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チェイス「雛見沢…」
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81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/18(木) 18:30:23.91 ID:fa+XwGbM0
キャラが全員生き生きしてて好き
82 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:55:33.47 ID:wzUQ9MOUO
魅音「あー!ごめん!今日の部活は無し!」
圭一「え?」
レナ「?」
沙都子「あら?何か用事ですの?」
魅音「それがさー…昨日の夜に知り合いから電話がかかってきてね?少しだけバイト頼まれちゃって」
圭一「へー。そりゃ大変だな」
沙都子「ん…まあ、実は私達も今日は興宮までお買い物に出掛けなければなりませんので…」
梨花「みー☆」
圭一「じゃあ、レナと俺だけか」
レナ「二人で部活は出来ないし、今日はお休みだね」
魅音「ごめんねー?明日は通常通りだから!よろしくっ!バイバーイ!!」バビューン
圭一「お、おお…」
沙都子「…何だか、嵐のように去っていきましたわね」
レナ「急いでるのかな?かな?」
梨花「何だか興宮のワードに反応していたようなのです」
沙都子「ん…あ!こうしてはいられませんわ!梨花!左之助さんを呼んで下さいまし!」
梨花「了解した。なのです!」
レナ「?左之助先生がどうかしたの?」
梨花「左之助は荷物持ち担当なのですよ」
沙都子「おーほっほっほ!左之助さんは圭一さんと違って力持ちですから!」
圭一「何ぃ!?」
沙都子「圭一さんは食器棚を一人で持ち上げることが出来まして?」
圭一「ゲッ…あの人そんな事出来んのかよ…」
沙都子「人は見た目によらないということですわ」
レナ「・・・見た目・・・?」
沙都子「…それは否定しませんわ…」
83 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:56:35.08 ID:wzUQ9MOUO
…。
チェイス「部活…」
沙都子「そうですのよ。魅音さんを中心として、様々なゲームで勝負をするのですわ」
チェイス「…部活というのは、ゲームをするものなのか?」
梨花「中身はゲーム同好会なのです」
沙都子「というより部として認知されてるのかどうかすら怪しいものですわね…」
梨花「でも楽しければ良いのですよ。ボクはとっても楽しいのです。にぱー☆」
沙都子「そうですわね…今ではなくてはならないものになっていますから…」
チェイス「…そうか」
沙都子「左之助先生も参加してみませんこと?そのポーカーフェイスなら、魅音さんも見破れませんわよ?」
梨花「カードゲームにボードゲーム、麻雀、色々あるのですよ」
チェイス「…俺は、遠慮しておこう」
沙都子「?」
チェイス「麻雀やボードゲームに関しては、ルールを知らない」
沙都子「あら?そうでしたの?」
梨花「(…そういえば、ロイミュードは人間の身姿をコピーするって言ってたわね…確か、記憶もそのまま引き継ぐって…)」
沙都子「私が教えてあげても宜しくってよ」
チェイス「…考えておこう」
梨花「(…どれだけ真面目な奴をコピーしたのよ…)」
84 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:57:35.19 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「…?」
沙都子「?」
「「「〜!」」」
「…」
梨花「みー…何だか騒がしいのです」
チェイス「…喧嘩ではないな」
沙都子「え?あ、ちょ…左之助さん!」
…。
「だーかーら!!テメェが今蹴飛ばしたのは俺のバイクだってんだよ!!」
「どーすんだ!?傷付いてんじゃねぇか!!」
「蹴飛ばしたんじゃなくて、蹴飛ばした缶が当たっただけですよ。傷もついてないし…」
「よく見ろよ!傷つきまくってんだろ!!?」
「それは貴方達の走り方に問題があるんじゃないですか?」
「んだとこのアマァ!!」
チェイス「何をしている」
「…あ?」
「!」
85 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:58:29.01 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「何故お前達はこの子に怒っている?」
「…んだよ。関係ねーだろ。すっこんでろ!」
チェイス「このままでは彼女が危険だ。見過ごすわけにはいかない」
「…」
チェイス「何があったのか説明しろ」
「あ?そりゃあ…こいつが蹴飛ばした缶が!ここに!当たったんだよ!俺のバイクに!!」
チェイス「…そうなのか?」
「…まあ、そうですけど、傷はついてませんよ。どう見たって壁に擦り付けた後じゃないですか」
チェイス「だが、お前の不注意が招いた事だ。謝らなければならない」
「…え?」
チェイス「ルールはルールだ。お前が謝れば済む話だ」
「…」
「…おい。おい!!」
チェイス「どうした」
「いや、何を勝手に終わらせようとしてんだよ!!」
「謝って済む問題じゃねぇんだよ!!」
チェイス「ならばどうすれば良い」
「…そうさなぁ…うひひ」
「そのボインを好きにさせてくれるってんなら…」
チェイス「ボイン?」
「…ッ!」
沙都子「左之助さん!」
梨花「左之助!」
86 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:59:34.67 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「どうした」
沙都子「どうした?じゃありませんわよ。わざわざ何を…あ、詩音さん」
詩音「あら?沙都子」
梨花「詩ぃ。どうしたのですか?」
詩音「どーもこーもありませんよ。このチンピラ様にいちゃもんつけられて困ってるんです。これからバイトあるのに…」
「誰がチンピラだぁ!!」
「調子に乗ってんじゃねえぞ!!」
チェイス「待て。原因を作ったのはお前だ」
詩音「…まあ、そうです…ね。どーもすいませんでした」ペコ
「ああ!?そんなもんで済まされる訳ねーだろ!」
「こいつ…ちょっと来い!」グイ
詩音「!」
沙都子「詩音さん!」
「あまり俺らを舐めてっとどうなるか教えtイダダダダダダダ!!!」
チェイス「…」ググ…
「てめ…!何すんだ!よっちゃんを離しやがれ!!」
チェイス「その女は謝った。もう終わった事だ」
「痛い痛い痛い痛い!!!折れる!腕が折れる!!」
「んだこいつ…!蹴っても殴ってもビクともしねぇ…!!っつか固ぇ!」
チェイス「それ以上彼女を責めるなら、話は別だ」
「分かった!分かったよ!!もうしない!しないから離してくれよおおおお!!」
チェイス「…」パッ
「…お…お…」
沙都子「…お?」
「覚えてやがれええええええ!!!」ピュー
「お、おい!よっちゃん!!」ピュー
87 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:00:52.76 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「…」
詩音「あっはっは!まるで負け犬ですねー、あれ…」
沙都子「ああいう輩に絡むものではありませんわよ。詩音さん」
詩音「しょーがないじゃないですか。成り行きですよ成り行き」
チェイス「…気をつけて、行動するべきだ」
詩音「はいはい…でも助けてもらっちゃって。ありがとうございました」
チェイス「…」
詩音「私は園崎詩音。沙都子の…知り合いの…魅音の、双子の妹です」
沙都子「ややこしいですわね」
梨花「みー。この方は紫、左之助なのですよ」
詩音「・・・左之助・・・?」
チェイス「…」
詩音「…そ、そうですか。でも助かりましたよ。ホント」
沙都子「それよりも詩音さん。バイトのお時間ではありませんの?」
詩音「…!ヤバっ!」
梨花「詩ぃは今日は色んな人に怒られる日なのです。にぱー☆」
詩音「り、梨花ちゃまったらもう…失礼しまーす!!」バビューン
チェイス「…」
沙都子「…本当、姉妹揃って嵐のようでしたわね」
梨花「左之助。今の人は園崎詩音。魅ぃの双子の妹で、興宮に住んでるのですよ」
チェイス「羽入から聞いている」
梨花「ン゛ン゛ッッッ!!!」
沙都子「!?」
梨花「ン゛…さて、買い物買い物…」
沙都子「・・・」
チェイス「…そういえば、沙都子」
沙都子「何ですの?」
チェイス「ボインとは何だ?」
沙都子「ン゛ン゛」
88 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:01:32.72 ID:wzUQ9MOUO
…。
レナ「ふー…お買い物、終了!」
圭一「はー…いつもこんなに買ってんだな…」
レナ「あはは…1週間分だから」
圭一「その上弁当だもんなぁ。…苦労してるんだな…」
レナ「そんな…圭一君だっていつもレナ達に勉強教えてくれるし…それにこうやってお買い物も手伝ってくれるし…」
圭一「良いって。こんなんで良けりゃこれからも手伝うよ」
レナ「こ、これからも!?…はうう…」
圭一「…っていうか、ただ何となくさ、恥ずかしくて」
レナ「?」
圭一「ほら、梨花ちゃんだって沙都子だって、家事を自分達でこなしてるんだろ?…俺、親に全部やってもらってるしさ」
レナ「んー…」
圭一「だから、手伝おうかなって思った…ってだけなんだ」
レナ「あはは。それでも嬉しいかな。…かな」
圭一「で?今日の晩御飯は何にするんだ?」
レナ「うーん…今日は…オムライスにしようかなって」
圭一「へー…オムライスってこんなに卵使うのか?」
レナ「い、1週間分だから。そんないっぱい使わないよう」
圭一「ほー…」
レナ「…」
89 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:02:34.19 ID:wzUQ9MOUO
レナ「圭一君は?今日はどうするの?」
圭一「今日?…うーん。母さんは出掛けてるし、親父は興宮の…エンジェルモートって店に行ってるし」
レナ「エンジェルモート…」
圭一「ああ。何だか凄い嬉しそうでさ。誘われたんだけど、断ってきたよ」
レナ「圭一君。そっちに行かなくて良かったの?」
圭一「?…そんな凄い店なのか?」
レナ「…色々と、圭一君の好きそうなお店かな。…かな…」
圭一「えっ!!?ま、マジで!?」
レナ「…けーいちくん。やっぱり…」
圭一「え!?あ、いや!こっち!レナとの買い物のが大事!!」
レナ「…ちなみに、ご飯は?」
圭一「カップ麺かな」
レナ「え?……うーん……」
圭一「良いって。1日くらい。流石に1週間カップ麺だったらヤバイけどさ」
レナ「…うーーーーーん…」
圭一「…レナ?腕組んでどうしたんだよ」
レナ「…お父さん…カレーくらいなら…」
圭一「…?」
レナ「うーーーーーーーん…」
圭一「長い長い」
90 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:03:26.12 ID:wzUQ9MOUO
…。
沙都子「んー…」
梨花「みー…やっぱり左之助の服を買うには出費が大きすぎるのです」
チェイス「服ならある」
沙都子「それしか無いのでは?」
チェイス「これで十分だ」
沙都子「十分じゃありませんわよ。道行く人間もれなく全員貴方のこと避けていきましたわよ」
チェイス「…」
沙都子「まあ、不思議と汗もかかないし臭いもしませんから何も言いませんでしたが、流石にここずっと同じ服なのは衛生的にどうかと思いますわ」
梨花「でもこのままでは予算オーバーになってしまうのです。パンツが限界なのです」ピラピラ
チェイス「…」
沙都子「うーん…」
梨花「これは困ったのです…」
沙都子「…んー…監督のお古を譲ってもらえるでしょうか?」
梨花「沙都子が頼めばお古でも新品でもくれる筈ですよ」
沙都子「でも、うーん…」
梨花「…みー…」
91 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:04:12.48 ID:wzUQ9MOUO
…。
レナ「…うん!レナ、決めたよ!」
圭一「?」
レナ「今日、圭一君のお家にご飯作りにいくよ!」
圭一「え?で、でも親父さんの…」
レナ「お父さんは料理出来るし…それに…」
圭一「それに?」
レナ「な、何でもない…でも大丈夫だから」
圭一「良いのか?そりゃ俺はレナの手料理が食えるなら嬉しいけど…」
レナ「ほ、ホント!?」
圭一「あ、ああ」
レナ「…えへ」
圭一「あ、あはは…」
…。
沙都子「あ」
梨花「あ」
レナ「あ」
圭一「あ」
チェイス「…」
沙都子「…あら…」
レナ「あれ…」
梨花「ばったり。なのです」
