【安価・コンマ】プリズマ☆イリヤ【オリキャラ】

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105 : ◆dcCKHjXTWM [saga]:2017/12/26(火) 23:57:16.69 ID:Q4FlcSm8o
美遊「そ、その」

すると、美遊はわざとらしく咳払いをしてみせた。

美遊「今日から同じ学校……に通うことになったみたいだけど……」

アリア「あ、うん。そうだね」

美遊「……職員室? ってところに初めに行けばいいの?」

アリア「そうなんじゃないかな……先生とかには何か言われてない?」

その言葉に美遊は首を横に振った。

美遊「ルヴィアさんから話を聞いただけだから、教師からの話はまだ何も……。でも、職員室に行くのは間違いないと思う」

サファイア「いろいろ手続きをしてくれたのは感謝するべきなのですが、美遊様にとっては初めてのことなので……アリア様にもご確認しておこうということです」

アリア「なるほど」

またいくつか気になることが出てきたものの、そこを掘り下げる必要は今はないだろう。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 15:06:05.17 ID:oRSIZYwgo
なんや来てたんか
おつ?
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 10:15:54.71 ID:VlOAvZwMO
待っとるよ〜
108 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/28(月) 00:13:16.84 ID:OGK9hOXso
アリア「それなら私が職員室まで案内するね?」

美遊「あ……ありがとう……」

とりあえず職員室まで案内すれば、あとは教師に任せれば問題ないだろう。アリアはそう思って職員室までの案内を申し出た。

サファイア「よろしいのですか?」

アリア「うん。どうせ私も学校に行くんだし……」

それに、とアリアは続けた。

アリア「同じ魔法少女の仲間を放ってはおけないじゃない?」

初めて会ったのは昨日の夜。
友達、と呼ぶにはいささか馴れ馴れしすぎるだろう。
でも……同じ魔法少女としての道を歩む者として、仲間と呼ぶくらいのことは許してくれるはずだ。

パール「ふふふ、やっぱり魔法少女の繋がりはこうでないといけませんわ! 同じ境遇の二人が仲間と呼び合う……素晴らしい!」

アリア「そんなに大袈裟なことじゃないと思うんだけど……」

何はともあれ、美遊が同じ学校に通うことになったのは嬉しいことであった。
クラスが同じかまではわからないけど、アリアは素直に嬉しく思っていた。





――結論として。
美遊は同じクラスに転校してきた。

アリア「こんな偶然があるんだ……」

イリヤ。美遊。そして、アリア。
まさか同じクラスに三人もの魔法少女が集まることになるとは。何者かの意図があるのではと疑いたくもなる。

パール「それにしても、凄い人気ですねぇ」

こっそりとランドセルの隙間からパールが言った。
やはり転校生という存在はクラスメイトからの質問攻めに遭うのが世の常のようで。美遊の席にはたくさんのクラスメイトが集まっている。

アリア「あはは……」

パール「おや、イリヤ様がどこかに行くようですね?」

アリア「本当だ」

パール「ちょうどいいです。せっかくですしイリヤ様やルビー姉さんとお話しておきましょう? お二人には改めていろいろと説明しておかないといけないですし」

本来なら美遊も入れて三人でと言いたいところだが、あの様子を見るとそんな余裕はなさそうである。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 21:27:35.04 ID:/k1j7cqJ0
生きてたー!
110 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/28(月) 22:45:16.43 ID:SqKOrUAFo
アリア「うん、わかった」

