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京子「ごらく部が密室に閉じ込められた」
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50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:39:48.66 ID:MPSgMpwr0
結衣「だから、ちょっと行って来るね」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:40:47.94 ID:MPSgMpwr0
それから、丸一日が経過した
今は、3日目の朝だ
私は1人で、結衣の帰りを待っている
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:42:20.33 ID:MPSgMpwr0
コツッコツッ
京子「……ゆい?」
「京子ちゃん」
京子「あかり?」
「うん……」
「ごめんね、京子ちゃん、乱暴に扉叩いたりして」
「怒っちゃったよね」
京子「ううん、怒ってないよ、あかり」
「あのね、あかりね」
京子「うん」
「結衣ちゃんとお話して、判ったんだ」
京子「なにを?」
「あかりの能力はね、どうしてか判んないけど、発動しなくなっちゃったんだけど」
「それでもちなつちゃんを助ける方法は有るって」
京子「ほんと?」
「うん」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:43:13.19 ID:MPSgMpwr0
「京子ちゃん、ちなつちゃんに助かったほしいよね?」
京子「うん、たすかってほしい」
京子「もういちど会って、いっぱいあやまりたい」
「うん、あかりも」
「もう一度、ちなつちゃんと会いたいなあ……」
京子「どうすればいいの?」
京子「どうすれば、ちなつちゃんにもういちどあえるの?」
「簡単だよぉ、この扉を開けてくれればいいの」
京子「それだけでいいの?」
「うん」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:43:58.98 ID:MPSgMpwr0
京子「そっか、かんたんだね、あかり」
「うん、だから早く扉を開けて?」
京子「うん、いまあけるね」
ガチャガチャ
「きょうこちゃん、はやくはやく」
京子「まっててね、いま、ばりけーどどかすから」
「はやくはやく」
京子「まっててね」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:44:34.37 ID:MPSgMpwr0
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:46:03.49 ID:MPSgMpwr0
京子「あいたよ、あかり」
「ありがとう、きょうこちゃん」
「あのね」
京子「うん」
「死んでね」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:46:31.82 ID:MPSgMpwr0
歳納京子の能力が発動した
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:47:39.91 ID:MPSgMpwr0
「京子」
京子「なに、ゆい」
「京子、起きて」
京子「うん、おきてるよ、ゆい」
「京子?」
京子「ごめんね、ゆい、ちなつちゃん、たすけられなくて……ごめん……」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:48:06.20 ID:MPSgMpwr0
結衣「お前、寝ぼけてるのか」
京子「……」
ちなつ「あの……結衣先輩」
結衣「ん?」
あかり「こ、ここ、どこなのかなぁ?」
結衣「……私も、今さっき目を覚ましたばっかりだから判らないんだ」
あかり「あかりたち、確か部室でお話してたよね?」
結衣「うん……それで、突然眠くなってきちゃった所までは覚えてるけど……」
ちなつ「わたしもです!突然意識がふら〜っとして……」
あかり「あ、あかりも!」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 23:48:43.65 ID:MPSgMpwr0
結衣「けど、ここ、部室じゃないよね……」
ちなつ「はい、見た事無い部屋です」
あかり「学校の中……じゃないのかな」
結衣「うーん……校内でこんな部屋は見た事ないけど……京子はどう思う?」
京子「……」
結衣「京子?」
京子「……ちなつちゃんだ」
ちなつ「え?」
京子「ちな……ちなつちゃんっ」グスッ
ちなつ「え、ちょ、京子先輩!?」
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 02:27:57.14 ID:1Jj6iH+GO
なつかしい
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 12:15:44.21 ID:gFEfHrbNo
続きが気になる
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:17:41.83 ID:j0EF5UWY0
京子「ごめんっ、うたがってごめん、ちなつちゃんごめんなさいっ!」グスッ
結衣「きょ、京子?どうしたんだよ」
京子「ゆ、ゆいも、ごめんね、ごめんっ……」ヒック
ちなつ「も、もうっ、確かに不安なのはわかりますけど、泣かなくても……」
京子「ごめんね、ごめんね……」
あかり「京子ちゃん、大丈夫?」
京子「……!」ビクッ
あかり「京子……ちゃん?」
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:18:25.71 ID:j0EF5UWY0
京子(そうだ……そうだ、思い出した)
京子(あかりだ、あかりが犯人だったんだ)
京子(ちなつちゃんを自殺に見せかけて殺したのも、私を殺したのも)
京子(きっと、話し合いに来てくれた結衣のことだって……!)キッ
あかり「……!」ビクッ
結衣「……京子、なにあかりを苛めてるの」コツッ
京子「いたっ」
ちなつ「そうですよ、不安だからってあかりちゃんを睨んでも何も解決しませんよ?」
京子「う、ううー……」
京子(駄目だ、あかりは普段イイコちゃんだから、二人に本当のこと言っても信じてもらえない……)
京子(どうしよう……)
京子(そ、そうだ、結衣にあかりの能力を無力化してもらって……!)
