渋谷凛「あんたの妻になる未来」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:49:25.64 ID:GtJ6aU4I0

アイドルマスターシンデレラガールズの二次創作SSです

よろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499449765
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:49:52.54 ID:GtJ6aU4I0

──テレビ──

凛『私はあんたの気持ちには答えられない。付き合うなんて無理だよ』

A『……そうですよね。ごめんなさい、無理なお願いをしてしまって』

凛『……5年』パッ

A『え?』

凛『5年待ってよ。今の私たちは大人と子供。でも5年たてば、私たちは対等な関係になれる。そうでしょ?』

A『そ、それはつまり──』

凛『あんたの妻になる未来。それもまあ、悪くないかな』ニコ

タラララ タララララ♪
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:50:29.55 ID:GtJ6aU4I0

──事務所──

パチパチパチ

未央「しぶりんのドラマ撮影&テレビ放送を記念して、かんぱ〜い!」

カンパーイ!

未央「ごくごくごく……ぷはーっ!」

凛「ふふ、いい飲みっぷり。今日は未央のパーティだっけ?」

未央「あっはっは。まあまあいいじゃないか。しぶりんの成功は私たちの成功なんだからっ!」

凛「聞こえのいい言葉だけど、それって単に未央がジュースたくさん飲みたいだけしょ」クス

加蓮「でも本当、びっくりするぐらい成功したよね。反響すごいよ、あのドラマ」

奈緒「1回限りの特別ドラマだったのに、もうネットじゃ続編を望む声も出てるみたいだぜ」

凛「続編なんて……まだ気が早いよ。予想以上に高評価をもらってるっていうのは素直に嬉しいことだけどさ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:51:09.16 ID:GtJ6aU4I0

未央「脚本がいいよねぇ。結婚できないサラリーマンの男性が、クールな女子高生に一目惚れする」

加蓮「そこから始まる甘酸っぱいラブストーリー! 一見デコボコな2人が次第に距離を縮める演出がキュンとくるよね〜」

奈緒「そして最後の『あん妻』でしょ。本当、1回限りにするには惜しいほどの出来だったぜ!」

凛「あん妻?」

奈緒「ああ。『あんたの妻になる未来。それもまあ悪くないかな』のセリフを縮めて、あん妻だ。すでにドラマの愛称としても広まってるんだぜ」

凛「そ、そんな言葉がいつの間に……」

奈緒「ネットじゃすでにあん妻で浸透しきってるぞ。凛は流行に疎いなぁ」

加蓮「まあまあ。台風の目って一番台風の影響受けにくいって言うし」

未央「しぶりんが新たなブームを作るとは。同じ事務所として鼻が高いよ、うんうんっ」

凛「みんな大げさだなぁ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:51:41.73 ID:GtJ6aU4I0

未央「……で、実際どうなの?」

凛「ん? 実際って?」

未央「ドラマのことだよ。脚本がよかったとは言ったけどさ、ちょっと納得いかないラストだったんじゃない?」

凛「どういう意味?」

未央「未来を誓ったとはいえ、付き合うことなく終わったじゃん。そこらへんの不完全燃焼ぶりが続編を望む声にもつながってると思うんだけど……しぶりんはどう思ってるの?」

凛「いや……付き合うも何も、作中Aさんと私は大人と子供だって言ってたでしょ。あれが答えなんじゃない?」

未央「解釈のことを聞いてるんじゃなくて、主演女優のしぶりんはどういう結末を望んでいるのかを聞いてるんだよ!」

凛「えー……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:52:14.80 ID:GtJ6aU4I0

奈緒「お、それは私も気になるな。主人公の性格って凛に似てるとこあったし、もし凛が同じ状況になったら、あの場でなんて答えたんだ」

凛「うーん。でもあんなのフィクションだしなぁ」

加蓮「ちょっと冴えない年上の男の人……なんだかんだ波長が合いそうじゃない?」

未央「ふふ。しぶりんが実際付き合うんだとしたら、ああいう感じの人なのかもねっ」

凛「あはは。どうかな……」

ガシャン!