とりあえず、一回しっかりと話をしておくべきだろう。
魔法少女について。そして――同じクラスメイトとして。





アリア「イリヤ……ちゃん?」

イリヤ「おおうっ!? って、なんだアリアかぁ。驚かせないでよ〜」

廊下に出てすぐの窓際にイリヤは立っていた。
その側にはルビーの姿もある。タイミングはバッチリのようだ。

アリア「ごめんごめん。それで、廊下に出てどうかしたの?」

イリヤ「いやぁ、美遊さんにいろいろ聞きたいことがあったんだけど……」

……なるほど。つまりは自分と同じということか。
アリアがそう納得をすると、二人の後ろからサファイアが姿を現した。

サファイア「ではわたしが代わりにお話を伺いましょう」

イリヤ「わあっ!?」

ルビー「あら、サファイアちゃんも来ていたんですね?」

サファイア「どうも」

パール「自分で言うのもアレですけれど、なかなかシュールな絵面ですねこれ」

小学生の少女二人の前で空に浮く三つのステッキ。
これが喋るというのだから、世の中はわからないものである。

ルビー「まだ紹介してませんでしたね。こちら新しいマスターのイリヤさんです」

パール「同じく、新しいマスターのアリア様です」

サファイア「昨夜ぶりです。改めて、これからよろしくお願いします」

パールというステッキを間近で見たからか、サファイアの礼儀正しさが新鮮に思える。
お転婆な姉と妹に挟まれるしっかりものの次女、といったところだろうか?
111 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/28(月) 23:54:46.34 ID:SqKOrUAFo
アリア「えーっと、三人――三人? って姉妹でいいんだよね?」

ルビー「はい! わたしが長女で」

サファイア「次女」

パール「三女ですわ」

ステッキの姉妹というのもおかしな話だが、そこをとやかく言うのは今更というものである。

サファイア「わたしは最初、ルヴィア様に仕えていたのですが……」

イリヤ「あの子に乗り換えたってわけね……」

アリア「原因は……ああ、なんとなくわかる気がする」

パール「察しが良くて助かります」

ルビー「それにしても美遊さんはさすがですね。まさかいきなり宝具を使うなんて」

パタパタ、とルビーが小さく回転しながらそんなことを言った。

アリア「宝具?」

イリヤ「何それ?」

聞き慣れない単語に二人が首を傾げる。

サファイア「あれ? まだ説明してないの?」

ルビー「あー、そういえばカード周りのことはまだ説明してませんでしたっけ」

パール「初戦も切り抜けましたし、ちょうど時間もあるので説明しておきますか」

アリア「うん、お願い」

何はともあれ、魔法少女になってしまったからには物事の説明は受けなければいけない。
112 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/29(火) 01:48:54.01 ID:mT80uAhdo
ルビー「まずイリヤさん。凛さんが持っていたクラスカードは覚えていますか?」

パール「アリア様も、シャルロット様のお話で出てきたのは覚えていますよね?」

アリア「ああ、あの……なんかすっごい危険っていう」

ルビー「そうです。そのすっごい危険なカードがこの冬木市に現れたのが二週間前。それを回収しに日本まで訪れたのが凛さん、ルヴィアさん、シャルロットさん」

パール「お三方よりも前にカード回収をしていた前任者が二枚のカードを集め、それを協会が分析したのですが……」

サファイア「生憎とカードについて判明したことはほとんどありませんでした」

……ほとんど、ということは。

イリヤ「わかったこともあるってこと?」

パール「はい。どうやらクラスカードは実在した英雄の力を引き出せるようなのです」

アリア「英雄? 神話とかに出てくる、アレ?」

ルビー「そうです! 英雄は死後に『英霊の座』という高次の場所へ迎えられ、英霊となります。その英霊が扱う、通常の武具を超越した奇跡を成す兵器――それが『宝具』」

サファイア「昨夜、美遊様が使ったのがそれです。刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)――放てば必ず相手の心臓を貫く必殺の一撃」

文字通りの必殺技。
難しい話はいまいち理解できないが、それでも昨夜美遊が使用したという『宝具』の力についてはわかったような気がした。
113 : ◆taIZZWMjp. [sage]:2019/01/29(火) 15:54:32.42 ID:KMbh4qPZO
スレ残ってたのでまた書かせていただきます
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 21:35:53.30 ID:zJi7jBly0
おかえり、待っていたよ
115 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/30(水) 00:01:59.64 ID:VB+XmgH6o
ルビー「どうやらクラスカード一枚に英霊一人が対応しているようでー……って、イリヤさんちゃんと話を理解してますか? もう少し続きますよ?」