京子(……いや、だめだめ、あかりの能力は「蘇生」なんだから、そんなの封じても……)
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:19:32.58 ID:j0EF5UWY0
京子(あかりは多分、私達を殺すのに能力を使ってない……)
京子(けど……)
京子(けどそれなら、この密室内で私達を殺す理由が無いよね……)
京子(私達の事を殺すほど憎いなら、普段の部活でも十分可能だったはずだし……)
京子(という事は……あかりが私達を殺そうと決意したのがこの密室内だったって事なのかな……)
京子(私達、そんな酷い事あかりにしたのかな……)
京子(あの優しいあかりがあんなになっちゃうくらいひどい事を……)
ちなつ「京子先輩?」
京子「……!」ビクッ
結衣「どうしたのさ、京子」
京子「……べ、別に何でも無いけど……あれ、みんなどこに行くの?」
結衣「だから、さっき言ったろ?出口を探すんだよ」
京子「あ……そっか」
京子(この時系列ではまだ調べてないんだっけ)
京子「……」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:20:09.15 ID:j0EF5UWY0
結衣「それじゃあ、みんなで一緒に部屋を1つずつ調べて……」
京子「結衣」
結衣「ん?」
京子「時間ももったいないし、ここは分担して調べようよ」
結衣「分担?」
あかり「部屋が4つあるから、あかりたち1人で1つずつ部屋を調べるの?」
京子「……」
ちなつ「けどこんな得体のしれない場所で単独行動するのは……」
京子「うん、だから2人1組になってさ」
結衣「けど皆で一緒に行動した方が……」
京子「大丈夫だって!ね!」
結衣「わ、判ったから迫ってくるなっ」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:21:28.96 ID:j0EF5UWY0
結衣「はぁ……さっきまで怯えてたと思ったら、もうこんな元気になって」
ちなつ「しょうがないですね、京子先輩はっ」
京子「え、えへへ」
ちなつ「えーと、2人1組という事は……私は結衣先輩と……!」
京子「はい、ちなつちゃんは私と一緒にこっちの部屋から調べようねっ!」グイッ
ちなつ「ちょ、京子先輩!?」
京子「いいからいかからっ!」グイグイッ
ちなつ「や、ちょ、私は結衣先輩とっ!」
ちなつ「ゆ、ゆいせんぱぁぁいっ!」
バタンッ
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:22:06.26 ID:j0EF5UWY0
〜個室〜
ちなつ「も、もう!京子先輩強引すぎます!」
京子「えへへ、ごめんね、ちなつちゃん」
ちなつ「はぁ……折角結衣先輩と二人きりになるチャンスだったのに……」ガクッ
京子「……」
ちなつ「……ふー」
京子「……えっと」
ちなつ「……それで、何かあったんですか、京子先輩」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:23:02.89 ID:j0EF5UWY0
京子「え?」
ちなつ「何か、私に相談したい事があったから2人っきりになったんですよね?」
京子「……」
ちなつ「……」
京子「……どうして」
ちなつ「?」
京子「……どうして、それが判ったの?」
ちなつ「……そんなの、さっきの様子を見てれば判りますよ」
京子「……私、そんなに様子おかしかった?」
ちなつ「はい……あんな京子先輩ははじめてでしたし、何かよっぽどの事があったのかなって」
京子「……そ、そっか」
ちなつ「結衣先輩や、あかりちゃんもきっと気づいてましたよ」
京子「……」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:23:49.27 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「……ほんとなら、幼馴染の結衣先輩やあかりちゃんが相談に乗るべきなのかなって思ってたんですけど」
京子「……」
ちなつ「私が呼ばれたって事は、私じゃないとだめなんですよね?」
京子「……うん」
ちなつ「京子先輩?」
京子「う、うん……」グスッ
ちなつ「ちょ、また……だ、大丈夫ですか?」
京子「うん……うん……ごめん、ごめんね……」グスッ
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:24:18.94 ID:j0EF5UWY0
ごめんね、ちなつちゃん
あの時のちなつちゃんにはもう届かないけど
疑って
ごめんなさい
ごめんなさい
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:24:48.21 ID:j0EF5UWY0
京子「……」
ちなつ「……」
京子「……あのね」
ちなつ「……はい」
京子「……私、あかりと喧嘩しちゃって」
ちなつ「……」
京子「……」
ちなつ「……それで、さっき態度がおかしかったんですね」
京子「……うん」
ちなつ「はぁ……」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:25:22.20 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「それで、私にあかりちゃんと仲直りする手助けをして欲しいって事ですか?」
京子「……ちょっとだけ違うんだ」
ちなつ「え?」
京子「……あのね、あかりはね」
ちなつ「はい」
京子「私を……殺したいほど憎んでると思う」
ちなつ「は?」
京子「だ、だからね」
ちなつ「……」
京子「だから、ちなつちゃんの能力で……」
ちなつ「いや、待ってください京子先輩」
京子「え?」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:25:56.46 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「それは、ないです」
京子「なにが?」
ちなつ「いや、だからあかりちゃんが京子先輩を殺したいほど憎むなんて、有り得ないですから」
京子「……けど、けどほんとなんだよ」
ちなつ「いやいやいや……無いですよ」
京子「あ、あるよ」
ちなつ「ないです」
京子「あるって」
ちなつ「ないない、あのあかりちゃんに限って」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:26:32.36 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「確かにあかりちゃんだって人間ですから、怒ったり悲しんだりすることは有ると思います」
ちなつ「けど、憎むなんて事は出来ない子なんですよ、あかりちゃんは」
京子「け、けど……けど実際あかりは……」
ちなつ「……京子先輩は」
京子「え?」
ちなつ「今まで、あかりちゃんと喧嘩した事とか、無いんじゃないですか」
京子「……無い、けど」
ちなつ「うん、だからきっと、普段と違うあかりちゃんに怯えて、憎まれてるって思いこんじゃったんだ」
京子「……」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:28:33.49 ID:j0EF5UWY0
京子(私が、あかりに憎まれてない?)
