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右京「聲の形?」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:16:21.71 ID:coAf0aU90
相棒×聲の形のクロスオーバーssです。
舞台は2011年。聲の形のキャラたちは小学生時代の設定になります。
相棒役は神戸さんです。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1497449781
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:16:46.94 ID:coAf0aU90
「これは…あいつだ…」
「あいつのせいでこんなことに…」
「あの女の…呪いなんだ…」
数日前、ある数人組が恨みがましくそう叫んだ。
呪い。その言葉の意味がこれから起きるとある出来事へと繋がることになる。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:18:31.62 ID:coAf0aU90
右京「穏やかですねぇ。」
神戸「そうですねぇ。」
「たまには遠出というのも悪くはありませんね。」
「そうですねぇ。」
「あの…他に言うことないんですか…?」
「そうですねぇ。
キミが黙って安全運転を勤めてもらうため僕なりに配慮してるつもりですがねぇ。」
高速道路の中央自動車道を一台のGT-Rが縦横無尽に駆けていった。
乗車しているのは警視庁特命係の杉下右京。それに相棒の神戸尊の二人。
彼らはこれから所用のため岐阜県の大垣市に向かっていた。
これはその車内でのやりとりだが…
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:19:52.18 ID:coAf0aU90
「そもそも僕は車ではなく新幹線で行くことを勧めたはずですよ。」
「いいじゃないですか。どうせ暇な特命係なんですから。
こうしてドライブでも洒落込んだ方が道中の楽しさも満喫出来ると思いませんか。」
「なるほど、確かにそれも一理あります。
ですが我々はあくまでも公務で行くわけですよ。公私混同は謹んでください。」
車内でそんないつもの日常的なやり取りを済ませる右京と神戸。
さて、その右京だが後部座席にある荷物を確かめていた。
それは出発する前に米沢から手渡されたとある道具の一式だ。
「出発する直前に米沢さんから持たされましたけどそれ何なんですか?」
「これは簡単な指紋の検出などが行える鑑識用の道具ですね。」
「何でそんなものを持っていくように言ったんですかね?」
「米沢さん曰く、どうせ行き先で事件に巻き込まれるだろうから必ず役立つとか…」
「うわ…もう事件に巻き込まれること前提ですね…」
そんな米沢のお節介というか余計なお世話に呆れた様子を見せる神戸。
これではまるで自分たちが事件を呼び寄せる死神扱いではないか。
そう心の中でツッコミならがも
どうか行き先で殺人事件が起きませんようにと願いつつ車は一路岐阜県大垣市へと向かった。
それから車は都内からこの大垣市まで
約3時間半近くの長旅を終えて高速道路を降りて市内へと入った。
さて、その道中のことだ。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:21:18.93 ID:coAf0aU90
「あーっ!」
突然道路に一人の少女が飛び出してきた。
赤いランドセルを背負った歳は恐らく小学校高学年。
それに茶髪の入り混じったセミロングの少女。
その少女がなにやら血相を変えて落ち着きのない様子で道路に飛び出した。
その行動を見て咄嗟に車のブレーキペダルを踏み急停止する車。
それから右京と神戸は車内から降りてこの飛び出してきた少女に注意した。
「突然飛び出してきて危ないじゃないか!それで怪我は大丈夫かい?」
「あ…あぅぅ…あ…」
神戸は車に接触していないか少女に尋ねるが何かがおかしい。
少女はどういうわけかまともな返答が出来ずにいた。
するとこのやり取りを見ていた右京がこの少女のある部分に注目した。それは耳だ。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:24:15.62 ID:coAf0aU90
「神戸くん、どうやらこの子は耳が聞こえないようですね。」
「あ、本当だ。耳に補聴器を付けてますね。」
髪の毛で耳元が隠れているがよく見るとこの少女は耳に補聴器を付けていた。
この少女だが衣服に付いている名札には水門小学校6年2組西宮硝子と記されていた。
どうやらこの近隣の女子小学生のようだ。
「西宮…硝子…もしかして…この子…」
「ええ、どうやら今回僕たちの所用に関係ある人物のようですね。」
耳の聞こえない硝子には右京たちが何の話をしているのかさっぱりわからないが
