目には目を歯には歯を殺人には殺人を

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14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/21(金) 20:33:13.67 ID:9t2ZJ9VMo
>>11
すいません。間違えてました……。中村でお願いします……

>>13
すいません、違いますが僕もこのSSは拝見しており、面白いと感じたので影響しているのかもしれません……
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:35:44.69 ID:9t2ZJ9VMo
「何故息子をいじめていたのか答えろ」

中村大地と中田博はクラスメイトであり、中田博は日常的に中村大地から暴力を受けたり、金銭を要求されたり、給食に虫を入れられたりしていたらしい。

「理由なんてないよ。ただ何となくそうなっただけ」

「じゃあ、俺の息子は何の理由もなく殺されたって言いたいのか?」

中田靖はバットを強く握りしめると、中村大地の表情が少しずつ恐怖に染まっていく。

「で、でもさ。息子がいじめられていることに気が付かなかったお前にも問題があるだろ!」

「確かにそうだな。俺がもっと早く気づいて行動に出ていれば、博は死ななかったし、君も死なずに済んだだろうな」

確かに、親として気づけなかったというのは事実であるが、大抵の場合子供は親に迷惑をかけたくないと思い、いじめられていることを隠す傾向にある。

そのため発覚が遅れ最悪の場合となってしまう。

最も、親に相談できるような子であるのならば、そもそも最初からいじめられることなんてないと思うが。

「だが、一番悪いのはお前だろ」

中田靖は金属バットを両手で握って振り上げる。

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:38:40.37 ID:9t2ZJ9VMo
「ごめんなさい。ごめんなさい……」

「その台詞、博はお前に何回言ったんだろうな……。自分が悪いはずもないのにだ。そしてお前はそれを許さなかった」

中田靖は振り上げたバットを床に落とす。コンクリートの部屋なので、カランという音が反響し響く。

「明日また来る。そしてどうするか決める。せいぜい今の内に反省でもしておくんだな」

中田靖は私の方を見た。私は扉を開けて、中田靖を自宅まで送ることにした。

日は既に傾いていて、外は暗くなりつつあった。

案の定雨は降っているが、外のデモ隊はそんなこと気にも留めず以前抗議を続けている。

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:39:54.61 ID:9t2ZJ9VMo
よくもまあ、こんな天気にも関わらず長時間できるなと感心する。

デモ隊に囲まれつつ、ゆっくりと車を進ませていく。

「ところで、明日は何時ごろに来られますか?」

「今日と同じ時間でお願いします」

「分かりました」

ナビをここから少し離れたホテルに設定する。

この件は世間から大きく注目を集めているのだ。

本当に処刑が行われれば、戦後における日本最年少の死刑執行者となり、この復讐法によって初めて殺されることになるのだ。

そんな一大事にマスコミが食いつかないわけがない。

テレビや新聞でも、数日間にわたってこのニュースが報道されているほどだ。

迂闊に自宅に帰ろうものならマスコミの餌食となってしまうだろう。

それゆえの措置だと説明しているが、本当はどこかに逃げてしまったり、処罰を行う前に自殺してしまったりという結果を防ぐためにある程度、監視できる状況に置いておきたいという理由のほうが大きい。

「それでは、明日迎えに参りますので」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:42:55.50 ID:9t2ZJ9VMo
中田靖を部屋まで送り、私はそのまま自宅へと向かうと、家のポストには大量のはがきが詰め込まれており、家の電話には沢山の留守電が残されていた。

重要な要件かもしれないので、安易の捨てることもできないので全部確認したが、その内容のほとんどが、死ねというメッセージや、復讐法を撤廃しないとお前を殺すと言った内容ばかりだ。

どうして、こういう頭の弱い人間ばかりなのだろうか? 

私に言っても復讐法をどうにかできるわけがないんだから。

私にできることなんて、加害者を裁かれる前に逃がすくらいだが、そもそも犯罪者を生かすために、自分を犠牲にするなんて何で私がしなければいけないのか。

それに、今こうしている人たちだっていざ同じ立場になれば、あっさりと手のひらを返すだろう。

どうして主観的な考え方でしか、判断できないような人間ばかりなのだろう……

はがきは、くじがついている物だけ残してあとは全部ごみ箱に捨てた。

玄関の方が騒がしいが、無視していれば勝手にどっかにいくので気にせず、シャワーを浴びてから布団に入る頃には、玄関の方は大人しくなっていた。

「そろそろ引っ越そうかなぁ……」

私たちは、引っ越す際は国から全額資金援助されるようになっている。理由は言わなくても分かるだろう。

自分的にどれだけ嫌がらせされようと、何とも思わないのだが、近隣の住民に迷惑をかけるのは私も心が痛い。

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:44:07.15 ID:9t2ZJ9VMo
「中田さん殺せるかなぁ……」

