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【ポケモン】しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」その2【クレしん】
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427 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:20:53.29 ID:Pr7L8+H70
ネッコアラ「スピー……!」ブンッ!
キテルグマ『おりゃああっ!!』ブゥンッ!
居合抜きをするように、互いの得物がそれぞれ相手に向かって振り抜かれていく。
ネネのピッピ人形はネッコアラの脇腹めがけて、ネッコアラのまくら木はネネの脳天めがけて振り下ろされる!
ドゴッ!
ドズムッ!
キテルグマ『うっ……!』クラッ
ネッコアラ「……!」フラッ
しんのすけ&ハウ「!!」
ほぼ同時に、キテルグマの頭にまくら木が、ピッピ人形がネッコアラの脇腹に当たって、両者が地面に倒れこむ……。
キテルグマ「」
ネッコアラ「」
ククイ博士「また、引き分けか……!」
428 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:21:58.10 ID:Pr7L8+H70
しんのすけ「こういうの、九と三分の一って言うんだっけ」
ハウ「五分五分、だよー」
ジュナイパー(ボール)『ネネちゃん、大丈夫?』
キテルグマ(ボール)『う、うん。なんとか引き分けに持ち込めたけど……さっきの感覚、なんだったのかしら』
ミミッキュ(ボール)『鬼気迫るものが、あった』
フェローチェ(ボール)『しん様、次は誰を出しますの?』
しんのすけ「それじゃーマサオくん、行きますか!」
ヨワシ(ボール)『任せてよ!』
429 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:23:30.96 ID:Pr7L8+H70
ハウ「シャワーズ! 行っておいでー!」ヒョイッ!
しんのすけ「マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ!
ヨワシ(群れ)『いつもより派手にぶっぱなしてやるぜ!!』ポンッ!
シャワーズ「シャワワ!」ポンッ!
ハウ「みずポケモン対決だねー。今度は負けないよー!」キッ
しんのすけ「水着のおねいさんがいればもっと画面映えするかもね」
ハウ「こんな時でもそーゆーことしか考えないのー? シャワーズ、アクアリングだよー!」
シャワーズ「シャワッ!」ブクブクッ
ヨワシ(群れ)『なんだァ? あの輪っか』
ハウ(ハプウさんとの大試練とリーリエとの練習で、マサオに大きい攻撃当ててもー群れをバラバラにして避けちゃうことがあるからねー。だったら、確実に群れを減らすやり方で行くよー)
ジュナイパー『マサオくん! シャワーズはみずタイプだ! ハイドロポンプやねっとうを使うより、物理攻撃で攻めるんだ!』
ヨワシ『おうっ、このまま押しつぶしていくぜっ!』
430 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:24:39.99 ID:Pr7L8+H70
ゴウッ!
マサオが巨体を動かして、シャワーズに突進して攻め込んだ。マサオのとっしんを避けきれず、シャワーズの小さな身体が弾き飛ばされる!
ズズンッ!
シャワーズ「シャワ……ッ!」
ハウ「シャワーズ! どくどくだよー!」
シャワーズ「シャワーッ!!」バシャッ!
ヨワシ『なっ……!』ビシャッ!
シャワーズの口から放たれた紫色の液体がマサオの群れに飛び散った。ヨワシたちの群れに毒が行き渡り、何匹かのヨワシが群れから離れていく。
シャワーズ「シャワワ……」シュウシュウ
しんのすけ「なんか傷が塞がってない?」
フェローチェ(ボール)『あの輪っかがシャワーズの傷を治しているようですわん』
ジュナイパー(ボール)『そうか……! ハウさんは、マサオくんの攻撃を耐えて回復しつつ、どくで確実に体力を奪いに来たんだ!』
ヨワシ『群れをバラバラにして回避されるのを警戒してきやがったな』
ミミッキュ『それだけじゃない。シャワーズは、特性でみずタイプの技を受けると回復するから実質、マサオくんはハイドロポンプもねっとうも使えない』
431 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:25:56.00 ID:Pr7L8+H70
ヨワシ『マジで俺たちを倒そうとしてるのが伝わって来るぜ』
ヨワシ『その想いに答えてやんなきゃオスがすたるってもんだぜ! なぁしんのすけ!』
しんのすけ「おおっ、男らしい。いつもはへたれてるのに」
ヨワシ『るせーやい! 行くぜい野郎ども! 毒になんか負けんなよ!』
「ヨワーーーッ!」
マサオの号令で群れが一度バラけると、一斉にシャワーズへとなだれ込んだ。ほとんどそれぞれが体当たりするにとどまっているものの、次々とシャワーズにダメージを与えていく。
ドカドカドカッ!!
シャワーズ「シャワッ! シャワワッ!」
ヨワシ『そっちがチマチマ攻めるってんなら、こっちは一気に削りきってやるぜ!』
ククイ博士「うーむ、まさに『ふくろだたき』だね! ちょっと違うけど」
ハウ「シャワーズ、れいとうビーム!」
シャワーズ「シャワーッ!」ズピーッ!
押し寄せてくるヨワシたちに対して、シャワーズがなぎ払うようにれいとうビームを発射した。シャワーズに接近していたヨワシたちが次々と凍らされて地面に落下していく!
ヨワシ『やっべぇ! みんな戻れ!』
432 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:28:52.71 ID:Pr7L8+H70
れいとうビームを回避しつつ、マサオの呼びかけでヨワシたちが集まって再び群れた姿へと戻った。
しかし、れいとうビームで何匹かヨワシが撃墜されて、サイズが小さくなっている。更に毒によって、ヨワシが数匹ほど離れていく。
ビキビキビキッ!
ハウ(どんどん群れが離れていくねー。でも、まだ油断はできないやー)
ハウ「シャワーズ! シャドーボール!」
シャワーズ「シャワワーッ!!」ドンッ!!
ヨワシ『このっ!』ブシュッ!
シャワーズの口から影の球体が空を切り、マサオに向かって飛んでいく。すぐさまマサオはみずでっぽうで相殺しようとするが、毒でマサオ自身弱ってることもあり、まとっているヨワシの数が少ないため、そのまま押し切られて群れが大きく散らされてしまった。
ドンッ!
ヨワシ『ぐああっ!』
シャワーズ「……」シュウウウッ
さらにその間にも、アクアリングでシャワーズの体力が回復していく。
ジュナイパー(ボール)『厄介な奴だな。ここまで来たら、次の一発で仕留めないと群れが散っちゃうよ!』
433 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:30:35.40 ID:Pr7L8+H70
ヨワシ『おう……こうなりゃイチかバチかだ! しんのすけ! お前が見たいって言ってたワザ、今見せてやるよ!』
しんのすけ「おおっ、なになに?」
ヨワシ『野郎ども! ビーストと戦った時にやったアレ、やるぜ! あのちっこいのをブッ倒すぞ!』
ヨワシたち「ヨワーーッ!!」ドドドドドッ!!!
すると、再びマサオをまとっていた群れが分離する。今度はふくろたたきをするわけでも、技を回避するために取るわけでもない。
ハウ「マサオの群れが――」
ククイ博士「別のものに変わっていく!」
群れが巨大な魚の姿から、巨大ロボットの上半身へと形を変えていく。やがて、しんのすけの目の前には、慣れ親しんだロボットの姿が出来上がっていた!
しんのすけ「おおっ! カンタム!!」
ヨワシ『前に一度、お前の目を覚まさせるために見せてやったんだぜ。ま、覚えてねぇだろうが』
しんのすけ「いっけーマサオくん! カンタムパーンチッ!!」グッ!
ヨワシ(群れ)『行くぜぃ! うおりゃあっ!!』ドウッ!!
2つの豪腕を象ったヨワシたちがハイドロポンプによる推進力を得て、ロケットパンチの如くシャワーズへと飛んでいく!
ハウ「――!」
434 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:32:41.68 ID:Pr7L8+H70
すぐさまハウは回避を指示するも、それ以上のスピードでヨワシたちがシャワーズに突っ込んだ。
ドッゴォォォォォォッ!!!
大地を穿つ衝撃波と、爆発するようにヨワシたちがあたりに飛び散る。
しんのすけ「おーっ! マサオくんかっこいー!」ウキウキッ
ハウ「す、すごいー。今の技、なにー?」アゼン
しんのすけ「カンタムロボの必殺技、カンタムパンチだゾ」
ククイ博士(むしろヨワシの覚える技で言うなら、すてみタックルに近いね。それにしても、まさかあんな姿になってロケットパンチを放つとは……!)
霧が晴れると、倒れたシャワーズの姿があらわになり、同時にマサオのぎょぐんが解除された。
シャワーズ「シャ……シャワ」ピクピクッ
ヨワシ(単)『ううっ……もう毒が回って……動けないよぉ』クラッ
435 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:33:54.68 ID:Pr7L8+H70
同時刻 アーカラ島
コニコシティ
カキ「まさか3回連続で引き分けになるとは……! なんて熱い勝負だ!」
マオ「珍しいこともあるんだね!」
ライチ「それだけ、今のしんのすけとハウの実力は拮抗してるってことだよ。2人は一緒に島巡りしてきたからね。仲も良いし、お互いを知り尽くしているからよ」
スイレン「……」
マオ「どうしたの? スイレン」
スイレン「あっ、その……今のヨワシ……いえ、マサオさんの姿を見て、感動しちゃって」
ライチ「そういえば、あの子はせせらぎの丘でしんのすけにゲットされたんだっけね」
スイレン「はい。ライチさんとの大試練で群れを率いた瞬間が見られなかったのがとても残念ですが……こうして勝負を通して、立派な姿が見られただけでも満足です!」
スイレン(マサオさん……他のヨワシにいじめられていたあなたが、本当に、本当にここまで強くなりましたね。嬉しいです。しんのすけさんも、マサオさんのおやになって導いていただき、ありがとうございます!)
436 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:35:04.61 ID:Pr7L8+H70
ハウ「3回目も引き分けかー」
しんのすけ「運命の赤い糸的な何かを感じますなー」
ハウ「お互いのポケモンももう2匹しか残ってないんだねー! 勝負に夢中になってたら、あっという間だったよー!」
しんのすけ「アクション仮面とか見てたら、すぐ時間が過ぎちゃうよねー」
ハウ「でも、次のバトルからはもっともっと、楽しくなると思うよー。おれもーこの子を戦わせるのは初めてだからねー」スッ
ハウが手に持ったボールを掲げると、差し込んでいる光がきらりとボールの青いカラーと網目模様を照らした。
ククイ博士「ついに来たか! ハウ!」
しんのすけ「あれって、あいちゃんに入れてるボールと同じだ!」
ジュナイパー(ボール)『まさか!』
ハウ「行くよー! マッシブーン!!」ヒョイッ
マッシブーン「ブンブーンッ!」ポンッ!
筋肉そのものといえる赤い巨躯と、ダイヤモンドより硬くて長い口吻を持つ、異形のポケモンがウルトラボールから繰り出される。
437 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:37:42.86 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー(ボール)『ハウさんが、ビーストを!?』
しんのすけ「ほーほー……」
マッシブーン「ブーン!」サイドチェスト!
現れたウルトラビースト、マッシブーンは自らの存在をアピールするようにマッスルポーズを決めた。
しんのすけ「どこで捕まえたの?」
ハウ「ナイショー。さーしんのすけもあいちゃんを出しなよー。水対水の次はビースト対ビーストだー!」
しんのすけ「おーうっ!」スッ
しんのすけ「あいちゃん! レッツラゴー!」ヒョイッ!
フェローチェ『お任せくださいませ!』ポンッ!