どうやら今回の右京たちの所用にこの西宮硝子が関係しているらしい。
硝子「あ…の゛…う…」
そんな翔子だがなにやら必死になって右京たちに何かを訴えていた。
だが硝子は聴覚障害を患っていてその話し声を聞き取ることができない。
そのため右京は手話を用いて硝子と話すことにした。
「へぇ、杉下さんって手話が出来るんですね。」
「以前にも耳の聞こえない少女とある事件で遭遇しましてね。
それに警察官なら手話くらい出来て当然なスキルだと思いますがね。」
「そこで一々皮肉は余計を付け足さなくてもいい思いますけどね…」
そんな苦笑いを浮かべる神戸は置いといて
硝子は二人をこの近隣にある公園に連れて行った。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:25:30.45 ID:coAf0aU90
「やべっ!人が来た!」
「もう行こうぜ!」
右京たちが駆けつけるとそこから二人組の少年たちが入れ替わりで走って逃げていった。
その二人が居た公園にある水場。そこでは一人の少年がずぶ濡れの状態で倒れていた。
少年は水場に落ちたせいで衣服はずぶ濡れ、
しかも誰かに暴行を加えられたのか全身傷だらけ。
硝子とちがい衣類に名札がないので名前はわからない。
だが背格好からして恐らく同級生であることは間違いない。
少年の所有物らしきランドセルから教科書やノートが散乱していた。
とにかく少年は散々な状態だった。
さらにその少年の手にはあるモノが握られていた。
それは筆談用と書かれた一冊のノート。それだけが大事に握り締められていた。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:27:12.22 ID:coAf0aU90
「キミ、大丈夫ですか?」
「酷いことになってるね。何があったか話してくれるかい。」
「あの…アンタたちは…?」
「警戒しなくてもいいですよ。我々は警察の者です。送りますからおうちはどこですか?」
そう言って警察手帳を見せて警察官であることを証明する右京たち。
だがそれでもこの少年は動揺しているようで落ち着きを取り戻せてはいなかった。
「うちは…その…これは…だから…」
どうやら暴行されたのが余程ショックだったのか少年は酷く怯えていた。
この状況を警察官として…いや大人として放っておくことはできない。
しかしここは岐阜県、自分たちの勝手が通用しない土地だ。
せめてどこかでこの少年の衣服を乾かせることは出来ないかと思った矢先のことだ。
「あ…うぅ…」
「それは本当ですか?」
「硝子ちゃんは何を伝えようとしているんですか?」
「この近くに自分の家があるのでそこで服を乾かすようにと言ってくれています。」
それから硝子の厚意で右京たちはずぶ濡れになったこのボロボロの少年を連れて
この近隣にある硝子の家のマンションへと訪れた。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:29:05.40 ID:coAf0aU90
「おや、硝子…とそれにあなた方は…?」
「失礼します。警察の者です。ちょっとこの少年を乾かしたいのでご協力願います。」
「本当にすいません。用が済んだらすぐに出ていきますので…」
出てきたのはこの硝子の祖母である西宮いと。
それにうしろからもう一人ひょっこりとある少女が現れた。
硝子よりも歳が3つほど離れた
ショートヘアなボーイッシュな雰囲気を漂わせたこの少女は…
結絃「婆ちゃん!お姉ちゃんに何かあったの!?」
いと「落ち着いてゆづ。硝子は無事だけど…」
どうやらこの結絃という少女は硝子の妹らしい。
その妹の結絃は右京たちの後ろに居た姉の硝子を庇うようにして家の中へと入れた。
さて、そんな中で祖母のいとは未だに右京たちとこの少年を不審に思っていた。
さすがに警察官が孫とずぶ濡れになった少年を連れてくれば
家族が不審に思うのも仕方がない。
だがこの祖母は明らかにそれ以外についても何か不審に思っている節があった。
このままでは埒が明かないのだが…
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:30:42.76 ID:coAf0aU90
「ひょっとして…お前…石田…?」
「ゆづ…この子が…あの石田くんなのかい…」
「うん、間違いない。前にお姉ちゃんをイジメたところを見ていたから!」
石田という少年は硝子の家族に自分の素性を感づかれて酷く怯えていた。
妹の結絃が言ったように
この石田が硝子をイジメていたとなればその敵意を向けるのは無理もないことだ。
「お前!どのツラ下げて家に来た!お前のせいでお姉ちゃんは酷い目にあったんだぞ!?」
結絃はまるで親の敵でも取るかのように石田を恨みがましく睨みつけた。
その結絃に石田はただ怯え続けていた。
自分よりも3つも年下の女子にこうも言われて石田は反論することもできない。
それに祖母も…
「ゆづおやめ!
