魔王「勇者よ、吾輩のペットになれ!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 16:24:21.83 ID:yTuXnzcmO
勇者「グハァッ!」

魔王「フハハハハ! 他愛もない!」

魔王「世界を救うと民に約束した男が、無様に這いつくばっておるわ!」

勇者「くそ……誤算だった……」

勇者「まさか……世界を滅ぼそうとしている魔王が……」

勇者「こんな……可愛らしい女の子だったなんて!」

魔王「……ふえっ!」

魔王「かっ……可愛いだと! 何を言ってるんだ貴様!」

勇者「僕は……君に一目惚れしてしまった」

勇者「だから……もう、魔王を倒すことは……できない」

魔王「そ……それってつまり、降伏なんだよね……っと、危ない危ない」

魔王「フハハハハ、これで勇者、貴様は戦えなくなったわけだが?」

魔王「貴様、その傷ついた体で……その……どうするつもりなのよ……じゃなかった」

魔王「これからどうするつもりなのか聞かせてもらおうか! まだ歯向かうか? それとも、吾輩の下僕に成り下がるか?」

魔王「敗者の貴様が選べるのは、二つに一つ! さあ選ぶがいい!」

勇者「……にしてください」

魔王「なんだ、聞こえんぞ?」

勇者「俺を……あなたのペットにしてくださいっ!」

魔王「え……ふええっ!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495524261
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/23(火) 16:24:43.16 ID:yTuXnzcmO
みたいなのどうよ?
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 16:33:33.25 ID:+HmYxClSO
VIPに帰った方がいい
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 16:41:48.57 ID:yTuXnzcmO
魔王「わっ……吾輩が言ったのは……」

魔王「別に……ペットじゃなくて、下僕って言ったのに……」カミノケクリクリ

勇者「ダメ……でしょうか?」ウルウル

魔王(なっ! なんだこの勇者……!)

魔王(今まで挑んできた奴と……雰囲気が違う!)

魔王(そんな目をされたら……断れないじゃん……)

魔王「い……いいだろう。では貴様、これから吾輩のペットとして生きるのだ。吾輩に忠義を尽くし、その命を捧げるつもりで働け。いいな?」

勇者「はい! 喜んで!」

魔王(な……なんなのこいつ)

魔王(これから、ただ使い潰されるだけの人生が待っているのよ?)

魔王(なのに……こんなに目を輝かせて……)

魔王(全く……調子狂っちゃうな)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:04:45.99 ID:yTuXnzcmO
魔王(あれから、2日が経ったわけだけど)

魔王「あのさ……君、いつまで……って、違った」ブンブン

魔王「貴様……いつまでこの部屋に居座るつもりだ?」

勇者「え、だって、君が言ったんじゃないか。君のペットになれって」

魔王「あれはっ、貴様が言い出した事だろう!」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:05:24.55 ID:yTuXnzcmO
魔王「吾輩は……普通に手下として、城の掃除とか、雑用をやらせようと思っていたのだ」

魔王「なのに貴様といったら……朝から晩まで吾輩の周りをウロチョロウロチョロ」

魔王「吾輩が風呂で休んでいる間、風呂場の前で待機してたりとか」

魔王「挙句の果てにはっ……トイレまで!」

魔王「貴様っ、実は変態だろう!」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:05:50.62 ID:yTuXnzcmO
勇者「人聞きの悪い……だから、言ったはずだよ」

勇者「君に……一目惚れしたんだって」

魔王「……っ!////」

魔王「一目惚れって……バッカじゃないの!? 全く……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:06:20.55 ID:yTuXnzcmO
魔王「大体貴様……世界を救うんじゃなかったのか?」

魔王「貴様、吾輩と初めて会った時に言っていたじゃないか」

勇者『君が世界を滅ぼすという魔王だね。なら俺は、世界を救うために君と戦う!』

勇者「ああ……」

勇者「気が変わったんだよ」

魔王「……何だと?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:06:48.75 ID:yTuXnzcmO
勇者「正直、信じられなかったんだよ」

勇者「魔王が、世界を滅ぼそうとしているなんて」

勇者「しかも、肝心の魔王は美少女だったし」

魔王「びっ……美少女って、貴様……馬鹿にしているのかっ!?」

勇者「可愛いは正義! いつの時代も、これは例外なく不変の事実だ!」

勇者「つまり、君が世界を滅ぼすだなんてあり得ないのさ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:07:16.79 ID:yTuXnzcmO
魔王「……貴様、馬鹿か」

魔王「吾輩は……私は、この世界を滅ぼしたいと、本気で思ってるよ」

魔王「心の底から……この世界が憎い」

魔王「……どうだ? これでも貴様の考えは変わらないか?」

魔王(……何も言わない、か)

