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養殖ワ級
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:16:15.39 ID:H0aW+MIFo
鎮守府 埠頭
大和「うわー……」
長門「お前たち、本当に捕まえてきたのか……」
雷「当ったりまえじゃない! そう連絡したでしょ?」
ワ級「……」
ワ級「……」
大和「たしかに連絡は受けたけど……よくここまで牽引してこれたわね」
暁「もー大変だったんだから! 重いし、丸いからロープは引っ掛けづらいし。しょうがないから首に引っ掛けてきたのよ!」
長門「これ生きているのか?」
雷「頭を錨でぶん殴っただけだから生きているはずよ。それに死んでいるなら沈むはずじゃない?」
暁「全員で囲んでバッシバシ叩いてやったんだから!」
電「砲弾も魚雷も尽きた所で大変でしたが、相手がワ級さんで良かったのです」
大和「つまり、気絶している……ってことなのかな?」
長門「ワ級も気絶とかするのか……?」
大和「……多分。正直よくわからないのよね、ワ級って……」
響「ついでに武装も引剥してやったから、このワ級はもう抵抗できないはずだよ。ただの浮き球みたいなものさ」
電「おかげで服が魚臭いのです」
雷「はやくお風呂はいりたいわね!」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1498133775
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:19:30.61 ID:H0aW+MIFo
大和「……うーん、どうする?」
長門「どうする、と言われてもな……。こんなことは鎮守府始まって以来の珍事だ。前例がない」
大和「まさか深海棲艦を生け捕りにできるなんてねぇ……それも二隻も」
長門「私達だけで処分を決めるわけにもいかないだろう。ここは皆を集め、話し合うしかないだろうな」
大和「そんなすぐに決まるような議題じゃないわよ? いつ目覚めるかもわからないし、意見がまとまるまでロープ一本でここに繋留させておくのは不用心よ」
長門「……ふむ、そうだな。なら、私が見張りをしていよう」
大和「あら、長門は会議にでなくていいの?」
長門「無力化しているとはいえ、私達の本拠地に深海棲艦がいるんだ。見張りを駆逐や軽巡に任せるのも、何かあった時に荷が重いだろう」
長門「それに私は提督とお前たちの決議を信じている。なに、私から意見を述べるまでもなく、お前たちなら然るべき処分を決してくれるはずさ」
大和「……そう、わかったわ。できるだけ早くまとめるようにするから、ワ級のことは頼むわね」
長門「ああ、任せておけ」
雷「大和さーん、雷たちも上がりでいいの?」
暁「もー体中魚臭くてたまらないわよ!」
響「ロープがけに手こずってワ級にぶつかってから、服によくわからない粘液がついているんだ。さすがに気持ち悪いよ」
電「やたらネバネバしてて、しかも磯臭いのです……」
大和「はいはい、今日はもう上がりでいいわよ。ご苦労様。あとで大淀に報告書出しといてねー」
雷「よし、このままお風呂に直行するわよ! みんなついてきなさい!」
暁「だめよ! 部屋に戻らないとシャンプーも変えの下着もないじゃない」
響「この臭いで自分たちの部屋に入るのかい? それは嫌だな……」
電「はぁ……。こんなに大変だったのならあそこで沈めておけばよかったのです……」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:24:51.56 ID:H0aW+MIFo
_________
____
_
長門「……」
ワ級「……」チャプチャプ
ワ級「……」チャプチャプ
長門(……ふーむ、思えばワ級をこんなに間近でじっくりと眺めるのも初めてだな)
長門(丸い。しかし丸い。浮き球とはよく言ったものだ。思いっきり蹴飛ばしてやりたくなるような丸さだ)
長門(その球体からニョキと女の上体が生えだしてはいるが、これもまたなんとも歪なものだな)
長門(細い肩筋には似合わない突き出した腹。乳は張りよく上を向いている。まるで妊婦のようだ。……妊婦なのか?)
長門(……いやいや、人と同じと考えてはいけないな。こいつらは深海棲艦、得体の知れない私達の敵だ)
長門(だいたい、妊婦がこんなにヌメヌメしているはずないだろう。なんだこのヌメッと感は。ふざけているのか?)
長門(それにこの魚臭さときたら……。数メートルは離れているが、アジの一夜干しを鼻に押し付けられたような臭気だ……)
長門(……まったく、気が滅入る。深海棲艦の中でも際立って気持ち悪いとは思っていたが……ここまでくると、もう)
長門「……見ているだけで腹が立ってくるな」
江風「うおー! 本当に居たぜおい!」
朝霜「六駆の言っていたこと本当だったのかよ。マジで鎮守府に深海棲艦が居るとは思わなかったぜ」
夕立「臭っ!? めっちゃ臭いっぽい! なにこれ、くっさ!?」
時雨「ほんと、凄い臭いだね……。寮で会った響とは段違いの臭いだよ……」
長門「ん? お前たち、何をしに来た?」
江風「あーどうも長門さん。いやーさっき六駆の連中からさー、深海棲艦を捕まえたーって聞いたもんでね」
朝霜「んなこと信じられっかよーってんで、こうして確かめに来たってわけさ」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 21:27:51.81 ID:TAWwNkCTo
一瞬普段から響が臭いのかと
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:28:44.05 ID:H0aW+MIFo
長門「……そうか。まあご覧の通りだ。見学は好きにしていいが、あまり騒ぐなよ?」
江風「はいはい、ありがとうございます長門さん。……それにしてもマジで捕まえてくるなンてなぁ……、捕まえるか普通?」
朝霜「あいつらちょっとおかしいよな。この間も錨でル級ボコボコにしてたぜ?」
時雨「……これ、まだ生きているんですか?」
長門「ああ、恐らくな」
江風「っつーことはさ? この浮き球はうちで初の捕虜ってやつになンの?」
時雨「それはどうだろうね。僕達と深海棲艦は条約を結んでいるわけでもないし、そもそもワ級だから」
朝霜「そうだなぁ。姫や鬼みたいな司令塔ならともかく、そこらにフヨフヨ浮いてる得体の知れない球だもんな」
時雨「ワ級に捕虜としての価値があるなんて、少なくとも僕には思えないよ」
江風「きひひっ、じゃあ六駆は骨折り損のくたびれもうけって奴だな。あんな臭くてベトベトになってたのに、ご苦労なことだぜ」
朝霜「ね、長門さん。実際の所、こいつをどうするつもりなんだい?」
長門「それについては今、提督と戦艦空母連中で話し合いをしている所だ」
長門「……だが、まぁ雷撃処分か、もしくは上に任せて解剖調査といった所になるだろうな」
江風「解剖ねぇ。それよりはここで沈められたほうがまだマシってもンだろうな」
朝霜「でも、あたい達ってワ級についてなーんも知らないからねぇ。だいたいこいつら、輸送船とは言われてるけど何運んでんのって話だろ?」
時雨「さぁ……」
夕立「っああーーーー!! もう!! もう我慢できないっぽい!! くっさい!! 臭すぎるっぽーい!!」
江風「っ!? お、おい夕立の姉貴!? 石なんて掴んで何する気だよ!?」
時雨「ちょ、ちょっと夕立! ダメだよ!」
夕立「うるせぇっぽい! この臭い玉! 見た目も臭いもなんか無性に腹立つっぽい!! くたばれっ!」ブンッ