刑事さん…申し訳ありませんが…
うちではその子にしてあげることは何もありません。どうかお引き取りください。」
暴れだす結絃をなんとか宥める祖母。
しかしそんな祖母も石田に対してあまよい感情を持ち合わせてなどいない。
むしろ明らかに拒絶する節さえ見られた。
どうやらこの西宮家で石田が厚意を受けることなど無理だと察した右京たちは
諦めて退散しようとするのだが…
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:31:31.84 ID:coAf0aU90
「ま゛…で…」
そこへ硝子がバスタオルを持ってきて石田に渡した。
これで身体を拭けとそう言っているらしい。
それから硝子は手話で祖母と妹に石田の衣類が乾くまでこの家に留めるようそう頼んだ。
こうなると二人としても断るわけにもいかない。
こうして不本意ながら石田とそれに右京たちはこの家に招かれることになった。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:33:20.21 ID:coAf0aU90
「御厚意に感謝します。」
「いえ…ただ…乾かしたらすぐに出て行ってもらえますか…」
「それはわかっています。ですが出来ればこうなった事情を説明頂けますか。」
西宮家に招かれた右京と神戸、それにもう一人。
ようやく名前がわかったが石田将也という少年はこの家のリビングに寛いでいた。
祖母が用意してくれた自家製のしそジュースを頂きながら
先ほど結絃が叫んでいたことの経緯を尋ねてみた。
「わかりました…実は…」
それから祖母は険しい顔をしながら事の詳細を説明してくれた。
発端となったのは今から数ヶ月前のこと。
西宮硝子が石田の通う水門小学校に転校してきたことがすべての始まりだ。
女子の転校生ということで当初クラスのみんなから硝子は歓迎されていた。
周りも硝子が聴覚障害を患っていても支えてあげて
当初は硝子もクラスのみんなと仲良く接することができていた。
だが…ある時を境にして何かが変わった。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:37:50.99 ID:coAf0aU90
「硝子はクラスのみんなから嫌がらせを受けるようになりました。
それを率先して行っていたのが…そこにいる石田くんだと聞いています…」
祖母の発言に石田は何も反論せず俯いたままだ。
話を聞くと石田は硝子のイジメを率先して行ったある意味リーダー的立場にいたそうだ。
そのイジメは上履きを隠したり机に落書きをするといった行いやそれだけでなく…
「筆談用のノート…
耳が聞こえない硝子のために
クラスの子たちとコミュニケーションを取るように持たせたノートです。
それにあからさまなまでに悪質な落書きが書かれるようになりました。」
それは先ほどずぶ濡れだった石田が唯一肌身離さず持っていたノートのことだ。
祖母は夢にも思わなかったはず。
障害を抱えた孫の為を思って持たせた筆談用のノートに悪質な落書きが書かれるなんて…
祖母としてこんな心苦しいことになるとは予想すらしていなかったにちがいない。
「なるほど、そんなことがありましたか。
ですがあなた方がここまで石田くんを嫌悪するのは
まだ彼が硝子さんに悪質な悪戯を行ったからではありませんか?」
その右京の疑問に祖母はさらに険しい顔になった。
どうやら右京の疑問は的中のようだ。
確かにいくら筆談用のノートが落書きされたからといって
ずぶ濡れの少年を家に上がらせずに拒んで追い出そうとした。
それには相応の理由があるはずだ。
そんな時、今まで黙って聞いていた結絃が我慢の限界を超えたのか石田の前であることを糾弾した。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:41:09.17 ID:coAf0aU90
「こいつがお姉ちゃんの補聴器を壊したからだッ!」
硝子の補聴器を壊した。
そう叫ぶ結絃に先程から俯いている石田は
さらに罪悪感に苦しめられるような表情で苦悶していた。
だがこれでようやく西宮一家が石田をここまで嫌悪する理由が判明した。
聴覚障害を患う硝子の補聴器が壊された。
この補聴器は耳の聞こえない硝子にしてみれば命綱みたいなものだ。
これが無ければ難聴の硝子は音が何も聞こえない。
そんな大事な物をこの石田は悪意を持って壊した。
そうなれば硝子の家族が石田に嫌悪感を抱いても仕方のないことだった。
だが問題はそれだけではなかった。
「しかもこいつ…8回も壊した!補聴器はお姉ちゃんにとって大事なモノなのに!?」
8回…それは確かに西宮一家にしてみればかなり大事だ。
しかもその際、石田は硝子の耳を傷つけてしまったらしい。
それに補聴器の被害が総額で170万円と大金になり当初の反応にも納得がいく。
いくらずぶ濡れでボロボロだろうと
大事な娘をこうまで傷つけたこの少年に善意を施すことなど出来るはずもない。
だがこれだと疑問が生じる。それでは何故石田はこうまでボロボロなのか?
