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チェイス「雛見沢…」
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218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 02:08:54.48 ID:KRJC/yfqo
>>217
成程。ボーイだから高校生みたいな顔なんだね
世界を救う戦いをするんだからもう少し肩幅とか胸筋が欲しいと思ってしまうのは歳なのか
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 02:24:12.90 ID:SmCP2likO
チェイス…!!
最高にカッコイイぜ
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 08:03:07.73 ID:3T+z2UnLo
>>218
まぁ撮影時にはギリギリ20代のメンバーばっかりだったからねぇ
チェイスは高い身長とバランスのいい肉体で、作られたロボットらしい均等のとれた作られた肉体美って感じがするからまだ違和感なく見れるよ
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 08:11:58.52 ID:KRJC/yfqo
つくづくこの手の過去改変系で変身出来るって強いよなーと思う
普通だったらこの人なに言ってんの頭おかしいと思われても変身されたら信じるしかないし
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/30(火) 00:40:46.71 ID:mKb6mdqDO
審判の刻は、静粛でなければならない
223 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:04:13.16 ID:2vgcsEvFO
圭一「…うーん…」
沙都子「圭一さん、どうですの?今の気分は」
圭一「…流石にやり辛いな。都会の時は当たり前だったのに…」
沙都子「レナさん、魅音さんのお二方がいないのは初めてですものね…」
圭一「一人で勉強するのもさ、落ち着くんだけど…何か、こう…当たり前だったものが無いっていうのも、むず痒くてさ」
沙都子「それでも魅音さんに合わせる必要が無いから楽ではありませんの?」
圭一「まあそうだけど」
沙都子「否定する意思も感じられませんでしたわね」
梨花「魅ぃに言いつけておくのです」
圭一「んがっ…!言い始めたのは沙都子だろー!」
沙都子「おーほっほっほっほ!言葉でのトラップもありましてよ!」
圭一「…ったくー……ッッ!!!?」
沙都子「!!!」
梨花「…!?」
「うわっ!?」
「きゃっ!!」
「な、何だ!!?」
…。
知恵「…!?」
校長「むっ…!?」
…。
沙都子「(な、何でございますの…!?)」
圭一「(み、身動きが…取れない…!?)」
梨花「(…あのバカ…やっぱり…!)」
梨花「(でも、これは…!)」
梨花「(あいつが今いるところって…まさか…この現象…!)」
梨花「(…雛見沢全域…!?)」
…。
224 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:04:54.84 ID:2vgcsEvFO
鷹野「(…ど、どうして…?身体が…動かない…!)」
レナ「(…何…?何なの…!?)」
鷹野「(引金を引けない…!でも、レナちゃんも動いてない…)」
レナ「(…世界が…止まってる…?)」
鷹野「(どうして…?)」
レナ「(…まさか…)」
鷹野「(…まさかこれが…)」
レナ「(オヤシロサマの…)」
鷹野「(…神の祟りだって言うの…?)」
…。
225 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:05:37.70 ID:2vgcsEvFO
チェイス「鉄平。やはりお前はクズではなかった」
鉄平「(…な、何じゃ…ワシはどうかしてしまったんか…)」
チェイス「あの子を守ろうとするその意思。俺は聞いていた」
鉄平「(…まさか、オヤシロ様ってのはこいつのことか…!?)」
チェイス「…そして、魅音」
魅音「(…!?やっぱり…左之助先生の声…!)」
チェイス「友達を守ろうとしたお前の勇気。俺は見ていた」
魅音「(…助けに…来たの…?)」
チェイス「だが、その為に犠牲になって良い命など無い」
茜「(…こいつ…!)」
チェイス「何故、人間が人間の運命を決める?」
茜「(…一体…何モンだい…!?)」
チェイス「俺には分からない。お前達の考えが」グッ
茜「(…!こいつ…刀を…!!)」
チェイス「…俺にとっては…」グググ
茜「(…嘘だろ…?)」
チェイス「…お前達の方が、クズに見える」ボキッ
魅音「(!?)」
茜「(!?)」
お魎「(…)」
チェイス「…」パチン
魅音「…ッハァ!!」
茜「…ッ…!」
鉄平「…む…おうっ!?」ドテッ
お魎「…!」
226 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:08:29.03 ID:2vgcsEvFO
チェイス「…」
茜「!…身体が…。…アンタ一体…!!」
チェイス「俺は生きとし生けるもの、全てを守る。……」
茜「…あ?」
チェイス「…魔進チェイサー。今はそれで良い」
茜「…何でも良いさね。…随分荒らしてくれたじゃないかい…!」
チェイス「命を守る為だ」
茜「へェ…?…そりゃ、「どっちの」だい?」
チェイス「全てだ。北条鉄平。沙都子。魅音…」
茜「…」
チェイス「…お前達もだ」
茜「…は?」
お魎「…?」
チェイス「俺は…」
魅音「ま、待って!」
チェイス「…」
魅音「…左之助先生…なの?」
チェイス「…その名前は、知らない」
魅音「…!」
チェイス「お前達は今、全員、「何か」によって命を狙われている」
茜「…は?」
チェイス「俺はそれを止める為に来た」
227 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:09:26.50 ID:2vgcsEvFO
お魎「…」
チェイス「今は、小競り合いをしている場合ではない」
鉄平「…お前…」
茜「…」
お魎「…小競り合い…じゃと?」
チェイス「何が違う」
お魎「…お前のような他所モンに、何が分かる?」
チェイス「話は聞いている。北条はダム計画に唯一賛同した家族だと」
お魎「なら口を出すな。北条家はワシら…いや、雛見沢の裏切り者じゃ」
チェイス「…」
茜「北条のお陰でアタシらは今いる場所を追い出されるだけじゃない。食い扶持まで奪われそうになったんだよ」
チェイス「…」
茜「アタシらの仕事はね、新しい土地ではい始めましょで出来る仕事じゃあ、ないんだ」
魅音「…母さん…」
茜「確かに、国からは膨大な金額を提示されたさ。しかしね、一生奴らを食わせられる額じゃあない」
お魎「…それに、何処で暮らせってんだい?」
チェイス「…」
お魎「命があったって、いきなり何も知らない土地で暮らして、ちょっとばかの金を与えられ。何の楽しみがあるっちゅうんじゃ?」
魅音「婆っちゃ…」
お魎「この村を潰すっちゅうんは、ワシらから全てを奪うと同等じゃ」
茜「北条家は、それを選んだってことさ。あいつらのせいで国もここを潰す「理由」が出来ちまったからね」
チェイス「…その為に、大臣の子供を誘拐し、建設会社の社員を殺したのか?」
茜「…」
お魎「…」
チェイス「答えろ」
茜「…答える義理は無いね」
チェイス「…」
茜「他所モンであるアンタにゃ関係無い。それだけさね」
チェイス「…」
228 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:10:16.57 ID:2vgcsEvFO
…。
鷹野「!」
レナ「…!拘束が…」
鷹野「…ッ!」ビシュッ
レナ「ッ!!!」
鷹野「!…次は当てるわよ…!」
レナ「…!…これ…」
鷹野「…先にあの世に…」
レナ「…んぬぬぬ…!」ガタン
鷹野「逝ってなさい!!」ビシュッ
レナ「…ぇぇぇええええやあああああああああっ!!!」グンッ
鷹野「!!…酸素ボンベを…!?」
…。
229 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:11:08.91 ID:2vgcsEvFO
圭一「!…やっ…と、解けたぁ…」
沙都子「な、何だったんですのぉ…」
梨花「…!!」ダッ
沙都子「え?梨花…梨花!!?」
圭一「梨花ちゃん!?」
梨花「…!!」
沙都子「ちょっと…ど、何処に!?」
梨花「(…あの大馬鹿鈍感不器用男…!)」
梨花「(…こんなとこでそんな力使って…!)」
梨花「(…全く…)」
梨花「(羽入以上に厄介な奴ね…!)」
沙都子「ちょ、ちょっと!!走って何処に…きゃっ!!?」
知恵「きゃあっ!!」
圭一「!!?こ、今度は何だぁ!?」
沙都子「な、何!?何かの破裂音…!?」
圭一「…!お、おいアレ!!」
知恵「……あそこって…!」
校長「…まさか!」
沙都子「…監督のいる、病院…」
圭一「…!!…レナ!!!」
…。
230 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:11:58.37 ID:2vgcsEvFO
チェイス「…お前達が北条に怒った理由は、分かった」
