【メイジの転生録】 - F A I T / G R A N D O R D E R - 【FGO】

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39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 19:43:06.59 ID:TNtSokgVo
上のレス下から3行目エクスティオになってるよ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 19:43:51.33 ID:TNtSokgVo
4行目だった
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 22:13:26.48 ID:ad+Gtjh/O
スレ主のノリがキモすぎる
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 22:24:48.99 ID:/NzfaENMO
間違っちゃいない>エクスティオ
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 22:26:52.52 ID:/NzfaENMO
>>38
おつ
続き楽しみです
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/19(水) 21:33:44.09 ID:yoFBXfmI0

「少し待って居てくれたまえ。あそこまで行くのはまぁまぁ歩くからね。車を取って来るよ」

そして、エクスハティオは椅子から立ち上がるとその場から離れて行った。

「車って言ったってよ…前の奴だろ? 案外普通の。…この人数…ちゃんと乗れんのかよ」

ブラウはリヒト、レイネ。そして立香、マシュ、顔を顰めてテスラを見遣った。

「全くですブラウさん。助手席に犬と雌犬を相乗りさせるとしても、後部座席にはブラウさんと私。詰めたとしても後一人しか乗れないでしょう」

ラドが文句を垂れ、立香、マシュ、テスラは互いに顔を見合った。そして悩んだ。

「どうする? …」

「先輩には、私の膝の上に乗って頂く…と、言うのは」

「おっと待ちたまえ。其れでは私が置き去りにはならないか?」

暫し、三人で会議を続けるも不毛な話し合いが続く。

「取り敢えず、話し合いはエクスハティオのオッサンが帰って着てからにしようぜ。ファミリーカーでも拾ってくんじゃねーの」

リヒトは冗談めかして笑いつつ、三人の話を終わらせた。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/19(水) 22:20:30.58 ID:yoFBXfmI0

そして又、沈黙が流れる。

…数秒後、遠方より何やらエンジン音。そして狂気を帯びた雄叫びと共に此方に向かう影があった。

「何だ…?」

立香は睨み据える様に、砂塵を纏いながら爆走する其れを見遣った。

「…こ、この音は…!!」

リヒト、レイネ、ブラウ、ラドの四人は段々と近付く音に気付くと勢い良く立ち上がり、構えた。

「……まさか、…」

リヒトはごくりと生唾を飲み込み、覚悟を決めた表情を浮かべる。

他の三人も同じく、射抜き殺さんばかりに砂塵の巻き上がる方にと険しい顔を向けていた。

「…先輩、私の後ろに」

その雰囲気に只ならぬ戦慄を感じたマシュは、立香を後ろにと下がらせた。

そして______

..

.


「 イ ェ ア ア ア ア ッ ッ ハ ァ -------- ッ !!!!!!!!!!!! 」

.

..

耳をつんざく様な爆音と絶叫だった。其れは彼らの居るカフェの前にと急に止まり、激しい程の風を浴びせた。

「いよーォう…」

風と共に舞い上がる土煙は段々と晴れ、現れた人物の姿を露にしていく。

「おッ、御前は…ッ!!!?!?!!?」

リヒトは驚きに目を見開き、言葉を詰まらせた。

「 ---- … ヱドロ… !!!」

「お、へへ、覚えてたか。でも、な、違ェ、よ。俺を呼びたいなら、な」

『FAIT』と彫られた鉢がねを額に巻き、茶色のマントを揺らしながら、乗っていたであろう単車から降りた男は、首を振った。

「…『ヱドロさん』、だろォん!!?!?」

そして、両者は睨み合う様に出方を窺った。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/19(水) 23:19:50.16 ID:yoFBXfmI0