凛「ん?」

卯月「あっ、ごめんなさい。……グラス落としちゃったみたいで」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:52:41.84 ID:GtJ6aU4I0

未央「しまむー! そんな端っこで飲んでないで、こっちきて一緒におしゃべりしようよ!」

卯月「あ、そうですよね。すみません」タタタ

奈緒「卯月は凛に、もうおめでとうって言ったのか?」

卯月「いえ。まだです……」

加蓮「早くこっちきて言ってあげなよ。ほら、凛も前に来て」グイ

凛「おっとっと……」

卯月「……凛ちゃん。えっと」オロオロ
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:53:10.38 ID:GtJ6aU4I0

凛「ふふ、卯月が緊張してどうするの」

卯月「そうですよね。あはは……あの、おめでとうございます」

凛「うん。ありがとう」

未央「しまむーっ。ドラマを見た感想は?」

卯月「あー……その……」

凛「?」

卯月「……とても、面白かったですよ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:53:48.05 ID:GtJ6aU4I0

──帰り道──

バイバーイ

凛「じゃあ私たちも帰ろっか」

卯月「……はい、帰りましょう」

凛「ごめんね。パーティー疲れたでしょ。私はやらなくていいって言ったんだけどさ」

卯月「い、いえ。凛ちゃんの大事なドラマの成功の祝い事ですから」

凛「成功って言ったって、私は脚本どうりに演じただけだけどね。周りじゃえらい騒ぎになってるみたいだけど、自分じゃよくわかんないよ」

卯月「私も気になってちょっとネットを覗いて見ました。すごかったですよ、検索ワードランキング? みたいなものの一番上に『あん妻』がありました」

凛「ふーん……まあ嬉しいことは嬉しいけど……ねえ。ぶっちゃけたこと言っていいかな?」

卯月「は、はい。なんですか?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:54:23.37 ID:GtJ6aU4I0

凛「あのドラマってさ、そんなに面白くないよね」

シーン

卯月「え、ええーっ!?」

凛「だってさ、あんなの恋愛ドラマじゃなくてファンタジーじゃん。何、大人と子供の恋愛って。歳の差何歳あると思ってるの」

卯月「い、いやそれは……」

凛「Aさんの事は俳優として良い人だなって思ってるけど、あの役はないよ。だってあの役30前後の歳だよ? あの歳で結婚してないんだよ? あの歳で女子高生に迫るんだよ?」

卯月「え、ええと……」

凛「だから私はあんまり面白いと思わなかった。前にも言ったことあると思うけど、私の好きなタイプは普通の人だから」

卯月「……」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:54:54.16 ID:GtJ6aU4I0

凛「そもそも恋愛系のドラマがあんまり分からないんだよね。好きって一言言えば解決するのに、それを何週も引き延ばしちゃってさ。意味あるのかな、あれ」

卯月「……」

凛「もっとストレートに気持ちを伝え合えば……って、ごめん卯月。卯月はあのドラマ面白いって言ってくれたのに。みんながあまりに褒めるもんだから、つい……」

卯月「……いえっ。凛ちゃんのそういう素直なところ、私はすごくいいと思ってますっ!」ニコ

凛「え?」

卯月「いやぁ今日はジュースたくさん飲んじゃいましたねっ。明日もお仕事です、走って汗をかきながら帰りましょうっ!」ダッ

凛「急に元気になっちゃって……ちょっと卯月、待ってよ!」タタタ…
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:55:24.02 ID:GtJ6aU4I0

