【艦これ】男「深海棲艦の島?」 ヲ級「ヲッ」

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278 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:32:40.13 ID:O2uF6d7no
―――――砂浜

男「必要なのは土台になる木材が必要だな」

重巡棲姫「木材か、筏を作ることにしたんだな」

男「ああ、それが一番手っ取り早いからな」

重巡棲姫「ふむ・・木材の方は任せておけ、人間はジャンク広場で何か役立つものを探してきたらどうだ?」

男「そうか、悪いな・・手伝ってくれて」

戦艦棲姫「気にしないで。さ、行ってらっしゃい」

男「ありがとう じゃあ行ってくるよ」


重巡棲姫「・・・・それで、木材はあるのだろうか?」

戦艦棲姫「あんたねぇ・・まぁ、森林の中にはありそうだけど・・」

港湾棲姫「確か奥の方に何本か太い木が生えてたな・・」

重巡棲姫「よし、森林の奥地に向かうぞ」
279 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:35:06.01 ID:O2uF6d7no
――――ジャンク広場

男「さて・・何かあるかな?」

レ級「お!人間じゃーん!」

集積地棲姫「人間・・お前もここに来てたのか」

男「集積地棲姫か・・お前こそどうした?」

北方棲姫「ほぽ!ほっぽも何か手伝いたい!」

PT子鬼「ギー!」

集積地棲姫「見てわかるだろ?子守だ・・・くそっ・・」

男(無理矢理押し付けられたのか・・)

レ級「つー訳で俺達もここに来たわけ。何かすることあるか?」

男「それなら手分けして使えそうなものを探して欲しいんだが・・」

集積地棲姫「仕方ない・・手伝うか・・」
280 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:37:09.66 ID:O2uF6d7no
男「流石にもうないのか・・?」

北方棲姫「ほぽ!人間!持ってきた!」

男「"タイヤチューブ"?こんなものも流れてきてたのか」

集積地棲姫「丁度4つある、これで船の補強ができるぞ」

男「そうか!これで浮き輪替わりにもできるのか!よし!」

PT子鬼「ギ!」ヒョイ

男「どうした?・・・これは"水筒"か。これで水を持って行けるな」

集積地棲姫「あと、縄も必要だろう。"荒縄"だ」

レ級「オレも見つけたぜ!"リュックサック"だ」

男「みんな・・ありがとう。使えそうなものは集まったし、いったん砂浜に戻るよ」

北方棲姫「ほぽ!次は組み立てか?」

男「ああ、みんな戻ってきてそうだしな」
281 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:38:41.19 ID:O2uF6d7no
――――砂浜

港湾棲姫「人間にほっぽ・・戻って来たか」

男「どうやら木材は集まったようだな。ありがとう」

戦艦棲姫「それよりもそろそろお昼だけど・・どうする?」

男「いったん休憩にしてから組み立てるとするよ。じゃあ鎮守府に・・」

マ マッテ!

男「この声は・・・駆逐棲姫か。どうした?」

駆逐棲姫「あ、あのね・・お弁当作って来たんだ・・一緒に食べない?」

男「おお、弁当か。じゃあここで食べていくか」

港湾棲姫「私たちもお昼にするか・・」

北方棲姫「ほぽ!」

重巡棲姫「では昼休憩だな、また会おう」

男「ああ、またな」
282 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:40:51.19 ID:O2uF6d7no
男「へぇー色々あるじゃないか」

駆逐棲姫「港湾水鬼に教えてもらったんだ、まだまだだけど・・」

男「どれどれ・・・この卵焼き、中々いけるな!」

駆逐棲姫「そ、そうかな・・//」

男「駆逐棲姫はいい嫁さんになれるぞ」

駆逐棲姫「えっ・・・そそそそれって・・・!?」カァアア

男「きっといい人に出会えるに違いないさ。そうだろ?」

駆逐棲姫「・・・・う、うん。そうだね・・」ションボリ

駆逐古鬼「ほぉーら、私が入れてあげたお茶でも飲んでのどを潤しなさいよ。さぁ!」グイッ

男「おい・・!待て・・!これって熱いお茶・・・あっつぅ!」

駆逐水鬼「このおにぎりは具があって美味しいな」モグモグ

レ級「このエビフライうめー!」

なんだかんだで昼を済ませ、筏製作の続きを行うことにした
283 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:44:35.48 ID:O2uF6d7no
――――数時間後

男「うーん・・もう夕方か・・」

重巡棲姫「しかし、あと少しで完成しそうだ。明日には出来上がるだろう」

泊地水鬼「コウ君。調子はどう?」

男「あと少しで完成しそうなんだ、ところで母さんはどこに行ってたんだ?」

泊地水鬼「私はさっき偵察から帰って来たところよ」

男「母さんも同じ部隊に入ってるのか?」

泊地水鬼「ええ、今まで仕事できなかったからその分頑張らなくっちゃね」

男「ありがとう、でも無理はしないでくれよ・・大事な母親なんだから」

泊地水鬼「ふふっ、ありがとっ」

重巡棲姫(本当にまぶしいな・・・)

戦艦棲姫(あの笑顔・・守らなきゃね)
284 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:46:15.07 ID:O2uF6d7no
レ級「おーい!そろそろ夕食だぜー!」

重巡棲姫「む、では鎮守府に戻ろうか」

戦艦棲姫「そうね、行きましょ」

男「なぁレ級、ちょっと話があるんだ」

レ級「お?何だ、聞いてやってもいいぜ?」

男「母さん、それにみんな、先に行ってもらってもいいかな?」

泊地水鬼「ええ、分かったわ。また鎮守府でね」


レ級「・・・・ヲ級の事か?」

男「ああ・・・お前と一緒にじゃなかったからな・・何かおかしいと思うんだ・・」

レ級「実はな・・あの出来事以来ヲ級の奴、部屋から出なくなったんだ・・」

男「・・・そうなのか・・やっぱり・・」
285 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:49:05.25 ID:O2uF6d7no
レ級「ふん!」ゲシッ

男「がぁ・・!な、何だよ!」

レ級「"俺のせいなのかな・・・"何て言わせねーぞ!!」

レ級「人間の先の事は人間が決めることだ!自分を負に追い込んでんじゃねぇぞ!」

男「そ、そうだな・・悪かったよ・・・じゃあ俺は先に鎮守府に向かうぞ」

レ級「おう!またな!」



レ級「・・・・オレだって寂しいさ・・けどお前が決めたんだから仕方ないよな・・」

レ級「ヲ級・・・分かってくれよ・・」

レ級「・・・オレも鎮守府に向かうか」


ヲ級「・・・・・・」

ヲ級「ヲッ・・・ニンゲン・・カエッチャウ・・・モウアエナイ・・」
286 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:51:24.93 ID:O2uF6d7no
――――翌日

男「よし・・後はロープを近くの木に括り付けて動かないように・・できた!」

重巡棲姫「ふむ、立派な筏だな」

集積地棲姫「とは言ってもよく見る筏の形だがな」

戦艦棲姫「港湾棲姫で試乗テストして大丈夫だったし、これで完成ね」

港湾棲姫「何かショック受けた・・」

北方棲姫「ほっぽも乗りたかった!」

防空棲姫「どうやら船の方は完成したそうだな」

男「ああ、後は出発するタイミングを決めるだけだな」

防空棲姫「それについて話がある、鎮守府に来てくれるか?」

男「話?わかった、すぐに行くよ」
287 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:54:14.75 ID:O2uF6d7no
―――深海鎮守府 応接間

中枢棲姫「空母棲姫の情報によると、嵐が起きそうな予感がするらしい」

男「本当か?いつぐらいだ?」

中枢棲姫「明日には来るだろうという事だ」

男「明日・・・筏も完成したし、ちょうどいいな」

防空棲姫「何とタイミングが良いのか、人間は本当に幸運の持ち主だな」

男「もしかしたら、俺が生きてるのは幸運じゃなくて運命だったのかもな、本当の母親に会ったりしたんだし・・」

中枢棲姫「それも考えられるな・・また明日に偵察を出すように仕向け、嵐を発見次第、人間に伝える」

男「分かった。・・・実質これがここで過ごす最後の日になるんだよな」

防空棲姫「そうなるな・・・お前には会う人物がいるだろう?」

男「・・・ああ・・今から会いに行くよ」

―――寄宿舎 廊下

コンコン

泊地水鬼「はい・・あら、コウ君。どうしたの?」

男「・・・あのさ、話があるんだ・・・いいかな?」
288 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/30(水) 23:56:17.18 ID:O2uF6d7no
―――――泊地水鬼の部屋

