ブライアン・ホーク「鷹村に復讐する」

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145 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:40:41.60 ID:lSxOPJUf0
ホーク「スピードなら負けないよ!」

イーグル「……!!」

ホーク「なっ…!速ぇぇ」

ホーク(こいつ…ここにきて、またギアを上げてきやがった!!)

実況「イーグルとホークのスピード勝負!互いに標的を追い続ける!!」

実況「高次元のフットワークの勝負だぁ!!」

パァン!パァン!パァン!

ホーク「ぐぅぅ…!」

実況「ホークのパンチ華麗に避け、丁寧にカウンターを与えていく!」

ホーク(なんだこいつ…もうヘトヘトなのに…なんでパワーアップしてんだよ!!)

ミゲル(追い詰められた事でかえって、いつも以上に練習の成果を発揮できるようになってきた)

ミゲル(さすがキャリアが長いだけある。積み重ねてきた物が違うか…)

ミゲル(だがホークも積み重ねてきた)

ホーク(くそ…いい加減くたばれ!!)

イーグル(大振りな右…ここだ!)

ボゴォォン!!!

実況「イーグルのクロスカウンター!!」

ホーク「ぐぁぁ…!」ガクッ

イーグル「……ッ」ガクッ

互いの頬が歪み、血が噴き出る
そして同時に体がマットに沈む

実況「な、なんと!両者ノックダウン!」
146 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:42:17.80 ID:lSxOPJUf0
審判「スリー!フォー!」

ホーク「まだ…やれるよ…」

イーグル「負けない…絶対に負けない…」

審判「……ボックス!」

相手セコンド1・2(なぜ8カウントまで休まない…!?)

ミゲル(二人とも相当熱くなっているな)

ホーク「……」

ホーク(よーく分かったよ、もうココからは)

ホーク(ウォーリーとミゲルから教わった通りに)

イーグル「ぜぇぜぇ…ここにきて、基本に立ち返るか…?」

ホーク「いや、ちょっと実験してみよう」スッ

イーグル「っ!?デトロイトスタイル…」

実況「な、なんとホーク!ここにきてスタイル変更だ!!」
147 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:43:12.05 ID:lSxOPJUf0
ホーク「いくぜ…フン!!」

スパァァン!スパァァン!

イーグル「ぐあぁ…!」ビリビリ

イーグル(し、痺れる…いいパンチだ…)

イーグル(一体いつ覚えたんだ!?フリッカーなんて)

ホーク「フンフン!」

イーグル「何度も打たせないぞ!!」グッ

実況「鋭いフリッカーから、キッチリガードして堪える!!」

イーグル(フリッカーは幻惑的な技だ。腕が本当に伸びて感じる)

スパァァン!スパァァン!

イーグル「ここから…もぐりこんで…インファイトで…」スッ

ホーク(なっ…こいつ、オレの懐まで…)

イーグル(アッパーだ!!!)

ツーッ…

アッパーを放つその刹那、イーグルの視界が赤く染まる

イーグル(しまった!頭部の出血が…また…)

イーグル(見えない…標的が…見えない…)

イーグル(信じろ、今までの練習を信じて…アッパーを!!)
148 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:44:39.40 ID:lSxOPJUf0
イーグルのアッパーは当たらなかった
出血によるコントロールミスではない

ホークが、のけ反ったからだ

イーグル(っ!?ここに来て上体そらし!?基本に戻った筈じゃ!?)

ホーク「フン!!!」

ボゴォォン!!!

上体反らしからのアッパーが、イーグルのアゴを襲う
鮮血が飛び散り、マウスピースが宙に舞う

ホーク「ぜぇ…ぜぇ…!」

イーグル「」ガクガク

ミゲル「決まったな」

イーグル「あ…ぁぁ…」ガクガク

イーグル「フン…!!」グイッ

実況「おおっと倒れない!!イーグル耐えた!!」

ホーク「」

ホーク「いつになったら…!!死ぬんだよ!!」

ホークは堪らず、大振りの右ストレートを打ち込もうとする

イーグルは果敢にファイティングポーズを構える

イーグル「負けない…絶対に、絶対に」

ホーク「ゴートゥーへェェル!!!」ブンッ
149 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:48:47.46 ID:lSxOPJUf0
フワッ…

ホーク「あ?」

ホークの動きが止まる
頭上に何かが落ちたからだ

ホーク「なんだ、頭の上に何かが落ちた」

ホーク「これは…タオル…?」

カンカンカンカンカン、カーーン!!

実況「試合終了!!勝者は…」

審判「ホーク、君の勝ちだ」ガシッ

ホーク「…」

実況「ブライアン!ホークだ!!!」

観客「ウオオォォォォ!!!」

実況「7ラウンド…2分50秒!相手陣営のタオル投入により、TKO勝ち!!」

ホーク「ぜぇぜぇ…」

ホークは相変わらず、目を真っ赤に充血にしたまま、イーグルを見つめる

イーグル「負けるものか…負けるものか…」ブンブン

実況「おおっとイーグル。試合が終わった事を、まだ理解していない様です!」

イーグルは丁寧に、左ジャブ、右ストレートとワンツーを打ち続ける
だがその攻撃は誰にも当たらない
150 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:50:55.04 ID:lSxOPJUf0
相手セコンド1「イーグル!もう終わりだ!」

相手セコンド2「水!水をかけるんだ!」

バシャッ!

イーグル「……はっ!」

イーグル「あれ?なぜ皆が…」

相手セコンド1・2「イーグル、もういい」

イーグル「タオルが落ちてる…勝敗はどうなった!?どっちのタオルだ!」

相手セコンド1「これ以上闘えば、後遺症を残す」

相手セコンド2「これはタイトルマッチではない。これ以上、命をかける価値はない」

イーグル「負けたのは…僕か」

ミゲル「やめろホーク!!」

ホーク「離してくれミゲル!!!」

全員「!!?」

眼を真っ赤にしたホークが、興奮した様子で、イーグルに立ち向かってくる

ホーク「もう少しで気持ち良くなりかけてたんだ…」

ホーク「思い出せそうだったんだよ!エクスタシーが!!」

ホーク「テメェをぶっ殺さないと気がすまない、来いよ」

ホーク「かかって来いよ!!血祭りにしてやる!!!」
151 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:52:02.06 ID:lSxOPJUf0
イーグル「……」

イーグルは黙ってホークの元まで歩み、手を差し伸べる

イーグル「素晴らしかったよホーク」

イーグル「くやしいけど、完敗だ」

ホーク「……」

ホークの額から、血管が浮かび上がる
悪魔の形相のまま、怒りのボルテージが上がる

ホーク「テメェの優等生ヅラが…」

ホーク「気に入らねぇって!言ってんだよ!!」

イーグル「っ!!」

相手セコンド1「イーグルを守れ!」サッ

相手セコンド2「ああ、命に代えてでも!」サッ

ミゲル「やめるのだホーク!!」

ダダダッ…シュタッ!

一触即発の空気の中、突如、リング中央に何者かが降り落ちる

全員「ッ!?」

イーグル「き、キミは…」
152 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:53:03.06 ID:lSxOPJUf0
ホーク「マイブラザー…」

ウォーリー「ホーク!!やったね!勝ったね!!」ギュッ

ウォーリーは、激怒したホークに抱きつく

ウォーリー「ホークやっぱり強い!天才!」

場の空気などお構い無しに、無邪気に戯れる

ウォーリー「あれ、眼が真っ赤だよ?大丈夫?」

ウォーリー「あ、これこれ!ミゲルから前に貰った!」

ウォーリーはホークに目薬を渡す

ウォーリー「これやると眼がスッキリ!ホークもやるといい!」

ホーク「おお…」スッ

素直に受け取り、目薬をさしていく

ホーク「……」

閉じたまぶたを、ゆっくりと開かせる

ミゲル「おお…ホークの目が…」

相手セコンド1・2「悪魔の目から、人間の目に戻ってる…」

ホーク「……」

ホーク「ハハハ、だろ?オレは強い」

ホーク「ファイトマネーも入る。レストランでとびっきり美味しい物でも食べよう。おごるぜマイブラザー」

ウォーリー「本当?やったー!」

ホークはウォーリーと肩を組む

ホーク「悪いなミゲル。帰ろうぜ」

ミゲル「あ、ああ」

パチパチパチパチ…!!

