杏奈「大切な日をあなたと」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/31(水) 21:42:19.04 ID:G4Ne6utAO
昼 事務所

杏奈「…………こんにちは」ガラッ

ロコ「……! アンナ、グッドアフタヌーンです!」

杏奈「……なんだ、ロコだけなんだ。挨拶、損したかも……」

ロコ「アンナ!? 開口ファーストに酷くないですか!?」

杏奈(お昼頃、学校を早退して事務所に来たけど。平日の昼間だからか、ロコしかいないみたい)

杏奈(ちなみにサボりじゃない、です……)

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:43:07.65 ID:G4Ne6utAO
ロコ「……まったく、アンナはもうっ」プンスカ 

ロコ「まあ、それはともかく」ゴホン

杏奈「?」

ロコ「アンナ、ハッピーバースデーです!」

杏奈(ハッピーバースデー、つまり今日は杏奈の誕生日)

杏奈(ロコはそう言うと、ロコは小包を渡してくる。外装は一目見てわかるくらいに独特な色合いだった)

杏奈「毒物……?」

ロコ「ノーウェイ! 違います!」

ロコ「これを作るためにいっぱいタイムをスペンドしましたからね!」

ロコ「さて、中身はなんだと思いーー」

杏奈「開ければ……わかるよね…………」ベリベリ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:43:39.60 ID:G4Ne6utAO
杏奈(ロコが何かクライしてるような気がするけど、気にせずに包装を剥がす)ベリリ

杏奈(包みの大きさの割にはずっしりと重い。もしかして結構高いものなのかも……)ベベベリ

杏奈「……これは」

ロコ「オルゴールです!」

杏奈(星型のオルゴール……だと思う。なんというか、ロコに改造されてて元の形が星なのかもちょっとわからないかも……)

杏奈(色々なところにカラフルな装飾が変わった配置でされていて、目に毒な印象、それでいてどこか心惹かれるような感じ)

杏奈「ありがとう、ロコ……」

杏奈(ロコのことだから、もっと使い道がないものかと…………。なんというか、意外……)

杏奈「素直に嬉しい……、かも……」

杏奈(杏奈がそう言うと、ロコは一瞬だけ顔を赤くした。……可愛い)

ロコ「ユーアウェルカムです!」テレッ

杏奈(ゆーあうぇる、何て……? まあいいや……)

杏奈「ロコ、照れてる……?」

ロコ「て、照れてないですから! とにかくおめでとうです! アンナ!」

杏奈(可愛い)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:44:07.93 ID:G4Ne6utAO
杏奈「うんうん、ロコは……照れてないよ…………」ナデナデ

ロコ「チャイルド扱いはストップです! っていうか、ロコの方がエルダーですから!」

杏奈(ふかふか……ふわふわ…………。羊みたい……)

杏奈(なんて、ロコをからかって遊んでいる時だった。ふと、音がした)

杏奈(パシャり、と)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:45:12.74 ID:G4Ne6utAO
杏奈「…………亜里沙?」

亜里沙「はい、ありさです! 可愛い写真、ありがとうございます!」

杏奈(音の方を向くと、いつものカメラを構えた亜里沙がいた)

杏奈(近づかれたことにすら気付けなかった…………。流石、亜里沙……いや、褒めないけど…………)

杏奈(どちらにしろ、迂闊だった…………これも全部)ムニ-

ロコ「ほへ!? は、はんな、なにを〜」ムニ-

杏奈(ロコのほっぺ、柔らかい…………。髪といい、一家に一台ほしいかも……)

亜里沙「ああっ! 良いですね、その光景! 写真が捗ります!」パシャパシャ

杏奈(…………亜里沙の写真は、後で回収しよう)
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:46:53.19 ID:G4Ne6utAO
亜里沙「杏奈ちゃん! お誕生日おめでとうございます!」

杏奈「…………ありがと」

亜里沙「……リアクション、薄くないですか?」

杏奈「亜里沙が盗撮さえしなかったら、普通に喜べたんだけど…………」

亜里沙「あちゃー。今度からはバレないようにやりますね!」

ロコ「そういうプロブレムでしょうか……?」

杏奈(まあ……でも、やっぱり他人に祝ってもらうのは嬉しいかも…………)

杏奈(アイドルになる前は……両親からしか、貰えなかったし…………)

亜里沙「ちなみに、しっかりとプレゼントも用意してます!」

杏奈「へぇ……。亜里沙、ありがとう」

杏奈「ちなみに、どんなプレゼント?」

ロコ「カメラとかですか?」

亜里沙「それはですねー」

杏奈(亜里沙はそう言うと人差し指を立てて……自分を指差した)

亜里沙「私です!」

ロコ「……はい?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:47:36.34 ID:G4Ne6utAO
杏奈「亜里沙……用意出来てなくても、杏奈は気にしないよ…………」

亜里沙「ふっふっふー。安心してください、杏奈ちゃん。このありさに抜かりはないです」

杏奈「と、言うと…………?」

亜里沙「今日一日、ありさが杏奈ちゃんから離れずに、杏奈ちゃんの写真をいっぱい撮ります!」

杏奈「ありがとう亜里沙、杏奈気持ちだけもらうね……」

ロコ「アリサ……」

亜里沙「ウケが悪いです!?」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:48:18.43 ID:G4Ne6utAO
亜里沙「じゃあありさはレッスンがあるのでこれで……」ショボ-ン