その時、途切れていた通信が起動し、声が届く。

『立香君、マシュ!! 一体何が起きているんだ!』

「ダヴィンチちゃん! 今まで何を…」

『悪いね。少しそっちの情報を纏めるのに忙しくて…ってそれよりもだ。今、君達の目の前に居る奴。恐らくクラスは復讐者(アヴェンジャー)だ。だが… 』

ヱドロは何処からか、形容し難い武器を取り出す。

それは『DEA TH』と刻まれた持ち手。長く延びる諸刃に、奇妙にヒビの如く曲がる刀身。更に四方八方に延びる刃。その形状は、凶悪そのものであった。

「あの、な、今はな、俺…調律者ァで、そんでな、ァ。…復讐、者ァ? アヴェ、とか?? くッせぇ肉柱野郎が、そう言ってた、わ」

そして、武器を掲げリヒト達にと歩み寄り、

「御前らを、 皆 殺 し に するだけの、なァァアアァアアン!!?!!!!?!!?!!!!!」

その場から跳躍し、甲高い声と共に振りかぶる。

「…っ!!」

前にと出たマシュが、盾でヱドロの斬殺を受け止めた!

「よ、ぉン? 見知らぬ、お嬢さン、な。用があんの、そいつらだけ、なんだわ。な。だから --- 」

「いいえ、私にでも貴方が何をしようとしているのか…それ位は解ります! なので、退く訳にはいきません!!」

「…あ、そ。なら、イイ、わ。そンじゃ、諸共…葬ッ式ィイイイ!! 執行ゥォオッオオオ!!!」

その叫びと共に、ヱドロは後ろにと弾ける様に跳んだ。

先程まで彼が居た場所に、血に濡れた刃が迅く回転しながら通過する!

「チィーッ、単車下人めが…一度死んだ癖にまだ死に足りない様だな!」

ラドは舌打ちをしつつ、罵倒の言葉を吐き捨てた。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 23:55:10.53 ID:yoFBXfmI0

「相変わらず遅ェ、遅すぎんぞォー? そこの、お姫様に、守って貰えや。へへ、へ!!」

「貴様ァ…ッ!!」

ヱドロの挑発に容易に乗り、前にと出そうになったラドをブラウが引き止めた。

「落ち着けい、ラド! 今度は前とは違う…硬ェ盾役も居る。慎重にフクロにすんぞ!!」

「あ、へへ、怖ぇ。怖ェの」

ヱドロは不気味に笑いつつ、舐める様に対峙する相手達を眺める。

「ま、いい。飽きたし、御前らの処理は、又今度。でも --- 」

瞬間、ヱドロの姿が消える。

「こいつ、貰ってく、ぞォオオオ??? へへへ、へハハハハ!!!!」

「え、ちょっ何…!!!!?」

さながら瞬間移動めいて移動した彼は、立香を片腕で抱え上げると停めた単車目掛け大きく跳んだ。

「先輩ッ!!?」

そして彼が単車にと跨ったその時、

..

.

--- 突然のブレーキ音 !!!

.

..

「エ”ア”ァ”ッ”!!?!?」「うわッ!!?」

突如現れた車が単車諸共ヱドロを吹き飛ばした。そしてヱドロの腕からすっぽ抜けた立香は地面にと激突 --- しそうな所を、駆けたマシュが受け止めた。

「やれやれ、タイミングが良いのか悪いのか…。それはさておき、ナイスキャッチだ。マシュ君」

車から降りたエクスハティオは、単車と共に寝転がるヱドロを見下ろしながら不敵な笑みを浮かべた。

「久し振りだね、調律者君。そして直ぐに御別れとなるだろうよ」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 00:38:15.68 ID:kIcOzPcc0

「オ、オッサン…マジでファミリーカー持って着やがった…」

リヒトは先程ヱドロにとぶつけられた車をちらりと見つつ、ぽつりと独り言めいて呟いた。

「…ア、ハハ!! よォーゥ、ン? 騎士様、よ。人にぶつかっといて、よ、謝罪も、無しか、ァアアアァア?? へへへへ!!!」

跳ねる様に起きたヱドロは、狂剣を振り油断しきったエクスハティオを斬り付けた!

「ああうっ」

エクスハティオは直ぐに剣を展開し身を守ろうとしたが易々と砕かれ、傷を負って仕舞った。

「禁ンンン…物ゥ、それは、な、油断だぞォーン!!?」

「エクスハティオ!! …マシュ、エクスハティオを助けないと!!」

立香は、トドメを刺そうとするヱドロを見つつ叫ぶ。

「で、ですがッ…先輩が…!」

マシュは先程の様に彼を奪われないか、と言う心配もあり、中々に動けずに居た。

「やらせる訳にはいかねぇ!!」

「チョーシに乗ってんじゃあねェぞォオオォオ!?!!!!!?!?」

「もう一度地面で寝させてやる!!」

リヒトが、ブラウが、ラドが一斉に背後から攻撃を仕掛ける!

