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ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 14:56:59.37 ID:laxrmAmeo
以前別の板で完結したものに筆を加えながら投下します。
小坂幸(こさかさき)――主人公。七重の幼馴染の少女。
常に七重のことを気にかけている。サキと呼ばれる。
涼宮七重(ななえ)――ハルヒとキョンの娘。明るく素直で、温かい性格。
ナナと呼ばれる。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1494741419
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 14:58:00.94 ID:laxrmAmeo
サキ「はぁっ、はぁ」
走っても、走っても出口が無い。
音の無い、灰色の空に覆われた世界。いつもの町並みなのに誰一人いない。
サキ「誰か、誰か助けて……」
足を緩めて周りを見渡しても返事はない。
胸の中の恐怖がどんどん膨らんでいく。何かが来る予感。
いや、その何かが現れることをハッキリとわたしは感知している。
背後。気配に射すくめられたように足を止めて、恐る恐る振り返り……
サキ「きゃあああああっ!!」
天井。窓から朝日が差し込んでいる。あ。夢か。良かった。
じゃない、晴れて高校生活がスタートするというのに何という夢を見たんだ。
幸先が悪すぎる。いや、今日だからこそ不安でこんな夢を見たんだ、としておこう……。
大きく息を吸い込むと弾みをつけてベッドから降りた。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:02:02.74 ID:laxrmAmeo
七重「サキーー。おーはよっ」
全くわたしと同じ、真新しい制服に身を包んで、
七重が高々と腕を振りながらこちらに駆け寄ってくる。
相変わらず朝からテンションが高くて頼もしい。
サキ「おはよー」
わたしも表にこそ出さないけど、緊張と期待に胸が膨らんでいる。
東中の入学式の朝以来だな、こういうのは。
あの日もいつものように光陽園駅前で待ち合わせて、
お互いのセーラー服姿に何だか照れながら登校したんだっけ。
中学と高校じゃ違いはたくさんあるに違いないけど、こうして同じでいてくれる。
おかげで今朝がたの後味の悪さも随分とやわらいできた。
上り坂のあちこちを腕一杯に抱えあげた白くてほんのり桃色な花びらで彩るソメイヨシノ。
目覚めに力いっぱいの伸びをする太陽に照らされ、
お米の一粒一粒のように淡く浮かぶ街並が、水平線の輝く海まで続いてる。
そしてこの4月の陽気そのまま、と言ったら失礼だけど、
そんな七重と坂の上をゆらゆらと目指しながら、
高校生活に思い描くことをとりとめなくお喋りしてる。憂鬱になれと言う方が無理だ。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:06:05.22 ID:laxrmAmeo
しかしわたしの顔色に出ていたのだろうか、ふと七重が、
七重「どうしたの、サキ」
瞬間にテンションをわたしに合わせてくれてる。
別に隠すほどのことでもなく、ありのままを話すと、
七重「うんうん、やっぱそれだよね? ああー、いいなあ!」
と音階を何段かすっとばして昇降するような羨望の声を上げた。
サキ「今の話のどこがいいの?」
七重はいたく思うところがあるらしく、ほとばしるように返してきた。
七重「だって、普通は入学式の前日って、自分も家族も緊張感を漂わせるものでしょ?
それがまったく無かったんだよ? お父さんもお母さんも、わたしも!
下手したらわたしが北高生になるってことが忘れられてるんじゃないかってくらい。
さすがにそれはないけど、ただ淡々とさ……いつも通りの朝だったんだよ?」
半分ほどはそんな自分自身に、怒りと悲嘆をぶちまけるように七重は訴えると、
悔しそうに前に向き直って言葉を切った。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 15:07:52.50 ID:2L5Iixt60
この世界の古泉はどうしているんだろう?
行方不明だったらキョンとハルヒ以外のSOS団は全滅だな
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:10:11.29 ID:laxrmAmeo
入学式を前に緊張するかしないか。どちらが普通かはわからないけど、
七重は前者に憧れていて、それが果たせなかったらしい。
ムスッと唇を突き出して、幾分ひび割れたアスファルトを見つめながら歩を進めている。
確かに、あのおじさんとおばさんなら何にせよ「普通」の反応はしないだろうし、七重も
気の毒ながら本人は普通のつもりで、ナチュラルに凄い感覚を持ってるところがあるから。
ふと、道端の草地にちらちらと薄青い花を咲かせているオオイヌノフグリが目に入った。
春だな…
七重がふたたび口を開いた。
七重「だいたいお父さんとお母さんが出会った場所なのに。だから……」
そこまで言って、突然我に返ったようにわたしを見た。
七重「ごめん。嫌な夢だったんだよね」
言われて思い出すくらい、夢のことはもう気にならなくなっていた。
思わず笑みをこぼすわたしに今度は七重が怒る。
いつものわたし達そのままだ。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:15:06.38 ID:laxrmAmeo
さすがに今度は、七重と離ればなれの組になるんじゃないかと覚悟していたのだが、
さいわいわたし達二人はまた同じクラスだった。
わたしと七重は幼稚園からずっと同じクラスだ、と初めて聞く人は驚くのだけど、さらに
「席もほぼ前後左右で隣になってるよね」、と七不思議ネタ的に語る者がいたりするから、
驚きを通り越して何かウラ事情があるのではないかと勘繰られたり、
この世ならぬものに触れたような顔をされたりする。
当のわたし達はというと、不思議ではあるがただこの幸運に感謝している次第である。
体育館での入学式が終了すると(七重は既に校歌の歌詞をばっちり覚えていたらしい)、
お互いまだ見知らぬクラスメイトの皆と、一年五組の教室に入り、それぞれの席につく。
同じ中学出身どうしがちらほらお喋りしているほかは、
微妙に大人しい空気が教室内に漂っていた。
わたしの後ろの席の七重が声をかけてきたとき、教室の前の方の引き戸を開けて、
落ち着いた雰囲気の中年の男性が入ってきた。
が、教壇では打って変ってクラス中に響き渡る大きな声で挨拶され、
遅れ気味に皆が挨拶を返す。
その、岡部という担任となる先生は、ごく手短に自分が体育教師であること、
なんでも言い合えるクラスにしていきたい、ということを話され、
それから多少詳しく、顧問をしているハンドボール部について、
競技の魅力と部員不足なので入部希望者を大いに募っていることを力を込めて説明された。
この説明にもう少し耳を傾けていればどうだったかな、と思うことがあるが、
まあ……わたしはそうはしなかったわけである。
そして、一人一人が順番に立って自己紹介していく段になった。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:19:14.62 ID:laxrmAmeo
こういう時、何か打ち込むものがないと自分の説明とはしづらいものである。
前の席の子がよろしくお願いしますと話し終え、拍手で一区切りつく。
わたしは席を立った。仕方ない。
サキ「東中学から来ました小坂幸です。よろしくお願いします。
光陽園駅近くにお立ち寄りの際には、
ぜひ薬や生活用品はうちのお店で買って下さい」
まあこうとでも話すほかないか。生暖かい反応に包まれながら席に着く。
とりあえずお茶をにごせたかな。
次は七重だ。目で促すと、笑顔でゆるりと立ち上がったのでわたしは前に向き直った。
七重「同じく東中学出身の涼宮七重です」
ここまでは良かった。が、
七重「春休みにインターネットで色んなページを見ていたら、
家のパソコンが壊れて両親に物凄く怒られました。みんなも気をつけてください」
………………。
は、初めて聞くね。それは。
わたしは頬と耳が熱くなるのを感じた。
七重がツッコミを待たず席に着いて、椅子を戻す音が後ろから聞こえる。
きっと立った時のようににこにこしたままに違いない。
数人の男子が抑えきれず笑い声を漏らしている。
ちゃ、違う〜〜!! 七重はそんな子やないんやーーっ!