92 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:05:02.29 ID:wzUQ9MOUO
…。
沙都子「レナさん。圭一さんを甘やかしてはいけませんわよ」
レナ「で、でもカップラーメンじゃ可哀想だよ」
沙都子「これを機に圭一さんもチャレンジしてみてはいかがですこと?…ンま!!大火事になるのが関の山でしょうけど!!」
圭一「やかましいわ!!!」
梨花「…」
チェイス「…どうした」
梨花「え?あ、いや…」
チェイス「…」
梨花「…ちょ、ちょっと…」ボソ
チェイス「何だ」
梨花「こ、これは異常自体よ…今までに無かった事だわ…」ボソボソ
チェイス「…この辺りの地域は狭い。同じ時間に歩いていれば会うだろう」
梨花「違うわよ!圭一は本来、この時間にエンジェルモートで詩音と会うの!」ボソボソ
チェイス「エンジェルモート…?」
梨花「メイドカフェみたいなもんよ!そこに行く筈なの!」ボソボソ
チェイス「…圭一」
圭一「?何ですか?」
チェイス「お前は今日、エンジェルモートに行くのか?」
圭一「え?」
梨花「ン゛ン゛!!!」
沙都子「!!?」
圭一「い、いや…確かに親父に誘われましたけど…断って…」
レナ「レナのお買い物を手伝ってくれるって、来てくれたんです!」
梨花「…そ、そうなのですか…」
圭一「でも、何でそれを?」
梨花「け、圭一の性格ならエンジェルモートがきっと好きになると思ったのですよ」
圭一「えっ!?」
レナ「…けーいちくん…」
圭一「え!?あ、いや!レナの!レナの買い物のが良い!幸せ!!」
レナ「えへへ…」
梨花「…」
93 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:05:53.35 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「沙都子」
沙都子「何ですの?」
チェイス「圭一の好きなようなもの、とは何だ?」
沙都子「…大分グレーゾーンなお店とだけ伝えておきますわ」
圭一「!!!」
レナ「・・・」
圭一「れ、レナ…無言は勘弁…」
チェイス「何故摘発されない?」
沙都子「…さあ…?」
梨花「…さあ…?」
「はーい!お釣り280円ねー」
チェイス「…?」
「わーい!ありがとー!」
「また来てねー!」
圭一「!」
レナ「…この声…」
沙都子「…まさか…?」
梨花「…嘘でしょ…?」
沙都子「え?」
梨花「ん?」
沙都子「ん?」
梨花「魅ぃの声なのです。見に行くのですよ」
沙都子「…え、え?あ、はい…」
「…はー…あとちょっとかー…」
圭一「おーい!」
「…んぐぇっ!?」
94 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:07:01.31 ID:wzUQ9MOUO
魅音「びっくりしたー…何この偶然」
沙都子「私達の方がびっくりですわよ。仮にも女性なのですからもうちょっと驚き方を考えて欲しいものですわ」
レナ「魅ぃちゃんの言ってた手伝いってここのお店のことだったんだね」
圭一「おもちゃ屋かー…」
魅音「何か限定品買いに行くからってさ、昨日の夜いきなり頼まれちゃって」
圭一「そりゃまた随分急だな…」
魅音「まあ、限定品っていうくらいだからそんなもんじゃない?…あ、噂をすれば…」
「おーい!魅音ちゃーん!」
沙都子「…何だか凄い大荷物ですわね」
チェイス「…」
「悪かったねー…突然こんな事頼んじゃって」
魅音「良いよ良いよ。楽しかったし」
「…あれ?何だか大所帯だねぇ」
魅音「あー…うん!私の友達!」
「…彼もかい?」ボソ
チェイス「…」
魅音「あ、あはは…」
「まー…お礼と言っちゃなんだけどさ、ちょっと待っててよ!…あ!君達もさ!」
レナ「?」
沙都子「?」
「すぐ来るから!ちょっとだけ待っててよ!」
梨花「…」
魅音「おじさーん?そんな無理しなくてもー…あー…ごめんね?何か…」
梨花「みー。ボク達は貰える物は貰う主義なのですよ」
魅音「そういえば、左之助先生は何か買ったの?」
沙都子「それが、服を買おうと思ったのですが、流石に予算オーバーですわ…」
梨花「左之助は給料が出るまでかわいそかわいそなのです」
チェイス「…」
魅音「あ、あはは…はは…」
チェイス「俺は特に注文は無い。着れるものなら着る」
沙都子「…いえ、それではいけませんわ。服というのはその人「らしさ」を表すものでもありますから」
チェイス「…俺…らしさ…」
魅音「だとしたらまあまあヤバイ人になるけど」
95 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:07:50.22 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「服がその人間のらしさを表すというのは、俺には分からない」
沙都子「そうですの?…例えば魅音さん」
魅音「おじさん?」
チェイス「…おじさん…?」
魅音「あ、ごめん…私?」
沙都子「男勝りな性格を表していると思いませんこと?」
チェイス「…」
梨花「…」
圭一「まあ、確かにな。制服も女の子らしいっていうか、スケ番ぽいっていうか…」
魅音「あ、あれはそういうデザイン!デザインだから!!」
チェイス「服、というのはある種の鎧のようなものだ」
沙都子「…鎧?」
チェイス「鎧というのはその身を守る為のもの。鎧を取ってみなければその人間の本質は分からない」
圭一「…本質…」
チェイス「戦っても、話しても。その本質を見極め、理解しない限り分かり合うことは出来ない」
沙都子「何の話ですの?」
梨花「…左之助は、こう言いたいのですよ」
レナ「…」
梨花「普段見せる顔と、本当に見せる顔が違う事もある、ということなのですよ」
圭一「…」
魅音「…」
沙都子「…そういう考えも、無いことはない、ですわね」
「おーい!お待たせー!」
魅音「!」
96 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:08:35.20 ID:wzUQ9MOUO
「いやー、探すのにちょっと時間食っちゃってねー…」
沙都子「!…ちょ、ちょっと!それ埃被ってるじゃありませんの!」
「あーごめんごめん。正月の福袋の余りでさ…」
梨花「もう6月なのですよ…」
「でもね、これ結構良いの入れてたんだよー?…えーと、ひーふーみー…5袋!…」
チェイス「俺はいらない」
「あ、あはは…申し訳ありません…じゃ、じゃあさ!子供達で分け合って!」
魅音「えー?でも悪くない?店の商品なのに…」
「良いって!売れ残…お駄賃お駄賃!」
圭一「今売れ残りって…」
レナ「言ってた…」
「ン゛ン゛!ま、まあまあ!結構良さげなのも入れといたからさ!」
沙都子「でしたら、お言葉に甘えて…」
梨花「先手必勝なのですよ」
魅音「じゃー…私はこれ!」
レナ「じゃあ、レナはこれ…」
圭一「俺は…これで…」
チェイス「…」
圭一「…」
97 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:09:22.75 ID:wzUQ9MOUO
「どう?良いのあった?」
圭一「え?あ、いやー…」
沙都子「あら?圭一さん…ププッ…」
レナ「わあ…かぁいいお人形さん!」
圭一「…えええ…?」
「あー…でもそれその中じゃまあまあ高い部類だよ?」
圭一「いや…これは…」
沙都子「まさに試合に勝って勝負に負けるというやつですわね。そのお人形さんでおままごとでもしてはどうですの?」
圭一「なぁぁぁにぃぃぃぃ?お前を着せ替え人形にしてやろうか沙都子ォ!」
沙都子「セクハラですわ!酷い男ですわ!」
魅音「…」
圭一「…あー…これはちょっと…なぁ…」
レナ「…」
圭一「…んー…」
梨花「…」
圭一「…」
…。
『戦っても、話しても。その本質を見極め、理解しない限り分かり合うことは出来ない』
『普段見せる顔と、本当に見せる顔が違う事もある、ということなのですよ』
…。
圭一「…なあ、魅音」
魅音「ン゛っ?」
梨花「!」
98 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:10:17.45 ID:wzUQ9MOUO
圭一「…これ、いるか?」
魅音「え?わ、私!?」
圭一「…ん」
魅音「…え、え?」
圭一「…ほら、何つーか…えーと…ほ、ほら!お前のやつ!その手品セット!そっちの方が良いかなって…」
魅音「え…えっと、そ、それなら!それなら仕方ないかなぁ!!貰っちゃおうかなぁ!!?」
圭一「は、はははははははは!!」
魅音「あ、あははははははは!!」
沙都子「…何ですのこの空気」
レナ「…ふふっ」
チェイス「…」
梨花「…ちょっと」
チェイス「何だ」
梨花「…わざと?」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…なんだかんだで、器用なもんじゃない」
チェイス「…」
魅音「いやー!欲しくないけど!貰っちゃしょーがないよねー!ねー!」
レナ「レナのと交換する?」
魅音「だ、ダメっ!!」
レナ「…ふふふっ」
圭一「…」
99 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:11:24.09 ID:wzUQ9MOUO
…。
……。
圭一「なあ、レナ」
レナ「なあに?」
圭一「…俺、あれで良かったのかな?」
レナ「…魅ぃちゃんにあげたこと?」
圭一「…何ていうか、その…左之助さんと梨花ちゃんの言葉が引っかかったっていうか…」
レナ「魅ぃちゃんが、喜んでるかどうかってこと?」
圭一「…」コク
レナ「…圭一君は、魅ぃちゃんのこと、どう思ってるの?」
圭一「え?」
レナ「魅ぃちゃんのこと。どう思ってる?」
圭一「…そりゃあ、部活の頼れる部長で、いざという時は俺なんか比べ物にならないくらい動けるし、男勝りな感じはするけど…」
レナ「…」
圭一「…へ、変な意味じゃないからな?」
レナ「うん。ちゃんと聞いてるよ?」
圭一「その…ほら、あいつ、意外と使ってる文房具とか小物とか、可愛いやつだったりするし…」
レナ「…」
圭一「…もしかしたら、そういう部分もあるのかなって。思い返してみたら…」
レナ「…圭一君」
圭一「?」
レナ「明日、魅ぃちゃんの顔。良く見てあげてね」
圭一「え?あ、ああ…」
レナ「…あ!ちょっと待っててね!冷蔵庫に入れたら直ぐ行くから!」
圭一「…」
レナ「ちょっとだけ!ちょっとだけ待ってて!」
圭一「なあ、レナ」
レナ「?」
圭一「…俺も、晩御飯作るの手伝うよ」
レナ「…」
圭一「…レナにばっかりやってもらってたら、その…良くないから」
レナ「…うんっ!」
…。
100 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:12:06.63 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「ちょっと、お家に寄ってもよろしくて?」
梨花「?…はい。良いのですよ」
チェイス「…?」
梨花「左之助。沙都子の本来のお家なのですよ」
チェイス「…」
沙都子「もしかしたらサイズの合う物があるかもしれませんわ。ちょっと左之助さん…しゃがんでくださる?」
チェイス「…」
沙都子「…ん。丁度良いサイズの物があった気がしますわ。良かったら着てみませんこと?」
チェイス「了解した」
沙都子「では決まりですわね。行きますわよ」
チェイス「…」
梨花「…でも今日はもう遅いのです。明日でも…」
沙都子「思い立ったが吉日ですわ。それに左之助さんの衣服はそろそろ洗わないと」
梨花「…」
チェイス「…どうした?」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…嫌な、予感がするのよ」
チェイス「…」
梨花「…一難去ってまた一難…かもしれないわよ…」
チェイス「…」
…。
101 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:12:56.16 ID:wzUQ9MOUO
レナ「…ただいま…」
「おお。お帰り礼奈。今日は遅かったみたいだね」
レナ「…今日、圭一君の家でご飯を作ろうかなって思って…」
「そうなのかい?なら今日は父さんが作るよ。楽しんでおいで」
レナ「…うん」
?「えー?礼奈ちゃんの手料理食べれないの?」
レナ「…あ…」
「まあそう言わないで…礼奈はお友達思いだから…」
?「ふーん…ねえ、礼奈ちゃん」
レナ「…」
?「いつも帰ってくるのが遅いのって、私のせい?」
レナ「…」ブンブン
?「そっ。なら良かったー!」
「リナさん。礼奈はそんな事を思うような子じゃないよ」
リナ「そうだよねー!礼奈ちゃん優しいもん!」
レナ「…」
リナ「じゃあねー♪れ・い・な・ちゃん♪」
レナ「…」ペコ
…。
