【安価・コンマ】プリズマ☆イリヤ【オリキャラ】

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1 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 21:58:45.86 ID:FI85wz1No
fate関連で>>1が知っているのは
・ Fate/stay night
・ Fate/hollow ataraxia
・ Fate/Zero
・ Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(アニメと単行本)
・ Fate/unlimited codes
それ以外は把握していないのであしからず

※以前立てたやつの立て直しスレ
酉は忘れました

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500209925
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 21:59:52.53 ID:9hUYFP8io
もちろん靴下の誓いは見るんだよな?
3 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 22:08:59.21 ID:FI85wz1No
一応キャラは以前のスレのままで、また冒頭から始めていきます

本編はもう少ししてから
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/16(日) 22:09:17.40 ID:9X5bttWo0
主人公は男が良い
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 22:10:19.62 ID:KJ6uM7EV0
期待
前スレのURL貼ってくれるとありがたい
6 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 22:45:53.26 ID:vLUqwA4lo
>>2
初日に見てきます

>>4
以前のスレで決まってるので、すいません

>>5
かなり早期にエタってるのでお恥ずかしいですが↓
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488382728/
7 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 22:58:08.64 ID:vLUqwA4lo
名前 中村アリア
性別 女
大まかな年齢 小学生(イリヤ達と同い年)
性格 穏やかで優しいが芯は強い
冬木には? 元々いた
魔術に関しての立ち位置は? 何も知らないけど実は……
容姿 小学生にしては巨乳
家族構成 誰もいない
住居 施設で暮らしている

名前 シャルロット・スターガーデン
性別 女
大まかな年齢 高校生(凛達と同い年)
性格 凛としていてお人好し
冬木には? 凛達と同じように来日
魔術に関しての立ち位置は? ルーン魔術に優れた名門の出
容姿 銀髪巨乳のお嬢様
住居 一人暮らしの住まいがある

名前 パール
備考 ルビー、サファイアと同じカレイドステッキの三女。キャス狐みたいな口調
8 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 23:00:54.10 ID:vLUqwA4lo


私立穂郡原学園 小等部。


冬木市に構える、それなりに大きな学園。
その学園の小等部の、とある教室。帰りのホームルームが終わって友人との雑談を楽しんだりする生徒が多い中、一人の女子生徒が勢いよく教室を飛び出そうとしていた。

美々「あれ? イリヤちゃん、もう帰るの?」

龍子「なんだよー! もっと遊んでこうぜ!」

那奈亀「学校って遊ぶところじゃないと思うぞ?」

雀花「用事でもあるのかー?」

クラスメイト達に呼び止められ、銀髪の少女――イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが振り向く。

イリヤ「ごめーん! 今日はちょっと用事があるんだー!」

用事があるのにも関わらず呼び止められているのだが、笑顔で答える態度。
これがイリヤの持つ人柄なのか、件の用事を思って嬉しさを隠せずにいるのか。はたまたその両方なのか。

美々「なんだぁ。それなら仕方ないね」

龍子「俺達よりも大事な用事があるっていうのかぁ!!」

那奈亀「うっさい」

イリヤ「あはは……。そ、そういうわけだから。バイバイ!」

いつもと同じ様子のクラスメイトに苦笑いをするイリヤ。
9 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 23:03:11.55 ID:vLUqwA4lo
アリア「…………」

イリヤがクラスメイトに見送られている光景を眺める女子生徒。
名は中村アリア。イリヤ達とはクラスメイトとしての最低限の関係しかない。

アリア「いいなぁ……」

このクラスの中で一番グループ間の仲が良いイリヤ達を見て思わずそんなことを呟く。

アリアは別段暗い性格でもなければ、人付き合いが苦手なわけでもない。
しかしアリアはこのクラスで若干浮いている存在だった。

アリア「帰ろっと……」

ランドセルを背負い、アリアもイリヤに若干遅れる形で教室を出る。
しかしそのアリアを呼び止めるクラスメイトは誰もいなかった。


――――。


冬木市児童養護施設。
アリアはこの施設で生活を送っていた。

この施設の経営者が自由を基本の考えとしていることもあり、最低限の規則を守ればあとは自由に行動することができた。

アリアはこの施設では本来の自分を出せていた。
穏やかな性格ではあるものの、決して嫌われる性格をしていないアリア。理由は違えど同じ境遇の人間がいることもあり、アリアはこの施設での生活を楽しいと思っているのだ。

朝起きて学校に行き、夕方に帰ってきて施設の友人や職員を遊ぶ。
夜は決まった時間に寝なければいけないけれど、たまにする夜更かしがアリアはたまらなく好きであった。

アリア「もう夜かぁ……」

入浴の時間も終わり夜。
アリアは施設内にある倉庫の壁に背を預け、空を見上げていた。
10 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 23:05:29.04 ID:vLUqwA4lo
アリア「……あれ?」

星が輝く空を見上げているアリアがふとある一点を見つける。
夜の空に瞬く光がまるで花火のように瞬いているのだ。

しかしそれは当然花火ではない。
花火ではないのだが――それならば、あの光はなんだというのだ?

