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北上「我輩は猫である」

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273 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:46:16.85 ID:c64pr5xS0
神風「遊ぶって言ったじゃないですか」

北上「泳ぐの等は禁止」

神風「…北上さん」

北上「なに」

神風「泳げなかったりします」

北上「…します」

多摩「ちなみに多摩も泳げないにゃ」

神風「」

絶句、だった。
274 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:47:07.30 ID:c64pr5xS0
船だから水には強い?

何をおっしゃる。あんなん浮いてるだけじゃあないか。

潜れるか!

泳げるか!

某海賊マンガだって弱点は溺れる事だぞ!

まあ私の場合泳いだ事がないからホントに泳げないかどうかもわからないけど。

未知と猫の記憶から水に対しての恐怖が拭えないのだ。

ちなみに多摩姉ちゃんはマジで単純にただただ泳げないだけ。
275 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:48:38.75 ID:c64pr5xS0
神風「つまり泳げないわけではないんですよね」

北上「かもしれないって話だけど」

とはいえ汗だくは嫌なので海水を浴びに行く。とりあえずは。

神風「怖いんですか?」

北上「最初は水も怖かったけどね」

水が腰くらいの高さまで来るところでストップ。

神風「ここが限界ですか」

北上「お風呂は別に嫌いじゃないんだよ」

神風「じゃあ何が?」

北上「過去の記憶と、経験が無いことから来る恐怖」

神風「矛盾してません?」

北上「真逆の事を言ってはいるけど矛盾はしてないんだよ」
276 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:50:45.35 ID:c64pr5xS0
呼吸ができない。

視界が悪い。

足がつかない。

これだけの条件が揃って怖がらない理由がない。

神風「あっ、視界だけなら解決できますよ!」

北上「へ?」

神風「ちょっとズルいですけど、こうやって…」
277 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:51:22.69 ID:c64pr5xS0
海がなんで青いか〜なんてググれば済むような雑学はともかくとして、海中から見た景色を一言ありふれた言葉で表すと

本当に空中にいるような感覚だった。

水中ではなく、かと言って空中とも少し違う。

光の中にいる、といった感覚だった。

神風『どうですか?凄いでしょ!』

北上『こりゃいいや』

通信で会話する。

そう。神風のズルい解決策とは、艤装の力を使うことだった。

言わば機械の目だ、染みることもない。
278 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:52:04.91 ID:c64pr5xS0
神風『とはいえ艤装ですから燃料を消費します。あんまり使うと司令官に怒られちゃうので』

北上『あんまりじゃなきゃいいの?』

神風『誤差ですよ誤差』

ホントかよ。

ちなみに重巡以上は消費量の関係で禁止だそうだ。

北上「ぷはっ」
神風「ふぅ」

北上「まさか船なのに海に潜る日が来るとはね」

神風「流石に息の方はどうしようもないですけどね」
279 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:53:16.34 ID:c64pr5xS0
神風「さあどうです?次は泳いでみましょうよ!」

うわなんか凄い調子に乗ってる。

北上「私としてはもう少し海中探索してたいんだけど」

神風「それなら!いいスポットがありますよ。こっちこっち」

岩場の方を目指して無防備歩いていく。

くくく馬鹿めそれは罠だ。

北上「とりゃあ!」
神風「ひっ!ちょきたかアハハハダメダメダメェ!」

後ろから抱きついてのくすぐり攻撃。さっきの仕返しだじゃじゃ馬め!
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 22:54:50.95 ID:UYW7mXjw0
ポロリクルー?
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 06:38:13.69 ID:CLjyngmko
…ほう
282 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:17:22.34 ID:20RJ36TY0
人のことは言えないがこのような矮躯でバケモノと戦ってるって凄い事だよね。

精々が中学生程度の身体。

骨のラインがはっきり分かるような細身。

艤装が無ければ私1人振りほどけない腕力。

北上「ほれほれここか、ここがええんか」
神風「アハハハハハ…だ、だめぇ!ハッ、アハハハ…ハ…ふえ?」

北上「…」

神風「き、北上さん?」

北上「人間魚雷だ」

神風「…え?」

沖合から何かが、いや何かは明白なんだけど、突っ込んできた。

笑い涙を恐怖の涙に変えながら逃げようとする神風。

しかし、まあこれはどうしようもない。

大井「きーたーかーみーさーん゛!」

着弾。
283 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:18:02.93 ID:20RJ36TY0
大井「だって!せっかく水着を取り返したと思ったら北上さん海辺でキャッキャウフフしてたんですよ!我慢できるわけないじゃないですか!」

北上「お、おう」

神風「し、死ぬかと思った…」

木曾「悪いな、止められなくてさ…」

多摩姉の所に戻ると、隣に球磨姉が刺さっていた。

足を上にして。

茶色い水着なのでまあ球磨姉だろう。

北上「捕獲したと」

大井「逃げないようにと」

神風「二酸化炭素の逃げ場がないのでは」
284 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:19:56.11 ID:20RJ36TY0
北上「というかさ、こんなとこ他に見る人もいないんだし水着無くてもいいよね」

木曾「いや幾ら何でも、いや、ありか?」

神風「でも司令官はめったに来ませんよね」

多摩「忙しいからにゃ、あれでも。ところで出られないんだがにゃ」

北上「オシャレのしがいがなさそうだよね」

木曾「一部のヤツらは残念がってたな」

北上「やはり水着なんて着なくても良いのでは?」
285 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:20:35.59 ID:20RJ36TY0
大井「何言ってるんですか。普段しっかり隠していた方が本番の時萌えるじゃないですか」

神風「ほ!ホンバン…」カァァ

北上「…」
木曾「…」

これは提督の事か?私か?

