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北上「我輩は猫である」
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48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 21:50:50.28 ID:NSxn+8yvO
ところで木曾の字が
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 22:00:32.31 ID:FPtEZpe4o
>>48
そんなこと言ったら「ら」抜き言葉も…
50 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/22(土) 22:32:09.27 ID:NQ4d5ZfS0
多磨のみならず木曽もか…木曾ごめんマジごめん
ら抜き言葉は特に気にしてない
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 22:34:47.03 ID:6+DkDlH70
名前間違いはスゴイシツレイ
古事記にもそう書いてある
52 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/22(土) 22:37:59.36 ID:NQ4d5ZfS0
ケジメ案件は困るのでもちっと書くよ…
53 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:10:51.19 ID:gAOtpmVb0
7匹目:猫と家族
艦娘という個性の塊のような連中の中でも私の姉妹はかなり際立っているというのは、けして身内贔屓というだけではないだろう。
そんな中姉妹を紹介するとしてまず誰が一番に思いつくかと言われれば、
多摩姉ちゃんだ。
54 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:11:33.66 ID:gAOtpmVb0
多摩「よろしくにゃ」
と挨拶した彼女。
にゃって、何?
当時はそう思った。
色々と本を読んで分かったのは、にゃーというのは猫を表す記号の代表例だという事だ。
いやにゃーとは言ってないよと思ったがこの体で聞いてみるとなるほど、にゃーと聞こえる。
55 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:12:07.10 ID:gAOtpmVb0
実は彼女には密かに希望を持っていた。
もしかして同じように猫なのでは?と。
実際にはただのキャラだと判明しているのだが。
何故猫キャラに拘るのか。それは本人しか知らない。
北上(正直何故か聞いてはいけない気がする)
球磨「北上はまた日向ぼっこクマ」
多摩「にゃ!多摩も日向ぼっこするにゃ!」
木曾「多摩姉肌に悪いからって日光に当たるの嫌がるじゃん」
多摩「にゃぁ…」
球磨「何をそんなに張り合ってるクマ」
北上「…」ゴソ
大井「あ、どうも北上さん」
北上「大井っち、何故私の膝の上に?」
大井「北上さんぼっこです」キリッ
北上「あぁ、そう」
多摩姉は結構乙女だ。
56 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:12:56.43 ID:gAOtpmVb0
クマはクマと鳴かない。というか鳴き声じゃなく吠え方と言うべきだ。
だが彼女はクマと言う。
それこそが我が命題、果たすべき使命とでも言うように。
でも結構語尾を忘れている。
球磨型の一番艦、長女球磨。
頼れる僕らのおねーちゃんである。
57 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:13:24.94 ID:gAOtpmVb0
球磨「また漁船が襲われたみたいだ。こりゃ暫く魚が手に入りにくいかもしれん」
北上「マジ?多摩姉が暴れそーだな〜」
球磨「秋刀魚だけでなく他の魚も私達が捕る事になるかもしれん」
北上「面倒だえど、それはそれでありだよね。楽しそうだし」
球磨「とはいえ、私達の目的はあくまで深海棲艦の殲滅だ。他の事に時間を割かれるのはあまりいい事とはいえん」
北上「真面目だなあ球磨姉ちゃん。でも、まあそうだね〜」
角度調整でマットにもできるタイプのクッションイスに座り、大胆に脚を組み、鋭い目つきで新聞を読む球磨姉ちゃん。
そして、語尾警察の多摩姉がいないとこんな会話になる。
うーんこのイケメン感。
球磨「お、本の紹介がある。見る?」
北上「あざ〜っす」
58 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:14:03.77 ID:gAOtpmVb0
うわこの人もう新作だしたのか。筆早いなぁ。
これはこの前読んだやつか。え、アニメ実写化?こっちも早いなぁ。私は文字派だから見ないけど。
多摩「みんなー飯行くにゃー」ガチャ
球磨「おう、分かった」
北上「あいよ〜」
木曾「うわ球磨姉がイケメンモードだ」
多摩「球磨姉、クマクマ」
球磨「?別に寝不足じゃない」
木曾「語尾の方だよ」
球磨「北上、行くクマよ」
北上「ハイハイ」
忘れるならキャラ作んなくてもいいのに。
理由を聞きたい所だがこのギャップが面白いので放置。
59 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:14:34.64 ID:gAOtpmVb0
北上「じゃ行こっか大井っち」
大井「はい」
木曾「ところで上姉」
北上「ん〜?」
木曾「おい姉はいつから膝枕を?」
北上「二時間くらい?」
大井「あ、足が…」
多摩「何やってるにゃ…」
球磨「ほら肩使えクマ」
60 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:15:07.66 ID:gAOtpmVb0
木曾。キッソ。キソー。
特になし。
木曾「本人の前で言うかそれ」
北上「特徴がないのが特徴」
木曾「い、いやほら。眼帯とかキャプテンっぽいとことかさ」
北上「基礎とはつまりそういう意味か」
木曾「刀という艦娘としては破格の近接武器型という特徴がだな」
北上「例えば球磨姉や多摩姉が語尾をとってもそれはそれで語尾がなくなった球磨姉や多摩姉としてキャラが立つけど木曾が眼帯や刀を取って女の子っぽくしてもお、おう…としか言えない感じというか」
木曾「妹をいじめて楽しいか?」
北上「木曾をいじめるのが楽しい」
ニヤッと口元が歪むのを感じる。
我ながら加虐趣味とは如何なものかと思うが。
61 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:15:42.66 ID:gAOtpmVb0
生きる目的以外で他の生き物を殺すのは人間だけだ、なんて話を聞いた事があるけどそれで言うと猫は結構殺してる。
