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京子「ごらく部が密室に閉じ込められた」
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100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:32:09.88 ID:wAYX5tm50
ちなつ「……」
京子「……」
あかり「京子ちゃん?ちなつちゃん?」
京子「能力……発動したのかな?」
ちなつ「はい、そのはずです」
京子「そ、そっか……」
あかり「もう、2人とも、あかりを仲間はずれにしないでよぉ〜!」プンプン
京子「ご、ごめんね、あかり……えっと」
あかり「ん?」
京子(私の質問に対して、一度だけ嘘をつけないんだよね)
京子(だとしたら、なんて質問すればいいのかな)
京子(私を殺したかどうか……とか)
京子(いや、駄目駄目、あかりはまだ私を殺した記憶を持ってないんだから……)
京子(ああ、もう、だったら……!)
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:32:36.67 ID:wAYX5tm50
京子「あかり、嘘をつかずに答えてね」
あかり「う、うん、京子ちゃんにはいっぱいお世話になったから、嘘なんてつかないよ?」
京子「ふー……」
あかり「……」
京子「あかりは、私の事を、好き?」
あかり「……」
ちなつ「……」
京子「……」
あかり「それは……」
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:33:06.43 ID:wAYX5tm50
あかり「勿論、大好きだよぉ」ニコッ
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:33:38.52 ID:wAYX5tm50
京子「……ほ、ほんとに?」
あかり「うん、ほんとだよぉ」
ちなつ「ね、京子先輩、言った通りでしょ」
京子「う、うん」
あかり「えへへ、京子ちゃんも、あかりのこと好き?」
京子「うん!勿論だいすき!」
あかり「そっかぁ、良かったよぉ〜♪」
京子「そう、そうだね、良かった、本当に良かった……」
京子「う、うう、ふえええええ……」
あかり「え、きょ、京子ちゃん?」
京子「良かったよぉおぉおぉお……」グスン
あかり「あわわわ、あかり、何か変なこと言っちゃったかな、ごめんね」
京子「うわああああああああん」ヒック
あかり「ごめんね、京子ちゃんごめんね……」オロオロ
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:34:10.39 ID:wAYX5tm50
「ごめんね、あかり」
「ごめんね、ちなつちゃん」
「疑って、ごめんね」
「そうだよ、きっと犯人はごらく部には居ないんだ」
「ここに閉じ込めたスピーカーの声の主が、きっと犯人なんだ」
「もう止めよう」
「皆を疑うのは、もう止めよう」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:34:39.89 ID:wAYX5tm50
〜2日目〜
何も起きなかった。
あかりは、ずっと私の傍に居てくれた。
結衣やちなつちゃんも、私を気遣ってくれた。
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:35:07.88 ID:wAYX5tm50
〜3日目〜
私は、ベットで目を覚ました。
そうだ、昨日は夜遅くまであかりとお話をしていたのだ。
子供の頃の出来事とか、色々。
誰かが、私の手を握ってくれている。
あかりだ。
きっと、私、あかりの手を握ったまま寝てしまったのだろう。
優しいあかりは、手を解く事が出来ず、そのまま眠ってしまったのだろう。
普段は夜の9時に寝てしまうような子なのに。
私に付き合って、頑張って起きていてくれた。
ありがとう、あかり。
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:35:44.16 ID:wAYX5tm50
私は、クスリと笑うと、あかりを揺すった。
あかりは、抵抗なくズルリと、ベットの下に落ちた。
どうしたんだろう。
どうしたのかな。
ああ、そんな事は考えなくても判る。
彼女は、彼女は。
赤座あかりは、死んでしまっているのだから。
だから、床に倒れている。
だから、起き上がることはない。
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:36:10.74 ID:wAYX5tm50
私は。
私は。
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:36:38.29 ID:wAYX5tm50
私は、扉を開けて、居間に駆け込んだ。
「結衣!ちなつちゃん!あかりが!あかりが!」
そこには、二つの死体があった。
船見結衣。
吉川ちなつ。
血まみれの床の上に。
2人の死体が、転がっていた。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:37:27.59 ID:wAYX5tm50
ああ、なんて、なんて事だろう。
2人とも、2人とも死んでしまった、どうして?
どうして?
私は、唖然として、手に持っていた包丁を落としてしまった。
そのまま、真っ赤に濡れた手で、自分の頭を抱え。
考えた。
考えた考えた考えた考えた。
何故こんな事になっているのかを、考えた。
昨日までは結衣もちなつちゃんもあかりも生きていたのに!
私が眠る前までは!
