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【艦これ】電「トイレの花子さん?」
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60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/02(日) 07:48:30.50 ID:meP/dc1A0
龍田さんがアップを始めました
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/02(日) 20:51:38.89 ID:YKbQEnZYo
>>59
??「にゃしにゃし・・・」
62 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 20:56:54.19 ID:zx0IVnw2O
レスありがとうございます
数日空いてしまいましたが再開します
63 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:10:10.76 ID:zx0IVnw2O
―― あの怪現象から数日後 執務室 ――
大淀「――それで、なにか収穫はありましたか、提督?」
提督「ああ……その前に、あの時のメンバーは全員揃っているな?」
阿武隈「ええ」
電「なのです」
青葉「はいっ♪」
提督「……天龍がいないみたいだが?」
電「天龍さんは、その……」
青葉「あの一件以来、すっかりお化けを怖がるようになってしまいまして」
大淀「例の件について提督から話があるので、執務室まで来るようにと伝えたら『俺はいいから! もうあの時のことを思い出させないでくれ!』と言い残してどこかに行ってしまわれました」
提督「……まぁ別に強制ではないし、構わないか」
提督「それでだ。この前言ったように、先日この建物の元管理人に会ってきたんだが――」
〜 提督回想中 〜
提督「本日はお時間を取らせてしまって申し訳ありません」
管理人「いえいえ、しかしこうして直接お会いするのは久しぶりですね」
提督「そうですね。鎮守府が設立した時以来ですから、かれこれ2年ぶりでしょうか」
管理人「それくらいになりますかねぇ。それで、本日は一体どのようなご用件で?」
提督「いやぁ、どこから話していいものやら……何しろにわかには信じられないような話でして」
管理人「構いませんよ。あなたほどの階位の方がわざわざ出向かれるくらいですから、きっと深刻なお話なのでしょう?」 ※提督はそれなりの階位という設定です
提督「はい。実はですね……」
かくかくしかじか
64 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:14:23.46 ID:zx0IVnw2O
提督「――ということがありまして」
管理人「…………」
提督「……やはり信じられないで「信じましょう」……えっ?」
管理人「信じましょう、その話」
管理人「……なにせ私自身も以前、誰もいないはずのあのトイレで聞いているんですよ……」
――女の子の笑い声を、ね
提督「…………」
管理人「私の知っている限りのことをお話ししましょう」
そう前置きして、管理人はゆっくりと語り出した――
65 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:19:34.85 ID:zx0IVnw2O
あの学校……今は鎮守府ですが、建物自体は私が生まれるずっと前から存在していました。
たしか、廃校になる数年前に創立90年を迎えましたから、昭和元年頃に建てられているはずです。
昔はこの辺りも人口が多かったようで、大勢の子供たちで賑わっていたそうです。
海の幸に恵まれた、のどかでいて活気のある町でした……そう、戦争が始まるまでは。
物資が豊富で大きな港も保有していたこの町は、軍艦の停泊所として活用されることになりました。
活用といっても軍の拠点としてではなく、あくまで補給に立ち寄ったり、臨時の停泊場所として使われる程度でしたが。
ご存知かとは思いますが、当時は国民が一丸となって戦争に臨んでいましたからね。
漁師をはじめとする町民たちは、軍に港を提供することを嫌がったりはしませんでした。
むしろお国のためになればと、海兵さんに海の幸を振舞ったり、子供たちは子供たちで港に停泊中の軍艦を眺めては、目をきらきらと輝かせていたそうです。
