[安価]勇者「ダークファンタジー」魔王「まともなことのなんとつまらないことか」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/22(土) 23:57:13.96 ID:VwaOWkw2O
勇者「魔王?」

魔王「まとも、平和、常識、変わることなく続いていく普遍的世界、なんとつまらなく、下らない」

魔王「だから私は自らを変えた」

魔王「人の形を変え、自らの存在を変え、周りの全てを、世界も、概念も、何もかもを変えてやりたい」

魔王「このつまらない世界を私の手で混沌とした世界に変えてやったのだ!魔物によって怯える人間!破壊される街!」

魔王「そんな時、君が現れた」

魔王「私は心底痺れたよ、君のようなまともとは到底かけ離れた人間がいるなんて」

魔王「ああ、君が欲しい。私の物にしたい。倒して、両手両足もいで、体も心も屈服させてから魔物化させて傍に置いておきたい」


勇者「だけどお前は俺に負けた」

魔王「そうだな、今の私には何も無い。腕も、脚も、君に切り落とされてしまった」

魔王「尻尾も、羽も、全てもがれ、魔法は切れた。もはや何もできない」

魔王「だがまだ心臓は鼓動を止めず、脳味噌は電気信号を発している」


勇者「それでも負けを認めないと?何ができるっていうんだ」

魔王「ふふ、君は特に趣味が悪い。私が血を流しきって失血死するまでそうして見ている気かい?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500735433
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 00:07:52.27 ID:/YzLDbi+O
魔王「なら私はこの残された時間に少し話をしよう」

魔王「私は私の魔力で以て世界中に種をばら撒いた。いつか開花するように」

魔王「魔物が生まれ、魔力を持った人間が生まれ、やがて開花した」


魔王「君だよ。勇者」


魔王「今、この場に歴代最大量の魔力を持った存在が二人揃ったのだ」


魔王「なあ勇者。私は何故この魔王城を作ったと思う?」

勇者「この…城?」


魔王「この城はね、巨大な装置なのだよ」

勇者「!?魔力封じ魔法!」

魔王「アハハハ、察しがいいね!!でも無駄だよ!そんな魔法で止められはしない!!!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 00:14:26.83 ID:/YzLDbi+O
魔王「さあ!世界の改変を!私ですら成し遂げられなかった大いなる改変を!」


魔王「一緒に迎えよう!君と私で!混沌たるニューゲームを!」


勇者「魔王おおおおおお!!!!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 00:28:58.75 ID:/YzLDbi+O
―――――
―――

悲鳴が子守唄だった

血の産湯につけられ、ゴミ溜めの中で育った


前の世界の記憶はある

だから何だ。この世界で生き抜くのにそんなものは必要ない

生きていくためには何だってする。そう決意して今日も人間の死体を食らう



生まれてから何年経ったろう

不気味な満月が睨めつける夜と歪んだドドメ色の太陽が照らす昼を何千回と超え、俺は無事に幼少期を超えた

そして今日、王城から迎えが来る
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 00:37:13.21 ID:/YzLDbi+O
魔導馬車が街中を突き進む不快な音が響く

街の人々が恨めし気な目を向ける。誰も彼もの手に石が握りしめられていたが誰一人として投げようとしない


強引に扉が開かれ、俺の家に靴を履いたままドカドカと入り込んでくる


「お迎えに上がりました、勇者様」


そう言った兵士は忘れもしない。俺の友人を目の前で殺した兵士だった

彼はそれを覚えているのかいないのか、いや一々覚えているわけもないだろう


「早くお乗りください。この町は勇者様が住むには汚らしすぎます」


@勇者「ああ」
A勇者「汚い町でも俺の住む故郷だ」
B勇者「だったらなんとかしてほしいもんだ」
C勇者「自由安価」
>>7
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 00:52:45.89 ID:H+chR9sDO
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 00:53:22.67 ID:q4OmHDZ30
4 他の街の状況に比べたらマシなもんさ
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 01:07:57.74 ID:/YzLDbi+O
勇者「他の街の状況に比べたらマシなもんさ」

「そうでしょうか。我々にはどこも同じに見えます」


それもそうだろう。この世界で裕福に過ごしているのは王城と貴族がする城下町だけなのだから

そんな言葉は飲み込んで馬車に乗り込む

ガチャンと戸に鍵をかけられ、馬車は走り出す


ミシミシと軋むような程に痛い殺気が町中から向けられる。王城からの誘いは殺人が起きてもおかしくない嫉妬を招くのが当たり前の世界だ


だが俺は知っている。この王城からの誘いは華やかな世界への招待なんかでは決して無い

このどうしようもない世界を救えという命令を受けるために



途中で馬車が何かを踏んだような大きな振動がして赤子の断末魔が耳に響いた
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 01:15:05.32 ID:/YzLDbi+O
勇者(お前はこんな世界を望んだのか?魔王)


そんな何十回何百回と抱いた疑問を誰となく投げかける。もちろん返ってくるわけもない


やがて華やかな城下町に入る

外の世界とは大違いだ。整った町並み、ゴミ一つない舗装された道

煌びやかな光が照らし、笑顔が溢れている


「まるで別世界でしょう?あんな汚れた町と違い、我々の町は幸せが溢れている」


その誇らしげな言葉には侮蔑が大いに含まれていた
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 01:23:15.91 ID:/YzLDbi+O
勇者「っっ……」


