タプリス「天真先輩を更生させるんですっ!」ガヴリール「いやいや無駄だから」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/07(金) 22:53:08.60 ID:731Vpay40
ガブリールドロップアウトのSSです




その日は、雨でした。

ざあーーー…

タプリス「はあ…」


雨宿りする小屋の前。


うす暗い空から、降り続ける無数の雨粒。


そんなドヨドヨ空模様を見上げながら、わたしは大きなため息をつきました。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499435588
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 22:57:08.32 ID:731Vpay40
そりゃあ、ため息だってでちゃいます。だって傘をもっていませんでしたので。


タプリス「傘を忘れる、だなんて、ほんとドジですね私って…」


いや、勘違いしないでくださいね。いつもこんなドジを踏んでいるわけじゃありませんのでっ


ほんと違うんです。この日はたまたま寝坊してしまって、急いで家を出たものだから、つい天気予報をみるのを忘れたのです。たまたまです。


タプリス「けど、まさかそんな日に限って、下校中に雨が降ってくるなんて…」


タプリス「はあ…」


もう一度、大きなため息がでちゃいまいました。


近くにあった小屋にすぐ雨宿りできたのは、不幸中の幸いでした。


けど、シトシトと静かに降り続ける雨は、そう簡単には止んでくれそうにありません。


…このまま雨が止むのを待っていては、夜を迎えてしまうかも…そんな思いが私の心をよぎりました。


帰りが遅くなると、お母さんとお父さんが心配しちゃいます…うう…。

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 22:58:20.72 ID:731Vpay40
タプリス「仕方ないですね…」


やむを得ず、雨宿りする小屋の屋根から出て、どよどよの空模様の中を濡れて帰ろうとしました。


すると、


?「もしかして、傘を忘れたのですか?」


タプリス「え?」


声のした方を振り向くと、そこには、シトシトと降り続く雨のなか、傘を差した一人の女の子が立っていました。


女の子は、パッチリとした目に透き通るような白い肌。そしてうす暗い天気の中でもわかる綺麗な金色のサラサラヘアー……、
そう、まるでお人形さんのような、とっても可愛らしい顔立ちをしていました。


女の子は、背が私よりも大分小さく、その容姿もかなり、幼くみえました。


ただ、少なくとも私より年下ではありません。歳は私と同じ…いえ、すこし上の可能性もありました。


え?なんでそう思ったか、ですか?


だって彼女は、私と同じ…天使学校の制服を身にまとった天使だったからです。


天使学校に入学してまだ間もない1年生の私より年下、ということは、少なくともないのでした。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:02:48.02 ID:731Vpay40
タプリス「あ、ええっと…、いや、あの、そのう……傘は…あの」


要領を得ない返答をしました。いや、正確には返答にもなってないですね…


それも、目を泳がせながら、顔を赤くしてモジモジとしながら。


いや、自分のことなので、実際に観てないわけなんですけど、きっと、そんな感じだったに違いないのでした。


突然、見知らぬ人に話しかけられた驚き。そして、同じ学校にかよう生徒に、傘を忘れ雨宿りする場面を見られた気恥ずかしさ。


そんな感情が入りまじって、思うように返答することができなかったんです。


タプリス「(はわわ……、し、知らない方に声をかけられちゃったです…、ど、どうしましょう…)ええと…その…」


?「………」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:04:58.10 ID:731Vpay40
わかってます。彼女はきっと傘のないわたしを心配して声をかけてくれたんでしょう。


…けど、せっかく気を聞かせて声をかけたのに、その相手からまともな返答をもらえなかったら、嫌な気分になっちゃいますよね。


いや自分で言うのもなんなんですけど…すみませんすみません、面目ありません…


ですが。


その人は、そんなわたしに嫌な顔をするどころか、にっこりと微笑み、こう言葉をつづけたんです。


?「よかったら、私の傘にはいりませんか?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:07:11.32 ID:731Vpay40
…………