魔王「悪いことは言わん。さっさとこの城から立ち去れ」

魔王「ペットの件はもう、どうでも良くなった」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:07:42.24 ID:yTuXnzcmO
勇者「……」スタスタ

魔王(フン……味方なんて、いるわけない)

魔王(だって私は……この世界では、絶対悪なんだから)

勇者「はい」

魔王「って……何をしている? このティーカップはなんだ?」

魔王「まさか、毒でも盛ったのか?」

勇者「そんなわけないだろ。ただの紅茶さ」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:08:09.75 ID:yTuXnzcmO
勇者「食堂の戸棚に置いてあった。きっと、入れてくれる人もいなかったんだろ?」

魔王「……この匂い」

魔王(……お母……さん)

魔王「フン……どうせ、吾輩には毒などきかん。飲ませてもらうとしよう」

魔王「……温かい」

勇者「そりゃそうだよ。入れたばかりなんだから」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:21:48.21 ID:yTuXnzcmO
魔王「うーん……」

魔王(……朝、か)

魔王「ふあー……えっ!」

魔王(勇者が……私のベッドの上に!)

魔王「きゃああああああああああああ!」

勇者「うわあっ!」

勇者「何すんだよ! いきなりベッドから落としやがって!」

魔王「あ……アンタ! なんで私のベッドで寝てんのよ!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:22:15.11 ID:yTuXnzcmO
勇者「なんでって……君、昨日の事覚えてないの?」

魔王「……昨日?」

勇者「昨晩、君が酷くうなされていたから、起こしてあげようと思って一度起こしたんだ」

魔王(ああ……こいつ、いつも私の部屋にいるもんね)

魔王(何にもしてこないから、私も気にしないことにしたけど)

勇者「そしたら君、俺をベッドに引きずり込んだじゃないか。本当に覚えてない?」

魔王(べ……ベッドに引きずり込んだですって!?)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:22:44.23 ID:yTuXnzcmO
魔王「そんなの……覚えてない」

魔王(確かに……何だか、久しぶりにお母さんの夢を見た気がする)

魔王(きっと、昨日の紅茶で思い出したからだわ)

魔王(何よ……こいつのせいじゃない!)

魔王「もうっ、最悪! なんで朝からこんなにイライラしなきゃいけないのよ!」

勇者「あ、素が出た」

魔王「……え?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 17:23:12.86 ID:yTuXnzcmO
勇者「自分で気づいてないの? 君、話し方とか無理に悪者っぽくしてるけど」

勇者「たまに、女の子っぽい口調になってるよ?」

魔王「な……!////」

魔王「う……うるさいうるさい! さっさと出てけっ! この変態っ!」

勇者「いってえ! だから、変態じゃないって……」

魔王(はあ……ようやく出て行った)

魔王(どうせ、扉の向こうで待機してるんでしょうけど、ね)
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/23(火) 17:33:24.80 ID:yTuXnzcmO
とりあえずここまで
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 18:07:44.32 ID:JgXO5Qkyo
期待
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:11:50.68 ID:yTuXnzcmO
魔王「……やっぱり」

勇者「ああ、丁度良かった。朝食の準備できてるよ」

魔王「朝食って……アンタ、私のこと人間だと勘違いしてない?」

魔王「私は魔族。大気中のマナを吸っていれば生きられるの。だから別に、ご飯なんか……」

勇者「食べられないわけじゃないだろ? ほら、早く座りなよ」

魔王(……いい匂い)
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:12:21.97 ID:yTuXnzcmO
魔王「し……仕方ないわね。別に、本当はぜんっぜん欲しくないけど? 仕方なく、食べてあげるわ」

勇者「はいはい、冷めないうちにね」

魔王(ご飯に、味噌汁、お浸しに焼き魚)

魔王(……和食って、朝から随分と健康的ね)

魔王(でも……思い出す)

魔王(お母さんも、朝はパンを焼いてくれたっけ)
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:13:34.73 ID:yTuXnzcmO
勇者「いただきまーす」

魔王「いっ……いただきます……」

勇者「それで、今日は何か用事はあるの?」

魔王「無いわ。昨日と同じ、城の掃除をして終わりよ」

勇者「こんなにだだっ広いのに、君以外の住人はいないわけ?」

魔王「……いない。10年前から、私一人で住んでるわ」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:14:23.77 ID:yTuXnzcmO
勇者「……おかしいな。聞いていたのと大分違う」

魔王「そういえば……私が世界を滅ぼすなんて信じられないって、アンタ言ってたわよね」

魔王「どうしてそう思ったわけ?」

勇者「……10年前の、戦争が終わってからさ」

勇者「この辺りは、随分と平和になったんだよ」

魔王(10年前……ね)