拍手と熱い声援の中、ホーク達は帰っていく
153 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:55:15.44 ID:lSxOPJUf0
イーグル「……」

相手セコンド1「さあ帰ろうイーグル」

イーグル「あの少年は、そんなにホークにとって特別な存在なのか?」

イーグル(昨日もホークの側にいたな)

相手セコンド2「彼はフェザー級の、インドネシアの王者ウォーリー」

イーグル「っ!?なんだって」

相手セコンド1「まだ年齢は17から18らしい」

相手セコンド2「実力はすでに、世界ランカークラスとも言われている」

イーグル「……そうか」

イーグル(いずれにしても、ホークにとって大切な存在が出来たようだ)

イーグル(強くなる訳だ)

イーグル「うっ…」ガクッ

相手セコンド1「無理に歩くな!いまタンカを」

イーグル「大丈夫、ちゃんと歩いていくさ」

パチパチパチパチ…!
154 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:56:22.69 ID:lSxOPJUf0
(鴨川ジム)

一歩「流石、イーグルさん…あのホーク相手に7ラウンドも」

青木「鷹村さんはたしか、8ラウンドのKO勝ちだったよな?」

木村「鷹村さんより早い…」

鷹村「フン、早さが問題じゃねぇよ」

板垣「それにしても今日のホーク、以前の狂人振りを彷彿させる感じがありましたよね」

一歩「確かに、試合後は冷や冷やしたよ」

鷹村「……ホークの狂気が戻ってきてるのは確かだな」

鷹村「さて、オレ様は…」

一歩「ロードワークですか?」

鷹村「いや、帰ってシコッてくる」

一歩・板垣「」ガクッ

青木・木村「んな情報いらねぇーよ!」

鷹村「うるせー!ホークだってこの後、どうせシコって寝るだろう!」
155 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:57:39.63 ID:lSxOPJUf0
(控え室)

ホークガール1「今日は大変だったわねホーク」

ホークガール2「キズ、大丈夫?」

ホーク「ああ、こんなに苦戦したのは鷹村以来だ」

ホークガール3「あれ、ホーク…それ…」

ホーク「ん?おお…」

ホークのズボンはテントを張っていた

ホークガール4「EDが治ったじゃない…!」

ホークガール5「今夜は私たちと楽しみましょう!」

ホーク「……」

ホーク「これは、まだ半立ちだ」

ホークガールズ「え?」

ホーク「こんな中途半端な、半立ちじゃ…みんなを気持ちよくさせられない」

ホークガール1「でもホークのアソコはヘビー級じゃない!半立ちでも良いじゃない」

ホーク「ノーノー。やるなら徹底的にだ」

ホーク「オレの荒療治は、まだ終わっていない」

ホーク「すまないな皆」

ホークガールズ「ホーク…」

ホーク「ミゲル、今日はドコへいきたい?」

ミゲル「私は今日はいい」

ミゲル「ウォーリーと二人で行ってきなさい」

ミゲル「男同士、心行くまでな」
156 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:58:41.18 ID:lSxOPJUf0
ホーク「……そうか」

ホーク「ウォーリー!今日はサシで楽しもうぜ!」

ウォーリー「うん!おいしい物いっぱい食べる!」

ホーク「ハハハハ!」

ウォーリー「ハハハハ!」

二人は肩を組んで部屋をあとにする

ホークガール1「男の友情か…」

ホークガール2「なーんか妬いちゃうわね」

ホークガール3「私達の事も、もっと可愛がって欲しいわぁ」

ホークガール4「良かったの行かなくて、ミゲル?」

ミゲル「ホークが勝った。それで私はお腹いっぱいだよ」

ミゲル(ホークの野生も戻ってきた。いきなり過激だったがな)

ミゲル(そして同時にホークの中で、情も生まれてきた)

ミゲル(ホークはまだまだ成長する)
157 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/14(金) 06:59:08.85 ID:lSxOPJUf0
今日はここまで
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 07:28:41.28 ID:LcxX+NfO0
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 07:32:24.43 ID:wAca3pmvO
長めの更新乙でした
バイソン編も期待してます
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 07:43:13.26 ID:uZ1gAKWQO
試合が臨場感あって白熱してた
脳内再生余裕でした
乙です
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 19:36:11.02 ID:Vm9wR4tA0
ウォーリーが癒しキャラだな
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 20:52:45.80 ID:AXyz+HnkO
原作ではもうウォーリー出番なさそう?
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 20:56:35.86 ID:7q7SovIKo
板垣の世界戦の相手になるんじゃないかな
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 10:28:10.96 ID:lIqDZE91O
ホークとウォーリーの夜のround(意味深)がはじまるのかな
あのときの半立はウォーリーに抱きつかれて実は立ったんじゃ………
165 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:03:51.51 ID:+WzVZmv70
(翌日・ジムにて)

ミゲル「ホーク、しばらくジムに顔を出さなくてもいい」

ホーク「おいおい、連れない事いうなよ」

ミゲル「キミは昨日、イーグルから多大なるダメージをもらった」

ミゲル「休養せねばならない」

ホーク「そうは言ってもね、やる事ないんだよ」

ミゲル「EDは完治したんじゃなかったのかい?」

ホーク「あんなの一時的に、半立ちになった程度だ。やるなら徹底的にヤリたいんだ」

ミゲル「ふむ…」

ミゲル「ならばホーク、君には十日間、ボクシング観戦でもしてもらおうか」

ホーク「ボクシング観戦?試合を観にいくのかい」

ミゲル「試合がある日は必ず観にいく。階級は問わない」

ホーク「試合がない日や、昼間はどうしてればいい」

ミゲル「ビデオでボクシングを見る」

ホーク「ずっと試合を見て勉強しろってことか」

ホーク「分かったよ、これも強くなるためだ」

ホーク「人種も階級も問わない。何か見せてくれ」

ミゲル「良いだろう」
166 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:05:27.63 ID:+WzVZmv70
ホーク「どれどれ…」

ソファに座り、ビデオを再生する
テレビ画面からは二人の日本人が映る

ホーク「東洋人か」

ミゲル「二人は日本人。階級はフェザー級」

ホーク「日本人のフェザーだってぇ??」

ホークは思わず、すっとんきょうな声を出してしまう

ミゲル「人種や階級は問わないと言わなかったかい?」

ホーク「そうだけどさ、こりゃ流石に…」

釈然としない態度のホーク

ミゲル「キミは以前、記者会見で、日本人は脆弱と言って馬鹿にしていた事を覚えてるかい?」

ホーク「よく覚えてるよ」

ミゲル「……確かに日本人は、他の東洋人、白人や黒人と比べて、身体が劣っている事が多い」

ミゲル「だが日本人は努力家だ。頭も良い。そして何よりも…」

ミゲル「奇跡を起こす、不思議な力を持っている」

ホーク「奇跡を起こす…不思議な力?」

ミゲル「私は若い頃、終戦直後の日本の現地で、直に見たことがある」

ミゲル(鴨川…アンダーソン軍曹を倒した男…)

ミゲル「あれはまさに侍だ」

ミゲル「それに君自身も、日本人の底力を直に味わっただろ?」

ホーク「……耳が痛いね」
167 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:06:35.37 ID:+WzVZmv70
ミゲル「そして、このツンツン頭の少年は…幕之内一歩というボクサーだ」

ミゲル「鷹村と同じジム所属だ」

ホーク「……思い出したぞ、前に鷹村を挑発した時、隣にいたな」

ミゲル「ああ見えて、国内防衛を8回もこなしている」

ホーク「日本チャンピオンなのかい!?」

ミゲル「いまは王座を返上。世界ランカーとして闘いに挑んでいる」

ミゲル「ウォーリーとも闘った事がある」

ウォーリー「あ、幕之内だ!!」

ホーク「おお、いたのかウォーリー」

ウォーリー「彼は強かったよ。パンチが尋常じゃなく強い」

ホーク「ハードパンチャーか、見かけによらないな」

ウォーリー「僕が初めて負けたのも、幕之内だった」

ホーク「お、お前を倒したのか…!?」

ホークは額から汗が溢れ出す

ホーク「ジャパニーズ…恐ろしいぜ…」
168 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:07:40.10 ID:+WzVZmv70
ホーク「おおっ…」