茜「…」
お魎「…」
チェイス「だが、何故人を殺すのか、迫害するのか。それは俺には分からない」
茜「分からなくて結構…どうせアタシらは隔離された厄介者さ」
チェイス「お前達に、人を裁く権利は無い」
茜「…?」
チェイス「北条鉄平も、沙都子も。お前達と変わらない「命」を持っている」
お魎「…」
チェイス「違いはあれど、お前達は全員同じ人間だ」
茜「…そうかい。このチンピラ風情とアタシらが同じってかい…?」
チェイス「そうだ」
茜「…バカにすんのも、大概に…!」
お魎「カァ゛ッ!!!!」
茜「!」
魅音「!」
鉄平「!」
231 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:13:46.52 ID:2vgcsEvFO
お魎「…さっきから聞いとりゃずけずけと…キサマ…」
チェイス「お前達は間違っている」
お魎「都会の常識を押し付けよってからに!!」
チェイス「世界の常識だ」
お魎「…ワシにとっちゃここが世界じゃ…他所モンがどうこう言うこたねぇ!」
チェイス「お前が決めたルールなど、何の意味も無い」
お魎「…!!」
チェイス「何の罪も無い子供に手を出すようなルールなど、俺が絶対に認めない」
お魎「…」
チェイス「お前に人の命運を決める権利があるというのは、勘違いだ」
茜「…」
チェイス「それは、ただの傲慢だ」
お魎「…キサマ…!」
チェイス「自分達がこの村の長だと思っているのならば、もっと長らしく行動するべきだ」
茜「…この男も、無傷で帰せってかい?」
チェイス「その男を捕まえるのは、お前達ではない。警察だ」
お魎「そんな事を…あの警察に任せろと…?」
チェイス「それがルールだ」
お魎「ッ」ブチ
魅音「!」
お魎「…この男を…」
チェイス「…」
お魎「逃がすな!!殺してしまえ!!!」
鉄平「…!」
232 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:14:36.73 ID:2vgcsEvFO
「「「「…」」」」
魅音「ヤバッ…!」
鉄平「いつの間にこんな…!」
チェイス「…」
お魎「殺せ!!生かして帰すな!!」
チェイス「…」カシャッ
『Tune…Chaser…Cobra』
http://i.imgur.com/Gwqjccq.jpg
茜「あ!?」
チェイス「…!」ヴンッ
「うわっ!?」ベシッ
「ぐっ!?」ベシッ
「いでっ!!?」ベシッ
「がっ!!」ベシッ
茜「…!武器だけを…!?」
チェイス「…」ヴンッ
茜「痛ダッ!!?」ベシッ
チェイス「…俺には人を説得出来るだけの口が無い」
茜「あたた…え?」
お魎「…!」
チェイス「だから、行動でしか意思を示せない」
魅音「…」
チェイス「お前達が何度人を殺そうと、何度でも止めてみせる」
茜「…」
チェイス「俺が出来ることは、お前達を救うことだけだ」
233 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:16:09.43 ID:2vgcsEvFO
茜「…」
お魎「…」
魅音「…」
茜「…はぁ」ドサッ
魅音「…」
茜「あー…こりゃ参った参った…」
魅音「!」
茜「実力で分からせる…そりゃアタシらの十八番だった筈なんだけどねぇ…」
魅音「…母さん…」
茜「こうも見事にやられちゃ、お手上げだ」
鉄平「…」
茜「どうすんだい?鬼・婆さま?」
お魎「…」
茜「どうやったって、手持ちの道具と人数じゃ敵わないよ」
チェイス「…」
鉄平「…」
魅音「…」
お魎「…一人でダメなら、二人…」
チェイス「…」
お魎「二人でダメなら四人…四人でダメなら八人…」
魅音「婆っちゃ…」
お魎「百でダメなら二百…」
鉄平「…」
お魎「…と思ったぎゃー…さっきみたいなんやられちまえば一人も百人も変わりねぇ」
茜「…」
お魎「こげな男に大勢の犠牲出すこたねぇ」
魅音「!」
お魎「…その代わり、だ…」
チェイス「分かっている。警察へ連れていき、上納金も回収する」
お魎「…いや、警察は許さん」
茜「…」
鉄平「…」
お魎「警察に頼るなんざ園崎の名が廃る」
鉄平「…」
お魎「…だから、キサマにゃ長い間、罪を償ってもらうよ」
茜「…ああ。そういう…」
チェイス「…」
234 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:17:04.75 ID:2vgcsEvFO
茜「…北条鉄平。アンタ、海は好きかい?」
鉄平「…えっ?」
茜「何間抜けな顔してんだい。…まあどっちにせよ拒否権は無いけどねぇ」
鉄平「…」
茜「アンタには海外に行って、漁でもしてもらおうかねぇ」
鉄平「!」
茜「…っていうか、アタシは初めに言ったよ」ポリポリ
魅音「え?……あ」
…。
茜『アンタは勿論、「帰さない」。そうしなきゃウチのメンツ丸潰れだ』
…。
茜「あっちは人手不足でねぇ。まあ食い扶持探してたみたいだから、丁度良いだろ」
魅音「…初めから、そのつもりで…」
茜「アンタも次期当主って名乗りたいならね、もっと言葉の裏をかくべきだよ」
魅音「…ごめん…」
茜「…で?どうすんだい?」
鉄平「…どんな報いでも受けると決めた…」
茜「…」
鉄平「…そんなワシに…もう一度、やり直させてくれるというのなら…」
茜「…」
鉄平「…喜んで…引き受ける…!」
茜「…そうかい」
チェイス「…」
茜「どうだい?合意の元だ。アンタもそれなら納得だろ」
チェイス「…」
茜「まさかまだルールだなんて言わないだろ?アタシらは細かいのが苦手なんだ」
チェイス「…」
「万事解決。なのですよ」
茜「お…」
お魎「む?」
魅音「…えっ!?」
鉄平「!」
チェイス「…」
235 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:18:06.19 ID:2vgcsEvFO
梨花「御三家の一つ。古手家現当主、古手梨花も賛同しますです」
魅音「…梨花ちゃん…」
茜「ありゃ…」
お魎「…こりゃ、梨花ちゃまかい…」
梨花「鉄平は罪を償って、そして立派になって帰ってくるのですよ。にぱー」
チェイス「…しかし」
梨花「にぱー☆」
チェイス「…」
梨花「に ぱ ☆」
チェイス「…」
魅音「…でも、沙都子には…」
茜「無職のオッさんが家でボーッとしてるより出稼ぎ行かせた方が数億倍外受けも良いだろ」
魅音「…うん」
茜「…あの子の責任は、「待つ」ことさ」
魅音「…うん」
茜「…そういうことだろ?婆さま」
お魎「…ふん」
茜「…さ、部外者は帰んな。ここからは本当にこっちの問題だ」
チェイス「…」
梨花「…さ、帰りますですよ」
…。
236 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:19:17.81 ID:2vgcsEvFO
圭一「レナ!!レナ!!!」
沙都子「レナさん!!何処ですの!!?」
知恵「竜宮さーん!!!返事を…返事をして下さい!!」
校長「…まさか…何故病院が…」
圭一「レナー!!」
沙都子「レナさーーーん!!!」
「…」
圭一「…!」
「…」ガラ…
沙都子「!…レナさっ…」
鷹野「…」ヨタヨタ
圭一「…?」
沙都子「…た、鷹野…さん…?」
知恵「鷹野さん…」
鷹野「…貴方達…」
圭一「だ、大丈夫ですか!?な…何が…」
鷹野「…分からないわ。突然患者さんが何か…」
沙都子「…そ、それよりも、レナさんは!?」
鷹野「…それも、分からない…一体何処に…」
知恵「と、とにかくその怪我を…」
鷹野「…私は大丈夫…それよりも、レナちゃんを…」
圭一「そ、そうだ…レナ!!レナーー!!」
沙都子「み、見に行こうにもこう瓦礫が積まれていては…」
237 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:20:17.40 ID:2vgcsEvFO
圭一「…クソッ!!」ガラガラ
沙都子「…!」
圭一「見捨てられるか…!絶対に助けるんだ!!」ガラガラ
知恵「…ッ」ガラガラ
圭一「レナ…!!」ガラガラ
沙都子「…!んん…しょっ!」ガラッ
校長「…ええい!」ガラガラ
圭一「絶対に助けるんだ…!」ガラガラ
知恵「竜宮さん!!返事を…返事をして…!!」ガラガラ
校長「…ぬぅん!!」ガラガラッ
沙都子「!…穴が出来ましたわよ!!」
圭一「…良っしゃ!!レナ、待ってろよ!!」
沙都子「わ、私も行きますわ!」
知恵「わ、私も…!」
校長「…」
知恵「校長先生、申し訳ありませんが…鷹野さんを…!」
校長「…それは、無理ですな」
知恵「…え?」
校長「…」
知恵「…あ…」
校長「…私達が瓦礫を取り除いている最中に、逃げてしまったようですな」
知恵「…」
校長「…竜宮さんを、絶対に助けて下さい」
知恵「…はい」
238 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:22:02.33 ID:2vgcsEvFO
チェイス「…」
梨花「…」むすっ
チェイス「…何故怒っている」
梨花「アンタが鈍感過ぎるからよ」
チェイス「…しかし、あれ以外の方法が無かった」
梨花「…あんな事すれば、雛見沢はパニックになるわよ。見てみなさい」
チェイス「…」
梨花「…みんな、外に出てきてる。アンタを見てる」
チェイス「…何故、俺を…」
梨花「アンタくらいしか心当たりがないのよ。何が原因で何が起こったにせよ」
チェイス「…」
梨花「アンタのせいでオヤシロ様が怒ったとか、実はアンタがオヤシロ様なんじゃないか、とか…変に勘繰る奴らは大勢いるでしょうね」
