朋「まゆちゃんと公演」

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1 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/06/13(火) 23:21:45.48 ID:iQfb1HEX0
まゆ『うふ……邪魔、邪魔……みぃんな、邪魔』

まゆ『まゆたち、グラッシー帝国の邪魔をする人たちは――』

朋『――待ちなさい!』

まゆ『……あら?』

まゆ『あなたは……』

朋『あたしはトモよ!』

朋『地球はあなたたちの好きになんかさせないわ!』

まゆ『……ふぅん』

まゆ『あなたもまゆの邪魔をするんですねぇ……』

朋『邪魔なのはあんたのほうよ! 地球の平和を乱して!』

朋『さっさと地球からいなくなりなさい!』

まゆ『……邪魔なものはキライ』

まゆ『キライ……キライ!』シュッ

朋『……あぶなっ!』

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497363705
2 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/06/13(火) 23:23:51.09 ID:iQfb1HEX0
まゆ『……素早いんですねぇ』

朋『ふふっ、脚には自身あるのよ』

まゆ『うふふ……なら、これはどうですかぁ?』シュッシュッ

朋『数なんかいくら増やしたって無駄よ!』

朋『あたしの占いがあれば、こんなリボン、百本増えたって二百本増えたって変わらないわ!』

朋『それっ! えいっ! やっ!』

まゆ『……本当に全部避けてる』

まゆ『さすがはフォーチュンヒーローですねぇ』

朋『なによ、あたしのこと知ってたの?』

まゆ『ええ……うわさには聞いていますよぉ』

まゆ『占いを扱うヒーロー』

まゆ『攻撃位置も、隙ができる瞬間も、すべてを占って観測する』

まゆ『そして、それを元に、さながら踊るように戦うヒーロー――』

朋『ふふっ、そこまでほめられると少し照れるわ』

まゆ『――でもおっちょこちょいなんですよねぇ』

朋『……ちょっと待って、そんなことまで広まってるの、あたし?』

まゆ『うふ……みんな噂してますよぉ』

まゆ『肝心なところでへまをしちゃう、かわいいヒーローだって』

朋『広めたの誰よ!』

まゆ『いいじゃないですか、可愛いんですよ?』

朋『そんな可愛さは別に求めてないわよ!』

朋『もうっ!』

まゆ『うふふ……でも、事実なんだから仕方ないですね』

朋『事実じゃないわよ!』

まゆ『いえ、事実ですよ』

まゆ『……ほら、今だって』

朋『……へ?』

まゆ『背中がお留守ですよぉ』

朋『……きゃぁっ!?』
3 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/06/13(火) 23:25:31.76 ID:iQfb1HEX0
朋『なにこれ……リボンが巻きついて……!』

まゆ『うふ……油断しましたねぇ』

まゆ『後ろの警戒を怠るなんて……おっちょこちょいで可愛いヒト……♪』

朋『……っ!』

朋『こっ、こんなの……簡単にふりほどいてやるんだから!』

まゆ『うふ……いくらがんばったって無駄ですよ』

まゆ『まゆのリボンからは誰も離れられない……ずぅっと』

まゆ『ずぅっと……ね』

朋『そんな……!』

まゆ『うふふ……信じられないなら、自慢の占いでなんとかしたらどうですかぁ……?』

朋『くっ……!』

まゆ『ほら、早くしないと……どんどんリボンが締まっちゃいますよぉ』

朋『……っ!』キッ

まゆ『……強いですねぇ、まだそんな目ができるなんて』

まゆ『でも見えますよぉ……その目の下……苦痛、不安、恐怖に歪んだ瞳の色……』

まゆ『うふふっ、まゆそういう目……スキ』

まゆ『スキすぎて……ぎゅっと、締めたくなっちゃうんです』

朋『……くぅっ!』
4 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/06/13(火) 23:26:17.76 ID:iQfb1HEX0
朋『はっ……離しなさい……!』