ワ級「………………!?」カツーン
長門「……むっ?」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 21:31:59.85 ID:2EE7LkqA0
面白そうじゃん
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:32:32.43 ID:H0aW+MIFo
ワ級「……!?……!!?……!!!!?」
時雨「あ、ああー……。もう、起きちゃったじゃないか! 何してるの夕立!」
夕立「関係ねぇっぽい! 敵のお膝元で呑気に寝てるその精神すら気に食わねぇっぽい!」
朝霜「さっすが狂犬、やると思った時にはすでに行動が終了している女だぜ……」
江風「い、いやーすみません長門さん。うちの姉貴がとんだご迷惑を……」
長門「……まあいいさ。いずれは起きるものだからな」
ワ級「!!?!?!?」グイグイ
ワ級「……?」
ワ級「!!!!!」
ワ級「…………!!!!!?」
ワ級「!!!??!?!!!」
ワ級「!!?!!?!?!?」
朝霜「……大慌てだな」
江風「無理もないだろ。起きたら目の前に敵がいるんだもの。そりゃこーもなるって」
夕立「オラーッ!! 大人しくするっぽい!! この期に及んで生き恥晒すんじゃねぇぽい!!」ブンッ
ワ級「!!?!?!」カツーン
時雨「夕立! もうやめなって!」
夕立「うるせぇっぽい!!」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:35:27.39 ID:H0aW+MIFo
ワ級「!!!!!!」ザザザッ
ワ級「!!!!!!」ザザザッ
長門「おっと、どこへ行く気だ」グイイッ
ワ級「!?!?!?」グググッ
ワ級「!?!?!?」グググッ
長門「所詮は輸送船。戦艦たるこの長門に、馬力で勝てるとは思わないことだな」
長門「貴様らの所属を言え。何を運んでいる? なぜそんなにヌメヌメしている? そもそもお前らは本当に輸送船なのか?」
ワ級「!!??!?」
ワ級「!?!??!」
時雨「……もしかして言葉をつかえないタイプなのかな? イ級みたいにさ」
江風「あー……、そうかもしんねぇな。頭に変なの被ってるし」
長門「……ふむ、それならそれでいい。では聞け。今、貴様らがいるのは鎮守府。基地でも泊地でもなく、鎮守府だ」
長門「聞いたことくらいあるだろう? お前たちにとっては敵の本拠地、総本山だな。そしてそれが何を意味するのか、わかるな?」
長門「抵抗は無意味だ。大人しくしておいたほうが身のためだぞ?」
夕立「隙を見て逃げ出そうとしたり、夕立達に逆らおうとしたのなら! 容赦なくその身を漁礁に変えてやるから覚悟するっぽーい!!」
ワ級「!!!!?!?!」
ワ級「!!?!?!!?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 21:37:37.55 ID:6YYi9wceo
夕立ガイジすぎだろ
解体すべきだわ
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:38:39.12 ID:H0aW+MIFo
ワ級「…………」
ワ級「…………」
朝霜「……大人しくなったな」
時雨「自分たちが敵に捕まってるなんて聞いて、さすがにこたえたんじゃないかな」
江風「まっ、運が悪かったと思って諦めな。どーなるかはまだ解らないけどねぇ」
夕立「雷撃処分に決まったら夕立が木っ端微塵にしてやるから安心するっぽい!」
長門「そのくらいにしておけ。敵とは言え、華々しく散ることはおろか自沈すらできない身だ。大人しくしているのなら静かに沙汰を待たせてやろう」
時雨「そうだよ夕立。一寸の虫にも五分の魂というじゃないか。あまり追い詰めちゃ可哀想だよ」
夕立「五分も魂があるなら十分っぽい! 見せてみやがれ水雷魂!!」ブンッ
ワ級「!?」カツーン
江風「姉貴、ありゃ輸送船だぜ?」
夕立「嘘つけっぽい! あいつらの夜戦砲撃地味に痛いっぽい!」
朝霜「それはそうだけどさ……」
陸奥「えーっと、どこかしら……。あーいたいた、長門ー!」
長門「ん? おお、陸奥か。どうした?」
陸奥「会議が終わったわよ。大和たちが庁舎で呼んでるから、早く行ってあげて」
長門「なに、もう終わったのか? 随分と早かったな。で、どういうことになったんだ」
陸奥「養殖することになったわ」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:41:21.20 ID:H0aW+MIFo
長門「……ん? 今なんて言った?」
陸奥「養殖よ」
長門「養殖?」
陸奥「ええ、養殖。ワ級を養殖するんですって」
長門「……ちょっと待て陸奥。確認させてくれ……ワ級を養殖する、とお前は言っているのか?」
陸奥「だからそう言っているじゃない」
長門「……ここで? 鎮守府で深海棲艦を養殖する? ……正気か!?」
陸奥「私に言われても困るわよ。勝手に盛り上がって決まっちゃったんだもの。だから詳しい説明は庁舎で聞いてくれない? ワ級は私が見ておいてあげるから」
長門「ああ、ここは頼んだぞ! あいつら、何を考えているんだ……!」ダダダッ
江風「……聞いたかおい」
朝霜「うん……。うちの上層部ってさ、たまに心配になるよな……」
時雨「たぶん発案したの明石さんだよね……」
夕立「ふざけんなっぽい! こんなの養殖したら臭いで気が狂うっぽい!」ブンッ
ワ級「!?」カツーン
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12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:43:21.12 ID:H0aW+MIFo
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鎮守府 庁舎
長門「……もう一回言ってくれ」
大和「うん、だからね? あのワ級を鎮守府で増やして」
長門「……すまない。もう一回」
大和「また? だから、あのワ級を鎮守府で増やして」
長門「お前たちは何を話し合っていたんだっ!?」
武蔵「何って、ワ級の有効利用法に決っているだろう?」
加賀「ワ級を鎮守府にて養殖し、毎週の撃沈ノルマを鎮守府にいながら完遂できるようにする。実に合理的かつ革新的なアイディアです」
赤城「はい。大本営からの嫌がらせとしか思えない毎週の輸送船50隻撃沈任務、ろ号作戦。もしワ級の養殖に成功できたのなら、くたびれた潜水艦たちをオリョールに連続出撃させることも、運否天賦にまかせてバシー島やカレー洋を彷徨うこともしなくてよくなります」
長門「それはそうだが……! 相手は深海棲艦なんだぞ!? ブリや牡蠣の養殖とは訳が違う! 考え直せ!」
武蔵「始める前から諦めてどうする? お前の口からそんな弱気な言葉など、この武蔵は聞きたくなかったぞ」
長門「弱気強気の話をしているんじゃない! こともあろうに私達の本拠地で、敵を養育するなどと正気とは思えないと私は言っているんだ!」
瑞鶴「敵って言ってもワ級でしょ? あんなの海のボールじゃない」
翔鶴「でもね瑞鶴。ボールの無反動砲の口径はガンタンクのキャノンすら凌ぐ180mmなの。火力だけならMSにも劣らない光るものを持っているのよ」
瑞鶴「ワ級はその無反動砲を持ってないでしょ? 危険なところを探すほうが難しいわよ」
大和「そういうことよ、長門。ワ級に危険性はないし、幸いにも二隻いる。そして私達はろ号作戦に苦しめられている。となれば、養殖してみようというのは自然な考えじゃないかしら?」