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
どうして、さんにんの、したいが、ころがっていたのかな
そんなこと
かんがえる までもない ことだよねぇ
だって
だって
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:37:57.92 ID:wAYX5tm50
背後から、扉の開く音がした。
ヒタリ、ヒタリと、誰かの足音が聞こえる。
誰かが、私に近づいてくる。
そして。
私が振り向く前に。
私は、意識を失った。
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:38:31.11 ID:wAYX5tm50
≪歳納京子の能力が発動した≫
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:39:34.03 ID:wAYX5tm50
そう、考えるまでもないことだった。
考えるまでもないことだったんだ。
私は。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:42:56.14 ID:wAYX5tm50
ドンドンドン
「京子!どうしたんだよ!」
「ゆ、結衣先輩!京子先輩はどうしたんですか!?」
「というか、そもそもここは何処なんですか!?」
「ごめん、私にも判んないよ」
「京子はさっきまで眠ってたんだけど、起こしたらいきなり部屋に閉じこもって」
「京子ちゃん!どうしたの!?京子ちゃん!」
ドンドンドン
扉の向こうから、三人の声がする。
けど、扉は開けない。
開ける事は出来ない。
もし開けたら、きっと。
きっと、今までと同じ事が起きる。
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:44:45.86 ID:wAYX5tm50
そう、考えるまでもない。
あの時私は。
私は。
どうして、手が真っ赤だったんだろう。
どうして、包丁を握っていたのだろう。
ああ、本当に。
そんな事は。
考えるまでもないことだったんだ。
そうであれば、全て。
全て辻褄が合うのだ。
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:45:18.15 ID:wAYX5tm50
何の事はない。
皆を殺していたのは、この私だったのだ。
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:47:26.87 ID:wAYX5tm50
私は皆を殺そうとして、生き残った者に反撃されて、殺されてしまった。
そして、また最初に一日を繰り返している。
きっと、それが真相。
きっと、それが真実。
多分、私は頭がおかしくなってしまっているのだろう。
今は平気だけど、そのうちきっと。
誰かを殺してしまうのだろう。
だから。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:51:43.57 ID:wAYX5tm50
「ごめんね、みんな、この扉は開けられないや」
「もう、ドアノブを壊しちゃってから」
「中からも、開けられない」
ドンドンドン
「京子、どうしてそんな事をするんだ、今の私達の状況と関係あるのか?」
「もしかして、誰かに脅されてるんですか、京子先輩!」
「京子ちゃん、開けてよう、何だか嫌だよこんなの……」
ドンドンドン
「大丈夫、3日間、3日間だけだから」
「そうすれば、きっと、全部終わるから」
「それまで、お願い、私を1人にしておいて」
「おねがい……」
「おねがい……」
「……」
「……」
「……」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 01:56:20.32 ID:wAYX5tm50
私は、扉の前で蹲り、目を瞑る。
きっと、これで大丈夫。
これで、全部終わってくれる。
私さえ、動かなければ。
無事3日を乗り切れる。
大丈夫。
スピーカーから、音が聞こえてくる。
≪この密室からの脱出を考える必要はない≫
≪君達はただ待てばいい≫
≪何もせずただ待っていれば……3日後に、外への通路が開く≫
そう、今度こそ。
絶対に。
皆で3日目を、迎えて見せる。
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:05:01.86 ID:wAYX5tm50
「……ぱい」
「きょ……ぱい」
「京子先輩、起きてますか」
京子「……え、あ、うん、おきてる」
京子「起きてるよ、ちなつちゃん」
「そーですか」
「ご飯、ちゃんと食べてますか」
京子「……うん、大丈夫だよ、こっちにも冷蔵庫はあるし、食料も入ってる」
「そーですか」
京子「……ちなつちゃん、ごめんね」
「それは、何に対する謝罪ですか」
京子「……」
「……まあ、いいです、深くは聞きません」
「正直、判らない事だらけで、考えすぎると頭がパンクしそうですから」
京子「……うん、私も、パンクしそう」
「そーですか」
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:07:33.98 ID:wAYX5tm50
「ちなつちゃん、交代に来たよぉ」
「ありがと、あかりちゃん」
「ちなつちゃんは、もう寝る?」
「んー、もう少し起きてようかな」
「そっか、じゃあ、あかりと一緒に、京子ちゃんとお話しよっか」
「はいはい」
みんなは。
みんなは、こんな私を気遣ってくれた。
何も言わずに、部屋に閉じこもり私を気遣って。
こうして、声をかけてきてくれる。
そのお陰で、私は寂しい思いをしなくて済む。
そのお陰で、私はきっと、まだ正常でいられる。
ありがとうね。
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:11:07.93 ID:wAYX5tm50
「それでですね、京子先輩、私たち凄いんですよ、変な能力使えるようになったんです」
「うんうん、凄いよねぇ」
「私は、他の人の記憶を改ざんできるようになったんです!」
「あかりはね、あかりはね、死んだ人を蘇らせることができるようになったんだぁ」
「結衣先輩は、他の人の能力を無力化できる能力みたいです」
「京子先輩も、何か能力得ちゃったんですよね」
「んー、けど、あんまり興味ないなぁ、聞きたくないなぁ」
「どうしても聞いてほしいって言うなら、聞いてあげてもいいですよ、京子先輩?」
京子「……やめとくー」
「そーですかー」
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:24:19.98 ID:wAYX5tm50
「けど、あれですよね、どうして私達はこんな能力、得ちゃったんでしょう」
「あのスピーカーの人がくれたから、だよね?」