ホーク「なかなかスリリングな試合をするんだね」

ミゲル「階級こそフェザーだが、パンチ力はヘビーだからね」

ホーク「幕之内の相手の選手は何ていうんだい?」

ミゲル「彼の名は千堂武士。彼もまた日本屈指のハードパンチャー」

ホーク「彼は野生的な目をしてる。いいね」

ホーク「……ところでさっきから気になっていたんだが」

ミゲル「ん?」

ホーク「幕之内のあの動きはなんだい」

ミゲル「デンプシーロールか。あれは幕之内の必殺技だ。随分と古い技だけどね」

ホーク「あれだけの集中打を浴びせられたら、相手もたまったもんじゃないな」

ホーク「……鷹村を殺す為には、あれ位やらないと駄目だな」

ホーク「ミゲル、他にも日本人のビデオはないかい?」

ミゲル「あるよ、いま持って来る」
169 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:10:41.22 ID:+WzVZmv70
それからホークは、来る日も来る日も、ボクシングのビデオを見続けた

〜〜〜

ホーク「うーん、このボクサーは地味だな。足はそこそこ速いけど」

ホーク「だが良いファイトだ。あの悪魔みたいなフリッカー使い相手に、よく頑張ってるよ」

ホーク「いまの上下のコンビネーションも素晴らしい」

〜〜〜

ホーク「これはピエロのショーかな?」

ホーク「……本当に日本ランカーなのかコイツ」

ホーク「おっ…おお??」

ホーク「……」

ホーク「HAHAHAHAHAHA!!」

ホーク「これは使える…うん、良いね」

ホーク「なるほど、そうやって勝ち続けてきたのか」

〜〜〜

ホーク「こいつは天才の匂いがする」

ホーク「足も圧倒的に速い。ウォーリーに近い物がある」

ホーク「だがパンチ力はイマイチだな」

ホーク「……」

ホーク「あのジャブはなかなか良いな」

ホーク「時々、奇妙な動きをするが…挑発行為には持って来いだな」

〜〜〜

ホーク「ミゲル、日本人のビデオは他にないかい?」

ミゲル「なんだ、もう観終わったのかい」

ミゲル「いま、新しい物を持って来る」
170 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:11:41.68 ID:+WzVZmv70
(十日後)

ミゲル「体の調子はどうだい?」

ミゲルが部屋に入ると、ホークは黙々とビデオを見ていた

ホーク「……」

ミゲル(聞こえていないか…それほどまでに熱中している)

ミゲル「ん?この試合は…」

ホーク「お、ミゲル。来てたのか」

ミゲル「このビデオ、また見ていたのかい」

ホーク「ああ、昨日からこの試合ばかりずっと見てるよ」

ミゲル「何か気になる事でもあったのかな」

ホーク「この試合の幕之内は、凄い事ばかりだな」

ミゲル「うむ、自らの弱点を克服しつつあるからな」

ホーク「だがそれ以上に、オレは相手選手に注目しているんだ」

ホーク「この悪魔の名前は?」

ミゲル「沢村竜平。元日本ジュニアライト級チャンピオン…当時はまだフェザー級だった」
171 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:12:22.68 ID:+WzVZmv70
ホーク「コイツはオレに近いものを感じる」

ホーク「とてもクレイジーな目だ」

ホーク「見ろよ、敵を殴るたびに顔がイッちゃってるぜ。心から暴力を楽しんでやがる」

ホーク「だが特筆すべきは…あの左ジャブだ」

ホーク「なんだアレは!?まるで弾丸だ!」

ミゲル「その通り。彼のあのジャブは『バレット』と呼ばれている」

ミゲル「そして右の大砲は閃光と呼ばれている」

ホーク「背筋がゾクっとしたよ…マイタウンで、銃を向けられた時のことを思い出した…」

ホーク「決めたよ。オレはこの技をマスターする」

ホーク「そして鷹村を殺す」

メキ…メキメキ…ゴキッ…

ホークの拳から、鈍い音が響く
172 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:13:21.85 ID:+WzVZmv70
ミゲル「あのジャブは、コークスクリューブローから成り立っている」

ミゲル「コークスクリューブローをジャブ感覚で、何発も放つのは至難の業」

ミゲル「手首や肩が強くないとできない」

ホーク「オレを誰だとも思ってる」

ミゲル「うむ、君なら可能だろうな」

ホーク「丁度、体も癒えてきた」

ホーク「明日からさっそく、このパンチの練習をするよ」

ミゲル「そうか、では私も交渉に向かおうか」

ホーク「次は誰だい?」

ミゲル「まだ正式決定ではないが…」

ミゲル「リチャード・バイソン。元WBAのチャンピオンだ」

ホーク「今度はWBAか…オーケェー」
173 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:14:26.64 ID:+WzVZmv70
ミゲル「それと交渉が決まり次第、強化合宿に行こうと思う」

ホーク「今度はドコへ旅行に行くんだい?」

ミゲル「悪いが今度は暖かい場所ではない」

ミゲル「アラスカに行こうと思う」

ホーク「随分と寒い場所を選んだね」

ミゲル「寒い分、体重は落ちにくいだろう」

ホーク「ボクサーが、体重落ちにくい場所を選ぶってのも変な話だな」

ホーク「それと暖かい場所で慣れてるウォーリーには、ちょっと酷な場所だな」

ミゲル「動いてればイヤでも熱くなるさ」
174 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/15(土) 12:14:53.66 ID:+WzVZmv70
今日はここまで
次回は合宿
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 12:24:02.97 ID:InbFrGqm0
アカン
ホークの悪い所がどんどんなくなってきてる(ガクガクブルブル
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 12:28:04.10 ID:U6xq1IzVo

まさかホークが格好良く見えるなんて
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 13:57:56.70 ID:2AsGnBBZO
乙です
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 14:07:37.25 ID:He8uJnwA0
ホークのカエルパンチが見られるのかな?
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 14:09:57.52 ID:AqExUoN8O
ホークのよそ見が炸裂!?
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 15:41:32.29 ID:ecbzQXAKO
C
ホークって潜在能力作中トップレベルにありそうだし怖いな
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 19:21:21.35 ID:kdGNVG7to
よそ見はマジでやばい
182 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:43:09.41 ID:mVOQwRhN0
(数日後・アラスカにて)

ミゲル「さあ、今回の合宿場所だ」

ホーク「見事に銀世界だな」

ウォーリー「わぁぁ、雪!見るの初めて!」

ミゲル「練習は近くにあるスポーツセンターで行う」

ホーク「じゃあ、わざわざこんな寒い所くる必要なかったんじゃ?」

ミゲル「もちろん、外でも練習はするよ」

ミゲル「この雪原の中でね」

ミゲル「そして宿泊所はこのロッジだ」

ホーク「ほう」
183 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:44:17.97 ID:mVOQwRhN0
ウォーリー「ホーク!いっくよー!」

ウォーリーは雪球を投げつける

ホーク「ハハハ、冷たいじゃないか…」

ホーク「お返しだ!」

ウォーリー「わわ、冷たい!」

ミゲル「こらこら、ほのぼのと遊んでる暇はないぞ」

ミゲル「みんな準備はいいね?」

トレーナー1「まかせろ」

トレーナー2「二人とも、並びなさい」

ウォーリー「ん?それは」

ホーク「白いゴムボールか…攻撃を避けるための練習だな」

ホーク「今日はテニスボールやピンポン玉じゃないんだな」

ミゲル「辺りを見たまえ」

上空は雲に覆われ、雪がポツポツと降っている

ミゲル「白い物に覆われているだろ?」

ホーク「この条件を生かして動体視力を鍛えろって事か」
184 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:44:58.80 ID:mVOQwRhN0
ミゲル「さあ、練習開始だ!」

トレーナー達「いくぞ!」

ミゲルやトレーナー達は一斉に、ホークとウォーリーに目掛けて、白いボールを投げつける

ボスッ、ボスッ

ホーク「ぐっ…」

ウォーリー「避けるのが難しいよ」

ミゲル「どうだ?想像以上だろ」

パァァァ…

ホーク「なあ、さっきよりも雪の勢いが強くなってないか?」

ミゲル「そうだな、風が強くなれば中止にしなければなれない」

ミゲル「だがこの程度なら、単に降雪量が増えてるだけだ」

ホーク「ちっ…ボールが見え辛いぜぇ」
185 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:45:41.26 ID:mVOQwRhN0
ミゲル「次は走り込みだ」

ミゲル「あまり遠くにはいくなよ。遭難してしまうからな、決められた安全なコースを走るんだ」

ホーク「分かったよ。この矢印マークのとおりに走っていけば良いんだな」

ウォーリー「いってきまーす!」

ザクッザクッ!