泊地水鬼「そう・・・明日には出発するのね」

男「ああ・・実質ここで生活するのが最後の日なんだ・・・」

男「・・・俺だって・・・母さんともう一度一緒に過ごしたかった・・」

男「けど・・元の世界に戻って俺を育ててくれた両親に恩を返したかったから・・・」

泊地水鬼「・・・・・」

男「だから・・・ごめん・・母さん・・」

泊地水鬼「私も・・できればコウ君と一緒にまた過ごしたかった・・・」

泊地水鬼「一緒にご飯食べたり・・一緒にお話ししたり・・けど仕方ないわ・・だってコウ君が決めたことなんだから・・」

泊地水鬼「謝ることはないのよ・・・あなたの出した答えは間違いじゃないわ」スッ

男「母さん・・母さん・・・!」ギュッ

泊地水鬼「本当に・・・本当に立派になったわね・・・」ギュッ
289 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/31(木) 00:03:25.33 ID:K/QkRcnko
男「・・・ごめん、急に抱き付いたりして」

泊地水鬼「いいのよ、受け入れるのが母親の役割ですもの」フフッ

男「あのさ、最後に一つだけ・・・いいかな?」

泊地水鬼「なぁに?」

男「今日だけ・・・一緒に寝てもいいかな?」

泊地水鬼「・・・ふふっ、いいわよ。いらっしゃい」

俺は泊地水鬼と一緒にベッドで就寝した 母さんは俺を優しく抱いて頭を撫でてくれた

ほんのり優しい香りがして 母さんの優しさが俺を包み込んでくれてるような感じだった そしてそのまま眠りについた・・

―――翌日

男「朝か、いい天気だな・・」

泊地水鬼「ええ・・本当に・・」

男「母さん・・」

泊地水鬼「おはよう、コウ君」ニコッ

男「・・・おはよう、母さん」

そして ついに別れの時が来た
290 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/08/31(木) 00:04:19.85 ID:K/QkRcnko
今日はここまでです
深海勢で母性持ってそうな人っていなさそうですよね
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/31(木) 00:38:02.43 ID:1Ng7Eyvso
おつ
嵐の中にイカダとか嫌な予感しかしない…
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/31(木) 02:30:49.03 ID:u0BFbCWfo
本当にただ添い寝しただけなのかな?
母親と禁断の肉体関係を結んだんでは息子の初めての相手はお母さんてっ決まってるんだーってさ
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/31(木) 09:38:42.19 ID:jcNizKTG0
乙です
294 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 16:33:50.15 ID:luzimwTIo
―――――砂浜

空母棲姫「現在、嵐が海上にて発生している。あの時の嵐と同じだ」

防空棲姫「その嵐に向かえば元の世界に帰れるというわけか」

男「とうとうこの日が来たんだな・・」

砂浜には俺以外に姫全員が来ていた けどヲ級の姿はなかった

戦艦棲姫「なんだか寂しくなっちゃうわね・・」

男「俺も寂しいけど・・・みんなの事は忘れないよ」

重巡棲姫「ああ、しっかりと人間の事を覚えておくぞ」

男「・・・あのさ、最後に挨拶してもいいか?」

中枢棲姫「構わない、嵐もすぐには消えないだろうしな」
295 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 16:35:42.23 ID:luzimwTIo
北方棲姫「人間・・帰るのか・・」シュン

港湾棲姫「ほっぽ、人間は元の世界に帰ると決めたのだから・・」

港湾水鬼「達者でな・・」

男「ああ、港湾水鬼が作った料理、とてもおいしかったよ」

港湾水鬼「・・・ありがとう」テレ

男「ほっぽ、帰ることになってごめんな」

北方棲姫「・・・謝ることない!人間が選んだ道!ほっぽ!邪魔しない!元気でな!」

港湾棲姫「ほっぽと遊んでくれてありがとう・・・怪我に気を付けてな・・」

男「ああ、3人とも元気でな」
296 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 16:38:07.40 ID:luzimwTIo
駆逐棲姫「いよいよ行っちゃうんだね・・・」

男「・・・お前も一人で歩けるようになったんだな。俺は嬉しいよ」

駆逐棲姫「・・・私ね、人間が立てるように手伝ってくれたから歩けるようになるまで練習できたんだと思う」

駆逐棲姫「ようやく一人で歩けたのに・・・一緒に散歩できると思ったのに・・」

駆逐棲姫「なのに・・何でお別れしなくちゃいけないの・・・」グス

駆逐水鬼「・・・・・」

駆逐古鬼「ちょっとあんた・・何か慰めてあげたらどうなのさぁ・・」

男「いや・・俺だって何て言ったら・・・」

駆逐棲姫「・・・ううん。むしろ笑顔でありがとうって言うべきなんだよね」

駆逐棲姫「・・私を勇気づけてくれてありがとう」

男「ああ・・・元気でな」

駆逐棲姫「えへへ」
297 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 16:51:30.44 ID:luzimwTIo
重巡棲姫「ついに行ってしまうのだな」

戦艦棲姫「あっちの世界でも元気でね」

PT子鬼「ギー!ギー!」

集積地棲姫「ふん、こいつの子守をしてくれたことは感謝する」

男「集積地棲姫もラジオを貸してくれてありがとうな」

集積地棲姫「・・・まさか人間を私の部屋に入れるとはな・・でもそれもおしまいだ」

集積地棲姫「二度とこっちに戻ってくるなよ」プイッ

戦艦棲姫「ごめんなさいね。あの娘、素直になれないのよ」

重巡棲姫「ここに来る前までは寂しくなるとか言ってたがな・・」

集積地棲姫「おい!ばらすな!」

男「はは・・・ありがとう」
298 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 16:55:39.83 ID:luzimwTIo
中枢棲姫「まさか今となって提督の息子に再び会えるとはな」

防空棲姫「だが今日でまた別れか」

男「色々と協力してくれてありがとうな。服も貸してくれて・・」

中枢棲姫「容易いことだ、提督の軍服を来てるお前を見てるとあの提督を思い出す」

防空棲姫「まるで父親そっくりだったな」

男「父さんと・・・か」

防空棲姫「提督が生きていたら・・親子そろって見ておきたかったな・・」

男「・・・・・」

防空棲姫「すまない、こんな時に言う事じゃなかったな・・」

男「でも墓参りに行けたし、きっと父さんも喜んでるだろうな」

中枢棲姫「ああ・・そうだな。達者でな人間」

防空棲姫「私たちは誇り高き提督の息子を忘れない」

男「俺も、みんなの事は忘れないよ」
299 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:02:26.98 ID:luzimwTIo
男「・・・・母さん」

泊地水鬼「・・・いよいよお別れね」

男「こういう時は何て言えばいいのか・・・」

泊地水鬼「・・・・・」

男「俺が悩んでた時、母さんに相談しに行くといつも聞いてくれた」

男「優しく悟ったり、慰めてくれたり・・頼りになる母親だった」

泊地水鬼「コウ君・・・」

男「けど・・!もうその声も聞けなくなると思うと・・!俺は・・!」

泊地水鬼「私も・・・コウ君に会えないと思うと・・悲しいわ・・!」

泊地水鬼「でも・・・あなたが進む道を決めるのはあなた・・だから止めはしないわ!」

泊地水鬼「だから・・・泣かないで・・最後は笑顔でお別れしましょ・・」

男「母さん・・・さようなら!」ギュッ

泊地水鬼「元気でね・・コウ君・・」ギュッ
300 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:04:54.11 ID:luzimwTIo
男「レ級・・いよいよお別れだな」

レ級「おうおう!ママとの抱擁はどうだったよ?!良い香りしたか?柔らかかったか?」

男「・・・・・」

レ級「ん?あ、そうかー!俺みたいな体の方が抱き心地が良さそうとか思ってそうだな?触ってみるか?」

男「レ級」

レ級「あ!なんなら、今オレがしてやってもいいぜ!さぁどんと―」

男「やせ我慢は良くないぞ、寂しいんだろ?」

レ級「はぁ?!だ、誰が寂しくなるかだって!?ざけんじゃねぇ!オレは全然寂しくなんか・・!」

レ級「・・・寂しく・・・なんか・・」グスッ

男「素直に言えよ、寂しいんだろ?」

レ級「だあああああああ!オレはこんなしんみりとしたのは苦手なんだよお!」

レ級「ぢっぐしょおおお!寂しいんだよおおお!でも仕方ないんだよな!オレ達の事忘れんなよ!」ヒッグエッグ

男「ああ!お前の事なんて忘れるもんか!」

レ級「わああああああああああああん!」ギュー

男「うぐおおおお!力強いなお前!」
301 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:07:14.87 ID:luzimwTIo
男「・・・・・やっぱりあいつはいないか・・」

レ級「悪ぃ、最後だから部屋から出て見送ろうぜって言っても返事がなくてな・・」

男「そうか・・・なら伝言をしてくれないか」

レ級「おう、最後のお願いだな」ニシシ

男「ああ、ヲ級に会ったら――」

ヲキュー!ヲッ!ヲッ!