ざあーーーー…


雨はそのあとも、静かな雨音を鳴らしながら降り続けました。


雨が止むのを待つことをあきらめた私は、ようやく雨宿りをしていた小屋の屋根から出て、なだらかな丘に続く帰り道を歩き始めることを決めました。


彼女のさす傘にいれてもらいながら。


俗にいう、相合傘です。


タプリス「あ、あのぅ…すみません…ほんと…わたし」


女の子「気にすることはないんですよ、わたしも帰り道がこっちなんですから」


タプリス「ですが…」


女の子「いいんです。学年は違えど、同じ天使学校に通う生徒。困った時に助け合うのは当然のことです」


タプリス「…………すみません先輩」


女の子「いえいえ、ほんとうに気にしないでください」


聞けば、彼女は天使学校にかよう2年生。今年入学した1年の私の1個上の先輩のようでした。

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:09:40.08 ID:731Vpay40
タプリス「………」


・ありがとうございます、ですが、初対面の方のご好意に甘えるわけにはいきません。

・お気持ちだけ受け取っておきます。

・実は、この後家族が傘をもって、迎えに来る予定なのです。お気遣いなく。

・気にしないでください。傘を忘れたわけじゃないのです。実は、今、空から降る雨粒を数える訓練中なんです。



声をかけられたとき、脳裏に駆け巡ったお断りのセリフの数々……、緊張して、一言も口にできませんでした。


初対面の方を目の前にして、モジモジアウアウハワハワしている間に、がっつりと彼女のご厚意に甘える結果となってしまいました。


ほんと、情けない話です…


いや、結果的には助かったわけですけど…、人見知りな私にとって、初対面の方と相合傘で帰るなんて…とても緊張してしまいます。うう…


助けてもらっただけでなく、気を使って話かけてくる彼女のキモチに少しでもこたえようと、私は、必死で会話を紡ぐ努力をしました。




タプリス「すみません、ほんとに…私ってドジで…、今日は天気予報も観ずに傘を忘れてしまって…お恥ずかしいところをみられてしまいました…」


女の子「そんな、私もおっちょこちょいですから、忘れごとなんてよくありますよ。
ですが傘については、いつ天気が崩れてもいいように、折り畳み傘を鞄に携帯するようにしているんです。よかったら、ぜひ参考にしてみてください」


タプリス「そ、そですね…わたしもそのようにしてみます」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:13:17.98 ID:731Vpay40
ぎこちないやりとりをつづけながら、ふと彼女のほうに目を向けると、気づくことがありました。


タプリス「……(あれ…?)」


彼女の背中からはえる天使の象徴たる2つの翼。その片翼が彼女のもつ傘の恩恵を授かることなく、雨でぬれていました。


なぜ最初に気づかなかったのでしょう。考えてみれば、それは、二人で入るには少し小さい傘でした。


雨にさらされ続ける片翼は、傘に”相席”する私のため、彼女が意図的にそうしているものに違いありませんでした。


そんな彼女の配慮に今頃気づいた私。自分の注意力のなさをとても情けなく感じました。


ご厚意に甘えっぱなしで…そこまでされるとさすがに恐縮してしまいます…。

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:14:20.89 ID:731Vpay40
今更…とも思ったんですけどね。
そこはさすがに申し訳ないので、ご気遣い不要の旨、彼女に伝えようと決めました。


タプリス「あ、あの…っ、先輩…!」


女の子「え?」


タプリス「あの…、…その翼が…その」


女のコ「え?…ああ…」


うまく言葉を紡ぐことができないでいる私の意図を、最後まで聞き終わることなく彼女は察してくれたようでした。


彼女は何も言いませんでした。


その代わり、その端正な顔を私にむけて…


タプリス「……っ」


にっこりと。彼女は、わたしにとても優しい微笑みを返してくれたのでした。

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:20:54.23 ID:731Vpay40
…聞いた話によると、下界には、半分が優しさでできている素晴らしいオクスリがあるそうですね。


