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チェイス「雛見沢…」
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317 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:19:20.30 ID:uQrDoXrNO
富竹「…雛見沢症候群が発症する条件として、まず疑心暗鬼になること」
「…ああ」
富竹「それと、女王の死」
鉄平「…女王…だァ?」
富竹「そう。この雛見沢症候群に感染していても影響を一切受けない。それどころか薬を拒絶する程身体が病気に慣れてしまっている」
リナ「…何それ」
富竹「…古手家の人間だ」
「…今古手家の生き残りって言ったら…梨花ちゃまか!?」
富竹「そう。鷹野さんがこの実験で最も重要視しているもの。それが梨花ちゃんだ」
鉄平「…待て。梨花っちゅうと…沙都子の友達か!?」
富竹「…ああ。彼女の死を目撃することによって信仰心の強い雛見沢村の人達は皆連鎖的に発症する。という鷹野さんの考察だ」
鉄平「仮にその考察が正しいとしても、そんなもん…!」
富竹「認められる訳がない。しかし鷹野さんは止まらない」
「…つまりあれか。梨花ちゃまが死んで、村人達が死ねば、ほら病気はあったでしょってか…?」
鉄平「死ぬ理由なんざどうでもええ。結果論っちゅうことか…」
リナ「…それで、混乱の最中に毒ガスを…」
富竹「…そういうことだ。彼女は警察とも繋がりがある上、医学の道ではトップクラスの知識を誇る。その彼女が雛見沢症候群だと言えば、警察もそれに準ずるだろう…」
リナ「…そんな凄い奴だったなんて…」
「…ここに来て雛見沢の鎖国状態が皮肉にも役に立っちまったってことか…」
鉄平「…なんちゅう厄介な奴じゃ…」
「…そりゃあ、俄かには信じ難いが…確かに辻褄は合うな。さっきのを見りゃあ…」
富竹「…お願いだ。このままでは雛見沢村の人達が危ない。何とかして止めて欲しい」
「…てめぇの知り合いのケツ拭けってことかよ…」
富竹「…」
「…あああああ!!!こうなったらヤケだ!!行くぞ!!」ブオオオオオオン
318 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:20:04.27 ID:uQrDoXrNO
…。
チェイス「…」
悟史『…』
梨花「…」
チェイス「…この子が叔母を殺したことは、皆知っているのか?」
梨花「…確信は無いけど、状況的にそう思うのが普通よ」
チェイス「…」
梨花「棒のようなもので撲殺。消えた悟史。血の付着した悟史の名前入りの金属バット。事件が起きる前、性格がガラッと変わった彼…」
チェイス「…沙都子も、知っているのか?」
梨花「あの子には…重過ぎるわ」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「人をここまで変えてしまう病気、か」
梨花「恐ろしいでしょ?」
チェイス「確かに、この病気は無くさなければならない」
梨花「…うん。そうね」
チェイス「…」
梨花「…ねぇ。もしも、よ」
チェイス「…」
梨花「もし、私が発症したらどうする?」
チェイス「…お前は、発症しない筈では…」
梨花「もしもよ。もしも」
チェイス「…」
梨花「アンタのことも信用しなくなって、攻撃的になって」
チェイス「…」
梨花「怒り狂って、誰かを殺そうとしたら」
チェイス「止めるだけだ」
梨花「…簡単に言うのね」
チェイス「相手がロイミュードでないなら、止めることは造作も無い」
梨花「…そうだったわね。アンタの力なら今すぐにでも鷹野達を…」
チェイス「…」
梨花「…そう簡単にいかなかったわね」
チェイス「相手が無差別に人間を殺せる武器を持っていて、いつでも殺せる状態にあるというのならば、俺もそう簡単には動けない」
319 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:20:48.58 ID:uQrDoXrNO
梨花「…時間を止めて、そのまま相手のいる所突き止めてボコボコにするとかは?」
チェイス「俺にそこまでの力は無い。それに止められるわけではない」
梨花「どうして?だって…」
チェイス「数十分にコンマ数ミリ程度だが、人間でも身体は動かせる」
梨花「…スローになるってだけ?」
チェイス「それが俺の限界だ。それに永遠に続けられる訳ではない」
梨花「…そっか」
チェイス「下手に動いて奴らを刺激すれば、取り返しのつかないことになる」
梨花「…ごめん。無理言ったわね」
チェイス「…俺もまた、神ではない」
梨花「…」
チェイス「お前達より少し未来に生きているだけのロボットだ」
梨花「…33年でそんなに進歩してるってのが驚きだけどね」
チェイス「…抜きん出た者が二人居ただけだ」
梨花「…チェイス」
チェイス「どうした」
梨花「…これで、私達が助かったら、さ」
チェイス「…」
梨花「アンタはどうするの?」
チェイス「…」
梨花「少なくとも、その剛っていう親友と会えるまで33年間、必要なのよ?」
チェイス「…」
梨花「…長いわよ。結構」
チェイス「…」
梨花「…その期間くらい、ここに居れば?」
チェイス「俺は、生きているのか死んでいるのかも分からない存在だ」
梨花「…でも、触れるわよ?」
チェイス「…それは、使命によって生かされているだけかもしれない」
梨花「…使命を終えたら、死ぬってこと?」
チェイス「不明だ」
梨花「そんな、使い捨てみたいなマネ…させないわよ」
チェイス「…」
梨花「…」
?「悟史くぅぅぅぅぅうううううん!!!!!」ダダダダダダダ
梨花「!?」
チェイス「!」
320 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:21:23.70 ID:uQrDoXrNO
詩音「悟史君!!悟史君!!?」バンバン
チェイス「…」
梨花「詩ぃ!落ち着くのです!」
詩音「落ち着ける訳ないでしょ!!!」
チェイス「お前は、あの時の…」
詩音「どうしてここに悟史君がいるんですか!?説明して下さい!!」
梨花「その前に、どうしてここに?」
沙都子「私が、連絡しましたの」
梨花「え?」
詩音「沙都子から連絡を受けて、半信半疑だったけど、藁にもすがる想いで…」
梨花「…詩ぃ…」
詩音「…夢だと思ってた。夢だと思って、諦めかけてたのに…」
チェイス「悟史とはどういう関係だ?」
詩音「…そんなの、察して下さいよ」
梨花「詩ぃ。どうせ左之助に女心は理解出来ないのですよ」
沙都子「とんでもない殿方ですわね」
詩音「コホン。…友達以上、恋人未満…です!!」
チェイス「それは分かっている」
詩音「何なんですかこの人!!!」
321 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:21:58.91 ID:uQrDoXrNO
詩音「…まあ、初めに関係を持ったのはお姉なんですよ。それでお姉が興味を持つっていうのはどんな人なんだろうって私も関わり出して…」
チェイス「…そこから、悟史を愛するようになったのか」
詩音「ン゛ブッフゥ」
沙都子「んま」
梨花「こういう男なのです。放っておくのですよ
詩音「…もうそれで良いです。良いですよ。間違ってませんから」
チェイス「…」
梨花「詩ぃは魅ぃと違って素直なのですよ」
チェイス「…あの子は、いつ目覚めるか分からないぞ」
詩音「構いません。…こうして無事なのが確認出来た。今はそれだけで…」
チェイス「…そうか」
詩音「…良かった。無事で…てっきり鬼隠しにあったのかと…」
チェイス「鬼隠し…」
詩音「…この村では毎年一人ずつ、行方不明になる都市伝説があるんです。…それが悟史君だったんじゃないかって…」
チェイス「…」
詩音「…本当に、良かったです…」
チェイス「…そうか…」
梨花「…」
322 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:22:38.70 ID:uQrDoXrNO
レナ「…」
圭一「レナ…大丈夫か?」
レナ「うん。もう…大丈夫だよ」
圭一「…ケガだけじゃないだろ」
レナ「…」
圭一「色んな事。あったんだろ」
レナ「…」
圭一「…それを全部、レナは背負っていたんだろ」
レナ「…」
圭一「背負って。隠して。必死に明るく振る舞って。俺に対してだって気を遣ってくれて…」
レナ「そんなこと、ないよ」
圭一「ある!!」
レナ「ッ!」
圭一「…あ、ご、ごめん…でも…」
レナ「…圭一君…」
圭一「そんな、無理してるレナの顔、見たくないんだ」
レナ「…」
圭一「いつも疲れた顔してて、でももしかしたら俺の思い過ごしなのかなって思ってた」
レナ「…」
圭一「でも、本当は違ったんだ」
レナ「…」
圭一「レナは、ずっと疲れてた。休めなかったんだ」
レナ「…」
圭一「本当のレナを出せずに、いつも明るく振る舞って。…そんなことしてたらいつか疲れちまうだろ」
レナ「…」
323 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:23:17.93 ID:uQrDoXrNO
レナ「圭一君」
圭一「ん?」
レナ「…あのね?レナはね…」
圭一「…」
レナ「…ホントは、すっごいワガママなんだよ」
圭一「…」
レナ「圭一君と、ホントはずっと一緒にこうしていたい」
圭一「えっ…」
レナ「でも、魅ぃちゃんともずっと仲良くしたい」
圭一「…別に、それは…」
レナ「ううん。きっと圭一君がレナと仲良くなり過ぎると、魅ぃちゃんとレナの関係は変わっちゃうと思う」
圭一「何で…俺とレナが仲良くするとそうなるんだ?」
レナ「…察して欲しい…かな」
圭一「…」
レナ「圭一君も、魅ぃちゃんも。沙都子ちゃんも、梨花ちゃんも。詩ぃちゃんも悟史君も。みんな一緒が良い。ずっと仲良くしていたい」
圭一「…レナ…」
レナ「…でも、圭一君との仲良しは、みんなとの仲良しとは違うの」
圭一「…。……!!」
レナ「…レナは、圭一君とずっとこうしていたい。一緒に居たい」
圭一「…レナ…」
レナ「…でも、みんな大事」
圭一「…」
レナ「…ワガママだよね」
324 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:24:01.60 ID:uQrDoXrNO
圭一「…なあ、レナ」
レナ「…」
圭一「…それ、ワガママって言わないんだよ」
レナ「…」
圭一「俺だって、みんなと仲良くしていたい。大事な仲間だから」
レナ「…」
圭一「…そんなの、当然だ」
レナ「…圭一君…」
圭一「…それに、本当は、俺は…こんな幸せな日常、味わっちゃいけないんだ」
レナ「…?」
圭一「…」
レナ「…何か、あったのかな…かな?」
圭一「…」
レナ「…レナは、黙って聞いてるよ。だから、教えて?」
圭一「…俺は…」
レナ「…言いづらい?」
圭一「…」
レナ「…良いよ。話せる時に話して?」
圭一「…」
レナ「…レナも、きっと圭一君と同じくらい大きな秘密を抱えてるから」
圭一「…!」
レナ「…」
圭一「…」
レナ「…もしかして、知ってる?」
圭一「…」
レナ「…レナの事、知ってた?」
圭一「…ごめん。本当は…」
レナ「…ううん。良いよ。いつかはきっと、知ることになるから」
圭一「…」
レナ「…レナはね、凄く後悔してる」
圭一「…」
レナ「いっぱい、いっぱい謝っても、許されないことをしたって思ってる」
圭一「…」
レナ「…本当はレナも、こんな幸せな日常、過ごしちゃいけないんだよ」
圭一「違う!!」
レナ「!」
325 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:24:44.55 ID:uQrDoXrNO
圭一「…」
レナ「…圭一君…」
圭一「…俺は…俺なんか…!」
レナ「…?」
圭一「本当は、クズ野郎なんだ!!」
レナ「…」
圭一「…俺が、何で雛見沢に来たと思う?」
レナ「…お父さんの都合じゃないの?」
圭一「…違うんだ。全然」
レナ「…」
圭一「…少し前、だ。つい半年前くらい」
レナ「うん」
圭一「都会で過ごしてた時は、いつも勉強、勉強で、こんな風に誰かと話すことなんか無かった」
レナ「…うん」
圭一「…正直、色んな奴を見下してた」
レナ「…」
圭一「必死に走るサラリーマンとか、学校帰りに遊びに行く奴らとか、工事現場で働く人達とか、全員見下してた」
レナ「…」
圭一「俺は、こんな風にはならないって。偉くなって、みんなを馬鹿にするんだなんて思ってた。だから常に勉強して1位を目指し続けた」
レナ「…」
圭一「…そんな風に過ごしてて、俺はいつの日か何をしても許される奴だって勘違いし始めた」
レナ「…」
圭一「好奇心で、買ったエアガンを、初めは段ボール。次は空き缶。…そして最後には…」
レナ「…」
圭一「…自分よりも弱い、幼い女の子を狙った…!!」
レナ「…!」
326 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:25:25.65 ID:uQrDoXrNO
圭一「…毎日、毎日。夜になると家を出て、一人でいる子供を狙った」
レナ「…」
圭一「撃った。当てた。…今だに、その感触は消えない」
レナ「…圭一君…」
圭一「…ある日、いつものようにエアガンを向けて、子供を襲った時」
レナ「…」
圭一「その子の目に、当たったんだ」
レナ「…」
圭一「血を出して泣きじゃくるその子を見て、駆け寄ろうとしたけど、集まってくる人達を見て恐ろしくなって、逃げた」
レナ「…」
圭一「…次の日から、警察が周りをうろつくのを見て、震え出した。ようやく自分のしたことがどれだけクズなのかって理解出来た」
レナ「…」
圭一「…事件が起きて数日。やっと自白した」
レナ「…」
圭一「…親父は何も言わずに俺を殴りまくって、被害者の家に連れて行った」
レナ「…」
圭一「許してくれるわけがなかった。色んなものを投げつけられて。額から血が出ても、親父は土下座し続けた」
レナ「…」
圭一「莫大な慰謝料と、治療費を払って、それでも親父は毎日謝りにその人達の家に行った」
レナ「…」
圭一「…親父は自分を責めてた。自分が構ってやれなかったからだって…!!」
レナ「…」
圭一「そんな事ない…!!そんな事ないんだ!!!!」ダンッ
レナ「圭一君…」
圭一「…それで、ここなら過ごしやすいって、親父が連れて来てくれたんだ」
レナ「…」
圭一「…これが、俺なんだ。クズで、大馬鹿野郎なんだ…!」
「前原君」
レナ「!」
圭一「…えっ?」
「…!」グイッ
圭一「!」
「…ッッ!!!」バッチィン!!
圭一「!?」
327 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:26:11.62 ID:uQrDoXrNO
知恵「…」
圭一「…!」
知恵「…前原君」
レナ「…ち…」
圭一「…知恵…先生…」
知恵「痛いですか?」
圭一「…」
知恵「痛いですか!?」
圭一「…はい」
知恵「…先生も、手が痛いですよ」
圭一「…」
知恵「それだけ力を入れて叩きましたから。痛いに決まってるじゃありませんか」
レナ「…」
知恵「痛いのなんか、先生だって嫌です」
圭一「…」
知恵「痛みを感じない、一方的なやり方なんて、ただの暴力です。犯罪です」
圭一「…」
知恵「貴方を本当に叱ってくれるのは、きっと親御さんだけだったんでしょう」
圭一「…はい」
知恵「だから、私が叱ります。私も叱ります。まだ貴方は分かってないようですから」
圭一「…」
知恵「貴方を殴った親御さんの手が、心が、どれだけ痛かったのか!!」
圭一「…はい…!」
知恵「…これからは、人の上に立つ、のではなく…」
圭一「…」
知恵「…人の役に立つ人に、なって下さい」
圭一「…ごめん…なさい…!」
知恵「…」フーッ
圭一「…ごめんなさい…」
レナ「…圭一君…」
圭一「ごめんなさい…」
レナ「…」ギュッ
…。
328 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:26:47.20 ID:uQrDoXrNO
大石「…おんやぁ。こりゃ私達が出る幕じゃありませんねぇ」
熊谷「…」
校長「…彼女がどうして、ここに来たと思いますか?」
大石「そりゃまたどうしてでしょうなぁ…」
校長「この学校が、取り壊しになる事が決定になった時、彼女一人が大反対したんです」
大石「ほぉ…」
校長「子供達の学び舎は、そんな簡単に壊して良いものではない、と」
大石「…」
校長「一人でデモなんてのもやらかしたらしいですよ」
熊谷「それデモじゃないですよね」
校長「色んな都市伝説が蔓延るこの雛見沢村は、教員が来たがらないもので…参っていたんですがね」
大石「…ええ。私もよー…く知っていますよぉ」
校長「彼女が、立候補したんですよ。色んな学校からお呼びがかかる程の方だったのに」
大石「えぇえぇ。教鞭の執り方…というより………ええ」
校長「…」
大石「何より、男性職員が放っておかないでしょうなぁ」
校長「…ウォッホン!!」
大石「ああこれは失礼しました…ええ。本当に…」
熊谷「…」
校長「…彼女がいれば、どんな生徒でも大丈夫でしょう」
大石「このご時世、ああいう生徒と真っ直ぐ向き合う先生なんてドラマの中だけだと思ってましたよぉ」
校長「…」
329 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:27:26.91 ID:uQrDoXrNO
…。
「…!」
茜「…」
「…!!」
茜「…上納金回収、そして間宮リナの捕獲…」
鉄平「…」
リナ「…」
「…へい…!」
茜「良くやったねぇ。良くやった」
「…へい…」
茜「…電話が鳴ってたよ」
「へい。…へいっ!?」
茜「待てど暮らせど、北条鉄平とお前が来ないってねぇ…」
「おうっ…!」
茜「何してんだと思ったら二人とも埃まみれで、オマケが二人に北条鉄平は上半身裸」
富竹「…」
茜「何処だかの組織とドンパチやって、人助け。ああ立派なもんじゃないか」
「…!」パァァ…
茜「それとこれとは話が別だけどねぇ!」スパァン
「ですよねッッッ!!」
茜「…何だい何だい。そんなジェームズ・ボンドみたいな話引っさげて…ええ?」
「…そ、それが、どうやら本当の話らしいんです!本当の!!」
茜「そのカメラ小僧の何をどうやって信じろってんだい」
「本当なんですよ!!俺ら銃で撃たれそうになったんですよ!?なぁ!?」
鉄平「お、おう!ホンマじゃ!ホンマなんじゃ!!」
茜「…まあ、嘘ならもっとマシな嘘つくだろうからねぇ…」
鉄平「…わ、分かっとる!ワシは今すぐにでも罪滅ぼしに向かう!いくらでも働く!」
茜「…何なんだいこりゃ…何がどうなってるんだい…」
「で、ですから説明した通りで…!」
茜「…葛西!!」
330 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:28:05.97 ID:uQrDoXrNO
葛西「…」ヌッ
「ヒイッ!?か、葛西…さん…!!」
葛西「…」
茜「こいつらが本当に嘘ついていないか、見てやんな」
葛西「…」ギロッ
「ヒイッ!?」
鉄平「!?」
リナ「ヒッ…」
富竹「…」
葛西「…」
富竹「…」
茜「…あら。カメラ小僧にしちゃあ度胸あるじゃないか。葛西と目ェ合わせてもビクともしないのかい」
富竹「…何度も死にかけたんだ。ただの脅しなら慣れたものだよ」
「バッ…!お前!」
葛西「…」
富竹「真実を見抜いてくれると言うなら、真っ正面から向かい合うのがこっちの筋だ!!」
茜「…ほーう…」
葛西「…」
茜「…良い事言うじゃないか。ええ?」
富竹「…」
茜「…」
葛西「どうやら、嘘は言っていないようです」
茜「…そうかい」
331 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:28:53.16 ID:uQrDoXrNO
茜「はー…嘘はついてない…か…」
「へ、へい!」
茜「…まあ、それでその二人の罪がどうのこうのって訳じゃないけどね」
鉄平「…」
リナ「…」
茜「…ま、チンピラもアバズレも、堂々と詫び入れに来たのは褒めてやるよ」
リナ「…」
茜「…だが、罰は与えるよ。示しがつかないからね」
リナ「…はい」
茜「…さー…て…」
…。
チェイス『…魔進チェイサー。今はそれで良い』
茜『…何でも良いさね。…随分荒らしてくれたじゃないかい…!』
チェイス『命を守る為だ』
茜『へェ…?…そりゃ、「どっちの」だい?』
チェイス『全てだ。北条鉄平。沙都子。魅音…』
茜『…』
チェイス『…お前達もだ』
…。
茜「…はー…」
葛西「…」
茜「…どうやら、繋がったねぇ…」
鉄平「…?」
茜「否が応でも関わることになっちまったよ」
葛西「…例の…」
茜「ああ。全く…」
富竹「…じゃあ…」
茜「ウチらのシマで勝手な事はやらせないよ」
富竹「!」
茜「全部聞いてんだろ!!魅音!!」
富竹「!魅音ちゃん…!」
魅音「…」
332 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:29:37.54 ID:uQrDoXrNO
茜「アタシには決定権は無い。決めるのはアンタだよ。魅音」
魅音「…」
葛西「…」
茜「どうすんだい?このままじゃこいつらの言う通り鷹野とかいう奴にみんな殺されちまうらしいよ」
鉄平「…」
茜「アンタのお友達もだ。…んで大好きな子もだ」
魅音「ン゛ブッフゥ」
リナ「・・・」
茜「…というより、これで何もしなけりゃアタシが許さないし、現当主もお怒り心頭間違い無しだよ」
魅音「…決まってるよ」
茜「…」
富竹「…!」
魅音「…一人でダメなら、二人」
茜「二人でダメなら、四人…」
魅音「…それでもダメなら、百人」
茜「いーや、二百人だ」
魅音「…」
富竹「…」
魅音「…これは園崎のメンツをかけた大一番の勝負だよ」
茜「ああ、そうさ」
魅音「…決まってるでしょ…」
鉄平「…」
リナ「…」
魅音「…全面戦争だよ!!!」
333 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:30:23.74 ID:uQrDoXrNO
…。
……。
鷹野「…」
小此木「…あーあ。どうするんです?根城がやられちまいましたぜ?」
鷹野「…怪我人は?」
小此木「ま、奇跡的に俺一人ですかね。頭ぶん殴られちまった」
鷹野「…そう」
小此木「そうじゃなくて。このままじゃ必ず園崎の耳に入ると思いますがね」
鷹野「…止まれないのよ。私達は」
小此木「…まあこっちも金貰っちまった以上、任務は遂行しますよ」
鷹野「なら、分かってるでしょう?」
小此木「…あー…はいはい。おい。聴こえてるか?こちら小此木。どうぞ」
『小此木隊長。どうされましたか?』
小此木「アジトがやられた。もう構うことはない」
『…』
小此木「死因なら後で考える。ちょいと予定が早まったが、決行だ」
『了解』
小此木「…」
鷹野「たかが村単位のヤクザがプロの精鋭部隊とやり合うだなんて、言ってくれたものよねぇ」
小此木「あんまアテにせんで下さいよ。あっちだって丸腰じゃねえんですから」
鷹野「数なら負けてるかもしれないけど、貴方達なら一人で五人くらいの戦力にはなるでしょう?」
小此木「こりゃまた買い被っちゃって…」
鷹野「…狙いは、古手梨花。それ以外は殺しなさい。全て」
小此木「はいはい。…女子供もいるんじゃないですか?」
鷹野「構わないわ。全員殺しなさい。元々そういう予定なんだから」
小此木「そうでしたっけねぇ…では、「アレ」は?」
鷹野「準備しておいて。万が一にも生存者は出してはいけない」
小此木「はいよ。…まるでゴキブリ扱いですねぇ…」
鷹野「…うるさいわよ」
小此木「おお怖い怖い。じゃ、俺らの本業と行きますかねぇ…!」ポキポキ
鷹野「…お爺ちゃん…」
小此木「…」
鷹野「見ていて下さい…」
小此木「…」
鷹野「私が、神になるその瞬間を…!!」
第12話 終
334 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:31:16.62 ID:uQrDoXrNO
続きまた出来たら書きます
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 00:39:52.61 ID:/3o2uYaVo
乙
圭一ってこんな過去があったのか…
ドクズやん。女の子達と遊んでる場合じゃねえだろ…
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 03:24:48.78 ID:AtIXpwXfO
乙
確か澪尽し編でその目に当てた女の子のところに謝罪しに行ったって言ってたような
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 16:02:02.92 ID:0eTDvjVWo
ひぐらしは大まかな設定しか知らなかったから作者が丁寧に書いてくれて助かる
鷹野の過去も知らなかったし富竹と入江は本当に良い人だったんだな。好きになった
338 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:13:54.11 ID:Z9d2epbiO
…。
りぃぃぃかぁぁぁあああ!!