鳥を捕まえては瀕死になるまで転がしてポイ、なんて記憶がある。
酷い話だ、なんて猫が思うわけもなく。
でも、だからなのか、人間で言うところのSな心が、加虐心が、私にはあった。
北上「でも木曾って嫌がらないよね」
木曾「これで嫌がってるように見えないなら上姉は根本的に問題がある」
北上「いやそれはそうだけどさ、本気で嫌がらないじゃん」
木曾「いやいや、もし愛すべき姉妹の愛さなきゃいけない姉に気を使って必死に我慢してたらどうすんのよ」
北上「それは考えなかった。よし、ならばこうだ」
62 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:16:12.97 ID:gAOtpmVb0
正座する。そしてそのまま前にも手をつく。
木曾「え、いやいや待て、待て上姉!この流れで土下座はずるい!先手必勝にもほどが」
北上「にゃ〜ん」
木曾「今なんと?」
北上「猫の真似」
木曾「…」
恥ずかしさと敗北感と、少し可愛いとか思ってそうな複雑な表情をしている。
猫=可愛い。人間にとって猫とは少し不思議な効果のあるものだと最近わかった。
63 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:16:42.71 ID:gAOtpmVb0
木曾「上姉は、猫が好きだな」
北上「そう、だね。でもペットに対するような好きじゃない」
木曾「恋人とか?」
北上「憧れ、かなぁ。でも懐かしさかも知れないや」
木曾「ふ〜ん。相変わらず上姉の考える事はよく分かんないな」
北上「誰だってそうじゃん。考えのわかる人なんていないよ、エスパー以外」
木曾「いや、そうじゃなくてさ。それは考えが読めないって話だろ?俺が言ってるのは読めないし想像出来ない、読めても理解できない。そういう意味だよ」
北上「…なんか傷つくな」
木曾「嘘つけ、上姉がそんな事気にするかよ」
北上「今しがた考えが読めないとか言った舌の根も乾かないうちに分かったふうな事を」
木曾「考えてる事は分からなくても、どんな人かは知ってるよ。姉妹だし」
北上「姉妹か〜。ならしょうがない。どうにもしようがない」
抜き身の言葉。切り合いみたいな会話。
言いたい事を言い合える、飄々としたイケメン。そんな妹。
64 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:17:12.97 ID:gAOtpmVb0
木曾「ところで上姉、その猫のポーズはきつくないのか?」
北上「思いの外きつい」
木曾「なら止めろよ…」
大井「北上さ〜…」ガチャ
木曾「あ」
北上「にゃ」
大井「北上さん!!」
北上「大井っち」
大井「はい!!」
北上「お座り」
大井「はいぃ!!」
65 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:17:44.36 ID:gAOtpmVb0
大井。大井っち。大井ちゃん。あ、これはなんかキモいな。ちゃんはないな。
私の妹。なんだけど、みんなからは殆ど双子みたいな扱い。
私としてもそんな感じ。
でも、大井っちはどう思ってるんだろうか。
大井「もう1度先ほどのポーズを!何卒!」
木曾(土下座…)
北上「また今度〜」
大井「後生ですから!」
北上「ダメなものはだ〜め」
大井「くっ!」
木曾「いや俺を睨まれてもな…」
66 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/23(日) 02:18:19.83 ID:gAOtpmVb0
彼女を語るには、私にはまだ少々言葉が、経験が足りないと思う。
大井「お願いします北上さ〜ん」
北上「そんなに抱きつかないでよ〜。分かった分かった、今晩一緒の布団で寝たげるから」
大井「ホントですか!」
北上「約束ね」
小躍りを始める大井っち。
ちなみにこんなんでも私に変な事をしてきたりはしない。
今のところは。
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/23(日) 08:53:08.97 ID:ny+C3rsdO
乙
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/24(月) 01:10:36.11 ID:BjsKiNupo
いいね!
69 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/26(水) 00:41:18.00 ID:j5oK0KtG0
8匹目:猫と音
パァン
北上「うわっ!?」ビクッ
球磨「うおっ」
木曾「なんの音だろうな」
多摩「わからんにゃ」
大井「北上さん!なんで私に抱きつかないんですか!」
北上「いや球磨姉の方が頑丈そうじゃん」
球磨「姉を盾にしようとするなクマ」
木曾「上姉は音に敏感だよな」
北上「つい癖でね」
球磨「猫みたいだクマ」
大井「雷も苦手ですものね」
木曾「猫みたいだな」
多摩「にゃ!?」
70 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/26(水) 00:41:57.57 ID:j5oK0KtG0
パァン
球磨(まただクマ)
北上(慣れてきた)
多摩「うにゃぁぁあああ゛あ゛あ゛!!!」
木曾「うるせえぇぇえええええ!!!」
大井「ふぅ」スッ
北上「どこ行くの?」
大井「ちょっと」
その後鎮守府での爆竹の使用が禁止になった。
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 06:39:52.63 ID:oSRx5pfSo
大井さんも使って自分に抱きついてくるように仕向けるかと思ってたけど意外に良識的な対応だった
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2017/07/26(水) 07:18:54.63 ID:jKKXNecX0
発想と書き方に見覚えあると思ったらこの間の川内が男だった奴書かれてた方か
今回も楽しませて頂いています、素敵な作品をありがとうございます
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 09:09:29.32 ID:4nqGmUHQ0
ほっこりするんだが……ジャンル、SF……?
74 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/26(水) 14:21:34.79 ID:LJtmlrwE0
9匹目:猫にかつお節
北上「いや別に好きじゃない」
むしろ嫌いだ。
球磨「なら球磨が貰うクマ」
大井「ああ!ズルイです球磨姉さん!」
球磨「ふっふっふ、早い者勝ちだクマ」
木曾「かつお節くらいここにいっぱい置いてあるだろ」
多摩「美味しいけど臭いは嫌いにゃ」
かつお節。独特の匂いを放つ、まあ一応魚。
なぜ猫に?日本の猫は好きだったりするのか?
こんな臭いのモノを果たして本当に喜んで食べるものなのか?