アリア「なんだろあれ……うーん……?」

目を凝らしてその光を見ていると、途端に変化が訪れた。
先ほどまで円を描くように回っていた光を中心として三方向に別れたのだ。

一つは右へ。一つは左へ。
そしてもう一つは――アリアに向かって。

アリア「え? え?」

その状況に呑み込めず戸惑うアリア。
しかし光は勢いを弱めるどころか強くしてアリアに向かって飛んでいき、その寸前で停止する。

アリア「なにこれ……? 浮いてるけど、ラジコンか何か……?」

目の前に浮かぶその代物を見てアリアは息を呑む。
それはまるでアニメや漫画に出てくる魔法少女が持つようなステッキであった。

「――――!!」

アリア「あれ? 何か聞こえた?」

誰かの声が聞こえたような気がしてアリアは周りを見るが、人影がない。
なら、今の声はどこから?
11 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 23:09:00.09 ID:vLUqwA4lo


「そこの女の子。ちょっとよろしいですか?」


アリア「えっ? ……も、もしかして貴方が喋って……?」

周囲に自分以外の人影は見当たらない。
そうなれば必然的に声の主は目の前のステッキになり、アリアが震える声で口を開く。

「ええ、当然です」

アリア「当然なの……?」

「それよりも! 貴方のお名前をお聞かせ願いたいのですが!」

困惑するアリアを尻目に話を進めるステッキ。

アリア「な、中村アリアです!」

強めの口調に思わずステッキ相手に敬語になってしまうアリア。

「アリア様ですか。素敵なお名前ですね」

アリア「ど、どうも……」

名前を褒められ思わずお辞儀をするアリア。
しかしその相手がステッキとなればとてもシュールな光景が広がっていることになる。今のアリアにそこを気にする余裕はないのだが。

アリア「そ、それで貴方のお名前は……?」

「よくぞ聞いてくれました! 私の名前は――」

そうして目の前のステッキは胸を張るかのごとく持ち手の部分を反らし、告げた。

パール「――パールと申します! 愛と正義のマジカルステッキ、マジカルパールとお呼びください!」
12 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 23:12:54.53 ID:vLUqwA4lo
アリア「パール……? い、良い名前ですね」

パール「ありがとうございます。さすが次なる魔法少女候補に選ばれただけのことはありますわ」

アリア「魔法少女?」

パールと名乗るステッキが発した言語が理解できないアリア。
それくらい現実味がない言葉であり、しかしそれゆえにアリアの興味を引き付けるには充分であった。

パール「はい。小細工無用の真っ向勝負。早速本題に入るとしますわ」

そうして少女の目の前に浮かぶステッキはまるでそれが当たり前だと言わんばかりに告げる。


パール「アリア様! 私を手に取って悪と戦いましょう! 今日からアリア様が私のマスターでありますわ!」


突然目の前に舞い降りた奇っ怪なステッキ。
そのステッキからの突然の申し出に、ただの女子小学生でしかないアリアは困惑することしかできなかった。

13 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/16(日) 23:14:12.54 ID:vLUqwA4lo
とりあえず終わり。
冒頭からしばらくは安価はほぼ無いかもしれません。

お疲れ様でした、また改めてよろしくお願いします
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:15:00.89 ID:KJ6uM7EV0
おつ
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:15:36.38 ID:NzZLt8qvo
復活してましたか
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 00:01:46.13 ID:AEeM1zZLo
復活か
前スレ見てたよ
17 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 14:02:36.34 ID:JVXKca4oo


第1話 魔法少女爆誕?


アリア「……魔法少女?」

単語としての意味は知っていた。
アニメや漫画等でよく見る、女の子が憧れるアレだ。

パール「ええ。魔法少女です」

困惑するアリアを尻目にパールと名乗ったステッキは話を続けていく。

パール「魔法少女は素敵ですよ。アリア様くらいの年齢の子なら誰もが憧れる、まさに夢のような存在!」

アリア「え、ええっと……」

パール「というわけでどうです? 全少女の憧れの的である魔法少女になれる機会なんて今しかないですよ! やるなら今です!」

アリア「そんなポイントカードの宣伝みたいなこと言われても……」

魔法少女にならないかと必要以上に迫ってくるステッキ。
アリアの知っている現実では到底起こりえないことであったが、それでも冷静に頭が働いているあたりはどういうことなのか。

パール「やるなら今! さあさあ! どうですか? 損はさせませんよ!」

なおも迫ってくるパールにどうしたものかとアリアが困っていると、施設の壁をよじ登ってアリアの前に現れる一人の人間がいた。
18 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 14:06:09.49 ID:JVXKca4oo
シャルロット「見つけたわパール! よくも見捨ててくれたわね……!」

アリアとパールの前に現れたのは銀髪が印象的な女性だった。
凛とした雰囲気を放っていて、普段は毅然とした態度で立ち振る舞っていることが想像できるタイプである。
もっとも今は怒りに身を震わせパールを睨んでいるのだが。