イリヤ「な、なんとか理解してるよ……うん……」

アリア「私もなんとか……」

小学生にとって――というより、一般人にとって魔術の世界に関する知識は当然のことながら縁遠い。
それをすぐに理解しきろという方が無茶な話である。

サファイア「昨夜の敵も英霊の一人でした。いえ、正確に言うならば暴走した英霊の一人ですか」

ルビー「魔術世界的に言うならば『黒化英霊』と言ったところでしょうねぇ」

パール「アレはカードを覆うようにして具現化していますので、カード回収をするならば必ず打倒しなければいけません」

アリア「それでパール達の出番……ってこと?」

ご明察! とパールが喜びの舞をする。

パール「『黒化英霊』は本来の英霊の力から幾分劣化しているものの、結局は英霊ですので。シャルロット様達でもかなーりキツい任務となります」

ルビー「それに昨夜の敵には魔術が効かないこともわかっていたので、純粋な魔力射出の攻撃を可能とするわたし達に白羽の矢が立ったというわけですね」

サファイア「協会が回収したカードはアーチャーとランサーの二枚。わたし達が回収したカードはライダーの一枚。全部でカードは七枚なので、残るは四枚です」

ルビー「ここまでで何か質問とかありますか?」

クラスカード。
英霊の力。
気になることはたくさんあるが、この場で質問をするとしたら――

↓1
1 アーチャーとかランサーって、何?
2 前任者っていうのは……
3 特にない
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 02:02:44.71 ID:SOCcwpkio
1
117 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/30(水) 13:15:00.08 ID:H1E6NzicO
アリア「アーチャーとかランサーって、何?」

イリヤ「あー、確かカードに書かれてたよね?」

ルビー「はい! あ、そういえばシャルロットさんはクラスカードをお持ちではなかったですっけ?」

それなら仕方ないと言わんばかりにルビーが左右の羽を指のように動かす。

ルビー「クラスカードには英霊の力が宿っているという話はしましたね? アーチャーやランサーといったクラスはその英霊の力を当てはめるための型といったところでしょうか」

パール「アーチャーは弓を。ランサーは槍を武器にして戦います」

サファイア「昨日戦ったのはライダーですので、残りはキャスター、セイバー、アサシン、バーサーカーの四枚ですね」

イリヤ「バーサーカーって、狂戦士って意味だよね? ……戦いたくないなぁ」

言葉通りの意味ならとてつもなく危険な戦いになる。
それを感じ取ったイリヤがため息を吐いた。

パール「個人的にはキャスターも要注意ですね。カード回収はその手順上どうしても敵地にこちらから赴くしかありません。キャスター――魔術師の英霊を相手にすると考えると圧倒的に不利な状況です」

ルビー「そうですねぇ。もしかしたら鏡面界に跳ぶことすら何かイレギュラーが発生するかもしれません」

アリア「そんな不吉な……」

と、ここで不意に教室の扉が開く音がした。
118 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/30(水) 22:31:55.78 ID:H1E6NzicO
美遊「サファイア」

イリヤ「おおうっ!?」

アリア「イリヤちゃん……さっきから驚きすぎだよ……」

サファイア「美遊様。クラスメイト様とはもうよろしいのですか?」

美遊はイリヤやアリアを一瞥だけし、口を開く。

美遊「大丈夫。それより、あまり勝手に出ないで。誰かに見られたら面倒」

サファイア「すいません。お二方と少し話をと思いまして」

イリヤ「あ、あのっ!」

美遊「…………」

美遊はイリヤの声に反応をせず、サファイアを連れて立ち去ってしまった。
残されたアリアとイリヤ。その後ろから数人のクラスメイトが声をかける。

美々「あはは……難しい子だよね、美遊さん」

龍子「あれはなかなか難度高めだぜ! でもハードルは高いほど燃えるよなぁ!?」

那奈亀「うるさい」

雀花「ま、ああいうタイプはクラスにいなかったからなぁ」

桂美々。嶽間沢龍子。森山那奈亀。栗原雀花。
イリヤが特に仲良くしているクラスメイトの四人である。

雀花「つーかイリヤ、中村さんと仲良かったんだな?」

イリヤ「ふえっ!? あ、うん! 実はそうだったんだー!」

龍子「やっぱ外国の血が流れてる者同士惹かれ合うものがあるのか!?」

那奈亀「ないだろそんなの」

アリア「あはは……」

突然の騒がしさに困惑する。
当たり前だ。今までは友達と呼べるクラスメイトは一人もいなかったのだから。

美々「でも、イリヤちゃんの友達ならわたし達とも仲良くしてくれると嬉しいな」

那奈亀「おっ、美々良いこと言うね〜」

龍子「よし! 今日からアリアは我が嶽間沢軍団の一員だ!」

雀花「それわたしらは関係ないよな?」

アリア「あっ、う……うんっ」

多少面食らうようにしながらアリアが頷く。
それは極普通の、小学生であるアリアが初めて小学生らしい流れでできた友人。
そのことにアリアは人知れず高揚しているのだった。
119 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/30(水) 22:58:04.24 ID:H1E6NzicO





