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男「余命1年?」女「……」
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47 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 16:13:07.55 ID:ZGQSyYBoO
編集長「……なるほど、事情は分かった。ならば、この内容も納得できる」
男「やはり……出版は難しいと」
編集長「できないわけではない」
男「っ! 本当ですか!?」
編集長「ただ、な」
男「……?」
編集長「彼女がこれを、本当に作品として売りに出したいのか。そのつもりで書いたのか。
……それが知りたい」
48 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 16:15:08.00 ID:ZGQSyYBoO
男「それは、一体どういう……」
編集長「俺が今言ったことを、そのまま彼女に聞いてみてくれ。
多分……それで、彼女の本心が聞けるさ」
男「……分かりました」
49 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2017/05/19(金) 16:15:45.55 ID:ZGQSyYBoO
続きは夜書く予定
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/19(金) 21:40:29.57 ID:fAFHiRAFO
色々パクって繋ぎ合わせただけじゃね?
51 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:03:54.12 ID:wLksGJ8QO
男「ふー……」
男(早めに仕事切り上げて、編集長のいう通り女さんから話を聞こうと思ったけど……)
男(6時過ぎてんのに、まだ公園にちびっ子が数人残ってやがる)
男(……げっ、こっちきやがった)
ちびっ子A「ねーねー、おじさん」
男「おっ、おじ……何かな、ボク?」
男(いかんいかん、こんな子供にイライラしてたらみっともないぞ)
52 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:04:41.53 ID:wLksGJ8QO
ちびっ子A「おじさんは、ニートなの?」
男「……何だって?」
ちびっ子B「ぼくのママが言ってたの。幼稚園の日に、公園のベンチに座っている男の人はニートだから、話しかけちゃだめだよって」
男(小さい子に何教えてんだ母親……!)
男(つーか、思いっきり話しかけてんじゃねえかよ!)
男「ボ、ボク? おじさんはね、ニートじゃないんだよ」
53 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:05:21.03 ID:wLksGJ8QO
ちびっ子A「なら、おじさんは誰? 暇なの?」
ちびっ子B「ぼくのママがね。暇そうにしてる男の人はロクデナシだから、話しかけちゃだめだよって言ってたの」
男(おかあさああああん! あんまり変な事教えないでえええええ!)
男「あ、あのなあ……」
女「フフッ……何してるんですか、男さん?」
男「や……やっと来てくれた」
ちびっ子A「お姉さん、だあれ?」
男(女さんはお姉さんなのかよ。俺、一応まだ25だぞ?)
54 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:05:52.55 ID:wLksGJ8QO
女「私はねー……えっと、そういえばもう学生じゃなかった」
男「こっ、この人を待ってたんだよ、おじさん。だからここにいたの。彼女は、おじさんの知り合いだよ!」
ちびっ子A「しりあいー?」
男(あー、まだ分かんねえか。幼稚園児だもんな)
55 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:06:24.60 ID:wLksGJ8QO
ちびっ子B「おじさんとお姉さんは、ふーふなの?」
男「ブッ――」
男(その可能性を考えてなかった!)
ちびっ子B「あのね、ボクの……むぐっ」
男「うんわかったわかった、それ以上言わなくていいぞー」
女「男さん、口を押えちゃ可哀そうですよ」
男「え、ああ……ごめんな」
ちびっ子B「んーん、楽しかった」
男「そうかよ……」
56 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:07:45.84 ID:wLksGJ8QO
ちびっ子A「あのね、ボクのおともだちのお母さんがね。
男の人と女の人が一緒にいたら、その二人はふーふだから、話しかけちゃダメなんだって言ってたの」
男(そっちかーい!)
女「夫婦……////」
男「あはっ……あははは」
男(もうどうにでもなれ……)
57 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:26:39.60 ID:wLksGJ8QO
男(マセガキの戯言に過ぎない……とは分かっているが、予想外にでかい爆弾だったな)
男「あのー……さっきのは、あんまり気にしないでね?」
女「え? ああ、あの子供達の話ですよね。気にしてませんから、安心してください」
男「そう、なら良かった。……それで、本題なんだけど」
女「は、はい……その、どうでしたか?」
男「結論を言えば、通ったよ」
女「ほ……本当ですか? ……やったあ! 嬉しいです!」
男(おいおい、ガッツポーズなんかしちゃってまあ……)
58 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:27:11.43 ID:wLksGJ8QO
男「でも……編集長から、どうしても君に聞いておきたいことがあるって、言伝を預かってきた」
女「言伝……ですか」
男「君は、あの原稿を……本当に作品として売るつもりで書いたのか」
女「……」
男(編集長は、そう聞けば彼女の本心が分かると言っていたけど……未だにそれがどういう意味なのかわからない)
女「そう……ですか」
男「編集長の言い方だと、どうやら後は、君が了承するだけで出版できるみたいなんだ」
男(普通なら、了承するに決まってる)
男(だって、自分の書いた原稿が、本として世の中に出るんだぞ。そんなに嬉しい話があるか?)
