【ミリマス】甘〜い亜利沙にご用心

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1 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/06/27(火) 18:30:39.08 ID:c8riKZqL0
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 松田亜利沙は知っている。

 プロデューサーが個人用メールで自分のことを呼び出す時には、
 誰かしら面識のあるアイドルちゃんが美味しい目に、いや、酷い目に合わされる時であると。

 コンコンコンと劇場に用意された彼の自室をノックして、
 亜利沙は小さく扉に向かって声かける。

「プロデューサーさん、ありさです」

「……入れ」

 ガチャリ。少しだけ開いた扉の隙間から、
 職務に"イっちゃってる"目をした彼が顔を見せた。

 ごくりと、亜利沙の喉がなる。

 ああ! 今日は一体、誰がその毒牙にかけられるのか……。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1498555838
2 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/06/27(火) 18:33:42.45 ID:c8riKZqL0

「失礼します」

 愛用のカメラを胸に構え、恐る恐ると踏み出した男の部屋の中。
 ぐるり室内を見回して、亜利沙は妙だなと首を傾げて眉をひそめた。

「あの〜、プロデューサーさん。今日のアイドルちゃんはどこに? 
 ありさ、いつもの用事のお手伝いだと思って来たんですけど……」

 バタン、背後で扉が閉められる。
 ガチャリ、次いで鍵までかけられる。

 男に向かって振り向いた、亜利沙の顔が恐怖に引きつる。

「ま、まさか……プロデューサーさんありさのことをっ!?」

「亜利沙……亜利沙ぁ〜」

 不気味な薄ら笑いを顔に浮かべ、男は亜利沙の両肩を持った。

 合わさる視線に硬直する体。

 亜利沙の「ひっ」と短い悲鳴が上がる。

「ふへっ、ふへへ……。あ〜り〜さぁ〜!!」

「いっ、いやあああぁぁぁっ!!」

 短い悲鳴は瞬く間に、乙女の絶叫へと昇華された。


 それから時間にして役四半刻。

 再び廊下に現れた亜利沙の姿は、おお! 見るも無残なその姿は……。

「うぇ、ひぐっ、えっぐ……。ひ、酷いです、酷すぎますよプロデューサーさん……」

 涙で瞳を潤ませるその姿は、ああ! 何ということだ! 

 どこからどうみても普通の少女。今、彼女のアイデンティティとも言える
 巨大なツインテールは解かれて、一つにまとめ上げられていた。

 その隣では男が随分と満足そうな顔で腕を組み、笑いながら立っている。
3 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/06/27(火) 18:34:41.32 ID:c8riKZqL0

「いやー! 前に一度見てティンと来てさ。亜利沙には、こういう髪型も似合うよなって」

「だからってありさの個性が! 個性が! アンテナが……!」

「仕方ないだろう? いつものカッコじゃ、すぐに亜利沙だってバレちゃうかもしれないんだから」

 男は謝りながら頭を掻くと、
 亜利沙の背中を促すように押して歩きだす。


「それじゃあ行くぞ」

「行くって……どこにです?」

「もちろん、良ーいところさぁ」

 自分を不思議そうに見上げた亜利沙に、
 男は企みのある笑顔を向けて言ったのだった。
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