パール「何を言いますか。私は見捨てたのではなくシャルロット様がマスターであることに不満を感じたのです。いわば逃亡ですわ」

シャルロット「もう少しオブラードに包むことはできないのかしらね……! ん? そっちの子は?」

ここでシャルロットがアリアへと意識を移す。

アリア「ど、どうも」

パール「私の次期マスター候補……いえ、マスターです」

アリア「ええっ!?」

シャルロット「ちょっと! こんなちいさな子を巻き込んだってーー」

パールの言葉を受けて驚きを隠せないシャルロットであったが、すぐに値踏みをするかのごとくアリアに視線を送る。

シャルロット「…………」

アリア「あ、あの……? どうかしましたか?」

困惑するアリアを尻目に視線を巡らせること数秒。
そうしてじっくりとアリアを見たところでシャルロットは表情を真剣なものへと変えて口を開いた。
19 : ◆/M0pyGbAls [sage]:2017/07/17(月) 14:06:36.28 ID:JVXKca4oo
また夜頃に
20 : ◆/M0pyGbAls [sage]:2017/07/17(月) 20:13:20.66 ID:ih4nbzXro


シャルロット「もしかして――魔術師の関係者だったりしないかしら?」


ゾッとアリアは背筋が凍った気がした。
魔術師という単語は身に覚えがないはずだった。しかし、何故かアリアはその単語が引っかかって仕方ない。

アリア「……知らないです」

中村アリアは普通の家族に生まれ、普通の人生を歩んできた。
今はこうして施設で暮らしているけれど、それ以前の人生は年相応の少女が送るに相応しい人生であるはずだったのだ。

シャルロット「ふうん……そう」

パール「何はともあれ! もう私のマスターはこのアリア様に決めたのです! シャルロット様はもう少し己の感情のコントロールを身につけてから出直してください!」

シャルロット「ぐ」

パール「そんなんだからリン様やルヴィア様の喧嘩に巻き込まれるのです! 仲裁役をするならまだしも、火に油を注ぐようなことをするなんて……私のような優雅な存在のマスターにはふさわしくありません!」

シャルロット「こ、のっ……! 魔術礼装のくせにマスターを選ぶなんて贅沢をするなんて……!」

アリア「あ、あのー……」

見知らぬ女性とステッキの奇っ怪な喧嘩を眺め、居心地が悪そうにアリアが口を開く。
パールの口ぶりを察するに自分は既に喧嘩に巻き込まれているようだが、それでもここで喧嘩を続けられたらアリア自身の立場も危うくなる。

パール「アリア様〜、この哀れなステッキを助けてください〜!」

パールがアリアに泣きつくように近づいていく。

アリア「え、ええっと……」
21 : ◆/M0pyGbAls [sage]:2017/07/17(月) 20:14:45.40 ID:ih4nbzXro


アリア「よくわからないけど……何かできることがあるなら協力しますっ」

中村アリアは根本的にこういう場面に出くわしたり巻き込まれたら首を突っ込まずにはいられない質だった。
良い言い方をすれば優しい人間という表現があるが、悪い言い方をすればお人好しというだろう。

シャルロット「ちょっ」

パール「音声認識により承諾を確認! これより必要過程をすっ飛ばしてマスター登録に入りますよー!」

アリアの言葉を待ってましたと言わんばかりにパールは勢いを強くしてアリアに向けて飛来する。

パール「さあアリア様! 私を掴んでくださいまし!」

アリア「あ、うん!」

シャルロット「言われるがままに掴んでんじゃ――!?」

シャルロットの声も虚しくアリアの手の中にパールが吸い込まれていく。
そうしてアリアの華奢な手の平にパールが握られ、次の瞬間には周囲に光が放たれた。

パール「これで私のマスターはアリア様になりました! 純真無垢なロリっ子マスターゲットです!」

アリア「ロリっ子マスター!?」

シャルロット「パール! 貴方、本気なの!?」

この流れでパールが何をしようとしているのか感づいたシャルロットが叫ぶが、パールはそれも無視して続けていく。

パール「コンパクトフルオープン! 鏡界回廊最大展開!」

アリア「え? ええっ!? 何が始まるんですか!?」

パール「新生カレイドパール! プリズマ☆アリア爆誕ですわー!!」
22 : ◆/M0pyGbAls [sage]:2017/07/17(月) 20:16:02.05 ID:ih4nbzXro
光が消え、クリアになった世界に現れたアリアの姿は一変していた。
白色のウエディングドレスのような服装。まるで結婚式に赴く新婦のような姿となっていたのだ。