男(こんなの、断るわけが……)
59 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:27:38.11 ID:wLksGJ8QO
女「……ごめんなさい」
男「……え?」
女「この話……無かったことにしてください」
60 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:37:01.52 ID:wLksGJ8QO
男「なんで……どうして!?」
女「ごめんなさい……ごめんなさい」
男「いや、謝って欲しいんじゃない! どうして、こんな旨い話を断るんだ!?」
女「それは……」
男「まさか……売りに出すつもりで書いたんじゃないって、そういうことなの?」
女「……」
男(無言……肯定なのかよ)
61 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:37:38.34 ID:wLksGJ8QO
男「どうして? だって、夢だったじゃん! 二人で協力して、君の本を出版しようって。君も、そう望んでたんじゃ……」
女「確かに……私の本をみんなに読んでもらえたら、それほど嬉しいことはないです」
男「だったら……!」
女「……でも」
男(女さん、顔……酷い顔だ。今にも泣きそうな)
男(でも……綺麗な顔だ)
62 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:38:04.68 ID:wLksGJ8QO
女「この本は、あなたに……男さんに読んでもらうために書いたんです」
男「え……だって、この原稿は絶対に通したいって……そう言ってたじゃないか」
女「そうです。この原稿が通れば、男さんに、面白いって認められたことになりますから!」
男「認められるって……確かに、面白かったけどさ……」
男(分からない……分かんねえよ。何を言ってるんだ)
男「つまり……あの原稿は、売りに出したくないって……そういうこと?」
女「……はい」
63 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 22:45:08.47 ID:wLksGJ8QO
男「……分かった。そう……編集長に伝えておくよ」
女「あの……」
男「……なに?」
女「また……書きますから。だから……えっと」
男「……はあ。分かってるよ。また、取りに来るさ」
女「……! ありがとうございます!」
男(メッチャ嬉しそうな顔。これで……良かったのかな、本当に)
64 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2017/05/19(金) 22:46:14.66 ID:wLksGJ8QO
とりあえずここまで。パクッてつなぎ合わせたってのは否定できない。
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/19(金) 22:56:14.48 ID:+aWnIZ77o
面白いならいんだよ、こまけえこたあ(松田鏡二
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/19(金) 23:39:22.03 ID:BbcYX/6HO
おもしろいから問題ない
67 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 23:57:00.07 ID:wLksGJ8QO
男(一度は、払拭しかけていた彼女の第一印象だったけど)
男(これで、また振り出しだ)
男(彼女は……この世に自分の生きた証を残したいと、本気で思っているのだろうか)
男(本当に……この世に未練なんて、ないのだろうか)
68 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 23:57:38.02 ID:wLksGJ8QO
男(本当に……この世に未練なんて、ないのだろうか)
編集長「なるほど……大体予想通りだ」
男「どうして……彼女は、出版を断ったんでしょう。私には……まるで理解できません」
編集長「なるほど。まあ、お前の言う事も分かる。どっちが正しいかと言われれば、世間一般ではお前だろうな」
男「だって、そんなの当たり前ですよ。自分の書いた本を、たくさんの人に読んでもらえるんです。
自分の書いた本を、たくさんの人の手に取ってもらえるんです。そんなに嬉しい事が……他にありますか?」
69 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 23:58:04.20 ID:wLksGJ8QO
編集長「男は、小説の応募経験があるんだったな」
男「……? はい、そうです。どれも、選考落ちでしたけど」
編集長「それなら……彼女の感情が、お前に理解できないのも仕方のないことだ」
男「女さんの……感情……」
編集長「男。作家が……人が、物書きをしたいと思う時は、一体どんな時だと思う?」
男「物書きを……? そんなの、本を出したい時に決まってるじゃないですか。誰かに読んでもらいたいからです」
編集長「まあ、そうだな。それもある。だが……その根本にあるものは、一体何だと思う?」
70 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 23:58:36.15 ID:wLksGJ8QO
男「根本に……あるもの?」
男(人が文章を書く時なんて……自分を表現したいだとか、それで食っていくためだとか、そんな時じゃないのか?)