京子(そんな訳……)
「ありがとう、きょうこちゃん」
「あのね」
「死んでね」
京子「……」ゾクッ
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:29:02.02 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「だから、あかりちゃんちゃんと仲直りしたいなら手伝いますから」
京子「……」
ちなつ「ね?」
京子「……だ、だめ、怖い」
ちなつ「もー……京子先輩、それじゃあどうしたらいいんです?」
京子「……」
ちなつ「元々は二人の問題ですし、私にできる事って他には……」
京子「……ちなつちゃんの能力で」
ちなつ「え?」
京子「……あかりが、私を憎めないように出来ないかな」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:29:29.79 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「……」
京子「……」
ちなつ「は?能力?」
京子「あ……」
ちなつ「京子先輩?能力って……」
京子「そっか、まだスピーカーから能力の説明される前だった……」
ちなつ「?」
京子「え、えっとね、実は……」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:31:02.98 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「……私が、他人の記憶を改ざんする特殊能力を」
京子「うん、私が死んだら1日目に戻る能力で」
京子「結衣が他人の能力を無効化にする能力、あかりが……死んだ人を蘇らせる能力」
ちなつ「……」
京子「……」
ちなつ「……普段なら、何言ってるんですかって突っ込む所ですが……」
京子「うん」
ちなつ「……確かに、そういう能力を発動出来そうな感触が感じられます」
京子「……あの時の放送では『既に与えられている』って言ってたからね」
京子「きっと、私達がこの密室に入った直後から使えるようにしてあるんだと思う」
ちなつ「はぁー……」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:32:12.25 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「単に出口を探せば解決する問題だと思ってたのに……」
ちなつ「何か凄い展開になっちゃってますねえ」
京子「う、うん、そだね……」
ちなつ「……」
京子「……」
ちなつ「京子先輩」
京子「なに」
ちなつ「……私達が知らないはずの『能力』の事をご存じ立って言う事は、もしかして」
京子「……うん」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:32:45.61 ID:j0EF5UWY0
京子「私は、あかりに殺された」
京子「それで、1日目に戻ってきたの」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:33:11.01 ID:j0EF5UWY0
ちなつ「……」
京子「……」
ちなつ「……」
京子「……」
ちなつ「しんじ……られません」
京子「……」
ちなつ「だって、あのあかりちゃんですよ?」
京子「……」
ちなつ「それが、京子先輩を殺すなんて……」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/07(金) 22:33:39.60 ID:j0EF5UWY0
京子「……そっか」
ちなつ「……すみません」
京子「ううん、ちなつちゃんは多分、信じないだろうなと思ってた」
ちなつ「……」
京子「だから、なるべく本当の事を隠して協力してもらおうと思ってたんだけどね、あはは……」
ちなつ「……」
京子「……は、はは……」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/08(土) 01:10:31.71 ID:CzAwT0uOo
みてる
面白い
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:23:04.30 ID:wAYX5tm50
ちなつ「……違うんです、京子先輩、これには根拠があるんです」
京子「こん、きょ?」
ちなつ「あかりちゃんが、人を殺すほど憎しみを抱かないであろう、根拠です」
ちなつ「勿論、これは私の解釈でしか無いんですが……」
京子「……」
ちなつ「京子先輩、夏休みの事を覚えてますか?」
ちなつ「あかりちゃん、暫く風邪で外に出ませんでしたよね」
京子「う、うん」
ちなつ「実は、あれは、風邪じゃなかったんです」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:23:35.98 ID:wAYX5tm50
「あれは、夏休みに入ったばかりの頃でした」
「あかりちゃんが、私の家に遊びに来たんです」
「その時、私は物置の掃除をしていて、あかりちゃんにも手伝って貰ったんですが」
「偶然、昔のアルバムを見つけたんです」
「私が子供の頃の、アルバム」
「懐かしくて、昔の話をあかりちゃんに聞かせてあげてたんですけど」
「……その時、つい、ある話をしてしまったんです」
「それは、私の祖母の話でした」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:24:36.54 ID:wAYX5tm50
「祖母は、お茶の先生で、厳しい人で」
「小さい頃の私は、祖母が苦手でした」
「お姉ちゃんは祖母を尊敬してたみたいですけど」
「私にとっては、怖い人だったんです」
「普段は離れて暮らしていたんですけどね」
「お盆の時期や、お正月には皆で祖母の家へお泊りに行ったりしてたんです」
「私がずっとそれが嫌で、祖母の家へ泊まりに行った日は、なるべく外で遊ぶようにしてました」
「その日も、私は近くの公園に遊びに行こうとしたんですが」
「祖母に呼びとめられました」
「私は、また何か厳しい事を言われるのかと思いました」
「お茶の練習の時の失敗の事だろうか、廊下を走った事だろうか、昨日靴をちゃんと揃えなかった事だろうか」
「そんな嫌な想像ばかり出てきて、祖母の言葉を無視して外に出ようとしたんです」
「祖母は、再び私の事を呼びとめました」
「反射的に私は」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:25:04.06 ID:wAYX5tm50
「お婆ちゃんうるさい!だいきらい!」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:25:47.53 ID:wAYX5tm50
「そう言って駆け出しました」
「まあ、よくある話ですよ」
「当時の私はちょっと生意気だったなと、今の私は理解してます」
「あんな事、言わなきゃよかったのになぁ」
「……公園から帰った私は、そのまま祖母の事を無視しました」
「祖母の家に泊ってる間中、ずっと無視しました」
「祖母は、普段より少し寂しそうな顔をしていたと思います」
「そうして、お泊りは終わって、私は両親と一緒に家に帰りました」
「その3日後です、祖母が倒れたと知らせが来たのは」
「私が両親と一緒に病院へ行った時、祖母はもう何も喋れなくなっていました」
「そのまま、言葉を交わす事もなく、死んでしまったんです」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:26:18.07 ID:wAYX5tm50
京子「……」
ちなつ「京子先輩、死ぬってどういう事か、判りますか」
京子「え?」