けど、彼女の場合は、そのすべてが優しさでできていると言わんばかりでした。


彼女を微笑みをみて、わたしはもう、そんな彼女の配慮について、何も言いませんでした。言えませんでした。


わたしが引っ込み思案なので、結局、言い出せなかったわけではないですよ。


なんというか、うまく説明できないのですが……、


彼女のその行為は、優しさに満ち溢れ、ある種の"清らかさ"を伴っているように感じられ…、なんだかそれをあえて、指摘することのほうが
大変失礼なことのように思ったからです。


素直にそのご厚意に甘えることが、未熟者の私が、彼女に対してできる精一杯の配慮である、と思えました。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:22:27.26 ID:731Vpay40
ざあーーーー…


心地よい時間でした。


彼女のさす傘の恩恵にあずかりながら、そんな彼女のやさしさに包み込まれ、心も体もぽかぽか暖かくなるような…そんな不思議な感覚。


ただその一方で、私の緊張は、ほぐれることはありませんでした。


いくら私が人見知りとはいえ、普段は初対面の方でも、しばらく行動を共にすれば少しぐらい慣れてくるものなんですけどね。


変なんです。彼女の場合は、一緒にいればいるほど、なぜか顔はどんどん熱くなり、心臓の鼓動も少しずつ早くなっていくのです。


なぜなんでしょう。


心地よさと、緊張でうまく立ち振る舞えないもどかしさ…
あまり愛称のいいとはいえない感情同士が、コーヒーにいれてかき混ぜたミルクのように、くるくるブレンドされるような感覚。


そんなよくわからない状態で彼女との会話をつづけつつ、丘道を歩いていると。


女の子「それで、…あら?」


タプリス「え?……あれ…雨が……」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:23:42.76 ID:731Vpay40

気づけば、あたりで鳴り続けていたはずの雨音が聞こえず、傘の縁から絶えず落ちていたはずの雨雫がみえません。


傘から顔をだして上を見上げると、空から降り続けていた雨はみえず、どよどよだったはずの空が少し明るくなってました。


女の子「よかったですね、やんだみたいですよ雨」


タプリス「ほ、ほんとですね」


女の子「これはちょうどいいタイミングでしたね。ちょうど今いる別れ道からは、私とあなたとでは、家の方角が違うようだったので…
きっとこれも神様のお導きかもしれませんね」


タプリス「そう…ですね」


心優しい彼女のことです。きっと雨が止むことがなければ、この先も私に付き添い、最終的には私を家の前まで送り届けたに違いないのでした。


タプリス「……」


不思議です。ついさっきまでは、やんでほしいと思っていた雨だったのに。


今では、とっても残念な気持ち。


理由はもう、考えるまでもありませんでした。

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:26:19.84 ID:731Vpay40
女の子「本当によかったです。それじゃあ私はこれで」


タプリス「え?あ、ああ、あのっ!!」


女の子「え?」


タプリス「せ、先輩っ!!今日はあの!ほんとにあ、ありがとうございましたっ!わたし、とても助かっちゃいましたっ!」


女の子「ええ、こちらこそ。私も途中まで一緒に帰ることができて、とても楽しい時間を過ごすことができました」


タプリス「そ、それで、あの……、わ、わたし、わたしは、千咲=タプリス=シュガーベル、といいますっ!
も、もし、よ、よろしかったら、せ、先輩のお名前、聞かせてもらえませんかっ!!?」


女の子「タプリス……、とても素敵な名前ですね」


タプリス「あ、ありがとう…ございます…」


女のコ「私は、天真=ガヴリール=ホワイト、と言います。学年は違いますけど、同じ天使学校に通うもの同士。
よかったら、これからも仲良くしてくださいね」






そう。……これが、わたしことタプリスが、これまでの人生で最も尊敬する天使の先輩……、あこがれの"天真先輩"との初めての出会いだったのです。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:29:55.92 ID:731Vpay40
それから…