編集長「……分からないか。それなら、答え合わせだ」
編集長「人が物書きをする理由はな……誰かに、自分を認めて欲しいからだよ」
男「誰かに……認めて欲しいから?」
編集長「そうだ。世の中に自分の存在を認知されたい。もっと有名になりたい。自分の文章力を評価してほしい」
男「それが……根底にあるってことですか」
71 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 23:59:10.65 ID:wLksGJ8QO
編集長「男もそうだろう。小説を投稿した時、そんな風に思ったことは無かったか?」
男「それは……」
男(小説を書かなくなってから、随分時間が経っている。
あの時の自分が、一体何を考えていたのか。はっきりと思い出すことはできない)
男(ただ……少なからず、そんな気持ちがあったのだろう)
男(小説を投稿する理由は、作家になりたいから。たったそれだけでいい)
72 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/19(金) 23:59:49.30 ID:wLksGJ8QO
男「でも……だったら、なおさら彼女が断る理由なんて」
編集長「女さんは、他に何か言ってなかったか?」
男「他に……?」
女『この本は、あなたに……男さんに読んでもらうために書いたんです』
男「確かに……言ってました。あの原稿は……」
編集長「なら、それが彼女の本心だ。彼女は、そのために書いたのさ。
ただ……その対象が、今回は少し狭かった。ただそれだけの事だ」
男(本当に……俺のために?)
男(ただそれだけのために……あの原稿を?)
73 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 00:00:26.94 ID:yXRXWGwnO
男(原稿……もう一回読んでみようかな)
男(……主人公が、ある男性と約束を交わす)
男(いつか、必ず二人で海を見に行こう)
男(足の動かない主人公は男性に連れられて、ようやく彼と海へ行ける算段が付いた)
男(だが……急激に薄れていく、主人公の意識)
男(聞こえるのは、もう彼の声だけで……)
男(主人公は車椅子に乗せられ、初めての海へ辿り着くが……既に、全身が動かない。目も見えない。
あるのは、彼の声と、触れられた肌の感触だけ)
74 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 00:01:19.68 ID:yXRXWGwnO
男(そうして……初めての海で、主人公は息絶える)
男(やがて、天国に辿り着いた主人公は)
男(自分を追って天国までやってきた彼と、永遠の愛を誓うのだった……)
男「……ホント、これ以上ないくらいのバッドエンドだ……おもしろいけど」
男(女さんは……これを、俺のためだけに書いたのだろうか)
男「彼女が、俺に伝えたかった事……」
75 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 00:03:36.09 ID:yXRXWGwnO
男(まさか……もし自分が死んだら、追いかけてきて欲しいとか?)
男「ハハッ、まさかな」
男(そんなわけ……ないよな?)
男(……なんだか、無性に怖くなってきたんだが)
男「……直接、聞いてみるか」
76 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2017/05/20(土) 00:05:44.45 ID:yXRXWGwnO
そろそろ眠気に負けそうなので、ここまで。なるはやで更新します。
>>65
>>66
ありがとうございます。ご期待に沿えるよう頑張らせていただきます。
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 00:29:18.33 ID:0GCJFpxCo
天国で結ばれるならbad endではないと思う
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/20(土) 14:29:43.95 ID:yXh01y5sO
ゆっくりでいいからちゃんと完結して欲しい
79 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:39:37.57 ID:l8gu9FaAO
男(この公園で彼女を待つの、何だか慣れてきたな……)
女「お待たせ……しました」
男「ああ。大丈夫、そんなに待ってないよ」
女「それで……お話っていうのは?」
男「うん。ちょっと……この間の作品のことで、聞きたいことがあって」
80 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:40:29.22 ID:l8gu9FaAO
女「……!」
男(うわ……明らかに動揺してる)
男「その……俺に読んでもらうためって、結局どういう意味なのかな……って」
女「……本当に、分かりませんか?」
男「ああ、ごめん。俺には……」
81 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:41:17.12 ID:l8gu9FaAO
女「あの……あの小説はっ……私の……」
男「……?」
男(女さん……いつになく必死だ)
女「私のっ……想いの全てです」
男「想い……女さんの?」
女「はい……分かって、いただけましたか?」
82 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:41:56.84 ID:l8gu9FaAO
男「……えっと」
男(想いって……どういう事だよ)
女「で……ですから……////」
男(顔なんか真っ赤にしちゃって……真剣なのは伝わるんだけど)
男「えっと……つまり……」
女「っ……はい……」
83 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:42:26.64 ID:l8gu9FaAO
男(よく思い出せ……あの小説の内容を)
男(主人公は、何を求めていたのか)
男「つまり……君は」
男「君は……海に行きたいのかい?」
女「…………はい?」
84 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:49:37.94 ID:l8gu9FaAO
男「いやー、それなら早く言ってくれれば良かったのに。取材ならいつだって付き合うよ」
女「あの……どうして、そういう結論になるんです?」
男「え? 違うの?」
女「……ハア。男さん……失礼ですが、経験はお持ちですか?」
男「経験って……なんの?」
女「察しが悪すぎます。恋愛経験ですよ、恋愛!」
男(おおう……顔が近い! いい匂い!)