ホーク「足場が悪すぎるぜ…」

ウォーリー「砂浜の感覚とまた違うな」

ホーク「なかなか前に進まねぇぜ」

ビュゥゥォォ

ウォーリー「風が強くなってない?」

ホーク「吹雪の中のランニングか…キツイぜ」
186 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:46:29.31 ID:mVOQwRhN0
(次の日)

ホークとウォーリーは、近くのスポーツセンターで練習に励んでいた

ドスッ!ドスッ!

ウォーリー「グッ…!」

トレーナー1「あと5分!耐えろ!」

トレーナーはウォーリーの腹に目掛けて、メディシンボールをぶつけて行く

ミゲル「さあ、ホーク。ミット打ちを始めるぞ」

ホーク「お腹をボールで、散々と痛めつけられたあとに、ミット打ちか…」

ミゲル「休憩はもう終わった。さあ来い」

ホーク「分かってるよ」

右手を顔面の前に、左手を前に突き出す

ミゲル「お、そのスタイルは」

ホーク「ああ、今日からはじめるよ」

ホーク「沢村の左ジャブ…『バレット』の練習を」

ホーク(合宿前に、コークスクリューの練習はしてきた)

ホーク(あとはこのコークスクリューを、素早く連打できるかどうかだ)

ホーク「フンッ!」

ズバァァン!ズバァァン!ズバァァン!
187 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:47:11.09 ID:mVOQwRhN0
(深夜)

ミゲルとホークはソファに座り、テレビ画面に注目する

ミゲル「これが次回の相手、リチャード・バイソンだ」

ホーク「デトロイトスタイル…フリッカー使いか」

ミゲル「そうだ。かなりのハイレベルだぞ」

ホーク「鷹村もだいぶ苦戦してるね」

ホークは小刻みに体が震えている

ミゲル「まだ、鷹村は怖いかい?」

ホーク「……いや、寒いだけさ」

ミゲル「暖炉に火はついているが?」

ホーク「イジワルだな…」ガクガク

ホーク「ああ、そうだよ。怖いよ。いまでもアイツを見ると震えが止まらない」

ミゲル「でも、ゲロは吐かなくなったな」

ホーク「前よりは…だいぶマシになった」
188 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:48:09.54 ID:mVOQwRhN0
ホークとミゲルは黙々とビデオを観戦する

ホーク「……」

ホーク「オレは思い上がってたよ」

ミゲル「ん?」

ホーク「オレはかつて、この世で一番強いと思っていた」

ホーク「鷹村に負けてから…久々に復帰して、またボクサーになってからも」

ホーク「鷹村をのぞけば、オレが一番強い。オレと鷹村以外は雑魚で話にならないと思ってた」

ホーク「鷹村だけが特別なのだと」

ミゲル「……」

ホーク「だが違う。悔しいがあのイーグルも、そしてこのバイソンも…」

ホーク「鷹村を苦しめてきた」

ミゲル「相手の強さを認めることは情けない事ではない。いい事だ」

ホーク「……イーグルやバイソンだけじゃない」

ホーク「オレはかつて日本人をバカにしていた…まして、日本のフェザー級?論外だった」

ホーク「でも今は、その軽量級の選手からヒントを得て練習をしている」

ギュッ…ゴキゴキ、メキメキ…

ホークの拳がうねりを上げる

ホーク「もっともっと練習して…」

ホーク「今度こそ、人類最強になってみせる」

ミゲル「その意気だ」
189 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:49:12.94 ID:mVOQwRhN0
(3週間後)

ミゲル「合宿も総仕上げだ」

ミゲル「今日は外でスパーリングだ」

トレーナー達は、外で木にロープを張り付け、四角いリングを作る

ホーク「今日は雪が強くないか?視界が悪すぎる」

ミゲル「だからこそ、スパーリングをする必要がある」

ミゲル「2ラウンドまでだ。二人とも存分に力を発揮すると良い」

ウォーリー「うん、いくよホーク!」

ホーク「ああ、悪いが手加減はしないぜブラザー」

二人はヘッドギアを装着する

カァァン!

ミゲル「ボックス!」

ウォーリーは左手をだらりと下げ、ホークは左手を前に突き出す

ホーク「フリッカーでくるか…ちょうどいい。オレの次の相手もフリッカー使いだ」

ウォーリー「いくよ!」

ヒュンッ!ヒュンッ!

ホーク「良いジャブだ…」

切れ味の良いフリッカーを、ホークは軽々と避けていく

ホーク「だがオレのバレットには及ばないぜ!」

ズドォォン!!

ウォーリー「ぐっ…!!」

ウォーリー(これがジャブ!?なんて破壊力だ!)
190 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:49:49.58 ID:mVOQwRhN0
〜〜〜

カンカンカーン!

ミゲル「そこまで、スパーリング終了だ」

ウォーリー「凄い破壊力で驚いたよ」

ホーク「ああ、だが命中率がわるかった。もっと精度をあげないと」

ミゲル「命中率が悪かったのは相手がウォーリーだというのと、この吹雪のせいだ」

ミゲル「まあ何にしても、二人ともいいファイトだった」

ミゲル「今日はじっくり休んで、明日はジムに帰るぞ」

ホーク「……」

ホーク「最後のロードワークに行っていいかい?もっと足腰を鍛えたい」

ウォーリー「僕もいく!雪、もうちょっとみていたい!」 

ミゲル(この程度の吹雪なら問題ないか)

ミゲル「あまり遅くならないように」
191 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:50:29.91 ID:mVOQwRhN0
ザクッザクッザクッ…

ホーク「3週間もこの雪の中を走ってくると慣れるもんだな」

ウォーリー「寒いの苦手だけど、良い物みれた!」

ホーク「お前の次の相手は誰だっけ?」

ウォーリー「次はね、アメリカの世界ランカーとだって。ホークと同じ日!」

ホーク「そうか、お互いがんばろうな」

ウォーリー「うん!」

ホーク「そろそろ、折り返し地点か…」

ホーク「ん?」

ウォーリー「??」

ホークとウォーリーは、目の前に何かを発見する

ホーク「何だアレは、巨木か?」

ウォーリー「木にしては小さくない?」

?「グオオォォォ!!」
192 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:51:59.59 ID:mVOQwRhN0
ホーク「ッ!?」

ホーク「なんだ、いま吠えたぞ」

ウォーリー「あ、もしかして動物?」

?「……」

ズシン…ズシン…

ホーク「ッ!?…!!?」

ホーク「し、シロクマじゃねぇか…!!」

ウォーリー「わぁぁ!でっかーい!」

吹雪の中、額から冷や汗が流れるホークに対し、ウォーリーは呑気に微笑を浮かべる

ウォーリー「へロー!ホワイトベアー!」

ホーク「やめろ!迂闊に近づくな!」

シロクマ「グオォォ!!」

ウォーリー「え」

シロクマの鋭い爪がウォーリーを襲う

ウォーリー「ちょっと!危ないじゃないか!」サッ

ウォーリーは軽い身のこなしで避ける

ホーク「ほっ…危なかったぜブラザー」

ホーク「そいつはジャングルのお友達とは違う」

ホーク「友好的じゃないぜこりゃ」

ウォーリー「……」

流石のウォーリーも顔つきが変わる
193 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:52:51.85 ID:mVOQwRhN0
ホーク(どうする…流石のオレやウォーリーでも、シロクマなんぞ…)

ホーク(人間が素手だけで、どうやってシロクマを倒せってんだ!くそ、銃があれば…)

シロクマ「グオォォォ!!!」

ザシュッ

吹雪の中、赤い鮮血が飛び舞う

ホーク「ぐああぁぁぁ…!」

ウォーリー「ホーク…!!」

ホーク「痛ぇぇ!痛ぇ…チクショウ!!」

ホークの胸元が、シロクマの爪で抉られる

ホーク(試合が近いってのに…なんて事だ!)