長門「どこがだ! だいたい、あの任務は艦隊行動中のワ級を撃沈するものであって、養殖したワ級を沈めた所で戦果として認められる訳がないだろう!」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:46:56.05 ID:H0aW+MIFo
大淀「それについてはお気になさらず。任務通達書には『艦隊行動中のワ級に限る』なんて文言はありませんから」
長門「それは屁理屈というものだ!」
加賀「屁理屈だろうと何であろうと。上からそのような指定はないし、もっと言えば深海棲艦を養殖するなという決まりもない。私達は何の規則も犯してはいないわ」
武蔵「至って正当な方法だ。後ろめたいことなど一切ない。私達は胸を張ってこの案に賛成している」
瑞鶴「そうそう。それに何か問題があるにしても、私達から言わなきゃ上にもバレないわよ」
長門「……提督は!? お前たちのふざけた案に提督はなんと言っている!?」
大和「『うん。いい案』って」
長門「あいつはそれしか言えないのか!」
大和「しょうがないじゃない。士官学校であ行しか習って来なかったんだもの」
武蔵「長門よ、提督への暴言は謹んでもらいたい」
長門「っく……!」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:50:52.33 ID:H0aW+MIFo
大和「だいたい、長門も私達に任せるって言っていたでしょ。私達、長門を待たせちゃ悪いと思って急いで決めたのよ?」
武蔵「そうとも。だが、明石の一声がなければ私達は未だに唸りながら考え込んでいただろうな」
加賀「本当に素晴らしいアイディアです。あなたのそういう頭の柔らかい所、嫌いではないわ」
明石「えへへ、いやーそれほどでも」
長門「……やはりお前の案だったか! 今回ばかりは悪ふざけが過ぎるぞ!」
明石「いえいえ、ふざけてなんかいませんよ? 私は真面目にこの案を押していますって。だから生け簀の図面もほら、この通りパパっと描き上げちゃいました」ガサッ
長門「生け簀だと……?」
明石「はい、生け簀です。養殖するなら必要でしょう? いつまでもロープ一本で港に繋いでおく訳にもいきませんからね」
武蔵「……ほう、なるほど。使われていない船舶用ドックの辺りに作り上げる気か」
明石「ええ。ここも元はと言えば大型艦船が出入りしていた海軍基地。私達艦娘が使うようになって使用範囲は小じんまりとしてしまいましたが、おかげで空きスペースには困りませんからね」
大和「ケーソンで区切って水門を備えて……、随分と大掛かりね。大丈夫なの?」
明石「大丈夫大丈夫。戦艦一隻作る事に比べたら簡単なもんです。あの辺りにはガントリークレーンもありますし、ケーソンの牽引もみんなでやればすぐ終わりますよ」
加賀「随分と分厚い水門のようだけど。これはあなたが作るの?」
明石「もちろんです。鋼材も余ってますからね。それにこのくらい厳重でないと、安全第一の長門さんも納得しないでしょう?」
長門「ぬ……」
明石「とまあ、私だって深海棲艦を囲うにあたって色々と考えてるんですよ。だから安全面は安心してください。保証しますよ」
長門「そ、そうか……うん」
武蔵「……ふっ、ここまでされてはさしもの長門も反対はできんな」
長門「……私はまだ納得したわけではない」
大和「あ、そうそう。ワ級の飼育係は長門だからね」
長門「おいちょっと待て!」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 21:52:49.68 ID:2dzkyj+h0
翔鶴がガノタとは斬新ww
続けたまえ。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 21:55:44.39 ID:TAWwNkCTo
ろくな結果になりそうにない
長門は早く上に報告した方が良い
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:55:45.26 ID:H0aW+MIFo
長門「私にだって仕事がある! ワ級の世話などしている時間はない!」
武蔵「そこは安心してくれ。お前がワ級の養殖に専念できるよう、スケジュール周りはこちらで調整させてもらう」
大和「それにしばらくは大規模作戦の予定もないんだし、どうせ暇じゃないの」
長門「……そ、それはそうだが!」
加賀「執務室に入り浸って麻雀や桃鉄大会をしているよりは、よっぽど有意義な時間を過ごせるはずよ」
赤城「というか長門さんがいると一人勝ちで面白くないんですよね」
翔鶴「運に任せて傍若無人な打ち筋やプレイをされるこちらの身にもなってほしいです」
長門「お、お前たち……! 私をそんな風に思っていたのか!?」
武蔵「まぁそういう訳だ。よろしく頼むぞ長門よ」
長門「断る! だいたい何故私なんだ! 暇というならそこの赤城や翔鶴だって変わらないだろう!」
大和「しょうがないじゃない。クジで決まったんだもの」
長門「……クジ。クジで決まったのか……!」
大和「ええ」
赤城「クジで決まってしまってはしょうがありませんね」
翔鶴「本当、こればっかりはしょうがないです」
瑞鶴「まー納得は出来ないとは思うけどさ。ここは観念するしかないんじゃない? クジだし」
加賀「立候補や推薦であればともかく、クジとあっては誰も意見できないわ」
武蔵「皆の言うとおりだ。やってくれるな? 長門」
長門「……ええい! 不服。不服だ。不服だが……、クジで決まったのならしょうがあるまい……」
大和「長門、じゃあ!」
長門「……ああ、引き受けよう。……ワ級の養殖など、戦うことしか知らない私に上手く出来るとは思えんが、クジで決まった以上は尽力するつもりだ」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 21:57:31.00 ID:R3uC9YWr0
長門はくそ真面目だなぁ
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 21:58:41.20 ID:H0aW+MIFo
武蔵「お前ならそう言ってくれると信じていたぞ」
翔鶴「さすが長門さんですね。私達も出来る限り応援させていただきますから」
赤城「はい。私達、応援には自信がありますので。空母総出で応援させてもらいます。任せてくださいね」
瑞鶴「ポンポンだって用意したんだから! チアガールの衣装はないけどね」
加賀「私は演歌くらいしか芸事を持っていませんが、それでも良いのなら歌わせていただきます」
長門「……まったく、決まったとたんに調子のいいことを言う。こんな事になるのなら私も会議に出席するべきだったな」
大和「もう終わっちゃった事を言っても仕方がないわよ。ほら、気持ちを切り替えて? 今日から長門はワ級の飼育員さんなんだから」
長門「やれやれ……、で? その生け簀とやらはいつ出来るんだ」
明石「資材は揃っているので生け簀の建築は今日から始めますが、諸々の仕上げもあるので……、まー早く見積もっても二週間はかかると思ってください」
武蔵「ふむ。それまでは当番でワ級を見張るしかないか」
瑞鶴「ええー、面倒くさいなぁ。いっその事陸にあげちゃったらいいんじゃない?」
大和「だめよ。それで死んでしまったら元も子もないじゃない」
武蔵「これも憎きろ号作戦を打倒する為だ。皆、協力してもらいたい」
長門「……んん、私が飼育員をすることは了解した。だが、その前に一つ確認したいことがある」
大和「ん? なに?」