アリア「……ええっ!? な、なにこれ!? 魔法少女……ではないと思いますけど!?」

パール「凄くお似合いですよアリア様〜! 小学生にして早くもウエディングドレスデビューとは罪作りな人です……」

パール「全く、どこぞの元マスターとは大違ぐぺっ!?」

アリアの手に握られたパールがシャルロットにひったくられる。

シャルロット「貴方……こんな小さな子供を巻き込むなんて何を考えているの!?」

パール「ですが! 私達の力は魔法少女に相応しい人間に与えられるべきです! シャルロット様のようなお方にはいささか荷が重いというか」

シャルロット「ていっ!」

パール「ぐえっ」

パールの口上を遮るように地面に叩きつけるシャルロット。
そうしてシャルロットはやれやれと首を振るい、やがてアリアの方を向いた。

その顔はやけに真剣な表情をしていて、アリアの背筋を否応なく正すほどであった。

アリア「あ、あの〜……」

シャルロット「無関係な子……いや、小さな子を巻き込むのは不本意というか……本来ならするべきではないのだけど」
23 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 20:18:12.85 ID:ih4nbzXro
無関係な子。小さな子。
それが誰を指すのかわからないほどアリアは察しが悪くはない。

アリア「巻き込むって……何にですか?」

シャルロット「恨むならそっちのステッキを恨んでもらいたいわ。わたし達にもやらないといけないことがあるの」

パール「ってことは!」

シャルロット「貴方は少し反省をするべきだと思うわよ! ……ええっと、単刀直入に言うわ」

ごほんと咳払いをしてシャルロットは告げる。

シャルロット「わたしはシャルロット・スターガーデン。これから長い付き合いになるだろうから、自己紹介はしておくわね」

それは家族を失い非日常に落ち、それでも日常を送ってきたアリアに対して――

シャルロット「貴方にはこれからわたしに対して協力をしてもらう。拒否は許さないし、認めない」

再び非日常へと連れ込むような――

シャルロット「今から貴方は魔法少女よ!」

――そんな宣告だった。

24 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 20:53:37.87 ID:ih4nbzXro
【中村アリア】

【転身時の姿】白ウエディングドレスベースのロングスカート

筋力 E
耐久 A
俊敏 E
魔力 B
幸運 A

たぶん特に意味のないであろうステータス
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 20:55:15.73 ID:YE4F0phK0
そういやガチガチのタンクだったね
26 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:00:55.69 ID:ih4nbzXro


アリア「はぁ……」


翌日の朝。施設を出て小学校に向かうアリアであったが、その足取りは重かった。
しかしそれは小学校に行くのが苦痛とかそういうのではなくて。昨日の出会いと一連の流れをまだ受け入れきれていなかったからだ。

アリア「どうしてこんなことになったんだろう……?」

パール「浮かない顔をしてますねアリア様。しかしご心配に及びません、何事も慣れるまで時間が必要ですから」

こんなことになった原因の一つであるパールの声がランドセルから聞こえてくる。
本当は学校に連れて行くのも抵抗があったアリアであったが、施設に放置したままで何かおかしなことをされても問題がある。選択肢は一つしかないようなものだった。

パール「それにしても、私が気になるのはシャルロット様以外のマスターが誰になったかですわ」

アリア「それってわたし以外にこんなことに巻き込まれた人が居るってことだよね?」

パール「巻き込まれたとは心外な! 同意の元の契約、です!」

アリア「物は言いようってこういうことを言うのかもしれないね……」

こうして喋るステッキと行動を共にすることになっても、アリアを取り巻く日常は変わらない。まずは学校に行かなければ……。


直後コンマ判定
0〜2で登校中のイリヤと士郎に遭遇
それ以外で何事もなく学校へ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 21:01:43.77 ID:w89zTR7H0
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 21:01:51.10 ID:MSZgyxus0
29 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:06:37.64 ID:ih4nbzXro


――――。


そうやってランドセルに隠れたパールと話をしながらアリアは何事もなく学校へとやって来た。

美々「あれ? 雀花ちゃん、寝不足?」

雀花「あー……まあ、ちょっと色々な」

クラスの生徒達がそれぞれ思い思いの話で盛り上がっているのが視界に入る。

パール「それじゃあ私は放課後までこのままランドセルの中に隠れさせていただきますね」

アリア「絶対に出てこないでよ?」

念を押す形で言うアリア。

パール「了解です、マスター」

アリアの言葉にパールがそう答え、以降は喋らなくなる。
最初はどうなることかと思っていた件だったが、パールはどうやらマスターとなった人間の言うことは素直に聞くらしい。

……だからこそ元マスターであるはずのシャルロットと何が原因で仲違いをしたのか、気になるところではあるが。

アリア「…………」

時間になるまでの間、アリアは昨夜のことについて思い返すことにした。
シャルロットから受けた説明。とりあえず忘れない意味も込めて反芻するに越したことはないだろう。
30 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:14:07.55 ID:ih4nbzXro


――。


シャルロット「さて。それじゃあ一通り説明はしておかないといけないわね」

アリア「よ、よろしくお願いします」

倉庫の物陰。ある程度は人目につかない場所を選んで二人と一本は向かい合うように座っていた。

シャルロット「改めて自己紹介をしておくわ。わたしはシャルロット・スターガーデン。ロンドンの時計塔って場所から来た魔術師――まあ、簡単に言うなら……魔法使いと思ってくれて構わないわ」

