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【安価】勇者「姫様が魔王に拉致されたって?」
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211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 00:55:34.92 ID:IQGG+dQmO
緊張してるから
212 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/26(水) 09:00:33.22 ID:bZBqpDlmO
宰相「陛下、奇妙な輩が城内に侵入しておりまするが」
王様「奇妙な輩とは?」
宰相「吟遊詩人にダイヤモンドの枝豆、着流し姿のアルビノ侍に頭髪が乱れた音楽家らしき中年男性です」
王様「ぬうぅ、宰相よ! 朕の代わりに彼奴らの対応をせよ。朕は緊張のあまり肩が脱臼してしまいそうじゃ」
宰相「かくいう私も先程から膝の震えが止まりませんで……」
王様「ええい、たかが民と面接するだけじゃ言うに、何をそこまで恐れる必要があるか。宰相であれば、毅然とせよ」
侍従に連れられ、吟遊詩人以下四名が謁見の間に到着した。
跪き、挨拶の定型句を述べる。
吟遊詩人「陛下、あなた様に神の恵みがありますように」
王様「そう畏まらんでよい、面を上げよ」
吟遊詩人「僕達がここへ参ったのは……」
王様「待て、当ててみせよう。魔王を討伐するので、その後押しをしてほしいといったところじゃな?」
吟遊詩人「お分りなのですか?」
王様「城を訪れる冒険者は皆、口々に魔王討伐のための後援を求める。主に金銭面じゃな。数十年に渡り、朕はそういった勇敢な冒険者に国庫を開いてきた」
王様「しかし、誰一人として魔王を倒し凱旋する者はなかった。実力が足りなかったからだ。そもそも、魔王討伐へ行かずぬくぬく暮らしている輩もいるやもしれん」
吟遊詩人「違います! 僕達は……!」
王様「それゆえ、朕は貴様らを試す。魔王と闘うに値する力と勇気を兼ね備えておるか、見せてもらおう。まずは……そうじゃな
>>213
」
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 09:40:46.21 ID:YqAmoCrZ0
このグレイテストダークドラゴンとたたかってもらおう
214 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/26(水) 09:59:34.73 ID:bZBqpDlmO
王様「このグレイテストダークドラゴンと闘ってもらぶッ」ペチコーン
王様が言葉を紡ぐ前に、背後から突進してきた影が鞭のようにしなる尾で王様の背を強く打った。王様は前転する形で吹っ飛ばされ、大理石の円柱に頭をぶつけて動かなくなった。
宰相「王様ァ! ぐえッ!」バシーン
でっぷり太った宰相が鞠のように跳ねていく。
謁見の間での異変に気付いたのか、すぐさま数人の近衛隊が駆けつけた。
近衛隊長「グレイテストダークドラゴンは文字通り、テストをするための試験体だ。主人に牙を剥くなどありえない!」
近衛隊長「おい、しっかりニンジンは与えたのか! 餌を与えられず空腹で機嫌が悪いのではあるまいか!?」
近衛隊員A「ニンジンは毎朝与えております! 今朝も美味しそうにムシャムシャと食んでおりました!」
近衛隊長「くう……どうすればよいのだ」
吟遊詩人の行動
>>215
ぷにぷに君の行動
>>216
底野御前の行動
>>217
ベートーベンの行動
>>218
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 10:00:53.07 ID:YqAmoCrZ0
土下座の舞
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 10:01:35.54 ID:LFz3E8wJO
ぷにぷに拳で一撃粉砕する
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 10:03:06.24 ID:VQWWqCzmO
脇目も振らず逃げる
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 10:04:25.52 ID:BGju+NCdO
本性を現しクククッ・・・と笑い始める
219 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/26(水) 17:21:57.52 ID:gqtQRTQ7O
吟遊詩人「僕には重い武器を扱う腕力は無いし、かといって俊敏な動きをできるほど運動神経がいいわけでもない」
吟遊詩人「でも、僕には音楽がある。音楽の力を今こそ見せつける時だ」
彼はハープを嵐のように掻き鳴らし、聞く者全てを圧倒する『ハープソナタ(土下座)』を奏でた。吟遊詩人が指を動かすごとに、音色が衝撃波となって周囲の調度品を震わせる。見る人によっては、まるで静まり返った湖に波紋が広がるような印象を受けるだろう。
吟遊詩人「そこへ味方を鼓舞するためのハープ舞踊『土下座の舞』を加えるッ!」
タン、タタンとリズムを取って足踏みをする。グレイテストダークドラゴンは小柄な体躯によらず動きが緩慢なため、まだリズムを取り続けてもいいはずだ。土下座をする前に踊れば踊るほど、ダンスの効果は倍増する。
吟遊詩人「いかに土下座までの時間を有効的に使うかが問題だ! ま、よくある溜め技みたいなものさ」
グレイテストダークドラゴンの口がヌラァと開く。喉の奥に見える炎の揺らぎ。あちらも火球ブレス、つまり溜め技を使ってくるようだ。
吟遊詩人(そろそろ頃合いかッ)
吟遊詩人はハープを弾く手を止めると、宙へ跳び上がり、くるくる回って土下座を決めた。額を床にしっかりこすりつけ、両手両脚は肩幅に開き、すみませんでしたと絶叫する徹底ぶりである。
ぷにぷに君「これが土下座の舞……なんて恥ずかしい技なの! けど、不思議と全身が滾ってくるわ!」
ベートーベン「ククク……。ハハハハハハハァ!!!! ハーッハッハッハハハハァ!!!!!!!」
220 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/26(水) 19:30:36.81 ID:gqtQRTQ7O
吟遊詩人「ぷにぷに君、底野さん! 奴が火球を放つ前に、攻撃をしかけてください! 底野さん……底野さん?」
底野御前「あんなのに勝てるわけないッ。一時退却せねば全滅は免れないでござるぞッ」シュタタタタ
吟遊詩人「に、逃げているッ! それも全力で!」
ぷにぷに君「チッ使えない侍ね。結局、使えるのは詩人とアタシしかいないってワケ? やんなるわぁー」
グレイテストダークドラゴン「ギュルオオオオ!」
グレイテストダークドラゴンのエリマキがバッと一斉に開かれた。火球を放つ際、グレイテストダークドラゴンは自身への被害を受けないようにエリマキを広げる。瓦礫を避けるために編み出した、生命の神秘と言えよう。
ぷにぷに君「この大トカゲ、覚悟なさいよ。一撃必殺のぷにぷに拳法で片をつけてやるわ」
ぷにぷに君が両拳を突き合わせると、その異常な筋力を証明するかのように火花が激しく散った。ぷにぷに君は筋肉を持たない。けれども、体内に満ち溢れる魔力が筋肉の代わりにぷにぷに君を最強のクラッシャーに仕立て上げているのだ。
ぷにぷに君「アンタの身体、ぷにぷにしてるかい?」
グレイテストダークドラゴン「オオオオオオオオオオオオ!」
ドラゴンの放った火球は床を抉り進み、ぷにぷに君に着弾した。だが悲しいかな、彼女のダイヤモンドボディには傷一つ与えられない。5000兆カラットの硬さは伊達ではない。
ぷにぷに君「甘いんだよハゲッ!」
ぷにぷに君の必殺ブロー!
頭を失ったグレイテストダークドラゴンは地に伏した。
ベートーベン「ククク……。やるねぇ、あの枝豆……」
221 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/26(水) 20:04:49.63 ID:gqtQRTQ7O
近衛隊長(たった四人でグレイテストダークドラゴンを倒すとは。このパーティー、きっと只者ではあるまい)
近衛隊長「ありがとう。君達の応援に感謝する。おかげで陛下を寝室へと運ぶことができた」
近衛隊長は金色に輝く平板状の小物を吟遊詩人に手渡すと、
近衛隊長「王のパイザを与えよう。このパイザがあれば、どの宿屋も無料で君達を泊めてくれる。関所での身分証明も不要だ。魔王討伐、頑張れよ」
吟遊詩人「ありがとうございます! 陛下の許可無しに頂いてしまってよろしいか、不安が残りますが……」
近衛隊長「ところで君達も町で耳に挟んだろうが、姫様が魔王に拉致された。魔王を討伐するなら、姫様の救出も頼みたい」
吟遊詩人「姫様が魔王に拉致されたって? 本当ですか?」
近衛隊長「ウム。陛下は職業体験という名目で、半年前から姫様を修道院へ押し込めていてな。今回、魔王はその修道院をピンポイントで襲撃した」
吟遊詩人(もしや、僕を助けてくれたシスターが……)
近衛隊長「昨夜、修道院でガラスの割れる派手な音があったと聞いてね。駆けつけた時には、どこにも姫の姿はなかったよ」
吟遊詩人「やはり、そうだったのか」
近衛隊長「どうしたのかね? 知っていることがあれば、遠慮なく話してくれ給え」
吟遊詩人「いえ、何でもないです。命に代えても、姫様をお助け致します。僕には心強い味方がおりますし」
ベートーベン「……」
222 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/26(水) 20:20:28.87 ID:gqtQRTQ7O
〜城下町〜
吟遊詩人「よし、ここらで自由行動といこう。各自、出立へ向けて準備を進めておいてくれ」
ぷにぷに君「いきなり自由行動? 頼りない勇者ねぇ」
底野御前「承知致した!」
ベートーベン「ワカリマシター」
誰に密着するか安価下
@吟遊詩人
Aぷにぷに君
B底野御前
Cベートーベン
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 20:29:44.68 ID:QV0nad1N0
3
224 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 15:11:31.90 ID:9jSPFaZyO
拙者の名は底野御前(そこの・おまえ)。剣豪で知られた下野守、底野手前(そこの・てめえ)の跡取り息子。順当に行けば、父上の臣下として下野守の位を継ぐはずでござった。
しかし……。
父親「このバカ息子がッ! なぜ人柱の首を斬り落とすことができんのだ!」
底野「申し訳ございません。人柱が治水のために必要なのは百も承知でございます。然れども、拙者は血を見るのが恐ろしく……」
父親「刀を振れば血が流れることぐらい、年端もいかぬ稚児でも分かっておるわ」
父親「よいか、貴様には負担がある。髪が白く瞳の紅い『鬼子』という身体負担じゃ。風習に従えば、貴様は生まれてすぐ捨てられる運命だったのだぞ」
底野「承知しております。厳しい世を生き抜くために、父上が拙者に剣術の稽古をつけて下さったことも」
父親「恩義を感じているな? では人柱の首を斬れ! 川の神は若い娘の新鮮な血肉を欲しておる」
底野「はい!」チャッ
少女「うぐっ……うえぇん……ひっく……」
底野(無理だ……死を覚悟した武士ならまだしも、歳も五つほどしか違わない娘を斬れるはずがない! 拙者には無理でござる!)
