養殖ワ級

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 21:16:15.39 ID:H0aW+MIFo

鎮守府 埠頭


大和「うわー……」

長門「お前たち、本当に捕まえてきたのか……」

雷「当ったりまえじゃない! そう連絡したでしょ?」



ワ級「……」

ワ級「……」



大和「たしかに連絡は受けたけど……よくここまで牽引してこれたわね」

暁「もー大変だったんだから! 重いし、丸いからロープは引っ掛けづらいし。しょうがないから首に引っ掛けてきたのよ!」

長門「これ生きているのか?」

雷「頭を錨でぶん殴っただけだから生きているはずよ。それに死んでいるなら沈むはずじゃない?」

暁「全員で囲んでバッシバシ叩いてやったんだから!」

電「砲弾も魚雷も尽きた所で大変でしたが、相手がワ級さんで良かったのです」

大和「つまり、気絶している……ってことなのかな?」

長門「ワ級も気絶とかするのか……?」

大和「……多分。正直よくわからないのよね、ワ級って……」

響「ついでに武装も引剥してやったから、このワ級はもう抵抗できないはずだよ。ただの浮き球みたいなものさ」

電「おかげで服が魚臭いのです」

雷「はやくお風呂はいりたいわね!」


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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 21:19:30.61 ID:H0aW+MIFo
大和「……うーん、どうする?」

長門「どうする、と言われてもな……。こんなことは鎮守府始まって以来の珍事だ。前例がない」

大和「まさか深海棲艦を生け捕りにできるなんてねぇ……それも二隻も」

長門「私達だけで処分を決めるわけにもいかないだろう。ここは皆を集め、話し合うしかないだろうな」

大和「そんなすぐに決まるような議題じゃないわよ? いつ目覚めるかもわからないし、意見がまとまるまでロープ一本でここに繋留させておくのは不用心よ」

長門「……ふむ、そうだな。なら、私が見張りをしていよう」

大和「あら、長門は会議にでなくていいの?」

長門「無力化しているとはいえ、私達の本拠地に深海棲艦がいるんだ。見張りを駆逐や軽巡に任せるのも、何かあった時に荷が重いだろう」

長門「それに私は提督とお前たちの決議を信じている。なに、私から意見を述べるまでもなく、お前たちなら然るべき処分を決してくれるはずさ」

大和「……そう、わかったわ。できるだけ早くまとめるようにするから、ワ級のことは頼むわね」

長門「ああ、任せておけ」

雷「大和さーん、雷たちも上がりでいいの?」

暁「もー体中魚臭くてたまらないわよ!」

響「ロープがけに手こずってワ級にぶつかってから、服によくわからない粘液がついているんだ。さすがに気持ち悪いよ」

電「やたらネバネバしてて、しかも磯臭いのです……」

大和「はいはい、今日はもう上がりでいいわよ。ご苦労様。あとで大淀に報告書出しといてねー」

雷「よし、このままお風呂に直行するわよ! みんなついてきなさい!」

暁「だめよ! 部屋に戻らないとシャンプーも変えの下着もないじゃない」

響「この臭いで自分たちの部屋に入るのかい? それは嫌だな……」

電「はぁ……。こんなに大変だったのならあそこで沈めておけばよかったのです……」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 21:24:51.56 ID:H0aW+MIFo
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長門「……」



ワ級「……」チャプチャプ

ワ級「……」チャプチャプ



長門(……ふーむ、思えばワ級をこんなに間近でじっくりと眺めるのも初めてだな)

長門(丸い。しかし丸い。浮き球とはよく言ったものだ。思いっきり蹴飛ばしてやりたくなるような丸さだ)

長門(その球体からニョキと女の上体が生えだしてはいるが、これもまたなんとも歪なものだな)

長門(細い肩筋には似合わない突き出した腹。乳は張りよく上を向いている。まるで妊婦のようだ。……妊婦なのか?)

長門(……いやいや、人と同じと考えてはいけないな。こいつらは深海棲艦、得体の知れない私達の敵だ)

長門(だいたい、妊婦がこんなにヌメヌメしているはずないだろう。なんだこのヌメッと感は。ふざけているのか?)