102 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:14:13.24 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「…あら?」
梨花「…あ…」
チェイス「…」
沙都子「…どうして…電気が…」
梨花「…そんな…」
チェイス「…」
沙都子「まさか…!」
梨花「!さ、沙都子!」
?「…あァ?沙都子ぉ?」
梨花「!!」
沙都子「ッ…」
チェイス「…」
?「……おぉおぉ。沙都子けぇ…」ガラッ
沙都子「…あ…」
?「ワシも今日からこっちで暮らすことにしたわ。沙都子」
沙都子「…て、鉄平…叔父様…」
梨花「…ッ!!」
鉄平「…ん?何じゃ?お前ら…」
チェイス「…」
鉄平「気に入らん目つきじゃのう…何じゃ?お?」
チェイス「…」
鉄平「…まあええ。沙都子。腹が減っとんのじゃ。さっさと晩飯作れや」
沙都子「…梨花…左之助さん…」
梨花「…沙都子…!」
チェイス「…」
沙都子「…私、こちらで暮らすことにしますわ…」
梨花「!!」
鉄平「はよせんか!!この…!」
沙都子「!」
梨花「!!…沙都子っ!!」
103 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:15:27.59 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「…!」
梨花「…。……?」
沙都子「…あ…」
梨花「…!」
鉄平「い、イデデデデデ!!離せ!!離さんかこのボケ…!!」
チェイス「…」ギリギリギリギリ
沙都子「…左之助…さん…」
梨花「…チェイス…」
チェイス「…少なくとも、俺の目の前で暴力は振るわせない」
鉄平「な、なんじゃと…!?」
チェイス「…それと…」
沙都子「…」
チェイス「…あまり自暴自棄になるな」
鉄平「!」
梨花「!」
鉄平「…な、何の…」
チェイス「お前の目は、まだ死んでいない」
鉄平「…え、ええから離せ!!」
チェイス「…」パッ
鉄平「…薄気味悪い…沙都子、さっさと行きんね」
沙都子「…は、はい…」
梨花「…」
チェイス「…」
沙都子「…」ペコ
梨花「…沙都子…」
104 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:16:21.74 ID:wzUQ9MOUO
梨花「…ッ…!」
チェイス「…」
梨花「…チェイス…」
チェイス「…」
梨花「…何とか、出来ないの?」
チェイス「…」
梨花「…約束、守るんじゃないの…?」
チェイス「…」
梨花「…ッ!…チェイス!!」
チェイス「…俺の知る限りでは…」
梨花「…何よ…」
チェイス「あの男は、正真正銘、人間のクズ…ではない」
梨花「…?」
チェイス「あの男が沙都子に手を振り上げた瞬間、少しの間だけだが、止まった」
梨花「…え…?」
チェイス「あれなら、大丈夫だ」
梨花「…」
チェイス「約束は、守る。…そして」
梨花「…」
チェイス「守り続ける」
梨花「…!」
チェイス「誰も傷つけさせない。あの男も」
梨花「…チェイス…」
…。
105 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:17:11.66 ID:wzUQ9MOUO
圭一「レナ。こんな感じか?」
レナ「うーん…それじゃご飯がカチカチになっちゃうよ?ちゃんと羽釜にお水の分量書いてあるのに…」
圭一「え?あ…ホントだ」
レナ「ふふっ。圭一君、料理の事は全然知らないんだね?」
圭一「折角役に立とうと思ったのになあ。これじゃ足引っ張ってるかな…」
レナ「…そんなことないよ」
圭一「でも、全然手伝えてないし…」
レナ「…ううん。そうじゃないの」
圭一「?」
レナ「…圭一君といるだけで、レナは嬉しいの」
圭一「…えっ?」
レナ「…」
圭一「…レナ?」
レナ「…さ!今日はオムライスだから!色々勉強だよ!だよ!」
圭一「お、おう!任せろ!!」
レナ「…」
圭一「…」
レナ「…圭一君」
圭一「?」
レナ「…何でもない!ご飯ご飯!」
圭一「…?」
第4話 終
106 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:53:35.55 ID:wzUQ9MOUO
続きまたそのうち書きます
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 01:58:30.67 ID:xKbdzRpSO
乙
チェイスかっこいいな
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/21(日) 19:38:49.90 ID:aDu6fxHl0
乙
チェイスってああ見えて結構気遣い屋だもんな
109 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:41:36.55 ID:wzoDjs7xO
…。
『えーと…北条…鉄平さん?…うーん…体格はまあ、良いけどさ…年齢がね…』
…。
『あー…その年齢じゃウチは募集してないねー』
…。
『んー…ちょっと…今回は…はい…』
…。
鉄平「…」
沙都子「…」
鉄平「…」ガタ
沙都子「!!?」ビクッ
鉄平「…」
沙都子「…あ、も、申し訳ありません…」
鉄平「…チッ…」
沙都子「あ、か、片付けます…すぐに…」
鉄平「…」
110 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:42:22.42 ID:wzoDjs7xO
沙都子「…」ジャー
鉄平「…」
…。
『お前の目は、まだ死んでいない』
『あまり自暴自棄になるな』
…。
鉄平「(…自暴自棄…)」
鉄平「…」
沙都子「…」ジャー
鉄平「(…元はといえばこいつの親のせいで…!!)」
沙都子「…」カチャカチャ
鉄平「(…この…!まるで借りてきた猫のようになりくさって…!!)」
沙都子「…」カチャカチャ
鉄平「(…ッ…!!この…!!)」
沙都子「…!」
鉄平「…」
沙都子「…あ…あ…」
鉄平「…」
沙都子「…ご、ごめんなさい…ごめんなさい…」
鉄平「…」
沙都子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
鉄平「…」
沙都子「…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
鉄平「…チッ…」
沙都子「…」
鉄平「風呂じゃ、沸かしとけ」
沙都子「…は、はい…」
鉄平「…」
沙都子「…」トボトボ
鉄平「…」
鉄平「(…何なんじゃ…これは…)」
111 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:43:01.22 ID:wzoDjs7xO
梨花「…」
チェイス「…」チュー
梨花「…アンタ、水で良かったの?」
チェイス「俺達ロイミュードはコア・ドライビアと呼ばれる動力源からエネルギーを自動で供給し活動する。食事は本来必要無い」
梨花「…でも、食べられたり飲めたりするんでしょ?」
チェイス「コア・ドライビアの熱で燃えて消滅する。それがエネルギーとなることはない」
梨花「…じゃあ、何で…」
チェイス「人間の身体をコピーした結果だ。特に意味は無い」
梨花「…人間と同じ生活を、送ってはいる…ってだけ?」
チェイス「それだけだ。人間としての機能はほとんどついていない」
梨花「…一体、何の為に…?」
チェイス「俺は元々、クリムという人間に作られたロイミュードのプロトタイプだった。人間に限りなく近い感情を持つ人工知能を搭載された」
梨花「…」
チェイス「その俺のデータを基に、合計108体のロイミュードが作られた」
梨花「…」
チェイス「しかし、俺以外のロイミュード達には、俺には無い感情プログラムが成されていた」
梨花「…何?」
チェイス「…人間が持つ、悪意だ」
梨花「!」
112 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:45:09.17 ID:wzoDjs7xO
チェイス「その結果、ロイミュード達は人間に反旗を翻し、世界を滅ぼそうとした」
梨花「…はた迷惑な奴もいたものね」
チェイス「…主犯はクリムではない。クリムの知り合いの、蛮野という男だ」
梨花「…」
チェイス「…ロイミュード達はグローバルフリーズという事件を引き起こし、人間達を襲った」
梨花「…グローバルフリーズ?」
チェイス「ロイミュードの特殊能力として、周りの世界をスローモーションにすることが出来る。規模は個体によって様々だが」
梨花「…それでも100体以上が一度にそれを使えば…」
チェイス「全ての時間が、ほぼ静止した」
梨花「…」
チェイス「その状況にクリムは俺の封印を解いた。ロイミュード達と戦わせる為に俺に仮面ライダーの力を与えたんだ」
梨花「…それで?どうなったの?」
チェイス「結果としてグローバルフリーズを止めることには成功した。…しかし」
梨花「…何?」
チェイス「俺は敵に捕まり、洗脳された」
梨花「!!」
チェイス「その結果、俺はロイミュードを守る為の番人となり、新しい仮面ライダーの敵となってしまった」
梨花「…でも、今は…」
チェイス「…完全ではないが、記憶が戻っている」
梨花「…」
チェイス「勿論、罪は償う。生きている限り、償い続ける。出来る限りの人間を救うことで」
梨花「…そ」
チェイス「様々な人間と関わっていく中で、俺は再び仮面ライダーとしての力を手に入れた」
梨花「…」
チェイス「その後、仮面ライダー達によってロイミュード達は殲滅され、全ては終わった」
梨花「…」
チェイス「…この俺も含めて」
梨花「!」
113 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:45:54.65 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」
梨花「…それって…」
チェイス「…後悔はしていない」
梨花「…でも…それじゃ…」
チェイス「俺は、生きているのか、それとも死んでいるのか」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…でも、こうして…触れるじゃない。話す事も…」ペタペタ
チェイス「…羽入に、触れることが出来た。最も、姿は見えなかったが」
梨花「…!」
チェイス「…」
梨花「…そう…」
チェイス「…」
梨花「…でも、今アンタはここにいるじゃない」
チェイス「…」
梨花「…ここで生きて、暮らしているじゃない」
チェイス「…そうだな」
梨花「…それで、良いじゃない」
チェイス「…」
114 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:46:40.99 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…沙都子の、叔父だが」
梨花「…ええ」
チェイス「一般的に「クズ」と呼ばれる者には2種類の人間がいる。と俺は考えている」
梨花「?」
チェイス「初めからそうなっている者と、そうならざるをえなかった者だ」
梨花「…叔父は、後者だってこと?」
チェイス「俺は、そう思う」
梨花「…でも、あいつは今まで何度も沙都子を壊してきたわ」
チェイス「それは誰もあいつを分かってやらなかったからだ」
梨花「分かることなんかないわよ。同情の余地も無い…」
チェイス「…そうやって、誰もがあいつを…」
梨花「…!!アンタに何が分かんのよ!!」
チェイス「…」
梨花「いじめ抜かれて!!壊されて!!何度も!!何度も!!私は見てきたのよ!?」
チェイス「…」
梨花「アンタに分かるの!?親友が、どんどん崩れていく姿を…」
チェイス「…」
梨花「親友が死んでいく姿を見続けてきた私の思いが!!!」
チェイス「…その気持ちは、俺にも分かる」
梨花「…知った風な口…聞いてんじゃないわよ!!」
チェイス「…」
梨花「人間でもない癖に!!」
チェイス「…」
梨花「…!」
115 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:48:15.90 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…ッ…」
チェイス「…確かに俺は、人間ではない」
梨花「…そうよ。アンタはロボットじゃない」
チェイス「…だからこそ。ロボットである俺にしか分からない事もある」
梨花「…?」
チェイス「人間の命は平等だ」
梨花「…」
チェイス「死んで良い命など、この世には無い」
梨花「…!」
チェイス「お前は神ではない。特殊な能力を持っただけのただの人間だ」
梨花「…」
チェイス「お前に人の運命を決める権利は無い」
梨花「…なら、沙都子はどうなのよ…」
チェイス「沙都子も救う。北条鉄平も救う」
