川内「俺男なんだけど」

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222 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 14:59:45.10 ID:RUcg56pL0
瑞鶴「なによ、夜戦バカが夜戦でうるさかったって話よ」

龍驤「戦果は出とるし文句はないやけどな」

川内「いや、そうじゃなくて」

瑞鶴「あ、もしかして気に触った?かわうちって言ったの」








かわうち






かわうち


川内「かわうちって、誰」


瑞鶴「アンタに決まってるでしょ」


川内「それ、いつから言ってたっけ」


瑞鶴「い、いつからって。昔から?そういや最近は特に言う機会なかったっけ」

龍驤「どないしたんや急にってちょい!川内!」

金剛「ワッツ!?」
最上「うわっ」
北上「なに?」
223 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 15:00:28.92 ID:RUcg56pL0
かわうち。

せんだい。

どっちも自分だった。

あの勇者は自分だった。

でも、

川内「どっちも俺じゃねえ!!」

あのデータは、俺に向けられたものだった。

徐々に思考がハッキリしてくる。

自分の体がしっかりと認識され始める。

後先を考えず鎮守府に向けて駆け出していた。

自慢の脚はずっと速くなっている。

今は夕食の後くらい。

この時間ならアイツはあそこにいるはずだ!
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 16:30:26.42 ID:6Q9vTLa3O
僕の川内は川内じゃない!
225 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 18:02:28.09 ID:RUcg56pL0
足柄「あら?どうしたのそんなに息を切らして。帰投したばかりなんじゃないの?」

川内「ちょっと話があってな」

足柄「どうしたの、その話し方。イケメン女子でも目指し始めた?」

川内「目指す、というより戻ったんだけどさ。なあ、せっかくだしあの部屋に行こうぜ」

足柄「あの部屋?ああ最初の頃使ってた部屋ね。懐かしいわね」

川内「まだ3ヵ月くらいだろ」

足柄「思い出話でも?でも残念、これからみんなで飲みななのよ」

川内「そっか…」

足柄「何か相談があるならまた明日ね。あーでも午後よ。午前は潰れてるから」

川内「じゃあさ一つだけ」

足柄「なに?」

川内「もし私が男だったらどうする」

足柄「…あんたもう酔ってる?」
226 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 18:03:17.45 ID:RUcg56pL0
決定的だ。

川内「それじゃ!」

足柄「ちょっと!…もう」


部屋に駆け込むと神通と那珂はいなかった。

関係ない。

部屋の真ん中に寝転んで天井を見る。

思考は混乱を極めてるのに脳は正常に動いていた。いやそれ以上だ。

忘れてる。忘れてた。2人とも。そして多分足柄の前の人も。どこまでだ?

男は極わずか?ホントか?最初はみんな同じ記事を書かれる。みんな同じ事をしてた?ごく一部を除いて。

一部を除いて、提督へのアピールを辞める。足柄はいつから提督にカツカレーを持ってかなくなった。俺はいつから提督の優先度を下げた。

男はごく一部?ホントか?ごく一部なのは、逆じゃないのか?

記憶の齟齬。改造。戻る。元に戻す。あるべきものをあるべき所に。

ずっと昔から。久しぶりに。

俺は今、どんな所にいるんだ。
227 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 18:04:08.68 ID:RUcg56pL0
瑞鶴「入るわよ〜って、何してるの?」

龍驤「おっ、ファミコンか。懐かしいなー」

川内「2人とも…」

瑞鶴「みんなビックリしてたわよ」

龍驤「提督にはテキトーに誤魔化しといたで。艦隊の皆にも口止めしといた」

瑞鶴「その、ゴメンね?」

川内「いや、違う違う。そんなんじゃないって。久々にかわうちって呼ばれてさ、思い出したんだ」

瑞鶴「思い出したんだ」

川内「このゲーム」

瑞鶴「…ゲェームゥ?」

川内「久々だったから思わずダッシュしちゃってー…なんて」

瑞鶴「……チ」

川内「なんかゴメン」

瑞鶴「ばかわうち!!」

川内「うわっ!あー…いっちった」
228 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 18:04:52.89 ID:RUcg56pL0
龍驤「今のは川内が悪い」

川内「だよね…後で謝っとく」

龍驤「ま、何ともないならよかったわ」

川内「ごめん」

龍驤「……ほな」

川内「うん」
229 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 18:05:21.82 ID:RUcg56pL0
足柄「なんかよっぽどの事でもあったのかしら」

「ありゃ、やっぱり川内来てました?」

足柄「ん?どうしてあなたが」

「さっきまで川内とアニメ見てまして、妙にテンション上がって飛び出してっちゃったんですよ」

足柄「あーそれで男がどーだがってわけね」

「あ、このこと内緒ですよ?後で恥ずかしくなって死にたくなるパターンですから」

足柄「分かってるって。あ、でも酒が入ると約束できないわね…」

「そこはーまあ頑張ってください」

足柄「善処するわ。それじゃね」

「はい」



夕張「さて…」
230 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 18:06:09.87 ID:RUcg56pL0
川内「…」

