつもりか!? だが……これなら防御で防げる! 他の小娘二人と大男も警戒できている!)」
銃士「まあ、おもちゃのナイフを持ってるのは俺なんだけどな」バスッ
ドレッドダド「はっ?」ズドッ
ドレッドダドは大幅に弱体化した!
銃士「武器を弩に替えたんやけど気づかんかったか? 女の子に刺されたい気持ちは叶えさせませーん」
ドレッドダド「な……きさま……っ!」
エルフ「子どもは厳しい親相手には見てないところで反抗するもんなんだよ」
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:28:25.78 ID:bOxyqSh7O
魔人「……吹き飛べ」
魔人の『魔導砲』!
ーードレッドダドの半身を消し飛ばした!
盗賊の魔人化が解けた!
盗賊「……後は任せるわね」パタッ
盗賊は気絶した!
商人「盗賊さんは任せてください!」
商人は盗賊を安全地帯に避難させた!
ドレッドダド「アァァ……崩レ……マダ……マダマダァ……消エヌ……マダァ……ッ!」
エルフ「いや、消えろよ」
エルフの『滅撃・炎』!
ドレッドダド「ンギャッ!?」
赤魔「魔法剣うぃずミスリルナイフだ! 倒れるまで何度でも攻撃してやる!」
赤魔の『火炎剣』!
ドレッドダド「ギィィ……ッ!」
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:36:03.31 ID:bOxyqSh7O
ドレッドダド「メスガキ風情ガ……!」
ドレッドダドの『ぶん回し』!
戦士はパーティを庇った!
戦士「これ程度の攻撃では俺一人倒せないな」
ドレッドダド「貴様ァァッ!」ウゾゾッ
銃士の『アルカナショット』!
ドレッドダドの触手は大きく怯んでいる!
銃士「お兄さん、後はサポート役に徹しますぅ」パシュッ……ガチャッ……ギギィ……パシュッ
ドレッドダド「グ……コノ……ッ!」
エルフ「これで好き放題全力攻撃できるね」
赤魔「……何度でも焼き切ってやる!」
ドレッドダド「ヒ……ッ!」
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:38:38.84 ID:bOxyqSh7O
エルフの『滅撃・炎』『滅撃・炎』『滅撃・炎』……!
赤魔の『火炎剣』『火炎剣』『火炎剣』……!
銃士は反撃しようとする触手を撃ち落とす!
戦士はパーティを庇い続けている!
ドレッドダド「タ、タスケ……イヤダ……」
エルフ「ふざけんなよ……!」ドゴォォッ!!
銃士「助けを求めるにはだいぶ手遅れやなぁ。ドレッドダドさんの来世にご期待ください」パシュッ
ドレッドダド「イヤダ……死ニタクナイ……死ニタク……」
赤魔「あの娘だって、おんなじこと思ってたんだよッ!」ザクッ、メララ…ッ!
戦士「還る前に痛みを知れて良かったな、贖って安らかに眠れ」キィンッ
ドレッドダド「ゥォォォォ……」
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:41:14.97 ID:bOxyqSh7O
エルフ「はあはあ……どりゃぁっ! これでラストだぁ……ッ!」ググッ……!
戦士の攻撃!
触手<<スパッ
ドレッドダドを倒した!