「いやいやいや、あかりちゃん、こんな変な能力なんだから、それなりに理由があるはずだよ!」
「んーー、くじ引きで、決まっちゃったとか?」
「その可能性もあるかも、京子先輩は、どう思います?」
京子(もう、2人とも、何とか会話に参加させようとしてくるなぁ)
京子(私が寂しくないよう、気を使ってくれてる……)
京子(ここまで、頑張ってくれてるんだから、応えてあげないと、申し訳ないよね)
京子「……うん、確かに、理由はありそうだよね」
京子「あかりは、優しいから死んだ人を蘇らせられるようになったのかも」
「えっ、じゃあ私の能力は何でですか、他人の記憶を改ざんなんて、したいと思ったこと無いですよ」
「少ししか」
「少しだけなら思ったことあるんだ、ちなつちゃん」
「もう、ちょっとだけよ、ちょっとだけ!」
京子「あははは、じゃあ結衣はどうして他人の能力を無力化なんて能力だったんだろう」
京子「やっぱり、あれかな、ツッコミが激しいからかな」
「んー、結衣先輩には似合わないなぁ、寧ろ、白馬に乗って空を飛ぶとかの能力の方が似合ってます!」
京子「えー、そんな能力似合わないよ、もし似合うとしたら」
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:26:11.78 ID:wAYX5tm50
京子「……」
京子「……」
京子「……」
「京子先輩?どうしたんですか?」
「京子ちゃん?」
京子「……」
京子「……」
京子「あかり、ちなつちゃん」
京子「いまから、わたしがいうことを、よくきいて」
京子「なにがあっても、ぜったいに、そのとおりに」
京子「してね」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:31:48.32 ID:wAYX5tm50
ドンドンドン
ドンドンドン
結衣「ん……もう、なに……」ムクリ
結衣「あー、駄目だ、京子の事を考えてたら全然寝られなかった……」
ドンドンドン
ドンドンドン
ユイチャーーン
結衣「……はいはい、今開けるよ」
結衣「そろそろ、交代時間だったかな……」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:38:00.32 ID:wAYX5tm50
結衣「ごめんね、交代の時間に遅れちゃったかな」
あかり「結衣ちゃん!た、大変なの!」
ちなつ「京子先輩!扉開けてください!京子先輩!」ドンドン
結衣「え?どうしたの?」
あかり「京子ちゃんが!京子ちゃんが!!」
あかり「このまま生きていても仕方ないって言い出して!そうしたら!」
あかり「と、扉の下から!赤い、赤い血が!流れてきて!」
結衣「……京子」
結衣「あかり、ちなつちゃん、ごめん、どいて!」
あかり「う、うん!」
ちなつ「こ、こんな、まさか本当にこんな事をするなんて……」
結衣「椅子で扉を壊すよ!」
ガシャンッ!
ガシャンッ
結衣「く、くそ、扉が硬い、椅子の方が先に壊れちゃう」
ちなつ「結衣先輩!まだ椅子は3つあります!」
結衣「ありがとう!ちなつちゃん!」
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:42:38.07 ID:wAYX5tm50
椅子が3つ壊れると同時に、扉を破る事が出来た。
三人は、扉抜け、個室に入る。
そこは、赤い血で染まっていた。
真っ赤に染まっていた。
その真ん中に。
歳納京子が、仰向けに倒れていた。
彼女の上半身は赤く染まり。
その手には、包丁が握られていた。
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:46:14.63 ID:wAYX5tm50
あかり「京子ちゃん……そ、そんな、嘘だよね……」
結衣「これは、自殺……?」
結衣「何で、どうして……」
ちなつ「京子先輩は、何かを怖がってました……」
ちなつ「だから、個室に閉じこもってたんだと思います……」
ちなつ「けど、けど、だからって、こんな……」
あかり「京子ちゃん!起きて!京子ちゃん!」
結衣「……あかり、駄目だよ、もう京子は助からない」
結衣「自分で喉を切ったんだ、この出血量ではとても……」
あかり「な、なら!あかりの能力で!能力で!」
あかり「京子ちゃん!生き返って!おねがい!」
あかり「京子ちゃん!」
京子「……」
結衣「……」ボソッ
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:51:25.38 ID:wAYX5tm50
ちなつ「……結衣先輩、今なんて?」
結衣「え?」
ちなつ「今、何ておっしゃいましたか」
結衣「私、何か言ったかな」
ちなつ「はい、言ってらっしゃいました、凄く小声で」
結衣「……私が、なんて言ったって?」
ちなつ「……『良かった』って」
結衣「……」
ちなつ「どうして、そんな事を言ったんですか」
結衣「……京子は自殺したけど、苦しまなかったようだからね、それで良かったって言ったんだよ」
ちなつ「苦しまなかった?こんなに血が沢山飛び散ってるのに?」
結衣「ごめん、私も京子が死んで混乱してるんだよ」
結衣「だから言葉選びを間違えたかもしれない」
ちなつ「ほんとうに、それだけですか?」
結衣「……」ハァ
ちなつ「結衣先輩?」
結衣「もう、どうでもいいよ、そんな事」
結衣「京子は、ちゃんと死ねたんだから、それで十分だ」
ちなつ「……」
あかり「どうして、どうして京子ちゃんは生き返らないの?どうして……」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/08(土) 02:54:11.79 ID:wAYX5tm50
ちなつ「あかりちゃん、落ち着いて」
あかり「ちなつちゃん、けど、けどあかりっ!京子ちゃんを助けようと!」
ちなつ「……うん、あかりちゃんは、頑張ってた」
ちなつ「だから、ね?」
ちなつ「最後に、もう一回、頑張ろう?」
ちなつ「頑張って、京子先輩が言ってた通り、やってみよう?」
あかり「……う、うん」グスン
結衣「あかり?ちなつちゃん?何を言って……」
ちなつ「私も、正直、半信半疑ですけど」
ちなつ「何もしないで、誰かを死なせちゃうのは、もう嫌ですから」
ちなつ「だから、京子先輩を、信じてみます」
あかり「……」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/08(土) 10:43:19.96 ID:LUFmUaGSO
アッカリーン
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/21(金) 02:17:05.95 ID:PPozYAjcO
おーおもしろい
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/26(水) 02:49:31.80 ID:4uIEcnuCO
どうなる?