ジュナイパー(ボール)『あいちゃーん!』
ヨワシ(ボール)『がんばって、あいちゃん!』
キテルグマ(ボール)『ケッ!』
あいとマッシブーンがそれぞれにらみ合う。マッシブーンが筋肉を膨張させて、あいも片足を前に出して構えを取った。
438 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:40:59.36 ID:Pr7L8+H70
同時刻 エーテルパラダイス
リーリエ「ハウさんがビーストさんをゲットなさっていたなんて……。にいさまは知っていたのですか?」
グラジオ「ああ……。母上が多くのウルトラボールを用いて多くのビーストを捕獲していたのは知っているな?」
リーリエ「はい、実際にカザマさんたちと一緒に、ビーストと戦いました」
グラジオ「そこで捕獲されたビーストたちは、ここで保護して生態の観察や研究することになったんだ。今アローラにいるやせいのビーストたちの保護に役立てるために。そして、いずれは人間とポケモン、ビーストたちが共存できるようにな」
グラジオ「なにより、ポケモンはトレーナーと供にいることで真価を発揮する……だから、おやがいるビーストの観察と研究も兼ねて、ハウに母上が捕獲していたビーストの1体を託したんだ。……さすがにウツロイドやアクジキングのような危険なビーストは渡せないがな」
グラジオ「あいつなら、ビーストもポケモンも隔てなく大事にしてくれるだろうからな。ハウも、ビーストと友達になれるのは嬉しい、と快く了承してくれた」
リーリエ「マッシブーンさんとハウさんが仲良くしている姿、目に浮かびますね」
グラジオ「この対戦は、世界中にも衝撃を与えるだろう。なにせ、アローラに災いをもたらしたビーストたちが、こうして2人のトレーナーが連れて、肩を並べて戦っているんだからな」
リーリエ「ビーストも世界こそ違うけれどポケモン……博士もそう言ってましたね!」
439 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:44:31.54 ID:Pr7L8+H70
最初に飛び出したのはあいだった。稲妻の如き速さでマッシブーンに近づき、けたぐりを放つ。
フェローチェ『やああっ!』ブンッ!
マッシブーン「……!」バッ!
ドッ!
だが、マッシブーンも攻撃が来るのを予測していたのか、すぐさま胸の前で両腕を交差して、けたぐりを防ぐ!
フェローチェ『はっ!』ダッ!
あいも負けず、素早く背後に回り込むと、背中に向けてもう一度けたぐりを放つ。
ドゴッ!
……だが、一撃で並みのビーストを屠れるほどのあいの蹴りに、マッシブーンはびくともしなかった。
マッシブーン「ブーン……」
フェローチェ『……さすがですわん』
ハウ「マッシブーン! かみなりパンチ!」
マッシブーン「ブーンッ!」バチチチッ!
440 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:46:44.17 ID:Pr7L8+H70
振り向きざまに、マッシブーンがあいに向けて電気をまとった裏拳を繰り出す! すぐさまあいはマッシブーンから離れるが、白くほっそりとした身体に、電撃が飛び散る!
フェローチェ『うっ! これは厄介ですわね……』
フェローチェ『驚きましたわ! ウルトラスペースにいた方々と違って、とても鍛え上げられていますわん! これがトレーナーに育てられたビーストの力ですか!』
フェローチェ『ですが、わたくしだって同じです! わたくしも、しん様のお役に立つために、この世界でカザマさんたちと一緒に特訓しましたもの!』
フェローチェ『その力、とくとお見せしますわん!』キィィィン
あいは空中で態勢を立て直すと、マッシブーンに向かって両手を伸ばした。すると、青い光が両手の中心に集まり、光線が発射された!
ズピーーーッ
ハウ「マッシブーン、きあいだまーっ!」
マッシブーン「ブゥゥン!」ギュオオッ
あいに対抗するように、マッシブーンは両手を掲げて気合を込めるとと、両手のひらの上に気が集まり、光の玉を形成していく。
マッシブーン「ブンッ!」ゴウッ!
そして、あいの放ったれいとうビームに向けて、きあいだまを投げ放った!
れいとうビームにきあいだまが直撃すると、瞬く間に凍結した。
ビキビキビキッ!
ドォォォンッ!
441 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:49:20.30 ID:Pr7L8+H70
フェローチェ『行きますわ!』ギュン!
氷の欠片と黒煙を突き破りながら、あいがマッシブーンにとびひざげりを放つ!
マッシブーン「ブゥゥンッ!」ドッ!
マッシブーンは再び両腕でとびひざげりを受け止めると、あいが地面に着地に、今度は前蹴りを繰り出した!
フェローチェ『ふっ! やっ!』ブンブンッ!
マッシブーン「ブゥゥゥン!」ガシッ! ドカッ!
マッシブーンも、あいの猛攻を受け止めるだけでなく、隙を見つけては右ストレートを振り放つ。あいも回避しつつ、押し蹴りで反撃する。
ドカ!バキッ!ドゴッ!グガッ!!
フェローチェ『ふっ! やぁ! たぁ! せい! はぁ!』
マッシブーン「ブンブンブンッ!!」
ドカ!バキッ!ドゴッ!グガッ!!
2匹のビーストによる足と拳による激しい応酬が繰り広げられ、このまま永遠に続くかと思われた。
しかし、あいは一瞬の隙を突き、マッシブーンの腹に前蹴りを打ち込んだ!
フェローチェ『やっ!』
ドゴッ!
マッシブーン「ブンッ……!?」グラッ
442 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:50:45.47 ID:Pr7L8+H70
フェローチェ『たーっ!』ゴウッ!
さらに、瞬間200km/hで繰り出されるドロップキックがマッシブーンの胸筋を押し出した。巨体を誇るマッシブーンもさすがに堪えたのか、うめき声を上げながら後退した。しかし、再び構えを取ろうとする。
マッシブーン「……」ググッ
しんのすけ「!」
フェローチェ『これで終わり、ですわ!』グッ
地面に着地して、とどめの一撃としてとびひざげりを放つ構えを取る。
しんのすけ「あいちゃん! ストップ!」
フェローチェ「!」ダッ!
しかし、しんのすけの言葉にあいの身体は追いつかず、マッシブーンに向かってまっすぐ飛び出してしまった!
途端に、ハウが勝ち誇った笑みを浮かべた。
ハウ「マッシブーン、カウンター!」
マッシブーン「ブンッ!」ゴウッ!
ゴスッ!
フェローチェ『うぐっ!?』メキィ
ククイ博士「入った! 凄まじいカウンターだ!」
443 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:52:15.13 ID:Pr7L8+H70
あいのとびひざげりがマッシブーンを屠る直前に、右ストレートがあいの細い胴体に命中した。くの字に曲がって、あいの身体があっさりと吹っ飛んでいく!
キィーーン
ドゴォン!
フェローチェ『うぐっ……』
ヨワシ(ボール)『あ、あいちゃんっ!』
ハウ「ばっちり決まったねー!」
マッシブーン「ブンブーン!」バックダブルバイセップス!!
ハウ「フェローチェってとても素早いからー見切ってカウンターを入れればなんとかなるかなって思ったけど正解だっだねー」
フェローチェ『ううっ……』
ヨワシ(ボール)『あいちゃん、大丈夫?』オロオロ
キテルグマ(ボール)『あんなデカブツの攻撃をまともに食らったら、あいなんて一撃KOに決まってるでしょ』
しんのすけ「ほうほう、デカブツの攻撃でオダブツ、ですな」
ヨワシ(ボール)『ダジャレ言ってる場合じゃないでしょ!』
ミミッキュ(ボール)『相手もかなりタフネス。あいちゃんの攻撃をあれだけ食らっても、まだ平気そう』
フェローチェ『こっちも……まだ行けますわん!』ユラリ
444 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:53:44.37 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー(ボール)『無茶しちゃダメだ! 僕が代わりに――』
フェローチェ『あの方はカザマさんにとって不利なタイプですわん。それにハウさんの手持ちにはまだポケモンが1匹控えていますもの』
ジュナイパー(ボール)『それは……』
フェローチェ『わたくしが最悪、引き分けまで持ち込んでみせます。あと1回は耐え切れますわん』
ヨワシ(ボール)『でも、あっちにはカウンターがあるんだよ? また当たったら今度こそあいちゃん倒れちゃうよ』
しんのすけ「カウンターが当たらないところから攻撃すりゃいいじゃん。れいとうビームとか」
フェローチェ『さすがしん様! その手がありましたわね。遠距離を中心に攻めていけば、カウンターは仕掛けられませんもの』
しんのすけ「じゃ、あいちゃんおねがーい!」
フェローチェ『がってんですわん!』
あいは後方に下がると、後頭部に生えている髪のように見える翅を小刻みに震えさせた。耳障りな羽音から繰り出される超音波がマッシブーンに襲いかかる!
ジジジジジ!!
マッシブーン「ブブブッ?!」
ハウ「うー、カウンターを警戒してきたかー。でも、おれだってー! ストーンエッジ!」
445 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:54:42.94 ID:Pr7L8+H70
マッシブーン「ブーンッ!」グワッ!
ドンッ!
マッシブーンはむしのさざめきを耐えながら拳で地面を叩くと、槍のように鋭く尖った岩が飛び出し、あいに向かって次々と伸びていく!
フェローチェ「!」
むしのさざめきを止めると、あいは足に力を溜めて頭上へ跳躍、さらに両手かられいとうビームをマッシブーンに放った。
マッシブーン「ブー……!」ビキビキビキッ!!
今度はきあいだまで相殺できる余裕はなく、れいとうビームを受けて全身が凍りついてしまった。
しかし、氷漬けになったマッシブーンは自ら震えだし、氷にひびが入る。
バリンッ!
マッシブーン「ブーーーンッ!!」ダブルバイセップス!!
ハウ「マッシブーン、いわなだれ!」
氷漬けの状態から自ら脱出すると、マッシブーンはストーンエッジで出来た石の柱を砕き、あいに向けて怒涛の勢いで投げつける。
フェローチェ『……!』シュパパパパ!!
あいは反復横跳びをするように避けつつ、確実にマッシブーンに向けて距離を詰める。そして、顔めがけて上段蹴りを繰り出す!
ドゴッ!
マッシブーン「ブブッ!?」
446 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:55:55.72 ID:Pr7L8+H70
いわなだれを中断されながらも、再びカウンターの構えを取る。マッシブーン。しかし、
軽やかな身のこなしであいはしんのすけの傍へ戻っていった。
ククイ博士(カウンターを警戒しながらのヒット&アウェイか)
フェローチェ『うっ……』フラッ
マッシブーン『ブーン……』ゼイゼイ
マッシブーンも先ほどのむしのさざめきとれいとうビーム、そしてけたぐりでだいぶ体力が削られた。あいも、カウンターのダメージが響いている。
ククイ博士(両者ともに満身創痍だね。次の攻撃で、決着が付く)
ククイ博士(でもやっぱり――)
ハウ(たぶん、これ以上カウンターだせる機会はなさそうだねー。だったらここで攻めて決めるー!)
ハウ「……マッシブーン! アームハンマー!」
しんのすけたち『「あいちゃん! ファイヤーッ!」』
マッシブーン「……ッ!」ダッ!
フェローチェ『はい! 行きますっ!』
両者が走り出し、急接近する。マッシブーンがアームハンマーをあいめがけて、あいはマッシブーンにとびひざげりを、それぞれ放つ!
447 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:56:27.10 ID:Pr7L8+H70
マッシブーン「ブーーンッ!」ゴウッ
フェローチェ『はぁっ!』バッ!
ドゴッ!
マッシブーン「……!」
フェローチェ『……!』
あいのひざがマッシブーンの腹にめり込み、腹と背中がくっつきそうなほどに沈んでいく。だが、マッシブーンの大木のような右腕も、あいの腹に叩きつけていた。
マッシブーン「ブ……」フラッ
フェローチェ『しん様……あい、成し遂げましたわ』フラッ
ドサッ!