つい身構えてしまう。割とトラウマってるよな。

ゆっくりと扉を開く。よかった爆発はしなかった。

夕張「待ってたわよ」

川内「…」

爆発以上の衝撃だった。
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 18:58:59.17 ID:K99JeZ0SO
ギャグかと思って読んでみたらなんか怖いぞ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 19:28:18.47 ID:He8uJnwA0
シリアス「出番ですか?」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 20:02:50.64 ID:djdmeMpU0
おお、ほんとに畳み掛けに来てる。しゅごい
234 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:01:51.60 ID:RUcg56pL0
川内「どうして」

夕張「あなたの様子がおかしかったから、多分と思ってね」

川内「…」

油断ならねぇ。でも現状これしか手はない。敵、かは分からないが懐に飛び込む他ない。

川内「質問に答える気はあるの?」

夕張「ええ、モチロン」

虎穴に入らずんばなんとやら。

もっともこの場合、一体誰の穴かも分かってないんだけどね。
235 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:02:27.29 ID:RUcg56pL0
夕張「ようこそ、牙城へ」

川内「敵なのかよ」

夕張「敵でしょ?私としては敵対してる気は無いけど」

川内「入ったら2度と出られなかったりしないのか」

夕張「いつも来てるゲーム部屋よ。ここじゃなきゃ話ができないもの」

川内「…」ガチャン

夕張「うんオッケー」

川内「何がさ」

夕張「ここね、盗聴防止部屋なの」

川内「え?」

夕張「外から中の情報を得る事はできない。その為の部屋」

川内「…ねえ」

夕張「なに」

川内「単に音漏れ防止とかのゲームを楽しむだけの部屋じゃない?」

夕張「物は言いようよ」
236 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:03:15.73 ID:RUcg56pL0
夕張「とりあえず前提として、私は女よ。今も昔も」

川内「証拠は?」

夕張「あるけど、それ見てもあなたじゃ証明できないわ」

川内「じゃーいーよ」ムスッ

夕張「艦娘は結構長い間やっててね。と言っても技術者として後方でヌクヌクと生き残っただけなんだけど」

川内「戦場には出てないのか?」

夕張「考えてもみてよ。私達の体は、人じゃない。丈夫だとかそういう次元の話じゃないの。老いず腐らずその経験を理論上半永久的に保持できる。そんな体を持っていて、それを壊す壊されるにだけしか使えないなんてアホらしいじゃない」

川内「船の言うセリフじゃねえな」

夕張「半分船、よ。つまりそういうこと。私はね、ずっと研究してたい。弄って解して作って、そんな事をただしていたい。艦娘について、知りたい」

川内「で、ゲームしてアニメ見たいと」

夕張「そゆこと。でも貴重な戦力をいつまでも遊ばせとくほど現状に余裕はない。いずれ戦場に出されるんだろうなあって思ってたら声をかけられたの」

川内「提督に、か」

夕張「違うわ。漣に」

川内「漣?」
237 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:04:27.09 ID:RUcg56pL0
夕張「場所も、設備も、時間も金も被検体も安全も何もかも整えてあげるから着いてこいって。それでこの鎮守府に来たの。創設メンバーってとこかな」

川内「古株どころか創設か。諸悪の根源ってわけだ」

夕張「何度も言うようだけど、敵対する気はないからね。別に私は悪くないなんていう気は無いけど、私はやれと言われた事がやりたい事だからやってるだけだもの」

川内「…敵対する気はない。ってことは俺の見方になる気もないが、向こうの味方であるつもりもない、と」

夕張「でなきゃこんな歓迎はしないでしょ?」

川内「歓迎ねえ」

夕張「歓迎よ。これ以上なく」

川内「あのデータ残してたのはお前だな」

夕張「正解」

様子がおかしいのに気づいた、のではなく様子を常に見張ってたわけだ。
238 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:05:36.98 ID:RUcg56pL0
夕張「ねえ、その艤装、随分使い込んであるわよね」

川内「そうだな。最初はこんなもんかと思ってたが、そうじゃないらしいな」

夕張「それ、あなたの前の川内の物なのよ」

川内「俺の前…」

かわうち、あの勇者の装備ってわけか。

夕張「私達は沈む。その時装備も沈むわ。でもそれって状況的に回収できない事ばかりってだけなのよ」

川内「回収できる場合もある。それがこれってわけか」

夕張「ええそう。普通は沈んだ仲間を気にしてたら共倒れになるからね。さて、回収した艤装を使う利点はなんだと思う?」

川内「資源が浮く、なんて理由じゃなさそうだな」

だとしたら、他に思い当たるふしは、ある。

川内「練度上昇速度」

夕張「正解。体が艤装慣れるように、艤装もまた体に慣れるのよ。そもそも艤装とは…」ウンタラカンタラ

いや、そんな事はどうでもいい。そんな事は今関係ないだろ。

川内「一体何を言って何を言わないつもりなんだ」
239 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:06:35.61 ID:RUcg56pL0
夕張「もう気づいてるんじゃないの?この鎮守府の殆どが元男だって」

川内「極一部を除いてなんだろ」

夕張「そ。男だけが改造するにつれ提督への興味が薄れていったり、それだけで面白いデータは色々あるんだけどそこは割愛」

川内「問題はなんで男なのか!なんで記憶を弄るかだよ!」

夕張「そりゃ大した理由はないわよ。戦力が足りないから、女じゃないと艦娘として力を発揮できないから」

川内「え?」

それだけ?本当にそれだけで?

