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輿水幸子「骨董品鑑定のアシスタントですか?
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/20(木) 19:07:37.09 ID:IZgMY6HN0
幸子「お仕事が貰えるのは嬉しいですけど……なんでボクに?」
モバP「先方が是非にと推して来てな。多分だけど、スタッフか誰かが幸子のファンなんじゃないか?」
幸子「ありがたい話ですけど……肇さんとか芳乃さんの方が相応しいというか……適材適所というか……」
モバP「オファーがあったのは幸子だし……まあ、色んな仕事をしてみて、経験を積むってのも良いことだと思うぞ?」
幸子「それもそうですけど……予習とかしておくべきですかね?ボク、骨董品とかよく分からないんですけど……花瓶とかお皿とかそういう奴ですよね?」
モバP「多分そんな感じだろ。詳しく聞いたわけじゃないけど、幸子と鑑定人が骨董品を評価して、その差を見て楽しむような感じの企画らしい」
幸子「感じ悪い!なんですか!?ボクを馬鹿にしてるんですか!?」
モバP「いやいや、俺たちは幸子のセンスを信じているんだよ。考えても見ろ、骨董品だぞ?遥か昔に職人の手で丹精込めて作られた物だ。その時点でカワイイだろ?それが時代を経て評価される。それが骨董品鑑定だ。……カワイイものに対する審美眼に優れる幸子なら完璧にこなせるんじゃないか?」
幸子「…………」
モバP(厳しいか?幸子なら適当にカワイイカワイイ言っておけば丸め込めるって小梅が言ってたけど……)
幸子「……なるほど!確かに!」
モバP「マジかよちょろいな」
幸子「え?」
モバP「いや、何でもないよ?とにかくそういうわけで、幸子の直感で判断してもらいたいから予習なんかは不要だそうだ。基本的に台本どおりに進めるらしいから特に知識がいるような場面もないはずだし」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1500545256
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/20(木) 19:08:11.17 ID:IZgMY6HN0
幸子「ふーん?全部台本どおりで事前の努力は必要ない……分からないでもないですけど、そういうのはカワイくないですね……」
モバP「そういうものか?幸子のカワイイの基準はよくわからん」
幸子「簡単ですよ!ボクはカワイイ。そしてカワイイボクが努力するのもカワイイ。つまり、努力を怠ることはカワイイを怠ることに繋がるんです!それ、すなわちカワイくない。……そういうことです!」
モバP「わかるような、わからないような……」
幸子「プロデューサーさんは、ボクのプロデューサーさんなんですからボクの事は一から十まで理解していてくれなきゃ困りますよ?」
モバP「理解する前にカワイイがゲシュタルト崩壊しそうになるんだよなぁ……イイの部分とかが特に……」
幸子「何でですか!カワイイとはすなわちボク!カワイイという文字を認識した瞬間にボクの顔が出てくるくらいじゃないと!そうなれば、プロデューサーさんは常にボクを感じれて幸せになれます!カワイイボクに囲まれた生活……夢のようじゃないですか!」
モバP「俺がその生活を続けたら、多分カワイイのオーバーフローで早死にすると思うよ。まあ、そんな感じで。幸子のカワイイを全面に出してアレンジしながら台本読んでればいいんじゃない?」
幸子「もう!何はともあれ、カワイイボクにこなせないお仕事なんてありませんからね!完璧にこなして見せますよ!」
モバP[頑張ってね」
モバP(まあ、ドッキリだけどな!)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/20(木) 22:42:52.97 ID:IZgMY6HN0
ハーイ、それじゃあ本番いきまーす!5秒前、4、3……
幸子「開運!おもむろに出張鑑定団!」
幸子「こんにちは、皆さん!ボクです!カワイイボクがF県はA市にやってきましたよ!天候も良好!絶好の幸子日和ですね!」
幸子「改めまして、この番組の進行役を勤めます輿水幸子です!進行役だからか、バスガイドさんの衣装です!どうですか?この衣装、カワイイでしょう?」
幸子「骨董品の知識はありませんが大丈夫です!ボクは太陽!カワイイ太陽!現場を明るく彩ります!ボクはいるだけで華がありますからねぇ!地味な……あっいえ、素朴な?……え、これもまずいですか。えーと……硬派な!そう!そんな感じの番組ですが、まあカワイイボクに任せておいて下さい!」
幸子「それでは、早速現場に向かいますよ!着いてきてください!」
……………………ハイ!オッケーでーす!