しんのすけ&ジュナイパーたち「あいちゃん!」
448 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:57:30.45 ID:Pr7L8+H70
同時刻 ウラウラ島
エーテルハウス
アセロラ「やっぱり引き分けだねー!」
クチナシ「こうなるだろうとは思ってたけどよ」
クチナシ「っていうか、試合見んのにおじさんを巻き込むなよ……」
アセロラ「おじさん一人じゃ寂しいかなって思って! こーゆーのはみんなで見たほうが楽しいでしょ?」
クチナシ「……ま、これを見る価値はあったな。ビーストを連れたトレーナーが、こうして大大試練で戦わせるなんて……すげーもん見ちまった」ニヤッ
アセロラ「お口あんぐりしちゃったよ! だってしんちゃんもハウくんも、ビーストを捕まえてたんだもん」
クチナシ「だが……本番はこれからだね」
アセロラ「うん! まだ2人とも、Zワザを使ってないからね!」
アセロラ「しんちゃんとハウくんのゼンリョク……それでチャンピオンが決まるよ!」
449 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 20:58:30.17 ID:Pr7L8+H70
ハウ「マッシブーン、よく頑張ったねー」シュンッ
フェローチェ(ボール)『ふぅ……ポケモン勝負ってこんなに大変なものですのね』
キテルグマ(ボール)『ふーん、よくやったじゃん』
ヨワシ(ボール)『あいちゃん、お疲れ様!』
ミミッキュ(ボール)『お互いに、あと残り1匹。カザマくんと……』
ジュナイパー(ボール)『ガオガエン、だね』
ミミッキュ(ボール)『タイプ相性は悪いけど……大丈夫?』
ジュナイパー(ボール)『わかってる。僕らにはあのZワザがある。それで決着をつける! ……向こうもそれをわかっててZワザを撃ってくるだろうけどね』
ククイ博士「さあ2人とも! ここまで引き分け続きだったけど、泣いても笑っても互いに残り1匹! どちらかがこの場所で立っていた方が島巡りチャンピオンだ!」
ハウ「しんのすけー」
しんのすけ「なにー?」
ハウ「おれーしんのすけと島巡り出来てよかったー! だって、こんなに楽しい勝負が出来るなんて思わなかったからー!」
しんのすけ「いやん、なんだか告白されたみたい。でも、オラもハウくんと島巡りして楽しかったゾ」
ハウ「だから最後はーおれとガオガエンのゼンリョクをしんのすけにぶつけていくねー!」
しんのすけ「じゃーオラもカザマくんと一緒にハウくんにゼンリョクぶつけちゃうねー!」
450 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:01:48.04 ID:Pr7L8+H70
ハウ「行くよー! ガオガエン!」ヒョイッ!
ガオガエン「ガォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ!
ジュナイパー『しんのすけ! 準備は出来てるか?』ポンッ!
しんのすけ「まっかせなさい!」
対峙するカザマとガオガエン。
唐突にハウが笑顔を浮かべた。
ハウ「ねーねー、しんのすけが初めて戦った時を思い出さない?」
しんのすけ「そーいや、そうですな」
ジュナイパー『うん、そうだね。あの時はオマエ、ろくな命令しか下さなかったんだから……』
――じゃ、カザマくん、オラにおしゃくしてくれたまえー
――指示って、そういう指示じゃなぁぁい!
451 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:02:28.00 ID:Pr7L8+H70
しんのすけ「オラもまだまだ子供でしたなぁ」
ジュナイパー『今も子供だろっ! 大体、今だって指示出せてないじゃないか!』
ジュナイパー『まったく……ここに来ていい加減なこと言ったら、承知しないからな』
しんのすけ「ほーい!」
ハウ「あの時はおれが勝ったけどー。今度もまたおれが勝つよー!」
しんのすけ「いやいや今回はオラが勝つもんね。おねいさんが懸かってるから!」
452 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:04:14.23 ID:Pr7L8+H70
しんのすけとハウは、それぞれゼンリョクのポーズをする構えを取った。
同時に、2人の脳裏には島巡りで出会った人達の顔と、たくさん思い出が蘇ってきた。
ククイ博士に連れられて、ハウと出会った。
橋ではコスモッグがオニスズメに襲われて困っているリーリエを見つけた。
最初に選んだポケモンではカザマと出会った。
スカル団からリーリエを守った。
試練でカザマとぶりぶりざえもんと力を合わせて(?)ラッタを倒した。
アーカラでマサオとネネ、あいに出会った。
グラジオと戦い、敗北したものの、勝つことの意味を教えられた。
アセロラの試練でボーちゃんと会った。
スカル団に連れ去られたヤングースを助け出した。
二度目に来たエーテルパラダイスでは、ハウとグラジオ、ひろしたちが力を合わせてリーリエを助けた。
ポニ島では、ナッシーアイランドでリーリエと互いに自分の気持ちを語り合った。
ルザミーネにウルトラスペースへ連れ去られて、アローラのみんなに助けられた。
知恵を絞り、試練を乗り越えた。
友と力を合わせ、しまキングたちに打ち勝った。
453 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:04:58.79 ID:Pr7L8+H70
そして今、自分たちはここにいる。
この旅で得たもの全てを、ゼンリョクで相手にぶつける。それだけだ。
ハウ「行くよー! しんのすけ!」
しんのすけ「おうっ!」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
ガオガエンは Zパワーを 身体に まとった!
ガオガエンが 解き放つ
全力の Zワザ!
ハ イ パ ー ダ ー ク ク ラ ッ シ ャ ー !
ガオガエン「ガオオオッ!!」
ガオガエンは咆哮を上げると、カザマの周囲の地面が隆起し、炎で出来た特設リングが出現した!
ジュナイパー『あぢぢぢぢっ! しんのすけまだかよ!』メラメラメラ
しんのすけ「もうちょっと待ってー!」
ガオガエン「オオッ!」ドドドド!
リングへ駆けたガオガエンは、そのままコーナーポストに乗ると、へそを中心に炎と闇の力を溜め始めた!
454 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:07:33.81 ID:Pr7L8+H70
バッ! バッ!
A! B! B! A! A! B! →! →! ←!
ククイ博士「なんだ? あんなZポーズ、見たことがない!」
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ア ク シ ョ ン ビ ー ム ガ ン !
カザマは片翼を上げると、赤と青と白色の光が集まってきた。そして空いたもう片方の翼を弓状に折り曲げた。光が虹色の矢の形になると、カザマは光の矢を翼につがえて引き絞った。
ハウ「ゴーゴー! ガオガエンッ!!」バッ!!
闇と炎の力をまとったガオガエンは、コーナーポストから大きく飛び上がりカザマの頭上めがけてダイブしてくる。その様子は黒く燃える火山岩に思える。
一方、カザマも手を離すと、光の矢が先端にアクション仮面を象った赤いビームとなり、ガオガエンに向けて発射される!
キィィィン
ドゥゥゥッ!!
ガオガエン「ガオオオッ!!」
ビームガンとZパワーを纏ったガオガエンがぶつかりあい、周囲に白と黒の閃光と衝撃波が走る!
ククイ博士「うおっ! なんてワザのぶつかり合いだ! ギガインパクトも真っ青だぜ!」
455 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:09:17.81 ID:Pr7L8+H70
ジュウウッ!
ジュナイパー『うぐっ!』
足元に展開されている炎のリングの熱がカザマに伝わり、足から全身にかけて焼けるような苦痛が走る。それがビームガンの威力を弱めてしまった!
ガオガエン「ガオオオッ!!」ズズズッ
ジュナイパー「!」
ハウ「もうちょっとだよー! 頑張れーガオガエン!」
しんのすけ「おわっ! カザマくん!!」
光に包まれながらも、ガオガエンの巨体が見えた。様子がうかがえるほどに圧されていることに、カザマは更に焦りを覚えた。
ジュナイパー(だ、ダメだ! このままじゃ負けちゃう――!)
ビームガンを放つ手が震えて、どんどん気力が抜けていく。カザマの脳裏に、初めてしんのすけと会った時の記憶が蘇る。
――だーいじょぶだいじょぶ、オラにまっかせなさい
あの時は、本当に島巡りを達成できるのか不安でしょうがなかった。
だけど、新しい仲間と出会い、試練と大試練を達成して、しんのすけとカザマは大きく成長して、自分たちの足でここまでやってきた。
その結末がこれか。
ジュナイパー(くそっ……! ここまで来たのに!)
しんのすけ「カザマくん! 負けるなーーっ!!」
456 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:10:04.47 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー『!』
しんのすけの応援を皮切りに、次々とボールからマサオたちが飛び出して、カザマに激を送る。
ヨワシ『諦めちゃダメだよ!』
キテルグマ『へたれてんじゃないわよ! ネネたちのエースなんだからもっと気張って!』
ミミッキュ『そのとーり!』
フェローチェ『しん様と一緒にここまで来たのなら、もっとゼンリョク出せるはずですわん!』
ジュナイパー(みんな……)
みんなの激励を聞いた瞬間、カザマは夢から覚めたような感覚になった。同時に、消えかけていた闘志と勝ちたいという意志に再び火が灯った。
ジュナイパー(そうだ、僕らのゼンリョクはこんなものじゃ終わらないはずだ!)
ジュナイパー『おおおおおっ!!』
しんのすけ「アローラ防衛隊、ファイヤーーッ! カザマくん! ファイヤーーーッ!!」
ヨワシ&キテルグマ&ミミッキュ&フェローチェ『ファイヤーーーッ!!』
ジュナイパー『ファイヤーーーーーーーッ!!』ゴウッ!!
再びカザマは赤いオーラを纏い、全身全霊、ゼンリョクをビームガンに込める。すると、ビームガンに勢いが戻り、ガオガエンを押し戻していく!
457 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:12:55.11 ID:Pr7L8+H70
ゴォォォッ!!
ガオガエン「ガッ……ガオオッ!?」
ハウ「ガオガエンッ!」
威力が高まったビームガンに圧され、とうとうガオガエンはクリスタルの天蓋を突き破り、天空高く飛ばされてしまった。ラナキラマウンテンのてっぺんに、空を貫く勢いで赤い光の柱が立ち昇る。
ドォォォォォン……
ビームガンの光が収まると、ガオガエンが落下し、炎のリングのど真ん中に落下した。同時に、炎のリングも散るように消えてしまった。
ガオガエン「……」
ハウ「……!」
ガオガエン「ガ……ォォッ……」グググッ
ジュナイパー『……ガオガエン』
まだだ……まだ勝負はついちゃいない、ガオガエンはビームガンでボロボロになった身体に鞭を打ち、緑色の瞳でカザマを睨みつける。
ガオガエン「……!」
フラッ
ドサッ
458 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:13:44.46 ID:Pr7L8+H70
ミミッキュ『……勝った』
キテルグマ『あたしたち、やったのね!』
ジュナイパー『うん! 僕たち勝ったんだ!』
ヨワシ『やったやったー! 勝った勝ったー!!』
フェローチェ『しん様! カザマくん、お見事ですわ!』
しんのすけ「よくやったー! カザマくんはポケモンの中のポケモンだゾ!!」
「せーのっ!」
しんのすけたち『「わーっしょい! わーっしょい!」』
しんのすけたちはカザマを囲むと、一斉にカザマに胴上げをした。カザマは照れながらも笑い返した。
ジュナイパー『ハハッ、みんなのおかげだよ。ありがとう!』
459 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:14:27.44 ID:Pr7L8+H70
ひろし「やったーっ! しんのすけが勝ったんだーっ!!」
ひろし「みさえっ、島巡りチャンピオンだ! 俺たちのしんのすけが、島巡りチャンピオンになったんだ! それも、最年少だぞっ!」ウルウル
みさえ「うんっ、しんちゃん……! よく頑張ったね……!」ポロポロ
ひまわり「たいーっ!」
ハラ「……あっぱれ、と言う他ありませんな」
グズマ「……マジかよ。あのじゃがいも小僧」
460 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:15:46.28 ID:Pr7L8+H70
しんのすけたち『「わーっしょい! わーっしょい!」』
ハウ「ううっ……悔しいーっ!!」
しんのすけ「!」ビクッ
ハウが今までにないほどの大声を上げて、びっくりしたしんのすけたちは胴上げをやめてハウを見た。
ジュナイパー『いでっ!!』ドスン!!