『はにゅー!やっと戻ってきたのです!』
何処に…何処に行ってたのですかぁ!!心配したのですよ!!
『ごめんなさいなのです。でも、とっても不思議な体験をしたのですよ。にぱー』
不思議な体験…?
『はいなのです。そこは、はにゅーに触れる世界なのでした』
…触れる事が不思議というのもなんですが…それは一体?
『それと、ボクとそっくりだけど、ボクよりも大きい、名前も一緒の梨花という人に出会ったのです!』
…?
『そこには、色んな仲間がいて。いっぱい遊んでもらったのです!』
…は、はあ…。
『これで絵日記は決まりなのですよ!』
…いや、後30日分どうするのですか!!それで全部乗り切るつもりですか!!
『にぱー☆』
あああ…梨花の学校でのキャラがどんどん固定されていくのですぅ…。
339 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:14:40.20 ID:Z9d2epbiO
…。
羽入『…』
羽入『…あ』
羽入『…ああ…』
羽入『…そういえば、もう…』
羽入『…誰も、いないのですね…』
羽入『…』
羽入『…梨花…』
羽入『…貴方が幸せなら、ボクはそれで良いのですよ…』
羽入『…貴方には、沢山の仲間と、強い味方達がいるのですから…』
羽入『…ボクとの時間は、もう終わりなのです…』
羽入『…』
羽入『…よろしくお願いします…』
羽入『…チェイス…』
『ちょっと待った』
羽入『びゃっ!?』
340 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:15:57.57 ID:Z9d2epbiO
?『すまない。驚かせるつもりではなかったが…聞き捨てならない単語があってな…』
羽入『え…えっ?』
?『お前は今、チェイス。と言ったか?』
羽入『…は、はいなので…うひゃあ!!火の玉なのです!!幽霊なのですうううう!!』ブンブン
?『待て!!消そうとするな!!何をする!!』
羽入『だって!!だって!!怖いのです!!!』
?『俺は敵ではない!!お前を攻撃したりしない!!』
羽入『うぐ…あうう…』
?『…チェイスの事で、詳しく話を聞きたい』
羽入『…?』
?『あいつが生きているなら、一目くらいは会っておきたい』
羽入『…貴方は?』
?『あいつの…古き、友だ』
羽入『…?』
341 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:16:44.07 ID:Z9d2epbiO
?『俺とあいつは、元々仲間…いや、仲間だったかどうかは怪しいな』
羽入『…』
?『…洗脳して仲間にするなど、本当はダメなんだ』
羽入『…!もしや…貴方は…』
?『…そうだ』
羽入『…でも…その姿…』
?『…人間との決着をつけようとしたが、ダメだった』
羽入『…?』
?『共通の敵を倒し、最後の戦いに臨んだが…既に俺の体は限界だったようだ』
羽入『…人間というのは…あの、方ですか』
?『そうだ。俺の…人間の友達だ』
羽入『…』
?『…そして生き返ったんだがな』
羽入『は?』
342 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:17:44.06 ID:Z9d2epbiO
?『俺にも分からない。何故か再び現世に呼び出され、そして復活した』
羽入『…?』
?『どうやらお呼びではなかったようだが…そこで俺は人間と組むことになった』
羽入『…』
?『かつての俺の仲間…それの模造品。いわば亡霊と戦ったんだ』
羽入『亡霊…』
?『しかし復活したとは言ってもその肉体は俺の力を発揮するには十分ではなく、一度は負けてしまった』
羽入『…』
?『そこで俺は、人間の力を借りる事にした』
羽入『…』
?『皮肉なものだと思ったよ。人間を超える筈が、人間に助けられてしまった』
羽入『…そんなこと…』
?『いや、それで良いんだ。そうじゃないとダメだった』
羽入『?』
?『俺は人間を超える。超えられるとばかり思っていたんだが、足りないものがあったんだ』
羽入『足りない…もの?』
?『そうだ。分かるか?』
羽入『…』
?『…「分かる」ことだ』
羽入『…??』
343 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:19:05.05 ID:Z9d2epbiO
?『相手を倒したい。超えたい。そればかり思っていては、何も始まらない。人間を知り、分かる事が必要だったんだ』
羽入『…』
?『俺達は個人主義者の集まりとばかり考えていたが…それは違った』
羽入『…』
?『人間の悪意を植え付けられ、その恨みだけで動いていたに過ぎなかったんだ』
羽入『…』
?『だが、奴らは違った』
羽入『…』
?『俺達を理解し、向き合い、分かり合おうとしてくれたんだ』
羽入『…』
?『…今思えば、それが簡単に出来る人間に、俺達が勝てる訳もなかったな…』
羽入『…』
?『…』
羽入『…人間でありたいと、思ったのですか?』
?『…』
羽入『…』
?『…それは、無いな』
羽入『…』
?『確かに俺達は作られた存在だ。ただのロボットだ』
羽入『…』
?『だが、確かに仲間は居た。全ての感情を共に分かち合える仲間が居た』
羽入『…』
?『例え作られた存在であっても、寂しくはなかった』
羽入『…』
?『後悔は、していない』
羽入『…』
?『それに、今も一人ではない』
羽入『…?』
?『…お前は、一人なのか?』
羽入『…今は、一人なのです』
?『…何故だ?』
羽入『…話すと、長くなりますですよ』
?『構わない。俺で良ければ話せ』
羽入『…』
…。
……。
344 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:20:02.32 ID:Z9d2epbiO
?『…そうか。そうだったのか…』
羽入『…ボクの力では、二人を戻すことが限界だったのです』
?『…確かにチェイスならば、何の迷いも無くそちらを選ぶだろう』
羽入『…ボクのせいで、チェイスはもう元の世界には戻れなくなりました』
?『いや』
羽入『…』
?『例えお前が拒んでも、チェイスは行っただろうさ』
羽入『…』
?『そういう、男だからな』
羽入『…チェイスは、今でも敵だと思いますか?』
?『…』
羽入『…』
?『今も昔も、俺にとっては友だ』
羽入『…戦っていたのに、友なのですか?』
?『今では、ということだ』
羽入『…』
?『全てが終わった今、もう争う理由はない』
羽入『…』
?『そして、今』
羽入『…?』
?『俺が奴にしてやれることは、これくらいだ』
羽入『…?』
?『受け取れ。そしてこれをチェイスに届けてくれ』
羽入『…!これは…』
?『チェイスなら、きっと使いこなせる筈だ』
羽入『…でも、もうボクには力が…』
?『…出来るさ。俺達の力を使えば』
羽入『…え?』
?『…全く、貴方という人は…』
羽入『え!?こ、今度は緑の火の玉なのですぅ!!!』
?『ああもう!!耳元で大きな声を出さない!!』
羽入『ひぃっ!?』
?『女の子に食ってかかるなんて…相変わらず粗相の無い男ですわね』
羽入『ひいい!!白!!白いぃ!!』
?『あら…ごめんあそばせ』
345 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:20:44.67 ID:Z9d2epbiO
…。
羽入『…そ、そうだったのですね。貴方達が…』
?『ええ。…ま、本来何の関係も無い貴方に手を貸すのは不服ですが…』
羽入『…』
?『俺達は死んだとばかり思っていたが、コア・ドライビアのエネルギーがまだ微量に残っていたらしい』
?『こうして話す事くらいは出来ますのよ』
羽入『…そのせいで、一度は復活したのですね』
?『もうこの世界には未練などありませんので、残りのエネルギーを全て使い切って、一刻も早く立ち去りたいんですよ』
羽入『…でも、ボクの力と貴方達の力は、別では…』
?『貴方、私達のエネルギーを電池か何かと勘違いしてませんか?』
羽入『…てっきりゼンマイかと思ってたのです…』
?『・・・』
346 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:21:26.83 ID:Z9d2epbiO
?『…まあ、良いですよ。構造を説明したところで貴方の空っぽの頭では理解出来そうにありませんから』
?『コア・ドライビアの力を使えば、人の怪我を治す事も可能なんですのよ』
羽入『そ、そんなに科学は進歩してるのですか…!』
?『…タイムスリップなんてものこそ、どうかしてますけど…』
羽入『…試して、頂けるのですか?』
?『ああ。だが恐らくお前を送り込むのは無理かもしれない』
羽入『…では、どうやって…?』
?『出来ることは、「穴」を開けることくらいだ』
羽入『…!』
?『それであいつに、贈り物をしてくれ』
羽入『…』
?『紛い物の姿ではなく、本当の姿にしてやってくれ』
羽入『…』
?『それがあれば、きっと奴はその雛見沢村とやらを救える筈だ』
羽入『…分かりました』
?『契約成立。ですわね』
?『私はそんなつもりは毛頭!!ありませんけど…ンね!』
?『でしたらずっとここで一人朽ち果てていけば良いと思いますわ』
?『やる!!やります!!やらないとは言ってないでしょう!?』
羽入『…』
?『ははは。お前達は変わらないな…』
羽入『…』
?『…こうして、共に逝けるのなら、死ぬのは怖くない』
羽入『…』
?『だから、気にするな』
羽入『…』
347 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:22:17.97 ID:Z9d2epbiO
羽入『…では』
?『…』
羽入『…お願いします。ハート』
ハート『ああ。行くぞ。…ブレン』
ブレン『はい。今度は一緒ですね。ハート』
ハート『…メディック』
メディック『はいですわ。ブレンは置いといて私と共に…』
ブレン『私!!私こそ!!ハートに相応しい!!!』
メディック『眼鏡の無いブレンなんて屋根の無い家と同じですわ』
ブレン『な、何ですって!!この眼鏡が見えないんですか!!』
メディック『何も見えませんわ。あの眼鏡かけ機は何処に行ったのでございましょう?』
ブレン『キー!!!』
羽入『・・・あの』
ハート『…個人主義者の集まりだからな。いつもこんな感じさ』
羽入『…』
ハート『…頼んだぞ。羽入』
羽入『…はい』
ハート『お前の友と、俺達の友の為に』
羽入『…はい!』
12.5話 終
348 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/12(月) 21:22:56.86 ID:Z9d2epbiO
続きまた出来たら書きます
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/13(火) 00:28:23.09 ID:oI9etmhK0
オツカーレ!
ハートとメディックとメガネぇw
ちょっと嬉しい登場だ
次もマッテルーヨ!
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/13(火) 00:30:13.34 ID:V9XWSiGpo
まさかのハート様一家!
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/13(火) 19:03:04.67 ID:hHji5+mL0
乙
ハートが羽入にあげたものってまさか・・・?
352 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:15:05.74 ID:bEIt2fnzO
小此木「…」カチャカチャ
「…」カチャカチャ
「…」カチャカチャ
小此木「準備出来た者から配置につけ。全員が終わり次第作戦を遂行する」
「…はい」
小此木「…どうした?」
「…」
小此木「…どうした。言ってみろ」
「…今年、子供が産まれたんです」
小此木「…ああ。聞いたよ」
「…良い子に育ちますようにって、大事にしてやりたいって嫁も言ってました」
小此木「…」
「…どうして、この作戦に自分を呼んだんですか…」
小此木「…だが、終わればもう必死こいて働く必要は無いぞ」
「それで!何の罪も無い人や、子供達まで殺せって言うんですか!?」
小此木「…」
「…この仕事が終わって、幸せに暮らせるんですか…!?」
小此木「…」
「俺は、暮らしていけるんですか…!?」
小此木「…一つ。言えることがある」
「…」
小此木「…少なくとも、死んだ後は別々になるだろうよ」
「…!」
小此木「だが「そっち」に行くのはお前だけじゃあ、ない」
「…」
小此木「俺達全員、永遠に暗闇を彷徨う事になるだろうさ」
353 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:15:58.84 ID:bEIt2fnzO
大石「…ふーむ…」
熊谷「やはり限られたとは言っても、山の中から一つの建物を探すのは至難の技ッスね…」
梨花「みー…どの山かは分かったのですが…」
大石「…応援を頼めれば頼みたいものなんですが…何にしても時間が足りない」
熊谷「応援を頼めば、上からヘリで行けそうなモンなんですけどね…」
チェイス「手続きか」
大石「手続きは、許可が降りてからですね。その上今回は人が出払っている状態ですから」
チェイス「…」
大石「こういうのは兼ね合いというものがありますからねぇ」
熊谷「それに興宮署の署長は頭の固い人間でして。…ええまあ…」
大石「私との関係は良好とは言いづらいんですよぉ。参りましたねぇ」
チェイス「…」
大石「住む世界が違うと面倒なことになるんですよ」
チェイス「(出会った時の俺と剛のようなものか)」
?「みんなぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」ダダダダダ
チェイス「!」
大石「!」
熊谷「!?」
354 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:16:36.41 ID:bEIt2fnzO
魅音「ハーッ…ハーッ…」
チェイス「…魅音」
魅音「…あ、あの!!け、圭ちゃん達は!?」
チェイス「…なk」
レナ「魅ぃちゃん!?」
圭一「魅音!!」
チェイス「…」
詩音「あ、お姉」
魅音「…そ、それが…って圭ちゃん!?その顔何!?パンパンなんだけど!?」
圭一「えっ…あ、ああいや…」
魅音「だ、大丈夫?それ…」
圭一「これは…」
魅音「…」
圭一「…懺悔…」
魅音「…?」
レナ「そ、それより魅ぃちゃん。何があったの?」
魅音「…う、うん!それがね?北条鉄平が自首してどこかの山からリナと富竹さんを連れてきて鷹野さんがヤバイの!!」
詩音「え?何何何何何!!!?」
…。
355 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:17:46.78 ID:bEIt2fnzO
圭一「…やっぱり…」
レナ「…」
魅音「…レナに手を出したって事は、どうやらクロで間違いないみたいだね」
大石「成る程…育ての、亡き親の研究を世に知らしめる為に…」
チェイス「…いずれにせよ。止めるべきだ」
入江「…そうですね。何があっても人を殺すなんて…」
チェイス「…それだけではない」
入江「?」
大石「今回の件で恐らく鷹野さんを刺激してしまったことは間違いないでしょう」
入江「…!」
魅音「…そうだね。計画を早める可能性も高い」
大石「高い。ではなく間違いなく早めるでしょうな…」
魅音「…」
詩音「…話を聞いていると、まるで御伽噺のようで…混乱してきましたよ」
魅音「詩音。冗談言ってる暇無いよ。こうしてる間にもあいつらは準備を整えてるはずだから」
チェイス「しかし早める、ということは準備が万端というわけではない」
圭一「むしろ、出来合いで固めた可能性も…」
大石「その通りですよ。結果的に彼らは今追い詰められた袋のネズミ。しかしそのネズミもその気になれば、という話です」
梨花「なりふり構わず、来るということですか?」
チェイス「魅音や大石の言う通りならば、今この瞬間に武装集団がなだれ込んでくる可能性もあるということだ」
大石「こちらは何も準備していませんからねぇ…」
356 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:18:44.33 ID:bEIt2fnzO
魅音「…で、だよ」
大石「はい?」
魅音「…まあ、どうしてここに警察官様がいるのかは良いよ。呼んじゃったんだし」
大石「おんやぁ…年寄りなんですから、もう少し労って欲しいですねぇ…」
魅音「…人数なら、出せるよ」
チェイス「…」
梨花「…!」
大石「…」
魅音「協力が必要っていうなら、私が何とかする」
圭一「…それって…」
知恵「…」
大石「…ふ…ぬはっはっはっは!!これは…聞いたことがありませんねぇ!」
魅音「…」
大石「…本来敵対関係にある警察と貴方達が手を組む、というのは…」
梨花「でも、迷ってる暇はないのですよ」
大石「…こりゃ、始末書じゃ済まないかもしれませんよ?熊ちゃん…」
熊谷「…抗争に手を貸すようなものですからね…」
圭一「そ、そんなの俺達がいます!証人になります!!」
知恵「私達がいくらでも証言します!貴方達は無関係だって!」
大石「…お心遣い、ありがとうございます。ですがそんな単純なことじゃないんですよ」
魅音「…」
大石「恐らく死人も出るかもしれないこの大一番。市民の命を守る立場の私達がそれに手を貸すということは、警察としては言語道断なんですよ」
チェイス「…」
魅音「…手を貸さない…って事で良いんですか?」
大石「…」
熊谷「…」
知恵「…!」
魅音「つまり、貴方達はこの死人も出るかもしれない大一番に見て見ぬ振りをする、と」
沙都子「…」
魅音「…尻尾を巻いて逃げる、というわけですね?」
大石「…」
357 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:19:49.14 ID:bEIt2fnzO
詩音「お姉、そんな言い方…」
魅音「詩音は黙ってて」
詩音「…」
魅音「…」
大石「…ふむ」
チェイス「…」
大石「…流石、園崎のお嬢さんは気合が入っていますねぇ。ウチの若手に見せてやりたいくらいです」
梨花「…」
大石「そうですねぇ…今の警察は、確かに臆病かもしれません。ルールに縛られ、上からの圧力に怯え…」
圭一「…」
大石「ただ、訂正して頂きたいものです」
魅音「…」
大石「全員がそうというわけではない。熱い魂を持った者も、確かにいます」
梨花「…!」
魅音「…ですが、ルールに縛られt」
大石「警察というものは!!!」
詩音「!?」
魅音「…ッ!」
大石「制服を着ていなければ…手帳を持っていなければいけないというものではない」
圭一「…大石さん…」
大石「…」スッ
魅音「!」
詩音「…それ、警察手帳…?」
大石「「これ」に縛られるなら、その鎖を解けば良いだけです」
梨花「・・・」
大石「私は…私の魂は…」
魅音「…」
大石「例え「これ」が無かろうと、警察であることには変わりない!!!」
知恵「…」
大石「真の警察というものは、生まれながらにして警察であるものです…!」
熊谷「…」
魅音「…つまり…」
大石「…ここから先は、私は刑事ではなく、大石蔵人として行動しましょう」
魅音「…」
熊谷「大石さん」
大石「?」
358 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:20:44.59 ID:bEIt2fnzO
熊谷「…」スッ
大石「…おや」
詩音「…あら…」
大石「…良いんですかぁ?貴方、まだ先は長いんですよ?」
熊谷「…何言ってんスか」
大石「…」
熊谷「…誰の背中見て、ここまで着いてきたと思ってんスか…!」
大石「…そう…ですかぁ…」
梨花「…」
大石「私…良い後輩を持ちましたねぇ…」
チェイス「…決まったか」
大石「ええ。私達も持てる力は最大限発揮するとしましょう。定年までに雛見沢に関する事件は全て解決したいものですから」
魅音「…感謝します」
大石「お気になさらず。協力しているのはただのおじさま二人ですから」
レナ「…それじゃあ…」
魅音「うん。向こうがもう準備を始めてるっていうなら、こっちも始めるよ」
詩音「…相手のターゲットは村人全員…」
レナ「じゃあ、避難を…!」
チェイス「それは無理だ」
レナ「え…」
チェイス「相手のアジトは山にある。その中を掻い潜って雛見沢から出すのは不可能だ」
圭一「…じゃあ、せめて家の中にいてもらえば…」
大石「それも良い案です。…あ、園崎魅音さん」
魅音「…?」
大石「一つ、やってもらいたいことがあるんですよぉ…」
魅音「…は、はぁ…」
359 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:21:52.49 ID:bEIt2fnzO
鷹野「…」
小此木「鷹野三佐。準備整いました。村人に扮した者もいつでもOKだそうです」
鷹野「…そう。なら始めて」
小此木「…その前に」
鷹野「…何?」
小此木「…この仕事が終わった、後の話ですが…」
鷹野「ええ。成功の暁には貴方達全員、これから一生余裕のある生活を約束するわ」
小此木「それは、聞きました」
鷹野「…何かしら?」
小此木「…この作戦には、所帯を持つ奴もいます」
鷹野「なら安心しなさい。その分も…」
小此木「この村の子供とそう変わらない年齢の子供がいる奴も、います」