――美遊・エーデルフェルトは完璧超人であった。
授業で問題を出されても。図工で絵を描かされても。家庭科で料理を作らされても。体育で短距離走をさせられても。

必ずクラスメイトと担任の度肝を抜かせてみせた。
まさに絵に描いたような完璧超人。
余談であるが、同じく美遊の観察をしようとしていたイリヤは短距離走で負けたことによりやや落ち込んでいる。

アリア「イリヤちゃん……」

パール「どうやら短距離走はイリヤ様においてかなりの自信があったみたいですねぇ」

そうして美遊を新しく迎え入れた学校生活も一日が終わり、放課後。


↓1
1 そのまま帰る
2 気分転換に回り道をして帰る
3 あれは……誰?(続けて人物判定)
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 23:33:52.18 ID:b1KqKduKO
3
121 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/30(水) 23:49:58.18 ID:fUrXzc2jo
直後コンマ下一桁で

0〜2 眼鏡を掛けた男子高校生
3〜5 紫髪の女子高生
6〜8 ラフな服装の銀髪の女性

9はさらに一個下のレスにズレる
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 00:02:40.89 ID:5YTap6aT0
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 00:07:23.28 ID:Bb1VYVmQO
124 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/01/31(木) 00:22:26.21 ID:KY29mC6Jo
ありがとうございました
125 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/02(土) 21:56:32.56 ID:P/jFlmtVo


誰と帰るわけでもなく一人で歩く帰路。
アリアはぼんやりと空を見上げていた。

パール「アリア様、どうかなさいました?」

アリア「んー……いや、別に?」

当然、別にというわけはない。
アリアの頭の中ではパール、ルビー、サファイアからの話が巡り回っていた。

クラスカード。英霊。宝具。
一般人には到底聞き覚えの無い単語。
しかし、何かが引っかかる。一体何が――

パール「おや、あそこの人は何をしているんでしょう?」

アリア「え?」

パールの声に意識を前方へ移すと、そこには銀髪の女性が何かしゃがんで物を拾っているようだった。

アリア「落とし物かな?」

パール「これまた凄い量ですねぇ」

見たところ女性が拾っている物はお菓子類の箱や袋のようだった。

アリア「あの〜……大丈夫ですか?」

恐る恐るといった感じにその女性に声をかける。

「む? ああ、だいじょーぶだいじょーぶ」

女性は遠目からでも目立つ銀髪の他に、外出するにはラフすぎる(個人的意見)服装をしていた。

パール(こ、これは……なんという質量の暴力……!)ボソボソ

アリア(ちょっと黙っててね?)ボソボソ

ラフな服装だからこそ、だろうか。
女性のスタイルの良さにパールが小さな声ながら驚いている様子が伝わってくる。


↓1
1 手伝う
2 手伝わない
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 21:59:08.23 ID:rPwAhuld0
1
127 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/02(土) 22:47:11.59 ID:P/jFlmtVo
アリア「手伝いますね」

「んー、ありがとう?」

どうして敬語……?
そうアリアは苦笑いをした。





アリア「これで全部ですね。はい」

「ありがとう。助かった」

集めきったお菓子類を袋に詰め終えた女性。
一人で食べるにしては多すぎるようにも見えるが……?

「その制服……もしかして、イリヤの友達?」

アリア「えっ?」

イリヤというのはもちろん、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンのことだろう。
そしてアリアの反応で確信したのか、女性は袋からお菓子を一つ取り出した。

「なら、お礼。これあげる」

アリア「あ、あのっ……イリヤちゃんのお知り合いですか?」

「わたしはリズ。イリヤの――一応、メイド?」

アリア「メイド!?」

リズ「うん。……ってことで、はい。これわたしのお気に入りのお菓子」

受け取ったお菓子はどこにでも売ってるような普通のチョコレートだった。
意外にも庶民派メイド……?