然し、大したダメージは与えられて居ないのか、ヱドロはのっそりと振り返った。

「あ、あ? チク、チク?? ビリ、ビリ??? かいーし、うっせェ、よォ!!!!!!」

エクスハティオへのトドメを中断し、狂剣を乱雑に振り回す!

「ぐっ!?」「グギィッ!?」「ギィアッ!!?」

リヒトとラドはその攻撃をまともに喰らい、膝を地に着けた。

「…あ、ァ? 何、立ってんだ、よォ?? エへへ、ハハハハ!!」

辛うじて掠める程度で済んだブラウにと、畳み掛ける様に狂剣を振り翳した。

「しまっ…!」

その速さに慄き、避けようとするも____間に合わない!!

「ブラウさんッ!!!」

ラドは噴き出る血にも構わず立ち上がり、身を挺してブラウを守ろうとした____だが、間に合わない!!!
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/20(木) 00:43:38.76 ID:kIcOzPcc0
続きはまた、時間が空いた時に書き進めます。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/20(木) 07:42:16.84 ID:9ozu0NXY0
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/20(木) 20:45:10.18 ID:YPGEJgI0o
乙、エドロの再現率高くて笑うわww
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/27(木) 22:01:03.70 ID:Mn2f86mc0

「へへへ、死ねやァ!!!」

ヱドロの振るった武器が、ブラウの運命を刈り取ろうと吼える!

--- そして、遂に胴を真っ二つに切り裂いた。然し、其れは、

「……お、オッサン…何してンだ…!!?!?」

ブラウではなく、ニコラ・テスラ。彼の身体を切り裂いていた。

テスラは不敵に笑みを浮かべ、目の前のヱドロにと強烈な雷電を浴びせた!

「ギィエエエァアアアッッッッーーッ!!!!?!!!?!?!!!?!?」

ヱドロの身は震え、恐らく全身を駆け巡る痛みに悶えて居た。

「…何、私にも…よく、解らないな。運命的に、体が動いたのだよ」

如何に英霊と言えど、あの殺戮的斬殺をまともに喰らっては消滅の運命を辿るだろう。

現に彼は膝を折り、その場にと倒れた。

「…ブラウ、とやら。…貴様の雷電も、中々…フフ、いや…やはり、私の方が上だな」

減らず口を叩きつつ、倒れた自分を困惑の表情で見下ろすブラウにと続けて告げた。

「…心配ない、マスターと、貴様が生き残って居れば…何時か又、逢えるとも」

「ふざけろや…次会ったら俺がブッ潰してやんよ! …ヱドロぉ、てめェ…こんなヤローに俺を助けさせるたぁ赦さねぇぞ…!!!」

消滅し掛けて居るテスラから、視線をヱドロにと向け、そう吠えた。

ヱドロはすっかりスタン状態から解放され、落とした武器を拾い上げていた。

「…はーァ、キモ。最ッ、高に、キモすぎんぞォーン?」

ヱドロは、うげェ、と吐きそうな顔をしつつ悪態を吐いた。

「馴れ合いなら死んでからやれよ。ま、すぐ、全員、送ってやっから、な??」

そして、テスラにとトドメを刺そうと剣を振り上げ、

「テスラァーッ!!!」

そして、思わずマシュの後ろから走り抜け出てしまった立香を見、瞬時に武器を仕舞い、立香の前にと出た。

「よォ、ン? あハ、ァ…守られてりゃ良かったのにな、オマエ」

そして抵抗する間も与えず、又も立香を抱え上げては

「じゃあな、糞雑魚メイジ共!! コイツにゃ用があるから、それ済んだら又殺しに来てやっから、な!! へ、へはは、ハハハハーァッ!!!!!!!」

乗って来た単車を捨て、その場から消え去った。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/27(木) 22:51:12.03 ID:Mn2f86mc0