鷹野「…それが?」
小此木「俺だけなら構いませんが、何故こいつらをこの作戦に参加させたんです?」
鷹野「決まってるじゃない。精鋭部隊を作るんだから、隊員もそれに見合った人間でないと」
小此木「…」
鷹野「珍しいのねぇ。仕事第一の貴方がそんな事、聞くなんて…」
小此木「…(皮肉なもんだと、思っただけだよ)」
鷹野「…」
小此木「(お国の為、市民の為、鍛え上げた筈の力をその市民を殺す為に使うなんてな…)」
360 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:22:57.95 ID:bEIt2fnzO
小此木「…こちら小此木。最終確認を行う」
『はい』
小此木「ターゲットは村人全員。一人たりとも村から出すな」
『…はい』
小此木「写真で見せた子供、古手梨花は殺すな。無傷で捕獲しろ」
『はい…』
小此木「諸君らには、この作戦が終わった後、遠方への異動、あるいは退職。どちらかを選んでもらう」
『…』
小此木「報酬は一人1億2千。好きに使ってもらって構わない」
『…はい』
小此木「尚、諸君らには金銭だけでなく、精神面でも手厚い保護があることを約束する」
『…』
小此木「尚、首筋に赤線が描かれている者は仲間だ。絶対に狙うな。今奴らはそれぞれの家の中で準備させている」
『…はい』
小此木「言い聞かせろ。村人を人と思うな。情を殺せ。これからの生活の為に」
『…はい』
小此木「…終了の合図は青。緊急事態は赤の信号弾を上げる。以上だ」
『…はい』
小此木「では、作戦にかかれ!!」
『…了解…しました…!』
361 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:24:06.08 ID:bEIt2fnzO
小此木「…」フー
鷹野「…貴方は、行かないの?」
小此木「…誰かは知りませんが、逃げられた以上ここの人間に知られちまったと思った方が良いでしょう。となりゃこっちも無傷じゃ済まねぇ」
鷹野「…」
小此木「万が一、億が一、一人でも誰かが三佐の前にやってきた時、誰が守るんです?」
鷹野「…自分の身くらいは…」
小此木「守れねぇから、そんな足になっちまったんでしょう?」
鷹野「…」
小此木「三佐の銃の腕が不思議なくらい下手くそっていうのは、俺達の常識ですぜ」
鷹野「…」
小此木「普通、百発撃ちゃ一発は当たる筈なんですがね。貴方のは掠りもしない」
鷹野「…どうしてかしら…」
小此木「訓練を一度もやらないから…ってだけじゃねえでしょう。…まあ三佐は前線に出ませんからどうでも良い事ですが」
鷹野「…」
小此木「それと、富竹ジロウですが…」
鷹野「分かってるわ。殺して頂戴」
小此木「…女っていうのは、ドライですねぇ…」
鷹野「…元々、そうじゃなかっただけよ」
小此木「そういう風には、見えませんが?」
鷹野「…」
362 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:31:39.43 ID:bEIt2fnzO
鷹野「…ジロウさんとは、学校で知り合ったのよ」
小此木「同期…ですか」
鷹野「ええ、そう。…誰とも話そうとしなかった私に、一番初めに心を開いてくれた男の人よ」
小此木「…誰に対しても、分け隔てなく接する。っていうのはこっちでも変わらねぇ…か」
鷹野「…勉強を教えたり、休日は野鳥を撮影しに行ったり…」
小此木「…今でも、そうだったんじゃ?」
鷹野「…」
小此木「…演技じゃあ、ねぇんでしょう?」
鷹野「…」
小此木「俺は、報酬が貰えりゃそれで構いません。綺麗事なんて知ったことじゃあ、ない」
鷹野「…だったら、何かしら」
小此木「しかし、このままこの作戦を終わらせた時、三佐がどんな顔してんのか想像もつかないもんで」
鷹野「決まってるじゃない。私は…」
小此木「高野一二三に全てを捧げた三佐、富竹ジロウに心を開いた三佐」
鷹野「…!」
小此木「…本当の貴方は、どっちなんです?」
鷹野「黙りなさい!!」
小此木「…」
鷹野「貴方達はただ、仕事をすれば良いの!!それで全てが上手く行くの!!」
小此木「おお怖い怖い…与えられた職務は着実にこなしますよ」
鷹野「何がこなす、よ…発砲音すら聴こえないじゃない!」
小此木「誰が丸裸で撃ちますか。わざわざここに居て撃ちますよって知らせてるようなもんでしょうに」
鷹野「…ッ」
小此木「心配せずとも、もう少ししたら信号弾が上がりますよ。向こうだっていきなり来られちゃ準備もクソもないでしょう」
鷹野「…」
『パシュッ』
小此木「ほら」
鷹野「…そうね」
小此木「…上がっ…」
363 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:32:34.54 ID:bEIt2fnzO
鷹野「…」
小此木「…あ?」
鷹野「…何が、着実にこなす…なのかしら?」
小此木「…」
鷹野「貴方、アレが何色に見えるの?」
小此木「…何…で…?」
『小此木さん!!小此木隊長!!』
小此木「おい!!何があった!!説明しろ!!」
鷹野「どう見たって、赤じゃない…!!!」
『そ、それが…!!』
小此木「何だ!!!」
『…村人が、誰一人いないんです!!』
小此木「・・・」
鷹野「・・・」
『家の中もくまなく探しました!!しかしもぬけの殻です!!』
小此木「…な…」
鷹野「…」
小此木「…何だ…そりゃ…」
鷹野「…まさか…」
364 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:34:17.62 ID:bEIt2fnzO
…。
【約1時間前】
大石「園崎魅音さん。これを」
魅音「?これ、何?」
レナ「…○○さん…○○さん…あれ?みんな、この村の…」
入江「そのリストにある人間は、全て鷹野さんの仲間です」
魅音「はっ!?」
大石「やはり内情を知る方がいると心強い。先手を打てますからねぇ」
魅音「えっ!?…こ、この人も!?昨日話した分…」
チェイス「長く住むことで、住民達の心を開かせたんだろう」
魅音「…ホントに、この人達が敵なの…?」
入江「ええ。間違いありません」
圭一「この間まで普通に話してた奴が、銃を持って襲ってくるってことかよ…!」
入江「彼らは特殊な教育を受けています。その中でも、特に心理学に秀でた者達が村人に選出されたんです」
沙都子「…随分大掛かりな事をしたものですわね…」
大石「…時間がありません。このリストに書かれている者以外を、園崎の…いえ、何処でも構いませんので、見つからない場所へと避難をさせて下さい」
魅音「見つからない場所…」
詩音「…それなら、地下は?」
魅音「地下?…あ!地下!!地下だよ!!!」
詩音「ああもう耳元でやめて下さい!!!」
大石「何処でも構いません。園崎の人間を使えば村人は無条件で聞くでしょう」
魅音「…は、はい」
大石「戦うことよりも先ず、戦う為に環境を整えなければなりません」
魅音「!…はい!」
大石「それでは、よろしくお願いします」
魅音「分かった!!行ってきまーす!!」バビューン
365 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:35:24.55 ID:bEIt2fnzO
チェイス「…間に合うか?」
大石「…分かりません」
圭一「魅音なら、絶対に大丈夫です!あいつはやる時はやってくれますから!」
知恵「私達も協力します!そのリストを…」
大石「…貴方達には別にやって頂きたいことがあります」
知恵「えっ?」
大石「魅音さんとは、逆の事をして頂きます」
校長「…!」
圭一「…そうか!そのリストの家の人間をとっ捕まえて…!」
大石「いえ。無理に捕まえようとすれば危ないのは此方です」
入江「…相手は訓練を受けた兵士ですからね…」
圭一「…じゃ、じゃあどうすれば…?」
沙都子「…おほ…」
圭一「…?」
沙都子「…おほほ…」
詩音「…沙都子?」
沙都子「おーっほっほっほっほっほ!!!」
レナ「…!そっか!沙都子ちゃんなら…!」
大石「おや?何か良い案が?」
沙都子「この私を何だと思っておりますの?ええ?左之助さん!!」
チェイス「小学生だ」
沙都子「年齢じゃなくってよ!!!」
チェイス「…?」
圭一「沙都子はトラップを仕掛ける天才だから!こういうのには最適ですよ!」
大石「…ほほぉ〜…」
チェイス「…子供のイタズラで、奴らを足止め出来るか?」
沙都子「…ふっ」
チェイス「…」
沙都子「知らなくって?この私。数名程度なら小一時間あればその全てのお宅にありとあらゆるトラップを仕掛ける事が可能でしてよ?」
チェイス「その悪癖は治すべきだ」
詩音「ホントですよ」
沙都子「…何か恥ずかしくなるんでやめて下さいます…?」
梨花「それは成長の始まりなのですよ」
366 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:36:28.80 ID:bEIt2fnzO
…。
小此木「入江所長か…!!クソッ!!」
鷹野「それしか考えられないわ。ジロウさんはあの男達が連れて行ったんだから…」
小此木「おい!村人班!!応答しろ!!」
『あ…お、小此木…隊長…』
小此木「何をしてる!!お前達はさっさと…!」
『い、いえ…!!その…出ようとはしたんですが…!』
小此木「何だ!」
『と、扉は開かないわ窓にはガムテープがビッシリ貼られてるわで…!』
小此木「銃で壊せ!!」
『壊しましたよ!!やったんです!!』
小此木「…あぁ?」
『そしたら…とんでもない量のネズミ捕りが…!!動けねぇ…!!』
小此木「…」
『他の奴らも…!!』
小此木「…山班。応答しろ」
『はい!』
小此木「村人が隠れそうな場所を当たれ。…それと、5人ずつで行動しろ」
『…りょ、了解』
鷹野「…」
小此木「…あの二人さえ逃がさなけりゃあ…」
鷹野「…私を責めてるの?」
小此木「…出資者にケチはつけませんよ。ケチは」
鷹野「…そう」
小此木「…」
367 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:37:58.11 ID:bEIt2fnzO
…。
……。
魅音「…○○さーん!」
「はいよ」
レナ「○○おばさーん!」
「はいはい。おりますよって」
圭一「え、えと…○○さん!」
「はーい」
圭一「○○さーん!」
「…はい」
魅音「…っはー。以上…確認終了…!」
圭一「…しかし良くこんな入ったな。園崎はどれだけ土地持ってるんだよ。だだっ広い地下だなんて…」
魅音「あはは…ここ、昔は防空壕とか、兵隊さんの基地とかに使ってたって噂があるんだよ」
圭一「…いつまでも、隠れてられるか?」
魅音「外には頼れる見張りが着いてる。…大丈夫と思うしかないよ」
圭一「…でも、毒ガスってのをやられたら…」
魅音「分かってる。それまでに何とかする」
レナ「…沙都子ちゃん。大丈夫かなぁ…」
圭一「俺も途中で分かれるまでの間しか見てなかったけど、すっげえ楽しそうだったよ」
魅音「トラップはあの子の本領だからね。良い案だよ」
レナ「永遠に足止めするって言ってたけど、何かな?何かな?」
魅音「本気を出した沙都子の罠はとんでもないからねぇ…」
圭一「それにしたって、左之助さんや梨花ちゃんもついてる。大丈夫だろ」
レナ「…」
鉄平「…」
富竹「…」
魅音「…」
鉄平「…ワシがおるのは、気に食わんかったか?」
レナ「い、いえ…」
鉄平「心配せんでも、そう長くはおらん。様子を見て出て行くつもりじゃ」
圭一「!そ、それは…」
鉄平「…逃げるわけじゃのうて…」
魅音「そうではありません」
鉄平「?」
368 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:40:49.80 ID:bEIt2fnzO
魅音「一人の死傷者も出さない。それが園崎の判断です」
鉄平「…ワシは、ここの村人じゃねぇ」
魅音「いえ。ここに来た以上、貴方もこの村の一員です」
鉄平「何じゃそら。住民票も無いっちゅうのに…」
魅音「貴方には、五体満足で居てもらう必要がありますから」
鉄平「…そういうことけ」
富竹「先ずは命を優先しましょう。それからの事は、助かってからです」
鉄平「…ふん」
圭一「…あ、あの」
鉄平「…?」
圭一「…初めまして。沙都子の、クラスメイトの…前原圭一って言います。最近越してきました」
鉄平「…ほうか」
圭一「…沙都子は、沙都子には、兄である悟史が唯一の心の支えでした」
鉄平「…」
圭一「…でも、最近は違った」
鉄平「…」
圭一「沙都子、言ってたんです」
鉄平「…何をじゃ」
圭一「…北条さんに、笑顔で居て欲しいって」
鉄平「…!」
圭一「…だから、本当は行って欲しくなかったって」
鉄平「…」
魅音「…」
圭一「…きっと、北条さんも、あいつの心の支えになれたのかも、しれないって…」
鉄平「…ほうか…」
圭一「…」
鉄平「…必死に生きて、這いつくばって…」
レナ「…」
鉄平「得たもんは…ガキの同情くらい…」
富竹「…」
鉄平「…尚更、行かんとな…」
魅音「…」
鉄平「無事に帰ってきて、少しでもでかくなったワシを、見せんといかん…」
圭一「…」
369 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:44:38.96 ID:bEIt2fnzO
沙都子「おーほっほっほっほ!!見て下さいませ!あの方達、まるでゴキブリのようにもがいてますわよ!!」
梨花「みー。これで今年のボクと魅ぃの家はネズミとゴキブリだらけなのです…」
沙都子「命がかかってるんですのよ!!そんなもの後回しにして下さいまし!」
知恵「これで後は警察の方を呼ぶだけですね!」
大石「いやぁ…久しぶりに走りましたよぉ」
熊谷「ガムテープで窓を全て隠し、玄関前に大量のネズミ捕りを固定。それをバレずに、迅速にこなしてしまうとは…」
入江「相手は突然のアクシデントに思わず足を取られ、そして最後には身動きが取れなくなる…」
大石「大した才能です。将来が楽しみですなぁ」
沙都子「おーほっほっほっほ!これくらい朝飯前ですわ!」
チェイス「静かにしろ」
沙都子「ほっ」
校長「…皆さんは早く園崎さんの家に避難して下さい」
知恵「…」
入江「…!山狗の隊員が…!」
大石「…参りましたねぇ。相手は完全武装、こちらは丸腰です」
梨花「拳銃は持ってないのですか?」
熊谷「拳銃の形態には許可が必要ですから。自己の意思で勝手には持ち出せないんですよ」
大石「お陰様でこの通りですがね…」
370 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:46:38.04 ID:bEIt2fnzO
チェイス「…大石。熊谷」
大石「はい?」
熊谷「?」
チェイス「皆を守り、園崎家へ走れ」
梨花「…!」
大石「…貴方は?」
梨花「…」
チェイス「…俺は、奴らを足止めする」
入江「え…」
熊谷「足止めって…相手は…」
校長「いえ。ここは左之助先生に任せましょう」
大石「…しかし」
知恵「市民を守るのが警察なんですよね?」
大石「…」
チェイス「安心しろ。俺はあの武器では死なない」
沙都子「…左之助さん…?」
大石「…了解しました!では…お任せしますよ!!!」
チェイス「…」コク
熊谷「皆さん、なるべく姿勢を低くして、足音を立てないように走って下さい」
沙都子「で、でも…」
梨花「行きますですよ。沙都子」
入江「…」
梨花「左之助は無敵なのです。あれくらいならボコボコなのですよ」
チェイス「…」
沙都子「…さ、左之助さん…!」
チェイス「…」
沙都子「…絶対、帰ってきて下さいませ…」
チェイス「…」コク
371 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:48:37.21 ID:bEIt2fnzO
「…」ザッ
「…!おい!居たぞ!!撃て!!」
「ジジイを二人発見した!!」
校長「ジジッ…」
大石「!なっ…!?何故!!」
熊谷「腰低くしろって言ったでしょ!!」
校長「や、やろうとはしたんですが…」
大石「身体が言うことを聞いてくれなかったもので…」
沙都子「ちょっとおおおおおお!!!!」
梨花「腰痛くらい耐えなさいよおおおおおおお!!!!」
「撃て!!構うな!!」ビシュッ
「…!」ビシュッ
「!」ビシュッ
入江「しまッ…!」
『パァン!!!』
「えっ?」
大石「!」
チェイス「…」パァン!!!
熊谷「…な…」
チェイス「…」パァン!!!
「!!」
372 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:50:39.61 ID:bEIt2fnzO
チェイス「…」シュウウ…
校長「…」
熊谷「…な、何だ…あれ…?」
大石「あれは…銃…?」
チェイス「…俺の前で、手は出させない」
「…こ、こいつ…」
「撃った弾を、撃って弾いた…?」
梨花「…」
沙都子「…え…?」
チェイス「行け。恐らく敵はこいつらだけではない」
大石「…!は、はい!」
熊谷「皆さん、行きますよ!!」
入江「…!」
チェイス「…」グッ
http://youtu.be/JIde65wVR54
梨花「…!!」
チェイス「…」ブンッ
『Break up』
沙都子「…。…!!」
知恵「北条さん!振り向かないで!!」
沙都子「…あ…」
梨花「…!!」
http://i.imgur.com/KD0kg9y.jpg
「!!?」
沙都子「…そんな…」
梨花「沙都子!!」
チェイス「…俺の名は、魔進チェイサー…」
沙都子「…」
「…!!」カチッ
「…ば、化け物…」
チェイス「…又の名を…」
「ヒ…!」
「化け物…!!」
沙都子「…!!」
チェイス「死神だ」
第13話 終
373 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/13(火) 21:52:36.34 ID:bEIt2fnzO
続きまた出来たら書きます
後多分2、3話で終わると思います
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/13(火) 22:03:31.24 ID:dLaIKiM+o
乙
おお、今回はクッソ熱いな!沙都子は昔は生意気なキャラだと思って
あんまり好きじゃなかったけど裏事情知ると健気過ぎて泣けてくる
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 00:40:57.88 ID:T+okNjZPO
乙
376 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:07:54.11 ID:zrMahF0JO
「逃がすな!!撃て!!」ビシュビシュ
「一人も村から出すな!!」ビシュビシュ
大石「ええい…こうなれば…!」ピタッ
熊谷「!大石さん!!」
「!ジジイが一人止まったぞ!!」
「撃て!!」
大石「熊ちゃん!!先生方!!私に構わず進んで下さい!!」
知恵「しかし!!」
大石「私の事は心配無用!!…ただし…」
校長「…!?」
大石「この家の方の修理代は園崎さんに請求願いますよ…!!」
知恵「!」
大石「行って下さい!!貴方達の手に雛見沢の未来がかかってるんです!!」
入江「…未来…!」
梨花「…」
熊谷「…分かりました!!でも絶対に生きて戻ってきて下さいよ!!」
大石「勿論です!!貴方には教える事がまだ山程あるんですからねぇ!!」
熊谷「…」
大石「…」
377 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:08:59.38 ID:zrMahF0JO
沙都子「…」
梨花「沙都子!もっと速く走りなさい!!」
沙都子「!は、はい…!」
梨花「今は自分達の命を優先しなさい!!」
沙都子「…」
入江「…彼は…彼は一体、何者なんですか!?あの姿は…!」
梨花「後で話すわよ!!そんな事気にしてる暇があったら走りなさい!!」
入江「えっ!?は、はいっ!!」
梨花「(あのバカ…!)」
梨花「(あれ程使うなって言ったのに…!)」
梨花「(…それでも使ったってことは…)」
梨花「(それだけヤバいって事じゃないのよ!!)」
378 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:10:19.11 ID:zrMahF0JO
チェイス「…」
「ば、化け物が…」
「まさか…これがオヤシロサマって奴か…?」
チェイス「俺は、オヤシロサマではない」
「…何でも良い。撃て!!撃ちまくれ!!」ビシュッビシュッ
「う、うわあああああ!!!」ビシュッビシュッ
「…!!」ビシュッビシュッ
チェイス「…」
「だ、ダメだ!!効いてないぞ!!」
「な…と、とにかく撃て!!撃つんだ!!足止めしろ!!直ぐに応援を呼ぶ!!」
チェイス「…」カシャッ
『Tune…Chaser…Cobra』
http://i.imgur.com/Gwqjccq.jpg
チェイス「…!!」ヴンッ
「うわっ!!」ビシッ
「ぐえっ!!」ビシッ
「…!チィッ!!」スッ
チェイス「…」ヴンッ
「!!」ビシッ
チェイス「…人間である以上、殺しはしない。だが…」
「…!」
チェイス「もしもこれで止まらないというのなら、多少の痛みは覚悟しろ」
「…ッ!!」
379 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:11:07.16 ID:zrMahF0JO
…。
「死ねっ!!」ビシュッ
大石「…ぬおっ!?」ササッ
「このっ!!」
大石「…ええい!」バリィン!