シロクマ「グオッ!!」

ホーク(こんな恐怖…前にもあったな)

ホーク「マイタウンで銃を向けられた時。そして鷹村と戦ったとき」

シロクマ「グォォ!!」

シロクマが再び襲い掛かる

ホーク「こんな所で…くたばる訳には、いかないんだよぉ!!」
194 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:53:43.15 ID:mVOQwRhN0
ズドォン!!

ホーク(よし、アッパーが決まった!)

シロクマ「……」

シロクマ「グォォォ!!」

ホーク「なっ…きいてない!?バカな!」

ホーク「この!この!こんの!!」

ボス!ドガ!ボゴ!

闇雲にシロクマを殴りまくるホーク
しかしシロクマは全くきいていない

シロクマ「ゴォォォ!!」

ホーク「オーノー!!」

ウォーリー「うぉぉ!!」

ドゴッ

シロクマ「ッ!!」

ウォーリーはジャンプして、シロクマの後頭部を蹴る

ウォーリー「ほら、こっちだよ!」

シロクマ「……」クルッ

ホーク「待て、オレのブラザーに…手ェ、出してんじゃねぇよ!」

ボゴォン!!

シロクマ「……」クルッ

ウォーリーの方へと方向転換しかけていたシロクマ
ホークの怒りを込めたパンチ背中に当ると、再びホークの方へと向く
195 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:54:56.75 ID:mVOQwRhN0
ホーク「シロクマを倒せる奴なんざ、この世にいる訳がない」

ホーク「だが、それでも…お前を倒して…オレは…」

ホーク「鷹村に会いに行くんだよ!!」

ボゴォォン!!

ホークの左ジャブが、シロクマの額に直撃する

シロクマ「グォ…」クラッ

ホーク「……!!きいたか!?」

ホーク「もう一回!」

ズドォン!

今度は右ストレートを当てる

シロクマ「……」クラッ

ホーク(間違いない。額が弱点だ)

ホークの目が真っ赤に充血していく

ホーク「殺してやる…」

ズドォン!ズドォン!ズドォン!

ウォーリー「僕も応戦だ!」

ズドォン!ズドォン!ズドォン!

ウォーリーはジャンプしてキックを連発し、ホークはひたすら殺気をこめたパンチを打ち続ける

シロクマ「……!!」

ドスゥゥン

ホーク「ぜぇぜぇ…や、やった。倒した」

ウォーリー「危なかった…」
196 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:56:08.86 ID:mVOQwRhN0
(ロッジにて)

ミゲル「……」

トレーナー1「遅いね」

トレーナー2「心配だ」

ミゲル(やはりこの天候でいかせるべきではなかったか?)

ガチャッ

ホーク・ウォーリー「ただいま」

ミゲル「遅かったじゃないか二人とも…」

ミゲル「ッ!?なんだそのキズは!!」

ホーク「実はシロクマと出会っちゃってさ」

トレーナー達「!?」

ミゲル「なんだと!?」

ウォーリー「二人でどうにか倒したんだ!すごいでしょ!」

ミゲル「と、とにかく。ホークは治療を…」

ホーク「そうだ、お土産があるんだ」

シロクマ「」

ウォーリー「見て見て!シロクマだよ!」

トレーナ達「」

ミゲル「」

ウォーリー「二人で倒したんだ!」

ホーク「俺達はもはや、人類最強だ」

ミゲル「銃を…早く、銃を持って来るんだ!!」

トレーナー達「あ、ああ!」

パァァン!パァァン!
197 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:57:11.03 ID:mVOQwRhN0
ウォーリー「シロクマに襲われた時はどうなるかと思ったけど…」

ホーク「ま、今はそのおかげで、シロクマの肉でバーベキューが出来てるんだ」

モグモグ…

ホーク・ウォーリー「美味い!!」

トレーナー1「シロクマを持ち帰ってこられた時は、心臓が止まると思ったよ」

トレーナー2「道中で目を覚まさなかったのは、ラッキーだった」

ミゲル(次回からは、絶対にクマが出ない所で合宿をしよう)モグモグ

ミゲル「……悔しいが、美味い」

ミゲル「ホーク、胸のキズの方はどうなんだ」

ホーク「ん?ちょっと抉られた程度だ。心配ない」

ミゲル「……」

ホーク「それよりもさ、あのシロクマの皮だけど」

ミゲル「ん?」

ホーク「あれを、次回の試合で使いたい」

ミゲル「シロクマの皮なんて何に使うんだい」

ホーク「オレの新しいガウンにする」

ミゲル「アレを着て登場したいのか…」
198 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/07/19(水) 19:58:03.73 ID:mVOQwRhN0
今日はここまで
次回はVSバイソン
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 20:00:12.48 ID:D0S2oJZ/o

鷹村が同じことをしたのは覚えているのかなww
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 20:30:22.45 ID:9h3CaME4O
ツキノワグマとシロクマじゃレベルが違いすぎるのでは…………
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 21:11:49.80 ID:Wml6Hk9xO
乙です
鷹村と似たような事しちゃったw
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 15:24:31.55 ID:5Cuz6ysgO
まぁシロクマを素手で倒すとか無理なんだけどね皮下脂肪と毛が半端なく固いのに猪さえ捌くのたいへんなのに皮膚の下の油凄くて
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 10:36:49.77 ID:k1Tttq4zO
めっちゃ早口で言ってそう
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 23:47:44.68 ID:l+cbKimIo
>>203
残念だか俺らみんな僧なんだきっと
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/03(木) 22:45:39.23 ID:ZSVKOHnM0
保守。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 02:26:48.22 ID:tpp02uf4O
エタったかな?
まぁこのタイトルじゃ鷹村を倒すか鷹村と再戦しかないからな再戦にしてもまぁお互いが良いところでENDしかないしな
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 07:42:02.73 ID:4e1xLGo/o
エタった言いたいだけだろ君
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 08:05:40.61 ID:9wZqqmRtO
いつまでも待っているんで続いて下さい
209 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:52:29.29 ID:ok1p45Uz0
(試合前日・記者会見)

ホーク「……」

バイソン「……」

会場に着くといきなり二人は、互いに目の前まで歩み、視線で火花を散らし合う

パシャッ!パシャパシャッ!

カメラマンたちは、睨み合う二人の撮影を行う

記者1「おお、二人とも気合入ってるな」

記者2「無理もない、バイソンもホークも、着実に順位を上げている」

記者3「再びタイトルマッチのチャンスを手に入れるには、ここで勝っておかないとな」

記者1「ミスターバイソン!この度の試合について何か」

バイソンはホークを睨みながら、ゆっくりと口を開く

バイソン「まさか、あのブライアン・ホークとやり合えるとは夢にも思わなかったよ。心から光栄に思う」

記者たち「おおお…」

ホーク「……」

バイソン「オレの出身はデトロイトだけど、スラムで育った」

バイソン「お互い似た境遇で育ってきたが、勝利への執念は負けない」

記者1「センキュー、ミスターバイソン!」
210 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:53:31.97 ID:ok1p45Uz0
記者1「それでは、続いてミスターホーク、今回の試合について何か」

ホークもバイソンを睨みながら、口を開く

ホーク「……オレは今回の試合の前にアラスカへ修行にいってきた」

ホーク「寒かったよ。そして自然の厳しさを知った」

ホーク「シロクマに襲われたのさ」

記者たち「……!?」

ホーク「まあ、殺して食べちゃったんだけどね」

記者たち「」

ホーク「おおっと、動物愛護団体に訴えるのは後にしてくれよ?」

ホーク「目の前にいる牛を、じっくりいたぶって」

ホーク「殺してやるからさ。オレの楽しみを奪わないでくれ」

ホークはそう言うと不敵に、煽るように笑う

ホーク「このオレと似た境遇で育ってきただと?笑わせるな」

ホーク「オレとお前じゃ根本的に性能が違うだろ?牛は牛らしく、全身バラされて、オレの胃袋でオネンネしてな」

ホークはそう言い終えると、舌を出しながら中指を立てる

バイソン「……」ニヤッ

記者たち(煽られているのに、バイソンが微笑んでいる…余裕だな)