梨花「…そんな事…!」
チェイス「救える命ならば、救う。それだけだ」
梨花「…アンタの使命は、この村を救うことじゃないの?」
チェイス「そうだ」
梨花「…!なら…あんな男なんて…!!」
チェイス「目の前の命すら救えない者に、大勢の命を救う力など無い」
梨花「!!」
116 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:49:18.48 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「お前は年齢を重ねたように振舞ってはいるが、その思考は年相応な子供と大差無い」
梨花「…」
チェイス「悟ったように見せても、その本質はまだ子供のままだ」
梨花「…」
チェイス「命の取捨選択など、するものではない。それは傲慢というものだ」
梨花「…何よ。叱ってるつもり?」
チェイス「お前は前に進む事だけを考え、置き去りにされた者の存在を無視している」
梨花「…」
チェイス「どんな悪人でも、クズだとしても」
梨花「…」
チェイス「裁くのは、お前ではない」
梨花「…そんな、甘くないのよ。現実って」
チェイス「…」
梨花「振り向いる暇なんか、無いのよ。私には」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「ならば、振り向くのは俺の役目だ」
梨花「…え…?」
チェイス「お前は一人ではない」
梨花「…」
チェイス「少なくとも、今ここに、俺がいる」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…何なのよ…」
チェイス「…」
梨花「…まるで、羽入みたいに…」
チェイス「…」
117 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:50:29.56 ID:wzoDjs7xO
…。
「リナさん。その…今、話…良いかな?」
リナ「なーに?」
「…その…これからの事なんだけど…」
リナ「…あー…結婚の話?」
「うん…礼奈にも早く話しておきたいし…」
リナ「…うーん…まだちょっと…」
「そ、そうなのかい?…でも、こういうのは、早目に…」
リナ「分かってる分かってる。こっちにも色々準備があるんだって」
「う、うん…わ、分かったよ」
リナ「じゃ!アタシ寝るねー♪お休みー」
「あ…お、お休み…」
リナ「…」バタン
「…」
リナ「…」
「…」コツコツ
リナ「…」
118 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:51:38.12 ID:wzoDjs7xO
リナ「…プッ…」
リナ「…何本気にしてんの…気持ち悪ッ」
リナ「抱かせてもらえるとでも思ってたの?…引くわー…」
リナ「こっちは貰えるもん貰ったらさっさとサヨナラしたいのに…」
リナ「…にしても逃げるなら灯台下暗しってやつよねー…」
リナ「まさか鉄平のバカもアタシがこんな近くにいるだなんて思わないもんねぇ…」
リナ「…っつーかあのクソガキ、マジでウザいわね…」
リナ「ゴミばっか集めて…気持ち悪いったらありゃしない…ヤクでもキメてんじゃないの?」
リナ「…マジ…いっぺんシメてやろうかしら…」
リナ「…でも、その前に…」
リナ「…あー…あんまムダ遣いするとダメね。もう元嫁さんの慰謝料1/3くらい使っちゃってんじゃん」
リナ「こっちはハンコが貰えりゃ良いのに…」
リナ「…何処に隠してんだか、あのクソメガネ…」
リナ「園崎の上納金だけじゃ、正直自信無いし…」
リナ「…あー…早くこんな辛気臭いトコ出てって外国で遊んで暮らしたいなー…」
リナ「…あーあ…」
…。
119 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:53:37.13 ID:wzoDjs7xO
魅音「はぁ!!?」
レナ「お、叔父さんが帰ってきた…?」
圭一「?」
梨花「は、はい…だから今日からはボク一人だけなのです」
チェイス「…」
圭一「いや…一人じゃないと思うけど…」
魅音「ちょ…ちょっとぉ!!左之助先生!!沙都子が連れ去られた時何かしなかったの!?」
レナ「そ、そうですよ!!きっともう…!」
チェイス「法律的には、北条鉄平の方が正しい」
魅音「…!だからって…!」
チェイス「あの場で俺が何かをしたところで、事態は悪化するだけだ」
魅音「…そりゃ…確かに向こうは一応北条一族だから…」
梨花「左之助はルールに則ってでしか行動しないのです。ほっとくのです!」
チェイス「…」
圭一「…な、なあ…その、叔父って、何だ?」
レナ「…」
魅音「…えっと…うん。そうだね。いつかは分かった事かもしれないから…」
圭一「…」
魅音「…沙都子の叔父はね…」
沙都子「…おはようございます…」
レナ「!!」
魅音「!!」
圭一「!!」
梨花「!!」
120 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:54:49.64 ID:wzoDjs7xO
梨花「沙都子!?ぶ、無事なのですか!?」
沙都子「…」
魅音「大丈夫!?あのクソ叔父に何かされてない!?」
沙都子「…」
圭一「お、おい…「何か」って…?」
レナ「…沙都子ちゃんの叔父さんは…凄く気性が荒くて…」
圭一「…え…?」
魅音「…それだけじゃない。弱い者にはこれでもかってくらい強気になって、強い者には媚びへつらって、とにかく人間のクズなんだよ」
圭一「…」
魅音「沙都子だって例外じゃない。あの叔父に何度となく…」
圭一「・・・んだと・・・?」
沙都子「…あ、あの…」
レナ「大丈夫?沙都子ちゃん…何処か、その…」
沙都子「…い、いえ…実は…私…」
魅音「?」
沙都子「…何も、されてませんの」
レナ「…え?」
魅音「え?」
梨花「!」
121 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:56:14.28 ID:wzoDjs7xO
魅音「…そ、そんなわけないよ!!ちょっと!!こっち!!こっち来て!!」
梨花「チェックしますですよ!!」
レナ「あ!圭一君は来ちゃダメ!!」
圭一「え?」
沙都子「え?ちょ、何処に…!」
魅音「ちょっ…確認!!確認!!」
梨花「レナ!押さえるのです!!」
レナ「うん!ごめんね沙都子ちゃん!!」
沙都子「えっ!?ちょ…!」
魅音「嘘なんか吐いたらダメ!!ちゃんと正直に話すの!!」
沙都子「え?あ!あ!!あーーー!!!」
圭一「・・・」
チェイス「…」
…。
梨花「…」
魅音「…」
レナ「…」
沙都子「…まさかこんな形で穢されるとは思いませんでしたわぁ…」グスッ
魅音「…ごめん」
レナ「…ごめんね…」
梨花「…」
122 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:57:42.07 ID:wzoDjs7xO
沙都子「確かに、叔父様は酷いお方でしたわ。前は」
魅音「…」
沙都子「…でも、今回は、何か…」
レナ「…?」
沙都子「その、何か…と言いますか…ちょっと、違うんですの」
圭一「…違う?」
沙都子「ええ。その…あまり、大声を出さない、と言いますか…」
魅音「…」
沙都子「ずっと、静かで…お皿もひっくり返さないし、何も言わずに寝ておりましたわ」
魅音「小学生におんぶにだっこの時点で相当酷いけどどう?」
沙都子「それは…何とも…」
レナ「…でも、何かあったら絶対に言わなきゃダメだよ?」
沙都子「え、ええ…」
梨花「…沙都子」
沙都子「?」
梨花「空返事ではいけないのです。ちゃんと、約束して下さい。何かあったらちゃんと報告すると」
沙都子「…はい」
チェイス「…」
123 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 20:59:08.65 ID:wzoDjs7xO
…。
鉄平「…ん…」
鉄平「…朝か…」ムク
鉄平「…ああ、そうじゃ…確か、沙都子の家に…」
鉄平「…」
鉄平「…園崎の目と鼻の先で寝るなんざ、ワシもようやったもんじゃのう…」
鉄平「…む…」
鉄平「…これは…」
『叔父様へ。朝ご飯です。食べて下さい。沙都子』
鉄平「…朝飯…」
鉄平「…最近、まともに朝飯を食ったんはいつじゃったかのう…」
鉄平「…」
鉄平「…何で…こんな事になっちまったんか…」
鉄平「…」
…。
『あまり、自暴自棄になるな』
…。
鉄平「…」
鉄平「…アホが」
鉄平「…ワシかて、なりたくてなっちまったわけじゃ…」
鉄平「…」
鉄平「…」モグモグ
鉄平「…」
鉄平「…美味い…」
…。
124 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:15:54.91 ID:wzoDjs7xO
知恵「ほ、北条君ですか?」
チェイス「北条悟史という生徒がいた筈だ」
知恵「…ええ。確かに…」
チェイス「北条家に関するデータが欲しい。悟史も例外ではない」
知恵「…警察には、お聞きにならないんですか?」
チェイス「経緯は知っている。届け出をされていないことも」
知恵「…お見通しですか」
チェイス「ならば、北条悟史の公式なデータが得られるのはここだけだ」
知恵「…そう言われても、通知表や、校内イベントの写真などしか…」
チェイス「十分だ」
知恵「…これ、です…」カサ
チェイス「…」
知恵「…彼は、とても真面目に勉学に取り組み、そしてとても優しく、妹思いでした」
チェイス「…」
知恵「…しかし、ある日を境に、彼は変わってしまいました」
チェイス「…」
知恵「…そのことに関しては?」
チェイス「知っている。無理に話すことはない」
知恵「…お気遣い、ありがとうございます」
チェイス「…」
知恵「…一体どうして、いなくなってしまったのか…」
チェイス「…」
知恵「思い出す度、悲しくなります」
チェイス「(この女は、悟史が何をしたかまでは知らないのか)」
知恵「…何か、分かりましたか?」
チェイス「(ここで、悟史の事を話せば、この女は傷つく…)」
知恵「…チェイスさん?」
チェイス「…いや」
知恵「…そうですか」
チェイス「…何かあれば、また頼む」
知恵「…はい」
125 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:19:51.30 ID:wzoDjs7xO
梨花「…」
梨花「(何よ。これは…)」
梨花「(あいつの言葉で、惨劇が回避されていってる…)」
梨花「(誰も北条鉄平の事を分かってやれない…?)」
梨花「(それが、何だって言うのよ…)」
梨花「(…あんな奴…)」
魅音「梨花ちゃん?」
梨花「っ!?」ガタッ
魅音「うわびっくりした!!」
梨花「…ど、どうしましたですか?」
魅音「え、えーと…今日は部活、無しって事で…」
梨花「!」
沙都子「申し訳ありませんですわ。晩御飯を作らないと…」
梨花「…」
沙都子「…それでは…」ペコ
梨花「…」
レナ「…」
圭一「…やっぱり沙都子、叔父が…」
魅音「…何も無かったとはいえ、来てすぐに打ち解けるって訳じゃ、ないからね…」
レナ「…やっぱり、心配だね」
梨花「(そうよ。まだ沙都子は叔父を怖がってる)」
圭一「…俺も、そうだったな…」
梨花「?」
魅音「?」
圭一「…いや、こっちに来た当初はさ、まだ向こうでの生活が抜け切ってなくてさ」
梨花「…」
126 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:21:42.60 ID:wzoDjs7xO
レナ「…しょうがないよ。みんな…」
圭一「…でも、そんな時に、魅音達が手を差し伸べてくれてさ」
魅音「…」
圭一「…何か、受け入れられたんだなって…」
魅音「…あ、あはは…そりゃ一緒にやってくんだもん。仲良くしなきゃさ」
梨花「…!」
レナ「…そう、だね」
圭一「…あのさ…こんな事言うと、ダメなのかもしれないけど…」
梨花「…」
圭一「…沙都子の叔父も、皆が受け入れたら、変わるのかな…」
魅音「!」
レナ「!」
梨花「…嘘…」
圭一「…今までは、色々あったのかもしれないけど」
魅音「…でも、あいつを受け入れるなんて…」
レナ「そうだよ。だって…」
圭一「確かに、沙都子の叔父は酷い奴なのかもしれない。とっつきにくい人かもしれない」
梨花「…」
圭一「…でも、本当は違うかもしれない…」
魅音「…でもね、圭ちゃん。あいつの悪人ぶりは、相当だよ?」
レナ「村の人達だって、叔父さんの事を怖がってるの。何をするか分からないし、いつも睨み付けてくるって…」
魅音「挨拶だって交わさないし、運転も乱暴だし…」
レナ「何より、沙都子ちゃんに対して…」
圭一「それは、分かってる。…でも、もしも、さ」
梨花「…」
圭一「…俺が、誰からも受け入れられず、一人で居たら、どうなってたんだろうって…」
梨花「…」
…。
チェイス『人間の命は平等だ』
チェイス『死んで良い命など、この世には無い』