でも、だとして

川内「なんで俺に気づかせた」
240 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:07:01.77 ID:RUcg56pL0
夕張「話し相手が欲しかったの」

川内「はい?」

夕張「だって秘密秘密ーって、話せる相手がいないとつまんないじゃん」

川内「なんちゅー自己中心的な…」

夕張「そうよ、私は自己中なの。だからこうしてあなたに話して、期待してるの」

川内「期待?」

夕張「あなたが行動を起こして、私の知らないことを知る機会を作ってくれるかもって」

川内「…チッ、そっちが本音か腹黒め」
241 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:07:36.14 ID:RUcg56pL0
夕張「強要する気は一切ない。でもあなた、もう動かずにはいられないんじゃない?」

川内「そーだな」

興味本位なんかじゃない。散々コケにされてきた意趣返しだ。

何が起こってるかハッキリさせて、提督に一発ぶち込んでやる。

夕張「もう一つ。なんでここが出来たか。何をやっているのか」

川内「そこまで喋んのかよ」

夕張「艦娘は男でもなれる。多少手間はかかるけど。でもホントに何もデメリットがないと思う?」

川内「てことはあるんだな」

夕張「練度に上限がつくの」

川内「上限?俺にもか」

夕張「元々装備条件満たしてないのに無理やりつけるから、当然といえば当然ね」

川内「でもそれじゃ戦力としては」

記憶を辿る。

誰かが沈んだ、という話はいくつも聞いた。俺が来てからだって比叡が…
242 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:08:07.17 ID:RUcg56pL0
夕張「大体練度は半分くらいになるかな」

川内「ん?だとしたら比叡はどうなんだ。あいつ改ニだったぜ」

夕張「一つだけ練度の上限をあげる方法があるのよ」

川内「上限解放ね。ほんとにゲームじみてるな」

夕張「艤装の受け継ぎ」

川内「…それって」

夕張「あなたもそうね」

川内「いやでも、滅多にないんだろ」

夕張「普通ならね」

川内「…おい」

夕張「川内の時もそう。予想外の敵が現れて状況は混乱」

川内「まてよ」

夕張「艦隊の旗艦はいつも決まってる」

川内「…」

夕張「漣」
243 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:08:38.88 ID:RUcg56pL0
夕張「私自身研究はしてるんだけど、艤装だけを剥がすのって難しいのよ。だから今のところは手荒な真似をするしかないわけ」

川内「んな事のために」

夕張「ここは実験場なの。みんなある程度は記憶が弄ってあるし、欠けたら埋めてってやりやすいし」

夕張「なんでこんな大それた事してるかはわからない。けど、面白いとは思うわ」

夕張「記憶もそう。凄いのよ?要らないものを捨てるとそこに艦娘としての記憶が次々と入り込んで艦娘に成る。そうしていくうちに鎮守府が一つのシステムになってくの」

夕張「欠けたら埋めて、壊れては直るの」

夕張「まあ、そんなところよ。ここは」
244 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:09:11.65 ID:RUcg56pL0
夕張「で、どうする?」

川内「逃げる」

夕張「…それだけ?」

川内「ツマンネって顔すんな。勿論この鎮守府の非人道的行為のあらゆる
証拠引っさげて世間に逃げんのさ」

夕張「私としては素直に力で暴れてもらっても面白いんだけど」

川内「情ねーが俺じゃあのメイドには勝てんよ」

夕張「そりゃそうか。はいこれ」

川内「んだこれ」

夕張「艦隊のリスト。今いる娘だけだけど、いつここに来ていつ改造したかとかが書いてある。もちろん性別もね」

川内「こんなん渡してどーすんだよ」

夕張「あなたが行動を起こして、まあ成功するかどうかはどうでもいいの。言ったでしょ。ただお零れで私の知らない情報を得られるチャンスかなって」

川内「ハイエナかよ。飢えた獣はお前か」

夕張「もっと言えば漣に対して有効なカードが欲しいなって」

川内「裏切る気か」

夕張「だから仲間とかじゃないんだって。でもいざとなった時に使える手段はあるに越したことはないでしょ?」

川内「分かったよ。せいぜい上手くやるさ」
245 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:09:38.33 ID:RUcg56pL0
夕張「期待してる」

川内「あそうだ。このまま手ぶらだと怪しまれるかもしれないしな」

夕張「?」

川内「聖杯戦争のDVD貸して」
246 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/15(土) 22:40:47.01 ID:RUcg56pL0
解説はあまり挟みたくなかった…
明日には無事終わりそう
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/07/15(土) 23:07:03.79 ID:MkhZKfNeo
なんとか終わらせられそうで良かったな
248 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:22:11.86 ID:1aXaM8jI0
俺と同じ引き継ぎをしているヤツらにあたって、記憶をどうにか戻す。そして仲間にして、

川内「なんてやってもなあ」

武力でどうこうする気は無い。あくまで狙いは勝ち逃げだ。

夕張はそうやって暴れる事を願って渡した感じがするけも。

俺の練度は、もうすぐ上限らしい。

時間が無い。

川内「今日はこんくらいでいいか」

焦らせるのも夕張の思惑だったんだろうな。まじ腹黒だぜあいつ。
249 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:28:23.80 ID:1aXaM8jI0
那珂「おっかえり〜」