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/28(金) 03:30:47.56 ID:PEUbh1Wqo
wktk
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 10:41:48.53 ID:awGMOiD10
おもしろい
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/16(水) 22:35:33.39 ID:TZay1gy3O
続きマダ?
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/09/15(金) 23:21:44.41 ID:7VFMbOFy0
待つ
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 04:24:00.49 ID:JphSwPwNO
続きが気になる…
何かしらの報告が欲しい…
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/07(水) 10:40:32.04 ID:xQt9fyJV0
待ってるぞ
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:21:14.76 ID:+iN8oBhB0
あかり「結衣ちゃん……」
結衣「な、なに?」
ちなつ「京子先輩……」
京子「……」
あかり「あかりは……」
ちなつ「私は……」
「貴女の能力を、無力化します」
「貴女の命を、蘇らせます」
≪赤座あかりの能力が発動した≫
≪吉川ちなつの能力が発動した≫
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:21:47.17 ID:+iN8oBhB0
京子「う、うううん……あ、あれ、私は……」
ちなつ「きょ、京子先輩……」
あかり「京子、ちゃん?」
結衣「……え、な、なんで?」
京子「……そっか、私、蘇ったのか」
京子「だから、1日目に戻ることがなかった」
京子「だから、3日目に戻ることが出来た」
京子「ありがとね、私の言うとおり、やってくれたんだね」
ちなつ「ば、馬鹿ですか!京子先輩!さっきまで、さっきまで本当に!」
ちなつ「本当に死んでたんですよ!」
あかり「う、うえええええ……」
ちなつ「何で、何でこんな馬鹿なことを……!」
京子「ごめんね、あかり、ちなつちゃん」
結衣「……どういうことなの」
京子「どういうことって、ちなつちゃんが持ってる能力を使ってもらっただけだよ」
結衣「ちなつちゃんの記憶改ざん能力を?」
京子「違うよ、ちなつちゃんが持ってるのは」
「死んだ人を生き返らせる能力だ」
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:22:58.27 ID:+iN8oBhB0
「最初に疑問を感じたのは、私達がどうしてこんな能力を得たのかって考えた時」
「この密室を作り上げたヤツが、ランダムで能力を与えたって可能性もあるけど」
「それにしては、私達の性質に合った能力な気がするんだよね」
「例えば、私はごらく部で過ごす時間が、ずっと続けばなって思ってた」
「だから、最初からやり直すことになる能力になったんじゃないかな」
「結衣は、ツッコミが激しいから、他人の能力を無力化させられる」
「だとしたら、あかりは?」
「あかりは、優しいから死んだ人を助けられるような能力になった」
「そう考えるのが自然……なんだけど」
「ごらく部には、もっとその能力が似合ってる子が居たんだよ」
「そう、ちなつちゃんだ」
「幼い頃、祖母を亡くして葛藤した経験のあるちなつちゃんの方が」
「その能力にあっていると思う」
「そう考えるとね、色々とズレてるんじゃないかなって思えてきたんだ」
「結衣は、幼い頃の出来事を話さないことがあるよね、恥ずかしがって」
「それってさ、もしかしたら」
「記憶の改竄を望んでいる……って事にならないかな」
「そうなると、あとは消去法で……あかりは無力化能力が当てはまるって事になる」
「これ、間違ってるかな、結衣」
「もし間違っていたら、教えて欲しいんだけど」
「……結衣なんだよね、この状況を生み出したのは」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:24:30.99 ID:+iN8oBhB0
結衣「……」
ちなつ「……」
あかり「……」
京子「結衣?」
結衣「は、ははは……」
ちなつ「ゆ、結衣先輩?」
あかり「結衣ちゃん?」
結衣「あはははは、凄い、凄いよ、京子はやっぱり凄い」
結衣「凄いよ!たったそれだけの情報から推理して真相が判っちゃったの!?」
京子「……違うよ、別に凄いことじゃないから」
結衣「いや!凄いよ!だって、京子は確信したんだよね!」
結衣「ちなつちゃんが本当は蘇生能力を持ってるって!」
結衣「私の記憶改竄能力で、前の能力のことなんてすっかり忘れさせてたのに!」
結衣「蘇生能力の事を判った上で、自殺してみせたんだよね!?」
結衣「そうすれば、私がボロを出すって確信して!」
京子「……だから、違うって、勘違いしてるよ」
結衣「何が?だって京子は……」
京子「だから」
京子「違うんだよ、結衣」
京子「これは推理なんて格好が良いものじゃない」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:25:12.79 ID:+iN8oBhB0
京子「私は別に、確信する必要はなかったの」
京子「ただ、疑問に思うだけでよかったの」
京子「疑問に感じて死ぬだけでよかったの」
京子「だって、私は何度だって」
京子「やり直して、確認出来るんだから」
京子「もし、ちなつちゃんが蘇生能力を持ってなかったら」
京子「私は死んで、1日目に戻るだけ」
京子「そして、次は、結衣が蘇生能力を持ってる可能性を試す」
京子「それが駄目なら、別の可能性を試す」
京子「それが駄目なら、もっと別の可能性を」
京子「気が済むまで死に続ける」
京子「そう、私にはそれが出来るの」