拙者は刀を鞘に収めると、少女の手を引いて一目散に父上のもとから逃げ出したのでござる。父上に叱られるのは怖かった。けれども、転がった少女の生首と流れる血を見る方が何倍も恐ろしかったのでござるよ。
225 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 16:07:48.30 ID:9jSPFaZyO
拙者と少女はすぐに追いかけてくるであろう追捕人の目を欺くために、誰も近寄りそうも無さそうな葦だらけの橋下に身を潜めたのでござる。
底野「足は痛むでござるか?」
少女「ううん」
底野「何か食べたいものは?」
少女「ううん」
底野「名前は?」
少女「ううん」
底野「ううん、だけじゃ分からないでござるよ? もしかして、名前が無かったり……」
そこで初めて少女は頷いた。農民よりもさらに下層の隷属民には、名を持つ権利すら与えられない。哀れに感じた拙者は今すぐ彼女に相応しい名前を考えた。
少女の名前
>>226
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/27(木) 16:16:24.68 ID:Ci5WulhtO
霊長の殺戮者
227 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 16:27:42.01 ID:9jSPFaZyO
底野「霊長の殺戮者は如何でござろう!」
少女「……んぇ?」
少女はキョトンとしたまま、拙者を見つめていた。どうやら、言葉を知らないらしい。見た目は6〜8歳ほど。拙者は今年で14になるので、兄妹として通るでござろう。
底野「日も暮れてきた。拙者は町で食べ物を盗んでくる。霊長の殺戮者、しっかり橋下に隠れているのだぞ」
言葉が通じないので、とにかく笑顔を作り敵でないことを示した。どうして地位や名誉を捨ててまで、拙者は霊長の殺戮者を守ったか、自分の心に問うても答えは出ない。きっと、父上という魔王から囚われの姫様を助けた気分になっていたのだろう。いわゆる、自分に酔っていたのでござる。
底野「明日から日本語の特訓を始めないといけないでござる」
盗んだ飯
>>228
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/27(木) 16:29:23.81 ID:aFuifEBsO
ぷよぷよクリスタル
229 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 16:42:42.71 ID:9jSPFaZyO
拙者は近くにあった平屋建ての民家に忍び込み、主人が眠っているのを確認して壺の中をまさぐった。こういう所には大抵、鮭の糠漬けが入ってたりするモンでござるよ。
底野「な、なんでござるか? これは」
拙者が手にしたのは、ぼんやりと光るぷよぷよした透明の塊だったのでござる。まるで水をそのまま固めたような、金魚鉢のない水槽のような……面妖でござった」
>>230
「へへッ、そいつぁぷにぷにクリスタルだね。鎌倉では滅多に手に入らないお宝さ。この世でぷにぷにクリスタルを持っているのは、僕と九郎判官源義経様と平清盛だけだね」
底野「民家に隠しておいたのでござるか?」
>>230
「ご明察、痛み入るよ。ぷにぷにクリスタルは貴重な食べ物だからね。夜はクッソ汚い民家に隠しておいて、月が沈んでから回収に赴くのさ」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/27(木) 16:43:34.70 ID:9jSPFaZyO
ぷにぷにじゃない
ぷよぷよだった
安価下
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/27(木) 16:44:51.85 ID:BLKanWS7O
ベートーベン(変装)
232 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 17:03:55.62 ID:9jSPFaZyO
〜橋下〜
霊長の殺戮者「んにゅー」ピューヒョロロ
ベートーベン(変装)「へ〜、この娘が人柱になりかけたんデースか? 意外と愛くるしい顔つきをしてマースね」
底野「ところどころ語尾がおかしいでござるよ」
ベートーベン(変装)「おっとっと、ソーリーソーリー! 乳酸が溜まると訛りが酷くなるクセがあってね。義経様からも散々からかわれたものさ」
民家で出会った奇妙な男を連れて、とうとう橋下まで来てしまった。霊長の殺戮者は毟った葦で笛を作っていた。逃げ出したりしていなくて、心底安心したでござる。
ベートーベン(変装)「ぷよぷよクリスタルでバーベキューをしよう。おい鬼子、刀は持ってる?」
底野「鬼子と呼ぶのはよせ!」
ベートーベン(変装)「いやだってアルビノやん……。オーケーオーケー、逆鱗にタッチしてしまったみたいデスネー。おっとまた乳酸の具合がHAHAHA☆」
底野「聞きたいことが二つあるでござる」
ベートーベン(変装)「言ってみそ」
底野「まず一つ目、お主の名を伺いたい。次に二つ目、その『ぷよぷよくりすたる』を食せば本当に腹は膨れるのでござるか? 妖に変化してしまうわけではあるまいな?」
ベートーベン(変装)「名前? そんなの米東家の弁太郎と聞いて知らない人はいないでしょ。米東弁太郎(べいとう・べんたろう)だよ。二つ目は……
>>233
」
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/27(木) 17:09:52.80 ID:+T0avraRO
そこの女子で試してみるとしようか(無理やり食わせる)
234 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 17:27:40.59 ID:9jSPFaZyO
ベートーベン(変装)「喰ったらどうなるか? そこの女子で試してみるとしよう。実は僕も食べたことがない」
葦笛を吹いている霊長の殺戮者の首根っこを引っ掴み、弁太郎はぷよぷよクリスタルの欠けらを無理やり嫌がる彼女の口に捩じ込んだのでござる。
霊長の殺戮者「んッ! んんんッ……!」ジタバタ
シュワー
霊長の殺戮者「ふぐ……ふぐううぅ!」ポロポロ
ベートーベン(変装)「ハハッ、失禁したよコイツ! しかも凄い量だ、ずっと我慢してたんじゃないかな!? 興奮するゥ〜!」
底野「黙れ」
その時、拙者は我を忘れて弁太郎に切っ先を向けていたのでござる。婦女子を嬲る者が許せなかった。とりわけ、嬲られているのが霊長の殺戮者とあればなおさらだ。
ベートーベン(変装)「へェー、闘る気? まだ、ぷよぷよクリスタルの効果も見てないんだぜ」
底野「そんなもの関係ない。拙者は貴様を斬る! 婦女子を痛めつけて愉悦に浸るのは悪魔の所業だ!」
霊長の殺戮者「……ちゃん」
ベートーベン(変装)「落ち着けって、僕だって君を首だけにしたくないんだ。頼むよ、刀を鞘に収めてくれよ」
霊長の殺戮者「おにい、ちゃん」
底野「えっ?」
235 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/27(木) 20:28:51.87 ID:iVv/VjeqO
霊長の殺戮者「おにいちゃん、ここで暴れてはだめ」
拙者は驚きのあまり魂が天竺までブッ飛んで行きそうだったでござる。何故かって? 考えてみたら分かるでござろう。言葉を殆ど知らない獣のような少女が、いきなり流暢な日本語を喋りだしたのだから。
底野「お主、話せるようになったのか? それとも、最初から言葉を話せていたのか? 思考が追いつかないでござる」
ベートーベン(変装)「ハッ! ハハハハハハ! こいつぁー、傑作だ! ぷよぷよクリスタルに言語学習能力まであるなんてさぁ……驚きだよねぇ」
底野「霊長の殺戮者、どうして話せるようになったんだ?」
霊長の殺戮者「分からない。あの変なぷよぷよを食べたら、頭の中に沢山の言葉や知識が詰め込まれて……」
ベートーベン(変装)「なるほどなるほど。それで脳が絶頂を迎えて失禁したんだね」
底野「不埒な発言をするなッ!」
ベートーベン(変装)「へいへい、了解デース」
霊長の殺戮者「あれ? 私ったら、おもらししてるぅ///」カアァッ
底野「心配御無用。すぐ拙者の袖で拭くでござる」ビリ
ベートーベン(変装)「溺愛してるねぇ……」
236 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 08:55:22.68 ID:DfiwsRrFO
ミーンミンミンミンジー
ミーンミンミンミンジー
ベートーベン(変装)「蝉うるさッ」
底野「お主、本当に付いてくるつもりでござるか? 拙者達は行く宛のない放浪者。いつ捕縛されるかも知れたものではない」
ベートーベン(変装)「行く宛なら、ある。僕が奥州の義経様に君達のことを伝えてやるよ。義経様も鎌倉幕府から追われた身。受け入れてくれると思うよ」
底野「奥州といえば、ここから歩いて何日かかるのだ」
ベートーベン(変装)「ざっと半月くらいかねぇ。そんなにはかからないかな? 三ヶ月くらい?」
底野「そんなにかかるのでござるか!? 拙者は良いとしても、霊長の殺戮者には厳し過ぎる旅路」
ベートーベン(変装)「厳しくても、行かなきゃいけない。いずれ、鎌倉中が洗いざらい探索される。この橋下も間違いなく人が踏み込むこととなるんだぜ」
底野「そ、そんな。それは困る」
拙者に選択肢は無かったのでござる。
237 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 09:06:23.81 ID:DfiwsRrFO
底野「ところでお主、何をしてるでござる」