とわななくわたしの表情など、七重は想像だにしていないに違いない。
その後の学校生活の様子で、そんな子ではないと皆も分かってきたにせよ、
こういう子なことはしっかり印象づけてしまった七重である。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:23:16.85 ID:laxrmAmeo
ともあれ、慌ただしい4月が過ぎ、ゴールデンウィークも明けた。
高校生活も暇は無いながら、良く言えば落ち着いた、悪く言えば単調に巡るある日。
七重「ねぇ、サキは何か部活入るの?」
サキ「うーん、どうかなあ」
そういえば、中学の時からわたしは部活動というものに入部したことがない。
七重も、いわゆる帰宅部というやつだ。
入らない理由なんて聞かれるのが不思議なのだが、あえて答えるなら二つある。
まず特に好きなことがない。
もうひとつは、家事が結構あるから。
学校の帰り道にスーパーに寄って、晩ご飯の買い物をしていく。
家に帰ってからも洗濯物の取り入れや掃除、夕食の準備等あるので、
部活なんて面倒くさくて出来たものではない。
まあ最初の理由の方が大半かな。
七重はというと、一緒に涼宮家の晩ご飯の買い物をしたり、
時々わたしの家に泊まりに来る日は二人で献立を考えたりしている。
振り返ってみれば、物心ついた時から七重のお母さんに連れられて買い物したり、
一緒に料理したりの延長で、自然と今のようになっていた。
七重は色々特技があるし、家事にそこまで時間を取られることもない。
だから何か部活動に入ればと勧めたことがあるが、
「こうしている方が楽しい」と言われればそれ以上わたしから言うこともない。
たまに断り切れなかった各クラブの代役を引き受けたりして、
その度に大いに貢献しているが、本人に継続して特定の部活動をする気が無いのである。
七重「サキ足が速いのに。クラス対抗リレーだっていつもアンカーで走るじゃない」
サキ「でも走るのが好きってわけじゃないから」
わたしが唯一七重と互角程度なのは走ることかもしれない。
小さいころから野山を一緒に駆け回って培った心肺機能の賜物だ。
自分から名乗り出るわけではないのに、
体育大会のリレーでは主に七重からアンカーになるのを薦められる。
任せられると責任を感じていつも以上に頑張ってしまう面はある。
それはともかく結局、七重はまたもったいないことに、
わたしと同じく部活に入らず、こうして一緒に下校しているのだ。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:27:18.59 ID:laxrmAmeo
ところで、この高校に入学してよかったのは、徒歩で通学できること。
坂道続きなのが難点だが、それほど苦にもならないし。
それに、坂の途中から近くにある母のお墓にも足を運びやすいのだ。
今日はわたしの誕生日。そして、母の命日でもある。
七重を伴って霊園を訪れると、いつものように墓石がきれいに磨かれ、
水をかけた跡があった。既に父が供えた花もある。
今日は父が掃除をしていてくれたので、わたしは水をかけ、そして手を合わせる。
七重も黙って手を合わせていた。
ここは山の懐に抱かれるように静かで、今は若葉が淡く目に眩しい。
また坂の途中へ戻り、下りていると、
七重「ね、今度の金曜、家に泊まりに来ない?」
サキ「うーーん、いいね。そうさせてもらうか」
ゴールデンウィークは七重の誘いも断って、
ひと月で随分進んだ各科目の復習と宿題にほぼ費やしていたからな。
ここでいったん羽を伸ばすのもいいな、と思って答えたら、
七重「今ずいぶん考えたね」
わたしがその考えた内容を話すと、本当に驚いた顔をしている。
七重「え、宿題……すぐ終わらなかった?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:31:20.03 ID:laxrmAmeo
やれやれ、まだ気づいてなかったか。
サキ「一言でいうと、あなたとわたしじゃ頭の出来が違うの。
中学の時は同じ成績だったから気づかなかったかもしれないけど、
ナナはわたしより相当頭がきれる、って思ってたよ」
父から聞いたことがある。
同じ大学でも、父にはとても難しくて何度も考えて分かるような問題を、
一度講義を聞いた、あるいは一度教科書を読んだだけで解いてしまう人がいたという。
そんな人が中にはいるものなのだ。
今わたしの目の前にいるそんな人は、
自分とわたしの頭脳に差異があることをまだ信じられないらしい。
七重「そんな……うーん」
このまま一緒にされては、のちのち厄介なことになりかねない。
サキ「そんなもん。すぐにとは言わないから分かれ」
ついでに、やっと問題が解けて思いっきり伸びをする時の充実感、達成感は分かるまい、
と負け惜しみも言っておきたい。
べーだ。まあ、それはそうと、
サキ「高校入って以来ばたばたしてたから、七重ん家でやっと一息つけそう」
今からほーっと息をつきながら自分の肩をたたいてるわたしに、
七重「えー、休むなんて言わずに、たっくさん話すんだからね!」
サキ「いつもナナのほうが先に寝るくせに」
七重「そ、そんなことないよ」
でも七重の言うとおり、久し振りのお泊りで色々話せそうだ。
そういえば夏物まだ全然見てないな。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:35:23.08 ID:laxrmAmeo
七重「じゃあ、また明日ね」
サキ「うん。また明日」
スーパーでの買い物を一緒に済ませ、七重の家の前で別れた。
そして昼下がりと夕刻の間の、往来もまばらな住宅街を歩いている時、
ふつと湧くように海馬から呼び戻された事態に思わずひとり言が口をついてでた。
サキ「しまった」
昨日の夜炊いたごはんがお釜に入れっぱなしだ。
晩ご飯のあと、さっさと今日の分の弁当に詰めて、