チェイス「…」
梨花「アンタのしたことが間違ってるとまでは言わない。けど後先の事は考えておきなさい」
チェイス「…すまなかった」
梨花「…ま、結果的にアンタは沙都子や鉄平を救ったわけだけど…」
チェイス「…」
梨花「…良いんじゃないの?」
チェイス「…」
梨花「…と、ここまでは褒めてあげるわ」
チェイス「…」
239 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:23:27.61 ID:2vgcsEvFO
梨花「…あれ、見なさい」
チェイス「…」
梨花「アンタの事だから、遠い園崎家からでもさっきの破裂音、聴こえてるんでしょ」
チェイス「…」
梨花「…病院で、何かがあったみたいよ」
チェイス「…」
梨花「…医療事故。な訳ないわよね」
チェイス「…やはり、あの女は…」
梨花「…答えって、意外とすぐ近くにあるっていうのは間違ってないのね」
チェイス「…」
梨花「…どうする?これから」
チェイス「…」
梨花「あれだけ大仰な事しておいて、鷹野三四がのうのうと現れるわけないと思うけど?」
チェイス「…だが、奴は必ず戻ってくる」
梨花「…そうね。そんな気はするわ」
チェイス「羽入やお前から聞いた話から推測するに、恐らく、奴がやろうとしていることは、雛見沢症候群の大量発症に見せかけた、バイオテロ」
梨花「…奇遇ね。…いえ、そう考えるのが自然…か」
チェイス「…必ず、止めてみせる」
梨花「ええ。私も、そろそろ動かないと」
チェイス「…」
梨花「…」
240 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:24:22.80 ID:2vgcsEvFO
入江「…ハァッ…ハァッ…」
校長「…入江先生」
入江「…こ、これは一体…何事ですか!?何故病院が…」
校長「…恐らく、鷹野先生が、何か…」
入江「…!な、何ですって…!?」
校長「…今はそれよりも、生徒です。中に前原君達が向かっていますが…」
入江「…!竜宮さんが…!」
校長「ええ。…無事を祈るばかりです…」
入江「…!」ダッ
校長「…行くのは結構。しかし!!」
入江「えっ…」
校長「貴方には、説明責任がある」
入江「…」
校長「何故こうなったのか。彼女が何者で、そして貴方も何者なのか」
入江「…」
校長「全てを説明して頂きたい」
入江「…それは、竜宮さんの無事を確認してからでも構いませんか?」
校長「ええ。構いません。…貴方は逃げんでしょうからな」
入江「…」コク
校長「私はここで待っております。万が一この瓦礫が崩れたら、中からは出れんでしょうからな」
入江「…分かりました…!」
…。
241 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:25:36.57 ID:2vgcsEvFO
圭一「レナー!!何処だー!!」
沙都子「レナさーん!!お願いですから返事をして下さいませ!!!」
知恵「竜宮さん…!!竜宮さん!!!」
圭一「…!クソッ…何処にもいない…!」
沙都子「…そんな…!」
知恵「…」
圭一「…」
沙都子「…そんな訳ありませんわ!瓦礫だって…どかしたのに…」
圭一「…」
沙都子「きっとレナさんは脱出したんですわ!何処かに…いる筈…なんですわ…」グスッ
圭一「…!」ギュッ
沙都子「…ううう…」
知恵「…?」コツコツ
圭一「…?知恵先生?」
知恵「…これは…?」
圭一「…ん…?」
沙都子「…?」
知恵「…蓋が…よ…いしょっ!…っと」ガタン
圭一「…!階段…」
知恵「…」
圭一「…まさか、この先にレナが…」
知恵「…行きましょう。二人とも…」
沙都子「…ええ」
圭一「…はい」
242 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:26:30.71 ID:2vgcsEvFO
圭一「…この病院に、地下なんか…」コツコツ
沙都子「私も良く来ますが、聞いたことがありませんわ…」コツコツ
知恵「…」コツコツ
圭一「…」
沙都子「…一体…この先に何が…」
圭一「…ッ!!」
レナ「…」
沙都子「…!レナさん!!」
圭一「レナ!!」
レナ「…」
圭一「…怪我してる…!おい!しっかりしろ!!レナ!!」
知恵「…ここは…」
レナ「…」
沙都子「…?」
知恵「…え…?」
沙都子「…え?」
圭一「…?」
243 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:28:22.87 ID:2vgcsEvFO
入江「…ハァッ…ハァッ…み、皆さん!!」
沙都子「…」
知恵「…」
入江「…!!」
圭一「…あ、え、えっと…」
入江「…皆さん…」
沙都子「…」
知恵「…」
入江「…見て、しまったのですね…」
圭一「…え…?」
沙都子「…あ…」
入江「…」
知恵「…」
沙都子「…にーにー…?」
悟史『…』
圭一「…えっ?」
第9話 終
244 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/30(火) 22:29:19.42 ID:2vgcsEvFO
続きまたそのうち書きます
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/30(火) 23:13:26.58 ID:HB8JJgNro
オツカーレ
不器用だなぁ……だがそれがいい
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/30(火) 23:30:18.36 ID:fLBQ3dKd0
オツカーレマッテルーヨ
それぞれが省かれずに魅力的ってなかなか無いから引き込まれる
チェイスが素敵すぎて読むたびトップギアだな
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 12:36:19.71 ID:uPkRC/jDO
変身しなくても勝てる定期
248 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:16:50.92 ID:V45dP1CmO
沙都子「…あ…」
悟史『…』
沙都子「…何…で…?」
入江「…」
沙都子「…にーにー…」
圭一「…さ、沙都子?」
知恵「…そんな…嘘…」
悟史『…』
沙都子「…にーにー…にーにー!!」バンバン
圭一「…沙都子…」
沙都子「にーにー!!にーにー!!!」バンッバンッ
入江「…!沙都子さん…!」ガシッ
沙都子「離して!!離してぇ!!にーにーが!!にーにーが!!」
入江「起きません!!起きないんですよ!!彼は…!!」
沙都子「…!」
入江「…悟史君は…もう…!!」
沙都子「…え…?」
圭一「…どういうことだよ…あそこで寝てる奴が…沙都子の…?」
悟史『…』
圭一「…」
レナ「…」
圭一「…おい。…おい!!」バン!!
悟史『…』
圭一「おい!!何寝てんだよ!!お前!!!」
入江「…!前原さん!!」
249 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:17:26.75 ID:V45dP1CmO
圭一「何なんだよこれは!!何が!!どうなってんだよ!!」
入江「前原さん!!落ち着いて!!落ち着いて下さい!!!」
圭一「落ち着けるかよ!!沙都子が…沙都子がこんなに苦しんでるってのに…!あいつは…!」
入江「今は!!竜宮さんの手当てを優先させて下さい!!」
圭一「…!」
入江「…話は、その後に必ずします」
圭一「…」
レナ「…」
知恵「…」
圭一「…すいません」
入江「…いえ」
250 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:18:27.18 ID:V45dP1CmO
…。
梨花「ちょっと!あんまり揺らさないでよ!」
チェイス「足が無い。ならば自力で走るしかない」
梨花「だからってそんな馬みたいな速度で走られても困るのよ!」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…でも、もしもよ?」
チェイス「…」
梨花「…もし、鷹野三四がこの事件の犯人ならば…」
チェイス「…動機か」
梨花「…アンタの事だから、考えてるんでしょ?」
チェイス「…」
梨花「…鷹野三四はどうなの?アンタが思うに…」
チェイス「…」
梨花「どっちなの?」
チェイス「…判断は出来ない。あの女は自分の中身を中々見せない」
梨花「…間宮リナ、北条鉄平とは格が違うって事ね…いえ、あの二人が分かり易過ぎたのかしら」
チェイス「だが、ここまで大々的にそのような事をするのなら、きっとそれに相当する何らかの大義名分がある筈だ」
梨花「…」
チェイス「やらなければならない。そうしなければならない事情が」
梨花「…だからって、人を殺して良い理由にはならないわ」
チェイス「そうだ。だから捕まえる。人を殺す前に。そして罪は償わせる」
梨花「…もう、殺してるかもしれないわよ」
チェイス「ならば、これ以上の犠牲は出させない」
梨花「…どうしてそう言えるの?大量虐殺をしようとしてる奴なのよ?人なんか蟻を踏み潰すくらいに…」
チェイス「あの女にとっては、大量虐殺は必要最低限のものなんだろう。余計な事はしない筈だ」
梨花「…それは何?警察のマニュアルか何かで見たの?」
チェイス「そうではない」
梨花「じゃ…何?」
チェイス「俺の勘だ」