京子「だから、ここでちなつちゃんが本当に蘇生能力を持ってくれていたのは」
京子「ただ、運がよかっただけだよ」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:25:43.18 ID:+iN8oBhB0
結衣「運が、良かった……だけ……?」
結衣がポカンとした瞬間を、私は見逃さなかった。
手繰り寄せていたシーツを、結衣に投げつける。
シーツは広がり、結衣に覆いかぶさった。
その隙を突いて、私はちなつちゃんとあかりの手を引き、部屋から飛び出し。
別の「個室」に飛び込み、扉に鍵を掛けた。
私達を追いかけてくる足音はしない。
結衣は、まだあの部屋で呆然としているのだろうか。
それとも……。
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:26:12.04 ID:+iN8oBhB0
京子「はぁ……はぁ……はぁ……」
ちなつ「京子先輩……」
あかり「京子ちゃん……」
京子「これで、これできっと、大丈夫」
京子「多分、結衣はこの部屋に入って来れない」
京子「大丈夫だから、きっと」
京子「……もし駄目でも、また次の機会があるから」
京子「私には、私にはそれが」
京子「ふ、ふふふ、それが出来るから」
京子「何度でもやり直せるから、だから……」
京子「もし、今回殺されたとしても……」
京子「また、また殺されたとしても!」
京子「次が!」
ちなつ「京子先輩!」
京子「あ……」
ちなつ「落ち着いて、ください」
京子「……ご、ごめん」
あかり「……」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:26:49.21 ID:+iN8oBhB0
ちなつ「私には、事情の半分もわかっていません」
ちなつ「ただ、京子先輩がさっき必死に伝えて来たことを、信じてみただけです」
ちなつ「いえ、信じるまでも行ってませんでした」
ちなつ「半信半疑のまま、ただ、周囲に流されただけで……」
ちなつ「けど……」
京子「……」
あかり「……」
ちなつ「本当に、結衣先輩が犯人なんですか?」
ちなつ「本当に、3日目の京子先輩を殺した犯人なんですか?」
ちなつ「だとしたら、どうして?」
ちなつ「どうしてそんなことを……」
京子「それは……」
ドンドン
京子「……!」
ちなつ「……!」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:27:19.35 ID:+iN8oBhB0
ドンドン
「ねえ、京子、開けてよ」
「とても大事な話があるんだ」
「ねえ、開けて」
「……」
「いや、開けてくれなくてもいいや」
「ただ、私の言うことに、耳を傾けて欲しいんだ」
「とても」
「とても」
「とても、大切なことだから」
京子「な、なに?」
「死んで欲しいんだ」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:27:57.91 ID:+iN8oBhB0
「早く死んで欲しいんだ」
「一刻も早く」
「それが私の伝えたい事」
「……ああ、もう、本当ならもっとちゃんと話したいんだよ」
「私だって、京子と別れるのに顔も合わせれないのなんて嫌なんだ」
「けど」
「けど、仕方ないじゃないか」
「居間に置いてある道具ではこの扉を壊せないんだから」
「さっき、京子の個室の扉を壊すのに、椅子を全部使っちゃったから」
「だから」
「だからね、さっきみたいに自殺して欲しいんだ」
「出来るだろう、京子なら」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:28:36.89 ID:+iN8oBhB0
「いや、京子じゃなくてもいいよ」
「あかりや、ちなつちゃんでもいい」
「早く、早く京子を殺して欲しい」
「いそいで?」
「その個室にだってカッターナイフとかあるはずだよね?」
「どうしても無理だって言うなら、扉を開けてくれるだけでいい」
「私がやってあげるから」
「そうすれば一件落着」
「何なら、記憶を改竄してあげてもいい」
「姿さえ現してくれれば、私の能力が効果を発揮できるからね」
「ねえ」
「京子」
「ちなつちゃん」
「あかり」
「とびらをあけて」
「はやく」
「はやく」
「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:29:06.92 ID:+iN8oBhB0
ちなつ「ゆ、結衣先輩、落ち着いてください!」
「ちなつちゃん、早く、早く京子を殺して」
「お願いだよ、何でも言うことを聞いてあげるからさ」
ちなつ「結衣先輩……」
京子「だ、大丈夫、扉さえ開けなければ、大丈夫だから」
ちなつ「は、はい……」
あかり「……京子ちゃん」
京子「あかりも、大丈夫だから、何の心配も……」
あかり「……あかり、判っちゃった」
京子「え?」
ちなつ「あかりちゃん?」
あかり「あかり、判っちゃった!」
ちなつ「な、何がわかったのあかりちゃん」
あかり「うん!」
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:29:36.43 ID:+iN8oBhB0
「京子ちゃんが死なないと駄目だって判ったの!」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:30:13.37 ID:+iN8oBhB0
京子「……え?」
ちなつ「は……?」
あかり「あかり、どうして今まで気づかなかったんだろう」
あかり「急がないといけないのに」
あかり「どうしよう、どうしよう」
あかり「殺す方法がないよぉ」
あかり「あかり、ドジだからカッターナイフとか使っても京子ちゃんをうまく殺せるかわからないし」
「あけてあけて、はやくはやく」
あかり「あ、そうだ、そうだね結衣ちゃん、今開けるね」
ちなつ「あ、あかりちゃん!駄目!」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:31:08.05 ID:+iN8oBhB0
京子「あかりが、記憶を……改竄されてる?」
京子「けど、けど、結衣は姿を見ないと力を使えないって……」