85 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:50:36.91 ID:l8gu9FaAO
男「えっと……その……」
女「なんなんですか、はっきりしてください!」
男「……くそっ、無いよ。不本意だけど……彼女いない歴が、そのまま年齢だ」
女「……でしょうね。そうだと思いましたよ……はあ」
男(何か、メッチャ呆れられてるぞ。俺、何かしたか? 全く身に覚えがないんだが)
男「その……何か気に障るようなことしちゃったかな?」
女「別に、何もされてません。ほんっとうに、言葉通り何もされてません」
男(……なんでそんなに不機嫌?)
86 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:53:39.76 ID:l8gu9FaAO
女「男さん」
男「はっ、はい何でしょう」
女「さっきの言葉、本当ですか?」
男「えっと……さっきの?」
女「しゅ・ざ・い!」
男「あ……ああ、海の話? 本当だよ、どこにだって連れていくさ。君の手伝いができるのなら」
女「……言質、取りました」
87 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 22:56:24.06 ID:l8gu9FaAO
男(ヤバい……何だか、メッチャ嫌な予感が……)
女「私を、旅行に連れて行ってください」
男「……へ? 旅行?」
女「はい。旅行です」
男「旅行って……ああ、日帰りでってことね」
女「……何言ってるんですか? 泊まりに決まってるじゃないですか」
男(ちょっと待ってちょっと待って女さん)
88 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 23:02:30.08 ID:l8gu9FaAO
男「泊まりって、ま、まさか……俺と!?」
女「たった今、そう言ったじゃないですか。ちなみに、断るのは許しません。さっき言いましたよね、取材ならいつでも付き合ってくれると」
男「う……うん。言った、よ」
男(女さん、いつになく強気だ。ホント、今日はどうしちゃったんだろう)
女「なら決まりです。取材ということで、海に旅行に行きましょう。それを新しい原稿のネタにします」
89 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/20(土) 23:03:03.79 ID:l8gu9FaAO
男「えっと……ほ、本当に俺とでいいの? もっと、違う誰かの方が……」
女「また信用を失いたいんですか?」
男「はいっ! 今すぐ予約させていただきます!」
男(くっそ……こんなんで担当外されたら立場がねえ。付き合うしかないのか……)
男(まあ……嫌では、ないけれど)
90 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2017/05/20(土) 23:10:24.97 ID:l8gu9FaAO
短くて申し訳ないがここまで。次回は旅行から帰るところまで書きたいと思ってます。
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:45:21.25 ID:yymrrvl9O
ニヤニヤしてる
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/21(日) 09:39:20.10 ID:jgvY1MlAO
なんか栞を思い出すわ〜
93 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:15:57.00 ID:4bLB48VvO
男(……遂にこの日がやってきてしまった)
女「お待たせしました、男さん。いつもすみません、待たせてしまって」
男(なんか、やたら荷物多いな……女の旅行ってこんな感じなわけ?)
男「いやいや、約束の時間には全然遅れてないよ。それじゃ、行こうか」
女「え……あ、はい」
男「……どうしたの? この間の強気な君はどこに行っちゃったわけ?」
94 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:16:36.05 ID:4bLB48VvO
女「だって……本当に連れて行ってくれるなんて、思ってなかったので」
男(何だよ……連れて行かないルートもあったのかよ)
男「いや、もう飛行機もホテルも取ってるし」
女「……! ありがとう……ございます」
男(ったく……可愛い顔してんな、ホント)
男「……それじゃ、行こうか」
95 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:18:50.86 ID:4bLB48VvO
男(さて……機内に乗り込んだんだけど)
女「フンフーン♪」
男(声量は小さいけど、真隣だから……さっきから気になって仕方がない)
男「やけに上機嫌だね。鼻歌なんか歌っちゃって」
女「あ、そう見えます? だって、海なんて私、初めてなんですよ」
女「しかも、南の島だなんて! 興奮しない方がおかしいです!」
96 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:19:40.13 ID:4bLB48VvO
男「そっか、じゃあ俺もおかしくないね」
女「……え?」
男「俺も、ちょっと楽しみなんだ。南の島なんて、修学旅行でも行ったことが無かったから」
女「……それなら、私とお揃いですね。私は、当時は丁度入院と重なってしまって、行けなかったんです」
男「うわ……それは残念だったね」
97 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:20:09.65 ID:4bLB48VvO
女「その分、楽しんじゃいますから!」
男「……そっか」
男(楽しめれば……いいんだけど。多分、女さんは泳ぐのも無理だろうし)
男(海を見て終わりとか、そんな悲しいことにならなければいいんだけど)
98 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:20:59.26 ID:4bLB48VvO
男(……何か、時間が経つのが妙に早い気がする。実家に帰る新幹線だと、3時間ですらクソみたいに疲れるのに)
男(気圧だって下がってるのに、妙に目が冴えて……眠れない)
女「……」ポテッ
男(うおっ!)