弁当箱は冷蔵庫に突っ込んだのに、残りのごはんの方は入れた記憶がない。
お父さんは今日、薬剤師会の集まりに行くとか言ってたし。
最近の暖かさだと、昼にはすえてしまっているに違いない。
サキ「やれやれ……」
一つ年を取った初日からこれか。
自分のふがいなさにうんざりしながら、止まっていた足をのろのろと動かすと、
サキ「――――!」
ほとんど歩くこともなく、ふたたびわたしは立ち尽くした。
追加のうっかりを思い出したためではない。
またあの感覚だ。
ここ最近、あるときは近く、またあるときは遠く、この気配を感じていた。
あの悪夢に似た気配。
灰色の空に包まれた世界。
その世界との境界を、今、目の前の道いっぱいに感じる。
どうしよう。回り道して帰るか。
いや、どうせ気のせいだ。
両手に買い物袋と通学かばんをさげて、いちいち気のせいのために遠回りしていられるか。
それに、気のせいだって証明できる、いい機会じゃないか。
半ばヤケ気味な勢いで、わたしはその見えない壁に向かって歩いていき、
そして入ってしまった。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:39:24.54 ID:laxrmAmeo
空が黒かった。
突然夜になってしまったのか、と一瞬だけ思い、すぐに違うと分かった。
星がない。月も雲もない。新月の晩だって星は出てるはずなのに、
ただ漆黒の闇だけが天に広がっている。
なにより、今歩いてきた道の電灯はぼんやりついているものの、
どの家にも明かりが灯っていない。
それにもかかわらず、空の下にぼうっと浮かび上がるように無人の町並みが続いている。
そう、人がいない。車も通らない。風もなく、何も音がしない。
夢ではない。あまりに五感が明瞭だ。
しかし、すぐにそう思いたくなることになった。
数軒先の家の門からフラフラと、白い服の女が出てきて、
道の真ん中でゆっくりとこちらを向いた。
垂らした長い髪が顔を覆っている。
刷り込みなのか本能なのか、一目で分かる。ヤバい。佇まいが余りにもそれだった。
縮み上がるような恐怖を感じる。なぜこんな郊外で都市伝説なんだ。
あと、奇妙なビデオを見た覚えはないぞ。
間違えてたら悪いけど、と振り返って走り出そうとしたら、目の前にいた。
瞬間移動はナシでしょ!
これはパターンに入っている。もう一回振り返ったら必ずまた目の前にいるはずだ。
足には多少自信あるけど、買い物袋を振り回しながら超短距離シャトルランはしたくない。
わたしが後じさりする。
女がわたしの歩幅より大きく、一歩間合いを詰める。
わたしがまた後じさりする。
女が、乗っていたマンホールの蓋ごと勢いよく跳ね飛ばされ、
五十メートルは先の家の屋根まで放物線を描いて衝突し、
地面まで転げ落ちていくのが見えた。
茫然としているわたしに、
「おいおい、どういうことだよ」
その少年は呆れたような声で私に呼びかけてきた。
「俺が相手をする時は閉鎖空間に機関の人間は来ないはずだろ」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:43:25.83 ID:laxrmAmeo
声につられて振り返ると、
ダボッとした安っぽいTシャツに七分丈のジーンズをはいた少年が立っていた。
乱暴な口のきき方とは裏腹に、田舎で道に迷った人へ問うた返答を気長に待つような、
くりっとした黒目がちな大きな瞳に温かさを感じる。
静けさと反比例するように胸騒ぎを起こす場所。
そう、もう異空間と呼んでいいと思う。
そこでホラーそのものみたいな女を目の当たりにしているというのに、
彼は関係なく日常の中にいるような平然とした顔をしていた。
しかし少年はわたしに対して何かに気づいたように一瞬、眼差しをさらにきらめかせる。
「あれ、お前……。いや、もしかして覚醒したばかりで迷いこんじまったのか?」
意味こそ判然としないが飾り気のない口調の発する言葉にわたしを心配する響きがある。
その瞳がまるで輝く一番星のように、この世界にたった一つの家路への道しるべに思えた。
改めてよく見るとわたしよりも背が低く、声変わりもしていないから、
小学六年かせいぜい中学一年くらいだろう。
あどけない顔立ちのどこかになぜか七重を思わせる。
そう思い掛けた時、ずっと向こうまで吹っ飛んだはずのさっきの女が、
逆方向の、つまり少年の後ろのほうからぴた、ぴた、と近づいてくるのが見えた。
明らかに今度は少年を怨念を持った目で睨めつけながら、ゆっくりと。
サキ「危な」
わたしが口を開くあいだに、女の姿が瞬間的に少年の間近まで移動し、
まさに仕留めようと見下ろしたとき、
女は突如天から降ってきた巨大なこぶしに、地響きを立てて潰された。
わたしは轟音と震動に硬直したが、
少年は自分の後ろ、そしてわたしの後ろのことのどちらも全く気に留めない様子だった。
わたしの背後にまたいつの間にか現れた、
物凄く大きな何かの全体像がこの子の視界には入っているはずなのに。
少年の背後のそれは、半透明だけれど、確かに巨大な腕だった。
地面に突き立ったモニュメントのような柱がクレーンのように、
ゆっくり引き上げられていくのをたどって空を見上げると、
それは青白くほのかに光る体の巨人の肩から延びていたから。
何十メートルにもそびえ立つ巨体に漆黒の空が透けて見える。
わたしは何度めか分からないが、改めて絶句した。
夢でわたしが振り返ったときに見たモノが、今目の前にあるから。
恐怖と共に、何故かこの巨人と対峙しなければならないという、ありえない義務感もある。
上を向いたまま瞬きも忘れていたわたしに淡々とした少年の声が聞こえた。
「大丈夫。敵じゃない」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 15:47:29.20 ID:laxrmAmeo
少年は膝をついて、クレーターのような穴の中に倒れている男を抱き起こしていた。
え、潰されたはずの女は?