長門「お前たちにとっては物凄く今更なのかもしれないがな。ワ級ってどうすれば繁殖するんだ?」
大和「……え? さあ……? どうなの明石?」
明石「さあ?」
長門「……さあ? さあってどういうことだ?」
明石「いや、解らないです。ワ級の繁殖方法なんて」
長門「解らない……解らない!? ちょっと待て! 方法すら解らないのに養殖しようなんて言ったのかお前は!」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:01:44.30 ID:H0aW+MIFo
明石「ままま、落ち着いてくださいよ。養殖は失敗の歴史。トライアンドエラーの結晶なんですから。それも未知の生物……生物なのかな? まあ生物相手ともなれば尚更ってもんです」
明石「長門さんが心配する通り、確かに私達はワ級が繁殖する方法はおろか、繁殖する確証すらも持ち得ていません。でもそれはワ級が繁殖しない確証も無いということです。なんたって未知の生物?なんですから」
明石「だから、ここは疑う心よりも信じる心。疑念よりも希望を持つべきじゃないですか? ちゃんとお世話をすれば繁殖してくれるという希望をね」
長門「む……」
明石「大丈夫。長門さんがしっかり気持ちを込めてお世話すれば、ワ級もそれに応えてくれますよ。動物の飼育ってものはね、そういうもんなんです。多分」
武蔵「疑念より希望……か。うむ、いい言葉だな」
大和「そうね……。うん、長門がしっかりお世話すれば、ワ級もきっとそれに応えてくれるはずよ」
翔鶴「私達も出来る限り応援させていただきますから」
赤城「はい。私達、応援には自信があるんです。空母全員で応援させてもらいますから。楽しみにしてくださいね」
瑞鶴「振り付けだってちゃんと覚えたんだから! チアガールの衣装はないけどね」
加賀「私は流鏑馬くらいしか芸事を持っていませんが、それでも良いのなら披露させていただきます」
長門「……まったく、調子のいいことを言う。……しょうがない。私もその希望とやらを信じて、お前たちのために頑張ってみるか」
大和「ふふ。長門のそういう面倒みの良いところ、私達は好きよ」
武蔵「私も出来る限りの応援をさせてもらう。気張れよ、長門」
長門「ああ、任せておけ」
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21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 22:01:57.99 ID:7SuNdtsvo
途中までは珍しく7ながもんじゃないビッグセブン長門がほぼ唯一の常識人で苦労しそうな話で同情したが、
麻雀や桃鉄で遊んでるなら別にえーわ(見放し)
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:05:11.20 ID:H0aW+MIFo
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二週間後……
朝 戦艦寮
陸奥「長門ー、起きてるー?」ガチャ
長門「ああ。今準備を終えた所だ」
陸奥「あら、白Tシャツにジーンズ。随分とさっぱりした恰好ね」
長門「普段の服に臭いがついてはたまらないからな。ワ級の世話はこれでやるつもりだ」
陸奥「ふーん、似合ってるじゃない。……でも、そのTシャツの文字はどうにかならないの?」
長門「ん? 変か?」
陸奥「『黒鉄の城』って……。まあ、長門らしいと言えばらしいわね」
長門「なに、どうせいずれは汚れて使い物にならなくなる服だ。デザインなどどうでもいいさ」
陸奥「そ、じゃあこれも被っていくといいわ」
長門「麦わら帽子……か。普段から海に出ている私たちには今更なものじゃないか?」
陸奥「そんなことないわよ。紫外線はお肌の大敵なんだから。頭部艤装も付けないんだし、被れるなら被っておくべきよ」
長門「ふむ、そういうものか。わかった、被っていくことにしよう。ありがとう陸奥」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:06:47.59 ID:H0aW+MIFo
陸奥「……」
長門「……どうした。私の顔に何かついているか?」
陸奥「……なんていうのかしら……すっごく似合ってるわ。ほら、あれよ。テレビでやってるアイドルが畑とか耕すやつにそっくりよ」
長門「ふふ、アイドルはワ級を養殖したりはしないだろう」
陸奥「んー、まあそうだけど。でも不思議なものね。ワ級を養殖するなんてのもよく考えれば変だけど、それを長門がやるなんて。よくOKしたわね」
長門「いや、まったくだ。私も何がどうなってこんな役回りを了承したのか良く思い出せない。……だが、まあやるからには全力で取り組むつもりだ」
陸奥「……ふふ、ほんと長門らしいわ。で、今日は何をするつもりなの?」
長門「まずはワ級を生け簀に入れる。あとは……そうだな、ワ級が食事をとってないらしい。それもこの二週間ずっとだ」
陸奥「二週間も? 大丈夫なの?」
長門「わからん。そもそもワ級に食事が必要なのかすらわからないからな。とりあえず私達の食事の余り物を与えてみたり、原油をぶっかけたり鋼材を顔に押し付けたりしたそうだが、食べる気配がないらしい」
陸奥「……それは心配ね」
長門「ああ。だからまあ、まずはワ級の餌探しといったところだ。上手く行けばいいがな」
陸奥「そう、わかったわ。じゃ、頑張ってきてね」
長門「ああ、行ってくる」
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24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:09:20.15 ID:H0aW+MIFo
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港 生け簀
ザザザーザー
『じゃー水門閉じますよ。長門さん、水門から離れましたか?』
長門「ああ。私とワ級は水門から距離を取っている。閉めてくれ」
『はいはい。じゃあ水門閉じまーす。波が起こるので気を付けてくださいね』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ズンッ
『水門閉鎖完了! これでワ級のロープを外せますね』
長門「そうだな。しかし、なぜわざわざ庁舎からしか水門を操作できないようにしたんだ?」
『そりゃあ仮にも深海棲艦を囲う生け簀ですからね。セキュリティってやつですよ。長門さんも安心でしょう?』
長門「ふふ、うん。そうだな」
『何箇所か梯子をつけといたんで、長門さんはそこから生け簀の縁に上がってください。見えますか?』
長門「ああ、見える。……しかし、これは生け簀というよりは防波堤の囲いだな。まったく、よく作ったものだ」
『だって防波堤を作る建材で作りましたからね。大波台風はもちろん、駆逐艦の砲撃くらいじゃ穴をあけるのも苦労するはずですよ』
長門「これもセキュリティってやつか?」
『はい。まあ建築用の資材が残ってたってのもありますけど』
長門「よし……っと。今、生け簀の上に出た。ふむ……いい眺めだな。縁の幅も広い。5〜6mほどもあるじゃないか。それに灯台まで建てたのか? これでは本当に防波堤だな」
『釣りにももってこいですよ。でもまあ、誰も臭いで近づきたがらないとは思いますがね』
長門「違いない。私も鼻が曲がりそうな思いだ」
『にひひ、じゃあ頑張ってくださいね。私達のろ号からの開放は、長門さんの双肩にかかっているんですから』