75 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/26(水) 14:22:04.70 ID:LJtmlrwE0
北上「そういや私の好物ってなんだろう」
多摩「それは他人に聞くものじゃないにゃ」
北上「それはそうなんだけどね」
大井「はい!北上さん!私北上さんです!」
北上「球磨姉は?」
球磨「ん〜ステーキとかクマ。ミディアムがいいクマ」
北上「わお」
多摩「多摩はねぎトロd、猫まんまだにゃ!」
木曾「見たことないぞ猫まんまなんて。俺は、いちごパフェかな」
球磨(可愛い)
多摩(カワイイ)
北上(かわいい)
大井(北上さんカワイイ)
木曾「なんだその目は」
76 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/26(水) 14:23:45.93 ID:LJtmlrwE0
木曾「猫ってホントに猫まんま好きなのか?」
北上「雑食だし食べるには食べるでしょ。好みかはともかく」
昔は何食べてたっけな。
多摩「種類や地域によって差がありそうにゃ」
球磨「日本猫ならなんだろうクマ」
大井「銀〇スプーンとかじゃないですか?」
大井「え、なんですかその間は」
球磨「猫もジャンクフードの時代クマか」
多摩「時代だにゃ」
木曾「うまいと思わせるために作られてるしな」
北上「さもありなん」
多摩「ちなみに人が食べるとただの味の薄いツナ缶だにゃ」
「「「「えっ…」」」」
多摩「え?いや、食べてない。食べてないにゃ。聞いただけにゃ…引くにゃ!距離をとるにゃ!」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 17:23:57.98 ID:zAVhtn8KO
あっ…(察し)
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 18:00:53.16 ID:JIDsHzDL0
余計なゲストなしでこの世界観、やっぱほのぼの話は非常にうまい
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 21:49:28.01 ID:dqNBdNHA0
>>73
猫科のことをFelidaeと書く
つまりそういうこと
80 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:08:10.57 ID:LDL8iSNu0
10匹目:猫耳に水
58.59.60.61.62
水の中からの眺めは実に新鮮なものだ。
猫は水が苦手だから。
ゆらゆらと揺れる光は私の眼に不思議な光景を見せる。
沈むとはこういうものなのだろうか。
まだ経験した事の無いそれに思いを馳せる。
75.76.77.78.7
あ、やばい。
息がもう
81 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:08:38.60 ID:LDL8iSNu0
北上「ぶは!」ザバッ
球磨「北上の負けクマ〜」
木曾「おーい多摩姉〜。勝ちだぞ勝ち」
多摩「ぷはっ。ふふふ、多摩に勝とうなんざ100年ゲホッ!…ゴフ…」
大井「ほら落ち着いてください。深呼吸深呼吸」
北上「ん〜もちっと潜れるかと思ったけど、お湯だとなんか上手くいかないね」
木曾「海とは勝手が違うよな。なんでだろ」
球磨「バス〇マンのせいだクマ」
木曾「えぇ…」
お風呂での息止め大会。
球磨型最強は多摩姉ちゃんだった。
82 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:09:06.78 ID:LDL8iSNu0
猫は水が苦手だ。
何故。
調べてみると、
耳に水が入ると死ぬ
毛が水を弾かないから
泳ぎに適した体じゃないから
水に溶けるから
遺伝子にトラウマがある
水甕に落ちると死ぬから
色々あったけどまあどれかが正解なのだろう。
だからこうして水の上を移動したりお風呂に入ったり潜ったりは、本当に新鮮なのだ。
球磨「多摩はよく息が持つクマ」
多摩「コツがいるんだにゃ」
木曾「相変わらず猫らしくない」
多摩「潜れる猫だっているにゃ!」
大井「開き直ることを覚えたんですね」
多摩「なんでみんな猫に関してはドライなんだにゃ…」
83 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:09:40.43 ID:LDL8iSNu0
多摩「球磨姉もやるにゃ?」
球磨「球磨はいいクマ。髪がめんどくさいクマ」
北上「球磨姉は髪長いもんね〜、ん?」
大井「どうしたんですか?」
北上「耳がなんか変な感じする」
多摩「水入ったにゃ?」
北上「おお」
これが水が入るという感覚!
凄い!気持ち悪い!
木曾「片足ケンケンやったらどうだ?」
北上「何それ」
木曾「こう、片足で立って、ジャンプしながらうわっ!」
バシャン!
球磨「ドジっ子クマ」
多摩「生きてるにゃ?」
北上「これ危なくない?」
84 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:10:06.35 ID:LDL8iSNu0
球磨「耳に指突っみゃ治るクマ」
大井「ダメですよ、もし鼓膜とかに傷が入ったらどうするんですか!」
球磨「え、そんなに危ないクマ?」
大井「耳は繊細なんです。無闇に指を入れてはいけません」
球磨「うぅ、分かったクマ」
多摩「どっちが姉だかわからんにゃ」
木曾「脱衣所に綿棒あったはずだ」ザパッ
北上「体は洗ったしそうするかな」
大井「はっ!でしたら!」
85 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:10:34.03 ID:LDL8iSNu0
大井「どうですか?」
北上「ん〜いい感じ〜」
鏡の前に座り、大井が後ろから綿棒で耳を掃除してくれてる。
やたらと上手い。何故か。
大井「はい終わりです。このまま髪も乾かしちゃいますね」
北上「うんお願い」
ドライヤーの音に一瞬ビクッとなる。
しかしこうして他人に髪を解かれるというのは、何だか毛繕いをされてる時を思い出して、まあ悪くない。
大井「結ぶのはいいんですよね」
北上「どうせ解くしね。その方が乾きやすいし」
大井「この後、またどこかへ?」
86 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/27(木) 14:11:10.55 ID:LDL8iSNu0
北上「うん」
大井「…」
北上「着いてきちゃダメだよ」
大井「わっ、分かってますよーオホホ」
分かっててやる顔をしている。
まあ大井っちをまくのはそう難しくないからいいけど。
北上「ねえ大井っち」
大井「はい?」
北上「あ〜、ありがとね」
大井「いえいえ」
一人でいたい、とはなんか言えない。
それは、北上じゃなくて私の意思だ。
それは、表に出すべきじゃない気がする。
87 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:55:29.56 ID:G7RklKC00
11匹目:女の心は猫の目
女の心は猫の目のようにコロコロ変わる、とか。