…。
127 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:23:12.11 ID:wzoDjs7xO
魅音「…」
圭一「…わ、悪い。何も知らないのに…」
魅音「…ううん」
レナ「…圭一君の言うことも、分かるよ」
梨花「…圭一」
圭一「ん?」
梨花「…今の言葉は、本心ですか?」
圭一「え?あ、えっと…ああ」
梨花「…では、お聞きします」
圭一「…?」
梨花「圭一は、沙都子と、沙都子の叔父の命のどちらかが助かるとしたら、どちらを選びますか?」
圭一「!」
魅音「…」
レナ「…」
梨花「沙都子は、大事な大事なお友達なのです。でも叔父は…」
圭一「…梨花ちゃん」
梨花「?」
圭一「…それって、決められてることなのか?」
梨花「…もし、そうだとしたらということです」
魅音「…」
圭一「…」
梨花「沙都子の叔父が改心するという保証などありません。このままいけば、沙都子はあの男に壊されてしまうかもしれません」
レナ「…」
梨花「それでも圭一は、沙都子の叔父は救うべきだと思いますか?」
圭一「…」
128 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:30:12.84 ID:wzoDjs7xO
圭一「…その、二択なら、確かに沙都子を選ぶよ」
梨花「…」
圭一「でも、そんなの、間違ってる」
梨花「…間違ってる?」
圭一「もし、可能性が1%でもあるなら、俺は試すべきだと思うんだ」
魅音「圭ちゃん…」
圭一「沙都子の叔父にも、そうなった背景がある筈なんだ」
レナ「…」
圭一「初めから、そうだった訳じゃないかもしれない」
魅音「…」
圭一「本当は、沙都子に対して優しくしてやりたいのかもしれない」
レナ「…」
圭一「もしも、本人が変わりたいって思ってるなら…俺達は手助けしてやるべきだと思う」
梨花「…」
圭一「…だから…」
魅音「…」フゥー
梨花「…」
魅音「…ん!」
梨花「?」
魅音「…良し!」パン
圭一「?」
129 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:30:54.02 ID:wzoDjs7xO
魅音「…圭ちゃんがそこまで言うなら、分かったよ!」
圭一「…魅音…」
魅音「私も、しばらく見守ってみる事にする。実害は無いみたいだし…」
梨花「で、でも!何かあってからでは!」
レナ「…梨花ちゃん」
梨花「…ッ」
レナ「梨花ちゃんの気持ちも、すっごく分かるよ。レナも、魅ぃちゃんも」
梨花「…」
レナ「…圭一君だって分かってる。これは、賭けなんだって」
梨花「…」
レナ「…もし、圭一君の言うように叔父さんが、ちゃんと沙都子ちゃんと向き合えるっていうなら…」
梨花「…」
レナ「チャンスを、あげて欲しいの」
梨花「…チャンス…?」
レナ「うん。チャンスだよ」
梨花「…」
圭一「一度は過ちを犯したのかもしれない。けど、やり直しは出来る」
レナ「その為には、みんなが協力してあげないといけない」
魅音「…そう、だね」
梨花「…」
圭一「だから、梨花ちゃんにもお願いしたいんだ」
梨花「…どうして…」
圭一「…?」
梨花「…どうして、圭一達は…圭一は、あの男の、面識も無いあの男の為に…?」
130 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:32:22.85 ID:wzoDjs7xO
圭一「…」
梨花「…」
圭一「…俺、ここに来る時、変な夢を見たんだ」
魅音「…夢?」
圭一「…ああ。夢、だと思いたい」
レナ「…?」
圭一「…誰か、分からないけど、何処かの山で、俺は、「誰か」を殺してた。金属バットで」
梨花「!」
圭一「…それで、雨の降る中、その人をスコップで埋めて…」
梨花「…圭一…」
圭一「…今思うと、その人が、聞く限りだと沙都子の叔父に似てるっていうか…」
魅音「…」
圭一「そんな事、あっちゃいけない。絶対にしない。って思って…」
梨花「…それで、救える命なら救いたい。と思ったのですか?」
圭一「ああ」
梨花「…そう、ですか…」
魅音「…」
梨花「…まさか…今回は…」
レナ「?」
梨花「…圭一」
圭一「ん?」
梨花「…分かったのです。ボクも、ほんの少しだけ、あの男を信じてみることにするのです」
圭一「…そっか。ありがとな。梨花ちゃん」
梨花「でも、一度だけなのです」
圭一「ああ!」
魅音「ん!じゃあ決まりだね!…あ!もうこんな時間!」
レナ「あ…」
魅音「じゃー…明日も沙都子関連の問題を会議してくよ!」
圭一「おう!じゃあな!」
魅音「バイバーイ!」
レナ「…」
圭一「ん?どうした?レナ」
レナ「え…あ、うん…」
131 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:32:52.49 ID:wzoDjs7xO
圭一「どうしたんだよ。最近帰る時に限って元気無いな」
レナ「だ、大丈夫だよ。学校が楽しくて…」
圭一「…レナも、何かあるんだったら言わなきゃダメだぞ?」
レナ「う…うん」
圭一「じゃ、帰るか!梨花ちゃんも…」
梨花「みー…実はボクは…」
レナ「圭一君。梨花ちゃんは古手神社の巫女さんだから。綿流しの奉納演舞の練習があるんだよ。だよ」
圭一「えっ!?そ、そうなのか!?」
梨花「はいなのです。だから今日からは神社に直行なのです」
圭一「そっかー…大変だな。頑張れよ!梨花ちゃん!」
梨花「はい、なのです」
圭一「じゃあな!梨花ちゃん!」
レナ「バイバイ。梨花ちゃん」
梨花「…」ヒラヒラ
132 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:33:23.04 ID:wzoDjs7xO
梨花「…」
梨花「…そう…」
梨花「…圭一が、こんなに…」
梨花「…もしかしたら、本当に…」
梨花「…今度こそ、みんなで…」
梨花「この長く続く惨劇を、終わらせ…」
チェイス「…」
梨花「エ゛ッ」
133 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:34:09.23 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」
梨花「…何よ。盗み聞きなんて…」
チェイス「俺が入っていい話ではなかった。それだけだ」
梨花「…わざわざ教室の外で待ってたってわけ?」
チェイス「油断は出来ない。お前を無事に送り届け、寝かせつけることも役目の一つだ」
梨花「…」
…。
梨花『人間でもない癖に!!』
…。
梨花「…チェイス」
チェイス「何だ」
梨花「…昨晩の、事だけど…」
チェイス「気にするな。何度も言われている」
梨花「…」
チェイス「今日から古手神社に行くと言っていたが、何時から何時までだ」
梨花「…何で?」
チェイス「調べたい事がある。その時間を使う」
梨花「…6時から、7時30分まで…」
チェイス「了解した」
梨花「…」
チェイス「行くぞ」
梨花「…ねえ、チェイス」
チェイス「どうした」
梨花「…アンタ、前に失恋して泣いたって言ってたじゃない」
チェイス「ああ」
梨花「…あれ、教えなさいよ。暇潰しに」
チェイス「…あれは、俺が…」
第5話 終
134 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/21(日) 21:35:38.51 ID:wzoDjs7xO
続きまたそのうち書きます
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 21:52:23.34 ID:gJ2T4ZXVo
おつー、まさかこんな面白いSSをみれるとはよふかしもわるくない
136 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 21:57:32.73 ID:ONQeR3AhO
沙都子「…」
沙都子「…これは…」
沙都子「…えっと…」
鉄平「…」
沙都子「…あの、叔父…様…?」
鉄平「…何じゃ」
沙都子「…こ、これ…は…」
鉄平「…暇だっただけじゃ。意味なんぞ無い」
沙都子「…部屋が…綺麗に…」
鉄平「…」
沙都子「…」
鉄平「…飯は、炊いといた」
沙都子「え?」
鉄平「…ワシに出来ることなんざ、それくらいじゃ」
沙都子「…叔父様…」
鉄平「…晩飯、作らんかい」
沙都子「…は、はい!…ですわ」
鉄平「…」
137 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 21:58:32.55 ID:ONQeR3AhO
沙都子「…」モグモグ
鉄平「…」モグモグ
沙都子「…」
鉄平「…この家は…」
沙都子「…?」
鉄平「…お前が、管理しとったんか」
沙都子「…え、ええ…」
鉄平「…一人でか…」
沙都子「…ええ。いつか、にーにーが帰ってくると…」
鉄平「…にーにー…」
沙都子「…はい」
鉄平「…沙都子」
沙都子「?」
鉄平「…今、何年生じゃ」
沙都子「…5年生、ですわ」
鉄平「…ほうか」
沙都子「…」
鉄平「…まだ、そんな歳か…」
沙都子「…?」
鉄平「…」
沙都子「…」
鉄平「…朝飯…」
沙都子「…」
鉄平「…美味かった」
沙都子「…!…はい!」
鉄平「…」
138 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 21:59:07.85 ID:ONQeR3AhO
チェイス「…」
チェイス「…」ピンポーン
「…はーい!今出ますよー!」
チェイス「…」
「はい。どうかされッ…」
チェイス「…」
「…」
チェイス「…」
「あ、あの…どちら様でしょうか…?」
チェイス「竜宮レナの学校の担任の、紫左之助だ」
「…た、担任の、先生ですか…?」
チェイス「レナはいるか?」
「え、ええ……ん?レナ?」
チェイス「そうだ」
「?…お、おーい!礼奈!礼奈ー!」
チェイス「…?」
「今呼びましたので…あ、良かったら上がっていかれますか?」
チェイス「いや、ここで…」
「…?」
チェイス「…」
「…あ、あの…」
チェイス「…上がっていこう」
「そ、そうですか…居間の方でお待ち下さい。お茶、持ってきますので…」
139 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 21:59:45.18 ID:ONQeR3AhO
…。
レナ「え、えっと…」
チェイス「…」
レナ「ど、どうかされたんですか?」
チェイス「…1〜2年前の学校の連絡網は持っているか?」
レナ「?」
チェイス「必要だ」
レナ「…え、えっと…あったかなぁ…」
チェイス「…」
レナ「…どうして、必要なんですか?」
チェイス「北条家に関する情報が欲しい」
レナ「!」
チェイス「…」
レナ「…でも、流石に前の連絡網は…」
チェイス「…」
レナ「…も、持ってない、と…思います…」
チェイス「…ならば、北条悟史について聞こう」
レナ「!!」
140 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:00:39.72 ID:ONQeR3AhO
チェイス「北条悟史はある日突然人が変わり、最後には行方不明になったと聞いた」
レナ「…」
チェイス「…何故、そうなった?」
レナ「…わ、分かりません。レナは…」
チェイス「…そうか」
レナ「…」
チェイス「…先程、お前の名前を言ったら、父親に妙な顔をされた」
レナ「…」
チェイス「お前は、家と学校では暮らし方が違うのか?」
レナ「…」
チェイス「父親は、お前の事を礼奈と呼んでいた」
レナ「…レナは…」
チェイス「…玄関に、この村の者とは考えにくい靴があった」
レナ「…ッ」
チェイス「あのデザインをお前が使うとは考えにくい。それに大きさもお前のものとは違う」
レナ「…」
チェイス「…」
レナ「…母親の…」
チェイス「父子家庭だと聞いている」
レナ「…ッ…」
チェイス「…」
「すいませ〜ん。アタシので〜す♪」
レナ「!」
チェイス「…」
141 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:01:51.32 ID:ONQeR3AhO
リナ「竜宮さんとお付き合いしていま〜す♪間宮リナでーす!」
チェイス「…」
「す、すいません。お騒がせしてしまってるみたいで…」
チェイス「…いや」
レナ「…」
リナ「礼奈ちゃーん。どうしたの?暗いよー?」
レナ「…い、いえ…」
チェイス「…」
リナ「(誰かと思ったけど、学校の担任ね…ま、このガキの事だし、大方ゴミ捨て場に行ってるの注意しに来たんでしょ)」
チェイス「…」
リナ「(…っつーか…このオトコ…無表情だし、服装もヤバいけど…)」
チェイス「…」
リナ「(すっごく良いオトコじゃない…この村の奴はジジイかナヨナヨしたメガネ野郎しかいなかったから、余計に目立つわね…)」