「あのジジイ!家に隠れやがったぞ!」
「チッ!!ジジイの癖にコソコソ隠れやがって…!」
「出てこい!!さもなくば家ごと破壊する!!」
大石「ジジイは関係無いでしょジジイは…!」
「…おい!!」
大石「…ん?」
「10数えている間に出てこい!!」
大石「…水筒…そうか!」
「10!…9!」
大石「…ポットは…ああ良かった。ありましたねぇ」
「8!…7!」
大石「…戦闘技術じゃ敵いません…が…」ポチャポチャ
「6!…5!」
大石「…如何せん、貴方達は手段が正当過ぎる…」カチ
「4!…3!」
大石「…場数はまだまだ足りないようですねぇ…」シュー…
「2!…1!…」
大石「…そお…れっ!!」ポイッ
「!出てきたぞ!!」
「この…!」スッ
「!お、おい!!待て!!撃つな!!!」
「えっ?」ビシュッ
「!!バッ…」
「…!!?水筒…!?」
『カッ』
380 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:11:54.46 ID:zrMahF0JO
「うわっ!!?」
「な、何だァ!!?」
「目が!!目が熱ッ…!!」
大石「ぬぅおおおおおおおお!!!」ダッ
「!」
大石「そおりゃあああああああああ!!!」ゴキィ!
「ぐわっ!!!」
「ぐえっ!!!」
大石「とおっ!!!」バキィ!
「がっ…!?」
「ぐおっ!!!」
大石「…」スッ
「…ぐ…こ、この…ジジイ…!」
大石「フリーズ」カチャッ
「…!」
大石「…そこまでですよ」
「テメェ…一体…」
大石「…そちらより、少しばかり生きてきた年数が違うものでして」
「…水筒…そうか…!」
大石「おかげでライター、無くなっちゃいましたよ。煙草が吸えませんね。これじゃ」
「即席爆弾…か…!!」
大石「…さて。貴方には聞かなければならないことがあります」
「…」
大石「まず、鷹野三四さんの居場所。それと貴方達のチームの人数…」
「…」
大石「答えないのならば、他の方に聞くまでです」
「…経験の違いってのは、あるもんだな…」
大石「…ええ。動けなくなった分、頭でカバーしなければなりませんからねぇ」
「…だがな、いくらそれだけ経験を積んでも…」
大石「?」
「…勝てないもんは、勝てないんだよ…!」
381 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:13:00.52 ID:zrMahF0JO
大石「…何を…」
?「…」
大石「ッ!!!」
?「…!」バキィ
大石「がはっ…!!?」
?「…ったく…結局また俺が出向く羽目になるのか…」
大石「…!…貴様は…!!」
?「…あー…あん時のジジイか…」
大石「…!」
小此木「…悪いな。こっちも仕事なもんでね…」
大石「…!!!」
小此木「…」ピ
大石「それは…」
小此木「悪いが俺達も自分の実力が素晴らしいだなんて思っちゃあ、いない」
大石「…?」
小此木「常に最悪のパターンを想定して動くのが隊長ってもんだ」
大石「…まさか!!」
小此木「あー、こちら小此木。応援を要請する。何人まで出せる?」
『雛見沢近くで、50人は待機している』
小此木「そりゃ助かる。全員送ってくれ。それと例のやつを頼む」
『了解。直ぐに向かわせる』
大石「!!」
小此木「どうやらそちらさんにはとんでもない切り札が潜んでたらしいが…」
大石「…!」
小此木「生憎俺達だってバカじゃない。兵隊は山狗だけじゃないんだ」
大石「そんな…」
小此木「…戦闘員を削りながら逃げるってのは、間違いだったな」
大石「…皆さん…!!」
小此木「こいつの始末は任せた。俺はあいつらの逃げた方向に向かう」
「はっ!」
大石「…逃げて…下さい…!!!」
382 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:13:35.36 ID:zrMahF0JO
梨花「ハァッ…ハァッ…」
沙都子「ハッ…ハッ…」
入江「!二人とも!」
知恵「園崎さんの家はすぐそこですよ!頑張って!!」
梨花「(追い詰められた状況に、全力疾走…!)」
沙都子「ハァッ…ハァッ…」
梨花「(女子小学生の身体には、堪えるわね…!!)」
熊谷「…ええい!」ガバッ
梨花「ひゃっ!?」
校長「ぬんっ!」ガバッ
沙都子「きゃっ!?」
校長「大丈夫!!」
熊谷「私達が、命をかけて守ります!!」
梨花「…二人とも…」
知恵「…お願いします!」
梨花「(…このまま行けば…!)」
383 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:15:07.96 ID:zrMahF0JO
「…」
「…ぐ…」
「い、痛ぇ…」
「…」
「…が…は…」
チェイス「…」クルッ
「…く、くそ…」
チェイス「…何故だ?」
「…」
チェイス「何故、お前達は無理をする?」
「…?」
チェイス「何故、そんな顔で撃つ?」
「…」
チェイス「そんな顔で、何故殺そうとする?」
「…」
チェイス「…」
「…俺達は…これが終われば、大金を手に入れる事が出来る」
チェイス「…」
「…それでも…だ…」
チェイス「…」
「…俺達の力は…こんな事の為にあるんじゃ…ないんだ!!」
チェイス「…」
「…国を…人を守る為に軍人になったんだ…!」
チェイス「…」
「…でも…これが終われば、家族を…」
チェイス「…血で薄汚れた金で、か?」
「…!」
チェイス「…」
「…そんなこと…分かってんだよ…!!」
チェイス「…」
「…綺麗事なんだよ…!そんなもん…!!」
チェイス「…例え綺麗事だとしても」
「…」
チェイス「…俺は、長く険しい道を選ぶ」
「…」
チェイス「その先にあるものが、間違いでない限り」
「…!」
チェイス「…」
「…」
チェイス「…む…」
384 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:16:14.85 ID:zrMahF0JO
『居たぞ!!化け物だ!!』
『小此木隊長の言ってた奴か!』
『足止めしろ!園崎家には行かすな!!』
「…!軍の奴ら…何十人いるんだ…!?」
『殺せるようなら殺せ!』
『相手は何をしてくるか分からんぞ!距離を取れよ!!』
「応援を頼んだのか…!」
チェイス「…!」
385 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:17:22.97 ID:zrMahF0JO
入江「うあっ!?」ビシィ
知恵「!!?入江先生!!」
入江「…ぐ…!!」
小此木「…ったく…変な情に流されやがって…」
校長「…!古手さん!北条さん!隠れて下さい!!」
小此木「おっと…おい!」
「動くな!!」
沙都子「ひっ…!」
梨花「…!」
熊谷「…キサマ…!!」
小此木「真面目なのは良い事だけどな。…組織に従えないってのは、宜しくないよなぁ…」
入江「例え組織からの命令であっても、決定事項であっても!!人の命を奪うなどと!!」
小此木「…アンタは医者だからな。そりゃそう言うだろうよ」
入江「医者だからではない!!人としてだ!!!」
小此木「…」
入江「貴方は間違ってる!!人の命に変えられるものなど何も無い!!!」
小此木「…」ビシュッ
入江「ぐあっ!!?」
熊谷「!!…やめろぉぉぉぉおおおお!!!」ダッ
「…」ビシュッ
熊谷「がっ…!!」
小此木「正義感だけじゃあ、食えねえ。そういうことだ」
386 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:20:16.03 ID:zrMahF0JO
入江「…!!」
熊谷「…!」
知恵「入江先生!!熊谷さん!!しっかりして下さい!!」
小此木「…まあ、良いさ。古手梨花以外は殺せとの命令だからな。悪いが全員ここで死んでもらう」
梨花「(…チェイスは何をしてるのよ…!!)」
小此木「…その前に、だ」
校長「…!」
小此木「…村の奴らがこの園崎の家にいる事は分かってるんだが…」
梨花「(早く来なさいよ…!!)」
小此木「…何処だ?」
入江「…!」
小此木「言えば…そうだな。その金髪のガキくらいは助けてやっても良い」
沙都子「!」
梨花「…」
小此木「どうする?本来なら一人残らず殺せとの命だが…」
入江「…そんな…!」
小此木「そのガキの命すらいらねぇってならそれまでだ。人海戦術で探せば良いだけの事だからな」
知恵「…!」
小此木「どうする?ここで答えて一人でも多くの命を救うか…それとも」
梨花「…!」
小此木「全員、ここで死ぬか」
梨花「…この…!」
沙都子「いい加減にして下さいまし!!」
387 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:21:11.94 ID:zrMahF0JO
小此木「…ん?」
沙都子「先程からまるで自分達が神にでもなったかのように振舞って…!何様のつもりでございますの!?」
小此木「…ああ。こりゃ失礼。お嬢様」
沙都子「私も!!この方達の命も!!全て同じ!!選ぶことなんて許されないんですのよ!!」
小此木「…そりゃあな。知ってるさ」
沙都子「ならどうして…!!」
小此木「仕事だからさ」
沙都子「…!…そんな理由で…!」
小此木「…その後の覚悟も出来てる。俺達にはきっと地獄すら生温いんだろうよ」
沙都子「…でも、死ぬまで貴方達はのうのうと生き続ける…」
小此木「…まあな」
沙都子「そんな罪も背負う気の無いもの、覚悟とは言いませんわ!!」
小此木「…」
沙都子「都合の良いように、自分の行いを無理矢理正当化してるだけではありませんの!!」
小此木「…」ポリポリ
沙都子「貴方達なんて…貴方達なんて!!」
小此木「…」
沙都子「ただの、人殺しですのよ!!」
388 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:23:18.88 ID:zrMahF0JO
小此木「…」
沙都子「…」フーッフーッ
小此木「…参ったな…子供に言い負かされちまった」
沙都子「…」
小此木「…間違ってるのは、俺らだからな」
沙都子「…」
小此木「だが、悪かったとは言えないんだ」カチャッ
沙都子「!」
梨花「!」
小此木「…せめて、苦しまずに逝ってくれ」
沙都子「…」
梨花「…沙都子!!!」
小此木「…じゃあ…」
?「…」パァン!
小此木「なッ!!!?」ビシッ
梨花「!!」
?「…」
小此木「がっ…!!今度は何だ…!?」
沙都子「…えっ…?」
梨花「・・・!?」
詩音「…」シュウウ…
沙都子「…ねーねー…?」
小此木「…女ァ…?」
389 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:28:48.94 ID:zrMahF0JO
詩音「…バカですね。沙都子…」
沙都子「…」
詩音「相手を挑発すれば、返されるのは当たり前です」スチャッ
沙都子「ねーねー…」
梨花「詩ぃ…!」
詩音「…でも、見直しましたよ」
沙都子「…」
詩音「甘ったれの沙都子じゃなくて、お姉さんは嬉しいです」
小此木「…」
沙都子「ねーねー!!」ガバッ
詩音「あらら…」
梨花「詩ぃ…良かった…」
詩音「こちらだって無抵抗って訳にもいきませんから。武器を整えて来ましたよ!」
梨花「…」
詩音「ま…それはさておき」
小此木「…」
詩音「…そこの貴方」
小此木「…何だ?」
詩音「…人様に迷惑かけておいて、よくもまあ偉そうにしていられますね」
小此木「…元々だ」
詩音「…葛西!」
葛西「…」ヌッ
小此木「…!」
葛西「お前ら!!出てこい!!」
小此木「…何?」
390 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:29:47.92 ID:zrMahF0JO
「…」ガサッ
「…」ガサッ
「…」ガサッ
詩音「はーい。取り囲んで下さーい」
小此木「…」
「…た、隊長…」
「…こ、こりゃ…ちょっと…」
「…囲まれちまってますぜ…」
小此木「…だな」
詩音「どうします?懺悔の時間、いります?」
小此木「成る程。園崎のヤクザが…か」
葛西「…」
小此木「…こりゃ…面白い事もあったもんだ」
詩音「…何がです?」
小此木「他所もんに厳しいアンタらが、らしくない真似をするなんてな…」
詩音「時代は変わるんですよ。いつまでも鬼婆オンステージじゃ人口も増えやしないんですから」
葛西「・・・」
『…』
小此木「…だが、ちょっと決断が遅かったな」
詩音「…は?」
梨花「?」
『…』ブオオオオオオオン
知恵「…?あれは…?」
詩音「…?」
沙都子「…車の…音?」
小此木「…流石に大仰な事は出来ない…が」
梨花「…え?」
『…』ブオオオオオオオン
「うわっ!?」
「な、何だァ!?」
『目標ポイント到達』
葛西「…!!」
『MG3、発射します』
小此木「…これくらいなら、許容範囲だろ?」
葛西「…伏せろォ!!!」
詩音「!!!」
391 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:31:11.02 ID:zrMahF0JO
…。
『』
『』
『』
チェイス「…!!何の音だ…!?」
「…あれは…」
チェイス「…答えろ!何だ!!」
「…小此木隊長が、最後の手段を使った…」
チェイス「…」
「MG3による、掃討作戦だ…!」
チェイス「…何!?」
「…あれが使われたということは、もう…!」
チェイス「…!!」
「…!!」
チェイス「…俺は…」
「…」
チェイス「…守れなかった…のか…?」
「…」
チェイス「…ッ!!!」ドォン!!
「…」
チェイス「…」
『そんな事、無いのですよ』
チェイス「…」
『…梨花には、心強い味方がもう一人いるのです…』
チェイス「…この声…」
『…チェイス…』
チェイス「…羽入か…!?」
『…ボクの、最後の力を使って、貴方に頼みますです』
チェイス「…何処にいる!?羽入!!」
『今こそ、貴方の本当の役目を果たす時なのです』
チェイス「…?」
『…これを…』
チェイス「…!お前…手が…」
『…貴方に…』
チェイス「・・・」
『さあ。行って下さい』
チェイス「・・・これは・・・」
『貴方の、「昔のお友達」から貰ってきました』
チェイス「…!!」ガシッ
392 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:33:44.36 ID:zrMahF0JO
小此木「・・・」
梨花「…」
沙都子「…」
葛西「…」
詩音「か、葛西ぃ…重いぃ…」
知恵「…」
校長「…」
小此木「・・・あ?」
『…』
小此木「…おい!!何処に向かって撃ってる!?ふざけてるのか!?」
『いやぁ?とっ…ても真剣ですよぉ?』
『そうですよ。ねえ?』
梨花「…えっ…?」
沙都子「…この、声…」
小此木「!?…な…!」
『…しかしびっくりしましたよぉ。まさかこんな車運転する時が来るなんてぇ…』
『僕だって、こんなの撃ったの初めてですよ』
『貴重な体験ですねぇ…ねえ?』
『そうですよ…ねぇ?』
梨花「…まさか…!!!」
大石「赤坂さん!」ヒョコ
赤坂「はい!大石さん!!」ヒョコ
小此木「馬鹿なぁぁぁぁあああああ!!!!?」
梨花「赤坂!!!」
393 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:35:19.77 ID:zrMahF0JO
小此木「て…テメェら…!!奴らは何処だ!!何処に行った!!」
大石「彼らですかぁ?…そうですねぇ…」
茜「そいつらなら今頃、ウチの奴らと、この若僧の仲間とドンパチやってるよ」ヒョコ
小此木「なッ…にぃ…!?」
茜「人数が足りなかったんじゃないかい?ウチと警察を相手取るには」
小此木「…!!」
大石「いやぁ。駄目元で頼んだ甲斐がありましたよぉ」
赤坂「僕だって甘んじて本庁にいたわけじゃないんですよ。少しなら人数も出せる」
茜「…ま、積もる話もあるけどね。…全部ひっくるめて、アンタらとのあれこれはこの抗争見逃してもらうってことでチャラさ」
大石「おや。良いんですか?貴方の一存で決めちゃって…」
茜「言ったろ?アタシらは細かい事が苦手なんだ」
大石「ぬはっはっはっは!!こりゃこりゃ…」
小此木「…警察とヤクザが、手を組むなんざ想像出来るか…!!」
大石「手段など選んで…。…!!」
熊谷「…」
大石「熊ちゃん!!大丈夫ですか!!」
熊谷「…ええ。何とか…急所は外れています…」
大石「直ぐに救援を呼びます!!もう少しの辛抱ですよ!!」
熊谷「…私よりも、入江先生を…!」
大石「!」
入江「…」
茜「おや…先生じゃないかい!?」
知恵「お願いします!!入江先生…意識が!!意識が…!!」
赤坂「…!もう少し早く来ていれば…!!」
小此木「……!!」
394 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:36:58.31 ID:zrMahF0JO
小此木「…お前…何処かで見た面だと思ったが…!!」
赤坂「…ああ。そうだとも」
小此木「…あん時の…雛見沢に来た小僧じゃねぇか…!!」
赤坂「…」
小此木「…すぐに帰っちまったからほとんど覚えてなかったが…」
梨花「赤坂!!赤坂ぁ!!」
赤坂「…梨花ちゃん」
梨花「…来て…くれたのですね…!」
赤坂「…恩返しさ」
梨花「え…」
赤坂「君が僕に教えてくれた」
梨花「…」
赤坂「半信半疑だったけど、間一髪で雪江を助けられた。間に合ったんだ」
梨花「!」
赤坂「君に助けられたんだ」
梨花「…」
赤坂「…今度は、僕が助ける番だ!」
梨花「…赤坂…!!」
395 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:37:54.83 ID:zrMahF0JO
赤坂「…」
小此木「…」
赤坂「…」シュタッ
小此木「…あ?」
赤坂「大石さんから聞いたよ。アンタが、あの時の誘拐事件の犯人だって」
小此木「…」
赤坂「一連の事件のほとんどは、アンタらの自作自演だって」
小此木「…ああ…」
赤坂「…」
小此木「…顔がバレてりゃ、そうなるか…」
赤坂「児童誘拐、殺人、そして今回のテロ。捕まったらもう出てこれないぞ」
小此木「…ハッ…」
赤坂「…?」
小此木「…大人しく、捕まるのは性に合わない…」
赤坂「…」
小此木「…ッ!!」ブンッ
赤坂「!」
396 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:39:08.40 ID:zrMahF0JO
小此木「…ぬ…おおおおお!!!」ドンッ!
梨花「!」
茜「!」
小此木「おおおおおおお!!!」ドゴッ!バキッ!
茜「…往生際の悪い奴だねぇ…!」スチャッ
葛西「…」ヌッ
茜「?…何だい。葛西…」
葛西「…」
茜「どきな。あのロン毛はアタシが…」
葛西「その必要はありません」
茜「あ?」
小此木「…!!」バキッ!ガスッ!
赤坂「…」
茜「…あ?」
小此木「…!」バキッ!ドカッ!
梨花「…」
葛西「…」
茜「…ああ。そういうことかい」
小此木「…ッ…」ブンッ
赤坂「…」
小此木「…ハァッ…ハァッ…」
赤坂「…ペッ」
小此木「…バケモンが…!」
赤坂「…気は、済んだかい?」
小此木「…ハハ…」
赤坂「…」
小此木「…ハハハハハ!!」
赤坂「?」
茜「…頭でもおかしくなったかい?」
葛西「…」
397 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:43:14.85 ID:zrMahF0JO
小此木「…ハハハ…」
赤坂「…何がおかしい?」
小此木「…50分…」
赤坂「…?」
小此木「…この作戦の、制限時間だ…」
赤坂「…」
小此木「…後、1分…!」
赤坂「…まさか!!」
小此木「…鷹野三佐が、毒ガスの詰まった爆弾を投下する時間だ!!!」
茜「はっ!!?」
赤坂「そんな事…お前達も…!」
小此木「…!」ガポッ
赤坂「!」
小此木『…地下に隠れていようが、無駄だぜ…』
茜「!…こいつら全員殺してマスクを奪いな!!」
小此木『無駄だ!俺達を殺しても全員分は無い!!』
茜「ッ…!」
小此木『お前らが無抵抗で死ぬような奴らじゃないってことは、俺らも承知済みだ!』
梨花「…殺される覚悟も、出来てるって事…!?」
小此木『甘い!!甘いんだよ!!お前達はなァ!!』
梨花「…!」
赤坂「ぐっ…!」
?「…誰も、死なせない」
小此木『ん?』
?「…」ズンッ
小此木『おごっ…!?』
398 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:43:56.52 ID:zrMahF0JO
小此木『』
?「…」
茜「…は…?」
葛西「…!」
沙都子「…えっ…?」
熊谷「…!?」
大石「…え?」
知恵「…!!」
校長「!」
梨花「・・・」
http://youtu.be/h28fxXVUrcs
?「誰一人、死なせはしない」
梨花「…その…声…」
?「…必ず助けると、約束した」
梨花「…まさか…」
http://i.imgur.com/S7ybBky.jpg
チェイス「遅れてしまって、すまない」
梨花「…チェイス!!!」
http://i.imgur.com/EVE6KMI.jpg
399 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:44:29.79 ID:zrMahF0JO
…。
……。
悟史『…』
悟史『…』
悟史『…。』ピクッ
悟史「…!!」
14話 終
400 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 22:45:39.31 ID:zrMahF0JO
続きまた出来たら書きます
次で終わると思います
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 23:00:01.73 ID:74lUaI+vO
仮面ライダーはこうじゃなきゃな
乙
402 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/14(水) 23:58:52.75 ID:zrMahF0JO
>>394
ミスです
雪江→雪絵
でしたね
間違えてましたホントすいません…
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 01:41:56.90 ID:k1cJag3lo
渡したのはプロトスピードか
OVA見てないからなんでハートが持ってたのか解んないけど
404 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/15(木) 06:08:54.96 ID:S/mU4Sn6O
>>403
ドライブドライバーの模造品です…
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 06:52:26.91 ID:ZX5Mw7QM0
オツカーレ
最後がどうなるのか待ちきれないっ
楽しみだ!
マッテルーヨ
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 16:22:49.01 ID:XA4qfHpko
wikiを見てたら唐突に赤坂が出てきてこいつ誰だってなった思い出
赤坂ってレギュラーメンバーなの?なんか二次でも全然見かけないし影が薄すぎる
407 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 17:46:33.93 ID:D9m2uxnWo
赤坂は出番は少ないけど重要人物
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 17:53:56.10 ID:XA4qfHpko
梨花編で出るんだっけ?
他のキャラがメインの時は名前すら出ないよね?