赤魔「あっ」
エルフ「…………」
戦士「……俺たちの勝ちだな」にこっ
エルフ「この振り上げた『破魔の杖』、どこに振り下ろすべきかな……どこに振り下ろすべきかなぁ!?」ジリッ
戦士「いやいや、仕方ないだろ……」
銃士「わはは、カッコつかんな主人公(笑)」
エルフ「ふんっ」
銃士「あぶなっ!?」
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:43:30.41 ID:bOxyqSh7O
赤魔「盗賊! 大丈夫か!」ダダッ
商人「眠ってるだけでおそらく問題ないです」
エルフ「商人、意識がないからっていかがわしいことしてないよね?」
商人「銃士さんじゃあるまいしあり得ませんよ」
銃士「いや、俺かてせんけどね!?」
戦士「しかし、すごい技だったな」
銃士「なぁ? 魔人ってすごいんやな」
赤魔「な、なあ!」
エルフ「あんだよ?」
赤魔「その、盗賊のこと、できれば、怖がったりしないでほしいんだ……盗賊だって必死だったから……」
ぽんっ
戦士「誰も感謝こそすれ怖がってなんかないさ」
商人「そうですよ。魔人というからもっと恐ろしい姿かと構えていたらそうでもありませんでしたしね」
銃士「せやせや。あの姿で冷たい目で罵られたら気持ち良さそうや」
エルフ「君はちょっと黙ってようか。別に今までの人がどういう反応してきたか分からないけどさ、この最強で最高に可愛くて有能なリーダー率いるチームエルフのメンバーがたかがそれくらいでビビったりしないよ」
赤魔「……エルフ」がばっ
エルフ「ちょっ……」
赤魔「口が悪くて態度が悪くて意地が悪くてもお前はやっぱり良いやつだなぁ!」ぎゅぅぅ…
エルフ「やかましいよ!」
銃士「盗賊はん、この光景を見られず残念やなぁ」
652 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:45:25.11 ID:bOxyqSh7O
スゥゥゥ……
商人「あ、帰れるようになったみたいですね」
エルフ「このダンジョンってもしかしてもう機能しない? それとも私たちが出た後で全て元通りになるの? ……下手したら今回の親娘も」
商人「ど、どうなんでしょうか? ボスを倒した事例はありませんからね。ダンジョンは攻略されたがっている、というのならもう戻らないのかもしれませんね」
エルフ「……下手したら稼ぎ場が一つなくなっちゃうじゃん! 商人! アイテム! レアアイテムの確保だ! 赤魔! 銃士も! 戦士なら一人背負おうが探索ぐらい余裕だよね!?」
商人「持っていけるだけ持っていきます!」
銃士「よっしゃ、荒らしたろ!」
赤魔「レアアイテムが待ってるぜ!」
戦士「元気な奴らだな……」
Chapter4:幻惑の街
ーーーーーーーー
653 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:50:59.90 ID:bOxyqSh7O
○戦士メモ
・ドレッドダド(完全体):最初の出現時は人間の骨のような姿をしていたが、決着をつけた時は触手と甲殻を持つ異様な巨大怪物と化していた。『おもちゃの剣』によって弱体化していなければ間違いなく勝てなかった。あっさりと勝てたのは運が良かったのと、相手に高度な知能があったためにむしろ騙しやすかったことに起因する。
・ダンジョン制覇:この後、聞くところによると幻惑の街はダンジョンでなくなってしまい、アイテムはおろか、魔物も出なくなってしまったらしい。おそらく称賛ばかりされることではないが、今後に出たであろう犠牲者がいなくなること、そして、少女と街の人々が安らかに眠れることは、間違いなく良いことだと俺は信じている。
○エルフメモ
・魔人化:盗賊は3秒だけ魔人に変化できる。魔力の爆発的な増加量を考えると3秒の持続でも大したものだと思う。見た目も恐ろしいバケモノになるかと思ったら、肌の色が変わってツノが生えて目が紅くなったくらいの変化だった。どうでもいいけど、盗賊が男だったら絶対にいかついバケモノの姿になってた。100万G賭けてもいい。そんなに持ってないけど。
・魔導砲:莫大な魔力を収束させて、エネルギー弾を放つ盗賊の必殺技。弱体化してもまだ体力オバケだったドレッドダドを一気に追い込んだ。使用後戦闘を離脱することもあってまさに対ボス決戦技って感じ。
・ダンジョン荒らし:幻惑の街を荒らしたことで累計で9万G近く稼いだ。これだけの金額があれば6等分しても戦士の年収よりも多い。ダンジョンってやっぱり儲かるんだなぁ。幻惑の街がもうダンジョンとして機能しないのが残念でしょうがない。商人、しっかりと換金して、盗まれないようにしてよ!
>>654
コンマ下2桁
ゾロ目:ヤンデレンジェル
ゾロ目以外:通常進行
654 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/21(木) 04:59:16.10 ID:GlVHoG29o
ゾロ目ァ!!
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