エルフ「ダンジョン荒らして金稼ぎ!」戦士「不安しかないが……」

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167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 22:59:14.00 ID:Vssv4X310
お前ら性格と態度と口悪いな
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 23:27:42.57 ID:LtKHi486o
この後反省会シーンが入るだろうから何とも言い難いが戦士はよくこの世界で生きてこれたな

ステータスで『かしこさ』やら『アイデア』が見えていたらゾッとするような数値なんだろうか
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 00:20:18.34 ID:/IWW1NNIo
>>167
あのさ、今のところ君が荒らしだよ
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 00:30:02.50 ID:Gt7atxdmo
ダンジョン荒らしスレ荒らしということか
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/08(火) 00:39:18.84 ID:NBFLDxFb0
エルフが光り物で釣れる……?
なるほど
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 01:20:14.97 ID:vFAGiJq2o
>>17
sageろks
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 01:20:59.39 ID:vFAGiJq2o
安価先間違えた

>>171
sageろks
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 04:00:53.52 ID:bjtazE8u0
これエルフがレイプされかけた方が戦士の為にはなったな
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 05:45:34.95 ID:eEj93Qleo
>>167
メル欄にsageって入力して
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/08(火) 09:43:38.47 ID:2v69t8/aO
sage厨大発狂w
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 09:48:36.81 ID:+BnfOHsP0
C
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 10:26:58.20 ID:v4CyVJfdO
ageてるバカも何回もsageを主張するやつもいるし夏休み真っ盛りって感じですね!
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ssage]:2017/08/08(火) 17:30:16.39 ID:Zz87XUwwO
まー夏休みだし外野は放置でいいだろう時間の無駄だ
次も期待してよっと
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:38:03.93 ID:WSfkZgqmO
・・・

エルフ「目印を消えづらいものにしておいて良かったよ」


商人「本当ですね」


戦士「暗くなる前に行くぞ」


カサ……


エルフ「……ちっ」


エルフは杖に魔力を溜めている!


「ま、待てよ! 魔物じゃねえ!」ガササッ


エルフ「……んん? 黒チビじゃん」


赤魔「はぁはぁ……」


商人「(Aルートと僕たちのBルートはかなり道が隔たってるはずなんですけどね)」


戦士「傷だらけじゃないか。どうした? 盗賊は?」


商人「……話をするにしてもまずは急ぎませんか」


戦士「あ、ああ」


エルフ「それじゃ」スタスタ…


赤魔「あ、おい……っ」

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:39:13.02 ID:WSfkZgqmO


エルフ「…………」スタスタ…


赤魔「…………」スタスタ…



エルフ「……なんでついて来てんの?」


赤魔「べ、別にいいだろ!」


エルフ「こちとら、今は他所と馴れ合う気分じゃないんだよね。さっさとどっか行ってくれる? じゃなきゃ、追っ払うよ?」


戦士「エルフ、どう見ても赤魔は迷子だ」


赤魔「うっ……」


戦士「さっきの今で気が立ってるのは分かるが仕方ないだろ」


エルフ「……ちっ」スタスタッ


赤魔「くそっ……いだっ」ズキッ…


戦士「足ケガしてるのか?」


赤魔「べ、別にこれくらい……くそっ、盗賊がいれば回復してくれるのに……!」ズルズル…


エルフ「黒エルフのくせに回復魔法も使えないの?」ぷっ


赤魔「お、俺が使えなくても盗賊が使えるからいいんだっての!」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:40:41.74 ID:WSfkZgqmO


戦士「俺に乗れ。背負ってやる」


エルフ「はあ!? 君さぁ、腕が完治してないっていってるでしょ!?」


戦士「赤魔くらいなら背負えるだろ。これ以上歩けないようだしな」


赤魔「い、いや、俺はまだ歩ける! ……っ」ズキズキッ


戦士「こういう時は助け合いだろ。ほら」


赤魔「……ありがと」


エルフの『回復魔法』!


赤魔「!」


エルフ「自分で歩け!」


赤魔「あ、ああ。…………ありがとよ」


エルフ「あとで治療代100Gね」


赤魔「んな!?」


183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:42:01.09 ID:WSfkZgqmO

・・・
【異形の島・メジャールート分岐路】


盗賊「……赤魔!」タタッ


赤魔「盗賊!」


盗賊「……このバカが!」ガチッ


赤魔「いだだだだ……!?」


盗賊「危険だっていったろうが! 無茶するな!」


赤魔「ご、ごめんって……!」


エルフ「〜〜♪」


商人「あ、あの、早く小島まで戻りましょうよ」


戦士「もうかなり薄暗いもんな」


184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:44:00.00 ID:WSfkZgqmO

・・・
【最寄の小島】


盗賊「うちのバカを保護してくれて本当に感謝する」


エルフ「ほんとだよ。治療代と面倒を見た料金として200Gね」


赤魔「てめっ……」


盗賊「今はあいにく持ち合わせがないが……何か金になるアイテムはあったろうか」ごそごそ…


戦士「いや、こいつの冗談だ。1Gも払う必要はない」


エルフ「冗談じゃないけど」


商人「うーん……」


戦士「こういうのはお互い様だろう」


赤魔「アンタいい奴だな! 気に入ったぜ!」にっ


盗賊「……だが助けられっぱなしは性に合わないんだ。これとか価値がありそうだけど」すっ


商人「これは『絹蛇の皮』ですね。売値は1Gです」


盗賊「ぐ……じゃあ、こっちのアイテムはどうだ。初めて見る食べ物だし高いんじゃないか?」すっ


商人「これは『透明煎餅』ですね。売値は0.1Gです」


盗賊「0.1G......」

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:44:54.14 ID:WSfkZgqmO


赤魔「盗賊は腕はいいんだけど、アイテムを見る目がゼロなんだよ」


盗賊「キラキラしてるものは高いでしょ」


赤魔「そう言っていつも安く買い叩かれてるだろ」


エルフ「というかキラキラしてる食べ物って不味そうなんだけど」


盗賊「…………」いじいじ…


赤魔「ああ、拗ねた」


エルフ「君たち実力の割にはあんまり実入りはよくなさそうだね」


商人「……それにしても他の冒険者たちはどうしたんでしょう? 来た時はあんなにいたのに」


戦士「ビバークするなら小島に来そうなもんだがな」


赤魔「魔物にみんなやられたよ。情報で聞いていたよりもずっと魔物が多かったよ」


盗賊「しかも情報にない種類の魔物ばかりだったわね。未開の奥地から出てきたか」


戦士「もしくは新種かもな」


盗賊「新種?」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:46:12.27 ID:WSfkZgqmO


商人「飛竜の塔に行った時に普段いない魔物がいたんです。そいつらは大きな黒くて丸い球体から出てきていました」


赤魔「マジかよ」


商人「その時の欠片も取って来たのですが、アイテムじゃないんでしょう。頭に特に何も浮かびません」


盗賊「ちょっと見せてもらえるか?」


商人「あ、どうぞ」


盗賊「…………」


赤魔「心当たりあるのか?」


盗賊「いや。見せてくれてありがとう」


商人「いえいえ」


エルフ「もし飛竜の塔と同状況じだとしたら、このダンジョンの生存率は更に下がるかもねぇ」


戦士「冒険者ギルドに伝えておくか」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:50:50.57 ID:WSfkZgqmO


赤魔「やれやれ、今回は収穫が無かったな。もう少し奥まで探索できてりゃ……」


盗賊「そうやって勇み足だからトラップで吹き飛ばされるんでしょ」


赤魔「うぐ……」


エルフ「なに? どんなトラップ」


盗賊「踏んだ瞬間、バネ付き床でポーンッと」


エルフ「だっさ」


赤魔「う、うるせー! 盗賊もベラベラ言うな!」


戦士「無事でよかったじゃないか」


赤魔「だよな!? いやぁ、お前ほんとにいいやつだ! そんな性悪女よりも俺たちと組まないか?」


エルフ「はあ!?」


戦士「悪いがそれは断るよ。共闘なら喜んで受けるが」


エルフ「さっきの今でその発言って、君は反省や学習という言葉を知らないのかなぁ!?」


戦士「さっきの追い剥ぎたちのことか? そうだな……運が悪かったな」


エルフ「なにそれだけですませてんの!? 下手したら全員死んでたんだからね! 分かってる!?」


盗賊「リスクには適切に対処するべきだ」


エルフ「ほんとだよ!」


戦士「わ、悪かったよ。俺が迂闊だった」


戦士「(どうすればよかったんだか……まあ、いい)」

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:53:19.84 ID:WSfkZgqmO


赤魔「このまま手ぶらで帰りたくねえなぁ……」


盗賊「気持ちは分かるけど仕方ないだろ」


エルフ「(商人、ちゃんと管理してよ?)」ヒソヒソ…


商人「(エルフさんの方もお願いします)」ヒソヒソ…


赤魔「そっちは何か収穫はあったか?」


エルフ「え、い、いやぁ、大したアイテムはなかったよ」えへっ


商人「(嘘つくのヘタ!?)」


赤魔「ふーん……あーあ、異形の島も稼げねえな。次はどうする盗賊?」


盗賊「…………」


赤魔「盗賊?」


盗賊「ん、ああ、いや。ぼーっとしてただけ」


赤魔「…………」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:55:30.91 ID:WSfkZgqmO

・・・
【翌日】


商人「とくに魔物が襲ってくることもありませんでしたね」


戦士「海風も大したことないし、地面も柔らかいからテントも快適だったな。おかげで身体も万全だ」


エルフ「今回の帰還者は私たちだけかな?」


盗賊「もう少しくらい島の中でなんとか生き延びてるかも」


赤魔「お、船が来たぞ!」



冒険者たち<<ゾロゾロ……


エルフ「今回も多いねぇ」


商人「危険なダンジョンなんですけどね」


赤魔「さ、帰ろうぜ」


戦士「二人は帰りも船酔いだな」


赤魔・エルフ「うっ……」

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 21:59:16.13 ID:WSfkZgqmO


<<それでは出航します!


エルフ「やっと帰れるぅ」


戦士「疲れたが、前評判ほどじゃなかったな」


商人「ふぅ……船内がスカスカで気楽ですね」


赤魔「なぁ、盗賊見なかったか!?」


エルフ「あん? 知らんがな」


戦士「トイレでもしに行ったか?」


商人「デリカシー……」


赤魔「いなかった! あいつが言伝なしに単独行となると……ちっ! また独りで何か抱え込んでやがるな!」


赤魔は船を降りた!


<<お客さん!?



エルフ「2日連続でダンジョン攻略とかしんどいでしょ。なに考えてるんだか」


戦士「……」スクッ

191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 22:01:48.60 ID:WSfkZgqmO


エルフ「おいおい待ちなよ。ウェイウェイ」


商人「せ、戦士さん、もしかして……」


戦士「お前らは先に帰っていてくれ」


エルフ「出たよ悪い病気! ダメですー! チームのリーダーとして拒否しますー!」


商人「少し考え無しすぎますよ!」


戦士「……悪いな。明日には帰る」ダッ



戦士は船を降りた!



エルフ「あ、あのバカぁ……!」


商人「戦士さんはどうして今まで生きて来られたんでしょうね……」


エルフ「…………〜〜〜〜っ!」


ダンッ!


エルフ「……」ズカズカッ



エルフは船を降りた!



商人「えぇ……」


192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 22:04:58.88 ID:WSfkZgqmO


<<あわわ、今回の帰還者1名!?



商人「(僕は足手まといだし帰ろう……)」


商人「(……でも、もしかしたら未知のアイテムが見つかるかも?)」


商人「(今回の失態で、次はもうダンジョンに連れていってくれないかもしれないし)」


ポコポコポコポコ……



再び島を訪れる確率<二度と来ない確率

このことから

船に留まることで確実に得られる満足<船を降りることで得られる満足の期待値

よって

船に留まる<自分も降りる

よって

船を降りるのが最適である



チーン!


商人「みなさん待ってください!」ダッ



商人は船を降りた!



<<今日も帰還者ゼロ!?

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 22:10:53.22 ID:WSfkZgqmO

to be continued...



○戦士メモ

・トラップ:生命の危機に繋がるモノからふざけたモノまで幅広い。ふざけながら生命の危機に繋がるモノもあるから要注意だ。

・テント:海岸だと身体がベタつくが、まだコンディションがいい。岩場で傾斜だと目も当てられない。



○エルフメモ

・お人好し:戦士はこれだと思っていたけど最近は本当にバカなだけだと気付いた。アイツと1年も一緒にいた仲間とやらがすごい。今度グチ大会でも開きたい。



○商人の鑑定

絹蛇の皮:売値1G。蛇の皮には金運を上げる効果があると言われています。そのためこの実用性のない蛇の抜け殻にも価格がつくのです。信仰を売り物にするのは“うまい”ビジネスだなぁと思います。もっと課税しろ。

・透明煎餅:売値0.1G。この煎餅を食べると我々は食事の際に見た目を含めて美味しさを感じるのだなぁと実感します。味はよくある煎餅です。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 22:52:33.29 ID:D3g4hYJSO

・・・

盗賊「……」タンッ


ハンニャレプタイルの『噛み付き』!


ミス!


盗賊の『死の針』!


全ての生物を殺す猛毒!


ハンニャレプタイルを倒した!


盗賊「はぁはぁ……長引かせてくれたわね」


ズゥゥン……


盗賊「!」


ハンニャドラゴン「シュー……」


盗賊「(……これは相手したくないわね。やり過ごしていきたいけれど……)」


ハンニャレプタイルの群れ<<シュルルル……


盗賊「(結構まずいな……)」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 22:55:49.22 ID:D3g4hYJSO

盗賊「……くっ、やるしかないか」



赤魔「ーーやっと見つけた!」ザッ



盗賊「赤魔!? なんで残ってるの!?」


赤魔「それはこっちのセリフだ! このアホ!」


戦士「ちょうどいいタイミングだな。特にケガはないようで良かった」ボロッ


エルフ「……」つんっ


盗賊「(むしろそちらが重傷なように見えるけど……)」


商人「あわわ、またギルドの報告にない魔物ですよ! つ、強そうです……!」ささっ


エルフ「ちっ……とりあえず倒すよ!」


エルフは杖の先に魔力を溜めている!

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 22:56:56.84 ID:D3g4hYJSO

エルフ「冬眠してろ爬虫類!」



エルフの『氷点零』!



パキキキキ……ッッ


ハンニャレプタイルの群れは凍えている!



赤魔の『疾風剣』!



盗賊の『加速蹴り』!


盗賊は更に加速する!



戦士の攻撃!



商人「(……戦士さんの攻撃だけなんか地味だなぁ)」

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 22:59:58.67 ID:D3g4hYJSO


ハンニャドラゴン「シュルルル……」


ハンニャドラゴンの『尻尾薙ぎ』!


戦士「やらせるかっ!」ガキィッ


戦士はパーティを庇った!



ハンニャレプタイルの群れは赤魔に襲いかかって来た!


戦士「効くかぁぁっ!」


戦士は赤魔を庇った!



エルフの『氷点零』!


赤魔の『地震剣』!


盗賊の『加速蹴り』!

盗賊の素早さは最高潮に達する!


戦士の攻撃!

クリティカル!



ハンニャレプタイルの群れを倒した!



エルフ「すぐいいとこ取りする!」


戦士「そう言うなって……!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:06:14.62 ID:D3g4hYJSO


ハンニャドラゴン「シュゥゥゥ……ッッ」


ハンニャドラゴンの『麻痺の魔眼』!

戦士は麻痺した!


戦士「ぅぁ……!?」


エルフ「うおいっ!?」



盗賊「……崩す!」


盗賊の『神風蹴り』!


ハンニャドラゴン「シュ……!?」グラグラ…


ハンニャドラゴンは無防備だ!

盗賊の素早さが元に戻った!



エルフ「がら空きだ!」


エルフの『氷結突き』!

クリティカル!



赤魔の『火炎剣』!

クリティカル!


赤魔「今のは相当効いてるぜ!」



戦士は痺れて動けない!


戦士「(攻め時なのにすまん……というかこのままじゃ庇えない。俺を狙え! 頼むからエルフを狙うなよ……!)」ビリビリ…


199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:09:10.80 ID:D3g4hYJSO


ハンニャドラゴン「シャアアアアッッ!」ギロリッ


エルフ「げっ……」


ハンニャドラゴンの『諸刃鞭打』!


クリティカル!


エルフ「みゃふぎゃっ!」


エルフは力尽きた!


ハンニャドラゴン「シュゥゥ……!」


ハンニャドラゴンは反動でダメージを負った!



戦士「ぐっ……エルフ!」ぐぐっ……


戦士の麻痺が治った!
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:11:16.56 ID:D3g4hYJSO


エルフ<<チーン……


商人「エルフさぁん……!」ずるずる…


商人はエルフを安全地帯まで運んだ!



盗賊の『加速蹴り』!


盗賊は更に加速する!



赤魔「これで倒れろ……!」


赤魔の『流水剣』!


ハンニャドラゴン<<ズルズル……


赤魔「……まだか!」



戦士「でやぁっ!」


戦士の攻撃!



ハンニャドラゴン<<グラァ……バタタ……ッ!



ハンニャドラゴンを倒した!
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:12:56.14 ID:D3g4hYJSO


赤魔「よしっ!」


盗賊「ふう……」



戦士「エルフは大丈夫か!」


商人「は、はい。今、気付薬を飲ませます」クイッ


エルフ<<グビッ


エルフ「へびゃぁっ!?」バッ


エルフは復活した!


エルフ「まっず!? まっずーッ!?」


戦士「良薬は口に苦いからな」


エルフ「やかましいわ! ちゃんと私を庇えよ! なに麻痺ってんだ!」ゲシッ


戦士「すまんな……」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:15:58.67 ID:D3g4hYJSO


盗賊「……」


赤魔「おい盗賊! どうして勝手に船を降りたんだよ!」


盗賊「あの黒石が置かれてないか気になったのよ」


商人「黒石……昨日見せたあの欠片ですか?」


盗賊「そうだ。あれに心当たりがあってね。ずっと追いかけているヤツと繋がってるはず」


赤魔「それって……そうだったらお前だけの問題じゃない!俺たちの問題だ! 俺たちは親友だろうが!」


盗賊「…………」


エルフ「取り敢えずもう少し詳しく説明してもらえる? 私たちも探索ついでに黒石探すのを手伝うからさ」


戦士「ああ……」ぼろぼろっ


盗賊「あ、ああ。……大丈夫か?」


戦士「ああ。丈夫な体だけが取り柄だからな」


盗賊「……そう」



203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:20:08.85 ID:D3g4hYJSO

・・・

盗賊「転移石。それが例の黒石の名前だ」


商人「転移というと……別の場所に移動することができると? 未知の魔物たちは石が生み出してるわけでなく、別の場所から移ってきたと?」


盗賊「まあ、大体そう考えていい。ただし重要なポイントが二つある」


戦士「何だ?」


盗賊「一つは原則として転移が機能する場所がごく限られていること」


エルフ「ダンジョンでしか使えないの?」


盗賊「それは十分条件だ。ダンジョンが出現しうる場所でしか反応しないんだ」


赤魔「とびきりエネルギーが溜まりやすい場だな」


盗賊「そういうこと」


エルフ「そういえばダンジョンってそうだよね。魔法が使いやすい」


戦士「そうだったのか」←魔法の才能皆無
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:21:35.78 ID:D3g4hYJSO


商人「それが何故かも気になりますけど、もう一つは何ですか?」


盗賊「もう一つは転移石による転移の対象は異世界の物質に限るということだ」


エルフ「うお、ブチこんできたね」


戦士「異世界……?」


盗賊「この世のものじゃないアイテムやら魔物やらがどんどんと湧いてくるのもダンジョン自体が異世界から移動した異物で、未だに異世界との接点となってるからだ。むしろ異世界が存在しない方がよほど不自然だろう」


商人「異世界はないのが不自然ってすごい言葉ですね。でも、まあ確かにそうかも」


エルフ「そんで? そのナントカ石が何だっていうの?」


盗賊「転移石は人工物なんだ。そして転移石を作ったのが、私の探してる人間だ」


商人「ああ、それでもし石があればその探してる人の手がかりが見つかるという話になるわけですね。痕跡が残ってたらだとか」


盗賊「察しがよくて助かるわ」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:23:48.77 ID:D3g4hYJSO


戦士「なんでその人を探してるんだ? 大切な人なのか?」


盗賊「……まあ、そうね」


赤魔「……」


エルフ「あれでしょ? 探してるのは元カレで未練タラタラで元サヤ狙いか復讐なんでしょ?」


商人「ソープオペラですね!」


赤魔「きゅ、急に下ネタ言うなよ!」


エルフ「いや、下ネタじゃないから。戦士がよく行く“たまたま”女性と出会ってイイコトしてもらうお風呂屋さんとは無関係だから」


戦士「行ったことねえよ!」


エルフ「え、まだ童貞なの?」


戦士「なぜそうなる……いや、ノーコメント」


商人「(戦士さん……)」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:28:02.14 ID:D3g4hYJSO



赤魔「……ど、童貞とかそういうのは声を大きくして言うことじゃないだろ」カァァ…


エルフ「カマトトぶってるねぇ……それで探してる人とはどう言う関係?」


盗賊「今の話の流れで言うのはちょっと憚られるわ」ハァ…


エルフ「あーあ、戦士のせいだよ」


商人「戦士さん……」


戦士「なんでだよ!? 俺は悪くないだろ!」


赤魔「そ、そんなことより先に進もうぜ!」カァ…


エルフ「ぷぷっ、これくらいで顔を赤くしてるとかウブだね」


盗賊「赤魔は相変わらず天使ね(さっさと進むぞ)」キリッ


商人「(これは本音と建て前が逆なあれですかね……)」」


戦士「生存率25%の危険なダンジョンだというに、どうしてこんな暢気な会話をしてるんだか……」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/09(水) 23:31:46.80 ID:D3g4hYJSO

to be continued...



○戦士メモ

・ハンニャドラゴン:まさか麻痺させられるとは俺も情けない。簡単に崩されないように気を付けねばいけない。

・ハンニャレプタイルの群れ:四人で戦えば大したことないが、俺とエルフだけだったら手こずっただろう。

・転移石:異世界から物質を転移させる人口石らしい。使用可能場所はダンジョンのようにエネルギーに溢れている場所に限るそうだ。報告にない魔物がダンジョンに多くいるため、設置されている可能性がある。



○エルフメモ:


・気付薬:苦いのか甘いのか辛いのかはっきりしないがマズいことだけは確かだね。あれだけマズければ嫌でも目を覚ますよ。

・異世界:いきなり異世界とか言われても正直困るよ。なんでも有りじゃん……そもそもダンジョンがそうか。

・泡のお風呂屋さん:ギャンブルの借金が返せなきゃここに沈められるところだった。怖い怖い。

・童貞:戦士のことだね!
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 00:14:18.96 ID:UkxXihqQ0
赤魔や盗賊にも鑑定士がいるな
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 01:08:00.39 ID:5tZUrcxA0
確かにこんな戦士とはパーティー組みたくないな
一年保った奴は凄いな
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 01:36:47.91 ID:4JhOmI4Oo

更新おわりのメモ好きやで
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 05:49:32.68 ID:hDlD++Ddo
戦士はそういう雰囲気になっても手を出せなさそうだよな
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/10(木) 16:46:43.30 ID:Uzq9hS860
上条や士郎と同じタイプだな
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:52:55.01 ID:mkTpdPNaO

・・・

商人は『瞬足シューズ』を手に入れた!

商人は『鯨油の無限壺』を手に入れた!

商人は『限定ICカード』を手に入れた!



商人「わぁ……珍しいアイテムがいっぱいですね!」むふーっ


戦士「(キワモノばっかりな気がするが……)」


エルフ「500G草や800Gの果実はないかな」



赤魔「アイテム見つけるの早いなー、俺たちよりはるかに目敏いな」


盗賊「私たちだけだと警戒に気を割くから仕方ないわよ」



商人「あそこにもアイテムです!」


戦士「うお、本当だ」


エルフ「よくあんなの気付くね」



盗賊「……やっぱり単純に見つけるのが上手いわね」

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:55:44.85 ID:mkTpdPNaO



盗賊「ストップ。その大岩は変だ」


戦士「ん?」


エルフ「そう?」


盗賊「形状と色味が他と違う。『爆弾岩』だな」


商人「爆弾岩というと……近くに火気があると引火して辺り一帯を火の海にするトラップですね」


赤魔「こわっ……」


エルフ「もし岩陰で野営したら、大惨事だね。黒チビ、火炎使わないでよ」


赤魔「その呼び方やめろよ!」


戦士「爆弾岩が他にも存在するかもしれないと考えると恐ろしいな。さっさと岩山地帯から抜けてしまいたい」


商人「販売されている地図だと岩山地帯を抜けた辺りで途切れてますね」


エルフ「奥に謎のオブジェがあって、それを囲ってる巨大なボスがいるんでしょ」


盗賊「このルート上に報告にない魔物が多く出てくるということは転移石があるとしたらそこだろう」


エルフ「お約束みたいに奥地にあるねぇ」


赤魔「やっこさんはそれだけ転移石を壊されたくないんだろ」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:57:24.65 ID:mkTpdPNaO


エルフ「……!」サッ


戦士「敵か……!」チラッ



ヒトクイムシ<<バリッバリツ…


<<ぎゃぁぁぁ……っっ



商人「ひゃぁぁ……っ」ガクガク…


エルフ「冒険者? 数日間迷っていたのかな? あれはもう助から……」



戦士はヒトクイムシへと駆け出した!



エルフ「あ、あのバ……ッ!」パクパク…


盗賊「彼は随分と危なっかしい行動を取るな。ダンジョン冒険者には向いてないだろ」


赤魔「でも助けるのには賛成だぜ!」



エルフ「…………」


商人「(ま、魔物よりも、こ、こわ……っ)」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 00:59:11.85 ID:mkTpdPNaO

・・・

ヒトクイムシを倒した!



戦士「大丈夫か!」


返事がない
ただの屍のようだ


盗賊「……間に合わなかったか」


エルフ「ふう……戦士くん、ちょっとお話をしましょうか」


商人「……」ガクガク…


戦士「あー……急に飛び出して悪かった」


エルフ「謝ればそれで済むと思ってるのかな?」


戦士「……すまん」


エルフ「…………ふう。君さ、自己犠牲で自尊心を満たしたいとでも考えてる?」


戦士「そんなつもりは……いや、それでいい」


エルフ「あ? ふざけんな。ちゃんと答えろ」


赤魔「(ガチギレかよ……怖っ)」

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:00:57.09 ID:mkTpdPNaO


戦士「……助けられる命は救いたい。困っているやつを助けたい。俺はそうした信念をもって生きていて、それを達成しようと努めている」


エルフ「そうした生き方をするために君は私たちを危険な目に遭わせたり、私たちを不当に傷付けるんだね?」


戦士「そんなつもりは……すまんな」


エルフ「だから謝ってほしいわけじゃねえんだよ。分かんねえのか。そうした欺瞞に満ちた利他心で行動すんのをやめろって言ってんだ。脳みそガバガバかよ」


戦士「…………」


エルフ「どうして同じ認知能力を持ってる私たちが、ここまで噛み合わないかな? 私が悪いの?」


戦士「そんなことはない。……俺たちはもう組まない方がいいかもな」


エルフ「なんでそうなるんだよ!」


商人「あ、あの……少し良いですか!?」


盗賊「(あの空気に割り込むとはやるわね)」


商人「えっと……えーっと……ちょっとだけ僕の話をさせてください」


エルフ「…………」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:03:11.39 ID:mkTpdPNaO


商人「この前、アイテムの交易のお手伝いとして港に行ったんです」


商人「そこで僧侶さんの集団に出くわしたんです。彼ら彼女らはバケツを持っていました」


商人「バケツの中には水と生きた魚が数匹入っていました」


商人「彼らはお祈りをした後に魚を海に返しました。お店の先輩によると毎週お馴染みの光景だそうです」


商人「僕は気になったから彼らに何をしてるか聞きました」


商人「『神の御許において収奪されんとした生命を救っている』と彼らは言いました」


商人「その魚は市場で10Gで買われた魚でした。彼らは10G分の死ぬ定めにあった魚たちを海に逃がしてあげていたんです」



赤魔「……えーと? どういうことだ?」

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:06:46.56 ID:mkTpdPNaO


商人「善意って美しいと思います。彼らはその信念に従って魚を助けていました。彼らの善意は本物だったと僕は思います」


商人「戦士さんがいかに捉えていようと、戦士さんの誰かを助けようとすふ行動は美しい善意に違いないも思います」


商人「同時に思うのです。彼らは毎週20Gを支払って数匹の魚を逃している」


商人「もしもその2倍のお金を漁師に払って今日は魚を捕らないでくれと頼んだら、きっと購入した以上の魚を助けられたでしょう」


商人「善意は美しいです。けれど、美しいだけじゃダメなんですよ」


商人「いっぱい考えて上手いやり方を探さなきゃダメなんです。それをしないなら……やっぱりそれは怠惰な心が生み出した自己満足になっちゃうんです」


商人「……戦士さんはそういう人じゃないと思うんです」


戦士「……つまり今の俺の行動は思考が停止した安直で非効率な自己満足に過ぎないと?」


商人「この際、自己満足とかどうでもいいんです。非効率なのがダメなんです」


盗賊「へえ……言い切るわね」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:08:18.37 ID:mkTpdPNaO


商人「せ、戦士さんの身体は一つなんです。その身体で守れるものはきっと戦士さんが思ってるよりもずっと少ないんです」


商人「それなら戦士さんは実行可能な上手いやり方を見つけなきゃいけないんです」


商人「エルフさんはそれを怠ってる戦士さんを怒ってるんですよ。出来ないことをやろうとして非効率になってるのが許せないんです」


エルフ「ん、んー……? そうなのかな……? そうかも?」


戦士「頭の悪い俺には難しいが、何となく言いたいことは分かった……のか?」


盗賊「理想は持っても良いが、もっと地に足をつけて現実的に考えて行動しろってことだろう」


商人「そ、そうです」


戦士「……なるほどな。確かにそういう考えは俺にはなかったかもしれない……そうか……」


商人「戦士さんは、話し合えば人は分かり合えると思ってるんですよね?」


盗賊「……」


戦士「ああ」


商人「僕たちももっと分かり合う必要があると思います。帰ったらチームエルフの原則を議論して作りましょう。きっと僕たちには必要なことだと思います」


戦士「そうだな……」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:09:53.40 ID:mkTpdPNaO


エルフ「暫定ルールは『チームのメンバーの命を優先する』ね。分かった?」


戦士「ああ。……エルフ、悪かった。すまん」


エルフ「……まあ、私だって戦士のそういうところ嫌いじゃないけどさ。パーティーを危険に晒して欲しくないよ。生命あってなんぼなんだからさ」


戦士「……そうだな」


赤魔「俺は戦士のそういう人情に厚いところ好きだから、無茶しすぎなきゃこれからもそのままでいて欲しいけどな」にっ


戦士「ありがとな……」


商人「(丸く収まって良かったです)」ほっ



エルフ「あと、帰ったらここにいる全員にグランドホテルレストランのフルコース奢ってね」


戦士「無茶を言うな! 破産するわ!」


赤魔「ほんとか!?」キラキラッ


戦士「無理だからな!?」


エルフ「無い袖を振ろうとしてる戦士さんに不可能はないよ!」


戦士「いや、ほんと悪かったって……」


to be contonued...
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/11(金) 01:11:31.67 ID:mkTpdPNaO
○戦士メモ

・爆弾岩:ダンジョンで大爆発の音と振動に出くわしたら爆弾岩が爆発した可能性がある。威力は凄まじく、半径100メートルにいる生物は致命傷を負うため探索の際には用心しなければいけない。

・ヒトクイムシ:イモムシのうよな大型の魔物だ。人さえも捕食する危険な魔物であるため、注意する必要がある。



○エルフメモ

・謎のオブジェ:ダンジョンの奥にあるらしいよ。ご都合主義だなあと思わないでもないけど、奥まで行って何もないというのも虚しいから良しとしようじゃん?

・善意:商人のエピソードは基本的にパクリだそうだ(戦士にはナイショ)。まあ、商人にしては叙情的だったしそんな気はしてたよ。


○商人の鑑定

・瞬足シューズ:売値15G。ゴテゴテした意匠のスポーツシューズ。小学生男子垂涎の逸品です。コーナーで差をつけろ!

・鯨油の無限壺:売値50G。手のひらサイズの小瓶ですが、鯨の油がこれでもかというくらい出てきます。成分的には食用には適さないため、ランプや松明として使うのに適しています。

・限定ICカード:売値10G。限定と言われていますが、むしろ通常版の方が流通数が少なかったりします。そのデザイン性からコレクターが少なからずいます。端を削って武器として使えないこともないかも?
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 01:12:26.33 ID:7uSaTHBso

戦士が痛い目見る前に丸く収まって良かったわ
これから痛い目みないとは限らんが
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 01:27:01.80 ID:plXhoa4A0
今回助けに行ったときに爆弾岩作動させて残ったメンバー傷付いていたら戦士も理解できたかもな
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 01:40:49.74 ID:6W+Iqlso0
丸く収まってよかった(´・ω・`)
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 06:06:47.56 ID:9RY12aRgo
戦士は話し合いのあとも内心あんまり納得行かなくてエルフの片腕吹き飛ぶくらいしないと考え方変わんないと思う
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:45:17.28 ID:WboWBQuVO


・・・

盗賊「ところでさっきの冒険者がこんなアイテムを持っていた。懐の奥に隠していたから汚いが、レアアイテムだったりしないか?」


戦士「遺体から追い剥ぎするなよ……」


盗賊「そう言われると思ったから、ここまで黙っていた」


商人「これは『真実の鏡』です。幻などを見破り、また防ぐことができます。値段が付けられないほど貴重なアイテムです。大事にしてください」


エルフ「(むむ……解析マシンと一緒の扱いか。あっちに取られたの痛いな。商人も馬鹿正直に答えなくていいのに)」


盗賊「真実の鏡……大層な名前ね」


赤魔「かっけー!」


戦士「何処かで必要になるかもな」


エルフ「はいはいフラグフラグ……」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:47:02.78 ID:WboWBQuVO

・・・
【異形の島・フロンティアライン】


商人「ここが異形の島の地図最奥です。ここから先は冒険者がまだ入っていないということになっています」


赤魔「なんでこれより奥に行かねえんだろうとは思ってたけど納得だぜ」


<<ドロドロ……


盗賊「ここを越えていくにはあの銀色のヘドロを倒さないと無理ね。見事に道を塞いでやがる」


戦士「回避しようにも左右は急崖だからな、どうしても無防備なところを狙われる」


エルフ「逆に言えば、こいつを倒せば奥にある未知のお高いアイテムに出会えると……」


戦士「あれに勝てる算段がつかないが……」


盗賊「……! オブジェの上に転移石があるわね」


赤魔「どれどれ……うへ、あのヘドロに完全に覆われてるじゃん」


商人「あそこに到達するのは大変そうですね……」



転移石<<ズブズブ……



エルフ「ちょうど魔物が転移してきたみたいだよ。こっち来ないといいけど……」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:50:26.75 ID:WboWBQuVO

ハンニャレプタイル<<ズブズブ……ボタッ


ジュプゥゥ……


赤魔「うおっ? 魔物がヘドロに食われてぞ……」


エルフ「助けようとか考えないでよ?」


戦士「そこまで無差別でもないって」


商人「エルフさん、強さを測ってみましょう」


エルフ「やれやれ、見たいような、見たくないような」スッ


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ


エルフ「どれどれ……」


・悪食粘獣
HP:9999
こうげき:1000
まほう:0
ぼうぎょ:9999
すばやさ:100



悪食粘獣<<ドロドロ……


エルフ「ううん……?」


戦士「なんだこのふざけたステータスは?」


商人「どうも正攻法じゃ無理みたいですね……」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:51:48.91 ID:WboWBQuVO

盗賊「おそらく隙はある」


赤魔「えー、ほんとかよ?」


盗賊「転移石から出てきただろう魔物が実際にダンジョンの中にいるならあのヘドロが転移石から離れる瞬間があるはずだ」


エルフ「他の場所にも黒石がある可能性は?」


盗賊「それもあり得るが……しかし新種魔物の移動方向を見るにあのヘドロから生存してる確率が大きい」


戦士「暫く観察してみるか」


商人「帰りはどうしましょう……」


エルフ「結構な数の魔物が出てきてるから割と時間はかからないかも。……まあ、日没前に小島まで戻りたいからあまり時間はないけど」


赤魔「夜に寝てるとかだったらどうしようもねえな……」


戦士「祈るしかないな」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:55:39.48 ID:WboWBQuVO

・・・

悪食粘獣<<ズズズズズズ……



戦士「オブジェの中に入って行ったぞ……」


エルフ「これは隙だらけなのかな? ちょっと怖いね」


盗賊「……私が行く。おそらく私なら不意打ちでも回避できるはずだ」


赤魔「おいおい……!」


盗賊「大丈夫だ。無茶はしない」


戦士「俺も行く」


盗賊「気持ちだけ受け取っておく。鈍足は足手まといだ」


戦士「……」しょぼん…


エルフ「へっ」


商人「き、気を付けてくださいね……」


エルフ「(というか、今ならダンジョンの奥に進めんじゃない? ……ヘドロの引きこもりが頻繁に起きるならこいつを避けるのはそこまで問題にならないはず……奥にもっとヤバいのがいるのかな)」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:56:43.29 ID:WboWBQuVO


転移石<<ブブブブ……


盗賊「……」


盗賊の『加速蹴り』!


転移石には効果がないようだ……



エルフ「やっぱり物理的な攻撃じゃ壊せないみたいだね」


商人「それで飛竜も転移石自体は放置していたんですね」


戦士「やはりこの転移石も壊しておくべきだろう」


エルフ「そう? 放置してたらアイテムの価格が更に高くなっていいんじゃない?」


赤魔「それだけこのダンジョンが更に危険になるってことだろ?」


エルフ「リスクをとる代わりに儲ける仕事なんだからそれくらい仕方ないじゃん」


戦士「……まあ、俺に壊せない上に危険な以上は無理強いはできない」


商人「戦士さんにもそういう分別があったんですねー」


戦士「お前は俺をどんな人間だと思ってるんだ……」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 22:58:36.12 ID:WboWBQuVO


盗賊「すまない、待たせた」


戦士「何か手がかりは?」


盗賊「……転移石に名前が刻まれていた。私が追っている奴の名前だった」


赤魔「……そうか」


エルフ「そいつはなんでダンジョンに転移石を設置してんの?」


盗賊「……分からない。ただそいつはおそらく多くのものにとって望ましくないことをするだろう」


戦士「盗賊がその人物を追っている理由は……」


盗賊「正義のためとかじゃない。復讐だよ」


エルフ「血生臭い話? 見つけ出してコロコロするぜ的なノリ?」


盗賊「……そうね」


赤魔「むう……」


234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 23:01:33.65 ID:WboWBQuVO


悪食粘獣<<ズズズ……


戦士「おっと」


商人「わわ、また出てきちゃいましたね」



悪食粘獣<<ボコボコボコボコ……!



エルフ「ちょいちょい……どんどん膨張してるんだけど……!」


赤魔「……なあ、この辺りに草が生えてないのって、そこまでがこいつの生息域だったりしないよな?」


盗賊「……いや、岩山地帯は生物がいたから違うだろう。だがこの辺りは……」



悪食粘獣<<ーーーードッバァァッッ……!



エルフ「に、逃げろー!」



エルフたちは逃げ出した!



to be continued...