ベートーベン(変装)「知人のモーツァルト氏から曲というか、歌詞の推敲を頼まれてね。あの天才にしては珍しい」
底野「歌詞とは……?」
ベートーベン(変装)「良かったら、一緒に考えてもらえる? 『俺の尻を舐めろ』って曲なんだけど」
〜俺の尻を舐めろ〜
作詞・作曲 ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
推敲 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン 底野御前
俺の尻を舐めろ 陽気に
>>238
>>239
を言っても仕方がない
>>240
ても仕方がない
本当に
>>241
だよ
だから陽気に楽しくいこう
俺の
>>242
を
>>243
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 09:08:39.72 ID:Toa1V8gw0
集団自殺
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 09:10:59.11 ID:EA59cQQFO
お世辞
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 09:43:01.95 ID:qScWLb68O
パラドクス
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 10:07:48.13 ID:Toa1V8gw0
ゲリラ豪雨
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 10:28:08.88 ID:7oEsjvtzO
愛
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 10:39:47.42 ID:qLu6nydSo
疑え
244 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 10:58:20.35 ID:DfiwsRrFO
俺の尻を舐めろ 陽気に集団自殺
お世辞を言っても仕方がない
パラドクスても仕方がない
本当にゲリラ豪雨だよ
だから陽気に楽しくいこう
俺の愛を疑え
ベートーベン(変装)「なるほどね、ご協力感謝しよう」
底野「この歌に意味はあるのか……」
ベートーベン(変装)「あるともさ。まず最初の『陽気に集団自殺』が壇ノ浦で浄土を夢見て入水した平家を示唆。次の『お世辞を言っても仕方がない』が猜疑心たくましき源頼朝に媚びへつらう臣下を示唆」
ベートーベン(変装)「『パラドクスても仕方がない』は義経様が鵯越で「鹿が行けたから馬も行ける」と言ったことに由来するね。『本当にゲリラ豪雨だよ』は敦盛を殺害した熊谷直実にまつわる話を元にしている」
ベートーベン(変装)「つまり、この歌は他人に尻を舐めさせようとしていながら、暗に源氏と平氏の争いを歌っている軍記カノンってわけ。分かる? いや、分からないか」
拙者は弁太郎の授業を聞いていなかった。何故なら隣に座っている少女ー霊長の殺戮者のことーが、腹を抑えて苦しそうに呻き出したからだ。額に手を当てると、火のように熱い。
底野「風邪だ! こんな時に限って、風邪を引くなどお主は本当にツいていない……どうすればよいのだ」
少女を救うためにどうすべきか
>>245
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 11:03:36.81 ID:vy/6yP3UO
ベートーベンが『運命』を奏でると不思議と少女の熱は引いた
246 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 11:26:02.56 ID:DfiwsRrFO
底野「そうだ、拙者の家に風邪薬がある。こっそり忍び込んで薬を盗めばいいのではないだろうか!」
霊長の殺戮者「はぁ……はぁ……」ゴホゴホ
ベートーベン(変装)「やる気出しているところ大変申し訳ないんだけど、腰に差している刀を拝借してよろしい?」
拙者は首を振った。刀は武士の魂。刀を他者に預けるとなれば、魂を預けるも同じ。易々と手放すわけにはゆかぬ。
ベートーベン(変装)「ちょっと借りるだけさ。君は少女の風邪を治したくないのかい? 大丈夫、僕を信じて」
底野「……承知したでござる」
拙者の魂を受け取ると、弁太郎は静かに刀を抜き、奇妙な文言を呟きながら『ぷよぷよくりすたる』を峰で打った。
ベートーベン(変装)「アルマヴィーヴァ、アルマヴィーヴァ、音楽の精霊よ、私ニ才能ヲ授ケルノデース」
デデデデーン
底野「この音は!?」
デンデンデンデーン
ベートーベン(変装)「交響曲第5番、その名も運命。聞いた者の運命を180°変える力を持っていマース。おっととクセが出てしまった。気をつけないと」
底野「ただ刀で叩いてるだけなのに、ちゃんと曲になっている。様々な音が聞こえてくるでござるよ!」
ベートーベン(変装)「これで少女の命は救われマース」
247 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 12:59:12.19 ID:DfiwsRrFO
霊長の殺戮者「スゥ……スゥ……」
底野「熱が引いた、熱が引いたでござるよ!?」
ベートーベン(変装)「その娘は運命を聴いた。だから風邪で死ぬという運命から逃れられたのさ」
底野「感謝感激雨あられ……。あッ、一応確かめておきたいのでござるが、場に居合わせた拙者達の運命も」
ベートーベン(変装)「180°変わる」
底野「どんな風に変わるかは」
ベートーベン(変装)「神のみぞ知る」
底野「なんだか、決断に自信が持てなくなってきたでござる」
ベートーベン(変装)「まぁ、まだ悪い方向に物事が転じたわけじゃない。まずは、その娘を連れて奥州まで行くことだ」
こうして拙者達は米東弁太郎の案内で、源義経潜む奥州平泉へと徒歩で向かったのだ。お、そろそろ肉が焼けるでござるか? まだまだ? 吟遊詩人殿との待ち合わせも迫っていることだし、出来るだけ早く焼いて欲しいでござるなぁ。
248 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 14:08:38.55 ID:DfiwsRrFO
〜奥州・平泉〜
霊長の殺戮者「おにーちゃーん! こっちこっち〜! とっても金ピカな建物があるよ〜!」
底野「おお、すぐ参ろうぞ!」
あれから半月、山伏に扮し追っ手を免れ、やっと平泉に辿り着いたのでござる。白髪と紅眼は実に目立つ。それ故、拙者は市女笠をかぶり女性のフリまでして関所を突破した。
底野「衣装を用意してくれた弁太郎には、感謝してもしきれないでござるよ……」
ベートーベン(変装)「ようやく、ここまで来たね」
底野「もう少しで、長い旅路が終わるのでござるなぁ」
ベートーベン(変装)「いいや、平泉に着いてからが要なんだよ。今、平泉の実権を握っているのは誰か知ってるか?」
底野「藤原泰衡でござろう?」
ベートーベン(変装)「つまりそういうことさ」
底野「は?」
ベートーベン(変装)「いつ戦になっても良いように、刀の手入れは忘れるなよ。僕はそこまで面倒見れないからね」
底野「戦? あの男、一体何が言いたいのだろう」
霊長の殺戮者「おにーちゃーん! まだ来ないのー?」
底野「す、すまぬ!」
平泉への亡命が拙者と霊長の殺戮者を永久に引き離すことになるなど、その時は予想だにもしていなかったのでござる。
249 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 16:58:11.21 ID:QjOnC1OGO
〜源義経宅〜
霊長の殺戮者「今日は楽しかったねー!」
底野「うむ、途中で貰った唐菓子も甘かったしな」
霊長の殺戮者「頬っぺたが落ちそうだった!」
ベートーベン(変装)「全ては義経様次第だけど、もし許しが出たら今日からここが、僕達の家だ」
底野「義経様次第? 無理だったら如何する」
ベートーベン(変装)「他を当たる。それだけさ」
底野「随分と軽いのだな……」
ベートーベン(変装)「ところでだが、義経様は女性だ。三十路の独身女性。君のような若い男性はたとえ鬼子であろうと射程圏内ゆえ、十分注意しておくように」
底野「義経様が女性? 馬鹿馬鹿しい……が、巴御前の先例もあることだし、否定はできんな」
ベートーベン(変装)「ほら、簀子の上で日向ぼっこしているのが義経様だ。挨拶してこい」
義経の容姿
>>250
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 17:00:59.73 ID:qLu6nydSo
童顔寸胴
251 :
◆vfNQkIbfW2
[sage]:2017/07/28(金) 17:03:45.08 ID:QjOnC1OGO
ただの豚やんけ
252 :
全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる
[sage saga]:2017/07/28(金) 17:05:54.67 ID:NGldeDC60
1−1で無限レベリング瑞鳳の貧乳伊168を轟沈一歩手前に追い込む
253 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 17:27:33.81 ID:QjOnC1OGO
デカい。生の義経様を見て感じたのは、その一言だった。思えば当時の拙者は14歳。背の高さも今より3寸(約10cm)以上小さかった。圧倒されるのは当然でござろう。
底野(デカいし太いッ! あれは酒樽か? 武蔵坊弁慶の間違いではないのかッ?)