ジュナイパー『急にやめるなよ!』
ハウ「ごめんねー! 勝利を味わせられなくって……みんな、ここまで頑張ってきたのにー!」
ガオガエン「……ガオ」
ハウ「おれ、もっと強くなるー! この悔しさ、絶対に忘れないからー!」
ククイ博士「……ハウ」
461 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:16:55.09 ID:Pr7L8+H70
顔がクシャクシャになるほど、悔しい表情になりながらガオガエンをボールに戻すと、ハウは一度顔を袖で拭って、身体の中の悪いものを取り除くように深呼吸をした。そこには、いつものように明るい笑顔が戻っていた。
ハウ「島巡りチャンピオンおめでとー! スゴイよしんのすけー!」アクシュ
しんのすけ「寝起きのかーちゃんの方がもっとスゴイ顔になるけどね」
ハウ「おれ負けちゃったけどーもっと鍛えて、大大試練また受けるからー。おれが島巡りチャンピオンになったら、また戦ってくれるー?」
しんのすけ「ヒマがあったらね」
ククイ博士「……しんのすけ!」
しんのすけ「お?」
ククイ博士「すばらしい! 以前、僕は言った……。その時、ベストの技を選べるポケモンとトレーナーのコンビが繰りだす技が最強だと。まさにその通りだった!」
ククイ博士「誰もが認める、島巡りチャンピオンの誕生だ! ホクラニ岳のてっぺんで言っただろ? アローラ地方のポケモンもトレーナーもみんな、最高だからね!」
しんのすけ「そうだっけ?」キョトン
ククイ博士「だけどまだまだ、僕は満足できていない! こんなに素晴らしい勝負だったのに、ただネットで生放送するだけなんてもったいない!」
ククイ博士「もっともっと、たくさんの人たちにアローラを知ってもらいたい! 世界に 知ってほしい! だから僕は今ここで世界中に宣言する!」
ククイ博士「最高のトレーナーと最高のポケモンが最強の技を繰り出せる場――アローラポケモンリーグをここに設立するよ!」
462 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:17:35.75 ID:Pr7L8+H70
ハウ「ホントに作っちゃうんだねー!」
ククイ博士「ああ! キミとしんのすけの戦いを見て、なおさら夢を叶えたくなった! 今の僕の心は、ブラストバーンなんて目じゃないほど燃え盛っている!」メラメラ
しんのすけ「おお、暑苦しい……」
ククイ博士「さあしんのすけ、ハウ。とんぼがえりでメレメレ島に戻ろうぜ! リリィタウンでお祭りだよ! みんな、大大試練をこなしたしんのすけと、ゼンリョクで戦い抜いたハウを祝福してくれるさ!」
しんのすけ「おお、お祭り。今度はちゃんとした屋台置いてあるといいですな」
ハウ「わーい! みんなに大大試練のこと、いっぱい話したいー!」
ロトム図鑑「おい、私を置いてくな!」
ククイ博士「ああ、ごめんごめん! それじゃあ改めて、みんなで戻ろうか!」
463 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:18:46.36 ID:Pr7L8+H70
メレメレ島 リリィタウン
大大試練を終えたしんのすけたちはラナキラマウンテンを下り、ウラウラ島からメレメレ島に戻り、リリィタウンに向かうと、ひろしたち野原一家、ハラ、グズマ、そして街の人々が島巡りを終えたしんのすけたちを歓待していた。
しんのすけ「ほっほーい! とーちゃんかーちゃーん!」フリフリ
ハウ「じーちゃーん!」フリフリ
ハラ「おお! 2人とも帰ってきましたぞ!」ニッ
みさえ「しんちゃん、島巡り達成おめでとう! よく頑張ったね!」
ひろし「さすが俺の子だ! 大大試練見てて年甲斐もなく泣いちまったよ」
ひまわり「たいたーい!」
しんのすけ「あー疲れた。でもこれで、オラもゆーめー人になっておねいさんにモテモテですな! ワッハッハッハッ」
ハラ「しんのすけ、見事に島巡り達成ですな。太陽と月のように照らし照らされる関係……きみの島巡りにおいてそのような出会いがあり、成長なされたようですな!」
しんのすけ「ここはまだそんなに大きくないけどね」
ひろし「だからそこの話じゃねぇって」
ハラ「ハウ、大大試練……いかがでしたかな?」
ハウ「悔しいけどーしんのすけが島巡りチャンピオンになれたのが嬉しいのー。それにーしんのすけとゼンリョクで戦って、とても楽しかったー! 引っ越してきたのがしんのすけで、おれ、ホントによかったよー!」
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 21:19:03.27 ID:+vLt6Px40
正義は勝つ! ワーッハッハッハッハ!
465 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:20:30.90 ID:Pr7L8+H70
ひろし「ああ、ハウくん。君もよく頑張ったよ。しんのすけのポケモンとぶつかりあったお前の姿、かっこよかったよ。いろんな意味で、この戦いはお前の成長につながっていくと思うぜ」
ハラ「うむ、この敗北はハウが強くなるための大きな一歩となりましょうぞ。このハラ、ハウが島巡りを経て成長したことに、感動を覚えますな。オニのハラにも涙、ですぞ」
ハラ「ハウ、あなたは私の誇りですぞ」
ハウ「えへへー、じーちゃん、おじさんーありがとー」
ハラ「互いを尊敬し、力を高め合う。それを大大試練を経て、2人は知ったわけですな。グズマ、大大試練を通して君に感じるものがあったのではないですかな?」
グズマ「ハッ、どうでもいいぜ」
しんのすけ「くさやのおじさんも島巡りすれば?」
グズマ「今更しねえよ、バカバカしい」
しんのすけ「んもぅ、恥ずかしがっちゃダーメっ」
ハウ「ねー」
グズマ「あぁ、うっとおしい奴らだ! 帰るぜ!」スタスタ
しんのすけ「あーあー、行っちゃった」
ハラ「そっとしておいてやってくだされ。ああ見えて、彼なりにしんのすけのことを祝ってやっているのですな」
ハラ「では! アローラ最年少島巡りチャンピオン! その誕生を祝って、みなでとことんまで楽しみますぞ!」
「おおーーうっ!!」
466 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:21:29.98 ID:Pr7L8+H70
リリィタウンで開かれた、ささやかながら盛大なお祭りが開かれた。
穏やかに照らされる月の下、リリィタウンの人々はしんのすけたちを囲いながら祭りは続いていく。
リーリエ「しんちゃん!」
しんのすけ「おーリーリエちゃん。クジラくん」
リーリエ「島巡りチャンピオン、おめでとうございます! エーテルパラダイスからですが、ちゃんとバッチリ見ていましたよ!」
グラジオ「フッ……ハウも、たいしたものだ」
ハウ「えへへー」
ハラ「本当なら、アローラ中のキャプテン、そしてしまキングたちも祝いのため、来てもらうはずでしたが……」
みさえ「いいえ、こうしてリリィタウンの人たちに祝ってもらえるだけでも充分です」
しんのすけ「なら、ハラのおじさんのハラ太鼓見せてよ」
ハラ「ハラ太鼓ですかな? はっはっはっ、そんなことをすれば、このハラ、攻撃力が上がるより先に体力が切れてしまいますな!」
467 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:22:46.95 ID:Pr7L8+H70
イリマ「はい! キャプテンのイリマです!」
イリマ「しんのすけくんもハウくんも、大大試練お疲れ様です! 初めて会った時と比べると、めざましい成長を遂げましたね!」
ハウ「へへーイリマさん、ありがとー!」
ハラ「だが、びっくりしましたな。しんのすけがビーストをゲットしていたのは知っましたが、ハウも捕まえていたのはあの映像で初めて知りましたぞ」
イリマ「ビーストは確か普通のボールでは捕獲できませんよね? どうやって捕獲なさったのですか?」
ハウ「エーテル財団からビーストを捕まえられるボールごと借りたのー」
イリマ「なるほど……エーテル財団はポケモンを保護していますから、ビーストに関しても保護活動の一環で専用のボールを作ったのでしょうか? 仕事が早いですね」
イリマ「ビーストをしんのすけくんとハウくんが勝負で出したこと、他の島でも持ち切りになってるんですよ」
ハウ「うんー。どうやって捕まえたのー? とかー、襲ってきたりしないー? とか言われるー」
イリマ「ビーストを捕まえることについては賛否両論ありますからね。新しい共存の形と言う意見もあれば、アローラを襲った敵をポケモンとして扱うなんてとんでもないことだ、という意見もありますから」
468 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:23:31.78 ID:Pr7L8+H70
しんのすけ「ビーストがオラたちと一緒に旅したいって言うんならいいんじゃない?」
ハラ「向こうがゲットされてそれを望んでいるのなら、こちらも喜んで受け入れますが……」
イリマ「確かにビーストには凶暴なところはありますが、こうしてゲットされてトレーナーと供に戦えるということは、人とポケモン、そしてビーストが共存出来る道もきっとありますよ。いつか僕も、ビーストをゲットしてみたいですね」
ハラ「人とポケモンとビースト……異なる3つが合わされば、アローラにどんな未来がやってくるのか、このハラ、ハラハラしてきますなあ」
469 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:24:42.89 ID:Pr7L8+H70
しんのすけ「さてーいっちょ、オラがお祭りを盛り上げますかー!」
ハラ「お、なにをして盛り上げるのですかな?」
リーリエ「ケツだけ星人はやめてくださいね」
しんのすけ「ちょっとまってね」ゴソゴソ
しんのすけは持っていたリュックから黄色い衣装らしきものを取り出すと、それに着替えた。
モヒカンのようなとさかに黄色い外殻を手に持ったそれは、エーテルパラダイスで見せたカプ・コケコのコスプレだった。
しんのすけ「カキークケコー!」
ハラ「おお! カプ・コケコの仮装ですかな?」
ハウ「あー! おれもピカチュウのコスプレするねー!」
グラジオ「……嫌なものを思い出させるな」
ハウ「グラジオもールガルガンのコスプレしなよー!」
グラジオ「するか!」
リーリエ(にいさまのコスプレ……ちょっと気になりました……)
470 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:25:23.99 ID:Pr7L8+H70
今度はコスプレしたしんのすけとハウが土俵に上がって、めちゃくちゃな踊りを踊り始めた。それでも周りの人は盛り上がり、合いの手や笛、太鼓といった楽器の演奏が始まった。
しんのすけ「カノエイコー! コイケユリコー! カキクケコー!」
ハウ「ピッピカピカピ、ピッピカチュー! ピッカァ!(裏声)」
ハラ「わはは、全然声が似てませんぞ、お二人共!」
ククイ博士(ポケモンのコスプレ……なんか近視感あるんだよなあ)
ギュンッ
バチチチッ!
ハウ「!」
ハラ「!」
ククイ博士たち「!」
合いの手も音楽も止まり、しんのすけ以外の全員が土俵に視線を集中させて驚愕の表情を浮かべていた。ただひとり、しんのすけだけきょとんとした表情でみんなを見る。
しんのすけ「どうしたのみんな? 食あたりでもした?」
リーリエ「……しんちゃん、後ろです」
しんのすけ「お?」クルッ
カプ・コケコ「……」
471 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:26:22.84 ID:Pr7L8+H70
しんのすけの背後、全員が集中させているその場所に、本物のカプ・コケコがしんのすけを見下ろしていた。
そしてカプ・コケコは、不思議な模様で彩られている黄色い殻で、軽くしんのすけを小突いた。
カプ・コケコ「……」
しんのすけ「コケ?」
ハラ「……どうやら、カプ・コケコは、しんのすけ――そしてカザマと戦いたいようですな」
リーリエ「カプ・コケコさんが?」
ハラ「カプ・コケコは大大試練をご覧になっていたようですな。しんのすけとカザマ、ハウとガオガエンの繰り出したゼンリョクのZワザの応酬、それがカプ・コケコの闘争心に火をつけたのでしょうな」
ハラ「しんのすけ、カプ・コケコと戦ってくだされ」
しんのすけ「えー、めんどくさ」
みさえ「しんのすけ!」
ジュナイパー(ボール)『しんのすけ! 戦おうよ! 守り神と戦える機会なんて滅多にないよ!』
カプ・コケコ「カプゥーコッコォー!」
しんのすけ「やれやれ、仕方ありませんな」スッ
472 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:27:30.78 ID:Pr7L8+H70
ハウは急いで土俵から降りると、代わりにハラが上がり、審判を務めるかのように両者の間に入った。
グラジオ「……こんなことになるとはな」
ククイ博士「ああ、カプ・コケコと戦うなんてね!」
ハウ「うんー」
リーリエ「ハプウさんがしまクイーンになられたときを思い出します。少し、ドキドキしてきました! 守り神カプ・コケコさん……」
しんのすけとカプ・コケコが向き合った瞬間、Zリングを通じ、頭の中に声が響く……。
カプ・コケコ『……イクゾ』
しんのすけ「!」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ!
ジュナイパー『カプ・コケコ……ゼンリョクで行きます!』ポンッ!
カプ・コケコ「コッコォォッ!」
バチチッ!