多摩「あ、なんか来たにゃ。それはそうとここから出して欲しいにゃ」

神風「遠征組が来たみたいですね」

北上「なんか沢山荷物ない?」

木曾「スイカにクーラーボックス、スーパーの袋、でけぇ肉…どうやってあんな物」

多摩「お昼はバーベキューかにゃ。食べたいにゃ。出たいにゃ」
286 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:21:09.09 ID:20RJ36TY0
北上「私らも一旦別荘戻るかね」

大井「そうですね」

神風「私もみんなを呼んできます」

木曾「んじゃあ俺は、見張りかな…」

北上「よろしくね〜」




神風「ところで多摩さんは何故ずっと放置なんですか?」

北上「水着忘れたから裸なんだよ」

神風「えっ」
287 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:22:00.03 ID:20RJ36TY0
大井「はいどうぞ北上さん」

北上「さんきゅー」

手渡された串にはBBQされたお肉と野菜がバランスよく刺さっている。流石だね。

大井「いいんですか?あちらに混ざらなくて」

北上「ちょっとね。騒がしいのはまあ、嫌いじゃないんだけど。今は少し考え事を」

大井「お邪魔でしたか?」

北上「ううん。むしろ私が邪魔になりそうだからここに来てるんだ」

あちらのBBQ会場は30人程が三つのコンロを囲んでいる。

そのうち一つからやたらと黒い煙が上がっているのが少々気になるが。
288 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:22:38.47 ID:20RJ36TY0
大井「では私はこれで」

北上「あー大井っち」

大井「はい?」

北上「ありがとね」

大井「野菜も、ちゃんと食べてくださいね」

北上「は〜い」

向こうへ戻っていく白いワンピース。

大井っちもオシャレに気を使う一部なのだろう。提督はああいうのが好みなのかねえ。

さてさてお肉のお味は。

北上「…生焼けじゃん」

暗に戻ってこいと言っているのか?
289 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:23:09.30 ID:20RJ36TY0
球磨「食後のスイカ割りだクマー!」

多摩「おー」

球磨「ところで一つ質問があるクマー!」

北上「おー?」

球磨「なぜスイカの隣に球磨が埋められてるクマー?」

大井「はい目隠しー」

多摩「おー」

北上「回って〜」

多摩「お〜〜」

大井「はい棒です」

木曾「十歩前に進んで右足で踏み込んで打て」

球磨「木曾ぉぉぉぉぉ!!!」
290 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:23:56.46 ID:20RJ36TY0
北上「もうちょい前前」

球磨「右!右がスイカクマ!」

大井「右は偽物です」

球磨「スイカ割りって言ったクマ!」

木曾「球磨姉もう暫く声出しててくれ」

球磨「なんで音を頼りにしてんだクマァ!スイカは喋らねえ!」

木曾「そこだっ!」

球磨「違うぅ!」
291 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:25:01.45 ID:20RJ36TY0
声で球磨姉の位置がわかるという事は当然隣のスイカの位置がわかるわけで、

まあここではずす程木曾の練度は低くない。

北上「スイカって砕くより切った方が絶対うまいよね」

大井「雰囲気を味わうものですから」

木曾「でも細かいのは勿体ないよな」

他の子達は普通に切って食べている。

何故こんなことをしてしまったのか、という後悔が…
292 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:25:52.22 ID:20RJ36TY0
北上「プッ」

種を飛ばし虚しさを誤魔化す。まずまずの飛距離だ。

木曾「プッ!」

北上「うおぉ、凄い」

木曾「コツがあんだよコツが」

多摩「すぅぅぅぅ…に゛ゃ゛!ゲホッ!飲み込んだにゃあ゛!」

北上「オヘソから芽が出てくるよ〜」

木曾「スイカの子供が産まれてくるぜ」

多摩「」

大井「はっ!つまり北上さんの出した種を食べればそれはもう北上さんの子供を宿したと同義なのでは!」

北木「「えっ」」

私達の種は鎮守府の花壇に埋めることとなった。

こういうのって生えてくるものなのかね?
293 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:26:31.95 ID:20RJ36TY0
大井「北上さ〜ん。口移しでいつもと少し変わった食感を楽しんでみません?」

北上「いやかき氷ってそれやったらただの水だよね」

木曾「多摩姉それ何味だ?」

多摩「鰹節にゃ」

木曾「鰹かー。え鰹っ!?」

多摩「嘘にゃ、ココアにゃ」

北上「お、あのネットはバレー用かな」

大井「口移し」

木曾「多分だけどおい姉、言ってる事と思ってる事が逆だぞ」

多摩「球磨型も参加するにゃ」
294 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:27:13.49 ID:20RJ36TY0
北上「最初は神風型と17駆か」

多摩「17駆の方は既にボールが四つもあるにゃ」

大井「何食べたらああなるんでしょうね」

北上「提督は大きいのが好きなのかな」

大井「…なんでここで提督の名前が出てくるんですか」

木曾「あれだけデカイと邪魔そうだがな」

北上「海とは違って飛んだり跳ねたりするからね」

多摩「多摩と同じかそれ以上にゃ」

大井「私よりも大きいかも知れません」

木曾「駆逐艦とは」

北上「デストロイヤーだね」

多摩「あんなもん一般のビーチにだしたら死人が出るにゃ」
295 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:27:57.71 ID:20RJ36TY0
北上「谷風って運動神経いいんだね」

大井「艦娘としての練度も高いですし、運動能力は高いはずです」

木曾「浦風も凄いな」

多摩「浜風はダメダメにゃ」

北上「磯風はアタックしかしてないけど強いね」

大井「神風は流石ね」

多摩「松風と春風もよくボールに食いついてるにゃ」

木曾「朝風は、ドジっ子か」

大井「ドジっ子ですね」

多摩「ドジっ子にゃ」

北上「あ、顔面にボールが」
296 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:28:55.45 ID:20RJ36TY0
球磨「クマクマクマ!見てるだけかクマお前達」

北上「ありゃいつの間に」

木曾「なんだよその笑い方…」

大井「そうですね、もう1度埋めましょう」

多摩「ところでなんで水着はなくてこれはあるんだにゃ」ブルマー

球磨「妹達が冷たいクマ…」

木曾「自業自得だろ」
297 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:30:01.46 ID:20RJ36TY0
多摩「水着はないが運動着はあると言われてみりゃこれにゃ」

球磨「似合ってるクマ」

多摩「ネコでブルマとかキャラあざとすぎにゃ。20年前のギャルゲーかにゃ」

北上「自分で言うかね」

球磨「ネコもブルマも玉追いかけてなんぼクマ。さっさと動けクマ」

多摩「あ゛?そっちこそサーブでその熊らしい腕力を見せつけてくりゃいいにゃ。クマクマ言ってあざとらしくポロリでもするにゃ」

球磨「やるか」

多摩「やるにゃ」

木曾「またこれだ」
298 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:30:27.06 ID:20RJ36TY0
多摩「水着はないが運動着はあると言われてみりゃこれにゃ」