否……そんなことはなかった。顔がまだ幼さの残る少女のものだったからだ。顎の下に肉がつき手脚も丸太のように太いが、あれは九郎判官源義経に違いなかった。
源義経「ふぅー、あっつ。やっぱ夏嫌いだわー。うわ脇汗めっちゃ染みてんじゃん、弁慶に見せたら笑われそう」
底野(そりゃ、そんなに肥えてたら汗も出ますわな。近寄りたくないでござる……)
ベートーベン(変装)「おい」
底野「わっ! ……なんだ、お主か」
ベートーベン(変装)「ちょっと君に渡したい物があってさ。ほい」
底野「これは何でござる?」
ベートーベン(変装)「
>>254
」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 17:29:57.56 ID:GRU2JDo3O
妖刀「悲愴」
255 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/28(金) 19:13:28.44 ID:HxXRj1idO
ベートーベン(変装)「これは妖刀『悲愴』。君が深い悲しみや慚愧を覚えた時、最も効力を発揮する魔剣だ」
底野「どこでそんな物騒な代物を買ったのでござる!」
ベートーベン(変装)「数年前に堺の商人から買い取った。君に無料で進呈しよう。なあに、いわくつきの物を味方に渡すはずないじゃないか。安心し給えよ」ニカッ
底野「拙者、既に刀を携えているのでござるが」
ベートーベン(変装)「それは僕が預かる。預かるだけで、君が悲愴と交換したかったら、いつでも返そう」
底野「……しからば、交換といたそう」
ベートーベン(変装)「よし、一応僕も君についていくことにするよ。知人の顔を見れば、義経様も警戒を解くだろうからね。今、あの御方に必要なのは信頼できる味方なんだよ」
底野「米東、拙者はお主を見直したぞ。なかなかの忠義者ではないか。で、霊長の殺戮者の面倒は誰が見るでござる?」
ベートーベン(変装)「あ、忘れてた! 悪いが交渉頼むわ! 弁太郎の使いって伝えればいいから!」タッタッタッ
底野「前言撤回したい気分でござるよ」ハァ
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 20:27:59.78 ID:9B2pu0PS0
安価さばくのうまいな
257 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/29(土) 00:43:38.37 ID:ZrZAROhg0
急に蝉の鳴き声が大きくなったような気がした。眼前には三十路の酒樽女。後ろを振り向けば山の端に差し掛かる夕陽。茂みの裏に隠れる拙者は、いつ飛び出そうか考えあぐねていたでござる。その場に人がいなくて心底安堵した。もしいたとなれば、巨漢女を必死に垣間見る特殊性癖の男と恥ずかしい汚名を広められてしまっただろうから。黄昏時は、かえって都合が良かったのでござる。
源義経「あ、クチナシの花が咲いてる。クチナシ……クチナシの饅頭ってなんだか美味しそう……」
底野「あのう、九郎判官源義経様でござるか?」
源義経「ん? 私のことか? 誰だ、いるなら姿を見せろ。逃げも隠れもしない、私こそが九郎判官源義経だ」
義経様は拙者を追っ手と勘違いしているらしい。はったと茂みを睨み付け、刀を抜こうと頑張っているが手が柄に届いていない。
滑稽であるけれども、拙者は笑いを嚙み殺して義経様の前に進み出たのでござる。
底野「下野守底野手前の息子・底野御前でございます。この度は義経様の力添えをしたく、米東弁太郎の助けを借りて奥州まで馳せ参じた次第でございます」
源義経「へー、弁太郎も物好きだな。鬼子を私の下に連れてくるとはね。鬼子、お前は何ができる
258 :
◆vfNQkIbfW2
[sage]:2017/07/29(土) 00:44:13.38 ID:ZrZAROhg0
しまった、途中送信
259 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/29(土) 00:54:35.23 ID:ZrZAROhg0
急に蝉の鳴き声が大きくなったような気がした。眼前には三十路の酒樽女。後ろを振り向けば山の端に差し掛かる夕陽。茂みの裏に隠れる拙者は、いつ飛び出そうか考えあぐねていたでござる。その場に人がいなくて心底安堵した。もしいたとなれば、巨漢女を必死に垣間見る特殊性癖の男と恥ずかしい汚名を広められてしまっただろうから。黄昏時は、かえって都合が良かったのでござる。
源義経「あ、クチナシの花が咲いてる。クチナシ……クチナシの饅頭ってなんだか美味しそう……」
底野「あのう、九郎判官源義経様でござるか?」
源義経「ん? 私のことか? 誰だ、いるなら姿を見せろ。逃げも隠れもしない、私こそが九郎判官源義経だ」
義経様は拙者を追っ手と勘違いしているらしい。はったと茂みを睨み付け、刀を抜こうと頑張っているが手が柄に届いていない。
滑稽であるけれども、拙者は笑いを嚙み殺して義経様の前に進み出たのでござる。
底野「下野守底野手前の息子・底野御前でございます。この度は義経様の力添えをしたく、米東弁太郎の助けを借りて奥州まで馳せ参じた次第でございます」
源義経「へー、弁太郎も物好きだな。鬼子を私の下に連れてくるとはね。鬼子、お前は何ができる」
ぎりり。歯ぎしりが抑えられなかったでござる。拙者、幼き頃より鬼子鬼子と白髪と紅眼を馬鹿にされてきた故、鬼子と呼ばれるのが我慢ならないのでござった。
源義経「鬼子、顔を見せよ」
義経様と目が合った。義経様は眉を上げて「おッ」と意味のない言葉を漏らしていらっしゃった。およそ、拙者の形相があまりに恐ろしいので驚いたのだろう。後になって拙者の予想は完璧に覆されるわけでござるが。
源義経「ふふ……私に仕えたいと? 良いだろう。東の一室をお前のために空けてやる」
底野「ありがたき幸せ……。では、これにて失礼致す」
源義経「そうだ、弁太郎にもよろしく言っておいてくれ」
260 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/29(土) 12:40:30.03 ID:gpxFd09ZO
侍女に案内され、東の一室に入る。部屋の広さは六畳程度。中央に天蓋つきの寝台が置いてある。紙衾の中には綿が詰め込まれていて、見た目よりもずっとフカフカの寝床でござった。
霊長の殺戮者「うわー! ひろぉーい!」
ベートーベン(変装)「ハハッ、こりゃすごいね! どんな交渉をしたら御帳つきの部屋を与えられるんだ? 僕でさえも、こんな豪華な部屋は初めてだよ」
底野「特に何もしておらん。ただ顔を見せただけでござる」
ベートーベン(変装)「あー……そりゃあ……」
拙者は弁太郎の表情に、微かな翳りが差すのを見たでござる。そして、彼の唇が『裏があるなぁ』と動いていたのも。
ベートーベン(変装)「そういやさっき、武蔵坊弁慶殿が渡殿を歩いていたんだ。挨拶しに行ってきなよ」
底野「武蔵坊弁慶殿は、山伏なのでござろう?」
武蔵坊弁慶の容姿
>>261
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 12:45:28.57 ID:5zIJpGFXo
山と見紛う巨漢
262 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/29(土) 12:59:47.82 ID:gpxFd09ZO
ベートーベン(変装)「そうだね。しかし、ただの山伏じゃない。君と同じ鬼子だ。生まれた時に身長が7尺(約2m10cm)あったらしい。80斤(約48kg)の薙刀を軽々と振るい、人の首を斬り飛ばす悪僧というか、破戒僧だね」
底野「化け物ではないか……。人語は通じるのかね」
ベートーベン(変装)「通じるから、義経様の配下として数多の戦場を駆けてきたんだろ。多分、厩の近くで夜の稽古の真っ最中だろうから、話しかけてきたら?」
底野「承知した」
拙者は妖刀・悲愴を片手に恐る恐る渡殿を歩いていった。闇の彼方より「ハァッ!」だの「フンッ!」だの岩を砕くような声が響いてくる。拙者は生きた心地がしなかったでござる。
底野「す、すまぬ。そこの御坊、武蔵坊弁慶殿でござるか?」
弁慶「いかにも。貴殿は誰ぞ」
底野「拙者、下野守底野手前の息子・底野御前でござる。義経様の臣下となり申した故、其方にも挨拶をしに来た」
弁慶「白髪に紅眼、鬼子か……。
>>263
」
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 14:31:13.23 ID:h6XQmG2F0
アリだな(♂)
264 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/29(土) 19:56:30.05 ID:gpxFd09ZO
弁慶「引き締まった肉体、相手を見据える狼の如き強烈な眼差し。ウホッ! アリだな(♂)」
底野「あ、アリとは……?」
弁慶「小僧! 拙僧の槍を受けてみよッ!」ヒュバッ
弁慶殿の手元に一閃の光が走ったと思うと、拙者の右頬にツツー……と生暖かい液体が垂れた。手で拭ってみたら、血でござった。薄暗いので若干黒く見えるものの、舐めると確かに鼻血の味がしたのでござる。
弁慶「拙僧が敵兵ならば、貴殿は既に首となっておる」
鳥肌が立った。そりゃ人間誰しも、死を眼前に突きつけられたならば足が竦み総毛立つのは当然でござろう。拙者は悲愴を抜刀できず、ひたすら無様に逃げ回ることしかできなかった。
弁慶「そらそら、どうした! 攻めと受け、二つを両立せねば男色界ではやってゆけんぞ! 拙僧が教えてやろうか!」ヒュンヒュン
底野「男色界での心得なぞ不用でござる! くッ!」
義経様と同様、山のように身体が大きいので鈍足だと踏んでいた。しかし、その推測は間違いだったのでござる。拙者が後方に跳んで避ければ、弁慶はその分深く踏み込んで槍を突き。また拙者が樹上に身を潜めれば、するすると素早く登って蹴りを放ってくる。
弁慶「貴殿に稽古をつけねばならん。確かに基本技術は備わっているが、実戦経験が無さ過ぎる。人を斬ったことはあるか? 夕餉の後、もう一度ここへ来るのだ」
底野「少し伺いたい。お主は男色なのか?」
弁慶「拙僧は根っからの男色である。だが、日々の鍛錬と自主開発により性欲を発散させている。貴殿も見習うように」
265 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/29(土) 20:34:07.67 ID:gpxFd09ZO
義経四天王の一人・伊勢義盛殿から替えの褌と木綿の着物を頂き、拙者は蒸し風呂に入った。筵に座って溜息を吐くと、やっと安寧の地へ来たかと気が緩む。
ベートーベン(変装)「だーかーら、言ってんだろ。ここは乳と蜜の流れる地じゃあない。まだ刀槍の森の真っ只中だって」
底野「わっ! 弁太郎、お主もいたのでござるか」
ベートーベン(変装)「昔の貴族は滅多に入浴せず、香を焚いて体臭をごまかしていたらしい。くっさ!」
底野「古人の文化を否定してはならぬよ」
ベートーベン(変装)「僕はくっせーのが嫌いなんデース! あっち、疲れるとすぐこれだ。素の話し方に戻ってしまう」
底野「それなのだが、なぜ弁太郎はやたらと素の話し方を隠したがるのだ?」
ベートーベン(変装)「いやだって『〜デェース』とかめちゃんこダサい語尾じゃん」
底野「誠か? 他に理由はないのか?」
ベートーベン(変装)「おいおい、何ヶ月も一緒に旅しておいて、まだ僕を疑ってんの?」
底野「ただ気になっただけだ。お主は大事な友ゆえ……隠していることがあれば遠慮なく打ち明けてくれ。拙者は何時でも相談に乗るでござる。では、先に失礼する」
ベートーベン(変装)「……そう、きたか」フッ
