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男「住み込みメイドとな?」 女「なんなりとお申し付けください、ご主人様」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 21:32:57.74 ID:VTkQAKNso
仕事でクタクタになった体を引きずってようやくの思いで着いたマンション
鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ時点で違和感に気がついた
鍵が開いている
今朝鍵をかけないで家を出たのかと思い返すが、やはり鍵をかけた記憶はある
まさか空き巣か?
なんて最悪のことが脳裏を駆け巡る
警戒をしながらドアを開くとそこには白と黒であしらわれたエプロンドレスを身にまとったメイドがいた
恭しく礼をし、その長い黒髪が一房、肩から流れ落ちる
女「おかえりなさいませご主人様」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1498221177
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 21:41:07.24 ID:VTkQAKNso
女「どうぞ」
ダイニングテーブルにティーカップが置かれる
紅茶の良い香りが漂い、それを口につける
うん、うまい
男「で、何してんの澪ちゃん?」
女「はい。 メイドの修行を積み、一人前となりましたので蓮様のお世話をさせて頂くこととなりました」
男「意味分かんないけど」
女「旦那様のご指示であります」
男「クソ親父ィ!!」
実家はまさに大富豪だったと誇張なしに言える
日本人ならその会社の名前を聞いたことがない人はいないと言うほどの大企業で、俺はその御曹子だ
子供の頃から大人達に囲まれる堅苦しいパーティやら、いい大人になるための高等教育に嫌気が差し、高校卒業と同時に家を出て、今ではただの会社員だ
だが稀に親から連絡が来たり、知らない間に口座に大量に金が入っていたりと過保護な両親と縁を切れないでいる
まぁ両親は俺が好き勝手にやっているのを許してくれているし、無理に家族の縁を切るのもあれだろう
だがこんな突拍子もないモノ、というかメイドを送らせてきたのは初めてだった
男「別にメイドとかさ、いらないから帰りなよ澪ちゃん」
女「お断り致します」
男「あのさ、男の一人暮らしの家に入り込むの不味いでしょ」
女「私は蓮様を信じておりますので」
男「あのさ、俺一人暮らしでもやっていけるんだよ? 親父に言われなくても平気だから」
女「洗濯物と洗い物が溜まっておりました」
男「そんな心配されるようなことはないよ」
女「私がいれば心配どころか安心して頂けるかと」
男「これ以上親の世話になるつもりなんてない訳」
女「私がやらせて頂きたいのです」
男「俺は一人で……
女「嫌です」
男「…………」
メイドの澪(みお)は断固として譲る気配はないらしい
俺の発言をことごとく秒殺で否定していく
この子とは知らぬ仲ではない
澪は実家の住み込みのメイドの娘で、昔はよく遊んでやった
俺がこの子の5歳上でお兄さんとしてよく遊んだりしたものだ
だが俺が中学、高校と歳をとっていくにつれて徐々に遊ぶこともなくなっていた
その頃には澪がメイドの仕事も始めていて、友人というより主人と召使いという立場がはっきりとしてしまってなんだか取っ付きづらくなってしまったためだ
それが再びこのような形でまた近づくことがあるとは思わなかった
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 21:44:33.90 ID:VTkQAKNso
男「だからって年頃の女の子を家に通わせるのはなぁ」
俺が23だから、彼女は今年で18だ
大学生になる歳であるし、彼女には彼女の生活があるだろう
それなのに毎日のように通わされたら彼女の生活に支障をきたすだろう
女「いいえ、通いではありません。 ここで住み込みのメイドとして働けと仰せつかっております」
男「はぁっ!?」
思わず手に持っていたティーカップを落としそうになる
すんでのところで手に収めたが、揺れた水面はカップから零れ、テーブルを濡らした
澪は慣れた手つきでそれを拭きながらポツポツと抑揚のない口調と表情で話を続ける
女「蓮様のお部屋とは別の部屋を頂きました。 そこでお世話になります」
男「嘘だろ!?」
慌ててその倉庫のように使っていた部屋のドアを開ける
するとそこにはアイボリーと淡いピンクを基調にした女の子らしい部屋があった
俺が仕事の間に荷解きも終えているとは実に仕事が早い
女「蓮様? そこはメイドの詰所とはいえ、私の私室でもあります。 私の許可やノックも無しにドアを開けるのは如何なものかと」
男「あ、ごめん」
いやここで俺が謝るのおかしくないか?