はれて天真先輩とお知り合いになった私は、その後も様々な交流を重ね、親交を深めました。


学校の図書館で勉強を教えてもらったり…、学校生活でのお悩みを聞いてもらってアドバイスをいただいたり…、街に連れてってもらって遊んでもらったり…


あ、いえ、…こうして聞くと、わたしがお世話になりっぱなしな感じがするかもしれませんが、それだけではありませんのでっ!勘違いしないでください。


とにかく、天使学校での天真先輩との思い出は、それはもう一冊の文庫本にできちゃうくらい、たくさんあるのです。


天真先輩は、学年で1・2を争うほど成績優秀で…、才色兼備、そして、誰よりも心優しい、わたしが最も尊敬する天使の先輩でした。


天真先輩と過ごす学校生活はとても楽しいものでした。しかし、そんな日々にも終わりはやってきました。


………天真先輩が天使学校を卒業し、修行のため下界へ旅出つ日がやってきたのです。

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:33:12.31 ID:731Vpay40
【天使学校の卒業式】


タプリス「おめでとうございます、天真先輩!…けど、先輩がいないと、わたし、さみしいです」


ガヴ「ありがとうタプリス…さみしかったらいつでも遊びに来てくださいね」


タプリス「は、はい、です…!」


こう言い残し天真先輩は、下界へと旅立ちました。彼女は、広い下界の中でも、小さな島国の田舎へと移り住みました。


なぜ下界での修行の場として、その地を選んだのか。その真意は測りかねますが。


わたしが誰よりも尊敬する天真先輩。この先も彼女のそばで多くのことを学びたい。


そう思った私は、天使学校を卒業した際には、彼女と同じ下界の地域に移り住むことを心に決めたのです。


それからさらに…、月日がながれました。

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:35:26.18 ID:731Vpay40
【現在…ガヴリールの家】

タプリス「…………」


ガヴ「ったく、使えないパーティだな…いいからとっとと私にヒールかけろよ…ラッパ吹くぞクソが…」かちかち…


タプリス「先輩…」


ガヴ「はあ!?なんだ、こいつら経験値横取りとか、使えないうえに人の邪魔ばっかりしやがって、何様のつもりなんだよっ!」


タプリス「天真先輩…」


ガヴ「はああ!ふっざけんなよ、そのレアアイテムはどー考えても私んだろが!返せよ!ぶっ〇す!ぶっ〇すぞこのクソひゅーまんどもがあ!」


タプリス「天真先輩っ!!!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:36:54.48 ID:731Vpay40
ガヴ「は?何だよタプリス…今忙しいんだけど…てかお前、なんで私の部屋いるの?」


タプリス「んな…!なんですかそのいいかたは!久しぶりに先輩の家に遊びに、ついさっきお邪魔させてもらったとこじゃないですかっ!
驚きのスピードで私がいること忘れないでください!」


ガヴ「あーそうだっけ、で、なに?」


タプリス「どうもこうもありません、天真先輩!一体全体どーなってんですか!」


ガヴ「どうって、何がだよ」


タプリス「部屋ではだらしない恰好してネトゲとかいうゲーム三昧!そのうえ、この滅茶苦茶に汚れきった部屋!!
こんな姿、天界で天真先輩にあこがれる後輩たちがみたら、ショックで泣いちゃいますよっ!」


ガヴ「知らないよそんなの…泣かせときゃいいじゃん…、お、このアイテムはなかなか」


タプリス「がーん…」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:38:28.13 ID:731Vpay40
ええっと…


まあ…、結論から言うと。これが今の天真先輩なんです。先ほど、語らしていただいた思い出の中の彼女と同一人物です。


下界へと舞い降りた天真先輩は、一体何がどうしてかよくわからないのですが、”駄天”、してしまったのです。


え?駄天とは何か?ですって?