>>236コンマ2桁
ゾロ目:バトル・メイドロイド
ゾロ目以外:通常進行
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/12(土) 23:03:40.56 ID:WboWBQuVO


○戦士メモ

・悪食粘獣:巨大で不定形な銀色の魔物だ。普通の攻撃では倒せないため、何かしら工夫が必要だろう。



○エルフメモ

・ステータス:しかしこの数値ってどれだけアテになるんだろう? このステータスは今の強さを表すだけで時間と共に変わっていくと思うんだよね。あと多分特殊な能力とかが測れてないんじゃないかな。何にせよ参考程度だよね。

・復讐:そんなことしてる暇があったらお金を稼いでゼイタクしたい。



○商人の鑑定

・真実の鏡:売値は貴重なため付けられません。悪意ある幻を打ち消し、真実を人にもたらします。ところで、その鏡が定義する真実と僕たちの信じる真実が食い違ったとき、それは本当に私たちにとっての真実になり得るのでしょうか。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 23:50:28.93 ID:Llo3JZqqO
ほい
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 00:51:11.65 ID:B/PStSVk0
ぞろ目の展開気になる(´・ω・`)
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 09:51:52.05 ID:fOFy/gLjo
そのままバトル展開だと確実に負けイベントっぽそう
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/13(日) 12:19:29.37 ID:liAPTBDy0
>>131
鏡が必要になりそうなダンジョン
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 12:25:48.82 ID:Ashw4SsBO
まあ街だろ
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 13:28:49.89 ID:6lLjpqMA0
>>239
荒れるからsageろよ
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 15:26:16.88 ID:iSsEKLf1O
ただ戦士にはまだ痛い目に見てもらわないとな余りにも甘すぎる心では思ってても行動出来ない位のトラウマ受け付けないと
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 17:23:49.56 ID:PbKt6SB4O
>>241
sage厨が荒らしてる自覚持とうなw
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 17:45:25.95 ID:GQXhHK9yo
>>243
俺もだけどいちいちそういうのに反応するから荒れるんだよ
つまりお前が荒らしてるも同然
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 19:30:48.38 ID:Yra3CovBO
無限ループかな?
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 21:01:17.41 ID:Gf0seSxgO
面白い
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 21:31:35.85 ID:bPSk5Nbm0
世界樹みたいで面白い
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:10:08.30 ID:WqzGoYryO
・・・
【翌日・帰還船内】



戦士「今回の帰還者も俺たちを除いて僅か数名か……」


商人「そろそろ噂になってるかもですね」


エルフ「この調子だと生存率が下に変動しそうだね」



赤魔「あの銀色のヘドロさえいなけりゃ転移石を壊してやっても良かったんだけどな。そうすりゃ強い魔物も出てこねえだろうし」


盗賊「場所は分かってるんだ。何とでもなるだろう」


エルフ「このダンジョンは暫くいいや。他の冒険者に襲われたり散々だったしぃ」


戦士「……あいつらは結局ダメだったようだな」


商人「自業自得ですよ」


戦士「……あいつらも生きる為に仕方なくやってたのかもしれない」


エルフ「知らん知らん。そんなこと言い始めたらキリがないし後味が悪い」


戦士「そうか……そうだな」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:14:08.53 ID:WqzGoYryO

赤魔「そういや、エルフ。勝負は俺の勝ちだな!」


エルフ「何の話かな」


赤魔「ダンジョンに来る前に勝負しようって話しただろうが! より高いアイテムを手に入れた方が負けた方の言いなりになるって約束でよ!」


エルフ「ああ、そういえば……どうして君たちの勝ちになるのかな?」


赤魔「こっちには『真実の鏡』がある! 値段がつけられないほど貴重なアイテムなんだから俺たちの勝ちだ!」


エルフ「おいおい、値段がついてないってことは0Gに等しいだろ?」


赤魔「はあ!? むしろ∞Gだろ!」


エルフ「私たちは実数値の中で争ってるつもりなのにプライスレスだから価値とか言われてもねぇ……」


赤魔「んな……」


エルフ「というわけで、やっぱり私たちの勝ちでしょ?」


赤魔「いや待てよ! 俺たちのは貴重アイテムなんだぞ!?値段もつけられないほど貴重なんだ! やっぱり私たちの勝ちだ!」


エルフ「駄々をこねないの」


赤魔「なんで私が間違ってるみたいに言うんだよ! そもそも実数値だけなんて条件付いてなかったろ!」


エルフ「いや、そこは暗黙裡にさぁ……」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:16:25.30 ID:WqzGoYryO


戦士「引き分けでいいだろ、もう。実際に価値はあっちの方が上のようだしな」


エルフ「むむむ……」


盗賊「死体から取ったものだからあまり威張れたもんじゃないだろ」


赤魔「うぐぐ……」


商人「仲良くグランドホテルのレストランで食事しましょう! 戦士さんの奢りで!」


戦士「それ本気だったのかよ!?」


エルフ「ごちそーさまでーす♪」


戦士「無理だっての!」


赤魔「あそこのパイ包みは貴族もうなるって聞いたぜ!」キラキラッ


戦士「いや、あの……」


盗賊「肉料理が楽しみね」


戦士「…………」



紹介状なしでは入店できませんでした
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:18:52.47 ID:WqzGoYryO

・・・
【大衆食堂】


エルフ「まさかお金があっても紹介状なしでは入れないとは……お高くとまりやがってぇ……」


戦士「俺は助かった……」


エルフ「ちっ、戦士がもっとコネを持ってたらなぁ……はぁー、エルフちゃん不幸で可愛そう」チュー…


戦士「さいですか」グビッ


エルフ「おらっ!」ズゴッ


戦士「頭突きはやめろ! 飲み物が溢れるだろ!」


盗賊「こいつらはいつもこうイチャついてるのか?」


商人「一緒に暮らしてるくらいですからね」


赤魔「んなっ! そ、そういうのってどうなんだよ……!」カァッ


盗賊「何赤くなってるのよ。可愛いわね」


エルフ「好き勝手言ってるけどイチャついてないからね! ふざけんな!」


戦士「俺のセリフだ……」


エルフ<<ズゴッ


戦士「無言の頭突きはやめろっての!」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:22:43.59 ID:WqzGoYryO


エルフ「はーい! 戦士くんの説教会を始めまーす!」


戦士「もう説教はさんざんされたような……」


エルフ「まだまだ反省が足りないからダメですぅ!」


戦士「お前、もしかして酔ってないか?」


エルフ「はあっ? 酔ってないなんかないれすぅ!」



盗賊<<グビッ


盗賊「……しまったわね。これがエルフのジュースで私のサワーがそっちか」


赤魔「色が同じだから間違えたんだな」



エルフ「戦士のあほやろー!」ヒック


戦士「またメンドくさいやつが酔ったな……」


商人「お酒弱いんですね」


エルフ「戦士はもっと可愛いエルフちゃんを特別扱いしろこらー! 他のやつ守ってる暇があったら私を守れこらー! もっと私に構えこらー!」ヒック…


戦士「はいはい」


エルフ「なんだその生返事はー!」ズゴッ


戦士「なんでそんなに頭突きが好きなんだよ!」



ぎゃーぎゃー……!
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 22:25:27.38 ID:Ashw4SsBO
砂糖吐きそう
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:26:14.26 ID:WqzGoYryO


赤魔「酔っ払いの相手は大変だな」


商人「戦士さんは対処とか介抱とか慣れてそうですけどね」


盗賊「注文。テキーラダブルでストレートで」


<<か、かしこまりましたー


商人「そ、そんなに強いの呑んで大丈夫ですか? 」


赤魔「大丈夫だろ。こいつが酔ったところなんて見たことない」


盗賊「そこそこ飲める体質だ」


商人「うへぇ……あ、僕はお茶ください」


赤魔「一応成人済みだろ? 飲まないのか?」


商人「下戸なんですよ」


赤魔「あはは、見た目通りだな」


商人「ほっといてください……赤魔さんは?」


赤魔「俺は未成年だし」


商人「ああ、年下なんですね……」


255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:28:38.68 ID:WqzGoYryO


エルフ「……」すぴー


戦士「好き放題言うだけ言って眠りやがった」


盗賊「それだけお前の死に急ぐような様が心配なんだろう。少し自分の行動を省みることだな」


戦士「……まあ、な」


赤魔「盗賊だって自分勝手な行動しただろ。俺だって怒ってるんだからな!」


盗賊「悪かったわよ。ほら、唐揚げ食べていいわよ」


赤魔「いえーい♪」


商人「(赤魔さんは単純だなぁ……)」


赤魔「一緒にダンジョンから帰ってきてこうして食事の席を囲んだのも何かの縁だ。またダンジョン行くならする時は声をかけてくれよ」にっ


戦士「ああ。そっちも困ったり人手が必要な時は頼ってくれ」


盗賊「あまり群れるのは好きじゃないが……まあ、お前たちならある種の信頼は置けそうだ」


商人「お金が絡めば喜んで協力しますよ」


赤魔「これからよろしくな!」



赤魔と盗賊がチームエルフに加わった!



エルフ「勝手に話をすすめんなこのー……」むにゃむにゃ…
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:32:38.42 ID:WqzGoYryO

・・・
【戦士(とエルフ)の部屋】


エルフ「せんしー、お腹すいたー」ゴロゴロ…


戦士「一日中ごろごろしてお前は猫かよ……」


エルフ「えー、だって出歩く用事ないしー……私可愛いから悪いおじさんに攫われそうだしー」


戦士「……。ダンジョンにでも行ったらどうだ?」


エルフ「流さないでよ。だって戦士マネーで暮らしてるからお金に困ってないしねー」


戦士「あ、1000G返せよ。この前もなんだかんだだいぶ稼いだろ。取り敢えず500Gでいいからさ」


エルフ「……」もぞもぞ…


戦士「なんで布団の奥に潜った。おい」


エルフ「稼いだ大金……うっ、頭が……!」


戦士「おい、まさかお前……!」


エルフ「今度こそ巨乳の姉ちゃんをアヘアヘさせてやろうと思ってたんだけどなぁ……」


戦士「おま、おまえぇ……!」


エルフ「まあ、戦士が養ってくれるから問題ないよねっ」


戦士「ギャンブルやめろこのバカやろー!」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/13(日) 22:35:05.08 ID:liAPTBDy0
そのカジノ店側がイカサマしてるだろ
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:35:09.11 ID:WqzGoYryO


戦士「なんなのお前……なんでそんなに金遣い荒いの……?」


エルフ「宵越しの銭は持たない主義なのさ」


戦士「ふっざけんな! 貯蓄の悦びを覚えやがれ!」


エルフ「戦士だって家族への仕送りや、周りにご飯をたかられたりして、そんなに蓄えがあるわけじゃないじゃん?」


戦士「だからだろうが! お前、いざという時大丈夫かよ……」


エルフ「エルフちゃん可愛いから何とでもなるよ!」


戦士「幸せになれんぞお前……」


エルフ「まあ、この前までの生活費と今月分までの生活費は払ったし、いいじゃん? 今回は新しい借金も作らなかったし?」


戦士「お前……はあ、俺だって今は金がないん……やべっ」


エルフ「は? なんで?」


戦士「…………」


エルフ「うん、取り敢えず言ってみようか?」

259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/13(日) 22:37:50.54 ID:liAPTBDy0
新しい装備でも買ったか?
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:43:11.61 ID:BV/FX+53O


戦士「いや、困ってるやつがいたらさ、助けざるを得ないだろ」


エルフ「はー、ほんとバカだね! お金がもったいない!」


戦士「うるせー! ギャンブルよりはマシだろうが!」


エルフ「そいつが詐欺師だったら増長させるだけでしょ! ギャンブルより最悪じゃん!」


戦士「うぐ……いや、どうせ胴元だってロクなところと繋がりがないからそっちのがよくない!」


エルフ「はあ!?」


戦士「なんだよ!」



エルフ「…………」


戦士「…………」


エルフ「この虚しい言い合いはやめようか」


戦士「そうだな……」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:44:58.42 ID:BV/FX+53O


エルフ「誰にいくら貸したかとかちゃんとメモしてる?」


戦士「……してない」


エルフ「君さぁ……そう言うの相手のためにもならないと思うよ? 返すものは返すという規律付けがない世の中はダメだよ」


戦士「それをお前が言うかぁ……?」


エルフ「何より私だけ催促されるのもムカつく!」


戦士「本音はそれかい」


エルフ「はあ……君はカタギの仕事は向いてないね。連帯保証人とかになっちゃダメだよ? あと家計簿もつけた方がいいよ?」


戦士「お前に言われても説得力がないぞ……」


エルフ「客観的な意見だから説得力しかないよ」


戦士「いやそれは……まあ、いい」


エルフ「君それ好きだよねー」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:47:33.02 ID:BV/FX+53O


戦士「しかし商人に金銭管理を任せた方がいいんじゃないか俺たち……」


エルフ「お小遣い制なんていやだ! 私は自由にお金を使いたいんだ!」


戦士「でも使い方がヘタ過ぎないかお互い。俺はさすがに無い袖は振らないしお前だって余裕がなきゃギャンブルしないだろ……少なくとも今はまだ」


エルフ「じゃあ戦士だけそうすればいいじゃん」


戦士「そうすっかなマジで……いや待て。お前も自分の金で住むだけの貯金を貯めろよ」


エルフ「えー、いいよ。どうせ一人暮らししてもまたすぐに追い出されて戦士のお世話になるし」


戦士「次はねえよ!」


エルフ「あはは、戦士はいかにそう言っても私が困ったら助けるもん」


戦士「おま……」


エルフ「助けるでしょ?」


戦士「ぐっ……なんてヤツだ……!」


エルフ「あはは、こういうのを動学的不整合っていうんだってさ」


戦士「知るかぁ!」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:55:22.46 ID:BV/FX+53O


戦士「今回はかなりの稼ぎだったのにな……」


エルフ「あはは、私たちがその気になればお金稼ぎなんて楽勝だよ」


戦士「んなことはねえだろ……またダンジョンにでも潜るか……」


エルフ「あ、そうそう。実りの良さそうな話を例のパイオツーがカーデーのチャンネーから聞いたよ」


戦士「普通に喋ろ普通に」


エルフ「君の好きな人助けさ」


戦士「……何だよ」


エルフ「今度武装集団の制圧をするんだってよ」


戦士「武装集団……?」



エルフ「過激派の少数民族をコロコロするんだよ」



to be continued...
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/13(日) 22:59:04.27 ID:BV/FX+53O

○戦士メモ

・紹介状:グランドホテルのレストランが高級店なのは知っていたが、まさか紹介状が必要だとは思いも寄らなかった。代金の請求が後日になるため信用がある者しか入店させないらしい。つくづく庶民とは縁遠い。

・テキーラダブル:俺が飲むと2杯で吐く。

・少数民族:人間の民族よりも亜人を指す場合が多い。獣人やエルフなどが代表的か。多数派(人間)とは対立や迫害などが生じており問題は絶えない。


○エルフメモ

・飲酒:お酒は成人してからにしよう! ギャンブル? ……ふっ

・動学的不整合:商人がドヤ顔で言ってた。インスタンティーニアスとインターテンポラルでストラテジーが〜、とか、イクスアンテとイクスポストでオプティマリティが〜とか言ってた。商人は横文字を使いたがる病気にかかっているんだ!
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 04:59:47.83 ID:f6JuMTbn0
赤魔女だったんか……百合か
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 07:55:46.77 ID:qEmW+5Ueo
俺って言ったり私って言ったり口調が安定してないから難しい
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 08:52:53.40 ID:68lZArvEO
赤魔女の子って明示されてたっけ。
女の子の方が萌えるけど。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 09:12:27.38 ID:0mz8xLyZO
>>254
テキーラダブルと注文したら普通ストレートなのに大人ぶる赤魔かわいい
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 09:20:09.73 ID:0mz8xLyZO
私は最初から赤魔は女と思ってたけどさssで仲間になるエルフで女以外いたためしがない気がする
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 09:32:11.92 ID:gxEWrhz9O
普通に書き間違いだろ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 10:27:40.75 ID:Us0pEqIfo
いやもしかしたら素の一人称は私で、普段の俺呼びはキャラ作りかもしれない
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 13:45:53.55 ID:+jCGde+so
そういや服装とか描写されてないか
まあ読む奴に叙述トリック仕掛けてる訳ではなさそうだし単に書き間違いだろ
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 20:53:49.09 ID:HC5J4K7zO

・・・
【カフェ】


盗賊「武装した少数民族の討伐?」


エルフ「そうそう。3日後に北方の貴族様が傭兵使ってやるんだって。義憤らしいよ、ぎふーん」


商人「あー、もしかしてこの前の自爆テロですか?」


エルフ「そうそう。それの首謀者グループが北方の獣人の村に匿われてるから潰しに行くんだってさ」


盗賊「そのテロの首謀者が亜人という確証はなんだ? 本当に北方の村を占領をしたのか? そもそも武装しているというのすら本当なのか?」


エルフ「お? ぐいぐい来るね?」


商人「え、ええと、これはあくまで一般論で、エルフさんや赤魔さんへの悪意があるわけではありませんが、人間は亜人が怖いんですよ。怖いから嫌いなんです」


エルフ「嫌いなものを潰すのに確かな証拠はいらないよね。正当っぽい理由があればオッケー」


商人「都合のいいことは精査しないというのは、人間の悪癖ですね……」


赤魔「バカばっかりだ!」


戦士「……そうだな」


盗賊「いずれにせよ、そんな馬鹿らしいことには付き合わないわ」


エルフ「ウェイウェイ、話を最後まで聞いておくれよ。私たちは討伐じゃなくて救出をするんだよ」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 20:57:16.58 ID:HC5J4K7zO

盗賊「……どういうことだ?」


エルフ「賭場のディーラーのお姉ちゃんが亜人らしくてね……人間にしか見えないんだけど……それで獣人たちを逃して欲しいんだってさ。村人たちは本当は何も悪いことをしてないからさ」


盗賊「……はあ?」


戦士「本当かどうか分からんが、それなりの報酬が出るし、事実だったら良いことだろう?」


赤魔「なるほど! それなら俺も協力するぜ!」


商人「やるなら、こっそりとやらないとマズイですよ……変に目をつけられちゃいます……」


エルフ「だからこうして人の少ないカフェの奥で話してるんじゃん」


赤魔「……お前ってもっときっちりしたヤツかと思ってたんだけどな」


戦士「こいつは結構適当なんだよ」


エルフ「うるさいよっ」


商人「ちなみに幾らの仕事なんです?」


エルフ「報酬は全員で2000Gだってさ」


商人「尚更怪しいんですけど……」


275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:00:29.58 ID:HC5J4K7zO

盗賊「話を戻させてくれ。腑に落ちないんだが、同じ亜人だからとそこまで肩入れするか? それに何故どうしてその村の住民が無実だと言い切れる?」


エルフ「裏稼業で諜報の仕事してるらしいよ。あ、これ秘密だった。まあ、とにかくそんな感じ」


赤魔「なんかカッコいいな!」


盗賊「どうしてそんな胡散臭いヤツの胡散臭い危険な話を呑んだのか理解に苦しむわね」


エルフ「危ないといえば危ない仕事だしねぇ……あれ、確かに怪しさしかない。なんでこんな乗り気になっちゃったんだろ……」


商人「それが天才的イカサマ師の所以なのでは? おだて上手なんじゃないですかね」


戦士「エルフ、やっぱりお前はギャンブル向いてないぞ。もうやめろ」


エルフ「むむむ……」


エルフ「(ほんとは依頼を受けたら報酬とは別に次の賭けで絶対に勝たせてくれるって約束したからだよ)」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:02:51.01 ID:HC5J4K7zO

盗賊「……まあ、色々言ったけれど確かに気にはなるな。分かった、協力しよう」


エルフ「お、意外。黒チビを抱き込んでなし崩しにするつもりだったんだけどね」


赤魔「だから黒チビいうな!」


盗賊「私たちはもちろん慈善事業はやらないが、お金が全てというわけでもないんでね。報酬が出て興味があれば承諾するわ」


エルフ「どこが君の琴線に触れたのかよく分からないけど助かるよ。よろしく」


赤魔「俺は最初から加担する前提なのかよ……」


戦士「赤魔に協力してもらえるなら助かるさ。よろしく頼む」


赤魔「お、そ、そうか?」テレッ


エルフ<<げしっ


戦士「いてっ」


盗賊「……」


戦士「……」ゾッ


赤魔「……? どうしたんだ?」


戦士「い、いや……」


商人「はは……」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:04:09.90 ID:HC5J4K7zO


エルフ「じゃあ5人で行くってことで」


商人「あれ? 僕も入ってます?」


赤魔「ん? 行かないのか?」


商人「いやぁ、必要ないかと。鑑定も必要ないでしょうしね」


戦士「てっきり来てくれるものだと思ったんだがな」


商人「ええと……」


盗賊「このメンバーだ。常識人が欲しい」


エルフ「まるで常識がないみたいに言うのやめてくんない?」


赤魔「そーだそーだ!」


戦士「……」


盗賊「こいつらよ?」


商人「……わ、分かりました。僕も行きます」


エルフ「心外だ!」


赤魔「そーだそーだ!」


戦士「まあまあ、落ち着け」

278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:07:27.89 ID:HC5J4K7zO

・・・
【翌日・獣人の村の途中にて宿泊中】


エルフ「行程はすこぶる順調。明日には予定通り着くね」


戦士「歩き通すのも疲れるよな。もっと楽に移動できればいいが」


商人「陸路で平地ですし御者を雇って馬をレンタルできれば良かったですね。今回は急過ぎて御者の都合がつきませんでしたけど」


盗賊「馬の扱いは心得てるから言ってくれれば良かったのに」


商人「あ、そうだったんですね……」


赤魔「ふふん! 俺の盗賊は頼りになるだろ!」どやぁっ


盗賊「私のことでイキるやめてくれない? あと私はアンタのものじゃないから」


赤魔「あはは!」


盗賊「〜〜」



エルフ「仲良しだねぇ……」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:09:38.73 ID:HC5J4K7zO


エルフ「はいはい、作戦の復習をします。黒チビ、説明して」


赤魔「黒チビいうな! ええと……村の人が本当に悪者だったら倒す!」


エルフ「うん、それは特殊なケースだよね。戦士、悪者じゃない時は?」


戦士「村人を説得して山岳地帯を越えてドワーフの里まで避難させる。……傭兵たちが追いかけて来るんじゃないか?」


商人「ドワーフの里はかなりの税収源ですからね、気性が荒い彼らをあまり刺激したくないから流石に傭兵を引き込めるでしょう。義憤だなんだと名目上は言ってますけど、実際は世論に押されて仕方ない出兵のようですし」


エルフ「悪いやつほど合理的♪」


商人「説得に使えそうな小道具を作ってみました。爆破テロに関する新聞の切り抜きと亜人の村制圧の為の傭兵募集の偽造ポスターです」


赤魔「それ偽造なのかよ!? それっていいのかぁ……?」


商人「嘘も方便ですからね。結果的に助かったらいいじゃないですか」


戦士「(悪いやつほど合理的……)」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:14:45.95 ID:HC5J4K7zO

エルフ「これでバッチリだね」


盗賊「これが何らかの裏工作で私たちが何かの濡れ衣を着せられそうになった場合は?」


エルフ「……そ、そんなケースはあり得ないから」


戦士「おいおい」


エルフ「そ、その時は真犯人を吊し上げる!」


商人「う、うーん……あはは……」


盗賊「……まあ、そういうケースを未然に防ぐために私がいるんだ」


戦士「頼りにしてるぞ」


赤魔「盗賊がいれば何の心配もないな!」


エルフ「じゃあ言及しなくても良かったじゃん……」むすっ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:18:03.06 ID:HC5J4K7zO


エルフ「あとは自由時間で。まあ、この村も大して何もないけどねー」


商人「ああ、宿の部屋だが2人部屋と3人部屋が運良く空いてましたよ」


エルフ「お、ぴったりだね」


戦士「盗賊とエルフはゆったり使ってくれ。商人と赤魔は狭いけどガマンしろよ」


赤魔「おう。……おう?」


盗賊「フリーズ」


戦士「ん?」


盗賊「私と赤魔とエルフが三人部屋だろ?」


戦士「えっ?」


エルフ「……こいつ、マジか」


商人「あはは……」


赤魔「あー、ずっと勘違いされてたか……」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:20:54.39 ID:HC5J4K7zO


戦士「……すまん、女だったのか」


エルフ「さいてー」


赤魔「いいよ。人間からしたらエルフ族は男女の区別がつきづらいんだろ? 俺も男らしく振る舞うようにしてるしな」ふんすっ


商人「(まあ、でも何となく気づきますよね。たまに素が出てますし)」


戦士「じゃあ、商人と俺で2人部屋を使わせてもらおう。悪いな」


盗賊「……商人って男でいいのよね?」


エルフ「わりと女顔だよね。近所の年上のお姉さんに食べられてそう」


戦士「えっ、商人も女だったのか……? 部屋の取り方間違えたな……」


商人「僕は男ですよ! あと変な憶測しないでください!」


エルフ「そーりー」


戦士「なんだ、よかった」


商人「まあ、戦士さん的には僕も女だった方が嬉しそうですけどね」


戦士「いや、男一人だけとか肩身狭いだろ」


商人「……まあ、実際はそうですよね」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:22:21.00 ID:HC5J4K7zO

【翌日・獣人の村外れの川辺にて】


商人「盗賊さん、大丈夫ですかね?」


戦士「大丈夫だろう。決めた時間まで まだあるしまだ偵察してるんだろう。盗賊は慎重派だろうしな」


商人「いやぁ、でも異形の島の時は単独で……」


戦士「ま、まあ……そう何度も独断行動を取らないだろ。俺じゃあるまいし」


商人「戦士さんも慎んでください」


戦士「善処するさ」


商人「もう……」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:24:55.03 ID:HC5J4K7zO


赤魔「エルフ、そこだ! つかまえろ!」バシャッ


エルフ「おらっ! あっ、この! 大人しく昼ごはんになれ……!」


赤魔「へたくそー!」


エルフ「うっさい! ……喰らえ! 『爆杖殴打』!」カッ


ボゴォォォ……ッッ!!


赤魔「ふぎゃぁぁっ!?」バシャシャ……ッッ


魚<<プカァ……


エルフ「最初からこれでよかったね」ふんすっ


赤魔「ば、ばかやろー! いたいだろーが!」


エルフ「めんご。てへぺろ」


赤魔「……『地震剣』!」


エルフ「ちょっ……」ぐらぐらっ


エルフ<<ぼちゃんっ


エルフ「ぶはっ……おいごらぁっ! 鼻に水入ったろうがぁ!」じゃぷっ


赤魔「へっ!」

285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:28:02.26 ID:HC5J4K7zO



エルフ「……やっぱり私たちは相容れぬ種族のようだね!」ゴゴゴ…


赤魔「 俺もそう思ってたところだ……!」ゴゴゴ…




白と黒ーー決して交わらぬ者たちの熾烈な戦いが今ーー!!





盗賊「村が近いんだから不用意に暴れるな」ゴスッ、ゴツンッ


エルフ「あがっ!」

赤魔「あう…っ!」





戦士「始まらないのか」


商人「始まっても困りますよ……」




286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:32:05.88 ID:HC5J4K7zO


盗賊「戻った」


エルフ・赤魔「……」ぐすぐすっ…


戦士「お、おう」


商人「(このパーティのカースト頂点は盗賊さんですね……)」



戦士「様子はどうだった?」


盗賊「平和な村落といったところだな。見張りもなければ、内部にも武装してる者はいなかった。村人たちも農作業するか軒先で歓談してるかといったところよ」


商人「じゃあ、やっぱりこの村がテロの首謀者グループを匿ってるというのは嘘なんでしょうか」


盗賊「完全に、とは断定できないけれど、あれだけ牧歌的な雰囲気だとやはりそうした血生臭いことはなさそうね」


戦士「それならさっさと避難してもらおう」


商人「交渉事は任せてください!」


盗賊「口八丁手八丁に頼む」


エルフ・赤魔「……」しくしく…


盗賊「いつまで泣いてるの? 早く行くぞ」


エルフ・赤魔「はい……」ぐすっ



戦士・商人「(彼女は怒らせないようにしよう)」



to be continued...
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 21:39:03.02 ID:HC5J4K7zO

○戦士メモ

・カフェ:最も平易な『魔物の洞穴』でコーヒー豆が取れるため、安価な値段でコーヒーを楽しむことができる。コーヒーは好物のためそれなりの頻度で行く。エルフはいつも苦くてまずいと言いながらついて来るが、本当はあいつもコーヒーが好きなのだろうか。

・獣人の村:北方に位置する獣人族の小さい村。ダンジョンから離れた内陸の村は経済発展から取り残されており格差はますます広がっていくだろう。こうして少数民族と多数派の格差は名目的にも実質的にも広がって行く……と商人が言っていた。穏やかな生活はそれ自体が貴重なものだと俺は思うのだが。

・ドワーフの里:更に北方の山間地帯に位置する大規模な里。ドワーフ族は金属の精錬に優れており、この国の鉄鉱生産の半分はこの里によるものだ。



○エルフメモ

・ディーラーのお姉さん:何を食べたらそんなに胸部が膨らむのかナゾ。むっつりスケベな戦士にはとても会わせられないね。

・義憤:ぎふーん

・コーヒー:砂糖とミルクを入れなきゃ飲めたもんじゃない。何も入れずに飲む戦士はきっと舌がバカなんだ。

・爆発漁法:とても効率がいいよ。生態系の破壊? 知るか! 私が生態系だ!

・ゲンコツ:盗賊は悪魔か何かに違いない。鬼! 悪魔! ばーか! ……このメモは見られないようにしなきゃ。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 22:04:06.91 ID:f6JuMTbn0
女子率高い(´・ω・`)
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 23:20:55.80 ID:gxEWrhz9O
エルフに愛着湧いてきた
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/15(火) 17:54:04.67 ID:RvD8JZuCO
面白い
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:36:48.19 ID:FrmO2CHOO
・・・
【獣人の村にて交渉中】


商人「それでは女性と子ども、一部の男性は僕たち方の子女と同伴して山稜地帯へ向かい、僕ともう一人が村で傭兵が本当に来るのか監視して、敵影を確認しだい山稜に逃走。敵影が明日中に現れなければ慰謝料として200Gと戦士さんが1日労働ということでよろしいですね」


<<ええ、それで手を打ちましょう

<<俺たちは何もしてないのに襲撃して来るってほんとかよ……

<<でも、この人たちの条件じゃ私たちを騙してもどうしようもないんじゃ……

<<人攫いにしても、流石にこんな回りくて大逸れたことしないだろうしな……


商人「僕たちは心優しい街の亜人の依頼でこうして皆さんをお助けしようと思ってるのです。失敗した時のお金は100Gを前金として預けておきます。何もなければそのまま貰ってください」


<<まあ、明日になってみれば分かるか……金も貰ったし、ちょうど農閑期だし畑の心配もないだろ

<<ほんとだったら、どうしましょう。作物はまだしも家畜が強奪されたら生きていけないわ……


商人「んー、大事なんでしょうけど家畜はどうしようもありませんね。せめて明日になったら村から離れた場所に隠しておくくらいしか手立てがありません」


エルフ「どうしてこんなデカいペットを飼おうと思ったんだか」


盗賊「家畜はペットとは違うぞ」


赤魔「エルフってわりと常識知らずなのか?」


エルフ「し、知ってたし……エルフちゃんジョークだし……」


戦士「(俺のタダ働きがいつの間にか条件に加えられてる……まあ、いいか)」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:39:51.50 ID:FrmO2CHOO



エルフ「交渉、お疲れさん」


商人「ありがとうございます。それではさっそく別れましょう。先の通り僕と戦士さんは村に残ります」


盗賊「私が残って伝令役をした方が良さそうだが」


商人「まあ、そうなんですけど……多分村の女性や子どもたちが僕や戦士さんと行動すると交渉が揉めると思ったので」


盗賊「実際は差がないと思うが……まあ、心理的にその方が安心するか。仕方ないわね」


商人「そういうことです。それでは山稜地帯の方はお任せします。途中の山小屋は環境は悪いですけど、おそらく横になって寝れるそうなので」


エルフ「そっちはお布団でちゃんと寝れるのにねぇ」


商人「す、すみません……」


赤魔「商人は頑張って説得してくれたんだぞ。そんなこと言うなよ」


エルフ「けっ……いい子いい子しちゃって」


赤魔「んなっ」


盗賊「……」ゴリリッ


エルフ・赤魔「ひっ……」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:41:10.51 ID:FrmO2CHOO


戦士「エルフ、しっかりやれよ」


エルフ「そっちこそ精々死なないように」


戦士「赤魔もよろしくな」


赤魔「おう! 任せとけ!」にっ


戦士「盗賊、二人をよろしく頼む。世話をかけるな……」


盗賊「そういう役回りだもの」


エルフ・赤魔「ぐぬぬ……」


盗賊「なに?」


エルフ・赤魔「な、なんでもー」ぷいっ


商人「(似た者同士ですよねぇ……)」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:42:23.22 ID:FrmO2CHOO

【山稜地帯・盗賊グループ】


<<ぐーちょきぱーでなにつくろー♪


赤魔「みぎてがぐーで♪ ひだりてもぐーで♪ ゆきだーるまー♪ ゆきだーるまー♪」


<<おねーちゃん、つぎつぎー♪


赤魔「そうだなー!」


<<ぱーんち!


赤魔「うわっ!? こらっ! いたいだろ!」


<<やーい!


赤魔「こんにゃろー!」ガシッ


<<わぁぁあっ


きゃっきゃっ……



エルフ「(めっちゃちびっ子に懐かれてる……)」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:46:04.88 ID:FrmO2CHOO


エルフ「(ま、赤魔も子どもだからね)」ふっ


<<おねーちゃん魔法使い!?


エルフ「ん? まあねー」


<<どうせヘッポコなんだろ!


エルフ「あーん? 『氷点零』」


<<うわ、涼しい!?

<<すげー!


エルフ「まあ、それほどでもあるね」どやっ


<<もっと見せてよ!

<<魔法はじめて見た!

<<魔法おしえてよシショー!


シショー! シショー!


エルフ「まあ、そこまで言うなら? 特別に? 伝授しないことも?」ふふん



赤魔「(仲良くやってるなー。精神年齢が近いんだろうな)」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/15(火) 22:46:29.01 ID:bdRTNWJro
ぐーちょきぱーとか懐かしすぎる
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:49:37.52 ID:FrmO2CHOO

盗賊「(赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい)」


<<はぁはぁ……


盗賊「……ご婦人、大丈夫か?」


<<いや、老人にはこたえる……足がだいぶ悪くなってしもうた……


盗賊の『回復魔法』!


<<お、おお……!


盗賊「無理は良くないわね。私が背負おう」


<<い、いや、しかし……


盗賊「問題ないわ。特別製なんでね」


<<す、すまんのう……もしかして亜人さんかい? 人間に見えるけども……


盗賊「……そうね」



盗賊たちは山小屋まで移動した!
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:52:39.24 ID:FrmO2CHOO

【獣人の村・高台にて哨戒中】



戦士「……」


商人「お疲れ様です。見張り代わります」


戦士「ん、もう時間か」


商人「はい。ヘトヘトでしたけど、仮眠が取れて大分楽になりました」


戦士「歩き疲れたもんな。エルフたちは立て続けに山登りだから体調を崩してたりしてないといいが……あいつらタフだし大丈夫か」


商人「パワフルな人たちですよね、ほんと」


戦士「あいつらの前じゃ言えないけどな」


商人「ボコボコにされちゃいますもんねー」


わははは……
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:55:30.48 ID:FrmO2CHOO


商人「あ、夕ご飯もらってきましたよ」


戦士「お、本当か。いい奴らだな」


商人「まあ、流石にまだ不審がられてますけどね。かなり動揺しているようです」


戦士「仕方ないさ」



商人「……」


戦士「……」


商人「……戻って休まないんですか?」


戦士「なあ、商人」


商人「改まってどうしたんです?」


戦士「俺の信念は間違ってるのか?」


商人「へっ?」
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 22:58:56.69 ID:FrmO2CHOO


戦士「手を伸ばせば守れるものがいる。それを守ろうとするのは間違っていることか?」


商人「はあ……」


戦士「目の前で苦しんでる人間を助けるのは偽善なんだろうか。俺は間違ったことをしているんだろうか」


商人「そんなことはないんじゃないですか? ついこの前もこんな話しましたねー」


戦士「お前が一番冷静で客観的な意見をくれると思う。だから答えて欲しいんだ」


商人「買いかぶりだと思いますけど……そうですねぇ……」


戦士「俺の知らないところで哀しんでる人や苦しんでる人がいる。それを思うととても辛い。だから、せめて行動して目の前にいる困っている誰かを助けたい。少しでも良い世界にしたいと思う。そういう理想を持つのは間違っているのか?」


商人「んー……」


戦士「正直に言ってくれ」


商人「正直に……分かりました」



ビシッ



商人「思春期か!」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 23:01:06.19 ID:FrmO2CHOO


戦士「……」


商人「ああ、すいません。正直すぎました……ええと、別に理想に対して良い悪いとか正しい間違っているはナンセンスですよ」


戦士「それじゃあ、何が正しいんだ……」


商人「唯一絶対に正しいものなんて存在しませんよ。評価する人で違いますから。自分や周りの人の良識を踏まえて吟味してください」


戦士「……」


商人「何回でも言いますけど、社会的、個人的に望ましいか望ましくないかはありますからね。自分ができる以上のことはできないんですよ」


戦士「そりゃそうだろ」


商人「けれど、戦士さんは結果的にできてきた、もしくはできるつもりだったんでしょうけど、それは自分のことやパーティのことは度外視してることが多いですよね?」


戦士「そうだな……そうかもしれない」


商人「それは本当は自分ができる範囲を超えてるんですよ。できないことをやろうとしてるんです。だからエルフさんは怒るんですよ?」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 23:03:57.17 ID:FrmO2CHOO


戦士「結局、身の程を知れという話か」


商人「自分にできることできないことを認識して、最善を尽くしてくださいとしか言えませんね」


戦士「俺の信念は間違ってないんだよな?」


商人「僕は戦士さんの優しいところは大好きですよ。こうして僕たちを繋いだのは間違いなく戦士さんの優しさです。パーティみんな同じ意見だと思いますよ」


戦士「……ありがとう」


商人「ただ意見と予想を言っただけです」


戦士「そうだとしてもな」


商人「……そ、それより早く休んでくださいよ。事態が動いたらお知らせしますから」



戦士「ああ、そうさせ…………っ! 兵士たちだ!」


商人「もう来ましたか! 逃げるように指示してきます!」


戦士「……いや、待て。様子がおかしいぞ……!」


商人「……あれは!?」



to be continued...
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 23:08:55.83 ID:FrmO2CHOO

○戦士メモ

・家畜:銀行などで貯金ができない農村では家畜が一つの貯蓄手段になっている。また、農産物生産のための道具でもある。それに動物は見ていて癒される。

・思春期:人間誰しもが経験する時期。俺は未だに思春期だったのか……?



○エルフメモ

・獣人:モフモフしてる。ちっちゃい子は毛がとっても柔らかいから抱きかかえてると幸せになれそう。

・ぐーちょきぱーの歌:最強はカタツムリ。パワフルかつテクニカルな手法だね。

・氷点零:威力を調整すれば涼むこともできるグレートな技。
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/15(火) 23:09:47.95 ID:OG0APJky0
不穏な終わり方だな
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 00:11:20.01 ID:SOqMlZv50
戦士はもっと修行すればいい
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 00:29:38.93 ID:SSYSTU/EO
おつ
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 06:28:40.02 ID:sGySIYLLo
>盗賊「(赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい)」


赤魔が危ない
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 07:04:51.49 ID:EugCa3+NO
盗賊「赤魔かわいい」はぁはぁ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 21:47:09.24 ID:E1ys8MIHO
面白いからもっt
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 19:42:09.30 ID:S+BVWDcz0

・・・
【盗賊パーティ・山小屋近くにて】


<<きゃぁーっ!

<<ま、まものーっ!?


エルフ「……」スッ


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ



・グロウラー

HP:2500
こうげき:300
まほう:50
ぼうぎょ:250
すばやさ:400


エルフ「大した相手じゃない……けど」


赤魔「なんでダンジョンから遠いこんなとこで魔物が出るんだ!?」


盗賊「……いやな予感がするわね」


グロウラー「ォォォォォォッッーー!」


<<ひぃぃっ……!

<<うわぁぁぁんっ!


エルフ「とりあえずこのうるさいのを黙らせようか!」


赤魔「同感だぜ! 声だけデカいやつめ!」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 19:44:43.76 ID:S+BVWDcz0

エルフは杖の先に魔力を溜めている!


赤魔はナイフに四精霊の力を宿す!


盗賊の『加速蹴り』!

盗賊は更に加速する!


グロウラー「オボォォォォ……ッッ!」


エルフの『爆杖殴打』!


赤魔の『火炎剣』!



グロウラーは盗賊に噛みつこうとする!


ミス!



盗賊の『加速蹴り』 !


盗賊の素早さは最高潮に達する!


グロウラー<<グラァァ……バタンッ!


グロウラーを倒した!



エルフ「うん、やっぱり雑魚だね」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 19:46:29.39 ID:S+BVWDcz0


「見事なものね」



赤魔「誰だ!」


エルフ「あー、イカサマおっぱい女!」


イカサマ師「それは私のこと? もっと可愛く呼んで欲しいわねぇ」


盗賊「ーー」


盗賊の『神風蹴り』!