確かに地面と巨人のこぶしの間に挟まれる瞬間を目撃したが。
道路の陥没したような窪みには女の影も形もない。
凝視しても、どう見ても眉間に皺をよせて気を失っている、痩せた若い男性だ。
見た感じかすり傷もない。
「ネットの動画から感染したのか」
うなされている男性の額に指先を当てぽつりと呟きながら、
男性の腕を自分の肩に回して持ち上げる少年。
サキ「……一体今のは何だったの。君は誰?」
「ここで説明するより、あとで柊という人が来るから、その人から聞いて」
さっさと行こうとしている。
サキ「ちょっと待って。あなた、名前は?」
「俺は……」
と言いかけて、少年は、
「いや、知らない方がいいだろう。君はまだ選んでないようだから」
サキ「だから、何の話なの?」
と言うそばから、空が一気に明るくなった。
黒い空の天頂はすでに、ふわあっと円形に拡がっていく明るい光に替わっていて、
あの青白い巨人も、繋がっていたパズルがピースに分かれるように、
うっすらと消えていくところだった。
気がつくと、ついさっきの、いつもの夕方に戻っていた。
近くを通る電車の通過音がここまで届く。
閑静なところなのに、ずいぶん様々な音が聞こえてくるものだ。
幾分傾いた日の光さえ、あちこちに色彩を与えているのだと気づかされる。
道路に目を戻すと、男性を背負った少年の姿はなかった。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 15:48:15.30 ID:laxrmAmeo
突然ですがほんのりらき☆すたクロスです。
古泉はかがみん家に婿入りしたようであります。
SOS団がこなた達のいる秋葉へ旅行した。
過去にそんなことがあったのです。
これま…いえ、今日はここまで。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 16:28:10.10 ID:gDZ6TGXX0
過去作教えて下さい!!!!
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 17:41:09.16 ID:laxrmAmeo
どうぞ
http://www.vipss.net/haruhi/1278474367.html
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 18:02:17.94 ID:1Z9whmzsO
背筋がぞわっと
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 18:47:27.70 ID:LahMD65ZO
これは期待の新人だなあ(白目)
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 20:15:06.83 ID:IiJBPt02O
よくもこんな気持ち悪いを遥かに通り越した吐き気を催すもの書けるな…
一度精神科にいって頭を見てもらった方がいいぞマジでさ…
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 20:54:35.36 ID:0Pm5+px0O
ちょっと前までネットにこんなんゴロゴロいたよな
なろうとかにはまだ生息してんのかな
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 20:55:58.29 ID:c6XPL5hdo
支援
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 21:21:37.48 ID:2X+QGJoFO
たまげたスレだなあ
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 21:48:25.98 ID:JJpsAZGmo
とりま期待
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:17:24.42 ID:5REjFia8O
このスレ臭スギィ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:25:43.05 ID:oVFdCjjJo
ここに投下する勇気におっp……おっぱげた……
こんなことしてもご褒美はないんだぞ
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 10:33:42.76 ID:VCMbEXDZo
別の掲示板の事を此処に持ち込まなくても…
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 20:40:30.77 ID:02mMz6wWo
習慣とは怖いものというべきか、半ば自分でも呆れるのだが、
あんな目に遭ったにもかかわらず(ほぼ突っ立っていただけだけど)、
買い物袋の中身を冷蔵庫に入れなければと足を動かしたときから、
心は宙に浮いたままわたしは日常生活のルーティンに戻っていた。
お店のシャッターが下りている。
父の書いた貼り紙に小さな安堵の溜息をつき、勝手口に回って帰宅した。
蛇口を捻って手を洗い、水をコップ一杯飲み干し、さっさと食材を保存する場所へ分ける。
お釜のフタを開けると案の定だった。
鼻を近づけ匂いをかいで、勿体ないが中身をビニール袋に詰めて、生ごみ袋に入れる。
お釜と、ついでに弁当箱を洗う。
ざるにカップでお米をすくって研ぎ、外側だけ拭いておいたお釜に入れて水を量る。
夕飯の時刻に炊飯器をセットすると、かばんを持って2階に上がる。
何だったの、あれ。
柊という人が会いに来る、わたしに。いつ? それまで悶々と過ごせというのか。
誰に相談したものか。着替えながら、七重の顔が思い浮かぶ。
どう切り出したらいいか分からない。後で考えることにして、宿題に取りかかった。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 20:44:32.54 ID:02mMz6wWo
だめにしてしまったごはんは夕飯の会話のネタになってくれた。
元々毎日の食事のおりに逐一近況報告しないたちだけど、
それでもテレビのニュースについてだけ会話するより今夜は救われた。
洗い物をしながらあの少年の顔を思い出す。やっぱり、あの子は七重に似てる。
お風呂の残り湯で洗濯機を回し、また机に向かう。
残りの宿題と復習。予習は学校で、間に合う分だけすることにしている。
階下からの脱水完了メロディに脱衣所に戻り、簡単に浴槽を掃除する。
洗濯物を種々のハンガーに掛けてまとめ、再び階段を上がる。
つっかけを履いてベランダに出ると柔らかな夜風が心地いい。
近所の家々の明かりと街灯が視線を上らせるほどまばらになっていき、
やがて山の中腹を巻くように繋がる道路の街灯や、
時おり通る乗用車のヘッドライトが樹木の覆いから微かに漏れる他に光が見えなくなる。
東西の終点が見えない稜線。それは夜空よりもよほど黒々としている。
わずかに身震いを覚え、いつも以上に手早く洗濯物を干した。
部屋に戻ると、先ほど行き詰まった数学の問題に気分一新取り組む。
お店がやっていけるものかどうか分からないけど、
父の背中を見てきたし、大きなくくりでは同じ仕事につきたい。
今日予習もせずに当てられて、さっぱり答えられなかった教科書の英文。