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 00:31:06.94 ID:WCdpGmPz0
〜底野御前の部屋〜
霊長の殺戮者「おにいちゃん、もうご飯が運ばれてるよ。食べないの?」
底野「すまんすまん、遅くなってしまった。風呂というものはどうしてこう……気持ちいいのでござろうな」
霊長の殺戮者「私も一緒に入りたかったなー」
底野「あとで義経様と入るがよかろう。」
霊長の殺戮者「ええー。いやだってば、あの人[
ピザ
]じゃん。押しつぶされちゃうよ」
底野「ははは、あの巨漢ぶりには驚かされた」
霊長の殺戮者「ねぇねぇおにいちゃん、口開けて。はい、あーん」
底野「うむ、うむうむ。これは鮑の煮つけでござるか。奥州の料理は美味でござるな」
他の料理
>>267
>>268
>>269
267 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/30(日) 00:33:28.06 ID:WCdpGmPz0
〜底野御前の部屋〜
霊長の殺戮者「おにいちゃん、もうご飯が運ばれてるよ。食べないの?」
底野「すまんすまん、遅くなってしまった。風呂というものはどうしてこう……気持ちいいのでござろうな」
霊長の殺戮者「私も一緒に入りたかったなー」
底野「あとで義経様と入るがよかろう」
霊長の殺戮者「ええー。いやだってば、あの人デブじゃん。押しつぶされちゃうよ」
底野「ははは、あの巨漢ぶりには驚かされた」
霊長の殺戮者「ねぇねぇおにいちゃん、口開けて。はい、あーん」
底野「うむ、うむうむ。これは鮑の煮つけでござるか。奥州の料理は美味でござるな」
修正
他の料理
>>268
>>269
>>270
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 00:34:55.78 ID:9cmpHIIA0
魔王の女体盛り
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 00:36:54.59 ID:7AqxXmVoO
ジェノサイドアンデッドフィッシュの刺身(生きてる)
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 00:37:52.77 ID:z6Z3qMb1O
フグ
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 00:39:47.02 ID:vahrLNyt0
堕悪魔の生け作り
272 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/30(日) 00:51:47.20 ID:WCdpGmPz0
侍女「やあやあこんばんは、奥州の料理はいかがです。美味しいでしょ?」
霊長の殺戮者「うん! 侍女さんも食べない?」
侍女「ぜひともご一緒したいところですが、私は給仕係ですので〜。さて、男子の皆様ご注目! 世にも珍しき女体盛りの登場でございます!」
ガラガラガラガラ
底野「板の上に、裸婦が乗っているだと!?」
魔王(マー・ワン)「うぐ……ひっぐ……恥ずかしいよぉ……」
侍女「大陸出身の魔王(マー・ワン)さんにご協力頂きました。献立はフグとジェノサイドアンデッドフィッシュの刺身です!」
底野「あ、あんだて? ジェノ……」
ベートーベン(変装)「ああそれ、僕が外国から取り寄せたんだよね」
霊長の殺戮者「ひゃんッ! このお魚、生きてるよ? ピチピチしてるよ!?」
ベートーベン(変装)「ジェノサイドアンデッドフィッシュは死霊が憑いてるから、ホントは焼かないとダメなんだよね。刺身を喰うってのはフグと同じく毒にあたるかもしれない、ロシアンルーレットみたいな娯楽的側面も兼ね備えてるってわけ」
底野「よく分からぬが、霊長の殺戮者には食べさせない方が良さそうでござるな」
魔王(マー・ワン)「刺身を早く食べてください! アンデッドフィッシュのエキスが私の皮膚に……ひいいいいい!!!!」
ベートーベン(変装)「暴れない暴れない、すぐ取るからね。もう食事ってか治療になってるわ。底野、米櫃をこっちに寄こしてくれる?」
侍女「あんな腐ってる魚、よく食べられますねー。絶対腹壊すでしょ、アレ」
273 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/30(日) 23:25:05.04 ID:WCdpGmPz0
拙者は夕餉の後、庭で弁慶殿に槍術の稽古をつけてもらった。佩いているのは刀だが、槍術の立ち回りは剣術と似通ったものがあり、敵の虚を突き連撃を加える技まで習得できたのでござる。今の拙者がいるのは、父上と弁慶殿のしごきがあったからと申しても過言ではない。部屋に戻ったのは深更、宙天にぶらさがった月が最も明るく輝く時。手燭に火を灯し、帳台の中で眠る霊長の殺戮者へと近寄ったのでござる。
底野「おや、まだ寝ていなかったのか」
霊長の殺戮者「ひゃ! お化け……じゃなくて、おにいちゃん? 怖かったよぉ……」
底野「一人にさせて済まなかった。それはそうと、弁太郎の奴はどこへ行ったのだ」
霊長の殺戮者「新鮮な夜の空気を吸いに行くだとかなんとか、私を置いて外に出ちゃったんだ」
底野「はっ。相も変わらず霧のような男よ」
霊長の殺戮者「……ありがとう」
底野「どうした、いきなり」
霊長の殺戮者「あの日、人柱に選ばれた日、私の命運は尽きたはずだったの。でも、おにいちゃんが救い上げてくれた」
底野「礼なら弁太郎に言え。あやつがいなければ、拙者達は今頃どうなっていたか。拙者もお主も同じ、社会から弾かれた身なのだ」
霊長の殺戮者「大好きよ、おにいちゃん」
底野「うむ、拙者もだ」
霊長の殺戮者「私が大人になったら、きっとお嫁に貰ってくれるよね?」
底野「ははは、少しの間に随分とませおって。いいとも、約束だ。だから早く寝るのだぞ。嫌いな食べ物も残さず食べること」
霊長の殺戮者「うん」
拙者は霊長の殺戮者と指切りげんまんをした。
のそり、のそりと障子の向こう側で何かが蠢いていることも分からずに。
274 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/31(月) 00:32:31.95 ID:7dQSpKfp0
底野「さてと、弁太郎を迎えにいくか……」
ドンッ
底野「ぬおッ!?」
部屋から出た途端、拙者は横から突き飛ばされたのでござる。地面を転がる拙者の前に、黒い影が立ちはだかった。それは山のように大きく、肩で息をしながらニへラニへラと笑っていた。この屋敷で小山の如き巨躯を誇る者と言えば、弁慶様と……。
源義経「やっと見つけたぞ、私の旦那様」
底野「よッ義経様……狼藉はおやめくだされ。拙者が何をしたというのです!」ジタバタ
源義経「一目見た時から、お前をものにしたいと考えていた。鬼子など関係ない。これでようやく、私も子供が産める」
底野「子供を産む!? まさか義経様、拙者を家に招き入れたのは良き夫を探していたからでは……」
源義経「当たり前だろう。私も三十。そろそろ誰かと契らねば、女としての幸福を得られなくなってしまう」
底野「弁慶殿という立派な相手はいるではございませんか!」
源義経「私はお前のような小僧が好きなのだ! さぁ、閨へ行こう。そして日が昇るまでまぐわおうじゃないか、獣のように!」
底野「そ、それだけはご勘弁をッ……!」
義経様は拙者を太い腕で抱きすくめた。汗に濡れた肉が目いっぱいに広がる。もう背中が折れてしまいそうだった。我慢できなくなった義経様は強引に茂みの中まで引きずり込み、西瓜のように大きな乳房をでろんと出して拙者の口に当てがう。快楽など微塵も感じない。
源義経「はああぁ/// そこは、そこはだめぇ/// くうっ! いいッ!」パンパァン
接吻、性器の舐め合いと行為はどんどん過激さを増し、最終的に拙者のイチモツは義経様の中に納まるところとなった。
身悶えする豚を冷めた目で眺めながら、肉の塊に精を放って果てた。
源義経「ふふふ……小僧の割に馬の御し方が上手い。明日も頼むぞ」
底野「弁太郎、裏があるとはこのことだったか。もう嫌だ、死んでしまいたいでござる」ヒック
源義経「武士たる者が泣くんじゃない。おお、よしよし」ギュッ
底野(うう……苦しい……)
275 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/31(月) 17:49:36.84 ID:v34qD4M3O
朝は畑の作業を手伝い、昼に霊長の殺戮者と散歩に出かけ、夕方に弁慶殿から稽古をつけてもらい、夜に義経様に精を放ち……。そんな生活を3年も続けた頃。
ベートーベン(変装)「どうだい、奥州での生活は。霊長の殺戮者も大人びてきたし、裳着をさせても良いんじゃないかな」
底野「義経様との間に子ができないか、それだけが心配でござるよ……」
ベートーベン(変装)「あはは、子ができたら義経様と死ぬまでここに暮らすことになってしまうからね」
底野「お主は奥州に留まらないのか?」
ベートーベン(変装)「まぁね。義経様も女傑とはいえ神じゃない。生まれつきの強運も、そろそろ尽きる。僕は海外へ行くよ。君も一緒に来てもらいたい」
底野「行くって、どこへ参るのでござる」
ベートーベン(変装)「
>>276
」
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 17:51:43.47 ID:YTyODfcdO
ウィーン
277 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/31(月) 18:19:20.61 ID:v34qD4M3O
ベートーベン(変装)「ここから遥か西にウィーンって街がある。別名・はじまりの街。まぁ、年季の入ったシトー派修道院があるだけの街なんだけどね」
底野「そこへは無論、霊長の殺戮者も連れていけるのであろうな? そもそもウィーンなどという名は耳にしたことがない」
ベートーベン(変装)「いいや。霊長の殺戮者は連れていけない。ウィーンへの船旅は彼女には厳し過ぎる」
底野「何故でござるか! 霊長の殺戮者は病弱ではあるものの、船旅に耐えられぬ程ではない!」
ベートーベン(変装)「鎌倉から奥州の比じゃないんだぜ。それこそ道中、妖怪や海賊に襲われるだろうし、食べ物が少ないから栄養失調で脚気になることもある」
底野「よ、妖怪……」
ベートーベン(変装)「それでも、君は彼女を守ると言い切れるのかい? 底野御前(そこの・おまえ)」
底野「
>>278
」
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 18:37:27.15 ID:90bU+Z+90
無論
279 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/07/31(月) 19:32:42.91 ID:v34qD4M3O
底野「無論。たとえ雨が降ろうと槍が降ろうと、大地が割れ海が裂けようとも拙者は霊長の殺戮者の盾となろうぞ!」
ベートーベン(変装)「安心したよ、その言葉を聞いて」
底野「ならば……」
ベートーベン(変装)「彼女も連れていく。男に二言はない。出立の準備ができたら、また連絡するよ」
底野「弁太郎、お主を信じているぞ」
ベートーベン(変装)「はいはいっと」
〜その夜〜
ズチュッズチュッズチュッ
底野「はあッはあッはあッはあッ」
弁慶「ヌンッ! フンヌンッ! トウッ!」
源義経「ふごッ! くあッ……ああああ! い、いぐう! いっぢゃうのおおおおお///」
ビュルルッ! ビュッ! ドピュピュッ!