そんな石田に神戸があることを質問した。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:43:03.97 ID:coAf0aU90
「石田くん、ひょっとしてキミはクラスでイジメを受けてるんじゃないか?」
その質問に石田は思わず身震いした。
この反応からしてどうやら図星のようだ。
恐らく硝子に代わって新たなイジメの標的にされてしまったらしい。
だが何故そうなってしまったのか?
仮にも石田は硝子を率先して虐めていた張本人。
それがいきなり虐められる側に回るということは何かがあったはず。
だがそれが何であるのか?
さすがにその事情をこの祖母も妹の結絃も知らないらしい。
それに石田も先程から口を閉ざしたまま。これでは埓が明かないわけだが…
「あ…うぅ…」
そんな右京たちに硝子が手話で語りかけてきた。
それで大体の事情が判明する。
先日、石田と硝子のクラスで緊急のクラス会が行われた。
その内容は硝子の補聴器が壊れたことについて。
そこで石田はクラスのみんなから硝子へのイジメを糾弾されてその責任を取らされた。
それからすぐに硝子イジメだけではなく石田に対するイジメも行われた。
それが先ほど公園での惨事の原因だった。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:46:20.45 ID:coAf0aU90
「俺…だけじゃないのに…」
「それはどういう意味ですか?」
「西宮に嫌がらせしてたのは…俺だけじゃないんだ…」
「つまりクラスのみんなで硝子さんを虐めていたというのかい?」
右京と神戸の質問に石田は小さく頷いた。
石田の話によると硝子へのイジメがクラス内で始まったのは合唱コンクールからだった。
当時、クラスでは必ずコンクールで一番になろうと意気込んでいた。
だがそんな最中、練習を開始してみれば硝子の発音だけが音を外していた。
原因は幼い頃より難聴の症状がある硝子には発音の仕方がわからないせいだ。
練習中にクラスの誰もが
硝子をコンクールに参加させれば一番どころか最低評価を下されることを予想した。
そこで担任の竹内は硝子だけを不参加にしようとしたが
音楽担当の喜多先生が硝子だけを仲間外れにさせまいとその参加を補佐する。
だがその甲斐虚しく結果は散々なもので終わった。
これによりクラス内で硝子へのイジメが本格化したとのことだ。
その話を聞いて確かにその可能性は否定出来なかった。
何故ならクラス全員が石田の行いをここまで見過ごしていたとは考えにくい。
つまり石田の言うようにクラス全員で西宮硝子にイジメを行ったという見解が正しいはず。
だがそれを証明することはできない。
それが出来るのは精々この石田の証言くらいなのだが…
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:47:18.98 ID:coAf0aU90
「その補聴器を拝見させてもらえますか。」
「わかりました…これです…」
それから祖母はこれまで石田によって壊されたであろう補聴器を右京たちに見せた。
それは片方だけだったり大事な部品だけが壊れたりと散々なモノばかり。
部外者である右京と神戸もこの仕打ちに思わず呆れるほどだ。
「これは酷いですね。どれも全部ボロボロですよ。」
「ええ、以前から学校に訴えようと何度も言ったのですが…
それを娘が硝子のためにならないと言って自分一人で解決させようとしていました。
けどこれを見かねて娘もようやく重い腰を上げたんです。」
確かにこんな壊され方をすれば学校に苦情を訴えるのも無理はない。
だがここまで仕出かすとなれば最早子供の悪戯では済まされないはず。
さて、そんな時だった。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:49:29.14 ID:coAf0aU90
八重子「硝子!まだ家に居たのね!?」
右京たちが話し合っているこの部屋に
物凄い剣幕をまくし立てながら一人の女性が駆け込んできた。
その女性が現れた瞬間、硝子はオドオドしはじめ妹の結絃がそれを庇うように前に出た。