男「ヲ級!」

レ級「おまえ!今までどこに行って――」

男「うおっ!?」

ヲ級「ヲー!ヤダ!ニンゲン!カエラナイデ!」

レ級「ヲ級・・・!てめぇ・・!」

防空棲姫「ヲ級、人間の意志を尊重すると言っただろ。引き留めることは許さんぞ」

ヲ級「ヤダ!ニンゲントイッショニイタイ!」

レ級「ヲ級!いい加減に!」

男「待ってくれ!」
302 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:09:35.51 ID:luzimwTIo
レ級「人間・・」

男「ヲ級・・急に帰るだなんて聞くとお前は引き止めると思っていた」

男「けどなかなか会えなくて話せる機会がなかった・・けど、今来てくれて俺は嬉しい。聞いてくれるか?」

ヲ級「ヲー・・」

男「お前達と過ごした日々はとても楽しかった。一緒に遊んだり、運動したり、飯を食べたり・・」

男「いろんなことがこの島であった。・・・けどそれも今日で終わりだ」

男「だからと言ってお前たちの事なんか忘れるもんか!過ごした日々も忘れない!」

男「ヲ級!俺がいなくなっても!俺と過ごした日々は忘れるな!」

ヲ級「・・・ヲッ!」

男「俺がいなくなっても、お前との絆は消えない!」


男「俺とお前は!ずっと"友達"だ!」

ヲ級「・・・ヲッ!ニンゲン!ズットトモダチ!ヲ級!ワスレナイ!ダカラ・・・ダカラ・・!ゲンキデネ!」

男「ああ・・!お前の方こそ元気でな・・・・!」
303 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:12:15.61 ID:luzimwTIo
男「・・・・これでみんなに挨拶は済ませたな。よし、じゃあそろそろ行くよ」

レ級「じゃあな・・・!人間・・・!」

泊地水鬼「気を付けて帰るのよ・・・」

男「ああ・・・さようなら・・」

中枢棲姫「全員!提督の息子の敬意を讃え!無事の帰還を願い、敬礼せよ!」

ビシッ

男「・・・・!」ビシッ

敬礼した後、俺は結んであったロープをほどき、ゆっくりとパドルで漕ぎ始めた


ヲ級「・・・!」ダッ

ヲ級「ヲキュー!ニンゲン!ワスレナイデ!ズットズットトモダチ!」

男「・・・忘れ・・ないさ・・・!」
304 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:16:19.37 ID:luzimwTIo
------
男「う、うわぁあああああああああ!」

ヲ級「ヲッ?!」

男「な、何だよお前!?う、宇宙人か?!化物か?!」
------

男「・・・・・・ぐっ!」

-------
ヲ級「ヲッ!ヲッ!」コクコク

レ級「話せるようになりたいってさ!」

男「よーし、まずは文字の読み方からだな・・」
------

男「忘れる・・・ものか・・!」

------
ヲ級「ヲー!人間と一緒!」スリスリ
-----

男「・・・うああああああああああああ!」ポロポロ

俺は振り返らずに必死にパドルを漕いだ 涙目になりながら必死に 何度も 何度も・・・
305 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/02(土) 17:18:15.59 ID:luzimwTIo
いったん中断します
続きは今日書けたら帰還ルート書き切ります

あと>>99の文で
男(集積地棲姫が修理すれば治してつかってるのもそうなのか・・?)→男(集積地棲姫が修理して使ってる物がそうなのか・・?)

に修正いたします 遅くなりましたがよろしくお願いします
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 22:19:46.75 ID:fPn5on1Go
でもさこれで帰れるってわかってないのに実際ただ天候が荒れてるってことだけで
なんでこれで戻れるってみんな信じてるんだろう……
307 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:13:05.30 ID:XyXU99wbo
レ級「・・・・行ってしまったな」

ヲ級「・・・・ヲッ」

中枢棲姫「ヲ級、もう大丈夫か?」

ヲ級「・・・ヲッ!ヲ級!ニンゲンノ事 忘レナイ 絆 消エナイ!」

防空棲姫「いい友を持ったな、ヲ級」ポン

ヲ級「ヲッ!」

――――海上

男「ずいぶんと漕いだな・・・そろそろか?」

フワフワ

男「あれは・・?」

浮遊要塞「人間、聞こえるか?空母棲姫だ」

男「うおっ!喋った!」
308 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:16:57.12 ID:XyXU99wbo
空母棲姫「喋ったというよりも・・・無線で話してると思ってもらうと良い」

空母棲姫「これからこの浮遊要塞で人間を嵐まで案内する、そしてそこからが本当の別れだ」

男「そうか、最後までありがとうな」

空母棲姫「礼を言うのはこちらの方だ。・・・ヲ級と遊んでくれたり、言葉を教えてくれて感謝する」

男「どういたしまして、じゃあ嵐がある方向はどっちか教えてくれないか?」

空母棲姫「ここからもうちょっと進んでいったところに嵐があるはずだ」

男「わかった、あと一息だな」

数分後....

空母棲姫「見えたぞ。"嵐"だ」

男「これが・・・・本当にこれで帰れるのか?」

空母棲姫「ああ、私たちが遭遇し、泊地が人間を手放した時と同じ嵐だ」

男「じゃあここでお別れだな。ありがとう、案内してくれて」

空母棲姫「ああ、気を付けてな」

男「・・・・よし!俺も男だ!行くぞ!」
309 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:28:11.46 ID:XyXU99wbo
―――――海上 暴風域

男「結構・・・!波が凄いな・・!物も飛んで来るぞ・・けど!俺は帰ってみせる!」

男「この嵐をくぐれば・・・元の世界に帰れるんだ!そうに違いない!」

パドルを一回 一回と漕いで前へと進んだ 先は果てしない暴風域だったけど諦めずに漕いだ

男(・・・・・さようなら母さん、父さん・・ヲ級 レ級、そして・・みんな・・)

男(元気でな・・・)

―――――砂浜

空母棲姫「・・・・・人間の気配が消えたな」

レ級「もしかして・・波にさらわれたのか?!」

空母棲姫「いや・・一瞬にして消えた・・さらわれたのなら熱源反応があるはずだが・・・」

中枢棲姫「となると・・瞬間的にあっちの世界に戻ったというのか」

レ級「マジかよ・・」

泊地水鬼(・・・・元気でね。あちらの両親に元気な姿を見せるのよ・・・)
310 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:32:29.32 ID:XyXU99wbo
それから 数日の月日が経った...

――――集積地棲姫の部屋

レ級「だあああああああああ!また負けた!」

集積地棲姫「ふん、これで10連勝だな」

レ級「ちっくしょー・・・何か裏技でも使っただろ?!」

集積地棲姫「使わなくてもお前には勝てる」

レ級「んだとー!」

戦艦棲姫「はいはい二人とも、喧嘩しないの」

集積地棲姫「戦艦!いつの間に!?」

重巡棲姫「私と一緒に入って来た」

集積地棲姫「おまえ・・・!」

戦艦棲姫「それにしても散らかってるわねー、掃除するわよ」

集積地棲姫「何でだよ!私はこれが一番落ち着くんだよ!」

戦艦棲姫「問答無用!ほら、雑巾」

集積地棲姫「くそっ・・・何で・・」
311 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:34:56.96 ID:XyXU99wbo
レ級「しょーがねー、やるしかないか」

重巡棲姫「よし、私たちも始めるか」

レ級「どうせだしラジオ点けながらやろーぜ!ってこれどうやるんだ?」

集積地棲姫「少し待て・・・周波数をいじってだな・・」

〜♪

戦艦棲姫「あら、綺麗な音色ね」

レ級「楽器でも弾いてんのか?」

重巡棲姫「おそらくそうだろうな、よし、じゃあ――」

-------臨時ニュースをお知らせします

レ級「おい!何だよせっかく聴いてたのによー!」

レ級「・・・って、マジかよ!?」

戦艦棲姫「はやく中枢に知らせないと!」
312 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:40:05.44 ID:XyXU99wbo
―――――深海鎮守府 応接間

中枢棲姫「どうだ?海の様子は」

泊地水鬼「そうね、異常はなかったわ」

ヲ級「ヲッヲッ。静かな海だった」

泊地水鬼「・・・・・・」

防空棲姫「やはり、人間の無事が気になるのか?」

泊地水鬼「ええ・・本当に帰れたのか・・不安なの・・・大丈夫かしら・・」

中枢棲姫「・・・今のところ情報がつかめないからな」

ドドドドド...