底野(この地獄にも終わりが見えてきた。途中から弁慶殿も参加なされたが、もうどうにでもなれだ)
弁慶「小僧、相変わらず貴殿の尻は締め付けが素晴らしい! まるで阿修羅像と交わっている気分じゃったわ!」
源義経「愛してるぞ、底野。だが妙だな。私は三年間、毎晩お前と契っている。しかし子を宿す気配がない」
弁慶「まだ子を設ける時期に非ず、と神が押し留めたのでございましょう。小僧、貴殿も努力が足りんな」
底野(霊長の殺戮者……待っておれよ。拙者が必ず、新しい場所へとお主を連れ出してやるから)
弁慶「おーい! 聞いておるのか。フム、尻から魂が逃げとる。これはもう一度、我が駿馬で尻穴を塞ぐ必要があるな」
結局、弁慶殿は完全な男色家……この地域で言うところのホモでござった。禁欲生活を長い間続けていると男にも欲情する例は多々あるので、弁慶殿はむしろノーマルなのでござるが。
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 19:55:01.59 ID:LUf+MMj40
Rで…もやらないでくれ
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 01:58:27.21 ID:66bbMEW1O
なんかもう別物ssになってしまった
282 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/01(火) 22:42:05.52 ID:BmCdqN7M0
それから一週間、二週間と何事もなく時は流れていった。弁太郎はどうしたのだろう。決意表明をした日から、行方をくらませてしまった。霊長の殺戮者も姿が見えない。一人取り残された拙者は、山の上から夕焼け色に染まる高館の田園風景をぼんやりと眺めていた。
侍女「そーこーのーさんっ」
底野「誰かと思えば、お主か……。夕餉ができたならばすぐ参るぞ」
侍女「ここから見る景色、素敵ですよね。黄昏色の金鶏山、田植えに勤しむ人々の影……。でも、本当に可哀想」
底野「可哀想って、何が」
侍女「霊長の殺戮者ちゃんのことですよ。彼女、今日で平泉から鎌倉に送り返されるんでしょう?」
底野「は?」
侍女「なんでも、良い縁談が見つかったとかで……。まだ11、2歳のか弱い女子ですのに。早朝に館を出立しましたから、今頃は石巻にいるのではないかしら」
拙者は侍女の言葉を最後まで聞かず、山道を全速力で駆け下りていた。途中、農民の連れていた
>>283
を奪って飛び乗る。目指すは石巻。何としても霊長の殺戮者を我が手に取り戻す。そう拙者は息巻いていたのでござる。
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 22:45:37.02 ID:WZp8gGuSO
大邪神ダークマター
284 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/01(火) 23:00:17.79 ID:BmCdqN7M0
底野「この牛、借りるぞッ!」バッ
農民「ああッ! わしの大邪神ダークマターがぁ〜ッ!」
拙者の乗った前沢牛の名は大邪神ダークマターと言うらしい。名の通り、全身から禍々しい瘴気を漂わせて駆ける、駆ける駆ける! 鞍や手綱がついていないので、拙者は大邪神ダークマターの双角を掴み振り落とされまいと必死にしがみついたのでござる。
底野「しかし、気になるな。元隷属民の彼女に縁談など普通、来るはずが……」
もしや。拙者の脳裏に米東弁太郎(べいとう・べんたろう)の顔が思い浮かんだ。外つ国から取り寄せたジェノサイドアンデッドフィッシュを涼しい顔で食す、常識外れの飄々紳士なら。縁談を見つけてくるなど朝飯前なのではないか。腰に差した悲愴が鞘を透して淡く光る。弁太郎に対する怒りよりも、霊長の殺戮者が離れていく悲しみの方が大きかったのでござろう。
底野「おや、あれは……?」
星々が輝き始めた群青色の空に、一際白い光を放つ物体が尾を引いて飛んでいった。
底野「あの形状、拙者は知っておるぞ。『ぷよぷよくりすたる』。やはり弁太郎が噛んでおったか! ハアッ!」
大邪神ダークマター「モ、モ〜ッ!!!!」
拙者は何度も前沢牛の腹を蹴った。
285 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/02(水) 16:14:56.70 ID:tw+yKLN5O
〜石巻の宿〜
ベートーベン(変装)「見込んだ通り、少しおめかしをしたら随分と綺麗になったじゃないか。これなら婿さんも満足してくれるだろう」
霊長の殺戮者「婿さん……?」
ベートーベン(変装)「うんうん、君に良い縁談が来ていてね。ま、僕が手引きしたのだけど。とにかく、君は今から鎌倉の
>>286
のお嫁さんになるんだ」
霊長の殺戮者「もう、兄様には会えないってことですか」
ベートーベン(変装)「うん。君は
>>286
に身も心も捧げる決意をしなきゃならない。これは君のためでもある。12歳になるだし、大人の事情が分かってくれたら嬉しいね」
霊長の殺戮者「顔も見たことない、話したこともない人に誰が嫁ぐものですか。私は帰らせて頂きます」
ベートーベン(変装)「おっと、そうは行かないよ。君を平泉に帰すわけにはね。嫁いで極楽へ行くか、戻って地獄を見るか、答えは一つじゃないか」ガシッ
霊長の殺戮者「いやッ! はなして! 私の婿は兄様なの! 兄様ただ一人だけなの!」
ベートーベン(変装)「そんなに
>>286
に嫁ぐのが嫌?」
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/02(水) 16:17:20.54 ID:iftTpIxr0
モーツァルト
287 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/02(水) 16:28:15.41 ID:tw+yKLN5O
ベートーベン(変装)「君はモーツァルトの凄さを知らないから、そう好き勝手言えるんだ。彼は古臭いバロック形式を破り、ソナタ形式という新たな音楽形式を切り開いた、言わばPioneerなんだよ?」
ベートーベン(変装)「確かに彼には勝気な嫁がいるけれども、側室という盾があればガメツいババアも手出しはできないよ。若いパワーでコンスタンツェをビックリさせてやれ」
霊長の殺戮者「やだッ! やだやだやだぁ! 誰が兄様以外の男に色目を使うもんか! 無理にでも連れてくなら死んでやる!」
ベートーベン(変装)「君が逝ったところで僕は別に悲しまないけど、相棒が猛り狂いそうなんだ。悲愴は相当危ない刀だから、君に死なれると困るんだよ!」
底野「……おい」
ベートーベン(変装)「あッ……へへ。君に刀を向けられたの、何年振りかしら」
底野「霊長の殺戮者をどこへやるつもりだ」
ベートーベン(変装)「
>>288
」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/02(水) 16:30:02.86 ID:W//T3IblO
騒乱から離れた世界
289 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/02(水) 17:37:41.93 ID:tw+yKLN5O
ベートーベン(変装)「騒乱から離れた世界だ。やはり、この娘は外へ連れていけない。あまりに病弱で、優し過ぎる」
底野「だからと言って、見ず知らずの男の餌食にしても良いと申すか。本人の意思は尊重せぬと申すか!」
霊長の殺戮者「兄様……」
拙者は弁太郎から霊長の殺戮者を奪い取ると、彼女を前沢牛の背に乗せた。もう二度と、この男を信用したりしない。
ベートーベン(変装)「おい、まさかとは思うけど平泉に戻ったりはしないよね?」
底野「そのまさかだ。拙者は霊長の殺戮者と共に平泉へ帰る」
ベートーベン(変装)「死ぬまで平泉で暮らすつもりか」
底野「いかにも。弁太郎、お主とは決別する。高館へは来るな。拙者達と関わろうともするな。拙者とお主の間に今、深い深い溝が生まれた。そして、その溝が埋まることは永劫ない」
ベートーベン(変装)「おいおい、待ってくれ。平泉へは行かない方がいい。いや、行っちゃダメだ!」
底野「霊長の殺戮者、共に帰ろう」
霊長の殺戮者「兄様。来てくれると、信じてました……」グスッ
底野「ゆけ、大邪神ダークマター!」
行くも地獄、帰るも地獄。その時の拙者達を表すに相応しい言葉でござる。平泉へは戻るな。弁太郎の忠告を聞いていれば……無理でござる。頭に血が上っていて、忠告を聞く余裕などなかった。
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/02(水) 19:50:44.87 ID:EvnpuNQkO
157レス位までは読めたけどそれ以降は駄作すぎるやろ内容が変わりすぎ勇者とかもう関係無くなってきてるし
291 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/03(木) 22:19:34.06 ID:ry+PAT+00
〜高館〜
底野「もうすぐだ、もうすぐ着く。館に戻ったら、まずは寝よう。ちょいと遅めの昼寝でござるが」
霊長の殺戮者「兄様は眠くないの?」ホワァ
底野「昨日の夕方からずっと走り続けておるが、まだまだ余裕。坂東武者の体力は無尽蔵でござるよ!」
霊長の殺戮者「兄様! あれを……」
底野「なッ……!」
燃えていた。