あかり「待っててね、結衣ちゃん、今開けるから」
ちなつ「京子先輩!バスルームへ!」グイッ
京子「ふえ……」
バタンッ
ガタゴト
「あかり、ありがとう、京子とちなつちゃんは?」
「うん、ごめんね、この扉を開けてる隙に、バスルームに閉じこもっちゃった」
「そっか、仕方ないなあ、京子は」
「仕方ないねえ、京子ちゃんは」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:45:52.66 ID:+iN8oBhB0
「ねえ、京子ちゃん、あかりからもお願い」
「死んで欲しいの」
「今すぐ」
「はやく、はやく、はやく」
「バスルームの扉くらいなら何とか破れるけど」
「随分乱暴にしちゃうと思うからさ」
「京子だって、怪我するのはいやだろ?」
「だから、ほら」
「いそいで、いそいで、いそいで」
「はやくはやく」
「いそいでいそいで」
「すぐにしんで」
「ねえきょうこちゃん」
「ねえきょうこ」
「いそいでしんで」
「いますぐに」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:46:29.23 ID:+iN8oBhB0
「でないと」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:47:01.26 ID:+iN8oBhB0
〜バスルーム〜
京子「……」
ちなつ「……」
あかり「……」
京子「ちなつちゃん……」
ちなつ「は、はい」
京子「私って、死んだほうがいいのかな」
ちなつ「なに言ってるんですか」
京子「だって……だって……」
京子「こんなに二人から願われてるんだよ……」
京子「ずっと一緒だった結衣とあかりから……」
京子「こんなに、こんなに強く、死ぬことを願われていたなんて……」
ちなつ「……」
京子「わ、私は、私は、本当は」
京子「生きて居ちゃいけない人間なんじゃ……」
京子「だ、だったら」
ちなつ「……」
京子「だったら結衣達の言うとおり……」
ちなつ「……ああ、そうですか」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:47:31.58 ID:+iN8oBhB0
ガツンッ
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:48:02.52 ID:+iN8oBhB0
京子「いっ……」
ちなつ「……」
京子「……ったい……けど、あれ」
京子「血は出てないし……」
ちなつ「……」
京子「ちなつ、ちゃん?」
ちなつ「そりゃあ、血なんて出ないでしょうよ、普通に殴っただけですから」
京子「な、なんで」
ちなつ「あ、貴女は、よくも」
京子「ちなつちゃ……」
ガツンッ
京子「痛っ」
ちなつ「貴女はよくも!私の前で!」
京子「ちなつ……ちゃん……」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 00:48:39.36 ID:+iN8oBhB0
ちなつ「結衣先輩も!あかりちゃんもです!」
ちなつ「どうしてそんなに簡単に!」
ちなつ「死んだほういいだなんて!」
ちなつ「言葉の意味が判ってます!?」
ちなつ「死んだら!全て!終わりなんです!」
ちなつ「そんなことは子供だって……!」
京子「ちなつちゃん……」
ちなつ「子供だって……判るはずのこと、なんですよ……」
ちなつ「そんなことが判らない子供は、よっぽどの馬鹿で」
ちなつ「本当に、取り返しなんてつかないのに……」
ちなつ「つかないのに……」
京子「……ごめん」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 01:01:08.03 ID:+iN8oBhB0
ドンドンドンッ
「きょうこ、ねえ、あけて」
ドンドンドン
「きょうこちゃん、はやく」
ドンドンドン
「あけないと、とびらをこわすよ」
ドンドンドン
「いたくしないから、ね?」
ドンドンドン
京子(そうだ、私は生きるんだ)
京子(生きて、3日目の最後を迎えるんだ)
京子(ちなつちゃんと一緒に)
京子(いや、結衣やあかりだって)
京子(この密室を抜けさえすれば)
京子(きっと)
京子(きっと……)
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 01:01:48.36 ID:+iN8oBhB0
あれからどれくらい経過したのか。
私はちなつちゃんと一緒に、狭いバスルームに蹲り。
時を待つ。
3日目の最後の瞬間が訪れるのを。
外から何かが叩きつけられる音がする。
何かが壊れる音がする。
ガタガタガタ
バキバキバキ
バスルームの扉は既に隙間が開いていて。
その向こうが見えている。
そこには。
結衣とあかりの姿が。
二人は私達の姿を確認し。
ニコリと笑った。
そして隙間から手を入れて。
扉の鍵を。
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 01:02:15.31 ID:+iN8oBhB0
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164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 01:05:12.66 ID:+iN8oBhB0
≪下校のザザザザザザッになりました≫
≪生徒のザザザザザッは速やかにザザザザッ≫
≪ザザザザザッしますザザザザッの時刻になりザザザザッ≫
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/21(水) 01:05:45.28 ID:+iN8oBhB0
スピーカーからノイズと共に曲が流れる。
七森中学で下校の時間になると流れる曲。
いつもの「ごらく部」が終わる曲。
次の瞬間、全ての照明が消え、密室は闇に包まれた。
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 03:53:51.73 ID:u/2IZJqKO
続き来たー!