と謝ってから思う
女「昔からそうやって蓮兄は……」
足元に吐き捨てるように呟かれた小声を俺は務めて聞こえないふりをする
ふぅと一息ついてまた無表情に戻した澪はぐいと顔を近づけてくる
女「これからよろしくお願い致しますね蓮様」
男「…………」
女「よ、ろ、し、く、お願い致しますね?」
男「……うん、よろしく」
彼女の剣幕に圧された俺は全てを諦めて彼女に頭を下げる
彼女もにっこりと笑みを浮かべてふんわりとした仕草で一礼した
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 21:47:05.18 ID:VTkQAKNso
翌朝。
女「おはようございます、蓮様」
女「お目覚めください蓮様」
ゆさゆさと体を揺すられ、意識が徐々に覚醒してくる
ぼんやりと目を開けるとそこには端正な顔立ちで十人に美女かと問うたら十人がそうだと答える容姿を持つメイドがそこにはいた
驚いて上半身を起こすと、それを澪は体を反らして避ける
女「私にヘッドバッドとは挑戦的ですね」
男「違うわっ!」
女「おはようございます、蓮様」
恭しくドレスの裾を掴んでの一礼
あまりのことに言葉を紡げず、開いた口が塞がらない
女「いつまでも眠り呆けられる蓮様を起こすのもメイドの務めでありますから」
男「口が悪いメイドだ」
女「朝食が出来ております。 顔を洗ってお越し下さいませ」
俺の言うことを無視して彼女は音もなく部屋を後にする
ふと時計を見ると既に9時を超えていた
ゆっくり眠ったはずだが、なんだか目覚めた瞬間からどっと疲れてしまった
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 21:49:28.07 ID:VTkQAKNso
スクランブルエッグとミニサラダ、トーストという洋風な朝食
ベタであるがそれはとても美味しい
だが澪はテーブルから離れ、俺の斜め後ろにピシッと背筋を伸ばして立っている
男「澪ちゃんはなにしてんの」
女「私はメイドでありますので、何か御用がございましたらお申し付けください」
男「え、あぁそう……」
実家では確かにこんなふうに食べていた
だがそれはあくまで広いダイニングではの話で、今一人暮らしのこの狭い部屋でこれは非常に違和感を感じるものだった
男「すげー食いづらいんだけど」
女「お気になさらないでください」
男「するわっ!」
澪から返事がなくなってしまったため仕方がなく話題を変える
男「澪ちゃんのご飯は?」
女「私は蓮様の後に頂きます」
男「大変だねメイドも」
女「えぇ、なのでとっとと食べてください」
男「ん…… なんか言葉遣いがおかしくない?」
女「……後がつかえておりますので」
男「……はい」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 21:51:46.13 ID:VTkQAKNso
朝食をかきこんだあと、なんだか居心地が悪くて外へ行こうと思い立つ
靴を履いて玄関に手をかけたところで澪から声がかかった
女「どこかへお出かけになられますか?」
男「あぁ、少しブラブラしてくるわ」
女「お帰りは何時頃に?」
男「さぁなー適当に帰ってくるから」
女「畏まりました。 いってらっしゃいませ」
男「あぁ」
自分の家なのに居心地が悪い
それはメイドがいるからだけではない
昔は仲が良く、妹のように可愛がっていた澪があまりにも他人行儀すぎて、辛くなってしまうのだ
自分は主
彼女はメイド
その立場の違いが分かってはいても苦しい
苦々しい気持ちをぶつける子供のように勢いよく玄関を開いた
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 22:02:25.86 ID:VTkQAKNso
近くのショッピングモールをぶらりとするが特に欲しいものもなく、本屋で雑誌を立ち読みする
しかしそれでも時間はなかなか潰れない
特に行く宛もなく目に付いたレンタルCDショップへと入った
気になっていたアーティストのCDを手に取り、そしてある映画のDVDに目がとまる
ゲームが原作のゾンビ映画
とある会社の薬が原因でゾンビがパンデミックを起こし、大混乱になる超大作だ
これは昔、澪と2人で原作のゲームをやって、本気で泣かせてしまった俺にとっては後悔を覚える作品だった
それを今彼女と一緒に映画を見れば…… また泣かせてしまうかもしれないが昔のような関係に戻れるかもしれないなと