ノートと文法書をにらめっこしてようやく理解し、ほっとする。
何度か朗読しながらペンを走らせる。こいつは後でもっと可愛がってやろう。
つい深夜になり、区切りをつけることにする。
明日の時間割分一式と今日どうしても解らなかった問題をかばんとバッグに詰め込む。
七重に教えてもらって分からなかったら先生に聞こう。
充実感と同時にどこか娯楽の足りなさを感じながら、着るものを揃える。
写真の中の母に就寝の挨拶をしてから消灯する。
布団に身を横たえながら、今日の残りごはんは冷蔵庫内に移したことを思い出す。
暗い天井を眺めながら、やはり七重に相談しようと思い、まぶたを閉じた。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 20:48:33.70 ID:02mMz6wWo
だがわたしは、七重に登校時にはどうしても話すことができず、
休み時間にも級友の「お肉は燃やして食べるもの」という迷言に、
皆で罰当たりだと爆笑しながら一昨日のごはんのことを思い出したりしていた。
そして帰り道、わたしは思い切って尋ねた。
サキ「ナナは弟っていないよね?」
七重「ううん、どうして?」
サキ「昨日、ナナに少し似てる男の子に会ったから」
突然七重は驚いたような悲しいような複雑な表情でわたしを見つめた。
サキ「どうしたの」
七重「……お兄ちゃんかもしれない……」
言ってしまってから、言ってよかったことなのか迷ってる。
民法上年下の兄が発生することってあるのかな、という疑問はあるけどここはとりあえず、
サキ「そう」
とだけ答える。七重が思い出したように、
七重「わたしの家でサキに会いたいって人がいるの、ちょうどサキが家に来る日に。
わたしのお父さんとお母さんの高校の時からの友達で」
サキ「柊って人?」
七重「えっ? なんで知ってるの?」
サキ「男の子がそう言ってたから……。
でもまさかナナの家でだとは思わなかったな」
七重「そう……じゃ、やっぱりその子って家のお兄ちゃんだ、きっと」
サキ「じゃあ、ナナん家で聞かせてね」
七重「うん」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 20:52:34.14 ID:02mMz6wWo
そして金曜日。
サキ「じゃあ、また後でね」
いったん七重と別れた。
お店にいる父に声をかけ、帰宅。
着替えてから家じゅうの掃除。父の夕食のおかずを少し作っておく。
その旨を伝え、お泊り一式を携えて出かける。
チャイムを鳴らすと、間もなく七重の返事がインターホンから聞こえた。
門扉を開け、もう何度通ったか覚えていないアプローチに歩を進める。
限られたスペースに七重とおばさんが丹精込めて育てている季節の花に心が安らぐ。
少し尻尾を振って鼻先を寄せてくるジョンのふっかりしたあご周りを撫ぜながら挨拶して、
巣に入っているツバメの親を眺めながら玄関ドアの前で待っていると、
七重が出迎えてくれた。
わたしを玄関の中に入れてくれると、静かにドアを閉め、
七重「いらっしゃい。柊さん来てるよ」
サキ「うん。おじゃまします」
七重に続いて靴を脱ぎながら、家の中に挨拶する。
サキ「おばさん、こんにちは」
ハルヒ「ああ、サキ、上がって。お茶用意してるわよ」
リビングの方から明朗活発な顔と声だけ見せると、
ポニーテールを翻しておばさんはさっさと引っこんでしまった。
これがお泊りのときの、いつものおばさんの歓迎の仕方。
よくわたしが見た事のない(七重も見たことがないらしい)、
凄いご馳走(多国籍の料理らしい)を何時間もかけてこしらえて振る舞ってくれる。
一発でこんな美味しい料理を作れるくらいなんだし、
前に料理研究家としてテレビに出てみないかって、
近所の人を通じて誘いがあったのに、おばさんは断ってる。
他にも世界の政治情勢にやたら詳しくてニュースにツッコミを入れたり、
疎い方面なんてあるのかってほどの雑学家だし、
あと大学レベルの数学や物理の問題を暇つぶしにパズル感覚で解いたりしてるらしい。
犬のジョンの世話から炊事や洗濯、お掃除をこなして、
地域の困ったことをご近所から相談されたら解決しにいって、
ながらのこれだから、最強の専業主婦であることは間違いないけど、何だか勿体ない。
でもおばさんは今のままが性に合ってるって言うし、七重も賛成とも反対とも言わない。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 20:56:35.47 ID:02mMz6wWo
七重とリビングに入ると、初めて見る人がソファに腰掛けていた。
七重のお父さんやわたしの父と同じ年頃の男性で、
知的で切れ長な目と落ち着いた柔和な表情とは対照的に、
引き締まった体つきをしているのが、グレーのジャケット姿からもうかがえた。
年齢に合わない敏捷さで男性は立ち上がると、
古泉「初めまして、柊一樹と言います。一くんから小坂さんのことをうかがっています」
サキ「あ、はじめまして」
つられて頭を下げながら応えたものの、何だか色々と疑問が先立ってしまう。
戸惑っているわたしを見て、七重が台所の流しで洗い物をしていたおばさんを呼んだ。
エプロンをしたままのおばさんに、
七重「お兄ちゃんのこと…」
と促すと、
ハルヒ「そうだサキ、黙っててごめんね。どうも、息子の一(はじめ)と会ったみたいで」
言うほどに悪びれない様子のおばさんだけど、もしかして。
サキ「あ、大丈夫です。わたし、お二人のことおじさんには黙ってますから」
おばさんと柊と名乗った男性は揃ってきょとんとした顔でわたしを見て、
それから顔を見合わせ、そして爆笑した。
ハルヒ「やだ、サキ」
と言って、まだ笑っている。わたしの横の七重まで、両手で口を押さえ顔を震わせている。
ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ。
あ、古泉って古泉くんの旧姓ね。
あと、一は幼く見えたでしょうけど、七重の二つ年上の兄だから」
はは、勘違いで良かった。でもどう見ても中一くらいにしか見えなかったけど。
古泉「そういえば僕も男の子が欲しかったですね。家は娘ばかりですから。
いや、一くんは僕や朝比奈さんや、泉さんにとっても息子みたいなものです」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 21:00:37.41 ID:02mMz6wWo
ハルヒ「古泉くん、そう思ってくれるのならね」
何か違う話が始まったみたいだ。
ハルヒ「そちらでどんな決め事があるのか分からないけど、
一をもっと世の中に役立つように向けてくれないかしら。
今の状態って人としておかしいものだと思わない?」
古泉「ええ、涼宮さんの言うとおりだと、僕も思います。
しかし『機関』としてはですね、そう融通が利かなくて申し訳ありません。
今度のヤマを越えたらまた状況が変わるかもしれませんので、どうかそれまでは」
ハルヒ「いや、古泉くんを責めてるんじゃないのよ。
そもそもあいつが自分自身で気づいて考えないといけないことだから。
ブシンだか何だか知らないけど、幾ら有希がついてるからって、
社会と関わりを絶って電波の相手だけしてるなんて絶対に良くない。
やっぱりね、あの時高校を出たまま職を持つなり大学行くなりして、
普通に人の中で揉まれて成長していくべきだったの。
それが許されないってのなら、
せめて一が持ってる力を人のために生かすのが筋じゃない?