長門「ああ、最大限の努力はしよう。ありがとう明石。通信終了」ブツッ
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:14:01.88 ID:H0aW+MIFo
長門「……さて」
ワ級「……」チャプチャプ
ワ級「……」チャプチャプ
長門「今からお前達の縄を解く。この二週間、ご苦労だったな。解かれた所で生け簀の中だが、それでも繋がれているよりはマシだろう。自由にしてくれ」
長門「よし……っと。ん?」
ワ級「……」チャプチャプ
ワ級「……」チャプチャプ
長門「どうした? 縄は解いたぞ? 好きに航行しろ」
ワ級「……」チャプチャプ
ワ級「……」チャプチャプ
長門「……やはり食事を取っていないことが影響しているのか。ふむ……そういえば以前よりヌメッとしていないな」
長門「おい、お前。……むぅ、そう言えばどちらもワ級だったな。……ではまず、お前たちの名を決める」
長門「……そうだな、右のお前が玉男。左のお前が玉美だ。良い名だろう? 誇りに思ってくれ」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「……リアクションの薄い奴らだ。まったく、これでは名の付け甲斐がないな。……まあいい」
長門「お前たちは何を食べるんだ? 見たところ以前より元気がないが、それは食事をとっていないからだろう?」
長門「アジフライ。野沢菜漬け。豚汁。きんぴらごぼう。牛乳。コッペパン。パイン飴。白菜。原油。鋼材。ボーキサイト」
長門「そのどれもをお前たちは口にしなかった。……いやそもそも口とかあるのか? とにかく、お前たちは一体何を食べるんだ? 教えてくれ」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「……まあ喋れないことは知っているが。それでも少しくらいは反応してくれても良いんじゃないか?」
長門「動く元気が無いのか。それとも石を投げられすぎていじけているのか。……世話のかかる奴らだ」
長門「しょうがない……。私が色々と試してみるしか無いようだな。……どれ、食べ物をいくらか見繕ってくるか」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:18:53.36 ID:H0aW+MIFo
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____
_
暫くして…
長門「ほら、これはな? 牛缶というんだ」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「開けるぞ。……どうだ、いい匂いだろう? 私はお前たちの臭いでまったくわからないが、お前たちにはわかるはずだ」
長門「美味そうだろう? ほら、食べていいぞ。遠慮するな」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「……これも駄目か。ならこれならどうだ。これはウナギのゼリー寄せと言ってな。詳しくは私も知らない」
長門「うちの戦艦の一人がたまに狂ったように量産するから余っているんだ。誰も食べないからな。作った本人すらも。だがお前たちなら食べるだろう。魚だぞ?」
長門「お前たちの大好物なはずだ。こんなに魚くさい奴が魚を嫌いな訳がないからな。ほら、食べていいぞ」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「……これも駄目か! ええい、ならこれならどうだ。シュトーレンというらしい。何でも欧州の菓子と聞く」
長門「見ろ。このギュッと締まった甘い生地。干し果物も入っているな。それに周りの粉砂糖。見ているだけで虫歯になりそうだろう。絶対に美味いはずだ」
長門「よくわからんがクリスマスに食べるものらしい。だが、今日は特別だ。クリスマスでもないのにお前たちにやろう。さあ食べてくれ」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「…………いい加減にしろっ!」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:22:41.84 ID:H0aW+MIFo
長門「どういうことだ! 何故食べない!? このままでは死んでしまうぞ!」
長門「いいか! お前たちの命は今、この長門が預かっているんだ! 勝手に死なれては困る!」
長門「なんとしてでも食べてもらうぞ! わかったか!」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「っく……! 聞く耳もたずか。……そもそも喋れはしないが……」
長門「この態度……、本当に元気が無いのか、それとも強情を張っているのか……見分けがつかない」
長門「……おい! 誰のためにこの臭いを我慢してまでやっていると思っている!」
長門「少しは反応してみせろ! そのくらいの感謝はあってもいいはずだぞ!」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門「……っく! もういい、今日は止めだ! 食料は置いていく! いいか、絶対に食べろよ!」
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28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:26:43.85 ID:H0aW+MIFo
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四日後…
早朝 戦艦寮
陸奥「え、ワ級はまだ何も食べてないの?」
長門「ああ……。この四日間、食べそうなものを色々と見繕ってはみたが何も食べようとはしない」
陸奥「じゃあ捕まえてからもう……二十日近くも?」
長門「うん……そうだな。始めは意地でも張っているのかとも思ったが、どうやら本当に弱ってきている。日に日に体が乾いてきているんだ」
長門「ワ級のことはわからないが……、生気を失っているのはわかる。このまま絶食が続けば、あと数日も持たないだろう」
陸奥「……うーん、そうなの。それはその……ショックね」
長門「いや、別にワ級が死ぬことはいいんだ。そんなものは有りふれている。だがな、私は一応この役目を任された身だ。期待には応えたい」
長門「あんな立派な生け簀まで用意されたんだ。それをこんな初歩的な所で失敗させるなど、皆に合わせる顔がない」
陸奥「そんなに思い込むことないわよ? どうせ皆もズルして楽しようとしてるだけなんだし」
長門「それはそうだが……。ああ、もうこんな時間か。すまない、もう出る」
陸奥「あら、朝食はどうするの? まだ食堂は開いてないでしょ?」
長門「間宮に言って私の分だけは弁当にしてもらっている。生け簀で食べるつもりだ。……ワ級が沈みそうだからな、見張っていないと気が気でない」
陸奥「……そう。……いい長門? あまり思い詰めちゃ駄目よ? 所詮はただのワ級なんだから」
長門「ああ。では、行ってくる」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:30:58.41 ID:H0aW+MIFo
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港 生け簀
長門「……」
玉男「……」チャプチャプ
玉美「……」チャプチャプ
