高垣楓「幸せのばーすでい♪」

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1 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:50:38.83 ID:xRMAPXjN0



「「乾杯っ♪」」




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2 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:51:41.93 ID:xRMAPXjN0

藤原肇「楓さん、誕生日おめでとうございます」

楓「ありがとう、肇ちゃん。たまには二人きりのお祝いというのも良いわね」

肇「いつもの大人組のみなさんはお仕事ですしね。でも……」

楓「でも?」
3 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:52:44.12 ID:xRMAPXjN0

肇「せっかくの誕生日なのに、お祝いするのが私一人で良かったのでしょうか?未成年ですからお酒だって一緒に飲めませんし……」

楓「そのことなら気にしないで。美優さんや瑞樹さんたちには昨日のうちに今日の分までいっぱいお祝いして頂けましたから。むしろ肇ちゃんと、ってことに意味が……」

肇「私が……なんですか?」

楓「いえ、肇ちゃんなら一番甘やかしてくれそうかな、って思って」
4 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:53:27.99 ID:xRMAPXjN0

肇「……プロデューサーさんに言いつけちゃいますよ?一回りも年下の人間に甘えようとする人がいるって」

楓「冗談なのに……肇ちゃんはいけずです」

肇「そんなお姫様みたいなこと言い方してもダメです……あっ、楓さん、グラス空いてますよ、お注ぎしましょうか?」

楓「あら、ありがとう。ふふっ、やっぱり肇ちゃんは優しいわね♪」
5 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:54:28.16 ID:xRMAPXjN0

肇「……っは!これは、その……」

楓「いつでもこういう気遣いが出来るところも肇ちゃんの良いところなんだから、気にしすぎちゃダメよ?」

肇「うぅ……なんでいつの間にか私が諭されているんでしょうか……」
6 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:55:01.07 ID:xRMAPXjN0

楓「それにしても、いつもは美優さんや志乃さんと飲んでるからこうして若い子にお酌をしてもらえるのって新鮮ね♪」

肇「若い子って……楓さんだってお若いですよ」

楓「あら、もしかして口説かれてる?肇ちゃんったら大胆……」

肇「もうっ、どうしてそうなるんですか……もしかして、もう酔ってます?」
7 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:55:33.59 ID:xRMAPXjN0

楓「ふふっ、私はまだまだ大丈夫。大人だけで集まってる時はこのくらいのペースじゃ済まない事も多いですし」

肇「色々とすごそうですね……」

肇(ということは素面でここまで振り回されてたのでしょうか……)
8 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:56:06.97 ID:xRMAPXjN0

楓「でもすごく楽しいのは間違いないのよ?肇ちゃんが二十歳になって参加できるようになるのが今から楽しみなくらい♪」

肇「そ、その時はお手柔らかにお願いしますね……?」

楓「うふふ、どうかしら♪」

肇「もうっ、楓さん!」
9 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:56:39.89 ID:xRMAPXjN0


ポーン…… ポーン……


肇「あっ、もうこんな時間なんですね。そろそろ帰らないと……」

楓「帰っちゃうんですか?」

肇「帰っちゃうも何も、寮の門限がありますから……寮母さんに怒られてしまいます」

楓「寮母さんには私からお願いしてあるから大丈夫よ」

肇「一応電話で確認してみますね……」

楓「むぅ……本当なのに……」
10 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:57:10.06 ID:xRMAPXjN0

肇「……本当でした」

肇(寮母さん、ずいぶん明るい調子だったけどなんだったんだろう……?)