しんのすけ&ジュナイパー「!」
みさえ「な、なにこれっ! 土俵が電気で覆われたわ!」
しんのすけ「なんかピリピリするぅ」
473 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:28:57.80 ID:Pr7L8+H70
ハラ「カプ・コケコは雷を司る守り神。一度、戦闘に出れば周囲が電気に覆われるのですな!」
カプ・コケコ「カプゥーコッコォォーーッ!!」バリバリバリッ!!
カプ・コケコの全身から稲妻が放たれ、場に広がっている電流の力も借りて威力を増しながらカザマに襲いかかる!
バチバチバチッ!
ジュナイパー『うわっ……くっ!』
ひろし「なんて威力だ……ケタが違う」
ククイ博士「しんのすけ、エレキフィールドになっているときは、でんきタイプの技が1.5倍になるんだ! 気を付けろよ!」
ジュナイパー『こっちも反撃だ!』ドシュドシュッ!!
負けじとカザマもかげぬいで2つの矢羽根を飛ばした! しかし、カプ・コケコは2本の影の矢を素早く躱すと、今度は全身に電気をまとい始めた!
カプ・コケコ「コッコォォーッ!!」ギュンッ!
ジュナイパー『スパークか! くっ……!』スッ
ガキィンッ!
すかさずカザマは翼を逆立ててカプ・コケコのスパークを受け止める。全身に電撃が走り抜くが、決してカザマはカプ・コケコから目を離さず堪える!
ジュナイパー『ぐぅぅっ……! はあっ!』ブンッ!
カプ・コケコ「カプゥッ?!」ザンッ!
474 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:29:42.71 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー『やぁ! とぉっ! てぇっ! たぁっ!』ブンブンブンブンッ!
反撃とばかりに今度はカザマがリーフブレードでカプ・コケコを追い詰める。しかし……。
カプ・コケコ「カプゥーーッ! コッコォォォッ!」パァッ!
カプ・コケコから放たれた不思議な波動が、カザマに殺到する!
グワァァァン!!
ジュナイパー『ぐぁぁぁぁっ!!』ドサッ
しんのすけ「カザマくん、だいじょぶ?」
ジュナイパー『あ、ああ……だけど、なんて威力の技だ……!』
ハウ「今の技、なにー?」
ククイ博士「あれは恐らく……カプ神のみが使うとされる、しぜんのいかりという技だろう」
イリマ「僕の見立てでは、恐らくジュナイパーの体力は半分を切っているでしょう。メレメレ島の守り神……改めて能力の高さに驚かされます」
カザマが体勢を立て直すと、再びカプ・コケコの声がしんのすけとカザマの頭に響く。
カプ・コケコ『アノZワザデコイ……!』
ジュナイパー『しんのすけ! アクションビームガンだ!』
しんのすけ「ブ・ラジャーッ!」
475 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:32:18.37 ID:Pr7L8+H70
バッ! バッ!
A! B! B! A! A! B! →! →! ←!
ハウ「あのZワザだー!」
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ア ク シ ョ ン ビ ー ム ガ ン !
カザマは片翼を上げると、赤と青と白色の光が集まってきた。そして空いたもう片方の翼を弓状に折り曲げた。光が虹色の矢の形になると、カザマは光の矢を翼につがえて引き絞った。
カザマは手を離すと、光の矢が先端にアクション仮面を象った赤いビームとなり、カプ・コケコに向けて発射される!
ドドドドド!!!!
カプ・コケコ「……!!」バシンッ!
476 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:33:03.31 ID:Pr7L8+H70
カプ・コケコはビームガンを避けようとせず、外殻を閉じた。ビームガンが直撃し、あたりに閃光と暴風が巻き起こる!
ドッゴォォォォォッ!
ハラ「むおっ! なんという威力ですかな!」
グラジオ(これがリーリエの言っていた、新しいZクリスタルの力か……!)
リリィタウン全てが吹き飛びそうな衝撃波が収まり、しんのすけとカザマの前方には砂煙が舞い上がっていた。
シュウウウ
カプ・コケコ「……」
その砂煙の中から、外殻で身を守ったカプ・コケコの姿が現れた。煤汚れた外殻が2つに割れて、中の顔が露わになると、カプ・コケコは平然としてしんのすけとカザマを見据えていた。
ハウ「うそでしょー! 無傷!?」
ジュナイパー『僕らのゼンリョクが防がれるなんて……!』
しんのすけ「すげー」
カプ・コケコ「カプゥーコッコォー!!」
唖然とする一同を他所にカプ・コケコは雷のような囀りをあげると、赤いオーラをまとい始めた!
しんのすけ「あれってZワザ!?」
ハラ「……まさか!」
477 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:37:09.36 ID:Pr7L8+H70
ピカッ! ゴウッ!!
カプ・コケコは Zパワーを 身体に まとった!
カプ・コケコが 解き放つ
全力の Zワザ!
ガ ー デ ィ ア ン ・ デ ・ ア ロ ー ラ !
カプ・コケコ「……!!」バシンッ!
ズズンッ!
ひろし「な、なんだ?」
リーリエ「地震ですか……?!」
ビキビキビキッ!!
ハウ「地面からなにかが出てくるー!」
土俵を突き破り、地面がひび割れて中から黄色い光の巨人が現れた。巨人はしんのすけとカザマが見上げるどころか、リリィタウンに建っている家より巨大で、頭部がない。
カプ・コケコ「……!」ガシンッ
478 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:38:44.54 ID:Pr7L8+H70
殻を閉じたカプ・コケコは首に当たる場所にくっつくと、ちょうど巨人の頭部になった。
そして巨人と一体化したカプ・コケコは、大木を束しにしても足りない太さの腕を振り上げた。
ブゥンッ!
ジュナイパー『うわああああっ!!』
ドシンッッ!!!
カザマは潰されて大きな振動が周囲に広がり、完全に土俵は原型を失った。中には体勢を崩して、転んでしまった人もいる。
巨人が消えると、ノックアウトになったカザマが現れ、カプ・コケコは地面に降り立った。
ジュナイパー「」ピクピク
ひろし「な、なんだったんだ? 今の」
みさえ「しんのすけ! カザマくん! 大丈夫?」
しんのすけ「オラは平気。カザマくんは?」
ジュナイパー『見ればわかるだろっ!』
ククイ博士「ハラさん、今のは……!」
ハラ「うむ」
しんのすけ「ハラのおじさん、今のZワザ?」
ハラ「あれはガーディアン・デ・アローラ。島の守り神のみが扱える、究極のZワザですな。このハラも、若い時に一度、お目にかかったことがあります」
479 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:39:26.19 ID:Pr7L8+H70
ククイ博士「僕も、名前と伝承で聞いたことがあるぐらいで、実際に見るのは初めてだよ!」
ハウ「すごいー! アローラにはまだまだ知らないZワザがたくさんあるんだねー!」
ハラ「カプ・コケコはしんのすけを一流のトレーナーとして認めたようですぞ。これからも驕らず、精進せよ、と言うことですな」
しんのすけ「ほうほう、闘魂注入みたいなものですな!」
リーリエ「カプ・コケコさんは、島巡りを終えたしんちゃんのことを祝っているのですね!」
カプ・コケコ『……シンノスケトカザマノZワザ、ヨカッタ』
ジュナイパー『あ、ありがとうございます。カプ・コケコ……』
しんのすけ「どういたまして。カプ・コケコくんもすごいZワザ持ってるねえ」
カプ・コケコ『マタ、タタカエルトキガ、タノシミ』
リーリエ「あの……カプ・コケコさん」
480 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:40:40.08 ID:Pr7L8+H70
リーリエは一歩カプ・コケコに近づいて、ルナアーラの入っているウルトラボールを見せた。
リーリエ「あなたのおかげで、コスモッグはルナアーラなれました。代わってお礼を申します。本当に、ありがとうございます!」
カプ・コケコ「……」
カプ・コケコ『ホシノコノセワ、カンシャスル。アラタメテ、タノンダゾ』
ハラ「カプ・コケコもリーリエに感謝しているようですな。これからも、ルナアーラを大事にしてくだされ」
リーリエ「はい!」
ククイ博士「でも、しんのすけも水臭いぜ! 新しいZワザがあるなら、僕に教えてくれても良かったのに」
ハウ「そうだよー、あんなZワザ、初めて見たー」
しんのすけ「こってり忘れてた」
リーリエ「うっかり、です。そういうわたしも人のこと、言えませんけど……」
ククイ博士「そのZクリスタル、見せてくれよ。君たちの放ったアクションビームガンという技について、もっと知りたいんだ!」
しんのすけ「洗って返してね」
481 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:41:21.93 ID:Pr7L8+H70
しんのすけのZワザに興味津々なククイ博士とハウ、そしてそのやり取りを笑顔で見つめるリーリエたちを、ひろしとグラジオは眺めていた。……しかし、満足そうなひろしに大して、グラジオの表情には、どこか翳りがあった。
グラジオ「……ひろし、すまないな。あんなことになってしまって」
ひろし「いや、グラジオ君が気にするようなことじゃないさ。それより、今はしんのすけを祝ってやらないとな。そんな辛気臭い顔するなって」
グラジオ(あの3人に……また辛い思いをさせることになるとはな)
482 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:41:58.83 ID:Pr7L8+H70
ふと、しんのすけは隅っこを見やると、ぶりぶりざえもんがうつむいているのが見えた。しんのすけは祭りを楽しむ人々のもとから離れると、ぶりぶりざえもんのそばに近寄った。
ロトム図鑑「あーあ、結局図鑑は大して埋められなかったか。ビーストのデータも先にマーレインが作っちゃったみたいだし」
しんのすけ「……」
しんのすけ「ぶりぶりざえもん」
ロトム図鑑「あ?」
しんのすけ「ほい、これあげるよ」つ でかいきんのたま
ロトム図鑑「え?」
しんのすけ「だってぶりぶりざえもん、オラと一緒に島巡りしてくれたし、妖怪メノクラゲオババに捕まってた時も、夢でオラをお助けしてくれたし」
しんのすけ「……それに、またそのうち助けてもらうから」
ロトム図鑑「フン、そこまで言うならもらってやる」
ロトム図鑑(……ありがとよ)
――ぶりぶりざえもんはねー、オラの友達で、救いのヒーローポケモンなんだよ
ロトム図鑑(救いのヒーロー、か。人助けも、悪くないもんだな)
ククイ博士「しんのすけ!」
しんのすけ「お?」
483 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:42:53.96 ID:Pr7L8+H70
ククイ博士「ご覧よ、みんなが喜んでいるぜ! なんといっても、島巡りを終えたからね!」
ハウ「おれー、もっともっとーイリマさんたちと修行して、本気のじーちゃんに勝ってー!またしんのすけに挑むねー!!」
しんのすけ「がんばってねー」
リーリエ「しんちゃんも頑張るんです! しんちゃんもカザマさんたちも、もっともっと、強くなれるんですから!」
ククイ博士「しんのすけ! キミのパートナーも、みんなにみせてほしい! 島巡りの冒険で、ともに たくさんの発見と体験をしたパートナーを!」
リーリエ「はい、今のしんちゃん、とっても輝いています!」
しんのすけ「おっしゃー! みんな、レッツラゴー!」ヒョイッ
484 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:43:32.75 ID:Pr7L8+H70
ポンッ!ポンッ! ポンッ! ポンッ!