球磨「似合ってるクマ」

多摩「ネコでブルマとかキャラあざとすぎにゃ。20年前のギャルゲーかにゃ」

北上「自分で言うかね」

球磨「ネコもブルマも玉追いかけてなんぼクマ。さっさと動けクマ」

多摩「あ゛?そっちこそサーブでその熊らしい腕力を見せつけてくりゃいいにゃ。クマクマ言ってあざとらしくポロリでもするにゃ」

球磨「やるか」

多摩「やるにゃ」

木曾「またこれだ」
299 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:30:55.76 ID:20RJ36TY0
北上「何かと争うよね」

大井「何度か長女の座をかけて戦ったりしてますし」

北上「多摩型になってたかもしれないのか」

木曾「でも何だかんだで球磨姉が勝つんだよな」

北上「長女の意地だね」

吹雪「おまたせしました〜」

北上「あれブッキー?どったのその、弾?」

吹雪「夕張さん特性の対艦娘用強化バレーボールです」

木曾「なんて?」

吹雪「夕張さん特性の対艦娘用強化バレーボールです」

大井「このために?」

吹雪「艦娘用強化バレーボールです」
300 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:31:28.58 ID:20RJ36TY0
木曾「始まっちまった」

北上「バレーボールなのに1体1って…」

大井「バレーボールなのに砲撃の音がします…」

木曾「あぁ…」

北上「外れたボールが駆逐艦に」

大井「これ止めた方がいいんじゃないでしょうか」

吹雪「艦娘ですし大丈夫ですよ」

北上「楽しそうだねえ」

吹雪「このためにわざわざ大型建造1回分の資源ぶち込んだんですもの」

木曾「相変わらずフリーダムだな秘書艦」
301 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:31:59.92 ID:20RJ36TY0
大井「よく受け止めますね多摩姉さん」

神風「私知ってます。こういうのテニヌって言うんです」

北上「違うけど合ってる」

吹雪「神風、他のみんなは?」

神風「流れ弾が怖いんで殆ど泳いだりしてますよ」

北上「そういや木曾がいない」

神風「あ〜木曾さんならあっちに」

北上「ちょっくら見てこよう」
302 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:32:33.96 ID:20RJ36TY0
北上「うわお」

木曾「お、上姉もやるか?」

電「んーこのままだと橋の強度が足りないのです」

雷「なら大きくしちゃえばいいじゃない」

暁「堀ももう少し広げちゃいましょうか」

響「監督、桐を貸してもらえるかい」

まるゆ「こっちので大丈夫ですか?」

響「いや、細い方を頼む」

北上「…何作ってるの」

「「「「「「江戸城」」」」」」

何もんだよこいつら。
303 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:33:15.83 ID:20RJ36TY0
大井「はい完成」

神風「わあ凄い!どお吹雪?」

吹雪「凄くカワイイ!凄く売れそう!」パシャ

神風「売る?え、売る?」

大井「じゃあ次は金剛さんの髪型で」

吹雪「ほらほら私の事は気にせず」

神風「ちょっと、もう…」

戻ってみると何やらヘアスタイルショーが始まってた。

神風のあの長い髪はよく弄られている。

姉妹だと松風なんかによくやられると言っていた。
304 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:33:48.34 ID:20RJ36TY0
球磨「オラァ!」
多摩「なんのお!」

北上「バレーは?」

ドッジボールと化していた。吹雪が次に作るべきはあの威力に耐えられるネットだろう。

だいぶ日が傾いてきているが、沈むまで続きそうだこれは。

多摩「にゃらぁ!」
球磨「クマァ!」

北上「蹴りもありなのか…」
305 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:34:56.12 ID:20RJ36TY0
北上「さてどうしたもんかね」

各々好き勝手にやりたい事をやっているが、ほんとに部屋に戻って読書でも始めてしまおうか。

龍驤「なんや、キミは泳がんのかい」

北上「…あれ、今日は駆逐艦とかしか来てなかったんじゃ」

龍驤「おう喧嘩売っとんのかコラ」

北上「ちなみに何故スク水?」

龍驤「飛龍か蒼龍に仕込まれたんや」

北上「に、似合ってますよ」

龍驤「それはボケか?素か?」
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 00:56:29.58 ID:BS5m57pI0
似合ってます
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 03:20:55.58 ID:Or4ubPJ+o
ブッキーええキャラしてんなあ
308 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:05:43.78 ID:pP3hituQ0
龍驤「思ったより元気そうで安心したわ」

北上「みんな随分気にかけてくれて、まあ嬉しいですけど、なんか気にしすぎじゃないですか?」

龍驤「せやなあ。やっぱ提督がえらい心配しとったのが原因やろな。ウチもそのクチや」

北上「提督が?」

龍驤「大井と仲のいいキミやからってのがあるんやろな」

北上「なるほどね。どっちも心配性な」

龍驤「似たもの夫婦やからな」

北上「まさしく」

龍驤「泳がんの?」

北上「泳げんの」

龍驤「…一人になりたいならあっちの岩陰の方がオススメや」

北上「え?」

龍驤「ほな」
309 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:06:10.59 ID:pP3hituQ0
いい感じに日陰になっていた岩場は、とてもヒンヤリとしていて気持ちがよかった。

北上「みんな色々な反応をしてくるなあ」

心配してくれているのは一緒みたいだが。

大井「みんな北上さんの事が大切なんですよ」

北上「大井っち、神風はもういいの?」

大井「ええ、堪能しました」

北上「さいで」

大井っちが隣に座る。

日は、だいぶ傾いてきていた。
310 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:06:51.18 ID:pP3hituQ0
北上「それは?」

大井「線香花火です。明石さんに頼んで火薬マシマシの長時間バージョンになってますよ」

北上「なんか不安なんだけど」

大井「1本試したので大丈夫ですよ」

流石、安全管理に抜かりはなかった。作者が作者なので当然か。

北上「まだ明るいけど」

大井「日が落ちる前には帰らなきゃですから。鎮守府でやるわけにもいかないですし」

北上「確かにね」

仮にも軍の基地。火薬物をおいそれと扱うわけにはいかない。

まあ魚雷やら爆撃機やらが日常的に飛び交ってるけど、提督室は特別ということで。

半分は提督の自業自得だし。
311 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:07:17.72 ID:pP3hituQ0
北上「さてと」