「やめなよお母さん…お姉ちゃん嫌がってるじゃん…」
「結絃、退きなさい。
学校から硝子がまだ登校していないから病欠なのかって連絡があったのよ。
まったくどこに行ったのかお母さん探したじゃないの!」
「でもお姉ちゃんが学校でどんな目に遭っているのか知ってるだろ!」
「そんなのは硝子がしっかりしていれば問題はないわ。それに…あら…?」
どうやらこの女性は硝子と結絃の母親らしい。
そんな彼女だが今更になってあることに気づいた。
それは訪問者である右京と神戸、
それに本来ならこの家に招かれることなど許されない石田の存在だ。
そんな彼女に怯える石田に対して母親は睨みつけながらこう告げた。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:50:53.68 ID:coAf0aU90
「あなた…石田くん…どうしてここにいるの…?」
「あの…それは…」
「娘にあんな惨たらしい仕打ちを仕出かしてよくもこの家に上がれたわね!」
「どうせここに来たのも今日のことをやめてほしいと懇願にでも来たのでしょう。」
「出て行きなさい。
ここはあなたのようなクソガキが来るような場所ではないわ。
ほら硝子、さっさと付いてきなさい。学校を休むなんて許さないわよ!」
怒鳴り声を上げながら嫌がら硝子を無理やり引っ張り学校へと連れて行く母親。
目の前に右京たちが居るのにそんなこともお構いなし。
いくら他人さまの家のこととはいえさすがにやりすぎだと思うほどだった。
「すいません…娘の八重子が見苦しい真似をして…」
「いえ、事情を知らなかったとはいえ不躾にお邪魔した僕たちにも非があります。
どうかお気になさらないでください。
ですが娘さんはお孫さんに対して随分と過剰な教育をなさるのですね。」
「仕方ありません。
八重子は硝子たちの父親と離婚してシングルマザーだから…
それで自分がしっかりしなければと気丈に振舞っているんです。」
確かに祖母の言うようにこの家に男の気配はない。
長年この家で暮らしているようで
生活臭溢れているが見たところその生活用品はほとんど女ものばかり。
しかし何故八重子は
聴覚障害の娘を抱えているのに夫と離婚しなければならなかったのか?
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:54:03.11 ID:coAf0aU90
「失礼ながら離婚の原因は硝子さんの聴覚障害にあったのではありませんか。」
「あれは…仕方のないことでした…」
娘夫婦の離婚話しに祖母は悔いるように呟いた。
障害を持つ子供の親というのは我が子に障害があることに否定的な傾向がある。
恐らく父親は硝子の聴覚障害について否定的だったのかもしれない。
だから父親は幼い子供たちを八重子に押し付けて離婚した。
「硝子の障害が発覚したのはあの子が3歳の頃でした。」
「他の子とちがって様子がおかしかったからそれを察して…」
「けどそのことを聞きつけた向こうの親御さんが…」
「障害を持つ子をよくも産んだなと文句を突きつけて…」
「それで離婚ということになりました。」
忌まわしい過去の出来事を語る祖母。
確かにそんなことがあれば先ほどの八重子にも納得がいく。
シングルマザーであるが故に気丈に振舞っているのも理解出来なくもない。
だが難聴の娘に対してあの行いは明らかにやりすぎだ。
しかも母親の行いはそれだけではなかった。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/14(水) 23:57:57.91 ID:coAf0aU90
結絃「お母さん…この前も…お姉ちゃんの髪を切ろうとした…」
神戸「髪を切るくらい普通じゃないか?」
結絃「ちがう…お姉ちゃんの髪を切って補聴器が見えるようにするって…そんなことしたら…」
結絃はそれ以上のことを言わなかったがその理由を察することはできた。
硝子の髪型はセミロング、そのおかげで耳の補聴器も辛うじて目立たずに済んだ。
だがもしも髪型をショートに変更すればどうなるだろうか?
