【安価】勇者「姫様が魔王に拉致されたって?」

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297 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/06(日) 00:49:08.10 ID:fogTWbbu0
霊長の殺戮者「金剛石のように身体を硬化させることができます。でも、これを発動したが最後、元の肉体には戻れない」

底野「どうして戻れないと分かるんだ」

霊長の殺戮者「教えてもらったんです。那須の宿で、弁太郎おじさまからこっそり。使いどころが重要だって」

底野「安心しろ、お主にその能力は使わせない。拙者の刃だけで事足りる。お主は安全な場所へ避難するんだ」

霊長の殺戮者「いえ、兄様についていきます」

底野「最後の警告だ。これに従わねば、お主などいないものと見なす。忠告も聞けぬ阿呆など、面倒見切れぬゆえ」

霊長の殺戮者「阿呆と思われようとも構いません。私は兄様のために、この命を差し出すつもりです」

彼女の宣言を最後まで聞かずに、拙者は無言で駆け出した。もちろん、全速力で。
298 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/07(月) 17:44:42.95 ID:xZVyvk3/0
底野「義経様! 義経様は何処におられる!」

地獄のような目に遭わされても、義経は自分と霊長の殺戮者を救ってくれた命の恩人でござる。牛の突破力を活かして、館のありとあらゆる場所を探し回った。そして、一番奥の部屋で腹を斬ろうとしていた義経様を見つけたのでござるよ。

底野「何をなさる! 戦の場で大将が自害なさるなど、もってのほか。まだ表で必死に闘っている兵に申し訳が立たぬと思いませぬか!」

源義経「底野、今の今までどこに行っていた! 私はお前が……お前が討ち取られたものだと……」ウルッ

底野「ざっと館の中を走ってきたのですが、義経四天王の姿はなく、あるのは屍の山ばかり。一体、どうなされたのですか」

源義経「藤原泰衡。私らを匿っていたはずの泰衡がいきなり攻めてきたのだ。多分、兄上から圧力を受けて保身に走ったんだろう。なんと下らない男よ」

底野「拙者は、泰衡よりも下らぬ男を知っています。彼奴は、我が愛しの妹を見知らぬ男へ売ろうとしました」

源義経「何のことだ」

底野「……あの男を信じた拙者が馬鹿だったのです。逃げましょう、義経殿。どんな形であれ、あなたは命の恩人ですから」

源義経「そ、そうだな。ここから北に衣川と北上川の合流地点がある。そこに私が遊覧用に作った小振りの舟が一艘あるんだ。それで、蝦夷まで行こう」

底野「いえ、それではいけません。頼朝はあなたを殺すため、日本中に早馬を出しているはずです。あなたはどこへ行っても、死ぬ以外に道はないのです」

源義経「では、私はどうしたらいいんだ! やっとお前という良き夫を手に入れたのに、死んでしまっては全てが終わりではないか!」

底野「日本が危険ならば、海を渡り海外へ逃げるまで。しかし、今は目先の問題に集中です。義経様、あなたならどのようにこの局面を切り抜けますか?」

源義経「>>299
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 17:53:02.87 ID:QS3mAI8i0
あれがあった…ぷにぷにクリスタル

ぷよぷよではない
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 17:53:50.31 ID:rr+jEENno
ここまできてくれただけで十分だ。私が囮になるからお前達は逃げろ
301 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/07(月) 23:07:52.07 ID:xZVyvk3/0
義経様は腕組みをしたまま考えていらっしゃったが、ポンと手を叩くと嬉しそうに叫んだ。

源義経「あれがあった……ぷにぷにクリスタル」

底野「ぷよぷよクリスタル?」

源義経「『ぷにぷに』クリスタルだ。ぷよぷよクリスタルと対を成す、鋼の如く堅固な水晶」

義経様が懐から取り出したそれは、雨粒のように透明で、仄かな光を放っていたのでござる。拙者は頭がくらくらした。弁太郎に続き、義経様も不思議な水晶体をお持ちになっている。自分だけ話についていけてない、妙な孤独感がぞわぞわ足元から這い上がってきた。