私は期待していた。現状、殺人事件が起きても誰も復讐法による処刑を行わないのなら、復讐法が設立された意味が無くなってしまう。

だからこそ、中田さんに前例を作って欲しい。私はそう思っている。前例があれば、それ以降のケースも増えるだろう。

そんな酷いことを言うなんて酷い人だと思うかもしれないが、殺されるのは犯罪者で、死んで当然の人間だ。

「明日が楽しみだ」

きっと明日、事態は大きく動き始める。犯罪者が死ぬのを目前で見ることが出来る。

このわくわくした感情は、遠足前日の夜のような感じに似ていた。

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:46:17.25 ID:9t2ZJ9VMo
―*―*―*―*―*―*―*―*―


「中田さん、私です」

中田靖が宿泊しているホテルのインターホンを鳴らすと、ドアを開けて姿を見せた。

特に変わった様子はないようだ。

「それじゃ、行きましょうか」

ホテルの入り口に停めてある車に乗り込んで、処刑場へと中田靖を運ぶ。天気は今日もどんよりと曇っている。

「最近、くもりばかりで嫌になりますねー」

「そうですね……」

それから、何回か私が世間話をしてから、中田靖が相槌を打つだけの会話が続いた。

中田靖は、窓から空を見上げたり下に俯いたりしていた。

「もしかして、迷ってますか? それとも怖いですか? 人を殺すのは」

中田靖は頷いて、はいと答えたので、私なりの持論を語ることにした。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:48:31.41 ID:9t2ZJ9VMo
「殺すべきですよ」

「でも、彼にだって未来がある。それに悲しむ人だって……」

「中村大地に未来なんてないですよ。

人を殺したという事実が記録から消えることなんてないですし、そういう人間を雇いたいなんて人はいないでしょう。

つまりいずれ苦しむ羽目になるんです。

だから、そうなる前に殺してあげる。つまりあなたは彼を救ったことになるんです。

だから殺しましょう?」

何て言っている間に、処刑場まであと少しというところまで着いた。

どうやら、今日も大勢集まっているようで、こちらを見つけて歩み寄ってくる。

「お願いです! 息子を殺さないでください……」

1人の女が中田靖さんの居るところに縋りつくように、窓に張り付いた。

この女、どこかで見覚えがあると思ったら中村大地の母親だ。

資料で見た時よりもずいぶんとやつれているし、痩せていたのですぐに分からなかった。

まあ、それもそのはずだろう。

正義気取りの人たちに嫌がらせを受けたり、職場では陰口を叩かれたりしているだろう。

しかも、息子が殺されようとしているのだから、こんな風になってしまうのは当然だ。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/21(金) 20:51:20.38 ID:9t2ZJ9VMo
「すいません、少し窓を開けてもらってもいいですか?」

「ええ、いいですよ」

中田靖に言われたとおり、話ができる程度に窓を開けた。

「殺さないでください……。昔はこんなに可愛いかったんです」

空いた隙間から、写真を差し込んできた。

内容を見ていないのでどんな写真であるか想像がつかないが、幼少期時代の写真だろう。

「きっと私のせいなんです……。

私がシングルマザーだから、大地の事よく見てあげられなくて、それで歪んでしまったんです……。

だから私の責任なんです……。

だから私を殺してください。

あの子にはまだ未来があります……

だから……許してやってくれませんか……」

「言い訳しないでください。私だって男手ひとつで博を育てました。

本当に博はいい子でしたよ……。私がどんなに遅くに返っても出迎えてくれた。家事を手伝ってくれた……。

忙しくて、休日にどこにも行けなくても何一つ文句言わなかった。本当にいい子だったんです……」

中田靖の目尻から涙が零れた。

中田靖はこちらを向いて車を発進して欲しいと言ったので、それに従って車を発進させた。

サイドミラーから後ろを見ると、中村大地の母親は必死な顔で何か訴えていたが、周囲の雑音にかき消されて聞こえなかった。

「度々すいません。少し用意して欲しいものがあるんです」

「ええ、いいですよ。何でも仰って下さい」

私は中田靖を中村大地の居る部屋に入れてから、中田靖に指定されたものを準備することにした。

中田靖がそれを用意するように言ったのは、きっと彼なりの優しさなのだろうと私は思う。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 20:55:00.43 ID:H8VpvWMLo
うっかり死なせたなら迷うのもわかるが、
金属バットでボコボコってイジメの範疇超えてるし悩むだろうか
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/21(金) 20:56:27.64 ID:9t2ZJ9VMo
短いですがここで今日は終りになります……。
テンポが悪かったり、間違いが合ったりと色々申し訳なく思っています。

テンポに関しては自分は、遅筆で書いている時にどうしてもモチベーションが保てない弱い人間なんです。
誰かに評価してもらえないと、きっと完結までもってけないと思い、投稿し始めた次第になります。
完結はいつ頃になるかは分かりませんが、文章がおかしくなったり、
モチベーションが死んだりしない限りは投稿を続けたいと思っています。
長くなってしまい申し訳ないです……。

それでは。また次の投稿の時に
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 22:46:10.95 ID:QvqVyE0ro
待ってる
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