イカサマ師の『不確定免罪』!



『神風蹴り』は無効化された!


盗賊の素早さが元に戻った!



イカサマ師「急に襲いかかってくるなんていやね。どういう教育を受けてるのかしら……なんてね。久しぶり」


盗賊「黙れ……ッ! 何故お前がここにいる……!」
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 19:50:24.64 ID:S+BVWDcz0


エルフ「なに、もしかして復讐相手ってディーラーのお姉ちゃんなの?」


イカサマ師「フクシュウなんて過去をうだうだするのはやめて今を楽しく生きなさいよ? というか、もしかしてまだサモナーのことを逆恨みしてる?」


盗賊「逆恨みだと……っ!」


盗賊の『死の針』!


イカサマ師「ああ、カミサマ。咎なき者を罰するなんてとんでもない」


イカサマ師の『不確定免罪』!


『死の針』を無効化した!



赤魔の『地震剣』!


ミス!


イカサマ師「そんなにお姉さんの揺れるおっぱいが見たいの、ボク?」ひらっ


赤魔「んなっ!?」



盗賊「……」ギリッ


エルフ「待って待って、ウェイウェイ。もしかして私たちを騙したのかな?」


イカサマ師「そんな人聞きの悪い……私はウソは言わないわ。あなたが勘違いしただけよね?」ぱちんっ


エルフ「いい歳してウィンクはやめろ」イラッ
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 19:52:44.04 ID:S+BVWDcz0

赤魔「お前が盗賊を苦しめてるやつだっていうなら、俺はお前を許さない!」


イカサマ師「あらら、私は旧交を温めていただけよ。ねえ?」


盗賊の『加速蹴り』!


イカサマ師の『不確定免罪』!


『加速蹴り』は無効化された!


盗賊「ちっ……!」


イカサマ師「そんなに怖い顔しないでよ。もっと聞きたいことがあるんじゃないの? 『お姉ちゃん、今は恋人いるの?』とか可愛く聞いてよ」


盗賊「口を閉じろ!」


イカサマ師「それじゃあ、『あの魔物はどこからどうやって現れたの? 転移石? ダンジョン以外でも使えるの?』とか」


エルフ「ダンジョンの黒石はパイオツちゃんがやったの!?」


イカサマ師「それは現時点の誰にも分からないわ。何せその時にはもう戻れないのだから」


盗賊「無意味な言葉を並べ立てるな!」


盗賊の『死の針』!


イカサマ師の『不確定免罪』!


『死の針』は無効化された!



盗賊「くそっ……ふざけた力を……!」

315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 19:57:13.59 ID:S+BVWDcz0

盗賊「……」ゼエッ…ゼエッ…


赤魔「盗賊! 焦り過ぎだ! もう少し落ち着け!」


エルフ「あっちは戦うつもりはないみたいだし、情報を搾ってからコロコロしてもいいんじゃない?」


盗賊「……」はぁはぁ…


イカサマ師「まあ、別に用事なんてものはないよ。私はトリックスター。この場を引っ掻き回して楽しむの」


エルフ「気取ってんじゃないよ。アヘアヘさせんぞ」


イカサマ師「すけべは娘ねぇ……そうそう、これは報酬ね。2000G相当のアイテムだから」ポトッ


エルフ「やったぁ♪」


赤魔「アホか!」


イカサマ師「それじゃあ可愛い妹と久しぶりに遊んであげるわ。『トリックスターを探せ』を始めましょう。ルールは簡単。私を見つけ出してごらん?」


盗賊「ふざけるな……ッ!」


イカサマ師「私は真面目にふざけているからふざけてないわ。報酬は……サモナーの所在地。それじゃあ、始め♪」



イカサマ師は逃げ出した!



盗賊「待て……!」


『私を追いかけるより、お友達の心配した方がいいんじゃない?』


エルフ「!」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 20:00:36.20 ID:S+BVWDcz0


盗賊「くっ……!」


赤魔「盗賊、落ち着け!」


エルフ「気配が消えちゃったよ。……それより、村の方がマズいみたいだけど」


赤魔「戦士たちが襲われてるか……しかしアイツの作戦かも」


エルフ「同じくらい弱い魔物ならいいけど……どうなんだろう」



<<ドゴォォォ…………ーー


<<グラグラ……



赤魔「……もしかして相当ヤバいのとやり合ってるんじゃ」


盗賊「……私が行くから二人は村人たちと待機しろ」


赤魔「だめだ。お前、少し落ち着きに欠けてる」


エルフ「ここはエルフちゃんに任せてよ。二人は待機ね」


盗賊「私に行かせてほしい」


エルフ「この前も単独行して迷惑かけたんだから自重しなよ。オーケー?」


盗賊「……分かった」


赤魔「……」ほっ
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 20:04:00.51 ID:S+BVWDcz0

エルフ「それじゃあ、私が見てくるから」


盗賊「すまない。こっちでまた魔物が出てもケガ人は出させないように対処するわ」


エルフ「よろしくー。あとパイオツちゃんが落としていったアイテムのチェックと黒石が近くにないか調べといてね」とてとて…


赤魔「ああ……というかノロノロ歩いてる場合か! いや、走っても危ないけどさぁ!」


エルフ「てへぺろ」



ダダダッッ…


エルフ「(あのバカ……またバカなことやってないといいけど……どうせやってるんだろうなぁ……!)」はぁはぁ…


エルフ「(くたばってんじゃないよー……!)」


エルフは山を全力で駆け下りていく!


エルフ「(いや、でも薄暗くて危ないし、バテるからきをつけよ)」


エルフは早歩きにペースを変えた


エルフ「(まあ、戦士はしぶとさだけが取り柄だもんねー。別に大丈夫でしょ)」



エルフ「……あれ、これフラグ?」



to be continued...
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/18(金) 20:06:17.95 ID:S+BVWDcz0


○エルフメモ


・グロウラー:今の私たちには弱い相手。声がデカい。

・イカサマ師:賭場のディーラーのパイオツちゃん。胡散臭さの塊。盗賊の姉?
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 20:13:36.91 ID:gu7iLIYu0
今まで取られた金の分やり返してやれ
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 20:33:44.33 ID:ZHmukqBtO
ずっと書き方に見覚えあると思ったらあのssの人か
そりゃ引き込む文章力なわけだ、おつ
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 20:46:11.04 ID:5Lf4MpdzO
面白い
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 21:56:42.36 ID:HpWkIHY6O
>>320
kwsk、読んでみたい
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 22:02:36.69 ID:ZHmukqBtO
女剣士のコンマss
これ以外のもいくつか書いてらっしゃるけど、他作品の話題は荒れやすいしこの作者っていう確証もないからこれだけ言っとく
あとは自分で探して
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 22:14:37.12 ID:MXmrRxgZO
あー、分かった。
面白いです、参考にしております。
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 10:21:40.93 ID:6RF9UWdY0
女剣士の人か気づかんかった(´・ω・`)
面白い
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/19(土) 16:37:24.11 ID:pkL2AFIh0
わかんないな、タイトルが
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 17:01:59.84 ID:GgG9+ZERo
酉つけてない以上本人なのかは分かんないんだからあんまりその話題を続けるのはやめた方がいいんじゃないか

確かに雰囲気似てるし酉つけてないのも一緒だけどさ
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 17:32:08.60 ID:jWV9MlR1o
荒れるってわかっててそれでもみんな話題に上げるんだよな
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:17:41.67 ID:AoRVU+kuO

【少し遡って獣人の村】



ドッゴオォォオオオォォォッッーー!



戦士「兵士たちが魔物に襲われてる……! あれは強いぞ!」


商人「……この状況って獣人たちな相当まずくないですか?」


戦士「えっ?」


商人「魔物がこんなダンジョンから離れた場所に現れるなんて普通じゃありえません! しかも亜人のテロの疑いを持って来た討伐隊に向かって……」


戦士「どういうことだ!? 話が見えない!」


商人「(そもそもの話、村の獣人たちがテロと無関係ならば首謀者は他にいるはずです)」


商人「(そいつらがこの魔物を何らかの方法で兵士たちを襲わせている? 転移石のようなものがダンジョン以外でも使えるようになったらそれも不可能じゃない)」


商人「(僕たちに依頼をした人物が関係者? そうだとしたらどうして僕たちを送り込んだのだろう。全くの無関係の可能性もありますけど、さすがにそれは不自然……むしろ止めて欲しがっていた?)」


商人「(……これは今の段階ではこれ以上の推論は時間の無駄ですね。それよりも、今の世論だとヘタをすれば獣人が魔物を操り始めたとなってもおかしくない。そうしたら本当に獣人の村を本気で滅ぼしにくるはず)」


商人「(関係ないといえばそうですが、この獣人の村だけでなく、ひいては亜人との対立になりうる……それが真犯人の狙いだったら何だか腹が立ちます)」


商人「(兵士たちが全滅しても世論は傾くことを考えると……)」


戦士「……すまん!」ダッ


商人「(まあ、戦士さんはそうですよね……僕がすべき行動は……おや、あれは?)」


商人「(ああ、なるほど、体裁のためか、強制か自発かは分かりませんが来たんですね。確か評判だと……うまく利用できないでしょうか)」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:19:44.08 ID:AoRVU+kuO

・・・

タイラントドラゴン「オォォオオオーーッ!」


<<しつこいなチクショウ!

<<くそっ、獣人どもの仕業か!?

<<ヒィイィィ……! お前たち僕を守れぇぇっ!



銃士「……オイタが過ぎるで」カチッ


銃士の『クリティカルショット』!

クリティカル!


タイラントドラゴン「グゥゥーーッッ」じろっ


銃士「こっち見んどいて」


タイラントドラゴンの『暴虐の爪』!


ミス!


銃士「あかんなぁ……アレもろうたらお陀仏やわ」


銃士「(とっさに注意を引きつけてしもうたわ。あのアホの病気が感染ってしもうたんやろか)」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:20:59.80 ID:AoRVU+kuO

銃士の『クリティカルショット』!

クリティカル!


銃士「(あと少し引きつけたら離脱やな。当たったらお陀仏やろうけど、幸い動きは大味やし何とかなるやろ)」


タイラントドラゴン「ウォォーー」


タイラントドラゴンは大きく息を吸った!


銃士「っ、あれは躱せへん……!」


タイラントドラゴンの『焦熱ブレス』!


銃士「ぐ……!」



戦士は銃士を庇った!



銃士「……おおう!?」


戦士「だいじょ……銃士っ!?」


銃士「何処ぞの筋肉ダルマか思うたら戦士やないか! なしてこんなとこにおるん!?」


戦士「……無駄話は後だ!」
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:23:07.02 ID:AoRVU+kuO


銃士「そんならいつも通り俺に合わせてぇや!」チャキッ



銃士の『クリティカルバースト』!

クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!



戦士はタイラントドラゴンの動きを見極めている!


タイラントドラゴンの『暴虐の爪』!


戦士「はぁっっ!」


戦士は完璧に防御した!



銃士「そんなことできるようになったんか!?」


戦士「たまたまだ!」
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:24:30.75 ID:AoRVU+kuO


銃士「やっぱりお前と組むとぶっ放し放題やから楽しいわ!」



銃士の『クリティカルバースト』!

クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!


戦士の攻撃!



タイラントドラゴンは怒り狂っている!



タイラントドラゴンの『暴虐の一閃』


戦士は銃士を庇った!


戦士「ぐっ……強いな……!」


銃士「ほんまにな……! 守りは頼むで!」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:28:58.48 ID:AoRVU+kuO


<<っ、俺たちもいくぞぉっ!

<<私に続け!

<<うるせぇ、坊ちゃんは下がってろ!


傭兵たちが加勢する!


タイラントドラゴン「グォォォォォォーーッッ!?」



銃士「流れが来とぉで! このまま押し切っちゃる!」



銃士の『クリティカルショット』!

クリティカル!


戦士「そういや弾は足りてるか?」


銃士「たんまり持って来とぉで。まあ人殺しに使うんより弾も喜んどるやろ」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:31:30.41 ID:AoRVU+kuO


<<なめんなぁ!

<<魔物狩りは本業なんだよぉ!



傭兵たちの攻撃!



タイラントドラゴンはますます怒り狂っている!



タイラントドラゴンの『孤独の逆鱗』!


<<ぐわぁぁっ!

<<ぎゃぁっ!


銃士「やっこさん、さらに暴れはるんか!」


戦士は銃士を庇った!


銃士「ほんまあんがとさん!」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:32:56.86 ID:AoRVU+kuO


タイラントドラゴンの『孤独の逆鱗』!


銃士「いっ……!」


傭兵たちの多くが力尽きた!



戦士は銃士を庇った!


戦士「はぁはぁ……」


銃士「……大技やけども、その分だけ無防備や! 急所全突きしちゃる!」


銃士の『クリティカルバースト』!


クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!


戦士の攻撃!


タイラントドラゴン「ゥオォォオオオォォォーーッッ!!」


銃士「まだ生きとぉんか!」


戦士「はぁはぁ……しぶとい……!」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:34:21.65 ID:AoRVU+kuO


商人「ーーみなさん、目と耳を塞いでください!」


商人は『スタングレネード』を投げた!


キィィンッッ!



タイラントドラゴンは混乱している!



商人「みなさん、今です!」



獣人族が加勢する!



銃士「おおう!?」


商人「戦士さん、大丈夫ですか!」


戦士「商人! これは……!」


商人「説得するのに大変でした! この勢いで倒してしまいましょう!」


戦士「……ああ!」


戦士の攻撃!

傭兵たちの攻撃!

獣人族の攻撃!



338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:37:45.25 ID:AoRVU+kuO


タイラントドラゴンは混乱している!



銃士「この隙に押し切るで!」



戦士「はぁっ!」

戦士の攻撃!



<<おらぁっ!

<<村を守れ!


傭兵と獣人の攻撃!



銃士「いい加減くだばりなはれや!」

銃士の『クリティカルショット』!


タイラントドラゴンは瀕死だ!



タイラントドラゴン「ォォォーー」



戦士「やったか!?」


銃士「おま……それはアカンやろ!」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:40:45.15 ID:AoRVU+kuO

タイラントドラゴン「ーーーー」ゴゴ…


タイラントドラゴンは限界まで力を溜めている!


銃士「……最初のアレや! 直撃は大惨事や! 下がれ!」



タイラントドラゴンの『天地崩壊』!



ドッゴオォォオオオォォォッッーー!



戦士「ぐっ……うぉぉぉっ!」



戦士はパーティを庇った!


戦士「ぅ……っ」


戦士は力尽きた!



傭兵たちは力尽きた!

獣人族は力尽きた!



銃士「……くっ」


商人「うぅ、ここまで来て……!」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:44:33.48 ID:AoRVU+kuO

銃士「お嬢ちゃんはもっと下がりな! 俺が時間を稼ぐわ!」


銃士「(いうて、俺は脆いんやけどなぁ……! まあ、ここはカッコつけんと男が廃るやろ!)」


銃士の『クリティカルショット』!

クリティカル!



タイラントドラゴンの『孤独の逆鱗』!


銃士「やっぱあかんわ……あふんっ!」


銃士は力尽きた!



商人「ええっ!」


タイラントドラゴンの『孤独の逆鱗』!


商人「ひゃっ……あぁっ!」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:45:48.19 ID:AoRVU+kuO

<<ああ、み、みんなやられてしまった……!


商人「あいたた……」


タイラントドラゴン「ーーグォォォォォォッッ!」



タイラントドラゴンは辺りを吹き飛ばすために力を溜めている!



<<ひっ……だ、誰か助けてくれ……お父様……お母様!


商人「う、うう……」



エルフの『爆杖殴打』!



タイラントドラゴン「ーー!?」


タイラントドラゴンはよろめいている!


商人「……エルフさんっ!」



エルフ「主役は遅れて登場するのさ! ……ちょっと遅すぎた気もするけど!」



エルフが加勢する!
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:55:15.52 ID:AoRVU+kuO

タイラントドラゴン「グォォォ……!」


エルフ「さっさと暴君は斃れなよ!」ググッ……


エルフの『滅撃・氷』!


タイラントドラゴン「ォォォォォォーー」パキキキキ……



タイラントドラゴンの『悪あがき』!


エルフ「マジで……っ!」



商人「やらせない……!」



商人はエルフを庇った!


商人は力尽きた!



エルフ「……いい加減にしろよトカゲぇぇっ!」ググッ……


エルフの『滅撃・氷』!



タイラントドラゴン「ォーーーー」パキキキキ……


バキィィィィーー!!



タイラントドラゴンを倒した!


343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:56:42.43 ID:AoRVU+kuO


エルフ「ふう……」


<<た、たすかった……



エルフ「見たか戦士! 商人! 今回は私がいいとこどりさせてもらったからね!」


戦士<<チーン……

商人<<チーン……


エルフ「……まずは皆んな蘇生させないとね。あ、そこの腰抜かしてるお兄さんも手伝って。多分、まだ村に獣人が少し残ってるはずだから呼んできて」


<<は、いや、しかし獣人は……


エルフ「早くしろ!」


<<う、うん……
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 13:58:51.77 ID:AoRVU+kuO
・・・
【獣人の村】


銃士「いやぁ、制圧に来て看病されるなんてけったいな話やね」


戦士「だからここにいる獣人たちは潔白だと言ってるだろ」


銃士「分かっとるよ。しかし領主はんへの報告はどないしましょ」


商人「それは大丈夫だと思います」バタンッ


銃士「おっ?」


商人「この隊の副隊長と交渉した結果、何とかなりそうです」


戦士「副隊長?」


商人「この兵隊は名目は領主が社会的正義を執行するために派遣されたものです。それならば体裁のために身内もいれるはずで、長男が副隊長として加わってました」


銃士「あー、あの坊ちゃんか。正義感振りかざして、そのくせわがままで手を焼いたわぁ」


商人「でも扱いやすかったですよ。獣人が戦いに参加したのもあって、この看病もあって完全に懐柔できました」


戦士「……それでこの好意的な対応なのか」


商人「単純ですけど押しは強いみたいですから領主も説得してもらいましょう。親バカらしいですしね」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:00:02.83 ID:AoRVU+kuO


銃士「打算的で怖いわぁ」


商人「平和的に解決できるならいいじゃないですか」にこっ


銃士「!」ぞくっ


戦士「そうだな」


商人「それでは少し獣人族の方とお話がしたいので失礼します」


戦士「おう。そういえばエルフは?」


商人「死ぬほど愚痴りながら登山中です。盗賊さんたちに状況を伝えなければいけないので」


戦士「大変だな」


商人「『あとで戦士に破産させるまで奢らせてやる』とか言ってましたよ」


戦士「とばっちりにも程がある!」


商人「あはは……それじゃあ」バタンッ
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:01:15.54 ID:AoRVU+kuO

戦士「……」はぁ…


銃士「あの娘、今の仲間なん?」


戦士「ん? ああ」


銃士「めっちゃええやん……好きやわぁ……あの腹黒そうな感じええわぁ……」


戦士「はぁ……?」


銃士「なあなあ、また俺と組まへん?」


戦士「お前、あんだけ一方的に関係を切っておいて……」


銃士「まあまあ! 過去のことは置いとこうや。俺とお前の仲やろぉ?」


戦士「まあ、他のメンバーもいるから何ともいえんが」


銃士「お前みたいなアホと組むやつが二人もおるやと!?」


戦士「4人だな」


銃士「おま……大丈夫か? お金とられたりパシられたりしてへん? お給金はちゃんともろうとる? 痛い目に合わされてへんか?」


戦士「概ね上手くやってるさ」


銃士「あの無差別誰でも絶対助けるマンの戦士に仲間が……」


戦士「へいへい……」


銃士「(まさか助けたやつでハーレムを形成してたり……いや、まさか、まさかなぁ……ははは)」
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:04:26.29 ID:AoRVU+kuO

・・・
【翌日】


エルフ「疲れたぁ……どんだけ私に歩かせるんだよぉ」ぐてぇ


商人「お疲れ様です、ほんと」


赤魔「そっちも大変だったみたいだなぁ」


盗賊「……」



銃士「ふざけんな!」


戦士「は?」


銃士「ハーレム作りやがって! もげてまえ!」


エルフ「さっきから何? 誰この人?」


銃士「あ、自分、戦士と前に組んでた銃士いいます! どうぞよろしう!」


エルフ「ふうん。ちょっと私たちだけで話したいことあるから出てってもらえる?」


銃士「まあまあまあまあ! エルフ族は秘密主義なんは聞いとりますけど、ここは是非ともお相伴に預からせてえな」


エルフ「はぁ……」
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:06:52.07 ID:AoRVU+kuO

銃士「それに君みたいな可愛い娘とももっとお話がしたいんや」キリッ


エルフ「は? なに、キモい。1秒100Gもらわなきゃイヤ」


銃士「おふ……」


赤魔「まあ、そう言うなよ! 面白そうなやつじゃん」


銃士「ええ子やぁ……惚れてまいそう……」


盗賊「その時は抉るぞ」ボソッ


銃士「ひぇ……っ」ひゅんっ


商人「(脅しとかじゃなくて、本気の目ですね)」ぞくっ


戦士「そういや、こいつが仲間になりたいらしいんだが」


エルフ「チームエルフにこれ以上童貞はいらないかな」


盗賊「ダメだな。受け付けられない」


銃士「この言われよう! というか、どど、童貞ちゃうわ!」


盗賊「尚更ダメだな」


銃士「取り付く島もあらへん……!」
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:10:12.88 ID:AoRVU+kuO

赤魔「えー、チームレッドに入れてやろうぜ」


エルフ「チームエルフだっての! チームレッドはチームエルフに吸収合併されましたー!」


赤魔「はぁ!? むしろそっちがだろ!」


バチチチ……!



戦士「あいつらは置いておいて、俺は銃士がまた組んでくれるなら心強いが」


銃士「別に男に好かれても嬉しくあらへん」


戦士「そうかよ……商人は? 今のところ2対2だが」


商人「僕ですか……」


銃士「(僕っ娘ええわぁ……)」


商人「6人いれば場合によっては3:3や2:2:2に分けられますからね。固定費用も6人と5人なら大差ないですし、銃士さんは戦闘能力も高かったですからメリットはあるかと」


銃士「そうやそうや!」


商人「……そういうわけで人出が欲しい時に臨時で雇う形でいきましょう」


銃士「そうやそう……へっ?」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:12:12.90 ID:AoRVU+kuO


エルフ「まあ、腕が確かならヘルプが欲しい時に入ってもらえばいいかな」


盗賊「……それくらいなら問題ないか」


赤魔「盗賊が譲歩するなら俺もそれでいいぞ!」



戦士「……銃士、そういうことでヘルプが欲しいときは頼む」


銃士「なんやそれ!?」


エルフ「呼んだら先約入っていてもこっち優先だからね」


銃士「はぁ!?」


エルフ「あと、チームへの仮入会金として100G徴収するから」


銃士「へぁぁ!?」


エルフ「それじゃよろしく♪」


銃士「あ、あんまりやぁ……!」



銃士が(ヘルプとして)チームエルフに加わった!



to be continued...

351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 14:19:57.74 ID:AoRVU+kuO
○戦士メモ

・タイラントドラゴン:今まで戦った相手の中でも格段に強かった。多くの加勢がなければ負けていた。

・領主の貴族:結局、長男の言葉を飲んで、獣人の村については潔白とのお触れ書きが出た。しかし少数民族と人間たちの隔たりは根深い。



○エルフメモ

・銃士:童貞。

・ケンカ別れ:理由は仕事で護衛した女の子に一目惚れした際、その子は戦士を好きになって振られたかららしい。後で戦士に詳しく聞かないと。ほらチームの運営的なアレだよ、うん。



>>352コンマ2桁
ゾロ目:???
ゾロ目以外:本編通常進行
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/20(日) 14:27:09.42 ID:gSqweE5zo
神よ…
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/20(日) 14:30:10.71 ID:hSawCYyF0
銃士ブサイクなんだろうな、それで喋りもキモいし当然だな
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/20(日) 15:03:56.02 ID:636YX1uLO
おしい
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 00:19:49.04 ID:KJms3UUR0
ゾロ目だとどうなるんだろうなあ
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 20:49:34.96 ID:W4+nvnLJO

・・・
【後日・戦士宅】


エルフ「ひまだー、かまえー」


戦士「故郷の家族に手紙書いてるから後でな」カリカリ…


エルフ「〜〜」


エルフ「うるへー! 手紙と可愛いエルフちゃんのどっちが大事じゃー!」がばっ


戦士「おま! 危ねえだろ!」


エルフ「ふんふーん♪ そうだ、エルフちゃんが添削してあげるよ」ぱたぱた…


戦士「首に手を回したまま足ばたつかすなよ……だいぶクビ締まってる……っ!」ググッ…


エルフ「あはは」ぷらぷらっ


戦士「こんにゃろ!」ぐいっ


戦士はエルフを持ち上げた


エルフ「きゃー♪ 馬鹿力ー♪」ぷらーん


戦士「(お前には負けると思うがな……言わないけど)」


357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 20:50:48.35 ID:W4+nvnLJO

戦士「ったく」すたすたっ


エルフ「やだー、ベッドに連れて来て何するつもりー? えっちー」ぼふっ


戦士「何もしねえよ!」


エルフ「知ってたー♪」


戦士「〜〜」


エルフ「あはは」


戦士「もう少し寝とけ」すたすた


エルフ「断るよ」



この後同じことを2回繰り返した
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 20:51:57.57 ID:YbSLJfIAO
ナチュラルに同棲カップル
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 20:52:37.49 ID:W4+nvnLJO



エルフ「戦士の体は硬くて座り心地は微妙だね。それに文章も硬いって。もっと柔らかくしたら?」ぼふっ


戦士「そうか? あとお前が邪魔で上手く書けないんだが」


エルフ「すぐに責任転嫁するんだから」


戦士「いや、責任転嫁というか……まあ、いい」


エルフ「はい出た。『まあ、いい』」キリッ


戦士「そんな風には言ってないだろ……」


エルフ「まあ、いい」キリッ


戦士「〜〜」


エルフ「あ、それと、私のことはもっと賢く可愛く伝えてよ。この文章からじゃ全然伝わらないよ」


戦士「お前はこんなもんだろ」


エルフ<<ズゴッ


戦士「鳩尾に頭突きはやめろ……っ」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 20:58:49.95 ID:W4+nvnLJO

エルフ「全くリーダーへの敬いが足りてないよ」


戦士「敬って欲しいならせめて独り立ちしろよ……」


エルフ「うるへー。……そういえば、君の元仲間の童貞くんが言ってたけど、依頼人の娘に告白されたらしいじゃん? 詳しく聞かせてよ」


戦士「別に取り立てて話すことは特にないな。普通に護衛して、暗殺に来た刺客を倒しただけだ」


エルフ「普通ってなんだ……」


戦士「それに告白というか、専属の護衛にならないかという申し出だ。あいつは拡大解釈しすぎなんだよ」


エルフ「……ウソは言ってないの? 今はやり取りはある?」


戦士「ウソ言ってどうするんだよ。まあ、護衛はもう必要なくなったようだし、たまにパーティの警護の依頼が来るくらいだな」


エルフ「(うーん……グレーかなぁ?)」


エルフ「とりあえず銃士は依頼人の娘に手を出そうとしたクズ野郎ということでオーケー?」


戦士「いやぁ、別にあいつは何もしてないと思うぞ? 基本的に口では色々言うが実際に気になった女性の前だとめちゃくちゃ奥手になるんだよ」


エルフ「生粋の童貞じゃん」


戦士「そう言ってやるな……」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:01:35.05 ID:W4+nvnLJO

エルフ「戦士も童貞だしねー、たはは」


戦士「ほっとけ」


エルフ「やあやあ童貞の戦士くん? 可愛い女の子を膝の上に乗せて、何か思うところはないのかい? どきどきしてる? どんな気持ち? ねえ、どんな気持ち?」にやにや


戦士「そうだな……柔らかくていい匂いがするから心地いいな」


エルフ「……」ぼぼっ…


戦士「おいおい、耳まで赤いぞ。言われるのには慣れてないんだな」にやっ


エルフ「……童貞のくせに生意気だ!」ズゴッズゴッ


戦士「いってぇっ!?」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:03:22.60 ID:W4+nvnLJO

戦士「そういえばお前は家族に手紙を出したりしないのか?」


エルフ「……べつに必要ないしー」


戦士「だが、家族も心配してるだろう? 安心させてやれよ」


エルフ「うっさいなー。事情も知らないくせに」


戦士「……それはそうだな。どんな事情があるんだ」


エルフ「いや、言わないけど?」


戦士「……」ポンポン


エルフ「……急になに?」


戦士「他意はないさ」


エルフ「あーん? 勝手に推測して憐れんでるとかだったら股間に『爆杖殴打』だかんね」


戦士「クリティカルじゃねえか。まあ、話したくなったら話せよ」ナデナデ


エルフ「……ん」
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:05:17.32 ID:W4+nvnLJO

ドンドンッ


エルフ「……ちっ。うざったいのは、どちら様?」ぴょんっ


ガチャッ



銃士「せんしー! 久しゅう会わんかったしサシ飲み……エルフ!?」



エルフ「……帰れ」バタンッ


銃士「ちょぉっ!?」


戦士「おいおい……」


・・・

銃士「一緒に暮らしとるやと!?」


エルフ「声デカい。うるさい。不快。近所迷惑」


銃士「堪忍してや……」


エルフ「堪忍してやるからさっさと帰って」しっしっ
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:08:11.76 ID:W4+nvnLJO

銃士「エルフは手厳しいなぁ……」


エルフ「なんで呼び捨てにしてるの? 礼儀知らずなの? 他人との距離感が掴めないタイプなの? ほんと生理的に無理だから帰って欲しいのが分からないの?」


銃士「か、堪忍してやエルフちゃん」


エルフ「うわっ……」


銃士「……エルフはん」


エルフ「そもそも名前呼ばないで欲しいね」


銃士「……」しょぼん…


戦士「そんなに邪険にするなよ……」


エルフ「だいたい古都の人があまり好きじゃないんだよねぇ。自分たちの文化とか言葉に自負とか持ってるのはいいけど、それが他所でも当然みたいな顔してるのが受け付けないよ」


銃士「それは偏見やで! 別に俺のことを悪く言うんはええけど、それは許せへん! みんなええヤツばっかや!」


エルフ「はいはい……じゃあ、訂正するから帰って」


銃士「どんだけ帰って欲しいん!? さすがの俺も傷つくわ!」


エルフ「別に君が傷付こうが私は傷つかないし同情もしないよ。そんなわけで早く帰ってよ」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:10:09.65 ID:W4+nvnLJO


戦士「エルフ。それくらいにしとけよ」


エルフ「……」はぁ


銃士「(正直ご褒美やから止めんでええのに……いつも余計なことばかりしくさるんやから)」


戦士「それで二人で飲みに行くのか? 」


銃士「ええと……」ちらっ


エルフ「行ってくればいいじゃん。別にそこまでついて行ったり制限したりしないっての。エルフちゃん、そこまでメンドくさくないからね」


戦士「多少の自覚はあったんだな」


エルフ<<ゴスッ


戦士「悪い悪い」


銃士「(見せつけてくれるやんか……)」



エルフ「というか、早く仮入会金の100G払ってよ」


銃士「あれホンマやったん!?」


戦士「真に受けなくていいぞ」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:11:53.15 ID:W4+nvnLJO
・・・
【大衆食堂】


銃士「お前の彼女、めっちゃアタリきついわぁ」


戦士「別にそういう関係じゃないが」


銃士「はあ!? 一緒に暮らしとるんやろ!?」


戦士「居候だ、居候」


銃士「なんで戦士ばっかり良い目見とるん? 俺かて女の子養いたいわ。むしろ養って欲しいわぁ。ヒモになりたい」


戦士「上手くいけばいいな」


銃士「雑な返ししよってからに……もうヤルことヤッたん?」


戦士「はあ?」


銃士「戦士までもが大人の階段上ってしもたんか……? しかもエルフ族と?」


戦士「そんな関係じゃないって言ってるだろ」
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:15:29.03 ID:W4+nvnLJO


銃士「いやぁ、居候するお礼的感じで乳でも揉んどるんかなぁと。まあ、お前はそういう男やなかったわ。ほんまについとるんか? 」


戦士「疑う余地があるか?」


銃士「もしかして不能なん? 同じ男として同情するわ」


戦士「……その方が気楽だがな」


銃士「……一緒に暮らしとるんやったら、ぶっちゃけ下の世話どうするん? 泡のお風呂屋さんデビュー……?」


戦士「何の話だよ。その辺は……まあ、お互いに暗黙裡に配慮するだろ……」


銃士「もしかして他のメンバーとできてるんか……? 爛れたパーティなんか?」


戦士「お前はろく次から次へと下世話な想像ができるな」


銃士「男なんて頭の中の9割方はエロいことでいっぱいやろ」


戦士「自分自身がそうだからって、それが常識だと思うなよ」


銃士「いや、みんなそうに決まっとる!」


戦士「まあ、お前の中ではそうなんだろうな」


銃士「なんや、みんなして俺にアタリが強いわぁ……」


戦士「言い過ぎたか? 悪かったよ」
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:17:35.78 ID:W4+nvnLJO

銃士「エルフ族かぁ……一晩でどんなに安くても500Gからやろなぁ。一月の稼ぎがパァやな」


戦士「……」


銃士「下ネタはやめるさかいに、睨むんはやめえや」


戦士「お前、エルフか赤魔の前で同じようなこと言ったらぶん殴るからな?」


銃士「随分と入れ込んどるな?」


戦士「……妹みたいなもんだからな」


銃士「そういや、妹おるんやったな。紹介してえや!」


戦士「お前には絶対に嫌だ」


銃士「親友に対して冷たいわぁ」


戦士「一方的に関係を切っておいて親友面とはお前の調子の良さも変わらないな」


銃士「謝るから堪忍してや。なに? オコなん?」


戦士「今の発言で更にな」
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:20:14.94 ID:W4+nvnLJO


銃士「いや、ほんとは縁切りも冗談のつもりやってん。でも、直後に入った仕事が予想以上にでこうて、全然帰れんくてな」


戦士「デカい仕事?」


銃士「他国の大富豪はんの依頼で『悪魔の湿原』でレアアイテム掘りや。そこで現場リーダーやってたんよ」


戦士「へえ……」


銃士「大変やったで。死人やら病人やらがガンガン出てな? それでもどんどんと新しい冒険者が投入されるんや。むざむざ死なすわけにもいかんから目当てのレアアイテム手に入れるまで半年近くおったな。だいぶ生死の感覚が麻痺してもうたわ」


戦士「……過酷だな。帰ってきたってことは、仕事は終わったのか」


銃士「……」ふるふる


戦士「ん?」


銃士「必要のうなったらしいわ。目当てのアイテムは万病に効く薬草やったんやけど、それを欲しごうとる依頼人はんがポックリしよったさかいに、打ち切りや」


戦士「……そうか」


銃士「後に残ったんは死体の山と毒の後遺症抱えた冒険者だけや。お笑い種にもならへん」


戦士「お前は毒は大丈夫だったのか?」


銃士「俺は加護の魔法使えるからな。俺の指示が行き渡らんかったやつや無視した奴が被害者やな」

370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:23:39.23 ID:W4+nvnLJO

戦士「……」


銃士「守れんのはキツいよなぁ。お前ならこういう時どうするんやろ、ってよお考えたわ」


戦士「……俺にもどうしようもできなかったさ」


銃士「……まあ、くよくよししてもしゃあないからな。俺は俺のやることをやるで」


戦士「それしかないな。もっと飲むか」


銃士「おっ、戦士が勧めるんは珍しいわぁ」


戦士「俺だってたまにはそういう気分になるさ」


銃士「感傷的なやっちゃな。そうだ、詫びにこれをお前にやるんやった」


戦士「これは?」


銃士「悪魔の湿原で取れたレアアイテムやな」


戦士「いいのか?」


銃士「別に報酬はたんまりもろうてたし、他のアイテムを換金して懐は潤っとるさかい、気に病まんでもろうてくれ」


戦士「まあ、そういうなら貰っておこう」



戦士は『解放の宝玉』を手に入れた!
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:28:23.25 ID:W4+nvnLJO


戦士「綺麗な宝石だな」


銃士「なあ? まあ、お前は武器の方が嬉しかったかもな」


戦士「はは、そうだな。さ、飲むか」


銃士「お前の話も聞かせえや。あ、それよりも商人ちゃん……商人くんのことをやな」


戦士「何故また……」



銃士「あんだけ可愛いんやったら、男でも問題ない気がしてきてもうた」



戦士「血迷ってる、血迷ってるぞお前……」


銃士「あない可愛い子が女の子なワケありひん!」


戦士「おい……」


銃士「俺は正気に戻った!」


戦士「ダメみたいだな……」



・・・

エルフ「あまりに遅いから様子を見に来たら……」


戦士・銃士<<すやぁ……


エルフ「よくお店で熟睡できるよね……はあ、商人でも連れてこよ」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:30:46.34 ID:W4+nvnLJO

・・・

<<すげえな、あの大男を背負ってる……

<<二人とも小柄なのに怪力だな……


エルフ「まったくこいつら……! 戦士は無駄に重いんだよ!」


商人「ふわぁ……深夜に呼び出されたと思ったら酔っ払いの介抱ですか……戦士さんがここまで酔ってるなんて珍しいですね」


エルフ「まったく……私と一緒の時は全然飲まないくせに……!」


戦士「ぅ……エルフ? すまん、自分で歩けるから……」ウトウト…


エルフ「いいから寝てなよ! まったく今度お返ししてもらうからね」


戦士「すまん、ありがとう……」ウトウト…


商人「銃士さんの住所分からないんですけど、戦士さんの部屋でいいですか?」


エルフ「そうしたら、せっかくのチャンス……い、いや狭いから無理! うん狭いから!」


商人「えぇ……まあ、はい。なんかもう、お好きにどうぞ」


エルフ「や、だから、だからだね……えっと……」


商人「ああ、大丈夫、大丈夫です、はい」


エルフ「何がだ! その温かい目をやめろ!」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:33:31.30 ID:W4+nvnLJO

・・・

エルフ「やっと着いた。おりゃっ」


戦士「ぅぅ……」ドサッ


エルフ「おーい、吐いたりしないでよー?」


戦士「……」スゥスゥ…


エルフ「しっかし酒くさいなぁ」


エルフ「……」すんすん


エルフ「酒くさい!」


エルフ「……」くんくん



エルフ「まったく無防備に寝ちゃって……女の子なら色々と危ない目に遭っても知らないよ」


エルフ「……ええーと、着替えないとダメだよね? 仕方ないなぁ! めんどくさいけど仕方ないなぁ!」ドキドキ


エルフ「ほ、ほら着替えさせてあげるから手を挙げて!」


戦士「んー……いらん……」


エルフ「い、いいから! ほら、私がイヤだから!」


戦士「んー……」


エルフ「よ、よっと……」ぬがしぬがし
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:39:11.28 ID:W4+nvnLJO



エルフ「……まあ、熱いなら私の体温がちょうどいいかもよ? ほら砂漠とか人肌の方が涼しいっていうし……ね? ねっ?」



するっ…ぱさっ…



戦士「……」



エルフ「……っ」のしっ



すっ



エルフ「せ、せんし……っ」




375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:41:15.72 ID:W4+nvnLJO



戦士「……うぷっ!」ぐぐ…




エルフ「えっ!? ちょっ……桶! この桶に!」



戦士「うぅ……おぇぇ……」ぼちゃちゃ…



エルフ「……」さすさす…


戦士「おぇぇ……」びちゃびちゃ…


エルフ「まったく……ほら、水」


戦士「……ん」ごくごく…



パタッ



戦士<<すやぁ……



エルフ「はぁ……やっぱり戦士だわ」



エルフ「……寝よ」


376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:43:22.15 ID:W4+nvnLJO


・・・

チュンチュン……



戦士「んぐ……あたまいてぇ……」ズキズキ…


エルフ「……」すやすや…


戦士「……うん? なんでこいつ下着なんだ? ……え? なんで俺はパンツだけなんだ!?」


エルフ「うるさい……あぁ、起きたんだ」ふわぁ


戦士「……エルフ、これは一体」


エルフ「……ひどいよ戦士……私、初めてだったのに……あんな乱暴に……」ぐすっ…


戦士「……」サァ…


エルフ「何回もやめてって言ったのに……まさか、覚えてないの……?」ぐすっ


戦士「あ、え、ま……?」


エルフ「……責任とってよっ」
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:45:23.23 ID:W4+nvnLJO


戦士「ほ、本当にすまなかった! 責任は取る! すまない!」ガバッ


エルフ「(……本当に信じたし)」


戦士「すまない……! ああ、俺はなん
てことを……!」ガタガタ…


エルフ「(……)」


エルフ「……本当に嘔吐物の処理をさせるなんて最低!」


戦士「うぅ……へっ?」


エルフ「私に、自分の出したゲロを捨てさせて呑気に寝ちゃって! 人としてどうなの!? あんなに吐くのやめてって言ったのに!」


戦士「あ、うん、すまない?」


エルフ「次はないからね! ちゃんと責任もって禁酒してよ!」


戦士「あ、ああ! な、なんだ……」ほっ…



エルフ「(……ま、今はこれでいいや)」




to be continued...
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/21(月) 21:47:44.38 ID:W4+nvnLJO

○戦士メモ

・悪魔の湿原:隣国の領土にまたがる広大なダンジョン。8つのダンジョンの中で一番広い面積を持つとされる(『不帰の虚』は除く)。ダンジョン全体に毒の霧が広がっており、その水は猛毒である。それらに対する知識と対策を持たずしてこのダンジョンに挑むことは自殺行為である。

・アルコール:ここにおいて無期限に断酒することを誓う。



○エルフメモ

・手紙:戦士はわりと筆まめなのか二週間に一回は家族に手紙を出している。家族や友人、その他からの手紙は机に保管してるみたいでかなりの量だから全然読み終わらないよ。

・責任:好きでもないのに取ってもらっても嬉しくないし。いや、そもそも戦士なんかに取ってもらっても嬉しくないし。……別に事実を話して後悔とかしてないし。



>>379
1.日常
2.ダンジョン
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 21:48:37.61 ID:YbSLJfIAO
2
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 21:56:52.65 ID:KJms3UUR0
酔っぱらいの介抱するとかエルフめっちゃ良いやつだな(´・ω・`)
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:24:42.06 ID:o4X/30fzO

【後日・カフェにて】



エルフ「はい、それじゃあミーティングを始めまーす」


戦士「ああ」

商人「はい」

赤魔「おう」

盗賊「……」

銃士「あいあい」



エルフ「まずはこの前の一件についてもう一回話し合おうか。その後、次の予定について話し合おう」


戦士「結局、この前のテロの真犯人は盗賊の姉なのか?」


商人「(いきなりぶち込んで来ますね……)」


盗賊「そうだろう。私にはその真意も、奴がどのような勢力と結び付いてるかも掴めていないが……まあ、ロクでもないのは間違いない」


商人「爆弾テロに魔物を使って兵士の襲撃ですもんね……」
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:26:12.22 ID:o4X/30fzO

銃士「自由に魔物を転移させれるんやとしたら、アカンなぁ。街中に転移させられたら大パニックや」


エルフ「『魔物の洞穴』でもヤバいよ。街に近いしね」


商人「でもそうしたら、どうして今回はまず爆弾を使ったんでしょうか。転移に制約があるのか、何か裏があるのか……あれから考えてみましたが答えは出ませんね」


盗賊「一つ確かなのは黒幕がいることだ。あのイカサマ女は手駒に過ぎないだろう。あいつはリーダーをやるようなヤツではないわ」


赤魔「そうなると黒幕はサモナーか」


盗賊「そうね」


エルフ「盗賊はそのサモナーとかいうのに復讐したいんだよね? 何をされたの? セクハラ?」


盗賊「村を焼き払われた」


エルフ「わーお」


戦士「おい、エルフ」


エルフ「不謹慎だったね。反省してまーす」


戦士「おい……」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:29:23.84 ID:o4X/30fzO

盗賊「別にいいわ。過去の話よ」


エルフ「言葉と行動が一致してないだよねぇ」


商人「そういう時は行動を基に判断するのがベターかと」


盗賊「……そうね。水に流せてないわね」


エルフ「うんうん、素直な子は好きだなぁ」


盗賊「……」ふぅ…


赤魔「話が逸れてるだろ。大事なことはなんだよ」


エルフ「うわ、黒チビから真っ当な意見が出てきた」


赤魔「いちいち茶化すなよ!」


エルフ「何をそんなにイラついてるの」


赤魔「だから……!」


商人「ごほっ! まあ落ち着いて話を進めましょう」


エルフ「ほいさ」


赤魔「……ああ」


銃士「(商人くん、やるやん。あとこの前は迷惑かけてゴメンやで)」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:33:03.82 ID:o4X/30fzO


商人「イカサマ師は賭場から姿を消していました。誰も行方は分からないようです」


エルフ「次は勝たせてくれるって約束だったのに……」ぐてっ


商人「……それも言及したいところですが、今はこのイカサマ師の置いていった報酬アイテムについてです」


商人は『紅蓮石』を取り出した!