長門(……あれだけヌメヌメしてた肌がすっかり乾ききっている。肌は……まあ白いままだが、ハリはなくなったな)
長門(よく見ると昨日より喫水も深くなっているか? 沈みかかっている。……もう限界か)
長門(この四日間、食堂で手に入る限りの食材は試してみたが、どれ一つとして興味を示さなかった。……正直、お手上げだ)
長門(唯一、見学に来た提督が持っていたペペローションとかいうのには微妙に反応していたが、あれは多分食材ではない。というかなんだあれは)
長門(……ここまでか。こいつらはもう、明日か明後日には沈むだろう。……やはりこの養殖はもう……)
長門「……ふぅ。いかんな、後ろ向きな考えしか出てこない。……うん、まずは朝食を取るか」
長門「何か気が紛れるような美味い物でも入っていると良いが……、ほう、鮭か。悪くはないな」
長門「だし巻き卵に、きんぴら。あとは保温瓶に味噌汁か。……ん? この小鉢、めかぶか」
玉男「……………………………!」
玉美「……………………………!」
長門「……んー、めかぶか。あまり好きではないんだがな」
玉男「!!!…!!………!!!」
玉美「!!!!!!…………!!」
長門「しかし、めかぶが出るのも久しぶりだな。……しょうがない、珍しさに免じて食ってや……ん?」
玉男「!!!!……!!!!!!」
玉美「!!!!!!!……!!!」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:34:48.56 ID:H0aW+MIFo
長門「……ワ級が……反応している……? 反応しているのか……!?」
玉男「!!!!!!………!!!」
玉美「!!………!!!!!!!」
長門「……弁当! 弁当か! どれだ!? きんぴら……、はもう与えたな! だし巻きか!? いや鮭か!?」
玉男「!!!…!!!!……!!」
玉美「!!………!!!!……!」
長門「鮭か!? やっぱり鮭だな!? 鮭は美味いからな! これか! これだろう!?」
長門「ほら鮭だ! 投げるからな! 食べてくれよ!」ブンッ
玉男「!!!!……!!……!!」ベチッ
長門「おい食べろよ!? 私も楽しみにしていたんだぞ! ふざけるな! 鮭じゃないのか!?」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:39:18.24 ID:H0aW+MIFo
長門「じゃあ何だというんだ……! だし巻きも卵焼きはすでに与えたし、味噌汁だってぶっかけてやったはずだ……」
長門「……めかぶ。めかぶか……!? 確かにめかぶはまだ試していない、これか!?」
玉男「!!!!!!!!!!!!」
玉美「!!!!!!!!!!!!」
長門「よ、よし。お前たち、近づいてこい! めかぶは投げるわけにはいかないからな! ほら、こい!」
玉男「!!!!!!!!!!!!」ザザザッ
玉美「!!!!!!!!!!!!」ザザザッ
長門「よし、食え! これなんだろう!? 頼む、食ってくれ!」
玉男「!!!!!!!!!!!!」チュルチュル
玉美「!!!!!!!!!!!!」チュルチュル
長門「……食べた。食べたぞ。本当に食べてる! お前たちどこから食べてるんだそれ! 歯の隙間から吸い込むなんて気持ち悪いぞ!」
長門「その頭、仮面とかではなく本当に頭だったんだな! はは、すこぶる気持ち悪いな!」
長門「しかし……食べてくれた。食べてくれたぞ……! ……めかぶだったか! お前たち、めかぶなんて食べていたのか!」
玉男「!!!!!!!!!!!!」
玉美「!!!!!!!!!!!!」
長門「くっ、小鉢程度ではすぐに無くなってしまうな。待っていろ! 今すぐめかぶを沢山持ってきてやるからな!」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:41:50.78 ID:H0aW+MIFo
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食堂 間宮
間宮「めかぶ……ですか?」
長門「ああ! 今すぐ欲しい、それもできるだけ沢山!」
間宮「ええ……、そんなにあったかしら……。ちょっと待ってくださいね、確認してきます」
長門「頼んだぞ」
伊良湖「……ねぇ長門さん、なんでめかぶなんて集めているんですか?」
長門「聞いて驚くな、めかぶはワ級の餌になるんだ! 今朝、ようやく食べてくれたんだよ」
伊良湖「……ワ、ワ級ですか? あー……、養殖し始めたって噂の……」
長門「ああ、そうなんだ。私が飼育員をしている。いや、しかし本当に食べてくれてよかった。あと数日遅かったら死んでいた所だった」
伊良湖「……は、はは。そうなんですか……。ワ級がめかぶを……」
間宮「あのー、長門さん。見てきたんですけど……、ちょっと余ってるめかぶはないですね」
長門「……ない? 少しもないのか!?」
間宮「ええ……。今朝の朝食分の量しか入ってきてないので、使い切ってしまっていますから」
長門「……そこを何とかならないのか? 頼む!」
間宮「そう言われても……、うーん。朝食に出す分からお渡しすることも出来ますけど、そうなると食べられない人たちも出ますので」
長門「……ふむ、そうか。うーん、そうか……」
間宮「申し訳ないですけど……」
長門「……いや、待て。そうだな……戦艦空母に出す分だけ寄越してもらう、というのは出来るか?」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:45:12.91 ID:H0aW+MIFo
間宮「え? それはできますけど……良いんですか?」
長門「ああ、構わない。あいつら応援すると言っておいて別に何もしてくれないからな。いや、加賀だけは律儀に歌いには来たが……。とにかくその分を渡して欲しい」
間宮「……そうですか。わかりました。じゃあ袋に入れてきますから、ちょっと待っていてくださいね」
長門「ああ、頼む」
伊良湖「……ねぇ長門さん。ワ級がめかぶを食べるは驚きなんですけど、明日からどうするつもりなんですか?」
長門「ん? 明日から?」
伊良湖「ワ級の餌ってことは毎日与えないといけないんですよね?」
長門「……ふむ、確かにそうだな。めかぶを毎日安定して入手しないといけないのか……。うちの食材はどこから賄っているんだ?」
伊良湖「私達の食材は需品科の方から定期的に補充されていますけど。良かったら長門さんのめかぶも申請しておきましょうか?」
長門「……それはまずいな」
伊良湖「え?」
長門「……大きな声では言えないが、この養殖は上に報告せずにうちだけで秘密裏にやっていることだ。その申請が問題になる可能性がある」
伊良湖「……え、ちょ、ちょっと。そんなダーティーなものだったんですか!?」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:48:36.45 ID:H0aW+MIFo
長門「いや、皆が言うには規則に違反しているわけではないらしいが。しかし餌を補給から賄うとなるとそうもいかないだろう」
長門「鋼材燃料くらいなら鎮守府内でいくらでもごまかしは効くんだがな。うーん、そうか。めかぶの安定供給か……」
間宮「長門さーん、用意できましたよ。はい、どうぞ」
長門「ありがとう。……ふむ、戦艦空母分でも袋一つ分ほどにしかならないのか」
伊良湖「これで足りそうですか?」
長門「それがわからないんだ。参ったな、せっかく希望が見えたと思ったんだが……。とにかくありがとう。赤城あたりが文句を言ってきたら、私が協力してもらうぞ、と言っていたと伝えてくれ」
間宮「は、はい」
長門「邪魔をした。ではまたな」