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 18:01:57.42 ID:TgPROBGoO
赤坂は知らなくても、徹甲弾の人と言えばだいたい判る
410 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:17:04.96 ID:qcZetybeO
チェイス「…」
梨花「チェイス!チェイスなの!?」
チェイス「…そうだ」
梨花「…その、姿…」
沙都子「…」
茜「…チェイス…?」
チェイス「…」
梨花「…「それ」が、仮面ライダー…なの?」
チェイス「…そうだ」
梨花「…!」
赤坂「…君は…」
チェイス「…皆を助けてくれたのは、お前か?」
赤坂「え?」
チェイス「…礼を言う」
赤坂「…いや。礼を言うのは僕の方だ」
チェイス「…」
赤坂「君のおかげで、色んな人が助かった」
チェイス「…」
赤坂「…本当に、ありがとう」
チェイス「…」
『グオオオオオオン』
梨花「!」
赤坂「!」
大石「!…あれが…」
チェイス「…鷹野の、最終手段か」
梨花「…チェイス!」
チェイス「…」
梨花「…頼んだわよ」
チェイス「…」
411 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:18:07.96 ID:qcZetybeO
チェイス「…」ガチャガチャガチャッ
『スピスピスピード!!』
梨花「!?」
チェイス「…ッ!!」ビュッ
赤坂「!…消え…!」
茜「違うよ。跳んだんだ」
赤坂「!?…この高さを一瞬で…!?」
チェイス「…」
沙都子「…左之助さん…!」
赤坂「…一体…彼は…!」
梨花「…あいつはね…」
赤坂「…」
梨花「貴方達と、同じ」
赤坂「…」
大石「…」
熊谷「…」
梨花「…この世を守る、正義のヒーローよ」
チェイス「…」
412 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:19:10.47 ID:qcZetybeO
「…!鷹野三佐!!」
鷹野「…何?」
「し、下!!下を!!」
鷹野「下?…ええ。残り10秒もしたら…」
「そうじゃなくて!!見て!!見て下さい!!」
鷹野「?……!!!?」
「何かが、高速で迫って来てます!!!」
鷹野「!!よ、避けなさい!!」
「き、急旋回します!!」
『グォォオオオオオオオン!!』
鷹野「ッ…!!!も、もっと早く!!早くしなさい!!」
「め、目一杯ですよ!!!」
チェイス「…」ガチャッ
鷹野「…!!」
チェイス「…」カチッ
『フルストロットル!!スピード!!』
「な、何とか避けられ…!!」
鷹野「…」
チェイス「…!」
「ヒッ…!?」
鷹野「…避けられる訳…ないでしょ…!!」
チェイス「…ハァッ!!!」グワァッ!!
413 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:20:31.88 ID:qcZetybeO
赤坂「ッ…!!」
沙都子「キャッ!!」
詩音「!?」
知恵「!…凄い音…!!」
茜「…」
葛西「…」
熊谷「…はは。最早漫画の世界ですね…」
大石「…左之助さん…!」
「…」
梨花「……」
「…」
梨花「…!」
チェイス「…」
梨花「…チェイス!!」
チェイス「…」シュタッ
沙都子「さ、左之助さん!」
チェイス「…赤坂」
赤坂「…?」
チェイス「…鷹野が使おうとしていた毒ガス爆弾だ」
赤坂「おっと!…これが…」ズシッ
チェイス「処分は任せる」
赤坂「…ああ。助かったよ」
チェイス「…」
「…」
鷹野「…」
大石「…?…ああ、緊急離脱しましたか…」
茜「…バカだねぇ…あんなとこでパラシュート開きゃ、捕まりますよって言ってるようなもんじゃないか」
詩音「…どんな気分なんですかねぇ。ライオンの群れに飛び込む草食動物って…」
「…はぁ…」
鷹野「…!」
茜「…さて。ありゃどうするんだい?」
大石「勿論。捕まえますとも」
茜「ありゃ。こっちも捕まえたいんだけど?」
赤坂「彼女を捕らえれば、恐らく様々な者達が芋づる式に捕まっていくでしょう」
茜「…ったく。手柄は警察のもんってかい?」
大石「では、これで私達のいざこざは無かったということにしましょう」
茜「…全く。分かった!分かりました!!」
赤坂「ありがとうございます」
大石「ぬはっはっはっは!!一件落着ですなぁ!!」
414 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:21:21.09 ID:qcZetybeO
…。
鷹野「…」
大石「…さぁて、鷹野三四…いえ、田無美代子さん?」
鷹野「…捨てた名前よ」
大石「親御さんにつけて頂いた名前をそんな簡単に捨てるものじゃあ、ありませんよぉ?」
鷹野「…」
梨花「…」
鷹野「…あと少し、だったのに」
チェイス「…」
鷹野「…貴方のせいで…」
チェイス「…」
鷹野「…!!」ガチャッ
梨花「!」
赤坂「!!梨花ちゃん!!」
鷹野「…アンタだけでも…」
梨花「…!!」
鷹野「アンタだけでも、殺せば!!」
沙都子「梨花ぁ!!!」
チェイス「無駄だ」
鷹野「…!!腕が…!?」
赤坂「…えっ?」
梨花「…?」
鷹野「腕が…上がらない…!!どうして…!!?」
チェイス「お前に銃は撃てない。人は殺せない」
鷹野「…!!何を…」
415 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:22:39.96 ID:qcZetybeO
チェイス「…梨花」
梨花「…?」
チェイス「俺は前に、この女について話したが…」
梨花「…火薬がどうのって…?」
チェイス「あれは嘘だ」
梨花「…?」
チェイス「…俺には、見える」
鷹野「…?」
チェイス「…お前の腕を必死に抑え込む、老人の姿が」
鷹野「…」
チェイス「…」
鷹野「…え…?」
チェイス「お前にも、見える筈だ」
『…』
鷹野「…!!」
『…美代子…』
鷹野「…あ…!」
416 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:23:32.97 ID:qcZetybeO
『…美代子…』
鷹野「…そんな…!?」
『…もう、良いんだ…』
鷹野「…一二三…おじいちゃん…!?」
『私の為に…これ以上罪を犯してはいけない…』
鷹野「どうして…!?」
『…お前の手に、それは似合わない…』
鷹野「…!!」
『人の為に使う手を、人を殺す為に使ってはいけない』
鷹野「!!!」
『…だから、その銃から手を離しなさい』
鷹野「は、離して…!私は…私は!!」
『…』グググ
鷹野「貴方の功績を、無駄にしたくない…!!」
『…美代子』
鷹野「お願い…!離して…!!」
『…そんな事をしても、悲しいだけだ』
鷹野「…!!」
『…』バチィン
鷹野「…銃が…!!」
『…美代子』
鷹野「…」
『…全て、私のせいだ…』
鷹野「…」
『…すまなかったね…』
417 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:24:41.07 ID:qcZetybeO
鷹野「…」ガクッ
梨花「…」
チェイス「…お前がやろうとしていたことは、人の為ではない。一二三の為にでもない」
鷹野「…」
チェイス「お前の、独りよがりの醜い欲望なだけだ」
鷹野「…」
梨花「…」
鷹野「…何よ…」
梨花「…?」
鷹野「…その目は、何なのよ…!」
大石「…」
鷹野「…同情のつもり?」
赤坂「…」
鷹野「そんなものいらない!!私が欲しかったのは…!」
沙都子「…」
鷹野「…おじいちゃんの…笑顔だけ…!!」
茜「…」
鷹野「…気に食わない…!!」
知恵「…」
鷹野「気に食わないのよ!!貴方達全員!!」
詩音「…」
鷹野「…良いわ…」
熊谷「…」
鷹野「なら、一つ良いことを教えてあげる…!」
チェイス「…」
鷹野「古手梨花!!」
梨花「…?」
鷹野「…貴方の親が、どうして死んだのか…」
梨花「…え…?」
鷹野「私が雛見沢の研究の為にこの村にやって来た時の事よ!!」
梨花「…」
鷹野「その為には「女王感染者」たる者の存在が不可欠だったから…」
梨花「…」
鷹野「私が殺してやったのよ!!」
梨花「!!!」
チェイス「!」
418 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:25:32.67 ID:qcZetybeO
鷹野「初めはね…北条沙都子の感染を治す為の名目で、貴方を実験台にしようとしたわ」
沙都子「え…」
梨花「…な…」
鷹野「でもあの女は私達の考えに気づいていたみたいでねぇ!!!」
梨花「…」
鷹野「鬱陶しかったから!!二人とも自殺に見せかけて殺してやったのよ!!」
沙都子「!!」
梨花「…」
鷹野「…でも、丁度良いサンプルが手に入ったから、嬉しかったわぁ…」
梨花「…は…」
鷹野「…アンタの母親、脳髄まで隅々調べ尽くさせてもらったからねぇ!!!!」
梨花「…」スッ
チェイス「…!」
鷹野「おかげで研究は順調に進んだわ!!とっても…ね!!!」
梨花「…こ…」
チェイス「梨花!!」
梨花「…やる…」
鷹野「フフフ…」
梨花「…こ……てやる…」
鷹野「アーッハッハッハッハッハ!!!」
梨花「殺してやる!!!!!アンタは殺す!!!!!」ジャキッ
419 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:26:46.38 ID:qcZetybeO
鷹野「アッハハハハハ!!!何も知らずに可愛い子ぶって!!何て間抜けなんでしょうねぇ!!!」
梨花「殺す!!!!絶対に許さない!!!!!」
沙都子「梨花!!」
赤坂「梨花ちゃん!!!」
詩音「梨花ちゃま…」
鷹野「アハハハハハハ!!…は…?」
チェイス「…」
鷹野「…」
梨花「チェイス!!どきなさい!!その女は…!!」
チェイス「させない」
梨花「どきなさいよ…!!」
チェイス「…」
梨花「どけって!!!言ってんでしょ!!!!!」
チェイス「約束した」
梨花「…!」
チェイス「お前が人を殺そうとしたら、止めると」
梨花「そんなの…!!今…!!!」
チェイス「もう誰も死なせない。誰の手も汚させない」
梨花「綺麗事よ!!そんなもの!!!」
チェイス「例え綺麗事でも、俺は止まらない」
梨花「うるさい!!どかないならアンタも撃つわよ!!!」
チェイス「それで気が済むなら、何発でも撃て」
梨花「!!」
チェイス「恨みは、全て俺にぶつけろ」
梨花「…!」
チェイス「…終わったら、後ろを見ると良い」
梨花「…!」
420 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:27:43.47 ID:qcZetybeO
圭一「…」
魅音「…」
レナ「…」
沙都子「…」
梨花「…!」
チェイス「誰も、お前が人を殺すことなど望んでいない」
梨花「…」
チェイス「お前がこの女を殺しても、得るものなど何も無い」
鷹野「…」
梨花「…」
チェイス「ただ、失うだけだ」
梨花「…」
チェイス「友達の、笑顔を」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…ズルいのね…アンタって…」
チェイス「…」
梨花「…ホンっ…と…バカ真面目なんだから…」
チェイス「…」
梨花「…バカぁ…」
チェイス「…」
梨花「うえぇ…」
チェイス「…」ギュッ
421 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:29:03.90 ID:qcZetybeO
鷹野「…」
大石「…さ。行きますよ」グイッ
鷹野「…」
大石「心配しなくても、貴方は法が裁いてくれます」
鷹野「…」
大石「…一二三さんの気持ちを一番、理解していたようで…一番、理解出来ていなかったんですよ」
鷹野「…」
大石「…救いようのない人だ」
鷹野「…」
「待って下さい!!」
大石「?」
鷹野「…!」
富竹「…ハァッ…ハァッ…」
鷹野「…ジロウさん…」
富竹「…鷹野さん」
鷹野「…」
富竹「…本当の君を、見てやれなかった僕にも、責任がある」
鷹野「…」
富竹「…ごめんよ。鷹野さん…」
鷹野「…」
富竹「…すまなかった…」
鷹野「…謝らないで…」
富竹「…すまなかった」
鷹野「謝らないで…!!」
富竹「…」
鷹野「謝ったら…終わっちゃう…!!!」
富竹「…すまなかった…」
鷹野「…」
富竹「…」
鷹野「…ああ…」
大石「…」
チェイス「…」
梨花「…」
鷹野「…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」
…。
……。
422 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:30:18.83 ID:qcZetybeO
…。
……。
梨花「…」
沙都子「梨花…立てます?」
梨花「…ええ」
圭一「梨花ちゃん…」
レナ「…良かったぁ…」
梨花「…ごめんなさい。心配かけて」
魅音「良いって。…よく堪えてくれたね」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…お礼なんか、言わないんだから」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…それよりも」
梨花「?」
鉄平「…」
リナ「…」
沙都子「!」
レナ「…!」
423 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:31:27.68 ID:qcZetybeO
鉄平「…沙都子」
沙都子「叔父様…」
鉄平「…すまんかったな。沙都子…」
沙都子「そんな…」
鉄平「…これからワシは、このアマと一財産稼ぎに行くんじゃ」
リナ「…」
沙都子「…え?」
鉄平「お前も、悟史も養えるくらい、がっぽり稼いできちゃる!!」
沙都子「…」
鉄平「だから、帰って来た時は思いっきりわがままを言え!!」
沙都子「…」
鉄平「何が欲しい?何でもええぞ?」
沙都子「…」
鉄平「ん?」
沙都子「…なら…」
鉄平「?」
沙都子「…笑顔で、無事に帰ってきて下さいまし…!」
鉄平「…」
沙都子「兄妹仲良く、迎えますから…!」
鉄平「…」
沙都子「…いつまでも、待ってますから…!」
鉄平「…ほうか」
沙都子「…」
鉄平「良し!約束じゃ!」
沙都子「…」
鉄平「…あ。後は…冷えたビールじゃ!それを…」
沙都子「分かっておりますわ!コップもちゃんと冷やしておきますのよ!」
鉄平「ほうか!はっはっはっは!!」
沙都子「…」
鉄平「…」
沙都子「…」
鉄平「…じゃ。行ってくるわ」
沙都子「…はい…!」
424 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:32:15.48 ID:qcZetybeO
リナ「…」
レナ「…」
リナ「…多分、察してくれたと思うけど」
レナ「…はい」
リナ「園崎の上納金は返せても、竜宮さんのお金は返せないんだ。今すぐは」
レナ「…」
リナ「だから、ね…」
レナ「…」
リナ「…汗水垂らして得るお金だよ。汚くないから」
レナ「…はい」
リナ「…」
レナ「…帰って来る時は、連絡して下さい」
リナ「…ん」
レナ「…」
リナ「…ん?」
レナ「…お茶碗。リナさんの」
リナ「…」
レナ「ちゃんと、取っておきますから…」
リナ「…」
レナ「今度は、ちゃんとお父さんの事、笑顔にして下さい」
リナ「…」
レナ「…」
リナ「あはは。許してもらえるかなぁ?」
レナ「許してません!」
リナ「…あはは…」
レナ「…ちゃんと、約束守ったら、許してあげます…」
リナ「…アタシの事、お母さんって呼べるの?」
レナ「…んー…」
リナ「…」
レナ「…」
リナ「…」
レナ「んーーーーーーーー」
リナ「長い長い」
レナ「…分かりません」
リナ「あはは。そりゃそうだ」
レナ「…」
リナ「…じゃ。アタシも行くね」
レナ「…はい」
リナ「…またね。レナちゃん」
レナ「…はいっ!」
425 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:33:23.13 ID:qcZetybeO
圭一「…何つーか…」
魅音「…あれじゃ、あんまり酷い仕事はさせらんないねぇ…」
圭一「え?そういう問題?」
魅音「…でも、ま…」
圭一「…」
魅音「…一件落着!!うん!!」
圭一「…だな」
魅音「…圭ちゃん」
圭一「…」
魅音「さっきの梨花ちゃんにも、言えることだけど」
圭一「…」
魅音「過去がどれだけ酷いものだったとしても、それは変えられるものじゃない」
圭一「…」
魅音「これから…今からは、未来を見て」
圭一「…」
魅音「…勿論、その罪は忘れちゃいけないけど…」
圭一「…」
魅音「いつまでも、止まったままだと成長しないから」
圭一「…」
魅音「…」
圭一「…」
魅音「だからここ2、3日の分教えて」
圭一「そういう問題!?」
詩音「私も最近学校行ってないんで良いです?」
圭一「は!?」
魅音「あははっ!まあ良いじゃん。これで万事解決!」
詩音「…あ、それよりもお姉?」
魅音「ん?」
詩音「ちょい。こっちこっち」グイグイ
魅音「え?」
426 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:34:58.25 ID:qcZetybeO
詩音「…彼とは、何処まで行ったんです?」
魅音「ン゛っ?」
詩音「だってぇ…お姉ったらこの間凄く嬉しそうに人形貰ったーだなんて話してましたから…進展あったのかなー…なんて」
魅音「ン゛…」
詩音「あれ程押せ押せって言ったじゃないですか!何もしてないんですか!?」
魅音「…そ、そんなこと言われたってぇ…」
詩音「良いですか!?お姉は良いモン持ってるんですから!!これで!!押せば良いでしょ!!」モミッ
魅音「うええっ!!?何してんのさー!!」
詩音「使える物は使う!!それが男を虜にするテクニックってもんでしょうが!!!」
魅音「やめてええええええ助けてええええええ!!!」
圭一「…」
レナ「…あはは」
圭一「…何だか、さっきまで命の取り合いしてたなんて思えないよな」
レナ「…思いたくないから、明るく振舞ってるんだよ」
圭一「…」
レナ「…で、圭一君」
圭一「…ん?」
レナ「・・・レナと魅ぃちゃん、どっちが良い・・・?」
圭一「…えっ…」
レナ「・・・どっち?」
圭一「え?…え?」
魅音「あー!!レナ何してんのさーー!!」
レナ「えへへ。早い者勝ちだよぉ?」
魅音「ダメー!!そういうのナシー!!!」
レナ「えへへ」
チェイス「…」
梨花「…呆れてる?」
チェイス「…いや」
梨花「…」
チェイス「あれなら、大丈夫だと思っただけだ」
梨花「…?」
詩音「あっはははは!!全くお姉ったら…からかいがいがありますねぇ…」
沙都子「ねーねーはもう少し愛情を持って接してあげたらどうですの?」
詩音「何言ってるんです。私の愛は天よりも高く海よりもふか…」
沙都子「…」
詩音「…え…?」
沙都子「…」
梨花「…!!」
チェイス「…」
悟史「…」
427 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:35:49.53 ID:qcZetybeO
詩音「…え…」
悟史「…」
詩音「…ど…して…?」
沙都子「…にーにー…?」
悟史「…みんな…」
詩音「…意識が…無い筈じゃ…」
悟史「…そんなこと、ないよ」
沙都子「…」
悟史「本当は、ずっと起きてた。…でも、体が動かなかったんだ…」
詩音「…」
悟史「…ごめん」
沙都子「…」
悟史「…あと…」
梨花「…」
悟史「…ただいま」
詩音「…」
沙都子「…」
悟史「…あはは」
詩音「悟史くぅぅぅぅぅううううううんんんんんん!!!!」グギュッ
沙都子「にぃぃぃぃいいいにぃぃぃいいいいい!!!!」グギュッ
悟史「お゛う゛っ」
428 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:37:02.80 ID:qcZetybeO
詩音「いやー…すいません。暫く身体動かしてなかったっていうの忘れてました」
悟史「野球で鍛えた筈なんだけどね。…こんなに痩せちゃったよ」
詩音「ずっと寝たきりでしたからね…」
沙都子「そんなの、沢山ご飯を食べれば済む話ですわ!」
悟史「あはは…」
魅音「…悟史…」
悟史「あ…魅音」
レナ「…」
悟史「…レナ」
圭一「…」
悟史「…」
圭一「…えっと…」
悟史「圭一…君。だよね?」
圭一「え?」
悟史「…起きてたから。ずっと」
圭一「…聞いてたって、ことか…」
悟史「うん。…ありがとう。沙都子の事を見てくれて」
圭一「…いや」
悟史「…でも、もう少しだけ、見てもらいたいんだ」
圭一「…」
沙都子「…」
詩音「…え?」
悟史「…」
チェイス「…」
赤坂「…そうだね」
沙都子「え…」
429 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:38:00.06 ID:qcZetybeO
赤坂「北条悟史君。君には…」
悟史「はい」
赤坂「…」
詩音「…え…?」
悟史「…詩音。ごめんね」
詩音「…何を…」
悟史「…少しだけ、覚えてるんだ」
詩音「…」
レナ「…!!」
悟史「感触は、残ってる。バットで、叔母さんを何度も殴った…」
沙都子「…にーにー…?」
赤坂「…殺人の容疑だけじゃないさ。君には聞きたいことが山程ある」
悟史「…はい」
詩音「ま…待って…」
赤坂「…」
詩音「…そんなの…」
悟史「…詩音」
詩音「…」
悟史「罪を犯したなら、罰を受けなくちゃいけない」
詩音「でも!!貴方がやっただなんて証拠は…!」
悟史「僕は、覚えてる」
詩音「そんなの知らない!!幻!!幻なんです!!!」
悟史「…僕の頭に、刻み込まれてる」
詩音「病気だったんです!!仕方なかったんです!!」
悟史「だとしても、人を傷つけて、殺した」
詩音「知らない!!知らない知らない!!!」
沙都子「…ねーねー…」
悟史「…」
詩音「…知らない…!!」
悟史「…」ナデ
詩音「…!」
悟史「…もし、また戻ってこれたら」
詩音「…」
悟史「詩音の話、沢山聞かせてね」
詩音「…!」
沙都子「…ッ!!」
430 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:38:57.35 ID:qcZetybeO
梨花「…」
悟史「…梨花ちゃん」
梨花「…貴方が、やったの?」
悟史「…うん。間違いない」
梨花「…」
悟史「病気だとしても、やったことの罰は、受けるべきなんじゃないかな…」
赤坂「…」
梨花「…そう」
悟史「会えたばかりなのに、また離れちゃって…ごめんね?」
詩音「…!」
沙都子「…」
悟史「…」
詩音「…私、待ちます…!」
悟史「…」
詩音「…いくらでも、待ちます!!」
悟史「…」
詩音「…だから、お願い…」
悟史「?」
詩音「…また、雛見沢に帰ってきたら、その時は…」
悟史「…」
詩音「…笑顔で、帰ってきて下さい…!」
悟史「…うん」
沙都子「…」
悟史「…沙都子」
沙都子「…?」
悟史「この償いは、終わらない。きっと、償い続けなきゃいけない」
沙都子「…」
悟史「…叔父さんにも、ちゃんと言わないといけない」
沙都子「…」
悟史「…だから、ごめん」
沙都子「…」
悟史「…もう少しだけ、待ってて」
沙都子「…!!」
431 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:40:07.77 ID:qcZetybeO
赤坂「…行こうか。悟史君」
悟史「はい」
沙都子「…」
詩音「…」
悟史「…」バタン
赤坂「…」
圭一「…悟史!!」
悟史「!」
梨花「…」