…いや、そんなこと私に聞かれても困ります…


(本人に)聞いたところによると、駄天使とは、家に引きこもりゲームだけをすることを目標にしている天使のことだそうです。


わたしの見立てでは、ぐーたらでだめだめでグタグタな天使。そんな感じです。


…すみません、これくらいで察してください。あまり詳しくは言いたくないです。


あの、まじめでおしとやかで、優しさ成分に満ち溢れた天真先輩が、まさかこんな変貌を遂げてしまうだなんて…誰が予想できたでしょう…


まるで、下界ではやっているお笑いの、”オチ”、のような展開ですよね。

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:39:44.75 ID:731Vpay40
タプリス「いやいやいや!!オチ、だなんて認めませんっ!!認めませんからね私はっ!!」


ガヴ「え、何だよ急にオチってなんだよ…、意味がよくわかんないんだけど…」


タプリス「天真先輩っ!!いいかげん思い出してください!あの、天界での先輩のことを!あの真面目で優しくて、気品に満ち溢れたあの頃の先輩を!」


タプリス「天真先輩っ!!」


ガヴ「………タプリス」


タプリス「………」


ガヴ「………」


ガヴ「思い出した」


タプリス「え?…せ、先輩!?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:40:55.70 ID:731Vpay40
ガヴ「タプちゃんさあ…そういえば部屋の燃えるゴミがたまりきってるんだよねえ…悪いんだけどさ、
帰るときにゴミ捨て場に置いといてもらえないかな…いやホント悪いんだけどっさあ」


タプリス「」


タプリス「………、天真先輩っ!!!」ぶるぶる…


ガヴ「ん?なにタプリス?」


タプリス「今日はっ!!」


タプリス「ゴミの回収時間はもう終わっちゃいましたよっ!また次の燃えるゴミの日まで待ってくださいっ!!」


ガヴ「つっこむとこ、そこなんだ…」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:42:10.79 ID:731Vpay40
ピシピシピシ、ガラガラガラガラ。


ガッシャーン。


……わたしの頭の中でこんな感じの音が鳴り響きました。


そう……、天使学校時代の、あの真面目で心優しき天真先輩との淡い淡い思い出に、ぴしぴしっとひびがはいって、
ガラガラと崩れちゃって、ガっシャーンっ、…てなっちゃうような…そんな感じの不吉な音が…。


わかってもらえるでしょうか?


まったくもって最悪な気分です。


ちなみに、皆さんは、どうおもわれますか。今の天真先輩のこと。


え、わたしですか?


いやだから、もう、言うまでもありませんが…


けど、そうですね、今のわたしの心境を、最近ガッコウで学習した下界の古典句法になぞらえて表現すれば、きっとこんな感じになると思います。


天真先輩は、このままでいいと思いますか? 


いいえ、いいわけがありませんっ!!(反語)

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:43:20.73 ID:731Vpay40
【ヴィーネの家】

タプリス「更生させましょう、今すぐにっ!!」


ヴィーネ・サターニャ・ラフィ「………」


ラフィ「ええと、一体どうしたんですか、タプちゃん。突然?」


タプリス「どうもこうもありません白羽先輩!今の天真先輩のことですよ!!
早く、天真先輩の駄天をなんとかして、天界の頃の天真先輩を取り戻すんですっ!」


ラフィ「あら〜」


タプリス「あら〜、じゃないですよ、白羽先輩!え、てかなんですか、その面白くなってきた、みたいな反応!」


ヴィーネ「え、ええっとタプちゃん。とりあえず、たこ焼き、食べる?」


タプリス「いただきますっ月乃瀬先輩っ!って、いやいや違いますっ!今はたこ焼きの話ではなくてですねっ!」


サターニャ「いらないなら私食べるわよ」


タプリス「あ、いや、いらないとは言ってないですよっ、胡桃沢先輩!!いや、あの、
っていうかですね、3人ともちゃんと私の話を聞いて下さいっ!今は天真先輩の話をしてるんですっ!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:45:03.04 ID:731Vpay40
ネトゲー三昧の天真先輩の家をあとにした私は、下界で新しく知り合った先輩のお家にお邪魔させていただいていました。