ちなつ「子供の頃の私は、理解してたつもりでした」
ちなつ「人間は死ぬ」
ちなつ「死ぬと動かなくなってお墓に埋められる」
ちなつ「ポクポクポク、チーン」
ちなつ「そう、軽い感じで理解してました」
ちなつ「漫画やアニメとかでも、死は有り触れた題材でしたから」
ちなつ「理解してた、つもりだったんです」
ちなつ「京子先輩も、多分そうですよね」
京子「……う、うん」
ちなつ「けど、少し違うんです」
ちなつ「いえ、違う訳ではありませんけど、足りません」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:27:05.37 ID:wAYX5tm50
ちなつ「人が死ぬと、終わるんです」
ちなつ「その人と接する事が出来る可能性が、全て終わるんです」
ちなつ「例えば、例えばです、凄く憎い人が居て」
ちなつ「殺したいと思ったとしましょう」
ちなつ「そうして、殺してしまうと、そこで全ての可能性が終わってしまうのです」
ちなつ「もしかしたら、将来、その相手を踏みにじって今までの事を謝罪させる事が出来るかもしれません」
ちなつ「もしかしたら、将来、その相手と意気投合して今までの事を水に流せるかもしれません」
ちなつ「もしかしたら、将来、自分の過ちに気付いて相手に謝罪する事が出来るかもしれません」
ちなつ「良い可能性だけではないかもしれません、けど、悪い可能性ばかりではないんです」
ちなつ「けど」
ちなつ「けどね、京子先輩、死ねば全て、全てが終わるんです」
ちなつ「だから、私は、もう、祖母に謝る事が出来ない」
ちなつ「あんな事を言ってごめんねって、伝える事が出来ないんです」
ちなつ「もう、絶対にです、それは絶対に覆らない」
ちなつ「何をしても、覆らないんです」
ちなつ「何をしても、です」
ちなつ「それが、終わるって事なんです」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:27:46.60 ID:wAYX5tm50
ちなつ「まあ、そんな話をあかりちゃんにしたんですけど」
ちなつ「あかりちゃん、凄く落ち込んじゃいました」
ちなつ「多分、あかりちゃんも私と同じで、死ぬ事について深く考えた事はなかったんだと思います」
ちなつ「ウンウン悩んで涙目になってるあかりちゃんを、そのまま家まで送ったんですけど」
ちなつ「結局、何日も家に籠って、悩んじゃってたみたいです」
ちなつ「まあ、周りには風邪を引いたっと言って誤魔化してたみたいですけど」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:28:13.57 ID:wAYX5tm50
ちなつ「あかりちゃんが『死』についてどう折り合いをつけたかは、判りません」
ちなつ「或いは、折り合いなんて付けてないのかもしれません」
ちなつ「けど、けど、あかりちゃんがもし」
ちなつ「人を殺せるほどの憎しみを受け入れるような子なんだとしたら」
ちなつ「あの時、あんなに悩まないと思うんです」
ちなつ「だって、あの時あかりちゃんは」
ちなつ「私がどうすれば祖母に謝れるか、それをずっと考えていてくれたんですから」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:29:17.03 ID:wAYX5tm50
京子「……」
ちなつ「ああ、今さらですけど、これだとあかりちゃんが犯人じゃない根拠にはならないですね」
ちなつ「単に、私があかりちゃんを疑いたくない理由ってだけの話かもしれません」
京子「……」
ちなつ「けど、けどこれだけは確かです」
ちなつ「もしあかりちゃんが人を、人を1人殺したとしたら」
ちなつ「あかりちゃんは、その事に耐えられません」
ちなつ「きっと、やり直しが効かない事に対して、深く深く、物凄く深く悩んでしまうと思います」
ちなつ「風邪を引いたと偽ってまで、自分の部屋に閉じこもってしまったあの時以上に」
ちなつ「それだけは、信じていいと思います」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:29:45.90 ID:wAYX5tm50
京子「……」
京子「……」
京子「……」
京子(それは)
京子(確かにそうだと思う)
京子(あかりがもし、憎しみのままに誰かを殺してしまったとする)
京子(けど、多分、2人目を殺す事は出来ない)
京子(少なくとも、すぐには無理だと思う)
京子(けど、けど)
京子(あの時、あかりは……)
「京子ちゃん」
「死んでね」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:30:13.19 ID:wAYX5tm50
京子「……判らない、判らないよ」
ちなつ「京子先輩……」
京子「あの時、あかりは確かに私を殺した」
京子「だって、そう言ったんだから」
京子「だから、だから、あかりが犯人のはずなのに、はずなのに……」ウルッ
ちなつ「……」
京子「それを信じたくない私が、確かに居るんだ……」グスン
京子「もう、もう何を信じたらいいのか……判らないよ……」ヒック
ちなつ「……もう、しょうがないですね」ハァ
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:30:40.22 ID:wAYX5tm50
京子「ちなつちゃん?」グスン
ちなつ「判りました、判りましたよ、私の力を使えばいいんでしょう」
京子「け、けど……」
ちなつ「別に、自分の意見を変えるつもりはありませんよ」
ちなつ「けど、けどこのままじゃ」
京子「……?」
ちなつ「京子先輩、泣きやみそうにありませんから……仕方なくです」
京子「ちなつちゃん……」グスッ
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:31:07.17 ID:wAYX5tm50
ちなつ「あ、勿論、憎しみを消すとかそんな感じは、無しです」
ちなつ「そんな、あかりちゃんの中に憎しみがある事前提なのは、嫌です」
ちなつ「けど、そうですね……」
ちなつ「一度だけ、嘘をつかずに返事するように、記憶を改変する……とか」
ちなつ「落とし所としては、そんな感じで良いんじゃないでしょうか」
ちなつ「それなら、京子先輩も疑念を晴らせますよね?」
京子「ちなつちゃぁぁぁぁんっ!」ギュゥ
ちなつ「ふわっ、こ、こら!抱きつかないでくださいっ!」
京子「ありがとう、ちなつちゃん、ありがとう……」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:31:38.35 ID:wAYX5tm50
ちなつ「京子先輩、あかりちゃん呼んで来ましたよ」
あかり「京子ちゃん、あかりに何かお話があるの?」
京子「……結衣は?」
あかり「結衣ちゃんは、別の部屋を調べてるけど……京子ちゃん、泣いてたの?」
あかり「大丈夫?」
京子「……うん」
ちなつ「じゃ、あまり気は進みませんが、能力を使いますね」
あかり「え?」
京子「お願い、ちなつちゃん」
ちなつ「はいはい……」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:32:09.88 ID:wAYX5tm50
ちなつ「……」
京子「……」
あかり「京子ちゃん?ちなつちゃん?」
京子「能力……発動したのかな?」
ちなつ「はい、そのはずです」
京子「そ、そっか……」
あかり「もう、2人とも、あかりを仲間はずれにしないでよぉ〜!」プンプン
京子「ご、ごめんね、あかり……えっと」
あかり「ん?」
京子(私の質問に対して、一度だけ嘘をつけないんだよね)
京子(だとしたら、なんて質問すればいいのかな)
京子(私を殺したかどうか……とか)
京子(いや、駄目駄目、あかりはまだ私を殺した記憶を持ってないんだから……)
京子(ああ、もう、だったら……!)