大井「では」

「「勝負」」

同時に火をつける。

岩場の影とそれを包むオレンジ色になりつつある陽の光が、想像とは違う花火の輝きを生み出していた。

パチ、パチと徐々に火花が散り始める。

一旦それが止み、ジジジと溜めが入っと思うと次の瞬間、花が咲いた。

まるで写真をコマ送りで見ているかのようだった。

雪の結晶のように一つとして同じ形を見せない花達の絵が瞬きよりも早く移り変わる。
312 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:07:58.85 ID:pP3hituQ0
大井「綺麗ですね」

おや、大井っちの方が長持ちしそうだ。まずいな、確か線香花火は斜め45°で持つと長持ちすると聞いた気が。

北上「大井っちの方が綺麗だよ」

普段の仕返し、なんて言い方は変だがたまにはこちらから仕掛けてみる。

大井「へっ?」ポトッ
北上「あっ」

ジュッ、とまだ半分も燃えてない火薬と火の玉が、湿った地面に音を立てて落ちた。

北上「あー、あはは。なんか、ゴメン」
大井「北上さんっ!」
北上「おっと」

そっと線香花火を持つ右手を掴まれた。

大井「責任とってください」

北上「仰せの通りに」

2人で一つの線香花火を堪能する。

長時間と聞いていたが、朱紅い雫が落ちるまではあっという間だった。
313 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:08:41.26 ID:pP3hituQ0
北上「重い」

大井「暑苦しい」

木曾「後で間宮奢りだな」

北上「パフェかな」

大井「ジャンボですね」

木曾「イチゴ乗せよう」


なんというか、リアルな間が空いた。


北上「重い」

大井「暑苦しい」

木曾「頑張って」

夕焼けの海を、私と大井っちは猫と熊を背負って航行していた。
314 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:09:18.72 ID:pP3hituQ0
球磨「」
多摩「」

砂浜で倒れる2人。

いい勝負だったぜ感を出されても困る。

北上「これおぶってくの?」

木曾「なんとも迷惑な」

大井「置いていってもいいんじゃないですか?」

吹雪「一応軍事機密ですし、放っておくわけにも」

とかなんとか。まあ仕方ない。
315 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:09:46.09 ID:pP3hituQ0
吹雪「はいチーズ」パシャ

北上「こんなの撮ってどうすんのさ」

吹雪「戦いの果てと言う事で」

木曾「また今回も沢山写真撮ってたな」

吹雪「艦隊の記録も秘書艦の仕事ですから」

大井「売るんでしょに」

吹雪「売ったりもするだけです」

北上「売ってんじゃんよ」
316 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:10:19.91 ID:pP3hituQ0
吹雪「安心してください。大井さんのワンピース姿はバッチリ撮りましたから。提督の今晩のオカズは決定ですね」

大井「ほう」スッ

木曾「おい待て魚雷はやめろ頼むから!」

北上「提督はワンピース好きなのかな」

吹雪「どうでしょうねえ。あのチャラ男どんな娘にもデレデレですから。好みっていうと浮かびませんね」

木曾「辛辣な。でもいいんじゃないか?チャラ男と真面目なおい姉の組み合わせは」

大井「いやですよあんな男。金髪ですよ金髪。チャラ過ぎです上司じゃなきゃ深海棲艦の餌にしてます」

北上「でもよく一緒にいるじゃん」

大井「上司だからですよ。転属が出来ないならあのチャラさを変えるまでです」
317 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:12:16.67 ID:pP3hituQ0
北上「おー鎮守府見えてきたー」

木曾「明日からは通常運営かあ」

大井「また実践訓練の日々ですね…」

北上「ぅあー…今からでも島に帰らない?」

木曾「賛成の反対」

大井「早くお風呂入って寝たいです…」

北上「だね〜」

あぁ、いや。

まだひとつやる事がある。

やり残したことがある。

夏休みの宿題を、やらなくては。
318 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:13:23.07 ID:pP3hituQ0
なんでお盆開けてから連休なの

それよか夏休みください

イベントもやらねば
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 10:45:35.66 ID:+Wd+0QMe0
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 12:39:15.51 ID:hkq0HI6j0
更新乙です
イベントはE4とE7がきつい、自分はE4、乙にしちゃった
報酬装備はE5が一番いいくらいで後はそこまでではないと評判
がんばってー!
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 18:47:55.81 ID:p9n0cI7/o
おつ
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 03:33:46.75 ID:uotDwHVU0
すれた吹雪ファン同胞に出会えるとは……
323 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:19:33.92 ID:kvtFWfOB0
26匹目:猫の記憶




夜。私は先輩ネコの手を借りに来た。



谷風「先輩ネコ、とはまあなんともいい響きだねこりゃあ」

北上「気に入った?ウミネコさん」

谷風「そういえばキミはなんて種類たったのかね。ネコとして」

北上「全身真っ白な猫、なんてなんのヒントにもならないよねえ。雑種ならなおさら」

谷風「そう。その通りだね」
324 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:20:37.99 ID:kvtFWfOB0
谷風「キミは猫の時の記憶があると言ったね」

北上「まあね」

谷風「そう。記憶がある。でもそれってホントかなって」

北上「…どゆこと?」

谷風「確かに記憶はあるんだろうさ。猫の仕草や習慣なんかをキミはよく覚えてる」

北上「そりゃあ、そうねえ」

谷風「でもそれってさ、猫の記憶ではあるけど猫の時の記憶ではないんじゃないかな」

北上「…はあ?」
325 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:21:32.70 ID:kvtFWfOB0
谷風「ここで1度私の話をしよう。私が何故谷風になったかという話さ」

北上「え!そんな事分かってるの?」

谷風「というよりそれしか理由らしい理由がなかった。生前の、ウミネコとしての私にとっては」

北上「続けて」

谷風「飛んでた。飛んでる記憶ばかりだった。でも随分たったある日、唐突に一つの記憶を思い出した。

飛び疲れた私は羽休めに船にとまった。そこで私は船員に餌をもらった。その男に見送られながらまた飛んでいった。

そこが何処だったか、いつだったかなんて鳥にゃわからないけど、あの小さな船は、谷風だったのかもしれないなあって」

北上「…それだけ?」

谷風「それだけ」

北上「えぇ…」
326 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:22:10.42 ID:kvtFWfOB0
谷風「そんなに落胆するなよ」