梨花「…それ、アテになるの?」
チェイス「分からない」
梨花「…あ、そ…」
251 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:19:12.82 ID:V45dP1CmO
梨花「…ねえ、チェイス」
チェイス「何だ」
梨花「…アンタ、人間を傷つけさせない、殺させないとか言ってるけどさ…」
チェイス「ああ」
梨花「…なら、羽入は?」
チェイス「…」
梨花「もし、 羽入がこの場にいたとしたら…」
チェイス「…」
梨花「アンタは、助けたの?」
チェイス「…」
梨花「助けてくれたの?」
チェイス「…羽入は俺に、こう言った」
梨花「…」
チェイス「自分は生命体かどうかも怪しい、と」
梨花「…生きとし生けるもの、には含まれないってこと?」
チェイス「…一つ、付け加えておこう」
梨花「…」
チェイス「助かりたい。そう思っているのならば」
梨花「…」
チェイス「俺は助ける。人類の脅威でない限り」
梨花「…」
チェイス「例え鬼でも、神だとしても」
梨花「…」
チェイス「守るべき者ならば、守りたい」
梨花「…そ」
チェイス「…」
梨花「…その気持ち、羽入にもきっと伝わってるわよ」
チェイス「…」
梨花「だから、アンタをここに連れてきたんだと思うわ」
チェイス「…」
梨花「…病院はもう直ぐよ」
チェイス「了解した」
252 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:20:13.97 ID:V45dP1CmO
校長「…む!」
チェイス「…」
梨花「あ…」
校長「…」
梨花「…今、中はどうなってるの…?」
校長「今現在、入江先生と知恵先生。前原君と沙都子さんが様子を見に行っています」
梨花「…レナは?」
校長「…貴方にとってこれは、予測出来なかったものなのですか?」
梨花「…ええ。完全にイレギュラーだわ。何もかも」
校長「…そうですか」
チェイス「鷹野はどうした?」
校長「…ええ。先程まで居た筈でしたが、まるで逃げるように姿を消してしまいました」
チェイス「…やはりか」
校長「…やはり、ということは?」
梨花「恐らく、鷹野三四こそがこの一連の事件の首謀者よ」
校長「…!」
梨花「動機は分からない。けど恐らく何かしらのバイオテロを大々的にやろうとしてる」
校長「…なんと…!」
梨花「…チェイス。瓦礫の向こうに反応は?」
チェイス「…そこにはない」
梨花「…なら、入るわよ」
チェイス「…待て」
梨花「?」
チェイス「俺の身体では、その穴は通れない」
梨花「…あ」
チェイス「どいていろ」
梨花「…ん」
チェイス「…」ブンッ
253 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:21:15.21 ID:V45dP1CmO
圭一「うわっ!?」
知恵「きゃっ!?」
入江「!?…また爆発…!?」
圭一「…何なんだよ…今日は…!」
入江「…私にも分かりません。ですが…」
圭一「?」
入江「…恐らく…いえ、鷹野さんはきっと何かをしようとしています」
圭一「…どういうことですか?」
入江「…彼女は…」
圭一「…」
入江「…いえ…もう隠せる状況ではありませんね」
圭一「…」
入江「話した感じですが…貴方は利口だとお見受けしました。…しかしまだ子供です」
圭一「…?」
入江「理解出来ない話かも、しれません。ですが…」
圭一「…構いません。全部聞きます。黙って、聞いています」
入江「…どうも」
知恵「…」
254 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:21:50.01 ID:V45dP1CmO
入江「私と、富竹ジロウ。そして鷹野三四」
圭一「…」
入江「全員表向きの職業がありますが、実は全員、ある組織から此方に派遣されてきた者なんです」
圭一「…ある、組織…」
入江「大元は明かせませんが、私達の属する組織、「東京」はその大元から援助を受けて成り立っています」
圭一「…そんな組織が、どうして?」
入江「この村特有の病気を、調べる為です」
圭一「…この村の、病気?」
入江「ええ。…その名も」
チェイス「雛見沢症候群…だな」
入江「!!」
圭一「!」
255 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:22:35.27 ID:V45dP1CmO
チェイス「…」
梨花「…」
圭一「左之助先生…梨花ちゃんも…」
チェイス「…沙都子が見ているのは…悟史か」
圭一「えっ…」
梨花「そうなのですよ。…まさか、こんなところにいたなんて…」
入江「…あの…」
チェイス「…」
入江「…何故、その名を?」
チェイス「話を続けろ」
入江「…私達はこの村に蔓延する病気、雛見沢症候群について調べていました」
圭一「…」
入江「…ですが、一向に解明はされず、援助は打ち切られる寸前でした」
知恵「…」
入江「…ですが、必ずこの村にはその病気があるのです」
圭一「…その根拠は?」
入江「…例えば、竜宮レナ…いえ、礼奈さん」
梨花「!」
入江「…彼女もまた、発症しています」
圭一「…なっ…!!」
入江「雛見沢症候群が発症する原因としては、疑心暗鬼になることや、極度のストレス」
チェイス「…」
入江「どちらも症状は同じく、非常に周りに対して攻撃的になり最後には自分自身を攻撃してしまう」
圭一「…それとレナが…」
入江「…彼女は、以前の学校で一度、大勢の生徒に対して金属バットによる暴力事件を起こしました」
圭一「!!?」
チェイス「…」
梨花「…」
入江「…勿論、この情報は表沙汰にはなりませんでした。まだ未成年ということもありますし、あまりに凄惨だったということもあり…」
チェイス「…」
入江「…保護された彼女は、警察にこう語ったそうです」
チェイス「…何だ」
入江「…オヤシロサマが、呼んでいると」
圭一「…!」
256 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:23:36.97 ID:V45dP1CmO
知恵「…あの」
入江「…はい?」
知恵「…そういった込み入った事情までは、私は知りません」
入江「…でしょうね。これは報道規制が入る程のものでしたから」
知恵「…その、オヤシロサマが呼んでいるというのは、いわゆる帰巣本能、ということで良いんですか?」
入江「…ええ」
知恵「…そんな…まるで寄生虫がいるみたいな…」
入江「…」
圭一「…え?」
知恵「…え…?」
入江「…この村に来た者は、必ず…」
圭一「…」
知恵「…」
圭一「…嘘…だろ…?」
知恵「…そんな…」
チェイス「…」
知恵「…だとしたら、この村を出た者は…」
入江「…雛見沢症候群は、空気感染によって起こります」
知恵「…つまり、全員が可能性を持っているということですか?」
入江「…可能性ではありません。間違いなく感染しています」
チェイス「それこそが、鷹野の狙いだ」
入江「え…?」
知恵「…?」
257 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:25:07.23 ID:V45dP1CmO
梨花「みー。鷹野三四は、この村を……えーっと……」
圭一「…?」
梨花「…」
圭一「…梨花ちゃん?」
梨花「…やめたわ。もうここまで来たら猫被ってる場合じゃない」
圭一「えっ…?」
入江「え?」
知恵「…」
梨花「鷹野はこの村でバイオテロを起こすつもりよ。…ターゲットはこの村の住人全て」
圭一「!!」
入江「…何と…」
梨花「…まあ、これは私達の推測だけど…でも、何か心当たりは無い?」
入江「え?…あ…え、ええ。…言われてみると…確かに鷹野さんは山狗という部隊を作ってはいますが…」
チェイス「…お前達は、関係無いのか?」
入江「…関係無いとは、言えません。もしかしたら、彼女のやろうとしていることの手助けをしてしまっていたかもしれませんから…」
圭一「…東京…雛見沢症候群…バイオテロ…」
梨花「正確には、雛見沢症候群に見せかけたバイオテロよ」
入江「…ちなみに、何故そのような推測を…?」
梨花「…見てきたからよ」
入江「…?」
梨花「この村の凄惨な結末を、何十回も、何百回も、何千回も」
入江「…ま、待って下さい。…その…つまり…?」
チェイス「古手梨花は、死ぬ度に何度も時間を戻してきた」
圭一「…は…?」
知恵「…」
入江「…」
258 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:26:06.29 ID:V45dP1CmO
入江「…」
チェイス「信じられないだろうが、今は関係無い。鷹野を止める。それだけだ」
入江「…成る程。そうですか…」
梨花「…」
入江「…何故、鷹野さんが、貴方にここまで執着するのか…分かりました」
梨花「…私?」
入江「…ええ。貴方の個人データをとにかく欲していましたから。彼女は」
梨花「…」
入江「…もし鷹野さんが、そのようなことをしているのならば、単純なテロでは終わらせないでしょう」
梨花「…どういうこと?」
入江「この村の象徴。表向きの象徴といえば、御三家の一つ、古手家」
チェイス「…つまり、梨花か」
入江「ええ。裏は園崎家ですが、この場合は無関係でしょう」
圭一「…」
入江「鷹野さんが最も重要視しているのは、雛見沢症候群、始まりの発端なんです」
梨花「…」
チェイス「…しかし、梨花が感染しているとは思えない」
梨花「私は大丈夫なのよ」