リズ「ばいばーい」

アリア「へっ? あ、ちょっと……」

声をかけてもリズは反応せず立ち去ってしまう。

パール「うーん……イリヤ様のご家庭もなかなか複雑のようですね?」

アリア「というよりは、お嬢様……?」

受け取ったチョコレートをポケットに入れ、アリアは再度帰路に着く。
128 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/02(土) 23:18:50.87 ID:P/jFlmtVo


第二話 呪い





そうして、夜。
アリアはシャルロットの指示に従い、橋のふもとにある公園へやって来ていた。
目的はもちろん、カード回収である。

アリア「…………」

学校から施設へ戻ってすぐ。
職員の一人から聞いた話によると、今日も言峰は施設を訪ねていたらしい。
元々不定期に訪れていたので別段不思議なことではないのだが、昨夜をきっかけにアリアは明確な苦手意識を持っていた。
何か、心の奥底を見透かされているような――

シャル「アリア、話聞いてる?」

アリア「あ、ごめんなさい! えっと……」

シャル「……昨日戦ったとおり、相手はかなりの強敵よ。だから時間をかけずに速攻で終わらせる」

パール「昨日とは違い戦力は増えていますから、決して不可能ではないでしょう!」

ルヴィア「……時間ですわ。行きますわよ」

そうして二回目の戦いが始まる。
戦力は増えた。美遊の実力はすでに見ている。
勝てるかどうかはわからない。
でも――勝てる可能性は高い!!





――五分後。
鏡面界から戻ってきたアリア達は……それは見事にボロボロだった。
129 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/04(月) 00:06:45.25 ID:gG3/1/5Po
凛「いたた……なんなのよアレは!?」

ルビー「いやー、歴史的大敗でしたねぇ! あっはっは!」

アリア「笑ってる!?」

シャル「パール……もしかしてあの英霊は」

訝しげにしていたシャルロットの言葉にパールが答える。

パール「はい。……おそらく、歴史的な相性の悪さがありましたね」

イリヤ「相性? 魔法少女って、無敵なんじゃ」

サファイア「いいえ、確かに大抵の敵なら有利に立てるだけのスペックはありますが……それでも、相性があります」

そして、その相性最悪な敵が――今回の敵だったということだ。





鏡面界へとやって来たアリア達。
今回は敵の出現を待つことはなく……すぐに戦闘が始まることになった。

ルヴィア「ちょ、これって……」

ルビー「ええ。どうやら敵は――準備万端だったみたいです」

直後、アリア達の上空から無数の攻撃が降り注いだ。

凛「嘘! いきなり!?」

ルビー「全魔力を防御に回してます! 凛さん、離れたら死にますよ!」

凛「じょ、冗談じゃないわ……!!」
130 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/04(月) 00:18:47.08 ID:gG3/1/5Po
その攻撃はまさに魔法と呼ぶに相応しかった。
そして、その攻撃方法から今回の敵のクラスがわかる。

シャル「おそらく、あれはキャスターね」

パール「はい。つまり魔法少女同士の戦いということになります! いえ、あちらの方は少女と呼ぶには些かお年を召しているようですが!」

アリア「そこは重要じゃないよね!?」

攻撃が止まり、周囲を覆っていた土煙が晴れる。

ルヴィア「ともあれ! 遠距離戦なら望むところですわ! 美遊!」

美遊「はい!」

ステッキを振り、巨大な魔力弾を放つ。
その魔力弾は一直線に敵を目指して飛び――

凛「なっ!?」

――その眼前で掻き消されてしまった。

美遊「今のは!?」

しかし、考える猶予は与えられない。
真上の雲が雷鳴と共に一瞬光ったのをシャルロットは見逃さなかった。

シャル「伏せて!」

アリア「うえぇっ!?」

シャルロットの合図と同じタイミングで周囲に魔力による壁が現れた。

凛「っし! さすが!」

パール「その判断力は素晴らしいですわ、シャルロット様」

古代ルーン文字による雷避け。
それがシャルロットの使用した魔術の正体である。
131 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/06(水) 23:57:57.60 ID:QlhdnQJwo
シャル「そんなことはどうでもいいから早く撤退!」