北上「いやだって…ええ〜」

谷風「確かに理由としてはあまりにもなんて事無い話だけどね。でも案外そんなもんじゃないかとも思うんだ。

確かめようもないしね。確かめようとも思わないし」

北上「ほんと興味無いんだね」

谷風「さて話を戻そうか。私は思い出すのに随分時間をかけたが、キミのその手間を私が省いてあげよう。

北上。キミは何か物語としての記憶、思い出はないのかい?」

北上「思い出?」

急に言われてもパっとしない。猫の思い出、ねえ。
327 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:22:55.17 ID:kvtFWfOB0
谷風「記憶には二種類ある、と言われてる。エピソードと知識だ。それでいうとキミはエピソード記憶が今のところ殆どからない。

猫の時の感覚、記憶もどちらかと言うと知識、習慣として身に染み付いているように思える」

北上「確かに、思い出すってのとは違ったかな」

谷風「では、キミは自分の事を白猫と言ったよね」

北上「まあ、うん」

谷風「キミは今自分の姿が見えるかい?全身が?」

北上「自分?鏡とかあれば」

谷風「猫にそんなものはないよ」

北上「…あれ」

あれれ。
328 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:23:40.40 ID:kvtFWfOB0
谷風「キミの記憶の話をいくつか聞いたけど、まるで第三者目線で、飼い主がペットの行動を見ているかな記憶じゃないか」

第三者。だとしたら私は

谷風「キミが猫として身についた習慣や行動の記憶は確かだろう。でもキミが見たそれはキミの事じゃないんじゃないかい?」

あの白猫は私じゃない

谷風「キミは生前、もう1匹の猫と暮らしていなかったかい?」
329 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:24:42.77 ID:kvtFWfOB0
線香花火のようだ。

パチパチとコマ送りのように様々な風景が頭の中に浮かんでは消えた。

しかしそれはどれも似たような風景だった。

今なら分かる。

これは麦畑だ。

私はそれを見上げていた。

まさに黄金色といった感じの広大な命の輝きの中にその一軒家はあった。

白い壁にの小さな家。農具や機械をいれる倉庫もあった。屋根の色は、見上げても見えないからわからない。

そこには白猫がいた。小さな子猫が。

そこには男がいた。私達にミルクをくれる、金髪の、毛むくじゃらで、大きな手で撫でてくれるおじさんが。
330 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:25:11.31 ID:kvtFWfOB0
目まぐるしく映像が移り変わる。

白猫と、おじさんが次々と現れては消える。

ふと火花が止まった。

そこには写真があった。両手に猫を抱えて笑うおじさんの写真が。

おじさんは英語で私達に語りかける。

右手には白猫がいた。

左手には、黒猫がいた。

私がいた。

朱紅い雫が落ちた。
331 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:26:01.80 ID:kvtFWfOB0
北上「もう1匹、いた」

谷風「そういう事だろうね。どうだい?他には」

北上「飼い主も、でも名前はわからない。外国人だ」

谷風「英語が堪能なのはそれが理由かい。しかし探すのが難しいねそれは」

北上「どこかも分からないや」

谷風「飼い主の方はともかく、もう一つは大きなヒントじゃないか」

北上「もう一つ?私が黒猫だったってこと?」

谷風「おやそうなのかい。でもそれはあまり関係ないよ」

北上「なら何が」

谷風「だってもう1匹いたんだろ?」

北上「うん」

谷風「ならこの鎮守府にいるかもしれないじゃあないか」


北上「え…?」
332 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:34:22.57 ID:kvtFWfOB0
お札多すぎ…編成考えるのは好きだけどね
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 12:48:17.72 ID:xJBPjaNg0
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 19:44:39.72 ID:8cX2Bn/a0
更新乙
丙なら札関係ないと悪魔の囁き
335 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 01:59:36.16 ID:x+MBoVoh0
27匹目:結構毛だらけ猫灰だらけ



ことわざ、というよりはダジャレ。

あたり前田のクラッカーというやつだ。

全身毛だらけという感覚が無くなって久しいが、ココ最近灰だらけになる機会が増えてきている。

灰、というよりは火薬なのだが。

シンデレラもビックリのドレスだ。
336 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:00:39.34 ID:x+MBoVoh0
北上「ぶはっ!」

爆撃による黒煙から抜け出す。

顔にまとわりつく汚れを気にする余裕はない。すぐさま索敵に入る。

視界を肉眼に戻し電探で探る。目と猫で言う髭とを合わせた三次元的な空間把握は私の得意とするところだ。

敵艦載機からの機銃を避け私とは別の艦娘へ狙いを定める戦艦に向けて砲撃する。

ダメージは殆どないが足止めには成功した。

比叡「ナイスアシストです!」ドォン

その隙を突き戦艦を撃破する。
337 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:01:48.69 ID:x+MBoVoh0
大井「北上さん無事ですか!」

北上「おーけーおーけー、さて残りは」

少し遠くで爆発音がした。

蒼龍「敵旗艦撃破、完全勝利っ♪」

北上「被害は、飛龍さんだけか」

飛龍「たはーゴメンね、空母にばっか気ぃ取られちゃって」大破

秋月「すみません、私がしっかり守っていれば…」

蒼龍「気にしないの。飛龍が突っ込んでってのが悪いんだから」

飛龍「う〜反省してまーす」

比叡「で、どうします?リーダー」

どうってそりゃあ、ねえ。

北上「帰って間宮しましょう」
338 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:02:26.72 ID:x+MBoVoh0
提督「うむ、悪くない。いや、良い」

北上「…」

入ってきた扉をそっと閉める。

どうやら気づかれてはいないようだ。

提督室。いつもなら入ると目の前に座る提督からどうしたーとか声をかけられるところだが、今日は違った。

椅子を横に向け何やら手元に見入っている。私の位置は提督から横目で見えない角度ではないはずだが、余程見入っているらしい。

何を見ているのだろう。

ニヤっと口元が歪んむのを感じる。
339 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:03:22.92 ID:x+MBoVoh0
抜き足差し足猫の足。

本気で忍び寄る時のコツは、体全体でオーバーリアクション気味にそろりそろりとーなんてやらない事だ。

人間も意外と野性的感覚を持っているものだ。

音を立てずとも妙な気配を出すと気づかれる。

すり足気味に音を抑えなおかつ上半身は普通に歩くように自然体で。

さてそろそろ見える位置だ。

が、ここで普通に覗くと私が100%悪いので、あくまで事故を装って。

北上「なーに見てんの提督〜」
提督「ひょぉおう北上ぃ!?」

驚いた拍子に手に持っていた写真が舞い上がる。
340 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:03:53.94 ID:x+MBoVoh0
北上「何夢中に見てたのさ。話しかけても全然答えないんだから」

大嘘である。

提督「ああいやぁそのぉねぇ」

慌てて写真を集める提督。

そのうち1枚を拾い上げる。

北上「あ、大井っちの写真だ」

モチロン水着の。色々と察しが付いたね。

愛しの彼女の水着に見入ってたなこいつめ。
341 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:04:37.90 ID:x+MBoVoh0
提督「いやーそれはねー吹雪君がねー報告にねー持ってきてねー」

北上「へ〜。でいくらだったの?」

提督「え」

北上「いくら」

提督「いやその」

北上「ハウマッチ」

提督「ワンコイン」

北上「五百か…」

札じゃないだけ良心的?