ありがとうございます
面白い
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 21:54:00.64 ID:cLwScVtC0
おもしろい
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 01:26:49.32 ID:TzuYqhixo
見事だわ 面白い
乙
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:17:32.96 ID:Y2XjxSTw0
≪これにて≫
≪密室は終了する≫
≪全ての事柄は決定され≫
≪それが覆されることはない≫
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:18:21.28 ID:Y2XjxSTw0
スピーカーからの声が聞こえる。
けれど、周囲はまだ真っ暗だ。
まだ、私たちは密室の中にいるのだろうか
それとも……。
「京子先輩!あそこ!あそこに光が!」
すぐ近くから、ちなつちゃんの声が聞こえた。
その声が示す通り、遠くのほうに光が見える。
あれは……。
「あれは、ごらく部の入口?」
そう、遠くの方に、ごらく部の扉が見える。
光り輝く扉が。
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:19:43.67 ID:Y2XjxSTw0
遠くと言っても、ほんの十数メートルだ。
走れば直ぐにたどり着くだろう。
「京子先輩!結衣先輩!あかりちゃん!」
「走りましょう!」
「あそこがきっと出口です!」
「あそこから出れば!」
「きっと元通りに!」
ちなつちゃんは、私達を促すと走り出した。
扉のほうへ。
何時もの日常が待つ、光の指すほうへ。
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:20:54.56 ID:Y2XjxSTw0
「そう、そうだよ、きっとあそこへ行けば」
「この密室さえ抜ければ、私たちは」
「きっと元通りに」
ちなつちゃんを追って走り出そうとする私の耳に、声が聞こえた。
結衣の声が。
振り返ると、結衣が蹲っていた。
あかりも、結衣の傍で、ポカンとした様子で座り込んでいる。
「な、何してるの二人とも」
「早く、早くここから出ないと!」
結衣は、何かを呟いている。
何を呟いているのだろう。
私に対する殺意?
憎しみ?
諦観?
いや、けど聞こえてきたのは……。
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:22:05.22 ID:Y2XjxSTw0
「おねがいします、おねがいします、おねがいします」
「もう一度、もう一度だけチャンスをください、おねがい」
「今度はうまくやるから、絶対うまくやるからおねがい」
「ああ、なんで、どうしてこんな事に、わたしは」
「わたしはこんな結末、望んでなかったのに、なんで」
「なんで、どうして、ああ、かみさま」
「おねがいします、たすけて、たすけて」
「どうか、どうかたすけてあげてください」
「おねがいします、おねがいします、おねがいします」
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:22:36.54 ID:Y2XjxSTw0
聞こえてきたのは、絶望だった。
立てなくなるくらいの絶望だった。
……。
……。
どうして?
私を殺せなかった事で……絶望している?
それくらいショックだった?
……いや、違う。
何かが。
何かがおかしい。
私は。
私はもしかしたら。
何かとんでもないものを見逃しているんじゃ。
何か取り返しのつかないことを。
やってしまったじゃ。
結衣がこんなになってしまうような事を。
だったら。
だったら、今からでも、それを思い出さないと……。
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:23:22.95 ID:Y2XjxSTw0
「君達にささやかながらプレゼントを贈らせてもらった」
「記憶を改ざん」
「つまりね、私はこの密室の中で、2回殺されてるの」
「このまま生きていても仕方ない」
「京子先輩はどんな特殊能力貰ったんですか」
「死んだ人を蘇らせることができるように」
「きっと犯人はごらく部には居ないんだ」
「このまま生きていても仕方ない」
「ちなつちゃんの能力を無力化して」
「……結衣は犯人じゃない」
「ここから出れば儚く消えてしまう物だという事を」
「生き返るはずなのにっ!なんでっ!」
「あかりが」
「嘘なんてつかないよ?」
「このまま生きていても仕方ない」
「ちなつちゃんが」
「おい京子、お前何言ってるんだよ」
「結衣が」
「うん、おきてるよ、ゆい」
「全ての事柄は決定され」
「覆ることはない」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:24:43.67 ID:Y2XjxSTw0
「……」
「……」
「……」
「……あれ」
「私、どうして」
「……どうして、あんな事を言ったんだろう」
「なんで、どうして」
「……」
「……」
「……あ」
「そうか……」
「……」
「そう」
「だったんだ」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:25:32.64 ID:Y2XjxSTw0
走った。
走った。
走った。
もうこんなのは沢山だ。
こんな密室は、もう嫌だ。
殺すとか殺されたとか、そんなのは嫌なのだ。
けど、ここさえ抜けてしまえば。
きっと。
きっと、何時ものごらく部に戻れるはず。
そう願って、私は走った。
あの扉のもとへ。
その甲斐あって、私は扉に手を伸ばし、開けることに成功した。
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 12:26:08.93 ID:Y2XjxSTw0
やった。
これで。
これで全部終わるんだ。
京子先輩も無事だったし。
結衣先輩やあかりちゃんだって、きっと密室さえ抜けてしまえば。
元に戻ってくれるはず。
「京子先輩!早く!」
振り向くと、京子先輩たちはまだ暗闇の向こうにいた。
「な、何やってるんですか京子先輩!結衣先輩!あかりちゃん!」
結衣先輩やあかりちゃんは反応すらしない。
蹲ったまま、動かない。
京子先輩だけが立ったっている。
暗闇の中で立っている。
「京子先輩!」
私の呼びかけに反応した京子先輩は。
ゆっくりと、振り返った。
その顔は。
ああ、その顔は……。