レ級「た、大変だ―!」

ヲ級「ヲッ?レ級、ドウシタ?」
313 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:42:38.65 ID:XyXU99wbo
中枢棲姫「お前たち・・・静かに部屋に入ることもできないのか?」

重巡棲姫「それはすまない・・だが、この放送を聞いてくれ!集積!」

集積地棲姫「分かってる!少し周波数がずれたから今直す!」

-------昨晩、ザザッ・・海岸に・・

泊地水鬼「まぁ・・・!」

戦艦棲姫「よかったわね・・・泊地・・」

泊地水鬼「えぇ・・!本当に・・・」

ヲ級「ヲー!」ピョンピョン

防空棲姫「中枢、吉報だな」

中枢棲姫「ふっ・・・奇跡というものは存在するのだな」





----修学旅行で墜落した旅客機に搭乗していた―――高校の男子生徒一人が日本の海岸で発見されました

314 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/03(日) 00:50:30.95 ID:XyXU99wbo
今日はここまでです
エピローグを書き終えた後に島に残留ルートも書いていきます

>>306
空母棲姫が数年前 泊地水鬼と一緒に艦娘のいる鎮守府に向かう際中、嵐に遭遇し 物が飛ん出来たものがあちら側の世界の物だった(流れ着いたのもあちら側の世界の物)と言う設定にしました
それと同時にこちら側からあちら側にも行けることになっており 赤ん坊(今の男)があちら側(男が育った世界)に流れ着いたということです

わかりにくかったらすいません・・・
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 03:37:19.90 ID:9zmuBBSPo
ちょっとかなりの無理があるかな?
まぁ嵐のなか砂浜側からどうやって目的地まで漕いだんだ大きい船でさえ難破したりするのに戻されて砂浜に逆戻りだよ何の実験もしないで戻れること確定みたいな感じだし
逆に深海や艦娘が男が戻ろうとしてる世界に飛ばされる事はなかったのかとかさ
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 13:20:04.22 ID:xdcapzWgO
>>314
306じゃないけど
状況から多分そうだろうとは思えても
本当にその嵐で行き来できるのか確証持てないまま筏で嵐に突っ込むのはなかなかやり過ぎな気はする
317 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 22:53:39.10 ID:EnmxaW0xo
気が付くと俺は病院のベッドに寝ていた。嵐の中を必死に進んでいた俺はいつの間にか気を失っていたようだ

どうやら気を失った後、砂浜に倒れこんでいて近くの住人が病院に運んでくれたらしい

その周りには医者がいたから俺はここはどこなのか聞いてみた すると医者は日本のある病院と答えてくれた

俺は自然に涙が出た 元の世界に帰れた嬉しさともうヲ級達には会えない悲しみの両方だった

その後、警察が入ってきて俺の事を聞いてきた。どうやって帰って来たのか 他のみんなはどうなったか

俺は深海棲艦の島で起こったことを言わずに 無人島に流れ着いて一人で船を作って帰って来たと話した

もちろん他のみんなはどこにもいなかったと答えた
318 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 22:58:32.36 ID:EnmxaW0xo
警察は更に事情聴取を行い 数時間してようやく解放された

医者からは数か月の入院が必要ということを聞いた後、病室の扉が勢いよく開いた

そこには俺の家族がいた

みんな一斉に駆け寄り、親父は紙のようにクシャクシャとした顔で泣き、お袋と妹は涙を流しながらお帰りと言ってくれた

ようやくみんなの元に帰ってこれた・・・俺も涙が止まらなかった・・・

この話題は多くの放送で流れ、有名になったが、数か月もしたら何事もなく風化していった

俺は退院後、別の高校に転入し、いつものように過ごした

そして数年の月日が経った・・・
319 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:04:19.73 ID:EnmxaW0xo
―――――海岸

男「これでよし・・・と。よし、行ってこい」

女「ねぇ、何してるの?」

男「あぁ、ボトルメールって知ってるか?ほら、手紙を入れた瓶を海に流して拾ってもらうやつさ」

女「へぇー・・・あ、もしかして浮気相手?」

男「そ、そんなんじゃないぞ!」

俺は大学に進学し、卒業した後、今では社会人として働いている

その数年後に同僚と結婚し、二人で一緒に住んでいる

そして、もうすぐ一児の父になる予定だ

女「じゃあ誰宛なの?」

男「・・・俺の友達さ、遠い遠いところのな」

女「そっか、届くといいね」
320 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:09:37.59 ID:EnmxaW0xo
男「・・・なぁ、奇跡って信じるか?」

女「奇跡?」

男「たとえ無理そうなことでもできたりする・・俺はあると思うんだ」

男「絶望的な状況でも、奇跡があるとなれば前に進んでいけるって」

女「ふふっ、君ってたまにおかしなこと言うよね」

男「そうか?」


女「・・・ねぇ、子供の名前決めてくれた?」

男「ええっと・・まだ決まってないんだ・・」

女「じゃあ、次の病院の診断までの宿題ね」

男「ああ、ちゃんと考えておくよ」



-----気象情報です 現在日本海側で大規模な嵐が発生し、海上は荒れています・・
321 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:12:01.05 ID:EnmxaW0xo
――――深海棲艦の島 砂浜

集積地棲姫「フン」ビュッ

重巡棲姫「おお、ナイスボールだ」バシッ

レ級「よーし!オレが投げるフリスビーを取ってみやがれ!」

ヲ級「ヲー!」

PT子鬼「ギー!」

戦艦棲姫「あら、集積が運動してるなんて珍しいわね」

集積地棲姫「悪いか?子守のついでだ」

重巡棲姫「体を動かすのは良い事だからな」

ガツン

レ級「あ・・・悪ぃ!悪ぃ!」

集積地棲姫「お前・・・これで三度目だ!仏の顔も三度までって言うだろ!」

レ級「でもお前、仏の顔じゃないじゃん」

集積地棲姫「何だとこの野郎!」
322 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:14:01.40 ID:EnmxaW0xo
戦艦棲姫「コラ!喧嘩はやめなさい!」

重巡棲姫「やれやれ・・」

PT子鬼「ギ?」ヒョイ

PT子鬼「ギー・・ギ!ギ!」

重巡棲姫「どうした?・・・中に手紙?誰からだ?」

戦艦棲姫「どうしたの?重巡」

重巡棲姫「いや、瓶の中に手紙が入ってるんだ・・」

ヲ級「テガミ?」

レ級「何だ何だ?」

重巡棲姫「これは・・」
323 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:23:06.38 ID:EnmxaW0xo
――――深海鎮守府 応接間

防空棲姫「あの出来事以来、嵐はあまり見なくなったな」

中枢棲姫「ああ、こうやって静かな海のままだといいな」

防空棲姫「そうだな。それとまた忙しくなるらしいな」

中枢棲姫「艦娘側の鎮守府で事故があったらしく、鎮守府の修復作業を手伝うことになった」

中枢棲姫「やれやれ・・誰を行かせるかだな・・・私も同行しないといけないしな」

中枢棲姫「猫の手も借りたいほどになりそうだ」

防空棲姫「あの時、人間に残って貰って提督をして欲しいとか思ってただろう?」

中枢棲姫「・・・馬鹿な事を言うな、すぐにできる事じゃないんだぞ」

防空棲姫「中枢、チェックメイトだ」トンッ

中枢棲姫「・・・・・む」

防空棲姫「隙を見せてしまったな」
324 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:29:30.05 ID:EnmxaW0xo
ドターン