ちなみに青葉は吹雪の傘下だとか。
342 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:05:05.17 ID:x+MBoVoh0
北上「で、誰の水着を見てたのかな〜」

もう1枚めくる。ワンピース大井っち。

マジか。

提督「あ、いや。大井をだな!大井を見てた!うん!」

そんなとこで開き直られてもねえ。

提督「というか北上!お前はなんでここにいんだよ!」

北上「何って報告だよ報告」

提督「あー、そっか」

北上「提督」

提督「はい」

北上「落ち着こ」

提督「うん」
343 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:05:51.78 ID:x+MBoVoh0
提督「どうだった。初めての旗艦。艦隊のリーダーというのは」キリッ

急にキリッとかされるとなんかムカつくが、まあそこはいいや。

北上「ぜーんぜんダメダメだった」

提督「え?戦果としては特に問題なさそうだったけど」

北上「旗艦としてって事。途中から比叡さんに任せっきりになっちゃってさ。そのおかげだよ」

提督「ほーう。お前はやたら索敵上手いし、周囲を見て指示出すのも行けるかと思ったんだが」

北上「そう上手くはいかないよ」

私の場合、その感覚を自分のためだけに、生きるためだけに使ってるからね。

提督「まあ慣れだ慣れ。役割上雷巡が旗艦をする事は少ないが、リーダーの目線を知っておく事も大切な事だ。また機会があったら訓練だな」

北上「へいへい」
344 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:06:33.36 ID:x+MBoVoh0
北上「でもさあ、もちっと楽なところで訓練したいよね」

提督「そうも言ってられんねーよ。敵は待てを聞かないからな。お前のような新兵でも実践訓練のにせざるを得ない」

北上「なるほどね。はーやだやだ、戦争なんてさ」

提督「だ、な。でもまあ悪い事だけってわけじゃないさ。不謹慎かもしれんが、ただ悲観的になってもしょうがあるまい」

北上「お気楽だなあ」

提督「そーゆーのはお前の専売特許じゃないのか?」

北上「マイペースって言ってよね。私の適当は適度に適切にって意味なんだからさ」
345 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:07:06.89 ID:x+MBoVoh0
提督「だが、そうだな。お前のその危機回避能力というか、生存力は強みだ。今回の編成もかなり攻撃によったものだったろ?」

北上「ん〜まあそうねえ」

提督「大井の時なんかはもっと守備を固めたもんさ。生き残る事が大前提だからな。その点北上は優位だ」

北上「…でもそれっていいの?私達は敵を倒すための兵器だよ」

提督「それだけじゃないさ。それに今は非力でも、生き残って、経験を積んで、強くなってから敵を討てばいい。焦る必要はないからな」

北上「焦る必要はない、か」

提督「マイペースが売りなんだろ?」

北上「それもそうだ」
346 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:07:42.78 ID:x+MBoVoh0
北上「しっかし提督に真面目な事言われるとなんかムカつくな〜。カッコイイじゃんか」

提督「だろ〜?普段適当なやつがここぞという時は真面目になる。ギャップは日頃の努力から生み出されるのよ」

北上「日頃努力してないって話でしょーが」

提督「まあな」

北上「そっか〜わざと手を抜いたたんだ〜大井っちが知ったらガッカリだろうなあ〜」

提督「…き、北上さん?」

北上「そう言えばもう少しで大井っち演出から帰ってくるだっけ」

提督「まて落ち着け、俺達は話し合える分かり合える」

北上「貸一つ」

提督「よかろう」
347 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:08:19.56 ID:x+MBoVoh0
提督「貸しはまあともかくとして。その、写真返してくんね?」

北上「いや〜しかし大井っちってホント胸デカイよね。私もないって程じゃないと思うんだけど。それとも大井っち位が普通なのかな」

提督「お前ら艦娘は規格外だよ、色々と。北上くらいが普通だろ」

北上「ふむ、こっちは多摩姉ちゃんか」

提督「やめてなんか見られる度に心が削られる…」

北上「どう思う?ブルマ」

提督「大きさに関わらず胸の形を顕にする体操着は素晴らしいものだ。だが俺はブルマより現代のズボン型の方が興奮する」

北上「え、キモッ」

提督「」
348 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:08:48.33 ID:x+MBoVoh0
提督「正直初めて多摩の胸を見た時ビビった」

北上「デカイよね」

提督「普段わかんねーもんな」

北上「なんか性格上慎ましやかなイメージがあるし」

提督「それ、ほんまそれ。その点逆に球磨は大きいイメージだった」

北上「全部包容力に吸われてるんだよ」

提督「なるほど」
349 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:09:25.82 ID:x+MBoVoh0
提督「ところで球磨のこの水着はなんだ?なんつーか妙なセンスというか」

北上「クマだってさ」

提督「ん?球磨だろ」

北上「クマの方」

提督「くま、クマか。あーそゆこと」

北上「そゆことそゆこと」

提督「北上のはなんで?」

北上「まだ買ってなかったら借りた」

提督「球磨から?」

北上「サイズがね…」

提督「…ゴメン」
350 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:09:58.64 ID:x+MBoVoh0
提督「そうかあ、まだ買ってなかったのか」

北上「…なんかよからぬ事を考えてないよね」

提督「ちげえって。1度そーゆー足りないものを買いに行った方が良いかなって思ったんだよ」

北上「あー、外出用の服とかもないしね〜。そもそも外に行く用事もないか」

提督「そこら辺はまたおいおい、だな」

北上「だね」

とドアを叩く音が。

なんか妙に雑だな。コンコンというよりゴンゴンって感じ。
351 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:10:27.47 ID:x+MBoVoh0
吹雪「吹雪入りましたー!」バタンッ