そよ風に揺れている田んぼの稲も、童子らが遊んだ高館の大樹も、霊長の殺戮者と住んだ義経の館も。
全てが火の海と化し、黒い煙を鈍色の曇り空へ向けて吐き出していた。
底野「弁慶殿、伊勢殿、亀井殿、片岡殿ッ!」
しばらく、開いた口が塞がらなかった。背に少女を乗せたことも忘れて、惚けていた。
霊長の殺戮者「みんな、死んじゃったの……? 義経様も、弁慶様も、優しかった侍女さんも……」
底野「誰だ、誰がこんなことを! だが、まずは生存者の確認だ。まだ義経様が死んだとは限らぬ! いけ、ダークマター!」
大邪神ダークマター(
>>292
)
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/03(木) 22:33:11.73 ID:WoqIluhAo
安全なところへ2人を送らねば
293 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/03(木) 22:43:35.16 ID:ry+PAT+00
大邪神ダークマター(安全なところへ2人を送らねば)
大邪神ダークマター「ヌウウウンッ」ダッ
底野「どうした、なぜ館と反対の方向へと走る! 拙者は義経様を救わねばならぬのだぞ!」
大邪神ダークマター「モウッモウン」ドスンドスン
底野「そうか、お主……。止まれ!」
ズザザッ
底野「もしお主に人間の言葉が分かるのなら、霊長の殺戮者を安全な場所へ導いてくれぬか」
大邪神ダークマター(元よりそのつもり。前沢牛の誇りにかけて、何としても少女を守ってみせよう)キラッ
底野「フッ……決意に溢れた目をしておるな。安心した。彼女の命、お主に託したぞ」
霊長の殺戮者「待ってください!」
底野「ぬ」
霊長の殺戮者「兄様は、どうしても義経様を助けに行かれるのですか? 私の一緒に、来てはくださらないのですか?」
底野「
>>294
」
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/04(金) 00:55:06.23 ID:xor0R24A0
二度と逃げぬと決めたからだ
295 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/06(日) 00:34:27.02 ID:fogTWbbu0
底野「3年前、拙者はお主を連れて鎌倉から、父上の元から逃げた。平泉という安住の地を見つけた後も、そのことについてずっと考えていた」
霊長の殺戮者「……」
底野「そして今、目に見えた困難に直面して初めて気が付いたのでござるよ。ただ逃げ回るだけでは、根本的な解決にはならないと」
霊長の殺戮者「……」
底野「拙者は二度と問題から目を逸らしたりしない。逃げないと決めたのだ。分かってくれ、霊長の殺戮者」
霊長の殺戮者「……ごめんなさい、やっぱり兄様を置いていくことはできない。兄様が逃げないのなら、私も一緒に立ち向かいます」
底野「おい、その牛をこちらに向けるのはやめろ。馬鹿な真似をするんじゃない。剣術も弓術もないお主が行けば、確実に殺されるぞ」
霊長の殺戮者「兄様は少し、私を見くびり過ぎではないかしら」
底野「何?」
霊長の殺戮者「3年前、弁太郎おじさまに『ぷよぷよくりすたる』を食べさせられたあの日、発話能力だけでなく他の能力も目覚めていたの」
底野「能力……?」
霊長の殺戮者の能力
>>296
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/06(日) 00:38:09.69 ID:d5YNC1DM0
ダイヤモンドな肉体
しかし発動すれば最後、2度と元には戻れない
297 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/06(日) 00:49:08.10 ID:fogTWbbu0
霊長の殺戮者「金剛石のように身体を硬化させることができます。でも、これを発動したが最後、元の肉体には戻れない」
底野「どうして戻れないと分かるんだ」
霊長の殺戮者「教えてもらったんです。那須の宿で、弁太郎おじさまからこっそり。使いどころが重要だって」
底野「安心しろ、お主にその能力は使わせない。拙者の刃だけで事足りる。お主は安全な場所へ避難するんだ」
霊長の殺戮者「いえ、兄様についていきます」
底野「最後の警告だ。これに従わねば、お主などいないものと見なす。忠告も聞けぬ阿呆など、面倒見切れぬゆえ」
霊長の殺戮者「阿呆と思われようとも構いません。私は兄様のために、この命を差し出すつもりです」
彼女の宣言を最後まで聞かずに、拙者は無言で駆け出した。もちろん、全速力で。
298 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/07(月) 17:44:42.95 ID:xZVyvk3/0
底野「義経様! 義経様は何処におられる!」
地獄のような目に遭わされても、義経は自分と霊長の殺戮者を救ってくれた命の恩人でござる。牛の突破力を活かして、館のありとあらゆる場所を探し回った。そして、一番奥の部屋で腹を斬ろうとしていた義経様を見つけたのでござるよ。
底野「何をなさる! 戦の場で大将が自害なさるなど、もってのほか。まだ表で必死に闘っている兵に申し訳が立たぬと思いませぬか!」
源義経「底野、今の今までどこに行っていた! 私はお前が……お前が討ち取られたものだと……」ウルッ
底野「ざっと館の中を走ってきたのですが、義経四天王の姿はなく、あるのは屍の山ばかり。一体、どうなされたのですか」
源義経「藤原泰衡。私らを匿っていたはずの泰衡がいきなり攻めてきたのだ。多分、兄上から圧力を受けて保身に走ったんだろう。なんと下らない男よ」
底野「拙者は、泰衡よりも下らぬ男を知っています。彼奴は、我が愛しの妹を見知らぬ男へ売ろうとしました」
源義経「何のことだ」
底野「……あの男を信じた拙者が馬鹿だったのです。逃げましょう、義経殿。どんな形であれ、あなたは命の恩人ですから」
源義経「そ、そうだな。ここから北に衣川と北上川の合流地点がある。そこに私が遊覧用に作った小振りの舟が一艘あるんだ。それで、蝦夷まで行こう」
底野「いえ、それではいけません。頼朝はあなたを殺すため、日本中に早馬を出しているはずです。あなたはどこへ行っても、死ぬ以外に道はないのです」
源義経「では、私はどうしたらいいんだ! やっとお前という良き夫を手に入れたのに、死んでしまっては全てが終わりではないか!」
底野「日本が危険ならば、海を渡り海外へ逃げるまで。しかし、今は目先の問題に集中です。義経様、あなたならどのようにこの局面を切り抜けますか?」
源義経「
>>299
」
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/07(月) 17:53:02.87 ID:QS3mAI8i0
あれがあった…ぷにぷにクリスタル
ぷよぷよではない
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/07(月) 17:53:50.31 ID:rr+jEENno
ここまできてくれただけで十分だ。私が囮になるからお前達は逃げろ
301 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/07(月) 23:07:52.07 ID:xZVyvk3/0
義経様は腕組みをしたまま考えていらっしゃったが、ポンと手を叩くと嬉しそうに叫んだ。
源義経「あれがあった……ぷにぷにクリスタル」
底野「ぷよぷよクリスタル?」
源義経「『ぷにぷに』クリスタルだ。ぷよぷよクリスタルと対を成す、鋼の如く堅固な水晶」
義経様が懐から取り出したそれは、雨粒のように透明で、仄かな光を放っていたのでござる。拙者は頭がくらくらした。弁太郎に続き、義経様も不思議な水晶体をお持ちになっている。自分だけ話についていけてない、妙な孤独感がぞわぞわ足元から這い上がってきた。
底野「ぷよぷよクリスタルで、何をするつもりなのです」
源義経「ぷにぷにクリスタル自体に特別な力はない。ただの媒介だ。強制的に共鳴し、秘めた力を覚醒させるためのね」
底野「まさか、それって……」
キィイイイイイイン
霊長の殺戮者「あううう……うああああああッ!!」ガクッ
底野「霊長の殺戮者ッ! どうしてここまで……。義経様、そのぷにぷにクリスタルを懐に隠してください!」
源義経「ぷにぷにクリスタルと共鳴した者は、史上最強の戦士『ぷにぷに君』となる。そう、最澄の守護国界章には書いてあった」
底野「早くそのクリスタルを止めろってんだよ!」
源義経「ひいッ」ビクッ
霊長の殺戮者「兄様……ぐッ……どうか怒らないで。兄様に助けられたこの命……元より使い道など悟っておりました……」ピキッピキピキピキィ
底野「お主、もうこんなに手足が硬くなってしまって……。やめろ、やめてくれ! お主はまだ拙者との約束を果たしていないだろう!」
霊長の殺戮者「や……く……そ……く……」
彼女の血の通った柔らかい身体が、無機質な冷たい水晶へと変わってゆく。拙者は魂だけは離すまいと、霊長の殺戮者を強く抱きしめた。
底野「そうだ。拙者がお主を娶るという約束だ。まさか忘れたわけではあるまい」
霊長の殺戮者「……に、い、さ、ま」
底野「なんだ」
霊長の殺戮者「ご、め、ん、な、さ、い」
底野「……!」
拙者が世界で最も愛した妹は、水晶の枝豆となり音もなく地面に転がり落ちた。