チェイス「…どういうことだ?」
梨花「…女王、だから」
入江「女王感染者。…古手家の人間は必ずそうなるんです」
チェイス「…!…そういうことか…」
圭一「…つまり…。…!!まさか…!!」
入江「…古手梨花が死ぬことで、パンデミックは始まる…」
知恵「!!」
259 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:27:06.15 ID:V45dP1CmO
圭一「…そんな…アンタら、病気を治しに来たんじゃねえのかよ!!」ガシッ
入江「がっ…!…そ、そうです…!ですが…彼女は…!!」
チェイス「…あの女だけか?」
入江「…え?」
チェイス「…富竹ジロウは、何処にいる?」
入江「…」
梨花「…いつもならば、もう死んでるわ。感染して…ね」
チェイス「…だが、仲間になった可能性も…」
入江「…それはありません。彼は常にこの村に対して真摯に向き合ってきた人間ですから」
圭一「…それが、嘘だって可能性も…」
梨花「…邪魔だから、殺した可能性もあるわね」
知恵「…しかし、それなら入江先生は何故…?」
入江「私は医者ですし、ここで毎日過ごしている者をそう簡単に殺せる筈はありません」
圭一「…なら鷹野さんはどうやってテロを起こすつもり…」
レナ「…あのー…」
圭一「ん?」
知恵「え?」
入江「?」
梨花「?」
チェイス「?」
レナ「…みんなでレナを囲んで、どうしたのかな…かな?」
260 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:28:04.00 ID:V45dP1CmO
…。
レナ「…やっぱり、鷹野さんは…」
入江「…推測の域を出ていませんが、彼女の普段を考えると、決してないことではない」
梨花「その上…レナを殺そうとした…」
レナ「うん。…でも、不思議な力で…助けられたっていうか…」
梨花「・・・」
チェイス「…」
圭一「…決まりだな。それで…その間宮って人もきっと…」
レナ「…多分、何処かに誘拐されたのかも」
知恵「…多分、自分の死体役でしょう。…それなら辻褄が合います」
チェイス「自分自身も死んだことにして、雛見沢症候群を完成させる、か…」
梨花「…止めないと…いけないわね」
圭一「…ああ。絶対に」
チェイス「…お前は、不安にならないのか?」
圭一「え?」
チェイス「お前の身体にも、雛見沢症候群を起こす虫が住んでいる」
圭一「…それは、不安ですけど…」
チェイス「…」
圭一「…でも、今はとにかく目の前の事件を、事件にしない。それが大事なんじゃないかって」
チェイス「…」
…。
梨花『…圭一はね、そんじょそこらの人間とは違う』
チェイス『…』
梨花『何があっても諦めない、強い意志を持った人間よ』
…。
チェイス「…」ポン
圭一「えっ?」
チェイス「…圭一」
圭一「は、はいっ!?」
チェイス「…お前は、強い人間だ」
圭一「…あ、ありがとう…ございます…?」
261 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:28:52.46 ID:V45dP1CmO
チェイス「…」スッ
圭一「…」
梨花「…どうするの?」
チェイス「警察に協力を仰ぐ。今は人数が必要だ」
梨花「…警察…」
チェイス「この村とは切っても切れない、刑事がいるとお前は言っていた」
梨花「…まさか…大石に?」
チェイス「そうだ」
梨花「…はぁ…。まあ、この際…仕方ないわね」
チェイス「…それと」ツカツカ
梨花「?」
チェイス「…」
沙都子「…」
悟史『…』
梨花「あ…」
262 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:29:42.54 ID:V45dP1CmO
チェイス「沙都子」
沙都子「…」
チェイス「その男は、まだ起きない」
沙都子「…」
チェイス「まだ、その男は戦っている。病気と」
沙都子「…」
チェイス「まだ、今は我慢する時だ」
沙都子「…」
チェイス「待っているのは、お前だけではない」
沙都子「…」
チェイス「…悟史も、きっとお前と再会出来る日を待っている筈だ」
沙都子「…」
チェイス「今は、そっとしておいてやれ」ポン
沙都子「…!」
チェイス「きっと、いつかまた会える。全てを清算した時に」
沙都子「…」
チェイス「…」
沙都子「…あ…」
チェイス「…」
梨花「…!!アンタ…」
チェイス「…?」
沙都子「…左之助さん…貴方…」
チェイス「…どうした」
梨花「…何よ」
チェイス「…?」
梨花「アンタ…笑えるじゃない」
チェイス「…!」
沙都子「…」
チェイス「…そうか」
沙都子「…良い、笑顔ですわね」
チェイス「…笑うというのは…」
梨花「…」
チェイス「…こんなにも、簡単な事だったのか…」
263 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:30:34.54 ID:V45dP1CmO
…。
鷹野「ハァッ…ハァッ…」
鷹野「…ハッ…ハッ…」
鷹野「…。開けなさい」コンコン
『…鷹野さんで?』
鷹野「そうよ。…早くしなさい」
小此木「…やけに機嫌が悪そうですなぁ……お」ガチャ
鷹野「…」
小此木「…その怪我…何を?」
鷹野「…ネズミに噛まれただけよ」
小此木「…ああ。やっぱり銃の扱いは下手なまんまですか」
鷹野「早くしなさい!時間が無いの!!」
小此木「はいはい…と、その前に手当てですよ」
鷹野「…こんな傷…」
小此木「裏方が調子悪くちゃ舞台は映えませんぜ」
鷹野「…分かったわよ」
小此木「…全く…」
…。
264 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:31:36.18 ID:V45dP1CmO
富竹「…」
リナ「…」
富竹「…静かになったね」
リナ「…」
富竹「きっと、鷹野さんが来たんだ」
リナ「…じゃあ、アタシもアンタも、ここまでってことね」
富竹「…随分、冷静じゃないか」
リナ「…逃げられないと分かってたら、諦めもつくわよ。人間」
富竹「…どうして諦めるんだい?」
リナ「身動き取れないように拘束されて、周りは敵しかいない。助けが来る保証は無し。どうするっていうの?」
富竹「…」
リナ「舌でも噛み切ってやろうかって思ったけど、結局あの女の欲しがってた死体になるだけ。…それにいざやろうとしたって、そうそう出来るもんじゃないわ」
富竹「…きっと、レナちゃんが事情を察してくれるよ」
リナ「アタシがあの子とあの子の父親に何したか分かってるんでしょ?」
富竹「…それでも」
リナ「でももクソもないわよ。裏切られたって、そう思ってるわよ。きっと」
富竹「…」
リナ「アタシみたいなゴミ屑はね、こういう結末がお似合いなのよ」
富竹「…その歳で、そんな事を思っちゃダメだ」
リナ「アンタみたいに真面目に人生歩んでないのよ。こっちは」
富竹「…」
265 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:32:31.37 ID:V45dP1CmO
リナ「…でも、後悔はしてるわよ」
富竹「…後悔?」
リナ「園崎の上納金よ。結局使わず仕舞い。どうせ死ぬって分かってたらぱーっと使っちゃって死にたかったわ」
富竹「…」
リナ「…金に執着し過ぎたのね。アタシは」
富竹「…君は一体、どういう人生を…」
リナ「どんなゴミみたいな人生歩んできたらそうなるのって?」
富竹「…そんなことは…」
リナ「…そうねぇ。死ぬまでの少しの間、まあ…話してあげても良いわ」
富竹「…」
リナ「…アタシね、普通の家庭に産まれて、フツー…に、育ってきたのよ」
富竹「…」
リナ「…なんてね、ウソウソ。ホントはアホみたいな家庭に産まれたわ」
富竹「…?」
リナ「元々ね、裕福じゃなかったんだけどさ、アタシが産まれて尚更貧乏になったのよ」
富竹「…」
リナ「それだけならさ、アタシだって頑張ったわよ。もうちょっと」
富竹「…」
リナ「…ある日を境にね、お父さんの寝室にお母さんが入らなくなったのよ」
富竹「…それは、どういうことだい?」
…。
266 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:33:12.90 ID:V45dP1CmO
リナ「ねえ。お父さん、ご飯食べないの?」
「…あの人は調子が悪いのよ。後で食べさせるわ」
リナ「…でも、昨日も、一昨日も…」
「貴方が寝てる時に起きてるから」
リナ「…どうしてリナは入っちゃダメなの?」
「病気が移っちゃうかもしれないでしょ。貴方はまだ子供なんだから」
リナ「でも、お父さんが心配だよ」
「その気持ちだけで私達は嬉しいわ」
リナ「…」
「…さ、お風呂に入って寝なさい。明日も学校あるんでしょ?」
リナ「…うん」
267 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:34:14.59 ID:V45dP1CmO
リナ「…zzz…」
「…」
リナ「…ん…んう?」
「…!」ピシャッ
リナ「?…お母さん?」ムク
「…」
リナ「お母さん。どうしたの?」
「…」
リナ「…?」ガラ
「…!」
リナ「…お母さん?何処かに行くの?」
「…ちょっと、出かけるのよ」
リナ「…何処に?」
「…散歩よ。散歩」
リナ「…こんな時間に?」
「ええ。…あと、リナ」
リナ「何?」
「…これ、渡しておくわね」
リナ「…これ……お金?」
「ええ。暫くはそれで暮らして」
リナ「え?」