バイソン「アル中の廃人の癖に、よく吠えるじゃないか」
211 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:55:29.63 ID:ok1p45Uz0
ホーク「あ?」

ガシッ

ホークはバイソンの胸ぐらを掴む

バイソン「……カモーン」ニヤニヤ

ホーク「いまココで牛肉解体ショーをおっ始めてもいいんだぜ?」

バイソン「フン、それでオレに負けて、また廃人に戻るんだろ?鷹村やオレに怯えながら日々を過ごすのか。かわいそうに」ニヤニヤ

ホーク「ファァァック!!!!!」ブンッ

ホークが殴りかかるが、それを抑えるミゲル達

ミゲル「止めるんだホーク!!」

トレーナー1「落ち着け!!」

トレーナー2「ここで相手を殴り飛ばしたって、鷹村には会えないぞ!」

ホーク「フー!フー…!!」

敵トレーナー「こらバイソン、その辺にしておけ」

バイソン「そうだな。こんな所で乱闘をしても意味がない」

バイソン(リングの上で決着を付けなければ、鷹村に会うチャンスは永遠に来ない)

ウォーリー「ホーク!落ち着いて!」

ホーク「おお…ブラザー…」
212 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:56:39.41 ID:ok1p45Uz0
(翌日)

実況「今宵、闘牛VS鷹の、命がけの闘いが始まる」

ワァァァァ!!!

実況「果たしてどちらが勝つか!?」

〜〜〜〜〜

そのころ、鴨川軍団はジムにあるテレビに注目していた

一歩「いよいよ始まる…」

板垣「あれ、鷹村さんがいませんが」

一歩「え?そういえば昨日もいなかったような」

木村「何やってんだあの人は。さては旅にでも出たか?」

青木「でも今回の試合は、特等席で観るって言ってたぜ」

青木「わざわざソファを空けて、俺達全員、後ろで立ってみてるのによ…」

木村「あーもう!アホくせぇ!知るか!座って見ようぜ!」

青木「全くだ!せっかく気をつかってやったのによ!」

全員、ソファに座る

一歩「……みなさんは、どっちが勝つと思いますか?」

木村「難しいな、なにせあのバイソンも、鷹村さんを苦しめた相手だからな」

青木「会長もタオル投げたしな。オレと木村が全力で阻止したけど」

板垣「下手すれば今頃、統一チャンピオンはバイソンになってましたね」
213 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:57:30.41 ID:ok1p45Uz0
司会「青コーナー!ブライアン!ホォォォク!!」

ウオォォォォ!!!

煙幕が勢いよく飛び出る

今回も美女達が、ホークを囲みながら歩んでいく
しかし一つだけ、いつもと違う点がある

観客1「なんだアレは」

観客2「変なガウン…」

観客3「おい…あれ、シロクマの毛皮じゃないか!?」

ホーク「……」

〜〜〜〜

木村「」

青木「」

一歩「あ、あれって…まさか、クマの毛皮…」

板垣「……鷹村さんの真似でもしてるんですかね?」

木村「そういえば、アラスカで修行にいったとき、クマを食ったとか言ってたな」

青木「あれ、ジョークじゃなかったのかよ…」
214 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:58:03.01 ID:ok1p45Uz0
司会「赤コーナー!リチャード…バイソォォン!!!」

ウオォォォォ!!!

アメリカバイソンの衣装を身にまといながら、胸をボコボコと叩く
そして意気揚々と、リングへ向かう

相手セコンド「油断するなよ」

バイソン「油断?できるハズないさ。相手はあのブライアンホークだ」

相手セコンド「うむ」

バイソンとホークは互いにガウンを脱ぎ終えると、ゆったりとした歩調で、相手の目の前へ接近する

そしてゼロ距離になった所でストップする

ホーク「……」

バイソン「……」

カーン!

実況「いま、ゴングが鳴った!!」
215 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 06:59:07.33 ID:ok1p45Uz0
ホーク(前座ではウォーリーが、世界ランカー相手に2ラウンドでKO勝ちだった。流石だぜブラザー)

ホーク(オレも2ラウンド以内に倒す…!!)

バイソン「……」サッ

バイソンは後ろへバックすると、ゆっくりと左腕を下げる
そして左腕は振り子運動を始める

実況「さあ、さっそくバイソンお得意のデトロイトスタイルが披露される!」

バイソン「……」ブンッ

実況「フリッカーの嵐がホークを襲う!!」

ホーク「……」スッ

バイソン「……!?」ブンッ

ホーク「……」スッ

実況「おおっと!バイソンの目にもとまらぬ鋭いフリッカーが!全く当たらない!!」

バイソン(バカな!?このオレのジャブを、初見で潜りぬける奴なんて…今までいなかった!)

ホーク(フリッカー対策は充分にしてきたよ)

ホーク(吹雪の中、ウォーリーを相手にね)

ホーク(ついでに、オレの新兵器を見せてあげるよ)クンッ

バイソン「…?今度はなにを」

クンッ…クンクン

ホークは右腕で前をガードし、左腕を前に突き出す
突き出された左腕は、僅かにクンクンっと上下に揺れている

バイソン(独特な構えだ…)
216 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:00:08.44 ID:ok1p45Uz0
ホーク(オレは鷹村に負けてからも、日本人を馬鹿にしていた)

ホーク(だが、このスタイルは日本人から学んだ物)

ホーク(おかげで、銃を手に入れた気分だ)

ホーク「フン!」

バキュン!!

鋭いコークスクリューがバイソンを襲う

バイソン「うぉぉ!?」

鮮血が宙に舞う

実況「なんだ今のパンチは!」

ポタ…ポタポタ…

バイソン(左瞼から…血が…?)

バイソン(……!!まずい!!ガードを…!!)

デトロイトスタイルから一転、すぐにガードを堅め、被弾に備える

バイソン(覚えているぞ。ホークの復帰戦は…2ラウンド10秒…TKO勝ち…)

バイソン(あの時とパターンがそっくりだ!!まずい、こんな序盤から目をやられたら…)

バイソン(オレのスタミナや意志とは関係無しに、試合が終わってしまう…!!)

〜〜〜

青木「あ、あれは…」

一歩「沢村さんのバレット…!!」

板垣「なんでアイツが使えるんだ!!」

木村「たしかにあの構え、攻撃。間違いなく沢村のバレットだな」
217 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:01:01.11 ID:ok1p45Uz0
ホーク「どうした、顔面ばっかり守っちゃって」

ホーク「ボディがガラ空きだぜ!!」

ボゴォォ!!!

バイソン「ぐぁぁ…!!」ガクッ

バイソンは膝を崩しかけるも、辛うじて耐える

バイソン(な、なんてパンチだ…!!)

ホーク「おいおい…オレの新兵器は、まだ他にもあるんだぜ?」

ホーク「こんな所で…終わらせるなよ!!」

ボス!ボス!ボゴォォン!!

バイソンのボディに数発当てていく

バイソン「ぐふぅぅ…」

ガード越しからでは見えないが、バイソンは苦悶の表情を浮かべる

バイソン(練習嫌いの男が努力を積み重ねると…こうも化けるのか…!!)
218 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:03:35.20 ID:ok1p45Uz0
カーン!

実況「1ラウンド終了です!」

実況「言うまでもなく、このラウンドはホークが優性です!」

ミゲル「素晴らしいじゃないか」

ホーク「だろ?オレはあのフリッカーに、まだ一度も被弾していない」

ホーク「バイソンの奴、左瞼きれて焦ってたぜ?オレの復帰戦での出来事を思い出してるのかな?」

ミゲル「油断は禁物だ。相手の動きをよく見た上で攻めるんだ」

ホーク「ああ、分かってるよ。別に舐めてるワケじゃない」

ホーク「現にあいつは、何発もボディを殴られてるのに、結局ダウンしなかった」

ホーク「打たれ強いよ、バイソンは」

ホーク(だがオレにはまだ秘密兵器がある)

〜〜〜

カーン!

審判「ボックス!」

実況「さあ2ラウンド開始です!!」

バイソン(左瞼は、セコンドのおかげで、なんとか治まってきた)

バイソン(このまま顔面ばかり守ってても、結局は相手の思うつぼだ)

バイソン(フリッカーでせめるのみ!!)