アリア「魔法使い……」

シャルロット「意外と驚きが薄いわね」

パール「もうちょっと大きい反応があると思っていたのですがねぇ」

アリア「……もうある程度のことに驚いてちゃ事態について行けないってことがわかったので」

パール「どうしてそこで私を見るのですか?」

シャルロットが魔術師という事実より何倍も奇っ怪な存在であるパール。
しかし当の本人は素知らぬ様子でそんなことを言う。

シャルロット「器の大きいことね。まあそっちの方が説明をする側としては話が早くて助かるんだけど」

そう言いながらアリアを見るシャルロットの視線は何か含みがあるようにも見えた。

パール「ちなみに補足説明をしておきますが、シャルロット様はこう見えても魔術師としての実力はかなり高いことで有名です。得意魔術はルーン魔術というものですわ」

アリア「――ルーン魔術?」

シャルロット「強化や発火、索敵……まあ種類は多種多様ね。一応時計塔ではそれなりに高い成績ではあったから、そっち方面での活躍は期待してくれて構わないわ」
31 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:21:07.19 ID:ih4nbzXro
パール「ステッキに見限られたくせにえらい強気な態度ですねぇ」

シャルロット「うるさいわ。……で、本題に戻るけど。わたしがロンドンにある時計塔からこの街に来たのには理由があるの」

凛とした態度でアリアを見据えるシャルロット。その様子からかなり真剣な話をしようとしているのが伺えた。

シャルロット「この冬木市にはカードと呼ばれる魔術的代物が眠っているようでね。悪意ある人間が使えば街一つを滅ぼすなんてことは容易いくらいのものが」

アリア「滅ぼ――!?」

突然の言葉に今度は驚きを隠せずにいるアリア。

シャルロット「それを悪用される前に回収するのがわたしの目的というわけ」

パール「つまり秘密裏に暗躍する工作員とかを想像して頂ければ問題ないかと」

シャルロット「間違ってはないんだけど、もう少しまともな例えは思いつかなかったのかしらね……?」

やれやれとため息を吐くシャルロットは何やら少し不満そうにも見えた。

パール「本当なら実物を見せればわかりやすいんでしょうけど、あいにくカードは二枚しかないですからね」

シャルロット「それもわたし以外の二人が持っていて、今わたしの手にカードは一枚もない……まあ、今更そこを愚痴ったところで仕方ないけど」

アリア「二人、って?」

パール「この任務を与えられたのはシャルロット様だけではないってことです。リン様とルヴィア様というお仲間が居るんですけど……」

シャルロット「ちょっと事情があって今は別行動中ってとこ」

パール「まあ、何歳も年下の女の子にあんなことを説明はしにくいですよねぇ」
32 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:24:59.51 ID:ih4nbzXro
シャルロット「自分は関係ないって言いたそうだけど、原因は主にパール達ってこと忘れてないわよね?」

パール「あはははは!!」

シャルロット「笑って誤魔化すな!」

アリア「へぇ〜……」

言われて空に浮かんでいた三つの光のことを思い出す。
もしかしてあれがシャルロットとその二人だったのだろうか? そうなると……もしかして喧嘩でもしていたのか?

シャルロット「本題に戻るわ」

咳払いをし、場の空気を戻す。

シャルロット「で、そのカードを集めるのにいくら魔術師といえど生身じゃキツいってことで与えられたのがパールなの。こっちはちゃんと人数分渡されたんだけど……その性格が難ありでね」

パール「失礼な! 私にもマスターを選ぶ権利があり、それを行使しただけのことです!」

シャルロット「ってわけ。本当ならこっちも小さい子を巻き込むなんてことはしたくないけど、パールが居ないと任務の危険度が著しく上がるのも事実」

シャルロット「恨むならパールを恨んでちょうだい。そしていち早く開放されたければパールをどうにかして説得することね」
33 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:26:39.21 ID:ih4nbzXro
アリア「それは……無理かもしれないです」

まだ会って一時間ほどしか経っていなかったが、パールに話がまともに通じるとは思えないことはアリアも既に理解していた。


――。


イリヤ「おはようー!」

教室に入ってきた生徒の声でアリアの思考は現実に戻された。

声の主はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
銀髪が印象的なクラスメイトの一人であった。

美々「おはようイリヤちゃん」

那奈亀「あれー? イリヤも寝不足だったり?」

イリヤ「うん……ちょっと色々あってね」

雀花「ほほう……」

イリヤ「えっと、多分雀花が考えてるのとは違うと思う……」

クラスメイト達の雑談が耳に届く。
しかし、何はともあれ今は小学生としての役目を全うしなければ。

魔法少女云々に関しては昼休みか放課後にでも考えればいいだろう。そう思うことにした。


――。


その日の学校は何事もなく終わり、放課後。
ランドセルを背にアリアは一足早く教室を出て行った。
34 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 21:27:04.34 ID:ih4nbzXro
【ちょっと休憩】
35 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 22:19:55.42 ID:ih4nbzXro
パール「ようやく終わりですか。ランドセルの中は退屈極まりなかったです」