「…」
リナ「…やだよ。お母さん何処に行くの?」
「…散歩よ。ちょっとだけ」
リナ「…なら、こんなの要らない!」ペシッ
「…リナ!!」
リナ「!」
268 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:35:21.74 ID:V45dP1CmO
リナ「…」
「お母さん、しばらく帰ってこれないかもしれないから。ここにお金、置いとくわね」
リナ「…いつ、帰ってくるの?」
「…分からない。…でもあの人もいるし、大丈夫よ」
リナ「…お父さん、昨日も、今日も…寝てるよ」
「…そう。そのうち起きるわよ。起こさないであげて。…絶対に」
リナ「…本当に、帰ってくるよね?」
「…そのお金は、絶対にお父さんには渡そうとしちゃダメよ」
リナ「どうして?」
「…どうしても、ダメなのよ」
リナ「…?」
「…お母さん、行くわね」
リナ「…」
「…じゃあね。さよなら」ガチャッ
リナ「…!お母さん!!」
「…!」ダッ
リナ「お母さん!!待って!!お母さん!!!」
リナ「お母さッ……」
リナ「…ハァ…ハァ…
269 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:37:15.19 ID:V45dP1CmO
リナ「お父さん!」バンバン
リナ「お父さん!!開けて!!お母さんが…お母さんが出てっちゃった!!」ガチャガチャ
リナ「起きて!!お父さん!!お父さん!!!」ベリッ
リナ「…!」
リナ「お父さん!!」バァン
リナ「お父さ…」
…。
リナ「…え?」
…。
リナ「…お父…さん…?」
…。
リナ「…うっ…」
…。
リナ「お…おえぇ…」
…。
リナ「…お父…さん…」
…。
……。
270 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:38:23.18 ID:V45dP1CmO
富竹「…」
リナ「最初はね、頭が真っ白になったの」
富竹「…」
リナ「そこにあったのが、自分の父親って思えなかったから」
富竹「…」
リナ「首吊っててさ。色んなものが出てたわ」
富竹「…君は…」
リナ「忘れられないわね。あれは」
富竹「…」
リナ「鍵じゃなくてね、接着剤がつけられてたのよ。ドアに。満遍なく」
富竹「…それで、異臭を抑えていたのかい?」
リナ「変な臭いするなってのはあったけどね。お母さんも香水めちゃくちゃつけてたし、よく分かんなかったわ」
富竹「…」
リナ「仕事クビになって、失業保険で頑張ってたけど無理で自殺」
富竹「…」
リナ「お母さんは私を捨てて消えたわ」
富竹「…」
リナ「そこからはもう、堕ちてくだけね。…察して」
富竹「…ごめんよ。そんな話を…」
リナ「良いのよ。減るもんじゃない」
富竹「減るさ」
リナ「…何がよ」
富竹「…「君」が」
リナ「…」
富竹「…」
リナ「…もう、すっからかんよ」
富竹「…」
271 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:40:37.00 ID:V45dP1CmO
リナ「…人にさ、迷惑かけちゃいけないってのは、知ってるわよ」
富竹「…」
リナ「…ならさ、この不公平、無くしてくれない?」
富竹「…」
リナ「何が悪いのよ。どん底から這い上がって」
富竹「…」
リナ「アタシの稼いだお金もあんのよ。何で取ったらダメなのよ」
富竹「…」
リナ「まるで、生まれたことが間違いみたいじゃないのよ」
富竹「…そんなことはないよ」
リナ「そんなことあるわよ。生まれて、親に捨てられて、どうやって生きてけってのよ」
富竹「…」
リナ「アタシの人生はね、あそこで終わったのよ」
富竹「…」
リナ「もう、無理。ホント」
富竹「…」
「…だから言ってるじゃない。せめて最後くらい人の役に立ちなさいって」
272 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:41:33.22 ID:V45dP1CmO
鷹野「…ね?」
リナ「ね、じゃないわよ」
鷹野「…でも、要らないんでしょ?」
リナ「助からないならね。助かるなら欲しいわよ」
鷹野「助かるのは私よぉ。うふふ…」
リナ「包帯まみれの格好で余裕ぶっこいてんじゃないわよ。アホみたいよ」
富竹「…その、傷は?」
鷹野「あら?何かしらねぇ…うふふ」
富竹「…」
鷹野「…ねえ、ジロウさん?」
富竹「…何度聞かれても、答えは同じだ」
鷹野「…」
富竹「僕は君達とは組まない。僕達はこの村を助けに来たんだ。殺しに来たんじゃない!」
鷹野「…強情な人…」
富竹「…そして、僕は諦めない」
鷹野「…何を?」
富竹「彼女と一緒に助かる事」
リナ「!」
富竹「…そして君を説得することだ」
鷹野「あら…そうなのぉ…うふふ」
富竹「…!」
鷹野「…ねえ、ジロウさん」
富竹「…」
鷹野「…時間は、無いわよ」
富竹「…!」
鷹野「…今日の夜までに決めなさい。じゃないと…」スッ
リナ「!」
富竹「…!それは…!!」
鷹野「うふふ…キレイでしょう?雛見沢症候群のウィルスなのよぉ…」
富竹「…取り出しに、成功していたのか…!!」
鷹野「この虫は人間に寄生するらしいから。だから宿主が死ぬと一緒に死んじゃうのよねぇ…」
富竹「…何故、そんなものを…!」
鷹野「…でも、それって、人間の体内に近い環境でも生き残れる可能性があるってことよねぇ…」
富竹「…それを…どうするつもりだい?」
鷹野「…ねぇ。ジロウさん」
富竹「…」
鷹野「ただでさえ感染してる私達が、その上獲物を求めて蠢いてる虫を…さらに注入されたらどうなるかしら?」
富竹「なッ…!?」
リナ「は…?」
273 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:42:18.00 ID:V45dP1CmO
…。
『…』ブォォォオオオオオオン
チェイス「…」
梨花「…来たみたいなのですよ」
沙都子「…あの人は…」
圭一「何だ?パトカー…?」
レナ「…警察の…?」
知恵「…」
入江「…」
『…』バタン
チェイス「…」
「お待たせしました。私は…」
チェイス「…お前が、大石か」
熊谷「え?…ああいや、私は違いますよ。熊谷と申します」
梨花「大石はこの人の倍は腹回りがあるのです」
熊谷「…あはは…」
チェイス「…?」
熊谷「…大石さーん!!早く降りて来て下さい!!」
「…いやァ…申し訳ありませんなあ」バタン
チェイス「…」
大石「子供達の目の前で煙草は吸えんですからなぁ。ひとしきり吸わせて頂きました」
チェイス「…大石、蔵人か」
大石「ええ。…その声は…貴方が、私に連絡を寄越した人物ですね?」
チェイス「…」
大石「…改めて、大石です」
チェイス「…左之助、と呼ばれている」
大石「…?……ああ!はいはい左之助さんですねぇ?よろしくお願イダダダダダダダダダダ!!!」
チェイス「…すまない。加減はしたが…」
大石「…ふ…ぬはっはっはっは!!こりゃ頼もしい若者ですなぁ…」
274 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:43:15.06 ID:V45dP1CmO
大石「…それで?今回お呼びになったのが…」
チェイス「例の話だ」
大石「…えぇえぇ。聞いていますよ。鷹野さんの、話ですね」
梨花「確証は、ありますですよ」
圭一「レナが命を狙われたんです!銃を突きつけられたって…」
レナ「は、はい」
大石「…そうですか。それならば例えその推測が違っていたとしても、殺人未遂、銃刀法違反の疑いで拘束出来ますからなぁ…」
沙都子「俄かには信じ難いお話ですが、今日起きた事でもう…驚く事も無くなりましたわ」
大石「興宮にその報告はありませんが…まあそれを抜きにしても、調べん事には、いきませんなぁ。ねぇ熊ちゃん?」
熊谷「はいッス!」
校長「…どうか、よろしくお願いします」
知恵「生徒達や、村の方達の為に、私達も出来る限りのことはします」
大石「ええ。お任せ下さい!この大石、久し振りに燃えて来ましたよぉ!!」
入江「…」
大石「…それと、入江…さん?」
入江「…ええ。分かっています。全てを話すつもりです」
大石「話が早くて助かります。こういうものは時間が勝負ですからねぇ…」
チェイス「…」
大石「…?どうされましたかな?」
チェイス「…」
大石「…?」
チェイス「…ギアは、入ったか?」
大石「ぎ、ギア?」
チェイス「…いや」
大石「…ま!それは分かりませんが、ヤル気も…いや、そうですな…」
チェイス「…」
大石「エンジンは全開ですよぉ!!…なんて、ぬっはっはっは!!」
チェイス「…」
梨花「…何の話?」
チェイス「…あいつは…」
梨花「…?」
チェイス「…狸ではない」
梨花「どっからどう見ても…」
チェイス「あの男は…」
梨花「…」
大石「さぁて!事件解決の為、この大石蔵人、一肌でも二肌でも脱いでやりますよぉ!!」
…。
『…脳細胞が、トップギアだぜ!!』
…。
チェイス「「刑事」だ」
第10話 終
275 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/02(金) 22:44:21.52 ID:V45dP1CmO
続きまたそのうち書きます
見てくれてる方本当にありがとうございます
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 04:33:57.93 ID:8JWpJkA0O
乙
ちょくちょく進ノ介を思い出すのがグッとくる