猫の目がコロコロ変わってるという自覚は無かったが、調べてみると確かに変わってる。
暗くても見えていたのはそういう仕組みだったのか。
確かに怪しく光ってたな。
さてでは女の心とはどうだろうか。
88 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:55:55.70 ID:G7RklKC00
北上「ん〜…」
朝。
規則正しい生活というのはなかなか面白いが、眠い時に寝れないのは如何なものか。
伸びを1回。
目を開ける。
大井「…」ジー
北上「…おはよう」
大井「おはようございます」
ニコッと満面の笑顔。
うん、まあいいか。
89 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:56:22.35 ID:G7RklKC00
枕元には着替えが置いてある。
勿論私は用意してない。
大井っちだ。
私だからやってくれているのだろうが、しかし面白いのは私だけにやっているわけではない所だ。
多摩「おはよぅ」
大井「おはようございます」
語尾も付けないくらい寝起きの機嫌が悪い多摩姉にも着替えを渡してる。
木曾「んー、まあいいか」
大井「いいわけないでしょ。ほら貸しなさい」
木曾「ちょ、おい姉」
大井「ほらじっとする」
木曾「へいへい」
こうして妹の寝癖を直したり。
90 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:56:56.75 ID:G7RklKC00
球磨「さてと、ありゃ?」
大井「スカーフならそこの机のとこにかかってますよ」
球磨「何故わかったクマ何故知ってるクマ」
大井「球磨姉さんの事くらい大体わかりますよ」
球磨「何か釈然としないクマ。でもありがとクマ」
私達の生活は、はっきり言って大井っち1人の存在で成り立っている。
大井「さあ、朝ご飯に行きましょう」
でも大井っちは、凄く嬉しそう。
91 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:57:29.95 ID:G7RklKC00
昼
大井「いただきます!」ムスッ
プンスカという効果音が聞こえてきそうなくらい怒ってらっしゃる。
北上「何かあったの?」ヒソヒソ
木曾「どうせ提督だろ」ヒソヒソ
球磨「午後の編成の件でもめたらしいクマ」ヒソヒソ
多摩「またかにゃ」ヒソヒソ
大井「何か」
「「「「いえ何も」」」」
92 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:57:56.38 ID:G7RklKC00
提督「うーっす」
空気を読めない奴が食堂に入ってきた。
この場合提督を責めるのは酷というものだが。
提督「♪〜…げっ」
うわ反応しやがったぞ。
スルーしときゃいいのに。
大井「げっ、とはなんですかげっとは。それが大切な部下に対する態度ですか」
提督「上官の命令に背くばかりか暴力まで振るうようなやつがよく言うぜ。大切にして欲しければまず敬う心をだな」
大井「なによ」
提督「なんだよ」
多摩「鶏が先か卵が先かにゃ」
球磨「元気なのはいい事だクマ」
木曾「この情熱ほかの事に向けてくれねぇかな」
93 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:58:33.43 ID:G7RklKC00
提督「ぃい〜だろう今日という今日は決着つけてやる!」
大井「望むところよ!」
北上「ごっそさん」
ちなみに2人はこの後提督室でボードゲームにて決着をつける気だ。
いつもの流れで。
さらに言うと将棋は提督が勝ってオセロで大井っちが勝つ。
チェスは見事に五分五分らしい。
北上「仲いいじゃん」
球磨「仲いいんだクマ」
多摩「言うとまた喧嘩が長引くにゃ」
木曾「そっとしとけ、ほっとけ」
94 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/28(金) 23:59:04.75 ID:G7RklKC00
おやつ時
大井「じゃ〜ん!今日の戦利品です」
北上「おおこれは伝説の秘宝間宮券!」
大井「大魔王テイトークとの死闘の末勝ち取りました」
北上「これは祝わにゃなるまいよ」
大井「それでは」
北上「間宮っちゃいますか?」
大井「やっちゃいましょう!」
チケットを高々と掲げ満面の笑みの大井っち。
さ〜て嬉しいのはチケットなのか勝利なのか、はたまた。
95 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 00:03:09.08 ID:a6g37nOR0
北上「ホントは私よりもこうしていたい人がいるんじゃないの?」
大井「まさか、北上さん以上の相手なんていませんよ」
一つのパフェを2人で向かい合って食べる。
こういうのは彼氏彼女でやるものだという事はしっかり知っている。
北上「提督とは?」
大井「誰があんな人。敵ですよ敵。深海棲艦なんかよりよっぽど」
北上「それは怖い」
大井「私は北上さんが居れば十分です。提督はいりません。というか邪魔です」
満面の笑みで怖いことを言う。
96 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 00:03:52.27 ID:a6g37nOR0
大北「「ごちそうさま」」
大井「北上さん、この後は?」
北上「読書タイム。そろそろ借りた本が溜まってきてね〜」
大井「そうですか…」
少し落ち込む大井っち。
読書タイムは流石に大井っちも自分が邪魔になると分かっている。
なんだかんだで私の事を一番に考えてくれている。
なんだか悪い気もしちゃうんだけどさ。
大井「では戦利品を提督に見せつけてやりますか」
さっきスマホで撮ったパフェの写真の事だろう。
大井「それではまた」
北上「うん、じゃね〜」
悪〜い顔をして提督室へ向かう大井っち。
北上「やれやれ」
猫の目も、あそこまでコロコロは変わるまいよ。
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 07:04:13.43 ID:Laxl7exmo
大井っちは素直じゃない……っとφ(..)
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 12:09:46.27 ID:MFJQ86fUo
おつおう
99 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 20:57:22.21 ID:a6g37nOR0
13匹目:海猫
ウミネコを知ってるだろうか。
私も一応知ってはいる。
鳥だ。
ではウミネコと言われてまず何が思い浮かぶか。
私はカモメだった。
実際調べてみてもカモメとウミネコの違いなんてよく分からない。
知らない。
そんなもんだろう。
100 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 20:57:53.24 ID:a6g37nOR0
海とか浜にいる鳥で、カモメ以外をぱっと浮かべる人なんてそんなにはいないんじゃないだろうか。
いやどうだろう。偏見だろうか。
アンケートでも取ろうか?