商人「これは『紅蓮石』です。売値は2200Gです。強力な炎の力が宿っており、強力な魔法道具の素材などに用いられます」


エルフ「2200G石だぁ」


戦士「下手な宝石より高価だな」


銃士「初めて見るわ。どこで採れるん?」


商人「……『憤怒の火山』です」


赤魔「憤怒の火山……『不帰の虚』に次ぐ最難関ダンジョンかよ」


盗賊「……ヤツはそこにも手を伸ばしてるのか」


商人「ええ、おそらく」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:36:12.92 ID:o4X/30fzO

戦士「別に採取してきたとは限らないんじゃないのか? どっかから盗んで来た可能性もあり得るだろあ?」


商人「いえ。紅蓮石の総量は詳しく測定されていて、その用途や行方まで記録されてるんです。原石のままの紅蓮石は記録上もう存在しません。ほぼ確実に新たに採取されたものかと考えられます」


銃士「なんでそこまで詳細に記録されてるん?」


商人「『憤怒の火山』は現在封印されてるんですよ。それで誰も入ることは出来なくなっているはずなんです。採れなくて貴重なアイテムですから加工の際に政府に認可を貰わなければいけなかったようです」


赤魔「聞いたことあるぞ。生還者の大賢者が危ないからってダンジョンを封印したって」


銃士「ほへー」


エルフ「ダンジョン冒険者のくせにそんなことも知らなかったの?」


エルフ「(私も知らなかったけど)」


銃士「いやいや、本職はダンジョン冒険者やないし。なぁ?」


戦士「ああ。傭兵だな」


銃士「せやせや」


エルフ「無職たちめ」


戦士・銃士「無職いうな!」


商人「(この人たちすぐに本筋から脱線しますね……)」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:40:48.70 ID:o4X/30fzO

赤魔「……」いらいらっ


商人「ごほっ、ここで大きな疑問が出てくるわけです」


盗賊「ああ」


商人「封印されているのにどうして紅蓮石を持っているのか」


エルフ「封印を破って入ったから」


商人「そうしたらもう少し騒がれているはずです。見て来たわけではありませんから断定はできませんが、封印は破られていないと思われます」


エルフ「転移石で出入りしてるのかな?」


商人「それはあり得ますね。ただ転移石が火山内部にあるのが前提ですが」


戦士「封印を施した大賢者とやらが敵と繋がっている可能性は?」


商人「大賢者は現在消息不明です……あり得なくもないかと」


銃士「そのサモナーとやらと大賢者が同一人物とかありえへんの?」


盗賊「有りうる」


商人「何か根拠はありますか?」


盗賊「サモナーも非凡な魔法の使い手だった。転移石を作り出すほどだからな」


銃士「そうするとそもそも憤怒の火山だけ封印したのも不審やない? 『不帰の虚』とか他のダンジョンも充分危険やのに」


戦士「……火山に何かあるのか?」
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:44:05.20 ID:o4X/30fzO


赤魔「……憤怒の火山に行きたいな。きっとイカサマ師は憤怒の火山まで来いと挑発してるんだろ」


エルフ「見つけてみろみたいなこと言ってたもんね。罠かもしれないけど……あの性悪パイオツちゃんは読み切れないなぁ」


商人「しかし行こうにも、厳重に封印されてると思いますよ。まずは封印を解かないといけませんが気が遠くなるほど大変かと」


エルフ「どうやれば解けるの? 2200G石いっぱい採りたい。10個も集まれば22000Gだよ? 100個で220000G……うへへ……」


銃士「えらい大金やなぁ」


商人「封印を解くにはレアアイテムが3つも必要なんですよ。『解放の宝玉』、『セフィロトの杖』、『開闢の台座』です」


赤魔「なんか大それた名前だな……」


商人「記録ですとダンジョンにあるんですけどね。『悪魔の湿原』、『幻惑の街』、『蠢く砂漠』にそれぞれあるみたいです」


エルフ「め、めんどくせぇ……! RPGじゃないんだから!」
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:49:17.15 ID:o4X/30fzO


銃士「……あれ? なあ戦士」


戦士「ああ。商人、こいつをどう思う?」スッ


商人「はい? ええと……『解放の宝玉』じゃないですか!?」


盗賊「!」


赤魔「ええ!?」


エルフ「え、どういうこと? なんで戦士が持ってるの?」


戦士「銃士が『悪魔の湿原』で見つけたんだよ」


銃士「わはは、都合のええこっちゃ」


盗賊「そうなると……あと二つで『憤怒の火山』に入れるか」


商人「うーん……このアイテムが存在するならやっぱり封印は解けてないのでしょうね。しかし、幻惑の街も蠢く砂漠も難関ですよ……」


赤魔「蠢く砂漠はたまに発見の話を聞くけど、今はどうなんだ?」


商人「ここ1年は話を聞きませんね」


エルフ「幻惑の街もヤバいって言うよね。生還者のほとんどが眠りこけたりボンヤリしたままなんだっけ? みんな、そのまま緩やかに衰弱死するって聞いたよ」


赤魔「らしいな。無事な生還者は幻を見たって話だ。とても幸せな幻なんだってさ」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/22(火) 22:49:58.71 ID:hDeOZizt0
鏡を使え
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 22:52:57.91 ID:o4X/30fzO


戦士「赤魔は結構ダンジョンに詳しいんだな」


赤魔「ダンジョン冒険者になるのが小さい頃からの夢だったからな」


エルフ「今も小さいままだけどねー、ぷぷっ」


赤魔「お前には言われたくねーよ!」


商人「幻……まあ、『幻惑の街』というくらいですからね」


盗賊「この前に拾った『真実の鏡』は使えないかしら?」


商人「いけると思います。おそらくどんな幻も見破るかと」


銃士「実は毒物による幻覚やってんなら俺の加護魔法で何とかなるはずや」


エルフ「『幻惑の街』ねえ……何か金になるアイテムはあるの?」


商人「『ビスクドール』が1つ1000Gで取引きされてますね。熱心な愛好家がいますから」


エルフ「よっしゃ1000G人形を集めに行こう!」


戦士「相変わらず現金なやつだな……」
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:00:41.83 ID:o4X/30fzO


エルフ「ついでに『パチスロの杖』だか『ドンジャラの台座』だかも探すよ」


戦士「ついで扱いかよ」


商人「全然名前違いますしね……」


赤魔「よしっ、それじゃあ次の目的地は『幻惑の街』だ!」


エルフ「あ、こら! それを宣言するのは私だ!」


赤魔「はぅ、チームレッドのリーダーが宣言するのは当たり前だろ?」にやっ


エルフ「チームエルフだー!」


赤魔「いーや、チームレッドだね!」


盗賊「店で騒ぐな」


エルフ・赤魔「はい……」



銃士「そういう力関係なんやなぁ」ヒソッ


商人「そうなんです」ヒソッ


戦士「盗賊は怒らせないようにしとけ」ヒソッ


盗賊「聞こえてるから。わざとかしら?」


「「「ごめんなさい」」」



chapter3:不穏の始まり
ーーーーーーーー
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:06:31.96 ID:o4X/30fzO

○戦士メモ

・憤怒の火山:今までわずか3名のみの生還者しか記録されていない最難関ダンジョンの一つ。現在は生還者の一人である大賢者によって封印されている。イカサマ師たちはここにも干渉しているようだが真偽のほどはどうなのか。

・サモナー:盗賊曰く転移石を作った人物。魔法に恐ろしく長けているそうだ。『憤怒の火山』を封印した大賢者の同一人物という仮説も考えられるが真偽は分からない。



○エルフメモ

・ミーティング:淡々とやって終わるよりも雑談を挟んでわいわいやった方が良い案が出たり、関係の深まりにも繋がるよね。賢くて可愛いリーダー、エルフちゃんは色々と考えているのだ!

・無職:童貞たちのことだねー

・赤魔のイライラ:重い日だったのかな? まあ、盗賊の苦悩を自分のことのように感じてるんだろうね。単純だから少し気を紛らわしてやればすぐ元気になるから盗賊に比べたら遥かに扱いやすいもんだよ。



○商人の鑑定

・紅蓮石:売値は2200G。非常に貴重にも関わらず、値段がそこまで高くないのは加工技術が低いために持て余し気味なことが原因です。技術の進歩とともに需要は増大していくでしょう。

・解放の宝玉:売値は貴重なため付けられません。青く輝く宝玉には膨大な魔力が込められています。『セフィロトの杖』、『開闢の台座』と揃えることでその真価を発揮するようです。
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:08:29.10 ID:o4X/30fzO
すごい今更だが>>255の最後に

chapter2:異形の島
ーーーーーーーー

を挿入しとくべきだった


うだうだ喋ってないでさっさとダンジョンにいってくれ
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 00:22:58.06 ID:wE8ZG/110
C
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 07:42:43.63 ID:Aca75q/eO
封印って解かれないこと前提なのになぜ商人は解除方法知ってるんや…
商人実は敵方なんじゃ
金庫の暗証番号知ってますみたいなもんやろ
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 11:04:37.14 ID:EEX0R+JH0
>>395
誰だって金庫を見れば暗証番号が必要な事くらい分かるでしょ
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 11:31:00.46 ID:4NEdWEsSo
あるのは良いとして何故知ってるのかって話じゃね?
てかネタ潰ししないようにね
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 16:32:07.36 ID:8Gh/mHgSO
少し調べりゃ分かると思うが
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 16:41:42.47 ID:dXv07jWp0
危険なダンジョンだからその3つを集められる位強い人だけ入っていいよってことなんじゃないの?
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 16:42:12.01 ID:Xk6D4Jvco
作者が書きにくくなるから変な探り入れるなよ
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 16:44:46.59 ID:xDFZWcppo
>>395
大賢者が「偶然にも封印を解かないように」って文献かなんかに残してるのかもよ
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 17:00:28.76 ID:Aca75q/eO
>>398
おめぇは少し調べたら暗証番号がなにかわかるのか?
アメリカのFBIとかでもiPhoneの解除でめちゃくちゃかかったのに
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 17:02:07.85 ID:Aca75q/eO
>>401
文献に残したらあかんでしょ
解いてくださいっていってるようなもんやん
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 17:20:06.46 ID:l4Z1EE/hO
前いた病気君かな?
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 19:17:37.05 ID:zWjkIzQmo
>>403
高度な封印を残した本人がその解除方法を告げずヒントも残さず自ら解かないまま死んでしまったらどうやってそれを知るんだ?
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 19:25:21.23 ID:z3pZYETA0
触るなよ…
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 20:03:40.64 ID:yIRD6iCko
解除方法と暗証番号の例が間違っている
物理鍵を呪文で例えているようなものだぞ?
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 21:01:50.99 ID:HPPdHV+Zo
どうやら斜に構えたい高二病が湧いたようだな
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 21:34:45.65 ID:ns5XKEsuO
ほっとけ
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:35:04.47 ID:PBfzYTJCO
・・・

曇天の下、俺は固唾を飲んだ。

普通には変えられない現状を変えるため、ここまで来た。

『幻惑の街』。

かつては商業都市であり、現在はダンジョンと化した街。

多くの人と金が行き交っていたかつての街は今もなお死ぬほど富を欲する人間を惹きつけている。

誘蛾灯に群がる蛾の如くーーそして俺も蛾の一匹。

恐ろしい噂は何度も聞いた。

それでも俺は挑まなければいけない。

金が要るのだ。

腹を空かせた子どもたちに食わすため。

病に臥せた妻に薬を与えるため。

手放さざるを得なかった土地を取り戻すため。
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:37:21.18 ID:PBfzYTJCO

街の外れの一角に冒険者たちが倒れていた。

近寄って見てみれば、眠りこけているか、虚ろに宙を見上げているかのどちらかだった。

彼らは死ぬまでこの状態らしい。

不気味な魔物によって運び出されるか、自分でふらついてここに辿り着くそうだ。

一日に一回、搬送用の馬車が訪れてここに溜まった廃人たちを連れていくのだとか。

数日以内に正気に戻らない者はそのまま延命措置が打ち切られるらしい。

俺も同じ運命を辿るかもしれない。

恐ろしいが、それでも俺には他に術がなかった。

それに全員が廃人になるわけじゃなく生還者はちゃんといる。

俺はきっと大丈夫。

俺は特別だ。

昔から俺は特別なんだ。

魔物との戦いはおろかケンカすらしたことないが、他に生き残ってる奴がいるのに俺が死ぬわけない。

そう自分を奮い立たせてダンジョンへと足を踏み入れた。
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:42:01.34 ID:PBfzYTJCO

・・・

拍子抜けした。

街の中は見惚れるほどに美しかった。

手入れの行き届いた植え込み。

透明な水を吹き出す噴水。

鮮やかなパラソルと真っ白な外壁。

露天や屋台が並び、食料品やら服飾品やらが晴天に晒されていた。

ダンジョンとは不思議な場所だ。

この服飾品などは持ち帰ってもいいはずだが少し逡巡した。

ダンジョンなのだから罪悪感を覚える必要はないはずだと自分に何度か言い聞かせた後、袋にアイテムを詰め込み始めた。

出来る限り値の張りそうなアイテムを懸命に探していると童心にかえる気分だった。

ダンジョンなんて大したことないじゃないか。

この調子なら俺は金持ちになれるぞ。

「そこのお前、何をしてる?」
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:43:22.43 ID:PBfzYTJCO


唐突に肩を叩かれ思わず体が硬直した。

恐る恐る振り返れば官憲が立っていて俺を睨みつけていた。

「白昼堂々と窃盗なんてふてぶてしいやつだ」

ここはダンジョンのはずなのにどうして警邏が?

「何をおかしなことを……大人しく詰所まで来い!」

俺はとっさに逃げ出した。

邪魔な人混みをかき分けて前へ前へと無我夢中で足を進めた。

「待て!」

警官は追い掛けてきているようだ。

捕まったら逮捕されてしまう。

そうしたら俺の人生は終わりだ。


イヤだ……イヤだ……!

414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:46:29.00 ID:PBfzYTJCO

「こっちよ!」

少女が俺の手を掴んだ。

「こっちの路地ならきっと撒けるわ!」

俺は驚いたが、少女に導かれるままに入り組んだ裏路地を走った。

やがて怒声は聞こえなくなった。

「撒けたみたい。よかったわね」

乱れた息を整えようと深呼吸を繰り返した。

胸の高鳴りが苦しくて、それでいて心地良かった。

やっと落ち着いて、俺は少女に礼を言った。

「良いのよ。それより少し一緒に遊びましょう?」

遊ぶ暇なんてない。俺は家に帰らなければいけない。

俺の帰りを待っているのだ…………誰が?


……あれ?


「ねえ、お願い」

少女の縋るような目。

その視線に耐え切れず、たまらず頷いた。

415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:47:56.08 ID:PBfzYTJCO

ありがとう。それじゃあ、日が暮れるまで一緒に遊びましょう」

日が暮れるまで……それくらいならお母さんも許してくれるはずだ。

ああ、待たせているのはお母さんだった。

……どうして疑問に思ったのだろう?

新しい友だちが出来たと話せば、仕方ないわね、と笑って許してくれる。

それから僕たちは一緒に遊んだ。

気づけば他の子たちも混じっていた。

ああ、とても楽しい。

このまま楽しい時間がずっと続けばいいのに……。

日はまだ暮れない。

まだまだ僕たちは遊べるんだ。


俺は……僕は……あれ?


何故か少し心がもやもやしたけれど、そのうち気にならなくなった。
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:49:16.70 ID:PBfzYTJCO

・・・

「また、お友だちが増えたわ」


「もっと増えないかしら。もっと増えないかしら」


「みんなといれば楽しいわ」


「いつまでも終わらない日曜日」


「なんて素敵なのかしら」



「ーーああ、また新しい人たちが来たのね」


「6人も……全員とお友だちになれるかしら」



「ーー真実の鏡?」



「……お友だちになれないかも」



「お友だち以外はここにいちゃダメなのに」


417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:51:10.11 ID:PBfzYTJCO

・・・
【幻惑の街・入り口】


盗賊は真実の鏡を使った!


幻が打ち消された!


エルフ「わーお、綺麗な街並みが消えちゃった」


赤魔「廃墟だな。嫌なニオイがする……」


盗賊「さっきの幻……確かに対策なしだと知覚するのも大変そうだな」


銃士「真実の鏡さまさまやな」


商人「……しかし、外にいた冒険者たちに鏡の効果はありませんでしたね」


銃士「予防にはなっても、治療にはならへんのかな?」


戦士「そうすると別行動は避けるべきだな」


エルフ「御手洗いとかどうする?」


赤魔「鏡を割って二つにするのはどうだ? お、我ながらいい考えな気がするぞ」


商人「なっ……それを割るだなんてとんでもない!」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:52:44.04 ID:PBfzYTJCO

赤魔「名案だと思うんだけどなぁ」


盗賊「その時が来たら男たちには犠牲になってもらうしかないか」


銃士「ひどいなぁ!?」


盗賊「冗談だ」


戦士「(冗談に聞こえないが……)」


エルフ「最低でも鏡が二つあれば良かったんだけど」


盗賊「やっぱり割るか」


商人「ちょっと!?」


盗賊「割ると本当に効果が消えるの?」


商人「ええっ……綺麗に分割すれば多分……いやでもレアアイテムを傷付けるなんて……」



盗賊「はっ」ズバッ



盗賊は『真実の鏡』を真っ二つにした!



商人「」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:54:14.58 ID:PBfzYTJCO

エルフ「おおー」


銃士「な、なんで手刀で鏡を真っ二つに出来るん……?」


戦士「もはや達人だな……」


赤魔「盗賊にかかればこれくらい朝飯前だぜ!」どやっ


盗賊「だからなんでアンタがイキるの」はぁ…


商人「レ、レア……レアアイテムががが……!」


銃士「あらら、商人くんが壊れてもうた」


エルフ「状態異常を治す魔法」ゴッ


商人「いたいっ!」


戦士「お前は鬼か」
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:56:27.48 ID:PBfzYTJCO


赤魔「幻を破る効果は残ってるか?」


商人「はい……」どんより…


赤魔「やった! これで解決だな!」


盗賊「上々ね」


商人「……生存した冒険者は共通して少女の幻を見ています。気を付けるべきでしょう」どんより…


エルフ「元気出してよ」


商人「もう少ししたら立ち直ります……多分」


エルフ「二つに割っても効果があるなら便利じゃん? どうせ売れないんでしょ?」


商人「価値が付けられないほど高価なんですよ!」


エルフ「価値が付かないならそんなの無価値と同値だよ。いっそ6等分する?」


商人「これ以上の分割は効果が消えちゃいます!」


エルフ「ちぇっ。じゃあ、男女それぞれで持とうか。そっちは童貞くんが持っておいて」


銃士「その呼び方はやめてくだはる!? 俺でええんか?」
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 22:58:06.21 ID:PBfzYTJCO


エルフ「いざという時は君が一番冷静そうだからね」


銃士「お、信頼されとるぅ」


エルフ「やめて、キモい」


銃士「ほんま辛辣やわ……」


エルフ「でもお好きなんでしょう?」


銃士「エルフはん、分かっとる。ぶっちゃけ女の子に童貞呼ばわりされるとかご褒美やと思う」キリッ


エルフ「……あまりにも気持ち悪いから今後はやめるね。名前も呼びたくないくらいだよ」


銃士「おうふ」


盗賊「……赤魔、絶対に銃士と二人きりになっちゃダメよ?」


赤魔「あ、ああ」


銃士「それリアルに傷つくやつや……」


戦士「そろそろ無駄話は切り上げて進もうか」


商人「そうですね」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 23:00:37.43 ID:PBfzYTJCO

・・・
【幻惑の街・時計塔前】


エルフ「とりあえず街の中心の時計塔に来たけど……んー、開かないね?」


赤魔「これ封印かかってるな」


盗賊「例の『解放の宝玉』は使えないかしら?」


商人「無理です。あれはあくまで憤怒の火山の封印を解くものですからね」


エルフ「使えないなぁ」


銃士「そういえば、そういうのどこ情報なん?」


商人「はい?」


銃士「『解放の宝玉』や封印の解除方法なんて俺は知らんかったわ。どこでそういう情報を得てるん?」


商人「基本は図書館の資料です。あとは官公庁の資料ですかね。申請して許可が降りれば一部は閲覧できますから」


エルフ「まあ、勝手にダンジョンを封印したら、色々と言及されるよね。精確なのかは別として」


商人「もちろん全ての情報が精確なわけではありませんが、ご存知の通り我が国はかなりの文書主義ですよね。それに大賢者は政府からの派遣で火山に行ったため公式の記録にあるんですよ」


銃士「ほへー。紙に残すのはええこっちゃな」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 23:01:09.03 ID:gAFxSq9A0
だから知ってたのか
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 23:02:28.87 ID:PBfzYTJCO


商人「トレードオフとしてレッドテープが深刻ですけどね」


エルフ「横文字大好き商人さん」


商人「……二者択一として繁文縟礼が深刻ですけどね」


エルフ「難しい言葉大好き商人さん」


商人「……悪い点として、書類の書き方とかにうるさくてかなり時間がムダになってる側面もありますけどね」


エルフ「もう少し砕いてみようか?」


商人「…………」


戦士「……」ぽんぽんっ


商人「な、なんです……?」


戦士「なんとなく」わしゃわしゃ


商人「……」


銃士「俺もやる俺もやる」


商人「え、やめてください」


銃士「……」


戦士「……」ぽんぽんっ


銃士「お前にやられても喜びもトキメキもないわ!」べしっ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 23:05:10.11 ID:PBfzYTJCO

商人「それと僕自身、アイテムを見るとその概要が分かるんですよ」


銃士「なんやそれ」


商人「生まれつきそうなんですよね。上手く説明できないですけど……」


銃士「ほぉ……奇特な才能やなぁ。なんにせよ商人くんは色々と頼りになるな」


エルフ「まあ、エルフちゃんが一番賢いけど」


赤魔「あはは、よく言うぜ」


エルフ「おりゃっ」ぶんっ


赤魔「あぶねえな!?」


エルフ「この黒チビはいちいちケンカ売ってくるねぇ……喜んで買うよ?」


赤魔「事実を言って何が悪いんだよ。まあ、そっちがその気ならやってやるよ」


盗賊「……」ゴリリッ


エルフ・赤魔「……」びくっ


戦士「(指を鳴らすだけで黙らせるとは……)」
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 23:08:13.22 ID:PBfzYTJCO


戦士「……俺たちはいちいち無駄話が多いな。さて、時計塔に入れないなら別のところを周るしかないか」


銃士「本当に開かないんか?」チャキッ



銃士の『クリティカルショット』!



キィィンッッ!


銃士「あらら、ダメみたいやな」


商人「ダンジョンで力業は大抵ロクなことになりませんよ……」


ブブブゥゥゥーーッッ!


銃士「ほあ?」


銃士に即死トラップ!


銃士「ぬわぁぁーっ!」どがんっ


ぱたりっ


赤魔「大丈夫かよ!?」


銃士<<ちーん……


エルフ「あほー……」

427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 23:11:25.13 ID:PBfzYTJCO

商人「気付薬……」ごそごそ…


盗賊「バカにつける薬なんてないわよ。私が蘇生させるわ」


エルフ「意味が違うと思うんだよね。とにかく蘇生魔法が使えるならよろしく」


盗賊「ええ……はっ」ドスッ



盗賊の『蘇生魔法(物理)』!



銃士「ぅぱぁぁっ!?」



銃士は復活した!



エルフ「えぇ……」


赤魔「相変わらず見事な『蘇生魔法(物理)』だ!」


商人「えぇ……」


銃士「いっだぁぁっ! いっだ……いっだぁぁぁぁっ!」


戦士「……今のは魔法ではないんじゃないか?」


盗賊「魔法(物理)だ」


戦士「……そ、そうか」


銃士「俺の扱いひどぉない……? 世界はもっと優しくあるべきや……」しくしく


赤魔「(わりと自分からいじられにいってるだろ)」


to be continued...
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 23:13:52.77 ID:PBfzYTJCO

○戦士メモ

・幻惑の街:20年前までは地理的条件にも恵まれて商業都市として栄えていたそうだが、ある日ダンジョン化した。ダンジョンからの生還者は比較的多いが、軒並み廃人になっていることを考慮すると難易度自体は高いといえる。



○エルフメモ

・横文字:ナウでヤングなエルフちゃんはレターをコラムからローにリプレースだよ.『、』と『。』のサブスティテューションに,カンマとピリオドもユーズしちゃう.

・即死トラップ:銃士は死ぬ。

・魔法(物理):常識を疑え! インスパイア・ザ・ネクスト!
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 23:28:50.96 ID:gAFxSq9A0
即死というより気絶じゃね?
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 02:32:09.85 ID:P5RIR25OO
>>429
だよな即死ならもう完全に亡くなってるわけで物理なんかじゃ蘇らないからね
良くて仮死状態だな物理で蘇るとするならでも即死トラップだし……
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 03:22:17.80 ID:kXiYQ06Io
いや魔法(物理)だから死んでも蘇るでしょ(盲信)
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 04:13:28.34 ID:bu7xo6g+o
即死の基準にもよる
人間は呼吸停止から約10分
心臓停止から約3分は蘇生が間に合う可能性があると言われてるし
蘇生(物理)を使えば余裕で復活よ
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 09:09:34.42 ID:lzrm3t6t0
即死トラップに中途半端に引っかかって即死は免れたとか考え方は色々あるだろ
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 11:01:43.84 ID:NDziW5B9O
いちいちうるせぇな
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 11:29:35.69 ID:Or+0beBSo
今まで読んでなかったのかよ
>>200でも>>343でも死んですぐ生き返るような描写あっただろ

このSSだと死は一種の状態異常で、回復可能な範囲なら蘇生もできる、くらいの認識でいいんじゃないの?
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 14:40:10.16 ID:/WHeZCKPo
ギャグ描写に対してもいちいち突っ込み入れないとダメなのか
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 16:13:42.32 ID:+cyoqbNsO
厨房はNGスルーが基本
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 19:37:32.19 ID:U4cZM/TRO
ガキはさっさと夏休みの宿題やって寝ろよ
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 20:24:37.84 ID:am8TkPjrO
以下ループ
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 20:29:57.80 ID:kwFQ9iL/o
SSに「何故」を求めてはいけない
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 22:49:17.66 ID:Sy/R5nYXO

【幻惑の街・商業区跡地】


『ディフェンダー』を手に入れた!


商人「これは『ディフェンダー』ですね。厚みで非常に頑丈なため盾としても機能します。売値は200Gです」


エルフ「高い! 飛竜草と一緒だよ!」


商人「幻惑の街のアイテムは今までのダンジョンに比べると高価なものが多いですね」


盗賊「難易度もかなり高いから、そう簡単にはアイテムが入手できないのが原因だろう」


銃士「需要に対して供給が少ないから価格が上がるんやなぁ」


赤魔「せっかくだから装備するだろ?」


戦士「そうだな……少し重いが俺の戦い方と相性が良さそうだ……」


エルフ「200G剣……」


戦士「ダメか?」


エルフ「……200G分以上に私を守ってよ?」


戦士「ああ」


戦士は『ディフェンダー』を装備した!
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 22:51:32.61 ID:Sy/R5nYXO


『ホットドッグ』を手に入れた!

『唐揚げ詰め合わせ』を手に入れた!

『小枝チョコ』を手に入れた!



エルフ「食べ物がいっぱいだね」もぐもぐ…


銃士「俺、未だにダンジョンのアイテム食べるの抵抗あるわ……」


商人「大丈夫ですよ。食べられなくなったアイテムはすぐさま消えますから」


赤魔「包装もされてるしな」もぐもぐ…


盗賊「……」ポリポリ…


戦士「食べながら喋るのは行儀悪いぞ」


エルフ「ふぁいふぁい」もぐもぐ…


戦士「ったく……それに二人とも口の周りも汚れてるぞ」ふきふき…


エルフ「んー」


赤魔「サンキュー……戦士ってたまにお母さんみたいだよな」


エルフ「戦士ママー」


銃士「こんなにゴツいママは嫌やわぁ」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 22:56:53.38 ID:Sy/R5nYXO


エルフ「そういえば銃士の強さはどんなもんかな」カシャッ


戦士「ああ、まだ測ってなかったか」


ステータス解析マシン<<ピピッ……ピロンッ


銃士「お?」


エルフ「戦闘力……たったの5か……ゴミめ」


銃士「よう分からんかどひどぉない!?」



・銃士
HP:1000
こうげき:1000
まほう:350
ぼうぎょ:150
すばやさ:500


エルフ「紙だなぁ」


戦士「やっぱり攻撃力は大したものだな」


商人「武器による攻撃力も加算されるみたいですね」


銃士「さすが俺やん?」


エルフ「儚くて可愛いエルフちゃんよらもか弱いことが分かったよ」


銃士「エルフはんより、まいてはんなりしとるわけやね」


エルフ「うざっ」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 22:59:00.29 ID:Sy/R5nYXO


赤魔「おっ?」


『天使のペンダント』を手に入れた!


商人「これは『天使のペンダント』ですね。これをつけると幸運なことが起こりやすくなると言われています。具体的な効果としては敵の状態異常攻撃が効き辛くなります。売値は150Gです」


エルフ「またいいお値段だね」


赤魔「戦士にやるよ!」にっ


エルフ「えー」


盗賊「戦士が身に着けておくと盤石だろう」


エルフ「まあ、いいけどね。命あっての物種だし、安全性を高めるのには文句ないけど」


赤魔「それなら最初から不満そうな顔するなよ。構って欲しいからって少しうざったいぞ」


エルフ「はぁっ!?」


銃士「ええやんええやん、いじらしくて可愛ええもんや。なあ?」


エルフ「キモい!」


銃士「酷いわぁ……」よよよ…


戦士「まあ、赤魔とエルフがそう言うなら、俺が使わせてもらおうか」


戦士は『天使のペンダント』を装備した!


戦士「俺ばかり悪いな。その分の守りは任せろ」


赤魔「期待してるぜ!」にっ
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:01:54.61 ID:Sy/R5nYXO

赤魔「それにしてもこのダンジョンは一気に大金を稼げそうだなぁ」


エルフ「魔物も全然出ないしねぇ」


ザッ……


銃士「ルーモアをすればシャドーがカットインやな」


盗賊「なぜ横文字にした」


銃士「商人くんの真似や」


商人「僕、そんな頭の悪そうなことを言ってるように思われてるんですか……」


戦士「お前ら、少しは危機感を持ってくれ……!」


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ


・アーミードール
HP:100
こうげき:100
まほう:0
ぼうぎょ:0
すばやさ:200


エルフ「なんだ、弱っちいよ」


赤魔「肩慣らしにさっさと倒しちゃうか!」
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:04:47.08 ID:Sy/R5nYXO

盗賊「……そう簡単には行かないみたいよ」


わらわら……わらわら……


商人「ひっ、な、なんて数ですか……!」


戦士「くっ、百はいるか……!」


エルフ「どこに隠れてたの!?」


銃士「んんー、これアカンなぁ。逃げましょ」


戦士「しんがりは任せろ!」


盗賊「さきがけは私だ! ついて来い!」



エルフたちは逃げ出した!



アーミードール<<わささっ……


盗賊「邪魔だ」


盗賊の『加速蹴り』!

盗賊は更に加速する!


商人「ひぃ……!」だだっ


エルフ「エルフちゃんも大人しく逃げとくぅ」だっ
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:06:57.98 ID:Sy/R5nYXO


銃士「邪魔やで!」


銃士の『ラピッドショット』!


赤魔「燃えろぉ!」


赤魔の『火炎魔法』!



アーミードールは更に仲間を呼んだ!


アーミードールの大群はナイフで斬りつける!


戦士はパーティを庇った!


戦士「(単体がいくら弱くても数で押されるのはやはり辛い……! 加えて人形だからか怯みもしないか……!)」


盗賊「……!」キュッ


エルフ「どうしたの!?」


盗賊「前方に転移トラップ複数! 私の真後ろ以外を通るな!」


盗賊「(くっ、少し迂闊だったな。幻覚以外も危険なダンジョンだ)」


商人「は、はい……!」


エルフ「(パーティで来た冒険者を分断させたいのかな? 幻覚見せる上に仲間とはぐれさせようなんて趣味が悪いダンジョンだね)」


盗賊「絶対にここより左によるな!」


エルフ「(まあ盗賊がいれば問題ないけどね)」
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 23:09:13.67 ID:+cyoqbNsO
ふらぐ
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:10:30.67 ID:Sy/R5nYXO


シャドウサーバント<<ズズズ…


戦士「……!?」


シャドウサーバントはアーミードールの大群を握り固める!


シャドウサーバントの『ドール・キャノン』!


戦士「(これは絶対に防がないとまずい……!)」


戦士はパーティを庇った!


戦士は大きく吹き飛んだ!


戦士「ぐっ……! 避けろ!」


赤魔「いっ……ふにゃぁっ!?」どんっ


銃士「へっ、ちょぉっ!?」どんっ



戦士と赤魔と銃士に転移トラップ!



盗賊「赤魔……!」


エルフ「戦士!」


商人「落ち着いてください! まずは安全を確保しましょう!」
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:17:01.29 ID:Sy/R5nYXO

・・・

盗賊「くそっ……! もっと私が警戒していれば……!」ギリッ


エルフ「……」


商人「三人とも重なり合ってたので同じ場所に転移したと思われます。銃士さんが真実の鏡の片割れを持ってますから、すぐに窮地に陥ることはないかと」


盗賊「飛ばされた先が出口のない地下や針の山だったら!? 鏡転移の際にを落としていたら!?」


商人「……それは無事を信じるしかありませんよ。落ち着いて行動しなければ僕たちも危ないですし、助けられるものも助けられません」


盗賊「ああ、そうだろうな。アンタは戦えないものな。自分の保身に走るのも当然だ」


エルフ「盗賊!」


盗賊「……すまない。今のは完全に八つ当たりだわ」


商人「事実ですからお気になさらず。それよりも方針を考えましょう」


エルフ「そうだね。あいつら回復も蘇生もできなくて頼りないし、早く合流しなきゃ」


盗賊「……ああ。悲観的に考えるのもすぐに熱くなるのも私の悪い癖だ。本当にすまない」


エルフ「そういう素直なところ好きだよ、うんうん」


451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:23:23.19 ID:Sy/R5nYXO


盗賊「転移にも法則がある。計算で方角は求められるわ」カリカリッ


エルフ「へえ……サモナーから教わったとか? それともパイオツ姉ちゃん?」


盗賊「その通り……憎いヤツの教えだろうと使えるものは使う主義よ」カリカリッ


商人「素晴らしいです」


盗賊「……北西ね。距離を出すのはほとんど不可能だが、規模からするとそんなに飛んではいないはずだ」


商人「……ここから北西ですと、かつての行政区でしょうか」

エルフ「行政かぁ……官憲の署とかあるなら、そこに囚われてるとかありそうだよね」


盗賊「ああ。出来る限り敵との戦闘を避けながら進むぞ」


エルフ・商人<<こくっ
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:25:14.36 ID:Sy/R5nYXO

・・・
【幻惑の街・行政区】


盗賊「……今だ」


さささっ……


クレイジードール「ケケケ……?」


盗賊「……よし」


商人「はぁはぁ…………はぁはぁ……ぜぇっ……ひゅぅ……」ぐてっ


盗賊「……少し休憩するか」


エルフ「あー、疲れた……お腹もすいた……」


盗賊「だいぶ神経を張り詰めて進んだものね……」


エルフ「……お、食べ物だ!」



『ソイレント缶詰』を手に入れた!