先輩のおうちにお邪魔したのは、誘っていただいたタコパに出席することが主な理由でした。


しかし、出席される先輩方に、天真先輩のことを相談したかった、ということもあったのです。


まあ、ご存知のこととは思うのですが、ここで、この場にいる3人の先輩方について簡単に紹介をしておきましょう。


ラフィ「あらあら、それはそうと、たこ焼きおいしく出来上がりましたね〜」


このおっとりとしてて、にこやかに微笑んでいる銀髪のロングヘア―美少女は白羽=ラフィエル=エインズワース先輩。


天界では有名な白羽家のご令嬢であり、天真先輩とは天使学校時代の同級生にあたります。


才色兼備、大変聡明な天使として天界でも有名で、天使学校では、天真先輩の相棒的な存在でした。わたしも天真先輩同様、たくさんお世話になりました。

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:48:27.75 ID:731Vpay40
ヴィーネ「あ、まだだめよラフィ。そこのたこ焼きはまだちゃんとひっくり返してないから、ちょっと待ってね」


肩にかかるくらいの黒髪で、タコパの調理を取り仕切っているしっかりものの先輩は月乃瀬=ヴィネット=エイプリル先輩。


下界で知り合った新しく知り合った悪魔の先輩の一人です。


そう、月乃瀬先輩は悪魔です。悪魔なんです。…けど、悪魔とは思えないほど心優しい先輩です。


私も初めてあった時は彼女に助けられてしまいました。なぜ、こんな方が悪魔をやっているのでしょう。本当に謎です。



そして…問題の3人目…


サターニャ「くっくっく…、相変わらず愚かな天使ねえタプリス…、ガヴリールを更生させる?そんなこと、無理に決まっているじゃない…」


タプリス「っ、あなたは…!」


燃えるような赤髪。


その髪を、両サイドでくるりと輪っかをつくって束ねるという、あまのじゃくヘアースタイルをしているのは胡桃沢=サタニキア=マクドウェル先輩。


彼女も月乃瀬先輩と同様、下界で新たに知り合った悪魔の先輩。


しかし、彼女は月乃瀬先輩とは違い、常日頃、悪魔的行為に没頭する悪魔らしい悪魔…


しかも天真先輩をライバル視し、いつも邪魔することに命をかけています。


ほら、観てください、この邪悪な笑みを…!


そう、そうなんです…!


彼女こそ、天真先輩が下界で駄天する原因となった張本人……!
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/07(金) 23:50:25.24 ID:731Vpay40
サターニャ「…以前言ったでしょう。ガヴリールは、この大悪魔サタニキア様の力により駄天してしまい、既に我が手中にある…。
もはや、アイツを元の品行方正な天使に戻すことは不可能と知りなさい!!」


タプリス「………、」


タプリス「いえ…、もうそれなりの付き合いになりますし、胡桃沢先輩に天真先輩をどうこうする力がないことは、既に学習しました」


サターニャ「ふぁ!??」


サターニャ「は、はあああ!???ちょ、ま、待ちなさいよタプリスっ!や、やめてよアンタまでそういうこというのほんとやめて!
ホント傷つくからっ!!お願いやめてよ!!」おろおろ…


ヴィーネ「いや、サターニャ暴れないでよ…ちゃんとたこ焼きひっくり返せないでしょ…」


ラフィ「あらあらぁ…」


……張本人…、ではありませんでした。結論からいうと、天真先輩が駄天したことと、胡桃沢先輩は無関係です。


だって、胡桃沢先輩は、普段口にするたいそうな悪魔的行為を達成するほどの実力はなく、本人が自慢する実績もほぼウソだからです。


最近にやってようやくそれがわかってきました。


口にするだけなら、ぶっちゃけ無害ですからね。


それに、胡桃沢先輩も飼い主のいないイヌを引き取ったり、ホントは月乃瀬先輩みたく優しかったりする面もあったりしてですね…、


…ご、ごほんっ!な、なんて思ってることは本人にも、誰にも秘密です。



いずれにしても胡桃沢先輩も月乃瀬先輩も悪魔であることにかわりありません!


この悪魔の先輩の2人の警戒を完全に説いたわけではありません。天使が悪魔をそう簡単に肯定するわけにはいかないのです。
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