そうなればこれまで目立たなかった補聴器がどうしても悪目立ちしてしまう。
イジメの原因となったのは硝子の難聴が原因。
恐らく母親はそれでも気丈であれと教えたいのだろうが…
そんなことをすればイジメ問題が悪化するのは目に見えていた。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:01:03.26 ID:mk939Gpx0
「ところで硝子さんは3歳以前の頃ならまだ聴覚が正常だったのですね。」
「ええ、娘がそう言っていましたから。
でも何かの影響で聴覚に異常を来たしてしまい…
だから八重子は心を鬼にして娘たちに接しているんです。
それを私がとやかく言うことなんて出来ませんよ…」
それから祖母は部屋の隅にあるモノを右京たちに見せた。
それは随分年季の入った子供用の玩具だ。
「お婆ちゃん、それお母さんが捨てるように言っていた昔の玩具じゃん。まだ持ってたの?」
「ええ、昔が懐かしくてどうしても捨てられなくてね…
今でもよく思い出すわ。硝子が木琴を楽しんで叩いていたもの。
それを結絃は面白がって見ていたわよね。」
その玩具たちを大事に抱える祖母。
それはピアノや木管、ラッパ、ハーモニカなどの子供用の玩具。
しかし恐らく余程粗末に扱っていたのだろうかその殆どがボロボロに近い状態。
それでも祖母はそれらをまるで宝物のように大事に取っておきたいようだ。
その後、石田の服を乾いたので西宮家をあとにして硝子から遅れること1時間。
右京たちは石田を車に乗せて彼が通う水門小学校へと連れて行った。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:02:52.44 ID:mk939Gpx0
「それじゃあ…もうここでいいよ…」
「一人で大丈夫ですか?よければ僕たちが担任の先生に説明しておきますよ。」
「いい…どうせ俺のことなんてみんなシカトするだろうから…」
そう呟くように石田は去ろうとするのだが…
「その前にひとつだけよろしいですか。
先ほど硝子さんのお母さんが今日のことと言っていました。
これから何か行われるのですか?」
そのことを聞かれて石田は苦い顔になった。
それから石田はこれから行われるあることを話し出した。
「これから…うちの親が…お金を持って西宮の母ちゃんに謝るって…」
「お金とは補聴器の損害金である170万円のことですね。」
「それをクラスのみんなの前で払って…謝れって言われた…」
それがこれから石田に行われる仕打ちのようだ。
この後、クラスのLHRを利用して石田一家が西宮親子に揃って謝るというものだ。
確かに補聴器を8回も壊された西宮家にしてみれば
この仕打ちでもまだ物足りないのかもしれない。
「お金を払うということはキミのご両親も学校へ来るのですか?」
「うん…けど俺の家…母ちゃんしかいないから…」
どうやら石田の家は母親しかいないらしい。
その母親は一人で美容室を営んでいて今日はその店を休業させて学校へ駆けつけるようだ。
「じゃあ…もう行くから…」
こうして一人寂しく校内へ入っていく石田。
そんな石田を見送りつつ右京と神戸はどうにも心中に言い表せない蟠りを感じていた
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:04:43.13 ID:mk939Gpx0
「それで…どうしますか…?」
「今回の件は石田くんに非があることは間違いありません。
ですが問題なのは悪いのは本当に石田くんだけなのかということです。」
「確かにその疑問に関しては同感です。
でもどうしますか?現段階では石田くんの証言くらいしかありませんよ。」
今の段階で他の子たちによるイジメを証明させるには石田の証言しかない。
だが問題はその石田自身がイジメの主犯だということだ。
そんな石田の証言など誰が信じてくれるのか?時間のない状況でそれが問題だった。
「それでは補聴器の方を調べてみましょうか。
実は西宮家から壊れた補聴器を預かってきました。
もし石田くんの話が正しければこの補聴器には他の子たちの指紋が付いているはずです。」
西宮家から持ち出した壊れた補聴器を取り出す右京。
確かに補聴器は聴覚障害者が肌身離さず身につけている大事なものだ。
それを取り外すのは風呂や就寝時でもなければありえない。
つまり学校で硝子が補聴器を取り外すことは絶対にない。
その補聴器に硝子と石田以外の第三者の指紋が付着していれば
それは石田以外の人間が硝子を虐めた証拠になるはずだ。
「調べるってどうやって?この近辺の所轄に頼む気ですか?」
神戸の言うようにいくら右京たちが警察官でも
まだ事件にもなっていない出来事を調べることなど出来るはずがない。
さらに問題はここが岐阜県だということ。
管轄違いの特命係にこの近辺の所轄がそこまで協力してくれるわけがないのだが…