幸子「……ふぅ。初めての現場は緊張しますね!」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/20(木) 22:45:02.01 ID:IZgMY6HN0
スタッフ「お疲れ間です!飲み物どうぞー!」
幸子「あ、ありがとうございます!」
スタッフ「そのままでいいので、流れの確認をさせていただきますね。この後は、今回の依頼者の方がいらっしゃるお寺の方に向かいます。お寺に向かう所を撮影しますので、歩きで向かいますね。ここにナレーションが入りますので台詞等はいりませんが、その分カワイイ感じで移動してください」
幸子「はい!得意分野です! ……あの、さっきは失礼しました。地味とかいっちゃって……」
スタッフ「いえいえ、事実ですし。ある程度台本があるとはいえ、幸子ちゃんの素の反応が欲しいですからね。むしろ、バンバン言っちゃってください」
幸子「そ、そうですか?それならいいんですが……」
ハーイ!それじゃあ、現場向かいまーす!撮影始めてますので、歩いていってくださーい
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/20(木) 23:05:51.13 ID:IZgMY6HN0
幸子「ハイ!お寺に到着しました!それでは早速、今回の依頼者さんをご紹介します!ここ、偶像寺の住職さんである寺山寺夫さんです!よろしくお願いしますね!」
住職「はい、よろしくお願いします」
幸子「今回は、何故番組に鑑定を依頼されたんですか?」
住職「ええ、家の御堂の蔵には昔から様々なガラクタが納められていまして。奉納して戴いたものや、除霊の依頼で持ち込まれたものなどで溢れ返る程でして。お焚き上げなどで定期的に整理はしているんですが、どうしても由来の分からなくなってしまうものがあるんです」
幸子「えっ……このお寺って、除霊とか……されているんですか?」
住職「手に負えるものであれば、請け負う事もありますね」
幸子「ああ……嫌な予感がしてきました。やっぱりボクじゃなく、他に適任の方がいるんじゃないですか。小梅さんがそこら辺に隠れているんでしょう!? ……え?いない!?そんなバカな!?もうこんなの完全にフリじゃないですか!」
住職「ああ、いえ。流石にそういったものをテレビに出すわけにもいきませんよ。今回見ていただくのは、檀家の方から寄進して戴いたものの、詳細が不明な物なんです。そこら辺の記録が残っていなかったもので、戴いた方には失礼な話ですが」
幸子「本当ですか!?……確かに袖長片目隠れ系金髪美少女は見当たりませんし……いえ、カツラを被って変装している可能性も……」
住職「大丈夫ですよ。実は今回、輿水さんにおいでいただいたのも、私が輿水さんのファンだからなんですよ」
幸子「えっ!そうなんですか!?」
住職「そうなんですよ。ですので、後で個人的にサインなどいただけますとありがたいです」
幸子「なぁんだ!それを早く言ってくださいよ!そうですか、そうですか!それなら仕方がないですねぇ!仏門に下った方をも魅了してしまうボク!どうですか?実物はテレビなんかで見るよりも五割増しでカワイイでしょう!?テレビの回線ではボクのカワイさは伝えきれませんからね!」
住職「そうですね(チョロい)」
幸子「え?」
住職「いえ、なんでも。それでは中へ案内させていただきます。こちらへどうぞ」
幸子「あ、はい!」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/20(木) 23:14:43.03 ID:IZgMY6HN0
幸子「えーと、こちらのお寺、偶像寺は三百年の歴史を持つ由緒正しいお寺なんですね」チラチラ
住職「はい、私で十七代目になります」
幸子「なるほど。それにしても偶像(アイドル)寺ですか!まさにボクたちアイドルの為にあるようなお寺ですね!後でお参りしていきましょう!」チラチラ
住職「ええ、この寺では弁天様を祀っていますから、商売繁盛、芸事上達なんかにも御利益がありますので、是非ご参拝下さい」
幸子「そうなんですか……えーと……ところで、一つお聞きしたいんですが」
住職「はい?」
幸子「このお寺、なんだか薄っぺらくないですか?」
住職「いえ、先程も申し上げた通り歴史あるお寺ですが」
幸子「いえ、そうじゃなく。……物理的に。ペラペラしてます。っていうか張りぼてですよね?これ」
住職「ええ、張りぼてですね」
幸子「ボク、お寺の様式とかには詳しくないんですが、こういうものなんですか?基本的にお参りしてきたのは神社ばかりだったのであまり見たことないんですけど」
住職「ははは、まさか。本来はちゃんとした御堂ですよ。実は今、建て直しの工事を行っていまして。その期間中は、こうやって張りぼてで雰囲気を出しているんですよ。」
幸子「そうなんですか。雰囲気。そうですか。……え!?そんなんでいいんですか!?」
住職「問題ありません。しばらくの間は、ここで法事や葬儀も行っていますが、皆さん満足されていますよ」
幸子「そ、そうですか……そういうものなんですかね?……しかし、何でしょう?何だか既視感があるような……なんだかテレビ局のセットで……」
住職「気のせいでしょう。さあ、中を案内します」
幸子「えっ?あっ……はい」
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