レ級「た、大変だ―!」

中枢棲姫「貴様ら・・入るときは静かに入れと教えたはずだがもう忘れてしまったのか・・・!」

中枢棲姫「いいだろう・・・その空っぽの頭の中に詰め込んでやろうか・・!」

重巡棲姫「どうしてそんなに怒っているんだ・・・?」

防空棲姫「はぁ・・・とりあえず要件を言え。そして中枢、落ち着け」

戦艦棲姫「この瓶の中に手紙が入ってたのよ、その差出人が・・」

中枢棲姫「手紙だと・・?・・・ほほう・・これは・・」

中枢棲姫「防空、今日の晩、皆を集めてくれ」

防空棲姫「・・・・?わかった。夕食が終わり次第集まるように伝える」
325 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:37:14.56 ID:EnmxaW0xo
――――夜

中枢棲姫「全員揃ったか?今日は知らせることがあって集めた」

空母棲姫「どうした?修復作業についてか?」

中間棲姫「誰が行くのか決まったのかしら?」

中枢棲姫「いや、今日集まってもらったのはこの"手紙"の事でだ」

駆逐水鬼「手紙・・?」

中枢棲姫「この手紙の差出人は・・・あの"人間"からだ」

泊地水鬼「コウ君・・からの?」

北方棲姫「ほぽ!何て書いてある?」

中枢棲姫「ああ、今から読み上げるぞ」
326 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:40:34.48 ID:EnmxaW0xo
------
この手紙を拾った人へ

もし心当たりがなければ捨ててしまっても構わない


深海棲艦のみんなへ

みんな元気にしてるか?俺は無事に元の世界に戻れた これもみんなのおかげだ

でも、今考えたら筏で嵐を通るって結構無茶過ぎてみんな心配したはずだと思う

もうちょっと頑丈な船の方がよかったかなって思ったよ・・

けどこうやって元の世界に帰れたことを喜んでほしい

俺はみんなと過ごした日々を忘れない

本当にありがとう

------

駆逐棲姫「元の世界に戻れたんだ・・!」

飛行場姫「ほんとすごい人間ね・・」

北方棲姫「ほぽ!それで終わり?」

中枢棲姫「いや、まだある。次は泊地、お前宛だ」

泊地水鬼「私に・・?」
327 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:50:30.07 ID:EnmxaW0xo
----
母さんへ

前にも書いたけど、俺は元の世界に帰れたよ

こっちでも元気に過ごしてるし、友達や家族に恵まれてるよ

だから、俺の事を一番心配してると思うけど、安心してほしい

俺は母さんの事を忘れない、優しい母さん、頼りになる母さん

そんな母親をもって 俺は幸せだよ 本当に産んでくれてありがとう

あと、写真も入れておいたんだ。もしよかったら貰って欲しい

さようなら、母さん いつまでも元気で・・

----

泊地水鬼「・・・・」グスッ

中枢棲姫「泊地、それがこの写真だ。いい笑顔をしている」

泊地水鬼「これが・・・まぁ・・お嫁さんかしら」フフッ

駆逐棲姫「わぁ・・すごくきれい・・」

重巡棲姫「となると、人間は結婚したのか。めでたいな」

中枢棲姫「部屋にでも飾っておくと良い。・・・良い息子を持ったな、泊地」

泊地水鬼「・・・ええ、そうするわ」

泊地水鬼(コウ君・・お嫁さんと幸せにね・・)
328 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/06(水) 23:55:46.12 ID:EnmxaW0xo
中枢棲姫「それとヲ級、お前にもあるぞ」

ヲ級「ヲ?」

レ級「どんな内容なんだ?!」

中枢棲姫「今読み上げる」

-----

ヲ級へ

皆と仲良く元気に過ごしてるか?

俺がいなくなってからお前は寂しい気持ちになるときもあると思う

けど、レ級達がいるから寂しくないだろ?

俺もお前達と過ごした日々を今でも忘れない、たくさん楽しいことがあった

俺の人生で掛け替えのない事だったと思う。あの時、俺を助けてくれてありがとうな

お前が助けてくれなかったら俺は今の俺ではないと思う

レ級 ヲ級が泣いてたり困ってたりしてたら助けてやってくれ

ヲ級にとってはお前が一番頼りになるからな

-----
329 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/07(木) 00:01:15.04 ID:RqmuDlJIo
レ級「へへっ、何か誇らしいなオレ達!」

ヲ級「ヲッ!」

中枢棲姫「まだ最後のメッセージがあるぞ」

-----

二人とも これから深海棲艦としてみんなと元気に過ごしてくれ

そして・・離れ離れになっても


俺達はずっと友達だ!絆は消えない!

-----

330 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/07(木) 00:07:23.46 ID:RqmuDlJIo
ヲ級「ワァアア・・・」パァアア

ヲ級「ヲー!」ダッ

レ級「お、おいヲ級!?」

防空棲姫「嬉しかったんだろうな」

中枢棲姫「ああ・・ヲ級にとっては最高の友だな」

――――砂浜

ヲ級「ヲッ ヲッ」タッタッタ

ヲ級「スゥー・・・・ヲッキュー!」

ヲ級「ニンゲン!ズット!ズーットトモダチダヨ!!」

ヲ級の声が水平線の彼方まで 遠く 遠く 響いた

End...
331 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/07(木) 00:10:19.62 ID:RqmuDlJIo
以上が元の世界に帰るルートのお話でした
次は島に残るルートを書く予定にしています(希望があれば

>>315
>>316
確かにそうですね・・戻れる確証もないのに嵐の中に筏で突っ込むのは流石に無茶がありました
解釈もなく進めてしまって申し訳ありませんでした・・・

残りもわずかなので書き切ろうと思いますのでよろしくお願いします
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 07:41:50.29 ID:xF/hgmBIO
きたい
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 08:12:08.23 ID:F6bCuLVJo
待ってるよ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 09:45:19.73 ID:5hPpT1fk0
乙です。島に残るルート楽しみにしてます
335 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 22:59:01.35 ID:2bY+rtO+o
"島に残る"

男「俺はあっちの世界の家族と共に育った人間だ」

男「・・・・・けど俺はこの島に居続けて思った」

男「本当の母親にまた会えて・・もう一度一緒に過ごす時間があってもいいんじゃないかって・・」

レ級「お、おい・・まさか・・・!?」

男「ああ・・・・俺は"この島に残る"」

ザワザワ

泊地水鬼「コウ君・・」

中枢棲姫「人間、それが数日間考えて出た結論か」

男「ああ、男に二言はない」

男「だから・・これからもよろしくな」

防空棲姫「残るとなれば、これからどうする?」

男「うーん・・・それなんだよな・・」
336 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:02:20.59 ID:2bY+rtO+o
中枢棲姫「全く・・先のことを考えないのは"提督"とそっくりだな」

男「う・・それは・・。でも!俺にできることがあれば何でもする!」

中枢棲姫「ほぉ・・・何でもと言ったな・・?」

中枢棲姫「では人間、付いてきてくれるか?」

男「あ、ああ・・」

防空棲姫「よし、一度解散をしよう」

防空棲姫がそう言うと一部を除く姫達はそれぞれ部屋に帰って行った

レ級「なぁ・・・本当にいいのか?人間・・」

男「ああ、これが俺の"答え"だ。後悔はしないさ」

ヲ級「ヲー・・」

男「そんな顔するなよヲ級。また遊ぼうな」

ヲ級「・・・・ヲッ!マタ アソボ!」

レ級「おい!オレも入れろよな!」

男「わかってるって」
337 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:06:06.05 ID:2bY+rtO+o
泊地水鬼「コウ君・・・いいの?」

男「ああ・・・母さんにも心配かけちゃったな」

男「えっと・・急であれなんだけど・・・これからまたよろしくな」

泊地水鬼「・・・あなたが決めたことなら否定はしないわ。またよろしくね、コウ君」

中枢棲姫「挨拶は済んだか?」

男「すぐに行くよ。ごめん母さん、行ってくる」

泊地水鬼「ええ、行ってらっしゃい」

泊地水鬼(あの子とまた一緒に過ごせるなんて・・)

泊地水鬼(あの人もまだ生きていたら・・・ううん、そんなことは考えては駄目ね)

泊地水鬼(今はあの子と・・・元気に過ごせるように考えないと・・)
338 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:09:02.99 ID:2bY+rtO+o
――――中枢棲姫の部屋