神通「また自主練ですか?」

川内「うん。少しでも強くならなきゃいけないからね」

那珂「こんな遅くにどんなトレーニングしてるの?」

川内「体幹トレーニングとか」

神通「海の上ではバランスが大切ですからね」

川内「あと影分身とかの修行とか」

那珂「ええ!忍者目指すの!」

この風景も、そうなんだろうな。
250 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:29:08.82 ID:1aXaM8jI0
神通「クノイチですか、いい響きですね」

那珂「いいね〜。次のライブでクノイチ三姉妹いっちゃう?」

神通「私はクナイとか投げてみたいですね」

那珂「じゃあ私はね〜、えっと…何があるかな?」

神通「姉さんは何がいいと思いますか?」

川内「…」

那珂「ん?どうしたの?」

川内「あぁ、いや。2人はそのままでいいんじゃないかな」

そのままでしかあれないだ。きっと。

川内「それに私とキャラが被る」

那珂「えぇーそこぉ?」
251 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:29:38.88 ID:1aXaM8jI0
足柄「私の教育担当?」

川内「そうそう。誰だったのかな〜って」

足柄「隼鷹よ」

川内「ええ!?似合わないな〜」

足柄「似合ってない上に合ってもいなかったわ。今為になってるのは酒の飲み方くらいよ」

川内「うわぁ…」

足柄「でもなんで急に?」

川内「思い出しただけだよ。前に言い渋ってたじゃん」

足柄「そうだったかしら」

川内「そうだよ」
252 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:30:29.25 ID:1aXaM8jI0
足柄「なんか悩んでるって顔ね」

川内「分かる?」

足柄「分かる分かる。難しい顔しちゃって、らしくないわよ」

川内「分からないんだ。どうすればいいか。手掛かりはいっぱいあるんだけど、ありすぎてどこから手をつければいいのか」

足柄「何よ、ゲームの話?」

川内「かもね」

足柄「そこはほら、よく言うじゃない。逆転の発想だ!って」

川内「逆転ねえ」

足柄「いっぱいあるならそこに無いものから見ればいいんじゃない?」
253 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:31:08.38 ID:1aXaM8jI0
川内「ないもの、か」

足柄「どう?何か浮かんだ?」

川内「分かんない」

足柄「コラ」

川内「でも、うん。なんかわかった気がする。ありがと」

足柄「あら、素直に礼が言えるなんて」

川内「またバカにしてぇ」

足柄「夜戦バカなんでしょ?」

川内「まあね。うん。それじゃ」タッタッタッ

足柄「ええ」




川内「あ、そうだ」

足柄「?」

川内「いい女〜!」



足柄「相変わらず変な娘ね」クス
254 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:31:36.35 ID:1aXaM8jI0
リストの中を見ても仕方ない。

ないものを探せ。

川内「リストと艦隊の人数が合わない?」

漣、夕張は初期メンバー。だとしても計算が合わない。

1人。

川内「こいつも初期メンバーなのか?」

だとしたら突破口ではあるかもしれないが、あまりに危険だ。

可能な限り準備しなくては。

しかし急がなくては。

出撃予定と遠征の予定とにらめっこ。

人ができるだけ少なくなる日。出撃が多く、そして、漣がいない時。

川内「1週間後か、修行の量増やさなきゃな」
255 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:32:02.38 ID:1aXaM8jI0
空母寮。

さて本番だ。

やれることはやった。

ここからはやれない事でもやる覚悟がいる。

川内「瑞鶴〜いる〜?」

沈黙。

川内「おっじゃま〜」

いざゆかん。
256 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 00:32:59.04 ID:1aXaM8jI0
加賀「あの子なら出撃に行ってるわ」

川内「え?今日の予定じゃないはずなのに」

茶の間。相変わらず綺麗な部屋だ。

加賀「なんでも急に第一艦隊に編成されたそうよ」

川内「うっわマジか」

正座でお茶を飲む加賀さん。思わずこちらも正座で対する。

加賀「何の用事?またゲームかしら」

川内「あはは、それもあるんだけどね。あと、艦娘になる前に何してたかって聞こうと思いまして」

加賀「艦娘の、前?」

川内「とあるゲームやっててふと思ったんですよ。でも記憶があやふやで、思い出せそーで思い出せないんです。だから聞いてみよっかなって」

そう。あくまで記憶が戻りかけてる、あるいは戻りそうと思わせる。

そうすれば何かしらの行動を起こすはずなんだ。

漣のように秘書官として艦隊の上に立つわけでもなく、夕張のように裏方をやるわけでもない。

何もしていない。

初期メンバー。最後の1人が一体どんなに立ち位置なのか確かめる必要がある。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 00:43:23.62 ID:tU2o1yeFo
漣は感づいてそうだな
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 01:02:07.04 ID:S+v/lLnp0
文が走り出してきたな いいぞ
259 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 02:57:21.75 ID:oDQCh9FA0
川内「まあいないなら、また今度か…」

加賀「艦娘の、前、前世?」

川内「ありゃ、そんな深く考えなくてもいいですよ。ちょっとした興味本位で」

その時、間違いなく声が聞こえた。

誰の声でどこから聞こえたかは分からない。

正確にはなんて言ったかもわからない。

でもそれは間違いなく俺に、俺の生命の危機を知らせていた。

逃げなきゃ。

体は恐ろしく速く正確に動いた。

幸いにもまだ痺れていない右足を立て、窓の方へ1歩で飛ぶ。

ヒノ…カタマリトナッテ…シズンデシマエ……

後ろから聞こえた声を気にする余裕はなかった。

艤装を展開する。装備ないが身体強化で十分だ。

俺が障子を突き破るとのと同時に、先程までいた部屋から爆発音がする。
260 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 02:57:55.45 ID:oDQCh9FA0
川内「ったくよぉ…」