──翌日──

卯月「おはようございますっ」ガチャ

未央「お、しまむーおはよう。今日は朝から元気だね」

卯月「はいっ。今日も1日頑張ってお仕事していきましょう!」

未央「あはは。いいねそのやる気。でもお仕事の前に、しまむーに発表することがありまーす!」

卯月「? なんですか?」

ガチャ

凛「おはよう。2人とももう来てたんだ」

卯月「おはようございます凛ちゃん」

未央「しぶりん! ちょうどよかった、誰よりもまず先にしぶりんに聞いてもらいたい話だったから!」

凛「?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:55:53.04 ID:GtJ6aU4I0

未央「なんとなんと……『あん妻』の第2話が、制作決定しました〜っ! ぱちぱちぱち〜!」

凛「え、そうなの?」

卯月「……」ポカーン

未央「ふふ、情報が遅いぞしぶりん。まあ私も、今さっきプロデューサーから聞いたところだったんだけどさ!」

凛「ふーん。まあ2話って事は私の出番ももちろんあるだろうし、今から準備しておかないとね」

卯月「えっ、オファー受けるんですか?」

凛「? もちろん受けるよ。これもアイドルの仕事の1つなんだし」

卯月「あ、そっか……」

卯月(そうですよね。昨日の言葉って、もう2度とやりたくないって意味じゃないし……)

未央「おめでとうしぶりん。この勢いでいけば、3話どころか、1クール、映画化まであるかもよ!?」

凛「あはは。だから気が早いって」

卯月「……」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:56:30.88 ID:GtJ6aU4I0

未央「私はこのグッドニュースをかみやんとかれんに伝えてくるよっ。じゃあね〜!」タタタッ

バタン

凛「私より未央の方が喜んでるみたい、変なの。……コーヒーでも飲もっか?」

卯月「あ、はい……」

コポコポコポ

凛「どうぞ。熱いから気をつけてね」

卯月「はい、ありがとうございます……」

凛「……」

卯月「ふー、ふー……」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:57:33.47 ID:GtJ6aU4I0

凛「……昨日から思ってたけどさ」

卯月「はい?」

凛「卯月はあんまり喜んでくれてないよね。その、私のドラマの放送について」

卯月「え……」

凛「……まあ、嘘ついて愛想笑いされるよりよっぽどマシなんだけどさ、はは。でも……ちょっと意外って言ったら、押し付けがましいかな」

卯月「い、いえ。そんな……私、喜べてないですか」

凛「未央たちに比べるとね。いやだからと言って、無理に喜んで欲しいってわけじゃないんだけどね?」

卯月「はい……」

凛「……ごめん。上手い言い方が思いつかないや」

卯月「いえ。言いたいことはわかります……」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:58:29.05 ID:GtJ6aU4I0

卯月「……私、放送中からずっと思ってたんです」

凛「?」

卯月「これは人気が出るなって。だって、凛ちゃんみたいなクールな女の子と、少し不器用な大人の男性の恋を描くんですよ。絶対面白いですよ。売れる少女漫画みたいです」

凛「じゃあどうして……」

卯月「……凛ちゃんじゃなかったら、私も楽しめてたんです」

凛「え?」

卯月「凛ちゃんじゃない、違う女の子が主役を演じてたら、私だってキュンキュンしながらドラマを観れていたはずなんです」

卯月「でも、そこに写ってるのが凛ちゃんで、その凛ちゃんが恋に落ちそうになってるのを見ると、なぜだかすごく、不安になっちゃうんです」

卯月「凛ちゃんじゃなかったら良かったのに……」

凛「……」

卯月「ごめんなさい、意味わからないですよね。私も上手い言い方が思いつかなくて……」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:59:10.50 ID:GtJ6aU4I0

ガチャ

奈緒「おーおーおー! そこにいますは若手の実力派アイドル女優渋谷凛ちゃんじゃあーりませんかー!?」

加蓮「失礼だよ奈緒! 希代の天才女優様に向かってなんたる口利き!?」

奈緒「ははー、すみませんでしたー!」

ドッ アハハハ…

凛「……私を置いて爆笑しないでくれる?」

奈緒「悪い悪い。つい嬉しくってよ、私たちから即興漫才のプレゼントだ!」

加蓮「またみんなでパーティ開こうよ。今度はもっとでっかいやつ!」

凛「いいって、パーティとかそういうのはもう」

未央「いらないって言っても、こっちで勝手に開いちゃうもーん。なんたって我らがしぶりんの、大出世がかかってるんだからね!」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 02:59:54.68 ID:GtJ6aU4I0