そこで余計なことをしたとか反応が返ってきたり、
失敗して初めて学ぶものでしょう? あの子、とにかく今のままじゃ駄目だわ」
俄然とまくし立てるおばさんに、
七重「お母さん」
と七重が冷たく口を挟んだ。おばさんは我に返ったように、
ハルヒ「はい。今日はあんたのために古泉くんは来てくれたんだったわ」
口を閉じて目をくりっとして軽く頭をさげながら、両手をぱっと顔の前に広げるおばさん。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 21:04:48.65 ID:02mMz6wWo
沈黙に促されるように、柊、あるいは古泉という人が落ち着いた声でわたしに話し出した。
古泉「一くんによると、小坂さん。君は空が真っ暗で無人で、
でも風景だけは一緒だという空間に迷い込んでしまったそうだね」
サキ「はい」
しかし言われてみれば、なぜわたしは異質な空間だとすぐに分かったのだろう。
空が急に暗くなって、周りの人が消えたのだと捉えてもおかしくない状況だったのに。
いや、それは自分から「侵入した」という自覚があったからだ。
古泉「そこでホラー映画に出てくるような女に出くわし、
襲われてるところに一くんが現れて、君を助けてくれた」
サキ「…」
ちょっと考える。
あの切迫した状況に一……七重のお兄さんだから、さんか、がいつの間にかいて、
あの能天気な態度に救われたと言えばそうだけど、
マンホールの蓋が勝手に跳ね上がったのかもしれないし、あの女を潰したのは……
古泉「それとも見た覚えのある恐ろしい巨人がその女を倒した?」
それは。
サキ「見たことがあるなんて、一さんには」
古泉「混乱させてすまない。かまをかけるつもりは無かったんだが。
ただ僕も能力に目覚めてばかりの時は、
《神人》を実際に目にする前からどういうものか知っていた、
という変な状態だったから君もそうかと思ってね」
サキ「…しんじん?」
ふとこんな話に七重がついてこれるのかと思って隣を見ると、かなり必死な顔で
七重「ごめん! サキが夢で見たって聞いてたのに。
わたし、柊さんみたいな能力を持ってないから神人ってどういうものか、
よく知らなくて」
何故かあたふたと謝られた。
七重は話の内容は理解できてて、でもあの青い怪物については見たことはないらしい。
おばさんも、柊さんとは旧知の仲らしいけど、一さんについての話のやりとりからすると、
柊さんと全く同じ立場ではないらしい。
いや、わたしに起こったことを柊さんが説明できるということは、
むしろわたしと柊さんが同じ立場なのだ。
古泉「君が見たはずの、青白い怪物のことだ。
だがこちらは害を及ぼす存在じゃない、今ではね。
敵はむしろ助けられた男性の脳に寄生していた情報生命体のほうだ。」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 21:08:50.92 ID:02mMz6wWo
情報生命体ってあの女のこと?
古泉「そうとはかぎらない。巨大なカマドウマの形をしたときだってある。
実体をもたず情報そのものとしてインターネットの中に潜み、
あるきっかけで任意のウェブサイト上に起動データがアップされると、
それを見た人の脳組織に直接、情報として感染するんだ。
人の脳に取り憑いて意識を奪い、異空間を作り出して被害者をそこへ転移させる。
その上で、宿主となった人の畏怖の対象に、本人を変異させてしまう。
具現化した情報生命体を倒せば、被害者は無事に解放される」
なんだかわけの分からない説明だが、少なくとも最後の部分だけは、
わたしがあの場所で見たことと一致している。
あの男性はペシャンコのはずなのに、傷一つついていなかった。
サキ「異空間って、あの空が全部真っ黒な場所のことですか」
古泉「君が迷い込んだのは、情報生命体が作りだした異空間を、
一くんが自身の閉鎖空間に変換したものだ」
サキ「……閉鎖空間っていうと隔離されて、閉じ込められて出られないっていう、
あれのことですか」
古泉「そう考えてくれて構わない。
詳しい話は君が知りたい範囲で追い追いするとしても、ただもう一つ」
柊さんは軽く人差し指を上げながら続ける。
古泉「わざわざ空間を変換してもらうのは、こちらの優位性を保つためだ。
彼の生み出した閉鎖空間の中でなら、
僕のような『機関』の能力者たちが情報生命体と戦う能力を存分に発揮できるから」
さっき、おばさんとの会話の中にも出てきた『機関』という組織の名称らしい言葉。
古泉「そうだね、君や僕のような能力者が閉鎖空間でなら敵と対等にわたりあえる、
と言った方がよかったか。
君は正確には偶然に閉鎖空間に迷い込んでしまったんじゃない。
閉鎖空間へ侵入することも能力の一つだと、……分かるよね、君なら」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 21:12:51.70 ID:02mMz6wWo
温かく、まっすぐな目でわたしを見ながら柊さんは言った。
見透かされている。
情報生命体や『機関』についてはともかく、
実のところわたしは閉鎖空間と神人という言葉を聞いたとき既に、
その言葉の意味するところを理解していた。
知らないうちにインストールされていたソフトが不意に起動したみたいに。
そんな自分の状態の異常さを認めたくなくて、わざと知らないふりをしたり、
一般的なイメージで確認するようなポーズをとってきた。
わたしが聞く前からわかっていたこと。
閉鎖空間は一さんの生み出した、彼の精神世界を反映させた空間。
大体が半径は数キロメートルの無人でモノクロの世界であるほかは、
現実の街並と何ら変わらない。
そして、そこに現れる神人をわたしは倒さなければならない。
なぜなら神人は閉鎖空間内の街を破壊し続け、
それに比例するように閉鎖空間は拡大し続ける。
そして、閉鎖空間が地球上全てを覆う規模になったら最後。
……言葉通りの意味でこの世界は終わるから。
そして、わたしには神人を倒す力がある。ただし閉鎖空間でしかその力を発揮できない。
そして、同じ力を持った人が他にもいることを知っている。
その認識が合っているかどうか確認するために。
また、そのことを知っているか柊さんを試すために。
わたしの卑劣な猜疑心を柊さんは見抜いたうえで、
それには触れず、ただ誠意をもって問いに答えてくれたのだ。
それに、全てではないがウラの取れる言葉があった、神人は「今では」敵ではない、と。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 21:16:56.82 ID:02mMz6wWo
サキ「はい。分かります」
古泉「『機関』には君や僕のような能力者が集まって、