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:32:36.67 ID:wAYX5tm50
京子「あかり、嘘をつかずに答えてね」
あかり「う、うん、京子ちゃんにはいっぱいお世話になったから、嘘なんてつかないよ?」
京子「ふー……」
あかり「……」
京子「あかりは、私の事を、好き?」
あかり「……」
ちなつ「……」
京子「……」
あかり「それは……」
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:33:06.43 ID:wAYX5tm50
あかり「勿論、大好きだよぉ」ニコッ
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:33:38.52 ID:wAYX5tm50
京子「……ほ、ほんとに?」
あかり「うん、ほんとだよぉ」
ちなつ「ね、京子先輩、言った通りでしょ」
京子「う、うん」
あかり「えへへ、京子ちゃんも、あかりのこと好き?」
京子「うん!勿論だいすき!」
あかり「そっかぁ、良かったよぉ〜♪」
京子「そう、そうだね、良かった、本当に良かった……」
京子「う、うう、ふえええええ……」
あかり「え、きょ、京子ちゃん?」
京子「良かったよぉおぉおぉお……」グスン
あかり「あわわわ、あかり、何か変なこと言っちゃったかな、ごめんね」
京子「うわああああああああん」ヒック
あかり「ごめんね、京子ちゃんごめんね……」オロオロ
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:34:10.39 ID:wAYX5tm50
「ごめんね、あかり」
「ごめんね、ちなつちゃん」
「疑って、ごめんね」
「そうだよ、きっと犯人はごらく部には居ないんだ」
「ここに閉じ込めたスピーカーの声の主が、きっと犯人なんだ」
「もう止めよう」
「皆を疑うのは、もう止めよう」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:34:39.89 ID:wAYX5tm50
〜2日目〜
何も起きなかった。
あかりは、ずっと私の傍に居てくれた。
結衣やちなつちゃんも、私を気遣ってくれた。
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:35:07.88 ID:wAYX5tm50
〜3日目〜
私は、ベットで目を覚ました。
そうだ、昨日は夜遅くまであかりとお話をしていたのだ。
子供の頃の出来事とか、色々。
誰かが、私の手を握ってくれている。
あかりだ。
きっと、私、あかりの手を握ったまま寝てしまったのだろう。
優しいあかりは、手を解く事が出来ず、そのまま眠ってしまったのだろう。
普段は夜の9時に寝てしまうような子なのに。
私に付き合って、頑張って起きていてくれた。
ありがとう、あかり。
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:35:44.16 ID:wAYX5tm50
私は、クスリと笑うと、あかりを揺すった。
あかりは、抵抗なくズルリと、ベットの下に落ちた。
どうしたんだろう。
どうしたのかな。
ああ、そんな事は考えなくても判る。
彼女は、彼女は。
赤座あかりは、死んでしまっているのだから。
だから、床に倒れている。
だから、起き上がることはない。
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:36:10.74 ID:wAYX5tm50
私は。
私は。
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:36:38.29 ID:wAYX5tm50
私は、扉を開けて、居間に駆け込んだ。
「結衣!ちなつちゃん!あかりが!あかりが!」
そこには、二つの死体があった。
船見結衣。
吉川ちなつ。
血まみれの床の上に。
2人の死体が、転がっていた。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:37:27.59 ID:wAYX5tm50
ああ、なんて、なんて事だろう。
2人とも、2人とも死んでしまった、どうして?
どうして?
私は、唖然として、手に持っていた包丁を落としてしまった。
そのまま、真っ赤に濡れた手で、自分の頭を抱え。
考えた。
考えた考えた考えた考えた。
何故こんな事になっているのかを、考えた。
昨日までは結衣もちなつちゃんもあかりも生きていたのに!
私が眠る前までは!
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
どうして、さんにんの、したいが、ころがっていたのかな
そんなこと
かんがえる までもない ことだよねぇ
だって
だって
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:37:57.92 ID:wAYX5tm50
背後から、扉の開く音がした。
ヒタリ、ヒタリと、誰かの足音が聞こえる。
誰かが、私に近づいてくる。
そして。
私が振り向く前に。
私は、意識を失った。
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:38:31.11 ID:wAYX5tm50
≪歳納京子の能力が発動した≫
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:39:34.03 ID:wAYX5tm50
そう、考えるまでもないことだった。
考えるまでもないことだったんだ。
私は。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:42:56.14 ID:wAYX5tm50
ドンドンドン
「京子!どうしたんだよ!」
「ゆ、結衣先輩!京子先輩はどうしたんですか!?」
「というか、そもそもここは何処なんですか!?」
「ごめん、私にも判んないよ」
「京子はさっきまで眠ってたんだけど、起こしたらいきなり部屋に閉じこもって」
「京子ちゃん!どうしたの!?京子ちゃん!」
ドンドンドン
扉の向こうから、三人の声がする。
けど、扉は開けない。
開ける事は出来ない。
もし開けたら、きっと。
きっと、今までと同じ事が起きる。
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:44:45.86 ID:wAYX5tm50
そう、考えるまでもない。
あの時私は。
私は。
どうして、手が真っ赤だったんだろう。
どうして、包丁を握っていたのだろう。
ああ、本当に。
そんな事は。
考えるまでもないことだったんだ。
そうであれば、全て。
全て辻褄が合うのだ。
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:45:18.15 ID:wAYX5tm50
何の事はない。
皆を殺していたのは、この私だったのだ。
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:47:26.87 ID:wAYX5tm50