間宮「……長門さんってそんなにめかぶ好きだったかしら?」
伊良湖「なんでもワ級の餌にするらしいですよ」
間宮「……え? ワ級? ワ級がめかぶを食べるの?」
伊良湖「ええ。長門さんが言うには……」
間宮「……世の中不思議な事もあるのねぇ」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 22:55:06.65 ID:T2eqWqn9O
ワ級が可哀想だわ
夕立キチガイ過ぎる
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:56:46.85 ID:H0aW+MIFo
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港 生け簀
玉男「♪……♪……♪♪♪」チュルチュル
玉美「♪♪♪……♪♪♪♪」チュルチュル
長門「……」
長門(……めかぶ。めかぶの安定供給……。これは難問だな……)
長門(軍の補給ルートはつかえない。となると……民間の市場から契約して……)
長門(……それも駄目だな。結局は金がかかる。大淀に書類を偽造したとしても、今度は潔白の大義名分を失ってしまう事になる)
長門(……いや、まあ今の時点でも潔白なわけではないが。余っていたとはいえ、資材の私用もしているからな……うん)
玉男「♪……♪♪…!…!!!」
玉美「♪♪…♪……!…!!!」
長門「……もう無くなったか。この量ではやはり満足はしないようだな」
長門「……ここは自分でめかぶを集めるしかないか。そもそもめかぶはどこで採れるんだ?」
長門「やれやれ……、しょうがない。浜辺でもぶらついてみるか。……ん?」
長門「あれは……赤城か? 翔鶴に瑞鶴……なんだ、空母の連中が集まってきているな」
長門「……何をするつもりだ。手にポンポンを持っているが……、ああそうか、応援か。さては間宮に言われて応援のことを思い出したな?」
長門「横一列に並んで……ほう、うちにはこんなに空母がいたのか。知らぬうちに随分と増えたものだな。鈴谷と熊野もいるのか。……乗り気じゃない顔だな」
長門「……ぶっ。ふふふ。全員動きがバラバラだぞ。あれで得意だと抜かしていたのか? グラーフなんてコケているじゃないか」
長門「……うん、下手だな。見れたものではない。こんな猿踊りを眺めている時間はないな。先を急ごう」
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37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 22:59:13.71 ID:H0aW+MIFo
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浜辺
吹雪「あっさりー♪ しっじみー♪ はーまぐーりさーん♪」ザクザク
吹雪「……とは歌ってみたものの、全然いないなぁー。はぁー……ん?」
吹雪「あれは……長門さん? キョロキョロと何かを探しているようだけど……」
吹雪「……なーがーとーさーん! 何をされているんですかー!?」
長門「ん? おお、吹雪か。お前こそ何をしているんだ」
吹雪「潮干狩りをしていました。二日酔いで死にかけているポーラさんにしじみの味噌汁を作る約束をしたので!」
長門「ほう、人のために味噌汁を。それは感心だな」
吹雪「はい! だって手の震えが止まらないくらいに弱っていたので……最近はお酢も飲み始めましたし……」
長門「ふむ。虫の息、というわけだな」
吹雪「それで、長門さんは何を?」
長門「ああ、私はめかぶを探しているんだが……、どうやら考えが甘かったようだ。それらしい海藻は見つけたが、どうにも量が少ない」
吹雪「めかぶですか? 長門さんが手に持っている海藻は昆布ですよ?」
長門「そうなのか? 昆布はめかぶではないのか……」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:02:54.37 ID:H0aW+MIFo
吹雪「めかぶはワカメの根っこの部分の事ですから。ほら、そこに打ち上げられているのがワカメです」
長門「ほう、これがワカメなのか」
吹雪「で、めかぶと呼ばれる部分はここ。ほら、ここです。この根っこの辺りにある膨らんだ部分です」
長門「……なに? ここだけか? 一本のワカメからこの量しか採れないのか?」
吹雪「そうですね。めかぶってけっこう貴重なんですよ?」
長門「……参ったな。これでは全然足りんぞ」
吹雪「……あのー、めかぶを何に使うつもりなんですか?」
長門「実は私はワ級の養殖に従事しているんだが……その餌として大量のめかぶが必要なんだ」
吹雪「え? ワ級の養殖なんてしてたんですか!?」
長門「ああ……。今朝はなんとか袋一杯分のめかぶをかき集めたが、それでもまったく足りていない。それにこれから増える事も考えるとな……頭が痛いよ」
吹雪「そうなんですか……」
長門「訳あって補給に頼るわけにも、民間から買い付けるわけにもいかないんだ。だから自分で採るしかないと思っていたんだが……めかぶがこんなにも貴重なものだったとは、私は知らなかった」
長門「まったく……自分の無知と甘さが嫌になる。明日のワ級の餌ひとつ集められないなんてな……。何がビッグセブンだ……私など、ただのポンコツ戦艦ではないか……」
吹雪「……そんな事はありません! 長門さんは頑張っているじゃないですか! 誰も長門さんをポンコツ戦艦だなんて言いませんよ!」
長門「吹雪……」
吹雪「大丈夫、私に任せてください! めかぶの問題なんて、私がやっつけちゃうんだから!」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:07:09.59 ID:H0aW+MIFo
長門「……しかし、めかぶは少量しか採れないのだろう? それにこの浜辺を見る限り、打ち上がっているワカメからして僅かな量だ。とてもワ級を養うには……」
吹雪「確かにこの浜辺には少ししかありませんが、ワカメなんて海中にはそこら中に生えているものです」
吹雪「だから海に潜って集めてくれば、きっとワ級を満足させる量のめかぶを賄えますよ!」
長門「なるほど……。いや待て、それはつまり素潜りをするということか? それも大量のワカメを集めるまで?」
長門「私も体力には自身のある方だが、それではワカメ採りだけで一日が終わってしまう。ワ級の世話をする時間が取れないぞ」
吹雪「何を言いますか長門さん。私たちには素潜りのスペシャリストたちがいるじゃないですか!」
長門「……潜水艦、か」
吹雪「はい、その通りです。だから潜水艦の皆さんにお願いして、ワカメを集めてきてもらうんです!」
長門「……ううむ、そうか。潜水艦か。……うん、いい案だ。だが、彼女たちは引き受けてくれるかな……」
吹雪「え? 何かあったんですか?」
長門「実は私達戦艦空母勢と潜水艦……、まあ上層部と彼女たちは最近少し仲違いがあってな」
長門「というのも、非は私達にあるのだが。彼女たちが日々オリョール海に出撃を繰り返しているのは知っているとは思うが、その目的は知っているか?」
吹雪「はい。ワ級の撃沈と、資源の収集ですよね?」
長門「その通りだ。それで、ワ級の件はいいとしてもだ。その……、資源のほうがな。実はすでに余っているのに出撃を続けさせていたんだ……」
吹雪「え? 何でですか?」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 23:07:17.92 ID:eXqSBnfSO
がっちりマンデーかなにか?