楓「むぅ……」

肇「楓さん?」
11 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:57:46.01 ID:xRMAPXjN0

楓「肇ちゃんが私のことを信用してくれなかったから、とてもショックです……」

肇「そ、それはその……ごめんなさい」

楓「お酌をしてくれたら許してあげます」

肇「はいどうぞ……って、あれ?」

楓「んー♪肇ちゃんが注いでくれるお酒はまた格別です♪肇ちゃんはこういうしっかりしてるところがあるから私も安心して酔えます♪」

肇「楓さんっ!もう知りませんっ!」
12 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:58:23.29 ID:xRMAPXjN0

楓「あらあら……ごめんね、肇ちゃん」

肇「知りませんったら知りませんっ」

楓「では……どうしたら許してくれますか?」

肇「……私にジュースを注いでくれたら許してあげます」

楓「それでは肇ちゃん、どうか私のお酌でお許しを……」
13 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:58:55.65 ID:xRMAPXjN0

肇「んー、美味しい♪ふふっ、お返しです♪」

楓「これは一本取られちゃったわね」

肇「これに懲りたら冗談も程々にしてくださいね?」

楓「さて、どうしようかしら……」

肇「楓さんっ!」

楓「ふふっ、冗談です♪」

肇「言ってるそばからじゃないですか……」
14 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/14(水) 23:59:30.24 ID:xRMAPXjN0

楓「そうそう、お酌といえば……肇ちゃんずいぶんお酌に慣れてるみたいだけど、どこかで練習でもしてたのかしら?」

肇「練習というほどのものではないですけど、実家ではよくおじいちゃんにお酌をしてあげてました」

楓「なるほど、どうりで……」

肇「おじいちゃんは焼酎派で、お酒を美味しそうに飲むおじいちゃんの姿も好きでした」

楓「焼酎も美味しいですからね、私もしょっちゅう飲んでます」

肇「もう、話の腰を折らないでください……」

楓「あら、ごめんね」
15 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/15(木) 00:00:05.42 ID:hCgP/uaP0

肇「肇が注ぐ酒が一番美味い、だなんて言って私も嬉しくなってお猪口が空になる度にお酌をしてあげてました」

楓(お猪口でちょこっと……いや、我慢我慢……)

肇「でも、お酒をいっぱい飲みたいって口実もあったみたいで、肇をダシにするんじゃありません、ってお母さんやおばあちゃんによく怒られてました。ふふっ……」
16 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/15(木) 00:01:09.96 ID:hCgP/uaP0

楓「肇ちゃんがお酌してくれるといつもより美味しく感じるものね。わかるわ、その気持ち」

楓(それこそ一杯じゃ済まないくらい、ね)

肇「あまり自覚はないですけど、そういうものでしょうか?」

楓「肇ちゃんは美味しそうにお酒を飲むおじいさんの姿が好きって言ってたわよね?その時、おじいさんは肇ちゃんのことも見てたと思うの」

肇「私をですか?」

17 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/15(木) 00:02:13.63 ID:hCgP/uaP0

楓「ええ。おじいさんを見てる肇ちゃん、きっと良い表情をしていたのでしょうね。そんな肇ちゃんを見ながら飲むお酒は美味しかったに違いないわ」

肇「そういえばお酒を飲んでる時のおじいちゃん……いつも優しい顔をしてました」

楓「でしょう?それに、お酒には人を素直にしてくれる力もあるんです。お酒を飲んでる時の表情がいつも優しいということは、それだけ肇ちゃんのことが大好きなんだと思います。肇ちゃんと同じように……」

肇「おじいちゃん……」
18 : ◆nfH.phpiwWNJ [sage saga]:2017/06/15(木) 00:03:12.35 ID:hCgP/uaP0

肇「そういえば、こんな約束もしてました。私が大人になったら一緒にお酒を飲もうって」

楓「あら、それは素敵な約束ね」

肇「もしその時が来たら……お酒は楓さんに選んでもらいましょうか?」

楓「ふふっ、とびっきり美味しいお酒を選んであげるわね♪」

肇「はいっ!」

楓「ええ。おじいさんを見てる肇ちゃん、きっと良い表情をしていたのでしょうね。そんな肇ちゃんを見ながら飲むお酒は美味しかったに違いないわ」

肇「そういえばお酒を飲んでる時のおじいちゃん……いつも優しい顔をしてました」

楓「でしょう?それに、お酒には人を素直にしてくれる力もあるんです。お酒を飲んでる時の表情がいつも優しいということは、それだけ肇ちゃんのことが大好きなんだと思います。肇ちゃんと同じように……」

肇「おじいちゃん……」
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