チェイス「…」
リナ「だいじょーぶですよー!礼奈ちゃんは優しいから、問題なんか起こしませんって!」ギュッ
「あ…」
チェイス「…」
リナ「ねー…?」ギュッ
チェイス「…」
リナ「…」
チェイス「…」
リナ「(…な、何よこいつ…眉一つ動かさずに…どんだけ鋼のメンタルなのよ…)」
チェイス「…問題のあるのは、竜宮レナではないようだ」
リナ「…え?」
「…え?」
レナ「…」
チェイス「悪意の篭った人間は、悪意の篭った顔をするものだ」
リナ「…は?」
チェイス「北条鉄平とは、違う」
リナ「!!?」
142 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:02:45.64 ID:ONQeR3AhO
チェイス「…」
リナ「…あ…え?」
「り、リナさん…?」
リナ「え…えと…え?」
チェイス「…」
リナ「(な、何で?何でこいつからあのバカの名前が!?)」
チェイス「…心臓の鼓動が、早まっている」
リナ「(何よ何よ何よ何よ!!!何なのよこいつ!!?)」
チェイス「たまたま出た言葉だったが…」
リナ「(こいつ…ヤバい…!!)」
チェイス「ヒントは、近くにあるものだな」
リナ「(修羅場ならいくらでもくぐって来た…けど、分かる…!)」
チェイス「詳しく話せ。お前が知っていることを」
リナ「(こいつ…本当にヤバい!!)」
チェイス「…」ジリ…
リナ「(何か、何か打開策…打開策…!)」
「あ、あの!!」
リナ「!!」
チェイス「…」
143 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:03:39.63 ID:ONQeR3AhO
「あ、あの!何なんですか!リナさんに対して…酷いじゃありませんか!」
チェイス「…その女は、何かを隠している」
リナ「…竜宮さん…」
「リナさんはこの家からほとんど出ていませんし、やましい事なんて何もありません!」
レナ「…」
チェイス「…」
「先程から礼奈に対しても…まるで取り調べするみたいに…」
チェイス「…」
「お帰り下さい。何があったかは知りませんが、幾ら何でも横暴です」
チェイス「…」
リナ「…!竜宮さん!この人怖〜い!」ギュッ
「あ…り、リナさん…だ、大丈夫だから…」
レナ「…」
チェイス「…そうか」
「…」
チェイス「…梨花を迎えにいく時間だ。俺は帰るとしよう」
リナ「…」
チェイス「…レナ」
レナ「…は、はい…」
チェイス「…あまり、抱え込むな」
レナ「…」
「か、帰って下さい!さもないと警察を呼びますよ!」
チェイス「…恋は、盲目…か」
「え…?」
チェイス「…気持ちは、分かる」
「…」
144 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:04:33.13 ID:ONQeR3AhO
…。
梨花「何が盲目よ。恋愛にすら発展してないわよ。そんなの」
チェイス「…」
梨花「良いように利用されてるだけじゃない。分かり易い問題ね」
チェイス「やはりそうだったか」
梨花「そりゃ、レナだって呆れるわよ」
チェイス「…このまま行けば…」
梨花「…そうね。レナの疑問がいつしか確信に変わった時…」
チェイス「…レナに、雛見沢症候群が発症する」
梨花「ええ。リナを殺し、そして北条鉄平を殺す」
チェイス「…?」
梨花「あら?アンタ聞いてないの?」
チェイス「…どういうことだ」
梨花「…レナが起こす惨劇の世界では、あの家族はリナと鉄平による美人局の被害者なのよ」
チェイス「…」
梨花「…最も、今回の鉄平にはそんな感じはないけど…」
チェイス「…だとしたら…」
梨花「ええ。何かしらの理由があって、今リナと鉄平は仲違いしてる」
チェイス「…レナの父親は、間宮リナはあの家からほとんど出ないと言っていた」
梨花「…それは恐らく、会えばマズい状況って事じゃないかしら」
チェイス「…」
梨花「…アンタ、一応警察組織に属してたんでしょ?何か思いつく節は無いの?」
チェイス「…」
梨花「…そんな、簡単な理由でそこまで会いたくないってことはないと思うし…何よりあの二人が喧嘩別れするような関係にあるとは思えない…」
チェイス「…ビジネスパートナー、というやつか」
梨花「…」
チェイス「…なら、答えは自ずと分かるな」
梨花「…ええ。これはもう決定的ね」
チェイス「…金銭トラブル、か」
145 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:05:16.43 ID:ONQeR3AhO
梨花「…金銭トラブル、ね。それなら合点がいくわ」
チェイス「それに、必死に逃げている様子だった」
梨花「…こういう時は、変に逃げるよりも近くで身を潜めてた方が意外とバレないものだからね…」
チェイス「…相当な、額…か」
梨花「…この辺でそんな額をポンと出せるっていうなら、限られてくるけど…」
チェイス「銀行、もしくは何処かの金庫…」
梨花「それならとっくにニュースになってるわよ」
チェイス「…だとしたら、表には出せない金か」
梨花「…ヤクザ絡み…」
チェイス「…園崎か」
梨花「…間宮リナは、園崎系列のスナックに勤務してたわね」
チェイス「…ならば、答えは出たようなものだ」
梨花「…上納金…ね」
チェイス「…」
梨花「…全く…何でそんなものに手を出したんだか…」
チェイス「…」
梨花「…そういう、背景があった。って言いたいんでしょ?」
チェイス「そうだ」
146 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:06:36.72 ID:ONQeR3AhO
梨花「…あのね、アンタの言うことも一理あるわよ。そうなることでしか生きていけなかった。っていう人間がいるってのも分かるわよ」
チェイス「…」
梨花「…でもね、本来はそういう風にならないの。ならずに必死に何とかしようとするのよ」
チェイス「…」
梨花「…私だって、死ぬっていう運命を変えようと必死なんだから」
チェイス「…だが、お前も33年間、諦めていた」
梨花「だから、一理あるって言ってんじゃない」
チェイス「…」
梨花「どれだけ不幸な人生だったとしても、人に迷惑かけてお金巻き上げてるようじゃ同情もされないわよ」
チェイス「分かっている。罪は償わせる」
梨花「…アンタ、園崎組がどれだけのものか知ってて言ってんの?」
チェイス「…」
梨花「腕一本じゃ済まないわよ。五体全部取ったって終わるものじゃない」
チェイス「…」
梨花「罪を償うなんて、甘い事言うんじゃないわよ」
チェイス「…人が殺されるのを、黙って見ていろと言うのか?」
梨花「…そういう訳じゃないけど…」
チェイス「…」
梨花「…分かってよ。沙都子を助ける為ならまだしも、あの二人の為に園崎をなんて…」
チェイス「人殺しは犯罪だ。それ以上もそれ以下もない」
梨花「…それが通用するのは、都会だけよ」
チェイス「…」
梨花「雛見沢って、アンタが思ってる以上に住みづらい所なのよ」
チェイス「…」
147 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:08:01.37 ID:ONQeR3AhO
沙都子「…あ、あの、叔父様…」
鉄平「…ん…」
沙都子「…もし、宜しければ…」
鉄平「…?」
沙都子「…ど、どうぞ…」
鉄平「…酒…」
沙都子「…取ってありましたの。捨てる訳にもいかなくて…」
鉄平「…ほうか」
沙都子「…」
鉄平「…」
沙都子「…ど、どうぞ…」
鉄平「…」チビ…
沙都子「…」
鉄平「…ッ…」グイッ
沙都子「…わ、私、お風呂に入ってきますわ…」
鉄平「…沙都子」
沙都子「!は、はいっ…」
鉄平「…」
沙都子「…」
鉄平「…いや、何でもないわ。さっさと入らんね」
沙都子「…は、はい…」
鉄平「…」グイ
鉄平「…」
鉄平「…ワシゃあ一体、何しとんのじゃ…」
鉄平「…ロクに働きもせんと、いじめとった子供に世話してもろうて…」
鉄平「…情けないのう…」
鉄平「…」
鉄平「…どこから、間違えたんかのう…」
148 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:08:47.80 ID:ONQeR3AhO
リナ「…」グイッ
「…り、リナさん…」
リナ「…!」グビッ
「…リナさん…あ、あの…」
リナ「…何?」
「だ、大丈夫だよ。あの人が来たら、また僕が…」
リナ「…あ、そう」
「だ、だから…あまり飲み過ぎないように…」
リナ「…るさい…」
「…え?」
リナ「うるさいのよ!!」パリィン
「あっ…」
リナ「ちょっとだけ勇気出したことがそんな偉いわけ!?褒めて欲しいわけ!?」
「…そ、そんな…僕はそんなつもりじゃ…」
リナ「どいつもこいつも…!男ってのはいっつもそう!!」
「…り、リナさん…」
リナ「自分の事ばっかり!!自分の欲丸出し!!」
「ぼ、僕はそんなつもりじゃ…」カチャカチャ
リナ「…何よ。そんなゴミ捨てれば良いじゃない」
「…で、でも…初めて君と買った…」
リナ「…は?」
「…初めて君と買った、ものだから…」
リナ「…ッ…!!」バキッ
「!!?」
リナ「…ほんっと…気持ち悪い男…」
「…り、リナ…さん…?」
リナ「…もう、やーめた。…限界」
「…え?」
149 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:09:23.47 ID:ONQeR3AhO
リナ「…限界。限界よ、もう」
「…な、何を…?」
リナ「…金。金の為」
「…え…?」
リナ「前の奥さんと別れて、莫大な慰謝料貰って、それでアタシんとこ来て…」
「…」
リナ「金って怖いわよねぇ?ホント…真面目そうな奴でさえ変えちゃうんだから」
「…」
リナ「毎日毎日仕事もせずに店に来て、やることと言えばアタシに言われるがまま金ばら撒いて…」
「…」
リナ「ようやく家にまで来させて、やることは変わらず金の無駄遣い」
「…リナ…さん…」
リナ「例えアタシに好意があったとしても、消えるわよ。そんなやり方だったら」
「…」
リナ「…この際だから教えてあげる」
「…」
リナ「アタシの目的は、アンタの金。持ってる金、全部!!」
「…!」
150 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:10:11.66 ID:ONQeR3AhO
リナ「…アンタから早いとこ金掻っ攫って、こんな村、すぐ出るつもりだった」
「…そんな…」
リナ「だけど、どーこ探しても見つかんないの。この家のハンコ」
「…」
リナ「…もう、飽きたわ。探すのも。このままじゃあの大金が無くなるのも時間の問題」
「…」
リナ「…もう一個、アンタに今一番お似合いの言葉、教えてあげるわよ」
「…」
リナ「・・・金の切れ目が、縁の切れ目・・・」
「!!」
リナ「…ぷっ…」
「…そんな…
リナ「あーはっはっはっは!!!今頃気づいたの!?自分のバカさ加減に!?ダッサ!!」
「…僕はただ…君の為に…」
リナ「アタシの為にお金無駄遣いしてたの?チョー受ける!!」
「…」
リナ「…ま、アタシもそんな時間に余裕無いし。これで勘弁したげるわよ」
「…よくも…」
リナ「良い勉強になったでしょ?金で女を何とかしたって、いずれこうなるって」
「…よくも…僕を…!」
リナ「じゃーね♪…お財布君?」
「…!!」グッ
リナ「…ん?」
「…よくも!!!騙したなぁ!!!」グワッ
リナ「!!!?」
151 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:12:12.37 ID:ONQeR3AhO
…。
リナ「…」
「…」
リナ「…?」
「…え…?」
リナ「…は…?」
「・・・え・・・?」
レナ「…」ポタッ…ポタッ
リナ「…礼奈…ちゃん…?」
「・・・」
リナ「…何、してんの…?」
レナ「…ダメ…」
リナ「…」
レナ「…どれだけ、憎たらしくても…」
「・・・」
レナ「…どれだけ、殺したくても…」
リナ「…礼奈…ちゃん…」
レナ「…殺したら、もう、後戻り出来ない…」ポタッ…ポタッ
「…礼…奈…?」
レナ「…お父…さん…」ポタッ…
リナ「…礼奈ちゃん…血が…」
レナ「…そんなの…ダメ…」ガクッ
リナ「!!」
「!!!」
レナ「…」
リナ「…礼奈ちゃん…?」
レナ「…」
「…礼奈…」
リナ「…礼奈ちゃん!!」
レナ「…」
リナ「礼奈ちゃん!!起きて!!!礼奈ちゃん!!!」
レナ「…」
リナ「礼奈ちゃん!!!」
第6話 終
152 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/23(火) 22:12:59.05 ID:ONQeR3AhO
続きまたそのうち書きます
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 22:25:04.45 ID:J8PttyyM0
おつ
いやぁあああああ!!!!
気になるところでっ!