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:13:56.83 ID:mk939Gpx0
「だから米沢さんがこういったモノを預けてくれたわけですね。」
右京は車の後部座席から米沢から預かった鑑識道具を引っ張り出した。
これなら硝子の補聴器を調べることが可能だが…
しかしそれでもさすがにこんな事態を想定されるとは
神戸は自分たちが事件を呼び寄せる死神扱いされても仕方ないなと思わずため息をついた。
「どうやら出てきましたよ。硝子さんと石田くん以外の指紋がベッタリと付着しています。」
「これで石田くんの証言は正しかったことが証明できましたね。」
補聴器から複数の指紋が検出されたことによりこれで一応石田の証言は証明できた。
やはり硝子のイジメはクラス全体で行われていたという証言は事実だ。
しかしそれでもまだ問題があった。
「ですが問題はこの指紋をどうやって子供たちのモノだと検証するかですね。
ご存知だと思いますが硝子さんにイジメを行った子供たちは小学生の児童に辺ります。
つまりイジメを行った子供たちの指紋を採取するには保護者の承諾が必要です。」
神戸が指摘するが児童への取り調べを行うには保護者の承諾が必要だ。
だがイジメの主犯である石田が既に犯人扱いされているこの状況で
他の保護者たちがそんなことを承諾するのかそこが問題だった。
しかも今回の件で動いているのは特命係のみ。
現状で近隣の所轄も動かない以上、子供たちの指紋を採取することは困難だ。
「いえ、待ってください。どうやらその問題も解決出来るようですよ。」
右京は8個全ての補聴器を調べながらそんなことを告げた。
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:14:36.82 ID:mk939Gpx0
「でもどうしますか。まだ色々と難題が残っていますよ。」
「そうですねぇ。それでは手分けしましょうか。」
「手分けってどこを調べろと?」
「そうですね。とりあえずは…」
それから補聴器を調べ終えた右京は二手に分かれることを提案した。
右京はこのまま小学校へ。そして神戸は車を走らせある場所へと向かった。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 00:20:21.62 ID:lmC6LrwMo
教師が無能過ぎるあの漫画か
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:22:57.38 ID:mk939Gpx0
さて、神戸と分かれて学校内に入った右京。
そして硝子と石田が所属する6年2組へと足を運んだ。
するとその教室ではある怒鳴り声が響いていた。
「石田ぁっ!何で今頃になって遅刻してんだ。」
「すいません…服が乾かなかったんで…」
「そういう言い訳はいい。さっさと席に座れ!」
遅刻してきた石田を事情も聞かずに叱るのは担任教師の竹内先生。
そんな叱られている石田をクラスメイトたちがクスクスと嘲笑していた。
その中には先ほど右京が公園で遭遇した石田をイジメていた二人の少年たちの姿があった。
どうやらあの二人は石田や硝子と同じクラスメイトだったようだ。
笑っていないのは硝子とそれにもう一人、
石田の席の近くにいた長い黒髪の少女が心配層に見つめていた。
こうして説教も終わり着席する石田。
それから竹内は授業を再開。その授業は国語の朗読。
席順から順番に朗読が開始されていき、そして硝子の番になった時だ。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:24:49.11 ID:mk939Gpx0
「次は西宮か。おい植野、西宮に今どこを読んでいるのか教えてやれ。」
担任の竹内から指示が入り
先ほど石田を心配そうに見つめていた植野という少女が
硝子にどこを読むのか教えることになった。
だがその指示を聞いた植野は思わず不機嫌そうな顔で硝子を睨みつけた。
「チッ…またですか…いい加減にしてよ…」
それは小声だが耳の聞こえない硝子以外のクラス全員はハッキリとそれを聞き取れた。
それから植野がこのページを読めと硝子に指示を促すのだが…
「あ…う…あ…が…」
当然のことだが硝子は耳が聞こえない。
そのせいで声は出せてもどんな発声で行えばいいのかまるで理解出来ていない。
だからこんな呂律が狂った言葉になってしまうのだが…
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:26:06.66 ID:mk939Gpx0
「プッ…フフ…」
硝子が朗読している最中、とある少女がクスクスと笑いだした。
それはみつ編みの髪型にメガネをかけたこのクラスの委員長である川井みきだ。