長門(それにこの魚臭さときたら……。数メートルは離れているが、アジの一夜干しを鼻に押し付けられたような臭気だ……)

長門(……まったく、気が滅入る。深海棲艦の中でも際立って気持ち悪いとは思っていたが……ここまでくると、もう)

長門「……見ているだけで腹が立ってくるな」



江風「うおー! 本当に居たぜおい!」

朝霜「六駆の言っていたこと本当だったのかよ。マジで鎮守府に深海棲艦が居るとは思わなかったぜ」

夕立「臭っ!? めっちゃ臭いっぽい! なにこれ、くっさ!?」

時雨「ほんと、凄い臭いだね……。寮で会った響とは段違いの臭いだよ……」

長門「ん? お前たち、何をしに来た?」

江風「あーどうも長門さん。いやーさっき六駆の連中からさー、深海棲艦を捕まえたーって聞いたもんでね」

朝霜「んなこと信じられっかよーってんで、こうして確かめに来たってわけさ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 21:27:51.81 ID:TAWwNkCTo
一瞬普段から響が臭いのかと
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 21:28:44.05 ID:H0aW+MIFo
長門「……そうか。まあご覧の通りだ。見学は好きにしていいが、あまり騒ぐなよ?」

江風「はいはい、ありがとうございます長門さん。……それにしてもマジで捕まえてくるなンてなぁ……、捕まえるか普通?」

朝霜「あいつらちょっとおかしいよな。この間も錨でル級ボコボコにしてたぜ?」

時雨「……これ、まだ生きているんですか?」

長門「ああ、恐らくな」

江風「っつーことはさ? この浮き球はうちで初の捕虜ってやつになンの?」

時雨「それはどうだろうね。僕達と深海棲艦は条約を結んでいるわけでもないし、そもそもワ級だから」

朝霜「そうだなぁ。姫や鬼みたいな司令塔ならともかく、そこらにフヨフヨ浮いてる得体の知れない球だもんな」

時雨「ワ級に捕虜としての価値があるなんて、少なくとも僕には思えないよ」

江風「きひひっ、じゃあ六駆は骨折り損のくたびれもうけって奴だな。あんな臭くてベトベトになってたのに、ご苦労なことだぜ」

朝霜「ね、長門さん。実際の所、こいつをどうするつもりなんだい?」

長門「それについては今、提督と戦艦空母連中で話し合いをしている所だ」

長門「……だが、まぁ雷撃処分か、もしくは上に任せて解剖調査といった所になるだろうな」

江風「解剖ねぇ。それよりはここで沈められたほうがまだマシってもンだろうな」

朝霜「でも、あたい達ってワ級についてなーんも知らないからねぇ。だいたいこいつら、輸送船とは言われてるけど何運んでんのって話だろ?」

時雨「さぁ……」

夕立「っああーーーー!! もう!! もう我慢できないっぽい!! くっさい!! 臭すぎるっぽーい!!」

江風「っ!? お、おい夕立の姉貴!? 石なんて掴んで何する気だよ!?」

時雨「ちょ、ちょっと夕立! ダメだよ!」

夕立「うるせぇっぽい! この臭い玉! 見た目も臭いもなんか無性に腹立つっぽい!! くたばれっ!」ブンッ



ワ級「………………!?」カツーン



長門「……むっ?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 21:31:59.85 ID:2EE7LkqA0
面白そうじゃん
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/22(木) 21:32:32.43 ID:H0aW+MIFo
ワ級「……!?……!!?……!!!!?」



時雨「あ、ああー……。もう、起きちゃったじゃないか! 何してるの夕立!」

夕立「関係ねぇっぽい! 敵のお膝元で呑気に寝てるその精神すら気に食わねぇっぽい!」

朝霜「さっすが狂犬、やると思った時にはすでに行動が終了している女だぜ……」

江風「い、いやーすみません長門さん。うちの姉貴がとんだご迷惑を……」

長門「……まあいいさ。いずれは起きるものだからな」



ワ級「!!?!?!?」グイグイ

ワ級「……?」

ワ級「!!!!!」

ワ級「…………!!!!!?」

ワ級「!!!??!?!!!」

ワ級「!!?!!?!?!?」



朝霜「……大慌てだな」

江風「無理もないだろ。起きたら目の前に敵がいるんだもの。そりゃこーもなるって」

夕立「オラーッ!! 大人しくするっぽい!! この期に及んで生き恥晒すんじゃねぇぽい!!」ブンッ



ワ級「!!?!?!」カツーン



時雨「夕立! もうやめなって!」

夕立「うるせぇっぽい!!」
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