一くんと連携しながら情報生命体から人々を守るために戦ってるんだ。
本来与えられた力を応用する形ではあるけどね。
今日僕はは『機関』の者として君にお願いしにきた。
我々の一員になって、君の力を『機関』に貸してほしいと」
それまでじっと、柊さんとわたしの言葉に耳を傾けていたおばさんが片手を挙げた。
ハルヒ「古泉くん、ひとつだけ言わせて」
柊さんが黙って頷く。
ハルヒ「サキ、あなたは要するに選ばなきゃいけないの。
でも逆に、選ぶってことができるのよ。
ここから先は選択によってはずっと命がけの日々を送ることになる。
反対に今聞いたことで、
それに脅かされず今まで通り普通に日常を生きていくことだってできる。
どちらが偉いとかじゃないわ、全てあなたの意志次第で決められることなのよ」
おばさんは「普通に〜」の辺りで強い目で柊さんに確認をとるような視線を合わせながら、ずっと昔からそうだったみたいに、
わたしや七重に辛抱強く説いて聞かせる時のはっきりと、抑えた口調で言った。
すぐに柊さんがおばさんの言葉を引き取る。
古泉「君は涼宮さんにとって大事な――人だし、君のお母さんのことも、側聞してる。
君が関わりたくないのなら、以降僕の方から持ちかけたりはしないよ」
話しながらおばさんと目を合わせ頷き合う柊さん。
古泉「でも、閉鎖空間や神人の気配や、
その他この件に関することで悩んだり困ったりするようなことがあれば、
いつでも力になる。同じ感覚を持った者だから理解できることもあると思うから。
あくまで君が、君の人生を歩む上での話でね。
僕は自分が今していることに誇りを持っているけど、
涼宮さんが言う通り、どちらの生き方に優劣があるわけじゃないんだ。
僕個人は、君が心から願うほうを選ぶことにこそ意味があると思う」
そしてジャケットの懐から手帳を取り出し、手早く書き込むとそのページをちぎって、
わたしに手渡した。
古泉「僕の番号だ。いつでも、どんな答えでも、掛けても掛けなくても構わない。
それじゃ、涼宮さん、僕はこの辺で」
ハルヒ「え、ちょっと。もうすぐ一品出来上がるから、その味見してからにしたら?」
古泉「それは惜しいですね。でも、今日は」
短いながらもしっかりした口調の返答に、おばさんも引き留めるのをあきらめた。
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 21:20:58.89 ID:02mMz6wWo
きれいに磨かれた革靴を履きおえたとき、ふと柊さんは少しすまなそうに、
古泉「本当なら水入らずのところをお邪魔したくなかったんだけど……」
柊さんは、今日初めて何か言葉が見つからないみたいで、少し間が空いた。
それが何故なのか分からず、わたしも何か言った方がいいのかなと思い始めたとき、
後ろからぱたっと、わたしの頭におばさんの手が置かれた。
ハルヒ「大丈夫。この子はこう見えて高い順応性を持ってるから」
軽く頭を撫でられて、おばさんの方を向くと、
一点の疑いもなく信じている目で笑みを浮かべ、わたしを見守っていた。
はて、わたしはそうだったかな。
隣の七重と同じく、わたしも今きょとんとした顔をしているに違いない。
だが、柊さんは楽しそうな笑顔になっていたので、まあいいのだろう。
柊さんを門扉から見えなくなるまで見送ると、
(何だかんだでおばさんに押し付けられたお土産を掲げながらにこやかに歩いていった)、
七重とわたしは、おばさんにがっしと肩を捕まえられて両側から引き寄せられた。
ハルヒ「さあ、おしゃべりで遅れた分、巻き返すわよ!
二人とも今日は手伝ってちょうだい!」
料理は多めに作ってあって、タッパに詰めて小坂家へ持ち帰るよう指示するのも、
いつものおばさんのやり方だった。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 21:21:37.47 ID:02mMz6wWo
今日はここまで
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 21:22:40.30 ID:EC+lLN310
乙
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/18(木) 21:13:09.60 ID:a1uWnm9Jo
七重「ねえ、サキって――」
もうぬるくなったココアをすすると、七重は宙を見つめ、
自身の頭の中で膨らんだ風船をこの部屋に浮かべるように言葉を発した。
七重「――どうするの?」
クッションを両足で挟んで床にお尻をつけたまま、
カップに視線を注ぎながらことりとローテーブルに載せ、膝を抱える。
サキ「……柊さんのこと?」
尋ねた割にどこか、答えを聞きたくないと言ってるような目が待っている。
七重「うん」
賑やかな晩餐の後、七重と久し振りにまったりと流れていた時が一時停止する。
やや不快だ。七重に対してではなく、この状況に。
わたしは女の子に、というより七重に飢えていた。
ここは、自室よりずっとくつろげるシェルターのような場所だった。
反対側からカップを置き、再びベッドに腰かけた勢いのまま上半身を倒した。
サキ「……どうかなあ。忙しいし……」
名残惜しさにぼやく。心は65パーセントくらい決まっていたから。
七重「うん、だよね。やっぱりさ」
胸越しに覗く安堵の表情が痛ましくて、わたしは天井へ目を逸らした。
サキ「でも、人を冒す或る病気があってそれはわたし達にしか治せない」
返ってくる沈黙に耐え切れず上体を起こして、七重と向かい合う。
サキ「だから……」
七重は無理に笑顔を作ってみせた。
七重「サキならそう言うんじゃないかって思ってた」
その夜は、いつもより遅くまで語らった。とりとめのない話からお互いの将来のことまで。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/18(木) 21:17:11.11 ID:a1uWnm9Jo
正直なところ、わからないことの方が多い。
敵がどういう経緯でわたし達と戦うことになったのか。
戦う必然性は……。
疑問はきりがないが、結局、助けが必要な人がいて、自分に助けられる力があるのなら、
と最後に述語がつかない漠然とした感覚で、わたしは答えを出した。
教えてもらった番号に電話をかけ、わたしは伝えた。戦いに参加したいと。
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/18(木) 21:21:02.85 ID:a1uWnm9Jo
そして今、わたしは閉鎖空間の中を必死に走っている。
あの悪夢のように何かに追われてでなく、訓練メニューの一環としてだ。