「…先、輩…?」

『……非常に不味い事になったな』

其の場に残されたのは負傷したリヒト、ラド、エクスハティオ。軽傷で済んだブラウ。そして奇跡的に傷は負わずに済んだマシュとレイネである。

通信越しでも解る程に、絶望的な声を漏らすダヴィンチは、

『……彼の魔力はこっちで追う。死なない限りは追えると思うが…、…君達は一刻も早く向かって貰わないといけない。いけるかい?』

「上等だッ…、やらなきゃ、やべー事になるしな…!!」

レイネに回復術を施され、傷を癒したリヒトがそう告げた。

『…そうか。なら、是非とも御願いしたい。彼が死んでしまっては、…此方ではもう、打つ手が無くなるからね』

「回復なら任せて。…私には、此れ位しか…」

レイネは少し弱気にそう口にしつつ、負傷した彼らを治療していった。

「……先輩、直ぐに助けに行きます…!!!」

マシュは、ぐっと歯噛みしつつ、悔し気に、絶望に敗けぬ様に呻いた。

_______________________________________

--【宿命ヶ原タワー】

「ふぅ、やっと着いたか。此処が…」

『あぁ、其処の上の方に立香君は居る。…だが、魔力反応が消えたり出て来たりとし始めている。…何かが起きる前に、彼を助け出してくれ!!』

一行は通信の声に頷き、中にと入って行った。

「…然し、前回の老害どもと言い、どうしてああ言う奴等は高い所が好きなんだ。全く…ん?」

「どうしたよ、ラド」

ふと、階段を上がろうとした矢先、ラドがある事に気が付いた。そして怪訝そうに訊ねたブラウにと答える。

「…いえ、エレベーターで一気に上がる、と言うのは…」

「それは得策とは言えないな。退路も無くなるし、罠を仕掛けるには絶好の場所だろう」

エクスハティオが諫める様に述べ、首を横に振った。さしものラドも、此れには納得せざるを得ず言い返せずに居た。

「…、皆さんは階段を使って下さい。私は、あれで上がります」

マシュは踵を返し、エレベーターにと向かった。

「待ちたまえ。…罠かもしれないんだぞ?」

エクスハティオのもっともらしい問いにマシュは振り返りつつ答えた。

「例え罠であっても、逃げられなくとも、…今は早く、先輩の元に行かないと…!」

その目は焦燥に駆られている。其処に居る誰もがそう思った。

「…ったく、しゃーねーな。オッサン、ブラウ、ラド。御前らはそっちから行けや。俺とレイネはエレベーターで行くからよ」

せめて一人にはしない様にと考え、リヒトは数を半分に分け行動しようと提案した。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/27(木) 23:13:21.80 ID:Mn2f86mc0