そんな子供のような都合のいい考えで俺はこのDVDを借りることにした
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 22:05:06.85 ID:VTkQAKNso
玄関を開けるとそこにはメイドが立っており、俺に綺麗なお辞儀をする
帰ってくるのが分かったのか? どんな忠犬だ
女「おかえりなさいませ、蓮様」
男「あぁ」
礼をする彼女の横を通り抜ける
するすると廊下をついて歩く彼女はやがてキッチンに入っていった
男「ん? 買い物いったのか?」
床に置かれたビニール袋を漁るとそれはスーパーの袋であり、中には野菜やらなんやらが詰め込まれていた
女「はい、蓮様がそこら辺をほっつき歩いている内に」
男「言い方っ!!」
女「生産性のない時間を過ごされている間に」
男「……澪ちゃん俺のことそんなに嫌いなの?」
女「いえ、特別嫌悪感を抱くほどのものではありません」
男「あんまり否定してくれないんだ……」
肩を落としながら自室へと入ろうとする俺に彼女は声をかける
女「夕食は6時半頃でもよろしかったですか?」
男「あぁ、ありがとう」
女「あ、あの……蓮様?」
男「うん?」
事務的な淡々とした口調から、少し含みのある、どこか思い詰めたような口調に思わず足を止めて振り返る
意を決したように口を開く彼女に釣られて俺も生唾を飲んだ
女「暇なら、下から夕刊を取ってきて頂けませんか?」
男「クソッタレめ!!」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 22:05:52.58 ID:VTkQAKNso
夕飯を終え、片付けをしていた澪がキッチンから顔を出して声をかけてくる
女「お風呂が湧いております。 入られては如何ですか?」
男「澪ちゃんが入ってきなよ。 俺が食器は片付けておくからさ」
女「いけません蓮様。 これは私の仕事なのです。 私の仕事を奪うことはメイドの魂を奪うこととお知り下さい」
男「そんな大げさな…… さっき夕刊取らせにいったじゃん」
女「……ごほん。 それはそれです。 後でバスタオルをお持ちいたしますのでどうぞお入りください」
男「じゃあ頼むよ。 早く入らないと後がつかえるからな」
女「お戯れを…… 朝のは冗談です」
男「分かってる。 じゃあ先に頂くよ」
男「あ、そうだ。 後で一緒に見たい映画があるんだ、時間をくれるか?」
女「それがご用命とあらば」
男「うん、じゃあ一緒に見よう」
女「はい」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/23(金) 22:08:21.83 ID:VTkQAKNso
風呂から上がった澪はドライヤーで既に髪を乾かしたのか、濡髪スタイルではなかった
少しもったいないと思いつつも、いつものエプロンドレスではなく淡いピンクの生地になぜかアイスクリームが点々と散らばっているパジャマを着ていた
そのレアな姿を見れただけで内心でガッツポーズをする
女「お風呂頂きました」
男「じゃあやろうか。 ここおいでよ」
女「では、失礼致します」
ソファーをポンポンと叩き隣に座るようにすすめる
少し間を開けて座った彼女からシャンプーのいい香りがして、少し手を伸ばせば触れてしまう距離に、意識せずとも心臓の鼓動が早くなる
俺の中で澪は妹のような存在だった
だがいつの間にか月日が立ち、彼女は一人の立派な女性へと成長している
それどころか男なら誰もが視線を釘付けにさせられるであろうその美貌に改めて息を飲んだ
そんな俺の様子を知ってか知らずか、彼女はあざとらしさもなく首を傾げ、俺の顔を覗き込んでくる
女「どうなさいました、蓮様」
男「いや、なんでもない! 風呂気持ちよかったか?」
女「はい、私の好きな入浴剤を入れさせていただきましたし」
男「え、俺の時、入浴剤なんて無かったよ……?」
女「…………」
彼女の視線を逸らす
わざとらしく視線が宙を彷徨い、やがて誤魔化すようにDVDをせがんだ
女「さぁ、映画を見るんですよね」
男「…………」
女「早くみたいなー」
意訳:これ以上触れるな
男「そんなに見たいのか」
女「はい! 早く見たくてお風呂の中でも楽しみにしておりました」
男「ふっ、その言葉に二言はないな?」
女「え……?」
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