圭一「過去は、確かに忘れちゃいけない!!」
悟史「…」
圭一「過去は変えられない!!けど…」
悟史「…」
圭一「未来は、いくらでも変えられる!!!」
梨花「!」
魅音「…圭ちゃん…!」
圭一「これからは、お前の未来を、未来のキャンバスを、思いっきり塗りつぶしていけ!!!」
悟史「…」
圭一「…それに、お前ここ数年間授業受けてないだろ」
悟史「…うっ」
圭一「帰ってきたら!俺がみっちり教えてやるからよ!!」
悟史「…!」
圭一「だから!!帰ってこい!!いつでも!!!」
悟史「…」
魅音「私達も、待ってるから!!!」
レナ「また!!一緒に部活しようね!!」
詩音「待ってます!!ずーーーーッッ…と!!!」
沙都子「帰ってきた時は!!元気な顔で居て下さいまし!!!」
悟史「……」
赤坂「…さ。行こうか」
悟史「…はい…!」
赤坂「…」
悟史「…!」ズズッ
赤坂「(…雪絵…)」
悟史「…ッッ…!!」ゴシゴシ
赤坂「(…人は一人じゃ、生きていけないんだな…)」
悟史「…!」
赤坂「(君が生きていてくれて、本当に良かった)」
…。
432 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:41:11.29 ID:qcZetybeO
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…過去の清算って、こういうことだったわけね」
チェイス「…」
梨花「アンタが大石とヒソヒソ話してたのって、悟史を逮捕する件だったんでしょ」
チェイス「…そうだ」
梨花「…嫌な予感はしてたわよ…」
チェイス「命を奪って良いという人間はいない」
梨花「…」
チェイス「人の命を奪った事実は変わらない」
梨花「…」
チェイス「だが、きっとやり直せる」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…鷹野は、どうかしらね…」
チェイス「…」
梨花「…壊れちゃったみたいよ」
チェイス「…」
梨花「…悪いのは、アンタじゃないから」
チェイス「…」
梨花「…悟史なら、大丈夫よ」
チェイス「…」
433 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:42:23.74 ID:qcZetybeO
梨花「アンタ、これからどうする?」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…役目を、果たすだけだ」
梨花「…家、来れば良いじゃない」
チェイス「…」
梨花「私の事、守ってくれるんでしょ?これからも」
チェイス「…」
梨花「…ここにいれば良いじゃない。ずっと暮らせば…」
チェイス「…その役目は、もう終わった」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…え?」
チェイス「もう一人、助けなければならない者がいる」
梨花「…え?」
チェイス「…」
梨花「!!」
チェイス「…」シュウウ…
梨花「…アンタ…身体が…!!」
チェイス「…」
梨花「そんな…!!チェイス!!」
チェイス「…元々、俺はここに居てはいけない存在だ」シュウウ…
梨花「そんなことない!!アンタは…アタシの…!!」
チェイス「…それに…」
梨花「…!!」
チェイス「どうやら、俺が必要になったらしい」シュウウ…
梨花「…!!」
チェイス「…俺は行かなければならない。ダチの元へ」シュウウ…
梨花「…行かないで…!」
チェイス「…33年後に、また会おう…」
梨花「…チェイス!!!!!」
434 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:43:12.44 ID:qcZetybeO
梨花「…」
梨花「…」ガクッ
梨花「そんな…!!」
梨花「…チェイス…」
沙都子「…」
梨花「…」
沙都子「…行って、しまわれたのですね…」
梨花「…」
沙都子「…会えますわよ。きっと」
梨花「…」
沙都子「梨花が、彼を必要とする限り」
梨花「…」
沙都子「…きっと、また…」
梨花「…ッ…!!」
沙都子「…だから」ギュッ
梨花「…!!」
沙都子「…今は、思い切り、泣くと良いですわ」
梨花「…」
沙都子「…」
梨花「…う…」
沙都子「…」
梨花「あああああああああああああ!!!!!」
沙都子「…!」ギュッ
…。
……。
435 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:44:24.73 ID:qcZetybeO
…。
……。
剛「…」ドスッ
狩野「…!」
剛「…悪いな」
狩野「…お前…!!」
剛「これは俺の戦いだ」ガポッ
狩野「…ま、待て!!」
剛「…」ブウウウウウウン…
狩野「…こ、これを…!!」
http://rider-henshin.com/wp-content/uploads/2017/01/-2017-01-08-21-10-20-e1483881294348-300x300.jpg
『…』ピカッ
狩野「…?」
『…成る程。このシフトカーが俺を呼んだのか』
狩野「…!俺の声…!?」
『…お前の身体を、少しだけ借りるぞ』
狩野「…!!」
『…』カッ
…。
…。
チェイス「…」
チェイス「…これが、人間の肉体か」
チェイス「…派手に動けば、壊れそうだな」
チェイス「…剛」
チェイス「…待たせたな」
…。
436 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:45:52.31 ID:qcZetybeO
剛「…」
チェイス「…」
剛「…チェイス…!」
チェイス「…これを、届けに来た」
剛「…これは…!」
チェイス「…」
剛「…チェイス…」
チェイス「…」
剛「…俺の…ダチ…」
チェイス「…」
剛「…一緒に…戦ってくれるよな…?」
チェイス「…」コク
剛「…」
チェイス「…」
剛「…行くぜ…!」
チェイス「…」
剛「…変身!!」
チェイス「…」
剛「…追跡…」
剛「…撲滅…!」
剛「…いずれも…マッハ…」
剛「…仮面ライダー…」
チェイス「…」シュウウ…
剛「マッハ、チェイサー!!!」
チェイス「…」シュウウ…
…。
狩野「…ッ…」バタッ
437 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:47:22.25 ID:qcZetybeO
…。
チェイス『…』
チェイス『…』
チェイス『…久しぶりだな』
『ひぇっ!?』
チェイス『…随分、待たせてしまった』
『…ボクの姿が、見えてるのですか?』
チェイス『…いや。…だが…』
『…』
チェイス『気配がした』
『…』
チェイス『…俺は、雛見沢を助けると約束した』
『ということは…助けて…くれたんですね…』
チェイス『…』
『…良かった…!』
チェイス『…まだ一人、助けなければならない奴がいる』
『…え?』
チェイス『…』
『…でも、梨花を…』
チェイス『お前だ。羽入』
羽入『え…』
438 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:48:27.62 ID:qcZetybeO
羽入『…そ、そんな…ボクは…』
チェイス『俺に残された全てのエネルギーを、お前に注ぎ込む』
羽入『…』
チェイス『そうすれば、お前は元の世界に帰れる筈だ』
羽入『…待って下さい』
チェイス『…』
羽入『そんな事したら…貴方は…!!」
チェイス『…助けると誓った』
羽入『…』
チェイス『諦めさせないと、誓った』
羽入『…!』
チェイス『涙を流し、命を捨てようとする者を、俺は見捨てない』
羽入『…チェイス…』
チェイス『…行くぞ』
羽入『…』
チェイス『…』
羽入『…でも…』
チェイス『…』グイッ
羽入『あうっ!!』
チェイス『…』ドスッ
羽入『ッッ!!!?』
チェイス『…』グッ
羽入『…!…チェイス…!!!』
チェイス『…』シュウウウウウウ
羽入『…貴方…!!』
チェイス『…』シュウウウウウウ
羽入『…!!』
チェイス『行くんだ。お前の、ダチの元へ』
羽入『…!』
チェイス『…幸せに、なると良い』
羽入『…!!!!』
439 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:49:42.11 ID:qcZetybeO
羽入「…」
羽入「…!」
羽入「…身体が…」
羽入「…力も…」
羽入「…」
羽入「でも…」ポロ…
羽入「…そんなの、ボクは…」ポロポロ
羽入「…」
羽入「…チェイス…」
羽入「…貴方は…」
羽入「…どこまでも…正義のヒーロー、なのですね…」
羽入「…ありがとう…」
羽入「…」
羽入「…仮面…」
羽入「…ライダー…」
…。
……。
440 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:51:00.79 ID:qcZetybeO
http://youtu.be/xZi1Grbj2y4
魅音「圭ちゃん!分かったよ!こうだね!?」
圭一「違うっつの!!話聞けよお前!!!」
詩音「あっはは!お姉ったら言われてますねー…」
圭一「詩音!!お前もだよ!!!…っていうか真っ白じゃねえか!!!やってすらないのか!!!」
詩音「分からないものは悩んでも仕方ないんで」
圭一「…なんっつー清々しさだ…」
魅音「うー…話を聞くと分かるのに…」
圭一「雰囲気で分かった気になってるだけだろ…」
レナ「圭一君。出来たよ」
圭一「ん?…ん。…ん!?おお!流石レナ!飲み込みが早いぜ!!」
レナ「えへへ。いっぱい覚えたいから…」
圭一「良い心がけだって思わないか?なあ」
詩音「頭に過るくらいは」
圭一「もう気持ち良いよそこまでいくと」
魅音「…もう一回教えてぇ。今度は聞くからぁ…」
圭一「分かった分かった…レナ、ちょっと待っててな?」
レナ「うん。忘れないように復習しておくから良いよぉ」
圭一「…いやー…レナは本当良い奴だよ」
魅音「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛…私だってやれば出来るもん!!出来るんだもん!!!」
圭一「出来てから言えよ…」
…。
441 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:52:04.39 ID:qcZetybeO
「ごめんください」コンコン
…。
「ごめんくださいなぁ」ガタ
入江「はーい!申し訳ないんですがそのまま上がってきていただいて宜しいですか!」
「はいはい…おっとと…」
入江「!大丈夫ですか!?」
「ああ。大丈夫ですよぉ。…ちっとばかし腰が痛いだけだから…」
入江「!…もしかして、また畑仕事ですね!?あれ程息子夫婦にやらせるって言ってたのに!」
「いやぁ。若いのは動きはするけど要領が悪いんです。本当…もうちょっとねぇ…」
入江「初めのうちは皆さんそうですよ」
「…それよりも先生、大丈夫なのかい?アンタの方こそ…まだ全然治ってないんだろう?」
入江「私は、良いんですよ」
「そんなことないよ。アンタが倒れたら私ら困っちまう」
入江「…私には、休んでいる暇など無いんです」
「…?」
入江「それに、私はやっぱりこの仕事が好きなようですから!」
「…ええ御人だ。うちのバカ息子にも見せてやりたいよ」
入江「…そんな事言って、お二人のご結婚…許してあげたらしいじゃないですか」
「そりゃあね。…いつまでも新参を受け入れないんじゃ新しい人間も増えやしない」
入江「…ええ」
「何だっけねぇ…あー…ぐろー…ぐろー…」
入江「グローバルですか?」
「そーそー!それよ。それ!雛見沢もそろそろグローバルにならないと!」
入江「…あはは…」
…。
442 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:53:00.10 ID:qcZetybeO
…。
「おい新入り!!もっと早く巻け!!」
鉄平「へ、へい!!」
「…おい!巻きすぎだ!!そこまで上がってきたら今度はゆっくりだ!!魚の上がってくる流れを感じろ!!」
鉄平「へい!」
「そっちの女ももっと遠くまで餌投げろ!!」
リナ「は、はーい!」
「休むんじゃねぇぞ!!休むのはデケぇのを釣り上げてからだ!!!」
鉄平「へ…へい!!」
「稼ぎたかったら働け!!汗をかけ!!!」
リナ「はーい!!!」
鉄平「…!こいつぁ…なんて力だ…!」
「お!?何だ新入り、随分引きが良いじゃねえか!!」
鉄平「ぐぐぐ…!!」
リナ「うわっ!?こっちもぉ!?」
「お前もか!!何だ今度の新人はツイてんじゃねぇか!!!お前ら!新人に負けんなよぉ!!!」
「「「へい!!!!」」」
…。
443 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:55:00.81 ID:qcZetybeO
赤坂「…」
鷹野『…』
『…』
「…もう今日で14日目ですよ。何も喋りゃしない」
赤坂「…」
「会話はおろか、聞いてんのかどうかも…」
赤坂「…」
『…貴方が雛見沢村で起こした事件。こちらはまだ全てを把握出来ていませんが…』
鷹野『…い…れ…』
『?』
赤坂「…」
鷹野『…まが…くよ…呼んで…るよ…』
「…」
『…田無さん?』
鷹野『広い草原に…陽は満ちて…』
『…』
「…」
赤坂「…」
鷹野『胸にせまる…はてない悩み…』
『…』
「…だーめだ…こりゃ…」
赤坂「…負けを認めるくらいなら、いっそ壊れてしまえば良い」
「え?」
赤坂「彼女はこれで、二回死んだ」
「…」
赤坂「…ズルい人だ」
「…」
鷹野『山が呼んでる…』
『…』バンッ
鷹野『夢もあこがれる…山の彼方…♪』
…。
444 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:56:31.49 ID:qcZetybeO
大石「…さぁて。と…」
熊谷「大石さん!おはようございます!」
大石「おや?もう復帰出来ました?」
熊谷「あはは…まだちょっと…」
大石「ああ、それで私服…寂しいですねぇ。今日も一人ですかぁ」
熊谷「大丈夫ッスよ!こんな傷!…いてて…」
大石「あーあー…無理せずに、まあ休暇と思って休んで下さい」
熊谷「…すいません」
大石「それで?今日はどうされましたぁ?」
熊谷「え、ええ。悟史君の事件当時、心神喪失状態にあったと決まったそうで…」
大石「ええ。事件前の彼の精神状態は村人全員が把握していたそうですから…」
熊谷「…まさか、あの村の住人が北条家に味方してくれるだなんて…」
大石「いざこざはもうしないと決まりましたからねぇ」
熊谷「…結局、雛見沢症候群とやらは立証されませんでしたね」
大石「田無さん、何も喋らないそうで…」
熊谷「…それでも、機関や少数の人間の記憶には、残った」
大石「ええ。…まあ最も彼女の短絡的な行動のせいで最終的にはただのバイオテロ事件となりましたが…」
熊谷「…上の人間には、都合が良いのかもしれませんがね」
大石「ええ。許し難い事ですが、田無さんが何も喋らない事には…」
熊谷「…」
大石「…ま!それで諦める私達じゃありませんよぉ!!」
熊谷「…そうッスね!!」
大石「ぬはっはっはっはっは!!じゃあ行きますか!!」
熊谷「はいっ!……はい!?」
大石「まあまあ!そろそろ甘い物が恋しくなってきたでしょ!!病院食は味が薄いんですから!!」
熊谷「いや、ちょっ…もう帰らないと!抜け出してきたんですから!」
大石「なら今日は一日大丈夫ですねぇ」
熊谷「えええ…?」
…。
445 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:58:16.32 ID:qcZetybeO
…。
梨花「…」グスッ
沙都子「梨花!ご飯出来ましたわよ!」
梨花「…」
沙都子「梨花!」
梨花「…」
沙都子「…」
梨花「…」
沙都子「梨花ぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
梨花「!!?」ビクゥ
沙都子「全く…そんないつまでも塞ぎ込んで…そんな事ではチェイスさんに怒られてしまいますわよ?」
梨花「…いない奴が、どう怒るってのよ…」
沙都子「…」
梨花「…」
沙都子「…梨花…」
「全く、その通りなのです!!」
梨花「!」
沙都子「!?」
「…梨花はいつまでも甘えんぼさんなのですねぇ…」
沙都子「…?」
梨花「…え…?」
「やっぱり、ボクがいないと梨花はダメダメなのです」
梨花「・・・」
「…」
梨花「…え…」
羽入「梨花」
梨花「…嘘…」
沙都子「…」
羽入「…えへへ」
梨花「…羽入…」
沙都子「…」
…。
羽入「りぃぃぃぃぃいいいいかぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!」
梨花「はにゅううううううううううううう!!!!!」
沙都子「え!?誰!!!?」
…。
……。
https://youtu.be/tDgQAi8A59g
446 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 21:59:37.64 ID:qcZetybeO
【33年後】
「…」
…。
「あれ!!?ちょ…お母さん!!何で起こしてくれなかったのー!!遅刻しちゃうー!!」
「いい加減自分で起きなさい。じゃないと社会に出てから困るわよ」
「朝は弱いのー!…っていうかお母さんと違って私の学校は興宮なんだから!!遠いんだからね!!」
「今から全速力で漕げば間に合うわよ」
「うえええええ…暑いのにぃ…」
「朝ご飯はちゃんと食べて行きなさいよ」
「食べてる時間無いよー!」
「詰め込みなさい。勿体無いんだから」
「うー…朝からこんな食べられない…」
「…現代っ子ねぇ…」
「昔は昔!今は今!普通こんな朝から食べないってー…」
「他所は他所、家は家」
「あー言えばこー言う…」
「本当に遅刻するわよ」
「分かった!んもー!!」
…。
447 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 22:01:28.17 ID:qcZetybeO
「行ってきまーす!!」
「はいはい」
…。
「…」
…。
「…あら。久しぶりね」
…。
「…貴方にとっては、ついさっきの出来事かもしれなかったけど…」
…。
「もう、33年も経つのよ」
…そうか。
「…小皺も出てきちゃって。もう立派なおばさんよ」
…。
「…あっさりと別れちゃって、ほとんど何も喋れなかったわね」
…。
「…33年後、会ったら何を言おうかずっと考えてた」
…。
「けど、会ったら忘れちゃったわ。あれこれ決めてたのに」
…。
「…だから、今思った事を言わせて」
…。
「…」
…。
梨花「おかえり。チェイス」
…ただいま。
448 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/16(金) 22:02:21.16 ID:qcZetybeO
終わります
長くなってすいません
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:09:53.98 ID:BqJzYSF80
乙
両方の作品の良さを生かした良いクロスだった。
33年後以前の各キャラの後日談とか気になる。
鉄平・リナ改心なんて正直見たこと無い展開とか起きてるし。
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:19:29.02 ID:qAGK2XDq0
オツカーレ!!!
完走オツカーレ!
魅力的な内容で、読んでてドキドキしました
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:21:23.81 ID:TMYSkL3Ro
お疲れ様!
ハッピーエンドのお手本みたいな綺麗な大団円だった
みんな救われてて良かった
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:29:40.41 ID:YVptRI4CO
お疲れ様です
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:38:36.28 ID:322ARX6qo
いいねえ
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:56:18.30 ID:vusXwmqK0
乙!
限りない乙を!!!
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 22:57:10.03 ID:a3ABSGxqo
乙
梨花も子持ちでおばさんになったのか…往年の恐竜惑星の最終話の会話想い出す
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 23:50:40.72 ID:OOYhnUAo0
間違いなくここ最近のライダークロスSSではナンバーワンの出来
乙でした
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/17(土) 00:18:59.89 ID:vy8CvGM0o
乙彼!
>鷹野「古手梨花!!」
>鷹野「…貴方の親が、どうして死んだのか…」
ここ神社長の宝生永夢ゥ!口調で脳内再生されて雛見沢症候群発症しかけた
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/17(土) 01:46:14.29 ID:X54JW5OsO
乙
サブキャラまで全員救う展開は爽快
胸が熱くなる良い物語だったよ
もう一度、オツカーレ!
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/17(土) 20:09:54.42 ID:KNn/QD4DO
乙
ここまで綺麗なハッピーエンドをするのはクロス含めて早々無いな
強いて言うなら雪絵さん死んでる時空なくらいか
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/06/18(日) 01:53:18.66 ID:59c7Hszl0
丁寧に爽やかに終わらせたもんだな……大したもんだ
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/18(日) 20:16:59.61 ID:rX4T9Qs50
>>459
雪絵さん生きてるぞ・・・
マジで感動したわ
読みやすいし、ひぐらしの世界観もよく分かった
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/18(日) 22:36:59.07 ID:s4IdQPySo
>>394
らへんを参照
463 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/21(水) 21:57:18.54 ID:4WyIfy8XO
今更ですが後日談書けたらその内投下します
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 22:16:58.67 ID:ud3FGDnXo
期待
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 22:22:40.35 ID:xleL0hqqO
乙!
おかわりまであるとは!
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 22:58:24.04 ID:BixbqXLNO
やったー!!