「ああ、死ぬなよ。リヒト」

時間を無駄に費やす訳にも行かず、ブラウは彼を止めずに階段を駆け上がり始めた。

「犬風情が指示など烏滸がましいにも程があるな…。まぁいい、後で貴様を殺すのは私だ」

罵詈雑言を吐き捨てつつ、ラドはブラウの後を追った。

「やれやれ、君は最初とだいぶ変わったものだね。…然し、此れが我が使命であらば従うまでだな」

多少強引に事を運んだリヒトに柔い笑みを浮かべつつ、エクスハティオもブラウ達の運命にと続く様に階段を上がって行った。

そして丁度、リヒト達の元にとエレベーターが舞い降りて来た。

開いた扉の中にと続々と乗り込み、最上階のボタンを押した。すると、がこん、と揺れ扉は閉まって行った。

「…すいません、リヒトさん。レイネさん」

マシュは自分が強引に数を分けて仕舞った事を自覚している様子で、申し訳なさげに呟いた。

「いいのよ、大事な人を守りたいって気持ちは…、良く解るから」

レイネは優しく微笑み掛けつつ、彼女の落とした肩を撫でて遣る。

リヒトは掛ける言葉が見付からないのか、それともレイネの言葉によってか、頬を掻きつつエレベーターの天井を見上げた。

そして、がごん、と先程よりも少し大きく揺れると、エレベーターは止まった。何事も無く最上階に辿り着いた様である。

「よし、行くぞ!!」

開いた扉から、先ずはリヒトが先行し後に二人は続く。

出た先は、異様な空間であった。

「此れは!! 歪曲空間か…!!!」

以前の戦いにて、リヒトは知っている。

此処には、ヱドロ。因果歪曲の調律者。全ての運命の頂点に立つ男。…そして、リヒトが前世に覚醒し、打ち負かし、滅ぼした筈が復活した、彼が居ると言う事を。

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/28(金) 00:10:56.67 ID:a58Z+JpA0

「お、お、よく、よく、来た、な? 探しに行く手間ァ、省けた、ぜェ??」

声が響いた。誰何するまでもない、解りやすい声だった。

リヒトは先進を止め、後ろを振り返る。エレベーターは既に歪曲空間から弾き出され、退路は無かった。

「…出て来いよ、決着つけに着てやったぜ!!!!!」

前にと向き直り、リヒトは叫んだ。後ろの二人も、臨戦態勢にと移る。

「あハ、歓迎パーティー、してェけどな。御前らの運命、…此処まで」

姿を現したヱドロは、三人を見遣れば口角を此れでもかと吊り上げ、薄気味悪い笑顔を浮かべた。

「惨ッッッッッッッたらしく仲良く、人肉合挽き肉にして、そんで、へへェ、そぼろでも作って、せせこら作った墓に添えてやんよォオオオオオオオ!!?!?」

そして、テスラを斬殺執行した例の武器を出現させ、構えた!

「させる訳、ねェだらァ!!!?」

リヒトは両手に宿る刻印を煌めかせながら吠えた。

「前の仕打ち、私が…ボクが、全ッッッ部、返却してやるよ!!!」

レイネはまるで人格が変わった様に、膨大な魔力を携えた翼を広げながら叫ぶ。

「私が前に出ます!! 皆さん…、油断なさらぬ様に!!」

盾を構え、ヱドロにと猛進する様にと彼らの前にと出たマシュは、必ず打ち負かすと言う決意を胸に立ち向かった。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/28(金) 00:11:50.02 ID:a58Z+JpA0
_______________________________________

--【宿命ヶ原タワー 最上階 階下】

「はァ、…は、何事も無く上がらせちゃくれねーってか」

ブラウは息切れを落ち着かせる様に肩を上下させつつ、大きな部屋内にて呟いた。

「忌々しい。我らの邪魔をするとは…万死に値するな」

ラドは睨み据えた。最上階にと向かう前に立ち塞がった、三つの人物を。

「……然し、君は死んだ筈。…後の二人は、初めましてかな?」

エクスハティオは三人の敵影を見、露になった敵の内、一人にと訊ねた。

「フハハハハ!! 先程振りだな、諸君。まぁ、私は…呼ばれた者に付き従わねばいけないのでな。先に進みたくば、私を倒していけ! と言う事だ」

ニコラ・テスラ。ヱドロに斬殺され、運命が潰えた筈の彼。仲間だった彼が、敵として現れた。

テスラの後ろの一人。彼の名は【ファントム・オブ・ジ・オペラ】。

其の人物は欠けた仮面を被り、物悲し気な雰囲気を醸す、タキシードとマントに身を包んだ男。

更に特徴的なのは、手である。血に濡れた異形の其の手、爪は刃物めいて鋭利であった。

「…何だ、私に対する挑戦か? ブラウさん、あいつは私めにお任せを」

ラドはファントムの爪を見遣り、対抗意識を燃やしながら述べた。

そしてもう一人。彼の名は【ランスロット】。

黒く、鈍く光る西洋鎧を着込んだ騎士であった。

「…ほう、中々の手練れだな。彼の相手は、私がしよう」

エクスハティオは見た。敵の騎士が持つ、剣を。

各々、乱闘にならぬ様に距離を空け、一対一で対峙した。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 00:12:18.65 ID:a58Z+JpA0
________ .