底野「ぷよぷよクリスタルで、何をするつもりなのです」

源義経「ぷにぷにクリスタル自体に特別な力はない。ただの媒介だ。強制的に共鳴し、秘めた力を覚醒させるためのね」

底野「まさか、それって……」

キィイイイイイイン

霊長の殺戮者「あううう……うああああああッ!!」ガクッ

底野「霊長の殺戮者ッ! どうしてここまで……。義経様、そのぷにぷにクリスタルを懐に隠してください!」

源義経「ぷにぷにクリスタルと共鳴した者は、史上最強の戦士『ぷにぷに君』となる。そう、最澄の守護国界章には書いてあった」

底野「早くそのクリスタルを止めろってんだよ!」

源義経「ひいッ」ビクッ

霊長の殺戮者「兄様……ぐッ……どうか怒らないで。兄様に助けられたこの命……元より使い道など悟っておりました……」ピキッピキピキピキィ

底野「お主、もうこんなに手足が硬くなってしまって……。やめろ、やめてくれ! お主はまだ拙者との約束を果たしていないだろう!」

霊長の殺戮者「や……く……そ……く……」

彼女の血の通った柔らかい身体が、無機質な冷たい水晶へと変わってゆく。拙者は魂だけは離すまいと、霊長の殺戮者を強く抱きしめた。

底野「そうだ。拙者がお主を娶るという約束だ。まさか忘れたわけではあるまい」

霊長の殺戮者「……に、い、さ、ま」

底野「なんだ」

霊長の殺戮者「ご、め、ん、な、さ、い」

底野「……!」

拙者が世界で最も愛した妹は、水晶の枝豆となり音もなく地面に転がり落ちた。

302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 06:22:43.89 ID:+6DblcTJ0
はよ
303 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/14(月) 11:55:25.27 ID:P7jAlVgW0
〜始まりの街・喫茶店〜

底野「……そうして、拙者は霊長の殺戮者を残して逃げてきたわけでござるよ。結局、愛する者を一人も守ることができなかったのでござる」

ターバンの老人「生き残るためとはいえ、辛い選択じゃったろう。無言で相席をしてきた時は『なんだこいつ』と思ったが、そういう事情があるのならば致し方ない。ここはわしの奢りじゃ。なんでも好きなものを頼むといい」

底野「かたじけない。されど、拙者は行かねばならぬ。そろそろ集合の時間であるゆえ」

ターバンの老人「ところで一つ気になったんじゃがの。義経とやらはどうなったのじゃ」

底野「さあ……。妹が『ぷにぷに君』になったのを見届けた時から、拙者の記憶がプツンと途切れてしまっているのでござる。なぜ拙者が大軍から逃げてこれたのかも、弁太郎や義経様がどうなったのかも、まったく分からない……覚えていないのでござる」

ターバンの老人「フム……最後にもう一つ。これは質問でなく忠告じゃ。お前さんが腰に差している刀。ただならぬ妖気を感じる」

底野「悲愴のことでござるか? 確かに、魔力は宿しておるがそこまで危険だろうか」

ターバンの老人「ああ、そうだとも。いずれその刀は、お前さんを喰らうじゃろう。せいぜい、気を付けることだ」

底野「御老人、あなたは一体何者でござるか?」

ターバンの老人「何者でもよかろう。わしに構わず早く行け。集合に遅れたら面倒なことになるんだろう?」
304 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/14(月) 16:17:32.04 ID:P7jAlVgW0
〜噴水広場〜

吟遊詩人「水筒に携帯食にパイザにハープに……よし、魔王討伐のための装備は揃ったぞ!」

ぷにぷに君「しっかし、アタシの偽物が暴れてるだなんて信じられないわねぇ」

吟遊詩人「僕が修道院で出会った『ぷにぷに君』がおそらく魔王なんじゃないかな。どんな生物にも姿を変えることができる厄介な野郎だ」

べート―ベン「Yeah! 皆サ〜ン、待ッテテクレタノデスネ〜!」

吟遊詩人「3分遅刻だよ」

ぷにぷに君「アンタ、底野見なかった? まだ来てないんだけど」

ベートーベン「底野サン? ドッカノ喫茶店デ、ターバンの老人ト一服シテマシタヨ」

吟遊詩人「あと10分だけ待って、来なかったらその喫茶店に行ってみよう」

底野「お〜い、吟遊詩人殿! 遅れて誠に申し訳ない、準備は整ったでござる!」

吟遊詩人「噂した傍からやってきたよ。まぁ、これで全員揃ったわけだし旅立つとしますか。そうだなぁ……みんな、どこへ行く?」

ぷにぷに君「>>305あたりはどうかしら」


305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 16:24:23.63 ID:pWiDcBAm0
アルティメット森
306 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/14(月) 16:40:18.70 ID:P7jAlVgW0
ぷにぷに君「ここから『心優しき川』に沿って数キロ北上した先に『アルティメット森』があるわ。初心者のレベル上げにうってつけの森よ」

吟遊詩人「アルティメット森……なんだか人の名前みたいな森だね。僕、まだレベル1なんだけど太刀打ちできるかな?」

ぷにぷに君「アンタは後方でハープ支援がメインになるでしょうね。アタシとアルビノ侍がアタッカー、アンタがサポーター、そして怪しい音楽家が……」

ベートーベン「オブザーバーデスネ!」

ぷにぷに君「アンタにはヒーラーを担当してもらうわ。街で買い占めた薬草やら軟膏があるでしょ」

ベートーベン「戦闘ニ参加シナケレバナラナイトハ……トホホ……」

こうして4人の役割分担は済んだ。
馬車に乗り込み、北の大森林帯『アルティメット森』を目指すこととなる。

御者「ひ、ひいい! 枝豆が歩いてるッ!!!」

光り輝く巨大な枝豆を見て、馬車の御者は腰を抜かした。小便で濡れた股間に、運賃の札を押し付ける。御者はおそるおそる札を手に取って、ニへラニへラと引きつった笑みを浮かべた。