いやしかし鎮守府なんていう極まりきった偏りきった空間でそんな事しても意味はないか。
さて、私はウミネコに会ったことがない。
いや正確には船の私は見た事ぐらいあるのかもしれないけど、それをウミネコと認識していない以上会ったことないも同然だ。
だからこれは、私が初めてウミネコに会ったという話だ。
101 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 20:58:28.59 ID:a6g37nOR0
北上「今日は、三日月?やや三日月か」
例の屋根上。
遅めのお風呂の後、髪を乾かしに来てみた。
少しづつ暖かくなっていくこの時期の夜風は中々のものだ。
時刻はどこぞの軽巡の夜戦時報が一通り騒いで取り押さえられた頃。
北上「夜にテンション上がるのは分からなくもないんだけど」
猫のせいなのかな。それとも猫の記憶のせいで意味もなく夜行性と勘違いを起こしているのか、はてさて。
102 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 20:59:05.28 ID:a6g37nOR0
提督「んだよ、お前も夜戦バカだったのかぁ?っしょっと」
北上「おや、提督」
やけにはしごを登るのに苦労してる。
北上「あ〜お酒か」
提督「そゆこと。飲むか?」
北上「うっわ未成年に飲酒を勧めてきたよこの人」
提督「それは人間の法律だよ。つか既に何度か飲んでたろ」
北上「いや、実はまだ飲んでないんだ。これはマジで」
提督「そうなのか」
北上「飲んでるふりはしてたけど」
飲まなきゃいけないような雰囲気があったので。
とはいえアルコールのあの妙な匂いがする飲み物をわざわざ口にしようとは思わなかった。
猫のカンってやつ。
103 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 20:59:40.57 ID:a6g37nOR0
提督「なら今飲んでみるか?何事もお試しだ」
北上「それはー、ビール?」
提督「チューハイ、殆どジュースだよ」
北上「えぇ…こういう時提督って一升瓶に入った高そうなお酒飲むものじゃないの?お酒とかよく知らないけどさ」
提督「ばっかおめえ高いってマジで高いんだぞ。それに俺にとって酒はただの娯楽だ。安物でいーの」
北上「なるほどねえ。じゃいただきっ」
提督「あっおい!」
缶の蓋を開ける。
提督の頑張りのおかげで吹き出すことは無かった。
北上「んっ……ん?ん〜」
提督「ごかんそーは?」
北上「これホントにお酒?」
提督「言ったろ、ジュースだよこんなん」
今の私の舌ではアルコール数パーセントの差は分からないらしい。
104 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:00:07.79 ID:a6g37nOR0
北上「ごっそさん」
特に面白味もなかったので提督に缶を返す。
提督「お、おう…」
北上「なに、その微妙な反応」
提督「いやだって、なあ?」
北上「だからなんなのさ」
提督「ほら、他人が口つけたのって気になったりしない?」
北上「あー雑菌とかか。提督そんなに気にするタイプだったっけ」
提督「んな汚ねえ話じゃなくて。だぁからぁ、関節キスだよ関節キス」
北上「かん、え?何て?」
提督「え?」
105 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:00:37.41 ID:a6g37nOR0
北上「関節キスね〜そんなものがあるとは」
提督「マジで知らねぇのか」
北上「いやいやホントに勉強不足だったよ」
提督「別に知る必要があるかと聞かれたら皆無なんだけどな」
北上「でもそれって気になるものなの?鎮守府だけでもゆうに百を超える艦娘と提督が同じ食器とか使ってるじゃん」
提督「それはほら、洗ってるからセーフ」
北上「やっぱ雑菌か」
提督「そういう言われるとなんかな…」
106 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:01:06.67 ID:a6g37nOR0
北上「例えばその缶、今提督が飲んだら関節キスなんだよね」
提督「そうなるな」
北上「例えばそれを持ち帰って一時間後くらいに飲んだら関節キス?」
提督「ん〜、関節キスか否かと聞かれたら関節キスだが。少し微妙になるな」
北上「つまり異性が触れたという認識は洗えば消えるし時間で薄れると」
提督「やめろよ…夢がなくなるような言い方」
107 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:01:46.33 ID:a6g37nOR0
ゴクッと一飲み。
北上「あれ?いいの〜関節キスだよ〜?」
提督「うっせ、んな気分じゃなくなったよ」
北上「でも意外。こんなとんでも男女比率の中でそんなこと気にしてるなんて」
提督「だからこそだよ。俺は上司でお前らは部下だ。それにお前らは兵士で、兵器だ」
北上「ありゃりゃ、結構ドライだね」
提督「迷いどころなんだけどな。ケッコンなんてのもあるし」
北上「まぁどころっこしいな〜。そんなんだから童貞なんだよ」
提督「ブハッ!」
チューハイは宙に撒かれて消えていった。
下に誰もいないといいけど…
108 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:02:14.19 ID:a6g37nOR0
提督「ど!童貞、だけどさあ」
北上「誰か相手とかいないの?狙ってる人とか」
提督「ズバズバ聞いてくのな。いねえよそんなの」
北上「え〜いるじゃん大井っちとか」
提督「ブッ…ゴホッゲホッ」
吹き出ーさなかった。でも咳き込んだ
109 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:03:07.23 ID:a6g37nOR0
提督「アイツはんなんじゃねえって」
北上「でも仲良いじゃん」
提督「男同志なら友情が芽生えそうなくらいいがみ合ってるのにか?」
北上「なら男女だと愛情が芽生えるかもよ?」
提督「人の事無能呼ばわりするし容赦なく殴る蹴るの暴行を加えてくる女だぞ」
北上「それについては聞いたよ」
提督「誰から」
北上「みんなから」
提督「…なんて」
北上「ツンデレ」
提督「忘れろ」
110 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:03:38.11 ID:a6g37nOR0
提督「仮にあれが愛情表現ならそれはそれで問題だろ…」
北上「そこはまあ、同意かな」
提督「第一俺に惚れてるって前提がおかしいだろ」
北上「そお?」
提督「特に身長も高くないしイケメンでもないし目立った成績も尖った功績もないし、技量も度量もなくて…女にも、慣れてないし、未だに、遠征も間違える、ダメ、提督、だし…」
北上「こらこらこら落ち込まない、自分で自分を傷つけない」
提督「グスン」
北上「大の大人がみっともないな〜。そりゃ凄いところは無いかもだけど、特段ダメな所もないじゃん。大丈夫だよ!」
背中をバシバシと叩いてみる。
本で読んだ行為だがしかしなんで叩くのだろうか。
提督「慰め方下手くそか」
111 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:04:10.11 ID:a6g37nOR0
提督「つか大井に関してはむしろお前だろ」
北上「私?」
提督「お前ら仲いいじゃん」
北上「仲はそりゃあいいんだろうけど、え?何、大井っちの好みとか教えて欲しいの?」
提督「そうじゃなくて、その、女同士で〜とか」
北上「女同士じゃダメじゃん」
提督「ほら、百合とかレズ的な?」
北上「花?」
提督「あり?」
北上「え?」
112 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:05:03.56 ID:a6g37nOR0
北上「なるほどね〜同性愛か。考えもしなかったよ」
提督「なんな汚してはいけないものを汚してしまった気がする」
北上「余計な知識なんてないよ。余計なのは知識に善し悪しを付ける価値観の方さ」
提督「お、おう」
北上「でもなるほどね。確かにそう考えると大井っちの行動は理解出来ないもないかな」
提督「やっぱそうなのか」
北上「さあね。本人に聞かない限りそうかもってだけだよ」
提督「そりゃそうか」
113 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:05:37.93 ID:a6g37nOR0
提督「ほれ、やるよ」
北上「いいの?まだ残ってるけど」
提督「空き缶だけ渡すとか酷すぎだろ。なんか飲む気分じゃなくなったからな」
北上「あちゃ、悪いことしちゃったかな」
提督「逆だよ逆。いい気分になったから酒はいらんさ」
北上「そお?なら遠慮なく」ゴクッ
甘い。
提督「お前は気にしないのな」
北上「関節キス?まあ特にはね。なんなら普通のキスしちゃう?」
提督「っ…遠慮しとくよ。なんか怖いしな」
北上「え〜とって食いやしないよ」
114 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/29(土) 21:06:59.26 ID:a6g37nOR0
提督「やれやれ、ここは変なやつしか集まらないのかね」
北上「自分が変だとは思ってるんだ」
提督「多少はな」
あれ、しかし今の言い方だと。
北上「ここって私たち以外にも誰か来るの?」
提督「ああ、と言っても俺も最近知ったんだが」
ドクン、と心臓がなったのを感じた。
北上「誰が、来るの?」
提督「昼過ぎにそこのはしごを降りてるのを見ちまってな。なんでも飯食った後にここによく来てるんだと」
動悸が激しくなってるのは多分お酒のせいじゃない。
提督「谷風。面識はあるか?」
もしかして、という期待を、私は抑えられなかった。
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 21:23:06.13 ID:xVYvy8nf0
間接な いつまでサブミッションかけとるんじゃw
116 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:13:22.09 ID:o3y+tRZF0
自分で書いてる時は違和感ないから不思議
117 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:14:24.41 ID:o3y+tRZF0
完全に、100%の直感だったけど、私は谷風に自分と同じじゃないかという期待を寄せていた。
だから次の日すぐに行動した。
北上「ホントにいた」
谷風「ん?あぁキミか。思っより早かったね。いやホントにね」
北上「こんな真昼間からなんでここに?流石にそろそろ熱い季節だよ」
谷風「空が近いじゃないか。それに皆を見下ろせる」
北上「えぇ、そんな理由?」
谷風「冗談だよ、半分ね。さて初対面ってわけじゃないけど、一応言っておこう。初めまして、谷風さんだよ、よろしくね」
北上「…北上」
谷風「うんうん。よろしくね、北上さん」
握手を、した。
118 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:15:26.83 ID:o3y+tRZF0
谷風「でも高いところが好きなのはホントだよ?何故かね」
北上「…」
高いところ。やはりコイツも猫か?