「…オッサン、てめェに何があったのか知らねぇ。だがてめェとは運命決してやらなきゃ気が済まねぇ」

ブラウは目を伏せ、そして見開いた。彼(テスラ)の運命を制圧すべく。

「俺の稲妻で苦しませ、悶えさせながら運命制圧(デリート)してやんよ!!!!」

「ふははははッ!! 神の雷霆に勝るもの無し!!!! 我が交流を以て、貴様の運命を決しよう!!!!」

________ ..

「嗚呼、クリスティーヌ…君は美しい……愛しい君へ、私は歌う。…私の声を、聴いてくれ…」

「何だ、気持ち悪い。私を何処ぞの雌と勘違いしているのか。失礼にもほどがある…」

ラドは自律アーティファクトを展開する。血刃 - デスブラッド - は、目の前の敵の血を啜ろうと、唸りながら回り始めた。

「壊れた蓄音機風情の声を聴く位であればテレビの砂嵐でも聴いて居る方がマシだな。どちらも大差ないと言う事だが…どちらにせよ、貴様の喉笛は私が切り刻んでやろう」

________ ...

「…Arrrrthrrrrrr………」

「…PERFECK DARK。狂気に飲まれし騎士よ。私の剣を以て、其の心を解放しよう。…さぁ、N I G H T を始めよう!!!!!」

エクスハティオは剣を展開する。一本、二本…否、四本もの剣を出し、構える。手には握らず、宙にて浮かせ、構えている。

「最初から全力、ともいかないのでね。…先ずは小手調べ、と行こう!!」

________ ....

一斉に攻撃の応酬が始まり、無残にも部屋を囲む窓は割れ堕ちた。

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/07/28(金) 00:14:01.16 ID:a58Z+JpA0
続きは例によって時間が空いた時に書き込んで行きます…!
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 10:51:34.96 ID:hh/R2BfJ0
乙ー
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/08/10(木) 21:53:41.16 ID:36OaKCvH0
立て続けのイベントのおかげでまだまだ遅れそうです。申し訳ありません。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/08/18(金) 01:39:03.36 ID:HellUtbP0
_______________________________________

--【宿命ヶ原タワー リヒト達が到着する数刻前】

「...う、ん...此処は...」

ぼんやりと視界を揺らしながら、立香は力の入らない両手で起き上がろうとした。

「よォ、ン。目ェ、覚めたか。運命救済者さん、よ」

耳に届いた声の人物を確かめる様に、立香は顔を上げる。

「...」

其処にはヤンキー座りをしながら立香を見下ろし、ニヤついた笑みを浮かべるヱドロが居た。

「そう睨むなよ、な。俺ぁ、オマエを助けてやろォーっての、はは、へ?」

身体にダメージは無くとも、目の前でサーヴァントを惨殺されたせいか立ち上がる気力の無い立香をヱドロは肩を貸し抱える様に起こした。

「...助ける?」

「ま、どっちにしろ現世の運命は潰えるけどな。来世はちゃァんとした人生歩ませてやっから、な??」

ヱドロは、立香を引き摺りながら歩き続けた。

やがて、歪曲した空間を抜け、立香は目にした。

「.......な、...何、これ...」

魔神柱。悍ましい肉の柱。然し、立香が見たものは、立香の知る魔神柱とは又、違っていた。

「...俺...?」

魔神柱の身体には、幾数人もの " 藤丸立香 " が埋まっていた。

中には性別、髪色、刻まれた令呪の形、と違う部分もあったが、立香は運命的に確信した。

【此処にいる彼ら】は【自分】である、と。

言葉を失った立香にと、ヱドロは心優しく声を掛けた。

「そ。ぜェーんぶオマエ。別の世界に居る、同じ運命を持つオマエだ」

そして、言葉を続ける。

「こいつらもな、オマエとおんなじで、な。世界救う運命、背負わされてんの、へへ...二重運命(ダブルフェイト)なんてモンじゃね、な」

「...嘘だ。こんなの」

訳も分からず、立香は首を振った。弱々しく。

「嘘じゃ、ねェ。まるで、カルデアっつー所の御人形だな。いい様に扱われてよ」

ヱドロは、彼を苦しめる事に躊躇いは無く、更に囁く。
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