待ち望んでいたと言わんばかりにランドセルの隙間からパールが顔を除かせる。

アリア「ご、ごめんね。でも他の人達に見られたら困るし……」

パール「他の人、ねぇ……」

アリア「パール?」

パール「いえ、お気になさらず。とにかく今は早く帰りましょうか。そして魔法の練習と洒落込みましょう!」

アリア「別に洒落込むって表現を使う必要はないと思うけど……」

しかし魔法少女としての道を進むことにしたのなら魔法の練習は避けて通れない。
魔法が使えない魔法少女なんて銃弾の入っていない拳銃と同じなのだから。

アリア「……あれ?」

下駄箱にやって来たアリアは自分の下駄箱の中に手紙が入っていることに気付いた。

パール「おや。それは一体なんでしょうか」

アリア「なんだろ……?」

正体不明の手紙を少々不審に思いながら中身を確認する。


『今日の深夜0時
 高等部の校庭に来るように シャルロット・スターガーデン』

36 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 22:45:22.32 ID:ih4nbzXro

アリア「これって……」

パール「シャルロット様からのお手紙ですね。今日の0時にカード回収をするということでしょう」

アリア「早速!?」

とはいえそれが魔法少女としての仕事なら仕方ない。
展開の早さに困惑しながらも、アリアはそう思うことにするのだった……。

パール「というわけでこれから何をするべきかアリア様に一通り教えましょうか」

校門に向かうまでの途中、パールがいきなりそんなことを言った。

アリア「何をするって、魔法の練習じゃないの?」

パール「当然それも重要ですが、街を歩いて誰かと話をするのもいいですよ。人間関係は数値では測れない何かを成長させますからね」

アリア「ステッキのパールが言うんだ……」

しかしパールが言うこともそれとなく理解はできた。
つまり誰かと話をして過ごすか、魔法の訓練をするか。そのどちらかが魔法少女としての成長を高めることに繋がるということだろう。

パール「とりあえず今からどうしましょうか?」

そんなことを言いながらアリアは学園の敷地を出ていく。


直後コンマ下一桁判定
0〜2でイリヤ
3〜5で美々
6〜8で金髪の女子生徒と遭遇
9でさらに一つ下のコンマで判定
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 22:46:01.38 ID:8ltDRJPZO
38 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/17(月) 23:13:31.88 ID:ih4nbzXro
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【ここまでです、お疲れ様でした
今回は小難しいことはしない予定。途中で判定挟んでそれで進行するって感じで】
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 23:21:26.34 ID:w89zTR7H0
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 23:39:40.85 ID:iUVPpUwtO
おつおつ
41 : ◆/M0pyGbAls [sage]:2017/07/18(火) 17:24:46.11 ID:TzoBWJU5o
てす
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 20:02:17.95 ID:RDdM6RRfO
えぇ…
43 : ◆/M0pyGbAls [sage]:2017/07/18(火) 20:38:15.56 ID:yeXJIu64o


【8】金髪の女子生徒


「あら? そこの貴女、ちょっとお待ちなさいな」

アリア「はい?」

呼び止められたアリアが振り向くと、そこには金髪のツインテールという姿の女性が立っていた。
なんとなく日本人らしからぬ雰囲気を感じられる女性。着ている服装からも気品の良さが感じられる。

パール「おや、貴女は……」

「この声……やはり、パールがいますわね?」

アリア「……知り合いなの?」

女性に聞かれないように小声で話すアリア。

パール「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト……。昨日話に出た、シャルロット様と同じ元マスターの一人ですわ」

ルヴィア「そういうことです。……そちらも、パールと行動を共にしているということはある程度の事情は把握していると思って間違いなくて?」

アリア「え、えっと……」

正直に言うべきかどうか困ったアリアは再び視線をパールに向ける。
44 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 20:58:43.71 ID:yeXJIu64o
パール「正直に言って問題ないですよ。性格と金銭感覚にやや難ありですが、信用に値するお方です」

ルヴィア「……相変わらず人を小馬鹿にしたようなことを言いますわね……」

アリア「……あ、あはは……」

ルヴィア「ですが、その言い方からして間違いなさそうですわね。……それで貴女のお名前は?」

アリア「な、中村アリアですっ」

アリアの名前を聞いてルヴィアはふむ、と小さく呟いた。

ルヴィア「中村アリアですか。……どうやらパールに巻き込まれてマスターになったようですが……」

パール「失礼な! 無理矢理なんてしてません! 同意の元、です!」

ルヴィア「遠阪凛やシャルロット・スターガーデンを庇うわけではありませんが、マスター契約を勝手に破棄したくせによくもそんなことを……!!」

そのやり取りを聞いてアリアはふと今朝のパールとの会話を思い出す。

そういえば、ルヴィアがシャルロットと同じようにステッキとの契約を破棄されたのだとしたら自分のように巻き込まれた人が居るはずだ。


↓2
1 遠阪凛っていう人も仲間なんですか?
2 ルヴィアさんはステッキを持ってないんですか?
3 とりあえず、喧嘩はやめてください……
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 20:59:32.86 ID:nsXoz4rWo
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 21:00:01.28 ID:l8I3cTkDO
47 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 21:13:58.40 ID:yeXJIu64o