流石に艦娘。窓突き破って転がり出た程度では傷つかない。

しかしこりゃ一体どうなってんだ。

予想外にも程がある。

煙の立ち込める茶の間から、よく知った影が出てくる。

初期メンバー、加賀。

一体どういうやつなのかと思ったが。

川内「こりゃまた厄介なものを起こしちゃったかな」

「ホントですよ。色々弱体化されてますけど、この人処理できるのここじゃ私だけなんですよ?下手すりゃここら更地でした」

ドサッと大破した加賀を放る。雑いな。所々白くなってるのは撃たれたからじゃなさそうだな。

どんな訳ありなのやら。
261 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 02:58:32.40 ID:oDQCh9FA0
川内「それで、一つ教えてくれない」

「こちらの質問にも答えてくれるなら」

川内「何でここにいんだよ」


漣「さて何ででしょう」
262 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 02:59:20.20 ID:oDQCh9FA0
漣「ビックリしたんですよこれでも。夕張さんからあなたの記憶が戻ってきているようだと言われて」

川内「夕張!?あんにゃろお…」

漣「裏切った、なんて思わないで上げてくださいよ。彼女は誰の味方もしない人ですから。事実、雇い主たる私にこの情報を伝えたのが今朝方です」

川内「そういや夕張もそんな事言ってたな」

漣「まあさっきあなたが加賀さんに話してたように戻りそう、という程度との事だったので迷いましたが。大事を取って瑞鶴さんと交代したんですが」

川内「そりゃ運が悪かった。いや、夕張の思惑通りか…」

どちらが勝っても得をする。本当に誰の味方もしてねえな。
263 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 02:59:57.94 ID:oDQCh9FA0
漣「いえいえ、ついてないのはこっちですよ。私が交代しなければあなたはあの話を加賀さんにしなかった。そうすればアレが目覚めることもなかったのに」

ん?さっきから言い方がおかしくないか?

漣「さて私は話しましたよ。次はこちらの番です。川内さん、一体何がきっかけで記憶に齟齬が?」

俺が記憶が完全に戻ってると知らない?

いや当然か。それを話せばリストについてバレる。夕張としても避けたい。

不確定な情報だからこそ漣はしっかり対応出来なかった。

なるほど、本当に上手いことフェアな状況になってやがる。

川内「さてな。前の川内が教えてくれたのかもな」

漣「!?」

川内「お前はどう思うよ。俺の記憶について」

漣「なるほど…完全に戻ってるようですね」

川内「さっきのはいいショック療法だったよ。頭ん中スッキリしたぜ」
264 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 03:00:36.33 ID:oDQCh9FA0
漣「そうですか。じゃ」

スッと砲をかまえる。

駆逐艦とはいえ練度に差がありすぎる。それにこっちは装備もない。

こっからが正念場だ。

川内「おいおいいいのかよ。俺がどこまで思い出して、どこまで知ったと思う?それで、何もしなかったと思うか?」

漣「…川内さん。私、自分が絶対有利だからと不必要なことをペラペラ話すヤツ、嫌いなんです」

川内「なら「さよなら」」
265 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 03:01:13.95 ID:oDQCh9FA0
予想に反した冷たい反応。

全身の血液が氷点下まで下がった気がした。

訓練通りに構えをとる。

しかし、この近距離。砲の口を見て避けるとかそんなマンガじみた動きはできない。

躱せない。




ドンと鈍い音と共に発せられた熱が漣の冷酷な表情を照らす。



空母を鎮めた鉛玉の一撃が、命中した。
266 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 03:02:31.65 ID:oDQCh9FA0
やめて!レベルカンストの漣にあぼーんされたら練度も最近の改二基準に届いてない上に装備もない川内では太刀打ちできない!お願い、死なないで川内!あんたが今ここで倒れたら、夕張や過去の川内との約束はどうなっちゃうの?チャンスはまだ残ってる。ここを耐えれば、漣から逃げられるんだから!己の血の滾りに身を任せよう。それぞれの運命を担い、男達が昂然と顔を上げる。次回「横断」。放たれた矢は、標的を射るか、地に落ちるか
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 03:05:41.71 ID:tU2o1yeFo
デュエルスタ…あれ?
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 03:07:37.74 ID:/b49KFQHo
おばさんは加賀さんだったり赤城さんだったりヨークタウンだったり大変ですね
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 03:10:39.77 ID:SfHgJcuA0
唐突に混ぜるなw
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 07:46:28.71 ID:RRK8vgyr0
ボトムズwwwwwwwwwwwwwwww
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 07:53:45.65 ID:tSyYP3V0o
途中から銀河さんww
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 10:13:48.79 ID:DlWe8u4h0
確かに男だけどもw
273 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:30:23.76 ID:oDQCh9FA0
いつからだったか、しかしハッキリと疑問に思っていたことがある。