――しかし、平和な日々は長くは続きませんでした。
終戦から数年前のある日、この町を空襲が襲ったのです。
66 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:28:45.33 ID:zx0IVnw2O
軍艦が度々停泊するこの地を、重要な拠点の一つであると勘違いしたのでしょうか。
何機もの爆撃機が空を覆い、町という町を焼き尽くしたと聞いています……
そして、その魔の手は学校にまで及びました。
その日、学校には数人の生徒が残っており、皆でかくれんぼをして遊んでいたそうです。
その中には、まだ4月に入学したばかりの小さな女の子も混じっていました。
鬼役が数を数えるのを背に、女の子はまだ慣れない校舎の中を走り回りました。
そうして例の――あのトイレの、一番奥の個室に身を隠したのです。
この場所ならきっと見つからない。
最後まで隠れきってやる、と心を弾ませながら……
まさかちょうどその時、自身が潜んでいる校舎に異国の殺戮兵器が迫っているとも知らずに。
67 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:34:15.76 ID:zx0IVnw2O
レシプロ機特有の轟音が耳をつんざき、数瞬の後に焼夷弾がばら撒かれました。
そして運の悪いことに、ばら撒かれた焼夷弾は女の子が身を潜めていたトイレの近くに着弾したのです。
未だかつて経験したことのない爆音と衝撃に、女の子の心は一瞬にして恐怖に満たされたことでしょう。
この時すぐ逃げ出せば、もしかしたら助かったのかもしれません。
しかし、恐怖と驚きで体は硬直し、その場から動けなかったのではないかと思います。
そうこうしている内にも火の手は勢いを増し、やがて炎に囲まれトイレから出られなくなり、そのまま……
女の子には同じ学校に通う、歳の近い姉がいました。
その日も恐らく、一緒に学校に残ってかくれんぼをしていたことでしょう。
女の子は死の恐怖と業火の中で、最期の最期まで「おねえちゃん、おねえちゃん」と、姉に助けを求め続けていたそうです……
68 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:41:44.33 ID:zx0IVnw2O
提督「――以上が、管理人から聞いた話だ」
阿武隈「…………」
大淀「…………」
青葉「…………」
電「……かわいそうなのです」
青葉「……その亡くなった女の子が、花子さんの正体だと?」
提督「恐らくはな」
提督「空襲で木造校舎の約半分が焼け落ちたらしいが、終戦後に建て直され、再び学校として使われるようになった」
提督「教室の間取りや配置はほぼそのままに建て直され、例のトイレがあった場所にも再び新しくトイレが設置された」
提督「しかし、それからというもの例のトイレで不可思議な現象が相次いだらしい」
誰も入っていないはずの個室から女の子の声がする
個室で用を足している時、誰かに見られているような視線を感じる
トイレの前を通りかかった複数の生徒が突然貧血で倒れ、目が覚めたら皆が皆「炎の中で逃げ惑う夢を見た」と揃えて口にする
提督「そんなことが立て続けに起きたものだから、いつしかあのトイレには女の子の幽霊が……花子さんがいる、と噂されるようになったんだそうだ」
電「……司令官、お願いがあるのです」
69 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:48:39.77 ID:zx0IVnw2O
―― 渡り廊下脇 トイレ ――
電「……花子さん、この前はトイレで騒ぎ立てたりしてごめんなさい」
電「初めて花子さんに会った時、電は何もされていないのに怖がってしまったのです」
電「それが原因で騒ぎが大きくなって、花子さんは悪くないのに皆からも怖がられるようになって……」
電「電たちがこの鎮守府に来る前から……まだ私たちが艦だった頃から、ずっとこの場所にいたのに……」
電「後から来た電たちが、花子さんを悪者扱いしてしまって、本当にごめんなさい!」
電「……でも、もうあの戦争は終わりました」
電「私たちの力が及ばず、戦争には負けちゃったけど……今はあの時よりも平和な世の中になったのです」
電「深海棲艦という新しい敵はいますが、今度こそ電たちがこの国を、そしてそこに住む大勢の人たちを守ってみせるのです」
電「だから、もうゆっくり休んでください」
電「……きっとお姉ちゃんも、天国で花子さんのことを待っているのです」