ホーク(どうやら、腹をくくったようだね)
219 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:04:32.72 ID:ok1p45Uz0
ホーク(だがいいのかな?また瞼が切れちゃうかもよ?)

ズバァァン!!

ホーク「ぐっ…!!」

ポタ…

ホークの左瞼が切れ、血がマットに落ちていく

実況「バイソン、2ラウンド開始早々、逆襲をはじめる!!」

ホーク「やるじゃないか、それでこそだよ」

バイソン「……」シュッ

ズバァァン!!ズバァァン!!

ホーク「ぐっ…さっきよりもハンドスピードを上げてやがる…!」

ホークの左瞼にフリッカーが直撃していく

ホーク「いい加減にしろよ、このままじゃオレがTKO負けになっちまう」

ホーク「銃を乱射する!!」

バキュン!バキュン!バキュン!

バイソン「ぐぅぅ…!!!」

実況「ホーク!負けじとバイソンの左瞼を集中攻撃!!」

バイソン(まずい…また出血してしまう…)

バイソン(だがあの高速のスクリューブロー…簡単には回避できん)

バイソン「ええい!攻めまくるのみ!!」

ズバァァン!!ズバァァン!!

ホーク「くっ…早い…!!」

バイソンのフリッカーが、ホークの顔面を襲う
220 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:05:21.62 ID:ok1p45Uz0
ホーク「だんだん慣れてきたよ」サッ

バイソン「む」

序盤の様に、ホークは再びフリッカーを軽やかに避けていく

ホーク「銃に撃たれて死ね!バイソン!」

バイソン「オレも慣れて来たよ」サッ

ホーク「ッ!?」

バイソンも、ホークのバレットを避けていく

ホーク「ぐっ…ちょっと回避できるようになったからって…調子に乗ってんじゃねぇよ」

バキュン!

バイソン「うおぉ!!」

ボタボタ…

バイソンの左まぶたの傷口が開く

バイソン(しまった…!!)
221 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:05:58.36 ID:ok1p45Uz0
ホーク(フィニッシュだ!!)ブンッ

バイソン「……大振りすぎるぜホーク」

ボォォン!!

ホーク「ぐぅぅ!!」

ホークの右ストレートに対し、鮮やかなカウンターを決めるバイソン

ミゲル(焦っているようで、ちゃんと状況判断が出来ている。さすが元WBAの王者だ)

ホーク(フン、カウンターを決めたところで、奴がピンチなのは変わりない)

ホーク(……そろそろ、新兵器の第二段といこうか。今度こそフィニッシュを決めるために)
222 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:07:13.28 ID:ok1p45Uz0
ホーク「……」

ホーク「……」チラッ

バイソン「ん?」チラッ

ホークは、よそ見する
それに釣られて、バイソンもよそ見

観客1(なんだ?)

観客2(ん?)

ホーク「……」

バイソン「……」

観客「……」

本来の予定なら、ここでホークはフィニッシュをしかけるハズだった
奇襲をしかけ、バイソンは窮地に追いやれていたハズだった

だが会場にいる全員が、思わずそのまま固まってしまう

ホーク「」

バイソン「」

観客「」

全員が絶句した
223 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:08:35.42 ID:ok1p45Uz0
鷹村「付き添い悪いな京姉、それに渡。オレ様は海外旅行は初めてで、英語もサッパリなんだよ」

京香「良いのよ守ちゃん。気にしないで」

渡「久々に守兄さんに会えたんだもん。むしろ嬉しいよ」

鷹村「そうかそうか、へへへへへ…」

ジーッ…

鷹村「ん?んん??なんだ、全員、こっちを見ている様な」

渡「ほ、本当だ」

京香「……どうやらバレちゃったみたいね」

渡「最前席だし、無理もないか」

鷹村「ああ。それにオレ様は世界チャンピオン様だからな。目立って当然だ」

実況「な、なんと!あのミドル級の統一王者!鷹村選手が会場にいます!!」

ウオォォォォ!!!

実況「アメリカ現地の観客も思わず驚いています!!」

〜〜〜

一歩「」

板垣「」

木村「ドコに行ってたのかと思ったら…あの野郎!アメリカまでいって観にいってたのか!!」

青木(ツッコミが追いつかない)
224 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:10:57.37 ID:ok1p45Uz0
バイソン(鷹村…わざわざ、アメリカまで来ていたのか)

バイソン(しかも家族連れか)

ホーク「」

バイソン(ん?)

ホーク「」

バイソン(なんだ…ホークの様子がおかしいぞ)

ホークは全身から嫌な汗が溢れ出す
小刻みに体は震え、足をガクガクと震わす

バイソン(ホークの顔色が見る見る悪くなっていく…)

バイソン「……」

ボゴォォン!!

ホーク「ッ!?」

バイソンのアッパーが炸裂する

ホーク「」ガクッ

そのまま膝を崩し、うつ伏せに倒れる

ミゲル「ホーク!!!」

ウォーリー「ッ!?ホーク!!」

審判「ワン!ツー!スリー…!」

審判の声が会場に響く
だがホークの脳内は、審判の声よりも、鷹村への恐怖心でいっぱいだった

ホーク(な、なんで…アイツが…)ガクガク
225 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/09(水) 07:11:24.57 ID:ok1p45Uz0
今日はここまで
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 08:09:43.48 ID:k4w6TUzUo
ガン見
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 09:03:47.86 ID:8rNXwSpLo
笑っちまったぜ畜生
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/09(水) 09:59:40.97 ID:NEaJ1Tns0
待ってた。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 10:00:45.82 ID:aoOVzgVN0
ホークがよそ見習得したのかと思った
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 10:06:54.70 ID:+TQ0mVSRO
久しぶりで乙です
確か宮田も観客席に因縁の相手見つけて調子崩したっけ
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 18:54:44.47 ID:d+bHRtFxO
光景がリアルで目に浮かぶわ
鷹村の行動力なら実際にやりそう
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 21:35:54.96 ID:8phcNhCMo

青木のよそ見もいざという時に決まらなかったな
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 02:25:44.88 ID:QuHlxPhDO
バイソン(しかも家族連れか)ひだり
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 02:26:38.36 ID:QuHlxPhDO
バイソン(しかも家族連れか) ←間違ってはいない
235 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:20:20.81 ID:QKC5T3Qd0
ミゲル「ホーク!立つのだ!ここで立たなければ…」

ミゲル「鷹村とは戦えない!」

ホーク「……」ムクッ

審判「フォー!ファイブ!シックス!」

ホーク「……」グッ

ホークは辛うじて立ち上がり、ファイティングポーズを構える
しかし、相変わらず足をガクガクと震わせている

バイソン(ホークほどの男が、あのアッパー1発で足に来ているハズがない)

バイソン(精神的動揺だろうな)

バイソン(どうやらウワサ通り、鷹村との闘いで、メンタル面を破壊されてしまったようだな)

バイソン(まあ、それでも復帰した根性は認めよう…だが)

バイソン(オレもまた、あの男との再戦を望んでいる)

審判「ボックス!」
236 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:24:19.15 ID:QKC5T3Qd0
ホーク(鷹村が…なんで、なんでここに…)ガクガク

バイソン「フン!!」

ズバァァン!ズバァァン!ズバァァン!

ホーク「ぐぅぅ!!」

実況「バイソンのフリッカーが炸裂!!ホーク、なぜかガードを下げたままだ!!」

ミゲル「ガードを下げるな!逃げろ!フリッカーを回避するんだ!」

バイソン「フン!!」

ズバァァン!ズバァァン!ズバァァン!

ホーク「うっ…」ガクッ

実況「ホーク!早くも2回めのダウン!!」

ホーク(またダウンしちゃったよ…立たないと…)

ホーク(立って、立ち上がって…勝つんだ…)

ホーク(勝ったら…そしたら…そしたら…)

鷹村「……」

ホーク「ひぃぃ!?」

ホーク(あいつと殺し合いしないといけないのか…!!)ガクガク

審判「セブン!エイト!…」

ミゲル「良いのかホーク!一生、女を抱けない生涯になるぞ!!」

ホーク「っ!!」ムクッ

審判「ナイン!」

ホーク「やれるよ」グッ

審判「……ボックス!」
237 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:25:44.43 ID:QKC5T3Qd0
カーン!