艦娘は船だ。艦種によって量に差はあるがみな同じ燃料を消費して動く。

それは分かる。

しかし弾薬はどうだろう。

例えば主砲を装備する。

合わせて副砲も装着しよう。

加えて魚雷も搭載だ。

口径も弾の種類も、形も構造も全く違うにも関わらず、これらは同じ弾薬を消費して装填される。

弾薬と言われれば当然弾薬を思い浮かべる。

でもそれは違う。
艦娘のそれは、もっと違うなにかだ。
それが何なのかなんて事はわからない。

ただそれは形を変えることが出来る。

構造を変えることが出来る。

出来るというイメージは、確かに形に出来る。
274 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:31:08.59 ID:oDQCh9FA0
漣「それは、なんですか?」

「さて、なんに見える?」

漣「全くもって、いやはやホントにイレギュラーですね」

「そりゃどうも」

漣「しかし、何に見えるかと言われると、正直、なんていか」




漣「割とチンk川内「クナイだよ馬鹿野郎!」」
275 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:31:44.05 ID:oDQCh9FA0
弾薬を消費して生み出す武器。

大きさはちょうど魚雷程度。

その機能は硬さと鋭さ。

なのだが

川内「何が投影だよチクショウ。暫くコイツとは会ってなかったからな。どうも恋しくて仕方がなかったらしい」

漣「どうやらふざけてるわけじゃなさそうですね。見た目は完全にふざけてますが」

川内「うっせー」スチャッ

クナイ。誰がなんと言おうとクナイを構える。

砲撃は防げた。特訓の成果は間違いなく出てる。

問題は次だ。

漣「一体どういうカラクリですかそれは」

川内「質問するってことは質問されたら答えるんだよな」

漣「そうですね…」

川内「おいおい、一方的に聞くってのうおっ!?」

ドン、とセリフ途中でも容赦なく撃ってくる。

川内「っぶねぇビビった」

クナイを犠牲にして防ぐ。

そしてまたクナイを装填する。
276 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:32:10.50 ID:oDQCh9FA0
漣「…」

考えやがる。だがここは思考する暇を与えるわけにゃいかねえ。

川内「ったくよお、一体なんでお前はそこまでしてこんな実験場守ってんだ。非人道的なんてレベルじゃねえだろ。少なくとも俺は脳みそいじくり回されてもいいって契約書にサインした覚えはねぇぞ」

漣「…そうですね。愛する人のため、ということでどうでしょう」

川内「愛ねえ」

漣「ねえ川内さん。あなた、外の世界が、人間が今どういう状況か知ってますか?」

川内「人間?」

漣「はい」ドンッ

合いの手感覚で撃って来やがった。
277 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:32:36.68 ID:oDQCh9FA0
漣「そもそも艦娘は女性がなるものです。戦力が足りず男も入れると言うのも、まあ分からなくもないでしょう?」

川内「多少ならな。だがなんだよここは」

漣「そう。こんな大掛かりなことをする必要なんてない。実験場なんてことせずに、鎮守府に極一部、男性がいる。それなら問題ない。そのお通りです」ドンッ

川内「っ!分かってんじゃねえか。言葉が通じてるようで安心したぜ」

漣「問題あるんですよ」

川内「は?」

漣「あなたには前提条件が足りないんですよ。ねえ、もう一度聞きます。今の人類がどうなってるか知ってますか?」

川内「今の人類だと…」

漣「もう、ほとんど壊滅状態なんですよ」
278 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:33:05.56 ID:oDQCh9FA0
漣「艦娘、そして鎮守府を整備する頃には人類の被害は途方もないレベルに達してました。日本を中心に艦娘は広まりましたが、次は食料や資源問題。数多の犠牲で取り戻した海域よりも、それらの問題は広く、そして速かった」ドンッ

川内「まっ!待てよ!デタラメ言うな!」

漣「最早女性を前線に出すなんて真似できないんですよ。子供作らなきゃホントに滅びますから」ドンッ

川内「チィッ」

砲撃が激しくなる。話す隙は与えないってか。

漣「今各鎮守府は防御に徹しています。貴重な艦娘を失わないために。その間にこの実験場で準備してるんです。男の戦力化を」ドンッドンッ

連撃!

初めからそうせず様子見してくれたのが救いだった。

砲弾を防ぐのもだいぶ慣れてきた。

飛んできた二発を右、左とクナイを振るって相殺する。

川内「ふう…」

呼吸を整える。何とかして距離を取りたいもんだが。
279 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:33:51.84 ID:oDQCh9FA0
漣「口減らしって意味もあります。内地じゃ男手なんて入りませんし、むしろ無駄に飯を食らうから邪魔って始末です」

1歩で後ろに下がろうとする。

ドンッ

すかさず砲撃。

川内「チッ!おい、適当な事言ってんじゃねえぞ!」

漣「適当?適当に聞こえますか?」ドンッ

川内「ああ!聞こえるさ…」

また呼吸を整える。

分かった事が一つある。

こいつ、本当にイヤらしい性格してやがる。
280 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:34:24.61 ID:oDQCh9FA0
向こうは砲を構えて撃つだけ。

対してこちらは飛んでくる弾にピンポイントでクナイを当てる集中力。

手元で弾ける衝撃を逃がすのに使う体力。

全身運動は思いのほか体力を消費していた。

さらに現状、俺は話さざるを得ない。そもそも知ることが目的だから。

それにまともにやり合ったら負ける。時間も稼がにゃならん。

話せばさらに体力を使う。

すぐさま仕留めようとしない。イレギュラーを警戒し、確実に獲物を弱らせていく。

恐ろしいやつだ。
281 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:34:58.59 ID:oDQCh9FA0
川内「記憶があるぜ!俺には。懐かしのゲーム、アニメ、男の時の記憶が!んなSF映画見たいな世界ならこの記憶はなんだよ!コールドスリープで長い事寝てたことにするか?」