私は皆を殺そうとして、生き残った者に反撃されて、殺されてしまった。
そして、また最初に一日を繰り返している。
きっと、それが真相。
きっと、それが真実。
多分、私は頭がおかしくなってしまっているのだろう。
今は平気だけど、そのうちきっと。
誰かを殺してしまうのだろう。
だから。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:51:43.57 ID:wAYX5tm50
「ごめんね、みんな、この扉は開けられないや」
「もう、ドアノブを壊しちゃってから」
「中からも、開けられない」
ドンドンドン
「京子、どうしてそんな事をするんだ、今の私達の状況と関係あるのか?」
「もしかして、誰かに脅されてるんですか、京子先輩!」
「京子ちゃん、開けてよう、何だか嫌だよこんなの……」
ドンドンドン
「大丈夫、3日間、3日間だけだから」
「そうすれば、きっと、全部終わるから」
「それまで、お願い、私を1人にしておいて」
「おねがい……」
「おねがい……」
「……」
「……」
「……」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:56:20.32 ID:wAYX5tm50
私は、扉の前で蹲り、目を瞑る。
きっと、これで大丈夫。
これで、全部終わってくれる。
私さえ、動かなければ。
無事3日を乗り切れる。
大丈夫。
スピーカーから、音が聞こえてくる。
≪この密室からの脱出を考える必要はない≫
≪君達はただ待てばいい≫
≪何もせずただ待っていれば……3日後に、外への通路が開く≫
そう、今度こそ。
絶対に。
皆で3日目を、迎えて見せる。
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:05:01.86 ID:wAYX5tm50
「……ぱい」
「きょ……ぱい」
「京子先輩、起きてますか」
京子「……え、あ、うん、おきてる」
京子「起きてるよ、ちなつちゃん」
「そーですか」
「ご飯、ちゃんと食べてますか」
京子「……うん、大丈夫だよ、こっちにも冷蔵庫はあるし、食料も入ってる」
「そーですか」
京子「……ちなつちゃん、ごめんね」
「それは、何に対する謝罪ですか」
京子「……」
「……まあ、いいです、深くは聞きません」
「正直、判らない事だらけで、考えすぎると頭がパンクしそうですから」
京子「……うん、私も、パンクしそう」
「そーですか」
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:07:33.98 ID:wAYX5tm50
「ちなつちゃん、交代に来たよぉ」
「ありがと、あかりちゃん」
「ちなつちゃんは、もう寝る?」
「んー、もう少し起きてようかな」
「そっか、じゃあ、あかりと一緒に、京子ちゃんとお話しよっか」
「はいはい」
みんなは。
みんなは、こんな私を気遣ってくれた。
何も言わずに、部屋に閉じこもり私を気遣って。
こうして、声をかけてきてくれる。
そのお陰で、私は寂しい思いをしなくて済む。
そのお陰で、私はきっと、まだ正常でいられる。
ありがとうね。
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:11:07.93 ID:wAYX5tm50
「それでですね、京子先輩、私たち凄いんですよ、変な能力使えるようになったんです」
「うんうん、凄いよねぇ」
「私は、他の人の記憶を改ざんできるようになったんです!」
「あかりはね、あかりはね、死んだ人を蘇らせることができるようになったんだぁ」
「結衣先輩は、他の人の能力を無力化できる能力みたいです」
「京子先輩も、何か能力得ちゃったんですよね」
「んー、けど、あんまり興味ないなぁ、聞きたくないなぁ」
「どうしても聞いてほしいって言うなら、聞いてあげてもいいですよ、京子先輩?」
京子「……やめとくー」
「そーですかー」
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:24:19.98 ID:wAYX5tm50
「けど、あれですよね、どうして私達はこんな能力、得ちゃったんでしょう」
「あのスピーカーの人がくれたから、だよね?」
「いやいやいや、あかりちゃん、こんな変な能力なんだから、それなりに理由があるはずだよ!」
「んーー、くじ引きで、決まっちゃったとか?」
「その可能性もあるかも、京子先輩は、どう思います?」
京子(もう、2人とも、何とか会話に参加させようとしてくるなぁ)
京子(私が寂しくないよう、気を使ってくれてる……)
京子(ここまで、頑張ってくれてるんだから、応えてあげないと、申し訳ないよね)
京子「……うん、確かに、理由はありそうだよね」
京子「あかりは、優しいから死んだ人を蘇らせられるようになったのかも」
「えっ、じゃあ私の能力は何でですか、他人の記憶を改ざんなんて、したいと思ったこと無いですよ」
「少ししか」
「少しだけなら思ったことあるんだ、ちなつちゃん」
「もう、ちょっとだけよ、ちょっとだけ!」
京子「あははは、じゃあ結衣はどうして他人の能力を無力化なんて能力だったんだろう」
京子「やっぱり、あれかな、ツッコミが激しいからかな」
「んー、結衣先輩には似合わないなぁ、寧ろ、白馬に乗って空を飛ぶとかの能力の方が似合ってます!」
京子「えー、そんな能力似合わないよ、もし似合うとしたら」
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:26:11.78 ID:wAYX5tm50
京子「……」
京子「……」
京子「……」
「京子先輩?どうしたんですか?」
「京子ちゃん?」
京子「……」
京子「……」
京子「あかり、ちなつちゃん」
京子「いまから、わたしがいうことを、よくきいて」
京子「なにがあっても、ぜったいに、そのとおりに」
京子「してね」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:31:48.32 ID:wAYX5tm50
ドンドンドン
ドンドンドン
結衣「ん……もう、なに……」ムクリ
結衣「あー、駄目だ、京子の事を考えてたら全然寝られなかった……」
ドンドンドン
ドンドンドン
ユイチャーーン
結衣「……はいはい、今開けるよ」
結衣「そろそろ、交代時間だったかな……」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:38:00.32 ID:wAYX5tm50
結衣「ごめんね、交代の時間に遅れちゃったかな」
あかり「結衣ちゃん!た、大変なの!」
ちなつ「京子先輩!扉開けてください!京子先輩!」ドンドン
結衣「え?どうしたの?」
あかり「京子ちゃんが!京子ちゃんが!!」
あかり「このまま生きていても仕方ないって言い出して!そうしたら!」
あかり「と、扉の下から!赤い、赤い血が!流れてきて!」
結衣「……京子」
結衣「あかり、ちなつちゃん、ごめん、どいて!」
あかり「う、うん!」
ちなつ「こ、こんな、まさか本当にこんな事をするなんて……」
結衣「椅子で扉を壊すよ!」
ガシャンッ!