男(女さんの頭が……俺の肩に……!)
男「お……女さーん?」
男(……眠ってらっしゃる)
99 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:21:26.01 ID:4bLB48VvO
男(あーもう……仕方ないな)
女「スー……スー……」
男(何だか、こうして眠ってると……普通の女の子みたいだ)
男(いや、そりゃあ普通の女の子なんだけど)
男(あと1年後には……なんて、全然思えないくらい生き生きとしてて)
男(きめ細やかな肌や、艶やかな黒髪、長いまつ毛……潤った桜色の唇)
男(……ちょっと、信じられないな)
100 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:21:52.39 ID:4bLB48VvO
女「……男……さん」
男「っ!」
男(寝言か……あざといんだよ、全く)
男(うっかり……好きになるところだった)
101 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:22:20.26 ID:4bLB48VvO
女「男さん……」
男「ん? 何かな?」
女「あの起こし方は……ちょっと有り得ないです」
男「人に寄りかかって寝る方が悪い」
男(空港に到着して、俺からも少し呼びかけたけど……いつまで経っても女さんは起きなかったものだから)
男(彼女の頬を引っ張って、無理やり起こしてやった)
102 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:22:48.42 ID:4bLB48VvO
女「……ちょっと酷くないですか? 普通に起こせないんですか?」ムッスー
男(そしたら、この通り不機嫌になってしまったけど)
男「悪かったって、機嫌直してよ……ほら、見てみな」
女「えー……あ」
男(やっぱり、凄いよな)
男(言葉を失う時って、多分……こういうのを見た時なんだろう)
103 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:23:18.14 ID:4bLB48VvO
女「これが……海」
男「俺も、こんなに綺麗な海は初めて見た」
男(もうゴールデンウィークもとっくに過ぎたってのに、たくさんの人が泳いでる)
男(それだけ、人気のある観光地ってことか)
104 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:23:45.42 ID:4bLB48VvO
女「……いいなあ」
男「泳ぎたい?」
女「頷いたら、泳がせてくれるんですか?」
男「……無理、だね」
男(女さんにとっては、こんな光景も……蛇の生殺しでしかないんだよな)
男「ごめんね……全然、そこまで考えて……」
105 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:24:16.59 ID:4bLB48VvO
女「……ホテル」
男「え?」
女「どこにあるんですか、ホテル。早く荷物下ろしたいです」
男「あ……ああ、そうだね。この近くにあるんだ。海がとても綺麗に見渡せる場所だよ」
女「そうなんですか!? 楽しみです……えへへ」
男(良かった……元気が戻ったみたいだ)
106 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:24:48.32 ID:4bLB48VvO
女「すごーい!」
男「うわー……絶景だね」
男(窓から入る風が気持ちいい)
男「写真とは、全然違うな」
男(流石に、高いだけある)
男(俺がいつも泊まるような相場と、3倍は違うからね……)
女「ホント凄い……今日は、男さんにビックリさせられっぱなしですね」
107 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:25:18.24 ID:4bLB48VvO
男「さっきから凄い凄いって……いつもの表現力はどこに置いてきたんだよ?」
女「えー、だって違くないですか? 文章力があれば話すこともできるだなんて、編集者らしからぬ単純思考ですよ?」
男「そういうもんなのか……」
女「もー、しっかりしてくださいよ、男さん」
男(風が……女さんの髪がたなびいて……まるで映画のワンシーンみたいな)
男(いや……そんなのよりも、ずっと美しい)
108 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:26:42.50 ID:4bLB48VvO
女「……男さん? どうしたんですか、ボーッとして」
男「えっ……いや、何でもないよ、うん」
男(だから、あざといんだって……)
男(手すりに上半身を預けて、顔傾げてこっち見つめてくるなんて)
男(俺じゃなかったら、今絶対ヤバかったぞ)
109 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:27:30.32 ID:4bLB48VvO
女「変な人ですねー。まあ……予約した部屋を見た時から、おかしいって思ってましたけど」
男「え……何かおかしいかな?」
女「普通……こういう時って、2部屋取りません?」
男「あ…………ああっ!」
男(やっちまった……!)
男(旅行なんて、大学の友人と行って以来だから……そこまで頭が回らなかった!)
110 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:28:10.71 ID:4bLB48VvO
男「ごっ……ゴメン! でっ……でも、ほら、ベッド2つだし!」
女「そういう問題ですか?」
男「い、今からでも変えられるかなあ!? きっと、頼み込めば変更してもらえるんじゃ……」
女「男さん」
男「ひっ、ひゃいっ!」
男(やべ! 変な声でた!)