漣「それが、あなたの記憶という保証はありますか?」

川内「なに?」

漣「あなたは受け継いだんですよ。艤装を。それは色々なものをあなたに与えた。これ程のイレギュラーを起こすほどのものを。そして、記憶を」ドンッ

相殺する。しかし、足元がぐらついた気がした。

漣「ゲームやアニメが好きでしたね、川内さんは。だからこそあなたは思い出せた。でも、あなたは好きでしたか?ゲームやアニメ?いえ、そもそもそんなものあなたは知らないんですよ」

川内「ざけんな!俺が川内から受け継いだのはなあ!男の魂だけだ!」

あの声は、間違いなくそうだった。


漣「ちなみに前の川内さんは神通さんと夜な夜な百合百合な関係でした」

川内「先代のバカあぁ!!」

ドンッ

両手のクナイで叩き落とす。

漣「…さて」

漣がもう一つ砲を構える。

漣「チェックです」
282 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:35:42.21 ID:oDQCh9FA0
クナイは、弾薬だ。

つまり消費する。弾と同じで。

そしてその消費量は、駆逐艦の砲撃1発より重い。

クナイで相殺して、次を装填した時点であいつは読んでいたのだろう。

いつか弾切れすると。

漣「さてどうしますか?」
283 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:36:24.48 ID:oDQCh9FA0
川内「はっ、デタラメを」

漣「デタラメ?」

川内「どこに証拠があるんだよ。人の記憶があやふやなのをいい事に適当抜かしやがって」

漣「そりゃそうですね」

川内「それに、割とどうでもいい。俺はな、お前に1発くれてやらにゃならん事を思い出したぜ」

漣「…」

川内「…」
284 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:37:22.13 ID:oDQCh9FA0
1発の弾に対してクナイを二本消費した。

つまりそれだけ弱まっている。弾薬に余裕がなくなっている。

こうなればもう防げない。膠着は解かれた。

逃げることは難しい。電探も加わった正確な射撃をこの距離で交わしながら逃げるのは無理だ。

となればもう、立ち向かう他ない。

捨て身で当たるしかない。

二本、クナイを装填する。
285 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:37:48.39 ID:oDQCh9FA0
川内「らぁあ!」
漣「!!」

一直線に突撃する。

矢のように。

想像以上のスピード。

しかし、やはり捨て身の攻撃。

思惑通り。

川内「とでも思ったかぁ!!」

ジャンプ。

人を超えた脚力で中へ飛ぶ。

漣「なっ!?」

これまでのやり取りでこちらにも分かった事がある。

こいつはただ俺を殺したいわけじゃない。艤装を傷つけたくないんだ。

だから弾切れを狙う。

足を、手を狙う。

だから
286 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 13:38:29.33 ID:oDQCh9FA0
両手の砲が、こちらのクナイに狙いを定める。

2対2、こちらに残るのは身一つのみ。

ではない!

この日のために磨いてきた「伝家の宝刀」がある!

中身がスカスカの囮クナイ。

弾薬はまだ残っている。

こいつは知らない。クナイは、この投影は、スロットにつき一つ。





股間から伸びた鋭い一突きは、まさしく俺の心の表れだった。

漣「!?」
川内「俺は男だああぁぁ!!」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 13:51:01.51 ID:QkkbXxFDO
>>40の発言がフラグだったとは・・・
288 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 14:01:50.17 ID:oDQCh9FA0
ほらちゃんと生やしたよ。やったね
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/16(日) 14:02:11.87 ID:hrDsQlOM0
ああ



















































































ああ
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/16(日) 14:06:34.30 ID:hrDsQlOM0
ああ



















































































ああ
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 14:14:09.49 ID:sbPmNRmqO

生やすな
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 14:20:58.74 ID:uSGwYoxLo
生えたナニは仕方ない。

しっかり使え!
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 14:25:31.37 ID:b8riGvbx0
マジメなのかネタなのか分からんw
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 15:14:38.17 ID:rYSvMr+2o
すげぇこの川内さんシリアスシーンで徹頭徹尾チンコフェンシングしてる……
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/16(日) 16:00:34.96 ID:5JCtIGe+0
チンフェかよ…
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 17:11:34.46 ID:mzLNSIQG0
イラスト:安永航一郎 になってしまった
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 21:42:17.44 ID:tU2o1yeFo
> 漣「ちなみに前の川内さんは神通さんと夜な夜な百合百合な関係でした」
kwwsk
298 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 22:58:59.60 ID:oDQCh9FA0


・・・・・










漣「増強施設、なんて言っても知らないでしょうね」

漣「機銃とか装備できるんですよ?便利ですよね」

漣「もし刀じゃなければ折れなかったかも知れませんが」

漣「よく頑張りました。それは決して無駄にはなりませんよ。私としても勉強になりました」

漣「次に生かしますよ。次のあなたが生かしてくれますよ」

漣「しかし、後味悪いですねこれは。私も分からなくはないんですよ」

漣「それが折られる痛み。自分でやっといてなんですが、ヒュッてなりましたよ」

漣「同じ魂をぶつけ合ってあなたが負けた。それだけです」

漣「私には守らなくちゃいけない人がいるんです」

漣「まあ、それじゃあ」

おやすみなさい

299 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 22:59:29.35 ID:oDQCh9FA0
夕張「で、結局使うんですか。この艤装。また何が起こるか分かりませんよ」