453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:32:52.55 ID:Sy/R5nYXO

盗賊「カンヅメか。先に備えて腹拵えしておくか」


エルフ「結構あるよ。はい」ぽいっ


盗賊「これは何のカンヅメかしら?」パシッ



商人「……はぁ、ふぅ。もう大丈夫です。バテてすみません」


エルフ「盗賊が早いし仕方ないでしょ」もぐもぐ…


盗賊「すまない。付いてくるからつい、な」ぱかっ


商人「アイテムを食べてるんですか? えーと、それ、は……」ぴしっ


エルフ「このカンヅメ、あんまり美味しくないね」


盗賊「そうか? 私は結構好きよ。二つ目を開けてしまったわ」


エルフ「えー? 商人も食べる?」


商人「……いえ、僕は遠慮しておきます」


盗賊「そういえば、これは何のカンヅメか分かる?」


商人「えっ……さ、さあ……? 『ソイレント缶詰』という名前みたいですけど……」


エルフ「豆類を潰したものかな? なんか健康に良さそうだねー」


商人「……」


商人「(知らない方が幸せなこともありますよね……)」


to be continued...
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/24(木) 23:41:21.33 ID:Sy/R5nYXO

○エルフメモ

・アーミードール:単体は大して強くないけど百体近くに囲まれれば非常に危険だよ。

・シャドウサーバント:急に現れていた巨大な黒い魔物。アーミードールを雪だるまの如く固めて投げつけてきたよ。

・転移トラップ:方角の割り出しは手計算で何とかなるけど、距離は陽に解けないから高性能な計算機で近似値を求めるんだって。

・クレイジードール:顔がイッちゃってるドールの魔物。油断しているところにこいつが急に現れたら、失神しちゃうかも。



○商人の鑑定

・ホットドッグ:売値は0.2G。粒マスタードが美味しいです。

・唐揚げ詰め合わせ:売値は0.8G。衣はサクッ、お腹はジューシーで、下味は濃い目なため調味料は不要でしょう。レモンはお好みでどうぞ。

・小枝チョコ:売値は0.2G。小枝の形をしたチョコレート菓子です。クランキーとチョコのハーモニーがクセになりますね。

・ソイレント缶詰:売値は10G。人口は指数的に増えても食料の増加はそうはいきません。飢えた世界は悪徳が蔓延ることでしょう。異世界は複数あるように思われるのですが、その全てが豊かな世界ではないようです。
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 23:42:41.57 ID:vHkVv/xc0
食べたのもったいないな、高いのに
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 23:49:15.73 ID:vHkVv/xc0
・戦士
HP:5000
こうげき:400
まほう:0
ぼうぎょ:900
すばやさ:300

・エルフ
HP:1500
こうげき:600
まほう:600
ぼうぎょ:100
すばやさ:600

・商人
HP:3000
こうげき:20
まほう:10
ぼうぎょ:300
すばやさ:30

・赤魔
HP:2500
こうげき:300
まほう:700
ぼうぎょ200
すばやさ:500

・盗賊
HP:3500
こうげき:400
まほう:200
ぼうぎょ:400
すばやさ:1000

・銃士
HP:1000
こうげき:1000
まほう:350
ぼうぎょ:150
すばやさ:500
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 23:51:58.08 ID:lzrm3t6t0
また懐かしいものを…
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 01:30:32.83 ID:S8Oo3PFXo
気になる人はソイレントシステムでggろう
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 01:35:47.63 ID:qzECSs8xo

ソイレント缶ってゼノギアスのアレか・・・
これから調べるやつはマジで心の準備はしておけよ
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 02:25:04.15 ID:tIRIwIeo0
何よりも怖いのはゼノギアスが20年近く前の作品だということ…
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 02:54:13.86 ID:CuA87igIo
>赤魔「いっ……ふにゃぁっ!?」どんっ

赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい赤魔かわいい
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 08:30:26.40 ID:xIPTyl0X0
調べたら人肉缶詰じゃないか!
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 10:36:54.34 ID:OOpGOJVxO
いいえ、私は遠慮しておきます
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 13:29:16.05 ID:qTzD/fIbo
>>463
畜生! この鬼畜眼鏡!
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:40:31.41 ID:MhY/WEPPO

・・・
【幻惑の街・行政区跡地の地下】


赤魔「転移先は檻の中かよぉ……」


銃士「拘留場みたいな造りやな?」


戦士「そうなのか。経験者なだけあるな」


赤魔「えっ」


銃士「生きてればそういうこともあるやろ」


赤魔「普通ないだろぉ……」


戦士「何はともあれ、バラバラにならなかったのは不幸中の幸いか」


銃士「せやせや。明るくいきましょ」


赤魔「そうだな! レアアイテムを見つけてあいつらをびっくりさせようぜ!」


戦士「まずは脱出しないとな」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:42:37.09 ID:MhY/WEPPO


銃士「また即死トラップあったらどないしましょ。誰か気付薬もっとる?」


赤魔「えっ……?」


銃士「……戦士」


戦士「二つ持ってる」


銃士「さすが戦士、準備がええな」


戦士「普通は保険で持つだろ?」


赤魔・銃士「……」


戦士「お、お前ら……」


赤魔「ほ、ほら、盗賊がいれば何とかなったからさ!」


銃士「どうせ他の誰かが持って来とると思っとったからな」


戦士「ダンジョンを舐め過ぎだろ……」
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:45:15.40 ID:MhY/WEPPO

・・・

赤魔の『大地魔法』!


バキキッ!


銃士「ええ感じや」


戦士「ああ……だぁっ!」ガンッ


戦士たちは柵を破壊した!


赤魔「よしっ!」


銃士「四精霊の魔法ええなぁ」


赤魔「まあな! ……他の属性に比べると人気ないけどなー」


戦士「へえ」


銃士「火以外はマイナーやから、中々習得する機会あらへんよね」


赤魔「黒エルフも四属性派は少ないみたいだなー。俺の村だと結構多かったんだけど」


戦士「地域差があるんだな」
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:47:57.22 ID:MhY/WEPPO

銃士「そういや気になってんけど、『赤魔道士』って回復魔法と攻撃魔法、しかも物理攻撃も中々っていう器用びん……器用で万能な職業やん?」


赤魔「おう!」


銃士「けどエルフはんの話やと、赤魔ちゃんは回復魔法は使えないんよな?」


赤魔「……つ、使えないことはない! 紙で指切ったときとか治りがちょっと早くなるぞ!」


戦士「(自然治癒と大差ないんじゃないのか)」


銃士「エルフはんは回復魔法が使えて攻撃魔法も使えるし、エルフはんの方が赤魔道士として優秀なん?」


戦士「あいつは自分では違うっていってるけどな」


銃士「でもエルフはんの方が中身は赤魔道士っぽいよなぁ?」


赤魔「いやいや俺の方が赤魔道士として優秀だぞ! え、えーと、ほ、ほら! 赤魔道士といえば『魔法剣』が真骨頂だから! 魔法剣が大事だから! うん!」


銃士「えっ、でもエルフはんも杖に魔法を宿らせて戦うよな。実質的には魔法剣やん?」


赤魔「うっ……お、俺の方が赤い!」


銃士「それは服装の問題やん? 職業って服装で決まるもんやないやろ?」


赤魔「うぅ……私の方が赤魔道士だもん! そのうち『連続魔』も覚えるもん!」


銃士「今は使えへんの?」


赤魔「うぅ……」うるっ
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:51:25.17 ID:MhY/WEPPO

銃士「うぇっ!? な、泣かんといてぇな」


赤魔「べ、別に泣いてない……!」ぐすっ


戦士「赤魔はまだまだ強くなるし、今でも十分立派な赤魔道士だ。ほら、飴でも食うか?」


赤魔「……うん。銃士はいじわるだ」ぱくっ


銃士「そんなつもりはさらさらなかったんや。堪忍してえな」


戦士「こいつは無神経なだけで悪いやつではないんだ。どうしようもなく無神経なんだが」


銃士「二回も言わんでええわ」


赤魔「銃士きらい!」ぷいっ


銃士「また女の子に嫌われてもうたか……」


戦士「おおよそ全部お前が悪い」


銃士「俺は責めとるつもりも悪口言っとるつもりないのに、色んな人に毎回そう言われるんよなぁ」


戦士「相手の心情にもっと配慮して発言しろということだろう」


銃士「商人くんなら『ポリティカリィコレクトな発言をするべきです』とか言うんやろなぁ」


戦士「商人は横文字が好きだからな」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:52:39.03 ID:MhY/WEPPO

赤魔「戦士、戦士、この飴おいしい」


戦士「もう一つ食べるか?」


赤魔「おうっ♪」


銃士「(飴ちゃんで機嫌治るなら楽なもんやなぁ)」


銃士「どうせなら俺のとっときのキャンディでも舐めとく?」


赤魔「銃士きらい」ぷいっ


銃士「あらぁ」


戦士「お前……盗賊がいたら殺されてたぞ……」


銃士「ちょっとしたジョークやん。それに今はおらんからな」


戦士「とりあえず俺が代理で殴っておく」バキッ


銃士「あだぁっ!?」


赤魔「?」コロコロ…
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:55:42.44 ID:MhY/WEPPO
・・・

クレイジードール「ケケケ……」バタッ


クレイジードールを倒した!



銃士「暗闇でこいつは怖いわぁ」


戦士「ライトだけじゃどうにも索敵が上手くいかないな。盗賊がいればまた別なんだろうが」


赤魔「……」がたがた……


銃士「赤魔ちゃん、怖いんなら俺に抱き付いてもええで」


赤魔「……」ギュゥゥッ


戦士「……」ナデナデ…


銃士「けっ、お前ばっかし……」


赤魔「べ、別に怖くなんてないからな! む、武者震いだからな!」ガタガタ…


戦士「そうか」


赤魔「ほ、本当だぞ!」ブルブル…


戦士「わかってるさ」
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 00:59:38.08 ID:MhY/WEPPO

銃士「後で戦士の浮気をエルフはんに伝えとくわ」


戦士「意味が分からん」


赤魔「べ、別に怖がってないけど、エルフと盗賊には言うなよ! バカにされるだろ! 怖がってないけど!」ガタガタ…


銃士「あー」


赤魔「銃士きらいだ!」


戦士「あんまり赤魔の嫌がることしてると盗賊が敵になるぞ」


銃士「ガチで“処理”されるヤツやん」


戦士「(この状況は俺も危ういかもしれんな)」


赤魔「出口はどこだよぉ……」


戦士「そのうち見つかるさ」


銃士「お化け屋敷デートじゃないんやで!」


赤魔「何がデートだよぉ……そんなことより階段はどこだよぉ……!」


戦士「銃士、ここはダンジョンだぞ。あまり気を緩めるなよ」


銃士「腕組んどるお前らに言われとうないわ! 俺と戦士、どこで差がついたのか……慢心、環境の違い」


戦士「お前は何を言ってるんだ」
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:01:41.84 ID:MhY/WEPPO


銃士「はあぁ……かわええ女の子でも落ちとらんかなぁ」


戦士「……っと、階段だ」


赤魔「やったぁ!」


銃士「……ちっ、おきまりのごとく何かおるな……」



「……ここから出て行ってはダメよ」



銃士「か、かわええ女の子きたー!」



「ねえ、一緒に遊びましょうよ」



銃士「ええねええね。何しましょ? お馬さんごっこ? お医者さんごっこかいな?」


戦士「おい……」


銃士「まあ、チャンバラやろ」チャキッ



銃士の『クリティカルショット』!


ミス!



銃士「物理攻撃は当たらん感じか?」


銃士の『アルカナショット』!


ミス!



銃士「うん、そもそも攻撃が効かんタイプやな。あきまへんな」
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:03:53.91 ID:MhY/WEPPO


戦士「躊躇いなく撃ったな」


銃士「ドアホ。ダンジョンに美少女がおったら魔物かトラップに決まっとるやろ」


戦士「それもそうか」


「ただでさえ幻覚が効きにくそうね。そういう面倒な人は嫌いだわ」


少女はシャドウサーバントを呼び寄せた!


シャドウサーバント「ーーーー」


戦士「またこいつか!」


赤魔「さっきはよくもやってくれたな
! お返ししてやる!」


赤魔の『疾風剣』!


銃士の『クリティカルバースト』!


クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!


戦士の攻撃!
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:05:49.28 ID:MhY/WEPPO


シャドウサーバント「オオオオーーッッ」


シャドウサーバントの『怨嗟刻呪』!


戦士は銃士を庇った!


銃士「げっ、それスタンする技やないか!?」


戦士「……いや! 天使のペンダントが効いたみたいだ!」



赤魔「ラッキーだな! おりゃぁっ!」


赤魔の『火炎剣』!



銃士「ガンガンいくで!」


銃士の『クリティカルバースト』!

クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!



戦士の攻撃!
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:08:13.81 ID:MhY/WEPPO


「ああ、私のお友達にひどいことしないで」


赤魔「お友達? やっぱりお前は魔物なんだな!」


「ああ、ひどい人たち。けれど、大丈夫よ。私がお友達になってあげるわ」


少女はシャドウサーバントに囚われた魂を注ぐ!



「お友達の数が減ってしまうのは悲しいけれど、仕方ないわ」


シャドウサーバントはその姿を変化させる!



シャドウサーバント<<ボココココ……


赤魔「うわわ……!?」


戦士「悍ましいな……っ」
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:10:55.15 ID:MhY/WEPPO

カオスサーバント「ーーーー」


カオスサーバントが出現!



銃士「一段と不気味な姿になりよったな!」


銃士の『クリティカルバースト』!

クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!
クリティカル!



赤魔「こっち来んなぁ……!」


赤魔の『火炎魔法』!



戦士の攻撃!



戦士「(こいつの攻撃は防げるか……!?)」



カオスサーバント「ギョエエェェエェェエエエエエーーーーッッッッ」


カオスサーバントの『負響和音』!



銃士「うぉぉ……!」ガクッ

赤魔「あぅっ……」ぺたんっ


銃士と赤魔は体が動かなくなった!
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:13:39.50 ID:MhY/WEPPO


戦士「くっ……! うぉぉっ!」


戦士の攻撃!


「天使のペンダント……真実
の鏡といい、私の嫌いなものばっかり持ってるのね。不快だわ、不快だわ」


カオスサーバントの『散乱する悪意』!


戦士はパーティを庇った!


戦士「くっ……!」



「けれど大丈夫よ。私がお友達になってあげるわ。一緒に遊びましょう。日が暮れるまでいつまでもいつまでも」


戦士「断る!」


戦士の攻撃!


「断るなんてできないのよ?」



カオスサーバントの『散乱する悪意』!


戦士はパーティを庇った!
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:18:20.67 ID:MhY/WEPPO


戦士「(このままじゃジリ貧だ! 何か打開策はないか……)」


銃士「……へんひ!ははひ!」


戦士「!」


「ああ、鬱陶しい。あなたは気に入らないわ。あなたは要らない」


戦士は銃士の道具袋から『真実の鏡』を取り出した!



戦士「お前にとっては不要でも、俺にとっては大事な仲間だ!」



戦士は『真実の鏡』を使った!



カオスサーバント<<ウゾウゾウゾ……!


カオスサーバントは悶えている!



「大丈夫、大丈夫よ。私がいるわ。あなたは私のお友達よ。あなたたちは私のお友達よ」


カオスサーバント<<ウゾウゾウゾ……!


「ああ、もう。どうして私の言うことを聞かないの? お友達の言葉は絶対なのに。……あなたたち覚えていなさい。絶対にお友達にしてあげるわ」スゥ……


カオスサーバント<<ズズズ……


少女とカオスサーバントは姿を消した!
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:21:01.72 ID:MhY/WEPPO


赤魔「た、助かったみたいだな……?」


銃士「ったく、何がお友達やねん。しかも俺は要らないってどういうことや。ちょっと傷付くわ」


戦士「今のはダンジョンのボスなのかもしれないな……二人とも動けるか?」


銃士「オーケーや。鏡が少し緩和してくれたみたいやな」


赤魔「む、無理かも……」


戦士「それなら俺がおぶろう」


赤魔「うう、ごめん……」


戦士「気にするな。仲間だろう」


銃士「階段やけどいけるんか?」


戦士「伊達に鍛えてない」


銃士「知ってたわ……おっ、あのお嬢ちゃん何か落としとるな」


『カースドレイン』を手に入れた!


銃士「なんやろ?」


戦士「……さあな。商人に聞けば分かるだろ」
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:23:08.94 ID:MhY/WEPPO


赤魔「……戦士の背中、落ち着くなぁ。なんだかクマみたい」


銃士「クマかい。父親やないんかい」


戦士「クマの背中は落ち着かなそうだがな……」


赤魔「……」すやっ


銃士「ね、寝とる……はやっ」


戦士「怖かったんだろ。さっきの敵の攻撃もあったしな」


赤魔<<すやすや…


銃士「うーん、守りたい、この寝顔」


戦士「そろそろ行くぞ」


銃士「へいへい」



・・・

盗賊「嫌な予感がするな……急ごう。赤魔が銃士に汚される前に」


商人「(盗賊さんの中で銃士さんの評価ひく……)」



to be continued...
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 01:25:36.77 ID:MhY/WEPPO

○戦士メモ

・飴:『魔物の洞穴』でしばしば手に入る飴。エルフの機嫌が悪い時に与えておくと少し機嫌が良くなるため常備するようにしている。赤魔も好きなようだ。

・少女:このダンジョンのボスなんだろうか。随分と都合のいい友人の観念を持っているようだ。

・カオスサーバント:シャドウサーバントが変化した魔物だ。こちらの動きを封じる攻撃をしてくる面倒な敵だ
攻撃力も低くないため長引けば俺たちが負けていただろう。どうやら真実の鏡に弱いようだ。



○盗賊のtips
赤魔に関する重大な情報

・赤魔の声:かわいい
・赤魔の笑顔:眩しい
・赤魔の慌て顔:癒される
・赤魔のむすっとした顔:ときめく
・赤魔の泣き顔:中毒性がある
・赤魔の照れ顔:国宝に指定するべき
・赤魔の寝顔:天使は現実にいた
・赤魔に害を与えるもの:“処理”する
・赤魔:私の生きる意味
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 01:31:45.89 ID:C1SwcwT2o
美少女、死霊使い、お友達……糞環境萌えメンkうっ…頭が……
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 01:49:52.23 ID:r5a7DZawO
あ、銃士好きなキャラだわ
野郎に気に入られても嬉しくないだろうが
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 02:37:53.98 ID:TH5mwOyHo
赤魔が可愛すぎる
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 02:53:34.42 ID:HZPOcZdWO
盗賊が赤魔に手出ししてないのは尊すぎるからかねえ。赤魔はノーマルっぽいけど。
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 02:58:01.36 ID:TH5mwOyHo
赤魔かわいい
まじ盗賊のtipsで赤魔の表情の想像掻き立てられるんだが
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 06:15:32.07 ID:jVdzWNJb0
ダンジョン形成の理由とか昔何があったのかとかそういうのワクワクする
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 18:53:40.79 ID:ihARdOCRO
おもしろい
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 21:55:50.86 ID:0RyjLfBAO

・・・

『RPG改造キット・R16ver.』を手に入れた!

『簡易医療缶』を手に入れた!

『グレートハチマキ』を手に入れた!



エルフ「1000Gドールは出ないか」


商人「そうですねぇ」


盗賊「……三人を探す気があるのか?」


エルフ「あー、そうだねぇ……あっ、もし囚われてたら助けるのにもアイテムが必要かもしれないじゃん?」


盗賊「今ちょうど思いついたみたいな反応だったな」


商人「たまたまアイテムを見つけてるだけですよ。決してアイテムをメインに探してるわけじゃないんです。『ビスクドール』や『セフィロトの杖』を探してるわけではないんです。決して。そう、決して」


盗賊「そこまで念を押されると逆に詭弁にしか聞こえないのだけど」


エルフ「それは心が曇ってるよ。ほら真実の鏡でも見て無垢な心を取り戻して」
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 21:58:22.79 ID:0RyjLfBAO


盗賊「……」


エルフ「無言で不快感を示すとかダメだよー。そこはビシッと突っ込まなきゃね」


商人「ボケ殺しは悪徳ですからね」


盗賊「私はマンザイをしてるつもりもなければ、そんな美徳も持ち合わせてない」


エルフ「ノーノー、そこはスカした感じでなくビシッといくべきだよ。ねえ?」


商人「緩急が大事ですよね」


盗賊「なるほど」



ゴチッ、ゴチッ



盗賊「少しは緊張感を取り戻したか?」


エルフ・商人「……はい」ぐすっ
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:01:27.98 ID:0RyjLfBAO


ギルティドール<<ユラユラ……



エルフ「やっぱりドールとか無機物の魔物が多いね」こそっ


商人「ダンジョンによってアイテムも違えば魔物も違いますからね。ただ、情報通りの魔物ばかりなのでここには『転移石』はないかもです」こそっ


エルフ「てっきりこのあたりにもパイオツちゃんが何か仕掛けてるかと思ったけどね」


盗賊「……」


エルフ「またシリアスな感じ出そうとしてるー」


盗賊「何よそれ…………さっきは悪かったわ」


商人「はい?」


盗賊「あなたたちは私の張り詰めた気持ちを和らげようとしてくれていたのかと思い至ってね。そうだとしたらさっきは悪いことをしたわ。……ごめんなさい」


エルフ「あはは」


エルフ「(別にふざけてただけなのに好意的に解釈されてるしぃ。真面目かよ。まあ、怒らせたくないし恩着せるために黙っておこー)」


商人「(などとエルフさんは考えてるでしょうし、僕も黙っておくのが最適な反応でしょうね)」


盗賊「……急に黙ってどうした?」


エルフ「えー? 照れてたんだよー?」


商人「そーですねー」


盗賊「……そう」
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:03:14.38 ID:0RyjLfBAO


盗賊「しかし商人はいつもと違うな。普段はもっと真面目な気がしたけど」


商人「バランスを取るタイプですから」


エルフ「君は横文字を入れないと死ぬ病気かね? うん?」


商人「そういうエルフさんも結構横文字使うじゃないですか」


エルフ「エルフちゃんは賢くて可愛いからいいのさー」


盗賊「ふっ」


エルフ「えっ、ちょっ、鼻で笑うのはどうなの?」


盗賊「あら? てっきりそういう反応待ちかと思ってたわ」


エルフ「そんな銃士みたいなことはしないよ。私は反応する側だもん」


商人「エルフさんは攻められると弱そうですよね」


エルフ「うるさいよ」
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:04:56.89 ID:0RyjLfBAO


盗賊「しっ……」


ズルズルズズズ……


エルフ・商人「!!」



カオスサーバント<<ズルズル……



商人「ひっ……」


エルフ「うわー……」


盗賊「……やり合いたくないな。迂回するか」



「私のお友達を無視しないで」



「「「!?」」」


「これから貴方のお友達にもなるのよ? なにせお友達のお友達はやっぱりお友達でしょう?」


盗賊「(気配が全くなかった……どういうこと?)」


カオスサーバント<<ズルル……ッッ


エルフ「こっちくんな」カシャッ
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:07:00.23 ID:0RyjLfBAO

ステータス解析マシン<<ピピッ……ピロンッ


・カオスサーバント
HP:8000
こうげき:500
ぼうぎょ:900
まほう:500
すばやさ:400


・幻惑の少女
HP:0
こうげき:0
ぼうぎょ:0
まほう:0
すばやさ:0


エルフ「なんだこれ? 故障ではなさそうだけど」


盗賊「実体じゃないようね。それならあのバケモノから片付けるべきだ」


商人「真実の鏡は効きませんかね……?」


盗賊「試す価値はある」


「はぁ……あなたたちはすぐに気付いてしまうのね……」


エルフ「あなたたちは?」じろっ


商人「戦士さんたちに何かしたんですか!?」


盗賊「……」
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:09:34.88 ID:0RyjLfBAO


「これ以上お友達を傷付けてほしくないの。大人しく私のお友達になってくれないかしら」


盗賊「するわけないだろ、馬鹿か。あなた、赤魔に手を出したの……?」


「……私の言うことなんてちっとも聞いてくれない。あなたたちは嫌な人たちね」


エルフ「勝手に嫌ってなよ、構ってちゃんのメンヘラわがまま娘め」


「どうしてそんなヒドいこと言うの?」


エルフ「あーん? 被害者ぶってんじゃないよ。美少女だからって容赦しないよ? むしろ美少女だから容赦しないよ?」


盗賊「ただの嫉妬ね」


エルフ「ちがわい!」


商人「銃士さんみたいになってますよ」


エルフ「あんなのと一緒にしないでもらえる!?」


「ああ、ああ……どうしてそんな汚い言葉を言えるの……どうしてお友達どうしで憎しみあえるの……」


エルフ「はあ? 憎しみ合う〜? お目目が腐ってるのかな?」


「ひどいわ……! そんな汚い言葉遣いをお友達になる私にするなんて……!」


エルフ「なんなのコイツ……病気かな?」
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:17:21.50 ID:0RyjLfBAO


商人「(……ダンジョンで目撃されていた少女はおそらくこの娘ですよね。魔物をお友達と呼んで、かつ僕たちもお友達にしたいということは、この魔物も元は人間でしょうか? 他の冒険者も同様の目にあったと考えるのが自然ですね)」


盗賊「(今までの会話を踏まえると“お友達”が欲しくて冒険者に幻を見せて魔物化させた? 表情に悪意はない……子どもの純真さのままに悪魔の所業を行っているのか?)」


「私、あなたたちとはお友達になりたくない……! こんな気持ちは初めてだわ……!」


エルフ「頭がお花畑のメルヘンでメンヘラなビッチと性なるフレンズになりたいのは銃士だけだから」


「あの人も嫌い!」


エルフ「わかるー」


銃士「なんでや!」


エルフ「うわっ、出たよ」


銃士「どこぞの黒光りはんみたいな扱いはやめてくれはります……」


エルフ「黒光りGだね。GはガンナーのGだよ?」


銃士「悪意の塊やわぁ……」


商人「Gさんがいるということは……」


戦士「待たせたな」



戦士たちが合流した!



498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:21:28.79 ID:0RyjLfBAO


盗賊「赤魔!」


赤魔「よかった、無事か」


盗賊「私のセリフだ! バカ!」


赤魔「バ、バカじゃない!」


戦士「エルフ、まずは鏡で魔物を追い払うぞ!」


エルフ「悪霊退散!」


商人「ノリノリですね……」


赤魔「(俺も言ってみたい)」



戦士とエルフは『真実の鏡』を使った!


カオスサーバントを倒した!



エルフ「ふはは、弱い弱い。美少女退魔師エルフちゃんの敵じゃないよ」


赤魔「いつジョブチェンジしたんだよ」


銃士「成人向けRPGで陵辱されそうな肩書きやな」


エルフ「うるさいよ!」


商人「(触手責めで『んほぉ』しそう)」

499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:24:32.43 ID:0RyjLfBAO


「私のお友達を消すなんて……許せない」


盗賊「真実の鏡で消えるお友達だったな」


商人「 まさかとは思いますが、 この『お友達』とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか」


エルフ「すごーい! 君は妄想のお友達と戯れるフレンズなんだね!」


「お友達はお友達よ……!」


戦士「やめてやれよ。流石に可哀想になってきた」


赤魔「うん……」


銃士「せやかて、この嬢ちゃんのせいで人がぎょうさん死んどるんやし」


盗賊「ああ。特に同情の余地はないように思う」


「どうして……」


エルフ「可愛いからっていつも構って貰えると思ってはいけないよ。可愛いからってね。ブスだったらもっと酷い目にあってるよ? エルフちゃんくらい可愛くなってから出直しなさい」


戦士「お前はもう色々とすごいな」


銃士「可愛いは正義やからなぁ」


商人「美形プレミアムは実際に確認されてますからね」

500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:30:58.79 ID:0RyjLfBAO

「……もういや」


幻惑の少女は姿を消した!



エルフ「はー、都合が悪くなるとすぐ姿を消すとかこれだからメンヘラな構ってちゃんは」


銃士「メンヘラいうやつも大概メンヘラやけどな」


エルフ「うっさい! エルフちゃんは健康優良児だよ!」


戦士「(わりと構って欲しそうにはしてるけどな。別に俺は嫌じゃないが)」


商人「(とか考えてるんでしょうねえ)」


赤魔「とにかく合流できてよかった!」にっ


盗賊「あまり心配をかけさせるな」


赤魔「ご、ごめんなっ」


盗賊「(可愛い。許す)」はぁ…


商人「(とか考えてるんでしょうねえ)」
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:33:12.48 ID:0RyjLfBAO

・・・

エルフ「まあ、何はともあれ無事に合流できたわけだけど、1000G人形を取るくらいしたわけだよね? まさか失態を晒して手持ち無沙汰とかないのねえ?」


赤魔「こっちだって大変だったんだからな!」


エルフ「やかましい! 私たちの方が大変だったよ! どんだけ走ったと思ってるの!」


商人「そうですね……」


盗賊「(赤魔が無事ならそれでいい)」


銃士「まあまあ、全くの手ぶらってわけやないんや。ところで、手ぶらって何か卑猥やな?」


赤魔「?」


盗賊「……」ゴゴゴ…


銃士「なんでもないのね」


戦士「ところで商人、あの少女がこれを落としていったんだが」すっ


商人「これは『カースドレイン』ですね。一度だけ時計塔の封印を解けます。売値はつきません」
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:38:03.26 ID:0RyjLfBAO


銃士「お、これがあれば時計塔の中に進めるんやな」


戦士「もう即死して盗賊に蘇生魔法(物理)やられることもないな」


銃士「思い出させんといて。とにかく即死の心配はないわけや」


盗賊「赤魔の前で不用意なことを言ってると私の即死魔法(物理)がとぶかもな」


銃士「おぅふ」


赤魔「銃士は嫌なところもあるけど良いところもあるからやらないであげてな?」くいくいっ


銃士「天使がおるぅ……」


盗賊「赤魔は本当に天使よ(……仕方ないな)」


エルフ「盗賊も大概アレだよねー」



商人「あの、そろそろ気を引き締めて進みません?」


戦士「まったく……魔物が蠢くダンジョンってことを忘れそうだ」



to be continued...
503 :1週間以上お休みするよ [saga]:2017/08/27(日) 22:46:29.99 ID:0RyjLfBAO


○戦士メモ

・合流:騒ぎを聞きつけて合流できたが、何とも緩い雰囲気だった。魔物がいつ急襲してくるか分からないのに呑気なものだ。盗賊はふざけたようにしていても警戒しているだろうが、俺も気を張っておこう。

・美形プレミアム:『美醜が全て』という言葉には全く説得力がないが、『美醜は関係ない』という言葉もまた同様だ。俺たちが生物である以上は美人を好ましく感じるのは仕方ないことだろうが、それを認識した上で出来る限り公平性を失なわず接するように配慮したいものだ。



○エルフメモ

・メンヘラ:エルフちゃんはメンヘラじゃない。むしろ可愛いエルフちゃんならメンヘラなくらいでちょうどいいすらあると思うんだ。

・退魔師:戦士が『魔物の洞穴』で拾ってきた『ファンタジーRPG:キル・ゴッデス』を赤魔とかとやってて、私は退魔師をプレイヤーとして使ってるよ。魔法職のくせに肉弾戦が得意なあたり私と似てるかも。



○商人の鑑定

・RPG改造キット・R16ver.:売値は4G。ダンジョンで拾える既存のRPG(別アイテム)を主に成人向けに拡張できます。実は改造といいつつも本体の隠された領域に既に内蔵されていてそれを表示できるようにしてるだけだったりします。

・簡易医療缶:売値は30G。簡易といえど、異世界の医薬品は現代の技術では高価なものを当然のように入ってたりします。国立研究機関等が買い取ることが多いようです。

・グレートハチマキ:売値は2G。これを額に巻くと気分が高揚するようです。『いざビッグサイトーー最高の夏』という異世界文字が刻まれているそうですが、解釈に困っているようです。
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/27(日) 22:46:59.55 ID:qO1Hz+ZG0
休んじゃうのかー
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 03:20:08.36 ID:4o5YU9wg0
商人の鑑定眼すごい便利だな
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 06:05:53.71 ID:9oiUrMz3o
ファンタジーRPG:キル・ゴッデスにRPG改造キット・R16ver.使って戦士とエルフと赤魔が気まずくなる展開はよ
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 21:14:43.67 ID:JtYv4VFcO
商人がキモいなあいつ今こんなこと考えてるんだろうなぁとか想像力してるのか……
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 22:43:47.32 ID:xa9FBRaio
>>507
お前が一番きもいから大丈夫だよ
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 23:19:28.87 ID:ubQxWXMBO
(夏休みが終わるまで後少し耐えるんだ)
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/30(水) 02:09:41.81 ID:X8wfhteO0
追いついた
とある所でオススメされて飛んで来て一気に読破したわ、すっげぇ面白い
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 22:50:03.03 ID:jI0sPvpo0
・・・

銃士は『TS薬』を手に入れた!


銃士「こ、これは……!」


商人「何か見つけました?」ひょこっ


銃士「お、おう……しー」


商人「……それは『TS薬』ですね。服用すると24時間ほど性別が逆転します。売値は50Gです」


銃士「やっぱし『TS薬』やったか……しかし高い価格で売れるっちゅうことは需要があるんやなぁ」


商人「まあ、銃士さんが隠し持とうとしたくらいですしね」


銃士「ま、まさか、わはは」


商人「そうですか? まあ、いつも通り僕が預かりますよ」


銃士「……いくら欲しい?」


商人「50Gですね」


銃士「高いわぁ……売値やん」


商人「パーティが得るはずの金額です。買値よりは安いでしょう?」


銃士「……仕方あらへんな」


銃士は50Gを商人に払った!
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 22:51:50.47 ID:jI0sPvpo0


商人「確かに受け取りました。悪用はやめてくださいね」


銃士「犯罪はせえへんよ。秘密にしといてな」


商人「顧客のプライバシーに関しては守秘義務がありますから」


銃士「さっすが」


エルフ「なにやってんのー?」ひょこっ


赤魔「面白いものであったかー?」ひょこっ


商人「じゅ、銃士さんの猥談に付き合わされていただけですよ」


銃士「うおいっ!?」


エルフ「こんなとこまで来て銃士きもちわる……」


赤魔「わいだん?」


エルフ「エロ話してたんだって」


赤魔「エっ……お、俺は盗賊のトラップ解除を見てくる!」ぴゅー
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 22:53:42.71 ID:jI0sPvpo0


エルフ「逃げたねぇ」


商人「赤魔さんはそういうの耐性なさそうですもんね」


エルフ「むっつりスケベだよね。やれやれ、これだから子どもは」


銃士「エルフはんも耳年増なだけのくせにー」


エルフ「は、はぁ!? 違うしー! 超違うしー! だ、だいたい変態キモ童貞にとやかく言われたくないしー!」


銃士「じゃあビッチなん?」


エルフ「んなわけあるか! キモいからもう口を開くな! 息を吸うな! 心臓を動かすなぁ!」


銃士「わはは、必死か」


エルフ「〜〜!」


商人「銃士さん、セクハラ発言はよろしくないですよ」


エルフ「はっ、モテないわけだよ! 話してて不快だもん!」


銃士「そ、そこまでか……堪忍な」
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 22:55:33.83 ID:jI0sPvpo0

戦士「お前ら、何度でも言うが、ここはダンジョンだからな?」


銃士「ダンジョンだからって全員が常に気を張っとる必要もないやろ。柔軟性に欠けるパーティは脆いで」


エルフ「それっぽいこと言ってるー」


戦士「相変わらず口達者なやつだな」


盗賊「それで本音は?」


銃士「めんどいことは他人に任せたい」キリッ


盗賊「死ね」


銃士「わずかに不快そうな表情と声音から繰り出される、シンプルかつ洗練された罵倒……うーん、マンダム」


エルフ「ソムリエかな?」


盗賊「……」


商人「(無表情こわっ!)」
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 22:56:43.33 ID:jI0sPvpo0


赤魔「なーなー、銃士ってたまに変だよな?」


戦士「あいつはだいたい変だぞ」


エルフ「街中で見かけても目を合わせちゃいけないタイプの人だよ」


商人「無益な危険に近寄らない、それも賢く生きていくのに必要なスキルです」


銃士「ちょいちょい、危ない人扱いせんどいて。んまっ、時代を先取りし過ぎて時代が俺に付いてこれへんのかもな」


盗賊「自意識過剰のバカか死ね。まずは自分をもっと客観的に見ろバカか死ね」


銃士<<ゾククッ


エルフ・商人「(うわぁ、あの表情は喜んでる……)」


盗賊「救いようがないな」ゴリリッ


戦士「まあ、落ち着こうか」
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 22:58:39.24 ID:jI0sPvpo0


商人「アイテムトラップの解除はどうです? 進捗ありました?」


盗賊「解除に成功したから呼びに来たんだ」


エルフ「レアいレアい? お金になりそう?」


盗賊「……これよ」スッ


商人「……これは『秘蔵のポルノ本』ですね。売値は1.5Gです」


盗賊「やっぱりレアアイテムでも何でもなかったか……」


戦士「どうしてあれだけ厳重なトラップの中にこれがあるんだか」


エルフ「ある意味では納得だけど時間を返して欲しいよ」


銃士「俺としては本の中身がめっちゃ気になるわ」わくわく


赤魔「無駄に良い目をしてる……」


盗賊「はっ」バリィッ


銃士「んああ!?」


エルフ「本を横に引き裂くとかどんな握力だよぉ……」
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:00:20.14 ID:jI0sPvpo0

銃士「いいや、まだ読める! 封された本の僅かな隙間を除いて妄想で補っていた頃に比べればこの程度……!」


盗賊「焚書だ。有害図書は燃やすに限る」


銃士「ちょっ、表現の自由を守れ! 本の遺棄は文明の衰頽を招く!」


盗賊「赤魔、やれ。華氏451度だ」


赤魔「か、火炎魔法!」メラッ


パチパチッ…


銃士「あ、ああ、ご無体な……お前はPTAか!」


エルフ「必死かよー、えろー」


銃士「男はみんなエロなんや! なあ、戦士!?」


戦士「沈黙は金」ふいっ


銃士「裏切り者めッッ! なあ、商人くん!?」


商人「僕は分別があります」ふいっ


銃士「なんでちょっとカタコトなん!?」
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:04:41.60 ID:jI0sPvpo0

盗賊「ふん」


銃士「戦士と商人くんが裏切ろうと俺が世の男どもを代表して言っちゃる! 男はなぁ! いくつになろうとポルノの前では純情な少年なんや! いくつになろうと捨てられたゴミ捨て場や河川敷でポルノを探した青春の日々を忘れられへんのや!」


盗賊「何の話だ」


エルフ・赤魔「えろー」


盗賊「救えないやつだな。生まれ直して来たらどう?」


銃士「俺が罵倒されると喜ぶと知っときながらそれでも罵倒する。それはもうセックスなのでは?」


盗賊「即死魔法(物理)」ズドッ


銃士「うぼぁ」


銃士は力尽きた!



エルフ「童貞を拗らせるとこうなるのか……」


戦士「(銃士は目を合わせただけでも同じことを言いそうだ)」


商人「(女性にイかされて、銃士さん的には本望かもしれませんねー)」
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:08:55.23 ID:jI0sPvpo0
・・・
【幻惑の街・時計塔前】



商人は『カースドレイン』を使った!


即死トラップが解除された!


赤魔「これで時計塔の中に入れるぜ!」


エルフ「ここに1000Gドールがあるといいね。あとパチスロの杖」


盗賊「エルフは金の亡者よね」


エルフ「マニーイズパワーだよ」


銃士「はぁ、いてて……戦士もう下ろせ」


戦士「まだ無理しない方がいいんじゃないか」


銃士「男におんぶされるとか何の罰ゲームっちゅう話や」


戦士「そうかよ」すっ


エルフ「運んであげたのにそんな口の利き方されたら、私なら足掴んだまま回転させて頭から落とすけどねぇ」


銃士「戦士やからな」


戦士「そうかよ……」
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:10:51.31 ID:jI0sPvpo0

・・・

盗賊「魔物はいないようだ」


エルフ「さくさく快適だね」


赤魔「どんどん進もうか!ふんふーん♪」


戦士「油断し過ぎだぞ」


赤魔「盗賊がいるから大丈夫だ! なんてたって俺の盗賊だからな!」


盗賊「アンタのものになった覚えはないわよ」


商人「……『セフィロトの杖』です!」


赤魔「おお!」


エルフ「なんだ、さくっと見つかったね」


銃士「えぇ……『解放の宝玉』に比べてこのチョロさは何なん?」


エルフ「ふっ、美少女エルフちゃんの前にはアイテムが進んで出てくるのさ」


戦士「商人がアイテム発見の天才だからな」


盗賊「道中のアイテムもあらかた商人が見つけるものね」
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:12:17.56 ID:jI0sPvpo0


エルフ「〜〜」


赤魔「……」ぷっ


エルフ「……!」バッ


赤魔「!?」ガシッ


ジタバタ…ゴロゴロ……


ゴチッ、ゴチッ


エルフ・赤魔「……」ぐすっ


銃士「さっ、取ってまうか」


商人「はい」


戦士「(今のエルフたちは流すのか)」
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:14:13.53 ID:jI0sPvpo0

商人「うーん……歯車に引っかかってますね」


盗賊「よく折れないな」


銃士「時計が止まっとるみたいやけど、これを引き抜けば動くんちゃうん?」


戦士「流石にそんなに単純な機構じゃないだろ。というか、これ抜けるのか?」



「……抜いてはダメよ」



幻惑の少女が出現!