111 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:28:39.71 ID:4bLB48VvO
女「……構いませんよ、私」
男「……え?」
女「どうせこんな大きいホテルだと、当日変更は難しいでしょうし……それに」
男(そ、そんな見つめんなよ……今、恥ずかしさで顔真っ赤になってんだからさ……)
女「……きっと、男さんは何もしないじゃないですか」
112 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:29:06.35 ID:4bLB48VvO
男「え……と……」
男「否定は……できない」
女「フフ……だと思いました」
男(……なんで、そんな顔すんだよ)
男(そんな寂しそうな顔……君には似合わないよ)
113 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:30:28.40 ID:4bLB48VvO
男「……あの、さ」
女「はい?」
男「……海、見に行こうよ。泳がなくたって、きっと楽しいよ。……ほら、海だけじゃなくて、この近くにも色々店とかあるし!」
女「……そう……ですね。はい……行きたいです!」
男(良かった……いつもの笑顔だ)
114 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 17:33:41.19 ID:4bLB48VvO
女「……男さん」
男「ん? どうしたの?」
女「……私……男さんの、そういう……ところが……」
男(女さん……顔が)
男(耳まで、真っ赤に染まってる)
男「女……さん?」
女「っ……なんでも、ないです。ほらっ、早く行きましょう! 私、お腹空いちゃいました」
男「う、うん……それじゃ、行こうか」
男(何だったんだろう……まあ、気にしなくていいか)
115 :
◆PChhdNeYjM
[sage saga]:2017/05/21(日) 17:37:34.62 ID:4bLB48VvO
続きは夜書きます
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 18:01:04.15 ID:tRthmvTNo
おつ
待ってる
117 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:32:18.84 ID:hFj05+0SO
女「男さん! このタコライス、すっごく美味しいです!」
男「うん、俺も驚いた」
女「なんでも地元の方々に、キンタコの愛称で親しまれている店らしいです!」
男「へえー、キンタコねえ」
女「お持ち帰りもできるらしいです! 男さん、お願いしますね!」
男「え、まって。まだ食べるの?」
女「だって美味しいんですもん。食べなくちゃ勿体ないです!」
男「そうかー勿体ないか―、それなら仕方ないね」
118 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:32:49.06 ID:hFj05+0SO
女「男さんっ、ここのステーキ、美味しいらしいです!」
男「まってまって、さっき食べたばっかじゃん。それに、このパックのタコライス……」
女「是非入りましょう! 是非!」
男(そんなに目を輝かされたら……)
男「……仕方ないなあ」
男(断れないじゃん……)
119 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:33:15.99 ID:hFj05+0SO
女「ふー、美味しかったですねえ」
男「……うん、そうだね」
男(もう……大分苦しいんだけど)
女「あっ! ここ、この間テレビで特集されてた天ぷら屋さんですよ!」
男「え……へ、へえー、そうなんだ……」
男(まさか……いや、まさかな)
120 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:33:54.38 ID:hFj05+0SO
女「流石に……入れないですね」
男「はは、そうだよねー。流石にお腹いっぱ……」
女「こんなに食べてばかりだと、男さんのお財布が心配です」
男「よっしゃ上等だあ! 食えるもんなら食ってみろよ!」
女「え! いいんですか! それなら、喜んで!」
121 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:34:28.58 ID:hFj05+0SO
男「うっぷ、もう……食えね……」
女「男さん男さん、持ち帰りのタコライス食べましょう!」
男(マジで、ブラックホールみたいな食べっぷりだな……)
女「ふー……綺麗ですね」
男「……うん。まさか、こんなに綺麗な海を見ながらご飯を食べられるなんて。夢みたいだよ」
男(今食べてるのは、女さんだけだけど)
122 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:35:04.70 ID:hFj05+0SO
女「……もう皆さん、いなくなっちゃいましたね」
男「あー、だってもう7時だし。まだちょっと明るいけど、みんなご飯食べに行ってるんじゃないかな?」
女「そう……ですよね。なら……」
男「女……さん?」
男「な……なにしてるの?」
女「何って……決まってるじゃないですか」
123 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:35:30.60 ID:hFj05+0SO
男「ちょ……! こんな所で脱ぐなよ!」
女「え、だって、誰もいませんよ」
男「俺俺! 俺がいるから!」
女「大丈夫ですよ、だって……」
男(ああ! 最後の一枚が……)
124 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:36:16.56 ID:hFj05+0SO
男「……あれ? 女さん、それ……」
女「はい! この日のために選んだ、とっておきの水着です!」
男「水着って……」