御者「な、なんだぁ……お客さんなら早く言ってくださいよ。殺されるかと思いやしたぜ……」

ぷにぷに君「アルティメット森まで飛ばしな」

御者「アルティメット森? あんなおっそろしい魔族の巣窟に何しに行くんで」

吟遊詩人「レベルを上げに行くんです。初心者の狩場としては最適だと聞いたのですが」

御者「馬鹿言っちゃいけねぇな。>>307が来てから、アルティメット森は変わった。あの場所はアルティメットハードモードとも言われる、熟練者殺しの地獄だぜ? それでも良いなら、お連れするがよ」
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 16:41:49.42 ID:ZW7mk+ZY0
仮面ライダー
308 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/14(月) 17:00:55.91 ID:P7jAlVgW0
乳白色の朝靄に包まれた草原を、一台の馬車が風に乗って駆け抜ける。

御者「仮面ライダーが来てから、アルティメット森の魔族に変化が現れたんでさ。姿を隠すようになったというか、ゲリラ戦法を好むようになったんでがす」

底野「仮面ライダー、とは何者でござる?」

御者「バッタのような仮面をかぶった超人のことでさ。いや、ひょっとしたら本当に首から上がバッタなのかもしれねぇが」

御者「お客さん達、バッタの仮面を見たら即逃げることをお勧めしますぜ。奴の脚力をいなせた冒険者は、過去に誰一人としていない」

ぷにぷに君「バカバカしい。ただのバッタの妖怪じゃないか。アタシは真っ向勝負を挑むつもりだけどな」

ベートーベン「怖イデスネー。ライダーパンチ! ライダーキック!」ドタドタ

吟遊詩人「ベートーベンさん、馬車の中で暴れないでくれよ! そんなことしたら、うわあああ!」

ドンガラガッシャーン

馬車が壊れて4人は外に放り投げだされた。猛り狂った馬が車体を引きずり崖下へ落ちていく。

底野「やってしまったな……。ここからアルティメット森まで、徒歩で行けというのか」

ぷにぷに君「いいや、その必要はないね。もう、アルティメット森についたようだから」

4人の前にそびえる、クヌギの森。樹々の隙間から、誰かに除かれているような気がする。

ぷにぷに君「侍、剣を構えな。チームを守れるのは、アタシとアンタしかいないんだ」

底野「承知した」

吟遊詩人「その言い方はないんじゃないですか。僕にだって、チームを守る力があります」

ぷにぷに君「ほう? それじゃアンタに何ができるっていうんだ」

吟遊詩人「>>309
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 17:03:26.15 ID:pWiDcBAm0
スクルトの歌(Lv1500)
310 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/14(月) 17:13:19.59 ID:P7jAlVgW0
吟遊詩人「僕には土下座で味方の攻撃力を上げるだけでなく、スクルトの歌(Lv1500)で肉体をダイヤモンド並みにカッチンコッチンにできます」

ぷにぷに君「アタシには不要の特技みたいだね。他の2人はどうだい? スクルトの歌、欲しいかい?」

底野「吟遊詩人殿、肉体が硬くなると関節も硬くなってしまうのでござるか?」

吟遊詩人「ええ、硬くなります」

底野「それでは、動けないまま削られるのを待つ運命になってしまうではないか!」

ベートーベン「デデデデ〜ン、鼻カラ牛乳ガ噴キ出シソウナ程、使エナイ能力デース」

吟遊詩人「でも、敵の攻撃を緊急回避で防ぐには……」

ぷにぷに君「魔法の詠唱に何秒かかると思ってんの。やっぱり、アンタを前線で闘わせるわけにはいかないわね」

吟遊詩人「そんな……ひどい、ひどすぎる! お前らなんかきらいだ!」ダッ

ぷにぷに君「あっ、ちょ、待ちなさい!」

底野「詩人殿、単独行動はマズいでござるよーッ!」

ベートーベン「クク……これで一人脱落か……」

吟遊詩人は森の中に突っ走ってしまった。

311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 00:17:25.68 ID:b7Kv4RFZ0
飽きたなら適当に完結させちゃえ
312 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/08/23(水) 14:25:39.48 ID:K2RkbOCv0
申し訳ない
明日から再開します
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 00:09:59.97 ID:YfCICqavO
やらねーなら依頼出せや
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/30(月) 18:28:34.38 ID:FX5Rg0orO
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