ジュナイパー『カプ・コケコに認められたけど、まだまだ僕らは強くなれるんだ! しんのすけもみんなも島巡りチャンピオンになっただけじゃ物足りないだろ?』
ヨワシ『うん! もっと強くなって、色んなところを冒険したい!』
キテルグマ『ネネも、島巡りチャンピオンになるだけで満足してないわよ! もっともっと、グローバルに活躍しなきゃ!』
ミミッキュ『ボー!』
フェローチェ『あい、しん様と出会えてとても幸せですわ! こっちの世界に来てよかった!』
ハラ「では、もっともっと祭りを盛り上げましょうぞ!」
しんのすけ「ほっほーい!!」
こうして、島巡りを終えたしんのすけを祝う小さな祭りは、遅くまで続いた。いつまでもいつまでも、みんなと一緒にこの穏やかな幸せが続くと、ひろしとグラジオを除いて誰もがそう思っただろう。
だが、別れの時は、刻一刻としんのすけ達へ近づいていったのだった……。
485 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:45:18.86 ID:Pr7L8+H70
それからしばらく経ったある日。
エーテルパラダイスのシークレットラボにて、リーリエとグラジオはビッケ、ザオボーとこれからのことを話し合っていた。主にルザミーネの容態と、アローラに残っているビーストの保護についてである。
リーリエ「かあさまの容態は?」
ビッケ「やはり野原さんのように血清のみでの治療法では……。効き目は出ておりますが、もう一息、といったところですね」
リーリエ「そうですか……」
グラジオ「……リーリエ、オマエの耳に入れておきたい話がある。母上の治療についてだ」
リーリエ「え――どんな話ですか?」
グラジオ「カントーにいる、マサキという男を知っているか?」
リーリエ「……マサキさん?」
ザオボー「ソネザキ・マサキ。カントーのポケモン預かりシステムの管理者ですね」
リーリエ「預かりシステムの管理者がどうなさったのですか?」
グラジオ「知らないのか? 10年ほど前、ポケモンを転送する実験の失敗でそのポケモンと合体してしまった話を……」
リーリエ「あっ、思い出しました! 本で読んだことがあります! その後、レッドさんに手伝ってもらって、ポケモンから無事に分離できたとか……」
グラジオ「その融合と分離の技術を、かあさまの神経毒を取り除くのに応用できないか、と思ったんだ」
ビッケ「その手があったとは……盲点でしたね」
リーリエ「なら、わたし……カントーに行ってきます! マサキさんから話しを聞いて、かあさまを助けられる方法を見つけてきます!」
486 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:48:45.94 ID:Pr7L8+H70
グラジオ「慌てるな。どちらにせよ、捕獲されたウルトラビーストの預かりシステムの管理について話しもしなくちゃいけないからな。アローラに来てもらうようオレからアプローチをかけておく」
ビッケ「捕獲されたビーストは、預かりシステムに認識されませんからね。ウルトラボールは、ビーストを捕まえるために1からボールの構造を変えていますので……」
リーリエ「そうなんですか?」
ザオボー「ええ、ええ、セキュリティの都合上、ビーストはパソコンに預けた方が安全面でも効率的ですからね。放置していい問題じゃないですよ。ビースト独自の預かりシステムを作ってもらう必要がありますねえ」
グラジオ「それに、マサキは生粋のポケモンマニアと聞くからな。おそらくウルトラビーストに興味を示してくれるだろうよ」
リーリエ「みなさん……。なにからなにまで、ありがとうございます」
グラジオ「それに……今は時間が必要だ」
リーリエ「え?」
グラジオ「家族が元通りになるための時間が、な」
リーリエ「……そうですね。家族の絆の強さを、ウルトラスペースで見せつけられました。ひろしさんとみさえさんがいなければ、かあさまとしんちゃんは助けられなかったです。わたしたちも、ああいうふうになれるでしょうか?」
グラジオ「なれるさ。時間はかかるだろうが、その分じっくりと繋がりを深めていけばいい」
グラジオ「まだ……あと1人残っているしな」
ビッケ「モーン博士……ですね」
リーリエ「とうさま……」
487 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:50:19.61 ID:Pr7L8+H70
グラジオ「ところでザオボー、ウルトラボールの量産化の件についてはどうだ?」
ザオボー「ええ、はっきり申し上げますと、ウルトラボールの量産化は技術面でも資金面でも困難と言わざるを得ませんね……なにせ、今回の事件で信用を失い、多くのスポンサーや企業とのパイプが切れましたか」
ビッケ「ですが、ポケモンの保護活動と被災者への支援を見て、新たに提携を結んだ企業もいます。その方々と協力していけば、ウルトラボールの量産も夢ではありません」
グラジオ「頼む。オレたちが蒔いた種はオレたちの手でどうにかしなきゃいけないからな」
ビッケ「はい」
グラジオ「リーリエ、お前に例の話がある。ザオボーとビッケは、仕事に戻ってくれ」
ザオボー「ええ、了解しました」
ビッケ「かしこまりました」
ザオボーとビッケがシークレットラボを出て行くと、グラジオは改めて周りに誰かいないか確認を取る。
そしてドアを締め切ると、
グラジオ「リーリエ、そろそろリラとハンサムに返事をする準備は出来ているか?」
リーリエ「はい。わたし、ほしぐもちゃんと協力してビーストさんを元の世界に返してあげたいです」
リーリエ「アローラには、数え切れないほどの思い出と、恩があります。ですので、わたしなりに恩返しがしたいです。それに、ほしぐもちゃんと一緒にビーストさんと戦うことで、トレーナーとしての経験を積みたいのです」
グラジオ「フッ……そうか」
グラジオ「だが、さっきマサキの話をした時、カントーに行くとかどうとか言ってなかったか?」
リーリエ「あ、あれはその、言葉の綾というか、たまらず言ってしまって……」アタフタ
488 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:52:57.44 ID:Pr7L8+H70
グラジオ「……すぐ思い込んだり見切り発車で行動する……オマエの悪いクセだ」
リーリエ「ヌ、ヌルさんを連れていったにいさまに言われたくないですっ」
グラジオ「……そうだな」
リーリエ「それじゃあわたし、博士に、この事をお話ししてこようと思います。しんちゃんとハウさんにも、ビーストさんの事、色々教えてもらいたいですし」
グラジオ「……リーリエ、一つ聞きたい」
リーリエ「え? どうかしたのですか?」
グラジオ「……ひろしとみさえから、何か話を聞いていないか?」
リーリエ「野原さんから? いいえ、何も」
グラジオ「……そうか、なら良いんだ」
リーリエ「????」
ただでさえ、暗そうなグラジオの表情がさらに暗くなっていることに引っかかりながらも、リーリエはラボを出て行って船着場へと向かった。
これからしんのすけたちに、自分がみんなのように一歩踏み出せるのを報告しに行くことに、胸を躍らせていた。
489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 21:53:43.41 ID:35kEOko2O
もしや逆パターンか…
490 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:53:58.59 ID:Pr7L8+H70
メレメレ島 ハウオリシティ
連絡船の乗船場からポートエリアに出たリーリエは、ふと懐かしさを覚えて周りを見渡した。
建物はちらほら崩れているものが未だにあり、カイリキーやゴーリキー、ハリテヤマが瓦礫を撤去したり、材木を運んでいる。
警察署やポケモンセンターなど、既に建て直された建造物や施設も見受けられ、ハウオリシティに以前の街並みが戻りつつある。
リーリエ(そういえば……島巡りを始めてばかりの時、ここでスカル団の方々から、しんちゃんに助けてもらったんですよね)
――ハァーやれやれ、しょーがないなぁ
リーリエ(あの時は守られっぱなしでしたけど、今度はわたしとほしぐもちゃんが、しんちゃんを守ります。それでしんちゃんを連れて、旅に出るのです!)ムフー
ハウ「あれーリーリエ? そんなところでどうしたのー?」
リーリエ「あ、ハウさん。アローラ」
ハウ「アローラ。今日はどうしたのー?」
リーリエ「今日は博士に用事があって……。それに、ハウさんとしんちゃんにも、ビーストさんについてお聞きしたいことがあってこちらに来ました」
ハウ「いいよー。おれもーしんのすけと博士に、イリマさんから貰ったマラサダ分けようかなって思ってたんだー。リーリエもおひとつどうー?」
リーリエ「ありがとうございます。後で頂きますね! では、しんちゃんと博士を探しましょう」
ハウ「じゃあ最初におじさんたちのいる所に行こー!」
リーリエ「はい!」
491 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:54:26.61 ID:Pr7L8+H70
リーリエとハウは、ハウオリシティと2番道路の境目にある仮設住宅へ足を運び、しんのすけたちのいる家へと向かった。
ハウ「しんのすけーいるー?」ピンポーン
リーリエ「……返事が無いですね。留守でしょうか?」
ハウ「珍しいねー。いつも誰かいるはずなんだけどなー」
リーリエ「仕方ありませんね。では、ククイ博士のところへ向かいましょうか」
ハウ「だねー」
492 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:55:17.53 ID:Pr7L8+H70
リリィタウン
リーリエとハウは、テッカグヤによって破壊された研究所の代わりに建てられた簡易研究所へと向かった。
その道中、広場でハラと何か話しあっているククイ博士と、しんのすけたち野原一家がいた。
みさえ「色々、ありがとうございました」ペコリ
ハラ「こちらこそ。アローラを救っていただき、メレメレを代表してお礼を申し上げます」
ハウ「あー! 2人ともいたいたー!」
しんのすけ「よ、ハウくん、リーリエちゃん」
ククイ博士「おや? ハウにリーリエじゃないか。来てくれて、ちょうどよかったぜ」
ハウ「こっちもーリーリエが博士としんのすけに用事があるんだってー」
リーリエ「ちょうどよかった、とはどういうことですか?」
ククイ博士「ああ、そうだな……しんのすけ、君から話すかい?」
しんのすけ「どっちでもいいよー」
ククイ博士「あ、あのな……大事な話だろ?」
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/20(火) 21:55:43.81 ID:Pr7L8+H70
ハウ「大事な話ー? しんのすけ、どうしたのー?」
しんのすけ「んーっとね……」
しんのすけ「オラたち、カスカベに帰ることになりました!」
リーリエ「!?」
ハウ「へーそうなんだー……」
ハウ「って、え゛え゛え゛え゛え゛え゛ーーーーーっ!?」
【大大試練編 おしまい】
494 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 21:56:49.82 ID:Pr7L8+H70
今日はここまで。
次回の更新は明日の夜。いよいよ最後の更新となります!
じゃ、そゆことで〜
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 21:58:42.11 ID:+vLt6Px40
乙
まさか、でかいきんのたまのくだりで、目頭が熱くなる日が来るとはな・・
496 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 22:01:02.53 ID:Pr7L8+H70
【おまけ】
このSSを執筆する前に書いた「アローラ防衛隊」のコンプセントアートですが……。
塗り絵にでもどうぞ。
あ、ちなみに私が描いたイラストは好きに加工、転載してくれて構わないです。もちろん自己責任ですが……。
497 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 22:03:55.13 ID:Pr7L8+H70
【おまけ その2】
【おまけ その2】
しんのすけ「ほーら、月刊メレメレを飾っているイリマくんの生写真ですよ〜」
ひまわり「うひゃ〜! きゃきゃきゃ♪」
グラジオ「……ずいぶん変わった妹だな」
ひまわり「!!」
ひまわり「きゃ〜っ! とっとていたいや〜!」
しんのすけ「ほうほう、ひまはクジラくんにも興味おありのようですな。抱っこしてみる?」
グラジオ「いや、オレは……」
しんのすけ「いいからいいから、ほい」
グラジオ「お、おい……!」
ひまわり「きゃーっ! いひひひ!」デレデレ
グラジオ「確かに……しんのすけの妹だな」
498 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 22:04:40.54 ID:Pr7L8+H70
グラジオ(……しんのすけの妹、か)
――にーさま! にーさま! えへへ!