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/12(土) 06:22:43.89 ID:+6DblcTJ0
はよ
303 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/14(月) 11:55:25.27 ID:P7jAlVgW0
〜始まりの街・喫茶店〜
底野「……そうして、拙者は霊長の殺戮者を残して逃げてきたわけでござるよ。結局、愛する者を一人も守ることができなかったのでござる」
ターバンの老人「生き残るためとはいえ、辛い選択じゃったろう。無言で相席をしてきた時は『なんだこいつ』と思ったが、そういう事情があるのならば致し方ない。ここはわしの奢りじゃ。なんでも好きなものを頼むといい」
底野「かたじけない。されど、拙者は行かねばならぬ。そろそろ集合の時間であるゆえ」
ターバンの老人「ところで一つ気になったんじゃがの。義経とやらはどうなったのじゃ」
底野「さあ……。妹が『ぷにぷに君』になったのを見届けた時から、拙者の記憶がプツンと途切れてしまっているのでござる。なぜ拙者が大軍から逃げてこれたのかも、弁太郎や義経様がどうなったのかも、まったく分からない……覚えていないのでござる」
ターバンの老人「フム……最後にもう一つ。これは質問でなく忠告じゃ。お前さんが腰に差している刀。ただならぬ妖気を感じる」
底野「悲愴のことでござるか? 確かに、魔力は宿しておるがそこまで危険だろうか」
ターバンの老人「ああ、そうだとも。いずれその刀は、お前さんを喰らうじゃろう。せいぜい、気を付けることだ」
底野「御老人、あなたは一体何者でござるか?」
ターバンの老人「何者でもよかろう。わしに構わず早く行け。集合に遅れたら面倒なことになるんだろう?」
304 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/14(月) 16:17:32.04 ID:P7jAlVgW0
〜噴水広場〜
吟遊詩人「水筒に携帯食にパイザにハープに……よし、魔王討伐のための装備は揃ったぞ!」
ぷにぷに君「しっかし、アタシの偽物が暴れてるだなんて信じられないわねぇ」
吟遊詩人「僕が修道院で出会った『ぷにぷに君』がおそらく魔王なんじゃないかな。どんな生物にも姿を変えることができる厄介な野郎だ」
べート―ベン「Yeah! 皆サ〜ン、待ッテテクレタノデスネ〜!」
吟遊詩人「3分遅刻だよ」
ぷにぷに君「アンタ、底野見なかった? まだ来てないんだけど」
ベートーベン「底野サン? ドッカノ喫茶店デ、ターバンの老人ト一服シテマシタヨ」
吟遊詩人「あと10分だけ待って、来なかったらその喫茶店に行ってみよう」
底野「お〜い、吟遊詩人殿! 遅れて誠に申し訳ない、準備は整ったでござる!」
吟遊詩人「噂した傍からやってきたよ。まぁ、これで全員揃ったわけだし旅立つとしますか。そうだなぁ……みんな、どこへ行く?」
ぷにぷに君「
>>305
あたりはどうかしら」
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/14(月) 16:24:23.63 ID:pWiDcBAm0
アルティメット森
306 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/14(月) 16:40:18.70 ID:P7jAlVgW0
ぷにぷに君「ここから『心優しき川』に沿って数キロ北上した先に『アルティメット森』があるわ。初心者のレベル上げにうってつけの森よ」
吟遊詩人「アルティメット森……なんだか人の名前みたいな森だね。僕、まだレベル1なんだけど太刀打ちできるかな?」
ぷにぷに君「アンタは後方でハープ支援がメインになるでしょうね。アタシとアルビノ侍がアタッカー、アンタがサポーター、そして怪しい音楽家が……」
ベートーベン「オブザーバーデスネ!」
ぷにぷに君「アンタにはヒーラーを担当してもらうわ。街で買い占めた薬草やら軟膏があるでしょ」
ベートーベン「戦闘ニ参加シナケレバナラナイトハ……トホホ……」
こうして4人の役割分担は済んだ。
馬車に乗り込み、北の大森林帯『アルティメット森』を目指すこととなる。
御者「ひ、ひいい! 枝豆が歩いてるッ!!!」
光り輝く巨大な枝豆を見て、馬車の御者は腰を抜かした。小便で濡れた股間に、運賃の札を押し付ける。御者はおそるおそる札を手に取って、ニへラニへラと引きつった笑みを浮かべた。
御者「な、なんだぁ……お客さんなら早く言ってくださいよ。殺されるかと思いやしたぜ……」
ぷにぷに君「アルティメット森まで飛ばしな」
御者「アルティメット森? あんなおっそろしい魔族の巣窟に何しに行くんで」
吟遊詩人「レベルを上げに行くんです。初心者の狩場としては最適だと聞いたのですが」
御者「馬鹿言っちゃいけねぇな。
>>307
が来てから、アルティメット森は変わった。あの場所はアルティメットハードモードとも言われる、熟練者殺しの地獄だぜ? それでも良いなら、お連れするがよ」
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/14(月) 16:41:49.42 ID:ZW7mk+ZY0
仮面ライダー
308 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/14(月) 17:00:55.91 ID:P7jAlVgW0
乳白色の朝靄に包まれた草原を、一台の馬車が風に乗って駆け抜ける。
御者「仮面ライダーが来てから、アルティメット森の魔族に変化が現れたんでさ。姿を隠すようになったというか、ゲリラ戦法を好むようになったんでがす」
底野「仮面ライダー、とは何者でござる?」
御者「バッタのような仮面をかぶった超人のことでさ。いや、ひょっとしたら本当に首から上がバッタなのかもしれねぇが」
御者「お客さん達、バッタの仮面を見たら即逃げることをお勧めしますぜ。奴の脚力をいなせた冒険者は、過去に誰一人としていない」
ぷにぷに君「バカバカしい。ただのバッタの妖怪じゃないか。アタシは真っ向勝負を挑むつもりだけどな」
ベートーベン「怖イデスネー。ライダーパンチ! ライダーキック!」ドタドタ
吟遊詩人「ベートーベンさん、馬車の中で暴れないでくれよ! そんなことしたら、うわあああ!」
ドンガラガッシャーン
馬車が壊れて4人は外に放り投げだされた。猛り狂った馬が車体を引きずり崖下へ落ちていく。
底野「やってしまったな……。ここからアルティメット森まで、徒歩で行けというのか」
ぷにぷに君「いいや、その必要はないね。もう、アルティメット森についたようだから」
4人の前にそびえる、クヌギの森。樹々の隙間から、誰かに除かれているような気がする。
ぷにぷに君「侍、剣を構えな。チームを守れるのは、アタシとアンタしかいないんだ」
底野「承知した」
吟遊詩人「その言い方はないんじゃないですか。僕にだって、チームを守る力があります」
ぷにぷに君「ほう? それじゃアンタに何ができるっていうんだ」
吟遊詩人「
>>309
」
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/14(月) 17:03:26.15 ID:pWiDcBAm0
スクルトの歌(Lv1500)
310 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/14(月) 17:13:19.59 ID:P7jAlVgW0
吟遊詩人「僕には土下座で味方の攻撃力を上げるだけでなく、スクルトの歌(Lv1500)で肉体をダイヤモンド並みにカッチンコッチンにできます」
ぷにぷに君「アタシには不要の特技みたいだね。他の2人はどうだい? スクルトの歌、欲しいかい?」
底野「吟遊詩人殿、肉体が硬くなると関節も硬くなってしまうのでござるか?」
吟遊詩人「ええ、硬くなります」
底野「それでは、動けないまま削られるのを待つ運命になってしまうではないか!」
ベートーベン「デデデデ〜ン、鼻カラ牛乳ガ噴キ出シソウナ程、使エナイ能力デース」
吟遊詩人「でも、敵の攻撃を緊急回避で防ぐには……」
ぷにぷに君「魔法の詠唱に何秒かかると思ってんの。やっぱり、アンタを前線で闘わせるわけにはいかないわね」
吟遊詩人「そんな……ひどい、ひどすぎる! お前らなんかきらいだ!」ダッ
ぷにぷに君「あっ、ちょ、待ちなさい!」
底野「詩人殿、単独行動はマズいでござるよーッ!」
ベートーベン「クク……これで一人脱落か……」
吟遊詩人は森の中に突っ走ってしまった。
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/23(水) 00:17:25.68 ID:b7Kv4RFZ0
飽きたなら適当に完結させちゃえ
312 :
◆vfNQkIbfW2
[saga]:2017/08/23(水) 14:25:39.48 ID:K2RkbOCv0
申し訳ない
明日から再開します
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/26(土) 00:09:59.97 ID:YfCICqavO
やらねーなら依頼出せや
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/30(月) 18:28:34.38 ID:FX5Rg0orO
( ´∀`)
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