ガシャンッ
結衣「く、くそ、扉が硬い、椅子の方が先に壊れちゃう」
ちなつ「結衣先輩!まだ椅子は3つあります!」
結衣「ありがとう!ちなつちゃん!」
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:42:38.07 ID:wAYX5tm50
椅子が3つ壊れると同時に、扉を破る事が出来た。
三人は、扉抜け、個室に入る。
そこは、赤い血で染まっていた。
真っ赤に染まっていた。
その真ん中に。
歳納京子が、仰向けに倒れていた。
彼女の上半身は赤く染まり。
その手には、包丁が握られていた。
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:46:14.63 ID:wAYX5tm50
あかり「京子ちゃん……そ、そんな、嘘だよね……」
結衣「これは、自殺……?」
結衣「何で、どうして……」
ちなつ「京子先輩は、何かを怖がってました……」
ちなつ「だから、個室に閉じこもってたんだと思います……」
ちなつ「けど、けど、だからって、こんな……」
あかり「京子ちゃん!起きて!京子ちゃん!」
結衣「……あかり、駄目だよ、もう京子は助からない」
結衣「自分で喉を切ったんだ、この出血量ではとても……」
あかり「な、なら!あかりの能力で!能力で!」
あかり「京子ちゃん!生き返って!おねがい!」
あかり「京子ちゃん!」
京子「……」
結衣「……」ボソッ
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:51:25.38 ID:wAYX5tm50
ちなつ「……結衣先輩、今なんて?」
結衣「え?」
ちなつ「今、何ておっしゃいましたか」
結衣「私、何か言ったかな」
ちなつ「はい、言ってらっしゃいました、凄く小声で」
結衣「……私が、なんて言ったって?」
ちなつ「……『良かった』って」
結衣「……」
ちなつ「どうして、そんな事を言ったんですか」
結衣「……京子は自殺したけど、苦しまなかったようだからね、それで良かったって言ったんだよ」
ちなつ「苦しまなかった?こんなに血が沢山飛び散ってるのに?」
結衣「ごめん、私も京子が死んで混乱してるんだよ」
結衣「だから言葉選びを間違えたかもしれない」
ちなつ「ほんとうに、それだけですか?」
結衣「……」ハァ
ちなつ「結衣先輩?」
結衣「もう、どうでもいいよ、そんな事」
結衣「京子は、ちゃんと死ねたんだから、それで十分だ」
ちなつ「……」
あかり「どうして、どうして京子ちゃんは生き返らないの?どうして……」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:54:11.79 ID:wAYX5tm50
ちなつ「あかりちゃん、落ち着いて」
あかり「ちなつちゃん、けど、けどあかりっ!京子ちゃんを助けようと!」
ちなつ「……うん、あかりちゃんは、頑張ってた」
ちなつ「だから、ね?」
ちなつ「最後に、もう一回、頑張ろう?」
ちなつ「頑張って、京子先輩が言ってた通り、やってみよう?」
あかり「……う、うん」グスン
結衣「あかり?ちなつちゃん?何を言って……」
ちなつ「私も、正直、半信半疑ですけど」
ちなつ「何もしないで、誰かを死なせちゃうのは、もう嫌ですから」
ちなつ「だから、京子先輩を、信じてみます」
あかり「……」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/08(土) 10:43:19.96 ID:LUFmUaGSO
アッカリーン
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/21(金) 02:17:05.95 ID:PPozYAjcO
おーおもしろい
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 02:49:31.80 ID:4uIEcnuCO
どうなる?
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 03:30:47.56 ID:PEUbh1Wqo
wktk
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 10:41:48.53 ID:awGMOiD10
おもしろい
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/16(水) 22:35:33.39 ID:TZay1gy3O
続きマダ?
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/15(金) 23:21:44.41 ID:7VFMbOFy0
待つ
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 04:24:00.49 ID:JphSwPwNO
続きが気になる…
何かしらの報告が欲しい…
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/07(水) 10:40:32.04 ID:xQt9fyJV0
待ってるぞ
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:21:14.76 ID:+iN8oBhB0
あかり「結衣ちゃん……」
結衣「な、なに?」
ちなつ「京子先輩……」
京子「……」
あかり「あかりは……」
ちなつ「私は……」
「貴女の能力を、無力化します」
「貴女の命を、蘇らせます」
≪赤座あかりの能力が発動した≫
≪吉川ちなつの能力が発動した≫
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:21:47.17 ID:+iN8oBhB0
京子「う、うううん……あ、あれ、私は……」
ちなつ「きょ、京子先輩……」
あかり「京子、ちゃん?」
結衣「……え、な、なんで?」
京子「……そっか、私、蘇ったのか」
京子「だから、1日目に戻ることがなかった」
京子「だから、3日目に戻ることが出来た」
京子「ありがとね、私の言うとおり、やってくれたんだね」
ちなつ「ば、馬鹿ですか!京子先輩!さっきまで、さっきまで本当に!」
ちなつ「本当に死んでたんですよ!」
あかり「う、うえええええ……」
ちなつ「何で、何でこんな馬鹿なことを……!」
京子「ごめんね、あかり、ちなつちゃん」
結衣「……どういうことなの」
京子「どういうことって、ちなつちゃんが持ってる能力を使ってもらっただけだよ」
結衣「ちなつちゃんの記憶改ざん能力を?」
京子「違うよ、ちなつちゃんが持ってるのは」
「死んだ人を生き返らせる能力だ」
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:22:58.27 ID:+iN8oBhB0