――ただ……にいさまがヌルさんとエーテルパラダイスを出た後、かあさま、大変だったのですよ!ビッケさんがいてくれなかったら……
グラジオ「……」
グラジオ「……しんのすけ」
しんのすけ「お?」
グラジオ「あまり妹を心配させるようなこと、するなよ。兄なら、妹のそばにいて守ってやれ」
しんのすけ「いきなりどしたの?」
しんのすけ「ま、クジラくんに言われるまでもないゾ。オラはひまの素敵なお兄様ですから」
グラジオ「フッ……お前なら、心配いらないか」
ひまわり「うひゃひゃ〜♪」
499 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/20(火) 22:05:09.22 ID:Pr7L8+H70
【おまけ その3】
ある国際警察の日記
「4月18日 ここはカスカベ地方の……。爆破されたサイ……ロ組織バネ……め基地に残さ……スーパー……ーから、電子生……の……滓を……ベージ」
「…月…日 デー……の存在……る……を……現実世界に……す計画を……案。人工の……ディを……作するが……同……できず……敗。電化製……と同化できる……トムに注目」
「…月6日 ついに計画が……れた。……トムの……と……の……を同化。大……博士の指揮のもと……れた実験は大成……。明確な意志……知能を……生まれ変わった。ただし、元々のデー……の損傷が……ためか、電子……の記憶は……い」
「…月23日 ……ムとして生まれ変わった……は……ロ……の能力に加え……元来持って……た……コンピュー……と人体への……グ能力を有している……。上層部は……をBR……2というコード……ムを与え、サイバー……ハッ……部隊に配置。今後の……躍に期待」
「9月1日 あのポケモンは駄目だ……セコくて強欲過ぎて私の手には負えない!」
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 22:08:07.01 ID:gLJ91zLN0
乙
カスカベに帰るのは毒の影響かな?ポケモンはリーリエに預けるんだろうか
まさかマッシブーンで来るとは、ケケンカニは犠牲となったのだ・・・
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 22:24:54.21 ID:V0l+GFESO
乙です。
毎回イラストのクオリティが高いww
次の更新も楽しみにしています。
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 22:38:58.49 ID:j4ZHhXYio
あ、バネブーのひづめか
503 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:47:37.09 ID:dm7r2v8b0
更新前に修正
>>480
リーリエ「あなたのおかげで、コスモッグはルナアーラになれました。代わってお礼を申します。本当に、ありがとうございます!」
>>487
ザオボー「ええ、はっきり申し上げますと、ウルトラボールの量産化は技術面でも資金面でも困難と言わざるを得ませんね……なにせ、今回の事件で信用を失い、多くのスポンサーや企業とのパイプが切れましたから」
504 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:50:44.03 ID:dm7r2v8b0
【エピローグ】
ハウ「か、帰るって引っ越すってことー? なんでー?!!」
しんのすけ「主にとーちゃんの甲斐性のせい」
ひろし「うるせーよ! 間違っちゃいないけどさ……」
リーリエ「ひょっとして、お仕事の都合……なんですか?」
ひろし「ああ……カスカベ地方にいた頃に勤めてた会社から、カスカベ地方に戻るように言われたんだ」
リーリエ「転勤……」
――……なにせ、今回の事件で信用を失い、多くのスポンサーや企業とのパイプが切れましたから
リーリエ(……その中に、ひろしさんの会社も、入っていたのですね)
505 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:52:07.32 ID:dm7r2v8b0
しんのすけ「インドぞうさんがかゆくなることじゃないゾ」
ひろし「それはいんきんだろ!」
げ ん
こ つ
しんのすけ「」
ひろし「」
みさえ「2人とも女の子の前でそんなこと言うなっつーの!」
リーリエ「……いつ、アローラを発つんですか?」
みさえ「今月いっぱい、ね」
ハウ「今月いっぱいって……もう1週間もないよー! まだしんのすけがアローラに来て3ヶ月くらいしか経っていないのに……こんなのってないよー!」ウルッ
ひろし「……ごめんな、2人とも。せっかくしんのすけと一緒に島巡りして友達になってくれたのに」
ハラ「ハウ……時には、どうしようもないこともあるのです。野原さんたちの気持ち、わかってくだされ」
ハウ「う……うう……」ポタポタ
506 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:53:04.16 ID:dm7r2v8b0
ククイ博士「だからさ、短い間だけどしんのすけたちと一緒に楽しい思い出、作ってあげようぜ! な、ハウ、リーリエ」
リーリエ「……そう、ですね」
リーリエ「しんちゃん、よかったですね。また向こうのお友達に会えるんですよ? カスカベ地方に戻るの、楽しみじゃないですか?」
しんのすけ「まあね、そろそろカスカベ防衛隊もどうなってるか、隊長として抜き打ちテストしなくちゃ」
リーリエ「ふふ……さ、ハウさん。わたしたちがしんちゃんに出来ること、考えましょう。このまま泣いてたって、何も始まりませんよ?」
ハウ「……うん」グスン
しんのすけ「ま、オラのためにたくさんの思い出、作って欲しいですな!」
ひろし「偉そうに言うなっつーの!」
ククイ博士「そうだ! 送別会をやろうよ! この間のお祭りの時は他の島のしまキングやキャプテンたちは来れなかったれども、もう一度誘って、エーテルパラダイスでしたようにみんなで集まって、野原さんたちを見送ろうよ!」
507 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:53:38.60 ID:dm7r2v8b0
リーリエ「まぁ! いい提案です! ね、ハウさん。またあの時のようにみなさんを集めて、楽しく盛り上がって、しんちゃんたちを見送りましょう!」
ハウ「うー……」
ハラ「ほうほう、では私とハウの家で開くのがちょうど良いでしょうな。野原さん、送別会に是非出てくれませんかな?」
みさえ「ええ、喜んで!」
しんのすけ「わーい! パーティーだー!」
ククイ博士「それじゃ早速、他のしまキングたちに呼びかけてみるよ!」
リーリエ「わたしも、アセロラさんやハプウさんに声を掛けてみますね!」
ハウ「おれもなんかできないか、考えてみるねー」
ひろし「ああ、楽しみにしてるぜ!」
リーリエ「……」
しんのすけ「……」
508 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:55:32.60 ID:dm7r2v8b0
その夜、エーテルパラダイスにて。
ハプウ『ほへえ……そうかしんのすけの奴、カスカベ地方に帰るのか。残念じゃのう、アローラで鍛え続けていれば、いずれはしまキングに負けない実力者になれたじゃろうに』
リーリエ「それで……ハプウさんは送別会に来ていただけますか?」
ハプウ『もちろんじゃ! しんのすけが島巡りを終えた後の祭りには参加できんかったが、送別会にはバンバドロと供に必ず出るぞ!』
リーリエ「ありがとうございます! しんちゃんも、きっと喜ぶと思います!」
ハプウ『しんのすけも、わしの友達じゃからな。これからアローラを去る友に、きちんと別れを告げねばのう』
ハプウ『ではな、しんのすけによろしく伝えておいてくれ』
リーリエ「はい! では失礼しますね」
ハプウからの連絡を切ると、リーリエはひと息ついて、夜風に当たるために屋敷の外に出た。
リーリエ(アセロラさんも来てくれるみたいですし……きっと、送別会も楽しくなりますよね)
リーリエ(……しんちゃん)
しんのすけの口から、カスカベ地方に帰ることになったと聞いた瞬間、リーリエの心にぽっかりと穴が開いた。
必死に表に出したい感情を抑えて仮面を被り、本心を隠して、泣きじゃくるハウを励ました。
だけど、本当に泣きたいのは自分なのに。リーリエも子供のように泣きじゃくって、今の気持ちを吐き出してしまいたかった。
リーリエはルナアーラの入ったウルトラボールを取り出すと、それを投げた。
リーリエ「ほしぐもちゃん、出ておいで」ヒョイッ
ルナアーラ「マヒナペーア」ポンッ!
509 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:57:34.61 ID:dm7r2v8b0
リーリエ「……ほしぐもちゃん、しんちゃんがカスカベにお引越しするみたいです。ボールの中で、聞いてましたか?」
ルナアーラ「……マヒナペ」シュン
リーリエ「寂しく……なっちゃいますね。ほしぐもちゃんも、しんちゃんのケツだけ星人、好きでしたものね」
ルナアーラ「マヒナペーア」
リーリエ「思えばずっと、わたしもほしぐもちゃんも、しんちゃんといましたもんね。旅してる時も、困った時もそばにいて助けてくれて……これからっていう時にいなくなって……ずるいですよね」
ルナアーラ「マヒナペ!」
リーリエ「ほしぐもちゃんもずるいって思いますよね! ほしぐもちゃんも、しんちゃんともっと旅したかったですよね」
リーリエ「わたしも、一人前のトレーナーになって、しんちゃんがどんな風に成長していくのか、見守っていきたかったな……」
リーリエ「いなくなるって……本当に寂しいものなんですね」
ため息を漏らしてしんみりしていると、背後で足音が聞こえた。振り返ると、グラジオがバツの悪そうな顔で立っていた。
リーリエ「……にいさま」
510 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:58:39.04 ID:dm7r2v8b0
グラジオ「その様子だと……しんのすけがカスカベ地方に行くのを聞いたようだな」
リーリエ「はい。しんちゃんの口から直接……にいさまは、知っていたのですか?」
グラジオ「ああ……大大試練が始まるより前にな。ひろしも知っていた」
グラジオ「……もっと早く言うべきだったかもな。オレが大大試練の邪魔にならないために黙ってたばかりに、オマエらに余計辛い思い、させてしまったな」
リーリエ「にいさまの所為じゃありません! ……これは、仕方のないことです」
リーリエ「それに、寂しくないと言えば嘘になりますが……やっぱり、きちんと笑顔で見送りたいです」
グラジオ「……そうだよな。オマエにとってしんのすけは、自分を変えてくれた人だからな。最後は笑顔で見送ってやれ」
リーリエ「それに、まだしんちゃんには、わたしがこれからやるべきことを話してませんし、思い出も作りたいです」
グラジオ「……ああ」
511 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 18:59:44.97 ID:dm7r2v8b0
一方、メレメレ島の仮設住宅でしんのすけたちは、引っ越すための荷造りと片付けをしていた。
ひろし「この食器、どこの箱に入れたらいいんだ?」
みさえ「ああ、そっちの箱にしまって」
ひろし「おう、じゃあこれも片付けておくか」
みさえ「ビーストに家具を燃やされちゃったから、なんだかあっと言う間に片付きそうね」
ひろし「そうだな……なんとか使えそうな家具を瓦礫から引っ張ってきたけど、これだけでもめっけもんだな」
しんのすけ「かーちゃんのダイエット食品とか無駄なものも燃えちゃったから、ちょうどよかったわねー」
ひろし「ああ、全くだ」
みさえ「なんですって?」
ヨワシ『ねえねえ、カスカベ地方ってどんなところなんだろう?』
キテルグマ『そういえば、あんまりしんちゃんからカスカベ地方の話って聞いてないわよね』
512 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:00:36.79 ID:dm7r2v8b0
ジュナイパー『四天王がいるみたいだから、ポケモンリーグがあるくらいには規模の大きい地方ってのは分かるけどね』
ヨワシ『でも、やっぱり今まで住んでたアローラを離れちゃうのは寂しいね』
キテルグマ『そうねぇ、せっかくアローラで有名になれたっていうのに』
ジュナイパー『ぶりぶりざえもん、カスカベ地方についてなにか知ってるか?』
ロトム図鑑「カスカベ地方だと? カントーの近くにあるが、アローラと比べればパッとしない、ありきたりな地方だ。海もないからポケモンの種類もそこまで多くないし、特に面白みもないぞ」
ジュナイパー『本当かよ。おい、しんのすけ。カスカベ地方ってどんなところなんだ?』
しんのすけ「んっとねー……カスカベ地方にはチョコビとアクション仮面がいてーカスカベ防衛隊がいてー……なんか他にあったっけ?」
ジュナイパー『お、おいおい……。自分の住んでた地方だろ』
ミミッキュ『カザマくん、自分にとって慣れ親しんでるものほど、説明しにくいものだよ』
ジュナイパー『うーん……そういうものなのかなぁ』
フェローチェ『わたくし、しん様が住まう場所なら、例え水の中火の中森の中、どこでも構いませんわん』
キテルグマ『けっ!』
513 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:01:26.38 ID:dm7r2v8b0
ミミッキュ『僕、カスカベのボーちゃんに会ってみたい! ボーちゃんの名前の由来も、カスカベにいるボーちゃんって子から取ったんでしょ?』