勇者「人間を襲う魔族が現れて、たくさんの人が犠牲になった」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:14:55.81 ID:yTuXnzcmO
勇者「そこで、勇敢な人々が、武器を持って次々と立ち上がったんだ」

勇者「人間側と、魔族側……結局、その戦争は……」

魔王「人間側が、圧倒的な数で魔族を滅ぼした」

魔王「……いいの? ここに、人間が滅ぼしたはずの魔族の生き残りがいるわよ?」

魔王「殺すべきなんじゃないの? 人間なら」

勇者「……なら、逆に聞くよ」

勇者「どうして君は、俺を殺さないんだ?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:15:32.16 ID:yTuXnzcmO
勇者「魔族は……人間のマナを吸い取って、そうやって生きているんだろう?」

勇者「目の前にある食料に……どうして手をつけようとしないんだ?」

魔王「……自分で飼っている愛玩動物を、食料にする飼い主がいると思う?」

魔王「それに……アンタのマナは、私じゃとても吸い尽くせないわよ」

勇者「君は……」

魔王「はいはい、この話おしまい。美味しかったわ、久しぶりの朝食」

魔王「ごちそうさま」

勇者「……ああ」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 18:16:11.94 ID:yTuXnzcmO
書いたから上げた。その内また更新します。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 19:14:30.20 ID:dkZZufeQO
書いたらまた頼むぞ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 19:33:28.53 ID:yTuXnzcmO
魔王(まあ……世界を滅ぼすなんて、ね)

魔王「……何を今更騒いでるのかしら」

魔王(魔族なんて、とっくに絶滅危惧種でしょ)

魔王(もしも生き残りがいたとしたら……)

魔王(私と同じように、親に守ってもらったとか、かな)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 19:34:08.86 ID:yTuXnzcmO
魔王(とにかく今の私達には、人間を滅ぼすような力なんて残ってない)

魔王(勇者は……どうしてこの城を選んだのかしら)

魔王(10年前は、たくさんの魔城があったけど……今はほとんど壊されてるし)

魔王(残ってるのは、人間を襲わなかったからほとんど侵入されず、当時のまま残っている、お父さんとお母さんの城……ここだけってことか)
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 19:34:52.12 ID:yTuXnzcmO
勇者「戦争……か」

勇者(あんな可愛らしい女の子が、人間を滅ぼそうと考えているだなんて……俺には思えない)
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 19:35:21.12 ID:yTuXnzcmO
国王『勇者よ』

勇者『はっ』

国王『近頃、魔族が再び人間を襲い始めた』

国王『もう一度、戦争が起きるかもしれん。偵察に行ってくれないか?』

勇者『……承知致しました』

国王『何人か護衛をつけよう。おい、手練れを……』

勇者『いえ、必要ありません』

国王『……ふむ。お主ほどの使い手では、護衛など寧ろ足手まとい……と』

国王『いいだろう。今のお主の魔力には、かつて我らが戦った魔王ですら到底及ぶまい。心配はしておらんが……無事に帰ってくるのだぞ』

勇者『はい、了解しました』
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 19:35:55.64 ID:yTuXnzcmO
勇者(それがまさか……肝心の魔城に住む魔族が、たった一人だけって)

勇者(しかも、唯一の魔族が、年下にしか見えない女の子で)

勇者(彼女は……自分で魔王だって言ってたけど、多分嘘だ)

勇者(だって魔王は……先代の勇者が討伐したんだから)

勇者(……こんな状態で、どうして戦争が起こるんだよ)

勇者(一応、偵察ってことで来たから、彼女を監視することにしたけど)

勇者(何だか、女の子の私生活を覗いているみたいで……背徳感がすごいな)
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 19:36:39.89 ID:yTuXnzcmO
チマチマ更新していきます
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 21:43:55.75 ID:yTuXnzcmO
魔王「えっ……帰るの?」

勇者「うん。一度、王国の様子を見ようと思って。ほら、俺ってこんなんでも勇者だから」

魔王「ふーん……ペットの分際で、生意気」

勇者「……また戻ってきますよ、ご主人様」

魔王「なっ……////」

魔王「ご主人様って……このバカ! バカバカバカ!」

魔王「もう知らない! 勝手にすればいいでしょ!」

勇者「ハハ……じゃあ、また来ますから」

勇者(一目惚れしたっていうのは……嘘じゃないからな)
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/23(火) 21:49:39.34 ID:yTuXnzcmO
勇者「派遣隊が全滅した!?」

国王「ああ、残念ながらな」

勇者「そもそも私は、護衛は必要ないと申し上げたはず! 何故援軍を!?」

国王「……いかに勇者といえど、多数の魔族が存在した場合、多勢に無勢であると判断したのだ」

国王「戦力は多い方がいい」

勇者「馬鹿な……魔族など、たった一人しかいなかった……」
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