──テレビ──

司会『今日は俳優のAさんに来てもらいました』

A『こんにちは。Aと申します』ペコ

司会『Aさんは数々のドラマに出演してきた実力派俳優です。最近話題の『あん妻』にも出演なさってましたねぇ』

A『はい。おかげさまでとても反響を呼んでいただいたみたいで』

司会『そりゃあもう話題沸騰中ですからね〜。2話の制作、決定したんですってね!』

A『はい。今撮り始めてるところです』

司会『あのドラマのヒロインは、アイドルの渋谷凛ちゃんが演じてるんですよね。1話ラストでは2人のデコボコカップルぶりが話題になりましたが、2話ではどうなりますか?』

A『いえ、正確にはカップルにはならなかったのですが……でもそうですね。皆さんに楽しんでいただける展開を2話でもご用意できてると思います』

司会『今から楽しみですね。『あん夫』の立場からすると、どの辺が注目のポイントですか?』

A『ん? あん夫とは?』

司会『『あん妻』の夫だから『あん夫』って呼び名らしいですよ、Aさん。いやぁ、ネットの人って面白いあだ名を考える天才ですよね』
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 03:00:42.38 ID:GtJ6aU4I0

──スタジオ──

凛「おはようございます」

A「おはようございます渋谷さん。今日も早いですね」

凛「はい。スタジオで台本を読んだ方が集中できるから……あ、集中できますから」

A「……タメ口でも構いません。リラックスした方が記憶力もよくなると思います」

凛「そう? ……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

A「自分も隣で台本読んでいいでしょうか?」

凛「もちろん。どうぞ」

A「このベンチ、とても座り心地が良いです。こういう椅子の1つにも監督のお人柄が伺えますね」

凛「へぇ。椅子って監督が用意してくれるものなんだ?」

A「監督にもよりますが……前のドラマの監督の時の椅子は、座るたびに楽器の音がなる物でして……」

凛「あははっ、なにそれ」

……カシャ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 03:01:16.16 ID:GtJ6aU4I0

──翌日──

未央「みんな見て見て! あん妻公式があげたこの写真!」

バッ

奈緒「これは……凛とAさんのツーショットじゃねーか!」

加蓮「なにこれ、一緒のベンチに座って……リアル『あん妻』の世界だ!」

未央「スタッフが偶然撮ったんだって。もうネットじゃすごい騒ぎだよ『これは妻の風格』とか『これが5年後の未来だ』とか」

卯月「……」

奈緒「さらに盛り上がりを増してるって感じだな。いいないいな、2話放送を前に、場は完全にあったまってるってわけだ」

卯月「……あの」

加蓮「さらに勢いをつけていきたいよね。1クールドラマを狙えるぐらいの話題性はある。あとはどれだけそれを維持できるか……」

卯月「……あの!」バッ
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/08(土) 03:01:50.13 ID:GtJ6aU4I0

未央「ん……どしたのしまむー?」

卯月「ちょっと、やりすぎじゃないですか!」

奈緒「何が?」

卯月「も、盛り上がるのはいいことですけど。でも、凛ちゃんはAさんの奥さんじゃありませんっ」

加蓮「そんなの知ってるよ。ドラマの話でしょ」

卯月「でも、公式さんが取り上げたって……」

未央「だからそれもドラマの公式だって。まさか本当に2人ができてると思ってる人はいないよ」

卯月「で、できてるとか言わないでください……」

未央「? 私はできてると思ってる人はいないって言ったんだけど」

卯月「……」クル

スタスタ

未央「し、しまむー?」
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