エルフ「また出たね! 現れたり消えたり君は何がしたいのかな!?」


「みんなと友だちになりたいのよ。あなたたちとも」


エルフ「はあ!? なんで!?」


「むしろ何で友だちになりたいと思わないの? 私の気持ちが分からないの?」


エルフ「はああ!? 分かんねえから聞いてんだろ! なぞなぞマンかよぉ!?」


戦士「落ち着け」
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:18:27.02 ID:jI0sPvpo0

「とにかく時を動かしてはいけないわよ。この街は……ダンジョンが地獄と化してしまうから」


銃士「誰にとっての地獄なんやろねぇ。ところで、お嬢ちゃんはダンジョンのボスなん?」


「私は選ばれたの、このダンジョンを統べる者として」


戦士「選ばれた? 誰に?」


「人外の理よ。そうとしか言えないわ」


エルフ「はあーん? 毒電波受信しちゃった系女子なの?」


商人「(選ばれたという言い方からすると、元はただの人間だったんですかね。ダンジョンによって異質な存在に変容した? それにしてはあまり気にしていないようですが、開き直りでしょうか? それとも人間だった頃にいい思い出がない? やたらと友だちが欲するあたり孤独だったのかもしれません)」


「本当は時計塔に貴方たちを入れたくなかった……けれどこれも理なの。そういう呪縛のもとにダンジョンは成り立つの」


盗賊「(……制約条件か? そうするとダンジョンは魔法によって築かれたのか? サモナー? それとも別の誰か?)」


「質問に答えたのだから抜こうとしないで。人間に抜けるわけはないけれど」


盗賊「制止しているのに悪いが必要なんでな」がっ……


すぽんっ


「えっ」

524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:21:55.66 ID:jI0sPvpo0


『セフィロトの杖』を手に入れた!


盗賊「まあ、こんなものだ」


赤魔「俺の盗賊を舐めるなよ!」どやっ


エルフ「はぁ……こういう時こそ図体の無駄に大きい戦士が活躍するところじゃないの? 毎回黒チビに無駄にドヤ顔されてムカつくぅ」


戦士「そんなこと言われてもな」



歯車<<ガガガ……



銃士「お、歯車が動き出しよった。ずっと動ける歯車を止めてた杖の強度どないなってんねや」


商人「まあ、ダンジョンですから」


戦士「便利な言葉だ」



「あ……ああ……!」


エルフ「ねえ、どんな気持ち? ドヤ顔で抜けないだろとかほざいてあっさり抜かれてどんな気持ち? 笑わないから言ってみなよ?」にやにや


赤魔「既に笑ってるだろ!」


「……嘘、いや、いや……お父様、いや……閉じ込めないで……仕返しなんかじゃなかったの……私はただ友だちが……ごめんなさい、ごめんなさい……」ガタガタ…


エルフ「ど、どうしたの? 大丈夫……?」
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/01(金) 23:27:30.30 ID:jI0sPvpo0


「やだ、やだ……あぁ……っ!」



ギィィィィィンーーーーッッ!



「「「「「「……っ!?」」」」」」



『幻惑の街』は『死霊の街』へと変容するーー!



「たすけーー」


幻惑の少女は姿を消した!


エルフ「ちょ、ちょっと……!」



ズゥゥゥンッッ……! ズゥゥゥンッッ……!


商人「ひっ!?」


赤魔「な、何の音だ!?」


盗賊「……足音か!? 」


銃士「はあ、あきまへんな。嫌な予感しかせえへん」


戦士「さっさと時計塔を出るぞ!」



エルフ「何がどうなってるんだよー!」



to be continued...
526 :次は火曜日以降 [saga]:2017/09/01(金) 23:30:29.28 ID:jI0sPvpo0


○戦士メモ

・時計塔:セフィロトの杖により時計が止まっていたが俺たちが取ってしまったことで動き出した。この止まった時計も一つのトラップだったのだろうか。

・人外の理:少女はおそらく特定の人物ではなく、何か超自然的な力を示しているのだろう。やはりダンジョンの出現は超自然的な力によるものなのだろう。

・足音:時計塔の外に響く巨大な足音だ。どうやら二足歩行のようだが、少しもたついてるようにも聞こえる。



○エルフメモ

・秘蔵のポルノ本:銃士って何であんなに気持ち悪いんだろう。童貞やら非モテを拗らせると異性との接触の全てを性的に解釈してそうで怖い。そういう人がやがて「楽器は男根のメタファー」とか言い出すのかもね。

・PTA:子どもへの悪影響絶対に排除するマンたちの別名。結構な頻度で物事に過敏だったりする。全く関係ないけど、暇を持て余した人間はろくなことしない。全く関係ないけどね。

・毒電波:メンヘラがよく受信したふりをする。本当に受信したら受診だ。お薬はちゃんと処方された通りに飲もうね。



○商人の鑑定

・セフィロトの杖:売値は貴重なためつけられません。異世界に生える生命の樹から作られた杖です。その力は明らかにこの世界の理から逸脱しており、使用者に莫大な力を与えます。
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/01(金) 23:31:36.93 ID:CaElPLhm0
セフィロトの杖は装備できるんかな
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/01(金) 23:42:36.30 ID:ozG1AEnDo
るっ!のネタがあった
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 00:38:12.39 ID:S23AGNXY0
何が起こるか分からない怖さ
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 02:24:19.10 ID:0r0uVsSMo
>>524
馬鹿にする気満々だったのに相手が尋常じゃなく冷静さ失ってるの見て心配しちゃうエルフかわいい
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 10:54:24.85 ID:fHeInavD0
見ただけでアイテムの詳細わかるとかすごい商人
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/03(日) 21:24:47.93 ID:opFp6TgD0
全員の装備とか今どんななのか気になる
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 21:42:09.88 ID:qjossYDA0
sageろhage
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 05:12:27.93 ID:EZXFcDQYo
ステータスの防御と魔法の位置がいつの間にか入れ替わっている
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/06(水) 20:29:24.30 ID:J/mRiXQC0
そうだな
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 20:31:53.95 ID:+MTAbQ4Ko
>>535
sageろks
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/06(水) 20:46:30.53 ID:h55qMLzzO
age指摘は1分以内にやれ
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 21:40:35.54 ID:tCvHWQIA0
>>537
お前みたいに皆暇じゃねーんだよハゲ
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 22:13:28.58 ID:ZvEe+eQ6O
荒らしにふれちゃだめ
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 15:13:30.85 ID:h+ct4O1do
age指摘が荒らしでしかないのにそんな事言ってもww
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/07(木) 15:17:45.87 ID:93ovHOZxO
hageろsage
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 16:19:26.44 ID:c1kM42USO
自演
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 18:16:18.26 ID:8E9ZF/xA0
大文字ww
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 21:01:55.31 ID:BKhOa13Jo
また忙しいのかね
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 19:20:41.75 ID:n1HjQZOOO
とうとう10日目
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 09:41:14.74 ID:PNZJdIla0
【死霊の街・時計塔前】


エルフ「……なんじゃこりゃ!」


<<フヨフヨ……


銃士「んー? 人魂かしらん?」


商人「い、至る所に浮いてますね」


赤魔「ゆ、幽霊……!?」ひしっ


盗賊「赤魔かわいい」


<<アー……アウー……


エルフ「なんかアンデッドっぽいのもいっぱいいるんだけど」


赤魔「もうやだぁ……!」


<<ズゥゥゥン……ズゥゥゥンッッ……!


戦士「それより後ろの巨大人骨が一番まずいだろ!」


銃士「ほんとデカいわぁ……」


エルフ「んもう、次から次へと忙しないなぁ」カシャッ
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 09:43:25.12 ID:PNZJdIla0

ステータス解析マシン<<ピピッ……ピロンッ


・ドレッド・ダド
HP:100000
こうげき:500
まほう:0
ぼうぎょ:400
すばやさ:100


エルフ「んん!? カルシウムをいっぱい摂ったのかな!?」


商人「た、体力オバケなガイコツですね……」


赤魔「こっちくんなぁ……」


銃士「いうて防御も攻撃も大したことあらへんようやし、焦らずに観察して対処法を見つければええやろ」


戦士「ああ、少し下がるか」


盗賊「……そうもいかないだろう」



ドレッドダド「ォォォォォォーー」グパァッッ


戦士「(口を開いて何をする気だ?)」



ズルルルゥゥッッ……!



ドレッド・ダド<<グチュグチュ……!


ドレッド・ダドは死霊を貪る!


銃士「なんや? 魔物どうしで共喰いかいな?」
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 09:45:32.40 ID:PNZJdIla0

赤魔「周りの幽霊っぽいのが減った!」ほっ


戦士「嫌な予感しかしないんだが……」


盗賊「同感ね」



ドレッド・ダド<<ボココ……



赤魔「ひゃぁぁぁ……!?」


商人「あばばばばば……」


戦士「に、肉がついたぞ……っ?」


銃士「おぞましいわぁ」


盗賊「エルフ、ステータスをもう一度確認して」


エルフ「ったく、皮もつけてよ。剥き出しでキモいなぁ……」カシャッ
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 09:46:35.39 ID:PNZJdIla0

ステータス解析マシン<<ピピッ……ピロンッ


・ドレッドダド
HP:150000
こうげき:1500
まほう:100
ぼうぎょ:1000
すばやさ:300



エルフ「成長してるしぃ……死霊を食べると強い子になれるのかな?」


商人「僕もいっぱい食べたいですね。あははははは」


銃士「逃げるで! 商人くんしっかりしいや!」


戦士「盗賊!」


盗賊「ああ」


エルフたちは逃げ出した!



ドレッドダド「アァ……ウナァァァ……」ズゥゥゥン……グチャ……ズゥゥゥン……グチュュ……



赤魔「音が気持ち悪いっ!もうやだぁ!」


盗賊「……」ほっこり

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 09:48:17.80 ID:PNZJdIla0


・・・
【死霊の街・出口】


銃士「よっしゃ、出口やん」


エルフ「1000Gドールは無理だったかぁ」


商人「命あっての物種です!」


銃士「消費できへんもんな」


戦士「最後まで気を抜くなよ……!」


赤魔「やっと逃げれるぅ……」えぐえぐっ



盗賊「……ちくしょう!」


「「「「!?」」」」



エルフ「え、な、なに……」


盗賊「……即死トラップで封鎖されてる。このままじゃ出られない」


赤魔「そ、そんなぁ……!」


ドレッド・ダド<<ズゥゥゥン……グチャチャ……ッ


戦士「このままだと追い詰められるぞ……!」


銃士「しゃあない、あっちの建物群に逃げようや」
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 09:50:54.04 ID:PNZJdIla0


ドレッド・ダド「……クナァァァーーッッ」コォォ…!


ドレッド・ダドの『エゴイックプラズマ』!


銃士「あれはあかん……!」



戦士「くっ!」



戦士はパーティをかばった!



戦士「うぉっ……がぁぁ……ッッ!?」ドガァッ!



戦士は力尽きた!




エルフ「うおい!?」


商人「せ、戦士さんが一撃で撃沈なんて……!」


エルフ「あー、もう! 重いんだから勘弁してよね!」ぐいっ


盗賊「私が背負う! さっさとしろ!」ひょいっ


エルフ「力持ちぃ」
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 10:01:05.08 ID:PNZJdIla0
・・・
【死霊の街・住宅区跡地】


死霊<<フヨフヨ……


赤魔「……」ぶるぶる…


エルフ「ここならあっちも見つけるのに手間取るかな」


商人「そ、そうですね。浮いてるのがいっぱいいますけど」


盗賊「直接の害はなさそうに思われるが……まあ、触れない方が無難ね」


銃士「あのデカ屍肉はんよりマシやけども、得体がしれへんからな」



エルフ「とにかく戦士さんを蘇生させますね」ぐいっ


戦士<<グビッ


戦士「ぐふっ…!?」ごほっ



戦士は復活した!



戦士「おえっ……」


エルフ「気付け薬マズイよねぇ」


銃士「戦士には蘇生魔法(物理)じゃないん?」


商人「あれは銃士さんの勝手な自爆でしたからね」


銃士「否定できひんな」


盗賊「そんなことより脱出するための方法を見つけ出すぞ」
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 10:03:11.91 ID:PNZJdIla0


死霊<<フヨフヨ……


赤魔「早く帰りたい」ほけぇ…


商人「気持ちは痛いほど分かりますけど、気をしっかり持ってください」


「もし」


盗賊「っ!」バッ


「ああ、お辞めください。私は悪いドールではありません」


エルフ「悪いドールはみんなそう言うんだよ」


「暴論です。まずはお話だけでもお聞きください」


盗賊「……」


エルフ「そう言って呪詛だったりしないの」


商人「トラップかもしれませんよね」


「潔白を晴らすにもどうすればよいのやら……ひとまず旦那様はこの一帯にはまだお入りになれない筈です。こちらにどうぞ」


銃士「エルフはん、どうするん?」

554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 10:05:16.99 ID:PNZJdIla0


戦士「悪者には見えないけどな」


エルフ「君のその発言にはカケラも説得力がないよね」


商人「前例もありますからね」


銃士「せやね」


戦士「……」



エルフ「とりあえず測ってみよう。迷ったらまず計測」


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ



・バウンデッドバトラー
HP:1200
すばやさ:640
まほう:420
こうげき:430
ぼうぎょ:210



赤魔「……順番がぐちゃぐちゃ」


エルフ「あるぇ?」

555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 10:09:10.12 ID:PNZJdIla0

盗賊「……」ピッピッ…



・バウンデッドバトラー
HP:1200
こうげき:430
ぼうぎょ:210
まほう:420
すばやさ:640



エルフ「あ、直った……直った? まあ、いいや」


盗賊「これでボタンロックできそうね。うん、確かにかかってる」カチッ…ポチッポチッ


エルフ「どもども。……しかし、判断に困る。普通に強いから不意打ちされると危険だよねぇ」


バトラー「そう言われるのでしたら、多色の無力化は甘んじて受け入れましょう。私としてもあなた方の他に頼れる方もおりません」


銃士「頼る、ねぇ」



バトラー「みだりに留まっていると流石に旦那様がいらっしゃいます」


<<ズゥゥゥンーーッッ


銃士「あかんな」


戦士「(旦那様というのはあの魔物のことみたいだな)」


赤魔「よしっ、行こう! 早く行こう! はやくぅ……!」


商人「(赤魔さんは正常な判断が出来そうにありませんね)」
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 10:13:46.29 ID:PNZJdIla0


バトラー「こちらです。どうしても信頼できないと言うのならば諦めざるを得ませんが」


盗賊「エルフ、どうする?」


エルフ「えー……うーん……」


商人「あっ、中に『ビスクドール』がありますよ!?」


エルフ「1000Gドール!?」


バトラー「ビスクドールならば屋敷内にも幾つかあります」


エルフ「ついてくついてく! 金は命よりも重い!」


盗賊「清々しいまでの拝金主義ね」


エルフ「当たり前じゃん!? お金で買えないものはあるけど、それ以外のものはお金で買えるんだよ!?」


戦士「生命は金じゃ買えないだろ……」


銃士「売ることはできるんやけどな」


赤魔「はやく入ろぉ……」ぶるぶる…


商人「(産まれたての子鹿みたいです)」



to be continued...
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 10:15:32.67 ID:PNZJdIla0
○戦士メモ

・死霊の街:俺たちが『セフィロトの杖』を引き抜いたことで『幻惑の街』は変貌を遂げた。しかし大賢者が杖を安置したことを考えると死霊の街こそがこのダンジョンの本当の姿だったのかもしれない。

・ドレッドダド:巨大な骨の魔物。街に漂っている死霊を取り込むことで血肉を纏い、恐ろしい見た目となっている。非常に強力な魔物で正攻法では勝てそうにない。

・バウンデッドバトラー:執事のような姿をしたドール。非常に理性的な魔物のようだが……。



○エルフメモ

・お金:10億Gほしい。



○赤魔の似顔絵ノート

エルフ
・ぶき:セフィロトの杖(その前はマジックワンドだった)
・からだ:魔道士のケープ
・アクセサリ:理力のペンダント
・小憎たらしい笑顔のエルフの似顔絵が添えられている…


戦士
・ぶき:ディフェンダー(その前はショートソードだった)
・たて:ウインドシールド
・からだ:鉄の鎧
・アクセサリ:天使のペンダント(その前は堅身のアミュレットだった)
・少し美化された戦士の似顔絵が添えられている…


商人
・ぶき:チキンナイフ
・からだ:魔防の前掛け
・アクセサリ:大容量バックパック
・困り笑顔の商人の似顔絵が添えられている…


銃士
・ぶき:汎用型魔導銃
・からだ:ハンタージャケット
・アクセサリ:鷹目のイヤリング
・軽薄そうな笑顔の銃士の似顔絵が添えられている…


盗賊
・ぶき:バトルブーツ
・からだ:アサシンの服
・アクセサリ:身躱しマント
・優しそうに微笑む盗賊の似顔絵が添えられている…
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 10:33:14.01 ID:jr1lzWGcO
乙ー。復帰おめ。

赤魔の萌え度がどんどん上がっていく…
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 11:56:50.35 ID:05wpvicDO
投下乙
なんか役割上仕方ないとはいえ戦士が気絶しまくってる気が
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 12:18:18.16 ID:khOaokCwo
はー赤魔保護してえ
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 07:01:02.34 ID:uFa1ZNfn0
エルフかわいいすこ
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/18(月) 07:13:01.41 ID:B2ZxrFtZ0
死んでも死体を盾にすればいい
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 07:21:46.07 ID:NBfwMWcyo
>>552
>エルフ「とにかく戦士さんを蘇生させますね」ぐいっ

ここエルフじゃなくて商人か?
敬語エルフもそれはそれで可愛いけども
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 11:39:02.18 ID:FKAQKiVRO
生命もお金で買えてるんだよなぁ本来なら亡くなってるのに気付け薬で命吹き替えしてるんやから
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 18:51:11.05 ID:e94nvo34o
力尽きたからの蘇生だから実はぎりぎり死んでないって可能性もある
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:24:46.56 ID:P8I9KBp3O

【死霊の街・名家地下】



エルフ「はー、地下さむぅ……」


戦士「これを羽織るといい」ひらっ


エルフ「うむうむ、でも私が寒がる前に出さないとダメだよもう」


戦士「へいへい。赤魔も羽織るものいるか?」


赤魔「もう盗賊にもらったぜ! あったかい♪」


盗賊「……」どやっ


戦士「お、おう」


銃士「(ふむふむ、こういうところで差が出るんやな。俺は学習した)」


銃士「商人くん、寒いなら俺の……」


商人「防寒着を用意してるのでお気遣いなく」


銃士「あ、はい」
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:26:52.67 ID:P8I9KBp3O

バトラー「ふむ、身動きが取れませんな」ギチッ


銃士「完全に信用は置けへんから堪忍してや」


戦士「少し我慢してくれ。すまないな」


バトラー「仕方ありません。譲歩いただいて頼みを聞いていただけるならば有り難いですから」


エルフ「うぇいうぇい、まだ聞くとは言ってないよ?」


バトラー「そうでしたか?」


盗賊「魔物のくせに調子に乗るなよ」ごりっ


赤魔「盗賊、そういう言い方はイヤだ」


盗賊「む……」


バトラー「私なりのアイスブレイクですよ」


商人「むしろ場が凝ったのでは……?」


バトラー「それは失敬」


銃士「アイスブレイクでもテクノブレイクでも何でもええねん。まずは色々と説明をして欲しいわ」


エルフ「いちいち下ネタを挟まないでよ。やれやれ、これだから拗らせた童貞は」


銃士「どどどど童貞ちゃうわ!」


商人「(それはやめるんじゃなかったんですか?)」
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:30:41.37 ID:P8I9KBp3O

エルフ「やーい、非モテー」


銃士「くぅぅ、戦士、商人くん、言い返しちゃれ!」


戦士「商人、LEDライトをもう一つ出してくれないか」


商人「はい」


銃士「シカトせんどいてぇな!」


盗賊「エルフも耳年増なだけで初心だろ」


エルフ「想定外の横槍だ!? ……いやいや、むしろ付加価値だしー? プレミアムつくしー? 明らかにキズモノっぽいクールぶったお姉さんとは一緒にしないで欲しいね」


盗賊「……そう」


エルフ「え、なに、えっ?」


商人「(藪蛇ですよエルフさん。盗賊さんは経歴的にそういう点でも不幸な目に遭っててもおかしくないんですから。あまり他人を信頼しない辺りとかからも察しておくべきですよ)」


エルフ「(エルフちゃん重い話は嫌いじゃないけど好きでもないよ)」


赤魔「……」バシッ


エルフ「いだっ! 何すんだ黒チビ!」


赤魔「……お前のそういうところ本当にイヤだ!」ムスッ


エルフ「んぐっ……べ、べつに私わるいことしてないのに……そりゃ、ちょぉっと軽率だったかもしれないけどさぁ……ちぇ……」


盗賊「(……ん、もしかして妙な勘繰りをされている?)」


569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/23(土) 00:32:07.44 ID:3etKmvUG0
LEDが作れるほど技術が進んでるのか
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:32:30.51 ID:P8I9KBp3O

銃士「バトラーはん、ダンジョンについて質問タイムね」


戦士「ああ。このダンジョンについて詳しく教えて欲しい」


商人「そ、そうですね。この街の変わりようは一体何なんですか?」


バトラー「時計塔の時計が動き始めて、旦那様がお目覚めになったのです」


銃士「旦那様っちゅうのはあのデカ骨からゴッツい肉塊に変化した魔物やんね?」


バトラー「ええ。元々は魔物ではなかったのですが、20年前に街がダンジョン化すると共に魔物にお変わりになられました」


戦士「もしかして、ここの魔物たちも元は人間だったのか……?」


バトラー「私などはそうですが、多くは新しく湧き出た者たちかと。死霊……浮遊している淡い赤い光などは元は街の住人かと存じます」


商人「ど、どうして街はダンジョン化したんですか!? ご存知!? ご存知ですか!?」


銃士「(商人くんがやけに興奮しとるな。まあ、誰も知らない謎の答えがあるかもしれへん状況やし無理もないか)」


バトラー「それは私が与り知るところではございません」


商人「そ、そうですか……」

571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:34:02.32 ID:P8I9KBp3O


盗賊「ダンジョン発生の経緯はおそらく私のほうが詳しい」


エルフ「ほわっつ?」


盗賊「それよりも聞きたいのは『セフィロトの杖』と大賢者だ」


商人「え、ま、待って! 待ってください! ダンジョン誕生について何か知っているんですか!?」


盗賊「それは後で話す。私も全てを知ってるわけではない」


エルフ「えぇ……もっと早く話してよ」


赤魔「ふふん、そんな大切な情報を俺の盗賊がそう簡単に話すわけないだろ」ドヤッ


エルフ「次に盗賊は『なんであなたがイキるのよ。それに私はあなたのものじゃないわ』と言う!」


盗賊「ダンジョン化してから最初のうちは逆に現在の状態だったのよね?」


エルフ「ノリが悪いなぁ」


エルフ「(まだ怒ってるかな……?)」


572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:40:04.44 ID:P8I9KBp3O


戦士「エルフ、飴をやるから少し大人しくしてろ」


エルフ「君、ちょっとエルフちゃんを安く見過ぎじゃない?」コロコロ…


銃士「そう言いつつ舐めるんかい」


赤魔「あめ……」クイクイッ


戦士「ああ、ほら」


赤魔「やった♪」


盗賊「(可愛過ぎる。箱にしまいたい。私だけのものにしたい)……こほっ、どうして大賢者はセフィロトの杖をこのダンジョンに安置した? ダンジョンを様変わりさせた目的は?」


バトラー「私には皆目見当がつきません。ただダンジョンの魔物と化して分かりましたが、私たちはあくまでギミックに過ぎないのです」


商人「……どういうことですか?」


バトラー「上手く表現できませんが、ダンジョンはどこかでその存在を壊して欲しがっているような……言うなれば攻略されたがっているように思うのです」


銃士「RPGじゃあるまいしアホか……とは言えんわな。難易度はどうあれトラップには解除する手段が存在しとる」


商人「ダンジョンは攻略されたがっている……うーん……?」


盗賊「解釈を間違えているだけで、別にそれは不自然な話ではないわ」


銃士「解釈違い……ダンジョンはドMっちゅうことかいな……?」


戦士「それはお前だろ」


エルフ「戦士も大概じゃん」コロコロ…
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:43:14.10 ID:P8I9KBp3O


盗賊「大賢者は重要なギミックに歪みを与えることで、この場合はあの少女と時計塔に魔法を用いることでダンジョンを変容させた」


バトラー「そのようですね。もうどれほど前かは私には分かりません」


商人「『憤怒の火山』の封印は18年前ですから、それよりは後ですね」


盗賊「18年前……ドレッドダドが邪魔だった……ダンジョンがこのままだと不都合だった……時を止めたかった……あの少女に力を与えたかった……これだけじゃ絞り切れないな……」ぶつぶつ…


商人「大賢者は何を考えてたんでしょうね」


銃士「『なぜ?』を考えるとダンジョンの出自やら発生原因が謎過ぎて分からへん。盗賊はん、はよ情報をくださいな」


戦士「それもいいが、俺たちの一番の目的は街から出るために即死トラップを解除することだ。そこを誤るなよ」


エルフ「やっぱり青リンゴ味が一番美味しいよ」


赤魔「レモン味の方が美味いだろー」


盗賊「(盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味盗賊の口は今レモン味)」


戦士「(俺の言葉は聞いてくれていただろうか。しかしあの真剣な面持ち……邪魔はしないでおこう)」


商人「(赤魔さんのことしから考えてなさそうですね)」


銃士「(おっぱいや、ああおっぱいや、おっぱいや)」


574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 00:45:30.47 ID:P8I9KBp3O


バトラー「個人的な……これはあくまで私個人の当てずっぽうに過ぎないのですが、その方は純粋にお嬢様を救おうと考えたのではないかと存じます」


銃士「お嬢様?」きらんっ


戦士「あの少女だろ」


エルフ「女の子に対してすぐ反応するよねぇ。下半身に脳みそがあるのかな?」


銃士「否定できひんのが男の悲しいところやな」


盗賊「それなら邪な思考をしないように抉ってやろうか?」


銃士「ひぇ……いや、でも盗賊はんほどの女の子に去勢されるなら…………アリかもしれへん!」クワッ


盗賊「こわ……」


赤魔「盗賊を怖がらせた!? 銃士やるな!?」


エルフ「褒めるところじゃない。一切褒めるところじゃないからね」


商人「あはは……」


戦士「うちのが下品ですまん」


バトラー「いえいえ」


to be continued...
575 :短し [saga]:2017/09/23(土) 00:51:05.35 ID:P8I9KBp3O

○戦士メモ

・LEDライト:『魔物の洞穴』で手に入るアイテム。商人によると、大量に獲れて従来の照明器具をほとんど駆逐してしまったらしく今では流通に制限がかかっている。異界の技術であり極めて有用であるらしいのだが、原理を深く理解して応用する段階にはまだまだ至っていない。




○エルフメモ

・アイスブレイク:あれだよね。イチゴ味が美味しいよね。あと体力回復するよね。……すぐに横文字を使うのは思考停止なんじゃないの!?

・耳年増:盗賊はただの年増だ! おばさんめ!ばーか! ……メモを見られたら頭を潰されちゃう。
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 11:07:09.08 ID:y5rn42Sl0
流石に話の脱線が多過ぎてちょっと読みにくいな
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 11:10:58.32 ID:j7AK3C+7o
>赤魔「あめ……」クイクイッ

んんんんんん可愛い
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:02:57.52 ID:mpoU9NgkO

盗賊「また随分と話が逸れた。お嬢様……幻惑の少女を救うとはどういうことだ?」


バトラー「その前にかつてのお話を致しましょう」


エルフ「別に興味ないけどね。まあ、続けて」


バトラー「私がお仕えしたマーチャント家は由緒あるものの先代の御当主様よりも以前は細々と続く家系でございました」


銃士「ふうん、親近感わくわ」


戦士「旧家の末っ子だったな」


銃士「お前に言ってたか? よう覚えとるな」


商人「本当なんですか?」


銃士「せやせや、やんごとなきお家の出なんやで」


赤魔「へー! すげー!」


盗賊「こんなのが上流階級か……」


銃士「辛辣や。んまっ、今は完全に名ばかりな上に、末っ子にゃ家に関する権利はほぼほぼ存在しとらん。ご覧の通り俺はやくざな仕事しとるパンピーや」


商人「(発言はアレですけど所作などがどことなく上品な感じなのはそういうことですか)」



バトラー「お話を続けさせていただきます」


戦士「いちいち話の腰を折ってばかりですまないな」
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:06:02.77 ID:mpoU9NgkO

バトラー「先代さまは類稀なる才能と努力の方であり、一代でマーチャント家およびこの街の発展に寄与した偉大な方でした。稀代の大商人と人口に膾炙なされたほどです」


商人「すごい……」


赤魔「商人もそうならないとな!」


商人「あはは……頑張りマス……」


盗賊「その話がなんだと言うんだ?」


エルフ「分かりづらいなぁ。どうダンジョンと結びつくの?」


バトラー「これはその後の背景となる話なのです」


エルフ「なるほど、君は説明をするのがヘタクソなんだね。時系列にそって仔細に話すよりも全体の概要をまず話してくれないかな?」


銃士「せやな。話の鳥瞰図がある方が理解しやすいんや」


バトラー「左様でございますか。結論から言ってしまいますと、御当主さまとお嬢様の間には悲劇がございまして、それが街のダンジョン化の際にギミックとなったようです」


戦士「無知ですまん、ダンジョンのギミックの意味がイマイチ掴めていないんだが」


バトラー「なんといえば良いのでしょうか」


盗賊「ギミックは、ダンジョンを特徴付けるものだ。そのダンジョン固有のトラップや固有の魔物などがあげられる」
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:10:48.75 ID:mpoU9NgkO

戦士「ダンジョンを特徴付けるもの……なぜギミックはダンジョンで異なってどのようにしてそれが決まるんだ」


商人「ダンジョンが何たるかをはっきりさせない以上、今は外生変数とすべきでしょう」


エルフ「分かりづらい」


商人「……今は既にそう決まっていて僕たちには変えられないものとして扱うべきでしょう」


銃士「ホントに噛み砕いて表現するなんて商人くんはぶきっちょ真面目くんやね」


赤魔「難しい言葉は分かんないから最初から易しく言って欲しいな」


商人「すみません……」


銃士「ギミックいう表現がメタな上に、ちゅーしょー的やから俺や戦士みたいなおバカには分かりづらいんや。要はパパと娘の問題を解決して欲しいという話やろ?」


バトラー「乱暴にまとめれば左様でございますね」


戦士「なんだ、そういうことか。ようやく腑に落ちた」


赤魔「解決すればこの怖い……い、いや怖くはない! うん! この怖くないダンジョンから出られるんだな!?」


バトラー「ええ、そうでしょう」


エルフ「ご都合主義の塊だね」


盗賊「ダンジョンは仕様上そうなっているんだ」
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:14:26.16 ID:mpoU9NgkO


エルフ「父親と娘の問題ね……具体的に何をしろって?」


バトラー「お嬢様を旦那様より救い出して欲しいのです」


エルフ「……ふうん」


戦士「任せてくれていい。しかし具体的に何をすればいい?」


バトラー「ダンジョン化前のお話をしますと、旦那様は先代さまの偉大な御栄光もございまして過大な期待をお背負いになられておりました。それは清廉潔白であった旦那様を患わせ、とうとう旦那様は凶行とも狂行ともいえる恐ろしい所業をなさったのです」


銃士「チャカポコチャカポコ」


赤魔「急にどうした?」



盗賊「……当主は具体的に何をしたんだ?」


バトラー「お嬢様を軟禁……いいえ監禁なさり、そして……ああ、これ以上は私の口からは到底申せませぬ」


商人「ダンジョン化前の話ですよね? 事後はどうなったんです?」


バトラー「あなた方も旦那様を目の当たりにしましたでしょう? そういうことです」


商人「変わらないということですか。大賢者はその現状を是正したいから死霊の街を幻惑の街に変化させたというのがバトラーさんの意見でしたね」


バトラー「はい」


エルフ「つまり魔物となった後も娘を抑圧して悦に入ってるわけ? クソ変態最低鬼畜ゴミクズ親父じゃん。滅びろ」


バトラー「しかし、旦那様がお狂いになってしまったのは先に話したような経緯がございまして……」


赤魔「辛い目にあったからって、それを誰かにぶつけちゃダメだろ! 腹が立ってきた!」


銃士「女性陣がお怒りや。くわばらくわばら」
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:17:49.92 ID:mpoU9NgkO

戦士「救い出すにしてもどうすればいい? 正直、ドレッド・ダドを倒すのは厳しいぞ」


バトラー「お嬢様は何処かに囚われているはずです。お嬢様が救われることでダンジョン周囲に存在するトラップは解けるでしょう」


商人「何処に囚われているんでしょうか?」


バトラー「かつてはこの屋敷の地下部屋でした。しかし現在は何処なのか存じません」


エルフ「使えないねぇ」


バトラー「何せ、私はかつてお嬢様をお逃しになろうとしたことが旦那様に見破られ、拷問の末に死んでしまったのです。おそらく私の死後、監禁なさる場所をお変えになりましたでしょう」


エルフ「おおう……」


赤魔「なんだよ、それ……!」



バトラー「一度は朽ちたこの身、こうしてギミックとして復活したのは此度こそお嬢様を救い、そして旦那様をその狂気から解放致すためと存じております」


戦士「死んで尚、その忠誠と慈悲深い心に感服した。俺たちがお前の悲願を達成してみせる」


商人「(すぐ人の言葉を鵜呑みにしますよね)」


エルフ「お人好しめぇ。というか、リーダーは私なんだから勝手に決めないでよ、もう」
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:20:50.96 ID:mpoU9NgkO

バトラー「ありがとうございます。旅の方々」


エルフ「街荒らしみたいなもんだけどね。ところで何か報酬はないわけ?」


銃士「銭ゲバやなぁ」


バトラー「このお屋敷マーチャント家の私有財産です。しかし今では新たに出現したものがほとんどであり、それをあなた方が獲得することは私が関知するところではございません」


赤魔「???」


盗賊「屋敷内のアイテムは持って行っていいそうよ」


エルフ「商人、1000Gドールの確保!」


商人「6つ確保しました!」


戦士「仕事が早い……」



エルフたちは『ビスクドール』を6つ手に入れた!



エルフ「6000G……1人頭1000G……ふへへ……!」


銃士「女の子がしちゃダメな顔しとる」


戦士「男でもダメだろ」


エルフ「うるさいよ!」
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:23:40.28 ID:mpoU9NgkO

赤魔「うう、また外に出なきゃダメか? あのデカい魔物どうするんだ? 白いフヨフヨもいっぱいだろうし……」


盗賊「その必要はないわよ」コンコンッ……カリッカリッ


エルフ「ん?」


盗賊「はっ」バゴッ…!



盗賊は隠し通路を見つけた!



バトラー「!!」


商人「流石ですね!」


エルフ「やるねぇ……」


銃士「……このパーティ、盗賊はんと商人くんだけでほぼほぼ回りそうや」


赤魔「俺だって必要だろ!?」


戦士「全員がそれぞれのやるべきことをやる。それが大事だろ」


エルフ「そういうことだよ、肉壁二枚たち」


戦士「相変わらず言い方がひどいな……」


銃士「俺はエルフはんより華奢なんやけどね」


エルフ「私が太ましいみたいに聞こえるからやめてくれる?」
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:25:43.66 ID:mpoU9NgkO


バトラー「おそらくこの先には再び旦那様……旦那様の御分身がお出になるかもしれません。私はこのお屋敷からあまり離れることはできませんからついていくことは出来ません。お気をつけて」


エルフ「あの肉塊、分身すんのかよぉ……」


赤魔「うぅ、やだなぁ……」


銃士「あたち、怖いのキライー!」


エルフ「きっも」


銃士「ふえぇ……」


盗賊「こんなのが上流階級か……」


銃士「それはちょっとやめてくだはる?」


赤魔「銃士はなー、もう少ししっかりしてたらなー」


銃士「えっ、なになに? 素敵なお話聞けそうな感じかいな?」


盗賊「ない。死ね」


銃士「女性陣は辛辣やわー」


戦士「すぐに死ねとか言うのはダメだぞ」


盗賊「……」


商人「(戦士さんはすっかりパーティの保護者ですね)」


赤魔「早く帰りたい……」
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:28:35.04 ID:mpoU9NgkO

・・・
【死霊の街・地下道】


死霊の大群<<フヨフヨ…


赤魔「……」ぶるぶる…


エルフ「地下深いだけじゃなくてこんなに広いとはね。フヨフヨのせいで仄かに明るいけどさ」


戦士「崩れたりしたら生き埋めだぞ……崩落しないだろうか」


盗賊「おそらく大丈夫だとは思うが……この広さは何なんだ? 街全体に広がっていそうだ。それにあまりにも分岐が多い」


商人「道順の記録は任せてください」


銃士「俺も一応やっとくわ。それにしても、地下道はダンジョン化で新しく生まれた場所やと思うんやけど 」


商人「そう考えた方が妥当ですよね。普通の都市にこんな広大な地下があったとは少し考えられません」


エルフ「作る意味も分からないしね」
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:30:23.17 ID:mpoU9NgkO

赤魔「怖くない、怖くなんてない……俺は最強、俺は無敵……」ぶつぶつ…


エルフ「……」ニヤッ


エルフ<<ススス…


赤魔「……オバケなんていないさ、オバケなんてうーそさ」ぶつぶつ…


エルフ「わぁっ!」


赤魔「ひゃぁぁっっ!?」


エルフ「ぷっぷくぷー♪」


赤魔「う……」


エルフ「随分かわいい悲鳴ですこと♪」


赤魔「うう……」ぷるぷる…


エルフ「おこなの? ねえねえ、おこなの?」
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:35:52.76 ID:mpoU9NgkO


赤魔「うぅぅ……っ」ぐすっぐすっ


エルフ「えぇっ、ガチ泣き……?」


盗賊「赤魔……」なでなで…


戦士「大丈夫だぞ」さすさす…


銃士「せんせー、エルフはんが赤魔はんを泣かせましたー」


商人「エルフさん……」


戦士「エルフ、なんでこんなことしたんだ?」


エルフ「つい出来心で……」


盗賊「人の嫌がることをするのはそんなに楽しいか?」


赤魔「……」ぐすぐすっ


エルフ「えと……」


商人・銃士「……」
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:38:39.69 ID:mpoU9NgkO

戦士「エルフ、赤魔に謝るんだ」


エルフ「は?」


盗賊「謝れ!」ぐいっ


エルフ「いたっ!」


赤魔「と、盗賊、やめ、やめて……」ぐすっ…


盗賊「……」チッ…


エルフ「……」


戦士「エルフ、今回は全面的にお前が悪いぞ。チームのリーダーならふざけたりせず、もう少し責任感を持った行動をするべきじゃないのか? それに他人の嫌がることを人にするのは……」


エルフ「……うっさいな」ボソッ


戦士「……エルフ」


エルフ「はいはい、ごめんなさいってば」


戦士「エルフ」ぎゅっ


エルフ「腕つかまないでよっ! 変態なのッ!?」


戦士「エルフ」


エルフ「う……ぅぅ……っ」ぽろっ…


ぐすぐす……



商人「(なんというか、十代前半って感じですね)」


銃士「(エルフはん、自分で考えて判断できる賢い娘なんやろうけど、こういうところはまだまだ子どもなんやなぁ……俺の視点、完全にオッさんや)」
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:39:32.48 ID:mpoU9NgkO


エルフ「……ごめんなさい」


赤魔「うん、いいよ……」


戦士「よしっ、謝れて偉いな。許せて偉いな」ぽんぽんっ


エルフ「子ども扱いすんな……」


赤魔「そ、そうだ!」


戦士「すまんな」


盗賊「……」


銃士「盗賊はんも謝っておいた方がええんちゃう?」


盗賊「はあ?」


銃士「いやぁ、ちょっと感情的になり過ぎやん? エルフはんの胸ぐら?みかかるのは適切やないやろ?」


盗賊「……」


銃士「エルフはんが謝ったのなら、盗賊はんも謝っておいた方があと腐れなくてええ。年下やから頭下げるのを嫌がるとか言っとるど俺みたいにロクな大人にならへんぞ」


盗賊「……銃士みたいにはなりたくないな」


銃士「わっはっは」
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:47:57.90 ID:mpoU9NgkO


盗賊「悪かった。すまない」


エルフ「べつにいいよ……」




戦士「さて、進むか」


エルフ・赤魔・盗賊「…………」


商人「(空気が重いです……)」


銃士「戦士ー、おいちゃんあまり恐ろしうておしっこチビりそうやわー」


商人「絶対にやめてくださいねっ!」


銃士「いざとなったら商人くんにかけるわ」


商人「『最も強い言葉』で非難します!」


戦士「(具体的にどんな言葉なんだ?)」
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:49:45.65 ID:mpoU9NgkO


銃士「はー、こわこわ。はよ帰りたいわ」


赤魔「銃士も怖いんだな」


銃士「年取っても怖いもんは怖いでほんま。まんじゅう怖い。一杯のお茶が怖い」


盗賊「それは本当に怖がってるのか?」


銃士「おっぱい怖い」


エルフ「下ネタを挟まないと死ぬの?」


銃士「俺の熱き魂が死ぬんや」キリッ



えろー

男はみんなエロなんや!