王城に入ってすぐ目についたオブジェに吐き気を催す、それは沢山の人間の死体を使って作られた女神の像だった

「素晴らしいでしょう?我らの権力の象徴です」


勇者「この死体は…」


「もう死んでいますが作られてから数日は生きていました。もちろん醜いうめき声を上げない様に声は奪っていましたが」

「ああ、安心してください。死んでもどうでもいい"外の人間"が材料ですから」


勇者「狂ってる…」ボソ
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 01:42:02.19 ID:/YzLDbi+O
似たようなオブジェは城内にいくつもあった

そして王の謁見の間、玉座は何者かの骨で作られていた


王「待っておったぞ、勇者よ」

勇者「…あんな町出身の俺が本当に勇者だと思うか?」


「口の聞き方には気を付けるように」


王「良い。彼は世界の救世主となる存在だ」

王「勇者よ、いま言った通り、そなたの役目は魔王を倒し、救世主となることだ」

勇者「本当に、魔王を倒しただけで世界は平和になると思うか?」

王「なるだろう。我々の不安は魔物の存在だけだ。魔物に殺される可能性さえなければ人類は安泰だ」

王「もちろん報酬は払う。君は貴族の仲間入りだ。他の薄汚れた人間どもとは違う世界に生きられる」


@勇者「貴族や階級がなくならない限り本当の平和は訪れねえよ」
A勇者「階級制度を無くしてくれるなら救世主でも何でもしますよ」
B勇者「分かりました。勇者として旅立ちましょう」
C勇者「自由安価」
>>12

今日はここまで
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 02:03:12.04 ID:yIIEqtoLO
4 何分田舎者ゆえ即答しかねる。長い旅路になることだけは予想できるので報酬があるのなら都度分けて提供してくれないか
それこそ前金に相当するものがないことには始めようもない
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:15:46.75 ID:VDvNv9IiO
勇者「何分田舎者ゆえ即答しかねる。長い旅路になることだけは予想できるので報酬があるのなら都度分けて提供してくれないか
   それこそ前金に相当するものがないことには始めようもない」

王「いいじゃろう。もってゆくがいい」


兵士が勇者に重い袋を渡す


王「報酬も定期的に送ろう。各町の銀行で下ろすといい」

「よろしいのですか?王様」

王「良い良い。人民どもの税率をまたあげれば良いのだからな」

「ではまず勇者よ、酒場に仲間を集めに行くのだ」

@勇者「自由安価」
Aさっそく城を出る

>>15
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 22:17:20.78 ID:yIIEqtoLO
1 やる気と力のある兵士の一人くらい欲しいんだけど
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 22:17:46.24 ID:q4OmHDZ30
kskst
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 22:22:01.27 ID:w100it1P0
1 その前に貴様のような玉座でふんぞり返っているだけの無能を始末させてもらう
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:31:05.44 ID:VDvNv9IiO
勇者「その前に貴様のような玉座でふんぞり返っているだけの無能を始末させてもらう」


ズガンっ


勇者「っ」


後ろから衝撃がくる、そして俺の意識は一瞬で奪われた


王「憐れなり」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 22:34:44.40 ID:kTNQmLfMO
そりゃそうなるわ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:35:59.78 ID:VDvNv9IiO
地下牢

目が闇に慣れてくると労の隅に3人ほどの死体が積みあげられているのが分かる

その死体に鼠が群がり、食い散らかしている


さっきは油断した。まさか言った瞬間やられるとは…


「やあ勇者、楽しんでいるかい?」

少女の声が聞こえた


@牢の中から
A牢の外から
B隣りの牢から

>>21
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 22:38:24.65 ID:kTNQmLfMO
この王相手に丸腰で刃向かうとか
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 22:38:53.10 ID:p72GsECfo
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:45:23.78 ID:VDvNv9IiO
この声は忘れもしない。前と違ってだみ声でもなく幼くなっているが、確かにこの声は

勇者「魔王!」

魔王「ふふ、何年も何年も、長かったよ勇者。片時たりとも君を忘れたりはしなかった。早く再開したいと願っていたんだ」

魔王「君はどうだい?この世界を楽しんでいるかい?街の中にすら平和の無い混沌とした世界」


魔王「退屈だけはしないだろう?」


@勇者「こんなところに閉じ込められて楽しいも何も無いだろ」
A勇者「俺はこんな世界嫌いだね」
B勇者「いいからこっから出せ」
C勇者「見張り兵とかいたはずだが」
D勇者「自由安価」

>>24
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 23:03:24.35 ID:p72GsECfo

おまえの混沌には美学がない、ただ混沌なだけだ
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 23:15:06.93 ID:w100it1P0
5 そんなことより早く客人に茶と菓子を出せやゴミ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 23:21:04.46 ID:VDvNv9IiO
勇者「そんなことより早く客人に茶と菓子を出せやゴミ」

魔王「はっはっは、それもいいね」


牢の格子を簡単に溶かして中に入ってくる魔王


魔王「じゃあ少し茶菓子でも食べながら話そうか」


@そうする
A格子が無くなったならとっとと逃げる
B自由安価

>>27
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