【3】とりあえず喧嘩はやめてください……


アリア「とりあえず喧嘩はやめてください……周りの注目浴びちゃってますから」

ルヴィア「あら、これは失礼」

アリアの注意を受けてルヴィアはパールとのやり取りを取り止める。

ルヴィア「ともかくとして。もしシャルロット・スターガーデンと遠阪凛に会ったらこうお伝え願えるかしら? 『カードは必ず全て私がいただきますわ!』と!」

そうとだけ言い残し、ルヴィアはこの場を立ち去っていく。

アリア「……仲間、なんだよね?」

パール「ええ。顔を合わせばほぼ毎回喧嘩はしますし協力関係を持って遂行する必要のある任務でも競争ばかりをしますが……一応は仲間ですよ」

その言葉を信じる材料は今のアリアは持ち合わせていなかった。
48 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 21:24:44.66 ID:yeXJIu64o


――――。


夜。施設に戻ってきたアリアは部屋で一人ベッドに横になっていた。

アリア「ところで、0時に高等部の校庭に来いってなってたけど……当然施設の人にはバレない方がいいんだよね?」

パール「まあ、そうなりますね」

アリア「うう……しばらくはひっそりと行動しないといけないのかぁ」

パール「幸いこの施設は10時30分には消灯となりますし、よほど目立つことをしなければ大丈夫でしょう」

アリア「そうかもしれないけど……」

パール「ですが行動しづらいのも事実ですね。……うーむ、どこか別の家に住めれば万事解決なのですが」

そんなことを話しながらアリアは部屋の窓から外へ出た。
小学生の中村アリアから、魔法少女の中村アリアへ足を踏み入れるように。
日常から非日常へと進むように。


「…………」


そしてそれを見守る人影が、一つ。


――――。


そうして深夜0時まで残り数分といった時間。
アリアは指示された場所へやって来た。

パール「ここが高等部の校庭ですか。いやいや、やはり小等部と比べると大きさに違いがありますね」

アリア「うん。こっちの方がちょっと大きめだね」

パール「えーっと、シャルロット様は……」

先に来ているであろうシャルロットを捜すために辺りを見回す。
49 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 21:25:32.39 ID:yeXJIu64o
【ちょっと休憩】
50 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 23:07:51.38 ID:yeXJIu64o


「なるほど、シャルもステッキに見限られたわけね」

シャルロット「ええ。……子供を巻き込むのは不本意だったけど、この際手段は選んでいられないから」

「それについては同感よ。はぁ……この調子だとルヴィアの方も面倒なことになってそうねぇ」


やや離れた場所に立つシャルロットを発見する。
しかしシャルロットは見知らぬ女性と何やら話をしているようだった。年齢としてはシャルロットと同じくらいであろうか。

パール「あら、あれは凛様ですね」

アリア「凛さんって……ルヴィアさんとは別のステッキの持ち主っていう?」

パール「ええ。シャルロット様と同じく魔術師の方ですよ」

何はともあれ、このまま立ち尽くしていても意味はない。
そう判断したアリアは恐る恐るといった感じで二人に近づいていった。

シャルロット「お。来たみたいね」

まずアリアに気付いたのはシャルロットであった。続いて凛と呼ばれていた女性がアリアの方を見る。

「この子が中村アリア? ……ふーん」

アリア「えっと……凛さん、でいいんですよね?」

「ええ、遠坂凛。詳しい説明は省くけどシャルと同じような立場ってことで理解してちょうだい」

パール「魔術礼装の私達に見限られた哀れな魔術師さんですよー」

凛「ぐっ……相変わらずの態度ねパール……!」

シャルロット「それで、そっちの方はまだ来ないのかしら?」

凛「時間はシャルと同じで呼び出しておいたから、そろそろ来るかと――」

その凛の言葉を遮るように離れた場所から叫び声にも似た声が届いてきた。
51 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 23:16:02.72 ID:yeXJIu64o


「ああっ! この気配、まさかとは思いましたが……!! パールちゃん! パールちゃんなんですねー!?」


パール「この声は……!!」

アリア「パール?」

アリアもその声の方を見る。するとそこにいたのは……銀髪が特徴的なクラスメイトの女子生徒であった。

イリヤ「あれ? な、中村さん?」

パール「ルビー姉さん……!! ルビー姉さん!!」

「パールちゃあぁぁぁんっ!!」

二つのステッキが宙を舞い、喜びを表現するように回りだす。

アリア「イリヤスフィール……さん?」

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。アリアと同じクラスに所属する女子生徒で、いつも明るい印象があった。
そんなイリヤスフィール・フォン・アインツベルン――イリヤがどうしてここにいるのか?
その疑問には凛が答える。

凛「この子がイリヤスフィール・フォン・アインツベルン……ルビーが勝手に選んだマスターよ」

アリア「ルビーっていうのは……」

シャルロット「あれね」

今もなおぐるぐると空中を旋回するステッキの一つを示してシャルロットが言う。
52 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 23:38:35.64 ID:yeXJIu64o
イリヤ「どうして中村さんが?」