―― 鎮守府内 放送室 ――
大淀「提督、ヒトフタマルマルになりました」
提督「よし……」ピッ ガガッ ザーーッ
提督『――総員、黙祷!』
阿武隈「…………」
青葉「…………」
大淀「…………」
艦娘一同『……………………』
電「…………」スッ
電「司令官にお願いして、鎮守府の皆で近くに咲いていた花を摘んできたのです」
電「“花子さん”だから、花が好きかなと思って……」
電「時代も、人も、建物も、花子さんが生きていた頃とは変わってしまったけれど……」
電「この花の姿は、きっと当時と変わらないはずです」
電「お姉ちゃんや友達と楽しく遊んでいた当時のことを思い出しながら、安らかに眠ってください」
――――――
――――
――
70 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 21:53:44.42 ID:zx0IVnw2O
阿武隈「……さ、そろそろ行こっか」
電「……はいなのです」
青葉「これで無事、成仏できたでしょうか?」
電「分からないのです……でもきっと、電たちの想いは伝わったと思います」
阿武隈「そうね。電ちゃんの優しさも、きっと花子さんの心に届いてるはずだよ」
電「はい!」
青葉「じゃあ行きましょうか――」
???「…………アリガトウ……」
青葉「えっ……?」
阿武隈「? どうかしたの?」
青葉「いえ、今何か聞こえたような……」
電「電には聞こえなかったのです」
阿武隈「私も聞こえなかったけど……あっ、そうやってまた驚かそうとしてるんでしょ!?」
青葉「えええ?! いくら青葉でも今くらいは空気を読みますよ! たしかに誰かの声が聞こえたんですって!」
阿武隈「ええ〜っ? 聞き間違いじゃないの?」
青葉「うーん……そう言われると微かにしか聞こえなかったし……」ウーン…
阿武隈「ほら、唸ってないで早く行くよー!」
電「もうお昼ですし、このまま食堂に向かうのです」スタスタ
阿武隈「そうしよっかぁ。皆も集まってるだろうし」スタスタ
青葉「あっ、私も行きますから待ってくださいよー!」ダッ
青葉「……っと、その前に念のため1枚だけ」パシャ
青葉「よし、っと。だから待ってくださいってば〜!」タタタタッ
後に青葉が写真を現像したところ、
そこには穏やかな笑顔で手を振る女の子の姿が、写っていたとか写っていなかったとか――
71 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 22:05:27.13 ID:zx0IVnw2O
――
――――
――――――
提督「……ということが先日ありましてね。それ以降、あのトイレを何人かが使用しましたが、怪現象などの報告は一切ありません」
管理人「それは良かった。きっと彼女も成仏してくれたのでしょう」
提督「そうであることを願っています。彼女……花子さんも、戦争という悲劇が生み出した被害者でした」
提督「軍人として、彼女のような不幸な犠牲者を二度と出さぬよう、改めて深海棲艦との戦いに傾注する所存です」
管理人「一国民としてお願い致します。……そして、どうもありがとうございました」
提督「? ありがとう、とは?」
管理人「……私共はずっと昔から、あのトイレにまつわる噂を知っていました。そしてそれが単なる噂話ではないことにも薄々感づいていたのです」
管理人「しかし我々地元の人間はそれを知りながら、今日まで一切関わろうとはしませんでした」
管理人「学校が廃校になるまで問題を放置し、結果として皆さんにもご迷惑をお掛けしてしまいました」
管理人「ですが艦娘の皆さんは、彼女の存在を怖がり、厭い、避けるのではなく、受け入れ、歩み寄り、長年の呪縛から解き放ってくれた……」
管理人「管理人として、そして彼女と同じあの学校の元生徒として、深くお礼申し上げます」フカブカ
提督「……私は何もしていませんので。そのお言葉は私の部下たちに伝えさせていただきますよ」ニッコリ
72 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 22:18:37.00 ID:zx0IVnw2O
管理人「……しかし、本日はわざわざご報告にお越しいただきましてありがとうございます」
提督「いえ、貴方から花子さんに纏わるお話を聞けなければ、今回のことは解決しませんでしたから。事の顛末を報告するのは義務だと判断したまでです」
管理人「はっはっはっ、相変わらず律儀な御方だ」ハハハ