商人「……」ほっ


戦士「(……ここからは波乱なく事が運べばいいが)」」ふぅ…




「ふふふ……ついに来たみたいだね……!」


to be continued...
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:51:55.60 ID:mpoU9NgkO

○戦士メモ

・ギミック:各ダンジョンによって固有なトラップや魔物などのことを差す。どうして様々なギミックが存在するのかは分からない。ダンジョンの存在と関係があるんだろうか。

・マーチャント家:現在の死霊の街にかつて栄えた名家。ドレッド・ダドの父にあたる人物が交易にて隆盛させたが、ドレッド・ダドはその偉大な父と比較されて心を病んだようだ。そして自身の娘に非道な振る舞いをしたようだ。単純で愚かしい話だ。

・地下道:死霊の街の地下に広がる幾つにも分岐した通路が続く。地図をしっかりと残さなければ道迷いになりかねないが商人と銃士が記録を取るならば問題はないだろう。



○エルフメモ

・上流階級:べつに良いことばかりでもないでしょ

・謝罪:ぷっぷくぷー



○商人の鑑定

・ビスクドール:売値は1000G。非常に精巧な陶器の人形であり、その品質や技術は現在のドール製造の技術とは全く異なっており謎に包まれています。あまりに精巧すぎて本物の小人にすら見えます……あれ、いま目が動いたような……気のせいですかね?
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/28(木) 17:23:35.44 ID:ICTnHTVP0
そろそろパワーアップイベントが欲しいかな
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 00:28:37.91 ID:munm4aVY0
はよ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/27(金) 11:02:34.14 ID:TagWX7vwo
舞ってる
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 06:07:26.99 ID:G+ICnRzCo
はよ
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 01:04:40.35 ID:uJGfHq7A0
まだか?
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 18:51:45.01 ID:L+p8/a3pO
・・・


『乙女の涙』を手に入れた!

『黒色クレジットカード』を手に入れた!

『魚っとっと』を手に入れた!


商人「地下にもアイテムがあるんですね」


銃士「ダンジョン化が地下にも及んどる証拠やな」


戦士「それはつまり地下にも魔物がいるってことだろう?」


<<ゥゥゥ……


ファザーシャドウが出現!



エルフ「はいはい、噂をしたら出てくるよね」カシャッ


ステータス解析マシン<<ピピ……ピロンッ


・ファザーシャドウ
HP:100
こうげき:0
ぼうぎょ:0
まほう:400
すばやさ:0


銃士「また特殊そうな敵やな」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 18:53:00.05 ID:L+p8/a3pO

盗賊の『加速蹴り』!


しかし効果は無かった…


盗賊「ちっ……」



赤魔の『火炎魔法』!


ファザーシャドウ<<メラメラ……シュゥゥ……


ファザーシャドウを倒した!


赤魔「いよっし!」


戦士「物理的な攻撃は効かないのか? 俺と盗賊は力になれなそうだな」


赤魔「俺とエルフに任せろ! 二人の分も倒してやるさ!」


エルフ「しっかたないなぁ」


銃士「俺も魔法攻撃できるから忘れんどいて」
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 18:53:49.96 ID:L+p8/a3pO

・・・


『ミスリルナイフ』を手に入れた!


商人「わっ、魔法金属ミスリルでできたナイフです!」


赤魔「ミスリル!?」


エルフ「ミスリルかぁ。RPGなら冒険も中盤に差し掛かったって感じだよね」


銃士「おいくらで売れますのん?」


商人「400Gです。ミスリルはまだまだ希少ですから」


エルフ「ふへへ、がっぽしがっぽし」


赤魔「ミスリルのナイフかぁ。魔法剣にピッタリなんだよな」キラキラ…


戦士「エルフ……」


エルフ「へいへい……ちゃんと価格分の働きをしてよね」


赤魔「えっ、私が使っていいの!?」


エルフ「要らないなら売るけど」


赤魔「要る要る! すごく要る! これで私もミスリル持ちだ! やったぁ! 」


戦士「良かったな」


赤魔「うん!」にこにこ


銃士「(盗賊はんはこの赤魔はんを見てどんな表情してるんやろか)」ちらっ


商人「(盗賊さん、もしかして鼻血を出してたりしてないでしょうね?)」ちらっ


盗賊「……」


銃士・商人「し、死んでる……」
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/15(金) 18:55:07.23 ID:T4MsWnLao
遅すぎてどんな展開だったかもう覚えてねーよ
最初から読みなおしてきます
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 18:58:50.48 ID:L+p8/a3pO
・・・

赤魔「さあー、敵出てこい! ミスリル魔法剣で八つ裂きだー!」ふんすふんすっ


エルフ「さっきまであんなに怖がってたくせに……現金なやつ」


戦士「お前が言うか」


盗賊「……トラップがあるな」


商人「た、宝箱?」



宝箱?「……」



銃士「デカい箱やなぁ。誰か入っとるんやないの?」


宝箱?「……!」ぎくっ


エルフ「というか宝箱って……他のアイテムは宝箱に入ってないじゃん……」


赤魔「盗賊、これはトラップなのか?」


盗賊「間違いなくトラップね。何故宝箱なのかはちょっとよく分からないけど」


エルフ「こんなアホらしいトラップ、誰が引っかかるの?」


戦士「まあ、そのまま馬鹿正直に開けようとする奴はいないだろうな」


商人「でも中身はなんでしょう? やっぱり魔物ですかね」


エルフ「そうなんじゃない? けど、爆弾とかだったら嫌だし、アイテムじゃないならスルー安定でしょ」


赤魔「そっかー、魔物以外の可能性もあるんだよな。攻撃しないでおこ」


銃士「こういうタイプは魔物でも移動しないやろうし、放置で構わへんやろ。ほな進みましょ」


ぞろぞろ…


宝箱?「……」
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:02:31.93 ID:L+p8/a3pO

宝箱?<<パカッ


「こら〜! 無視はダメ、絶対!」


赤魔「うわ、箱から出てきた!?」


銃士「女の子! 女の子や!」


エルフ「うるさいよ童貞」


少女?「あのさ〜、君たちさ〜。ダンジョン冒険者ともあろうものが目の前の宝箱を開けないってどうなの?」


商人「だってトラップだって分かってますし……」


少女?「か〜、ひよってるな〜。ひよってるよ〜。たとえ中身が私みたいにミミックだって開けて見るのが真の冒険者ってもんじゃないの? これだから最近の若人は〜」


エルフ「そんな何千年も前から使い古されてるフレーズで暴論を言われてもね」


銃士「いやしかし、トラップでも箱の中身が女の子やったら、確かに開けるべきやね! これからもトラップと分かっても開けていく強い意志を持つわ!」


エルフ「危ない目に遭ったらどうせどっかのアホ戦士が助けに行くからダメ」


銃士「ああ、せやな」


戦士「……」
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:05:03.39 ID:L+p8/a3pO


戦士「それで何か用か」


ミミックガール「そりゃ、ミミックは宝箱を開けた相手に襲いかかるでしょ」


盗賊「開けてない。そっちが勝手に出てきたんでしょ」


ミミックガール「……確かに」



「「「「「「「…………」」」」」」」



ミミックガール「あ、じゃあ一度引っ込むから開けてもらっていい?」


赤魔「なんでだよ!?」


ミミックガール「じゃあ、このまま私との戦闘になってもいいの!? グダグダじゃん!」


赤魔「もう既にグダグダだよ!」


ミミックガール「それ確かに〜!」


エルフ「もう、何なの……」げんなり…


銃士「わはは、面白い魔物ちゃんやな」チャキッ


ミミックガール「んにゃ?」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:06:40.88 ID:L+p8/a3pO

銃士の『クリティカルショット』!


ミミックガール「ミミック相手に不意打ちなんて効くわけないじゃん?」ピシッ


ミミックは指先で弾丸を弾いた!


銃士「!?」


ミミック「ばーん」ぱしっ


ミミックの『究極指弾』!


銃士「ぐぶっ……」


銃士は力尽きた!


戦士「銃士!?」


エルフ「もしかして……強い?」カシャッ


ステータス解析マシン<<ピピ……ピロンッ


・ミミックガール(?)
HP:N/A
こうげき:N/A
ぼうぎょ:N/A
まほう:N/A
すばやさ:N/A


エルフ「えぇ……」


ミミックガール「……さあて、楽しいケンカの始まりだね」にやっ

607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:07:34.73 ID:lpmJLBvZO
おお、再開きたw
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/15(金) 19:07:36.00 ID:+WQvrK430
強さバグってるな
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:08:15.19 ID:L+p8/a3pO


商人「待ってください!」


ミミックガール「うん?」


商人「僕たちは貴女を一度スルーしたはずです。それなのに襲いかかるというのは一般的なミミックとしては有り得ない行為です。ダンジョンにも一定の法則があるはずなのに貴女はそれに違反していませんか?」


ミミックガール「え〜、積極的に襲いかかるミミックがいてもいいじゃんいいじゃん?」


エルフ「良くないっ」


ミミックガール「なんでよ?」


エルフ「私たちが困るから」びしっ


ミミックガール「……」


エルフ「……」ふんすっ


ミミックガール「それ確かに〜!」


赤魔「なんなんだコイツ……」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:14:48.89 ID:L+p8/a3pO


銃士「」ちーん…


盗賊の『蘇生魔法(物理)』!


銃士「とげっびゃぁぁっ!」


銃士は蘇生した!


戦士「……変わった魔物もいるんだな。ずっとこの地下にいたのか?」


ミミックガール「うんにゃ。私は回遊する魔物なんで〜。ミミックなのに回遊するとか面白いでしょ?」


赤魔「普通のミミックだってたまには移動するだろ。……しないのか?」


ミミックガール「さあ? 普通のミミックの生態なんて私の知るところじゃないし〜興味もないんで〜」



赤魔「なんか適当なやつだな……」


商人「(そもそも知る限りの他のミミックは宝箱に入ってなければ人型でもないんですけどね……)」


ミミックガール「とにかく私は色んなダンジョンを行き来できて、それなりに奥じゃないと出現できないんだよね」


商人「一体なぜです?」


ミミックガール「そりゃ情報エネルギーの濃度の問題でしょ」


エルフ「あん?」


ミミックガール「あれ? もしや情報空間のこととかご存知でない感じ? それなら、このお話はやめやめ」


盗賊「貴様、何を知ってる? 話しなさい」


ミミックガール「うっせ〜、自分で調べろ魔人やろ〜」べーっ


盗賊「!」
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:18:54.51 ID:L+p8/a3pO


戦士「魔人……?」


銃士「神話に出てくる滅びた伝説の種族やで。かつて大陸を支配したものの神の怒りをかって滅んだいわれとる種族や」


エルフ「歴史の教科書の初めのコラムとかに神話の話って出るよね。……で、マジなの?」


赤魔「……」


盗賊「……何故私が魔人だと分かった?」


ミミックガール「ミミックガールだからねっ」パチンッ☆


エルフ「ウインクで星を飛ばしてんじゃないよ。幼児向け作品か」


商人「えーと……色々と聞きたいことがあるのですが」


ミミックガール「私を倒したら教えてあげてもいいけどねー。言っておくけど私はめちゃんこ強いよ?」にやっ


戦士「(自惚れでも冗談でもなさそうだな……ふざけた態度をとってるが、正統派の強者の風格だ)」


赤魔「RPGなら負けバトルなやつじゃないか?」


エルフ「むしろランダムでたまに出てくるレア敵って感じ」


盗賊「……」


戦士「盗賊。やめておけ。おそらく勝てない」


盗賊「……そうね」


ミミックガール「ありゃ、やらないんだね。ざーんねんっ」


商人「(色々とダンジョンのことについて深く知っていそうなのに……)」
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:23:39.67 ID:L+p8/a3pO


ミミックガール「……ところでお嬢ちゃん」にゅっ


エルフ「うぎゃっ」


ミミックガール「『セフィロトの杖』に『解放の宝玉』? ははあ、『憤怒の火山』に行くつもりだ? ここを脱出したらあとは『蠢く砂漠』だけじゃん〜、やるじゃ〜ん」ベタベタ


エルフ「ちょ、離れ……やめろっ!」べしっ


ミミックガール「あいた〜!」


エルフ「はあはあ……」


ミミックガール「ひどいな〜。せっかくアイテムを合成してあげたのに」


エルフ「はあ?」


商人「エルフさん! アイテムが変化してます!」


エルフは『破魔の杖』を手に入れた!


エルフ「え、勝手に何してくれてんの?」


エルフ「(なんかすごく強力になってるんだけど……)」


ミミックガール「『開闢の台座』を持ってる時にまた会ったらまた合成してあげるよ〜。合成しなくても大賢者の封印は破れるけどね」
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:27:19.52 ID:L+p8/a3pO

銃士「……つかぬことをお聞きしますが、ダンジョン全体の黒幕さんだったりしますぅ?」


ミミックガール「んっふっふ」


盗賊「……」


赤魔「……」ごくっ


商人「……」どきどきっ


ミミックガール「ざんねん! それは私じゃないんだな!」


商人「あ、違うんですか」


ミミックガール「まあ〜、もしかしたらいつかはちゃんとした態で会うかもね〜」


エルフ「ちゃんとした態?」


ミミックガール「じゃねじゃね〜」


ミミックガールは逃げ出した!



戦士「……嵐みたいなやつだったな」

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:38:12.77 ID:L+p8/a3pO

盗賊「……」


エルフ「魔人なんだ?」


盗賊「ああ。……忌避するか?」


エルフ「は、なんで?」


盗賊「……私はかつて恐怖の象徴だった種族の末裔だ」


エルフ「いや、魔人だから何だって感じだけど。むしろその事実を話してくれてなかったことの方がムカつくよ」


銃士「珍しい亜人なんや、ぐらいの印象やな、ぶっちゃけ。エルフはん、盗賊はんにも事情があるやろし」


商人「神話で滅んだ種族が実在して、今も生き残ってることは驚きますけどね」


戦士「魔人族がどうだとかは置いておいて、盗賊が本当はとても仲間思いで真面目な良いやつってことは知ってる」


エルフ「すぐまたそういうクサいこと言う……」


赤魔「俺の盗賊なんだから口説いちゃダメだぞ!」


盗賊「……いつアンタのものになったのよ」ふっ


戦士「別に口説いてるつもりはないんだが……まあ、いい」


銃士「はいはい、積もる話はあれどまずは進みましょか。戦士は往ね」



to be continued...
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:39:42.80 ID:L+p8/a3pO

○戦士メモ

・情報空間:ミミックガールの発言に含まれていた不可解な言葉。情報エネルギーとも言っていた。どうやらダンジョンに関わる用語のようだがその定義は不明なままだ。

・魔人:神の子が生まれる遥か以前に世界を手中に収めていたとされる伝説の種族。非常に獰猛で悪の象徴として創作のモチーフになることもある。神へと至る塔を建設し始めた結果、神の不興をかって滅んだとも、力に驕れて滅んだともいわれるが真相は定かではない。盗賊が本当に魔人族ならば神話は拡大解釈を多分に含んでいるのかもしれない。



○エルフメモ

・ミミックガール:今まで魔物とは色々と異質な人型の魔物(?)。目的もよく分からないし、色々とダンジョンのこととかにも詳しそうだけど何なんだろうね。正面衝突にならなくて良かったよね。

・究極指弾:いわゆる跳ぶデコピン。たぶん相手に9999ダメージを与える。チートだ!
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 19:43:29.37 ID:L+p8/a3pO
○商人の鑑定


・乙女の涙:売値は20G。乙女の涙というロマンチックな名前が付けられた赤い小石。とてつもない悲恋に打ちひしがれたためにその涙が赤くなったという噂話のためにそれなりの価値がついています。実際はガーネットなんですけどね。

・黒色クレジットカード:売値は0.1G。ただのプラスチック製の黒いカードですが、僕には分かるんです。このカードは本当は0.1G以上の価値があることを……しかし0.1Gでしか売れません。

・魚っとっと:売値は0.1G。軽やかな食感でさくさく食べられるスナック菓子です。様々な魚介類の形は見て楽しく、また爽やかな塩味にもマッチしてます。袋は小分けされていて食べる量の調節がしやすく持ち運びも便利ですよ。僕の働いてるお店でも取り扱ってますから是非お試しください、と宣伝しておきます。

・ミスリルナイフ:売値は400G。魔法金属ミスリルは原料も少なく、精製も加工も複雑で熟練の冶金職人によってのみ行われます。高純度のミスリルは非常に貴重でかなり高価になるためほとんど工業用に用いられており、日常的にミスリル金属を使うことはあまりありません。応用の有名な例としては高い魔法伝導性とエネルギー変換に対する柔軟性、耐久性から魔法を動力源とした炉の開発などがあげられるでしょうか。魔法剣としてはこれ以上適した金属はそうないでしょうね。

・破魔の杖:売値は貴重なためつけられません。ミミックガールさんによって『セフィロトの杖』と『解放の宝玉』を合成して得られた杖です。とんでもない力を秘めていて、使用者の魔法を非常に強力なものにするでしょうが、扱いは非常に難しいでしょう。エルフさんなら大丈夫だと思いますが。
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 20:00:49.74 ID:lpmJLBvZO
おつおつ。忙しいだろうが無理せんといてなー。
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/15(金) 20:07:52.45 ID:QL4J8Cy3o
久しぶりに言わせてもらうぞ

赤魔可愛い
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/15(金) 21:39:18.52 ID:bEupp7neo
久々に読めて嬉しい!乙!
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 02:25:32.38 ID:TaqTH4RU0
待ってた
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/16(土) 17:30:14.00 ID:iptKsD+b0
これからは装備だけじゃなく本人のレベル上げも必要だな
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 21:19:55.94 ID:j0jZ2ouA0
>>621
sageろハゲ
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 13:43:24.22 ID:c1y7PfnIO
エルフ「魔人族は本当にかつて大陸を支配してたの?」


盗賊「そうらしいけど、正直言って私はほとんど知らないのよね」


エルフ「またどうして?」


盗賊「私が10歳にも満たないうちに家族も住んでいたところも無くなったから」


エルフ「あー……サモナーね」


銃士「はいはーい。俺たちヒトとの違いはどこなん?」


盗賊「バケモノに変身できる」


銃士「どういうこっちゃ」


盗賊「そのままの意味だが」


赤魔「盗賊が魔人化するとびっくりするくらい強いぞ!」どやっ


盗賊「……」


戦士「それは頼もしいな」


商人「それなら常に変身していて欲しいですけどね。そうしないということは何かデメリットがあるんですよね?」


盗賊「体力の消耗が激しいから3秒が限界なのよ」


エルフ「みじかっ。せめてカップラーメンがわく時間くらいは頑張ろうよ」


盗賊「しかも解除後は大抵気絶するわね」


商人「そうなると確かに変身場面が限られそうですね」


赤魔「で、でも本当に強いからな! 本当だぞ!」
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 13:44:50.13 ID:c1y7PfnIO

戦士「話は変わるがさっきの変わった魔物は何者だったんだ? 色々とダンジョンの謎について詳しそうだったが」


商人「異様に強い上に、貴重なアイテムを変化させたりもしてましたよね。盗賊さんは情報エネルギーや情報空間という言葉はご存知ですか?」


盗賊「遥か昔に聞いたような……いや、何も分からないわね」


商人「そうですか……」


商人「(『不帰の虚』に来いと言ってましたよね。あとは情報エネルギーの濃度とやらが出現に影響を及ぼしているといったことを言ってました。……基本的には不帰の虚にいるのでしょうか。……色々と推測は出来そうですけど、流石に情報が断片的過ぎて頑健な推論はできないですね)」


エルフ「しかし『不帰の虚』なんて行くわねないじゃん。生還者ゼロは流石に尻込みするよ。そりゃあ10億G貰えるなら考えるかもだけど」


商人「盗賊さんは『不帰の虚』について何か詳しく知っていることはありますか?」


盗賊「……特にないが、おそらくダンジョンの中では一番特別なものだろう」


戦士「重要?」


盗賊「説明が難しいな……この際だから言ってしまうが、ダンジョンの発生には私たちの一族が関わっているんだ」


銃士「えっ!」


エルフ「まあ、何となく予想はついてたよ」


商人「それでダンジョンについて詳しかったんですね」


赤魔「待て! それは聞いてなかった!」


盗賊「言ってなかったから」


赤魔「お、俺とお前の仲だろぉ……」


盗賊「な、泣くことないじゃない」


盗賊「(赤魔の涙! 甘露にも等しい奇跡の雫! 見ているだけで浄化されそう。この世のありとあらゆる穢れをそそぎ落としてしまいそう。もしも舐めとったら……いや、私の穢れきった心身では化学反応が起きて爆発する。いや、そもそも天使を泣かせるなんて私はなんてことを……)」
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 14:02:58.89 ID:c1y7PfnIO


戦士「ということはイカサマ師も魔人で、ダンジョンの発生に関わってるわけか」


盗賊「アイツもまだまだ赤子だったから直接は関係ないがな。とりわけ大きく関わっていたのは……というかダンジョン発生の提案と指揮をしたのはサモナーだった。当時私は生まれていなかったが、そう聞いている」


銃士「(あら、ということは20よりも下なんか。やっぱ俺が一番年長みたいやな)」


エルフ「とんでもない事実を隠していたよね。じゃあサモナーも魔人?」


盗賊「ああ。一族の有力者だった。急進的で、対立した者たちを村ごと焼くような奴だがな」


赤魔「……」


商人「そもそもどうして魔人族の方々はダンジョンを生み出そうとしたのですか?」


盗賊「再び世界を支配するための手段としてと聞いた……最初は強大な兵器を生み出す計画だったらしい。出てきたのは何故かこのような奇妙なダンジョンだったが」


エルフ「サモナーの陰謀かな。おかげで稼がせてもらってます!」


赤魔「おい!」


戦士「そんな危険人物がまだ野放しなのは気がかりだな。転移石のことを考えると、近いうちにダンジョンだけでなくて市街地にも被害が出るようなことをしそうだ」


商人「その人を見つけるためにもまずは火山に行ってイカサマ師さんに会わないといけませんね」


銃士「そんで、その為には蠢く砂漠で『開闢の台座』を手に入れる必要があるわけやね」


赤魔「さらにさらにそのためには、まずはこの幽霊だらけのダンジョンから脱出する!」


エルフ「それには、街の中を暴れてるあのデカい魔物を何とかしなきゃいけないわけで」


盗賊「そのヒントが隠されているだろう監禁部屋がこれか」バキィッ


盗賊は隠し部屋の扉を蹴り破った!
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 14:06:39.36 ID:c1y7PfnIO

エルフ「この部屋は一際ホコリっぽいね」ごほっ


盗賊「魔物が潜んでいる気配はないわね。トラップもないだろう」



戦士「6畳ほどか。古ぼけたベッドと机、本棚……これだけか」


赤魔「……ここにあの娘はずっと閉じ込められていたのか? そんなのひどいよ……」


戦士「……本棚には小説が数冊か。申し訳程度の気晴らしだな」


銃士「お、机の引き出しに日記が入っとるな」


赤魔「人の日記を勝手に呼んじゃダメだろぉ……」


銃士「こちらも命かかってるんやから堪忍な」ぺらぺらっ


エルフ「ホコリっぽいから静かにめくってくれる?」こほっ


銃士「すんまへん」ぺらっ
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 14:08:12.70 ID:c1y7PfnIO

戦士「これは少女が書いた絵か。家族の絵か?」


戦士「(母親とおそらく執事だろう老人は普通に描かれているが……父親の絵は目がやたらと怖いし、少女は顔も書いてないし、体の輪郭が大幅に歪んでる。他の絵もあるが色使いといい、少し常軌を逸してるな)」


エルフ「うわぁ……流石にちょっと怖くなってきたかも」


商人「ここに一人で来たら泣き出しそうです……」


赤魔「ほんと帰りたい……」


盗賊「銃士、日記の中身は?」


銃士「創作の物語やな。少女がお供を連れて色んなところに冒険に出る物語や」


エルフ「なに、私の話?」


銃士「この日記の持ち主の話やろ。体はこの狭い部屋にあっても想像の力で世界に飛び立とうとしたんやね」


エルフ「銃士にしてはやけにエモいこと言うね」


銃士「不憫すぎておセンチにもなるわ」
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 14:10:21.32 ID:c1y7PfnIO

商人「と、ところで、先程から気になってるんですけど、この布団、やけに膨らんでますよね……?」


赤魔「ま、魔物か……?」


銃士「動いてるようには見えへんけどな?」


盗賊「違うとは思うが……」


エルフ「あー、銃士くん、ちょっとめくってみたら?」ひしっ


商人「銃士さん、お願いします」すっ


赤魔「……」ぶるぶる…がしっ


戦士「俺と盗賊はこの通りだから、手ぶらなお前に任せろ」


銃士「くそっ、商人くんは俺にくっついてくれる思うとったんに!」チャキッ


盗賊「重要なアイテムかもしれないから撃つな」


銃士「えぇ……」


盗賊「もしも即死したら蘇生はしてやる」


銃士「あれ、えろう痛うから堪忍してほしいんやけどなぁ」
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 14:12:32.23 ID:c1y7PfnIO


ドクンドクンッ……


銃士「ほ、ほな、めくりまっせ。ほんまめくりまっせ?」


エルフ「しつこいよっ」



バクンバクンッ……



銃士「……」そーっ



バクンバクンッ……



エルフ「……っ」ゴクッ



ーーバッ



銃士「ひっ…………女の子の人形? 他は特に何もない」



エルフ「……なんだ」ふぅ





「それは私の人形」ピトッ





エルフ「」

630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 14:49:09.81 ID:c1y7PfnIO


銃士の『アルカナショット』!


ミス!


少女「すぐに撃つのね……私は何もできないのに」


銃士「ヘタレやからね」



エルフ「」←腰砕け


赤魔「」←失神


商人「」←思わず死んだふり



盗賊「……現れただけでパーティが半壊だ」


少女「少しだけ驚かそうと思ったんだけど」


銃士「(さっき外で見たんと同じ少女のはずなんに、今は痣やら傷やらでボロボロやな……父親にやられた傷か?)」


戦士「……君がこの部屋の少女でいいんだな?」


少女「そう。私はここにずっと閉じ込められてここで死んだの。最期はお父様に首を絞められて」


銃士「ひどいパパもいるもんやな。この人形は?」


少女「お父様が私を殺した後に作ったのよ。私の死体を詰めてね」


盗賊「狂ってるな」


戦士「俺たちは君を父親から救いに来た。来たが、どうすればいい? どうすれば君を救える?」


少女「あはは、私を救う? 私はもう死んでいるのに?」


戦士「……そうだとしても、死して尚、こうして囚われている君を解放したい」


少女「綺麗事ね。私のことなんか本当はどうでも良くて自分たちが助かりたいだけのくせに。それとも人を救った気分になって悦に入りたいの? どうせみんな汚い心をもって生きてるのよ。誰も私に本当の優しさなんてくれないのよ」
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 15:01:38.15 ID:c1y7PfnIO

エルフ「めんどくさいやつだなー。そっちも解放される。私たちも解放されるでウィンウィンじゃんかよ。本当の優しさとか無償の奉仕とか真実の愛とかほざいてぐずってるヒマがあったら立ちあがれよ」ぷるぷる…すくっ


少女「私の苦しみが分からないからそう言えるのよ……」


エルフ「わかるわけないじゃん。みんな別の人間なんだよ。少しでも幸せになりたいなら幸せになれるよう自分からもがいてみなよ」


銃士「天は自ら助くる者を助く、やね」


少女「……私はもう死んでしまっているのに、幸せになんてなれないわよ。私の人生は絶望しかなかった。もう救われないのに何をもがくのよ……!」


戦士「でも、君はここにいるじゃないか」


少女「けれど私は……」


エルフ「私から言わせれば、君は生前も全く生きてなんかいなかったね。死んでいなかっただけだよ」


少女「……」


エルフ「だから私たちがもう一度、君に生命をあげるよ。あのクソ馬鹿親父をぶっ倒してね」


少女「……そんなことできるわけがない」


エルフ「自由を求めて立ち向かう。きっとその時はどんな時よりも確かに生きてるでしょ。君が君でいるうちにもう一度生きるべきじゃないの」


少女「……」


エルフ「分かったら協力して! 分からなくても協力して!」


少女「……本当に自分勝手なのね。こんな人知らない」


エルフ「私は主人公だからね」ふんすっ


少女「主人公……私は……私だって……」


エルフ「……」


少女「……もし、いつかまた会えたら今度は本当に友だちになってくれる?」


エルフ「えー、それは別の話かな」


少女「ふふ、本当にひどい人ね」


エルフ「……ま、考えておくよ」


少女「……」にこっ
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 15:11:28.26 ID:c1y7PfnIO


少女「……その人形の中」


エルフ「ん?」


銃士「……」ぶちっ…ごそごそっ


『おもちゃの剣』を手に入れた!


少女「……きっと私の力だけじゃ足りないだろうけど、私にできるのはこれくらい」


エルフ「……ま、足りない分は貸しにしておいてあげる」


少女「ええ……」すぅ…


少女は姿を消した



銃士「エルフはんにしてはやたら熱く語ってたなぁ」


エルフ「うるさいよ。ちょっと思うところがあったんだよ」


戦士「(……思うところ、か)」



エルフ「さて、最低変態親父の妄執を終わらせにいきますか」


盗賊「赤魔と商人を起こしてからな」


エルフ「いつまでくたばってんの、もう」



to be continued...
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 15:16:59.41 ID:c1y7PfnIO
○戦士メモ

・アルカナショット:魔力で生成された弾丸は実体のない魔物にも効く……はずだが幻惑の少女には全く効かなかった。地下通路では実体のない魔物を数多く倒していたのだが、どういうわけか攻撃が無効化されている印象が強い。


○エルフメモ

・死んだふり:一部の動物は身の危険を感じると『擬死』といって実際に身体が硬直して動かないような状態になるらしい。……商人、君は人間だから擬死しないでしょ! ヘタな言い訳すんな!

・主人公:私は私の物語の主人公だし、他の人は私を引き立てる物語の主人公だ。


○商人の鑑定

・おもちゃの剣:売値はつけられません。誰も傷付けられそうにないハリボテの剣ですが、それでもある虐げられた少女のささやかな反抗はその少女にとって会心の一撃たりえるでしょう。
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 16:14:43.58 ID:YRdDN2cTO
おつおつ。核心に近付いてきたかな。
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 02:38:00.54 ID:MJ4wPsG00
特効技や即死級の技は話を盛り上げるため無効化されるお約束
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 16:39:26.15 ID:27sRh9490
エルフ優遇されてるなぁ、さすが主人公
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 03:43:04.06 ID:bOxyqSh7O

エルフ「さて、死んだふり名人な商人くんの による鑑定の結果、『おもちゃの剣』はドレッドダドに有効そうだと分かったね」


商人「擬死なんだから仕方ないです……」


エルフ「タヌキか昆虫かよ……まあ、だからこれを活用してドレッドダドを倒しちゃおう」


銃士「しっかしほんまにあの巨大魔物を倒すだけで外に出れるんやろか? いくらダンジョンはそういうもんと言われてもな」


戦士「お前が悪魔の湿原で『解放の宝玉』を手に入れた時はこういうことはなかったのか?」


銃士「あらへんかったね。……せやかて、ほかに当てもないし……まずは試してみましょ」


エルフ「それなら冷や水をかけるようなこと言わないで欲しいよ」


銃士「あれ? これだけでシラけてまうん?」


エルフ「心の機微が分からないからモテないんだよ」


銃士「それ言われると説得力はんぱないわ」


赤魔「銃士はそういうとこあるよな」


盗賊「ああ」


銃士「oh...」
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 03:46:29.50 ID:bOxyqSh7O

戦士「作戦はどうする?」


赤魔「刺せば終わりじゃないのか?」


盗賊「あの少女の話だとそれだけで決定的な一撃になり得るわけではないみたいよ」


エルフ「まあ、けど刺せば弱るでしょ」


戦士「作戦はどうする?」


商人「挟み撃ちにしてしまったほうが、おそらく敵も対処し辛くて有利かと」


銃士「デカブツ相手に固まっとったら不利やろうしな」


盗賊「……とりあえず地下から出るべきだ。ここは監禁のためのスペースだけあって袋小路だ。加えて息苦しいし黴くさい」


エルフ「さんせー」


赤魔「よしっ、脱出だ……ひゃぁぁっ!?」




ドレッドダド「……」ジィィ……




ドレッドダドの一部分が出現!



戦士「ここまで来たか!」


エルフ「ここには入れないんじゃなかったの!? ほんと気持ち悪い見た目しちゃって!」


商人「(逃げ場がないです、これはまずいです)」ゴクッ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 03:47:34.39 ID:bOxyqSh7O

ドレッドダド「おもちゃの剣を取ったな?」


エルフ「うわ、喋るのかよ!」


商人「(敵は間違いなくパワーアップしてますね。僕たちが地下にいる間もさらに死霊を喰らっていたのでしょう)」


ドレッドダド「俺の娘を奪うやつは許さん。俺の娘は俺のものだ。どこにもやらせん。永遠に俺の愛と共にあるのだ」


赤魔「……っ、いい加減にしろぉぉっ!」


赤魔の『火炎魔法』!



ゴオオオ……ッッ!!



エルフ「(え、なにその威力……)」
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 03:50:17.31 ID:bOxyqSh7O

ドレッドダド<<ズズズ……


ドレッドダドは逃げ出した!



赤魔「はあはあ……」


エルフ「こんなとこで火炎魔法使うなよー」げほっ


赤魔「ごめん……なんかもう恐怖を通り越して怒りしかわいて来なくなった」


銃士「分かるわ。恐怖が続くと余裕がなくなるもんな」


戦士「赤魔のお陰で退却できたようだし、まずは地下から脱出だな」


盗賊「おそらく待ち伏せされてるだろうな」


戦士「……バトラーは大丈夫なんだろうか」


銃士「あんまり良い予感はせえへんな」

641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 03:51:27.88 ID:bOxyqSh7O

・・・


バウンテッドバトラー「……」


盗賊「おい、大丈夫か? ドレッドダドにやられたのか?」


バトラー「ぅ……」


盗賊「少しまっていろ。回復できる奴を呼んでくる」


バトラー「そ、それより、階上に旦那様が……街の全ての死霊を吸収……隙を作らなければ勝機は……」


盗賊「……そうか」


バトラー「……お嬢様を救っていただいて……ありが……」


バウンテッドバトラーは事切れた……


盗賊「……」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 03:55:58.72 ID:bOxyqSh7O

赤魔「バトラーは良いやつだったのに……っ」


戦士「ドレッドダドを倒して決着をつけよう。犠牲になった全てのものたちのために」


エルフ「……隙を作らないとダメっぽいの?」


盗賊「ああ」


商人「強化されたドレッドダドが上に待ち構えているんですよね……どうしましょう……」


銃士「そら、出て行くしかないやろ」


戦士「……先に俺が行く。銃士、支援を頼む」


銃士「しゃーない」


赤魔「あ、危なくないか?」


戦士「それは全員同じだ」


エルフ「……」


銃士「んまっ、そんな心配そうな顔せんどいてや。戦士の死にたがりを死なずにすんのが俺やからな」


エルフ「別にしてないっての」


銃士「あら、そう。俺の見間違いかぁ」


エルフ「うっといな……」


戦士「先制でやられても俺が一番耐えられるからな。それがベターだろう。他は俺の後に続いてくれ。商人は安全を確保してくれ」


エルフ「……君たちが死んだら取り分が増えるね」


戦士「残念だがそうはならない」



商人「ところで『おもちゃの剣』なんですけど……相手の知能と先入観を利用しませんか?」



643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:11:50.34 ID:bOxyqSh7O

・・・

ドレッドダド<<ズズズ……


ドレッドダド「ふん、やはり最初は捨て駒か」


戦士「(デカいなっ……!)」ドドドッ……


戦士「うぉぉっ!」


ドレッドダドは無数の触手で戦士を絡めとろうとする!


銃士の『クリティカルバースト』!


触手がわずかに怯む!


銃士「巨大なアンモナイトみたいな見た目に化けよって!」


ドレッドダドの『ぶん回し』!


戦士は銃士を庇った!


戦士「ぐぅぅ……っ!」


銃士「戦士! 右に展開しろ!」


ドレッドダド「(挟撃するつもりか? 恐らくこいつらはデコイだ。後続がナイフを持っているだろう)」


戦士の攻撃!


触手がわずかに怯んだ!
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:13:19.29 ID:bOxyqSh7O


銃士に向かって触手が伸ばされる!


赤魔の『火炎魔法』!


触手が大きく怯む!


赤魔「炎が嫌いか! もっと燃やしてやる!」


ドレッドダド「(こいつは始めからナイフを装備している上に女児だ。こいつは要警戒だ)」


戦士「赤魔! こっちだ! 右に来い!」


赤魔「あ、ああ!」


エルフ「おりゃぁぁぁっ!」


エルフはナイフを持って直線的にドレッドダドへ駆ける!
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:16:55.56 ID:bOxyqSh7O


ドレッドダド「(特攻……に見せかけたフェイクかもしれないが、こいつは無力化しなければいけない)」


エルフは触手に絡め取られた!


エルフ「やめて……! 私に乱暴する気でしょう! 同人みたいに!」


ドレッドダド「愚かな。あの娘の些細な抵抗では私をどうにもできないというに……」


エルフ「エルフの美少女だからって! エルフの美少女だからって! このロリコンど変態野郎!」


ドレッドダド「うるさいぞ小娘……! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」ギチチッ


エルフ「んぎっ……!」



戦士の攻撃!


赤魔の『火炎魔法』!



触手が怯んだ!


エルフへの拘束が解かれた!


エルフ「あいてて……かわいいエルフちゃん相手にこのグロど変態ロリコン狂気化け物野郎め」


エルフは右に移動した!
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:24:52.28 ID:bOxyqSh7O


ドレッドダド「ふん……しかしナイフは奪った。後は貴様らも始末して取り込んでやる!」


ドレッドダド「(……待て!? これは、おもちゃのナイフじゃない!?)」


赤魔「落書きした俺のミスリルナイフちゃんと返せよ!」


ドレッドダド「(それでは本物はどこだ……)」ザワザワ…


盗賊の『魔人化』!



魔人「……」スッ


エルフ「盗賊選手ー!」


赤魔「大きく振りかぶってー!」


ドレッドダド「(全力でナイフを投げるつもりか!? だが……これなら防御で防げる! 他の小娘二人と大男も警戒できている!)」


銃士「まあ、おもちゃのナイフを持ってるのは俺なんだけどな」バスッ


ドレッドダド「はっ?」ズドッ


ドレッドダドは大幅に弱体化した!