提督「事後報告かよ!」

吹雪「見ての通り荷物抱えてるんですよ?それに一々私室入るのに確認を取る間柄じゃあないでしょ」

提督「第一に両手塞がってるからと足で戸を叩くな第二にここは私室じゃない第三に俺とお前は部下と上司の間柄だ!」

吹雪「おおーナイスツッコミ、さっすがぁ↑」ドサッ

提督「嬉しくねぇわ!」

提督よりも長くこの鎮守府にいるという最古参にして、提督と最も長い付き合いの1人である吹雪。

会話は完全に兄弟かなにかだ。
352 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 03:56:37.06 ID:2ASFvdsR0
北上「…でそのダンボールは?」

吹雪「資料ですよ資料。最近近海に現れた厄介者のね。北上さんの訓練が多少危険度の高い海域で行われてる原因でもあるんですよ?」

北上「え、そうなの?」

提督「うちの主力がそっちに割かれてるんだよ。で空いた穴を埋めるためにってのもあるわけだ」

それは知らなかった。

鎮守府も大変だね。

吹雪「いかんせん古い物でしたから大変だったんですよ〜。今どき紙媒体って」

提督「全くだな。って事でそれデータに落とし込んどいてくれ」

吹雪「ええ!?これを?私が!?」

提督「お前以外に誰がいるよ」

吹雪「私じゃなければ誰でもいいですよ」

提督「そこはせめて自分以外に適任がいるとか言えよ!」
353 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 03:57:22.56 ID:2ASFvdsR0
吹雪「はぁ〜、わっかりましやりますやりますやらせていただきますー」

提督「おうおう、仕事に励め秘書艦どの」

吹雪「てことでこれ借りますよー」

提督「え?」

手に取ったのは館内放送用のマイクだ。

何故に?

吹雪「あーあー、叢雲聞こえるー?今すぐ提督室来て。いっ、30秒で。提督命令ね」ガチャ

1分と言いかけてから半分に減らしたぞこの秘書艦。

提督「おい何が提督命令だこら」

吹雪「提督のセリフからそういう意図を汲み取ったまでです」ビシッ

提督「敬礼すんじゃねえよお前がすべきなのは謝罪と訂正だよ」

北上「あ」

慌ただしい足音が近づいてきた。それも急いでるからというよりは怒っているからといった感じの。
354 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 03:58:03.10 ID:2ASFvdsR0
本日2度目、乱暴に戸が開く。

叢雲「な、何よ急に呼び出しって!しかも、30秒、って…」

セットする余裕がなかったためか少しボサッとした髪と曲がった、ネクタイ?ネクタイだよねあれ。

息も絶え絶えで頭の、耳、うん耳。耳も今にも落ちそうになっている。改二が眩しい彼女。

吹雪「ハイこれ持って」ドサッ

叢雲「はぁ?いきなりなん重っ!何よこれぇ!」

吹雪「後今日は下手したら徹夜だけど付き合ってね。こっちはお姉ちゃんめーれー」

叢雲「徹夜ぁ!?ちょっとアンタ!どういう事よこれ!」

提督「あーうん。でも頑張ってくれ」

叢雲「は、はぁー?」
355 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 03:59:02.74 ID:2ASFvdsR0
吹雪「はーい着いてきてー。あ、提督。終わったら連絡するので、それでは」

提督「わりぃな。頼む」

叢雲「ちょっ!あぁもう…言っとくけど絶対徹夜なんかさせないわよ」

行っちゃったよ。

北上「叢雲も大変だね」

提督「見たか?お姉ちゃん命令って言われた瞬間あいつの耳が立ったとこ」

北上「え、見てない」

提督「ありゃ吹雪なりのお願いなんだよ」

北上「頼られて嬉しい、と?」

提督「吹雪も忙しい身だからな。力になりたいとは思ってるんだろ」

北上「なるほど、ね」

徹夜しない、ではなく、徹夜させない、とはそういう意味か。
356 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 03:59:44.65 ID:2ASFvdsR0
提督「情けない話だが、でも頼りになるよ。2人とも」

北上「いい姉妹だねぇ」

提督「みんなそうさ。お前らもな」

北上「そうだねえ。じゃあはいっ」

提督「えっ」

北上「んーっと、これとこれと、ハイ没収」

大井っちの写真計3枚を写真から抜き出す。

提督「んな殺生な!」

北上「提督もいい提督を目指そうね〜」

提督「いい提督だろ!」

北上「部下の水着写真ジロジロ鑑賞する提督はなぁ…はい」

他は、まあみんなの楽しそうな姿が写ってるので許してやろう。
357 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 04:00:19.66 ID:2ASFvdsR0
提督「…くそう、いいさ。まあいいさ」

妙に納得が早い。まさか大事なのは抜いて隠したか?

いや流石にそこまで念入りに探す理由はないからいいや。

北上「んじゃあ私は次の出撃までやすんどくね〜」

提督「そうだ、ついでにこれも」

北上「これは、球磨型の集合写真」

提督「いい姉妹、だな」

北上「うん、うん」






北上「姉妹、ねえ」

廊下で写真を見ながら考える。

私の、もう1人の姉妹とも言える白猫の事を。
358 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 04:01:29.22 ID:2ASFvdsR0
丙、乙と来て、明日は甲に挑むんだ
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/20(日) 10:44:34.87 ID:+Pggae3+0
更新乙です
E3かな?ヴェアアが抜けないという愚痴をわりと聞くけどE3も道中のヌ改がヘイト溜める
全体的に報酬はあれなので資源と時間に相談しての攻略になりますよね
E5に松輪堀にいかなきゃ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/20(日) 15:30:19.15 ID:W5jPv1BYo
おつおつ
このブッキーええなあ
361 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:50:41.93 ID:NYcp8k3K0
28匹目:ナマズ


鯰。漢字で書けないし読めない。

英語でキャットフィッシュと言うらしい。

理由はヒゲが猫っぽいから。

学者のネーミングセンスは何故こうも適当なのか。

便宜上だしわかりやすけりゃいいというならまあ分からなくもないが、いやそもそもわかりやすいかね?
362 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:51:15.25 ID:NYcp8k3K0
そこへいくと「艦娘」という名前も随分適当じゃあないか。