ルヴィア「確かに、これは一時撤退する必要がありますわね……」

すると、突然アリア達の周囲を囲むように暴風が巻き起こった。
地を削り土煙を巻き起こすそれはアリア達の逃げ場を完全に封じる。

イリヤ「竜巻!?」

凛「閉じ込められたわね……!」

ルビー「あ、イリヤさん。上見てください」

ルビーが示した先。
そこには――とてつもないほどに巨大な魔方陣が。

イリヤ「うわ……これ、もしかして大ピンチ?」

アリア「なんかとんでもない音してるよ!?」

いわばそれは巨大な大砲を向けられているのと同じこと。
つまり、この大砲が発射された瞬間。
アリア達の敗北が決まることになる。

シャル「パール! 撤退!」

凛「早く早く早く!!」

ルビー「りょ、了解です!」

撤退の準備をする間にも刻一刻と運命の瞬間は迫っている。


「「「早くー!!」」」





アリア「と、とんでもない戦いだった……」

サファイア「というよりは一方的な虐殺でしたね」

パール「あれは恐らく、神代の魔術でしょうねぇ」

つまり、魔術という面だけですでに大きなハンデがあるということになる。
アリア達はもちろん、魔術師の凛やルヴィア、シャルロットもあれほどの魔術は行使はできない。

イリヤ「で、でもシャルロットさん敵の攻撃防げてたし!」

シャル「アレはあくまで防御であって攻撃ではない。どちらにせよ、何か作戦が必要ね」

ルヴィア「防御といえば、あの魔力反射平面も厄介ですわ」
132 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/07(木) 00:07:29.14 ID:XHdhSJBdo
美遊「それって」

サファイア「美遊様の攻撃を防いだアレです。規模こそ大きいですが座標固定型なので、頭上まで飛べばなんとか……」

凛「そうは言っても飛行なんて一朝一夕に使えるようになるわけが……」

凛の言葉は正しかった。
魔法少女として先輩の凛、ルヴィア、シャルロットですら飛行を完全に会得するのに丸一日の訓練が必要になる。
それを一般人のアリア達が会得するとなれば、どれほどの時間が必要になるか――

イリヤ「あ、そっか。飛んじゃえばよかったんだ」フワー

凛「ええっ!?」

ルヴィア「ちょ! 飛べてますわ!?」

――だというのに、事も無げに飛ぶイリヤ。
これには凛やルヴィアも驚くしかなかった。

↓1
アリアは
1 飛べる
2 飛べない
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/07(木) 00:12:40.69 ID:YBanruU90
1
134 : ◆taIZZWMjp. [saga]:2019/02/07(木) 00:38:13.06 ID:XHdhSJBdo
アリア「あー、なるほどその手があったんだ」フワー

凛「ってアリアまで!?」

ルヴィア「強固なイメージがないと飛ぶどころか浮くことすら難しいのに……!」

二人は簡単に飛んでみせたが、こればかりは凛やルヴィアの反応が正しい。
それほどまでに二人の行いは突拍子がなく、異常なのだ。

イリヤ「え? いや、だって……」

アリア「魔法少女って飛ぶものでしょ?」

パール「なんという頼もしい思い込み! やはりアリア様はわたしのマスターに相応しいです!」

ルビー「イリヤさんもです! ルビー、感激!!」

――最初の勝負は負けてしまったが、それでも明確な対抗方針はある。
美遊は二人と違い飛ぶことができず、ルヴィアに「明日は訓練ですわ!」と言われ帰ってしまった。
アリアとイリヤも、効率的な飛行を会得するために訓練。
凛とシャルロットは作戦会議。
即席チームながらすぐに行動に移せるのはさすがと言うしかないだろう。

アリア(でも、なんだったんだろうなぁ……アレ)

だからこそ、アリアは気になっていた。
鏡面界から撤退するその間際。暴風の壁の向こう側に見えた――黒い霧のようなものの正体は。






そうして波乱の一日も終わりを迎えようとし、施設に戻ってきたアリア。

アリア「ふぅ……これが面倒なんだよなぁ」

夜遅いとはいえ誰かに見られるわけにもいかないので転身するわけにもいかず、こうして施設の敷地内に入るときは足場を使って壁をよじ登らないといけない。
なので今回もそうしようとしたとき――不幸にも誰かが通りかかる気配がした。


最速3票
誰が来た?
1 言峰
2 桜
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 00:55:44.62 ID:YBanruU90
2
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/07(木) 01:07:41.16 ID:30xzJtvo0
2
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/02/07(木) 01:11:22.95 ID:jmVwd0s1O
1
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/07(木) 14:39:39.10 ID:ZNyoGE+BO
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/02(木) 00:55:55.70 ID:icAvUFP20
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