当初、川井はその笑い声を堪えていたがそのうち我慢出来なくなり口に出してしまう。
その後、そこかしこから笑い声が発せられた。
女子だけでなく男子までも…
朗読中の硝子が一生懸命なのをいいことに誰もが笑い声を上げていた。
「オイ、うるさいぞ。笑うならあとにしろ。」
担任が注意したのは硝子が朗読を終えた直後だった。
その頃には笑い声もパッタリと止んだ。
この光景を覗きながら右京はクラスで何が起きているのか大体のことを察した。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:40:43.78 ID:mk939Gpx0
それから授業も終わりLHRの時間がやってきた。
6年2組のクラスには校長先生と音楽教師の喜多先生。
その他に二人の成人女性が姿を見せた。
それは先ほど出会った硝子の母親である西宮八重子。
もう一人は金髪の女性。
石田に話しかけていることから恐らくは石田の母親である石田美也子だ。
美也子「この度は息子の将也が取り返しのつかないことをして申し訳ありませんでした…」
クラスに駆け込むと同時にまるで土下座をするかの勢いで八重子に謝る美也子。
しかしそんな誠意ある謝罪をしたところで八重子は何の素振りも見せない。
教師たちも同様だ。
今の謝罪を見ても我関せずの態度を取る竹内。
未だに状況を把握できずにいる校長に居た堪れない喜多。
クラスメイトたちもこうなったのは当然の報いだと関係ないフリをしていた。
「そんな謝罪なんてどうでもいいです。
さっさとお金を支払ってもらえますか。うちも暇ではないんですよ。」
謝罪はいい。早く損害金の支払いをしろと八重子はそう言ってのけた。
そんな八重子に従い持ってきたカバンから現金を取り出そうとする美也子
どうやらこれより損害金を渡そうとするようだ。
するとそこへ右京の携帯に神戸からの連絡が入った。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:43:20.71 ID:mk939Gpx0
「もしもし、杉下さんですか。実は調べた結果なんですけど…」
「そうですか。やはり…」
何やら神戸に調べごとをさせていた右京。
それは右京が予想していた通りの結果らしい。
「それでどうしますか。僕もそっちへ合流した方がいいですか?」
「お願いします。まあその頃には大体のことが終わっているでしょうけどねぇ。」
クラスの様子を伺いながらそんなことを告げる右京。
恐らく神戸が合流するまで待っていればLHRは終了して
今回の一件は石田にすべての責任があるという形で解決してしまう。
そうなれば手遅れになってしまうからだ。
そのため右京はこれより単身でクラスに乗り込もうとするのだが…
「わかりました。けど今回の件ですが…下手したらまずいんじゃないですか…?」
「それはどういう意味ですか。」
「最悪の事態を想定するならそのクラスは崩壊してしまう可能性すらありますよ。」
「確かにその可能性は高いですね。
しかしこのまま真実を伝えずにいるというのも問題がありますよ。」
今回の一件を暴くということは最悪の場合は硝子たち6年2組の学級崩壊が起こりうる。
そう危惧する神戸だがそれでも真実を伝えようとする右京。
だが神戸が危惧するのはそれだけではなかった。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/15(木) 00:44:13.94 ID:mk939Gpx0
「もうひとつのことも暴くつもりですか?」
「ええ、この際ですからすべてを明らかにした方がいいでしょう。」
「それは何のためですか?
もしそれが杉下さんの自己満足の域なら僕はこれ以上手を貸しませんよ。」
「何のため…それはもちろん硝子さんのためですよ。」
「ですが今回の件…徹底的にやれば最悪の場合は西宮家が家庭崩壊の恐れが…」
今回の件において神戸が最も恐れているのはそれだ。
どうやらこれから行うことは最悪の場合だと西宮一家が家庭崩壊する恐れがあるらしい。
そうなれば今回行きがけの偶然で知り合っただけの右京たちが責任を取ることは出来ない。
下手をすればそれこそ取り返しのつかないことになるのではないかと危惧していた。
「ですがそれでも行う必要があります。
どのみち、このままではいずれ硝子さんは限界を迎えるはずです。
だからこそ僕たちは心を鬼にしてこの事態に関わる必要があります。」
『心を鬼にする』
それは先ほど西宮家で祖母が娘の八重子の決意を表した言葉だ。
つまりそうでもしないと今の硝子を取り巻く環境を変えることなど出来るはずがない。
そのことを覚悟して右京は6年2組の教室へと足を踏み込んだ。
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