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/06/03(土) 19:29:14.94 ID:12y8RgnZ0
チェイスだけじゃなくて他のキャラも魅力があって好き
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/06/03(土) 23:48:53.19 ID:Yx+RGPep0
刑事にはかなり思い入れあるだろうからなあ…
279 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:02:15.10 ID:tHBc7zmLO
茜「…全く、これじゃ今月は大赤字だねぇ…」
魅音「…母さん…」
茜「…まあ、カッコつけた手前そんなこた向こうにゃ言えないけどね」
魅音「でも、上納金を回収すれば…」
茜「持ち逃げするような奴さ。とっくの昔に高飛びしてんだろ」
魅音「…」
茜「…しかし、ありゃあ見事なもんだねぇ。びっくりしたよ」
魅音「…ましん…チェイサー…って言ってたけど…」
茜「どう見ても神様だなんて格好じゃないよ。あんなのがオヤシロサマだなんてアタシは認めないね」
魅音「…」
茜「…左之助先生とか呼んでたけど、ありゃまさか…知り合いかい?」
魅音「…分からない。でも声は左之助先生だった」
茜「…それにしたって、一体どういう事なんだろうねぇ。アタシらを守るって…」
魅音「…何かが、あるのかも」
茜「…ま、どうでも良いさね。こっちはこっちで忙しいんだ」
魅音「…」
茜「アンタも、やれる事はやっときな。次期当主なんだから」
魅音「…うん」
280 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:03:00.78 ID:tHBc7zmLO
…。
熊谷「…一応、まとめてみました」
大石「鷹野三四によるバイオテロ。それにレナさんがおっしゃっていた見覚えの無い髪の毛」
レナ「色も長さも、この辺の人ではありませんでした」
入江「…聞く限りでは、それは小此木という鷹野さんの右腕的存在…山狗のNo.2と考えて間違いはないでしょう」
大石「ええ。やはり事情を知る方がいると助かります。個人の特定も早い早い」
入江「特徴的な髪型ですからね。それに鷹野さんは彼に山狗の実質的な指揮を任せています」
熊谷「…この雛見沢には、小此木造園と名乗る方が頻繁に病院に立ち寄っていたそうです」
梨花「一つ分かれば全てがパズルのように組み合わさっていく…これなら…」
入江「ですが、そうも行きません」
梨花「?」
大石「ええ。個人の特定が出来ても、居場所までは分かりません。小此木造園という会社を調べてもらいましたが、そのような会社は興宮にも雛見沢にも存在していませんでしたから」
チェイス「…そして、人数だ」
大石「ええ。相手が何人いるのか…それに人質も取られている状態です」
圭一「人質なら、この村の住人全員じゃ…」
チェイス「間宮リナ。富竹ジロウ。この二人もだ」
大石「富竹さんは勿論のこと、間宮リナという女性には窃盗の疑いもありますからねぇ。きちんと逮捕しなければなりませんよ」
沙都子「上納金の回収ですの?…でもそれって…」
大石「ええまあ、「そこ」に関しては今回は目を瞑りましょう。園崎には恩を売っておいて損は無いでしょうから」
チェイス「…その事で、沙都子に伝えておかなければならないことがある」
沙都子「え?」
281 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:03:44.33 ID:tHBc7zmLO
…。
沙都子「…」
梨花「…鉄平は、自分の意思で罪を受け入れたのです」
沙都子「…」
圭一「…沙都子の…叔父が…」
大石「…ほほぉ。そうでしたか…」
梨花「きっと、これで良かったのです。過去を清算する事で鉄平は未来へと進む覚悟を決めたのです」
大石「…ふむ…」
レナ「?」
大石「実はですねぇ。興宮警察署は北条鉄平を要注意人物としてマークしていたんですよ」
熊谷「ええ。とても素行の悪い人間でしたから…しかし彼が更生するとは…」
チェイス「元々、そういう人間だったんだろう」
沙都子「…私は…」
梨花「?」
沙都子「…」
圭一「…沙都子?」
沙都子「…そんなことまで、考えてはいませんでしたわ」
入江「…」
沙都子「私は、ただあの方に笑顔を取り戻して欲しかっただけなんですのよ」
チェイス「…」
沙都子「…帰ってくる保証の無い仕事なんて、やるべきではありませんわ」
チェイス「…」
レナ「…沙都子ちゃん」
沙都子「?」
282 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:04:33.94 ID:tHBc7zmLO
レナ「…あのね?レナ達…初めは叔父さんが帰ってきたって聞いて、凄く不安だったんだ」
沙都子「…」
レナ「沙都子ちゃんがまたいじめられるんじゃないかって。もう学校に来ないんじゃないかって。ずっと思ってた」
沙都子「…」
レナ「…でもね、やめたんだ」
沙都子「?」
レナ「信じることにしたの。叔父さんを」
沙都子「…信じる…」
レナ「うん。圭一君がね?沙都子ちゃんの叔父さんを受け入れてあげないと、可哀想だって」
沙都子「…」
圭一「…俺だって、違うとこから来たんだし。でも…」
沙都子「…」
圭一「俺を受け入れてくれたこの雛見沢なら、きっと…って思って」
沙都子「…圭一さん…」
大石「…あー…ゴホン」
圭一「…」
大石「つまりは、こういうことですよ。北条さん」
沙都子「…?」
大石「…貴方の叔父を、信じてあげて下さい。そういうことですよ」
沙都子「…あ…」
大石「ええ。お兄さんを信じて待つように、叔父さんの事も信じて待ってあげるべきなんだということ、だと思いますよぉ?」
沙都子「…」
大石「話を聞くに、園崎家は北条鉄平にやり直す機会を与えてくれたんでしょうなぁ」
沙都子「…やり直す…。…あ…」
チェイス「…」
沙都子「…だから、あんな話を…」
レナ「…」
沙都子「…そう…ですの」
チェイス「お前が出来ることは、一つだ」
沙都子「…」
チェイス「二人が過去を清算し、そして帰ってきた時」
梨花「(…二人?)」
沙都子「…」
チェイス「笑顔で、迎え入れてやることだ」
沙都子「…ええ。そうですわね!」
梨花「…」
283 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:05:10.86 ID:tHBc7zmLO
校長「…話は、まとまったようですな」
知恵「…」
圭一「あ…」
大石「…それで、どうでしたか?」
校長「ええ。小此木造園の車を見たという老人が何人かいらっしゃったようです」
熊谷「助かります。私達警察はここの方達にあまり好かれていないようでしたから…」
知恵「出来ることは、何でもする。そう言ったじゃありませんか」
大石「頭が下がる思いですなぁ…ねえ熊ちゃん?」
熊谷「ええ」
校長「…しかし、やはり先の…例のアレでパニックになっていたようで…」
大石「構いませんよぉ。ルートを絞れるに越したことはありませんから」
知恵「…一応、目撃情報を元にある程度の所は絞れたんですが…」パサッ
圭一「…」
入江「…これ…は…」
レナ「…山…」
沙都子「…全部…ですの?」
校長「…山道へと走っていった以外無かったものですからな…」
284 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:06:09.94 ID:tHBc7zmLO
梨花「…山全てが、範囲…」
校長「ええ。見られている可能性もあるというのに単純なルートを辿っていくとは考えにくいものでして…」
大石「それは、間違いありませんなぁ。道という道を練れば捜査を撹乱させ、時間稼ぎになりますから」
チェイス「…この人数では、とてもじゃないが回れないな」
圭一「…雛見沢は、山に囲まれてますからね…」
レナ「…ここから探すなんて、一日二日じゃ無理だよう…」
沙都子「…監督。何か知りませんこと?」
入江「…これは鷹野さんの独自行動です。私にはどうにも…」
知恵「…本来の仲間にも、隙を作らなかったんですね」
入江「…ええ。恐らく山狗の隊員ともビジネスパートナー繋がりでしょう。彼女が全てを委ねる相手など、いませんよ」
圭一「…じゃあこれで終わりってことですか?」
チェイス「…」スッ
梨花「…」ゲシッ
チェイス「…?」
梨花「(「その力」はいざという時以外使わないで!)」
チェイス「…」
大石「…しかし、絞る方法ならありますよぉ」
知恵「…?」
大石「確かに小此木造園はここ何年かの間、雛見沢を出入りしていたようですが…しかし」
チェイス「…大仰に行動はしていない」
大石「その通り。秘密裏に行動していたでしょうな」
圭一「…そうか!つまり新しくアジトを建てる余裕は無かった!」
大石「おんやぁ…察しの良い子じゃありませんか」
沙都子「…どういうことですの?」
入江「…考えられるのは、既にあった廃墟、あるいは無人のビルを根城にしていた…」
大石「ええ。そして雛見沢を囲む山々にそれらしきものがあるのは…」
梨花「みー☆それならボクにお任せなのですよ」
レナ「梨花ちゃん。分かるの?」
梨花「ボクは生まれてからこの村をでた事が無いのです。どこに何があるかは全部頭に入ってるのですよ」
大石「やはり、知恵は出し合うものですなぁ。話が早くて助かります!ぬっふっはっはっはっは!」