焦らし上手だな。
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 22:25:31.91 ID:b17bwzYUO
乙
面白いぞ
155 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:22:51.03 ID:okCOm2oLO
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「ふわぁ…」
チェイス「…」
梨花「…ん…」
チェイス「寝るのならば、電気を切るべきだ」
梨花「窓際で座られてたら気になって眠れたもんじゃないわ」
チェイス「…」
梨花「…アンタも寝てみたらどうなの?綿流しまではまだ…」
チェイス「必要ない」
梨花「…あ、そ」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…綿流しの練習は、上手くやっているか?」
梨花「娘にコミュニケーション取ろうと頑張ってる父親みたいなのやめて?」
チェイス「…」
梨花「…まあ、33年振りとはいっても身体は覚えてるみたい。すぐ取り戻したわ」
チェイス「…」
梨花「…ただ、あの鍬の重さは慣れないわね。腕がもうパンパン」
チェイス「…身体は、変わっていないからな」
梨花「…」
チェイス「…」
156 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:23:35.33 ID:okCOm2oLO
梨花「…綿流しが、何でああいうお祭りなのか、知ってる?」
チェイス「知らない」
梨花「ああそう。…ま、羽入のことだから、それは言わなくて当然よね」
チェイス「?」
梨花「…アンタ、布団を切り裂くっていうところに何か思わない?」
チェイス「処分するのなら、もっと手早い方法があるはずだ」
梨花「雛見沢の人間はゴミに願い込めてんの?」
チェイス「…ならば、何だ?」
梨花「…そうねぇ…あれは、ね」
チェイス「…」
梨花「…布団を、人間に見立ててやってるのよ」
チェイス「!」
157 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:24:37.67 ID:okCOm2oLO
梨花「そうなれば、あの綿が何か。分かるでしょ?」
チェイス「…内部か」
梨花「…もっと分かりやすく言えば、臓物。言わば「腹わた」ね」
チェイス「…」
梨花「腹わた。だから布団の綿を使ってるの」
チェイス「…何故、そんな風に…」
梨花「…オヤシロ様。まあ、羽入よ」
チェイス「…」
梨花「…オヤシロ様はね、人間の臓物を好むのよ」
チェイス「!」
梨花「…っていう、ここの村人の考えよ」
チェイス「…」
梨花「あの顔と性格で人間の内臓なんか食べるわけないでしょ。あいつの好きな物は甘い物だけよ」
チェイス「…」
梨花「…その昔、ここではね、鬼が出たって言い伝えがあるのよ」
チェイス「…鬼…か」
梨花「昔はね、雛見沢ではなく、「鬼ヶ淵村」と呼ばれていたの」
チェイス「…」
梨花「地獄を追い出された人食い鬼が村人を襲って、皆は鬼を恐れた」
チェイス「…」
梨花「でもその時、オヤシロ様と呼ばれる神の仲裁で鬼と人間が共棲するようになったという…伝承があるのよ」
チェイス「…」
158 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:25:30.01 ID:okCOm2oLO
梨花「羽入も良い迷惑よ。いつも言ってたわ。どうせお供えするならシュークリームにしろって。それで私に食べろって」
チェイス「…味覚は繋がっていると言っていたな」
梨花「ええ。…ホント…」
チェイス「…」
梨花「…ホント…いつもいつも…」
チェイス「…梨花…」
梨花「…ごめん。話、変えて」
チェイス「…竜宮レナの、ことだが」
梨花「…名前のことかしら?」
チェイス「そうだ。あの子は家では礼奈と呼ばれていた」
梨花「…そうね」
チェイス「…それは、何故だ?」
梨花「…あの子はね…」
チェイス「…?待て」
梨花「何?」
チェイス「…」
梨花「…どうしたの?」
チェイス「…微かだが、叫び声が聞こえる」
梨花「…叫び声?…ん…」
『…ゃーん』
梨花「…本当ね」
チェイス「…聞き覚えのある声だ」
梨花「…」
チェイス「行くぞ」
梨花「え?」
チェイス「この声は、只事ではない」
梨花「え!?ちょ…今私、寝間着!!」
チェイス「お前を一人には出来ない」
梨花「え!?ちょ…あ!あーーーーーー!!!!」
159 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:26:10.42 ID:okCOm2oLO
…。
レナ「…」
リナ「礼奈ちゃん!!しっかりして!!…あーもう!!さっさと開けてよ!一つしかない診療所の癖に!!」ガンガン
レナ「…」
リナ「こんなとこで、こんなことで死ぬんじゃないわよ!!…ったく!!早く開けて!!」ガンガン
「…は、はぁい…」
リナ「はぁいじゃない!!開けろ!!とにかく!!」ガン!!
「…ど、どちらさまですか?もう今日は…」ガチャ
リナ「急患!!急患なの!!」
「…!!り、竜宮さん…!?何故…!」
リナ「事情は後で説明するわよ!!今はとにかくこの子の手当てして!!」
「は、はい!すぐに!!」
リナ「礼奈ちゃん?病院着いたからね!?すぐ良くなるからね!?」
「…あ、あの…貴方は…?」
リナ「口動かす前に手ぇ動かせ!!」ゲシッ
「は、はいぃ!!」
リナ「…」
リナ「(…何故…?)」
リナ「(…こっちの台詞よ…!!あのバカガキ…!)」
…。
160 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:27:04.72 ID:okCOm2oLO
…。
レナ「…」
リナ「礼奈ちゃん!!しっかりして!!…あーもう!!さっさと開けてよ!一つしかない診療所の癖に!!」ガンガン
レナ「…」
リナ「こんなとこで、こんなことで死ぬんじゃないわよ!!…ったく!!早く開けて!!」ガンガン
「…は、はぁい…」
リナ「はぁいじゃない!!開けろ!!とにかく!!」ガン!!
「…ど、どちらさまですか?もう今日は…」ガチャ
リナ「急患!!急患なの!!」
「…!!り、竜宮さん…!?何故…!」
リナ「事情は後で説明するわよ!!今はとにかくこの子の手当てして!!」
「は、はい!すぐに!!」
リナ「礼奈ちゃん?病院着いたからね!?すぐ良くなるからね!?」
「…あ、あの…貴方は…?」
リナ「口動かす前に手ぇ動かせ!!」ゲシッ
「は、はいぃ!!」
リナ「…」
リナ「(…何故…?)」
リナ「(…こっちの台詞よ…!!あのバカガキ…!)」
…。
161 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:27:47.14 ID:okCOm2oLO
レナ『…』
リナ『礼奈ちゃん!!起きて!!』
『…』
リナ『…!ちょっと!!アンタもボーッとしてないで!!病院に電話しなさいよ!!』
『…』
リナ『…!!ああもうこの役立たず!!』
レナ『…』
リナ『この…!バカで生意気な癖に…!』
『…』
リナ『アタシはこの子を病院に連れてく!!妙な気起こすんじゃないよ!!』
『…』
リナ『…起こす気にもならない…みたいね…!本当のバカだわ…!!』
…。
……。
リナ「…」
「…」
リナ「…」
「…一応、傷は浅いようです。手当もしましたし、いずれ目を覚ますでしょう」
リナ「…」
「…さて」ギシッ
リナ「…」
「…何故、こうなったんですか?」
リナ「…」
「約束した訳ではありませんが、聞かないことにはこちらも納得がいきません」
リナ「…」
「落ちたり転んだりして出来た傷ではありません。もし頭頂部から落ちて尚且つ血が出るほどなら、ダメージを受けるのは頭だけではなかったかもしれませんから」
リナ「…」
「…説明して、頂けませんか?」
リナ「…どこから、どう説明すれば良いのか…」
チェイス「全てを説明すれば良い」
リナ「!」
「!」
162 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:28:26.31 ID:okCOm2oLO
「…そうですか。貴方が最近雛見沢分校に赴任したという…」
チェイス「紫 左之助だ」
入江「私はこの診療所で医者をやっている、入江という者です。よろしくお願いします」
梨花「入江は雛見沢ファイターズという野球クラブの監督もやっていますです。ですからボク達には監督と呼ばれているのですよ」
チェイス「…」
入江「…さて」
リナ「…」
入江「…間宮、リナさん」
リナ「…」
入江「私は警察ではありません。貴方を逮捕する権限もありませんから」
リナ「…」
入江「ゆっくりで構いません。…私達も黙って聞いています。ですから」
リナ「…」
入江「…何があったのか、話して頂けませんか?経緯も、レナさんの事も」
リナ「…」
チェイス「…まずは、何故お前があの家にいたのか、だ」
リナ「…」コク
…。
……。
163 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:29:14.75 ID:okCOm2oLO
リナ「はぁーい!ご来店ありがとうございまーす!リーナでーす♪」
「…」
リナ「何ー?お客さん暗いよー?何かやな事あった?」
「…ええ」
リナ「…そうなんだー…じゃあさ、飲んで!今だけでも忘れよっか?」
「…頂きます」
リナ「何それー!丁寧過ぎー!」
「あ、す、すいません…慣れていないもので…」
リナ「お客さん何歳?」
「…もう、40を…」
リナ「え!?それでこういうお店初めて!?」
「…え、ええ…」
リナ「真面目だねー…今時珍しー…」
「…妻以外の女性とは、ほとんど会話もしたことがなくて…」
リナ「…もしかしてじゃなくても、別れちゃった?」
「…ええ」
リナ「…そっかー…真面目そーなのに…」
「私と妻は、同じ職業で…ですが稼ぎに大きく差があって…」
リナ「奥さんのが稼いでたの?」
「…ええ」
リナ「ふーん…まあ、無いことはない、よね」
「…私には才能が無いのだと、よく他の仕事をするよう勧められました」
リナ「…」
「…ですが、女々しいことに私は諦めきれず…最後には愛想を尽かされました。あれこれと尽くしてはみましたが…」
リナ「…そうなんだ」
「結局妻は新しい出会いを見つけ、出ていきました。…しかも」
リナ「?」
「一人娘すらも取ろうと、浮気相手に何度も会わせていたんです。懐くように、と」
リナ「…ほー…」
「娘はそれが浮気相手だとは知らず、まるで近所の人に接するように仲良くなっていました」
リナ「うん」
「…ですが、その背景を知らなかった私は、妻の浮気を知った時、娘もきっと分かっていたのだと、つい…当たってしまいました」
リナ「…あちゃー…」
164 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:29:59.60 ID:okCOm2oLO
「…娘はそれ以来、母親の話題を一切出すことはなく、私を慰めようと必死になっていました」
リナ「…」
「…妻も娘の事は諦めたのか、莫大な慰謝料を置いて、一方的に離婚届を渡してきましたよ」
リナ「!」
「…それで、逃げるように雛見沢に戻ってきました。全てを忘れたいと、願って…」
リナ「…」
「…それに、娘は…」
リナ「…ん?」
「…いえ、何でもありません…。申し訳ありません。いきなり変な話を…」
リナ「良いよぉ。そういうとこだもん。ここ」
「…貴方の聞き上手に、つい甘えてしまいました」
リナ「そう?…だったら嬉しいなぁ」
「…」
リナ「アタシで良かったらいくらでも聞くよ!愚痴でも何でも!」
「…はい」
リナ「今はまだヤル気も湧かないかもしれないけどさ、これからこれから!だからまた来てよ!いつでも良いからさ!」
「…はい」
リナ「アタシは間宮リナ!お客さんは?」
「…竜宮です」
リナ「カッコ良い苗字じゃーん!忘れないから!絶対!」
「…はい!」
…。
165 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:30:41.73 ID:okCOm2oLO
リナ「…初めはさ、良いカモ見つけた。ってくらいにしか思ってなかった。店の売り上げアップさせて、給料上げてもらおうとかしか…」
入江「…」
チェイス「…」
梨花「…」
リナ「…でもね、向こうは本気だったんだ」
チェイス「知っている。俺もその本気振りは見た」
リナ「…竜宮さんが来たのは、その2日後」
入江「…」
リナ「いきなりさ、プレゼントだって、高いネックレス持ってきて。正直引いたんだけど…お店だから。拒否するわけにもいかなくてね」
梨花「…」
リナ「…でも、それだけじゃなかった」
入江「…」
…。
「り、リナさん!何か、の、飲みたいお酒はありますか?」
リナ「え?…んー…じゃあね、コレかなぁ?」
「わ、分かりました!じゃあそれをボトルで!」
リナ「…え?本気?結構高いよ?」
「だ、大丈夫です!お金なら…」
リナ「あ…あ、そ、そう…」
…。
166 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:31:24.28 ID:okCOm2oLO
チェイス「酒と女に、溺れていったか」
梨花「そういうの何処で覚えてきたのですか?」
リナ「…まあ、そんなところ。…試しにさ、アフターって事で高い中華料理店に連れてってもはいどうぞでお金出すし…」
チェイス「…」
リナ「…これは相当持ってるなって、思って」
入江「…」
リナ「…そしたらね、何だかお金に対してどんどんがめつくなっていったのよ。アタシ。…元からだけど」
梨花「…」
リナ「…いつまでこんな無差別に媚びへつらう商売やってなきゃいけないんだ…って」
梨花「…園崎の上納金に手を出しましたですか?」
リナ「…!…うん。そう」
入江「!…そ、それは…」
リナ「ヤバイってのは…分かってるよ。今だって余裕なんか無い」
チェイス「…」