男「ずいぶんと綺麗な部屋だな」

中枢棲姫「どこかの姫とは違うのでな。では、こっちに座ってくれるか?」

男「そこって・・中枢棲姫の隣じゃないか?!しかもベッドって・・」

中枢棲姫「生憎、ここしか座る場所がないのでな。さぁ座れ」

男「ああ・・・(何かドキドキするな・・)」ギシッ

中枢棲姫「よし、ではこっちを向け」

男「・・・?って!?」

中枢棲姫は自分の額を俺の額に当てて何かつぶやき始めた

何を言ってるか分からないけど・・中枢棲姫の顔が間近にあった・・

中枢棲姫「・・・・・おい。終わったぞ」

男「・・・・あっ!そ、そうか・・」
339 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:15:23.04 ID:2bY+rtO+o
中枢棲姫「どうした?そんな呆然として」

男「い、いや・・中枢棲姫って綺麗な顔してるんだなって・・」

中枢棲姫「ふっ、お世辞は通用せんぞ。それとも、私とできるとでも思ったのか?」

男「なっ・・・!そ、そんなわけないだろ!」

中枢棲姫「冗談だ、それよりも鏡で自分の顔を見ろ」

男「鏡か・・・俺の目が赤色になってる!どういうことだ・・?!」

中枢棲姫「さっきの行為は人間が私たち特有の言葉を完全に話せるようにしただけだ」

中枢棲姫「心配はするな、普通の言葉も話せる」

男(何か・・・不気味だな・・)
340 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:21:29.21 ID:2bY+rtO+o
中枢棲姫「それともう一つ、人間に"提督業"をしてもらおうと考えている」

男「"提督業"・・・・難しそうだな」

中枢棲姫「最初はそうだな、だが徐々に慣れていけばこなせるものだ。私たちもサポートする」

男「そうか・・・じゃあやってみるよ。・・・まるで父さんの後継みたいだな」

中枢棲姫「そうだな・・」

男「・・・悪い。それで、最初に何をすればいいんだ?」

中枢棲姫「まずはこの書類にサインをしてくれ。後は指印を押すだけだ」

男「わかった。今書くよ」

男(これで俺も・・父さんと同じ提督になるのか・・それも悪くないかな)

そう思いながら俺は書類にサインをした

中枢棲姫「よし、これでいい。早速だが・・」

男「あっ・・ちょっと父さんの墓に行ってもいいかな?」

中枢棲姫「ふむ・・了解した。まずは報告しに行くと良い、その後の話は帰ってきてからにしよう」

男「わかった、行ってくるよ」
341 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:28:58.24 ID:2bY+rtO+o
―――――墓地

男「あれは・・母さん?」

泊地水鬼「コウ君も来たのね、どうしたの?」

男「えっと・・後からまた聞かされると思うけど・・"提督"に就くことになったんだ」

泊地水鬼「まぁ!そうなの!?」

男「俺も何をするのかわからないけど・・」

男「でも最初に父さんに報告しなきゃってここに来たんだ」

泊地水鬼「ふふ、いいわよ。さ、こっちにおいで」

男「・・・父さん。俺、父さんと同じ提督に就くことになったんだ」

男「右も左もわからないけど、頼りになる仲間がいるし頑張ってやることにするよ」

男「それにまた、深海棲艦のみんな、母さんと共に過ごす事になりそうなんだ」

男「俺と母さんは元気に仲良く過ごしていくから、いつも見守っていてくれ」
342 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:38:53.41 ID:2bY+rtO+o
男「これでよし・・っと」

泊地水鬼「ねぇ、こっち向いてくれる?」

男「え?どうしたんだ・・・って?!」

泊地水鬼は俺の額にキスをしてきた 親子だけど・・・これはこれで何か・・恥ずかしい・・

男「母さん・・?」

泊地水鬼「うふふ、コウ君が立派な提督になれるようにおまじないをかけました」

男「・・・・ありがとう、母さん」

泊地水鬼「また、中枢から話があるんでしょ?行ってらっしゃい」

男「ああ、行ってくるよ」
343 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:46:35.96 ID:2bY+rtO+o
――――翌日 艦娘鎮守府

艦娘提督「・・・・来たか」

中枢棲姫「待たせてしまって申し訳ない」

男(この人が・・・中枢棲姫の言ってた艦娘側の提督か・・)

榛名「中枢棲姫に・・軍服を着た男性でしょうか」

艦娘提督「恐らく、昨日聞いた新しく着任した深海提督だろうな」

レ級「よぉ!久しぶりだな!」ヒョコ

艦娘提督「・・・おまけも来てるのか」

中枢棲姫「すまない。こいつは大人しくさせる」

榛名「あなたが新たな深海提督ですね。始めまして、私は金剛型3番艦"榛名"と申します」

男「あっ・・ええっと・・新しく着任した"深海提督"・・です・・」

男(凄い綺麗な人だな・・・見惚れてしまうぞ・・)
344 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:50:54.94 ID:2bY+rtO+o
―――――前日 深海鎮守府

------

男「艦娘を率いる提督に挨拶だって?」

中枢棲姫「ああ、こちら側の提督が新しく着任したのだ。挨拶ぐらいは一度してもらいたい」

中枢棲姫「心配するな。あの提督もそれほど悪事はしていない」

男「あ、ああ・・(どんな人なんだ・・・?)」

中枢棲姫「明日の朝食後、出発する。準備は軍服だけに着替えるだけで良い」

男「わかった、明日よろしくな」

------

艦娘提督「悪い、榛名。そこの深海提督と二人きりで話し合いたいんだ」

男「お、俺と・・ですか?」

榛名「分かりました。お話が終わるまで外でお待ちしております」

中枢棲姫「私もそうする。レ級、静かにしていろよ」

レ級「へーい」
345 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/11(月) 23:56:25.26 ID:2bY+rtO+o
今日はここまでです

今更ですけど男の名前"コウ"と言うのは艦これの難易度の"甲"から取ったものです
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 09:51:35.01 ID:h0gnUscD0
乙です
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 18:55:42.75 ID:k91utWIA0

エンドというよりも新たな展開や分岐の匂いがするなあ
楽しみ
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 22:08:44.07 ID:FL+FVaUao
島に残留ルートからの第2章
349 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/15(金) 23:52:47.73 ID:DTO+1ZNVo
―――――艦娘鎮守府 執務室

艦娘提督「とりあえず・・・着任お疲れさんってとこだな」

艦娘提督「俺はここの鎮守府で艦娘を指揮している提督だ」

男「あ、はい・・俺は・・・深海鎮守府に新しく着任した提督です・・」

艦娘提督「おう、よろしくな。・・・それとそんなに固くならなくていい、柔らかくしてもいいんだぜ」

男「・・・わかった・・こちらこそよろしく」

俺は固い口調からいつもの口調に戻すと緊張がほぐれた

艦娘提督「よしそれでいい。・・聞いたぜ、あんたあの提督の息子なんだってな」

男「ああ・・」

艦娘提督「俺も見るのは赤ん坊の時以来だな、立派になったもんだ」

男「でも、父さんと母さんの元で育ったわけじゃないんだ」

艦娘提督「ああ、たしか別の世界で育ってこっちに来たんだな」

艦娘提督「・・・俺と一緒だな」

男「え?」
350 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/15(金) 23:56:24.25 ID:DTO+1ZNVo
艦娘提督「俺もあんたと同じようにあっちの世界からこの世界に来たのさ・・・かなり前にな」

男「何だって?!」

艦娘提督「あっちの世界である事件が起こって、家族や仲間を失った俺は何かを見つけるために船旅をしていた」

艦娘提督「その最中に、嵐に巻き込まれてここに来たってわけだ」

艦娘提督「その時に助けてくれたのが"艦娘"だった」

男「かなり前ということは・・・いつぐらいだ?」

艦娘提督「そうだな・・・戦争が終わる前ぐらいだったな」

男「戦時中・・・の時か」

艦娘提督「前にここにいた提督が逃げちまって、色々あって俺が代わりに努めることになったんだ」

艦娘提督「俺もとんずらしようと思ったが・・・まさか平和まで結んでしまうとはな」

艦娘提督「ったく・・俺もとんだ不幸に巻き込まれちまったな」
351 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/16(土) 00:00:17.26 ID:um8vSgQ0o
男「・・・・俺は不幸じゃないと思うな」

艦娘提督「ん?」

男「だって、こうして平和に過ごせてるのも父さんと艦娘提督が協力したおかげじゃないか」

男「そのおかげで新しい仲間達と過ごせてるし・・そんなマイナスな考えはするものじゃないと思うぞ」

男「立派だと俺は思う」

艦娘提督「・・・・ふん、あんたもあの提督と同じこと言うんだな」

男「父さんと・・・か・・」

艦娘提督「・・・気を悪くしたら謝る」

男「いや、大丈夫だ。それよりも今後について話し合おう」

艦娘提督「ああ、まず資源関係の話だが・・」

こうして俺は艦娘提督と数時間に及ぶ会談が始まった

この世界での世界観 資源の交渉 そして、父さんとの思い出

いろんな話をして夕方ぐらいには会談が終わった
352 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/16(土) 00:04:41.69 ID:um8vSgQ0o
男「いろいろ教えてくれてありがとうな」

艦娘提督「構わねぇよ。悩み事があればいつでも相談に乗るぜ」

ムキー!コノヤロー!