船で、女の子で、じゃあ艦娘って。

実際わかりやすいのは確かだ。

それしか形容しようがないのも確かだ。

それしか分かってないのも、確かだ。

そう、結局何もわかってない。

ならば、例えば私や谷風のような存在は、案外それほど特殊ではないのかもしれない。
363 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:51:47.47 ID:NYcp8k3K0
英霊とか船の擬人化だとか言われてるけれど、私達の中に何があるのかなんて私達自身わからないのだ。

私達は、何であっても不思議ではない。

つまり、

北上「私はナメクジかもしれない」

阿武隈「…なんですか急に」

北上「いやさ、汗がこうツーっと流れる度にそこから溶けだしそうな感覚なんだよ」

阿武隈「ナメクジが塩で溶けるって迷信らしいですよ」

北上「えぇ!嘘ぉ!」

阿武隈「ウソです」

北上「うわぁ、悪い子だ」
364 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:52:22.97 ID:NYcp8k3K0
阿武隈「少しは疑ってくださいよ」

北上「ここは戦場じゃないし、疑う意味もないも〜ん」

阿武隈「そんな大げさな…」

阿武隈。ちょっと不思議な縁がある娘。

何やら艦の記憶からか妙に私に警戒心を示していたのだが、いかんせん私がそっちの意識が薄いために完全に無視していたのだ。

そしたらなんか寄ってきた。向こうから。

「こっちはこれだけ意識してるのにズルイです!」というのが向こうの言い分だったが、いやなんとも理不尽な。
365 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:52:54.68 ID:NYcp8k3K0
そんなわけでこうして私が部屋に1人の時に遊びに来たりしているのだ。

1人の時を狙うのは恥ずかしいからだとか。よくわからぬ。

そう、よく分からないのだ。だからまあ奇縁というべきだと思う。

北上「阿武隈は暑くないの?」

阿武隈「暑いと言えば暑いですけど、汗ばむほどでは」

北上「そりゃ羨ましいや」

阿武隈「あれ?あそこの本って」

北上「夕張に借りたラノベ。知ってるの?」

阿武隈「はい!駆逐艦達の間でも流行ってるんですよ、私もすっかりハマっちゃって!」
北上「あーボリューム下げて下げて」

阿武隈「あぁすいません…」
366 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:53:36.87 ID:NYcp8k3K0
耳の近くで大声を出されれば猫でなくとも驚く。

そう。奇妙と言えば今現在こうしている関係こそ奇妙だ。

自分の部屋で、阿武隈に膝枕されているこの状況が。

阿武隈「読んでもいいですか?」

北上「ラノベってのも便宜上のテキトーな分類だし、合う合わないはあると思うよ」

阿武隈「だから読んでみるんです」

北上「うむ、いい心がけだ」

阿武隈「あ、でも届かないです」

北上「…私は少しでも動いたら溶けるよぉ」

阿武隈「溶けろぉ」
北上「ぐえー」ゴロン
367 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:54:15.67 ID:NYcp8k3K0
膝枕転げ落ちる。

体制が変わった事で服が汗により身体にひっつく。

うえー気持ち悪い。

北上「チーズ蒸しパンになりたい」

仰向けで呟く。

阿武隈「どこのゴリラですか」

北上「あれ、知ってるんだ」

阿武隈「私的には北上さんが知ってる方が驚きです」

北上「夕張の英才教育の賜物かな」

阿武隈「まあ、教育ではあるかもしれないですね」
368 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:54:56.30 ID:NYcp8k3K0
北上「漫画って凄いよね。文章なら原稿用紙一枚分くらいの情報でも一ページ、一コマで表したりできるし」

阿武隈「確かにそう考えるとなんだか凄いですね」

北上「表現方法が違うとはいえ、あれだけの情報をばっと読むってのはなんかクセになる面白さがあったよ」

阿武隈「漫画は気軽に早く読めますからね。遠征組に流行ったのも休憩時間に読みやすいって事がおおきいでしょう」

北上「そうそう、速いんだもん。夕張にとりあえず有名所は読んどけーって貸してもらったけど、サクッと読み終わっちゃった」

阿武隈「あの人の部屋漫画も本もすごい数ですよね」

北上「貴重な人材だから給料いいんだって」
369 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:55:29.29 ID:NYcp8k3K0
阿武隈「あ、私これ好きかもです」

北上「マジ?推理ものだよ?」

阿武隈「推理小説は苦手ですけど、これは好きです」

北上「あー江戸川乱歩よりなところがいいのかな」

阿武隈「エドガー?」

北上「…おぅ…」

怪人二十面相って言った方がわかりやすいのかな?

いやそこまで説明する気もないしいいや。
370 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:56:31.31 ID:NYcp8k3K0
阿武隈「お邪魔しま〜す」
北上「ぐえ」

北上「え、なにしてんの」

阿武隈「さっきは私が膝枕したので今度は北上さんがお願いします」

北上「えー対価を要求するんかい。しかもそこは膝じゃなくてお腹だよ」

仰向けに寝た状況でお腹に頭を載せられると結構苦しい。

というか私はそもそも膝枕を頼んだ覚えはない。

「私は暑くてだるいのでこれから寝る。なので貴様にかまう暇はない」「なら私が膝枕をします」みたいな流れだったはずだ。
371 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:57:03.26 ID:NYcp8k3K0
阿武隈「じゃあ膝に移ります」

北上「若干負担はあるけど、まあいいや」

阿武隈「ところでここって膝じゃなくて太ももですよね。太もも枕ですよね」

北上「よく考えたら膝枕って痛そうだね。硬いところじゃん、凶器じゃん」

阿武隈「テキトーな名前ですね」

北上「便宜上、というかこの場合は語感のよさかな」

阿武隈「…膝ってどこまでが膝なんでしょう」

北上「んー、膝に手を置いて、包める範囲くらいが膝なんじゃない?」
372 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/22(火) 02:58:48.82 ID:NYcp8k3K0
顔を起こし自分の膝を見る。

あ、阿武隈の頭が邪魔で見えないや。

ランニングにスパッツというこの季節の鎮守府においてそれほど珍しくないラフな格好。

その割に髪はしっかりセットしているようだ。

阿武隈「あの、なんですか?」

北上「いやさ、髪のセットとか大変そうだなーって」

鮮やかな色をしたそれを手で梳くように触る。

阿武隈「そうですけど、こうしないと暑いんですよ」

北上「テキトーにまとめてもいいんじゃないの?」

阿武隈「そこは、ほら、おしゃれと言いますか…」

その服装で何をいまさら、とは言わない。
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