実況「第二ラウンド終了です!ホーク、ゴングに救われた〜!」

ホーク「」ガクガク

ホーク「会場に鷹村が…」

ミゲル「うむ、私もさっき確認した」

ホーク「どうしよう…殺される、殺される…」ガクガク

ミゲル「ホーク!」ガシッ

ミゲルは、縮こまっているホークの肩に両手を置く

ミゲル「良く考えるのだ、イーグルにせよバイソンせよ、鷹村を苦しめた相手だ」

ミゲル「その彼らを相手にキミは、力をしっかりと見せ付けている」

ミゲル「己の力を信じるのだ!君ならやれる!」

ホーク「」ガクガク

ミゲル「ホーク!」

〜〜〜〜

相手セコンド「まさか鷹村が来ていたとはな」

相手セコンド「あの動揺をみるに、やはり鷹村に負けてからは廃人になっていたようだな」

バイソン「……」

バイソン「この試合に確実に勝てる方法を思いついた」

相手セコンド「なに?」

バイソン「正直、あまり気が進まない方法だがな」

バイソン「おれは何としても、鷹村と再戦したい。そのためなら何だってするさ」
238 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:27:14.68 ID:QKC5T3Qd0
カーン!

実況「さあ第3ラウンドです」

バイソン「……」スッ

鷹村「む?」

実況「おおっと?バイソン、ロープを背にしているようだが…?何がしたいのでしょうか」

ホーク「……?」

バイソンの意図を理解できずにいるホークは、ゆっくりとバイソンに近づいていく
だが、そのバイソンの目の前まで辿り着くと、ビクッと体を震わす

ホーク「……!!」ガクガク

バイソン(どうやら作戦は成功したようだな)

バイソン(おれの背後には、ロープの先には鷹村がいる)

バイソン(動揺して、試合に集中できないよな?ホーク)

バイソン(悪くおもうよ。おれは何としても鷹村と戦いたいんだ)

ズバァァン!ズバァァン!ズバァァン!

ホーク「うっ…ぐっ!!」

実況「フリッカーの嵐!ホーク、まともに喰らってしまう!」

バイソン(まるで試合に集中できていない。この勝負…勝った!)

ボゴォォン!!ボゴォォン!!

フリッカーを止めてボディブローを数発

ボゴォォン!!

そしてトドメと言わんばかりのアッパー

ホーク「」ガクッ

実況「ホーク、ここでダウ〜ン!」
239 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:30:06.91 ID:QKC5T3Qd0
ミゲル(駄目だ…もはや、わたしの声も届いていない)

ミゲル(だがここまできて諦める訳にはいかない。どうする…どうすれば)

ホーク「……」ガクガク

ホーク(もう楽になっちゃおうかな)

ホーク(戦うことも、そして女を抱く事も諦めて)

ホーク(……でもそのあと、何が残る)

審判「ワン!ツー!スリー!」

ホーク(何のために復帰した)

ホーク(何のために努力してきたんだ)

審判「フォー!ファイブ!」

鷹村「帰ろうぜ。京姉、渡」

京香「え?」

渡「まだ終わってないよ?」

鷹村「こんな試合、見る価値ねぇよ」

鷹村「序盤は良い内容だったのによぉ、残念だぜ」

ホーク(……?ドコへいく)

ホーク(なぜ背を向ける、どうして席から離れていく)

ホーク「待てよ…」

審判「シックス!セブン!エイト!」

ドォォン!!!

ホークは勢いよく、マットを拳で叩き付ける
音は会場中を響かせる

ホーク「タカムラァァァァァァ!!!!!!!!!!」
240 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:31:40.15 ID:QKC5T3Qd0
観客「……!!」

審判「っ!?」

ホークの叫び声に誰もが言葉を失う
審判も思わずカウントを止めてしまう

ホーク「まだ…まだやれるぞ」

審判「あ、ああ…」

バイソン(眼が生き返っている)

バイソン(仕方がない、ここからは覚悟をもって望むとしよう)

審判「ボックス!!」

ホーク「うぉぉ!!」ゴゴッ

実況「ホーク、合図と同時に接近する!!」

バイソン(インファイトでくるのか?いいだろう)

フリッカーを仕掛けるバイソン、だがホークは猪突猛進ながらもフリッカーの嵐を避けていく

バイソン(流石じゃないか…もう懐まで。ここは右で打ち下ろしを)

左ジャブのフリッカーを止め、右を打ち下ろすバイソン
それに対しホークは右腕を振り上げようとする

バイソン(アッパーだな。いいだろう。カウンターで迎え撃つ!)

ボゴォォォン!!

バイソン「ぐっ…!」

ホーク「ぐあ…」

二人のパンチが、互いの顔にジャストミートする
241 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:32:32.07 ID:QKC5T3Qd0
バイソン「ぐっ…」ガクガク

バイソン(足に来ている…だが、この程度なら少し休憩すれば回復できる)

バイソン「それよりも…」

ボゴォォン!

バイソン「〜〜ッ!?」

実況「バイソンとの相打ちにも負けず、ホークのリバーブロー!」

バイソン(ガードを、ガードをかためて…)

ホーク「そんな柔なガードで防げるかな?」ブンッ

ホークは再びアッパーを仕掛ける
その軌道は丁度、相手の両腕の間に衝突し、ブロックをこじ開けていく

バイソン「なっ…」

ボゴォォン!

バイソンの顔が天井へと向く
だがホークの猛攻はとまらない

ホーク「フン!フン!フン!フン!」

ボゴォォン!ボゴォォン!ボゴォォン!ボゴォォン!

実況「ホーク!バイソンにダウンをさせない勢いで、集中打を浴びせていく!!」
242 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:33:17.06 ID:QKC5T3Qd0
審判「ホーク!ストップ!」

ホーク「フン!フン!フン!フン!」

ボゴォォン!ボゴォォン!ボゴォォン!ボゴォォン!

審判「ストップだ!ストップ!」ガシッ

ホーク「離せぇぇ!!」

審判に両腕で動きを塞がれる
それと同時に

バイソン「」ドスッ

バイソンは頭からマットに沈む

ホーク「ぜぇぜぇ…!!」

審判「…!!これは」

審判「……」サッ

実況「ここで審判は両手をクロスさせる!」

カーン!カーン!カーン!カーン!カーーン!

実況「バイソン、続行不能により試合終了!!勝者、ブライアン・ホーク!!」
243 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:34:23.50 ID:QKC5T3Qd0
観客1「うそだろ…あの元世界王者の男を…わずか3ラウンドで…」

実況「まだ意識を取り戻していない様です」

実況「いま、タンカーで退場していきます」

相手セコンド「バイソン…」

バイソン「」

ホーク「はぁはぁ…ぜぇぜぇ…」

女性「ミスターホーク、今回の勝利おめでとう!」

実況「ここで勝利インタビューです」

ホーク「……」

女性「今回の試合のご感想は?」

ホーク「……」

女性「あの、ミスターホーク?」

ホークはゆっくりと歩いて行く
そしてロープの目の前まで辿り着くと、ジッと一点を見つめる

鷹村「……ふん、ちったぁやるじゃねぇか。見直したぜ」

ホーク「……」

観客1「おおお…」

観客2「あの二人が睨み合っている」

しばらく睨み合ったあと、ホークはインタビューを無視したまま、終始黙って会場をあとにする
244 : ◆l4sgZhbp7U [saga]:2017/08/11(金) 07:35:07.30 ID:QKC5T3Qd0
(控え室)

ホーク「……」

ホークガール1「お疲れ様ホーク」

ホークガール2「どう?今夜は私たちと楽しめそう?」

ホークは黙って首を横に振る

ホーク「インタビューしてきた女も、良い女だった…でも、立たなかった。前回は半立ちくらいはしたのに」

ホーク「オレは、まだちゃんと完治してない」

ホークガールズ「ホーク…」

ミゲル「……とりあえず、今日はよく頑張ったね」

ホーク「……」

ミゲル「あとは鴨川が、我々のメッセージに答えてくれるか、否か」

ホーク「次は、間違いなく…鷹村となのかい?」

ミゲル「君はイーグルを7ラウンドで、そしてバイソンをわずか3ラウンドでKO勝ちした」

ミゲル「今後、君との対戦を避ける者が続出するだろう」

ホーク「どの道、戦う相手は奴しかいないのか…」
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