艦娘提督「何だ・・?」

レ級「まだだ!まだてめぇとの勝負はついてねぇだろ!」

中枢棲姫「貴様・・・大人しくしろとあれほど言ったはずだが?!」

武蔵「やれやれ・・・平和になっても喧嘩を売られるとはな・・」

男「あのさ・・もしかして、ウチのレ級が何かしたのか?」

武蔵「お前は・・?その軍服・・そうか、新しく着任した深海提督なのだな。心配するな、喧嘩を売られただけだ」

レ級「頼むよ中枢!一回だけ勝負させてくれ!」

男「レ級やめとけ、今日はそのために来たわけじゃないんだぞ」

艦娘提督「損害はないか?」

榛名「はい・・」
353 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/16(土) 00:08:11.78 ID:um8vSgQ0o
艦娘提督「おいあんた、ちゃんと教育はしとけよな」

男「あ、ああ・・帰ったらきつく叱っておくよ・・」

レ級「いいか!まだ勝負はついてないんだ!また来るからな!」

武蔵「勝負はもういいだろう・・」

艦娘提督「そろそろあんたらは帰るんだろ?道中気を付けてな」

男「ああ、ありがとうな。それと、レ級が迷惑をかけてしまって申し訳ない」

武蔵「私は気にしてないから大丈夫だ」

中枢棲姫「よし、鎮守府に帰るぞ。レ級わかったか?」

レ級「わかったよ・・・ちぇっ」



武蔵「あれが前にいた深海提督の息子か・・・」

艦娘提督「ああ、しっかりとしている奴だったよ」
354 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/16(土) 00:11:35.46 ID:um8vSgQ0o
榛名「それにしても長くかかりましたね」

艦娘提督「ああ・・新任した提督だったからいろいろと教えてやったよ」

艦娘提督「熱心に聞いて・・・あいつの目は真剣そのものだった」

艦娘提督「まるで、前の深海提督ともう一度話してるみたいだった・・」

榛名「提督・・」

艦娘提督「そろそろ仕事に戻るぞ、昔を思い出すのは好きじゃないんでな」

艦娘提督(あいつなら・・お前と同じようになれるぜ・・深海提督さんよ・・)

―――――深海鎮守府

男「ありがとうな、運んでくれて」

中枢棲姫「人間も会談で疲れただろう。小屋でゆっくりと休んでおくと良い」

中枢棲姫「夜に人間の提督着任祝いでも開こうと思う。時間が来たら呼びに行く」

レ級「お!御馳走が食えるのか?!」

中枢棲姫「お前はその前に説教だがな」

レ級「うぐぐ・・・」

男「はは・・じゃあまた夜な」
355 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/16(土) 00:12:25.83 ID:um8vSgQ0o
今日は短めですがここまでです
356 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:14:28.30 ID:aT4SHYHIo
――――夜 深海鎮守府 ラウンジ

中枢棲姫「みんな集まったか?今日は人間が深海提督に着任し、歓迎会を行うことにした」

中枢棲姫「まず最初に、提督に着任した人間から言葉を頂きたいと思う」

男「えっ?俺か?」

レ級「おら!行ってこい!」ドン

男「お、おい 押すなよ・・・。えっと・・」

男「・・・俺がこの世界に迷い込んで随分と日が経った」

男「この島で過ごしてきて、みんな俺の事を仲間とみてくれた」

男「こんなただの人間だったのに・・」

男「・・・だから俺は何かできないかと思って提督に着任することにした」

男「提督業とか何も分からない俺だけど・・これからもよろしくな」

ワーワー! パチパチ

男「以上だ。短い話ですまない」
357 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:17:59.92 ID:aT4SHYHIo
中枢棲姫「では、これから深海鎮守府の発展。そして我々の健勝を願って。乾杯!」

一同「かんぱーい!」

水母棲姫「ほぉら?提督さん?一杯飲みましょ?」

男「あっ・・ごめん。まだお酒飲める年齢じゃないんだ・・」

水母棲姫「あら?そんなルールあるの?」

港湾水鬼「人間の世界ではある年齢に達しないと飲めないらしい・・」

駆逐棲姫「それじゃあジュースじゃないとだめだね。はいどうぞ」

男「ああ、ありがとうな」

レ級「うおおお!うめぇ!これうめぇ!」ガツガツ

集積地棲姫「おい!お前だけの物じゃないんだぞ!」

リコリス棲姫「レ級、私も作ってみたんだ。これを食べてみろ」

レ級「お!どれどれ・・」パクッ
358 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:20:00.73 ID:aT4SHYHIo
レ級「かっらああああああああああ!なんだふぉれ?!」

リコリス棲姫「遠くへ出かけてる時に教えてもらったロシアンルーレット風のたこ焼きだ」

集積地棲姫「たしか一つはハズレで激辛の香辛料が入ってるんだったな」

北方棲姫「ほぽ!たこ焼き!一つ頂戴!」

リコリス棲姫「ああ、もう辛いのはないから安心して食べると良いぞ」

レ級「てめぇ!わざとオレにゲッホゲホ!ハズレを渡しやがったなぁ!」

戦艦棲姫「喧嘩はやめなさい!」グイッ

レ級「ぐえっ・・・まだ口の中がヒリヒリする・・」

ヲ級「レ級 水飲ム?」

レ級「当たり前だ!もっと持って来い!」
359 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:24:05.88 ID:aT4SHYHIo
飛行場姫「それで、人間はここに住むんだから将来も考えないとねぇ?」

男「将来?提督のほかに何かあるのか?」

水母棲姫「決まってるじゃない?結婚よ」

男「ぶふぉ!けっ・・結婚?!」

駆逐棲姫「ひぅえ?!」

ヲ級「ヲ?」

男「けっ、結婚って・・・でもまだ先の話だから・・」

水母棲姫「そうねぇ・・今気になる娘とかいるの?」

男「えっ、そ、そうだな・・・」

泊地水鬼「良かったら私でもいいのよ?」

男「なっ!ちょっ!?え?!か、母さんと?!」

駆逐棲姫「待って!その・・私だって負けないんだから!」

ヲ級「ヲッヲッ!ニンゲンと モット仲良クナリタイ!」スリスリ

北方棲姫「ほぽ!ほっぽも仲良くなりたい!」ピョンピョン

水母棲姫「あら?提督さんも人気者ね」

泊地水鬼「ふふっ、コウ君ってモテるのね」

男「そ、そうかな・・・」
360 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:26:43.72 ID:aT4SHYHIo
―――――墓地

中枢棲姫「会いに来たぞ提督。今回は知らせがあってここに来た。とは言ってももう人間が知らせに来たと思うがな」

中枢棲姫「聞いて驚け、あの人間はここの鎮守府の提督として生きていくことを誓った」

中枢棲姫「まだ何も知らない普通の人間だが、私たちがしっかりとサポートするから安心しろ」

中枢棲姫「・・・・最も、お前がまだ生きていたら親子そろって提督業をしている光景も見れたのかもしれないな」

中枢棲姫「死んだ今となっては私は寂しい」

中枢棲姫「・・・・実はな提督・・私はお前の事が・・」

中枢棲姫「・・・・ふっ、お前の妻は泊地水鬼だったな。無用な口出しはしないでおこう」


防空棲姫「中枢、こんなところにいたのか」

中枢棲姫「防空か・・・私を探しに来たのか」

防空棲姫「ああ、少し外の空気を吸おうと外に出たら中枢が歩いてるのを見かけてな」
361 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:30:53.96 ID:aT4SHYHIo
中枢棲姫「何、人間が提督に就いたことを報告しに来ただけだ」