谷風「別にスカートの中を覗かれることに抵抗がないわけじゃないんだけどね。まあこんなところを見る人もいまいよ」
特にそんな感じはしないけど。いや私だってパッと見は普通だけどね。
谷風「しかしこんな格好で毎日戦場に赴けば妙な思考を植え付けられても不思議じゃないよね。初めて被弾した時なんかこれはもういっそ下着だけでいいと思ったよ」
しかし何ていうか、この娘、
谷風「全部含めて艤装だし仕方ないんだけどね。それで言ったら一番可愛そうなのは提督になるのかねえ。心配で駆け付けたら目に映るのは露出した太股、お尻、お腹に、胸。お互い辛いもんだよ。誰が考えたんだかね。神様かな?なら納得だけど」
…よく、いや非常に、あまりに非常識になレベルで喋る。
北上「それは、今話す事?」
119 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:16:01.63 ID:o3y+tRZF0
谷風「ふむ…では本題だ。キミ、猫の記憶があるんじゃないか?」
北上「え!?なんで!」
谷風「よしよし、合ってたみたいでホットしたよ。もっとも間違ってたところで何が変わるわけじゃないのだけどね。誤魔化すのは簡単だし」
北上「気づいてたんだ」
谷風「そりゃそうだ。だからキミがここに来るように仕向けたんじゃないか」
北上「仕向けた?」
120 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:16:33.25 ID:o3y+tRZF0
谷風「キミが夜中にここに来てると知ってね。昼に私がはしごを降りるとこを提督に目撃させて私の事を話したんだ。そうすればキミはここに来る、かも知れない」
思わず構える。
仲間に出会えたのは嬉しいが、これは少しばかり予想外だ。
谷風「ここで大事なのはキミは来るか来ないか選べるってとこさ。もし記憶があるならきっと来る。なければ来ないだけだし」
北上「私に記憶が混じってるのを知ってたんじゃないの?」
谷風「確証はなかった。確信はあったけどね。だから待つつもりだったんだここで。最低1ヶ月は待つつもりだったかな。提督が話すか、いつ話すかは運任せだし」
北上「さっきの早かった、はそういう意味か」
谷風「そういう意味さ。まあ来てくれてよかったよ。キミの言う通りここは熱いからね」
北上「高いところが好きってのも私の反応を見るための嘘って事ね」
谷風「ん〜まあそれもあるかな。好きなのは本当さ」
121 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:17:02.29 ID:o3y+tRZF0
谷風「私はここの古株でね。今の提督の一つ前から。もう50年はここにいる」
北上「ご、ごじゅう?」
谷風「そう。だから色々知ってるし顔も利く。だから監視してるんだ。自分と同じ艦娘がいつか合われるんじゃないかって」
北上「猫ってのも人に聞いたわけだ」
谷風「うん。実験もしたけどね。爆竹流行らせて反応見たり色々。猫の反応だったよ」
北上「あれ意図的だったんだ。手の込んだことで」
谷風「人にはバレない方がいいからね。なんとなくだけど。回りくどいのもそのためさ」
北上「でももし私が来なかったらどうするつもりだったの」
谷風「記憶があった上で来なかったら、それはそういう意味だと理解して今後関わるつもりはなかったよ」
北上「へえ、優しいんだね」
谷風「気持ちは分からなくもないからね。こんな記憶忘れて、ただの艦娘として生きた方が楽ではあるんだろうしさ」
122 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:17:29.80 ID:o3y+tRZF0
北上「他には、いないの?」
谷風「知る限りは。これまでも怪しい艦娘にはアプローチをかけてたけど来たのはキミだけ。だから認識上この鎮守府には私達しかいないと思っていいかな」
北上「そっか、残念。ってわけでもないのかな」
谷風「そうだね」
北上「でも、なんでそんなに必死に探してたのさ」
谷風「そんなの当たり前だろ?独りぼっちは寂しいんだ」
北上「それは、まあそうねえ」
谷風「秘密ってのは2人以上で抱えて初めて面白いものになるんだよ。1人じゃ負担にしかならないのさ。もっとも誰かに話すとその時点で戸が建てられなくなるんだけど、
とこんな話は今はいいか。ともかく私は話し相手が欲しいのさ」
北上「…お喋りが好きってわけだ」
長い。話がさっきから長い。
私とのセリフ量に差がありすぎる。
しかも途中に呼吸を入れずに一気に話すもんだからついていくのも大変だ。
123 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:17:55.37 ID:o3y+tRZF0
谷風「そうなんだよ。この口ときたら頭で考えるよりも早く動くもんだから歯止めが効かなくてねえ。歯止め、なんてまさに書いて時の如くだね。
でも普段は抑えてるんだ。谷風ってのは別にそうお喋りなキャラじゃないからね。それ自体は別に構わないしむしろ谷風という自由なキャラは中々気に入ってんるんだ。人間関係の構築という点でも大いに役立つ。
さて私、つまり谷風でもなく海猫でもない今の私がこうなったのはまさにその海猫の部分が原因なのさ。視点がズレたと言うべきなのかなあ。そのせいか一つのことに対して思うところが次々と湧いてくるようになっちゃってね。こうして「ウェイト!」ん?」
北上「え、今なんつった」
谷風「今?」
北上「う、うみねこ?」
谷風「そうだよ」
北上「猫じゃないの?」
谷風「そんな事は言ってないはずだけど」
北上「えぇ…」
124 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:18:39.28 ID:o3y+tRZF0
谷風「あるときふと気がついた。空を飛んでいた、と。ビックリしたよ。そうして色々必死に思い出すうちに、自分がどうやら鳥であったことに気がついた。
そして悩んだ。
そりゃそうだよね?何故に鳥ってね。徐々に翼やくちばしの感覚を思い出していった。