467 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:47:31.29 ID:7Kx31DSxO
…。
赤坂「…どういうことですか?」
「俺に聞くなよ…」
赤坂「確かに鷹野は依然、何も話しません。ですが確かに「彼」との繋がりが…」
「シッ!!…お前、何処で誰が聞いてんのか分からないんだぞ…!」
赤坂「…上からのお達し。ですね…?」
「…何…も!…言わない」
赤坂「…」
「それと、もう鷹野はいい加減起訴しろ。もう期限が迫ってんだぞ」
赤坂「…あの状態で、どう起訴するんですか…!」
「…まあ、そこは…ほら。任せとけば…」
赤坂「そんな適当に済ませて良い事件じゃないんですよ!!これは!!!」
「…」
赤坂「人が何人も死んでる!!何百人も殺されかけてる!!!」
「…」
赤坂「それを…彼女一人に罪を負わせて終わらせるですって…?」
「…それが、上の判断だ」
赤坂「…そんな…!」
「赤坂」
赤坂「…!」
「…これはお前の為に言ってんだぞ」
赤坂「…」
「仮に、この証拠書類「らしき」ものが本物だとしようか」
赤坂「…」
「…上層部だけじゃない。この国を作り上げてきた政府までひっくり返るぞ」
赤坂「…それが…!」
「…後は察しろ。俺は絶対にこんなものは認めん。以上だ」
赤坂「…!!」
「…」
…。
468 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:48:50.63 ID:7Kx31DSxO
大石『ははあ…そうですかぁ…』
赤坂「…」
大石『私達、とんでもない人とお関わりになってたんですねぇ』
赤坂「…そんな悠長な…」
大石『赤坂さん。貴方、お子さんが産まれたんですって?』
赤坂「え?…え、ええ…」
大石『…おめでとうございます。一度、顔を見てみたいもんですなぁ』
赤坂「…」
大石『…私は独り身ですから。これから一生拝めませんからねぇ』
赤坂「…」
大石『良いですか?赤坂さん』
赤坂「…」
大石『確かに、上司に逆らってまで自分の意思を貫き通すのは、決して間違っていることではありません。…事実私もそうしてきました』
赤坂「…」
大石『ですが、今貴方には二人。本当に守らなければならない存在がいらっしゃる。違いますか?』
赤坂「…」
大石『聞こえは良いでしょう。…が、私は賛成出来かねますなぁ』
赤坂「…」
大石『これは警察官としてのアドバイスではありません。人生の先輩としてのアドバイスです』
赤坂「…大石さん…」
大石『…その証拠書類、とやら。まだお持ちでしょう?』
赤坂「…え?」
大石『それは貴方が持つには重過ぎる荷物です』
赤坂「…!!」
大石『私が預かりましょう』
赤坂「そんな…!」
大石『なぁに。どうせ「ただの紙」数十枚。証拠じゃないなら貰っても良いじゃありませんかぁ』
赤坂「しかし!これは…!」
大石『…私もね、いい加減成仏したいんですよ』
赤坂「…!」
大石『このままじゃ、私は一生雛見沢に束縛されてしまいます』
赤坂「…」
大石『…ご面倒はかけませんよ。ただ、その捨てる紙を再利用するだけです』
赤坂「…」
大石『私の生き霊。いい加減消させてくれませんか?』
赤坂「…大石…さん…!」
…。
469 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:50:13.27 ID:7Kx31DSxO
…。
あれ…。
『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』
『グツグツ…』
…何だっけ、これ…。
…暑い…。
『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』
『ジュー…』
暑いし…でも眠い…。
…でも暑い…。
『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』
『カチャカチャ』
…学校…行くんだっけ…。
…あれ?今何月?何日?
…羽入は…。
『ジーーーーーーーーーーーーーーーー』
梨花「うるさい!!!!」ガバッ
沙都子「!?」ビクゥ
470 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:51:23.40 ID:7Kx31DSxO
梨花「・・・」
沙都子「…危ないですわね。お皿落とすとこでしたわよ…」
梨花「…あれ?」
沙都子「あれじゃないですわよ。後もうその反応何回も見ましたから、そろそろ別のリアクションを起こしてくれませんこと?」
梨花「…」
沙都子「ま、それよりも早く布団を干して、朝ご飯を食べて歯を磨く事ですわ」
羽入「でないとボクが食べてしまうのですよ」
梨花「…あ…」
沙都子「…まだ寝ぼけてるんですの?でしたらどうぞカレンダーをご覧になって下さいな」
梨花「…」
【8月1日】
梨花「…あ…」
沙都子「そうですのよ。…今だに信じられませんが、梨花の言う「運命」というのはもう乗り越えたんですのよ」
羽入「そうなのですよ」モグモグ
沙都子「…それにそのお話が本当でしたら、この蝉の声も100年以上聞いてないという事ですから…」
『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』
梨花「…これ、何ゼミだっけ…」
沙都子「さあ?見に行きます?」
羽入「幸いにも今は夏休みなのです。時間はたっぷりあるのですよ」モグモグ
梨花「…」
沙都子「そうですわねぇ…なら今年の自由研究は蝉の生態にでもします?」
羽入「全員一種類ずつやれば被らないのです。これで万事解決なのですゲフッ」
梨花「…羽入」
羽入「はい?」
梨花「お は よ う」ギリギリギリギリギリ
羽入「痛いぃぃぃぃひぃぃぃいいいいい」
471 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:53:02.07 ID:7Kx31DSxO
羽入「痛いのです…最近梨花はバイオレンスなのです…」
梨花「触れられるって分かったからね」
沙都子「それよりも梨花のおかずがひもじいことになってしまいましたわね」
梨花「止めなさいよ。そうなる前に」
沙都子「あんな堂々と食べてたら寧ろそれが正解かなって思ってしまいましたわ」
梨花「アンタは最近食い意地が張ってきたって思わない?」
羽入「今までは梨花を介してでしか食べられませんでしたが今は自分の意思で食べられるようになったのです。当たり前の事ですが、とても幸せなのですよ」
梨花「沙都子はこんな業突く張りになっちゃダメよ。太るから」
沙都子「気をつけますわ」
羽入「ボクが太っている体で話を進めないで欲しいのです」
梨花「違うの?」
羽入「梨花に任せると辛いものや苦いものばかり食べられるのです。ボクの胃の梨花に対する恨みは凄まじいものなのですよ」
沙都子「それはありますわね。私も梨花がキムチをそう簡単に取れないよう買い物の時は常に注意を払ってますから」
梨花「好みは人それぞれじゃない」
羽入「ボクも同じなのです。でもいつも梨花はシュークリームを一つしか食べてくれなかったのでとてもひもじかったのです」
梨花「私あれ食べ過ぎると吐きそうになるのよ」
羽入「だからと言って2個までは少ないのです」
沙都子「胃が繋がってるということは、そこも繋がるんですの?」
羽入「ええ。まあ」
梨花「ええ」
沙都子「…あっ…」
472 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:53:50.08 ID:7Kx31DSxO
…。
『では次のニュースです…』
沙都子「…」
『一昨日、大阪府大阪市北区で起きたひったくり事件で…』
梨花「…」
『被害者は…』
羽入「…ニュースしかやってないのです?」
梨花「当たり前じゃない」
沙都子「…確か、33年後の未来を知っているのでしたっけ?」
羽入「全てを知っているわけではないのです。ボクが出来たのはあくまで空から見渡す程度でしたので」
梨花「どうだったの?やっぱり技術とか進化してた?それくらいは分かるでしょ?」
羽入「…ほとんどの人が俯きながら歩いていました…」
沙都子「…えええ…?」
梨花「…何か、あったのかしらね…」
羽入「…それでも、その中で、ボク達を助けてくれる存在を探し続けました」
沙都子「…あ…」
梨花「…」
羽入「…彼のおかげで、こうしてボク達は話し、触れ合い、生きる事が出来るようになったのです」
沙都子「…」カタン
梨花「…あいつ、結局1枚しか写真撮らせてくれなかったわね」
沙都子「…ええ。それも不意打ちで」
羽入「これは、どういった状況なのですか?やけにブレてますですが…」
沙都子「買い物の帰りに袋を全て持たせて両手を塞いでから撮りましたわ」
羽入「必死だったのは分かりました」
沙都子「…」
羽入「…」
梨花「…チェイス…」
473 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:55:15.46 ID:7Kx31DSxO
…。
チェイス『もう一人、助けなければならない者がいる』
梨花『…え?』
チェイス『…』
梨花『!!』
チェイス『…』シュウウ…
梨花『…アンタ…身体が…!!』
チェイス『…』
梨花『そんな…!!チェイス!!』
チェイス『…元々、俺はここに居てはいけない存在だ』シュウウ…
梨花『そんなことない!!アンタは…アタシの…!!』
チェイス『…それに…』
梨花『…!!』
チェイス『どうやら、俺が必要になったらしい』シュウウ…
梨花『…!!』
チェイス『…俺は行かなければならない。ダチの元へ』シュウウ…
梨花『…行かないで…!』
チェイス『…33年後に、また会おう…』
梨花『…チェイス!!!!!』
…。
梨花「…ホント、あっさり去っていったわよね」
沙都子「…その方が、彼らしいですわ」
梨花「…こっちは、そういう訳にいかないってのに」
羽入「…」
梨花「振り回すだけ振り回しておいて、パッと離してどっか行っちゃって」
沙都子「…」
梨花「与えた影響がどれだけ大きいのか、理解して欲しいもんね」
羽入「…チェイスは、初めからこうするつもりだったのでしょうか?」
梨花「…さあ?」
羽入「…命を犠牲にするくらいなら、ボクなんて放っておいてくれれば…」
梨花「…!」
474 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:56:35.90 ID:7Kx31DSxO
沙都子「…羽入さん」
羽入「?」
沙都子「それは、チェイスさんを裏切ることになりますわよ」
羽入「…」
沙都子「彼は生きとし生けるもの全てを守ると誓った、正義のヒーロー」
梨花「…」
沙都子「その彼が守ったこの村と、住人。そして羽入さん」
羽入「…」
沙都子「そして、絆」
羽入「…絆…」
沙都子「その絆を自ら断ち切るような発言は、彼の覚悟を裏切ることになりますわ」
梨花「…羽入」
羽入「?」
梨花「…」ゴンッ
羽入「!?痛い!痛いのですぅぅぅ!!」
沙都子「んま」
梨花「…沙都子の言うこともそうだけど…」
羽入「…?」スリスリ
梨花「…アンタが消えて、どれだけ心配したか、分かってる?」
羽入「…」
梨花「…33年。会えるかどうかも分からない。力が尽きかけてたアンタが本当に消えるかもしれない。その時私がどれだけ悲しかったか分かる?」
羽入「…梨花…」
梨花「…そんな事、二度と言うんじゃないわよ」
羽入「…」
沙都子「…幼い頃からずっと一緒にいたのですから。…ね」
羽入「…」
梨花「…」
羽入「…はい!なのです」
475 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:57:28.53 ID:7Kx31DSxO
…。
梨花「…で、よ」
羽入「はい?」
梨花「…いや、アンタいきなり来たじゃない。着の身着のままで」
羽入「…まあ」
梨花「また微妙な時期に来たもんよね。夏休み一歩手前って」
沙都子「都会だったら寂しい夏休みを送ってましたわね。間違いなく」
羽入「仕方ないのですよ」
梨花「力戻してもらったならこっちの出来事が終わった瞬間に来なさいよ。何でちょっとスパン空けるのよ」
沙都子「そうすれば一応夏休み前に入学手続きが取れましたのに。制服も私服も無いものですから困ったものでしたわ」
梨花「みんなびっくりしてたわよ。自己紹介して帰っちゃうって」
羽入「…事の顛末を、見ていたのです」
梨花「…」
羽入「何が、どうなっていたのか。答えを知りたかったですから」
梨花「…あ、そ…」
羽入「梨花。ボクからも言うことがありますよ」
梨花「…」
羽入「例えどのような事があっても。殺してしまえば鷹野達と変わりません」
沙都子「…」
羽入「…よく、耐えてくれました」
梨花「…もし、あの時」
沙都子「…」
梨花「…チェイスがいなかったら。チェイスが止めていなかったら」
羽入「…」
梨花「間違いなく…引き金を引いたわね」
羽入「…」
梨花「…だから、耐えたってのは間違いよ」
沙都子「…梨花…」
梨花「今でも思ってる。憎い。殺してやりたいって」
羽入「…」
476 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:58:48.83 ID:7Kx31DSxO
羽入「梨花」
梨花「…」
羽入「…とぅっ」デュクシ
梨花「オッフ!!!」
沙都子「あ。角の有効活用…」
梨花「意外と痛い…!!お腹…!!」
羽入「ボクだってやる時はやるのです」
梨花「…はあ…!?」
羽入「…憎い。殺してやりたい。その思い。抱くなとは言いません。誰しもそういう事はあるかもしれませんから」
梨花「…だから何よ…」
羽入「しかし、その「一線」を越えれば最早それは、同情に値するものではありません。ただの犯罪ですから」
梨花「…」
羽入「たった一本の線でも、その溝はとても深いものなのです。分かり合う事など出来ない程に」
沙都子「…その通りですわね」
梨花「…ごめん」
羽入「だからもう、そんな事は…」
梨花「でもさっきのは結構痛かったんだけど?」ギリギリギリギリギリ
羽入「痛いぃぃぃぃひぃぃぃいいいいいごめんなさぃぃぃぃぃいいいい」
沙都子「・・・」
477 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 22:59:46.38 ID:7Kx31DSxO
…。
『次のニュースです』
沙都子「…」
梨花「…」
羽入「…」
『三重県で熱中症患者が急増…』
梨花「…」
沙都子「…分かっては、いましたけれど…」
羽入「…報道規制。なのですね」
梨花「その方が良いわよ。バイオテロの標的にされるような村ですよだなんて言われてみなさいよ」
羽入「…誰も…」
沙都子「…来たがらない、ですわね…」
梨花「でしょ?…おかげでこっちは何も分からず終いだけど」
沙都子「…忘れたい気持ちも、確かにありますわ」
梨花「…まあね」
羽入「皆、前を向いて歩き出しています」
梨花「…」
羽入「…ですから、梨花も…」
梨花「…無理ね」
羽入「…」
梨花「これでも親殺された身だから。一応、何かしらで関わることにはなると思うわ」
沙都子「…」
梨花「…その時、あいつがどんな顔してるか、よね」
沙都子「捕まえられた方は少なくとも50人…」
梨花「主犯は鷹野、小此木。…富竹と入江は…微妙な立ち位置だったわね」
沙都子「監督は庇えても、富竹さんは…」
梨花「鷹野に着いていったきりね。かれこれ1ヶ月経つけど顔も見てないわ」
羽入「元々ここには目的があって来たのですから。それが無くなった今、いる理由もないのでしょう」
沙都子「…監督、こちらに身を置くとおっしゃってましたわね」
梨花「本人は罪滅ぼしだって言ってたけど、その前にあの人の身体が滅ぶんじゃないかって思うわね」
羽入「…それだけ、鷹野の影響が大きかったのですよ」
梨花「…これだけの規模の犯罪なのに、報道がされないってことは、最早用無しってことなんでしょ」
羽入「…きっと、赤坂が全てを明かしてくれますですよ」
梨花「…そうね」
478 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:00:37.36 ID:7Kx31DSxO
沙都子「…さ!て!!」パン
羽入「?」
梨花「何?」
沙都子「何じゃありませんわよ。学生の本分を忘れてはいませんこと?」
梨花「…あ」
沙都子「今までは言いませんでしたが、早めにやらないと後で大変でしてよ」
梨花「…これも、100年以上振りね」
沙都子「黄昏たって宿題は減りませんわよ」
羽入「大袈裟なのです」
梨花「やらないとは言ってないでしょやらないとは」
沙都子「そう言って明日から明日からと梨花は…」
羽入「これは間違いなく宿題をやらずに最終日に泣くパターンなのです」
梨花「半分はアンタにやらせるわ」
羽入「報酬無しではやらないのです」
沙都子「やるにはやるんでございますの?」
梨花「大体ね、絵日記なんて今更書けないわよ。何を書けって言うのよ」
羽入「その日にあったことを書くのです」
梨花「殺されかけた恐怖が忘れられませんって書こうかしら」
沙都子「知恵先生の困った顔が目に浮かびますわ」
梨花「…正直これどころじゃなかったから…」
沙都子「100年振りだとしても、思い出というものは関係ありませんわ」
梨花「…そうよね」
沙都子「今から作れば良い。それだけの話ですから」
羽入「…梨花やボクにとっては、当たり前の日常が既に思い出なのです」
梨花「角の生えたのに寄生されました、と」
羽入「言葉の虐待なのです」
沙都子「ペット扱いされてますけどそこは大丈夫ですの?」
479 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:01:35.49 ID:7Kx31DSxO
…。
『シャシャシャシャシャシャシャシャシャ』
梨花「ん…あー…外はやっぱり日差しが暑いわね…」
沙都子「当たり前ですわ。夏ですもの」
梨花「…こんな暑いもんだったかしら」
沙都子「それもまた思い出の一つになっていくんですのよ」
梨花「…でも家よりマシね。風が吹く分」
羽入「エアコンを買うべきなのです」
梨花「そんな高いもん買う余裕は無いのよ。アンタの食費のせいで」
沙都子「未来はエアコンが安くなってるんですの?」
羽入「一家に一台の時代だったのです」
梨花「アンタまあまあ楽しんでたのね。羨ましいわ」
羽入「…ボクだって、梨花を連れ出そうとしたのですよ」
梨花「…」
羽入「でも、あの世界を見てしまったら、きっと梨花はさらに閉じこもってしまうと思ったのです」
梨花「…」
羽入「これからは、共に歩んで行きましょう」
梨花「…」
沙都子「…小難しい話は抜きにして、早く行かないと日が暮れてしまいますわよ」
羽入「そうなのです。1日というのは限られてますから」
梨花「…こういう、何もしない1日っていうのも良いじゃない」
沙都子「梨花がこう言って宿題をやろうとしません、と…」
梨花「やめてよ」
沙都子「…あら」
梨花「…あ」
羽入「!」
レナ「♪」
圭一「…おっ」
480 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:02:31.38 ID:7Kx31DSxO
…。
「ぃよーし!!昼メシにすんぞ!!」
鉄平「…お」
リナ「…っあー!!お腹空いたー!」
「おーいリナちゃん!お握り作ってくれよ!」
リナ「え!?アタシが!?」
「いやー、ここ数年女の作った飯を食ってねえからなぁ。ここの奴らは」
「おー!良いねぇ!リナちゃんが作ってくれたもんなら何でも食うぜー!!」
「船長のは毛が入ってってからなぁ」
「何ィ!?」
リナ「あっはは!分かった分かった!…でもアタシが出来るのなんて知れてるよ?」
鉄平「良え機会じゃ。嫁入りする前の修行で料理くらい覚えんか」
リナ「んガッ…それは関係無いでしょ!!」
「いやいや、折角嫁入りすんのに何も出来ねぇんじゃ先々危ねえぞ?」
リナ「うえー…後片付けとか面倒臭いんだよねぇ…」
鉄平「10歳程度のガキでもやっとるんじゃ。お前が出来んくてどうするんね」
リナ「う…分かった!分かりましたー!!」
「よーし!!なら今日からリナちゃんには炊事の手伝いもしてもらうぞー!!」
リナ「ええええええええ!!?」
「よっしゃー!!これでメシが楽しみになるぞー!!」
「おおー!!!」
リナ「…はぁ…」
鉄平「…」
481 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:04:06.16 ID:7Kx31DSxO
…。
リナ「…あのさ」
鉄平「…何じゃ」
リナ「…ほら、前に竜宮さんの家の判子、探してたって言ってたじゃない」
鉄平「…おお。見つからんかったらしいが…」
リナ「あれね。レナちゃんがずっと持ってたんだ」
鉄平「…最初っから疑われとったっちゅうことじゃろ」
リナ「…あの左之助とか言う学校の先生に言われたよ」
鉄平「?」
リナ「悪意のある人間は、悪意のこもった顔をするって」
鉄平「…」
リナ「やっぱり、分かるんだね。嫌な女だって」
鉄平「…それが自分で分かるようになったんなら、上出来じゃろ」
リナ「…ね、鉄平」
鉄平「ん?」
リナ「…アタシ、今どんな顔してる?」
鉄平「…」
リナ「…」
鉄平「目が細くなった」
リナ「すっぴんだからね」
482 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:06:00.60 ID:7Kx31DSxO
鉄平「…しかし、今でも現実とは思えんわ。あの出来事は」
リナ「まあ…ね」
鉄平「…人を殺してしまうような病気っちゅうんが、末恐ろしいもんじゃ」
リナ「…竜宮さんも、そうなっちゃったのかな。アタシのせいで」
鉄平「…」
リナ「…」
鉄平「精神的なもんはどうしようもない。じゃが金は返せる」
リナ「…ん」
鉄平「…というより、それしか償う方法は無い」
リナ「…」
鉄平「後は、お前の出方次第じゃ」
リナ「…ん」
鉄平「…しかし、あの富竹っちゅう若造は、とんでもないもんを残していったもんじゃ」
リナ「…聞いたのは、アタシらだから」
鉄平「分かっとる。…じゃが複雑な気分ではある」
リナ「…叔母さん殺したの、沙都子ちゃんって子のお兄さんだってね」
鉄平「…」
483 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:06:54.58 ID:7Kx31DSxO
…。
鉄平『…ったく、何たってこんなカビ臭い地下に…』
富竹『噂には聞いてたけど…本当だったのか…』
鉄平『…まあ、ええわ。ここなら警戒することもない。ゆっくり話せる』
富竹『…?』
鉄平『知っていることを洗いざらい話せ。何故あのアマはこんなことをしとるんか…』
富竹『…』
リナ『アタシも気になる。教えてよ』
富竹『…確か、貴方は…北条さん…でしたね?』
鉄平『…おう』
富竹『…貴方の奥さん、玉枝さんが鬼隠しの4年目の被害者…』
鉄平『…そうじゃ。じゃがあれはどう見ても殺人じゃろ…』
富竹『ええ。決して鬼隠しなんてものではない』
鉄平『…それで?』
富竹『…貴方も、分かっているとは思いますが…』
鉄平『…』
リナ『?』
鉄平『…沙都子の、兄か?』
リナ『…!』
富竹『…ええ』
鉄平『…』
富竹『北条玉枝さんや…貴方による…その…』
鉄平『度重なる虐待に耐えかねて…かい』