女「どうです? 似合ってますか、男さん」
男「あっ……急に走っちゃ身体に悪いって!」
女「大丈夫ですようー! だって、薬飲んでますから!」
男「いや、でも……」
125 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:36:54.80 ID:hFj05+0SO
女「本当に大丈夫ですよ、だって……」
男「ちょ……女さん! それ以上は……」
女「キャッ……男さん、服……濡れちゃいますよ?」
男「もう……濡れちゃったよ」
男(靴の中に、海水が入り込んで……膝下までビッチョビチョだ)
女「だって男さん、水着じゃないのに……」
126 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:37:24.12 ID:hFj05+0SO
男「流石に、泳ぐのはマズいって。俺だって、ちゃんと調べたんだから」
女「……どうやって?」
男「それは……インターネットとか」
女「……フフ。男さんらしいですね」
女「でも、大丈夫です。自分の身体の事は、自分がよくわかってますから」
男「いや……だって」
127 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 22:37:55.13 ID:hFj05+0SO
女「泳げますよ」
男「……女……さん?」
女「……泳げますよ? ちゃんと……健康な人と、同じように」
男(女さん、腕が……微かに、震えてる)
男「……女さん」
女「……はい」
男「……帰ろう、ホテルに」
128 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:19:21.95 ID:hFj05+0SO
女「フンフーン♪」
男(シャワーの……水の音が……)
男(別に、やましい事してるわけでもないのに……)
女『男さんが先に入ってください! 服が濡れて、ビショビショなんですから。風邪引いちゃいますよ?』
男(そう言われて、先にシャワー浴びたけど)
男(なんか……待機してるみたいで)
男「……アホかっ、何もねえよ」
129 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:19:58.23 ID:hFj05+0SO
男(だって、この旅行は……ただの取材なんだから、さ)
女「ふー、気持ちよかったー」
男「そう? ただのシャワーじゃん」
女「シャワーのお湯も、何だか高級感に溢れてますよね!」
男「そ、そう?」
男(意味が分からん。お湯が高級ってどーいう事なんだよ)
130 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:20:29.30 ID:hFj05+0SO
女「……なんか、男さん。浴衣カッコいいですね」
男「えっ……そ、そうかな」
男(そんなこと言ったら、女さんの方がよっぽど……)
男(風呂上がりのシャンプーの匂いとか、濡れた黒髪とか)
男(浴衣のせいで……強調された、身体のラインとか)
女「……なんですか、そんなにジロジロ見て」
男「え!? いや……その……ごめん、そんなつもりじゃ」
131 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:21:02.22 ID:hFj05+0SO
女「……もう。やっぱり、男さんは男さんですね」
男「……何言ってんの?」
男(女さん、背中向けて……ドライヤーかな?)
男(……冷蔵庫?)
女「これ、さっき買ってきたんですよ」
男「それ……ワインじゃん」
女「男さんがシャワー浴びてる間に、下のコンビニで買ってきちゃいました」
132 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:21:30.17 ID:hFj05+0SO
男(そんな……舌なんか出して)
男「もう20歳なんでしょ? 悪いことじゃないよ」
女「そうはいっても、中々慣れなくて。一人じゃ買ったことも無かったんですよ」
男「お酒は強いの?」
女「んー、そうでもないのかな。大学の友達と飲みに行ったときは、そんなに酔わなかったです」
男「へー、あんまり飲まないんだ?」
女「あ、いえ。ジョッキ三杯と、ワイン二杯くらい、友達と。あ、あと温かいのも、おちょこで飲んだかも」
男(メッチャ飲んでるやん……)
133 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:22:09.73 ID:hFj05+0SO
男「ふ、ふーん……とりあえず、開けようか」
男(あれ……)
男「女さん……これ、いくら?」
男(これ……コンビニに置いてるなんて。やっぱり高級ホテルは違うな)
女「……秘密です」
男「お金渡すよ。流石に悪いから」
女「いえいえ、いいんですよ。飛行機代も、ホテル代も、食事だって、お世話になりっぱなしですから」
男「それはそれでしょ。学生と社会人なんだからさ」
女「元、ですけどね。もう、律儀だなあー」
134 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:22:47.82 ID:hFj05+0SO
男(あれ、女さん……既に酔ってらっしゃる?)
男(そういえば、さっき若干それっぽい匂いがしたような)
女「もー、男さんは細かい事を気にし過ぎなんですよー」
男(なんか、身振りもいつもより大げさだし……)
男「女さん……いつの間に……」
女「男さんもジャンジャン飲んでください! 折角私が買ってきたんですから!」
男「ちょ……!」
男(近い近いデカい近い近い何かいい匂い!)
男「……もう、仕方ないな」
135 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:23:27.74 ID:hFj05+0SO
男(あー、なんか、いい気分になってきた)
女「男さん」
男「……ん? なに?」
女「男さんはー……ホントはゲイなんですか?」
男「は!?」
男(いきなり何言い出すんだこの子は!)