銃士「武器を弩に替えたんやけど気づかんかったか? 女の子に刺されたい気持ちは叶えさせませーん」


ドレッドダド「な……きさま……っ!」


エルフ「子どもは厳しい親相手には見てないところで反抗するもんなんだよ」
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:28:25.78 ID:bOxyqSh7O


魔人「……吹き飛べ」



魔人の『魔導砲』!



ーードレッドダドの半身を消し飛ばした!



盗賊の魔人化が解けた!


盗賊「……後は任せるわね」パタッ


盗賊は気絶した!



商人「盗賊さんは任せてください!」


商人は盗賊を安全地帯に避難させた!



ドレッドダド「アァァ……崩レ……マダ……マダマダァ……消エヌ……マダァ……ッ!」



エルフ「いや、消えろよ」



エルフの『滅撃・炎』!


ドレッドダド「ンギャッ!?」



赤魔「魔法剣うぃずミスリルナイフだ! 倒れるまで何度でも攻撃してやる!」


赤魔の『火炎剣』!


ドレッドダド「ギィィ……ッ!」


648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:36:03.31 ID:bOxyqSh7O


ドレッドダド「メスガキ風情ガ……!」


ドレッドダドの『ぶん回し』!


戦士はパーティを庇った!


戦士「これ程度の攻撃では俺一人倒せないな」


ドレッドダド「貴様ァァッ!」ウゾゾッ


銃士の『アルカナショット』!


ドレッドダドの触手は大きく怯んでいる!


銃士「お兄さん、後はサポート役に徹しますぅ」パシュッ……ガチャッ……ギギィ……パシュッ


ドレッドダド「グ……コノ……ッ!」


エルフ「これで好き放題全力攻撃できるね」


赤魔「……何度でも焼き切ってやる!」


ドレッドダド「ヒ……ッ!」


649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:38:38.84 ID:bOxyqSh7O


エルフの『滅撃・炎』『滅撃・炎』『滅撃・炎』……!


赤魔の『火炎剣』『火炎剣』『火炎剣』……!


銃士は反撃しようとする触手を撃ち落とす!


戦士はパーティを庇い続けている!



ドレッドダド「タ、タスケ……イヤダ……」


エルフ「ふざけんなよ……!」ドゴォォッ!!


銃士「助けを求めるにはだいぶ手遅れやなぁ。ドレッドダドさんの来世にご期待ください」パシュッ


ドレッドダド「イヤダ……死ニタクナイ……死ニタク……」


赤魔「あの娘だって、おんなじこと思ってたんだよッ!」ザクッ、メララ…ッ!


戦士「還る前に痛みを知れて良かったな、贖って安らかに眠れ」キィンッ


ドレッドダド「ゥォォォォ……」
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:41:14.97 ID:bOxyqSh7O


エルフ「はあはあ……どりゃぁっ! これでラストだぁ……ッ!」ググッ……!



戦士の攻撃!


触手<<スパッ



ドレッドダドを倒した!



赤魔「あっ」


エルフ「…………」


戦士「……俺たちの勝ちだな」にこっ


エルフ「この振り上げた『破魔の杖』、どこに振り下ろすべきかな……どこに振り下ろすべきかなぁ!?」ジリッ


戦士「いやいや、仕方ないだろ……」


銃士「わはは、カッコつかんな主人公(笑)」


エルフ「ふんっ」


銃士「あぶなっ!?」
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:43:30.41 ID:bOxyqSh7O



赤魔「盗賊! 大丈夫か!」ダダッ


商人「眠ってるだけでおそらく問題ないです」


エルフ「商人、意識がないからっていかがわしいことしてないよね?」


商人「銃士さんじゃあるまいしあり得ませんよ」


銃士「いや、俺かてせんけどね!?」


戦士「しかし、すごい技だったな」


銃士「なぁ? 魔人ってすごいんやな」


赤魔「な、なあ!」


エルフ「あんだよ?」


赤魔「その、盗賊のこと、できれば、怖がったりしないでほしいんだ……盗賊だって必死だったから……」


ぽんっ


戦士「誰も感謝こそすれ怖がってなんかないさ」


商人「そうですよ。魔人というからもっと恐ろしい姿かと構えていたらそうでもありませんでしたしね」


銃士「せやせや。あの姿で冷たい目で罵られたら気持ち良さそうや」


エルフ「君はちょっと黙ってようか。別に今までの人がどういう反応してきたか分からないけどさ、この最強で最高に可愛くて有能なリーダー率いるチームエルフのメンバーがたかがそれくらいでビビったりしないよ」


赤魔「……エルフ」がばっ


エルフ「ちょっ……」


赤魔「口が悪くて態度が悪くて意地が悪くてもお前はやっぱり良いやつだなぁ!」ぎゅぅぅ…


エルフ「やかましいよ!」


銃士「盗賊はん、この光景を見られず残念やなぁ」
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:45:25.11 ID:bOxyqSh7O


スゥゥゥ……


商人「あ、帰れるようになったみたいですね」


エルフ「このダンジョンってもしかしてもう機能しない? それとも私たちが出た後で全て元通りになるの? ……下手したら今回の親娘も」



商人「ど、どうなんでしょうか? ボスを倒した事例はありませんからね。ダンジョンは攻略されたがっている、というのならもう戻らないのかもしれませんね」


エルフ「……下手したら稼ぎ場が一つなくなっちゃうじゃん! 商人! アイテム! レアアイテムの確保だ! 赤魔! 銃士も! 戦士なら一人背負おうが探索ぐらい余裕だよね!?」


商人「持っていけるだけ持っていきます!」


銃士「よっしゃ、荒らしたろ!」


赤魔「レアアイテムが待ってるぜ!」


戦士「元気な奴らだな……」



Chapter4:幻惑の街
ーーーーーーーー
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:50:59.90 ID:bOxyqSh7O

○戦士メモ


・ドレッドダド(完全体):最初の出現時は人間の骨のような姿をしていたが、決着をつけた時は触手と甲殻を持つ異様な巨大怪物と化していた。『おもちゃの剣』によって弱体化していなければ間違いなく勝てなかった。あっさりと勝てたのは運が良かったのと、相手に高度な知能があったためにむしろ騙しやすかったことに起因する。

・ダンジョン制覇:この後、聞くところによると幻惑の街はダンジョンでなくなってしまい、アイテムはおろか、魔物も出なくなってしまったらしい。おそらく称賛ばかりされることではないが、今後に出たであろう犠牲者がいなくなること、そして、少女と街の人々が安らかに眠れることは、間違いなく良いことだと俺は信じている。



○エルフメモ

・魔人化:盗賊は3秒だけ魔人に変化できる。魔力の爆発的な増加量を考えると3秒の持続でも大したものだと思う。見た目も恐ろしいバケモノになるかと思ったら、肌の色が変わってツノが生えて目が紅くなったくらいの変化だった。どうでもいいけど、盗賊が男だったら絶対にいかついバケモノの姿になってた。100万G賭けてもいい。そんなに持ってないけど。

・魔導砲:莫大な魔力を収束させて、エネルギー弾を放つ盗賊の必殺技。弱体化してもまだ体力オバケだったドレッドダドを一気に追い込んだ。使用後戦闘を離脱することもあってまさに対ボス決戦技って感じ。

・ダンジョン荒らし:幻惑の街を荒らしたことで累計で9万G近く稼いだ。これだけの金額があれば6等分しても戦士の年収よりも多い。ダンジョンってやっぱり儲かるんだなぁ。幻惑の街がもうダンジョンとして機能しないのが残念でしょうがない。商人、しっかりと換金して、盗まれないようにしてよ!


>>654
コンマ下2桁
ゾロ目:ヤンデレンジェル
ゾロ目以外:通常進行
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 04:59:16.10 ID:GlVHoG29o
ゾロ目ァ!!
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 04:59:47.28 ID:GlVHoG29o
イチタリナイいいいいい!
んぬあああああああ!
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 09:12:34.04 ID:wHYhHIY9O
>>654
この無能野郎がぁ!
私の手本を見てろゾロ目ってこうやるんだよ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 09:15:39.25 ID:9H+9V4vgo
おつ
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 11:41:05.17 ID:QP6HEJlDO
おつおつ。ヤンデレンジェル……赤魔ちゃん?
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 22:02:17.88 ID:UfXab4MEo


ゾロ目…どこ?
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 22:04:48.70 ID:sIlJYvSlO
>>659
654でしょ。てかあんたがゾロ目やんw
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 16:05:17.46 ID:6jXz8hWS0
ダンジョン制覇ってことは飛竜の塔は飛竜を倒すことがゴールなのかね、なんぁ戦士とはギリギリ友好っぽかったけど
魔物の洞窟の20年間倒されてないボスなんてのも示唆されてるし、気になりますねぇ
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:35:00.38 ID:UaMyiEniO

【戦士の自宅】


エルフ「ぐへへ、9万G……ぐへへ……笑いが止まんないね」


戦士「パーティの共有財産だけどな」


エルフ「しばらく遊んで暮らせるよ……うへへ……」


戦士「換金するにも額が大きいから分割して払われるけどな」


エルフ「……人が気分よく富の悦楽に入ってるのに邪魔しないでくれる?」


戦士「すまん」


エルフ「……月割の支払いで一人1250Gか。大成功といっていいくらいなのに、ダンジョン冒険者ってあまり稼げないのかもね」


戦士「費用ほとんどなしで9万Gを一気に稼いだら大したもんだろ。死ぬリスクは負ってるとはいえ」


エルフ「まあ、世の中、労苦と報酬が釣り合ってない仕事って結構あるしね」


戦士「どこでそういう差が出てくるんだろうな」


エルフ「そりゃあ大原則は『需要と供給』でしょ。そして、需要と供給が歪むからその差が不当に大きくなったりするのさ。例えば特権を与えるような規制だとか、学歴や身分による違いだけでプレミアムがついたりだとか、『この仕事の報酬相場はこんなもの!』って根拠のない偏見が世の中に定着したりとかね。相手の足下を見て決めることも多々あるだろうし」


戦士「……商人みたいなこと言うんだな」


エルフ「基本的に私と商人は思考の論理と前提が一緒だからね。話してるとつくづくそう思うよ」


戦士「……」


エルフ「お、なに嫉妬? 嫉妬してるの?」


戦士「嫉妬? 何にだ?」


エルフ「うるせー、ばーか」


戦士「なんなんだよ……」
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:38:08.86 ID:UaMyiEniO

エルフ「……」むすっ


戦士「……俺が悪かった」


エルフ「私がなんで怒ってるか分かる?」


戦士「えぇ……」


エルフ「エルフちゃん激おこだよ。『なんで怒ってるか分かる?』なんて聞いちゃう檄おこメンヘラ構ってちゃん状態だよ」


戦士「自分で言っちゃうのか」


エルフ「相当機嫌悪いよー、簡単には治らないよー。夕食に『アシナガ豆と仙人豚のポークビーンズ』を奢ってもらわないとどうしようもないね?」


戦士「いや怒ってないだろ」


エルフ「怒ってるよ。だから奢ってもらわないと鎮まらないね。戦士の金でタダ飯が食べたい。ポークビーンズと同じくらい評判のいいクロワッサンも食べたい!」


戦士「相変わらず欲望に素直過ぎだし、欲望を素直に話し過ぎるやつだな……」


エルフ「遠慮するような仲じゃないでしょ?」


戦士「親しき仲にもだな……中央区に新しく出来た店だよな?そこそこ高いと聞くんだが」


エルフ「ごちそう様でっす♪」


戦士「既に奢ってもらう前提かよ。奢らんからな」


エルフ「しみったれてるなぁ」


戦士「そういう対応する仲でも無いだろ……」


エルフ「はいはい、けちんぼけちんぼ。じゃあ今日の夕飯はそこでいいよね?」


戦士「……奢らんからな?」


エルフ「それなら1000Gも返さないからね」


戦士「どんな理屈だ!?」


エルフ「ポークビーンズとクロワッサン〜♪」


戦士「お前に一生勝てない気がする……」
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:40:39.29 ID:UaMyiEniO

・・・
【中央区・レストラン】


エルフ「〜〜♪」もぐもぐ


戦士「美味そうに食うよな」


エルフ「美味しいからね♪」


戦士「確かに美味い」


エルフ「そういえば、戦士、引っ越ししない?」


戦士「は?」


エルフ「だって今の部屋ボロいし狭いじゃん。少なくとも1年間は定期的な収入がみこめるし、もっと広くて綺麗な場所に引っ越したい」


戦士「……いや、お前が独りで引っ越せば良くないか?」


エルフ「……本気で言ってる?」


戦士「……どうせまた一文無しになって転がり込んで来るのが目に見えてるし、引っ越すか。1000Gを踏み倒されても困るしな」


エルフ「わー、借金を理由に美少女を囲おうとしてる。なんて最低な男なんだ」


戦士「お前な……!」


エルフ「クロワッサンのおかわり貰えるらしいよ? 戦士もいる?」


戦士「……ああ」
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:43:02.28 ID:UaMyiEniO

戦士「それでどこか引っ越しの当てでもあるのか?」


エルフ「……やっぱりメンドイから良いや」


戦士「はあ?」


エルフ「引っ越しってめんどくさいじゃん? それにどうせならもっと稼いで不動産買おうよ不動産。賃貸収入で働かずに暮らせるよ!」


戦士「いや、そんなに甘い世の中じゃないだろ。しかも不動産って……少なくとも30万Gは必要じゃないか?」


エルフ「まあ、そうだろうね。30万G……あと27万Gかぁ」


戦士「俺の財産まで含めて計算すんな!」


エルフ「30万G稼いで不労所得で生活したい。どうせならもっとデカいハコから収入を得てウハウハな生活がしたい」


戦士「夢は大きいな……」


エルフ「小さな可愛らしく整った体に大きな夢……ってやかましいよ筋肉ダルマめっ」


戦士「何も言ってないが!?」
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:48:05.83 ID:UaMyiEniO


・・・
【帰り道】


エルフ「はー、食べた食べた」


戦士「見かけによらず結構食べるよな」


エルフ「身体は資本だよ。強い胃腸を持つものが勝つ世界さ」ふんす


戦士「ご先祖さまたちはそんな世界から逸脱するために文明を築いてきたんじゃないのかよ…………うん?」


<<いいから、俺たちと来いよ


少女?「や、やめてください……!」


<<おいおい、仲良くしようってだけじゃん?



エルフ「すぐ近所だってのに、頭悪そうな迷惑やろーどもがいるね」


戦士「……!」ずかずか


エルフ「あーあー……まあ、そうなると思ったけど」すたすた…



<<おら、来いよ!


少女?「ひっ……あっ、そこの人、助けてください……あっ!?」


戦士「おい、お前ら」ギロッ


<<あ? げっ、な、なんだよ……

<<べ、別に俺たちは何にもしてない


戦士「痛い目に遭いたくなければすぐに手を離せ……すぐにだ!」


<<ひっ……!


男たちは瞬く間に逃げ出した!


エルフ「(……なんか戦士らしくないね)」
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:49:17.49 ID:UaMyiEniO


戦士「……何もされてないよな?」


少女?「う、うん……」


戦士「……」ほっ


エルフ「(やけに距離が近くない?)」


エルフ「戦士……誰? 知り合い?」べたっ


戦士「お、おい、やめろって」


少女?「えっ、えっ?」


エルフ「大丈夫だった?」


少女?「は、はい。ご心配おかけしましたっ」ペコペコッ


戦士「怖かったろ? とりあえず家に上がるか」


エルフ「は?」


戦士「ん? ああ、紹介してなかったな。妹だ」


妹「お、お手紙にあったエルフさんですよね? は、初めまして。兄がお世話になってます」


エルフ「あ、妹さん……」ぱっ
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 12:58:54.82 ID:UaMyiEniO
・・・
妹「お、お邪魔します」


戦士「適当に座ってくれ」


エルフ「飲み物は紅茶でいい?」


妹「お紅茶! そ、そんなハイカラなものはいただけないです!」


戦士「ダンジョンからいくらでも取れるからな。そう気にしなくていい」


妹「け、けど……」


エルフ「……とりあえず入れるね」



戦士「どうして夜に一人でうろついていた。危なかったんだぞ」


妹「ご、ごめん。もっと早く着いたんだけど、道に迷っちゃって。さ、さっきも道を聞いたら少し遠いから案内してくれるって……でもこの近所のはずだしって……それで……」


戦士「……そうだったか。それで、そもそもどうして来たんだ?」


妹「……お手紙届いてなかった?」


戦士「いや」


妹「……あっ、そういえば祝日挟んだから来週になっちゃうのか。ごめんね……」


戦士「それはいいが」


エルフ「……」ことっ


妹「ご、ごめんなさい……! ありがとうございます! 本当にごめんなさい!」ぺこぺこっ


エルフ「う、うん。戦士はコーヒーでいいんだよね? 夜だけどさ」


戦士「ああ。ありがとう」
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:06:14.48 ID:UaMyiEniO


妹「……」ほうっ


エルフ「……なに?」


妹「こんな美人さん見るの初めてで……なんか自分が恥ずかしいです……」


エルフ「まあ、私は世界一可愛いからね」ふふん


妹「世界一! すごいなぁ……! けどエルフさんなら確かに……!」キラキラッ


エルフ「……この子は純粋過ぎる子なの? 腹黒演技派過ぎる子なの?」ひそっ


戦士「困ったことに前者なんだ……優しくしてやってくれ」ひそっ


エルフ「エルフちゃんどっちも苦手……仕方ないな」



妹「あ、それで上京してきた理由なんだけど」
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:07:51.99 ID:UaMyiEniO
・・・

戦士「奉公先の下見か」


妹「うん。この街の商家に来年から下女として奉公することになったの。今は畑も忙しくないし、一回は街に行こうと思って」


戦士「なるほどな」


エルフ「奉公って……仕送りが足りてないの? 戦士は結構仕送りしてるみたいなんだけど」ひそっ


戦士「こっちの地域だと年頃の娘は大体奉公に出されるもんだ。もしくはすぐに嫁入りするかだな」ひそっ


エルフ「ふーん……どこも自由がないなぁ」



妹「……あと、お兄ちゃんに話があってね」


戦士「……ん?」


妹「最近、仕送り額が急に増えて、お母さんも大兄も心配してるんだよ。無理してるんじゃないかって」


戦士「そんなことはないさ。今は色々と仕事が上手くいってるだけだ」


妹「……本当に?」


戦士「ああ」


妹「……お兄ちゃん。私も奉公に出るし、もう糊口のために傭兵さんなんて危ない仕事しないで。また大工さんのところで堅実に生きて欲しいの」


エルフ「……大工だったの?」


戦士「丁稚奉公でな」


エルフ「そこから道を踏み外してダンジョン冒険者か……」


戦士「言うな……あと本職は傭兵だ」


エルフ「でもダンジョン冒険者としての方が稼いでるじゃん」


戦士「それを言われると耳が痛いな……」
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:14:32.26 ID:UaMyiEniO


妹「お兄ちゃん……」


戦士「そうだな……俺は体が丈夫なことくらいしか取り柄がないし、まだしばらくは今のまま行こうかと思う。末妹がもう少し大きくなるまではな」


妹「でもお兄ちゃんが死んだらどうするの!? お父さんだけじゃなくてお兄ちゃんまで……!」


戦士「……心配するな。俺はまだまだ生きるつもりだ。よぼよぼの爺さんになるまでな」


妹「だけど……」


戦士「それより泊まっていくんだろう?」


妹「うん。そう手紙に書いてたのに届いてないんだもんね」


戦士「やっぱりそうだよな……」


妹「ダメかな? 寝床ふたつあるし大丈夫そう……ふたつ?」


戦士「……」


エルフ「……もしかして私が転がり込んでること言ってない?」こそっ


戦士「言えるわけないだろ……」


妹「……」ボボボ…ッ


妹「あの、お兄ちゃんとエルフさんて……あの……ご、ごめんなさい! 宿とります! ごめんなさいっ!」


エルフ「待った待った! これは……あれだよ。そう、たまたま私の借屋が改装中でね、それで戦士のところに少しの間だけお邪魔させてもらってるんだ。特に君が想像してるようなことはないよ」


妹「だ、だけど結婚もしてない男女の同じ部屋で……もしかして既に結婚……!?」


エルフ「いやいや! いやいやいやいや! 純粋に頼るところが他になくてさ。戦士ってアホみたいに優しいから助けてもらってるんだって」


妹「……そ、そうなんですか。あ、で、でもそういえばさっきすごい密着していたような……」


エルフ「え、えと、あれは怖かったからくっついてただけ! あ、体調も悪かったんだよ!」


妹「そうなんですか……って、今は大丈夫なんですか……? 体調不良なのにお紅茶淹れてもらってすみません本当にごめんなさい……!」ぺこぺこっ


エルフ「いや、いいから! もう良くなったから! うん!」


エルフ「(め、めんどくさい)」

672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:16:15.96 ID:UaMyiEniO


戦士「ま、まあ狭いが少しだけなら泊まれるから大丈夫だ。何日くらいこっちにいる予定だ?」


妹「し、明々後日の朝に帰るから3泊させてもらえないかな?」


エルフ「(3泊もかよー……)」


戦士「ああ、分かった。エルフ、大丈夫だよな」


エルフ「そりゃ、家主の妹さんならね。私が文句言える立場じゃないよね」


妹「ほんと申しわけないです……手際悪くて恥ずかしいなぁ……」


エルフ「ほんといいから……」


戦士「それでベッドなんだが……」
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:18:55.26 ID:UaMyiEniO

・・・

戦士「……」←エルフのベッド


エルフ&妹「……」←戦士のベッド



エルフ「(なんでこの配置……初めて会った人と同じ布団とか気まずいんだけど……眠れない……)」


戦士「……」...zzz


エルフ「(あっちはお気楽に寝入ってるし……!)」いらぁっ


妹「……あの、起きてます?」


エルフ「あ、うん」


妹「ほんとうにごめんなさい……。ご不便おかけして……」


エルフ「いや、大丈夫だって」


エルフ「(そんなに申し訳なさそうにされるとこっちの居心地が悪いんだよねぇ)」


妹「……お兄ちゃんがよくエルフさんのこと手紙に書いてます。『とても頼りになる』って……」


エルフ「(内緒話のつもりなんだろうけど、その手紙結構な頻度で中身見てるんだよね。実は君の手紙も怒られない範囲でたまに覗き見してるんだよね。なんかごめん)」


エルフ「……兄妹仲が良いんだね」


妹「……はい。昔からお兄ちゃんの後ろを追いかけ回してました。お兄ちゃんはいつも優しくて頼りになるし、私のこと大切にしてくれて、味方でいてくれて……」


エルフ「うんうん」


妹「……お兄ちゃんに危険なことして欲しくないんです。ダンジョン冒険者なんかやめていっそ村に戻って来て欲しいんです」


エルフ「それはさっき戦士が否定してたじゃん」


妹「けど本当に心配で……お兄ちゃんには幸せになって欲しいんです。いっつも損ばっかりして、自分のことよりも他のみんなのことばかり考えて、たびたび都合よく使われて、それでも怒ったりなんかしないで……幸せになって欲しいんです」ぐすっ


エルフ「……」



エルフ「(どうでもいいけど、この娘おっぱい大きいな)」
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:25:22.45 ID:UaMyiEniO
・・・
【赤魔と盗賊の部屋】


エルフ「……そんな訳で昨日は全然眠れなかった」


赤魔「それでそんなに眠そうなのか」



エルフ「今日は二人で買い物に行くんだってさ。邪魔者扱いされた可愛そうなエルフちゃんはここに追いやられてしまったわけ」


赤魔「家族か。俺も久しぶりに……ひいおじーちゃんとひいおばーちゃんとお祖父ちゃんとお祖母ちゃんとお母さんとお父さんとイチ姉とイチ兄とジロ兄とサブ兄とシロ兄とポチとタマとタビに会いたいな」


エルフ「……大家族だね?」


赤魔「俺も入れて12人家族で、村でも一番だったなー」


エルフ「その末っ子か……よく冒険に出してもらえたよね」


赤魔「盗賊が一緒ならいいかってなった」


エルフ「そこはどういう経緯なんだい……そういえば盗賊は今いないの?」


赤魔「調べものだってさ。最近は図書館によく行ってるみたいだ。ついてこうとすると怒られるんだよな」


エルフ「君って活字とか読まなそうだし、落ち着きなさそうだもんね」


赤魔「そんなことないぞ! 冒険の本とか読んだりするし、色々と図鑑を見たりもするっての! あとは外でおじさんの紙芝居見たり!」


エルフ「その年で紙芝居って……」


赤魔「別にいいだろ! 面白いものはいくつになっても面白いんだよ!」


エルフ「はいはい……ちょっと君のベッド貸して。ガマンしてあげるから」


赤魔「何のガマンだよ!」
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:29:49.47 ID:UaMyiEniO


エルフ「……」もぞもぞ…


赤魔「なーなー、寝る前にRPGやろうぜ。せっかくエルフが持ってきたわけだし」ゆさゆさ…


エルフ「えー、眠いよー」


赤魔「ちょっとだけ! な? な? ほら、この前ダンジョンで拾ったRPGを改造できるやつ! 商人から買ったんだ」ワクワク


エルフ「なんかやたらソレ売るの渋ってたよねぇ……改造って言っても、そのRPG自体は結構遊び尽くしたし多少の改造くらいじゃね……はあ、仕方ないなぁ」


エルフは『RPG改造キット・R16ver.』を使った!


エルフはRPGを起動した!


赤魔「……どうなるのかな! クリア後のストーリー追加とかがいいな!」


エルフ「地味にプレイアブルキャラの追加とかじゃない?」


赤魔「それも良いなー!」


エルフ「……今のところあまり変わりなさそう?」


赤魔「うーん……お、魔物とエンカウントした……魔物が女の子になってる!? しかもなんで裸なんだ!?」


エルフ「えぇ……うわ、敵めっちゃ強い。え、待って待って強い強い」


赤魔「何もできず負けた……難易度上がり過ぎだろ。ゲームオーバー……じゃない!? えっ? はっ? えっ?」


エルフ「ああ、そういう……」

・・・

エルフはRPGを終了した…
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:32:18.85 ID:UaMyiEniO


赤魔「……」ぽかん


エルフ「……世界は広いね。さて、私は寝る」


赤魔「なんだったんだよぉ……」


エルフ「知らん知らん。おやすみ」もぞもぞ…


赤魔「……お前が寝るなら俺も寝る」もぞもぞ…


エルフ「入ってくんな!」


赤魔「いやだ!」


エルフ「盗賊の方で寝て!」


赤魔「これは俺のベッドだぞ!」


エルフ「今は私のもんだ! というか君のものは私のものだから!」


赤魔「なんだと!」もぞもぞ…


エルフ「やーめーろー! 寝させろー!」
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:37:34.03 ID:UaMyiEniO

【図書館】


商人「……」ぺらっ…ぺらっ…


商人「(この本にも情報エネルギー、情報空間といった概念は載っていませんね。司書さんにも聞いて物理学や数学の本も漁ってみてもハズレ……うーん……)」パタンッ


商人「(この棚、届きそうで微妙に届かない……背がもう少し大きかったらなぁ……戦士さんや銃士さんくらい大きかったら女に間違われることもきっと減るのに)」ぐぐっ


ぴとっ…


商人「!」びくっ


本<<すっ……


商人「あ、ありがとうございます」


ぐいっ……ぴたっ


商人「っ……!?」


商人「(も、もしかして女と間違われてる!?)」あたふた


商人「ちょっーーむぐっ」


商人「(ひぃ……!)」
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:40:12.50 ID:UaMyiEniO

「館内では静かに……」ぱっ


商人「えっ……あ、その声、盗賊さん……?」


盗賊「正解。そんなに怯えてどうした?」ぱっ


商人「いや、危ない人かと……」くるっ


盗賊「……確かに商人は女に見えるものね。それに加虐性を煽るような姿態を見せる」ずいっ


商人「い、いや、あの、ち、近いです……」


商人「(盗賊さん、僕よりかなり大きいからこう迫られるとちょっと怖い……けど)」どきどきっ


盗賊「……」


商人「あ、あの……」


盗賊「やっぱり男ね」すっ


商人「え、はい……」


盗賊「……ここじゃ迷惑だし少し談話室にでも行かないか?」


商人「あ、はい」
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:44:08.20 ID:UaMyiEniO

・・・

盗賊「はい。ミルクティで良かったか」


商人「ありがとうございます。お幾らでした?」


盗賊「別に払わなくていいわよ。安かった」


商人「でも……ありがとうございます」


盗賊「今日は店が休みなのね?」


商人「午後から仕事なんです。その前に色々と調べておこうと思いまして」


盗賊「大変だな。……それで、何について調べていた?」


商人「ミミックガールさんの残した謎の言葉です。それと不帰の虚、大賢者についてなどですね」


盗賊「何か分かったことは?」


商人「ミミックガールさんの言葉については何も分かりませんでした」


盗賊「そうか……」


商人「ただし『不帰の虚』と大賢者については新しく知ったことがありました。不帰の虚はダンジョン化する前には遺跡があって、大賢者さんは遺跡について調査をしていたようです。当時は国立研究所の研究員だったと記録にあります」


盗賊「……よくそんな情報を見つけて来るな。感心する」


商人「大したことはしてないです。それで、文化人類学と魔法学を修めている優秀な人のようでしたが、大賢者と呼ばれ始めたのはこの遺跡の調査を終えた後ですね」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:47:21.13 ID:UaMyiEniO

盗賊「その遺跡に関しては?」


商人「それがほとんど言及がないんですよね。出土してから半世紀経ってないらしいですが……何度か調査はされたもののどういった遺跡なのか不明だったようです。今は遺跡自体が失われてしまったため詳細は分かりません」


盗賊「……怪しいな」


商人「怪しいですよね」


盗賊「記憶だとサモナーは出戻りだったと聞く。おそらく、その遺跡で何かを発見したのかもしれない」


商人「ええ……その遺跡がもしかしたらミミックガールさんのいう『情報エネルギー』や『情報空間』という言葉と関連するかもと推測して調べてみたものの、ハズレでした」


盗賊「……大した進捗だ。流石ね」


商人「そう言っていただけると幸いです。ダンジョン探索の際は僕は足手まといになってばかりですから、それ以外の部分でくらい仕事しないとエルフさんに怒られちゃいますから」


盗賊「……アナタは私たちのパーティの根幹に関わってると思うわ。冒険の手配、事前調査、アイテムの発見、理性的な判断ーー高く評価してる」


商人「……」てれっ


盗賊「エルフもとやかく言うけれど、やっぱり評価してると思うわ。……引き抜かれたり独立したりするなよ?」顎クイッ


商人「あわわ……な、なんですか?」


盗賊「……色仕掛け?」


商人「色々とおかしいですよっ!」
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:49:03.24 ID:UaMyiEniO


獣人「……」ガチャッ…


<<ちっ、ケモノくせぇ……


獣人「……!」



盗賊「……」

商人「……」


獣人「……」おろおろ…がちゃっ


獣人は談話室から出て行った…



盗賊「……この前のテロ、まだ犯人グループが捕まってなかったわね」


商人「ありましたね。獣人たちの関与を否定する公式声明は出されましたが世論は中々……」


盗賊「……多数派による差別や弾圧、ヘイトスピーチ。理性を用いてる獣じみた所業……私たちはどこまで行っても動物に過ぎないな?」


商人「……世の中は良くなっていく余地がありますし、そうしようとしている人もたくさんいますよ」


盗賊「……そうだといいわね」
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:54:25.15 ID:UaMyiEniO


<<さっきから何だお前たち? 女同士で気持ちわりい。消えろや


盗賊「お前が消えたらどうだ?」


商人「ちょっと、盗賊さん」


<<女が生意気いってんじゃねえぞ! これだから半端知識にかぶれた女は嫌いなんだよ! なにが啓蒙だ! 女なんて家の中で男の機嫌とってりゃ良いんだよ!


盗賊「息をしないで欲しいわ。不快な臭いがする」


<<てっめぇ!


盗賊「きゃぁっ!」スッ


メキャッ


<<ごふっ……


盗賊「あら、大変。悪漢が迫ってきたから思わず肘を突き出したら、“偶然にも事故で”急所に入ってしまったわ」しれっ


商人「(相変わらず達人だなぁ……本当に怯えて身を守ってるようにしか見えませんでしたよ)」


<<て、てめぇ……訴えてやる……


商人「……女性に殴りかかって乱暴しようとしたこと罪を白状するんですか? 殊勝なんですね」


<<て、てめぇら……!


ボソボソ…あのオッサン、官憲に渡すか……ボソボソ……いや、まず司書員に……さっきの獣人族への差別的発言も伝えて出禁にするように要求した方が……というかアイツ、前も騒いでたよなお前が迷惑だっての老害……ボソボソ……


<<っ……バカどもが……!



盗賊「面倒ごとにそうだし帰るか」


商人「はい。……もっと良くなると思うんですけどね」
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 13:58:25.42 ID:UaMyiEniO
・・・

盗賊「……ただいま」


盗賊「(……この挨拶は、いつまで経っても慣れない)」


しーん……


盗賊「(赤魔は出かけてるのかしら……ん?)」


赤魔「……」すやすや…

エルフ「……」くぅくぅ…



盗賊「…………」

盗賊「…………」

盗賊「…………」



エルフ「ふわぁ……あー、結構寝ちゃってたかな」


赤魔「……んあ? あれ、盗賊帰ってたんだ」


盗賊「ああ、だいぶ前にな」


盗賊「(それからずっと寝顔を見てた)」


エルフ「あー、お腹すいた」


赤魔「なんか食べに行こうぜ」


盗賊「ああ」
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 14:06:01.57 ID:UaMyiEniO

・・・
エルフ「スライム春雨は安定してるよね。もはやこの地域のソウルフードって感じ」


赤魔「〜〜♪」ちゅるる…


エルフ「はあ、今日も戦士の妹とベッドインかぁ」


赤魔「いっそ俺たちのところに泊まっちゃえよ。お泊まり会やろうぜ。お菓子買ってさ」


エルフ「やっちゃうかー」


盗賊「別にいいけれど戦士にちゃんと伝えて起きなさいよ」


エルフ「……あ、でも泊まるのも問題があるか。言い訳に失敗したなー。でもあの娘ならコロッと騙せそう……」


赤魔「あ、噂をすれば戦士だ」


盗賊「大きいからやっぱり目立つわね。隣の娘が戦士の妹か」


エルフ「そうそう。おっぱいが大きいんだよ。イカサマ師には敵わないけど」


赤魔「何言ってんだよ! ……でも確かにここから見ても分かるくらい大きい」


盗賊「そうね。商人を含めて私たちは四人とも小さいのに」


エルフ「私はこれから大きくなるから」


赤魔「大きいのも不便そうだけどな。動き辛そう」


盗賊「(……もしや、商人が男であることを二人とも忘れている?)」


赤魔「というか商人は男だろ!」


盗賊「……」ナデナデ…


赤魔「な、なんだよ?」
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 14:09:27.45 ID:UaMyiEniO


【大通り】


銃士「(暇やなぁ……まあ、のんびりすんのも気持ちええ)」



<<……これがターニングポイントだな。手はずは整っている


イカサマ師「ふふ……明日は楽しいショーになりそうね」


<<……ショーと一緒にして貰っては困るな



銃士「(……あんなフェロモンむんむんな女の人がこの街にもおるんやなぁ)」


銃士「(それにショーって……なんや金持ちそうなオジさんとボインな美女だといかがわしいもんしか想像できひんな)」


銃士「(はー、この悲しみをどうすりゃいいの)」


銃士「(……酒とプリン買うて帰ろ)」



to be continued...
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 14:17:05.97 ID:UaMyiEniO
○戦士メモ

・妹:来年で16になる。長兄は俺と妹よりも離れているため…正確には俺には3つ上の姉がいたのだが死産した……昔から仲が良かった。昔から内気で泣き虫な子で目が離せなかった。正直言って街で奉公させるのが心配でしょうがない。変な男が寄ってきたらどうしてくれるか。

・郵便:故郷では郵便物は週に一回だけ地方のより大きな街に集荷され、それからようやく配送される。おそらく妹はそれを見越して投函したと思うが、祝日の存在は忘れていたらしい。



○エルフメモ

・アシナガ豆と仙人豚のポークビーンズ:仙人豚は白ヒゲがいっぱい生えているのが特徴の豚で、脂身は少ないのに旨み成分が凝縮されていて、アシナガ豆の繊細な甘みとよくマッチする。トマトベースの酸味と絶妙なさじ加減のスパイス、特別なオーブンによる煮込みがそれを際立たせるんだよ。

・不労所得:もらって生きていきたい。

・謎の遺跡:不帰の虚が出現する前には謎の遺跡があったんだって。とても怪しいね。余談だけど、ダンジョンの出現で大量のアイテムが手に入ることで新たに大量のゴミ問題が発生したんだ。消費すれば捨てるものも出てくるのは必然だよね。さて、ここで問題! 私たちはどうやってゴミ問題を解決しているでしょう? 同じ方法で下水処理してるおかげで劇的に公衆衛生も良くなったんだけど…………きゃんえにわんひあみー?





(Chapter5は選択肢とコンマ制にする予定,Chapter5の結果がその後にも影響が出るはず)
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 14:42:11.31 ID:jBfN8XcMO
おつ。方向先は商人君のとこだろうなー。
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 17:22:26.31 ID:iOuucbZdo
エルフうっざ
めんど
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 17:47:12.88 ID:mrc30f+sO
エルフは本当に性根はクズやな人の手紙勝手に読むとか最低だろ
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 17:52:12.24 ID:i9Moiw940
そういやこの人たち一般人の十倍以上強いんだよな
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 04:38:59.15 ID:v13dw7SHo
エルフは変態
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 20:46:10.89 ID:p1kAStXo0
さて年明けはいつ更新かねえ
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:56:40.35 ID:RJfqGOvoO
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 00:10:53.82 ID:NfuQwJhhO
まだか
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 01:08:57.35 ID:r9LM5yWj0
こない
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 16:45:13.73 ID:q/IhdDcA0
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 20:29:30.66 ID:7LnnYCYcO
保守。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/27(日) 00:55:13.50 ID:O7C8zu+20
保守
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/09(月) 17:05:06.09 ID:9c5KCa8mO
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 00:26:06.11 ID:vxL210m9O

【翌日・戦士の自宅】


戦士「……」


エルフ「妹さんの心配かね?」


戦士「別にそういうんじゃない。あいつは確かに純粋過ぎるくらいだが、しっかりしてる娘だ」


エルフ「ふうん」


戦士「意地の悪い主人、先輩でないといいがな」


エルフ「人間関係は大事だよね。あとは職場の風土とかさ」


戦士「そうだな。いっそのこと商人の働いてる店だったりしたら良かったが……」


エルフ「それはそれで気まずくない?」


戦士「……そうかもしれないが」


エルフ「兄貴が見てないところで妹は成長してるもんだよ」


戦士「…………」


エルフ「まあ、この話はこれ以上深掘りしても仕方ないよ、それにしても『蠢く砂漠』の情報もないし、しばらくは停滞かなぁ。『異形の島』を攻略してもいいけどさ」


戦士「異形の島をか?」


エルフ「転移石を破壊しておくのも悪くないかなってね。裏で糸を引いているのが魔人と聞くと放置はまずい気がしてきたしね。もっと大事なことに、それなりに稼ぎになることもある」


戦士「しかし最近の生存率は著しく下がってるようだからな、危険な魔物が増えたんだろう」


エルフ「まあねぇ……やっぱり早めに壊しておくべきだったかな」


戦士「あの時は疲弊してたし仕方なかっただろ」
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 00:30:24.87 ID:VosXNvrLO
復帰来た!
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 02:42:01.69 ID:MpvsgOfR0
すごい…復活したか
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/24(日) 00:21:36.30 ID:3KxlqyFWO

エルフ「そういえば昨日は何を買ったの?」


戦士「ああ、妹に髪飾りをな」


エルフ「えぇ……戦士のセンスで大丈夫? 戦闘アイテムと贈り物は違うんだからね?」


戦士「……商人にいい店を教えてもらったから品質は大丈夫なはずだ」


エルフ「そりゃ品質も大事だけどさぁ……」


戦士「ごほっ……あと、それとだな……」



ズゥゥゥウウウーーーッッッ!!




エルフ・戦士「!!」



エルフ「な、なに!? なんなの!? 死ぬの!?」


戦士「すごい地鳴りだったが……なんだ、外の怒声やらがすさまじい……」


エルフ「……これは非常事態っぽい? とりあえず外に出ようか」


戦士「……ああ」
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/02/25(月) 06:10:20.36 ID:UvLzE72/O
待ってた!
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/12(水) 23:10:00.54 ID:wo3B5+dYo
はよ
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