リナ『…』
富竹『…』
鉄平『…ほうか』
富竹『…』
鉄平『…因果応報。…自分らが蒔いた種とは言え…』
リナ『…でも、病気だったんでしょ?』
鉄平『分かっとる。悟史を責める気は無い』
富竹『…』
鉄平『そうさせたんはワシらじゃ。責任は此方にある』
リナ『…』
鉄平『…それでも…』
富竹『…』
リナ『…』
鉄平『…この溝は、埋まるんかのう…』
…。
484 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:07:44.56 ID:7Kx31DSxO
リナ「…まあ、仲良くしようってのは、時間かかるよね」
鉄平「良くしてやりたい気持ちはある。受け入れてやりたい気持ちはある」
リナ「…それでも、複雑…か」
鉄平「…向こうも、じゃろうな」
リナ「…時間なら、いくらでもあるよ」
鉄平「アホか。こういうもんは時間がいくらあっても解決出来るもんじゃない」
リナ「そうじゃないって」
鉄平「…?」
リナ「悟史君と腹割って話す内容。考えとけばって話よ」
鉄平「…」
リナ「…アタシも、竜宮さんに何て言おうか思案中だし」
鉄平「…お前がか?幾らでも出てくるじゃろ」
リナ「そんな上っ面のもんじゃないよ」
鉄平「…」
リナ「…ちゃんと、全部話して謝んなきゃな…ってさ」
鉄平「…それが良えわ」
リナ「…時間なら、幾らでもあるから、ね」
「あるわけねぇだろ!!!」
鉄平「!?」
リナ「!!?」
485 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:09:02.84 ID:7Kx31DSxO
「…ったく…こっそり聞いてりゃ何だ?ガキ一人おっさん一人にウジウジしやがって…」
鉄平「…」
リナ「船長…」
「ここは託児所じゃねぇ。金を稼ぐ場だぜ。そんな甘ったれた考えの奴なんざいらねぇよ」
鉄平「…」
「…ギャンブルで借金。最後に行き着いたのがここ…」
リナ「…?」
「あそこのジジィだ。逃げられねぇと観念してようやく働くようになりやがった」
鉄平「…」
「給料日にゃあちらこちらに支払って、残った額なんざ知れたもんだ」
鉄平「…」
「それと、リナちゃんに良く話しかけるあいつ」
リナ「?」
「あいつは元受刑者だ。殺人のな」
リナ「!」
「…行く当てが無ぇんだとよ。自分から園崎組に頼み込んできやがった」
リナ「…あの人が…」
「ウチはそんな奴らばっかだぜ」
鉄平「…」
「それに比べてお前らは何だ?ガキの生活費?将来の旦那との生活資金?」
リナ「…」
「…立派なもんじゃねえか。そんな理由でここに来た奴なんざ初めてだ」
鉄平「…」
「そんなお前らがな、こんな掃き溜めみてぇなトコにいつまでも居るもんじゃねぇ」
リナ「…船長…」
「…分かったらさっさと働け!ここじゃでけぇもん釣り上げた奴がヒーローなんだからよ!!!」
リナ「は、はーい!!」
鉄平「…おう」
「…」
鉄平「…のう、船長」
「お?」
鉄平「…すまんかった」
「…気にすんなって」
486 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:10:40.54 ID:7Kx31DSxO
沙都子「それにしてもどうしたんですの?随分ご機嫌だったようですけれど」
圭一「ん?ああ…」
レナ「えへへ。お父さん、新しい仕事が決まったんだぁ」
沙都子「本当ですの!?それは良かったですわね…」
圭一「リナさんとの件があってから、自分のせいだって反省してたらしいんだ。それで…」
梨花「…良いことね」
レナ「頑張るって、お父さん。今度はちゃんとリナさんと向き合うんだって言ってたんだよ。だよっ!」
梨花「…リナも、レナ達と向き合うと言っていたからね…」
圭一「…でも、まさか梨花ちゃんが本当はこんな感じだったなんてなぁ…」
梨花「…」
圭一「…裏に隠したミステリアスな性格!!くぅぅ…こりゃ新しい萌え路線だ!!!」
梨花「…」グシャ
圭一「痛っでぇ!!!」
梨花「…圭一に甲斐性を求めるのは、まだ先ね」
圭一「爪先…!!爪先踏むのは…!!!」
レナ「あはは。でも悪いのは圭一君だからね」
圭一「うう…梨花ちゃんだけは癒しで居てくれると思ったのに…」
羽入「大丈夫ですか?」
圭一「…!いや、そうかぁ…羽入は俺の癒しになってくれるかぁ…」
羽入「とぅっ」デュクシ
圭一「オッフ!!!」
487 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:11:29.42 ID:7Kx31DSxO
梨花「…そういえば、魅音は?ここ最近見ないけど…」
圭一「いや、それがさ。何だか用事があるの一点張りで…」
レナ「レナ達も、よく分からないの」
梨花「…」
沙都子「園崎家の当主は魅音さんのお婆様なのでしょう?でしたらそんな毎日忙しい程では…」
梨花「…魅音に気を遣ってるのよ。学業に影響が出ないように出来る限り当主を続けるつもりみたい」
沙都子「…あの方が…」
梨花「見た目は鬼でも心はお婆ちゃんなのよ」
レナ「でも…そういった用事じゃないなら、何だろ…?」
梨花「…さあ…ね」
羽入「…」
圭一「…」
488 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:12:27.38 ID:7Kx31DSxO
沙都子「そういえば、ですわ」ポン
圭一「?」
沙都子「本題を忘れていましたのよ」
レナ「それって、何かな?かな?」
羽入「夏休みの課題のお話なのです」
圭一「課題?」
羽入「梨花はまだ開いてすらいないのです。このままでは梨花は不良まっしぐらなのですよ」
圭一「…そんなあったかな?」
レナ「圭一君はもう終わるんだよね?」
圭一「ああ。こういうのって、先にやっとけば後は楽だし…」
レナ「都会の時はやっぱり沢山あったの?」
圭一「そりゃなぁ…流石にぶっ続けでやっても2週間はかかるなぁ」
沙都子「…そんなにやって意味はあるんですの?」
圭一「気を引き締めるって意味では良いと思うんだ。勉強代わりにこれをやれってさ」
梨花「進学校ならではね。遊んでる暇があるなら勉強しなさいって」
圭一「はは。…まぁ…うん」
レナ「で、でも!遊んでるばっかじゃダメだもんね!勉強もしなきゃ!」
圭一「まあでも、全部真面目に取り組んでた奴なんてホント極一部だったぜ?めんどくさいからって答え丸写しとか」
沙都子「それじゃ本末転倒ですわ。頭に入らないんじゃありませんこと?」
圭一「そういう姿勢はテストで出るからな。まあお察しの通りだよ」
489 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:13:35.12 ID:7Kx31DSxO
レナ「わぁ…絵日記とか自由研究なんて久し振りだよぉ」
圭一「そうだな。こんなのは課題っていうより思い出作りの一貫みたいなもんだし…」
梨花「でも書けって言われてパッと思い浮かぶものじゃないでしょ」
沙都子「見て下さいな。梨花の絵日記」
レナ「…本日の献立…」
圭一「あ、あはは…でもあったことを書くんだから、間違ってないよな」
梨花「…正直、気分も乗らないから…」
羽入「む。梨花はチェイスに言われた事をお忘れなのですか?」
梨花「…」
羽入「ボクは見てきましたから。ちゃんと分かってるのですよ」
圭一「?何か言われたのか?」
梨花「…」
羽入「お前は年齢を重ねたように振舞ってはいるが、その思考は年相応な子供と大差無い…」
沙都子「似てませんわよ」
梨花「…無駄に長く過ごしただけだってのは、確かに分かるけど…」
圭一「へー…左之助先せ…あ」
レナ「あははっ。やっぱりそっちで呼んじゃうよね」
圭一「いやだって、いきなり本名はチェイスだなんて言われても…」
レナ「うん。レナもびっくりしたよ」
沙都子「私もですわよ。逃げる時に振り向いたら…」
圭一「…今思えば、あの時間が止まったのも、チェイスさんがやったんだよな」
レナ「うん。きっとオヤシロサマなんだって、思ったかな…」
羽入「オヤシロサマはボク!!ボクなのですー!!!」ジタバタ
レナ「羽入ちゃんが?」
圭一「オヤシロサマ?」
羽入「何度も説明してるのです!!あんまり疑うと時間を止めて顔に落書きするのですよ!!」
梨花「これが雛見沢の神よ」
圭一「・・・」
レナ「・・・」
490 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:14:27.64 ID:7Kx31DSxO
圭一「…梨花ちゃんは、さ」
梨花「?」
圭一「今までずっと、同じ時間を過ごしてきてたんだろ?」
梨花「…ええ。そうよ」
圭一「…それに慣れちゃって、今は色んなものが新鮮に思えるのかもしれないけどさ」
梨花「?」
圭一「いつか。…今度はそっちに慣れてくんだと思う。普通に生きていくってことに」
梨花「…」
圭一「…でも、忘れちゃダメなんだ。今までの苦しみ。辛さ。全部」
梨花「…」
圭一「忘れちまったら、全部ダメになる」
梨花「…」
レナ「今までの辛さに比べたら、ちょっとめんどくさい事なんて平気だよ」
梨花「…」
圭一「何だって出来るんだ。だって今、梨花ちゃんの止まった時間は動き出したんだから」
梨花「…」
レナ「…その長い間、色んな未来を思い浮かべたんだよね?」
梨花「…ええ。沢山」
レナ「だったら、今度はその未来に…夢に向かって、歩き出してみたら?」
梨花「…未来…」
レナ「うん!未来だよ!」
梨花「…未来…」
レナ「梨花ちゃんの将来の夢。レナ、聞きたいな!」
沙都子「私も興味ありますわ」
圭一「そうだな!俺も聞きたい!」
梨花「…」
491 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:15:23.27 ID:7Kx31DSxO
羽入「…梨花」
梨花「…」
羽入「…ちょっとずつで良いのです」
梨花「…」
羽入「百年振りの、普通。踏み入れた足が止まる事もあるでしょう」
梨花「…」
羽入「ここから先は、梨花も知らない沢山の未来が待っているのです」
梨花「…羽入…」
羽入「みんなと迎える、明るい未来」
梨花「…」
羽入「…ほら。やってきましたですよ」
梨花「え…?」
492 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:16:19.32 ID:7Kx31DSxO
魅音「みーんなー!!」
詩音「お待たせしましたー!!!」
圭一「あっ!いつの間に!!」
魅音「何さそれぇ…折角こうして走ってきたのに!!」ムギュ
圭一「!?か、感触が…!!」
レナ「あっ!魅ぃちゃんズルいよ!!」
魅音「へへー。早いもん勝ちなんでしょー?」
圭一「う…」
レナ「むー…」
詩音「うふふ。お姉もすっかりヤル気になっちゃって…」
圭一「うむむ…」
魅音「…どお?」ムギュ
圭一「うぐぐ…」
レナ「むー…」
圭一「いや…魅音…」
魅音「?」
詩音「…」
圭一「…汗、かきすぎ…」ビッチョリ
魅音「あっ」
レナ「あっ」
沙都子「あっ」
詩音「あーあ…」
493 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:18:25.52 ID:7Kx31DSxO
詩音「まぁ、そりゃ興宮から全力疾走ですからね」
魅音「アンタが原付の後ろ乗せてってくれれば良かったでしょ!!!」
詩音「いや知りませんよ!!そもそも会ったのすぐそこじゃないですか!!」
魅音「うー…」
圭一「え?詩音と魅音は同じ用事じゃなかったのか?」グッチョリ
詩音「違いますよ。私は私の用事がありましたから。ホントたまたま見かけただけで」
レナ「…それで、何の用事だったの?」
魅音「…うーん…それは、どーして…も!言えない…」
沙都子「…気になりますわね…」
圭一「気になるな…」
魅音「秘密秘密!!こればっかりは口が裂けても言えないなぁ…」
沙都子「…あ!ちなみにですけど…」
魅音「ん?何?」
沙都子「…夏休みの宿題、やってますの?」
魅音「え?そんなん終わり際で良いでしょ」
詩音「テキトーで良いんですよテキトーで」
圭一「ほら」
沙都子「成る程」
魅音「えっ?」
詩音「えっ?」
494 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:19:36.70 ID:7Kx31DSxO
…。
詩音「…ま、宿題よりも!ですよ。…沙都子!」
沙都子「な、何ですの…?」
詩音「貴方にビッグなニュースがありますよ!」
沙都子「?」
レナ「ビッグ?」
詩音「ええ。…沙都子なら、分かるんじゃないですか?」
沙都子「…!」
詩音「はい!…では……悟史君!!」
悟史「…」ヒョコ
沙都子「!」
悟史「…」
沙都子「…あ…」
悟史「…あ、あはは…」
沙都子「…にーにー!!」ガバッ
悟史「うわっ!!」
圭一「…」
レナ「悟史君。…身体の方は大丈夫なの?」
悟史「…うん。まだちょっと動きづらいけど…」
魅音「保護観察…それと暫く通院生活なんだって」
悟史「…うん」
圭一「…悟史…」
悟史「…うん。ちょっと、久し振りだね。圭一」
圭一「ああ。…いやでもちょっと太ったか?」
悟史「少しずつだけど、食べられるようになってきたからね」
圭一「…そっか」
悟史「…約束。忘れてないからね」
圭一「…え?」
悟史「…罪を償う。それを心に刻んで生きていく」
圭一「…や、約束って…」
悟史「僕はそう思ったんだ。…いや、思わなきゃいけない」
沙都子「…」
悟史「叔父さんとも、自分とも向き合って、一生をかけて償う」
詩音「…悟史君…」
悟史「それと、真っ白なキャンバスに、描き続ける」
圭一「…」
悟史「…だから。先ずは勉強かなぁ」
圭一「…ぃよっし来た!!俺が一から鍛え直してやるからな!」パンッ
悟史「うん!よろしく!圭一!」
圭一「おう!宜しく!」グッショリ
悟史「うわっ!手がジットリしてる!!」
魅音「・・・」
詩音「・・・」
495 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:21:02.32 ID:7Kx31DSxO
梨花「…真っ白なキャンバス、ね…」
羽入「ええ。今の梨花と同じなのです」
梨花「…どんな絵でも、良いのよね」
羽入「はい!だって今、梨花は生きているんですから!」
梨花「…そうねぇ…」
羽入「決まりましたか?将来の夢」
梨花「…夢っていうよりは、人生設計、かしら?」
羽入「!そう!それで良いのですよ!梨花の人生設計!」
梨花「大袈裟ねぇ…」
羽入「何なのですか?梨花の、人生設計!教えて欲しいのです!」
梨花「…そうねぇ…まずは…」
羽入「うんうん!」
梨花「…」
羽入「…」
梨花「…お嫁さん、かしら?」
羽入「は?」
梨花「は?」
レナ「えええっ!?梨花ちゃんおぉぉお嫁そ、さんになるのぉ!?」
圭一「マジか!?相手とかどんなのが良いんだ!?」
魅音「えー!?梨花ちゃんがそんなことを!?」
梨花「…」
羽入「…なんだかんだで、いつも通りなのです」
梨花「…ふふっ」
羽入「?」
梨花「良いじゃない。それで」
羽入「…」
梨花「今日の絵日記は、決まりね」
羽入「…そう、ですねぇ」
梨花「…」
羽入「…」
梨花・羽入「友達と、仲良く過ごしました!」
496 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:22:13.94 ID:7Kx31DSxO
…。
……。
『…』
茜「…」
お魎「…」
葛西「茜さん!!!!い、今すぐテレビを…!!」バタァン
茜「うるさいねぇ。静かにしな」
葛西「…!」
『…元、興宮署所属刑事、大石蔵人さんから送られてきたものです。実名を出してくれとの事でしたので発表させて頂きます。尚入手ルートに関しては不明…』
葛西「…」
『…もう一度、端的に読み上げます…』
お魎「…」
葛西「…」
『ファイル、雛見沢症候群について。鷹野三四』
茜「…」
『雛見沢村という田舎のみで発生する寄生虫による奇病であり、完治させる方法は具体的には見つかっていない』
葛西「…」
『尚、一時的に寄生虫の動きを止める事は可能である。しかしこの寄生虫は宿主の死と共に消滅するため、取り出す方法は難しい』
茜「…」
『そこで雛見沢村の住人の中にいる女王感染者たる古手家の人間を生きたまま解体、寄生虫を取り出し研究』
お魎「…」
『これにより寄生虫を取り出す事が可能。しかし女王一匹ではワクチンを作る事は不可能な為、更なる女王感染体が必要』
葛西「…」
『…少し飛ばします。…○月○日、政府から支援の打ち止めを打診される…』
茜「…」
『しかし○日、警視庁幹部○○、政府、○○大臣と個人的な契約を結ぶ事に成功』
お魎「…」
『雛見沢の住人を毒ガスにより殺害、これを後に雛見沢大災害と呼ぶこととし、雛見沢症候群の危険性を訴える…』
茜「…」
『尚、古手現当主古手梨花については前述した通り生きたまま解体。サンプルを取り出すこととする…』
葛西「…」
『以上、鷹野三四のパソコンから押収されたこれらを○○大臣、警視庁幹部○○さんの歴史的大罪を示す証拠として皆さんに提示させて頂きます』
茜「…」
『尚、時間の都合上質問は一人一つずつでお願いします』
『○○代表!!』
『○○代表!!』
『○○だ』ブチッ
497 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:23:49.56 ID:7Kx31DSxO
葛西「…」
茜「…全く。大石から当主と話がしたいって言われるもんだから、魅音を送ったんだがねぇ…」
お魎「…」
茜「…あの狸刑事、どうしてもこの雛見沢との因縁を解決しなきゃ成仏出来ないらしい」
葛西「…」
茜「…魅音を当主として、任せてはみたんだけれど、ねぇ…」
お魎「野党側の…政治家の知り合いを紹介せぇっちゅうから、まさかとは思ったぎゃー…」
茜「…とんだ成仏のさせ方もあったもんだ」
お魎「あいつは将来園崎を背負って立つんじゃ。この程度、何ちゅうこたぁねぇ」
茜「あー怖い怖い。くわばらくわばら…」
葛西「…」
498 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:24:57.08 ID:7Kx31DSxO
…。
魅音『園崎次期当主、園崎魅音です』
大石『ああ、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。遠慮せずにどうぞ』
魅音『…』
大石『…早速本題に入りましょうかね。これを…』カサ
魅音『…?』
大石『どうぞ?お読みになって下さい』
魅音『…』ペラ
大石『…』
魅音『…』ペラ
大石『…』
魅音『…!!!』
499 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:28:01.78 ID:7Kx31DSxO
大石『ね?特ダネでしょう?』
魅音『…何故、こんなものが…』
大石『鷹野さんのパソコンに残っていたデータらしいですよ。ファイルというよりはただの日記ですが…』
魅音『そうではありません。何故あの計算高い女がこのようなものを残していたのか、ということです』
大石『…あくまで、予想ですよ。もう彼女が喋ることは一生無いでしょうからなぁ…』
魅音『…』
大石『…きっと、鷹野…いえ、田無さんは、心の片隅。ほんの小さな小さな隅に、ほん…のちょこっとだけ、良心が残っていたのではないか、と思うんですよぉ』
魅音『…』
大石『富竹ジロウに心を開き、本当の笑顔を見せた田無さん。その感情がまだあったのでは、と…』
魅音『…』
大石『自分がしたことを忘れない為に、それを残したのではないか、と』
魅音『…』
大石『どうです?女性の貴方的には…』
魅音『…それも、あるかもしれませんが…』
大石『む…?』
魅音『この、個人的な契約…というものが気になります』
大石『…ああ。こんなのはまあ、お察しですよ。ええ…』
魅音『…鷹野は、ここに行き着くまでに、恐らくその身が、心が擦り切れるほどまで酷使したのでしょう』
大石『…』
魅音『これは、その絶望。女を、人間を捨てた鷹野の怨念が宿っているようにも思えます』
大石『…はー…流石、目の付け所が違う。貴方、才能ありますよぉ?』
魅音『…これを、どうしろと?』
大石『…お力を、貸して頂きたい』
魅音『…』
500 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:29:25.04 ID:7Kx31DSxO
大石『…退職願は、出しておきました』
魅音『…』
大石『ああ、それと。私はもう少しで逮捕されるでしょうな』
魅音『…は?』
大石『罪状は、暴行…いや盗ってきちゃいましたから、強盗致傷ですかね?」
魅音『…何を…』
大石『だってねぇ。赤坂さんが私にこれを渡したなんてバレたら彼の立場も危ういでしょう?ですから彼の隙を見てちょちょっと…』
魅音『…』
大石『ああ、話が逸れました。それで、貴方にやって頂きたいことなんですがねぇ』
魅音『…』
大石『…』
魅音『…』
大石『…政治家のお知り合い。なんて、いらっしゃいます?』
魅音『…』
…。
……。
501 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:31:02.16 ID:7Kx31DSxO
茜「証拠能力が無くても、これじゃもうこの二人はダメだね。警視庁もてんやわんやだ」
葛西「…」
茜「…末恐ろしい男だよ。あの狸…いや、熊刑事は」
葛西「…」
茜「…やっぱ一番怖いのはバケモンでも神でも幽霊でもないね。生きてる人間だ」
葛西「…」
茜「…さー…て」
葛西「…」
茜「これから、ここがどうなんのか…」
お魎「…」
葛西「…」
茜「…見ものだねぇ…」
502 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/23(金) 23:32:52.17 ID:7Kx31DSxO
終わります
人死んでる時点で完璧なハッピーエンドとか無いと思います
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 23:47:17.37 ID:WoyAgYsn0
乙。
ギャグでもない限り、物語の開始時期を考えるとこれ以上のハッピーエンドはないでしょ。
特に北条家に『父親』が出来るのは大きいし、竜宮家も原作以上にしっかりと前に進めてるし。
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/24(土) 02:06:41.46 ID:yidESyjWo
乙
原作の相違点ってあれか、三四が拳銃も下手くそな点だけか
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 20:20:03.57 ID:G3aWil+F0
>羽入「たった一本の線でも、その溝はとても深いものなのです。分かり合う事など出来ない程に」
これって何気に凄い名言だと思うわ
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/06/26(月) 19:16:21.21 ID:PlvODm4p0
乙
この終わり方、相棒の劇場版第一作のラストだよな
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