すると面白いものでね。価値観が大きく変わった。さっきも言ったけど、そうだね、当たり前が当たり前じゃなくなるって感じかな。
それがいい事かはともかく、周りとズレているというのはしかし想像以上に辛いものでね。悩みの種というわけだ。話し相手が欲しいというのはそういう事さ」
少しセリフの長さを抑えろと言った矢先にコレだ。諦めよう。
125 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:19:06.36 ID:o3y+tRZF0
北上「つまりこれから仲良くやっていこうってわけね」
谷風「そゆこと。悩み事は共有した方が気が楽だろ?」
北上「同感」
谷風「さてと。ならこんな暑っ苦しい所にとどまる理由はないね。次からは夜にしよう。そうだね…毎週火曜と金曜に私はここに来るよ。キミも会いたければ来るといい」
北上「りょーかい。それ以外であった時はどうする?一応秘密なんでしょ」
谷風「そこは、ん〜。キミに任せるよ。それじゃね」
北上「え〜、ちょっと」
タッタッタッと振り向きもせずハシゴに駆けていく。
一瞬飛ぶのかと思ったが普通に降りていった。
さて、
北上「面白いことになっちゃったな」
ついにやけてしまう。
なんだかいい気分なのでニャーと言ってみた。
126 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 02:21:02.77 ID:o3y+tRZF0
谷風のあの声をずっと聞いていたいと思ったらこうなった
誤字チェックをする気力は、あまりない
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 02:30:37.80 ID:7rZftrgkO
乙です。
まぁ誤字については気づいたら直せばいいのさ、指摘されない限りはね、意味が分かれば十分……よほど笑えるのとかは指摘するけども。
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 02:37:18.24 ID:3a1i1UmPo
乙カレー
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/30(日) 07:32:38.13 ID:x46T6Pf+o
乙
ニャーニャー鳴くのがウミネコだ(ブチャラティ並感)
130 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 22:57:23.46 ID:o3y+tRZF0
14匹目:好奇心は猫を殺す
イギリスのことわざ。
しかし好奇心とは大切なものだ。
それこそ、命を懸けてもいいくらいに。
やりすぎると馬に蹴られるかもしれないけどさ。
131 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 22:57:59.88 ID:o3y+tRZF0
夕張「ズバリ、ツンデレよ!」
北上「うえ〜?」
工房。
近代化改修と点検の真っ最中。
北上「なに、つんでれって」
夕張「あれ?知らない?本読むって言うから知ってるものかと」
読書家なら知ってるような単語なのか。
皆目見当がつかない。
永久凍土の上にある雨の少ない土地の知り合いかなにかかと思ったが。
132 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 22:58:37.38 ID:o3y+tRZF0
夕張「ツンデレってのは略称で、最初ツンツン後デレデレって意味よ」
美味しいお米の炊き方かよ。
夕張「今は天邪鬼って意味に使われる事が多いかな」
天邪鬼。それならわかる。
北上「あ〜確かに、うん。ツンデレだ大井っちは」
夕張「鎮守府の皆そう思ってるよ多分。絶対に言わないけどさ」
北上「鬼とはよく言ったもんだよね」
夕張「あはは、確かにそうね」
なんて喋りながらも作業スピードが一向に落ちない。プロや…
133 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 22:59:10.86 ID:o3y+tRZF0
夕張「でも大井さんって北上さんが好きよね」
北上「ん〜まあそうだよねえ」
夕張「やっぱ提督<北上さんなのかな〜。せめてイコールを入れたいわね」
北上「難しい話だよ。私達は特に、命がかかってるしね。どちらもとはいかないし」
夕張「ケッコンの話もあるもんね。提督もあまり私達を異性として意識しないようにはしてるみたいだけど、そうも言ってられないんじゃないかな」
北上「命短し恋せよ乙女、って?」
夕張「寿命で言えば提督の方が短いけどね」
北上「戦場だもの、私達の方がきっと、短いよ」
134 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 22:59:58.29 ID:o3y+tRZF0
夕張「ハイ終わりっ!」
北上「ん、ありがとね」
夕張「そうそう、最初の話に戻るけどさ。北上さん本読むのよね」
北上「まあそれなりに」
夕張「ツンデレをより理解してもらうために、私の秘蔵のコレクションを貸そうじゃないか!」
北上「お、おう」
目がキラキラしてる。
デジャヴ?
日向さんの時と同じだこれ。
夕張「さあさあ着いてきたまえ〜」
135 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 23:00:32.71 ID:o3y+tRZF0
自室に帰宅〜っと、
大井「あら北上さん、改修は無事ああーーーー!!」
北上「うわっ、何何どうしたの大井っち!」
大井「き、北上さんが、エッチな本を!?」
北上「えっち?」
エロ、18禁、性的表現。
手に持ったらいとのべるとやらの表紙絵と夕張の言葉を思い出す。
「どんな本もジャンルもまず読む事よ!好き嫌いは構わないけど偏見はダメ」
無茶を言う。
北上「いやでも昔の本とか性的表現ガバガバだし表紙に裸体とかザラだし」
大井「うっ…」
北上「というか私らの格好も大概、それ以上じゃん」
大井「グハッ」
WIN!