漣「起こそうとしたのあなたじゃないですか。まったく」

夕張「でも結果的に良かったじゃないですか。というかメチャクチャ良かったです。あんな使い方初めて見ましたよ」

漣「そこは同感ですね。ホントに死にかけたんですよ」ジー

夕張「そう睨まないで下さいよ。私だって知らなかったんですから」

漣「知らないといえば、彼女に何も話さなかったんですね」

夕張「あなたとぶつかって欲しかっただけですから、希望は見せても絶望をチラつかせるわけにはいけません」

漣「いい性格してますねホント」

夕張「そりゃどうも」
300 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 22:59:58.99 ID:oDQCh9FA0
夕張「出撃ばかりで目撃者がいないのが救いですね」

漣「とりあえずボイラーの事故で片付きそうです。みんないたらと思うとゾッとしますね。流石に崩壊してたでしょう」

夕張「記憶弄らなくて済んだのは私としてもありがたいですね〜と。はい終わり。うん。艤装は無事ですね」

漣「それは重畳」

夕張「後は加賀さんですけど、どうします?弄ります?」
漣「ダメです」

漣「彼女は私が対応します。手出しは無用です」

夕張「…ですね。ではそのように」
301 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 23:00:40.34 ID:oDQCh9FA0
漣「それと、提督の方。もう少し弄れません?この前川内さんに反応してまして」

夕張「これ以上やるとマジ植物人間になりますよ?」

漣「いいんじゃないですか。どうせ提督は提督である限りは、みな各々好きなように提督を見るんですから」

夕張「動かなくなったら流石に最上さんあたりは不味いでしょう」

漣「それは、まあそうですね。でもいっそその方が楽だったりしませんかね」

夕張「そこはなんとも」

漣「ではそろそろ提督室に戻ります。艦隊が帰投する頃合ですし」

夕張「今回のは一つ貸しますよ?」

漣「分かってますって。でもこれ以上は残ってるか分かりませんよ?この前のうぃーとか言うのだってたまたま見つかったものなんですから」

夕張「期待してまーす」

漣「(´-д-)-3」
302 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 23:01:06.77 ID:oDQCh9FA0
漣「さてさて、川内を補充したとして、次は誰でしたっけ…っと、ご主人様、調子に乗ると、ぶっとばしますよ…ああ」

漣「そんな事できるわきゃないですか。まったく都合よすぎるんですよ、艦娘は。幸いにも提督を見間違えるような事は今のとこないですが」

漣「気にする事は何も無いですよご主人様。鎮守府は、上手く回ってますから」
303 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 23:01:48.67 ID:oDQCh9FA0






「川内参上!夜戦なら任せておいて!」






304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:02:43.79 ID:0PUN1qlko
救いはないんですか
305 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 23:04:21.95 ID:oDQCh9FA0
どうしてこうなった。

おかしいね。エロが書けないからね。初めてのSSだしね。仕方ないね。


ちょっと迷ったけど、こういうループモノの主人公一歩手前見たいなオチ、好きなの
306 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/16(日) 23:07:43.37 ID:oDQCh9FA0
やたらと長くなりましたがこれに終わりです

無駄を極力省いて畳み掛けたので細かいところは放置です。
残った謎をどう思うかはあなた次第、て便利な言葉だよね
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:10:35.30 ID:w43R8MoA0
うーん…
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:13:14.21 ID:NvPHYsCt0

おもろかったまたなんか書いてね
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/16(日) 23:16:52.10 ID:S+v/lLnp0
オチ以外は良かったよ
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:17:27.23 ID:S+v/lLnp0
sage失敗
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:32:00.51 ID:iowxt1c+o
終わりまでの道程がそこまで長くない物語の謎に関して考える気になる人はそう多くないと思う
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 23:54:30.70 ID:R1FHCoxD0
ハゲのうみねこみたいなオチだなー
ちゃんとたたんでほしかった
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 00:09:16.30 ID:tk3XEmzWo
前半伏線張りまくった割に多くをぶん投げた感じ
徐々に女としての自分を受け入れるようなTSF要素も薄いし実験だ黒幕だの話も雑に終わってるから何を読ませたかったのか分からん
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 00:13:00.06 ID:DIgdlBms0
打ち切りになるんで適当に主人公始末した連載漫画みたいだ
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 00:30:46.01 ID:HJdEJeR40

おもしろかったよ
316 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/07/17(月) 01:36:17.07 ID:A95wbR0Q0
次はややっこい事考えずほのぼのしたの書くよ
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 03:48:46.35 ID:qkM61Wy+O
ほのぼのTSたのむ
シリアス化して潰すのはおしい
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 18:36:44.61 ID:FtDqtBvI0
前半はすごく良かったから是非頼む
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 18:57:36.33 ID:XWGT3dMuo

おもしろかった。次にも期待
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 22:23:29.96 ID:KF5blRzbO
次はほのぼのでお願いね
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/18(火) 00:59:20.26 ID:y8ZRkmFOO
俺はこういうグレーなエンド好き
面白かったわ
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