毎日、晩ご飯の後のジョギングと称して夜八時ごろ家を抜け出し、
駅前公園の辺りですでに開いている閉鎖空間に飛び込む。
これは敵が中にいるわけではなく、柊さんが一さんに頼んで、
毎日定刻に、訓練のために開いてもらっているのだ。
閉鎖空間を開く、という言い方はなんだかおかしいけど。
父には人気のない、暗い道は避けろと言われているが、
正にそんなところをダッシュしているのである。
そう、閉鎖空間に侵入するなりジョギングは、長距離ダッシュに切り替わる。
聞いたことがない。
公園内を一周すると、訓練には絶好のコースが待っている。そう、北高への坂道だ。
登り坂を駆け上がり(駈け上がれない)、校門がゴール。
ここまで来て息が乱れない柊さんがありえない。
校庭のトラックを一周歩いて後、
陸上部の部室の壁を柊さんが吹き飛ばし(毎日来るたびに直っているけど申し訳ない)、
中の器具を拝借して筋力トレーニング。
もうここまででキツくて吐きそうになる。と言うか最初は吐いた。
筋トレでいい具合に負荷がかかったところで、
柊さんが作ってくれた足場を頼りに、校舎の横の壁をよじ登る。
屋上まで、途中落ちた所からやり直し。
屋上のふちを落ちないように一周走り、飛び降りて一とおりのメニュー終了となる。
古泉「暫定として組んでみたけど、バランス悪くないかな」
とりあえず父が心配しないくらいの時間に帰れるようにしたい。
最初のころは筋トレの途中で終了になっていたが、
だんだん壁登りの行ける高さが伸びてきた。
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/18(木) 21:25:05.19 ID:a1uWnm9Jo
ところで、問題があった。
勉強のことなら、帰宅してから晩ご飯の間のわずかな時間と、
ジョギングから帰ったらお風呂に入ったあとすぐ寝て、
それまでの生活より何時間か早く起きてやればなんとかなった。
問題は機関の能力者として、根本的というか決定的なところにあって、
つまりわたしは自身の紅玉化も、赤い光球を手のひらから出すこともできないのだった。
当初の訓練メニューには、神人狩りが入っていた。
一さんに制御された上で暴れまわる神人を、紅玉化して倒すのが最終目標だったが、
まずは基本の飛行技術から学ぶところで、
サキ「どうやるんですか?」
柊さんは全く予想していない質問を受けたようだった。
古泉「どうって……わからない?」
要は感覚の問題だった。あるものはある、ないものはないのだった。
そして、閉鎖空間に侵入できるのに肝心の攻撃能力が使えない、
やり方が分からない者など前代未聞らしかった。
柊さんは興味深そうに、
古泉「さすがに君みたいな例は初めてだな」
いや、それは相当ショックです。
古泉「では、できるようになると信じて、それまでは体力をつけることから始めるか」
というわけで今のメニューに変更されたのだった。
それにしても、紅玉化すれば体力なんて関係ないんじゃ、
と疑問に思い質問したことがあるが、
古泉「いや。紅玉の状態は自身が武器になるだけじゃなく、
敵の攻撃から身を守る鎧にもなるんだが、
その強さは精神力に左右されるんだ。そして、体力と精神力は比例するから」
体力をつける以外に精神力を強くする方法はないでしょうか。
柊さんはちょっと考えて、
古泉「まあ強制はしないけど、本を読むことかな。
目的のためって言うより、学生なんだし読書で損はないと思うよ」
そう言われれば、世の中には難しい本がたくさんあるなあ、
と思い始めた頃から、あまり本は読んでいない。
避けていたジャンルの読書に取り組めば、精神力も強くなるものなのだろうか。
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/18(木) 21:29:07.39 ID:a1uWnm9Jo
そんなある日、七重が委員会で残って、
わたしが一人で下校していると不意に声を掛けられた。
例によって中学一年の時の姿のままの、七重のお兄さんである。
一「よう」
こうして並んで歩いていると、周りからは姉弟に見えるだろう。
サキ「この間は助けてくれてありがとうございました。」
自分でも丁寧語で話しているのがおかしく感じる。
一「いや。危ない目に遭わせたのはこちらの不手際さ。
でも次からは自分の身は自分で守れよ」
分かってます。そのために毎日訓練してますから。それより、わたしに何か用ですか。
一「別に。あれからどうしてるかなと思ってさ」
サキ「おかげさまで元気です。でも一さん、高校出たままぶらぶらしてんでしょ。
もっと有意義に時間を使ったらどうですか」
一「君が下校する所を一緒に歩くなんて、今の俺にとっちゃ有意義な時間さ。
学生時代ってのが何より懐かしいし、
女学生が傾きかけた陽の中を今日の学業を終えていそいそと家路につくのを見てると、
なんかそう……ノスタルジックというか、
もう俺には縁のない光景だなって感慨深くなるもの。
あ、一応、君の高校のOBだから」
そんな小中学生にしか見えない顔をにこにこさせながら、
おっさんくさいことを言われてもなあ……。
サキ「じゃあ、わたしのクラスの担任、岡部先生って言うんですけど、
どの部活の顧問か知ってますか」
一さんは諦め気味の笑顔で前を向きながら鼻で深めの溜息をついて、
一「サキも変わらんなあ。……職員室で、俺の親父の二コ下の卒業者名簿を見てみろ、
山田って名前で載ってるから」
話がこんがらがってきた。わたしの混乱を察したように話を継ぐ。
一「ちょっと用事があって、過去に遡った。
その時北高生として潜り込んで、そのまま今まで来たのさ。
あ、言っとくけど学業面でチートは使ってないぞ。頭の方は七重と違って親父似だが、
正々堂々ギリギリ卒業したからな」
なにかBTFな事情があったらしい。いや、「そのまま今まで来た」って……?
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/18(木) 21:33:09.22 ID:a1uWnm9Jo
一さんが足を止めた。
前方から歩いてくる、美しいストレートロングの女性を見ている。
女性も微笑みを浮かべてこちらを見ているから、
一「朝倉さん、お久しぶりです」
知り合いなのだと、
朝倉「こんにちは、一くん。それから小坂幸さん」
思ったら、
一「サキ、すまん。また巻き込んじまった。離れるなよ」
サバイバルナイフが飛んできた。
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/18(木) 21:34:07.79 ID:a1uWnm9Jo
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