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:13:56.72 ID:H0aW+MIFo
長門「……うん、一言で言えばその……忘れていたんだな。スケジュールを組み替えるのを見事に、……それが潜水艦たちにもバレてしまったんだ」
長門「もう執務室で大暴れでな……。桃鉄15のソフトも割られてしまったよ。それ以来、潜水艦たちは寮の入り口にバリケードを築いて徹底抗戦の構えだ。大和も何度か和平を申し入れに行ったが、その度に魚雷で頭を叩かれて帰ってくる有様でな」
吹雪「そんな事になっていたんですか……」
長門「ああ……。だから潜水艦の助けを借りられるとはとても……」
吹雪「……弱気になってはだめです! 誠心誠意謝って助けをお願いすれば、潜水艦さんたちもきっと力を貸してくれるはずです!」
長門「……そうだろうか」
吹雪「はい、もちろん! 私も長門さんと一緒に頼んでみますから、諦めちゃダメですよ!」
長門「なに、私についてきてくれるというのか?」
吹雪「乗りかかった船ですから。それに、頑張る長門さんを私も応援したいです!」
長門「吹雪……。しかし、お前にはポーラの味噌汁が……」
吹雪「そんなものはもういいんです。よく考えたら海の浜辺にしじみなんて居るわけないですし、それにお酒の代わりにお酢を飲み始めたらどの道もう手遅れですから」
長門「そうか……うん。ありがとう。駆逐艦にこんなにも勇気づけられるなんて……、私もまだまだだな」
吹雪「それでは早速行きましょう! ……それとその麦わら帽子、似合っていますね!」
長門「……ふふ。よせ」
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42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:19:30.98 ID:H0aW+MIFo
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潜水艦寮
ビスマルク「ユー! ユー! 出てきなさーい!」
ビスマルク「もうこんな馬鹿げたことはやめなさい! レーベたちも心配しているわよ!」
ビスマルク「みんなでユーの大好きなカルエッセンも作ったのよ! ほら、出てきて一緒に食べましょう!」
プリンツ「……反応がありませんね」
ビスマルク「聞こえてはいるはずよ。……まったく、今日の交渉役に選ばれたはいいけど……こんなの上手く行く気がしないわ」
プリンツ「いっそのこと、バリケードを突破して中に入っちゃうのはどうでしょう?」
ビスマルク「ええ? 大丈夫なの? 潜水艦たちを刺激してしまうんじゃない?」
プリンツ「でも、このまま外から呼びかけていては日が暮れてしまいますよ? バリケードだってテーブルと椅子の粗末なものですし、お姉様の戦艦パワーなら簡単に崩せますよ!」
ビスマルク「……え? 私がやるの?」
プリンツ「お姉様以外に誰がやるんですか! お姉さまは泣く子も黙る高速戦艦なんですから!」
ビスマルク「……でも、大和ですら頭を叩かれて泣いて帰ってきたのよ?」
プリンツ「何を言うんです! 例え大和さんが泣いて帰ってきても、お姉様が負けるはずがありません! 戦艦において連合第二艦隊抜擢率No1の夜戦火力、お見せしてやりましょう!」
ビスマルク「……ふふ、そうね。よく言ってくれたわプリンツ。私は誇り高きドイッチュラントの戦艦、ビスマルク。こんな小賢しいバリケードごときで……」グググ
呂500「てーっ!!」ブンッ
ビスマルク「ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」ゴチーン
プリンツ「お姉様!?」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:23:27.07 ID:H0aW+MIFo
呂500「バリケードに近づくんじゃないですって! さっさと帰れゲルマン野郎!」
プリンツ「ユーちゃん、もうこんな事はやめてください! みんな心配してますよ!?」
呂500「その名で呼ぶんじゃないですって! ろーちゃんは過去を捨てました!」
伊168「そうよ! ろーはもう私達の仲間なんだから!」
伊58「古巣のゲルマン魂なんてとうの昔に犬に食わせてやったでち!」
伊8「例えドイツ相手でも、今は容赦しないから。近づくならもう一度、脳天に酸素魚雷が火を噴くよ……」
伊19「塩もまいてやるの! まるゆ、塩もってきて!」
まるゆ「は、はぁい!」
ビスマルク「……えぐ……っく……ひっぐ……プリンツ、帰りましょう……もう嫌よ……なにこれ……すっごい痛いの……」
プリンツ「お姉様……」
伊14「おー帰れ帰れ! 戦艦空母なんて二度と来るなー!」
伊13「二度と顔を……見せないで……」
伊26「ねえねえねえ! 今どんな気持ち?」
伊401「次来たら黄泉まで潜らせちゃうからね、覚悟してよ!」
長門「……本当に大丈夫なのか? ほぼ暴徒だぞ?」
吹雪「大丈夫ですよ! どんなにいがみ合っても同じ艦娘同士です、信じる心が重要なんです!」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 23:25:59.16 ID:JhOwDf8QO
前に大和と長門のカップリング書いてた人かなこのカオスっぷりは
その内大天使五月雨ちゃんとか出てきそう
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:29:26.75 ID:H0aW+MIFo
吹雪「ごめんくださーい! 潜水艦のみなさーん、頼みたいことがあってきましたー!」
長門「……」
呂500「……また誰か来ましたって」
伊19「まったく、今日はしつこいの……」
伊8「……でもあれ、吹雪だよ? 戦艦や空母じゃない」
伊168「じゃあ何の用なの……? もしかして私達のシンパになってくれるとか?」
伊13「私達の憤り……理解してくれるのなら、嬉しいですね……」
伊401「それなら中にいれてあげちゃう? 駆逐艦だって遠征にこき使われてる私達の仲間みたいなものだもんね」
まるゆ「じゃ、じゃあお茶をご用意しましょうか?」
伊13「それよりもさ! 私達の不遇を語り合い、共に戦う仲間となる。ここに合うのはやっぱりお酒でしょ」
伊26「お酒はダメだよー! いつ戦艦空母がやってくるのか解らないのにー」
伊8「……まあ吹雪がキングオブ無害な子というのはイクたちも知っているの。用があるなら入れてあげてもいいのね」
伊58「……いや、ちょっと待つでち」
呂500「でっちー? どうしましたって」
伊58「……吹雪の横にいる変なTシャツの麦わら女。あれは誰でち?」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/22(木) 23:34:15.90 ID:H0aW+MIFo
伊168「……確かに誰だろ。初雪……にしてはちょっと大きすぎるね」
伊401「……うん。駆逐艦には見えない。あの背丈だと……戦艦……?」
伊13「戦艦……ついに敵も偽装工作をしかけてきた、ということですか……」
伊14「くぅー……、敵も味な真似をしてくるようになったね。人畜無害な吹雪ちゃんをダシに変装してくるなんて……許せないよ」
伊8「……ゴーヤ、どうする気なの? とりあえずシカトするの?」
伊58「……ううん、まずは話を聞いてあげるつもり」
伊26「えっ? だって変装した戦艦がいるんだよ? 問答無用で頭に魚雷を振り下ろすべきだよー」
伊58「確かにゴーヤたちを舐めくさったバレバレの偽装工作……でも、それは誰が変装しているかを確認してからでも遅くはない……」
伊58「その化けの皮、このゴーヤが剥いでやるでち……!」
吹雪「ごめーんくーださーい! すーみまーせんー!」
長門「リズムと音程をつけて呼んでもダメか……」
吹雪「……うーん、潜水艦だから波長の変化とか好きだと思ったんですけど。顔を出してもくれないなんて……」
伊58「……何の用でち?」ヒョコ
吹雪「あっ! 出ましたよ! やっぱり波長の変化に弱いんですね!」
長門「ふむ。吹雪の作戦勝ちだな」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 23:35:17.66 ID:H0aW+MIFo
とりあえずここまで
>>44
違います
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 23:37:04.63 ID:Sup+k2Bso
なんで夕立がキチガイなのか
まあそれ以外はいいけど
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 23:59:01.76 ID:C+B1aOLA0
吹雪は何でそんなにめかぶに詳しいのに海でシジミを探してるんだ……(シジミの生息地は主に湖で海にはいない)
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 07:47:43.44 ID:aGX6dltr0
めかぶしか食わないとか贅沢だなぁ
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