中枢棲姫「また明日から忙しくなるぞ。覚悟しておけ」

防空棲姫「・・・そうだな。人間の父親がいたら良かったのかもしれないな」

中枢棲姫「・・・・もしかして聞いていたのか?」

防空棲姫「さて、何の話かな?」

中枢棲姫「まぁいい・・鎮守府に戻って宴に戻ろう。今日の夜は長いぞ」

こうして歓迎会は夜遅くまで続き 終わったのは夜中の時間帯だった

片づけを終えたら みんなは部屋に戻って行った
362 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:33:00.70 ID:aT4SHYHIo
―――――小屋

男「ふわぁ・・もう夜中か・・・そろそろ寝ようかな・・」ドサッ

男「・・・・・」

男(・・・親父、お袋、そして妹、俺はこっちで新しい人生を歩むことにするよ)

男(だからさ、もう永遠に会えないかもしれないけど、一緒に過ごした思い出は忘れはしない)

男(みんな・・さようなら・・いつまでも元気でな・・)

明日から提督業が始まると思うといろんな気持ちが過る

忙しい日々、辛い日々・・・けどいつかそれが未来へと繋ぐ道になるに違いない

俺は第二の人生の道を一歩踏み始めようとしていた

そして 数年の月日が経った
363 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 09:35:12.10 ID:aT4SHYHIo
一旦ここまでです
今日また書けたら最後まで書きます
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 09:59:40.94 ID:srB6ldxc0
乙です。
数年後ということは誰かと結婚して子持ち提督になったのか!?
365 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 22:32:36.19 ID:aT4SHYHIo
――――数年後 深海鎮守府 執務室

中枢棲姫「以上が、偵察の報告だ」

男「ああ、ありがとうな」

泊地水鬼「コウ君、艦娘鎮守府の修復作業の派遣なんだけど・・」

男「そうだな・・戦艦棲姫と空母棲姫の二人を主軸として向かわせるよ」

男「よし・・・ひとまず一段落だな」フゥ

ヒョコ

駆逐幼姫「お父さん、お仕事終わった?」

男「あー・・・まだお仕事はあるんだ、ごめんな」

駆逐棲姫「こら、まだ終わってないから邪魔しちゃダメでしょ」

駆逐幼姫「むー・・」
366 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 22:35:46.11 ID:aT4SHYHIo
泊地水鬼「コウ君、少しは休憩で一緒にいてあげたら?」

男「でも・・」

中枢棲姫「行ってくるが良い、後の処理は私たちに任せておけ」

男「・・・ありがとう、二人とも。よし!幼姫、一緒に外に行こうか!」

駆逐幼姫「わーい!」

駆逐棲姫もあの時よりも俺達と同様に歩けるようになった 義足も更に改良し、人間の脚そのものになった

そしてそこから交際が始まり、俺は駆逐棲姫と結婚して、子供を授かった

駆逐幼姫「あのね!ヲ級ちゃんも待ってるんだ!」

男「そうか、早く行かないとな。じゃあ行ってくるよ」バタン


泊地水鬼「コウ君も立派な父親になったわね」

中枢棲姫「提督業もしっかりとしているな。それに娘も元気そうで何よりだ」

泊地水鬼「ふふっ、孫ができてうれしいわ」
367 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 22:48:14.22 ID:aT4SHYHIo
――――砂浜

ヲ級「あ!提督が来た!」

レ級「よぉ!仕事は終わったのか?」

提督「一応一段落は終えたんだ」

ヲ級「提督 ちゃんと休んでる?倒れたら幼姫もヲ級も悲しむ・・」

男「大丈夫さ、休める時には休んでるよ」

ヲ級はあれからさらに言語を覚え、しっかりと話せるようになった

そして中枢棲姫が言うには flagshipに進化したといい 鎮守府にとって欠かせない存在となっていた

まだ性格は子供っぽいけど・・

駆逐幼姫「今日は何して遊ぶの?」

ヲ級「んーと・・そうだ! ビーチボールがあるからこれで遊ぼ!」

レ級「よっしゃあ!じゃあ始めようぜ!」


男「あの三人、本当に仲が良いな」

駆逐棲姫「うん、幼姫にお友達ができて良かった」
368 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 22:58:32.85 ID:aT4SHYHIo
男「本当に静かな海だな・・」

駆逐棲姫「うん・・ずっとこのままあなたと一緒にこうやって座りたいな」

男「そうだな・・」

駆逐棲姫「・・・あのね、それともう一つお知らせがあるの」

男「どうした?」

駆逐棲姫「お腹の中に二人目ができたの」

男「おお!そうか!めでたいな!」

ヲ級「ヲッ?新しい赤ちゃんが生まれるの?」

駆逐幼姫「お母さん!弟ができるの?それとも妹?」

駆逐棲姫「それはまだ内緒だよ」

駆逐幼姫「えー!?教えてよー!」
369 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 23:05:34.89 ID:aT4SHYHIo
男「幼姫もお姉ちゃんになるんだから、しっかりとしないといけないぞ」

駆逐幼姫「うん!私!お母さんみたいな優しい立派なお姉ちゃんになる!」

駆逐棲姫「ふふ、きっとなれるよ」

駆逐幼姫「えへへー」

中枢棲姫「提督、駆逐棲姫、そろそろ会議が始まる。鎮守府に来てくれ」

男「ああ、今すぐ行くよ。幼姫、お父さんとお母さんはちょっとここから離れるからヲ級達と仲良く遊んでいるんだぞ」

駆逐幼姫「わかった!終わったら一緒に遊ぼうね!」

男「ああ。ヲ級、レ級、幼姫を頼む」

ヲ級「ヲッ!任せといて!」

レ級「あぶねーめには会わせねーよ!」
370 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 23:12:29.58 ID:aT4SHYHIo
――――数時間後...

駆逐幼姫「よし!じゅんびおっけー!」

ヲ級「ヲッ?幼姫、何をしている?」

駆逐幼姫「あのね、お父さんが呼んでる本にね"ぼとるめーる"っていう瓶の中に手紙を入れて海に流して渡す遊びがあるんだ!」

駆逐幼姫「それでね、遠くの人に見てもらうんだって!」

ヲ級「ヲー!楽しそう!ヲ級も書く!」

レ級「俺にも書かせてくれよな!」

駆逐幼姫「うん!みんなで書こう!」


ヲ級「みんな書いた?」

レ級「おうよ!幼姫、海に流してみろよ」

駆逐幼姫「うん!ぼとるさん!行ってらっしゃーい!」

レ級「ちゃんと届けろよー!」
371 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 23:17:21.28 ID:aT4SHYHIo
男「みんな、待たせたな。何をしてるんだ?」

駆逐幼姫「お父さん!あのね!お父さんが呼んでる本に書いてあった"ぼとるめーる"を流したんだ!」

男「そうか、遠くの人に届くといいな」

駆逐幼姫「とどいてほしいなー!」

駆逐棲姫「みんな、そろそろ夕食の時間だから戻るよ」

男「ああ、鎮守府に戻ろう」

駆逐幼姫「お父さん!肩車してー!」

男「ああ、いいぞ。よいしょっと」

駆逐幼姫「わーい!お父さん!しゅつげきー!」

ヲ級「ヲッヲー!」

俺はこの先どんな困難が待ち受けてるのかわからない

けど決して乗り越えられないわけでもない

皆で協力し合って 助け合っていけば 乗り越えれると思う

そう、深海棲艦のみんなとなら・・・
372 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 23:27:04.16 ID:aT4SHYHIo
―――――現実世界 砂浜

あの飛行機墜落事故から数年経った

あれから墜落した飛行機と生存者は未だに見つかっていない

もうお兄ちゃんには会えない・・

優しくて、頼りになるお兄ちゃん・・



「・・・帰ろう」

「・・・・?ボトルの中に手紙が・・」

「・・・・・・・」

「・・・・お兄ちゃん・・・まだどこかにいるんだね・・いつか会いに行くよ・・!」

そのボトルには手紙と、男と深海棲艦達が写っている写真が入っていた

少女が男を探しに出かけ 別世界に迷い込むのはまだ先の話である

End...
373 : ◆Lsw27IvP02kT [saga]:2017/09/17(日) 23:35:07.93 ID:aT4SHYHIo
以上でこの話は終わりです

長い期間での不定期更新 解釈不足で話を進めてしまい、混乱を起こしてしまって申し訳ありませんでした
シリアス物を書きたいなーと思っていたので書き切れてよかったです

374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 23:43:55.71 ID:0QVg5scPo
おつ
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 09:10:03.41 ID:SkTlfZJA0

次回作も期待してる
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 09:47:40.89 ID:xsM98IJQ0
乙です
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 11:17:23.56 ID:2cDM9jTdo
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