男「そんなわけないだろ!」
136 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:24:02.32 ID:hFj05+0SO
女「だってー、私を見ても、全然そんな風に見てくれないし」
男「そんな風にって……君ね」
女「男さん、私より、編集長? と話してる時の方が楽しそうですよ」
男「そ、そんなわけっ……」
女「じゃあー……」
男(な……胸、当たってるって)
男「女さん……腕にっ……」
女「じゃあ、男さんはー」
男(ええい耳元で囁くなあっ!)
137 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:24:41.54 ID:hFj05+0SO
男「女……さん!」
女「男さんは……私と話してて、楽しいですか?」
男「そりゃ……あ、楽しい……よ」
女「どんな風に?」
男「どんなって……君みたいな可愛い子と話せたら、嬉しいよ、男としても」
女「だって……この間、男さん……年上がタイプって言ってたじゃないですか。あれはどーいうことなんですか?」
男「いや……だから、そんなの関係なく、君は可愛くて……魅力的だってことだよ」
138 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:25:17.08 ID:hFj05+0SO
男(何言ってんだ俺……こんな歯の浮くようなセリフ、素面じゃ絶対言わないだろうに……)
女「……本当、ですか?」
男「俺が嘘つくような男に見える?」
女「……半分くらい?」
男「凄い微妙だね、それ」
女「……フフッ、そっかあ」
男「ちょっ……女さん!?」
男(抱き着いてきたああああああ!)
139 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:26:05.87 ID:hFj05+0SO
男(腕が……背中に……!)
男(胸に……顔を押し付けんなって!)
男「女さん! 流石に、これは……」
男「……?」
女「……スー……スー……」
男「……えぇ」
男(……マジかよ)
140 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:45:31.89 ID:hFj05+0SO
男(女さん……軽かったな)
男(こんな小さな身体のどこに、あの量の食べ物が入るんだろう)
男(……あ、女さんのバッグ)
男(ホント、どうしてこんなに大きなバッグが必要なんだか)
男(ちょっと中身、見てみるか?)
男(……いやいやいや、いくら何でもそれはマズいだろ)
141 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:46:05.36 ID:hFj05+0SO
男(……)チラッ
女「……スー……スー」
男(……少しだけなら、いいよな)
男(……えーっと、着替えと……化粧品か? あとは……ん?)
男(なんだ、この紙袋……やたら大きいな)
男(中身は……え、これ)
男(……見間違いじゃない。これは……)
142 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/21(日) 23:47:03.55 ID:hFj05+0SO
女「……スー……スー」
女『お父さんは、私の事なんてどうだっていいんですよ。もうすぐ……いなくなるんですから』
男(……酔いなんて、吹き飛んだ)
男(どこかで……夢なんじゃないかって、思ってたんだ)
男(それか、女さんの悪い冗談なんだって)
男(だって、そう思ってしまうくらい、女さんは元気に見えたから)
男(もしくは、病院の診療ミスとか……ちょっと大げさに言ってるだけで、実はたいしたことありませんでした、とか)
男(心のどこかで期待してたんだ、俺)
男(何を今更……こんなに、動揺してんだよ)
143 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/22(月) 00:31:44.83 ID:Aj5iH/DBO
男(あの後……結局一睡もできなかった)
男(……果てしなく眠い)
女「……どうしたんですか、男さん。眠れなかったんですか?」
男「ああ、ちょっとね。そういう女さんは、すごく元気だね。昨日はよく眠れたかい?」
女「はい! なんだか、すっごく安心して眠れたような感じです!」
女「正直、昨日はどうやってベッドに入ったのか、記憶に無いんですけど」
女「男さん、何か覚えてます?」
144 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/22(月) 00:32:20.52 ID:Aj5iH/DBO
男「いや……全く」
男(嘘だけど。ホントはメッチャ覚えてるけど)
男(お姫さまだっこで女さんをベッドに寝かせたってことは……言わないでおこう)
女「そっかー、仕方ないですね。仕方ない!今日はとことん遊びましょう!」
男「いや、後はもう帰るだけだよ」
女「ええ! どうしてですか!?」
男「だって、あんまり遅くなると、ほら……お父さんが心配するでしょ?」
145 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/22(月) 00:32:48.90 ID:Aj5iH/DBO
女「……」
男(やっべ、失言だったか?)
男「……お土産、どっかで買って帰ろうか」
女「え、お土産ですか? ……いいですね! 何買っていこうかな!」
男(なんとか……誤魔化せたかな)
146 :
◆PChhdNeYjM
[saga]:2017/05/22(月) 00:33:19.29 ID:Aj5iH/DBO
女「やっぱり、沖縄っていったらちんすこうですよねー!」
女「あっ、サーターアンダギーも捨てがたい!」
女「うーん、迷っちゃうなあ!」
男「あはは……好きなだけ買いなよ。お金は心配しないで」
女「えっ、いいんですか!? じゃあ……お言葉に甘えて!」
男「抱えすぎて落とすなよー」
男(もう……はしゃいでるなあ)
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