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:40:00.30 ID:Y2XjxSTw0
その顔は、笑顔だった。
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:42:30.27 ID:Y2XjxSTw0
≪ザッ≫
≪ザザザザザザッ≫
≪ザザッ≫
≪吉川ちなつ≫
何処かから、あのスピーカーの声がする。
不意を突かれた私は、思わず普通に返事してしまった。
「あ、はいっ?」
≪吉川さん≫
≪貴女の思いは≫
≪正しかった≫
≪この密室でただ一人≫
≪選択を誤らなかった≫
≪けど≫
≪ここで密室は終わり≫
≪貴女能力は、尽きる≫
≪尽きて果てる≫
≪……終わってしまうの≫
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:43:07.22 ID:Y2XjxSTw0
≪吉川ちなつの能力が消滅した≫
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:43:59.39 ID:Y2XjxSTw0
暗闇の中にいた京子先輩が、倒れた。
まるで糸が切れた操り人形のように。
まるで支えがなくなった死体のように。
力なく、床に倒れこんだ。
「京子先輩!?」
じわり、と京子先輩の周りに血のシミが広がる。
なんで、どうして。
……。
……。
もしかして、私の能力が。
能力がなくなったから?
私の「死んだ人を蘇らせる能力」がなくなったから。
既に死んでいた京子先輩は、死体に戻っちゃったって事?
そ、そんな。
せっかく三日目を迎えたのに、京子先輩はまた一日目に……。
……。
……。
あ、あれ。
けど、密室はもう。
終わっているから。
終わって、いるから……。
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:44:34.84 ID:Y2XjxSTw0
だったら、京子先輩は。
京子先輩は、どうなっちゃうの?
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:45:26.58 ID:Y2XjxSTw0
「おねがします、たすけてください、おねがいします」
「もういちどだけ、もういちどだけチャンスをください」
「たすけてください、おねがいします、おねがいします」
≪船見結衣≫
「おねがいします、おねがいします、おねがい、おねがい」
≪船見さん≫
≪貴女の願いは純粋だった≫
≪貴女の想いは純粋だった≫
≪けど≫
≪けどね≫
≪人の想いは踏みにじられるの≫
≪例えどんな純粋な思いを抱いていても≫
≪踏みにじられて終わらされてしまうの≫
≪だから≫
≪だからね≫
≪ ≫
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:51:29.79 ID:Y2XjxSTw0
≪船見結衣の能力が消滅した≫
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:52:29.80 ID:Y2XjxSTw0
≪赤座あかり≫
「……」
≪赤座さん≫
≪貴女は選択を誤った≫
≪自分の選択を他者に委ねるべきではなかった≫
≪けれど、その過ちもすべて終わる≫
≪ここで、すべて、終わってしまうの≫
≪何もかも≫
「京子ちゃん……ごめんね……」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/25(日) 14:52:59.97 ID:Y2XjxSTw0
≪赤座あかりの能力は消滅した≫
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/25(日) 19:36:36.61 ID:Rxe29xLSO
どうなる
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 13:00:42.24 ID:7UcRo8WpO
おぉー面白い!
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/31(土) 04:00:02.43 ID:5eoIhpJrO
この作品リアル三年くらい?待ってたから最近進んでくれて本当に嬉しいです!
応援してます
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/25(金) 23:23:19.81 ID:rmcz8/wSO
待ってる
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/17(金) 02:33:25.58 ID:Xc/EfoTpO
待ってます〜
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/10/16(火) 05:58:39.19 ID:oZcgGytDO
頑張ってくれ…
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/05/11(火) 10:27:21.23 ID:h7GVnlOg0
まだ待ってるぞい
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/20(月) 23:25:51.28 ID:Ok7YuCYi0
他のどっかで更新してたりがあったら教えて欲しい
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/23(木) 18:57:22.80 ID:pQm94RwxO
まだ待ってるのか…
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/04/19(水) 19:43:00.87 ID:dxyP8VW10
続き期待
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/08/11(金) 08:23:52.90 ID:cBCBAb260
正直何処まで書いたのか思い出せなかったけどほぼ完結直前までは書いてたのな
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/11/19(日) 12:40:56.68 ID:M+GsWYR10
誰かアイディアあれば続き書いても良いのよ
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荒巻@中の人 ★
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