提督「……にしても、どこの学校にも怪談話というのはあるものですね。少し不謹慎ではありますが、怖い話に夢中になっていた幼少の頃を思い出してしまいましたよ」
管理人「ほほぅ、提督さんにもそういった時期があったんですねえ」
提督「勿論ですとも。ちょうど私が小学生ぐらいの頃、世間は俗にいう怪談ブームでして。毎週のようにテレビでは心霊特集が組まれていました」ナツカシイナァ…
管理人「ああ! よく心霊写真特集なんかがやってましたねえ。今じゃすっかり無くなってしまいましたが」
提督「時代の流れというやつですかね。物寂しい気もしますが」
管理人「違いありません。しかし提督さんが怪談好きだったとは、意外な嗜好をお持ちですなぁ。まさにあの鎮守府にぴったりな御方だ」
提督「? と、いいますと?」
管理人「実はあの学校に伝わる怪談話は、何も花子さんだけではないんですよ」
管理人「なにせ建物自体が相当古いですし、提督さんがかつてそうであったように、子供というのはいつの時代も怖い話が好きですから」
管理人「もっとも、当時から真実味のあった話は花子さんの噂ぐらいで、他の話は何の確証もない単なるウワサに過ぎませんがね」ハハハハハ
――――――
――――
――
73 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 22:27:04.47 ID:zx0IVnw2O
―― 鎮守府内 とあるトイレ ――
龍田「天龍ちゃ〜ん、まだ〜?」コンコン
天龍「もう少し待ってくれって。てか扉の前に立ってられると気が散るだろ!」
龍田「え〜? 天龍ちゃんがトイレに付いてきてほしいって言うから来てあげてるのにぃ」ムスー
天龍「そ、それについては感謝してるって! ……あと何度も言うけどこのことは誰にも言うなよ? 特にガキ共にはな」
龍田「このことって、天龍ちゃんが一人じゃ怖くてトイレに行けないってことぉ?」
天龍「口に出して言わなくていいから! あと別に怖くねえ! こ、この俺様が幽霊ごときにビビってるわけねーだろ!」
龍田(誰も幽霊なんて言ってないけど……まっ、天龍ちゃんと一緒にいられるなら、私は別にどっちでもいいけどね〜)
龍田「はいはい、分かりましたよ〜。じゃあ入り口の外で待ってるからね〜」スタスタ
天龍「おう。そのままどっか行くんじゃねーぞ! 絶対そこにいろよ!」
天龍(……ふぅ。さっさとこんなところから出て飯にでもするか)
天龍(……あれ? か、紙がねえ!)ガーン
天龍(くっそぉ……前の掃除当番が補充し忘れたのか?)
天龍(仕方ねえ、龍田に頼んで持ってきてもら――)
――――赤い紙と青い紙 どっちがいい?
天龍「へっ?」
◇◇◇ お わ り ◇◇◇
74 :
◆KzSA1DIYOY
[saga]:2017/07/05(水) 22:32:20.33 ID:zx0IVnw2O
以上になります
花子さんの話はぬ〜べ〜を参考にしました
また、最後のは学校の怪談(アニメ)にも出てきた有名な怪談話です
どちらの作品も90年代〜00年代初期を代表する良作怪談アニメですね
短い間でしたがお付き合いいただきありがとうございました
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/05(水) 22:37:23.31 ID:zcZ7Q6BAo
両方みてたわー懐かしいなあ
おつかーレ
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/06(木) 03:05:15.65 ID:NdHWqsFK0
乙ー
赤い紙と青い紙はアカン...
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/06(木) 22:09:54.05 ID:Vcl8cveDO
乙。
最後のガチ悪霊じゃねーか!!
しかし懐かしい…。
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/07(金) 03:18:03.56 ID:1pMO7LG70
おいおいガチでヤバいのきちゃったじゃないか
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/07(金) 08:20:35.41 ID:Ygc05Ho5o
天龍殺害されたら龍田が悪霊スレイヤーになって
尽きぬ憎悪を深海勢や悪霊にぶつけそう
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