杏奈(と言ってレッスンルームに向かおうとする亜里沙は、気落ちしてた)

杏奈(少しだけ、罪悪感…………。だけど、プレゼントをもらう訳にもいかないし……)

杏奈(……! 良いこと思いついたかも…………)ピキ-ン

杏奈「亜里沙……」

亜里沙「はっ、はい。どうかしました杏奈ちゃん」

杏奈「写真、プレゼントってことで、一枚だけ撮って欲しいなって……」ギュ

杏奈(逃げないようにロコの手を握っておこう……)

ロコ「そうですね! アンナの誕生日ですから!」ギュ

亜里沙「……はいっ! 任せてください!」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:49:21.23 ID:G4Ne6utAO
亜里沙「ではでは、二人とも笑ってーー」カチャカチャ

杏奈(表情を明るくした亜里沙が、杏奈達の正面に立ってカメラを向けていた)

杏奈(……?)

杏奈「亜里沙……何してるの…………?」

亜里沙「え? 今度こそ普通に写真を撮ろうと……」

杏奈「そうだけど……そうじゃなくて、だから…………」

ロコ「アリサもフォトグラフに写るように撮りましょう! ってアンナは言いたいんですよ!」

杏奈(むっ……言いたいこと、言われた…………後でお仕置き)

亜里沙「い、良いんでしょうか」

杏奈「亜里沙……」

亜里沙「は、はい!」

杏奈「隠れてパシャパシャされるのは嫌だけど…………。亜里沙の写真は嫌いじゃないよ……」

杏奈「せっかくの誕生日だから、笑って写真……撮って……?」

亜里沙「っ! はい!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:49:48.81 ID:G4Ne6utAO
杏奈(今度はしっかり三人写るように写真を撮る)

杏奈(良い誕生日……なんて、思った…………)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:50:32.98 ID:G4Ne6utAO
杏奈(亜里沙とロコはそれぞれレッスンに行って、私はバースデーライブの準備まで少しだけ暇だった)ピコピコ

杏奈(このゲーム……極め切っちゃったかも…………。新しいの買おうかな……)ピコ

杏奈(……あっ。でも、誕生日プレゼントで、誰かがゲームをくれるかも…………)ピコ

杏奈(プロデューサーとか……あとーー)

杏奈「百合子さんとか……」

杏奈(百合子さん……今日、会いたいな…………)

杏奈(プレゼントが欲しいとかじゃなくて…………普通に会いたいかも……)

杏奈(せっかくの、誕生日だから…………大好きな人に、祝ってもらいたい……)
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:51:11.33 ID:G4Ne6utAO
杏奈(ーーって、あれは)

杏奈「百合子さん?」

杏奈(視界の端を紺色の髪が駆けていった。ついつい、杏奈の足はそっちへ向いていく)

杏奈(気のせいか、杏奈が追い始めると百合子さんの速度も速くなっていくように見えた)タタタッ

杏奈(ライブ前だから怪我しないように……っと…………)

杏奈(そういうことを気にしたせいか、百合子さんへはなかなか追いつけない)

杏奈(だけど、この先は倉庫しかないはず……。隠れるところはどこにもーー)

??「ここは通しません」

杏奈「……えっ」

杏奈(そんな杏奈の前へ躍り出る人影が一つ)

杏奈(見覚えは……とても、あった…………)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:52:18.46 ID:G4Ne6utAO
??「今に限っては、私は壁です。真壁だけに……決して身体のことじゃないぞ」

杏奈(そんな、いつも通りのユニークなジョークを口にする彼女が、杏奈の追跡を妨害していた)

杏奈「瑞希さん……!」

瑞希「はい、瑞希です。それと望月さん、ハッピーバースデーです」

杏奈「ええっと…………ありがとう?」

杏奈(反射的にお礼を言ったけど…………イマイチ、状況がわからない……)

杏奈「瑞希さん……。今、百合子さんが奥に行ったよね………?」

杏奈「それで……杏奈、そこを通りたいな、って…………」

瑞希「すいません、望月さんの頼みでもそれはできません」

杏奈「どうして……?」

杏奈(これじゃあ……まるで、百合子さんに会わせたくないみたい…………)

瑞希「七尾さんに頼まれたので」

杏奈「百合子さんに……?」

瑞希「はい」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:52:58.83 ID:G4Ne6utAO
杏奈(瑞希さんのその短い言葉を飲み込むまで少しだけ時間が必要だった)

杏奈(百合子さんが、杏奈を避けている)

杏奈(いつでも杏奈と一緒にいてくれた百合子さんが…………)

杏奈(その現実を突きつけられて、それからの記憶はちょっと曖昧で)

杏奈(気づいたら杏奈は事務所のソファでふて寝をしていた)

杏奈(誕生日なのに……気分悪い…………。さいあく、かも……)

杏奈「むむぅ…………」

杏奈(バースデーライブまで寝ちゃおうかな、なんて思ってたその時)

杏奈(事務所のドアが勢いよく開け放たれた音がした)

杏奈(眠気も吹っ飛んじゃった………。ちゅどーん……)
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