136 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 23:01:15.65 ID:o3y+tRZF0
大井「いえ。北上さんの読書を邪魔するつもりは無いんです…はい…」
北上「なんかごめん」
大井「お気になさらず…」
どうしよう、何か触れてはいけないことに触れてしまった気が。
北上「大井っちは服破けるのいやなの?」
大井「それは誰だってそうでしょう!」
そうかな、そうかも。
いや普通はそうだけど。
北上「慣れるしかないじゃん」
大井「でも、北上さんの、北上さんのあられもない姿があの唐変木に見られるかと思うと…」
唐変木。提督の事か。
北上「私の姿、ねえ」
とりあえず1冊目を開く。
137 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 23:01:49.69 ID:o3y+tRZF0
読書とは、
知識を得られる、
見聞が広がる、
語彙力が上がる、
エトセトラ
でも一番に好きな部分は、他人の価値観を得られることだ。
色々な作者の、そして作者の様々な価値観がそこには登場人物として描かれる。
それらを読み、理解したり、出来なかったり、そうして自分の中に蓄積していく。
それがいい事かどうかは賛否両論ありそうだが、猫なんてぶっ飛んだ価値観が混じってる私には今更だ。
138 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/30(日) 23:02:15.46 ID:o3y+tRZF0
北上「いやでもさ、これはキツいわ」
夕張「ありゃ、ダメだった?」
北上「面白かったけど、そのね、大井っちを見る目が、変わりました…」
夕張「ほ、ほら!フィクション!フィクションだから!」
北上「小説より奇なりが現実だよ…」
私がそれを証明してる。
夕張「でも百合は少し理解出来たでしょ。まだまだ序の口よこれでも」
北上「マジかぁ」
愛の種類というのはこれほどまでに多彩に、深く広がっているのか。
私にはまだ早いようだ。
私は賢いので、好奇心を少し抑えることにした。
139 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/31(月) 02:01:48.61 ID:+4O7U4Ke0
16匹目:猫と子猫
数。それは圧倒的な力の差をも覆す。
一つ一つは弱くても、膨大な数が集まるととてつもない強さへと変わる。
生き物は知っている。
本能的に。
数の暴力を。
北上「でさ、助けてくれない?」ヒソヒソ
谷風「私も涼みに来たくちだからねえ。そいつぁ無理かな」ヒソヒソ
日に日に熱くなる。そんな季節。
私は、
駆逐艦たちに襲われていた。
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 03:01:09.28 ID:coz3SQ5Zo
長門さんが羨ましそうに見てる
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 08:09:59.67 ID:eOoAiNK7O
アツゥイ!
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/31(月) 10:58:45.23 ID:OhNtpldO0
文章の書き方が好きだわ
更新お疲れ様です
143 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/31(月) 22:42:33.56 ID:MkHi9DRM0
谷風「襲われてるとは随分ないいようじゃあないか」
北上「似たようなもんでしょ」
谷風「見解の相違だね」
北上「なんでコイツら私の所に寄ってくるのさ」
谷風「君のいる所は涼しいからね」
北上「私がいる所が涼しいんじゃないよ。涼しい所に私が来てるだけ」
谷風「いかにも猫って感じじゃあないか」
夕立「…ポイ~」スヤスヤ
谷風「あまり喋ると起こしちゃうかな」
北上「起こしたいからいいよ」
144 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/31(月) 22:43:01.19 ID:MkHi9DRM0
工房と母校の渡り廊下。
この時期いい感じに風が吹き込む日陰を見つけたのでここで読書と洒落込むつもりだったんだけど。
最初は遠征帰りの六駆。今は私の向かい側で壁を背に座って寝てる。
真ん中が響で皆そこにもたれかかる形になっている。誰が姉だか分かりゃしない。
次に工房から出てきた夕立と神風。
神風も本が好きらしく、最初は私の横に座って本を除いていたがライトノベルは合わなかったのか、そのまま眠ってしまった。寝るなよ…長い髪が少しこそばゆい。
夕立。こいつはもうストレートに寝た。横に座る神風を見て「私も!」と言って座って、「ここ涼しいっぽい」と言った次の瞬間には寝てた。のび太か。
こうも両手を固められちゃ本を読むのも一苦労だ。
145 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/31(月) 22:43:39.24 ID:MkHi9DRM0
谷風「なるほどね。そこで転がってるのは?」
北上「工房からあち゛〜って出てきて倒れ込んだっきりだよ」
タンクトップにホットパンツほぼ下着みたいな姿で倒れ込んでるのは夕張。鎮守府内のエアコンゾーンまで行く気力は無かったらしい。
谷風「確かにここは涼しいね。妙に風が吹くし」
北上「海からの風がここを通るみたいなんだ。この時間なら日も当たらないし」
浦風「な〜にしとるんじゃこんな所で」
谷風「あれ、浦風。工房に用かい?」
浦風「そうやったけど、今は無理みたいじゃね」
夕張「」
返事が無い、ただの屍のようだ。
146 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/31(月) 22:44:21.03 ID:MkHi9DRM0
浦風「それで、この子らは何しとるん?」
谷風「そりゃもちろん、おや?」
スッーと、少し強めの海風が吹き抜ける。
うわ神風の髪が。この子髪の毛サラッサラだな。同じく髪の長い球磨姉なんか結構くせっ毛なのに。
谷風「まあ、こういうことさ」
浦風「なるほどね。確かに、いい風じゃぁ」
北上「言っとくけど私の所はもう定員オーバーだよ」
当然のように膝枕に寝てる谷風を見下ろす。
谷風「そうかい?頑張れば2人は寝れそうじゃないか」
北上「それは私の負荷を考慮してないよね」
浦風「じゃあ谷風を枕にしようかねえ」
谷風「いいねえ。日が沈む頃には廊下に列ができそうじゃないか」
北上「いいわけないでしょ…」
147 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2017/07/31(月) 22:45:11.23 ID:MkHi9DRM0
浦風「浜風もそうやけど、浦風も浜辺を吹く風っちゅう意味なんやよ」
北上「艦娘、というか船の名前は海にちなんだものが多いよね。当たり前だけど」
谷風「海風なんてそのまんまだしね。でも私は谷だよ谷。海でも割れってのかねえ」
モーゼかよ。
浦風「そこら辺はもうただの風繋がりやろうね。他は、潮に波に、雲かいな」
谷風「月と雪」
北上「後は気象現象?とか」
谷風「ところで不知火ってどういう意味なのかね」
浦風「知らぬいってね」
北上「冷えるね」
谷風「涼しいなあ」
浦風「ちょっと」
谷風「ほらほら起きちゃうから静かに」
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