アリア「ううん……イリヤスフィールさんと同じ感じだと思う。わたしも変なステッキに巻き込まれて……」

イリヤ「魔法少女に?」

こくりとアリアが頷くと、イリヤは納得したように苦笑いをする。
同じ境遇の人間がいるだけでこうも安心するとは。施設に入った頃よりも強い気持ちを抱くアリア。

ルビー「あ、わたしはルビー! パールちゃんのお姉さんです! 以後お見知りおきを!」

アリア「姉妹なんだ……」

パール「ちなみに私の姉はもう一人居て、ルビー姉さんは長女なんですよ! 私は三女です!」

イリヤ「何はともあれ、仲間は多いに越したことはないよね? 中村さんも――ううん、アリアもよろしく」

そうしてイリヤは笑みを浮かべてアリアを見据える。

アリア「…………」

イリヤ「あ、あれ? 何かおかしなこと言ったかな?」

イリヤの様子に呆然としているアリア。
それを見て不思議に思ったイリヤが苦笑いをした。
53 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 23:50:48.78 ID:yeXJIu64o
別におかしなことをイリヤが言っていることはない。
同じ境遇に立ち、仲間が増えたことに歓びを感じるのは当然のことだ。

ただ、まともに話をして数分で下の名前で呼ぶ人間を初めて見たので少々困惑したというのがアリアの本音であった。

施設での友人はお互い名前で呼び合いはするけれど、それはそれぞれの境遇に哀れみを抱いて――そんな感情があったから。

アリア「う、ううん。……こちらこそよろしくねイリヤちゃん!」

だからこうして純粋な好意を向けられるのは初めてだった。

クラスメイトとしての最低限の付き合いしかなかった二人が同じ境遇に立ったことにより親しくなる。
その境遇が魔法少女になった者同士ということで、きっかけが喋るステッキなのだから奇妙な縁と言えるだろう。

凛「話はそこまでよ。そろそろ時間だわ」

真剣な面持ちの凛が告げる。

シャルロット「カードの反応はこの校庭の中央にある。歪みもそこで観測されているわね」

アリア「中央? でも何も見当たりませんけど……」

凛「カードがあるのはこっちの世界じゃないからね。……ルビー、パール。お願い」

ルビー「はいはーい」

パール「わかりました」

ルビーとパールがそう返事をすると、足元に魔法陣が展開された。
54 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 23:56:16.99 ID:yeXJIu64o
イリヤ「ええっ!? こ、これ何なんですか!?」

凛「カードがある世界に行くのよ」

アリア「それって別世界ってことですか!?」

シャルロット「ご明察」

ルビー「半径2メートルで反射路形成!」

パール「鏡界回廊一部反転します!」

驚く二人を尻目にルビーとパールが言葉を紡いでいく。

シャルロット「わたし達は『鏡面界』……そう呼んでいるわ」

ぐるりと視界が回った。
意味が分からず困惑したアリアとイリヤが瞳を閉じ、次に目を開けた瞬間――世界の雰囲気は一変していた。

アリア「ここは……?」

先ほどまで見ていた光景と何ら変わりないはずであった。
しかしその光景から放たれている雰囲気は間違いなく別のものである。
まるで鏡に映された別の世界のような……。

パール「詳しい説明をしている暇はないようですね。アリア様にイリヤ様、中央をご覧下さい」

パールに指示され校庭の中央に視線を送る。するとそこにはありえない光景が広がっていた。
55 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/18(火) 23:57:36.62 ID:yeXJIu64o
アリア「な、なんですかあれ!?」

イリヤ「何か出てきたんだけどぉ!?」

空間に亀裂が走り、そこから髪の長い女性が出てくる。
目元はマスクのようなもので覆い隠されているが、胸部や服装で性別はすぐに判別できた。
しかしその女性が放つ雰囲気は酷く歪んでいる。まるで彼女を中心に毒素が放たれているような――。

シャルロット「クラスカード・ライダー……報告通り実体化したわね」

凛「それじゃあ二人共、油断せずにね!」

イリヤ「投げっぱなし!?」

ルビー「イリヤさん、きますよ!」

パール「構えてください二人共!!」

女性――ライダーが二人を敵と判断し構える。
こうなってしまっては仕方ない。何も抵抗せずやられるがままになるくらいなら、やるしかない――!!

アリア「イリヤちゃん、とりあえず……やるよ!」

イリヤ「りょ、了解っ!」

それぞれステッキを構えてライダーに向かい合う。
こうして魔法少女となった少女の初めての初陣が幕を上げた。
56 : ◆/M0pyGbAls [saga]:2017/07/19(水) 00:03:24.06 ID:VrY1XUPso
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          ∨     Vl  |    \ `ヽノ///リ
          /'        l  |      `iーミ`V//
            /'         \|       .:ノ`V/
.          ‖                   V  ハ
.        ‖                      ',


【今回ここまで、次回ライダー戦。
お疲れ様でした】
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