しんのすけ「うん。みんなカスカベ防衛隊のメンバーから名前を取ったんだゾ。ボーちゃんなら、石が好きだからきっと話も合うと思うよ?」
ミミッキュ『ボ! 楽しみ』
フェローチェ『あいも一度、名前の由来になった子をお目にかかりたいですわ。ひょっとしたら、恋敵になるかもしれませんし』
キテルグマ『ネネも、リアルおままごとが好きなカスカベのネネに会ってみたい!』
ヨワシ『僕も、いつもいじめられてるけど、キメるときはすごいっていうマサオくんに会いたいなぁ』
ジュナイパー『僕も、風間って子に興味あるよ。僕にそっくりっていうんだから、きっと頭もいいんだろうな』
ヨワシ『そう考えると、なんだかカスカベに行くの、楽しみになってきたね!』
ジュナイパー『うん、カスカベではどんなポケモンが住んでいるんだろう?』
しんのすけ「そんな大したの住んでないって。ヤミカラスとか、たまに道端でポチエナとか歩いてるくらいだもん」
ジュナイパー『夢を壊すようなこと言うなよ……』
こうして、各々は様々な思いを抱えながら短い時間を過ごしていった。
514 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:07:51.47 ID:dm7r2v8b0
そして、しんのすけたちが引っ越す前日の夜……。
ひろし「いよいよ明日でアローラともお別れか……」
みさえ「なんだか、短いようで何年もここにいた気がするわ」
ひろし「ああ、しんのすけの島巡りに、エーテルパラダイス、ウルトラビーストと、たくさんの出来事が一気に起きたからな」
しんのすけ「全く、落ち着きのない一家だ」
ひろし&みさえ「お前が言うなっつーの!」
みさえ「でも、アローラの人たち、優しくて親切で……来て良かったわ。またいつか来れるかしら?」
ひろし「来れるさ。なぁ、しんのすけ」
しんのすけ「そうだねとーちゃん。でも、今度来たときはいい女と島巡りしたいね」
ひろし「アローラガールと島巡りか……俺も島巡りするかな」
みさえ「あなた!」
ピンポーン
しんのすけ「お?」
515 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:09:11.23 ID:dm7r2v8b0
みさえ「しんちゃん、出てあげて」
しんのすけ「ほーい!」
ガチャ
ハウ「アローラー、しんのすけー!」
アセロラ「はーい! 古代のプリンセス、アセロラちゃんでーす」
しんのすけ「ほうほうご両人。こんな夜遅くに新聞の勧誘とはご苦労様」
ハウ「新聞の勧誘じゃないよー」
しんのすけ「じゃあポスティングのアルバイト?」
アセロラ「なんで紙媒体にこだわるんだよ。送別会の準備が出来たから、迎えに来たの!」
516 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:10:05.36 ID:dm7r2v8b0
みさえ「あら、ハウくんにアセロラちゃん」
ハウ「おばさん、アローラー! 送別会のお迎えに来ましたー!」
ひろし「おっ、準備出来たのか!」
アセロラ「うん! 人もこの間よりたくさん来てるよ!」
ハウ「マラサダいっぱい買ってきたよー!」
みさえ「じゃあ、待たせるのも悪いし、私たちも行きましょうか。ハウくん、アセロラちゃん、案内頼めるかしら?」
アセロラ「任せてー!」
ハウ「じーちゃんのうちまで案内するねー」
517 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:13:09.38 ID:dm7r2v8b0
仮説住宅を出て、しんのすけたちはハウとアセロラにリリィタウンへ案内されると、ハラの屋敷の入り口前にスイレンとライチの2人が迎え出てくれた。
ハウ「ライチさんー! 連れてきたよー!」
ライチ「お、今日の主役がついに来たね」
しんのすけ「ライチさ〜んお久しぶりぶり〜会いたかった〜ん」
ライチ「アーカラの大試練以来だね。まずは、島巡りチャンピオンおめでとう!」
しんのすけ「いやあライチさんのためなら島巡りなんて晩飯前ですよー」
ライチ「それを言うなら、朝飯前でしょ?」
スイレン「しんのすけさん、お久しぶりです。私の約束、覚えてますか?」
しんのすけ「スイレンちゃんと? さあ?」
スイレン「まあ! ひどいです! わたくしの婿になって家を継ぐというのは嘘だったんですか?!」
しんのすけ「ええっ?! オラそんな約束したっけ?!」
スイレン「ふふふ……釣られましたね。嘘ですよ」
しんのすけ「……んもー、人騒がせなんだからー」
スイレン(ハプウさんからしんのすけさんのお話を聞いて考えたウソでしたが、簡単に釣れました♪)
518 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:15:12.09 ID:dm7r2v8b0
ライチ「しんのすけのご両親の方だね? 始めまして、あたしはアーカラのしまクィーン、ライチ」
スイレン「同じくアーカラのキャプテン、スイレンでございます」
ひろし「あ、どーも……」テレテレ
みさえ「しんのすけがお世話になりました」
ライチ「しんのすけ、この間は行けなくてごめんね。ライチさんも色々忙しかったからさ」
しんのすけ「オラ、こうしてライチさんが来てくれるだけでほっぺが赤くなっちゃって……」
ライチ「ふふ……いつもあたしを口説いちゃって、嬉しいねえ」ナデナデ
しんのすけ「あは〜」
みさえ「……けっ!」
ひろし「くそ〜羨ましすぎるぜ! なんでお前だけ……」
しんのすけ「足が臭いから」
ひろし「関係ないだろっ!」
アセロラ「それより、そろそろ中に入ろうよ! みんな待ってるよ!」
ひろし「おっと、そうだな」
スイレン「さあさ、こちらへどうぞ」
519 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:18:09.76 ID:dm7r2v8b0
スイレンたちに連れられて、しんのすけたちはハラの屋敷に入ると、きらびやかな飾り付けと用意された豪勢な食事、そして今までしんのすけが島巡りで出会ったキャプテンやしまキング、友人たちが出迎えてくれた。
ひまわり「たいやーっ!」
みさえ「すごい飾り付け! これみんながやったの?」
ハウ「うんー、そうだよー!」
アセロラ「食事も、みんなで作ったんだよー!」
リーリエ「あ、しんちゃん……」
ククイ博士「ん、来たみたいだぜ!」
ハプウ「おお、しんのすけ! 久しぶりじゃなあ」
しんのすけ「ハプウちゃんも変わってませんな」
ハプウ「大大試練、見ておったぞ。あのZワザはもとより、中々晴れ晴れする戦いじゃった!」
ハプウ「しんのすけのご家族も、今夜は存分に楽しんで欲しい。わしらもゼンリョクで、お主らを送ろうぞ」
ひろし「おう、俺たちも楽しませてもらうよ」
ハラ「うむ、みな揃いましたな!」
ハラ「それではこれより、野原さんたちの送別会を行いたいと思います」
ハラ「しんのすけ、送別会を始める前に一言頼めますかな?」
520 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:19:22.20 ID:dm7r2v8b0
しんのすけ「ひとこと?」
ククイ博士「ああ! ギガインパクトがある挨拶、みんなに言ってあげるんだ!」
しんのすけ「ほーほー」
マイクを渡されたしんのすけは、壇上に上がると一同を見渡した。みんなが、しんのすけがどんな挨拶を言うのか期待しながら視線を集める。
そして、しんのすけは口を開くと……。
しんのすけ「よ!」
全員「」ズルッ
リーリエ「しんちゃん……いくらなんでも短すぎです!」
ハラ「で、では皆の衆、今宵は明日旅立つ野原さんに向けた送別会を始めるとしますかな!」
521 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:20:24.95 ID:dm7r2v8b0
ハラの乾杯の合図で、いよいよ送別会が始まった!
各々飲み物を片手にしんのすけと今回の島巡りの思い出話をし、新たにひろしとみさえに挨拶したりと、送別会を楽しんだ。
マオ「さ、みんな食べて食べて! 」
ハプウ「わしの畑で採れた新鮮な野菜もあるぞ」
ひろし「おっ、みずみずしくて潮の香りがするな。この野菜!」
しんのすけ「オラ、お野菜は別にいいかな」
リーリエ「食わず嫌いはよくないですよ、しんちゃん」
しんのすけ「じゃあリーリエちゃん代わりに食べれば」
ライチ「あら? 好き嫌いは良くないわよ? あたしはね、好き嫌いせずによく食べる子が好みなの」
しんのすけ「ハプウちゃんの野菜は何杯でもイケるゾ。コクとのどこしがまったりしてますな」モグモグ
リーリエ「」ズルッ
ひろし「ビールかよっ!」
ハプウ「この変わり身の速さは賞賛に値するな……」
522 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:31:31.55 ID:dm7r2v8b0
マーレイン「やあ、しんのすけくん!」
マーマネ「しんのすけ……アローラ……」
しんのすけ「よ、ご両人」
マーレイン「まずは島巡り達成、おめでとう! 」
マーマネ「……ウラウラのみんな、注目してる。しんのすけ、すごい」
しんのすけ「それほどでも」
マーレイン「残念だね、君がアローラを去るなんて。しんのすけくんの才能なら、ハラさんからキャプテンに指名され――将来、しまキングにだってなれたかもしれないのに」
マーマネ「うん……。僕も勝負したかった」
マーマネ「それで、ロトム図鑑を預かってもいいかな……?」
しんのすけ「いきなりですな。なんで?」
マーレイン「餞別になれるかわからないけど、僕らなりにしんのすけにプレゼントをしたくてね。それで、ロトム図鑑をアップデートすることを思い付いたのさ」
マーマネ「勝負できない代わりに……お礼」
523 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:32:06.87 ID:dm7r2v8b0
しんのすけ「いいよー。ぶりぶりざえもーん!」
ロトム図鑑「んあ?」
マーレイン「やあ、ぶりぶりざえもんくん」
ロトム図鑑「何の用だ?」
マーマネ「キミを……アップデートしようと思って」
ロトム図鑑「私をアップデートだと? 私のレベルを−85なんて結果を出したポンコツ装置を作ったお前たちにアップデートなんて出来ると思えないな」
マーレイン(まだ引きずってたんだね)
ククイ博士「まあそう言うなよ、ぶりぶりざえもん! マーレインもマーマネも、優れた発明コンビだからね」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんも、しばらく修行して来なさい」つロトム図鑑
マーレイン「やあありがとう。バージョンアップを終えたら、必ず郵送するよ」
ロトム図鑑「おいっ! 私の意見は無視か!」
マーマネ「ロトム図鑑……早くアナライズしたい」
ロトム図鑑「貴様ら! もし私になにかあれば国際警察が黙ってないぞ!!」
しんのすけ「おたっしゃでー」ドナドナドーナードーナーニバシャガユーレールー
524 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:41:24.80 ID:dm7r2v8b0
ライチ「みさえさん……だっけ? どうやったら結婚できると思う?」
みさえ「結婚ですか?」キョトン
ライチ「こう言うと恥ずかしいけど、まだ彼氏が出来てなくてねえ……」
バーネット「だ、大丈夫ですよ。きっと、ライチさんにも素敵な男性が現れますって!」
みさえ「そーよ! 男なんて星の数ほどいるんだから、いっそ選り好みしちゃいなさいよ」
ライチ「そ、そうかい? なんか自信ついてきたよ」
しんのすけ「……星に手は届かないけどね」ボソッ
ライチ「」orz
みさえ「余計なこと言うなっつーの!!」
しんのすけ「ま、安心なさい。オラが貰ってあげますからー」
ライチ「ほ ん と に ? ! 今すぐ貰ってくれるの? ライチさんがしんのすけくんをお持ち帰りしてもいいんだねっ?!!」
しんのすけ「ひいっ!?」ビクッ
525 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:41:56.27 ID:dm7r2v8b0
マオ「だからライチさん、犯罪ですって!」
ライチ「罪を重ねるより彼氏作って愛と思い出を重ねるのが最優先なのおおお!! マオにはまだ分からないでしょうけどねえええ!!!」ゴゴゴゴゴ
マオ「ひええっ!」
カキ&スイレン「いつものライチさんじゃない……」
しんのすけ「ライチおねいさん、松坂先生みたい……」
プルメリ「結婚ね……今んところあたいには縁がなさそうだね」
バーネット「本当に怖いのは、女の執念ってところかしら……?」
526 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/21(水) 19:42:44.38 ID:dm7r2v8b0
クチナシ「……よう」
しんのすけ「お、幸薄そうなおじさん」
アセロラ「あー! クチナシおじさん来てたのー?」
プルメリ「おっさん……来てるなら来てると言えばいいのに」
クチナシ「おじさん、しまキングだからねえ。島巡りを終えたトレーナーに、一声かけなきゃな」
クチナシ「ま、坊主。島巡りチャンピオン、おめでとさん。向こうでも元気でやれよってね」ニヤリ
しんのすけ「おじさんも、なにかいい出会いとかあるといいねー」
クチナシ「……じゃあな」スタスタ
アセロラ「あーあ行っちゃった……。もっと楽しんでいけばいいのに」
しんのすけ「やっぱり地味ィ」
プルメリ「ま、なんだかんだで、しんのすけを見送ろうって気持ち、ちゃんとあるんだね。じゃなきゃ、ウラウラからこっちまで来ないさ」
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