まゆ『いやです♪』

朋『あんたっ、邪魔なモノはキライなんでしょ!』

まゆ『キライですよ』

朋『じゃあ、はやくはなしてよ!』

まゆ『いやです♪』

まゆ『だって、キライだから……スキになりたいんです』

朋『は……?』

まゆ『スキキライを無くせって、教えられたから……』

まゆ『だから、キライなものもスキになりたいんです』

まゆ『スキになりたいから、まゆは苦しめるんです……』

まゆ『歪んだ表情……苦痛に満ちた表情……それはとってもスキだから』

まゆ『キライなモノも、スキな要素で埋めれば、スキになれます♪』

まゆ『だから……ほら……見せて……もっともぉっと』

朋『ぐっ……!』

まゆ『あぁ……その苦痛に苦しむ顔……素敵……♪』

まゆ『……っと』

まゆ『あなたばかりに時間をかけているわけにはいきませんね』

朋『はぁ……はぁ……え、何……急に持ち上げて』

まゆ『……ありがとう、トモさん』

まゆ『あなたのこと……少しだけスキになれました……♪』

朋『……っまさか!』

まゆ『だから……サヨナラ』ブンッ

朋『や、やめ――!』

朋『――ッ!』ドゴッ
5 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/06/13(火) 23:26:52.51 ID:iQfb1HEX0
朋『――』

まゆ『うふ……さあ、次の場所へいかなくちゃ……』

朋『――』

まゆ『……』

「はい、カット!」

まゆ「……ふぅ」

朋「……ふぅ」

朋「お疲れ、まゆちゃん」

まゆ「はい、お疲れ様です」

まゆ「……怪我はありませんかぁ?」

朋「大丈夫よ。実際にぶっ飛ばされたわけでもないし」

まゆ「うふ……よかったです♪」

朋「それにしても……ねぇ」

まゆ「……?」

朋「いや……まゆちゃんの演技すごかったなって」

まゆ「あら、ありがとうございます」

朋「正直寒気が止まらなかったわ」

まゆ「うーん……ほめてくれてるのでしょうか?」

朋「そりゃもう、褒めてるわよ」

朋「それだけ、役に入りきってたってことでしょ?」

まゆ「……そうですねぇ」

まゆ「まゆも……びっくりするくらい、成りきっちゃってましたから……」

朋「実はあれがまゆちゃんの本性なんじゃない?」

まゆ「むぅ……そう見えますかぁ?」

朋「あはは、冗談よ冗談」

朋「そんなに膨れないで」

まゆ「……」
6 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/06/13(火) 23:32:19.19 ID:iQfb1HEX0
朋「ほら、そんなむすっとしてないで楽しみましょ」

まゆ「……そうですね」

まゆ「なんて……うふ、今だってまゆはすごく楽しんでるんですけどね」

まゆ「だって、朋さんと一緒のお仕事は楽しいですから……♪」

朋「ふふ、そっか」

まゆ「朋さんは違いますか?」

朋「まさか」

朋「あたしだって、とっても楽しいわ!」

まゆ「うふふっ」

まゆ「……でも、欲を言えば、朋さんとは味方がよかったです」

朋「あー……」

まゆ「まゆは朋さんの相棒役で……」

朋「うんうん……」

まゆ「普段は、おっちょこちょいな可愛い朋ちゃんを助けてて……」

朋「うんうん……うん?」

まゆ「よく、どっちが年上かわからない……なんていわれたりするんですけど……」

朋「……」

まゆ「でも、とっても頼れる朋さんを慕っている……そんな役になりたかったです」

朋「……」

まゆ「……朋さん?」

朋「いや……あたしが言うのもなんだけど、これわりとあたしたちそのままよね」

まゆ「……」

まゆ「……!」

朋「……気づいてなかったんだ」

まゆ「確かに……そのままですねぇ」

朋「ふふっ、まゆちゃんにとっては今のあたしたちの関係が理想なのね」

朋「ふふ……ふふっ!」

まゆ「むぅ……そんなに笑って」

まゆ「朋さんはどうなんですかぁ?」

朋「もちろん、あたしだってそうよ、ふふっ!」

まゆ「よかった……同じですね」

朋「うん、同じね」

朋「ちょっと心配だった?」

まゆ「いえ、きっとそうだろうと思ってました……♪」

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