「最初に疑問を感じたのは、私達がどうしてこんな能力を得たのかって考えた時」
「この密室を作り上げたヤツが、ランダムで能力を与えたって可能性もあるけど」
「それにしては、私達の性質に合った能力な気がするんだよね」
「例えば、私はごらく部で過ごす時間が、ずっと続けばなって思ってた」
「だから、最初からやり直すことになる能力になったんじゃないかな」
「結衣は、ツッコミが激しいから、他人の能力を無力化させられる」
「だとしたら、あかりは?」
「あかりは、優しいから死んだ人を助けられるような能力になった」
「そう考えるのが自然……なんだけど」
「ごらく部には、もっとその能力が似合ってる子が居たんだよ」
「そう、ちなつちゃんだ」
「幼い頃、祖母を亡くして葛藤した経験のあるちなつちゃんの方が」
「その能力にあっていると思う」
「そう考えるとね、色々とズレてるんじゃないかなって思えてきたんだ」
「結衣は、幼い頃の出来事を話さないことがあるよね、恥ずかしがって」
「それってさ、もしかしたら」
「記憶の改竄を望んでいる……って事にならないかな」
「そうなると、あとは消去法で……あかりは無力化能力が当てはまるって事になる」
「これ、間違ってるかな、結衣」
「もし間違っていたら、教えて欲しいんだけど」
「……結衣なんだよね、この状況を生み出したのは」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:24:30.99 ID:+iN8oBhB0
結衣「……」
ちなつ「……」
あかり「……」
京子「結衣?」
結衣「は、ははは……」
ちなつ「ゆ、結衣先輩?」
あかり「結衣ちゃん?」
結衣「あはははは、凄い、凄いよ、京子はやっぱり凄い」
結衣「凄いよ!たったそれだけの情報から推理して真相が判っちゃったの!?」
京子「……違うよ、別に凄いことじゃないから」
結衣「いや!凄いよ!だって、京子は確信したんだよね!」
結衣「ちなつちゃんが本当は蘇生能力を持ってるって!」
結衣「私の記憶改竄能力で、前の能力のことなんてすっかり忘れさせてたのに!」
結衣「蘇生能力の事を判った上で、自殺してみせたんだよね!?」
結衣「そうすれば、私がボロを出すって確信して!」
京子「……だから、違うって、勘違いしてるよ」
結衣「何が?だって京子は……」
京子「だから」
京子「違うんだよ、結衣」
京子「これは推理なんて格好が良いものじゃない」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:25:12.79 ID:+iN8oBhB0
京子「私は別に、確信する必要はなかったの」
京子「ただ、疑問に思うだけでよかったの」
京子「疑問に感じて死ぬだけでよかったの」
京子「だって、私は何度だって」
京子「やり直して、確認出来るんだから」
京子「もし、ちなつちゃんが蘇生能力を持ってなかったら」
京子「私は死んで、1日目に戻るだけ」
京子「そして、次は、結衣が蘇生能力を持ってる可能性を試す」
京子「それが駄目なら、別の可能性を試す」
京子「それが駄目なら、もっと別の可能性を」
京子「気が済むまで死に続ける」
京子「そう、私にはそれが出来るの」
京子「だから、ここでちなつちゃんが本当に蘇生能力を持ってくれていたのは」
京子「ただ、運がよかっただけだよ」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:25:43.18 ID:+iN8oBhB0
結衣「運が、良かった……だけ……?」
結衣がポカンとした瞬間を、私は見逃さなかった。
手繰り寄せていたシーツを、結衣に投げつける。
シーツは広がり、結衣に覆いかぶさった。
その隙を突いて、私はちなつちゃんとあかりの手を引き、部屋から飛び出し。
別の「個室」に飛び込み、扉に鍵を掛けた。
私達を追いかけてくる足音はしない。
結衣は、まだあの部屋で呆然としているのだろうか。
それとも……。
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:26:12.04 ID:+iN8oBhB0
京子「はぁ……はぁ……はぁ……」
ちなつ「京子先輩……」
あかり「京子ちゃん……」
京子「これで、これできっと、大丈夫」
京子「多分、結衣はこの部屋に入って来れない」
京子「大丈夫だから、きっと」
京子「……もし駄目でも、また次の機会があるから」
京子「私には、私にはそれが」
京子「ふ、ふふふ、それが出来るから」
京子「何度でもやり直せるから、だから……」
京子「もし、今回殺されたとしても……」
京子「また、また殺されたとしても!」
京子「次が!」
ちなつ「京子先輩!」
京子「あ……」
ちなつ「落ち着いて、ください」
京子「……ご、ごめん」
あかり「……」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:26:49.21 ID:+iN8oBhB0
ちなつ「私には、事情の半分もわかっていません」
ちなつ「ただ、京子先輩がさっき必死に伝えて来たことを、信じてみただけです」
ちなつ「いえ、信じるまでも行ってませんでした」
ちなつ「半信半疑のまま、ただ、周囲に流されただけで……」
ちなつ「けど……」
京子「……」
あかり「……」
ちなつ「本当に、結衣先輩が犯人なんですか?」
ちなつ「本当に、3日目の京子先輩を殺した犯人なんですか?」
ちなつ「だとしたら、どうして?」
ちなつ「どうしてそんなことを……」
京子「それは……」
ドンドン
京子「……!」
ちなつ「……!」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:27:19.35 ID:+iN8oBhB0
ドンドン
「ねえ、京子、開けてよ」
「とても大事な話があるんだ」
「ねえ、開けて」
「……」
「いや、開けてくれなくてもいいや」
「ただ、私の言うことに、耳を傾けて欲しいんだ」
「とても」
「とても」
「とても、大切なことだから」
京子「な、なに?」
「死んで欲しいんだ」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:27:57.91 ID:+iN8oBhB0
「早く死んで欲しいんだ」
「一刻も早く」
「それが私の伝えたい事」
「……ああ、もう、本当ならもっとちゃんと話したいんだよ」
「私だって、京子と別れるのに顔も合わせれないのなんて嫌なんだ」
「けど」
「けど、仕方ないじゃないか」
「居間に置いてある道具ではこの扉を壊せないんだから」
「さっき、京子の個室の扉を壊すのに、椅子を全部使っちゃったから」
「だから」
「だからね、さっきみたいに自殺して欲しいんだ」
「出来るだろう、京子なら」
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