リナ「…でも、ある日ね?店のマスターが金庫開けてたのを見たの。今月の上納金の確認…って」
入江「…」
リナ「…一件だけでも、とんでもないのにさ。それが何十件もあるんだよ?上納金って」
チェイス「お前達が働いて稼いだ金を持っていくのが、気に食わなかったということか」
リナ「…園崎に一泡噴かせてやろうってのは、あったよ。確かに」
梨花「…」
リナ「…でもそれよりも、お金だ。いっぱいある…ってのが大きかった」
入江「…」
167 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:32:05.41 ID:okCOm2oLO
リナ「それでね。お店で働き出した時にたまたま目をつけたガラの悪い、金髪のオッさん…鉄平に話をしたの」
チェイス「北条鉄平とは、そこで関係を持ったか」
リナ「…うん。特別な関係、じゃない」
入江「…」
リナ「…ある程度ボディーガードになってくれて、金にがめつくて、それでいていつでも切れる関係」
梨花「鉄平は、どんな感じだったのですか?」
リナ「…少し渋ったけど、了解したよ。…金に困ってそうだったし」
チェイス「…」
梨花「…それで、今は鉄平からも逃げているのですね」
入江「…つまり、貴方は途中で園崎への上納金を独り占めしたわけですね?」
リナ「…」コク
チェイス「…それでいて、敢えて近くにいることで疑いをかけられないようにした」
梨花「その一番丁度良かったのが、竜宮家なのですね」
リナ「…」コク
入江「…」
リナ「でも、そのせいで竜宮さんの無駄遣い癖は悪化した。とんでもないくらいに」
梨花「…」
リナ「…ついでに竜宮家の財産も取ってやろうと思ったけど、やめたわ」
梨花「?」
リナ「このままじゃ無くなるのもそう遠くないなって思って…」
入江「…それは、どういうことですか?」
リナ「…これだけやっておいて、何だけどさ…」
チェイス「…」
リナ「あの人、アタシがあの家に来て一番初めに買ったグラスを凄く大事そうにしてたんだ」
梨花「?」
リナ「それをつい割っちゃってね。…必死にかき集めながら悲しんでる姿を見て、思ったのよ」
入江「…」
リナ「…哀れだな…って」
168 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:32:45.82 ID:okCOm2oLO
リナ「勿論、アタシがこんなこと言う資格が無いのは分かってる。アタシが原因みたいなもんだし…」
チェイス「…別れを切り出したことで、逆上してきたわけか」
リナ「…うん」
入江「…それを、レナさんが庇った。ということですか」
リナ「…どうして、アタシなんか…」
梨花「…」
リナ「本来、煮ても焼いても足りない相手の筈なのに…」
入江「…」
チェイス「…そう思うならせめて、レナが目を覚ました時に連れ添ってやれ」
リナ「…」
チェイス「…だがそれは、お前の為ではない」
リナ「…!」
チェイス「父親を人殺しにはさせないという、レナの強い思いだ」
リナ「…うん」
梨花「…」
チェイス「…お前のもう一つの罪に関しては、後回しだ」
リナ「…うん…」
169 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:33:23.93 ID:okCOm2oLO
レナ「…」
リナ「…」
…。
入江「…まさか、あの明るさの裏にこんな事情があったとは…」
チェイス「…悟られまいと、必死に隠していたんだろう。これは家庭の事情…だと」
梨花「…左之助。レナが何故礼奈と呼ばれているか。ボクからお話しますです」
チェイス「…」
入江「…」
梨花「…レナの家庭事情は、先のリナのお話で大体合っています」
チェイス「…」
梨花「幼い頃の両親の離婚。知らないうちに自分も共犯になっていたことの、罪の意識」
チェイス「…」
梨花「…レナは、それを一気に背負ってしまったのです」
入江「…」
梨花「…その残酷な運命は、やがてレナの心を蝕んでいきました」
チェイス「…」
梨花「そしてレナは、「い」やな事を忘れようとれ「い」なの「い」を取って、「レナ」というもう一人の人格を作り上げたのです」
チェイス「…だが今回は、忘れようとはしなかった」
梨花「…はい。レナは「逃げず」に立ち向かったのです。家庭の問題と」
入江「…そうでしたか」
梨花「立派なのです。レナは」
チェイス「…そうだな」
170 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:34:00.87 ID:okCOm2oLO
梨花「…リナは、改心するでしょうか?」
チェイス「分からない」
梨花「…いつもみたいに、言い切らないのですか?」
チェイス「更生するきっかけを与えても、そう素直には戻れない」
梨花「…」
チェイス「…女心というものは、分からない」
梨花「貴方からそんな言葉を聞けるとは思わなかったのですよ」
チェイス「…それよりも。あいつらにはやらなければならないことがある」
入江「…園崎の上納金をくすねた罪は、とても重いものですからね…」
梨花「ここでは園崎が右と言えば右。園崎がリナや鉄平に罰を与えるというなら、ボク達は逆らわないわけにはいかないのです」
チェイス「…何故、そこまで園崎は…」
「…それは、むかしむかー…しに、遡るのよ…」
171 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:34:44.75 ID:okCOm2oLO
チェイス「…」
「…うふふ」
入江「…た、鷹野さん?」
鷹野「ごめんなさぁい。たまたま通りがかったら明かりが点いていたものだから…つい」
梨花「こんな時間にお散歩なのですか?」
鷹野「ええ。でもちゃあ…んとボディガードが付いてたから大丈夫よぉ?ねー…?ジロウさん?」
富竹「…あ、あはは…」
チェイス「…」
梨花「左之助。紹介しますです。この女の人は鷹野三四。男の方は富竹ジロウ。鷹野はここの病院でナースのお仕事をしていて、富竹はカメラマンをやってるのですよ」
チェイス「…」
鷹野「最近越してきた変わった服装の青年って…もしかして貴方?」
チェイス「…最近越してきたのは、確かだ」
富竹「た、鷹野さん…いや、申し訳ない。えー…と、左之助さん。かな?」
チェイス「…そうだ」
富竹「僕は本来野鳥専門のカメラマンをやってるんだけどね。ここの綿流しの祭りが好きで、毎年撮りに来てるんだ!」
チェイス「…」
富竹「宜しく!」
チェイス「…」
富竹「…?」
チェイス「…」グッ
富竹「…!?い、痛たたたたたた!!!?」
鷹野「!?」
172 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:35:19.81 ID:okCOm2oLO
富竹「あ、あはは…力が強いなぁ。握り潰されるかと…」
チェイス「すまない。それなりに加減はしたが…」
梨花「左之助はこう見えてゴリラのような力を持ってるのです。怒らせると怖い怖い、のですよ?」
鷹野「…良いかしら?お話の続き…」
チェイス「続けろ」
鷹野「…そうねぇ…これは、どれだけ遡るかし……あら?あそこにいるのは…レナちゃん?」
梨花「…レナは今、怪我をして寝てるのですよ」
入江「え、ええ。ですが、軽いもので…明日にも退院出来ますから」
鷹野「…そう。入江先生が仰るなら…うふふ」
チェイス「…」
鷹野「…それでね?何故園崎がここまでになったのか…それのキーワードは…」
チェイス「…」
鷹野「…「人肉缶詰」…」
梨花「…」
173 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:35:56.26 ID:okCOm2oLO
チェイス「…それは?」
鷹野「…貴方、この村が昔何て呼ばれてたかは知ってる?」
チェイス「鬼ヶ淵村、だと聞いた」
鷹野「そう…それは知ってるのね」
チェイス「…」
鷹野「なら、本題に入りましょう」
チェイス「…」
鷹野「…終戦後のお話でね。日本中では物資の不足が問題となっていたの」
チェイス「…」
鷹野「勿論、この辺だって例外ではないわ。食料だって、何だって不足してたらしいわ」
チェイス「…」
鷹野「…でもね?そこで活躍した人物が、当時も今も変わらない御三家の一つ、園崎。その一族の一人、園崎宗平なのよ」
チェイス「…宗平…」
鷹野「ええ。彼は食料飢饉だった筈の当時、大量の缶詰を所有していてね…貴重なタンパク源だからって、皆が押し寄せたわ」
チェイス「…」
鷹野「園崎宗平はね、それを闇市で売り捌いて、財を成したの」
チェイス「…」
鷹野「そのお金で雛見沢を近代化させようと、彼は画策したわ。…でもね?」
チェイス「…」
鷹野「…ある日、一人の男性がその缶詰から、ある物を発見したの」
チェイス「…何だ?」
鷹野「…髪の毛。なんだって…人間の…」
チェイス「…」
174 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:36:38.63 ID:okCOm2oLO
鷹野「そこからはバッシングの嵐。宗平は人肉を缶詰にして売っていた、だなんて揶揄されたのよ」
チェイス「…」
鷹野「…でもね?彼は一切口を噤んで、その問題には言及しようとしなかったの」
チェイス「…」
鷹野「結局宗平は雛見沢に舞い戻り、その財力で御三家の残り、古手、公由家を手助けしたのよ」
チェイス「…力関係は、その時からか」
鷹野「ええ。…今ではもう、その缶詰が何だったのかは分からないけれど…」
チェイス「…宗平にしか、分からない事だ。深く追求することもない」
鷹野「…でも、気になるじゃない?こういう歴史って…」
チェイス「…」
鷹野「好きなのよねぇ…歴史…」
チェイス「…」
鷹野「…あら?もうこんな時間…」
富竹「…!?あ、ほ、ホントだ…!鷹野さん!明日早番じゃないの!?」
鷹野「大丈夫よぉ。ちょっとくらい…」
入江「…せめて、私のいないところで仰ってくれませんかねぇ…?」
梨花「…どうして富竹が鷹野の予定を知ってるのですか?」
富竹「えっ!?そ、それは…たはは…」
鷹野「…うふふ…お子様には、まだ分からない事よぉ…」
梨花「…むー…」
鷹野「…あらー…可愛らしいわぁ…!」プニプニ
チェイス「…帰るぞ。梨花」
梨花「え?」
チェイス「もうお前は眠らなければならない。家に行くぞ」
梨花「連れて来たのは左之助なのです。それに、レナが…」
チェイス「…少なくとも、今は大丈夫だ」
梨花「…?」
チェイス「…」
鷹野「…」
175 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:37:21.48 ID:okCOm2oLO
…。
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…ねえ。私はぬいぐるみじゃないんだけど」
チェイス「お前の護衛も俺の任務だ」
梨花「そうかもしれないけど…レナの事が…」
チェイス「…」
梨花「…こんな急いで出る事もなかったんじゃないの?」
チェイス「…あの、3人は…」
梨花「?」
チェイス「あの3人は、信用するな」
梨花「…え?」
チェイス「あの3人は、嘘をついている」
梨花「…何を…」
チェイス「身のこなしが、素人ではない」
梨花「…?」
チェイス「そして微かだが、鷹野の首筋に硝煙の反応があった。洗い流しきれていなかったようだな」
梨花「…」
チェイス「俺の目は人間とは違う。ある程度なら調べずとも判別出来る」
梨花「…それって…」
チェイス「あの女は、危険だ」
梨花「…!!!だ、だったら!!」
チェイス「今は手出し出来ない。レナは軽い怪我だと言い切った手前、それは考えられない」
梨花「…で、でも…ほら、もしかしたら、花火でもやってたのかも…」
チェイス「…花火と銃の火薬は、違う」
梨花「…」
チェイス「そして、もう一つ。根拠がある」
梨花「…何?」
チェイス「…俺の…」
梨花「…」
チェイス「…勘だ」
176 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:38:26.42 ID:okCOm2oLO
リナ「…zzz…」
レナ「…」
リナ「…zzz」
鷹野「…」
入江「…夏とはいえ、夜にその格好では風邪を引いてしまいますよ」パサ
富竹「…きっと、それだけ必死だったんだろう。肩や服に血が付いていても、気にもしていない」
入江「…根っから悪い人なんて、この世にはいませんよ」
リナ「…ん…zzz…」
鷹野「…ねえ。入江所長」
入江「はい?」
鷹野「この方って、「そういう」人なのよね?」
入江「…え?」
鷹野「園崎系列の末端の店で働いてるような子なんだから、身寄りも無いのでしょう?」
入江「…恐らくは」
鷹野「…そうなの…」
富竹「…鷹野さん…?」
鷹野「…うふふ…」
第7話 終
177 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/26(金) 21:38:57.27 ID:okCOm2oLO
続きまたそのうち書きます
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/26(金) 22:32:37.76 ID:gNr6znP+o
乙
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/27(土) 02:06:09.71 ID:eixN0c8z0
機械生命体魂…
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/27(土) 12:07:01.31 ID:se6AUGB8O
第一話 神は追跡者になにを願ったのか
第二話 チェイスはなぜ雛見沢へやってきたのか
第三話 過去の雛見沢でなにがおきたのか
第三・五話 古手梨花はなにを語るのか
第四話 イレギュラーは結末に影響を与えるのか
第五話 命を救うのに理由は必要なのか
第六話 なにが竜宮レナを追いつめたのか
第七話 入江診療所はなにを隠しているのか
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