285 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:07:07.18 ID:tHBc7zmLO
…。
鷹野「…」トントン
富竹「…」
鷹野「…」トントン
富竹「…」
リナ「…」
鷹野「…!」ドンッ
リナ「ッ…」
富竹「…何度聞かれても、何時間拘束されようとも、僕の答えは変わらないよ」
鷹野「…どうして?」
富竹「逆に聞きたいくらいだよ。何の罪も無い村の人達を殺すだなんて…」
鷹野「…これは、やらなければならないことなのよ」
リナ「…」
富竹「どんな理由があっても、罪も無い人を殺してはならない」
リナ「…」
鷹野「この実験が成功すれば!!私達の研究は報われるの!!私達の居場所が出来るの!!」
リナ「…なーんだ」
鷹野「!」
富竹「…」
リナ「…てっきり、アタシよりもクズなんていないもんだと思ってたけど…」
鷹野「…」
リナ「…世の中、広いもんね」
286 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:08:10.81 ID:tHBc7zmLO
鷹野「…何ですって…?」
リナ「人を殺すのに「実験」だなんて言葉使える奴なんて、もうクズとかの話じゃないわよ」
鷹野「…!!」
リナ「神様にでもなったつもり?」
富竹「やめるんだ!それ以上は…」
リナ「どうせ死ぬんだから。言いたいだけ言ってやるわよ」
鷹野「…貴方…」
リナ「おもちゃ貰って。それを自慢気に振りかざして」
鷹野「…」
リナ「アンタは神じゃないわ」
鷹野「…!!」ギリッ
リナ「ただの悪魔よ」
鷹野「…良いわ。もう…」
富竹「!」
鷹野「死にたいなら、今すぐ死なせてあげるわよ!!」ジャキッ
富竹「やめろ!!鷹野さん!!!」
リナ「…!」
鷹野「否定させない…!させるものですか…!!!」
富竹「鷹野さん!!!」
小此木「あーはいはい。そこまでそこまで」
287 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:09:16.56 ID:tHBc7zmLO
鷹野「…小此木…」
小此木「撃つのは結構。しかしサイレンサーも付けずに撃てば流石に響きますぜ」
富竹「…」
小此木「それにアンタの腕じゃもっと近くねえと、な」
鷹野「…それで、何の用かしら…!」
小此木「タイムリミットとか言ってる割には、随分待たせるもんですから。気になって覗いたらこうなってましてねぇ」
鷹野「…」
富竹「…」
鷹野「…ジロウさん。どうして応えてくれないの?」
富竹「君が間違った事をしているからだ」
鷹野「…」
富竹「僕らが目指していたものは、雛見沢症候群の研究、治療法のはずだ」
鷹野「…そんな悠長な事を言ってるから…打ち切られるんじゃない」
富竹「だから、無理矢理死なせて雛見沢症候群を立証したいのかい?」
鷹野「そうよ!!じゃないと…!」
富竹「…君は僕にも、誰にも過去をほとんど語らなかった」
鷹野「…」
富竹「…それは多分、君がそうなった理由のせいなんだろう」
鷹野「…」
富竹「教えてくれないか?どうして君がそこまでこだわるのかを」
鷹野「…」
小此木「…鷹野さん。時間ですぜ」
富竹「…」
リナ「…」
鷹野「…貴方は、どれだけ私が仲間に引き込もうとしても、首を縦に振らなかった」
富竹「…」
鷹野「どれだけ肌を重ねても。貴方は応えなかった」
富竹「…」
鷹野「…残念だわ」
富竹「…!」
鷹野「小此木。準備に取り掛かって」
小此木「はいよ」
リナ「…ここまで…か」
富竹「なッ…!!」
リナ「…礼奈ちゃん…」
小此木「ほら行くぞ。立ちな」
リナ「…ごめんね…」
富竹「…!クソッ…!!」
288 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:10:31.36 ID:tHBc7zmLO
…。
大石「…さぁて、左之助…さん?」
チェイス「…」
大石「貴方とは、こうして二人で話したくてですねぇ」
チェイス「…」
大石「「例」の件に関して…」
チェイス「…」
大石「そっちは…」
チェイス「解決の保証は無い。どうなるかもまだ分からない」
大石「そうですか…分かりました。…ま、それに関しては!まだやめておきましょう」
チェイス「…」
大石「…後は…個人的な、質問です」
チェイス「…何だ」
大石「率直にお聞きします」
チェイス「…」
大石「…貴方、何者ですか?」
289 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:11:08.06 ID:tHBc7zmLO
大石「どう見てもこの村の住人ではありませんし、そして紫左之助という名前の人間も…少なくとも古手家の親戚にはいませんでした」
チェイス「…」
大石「これは調べがついています」
チェイス「…」
大石「紫左之助という人間は存在しない。そして先の、雛見沢で起きたらしい身体の自由が効かなくなる事件…」
チェイス「…」
大石「…私、こう見えて腕力には自信があったんですがねぇ。貴方の力は私が経験した事の無い程のものでした」
チェイス「…」
大石「私は超常現象など信じてはいません。この世の全ての事件は人間によるものだと、考えています。…しかし…」
チェイス「…」
大石「…こう言うのは何なんですがねぇ。…貴方は…」
チェイス「お前の想像の通りだ」
大石「・・・」
チェイス「俺は人間ではない」
大石「…ほほう」
チェイス「…今言えるのはそれだけだ」
大石「…本気で言っているなら、普通はちょっと疑っちゃうんですがね…」
チェイス「…いずれ話そう。今は鷹野を止めることだ」
大石「…ふむ。実は、ですねぇ…」
チェイス「どうした」
大石「…その、「鷹野三四」なんですが…」
290 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:11:59.59 ID:tHBc7zmLO
鉄平「…」
「…」
鉄平「…」
「お前が今から行くとこは、所謂…蟹工船みてぇなとこだ」
鉄平「…」
「五体満足じゃあ帰って来れない可能性もある」
鉄平「…そうけ」
「だが、給料は良い。10年も真面目に働きゃ良い額にはなるぜ」
鉄平「…10年じゃ済まんじゃろ」
「上納金が見つかりゃあ、何とかなる」
鉄平「…気にしとらんのか。ワシは…」
「…話を聞いた時はあの場で八つ裂きにして埋めてやりたかったさ」
鉄平「…」
「…だがよォ…」
鉄平「?」
「おめぇ、本気で謝ってたろ。血が滲むくれぇ頭床に擦り付けてよ」
鉄平「…」
「謝る事なんざ誰にだって出来る。そういう奴ァ結局自分の為にやってるんだからな」
鉄平「…」
「だがおめぇは違った」
鉄平「…」
「子供の為、必死で謝った。命を投げ捨てて」
鉄平「…」
「大の男がそこまでしたんだ。流石の俺らだってそんな奴を責めたてようとは思わねぇ」
鉄平「…」
「茜さんも、当主も、そんなおめぇのメンツを立ててやったんだよ」
鉄平「…そうけ」
291 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:12:47.74 ID:tHBc7zmLO
「…にしても、その間宮リナってなぁ、本当に居場所が分からねぇのか?」
鉄平「…とっくの昔に、何処かに消えた。そう思うんが普通じゃ」
「ほーう…そりゃ…確かに10年じゃ済まねぇかもなぁ」
鉄平「…」
「…お?何だありゃあ…」
鉄平「…?」
「こんな山道、何たって車が…」
鉄平「車?…何処に…」
「ほんの少し轍が出来てんだろ。だがこんなロクに舗装もされてねぇところ、誰が走るってんだ」
鉄平「…」
「この山にあるのは動物か戦前に建てられた廃墟くれぇだぜ」
鉄平「…!おい!」
「あ?」
鉄平「…こ、この轍、追えるか?」
「そんな時間は無ぇよ。今から海まで行くんだぜ?」
鉄平「頼む!!」
「何だよ…まさかこの後に及んで…」
鉄平「違う!この先に間宮リナがおるかもしれん!!」
「あ!?」
鉄平「あの計算高い女が自分の周りに金を置いとるとは思えん!そんな誰も入らんような廃墟…金を隠すのにはうってつけじゃろうが!!」
「…!…成る程な…分かった!」ブオオオオオオン
292 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:13:33.34 ID:tHBc7zmLO
鷹野「…」カラカラ
富竹「…」
鷹野「…」カチャカチャ
富竹「…分かっているけど、あえて聞くよ。…それは?」
鷹野「分かっていると思うから、あえて言わないわ」
富竹「…変わらないね。君は」
鷹野「…」
富竹「結局君は、最後まで全てを見せてはくれなかった」
鷹野「…」
富竹「話す機会は幾らでもあった。悩みなら何でも聞こうと思ってたよ」
鷹野「…こうして、話してるじゃない」
富竹「違う」
鷹野「…」
富竹「君が言ったのは、悩みじゃない。何故なら君は悩んでないからだ」
鷹野「…」
富竹「君が欲しかったのは、都合の良い駒だけだ」
鷹野「…」
富竹「誰一人、信用などしていない。君は…」
鷹野「…貴方は、別だったのに」
富竹「僕は君の駒になる気は無い」
鷹野「…」
富竹「人殺しの片棒を担ぐなんて、死んでもごめんだ」
鷹野「…」
293 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:14:11.72 ID:tHBc7zmLO
鷹野「…ねぇ、ジロウさん」
富竹「…」
鷹野「雛見沢症候群って、誰が発見したか知ってる?」
富竹「…君の祖父だと聞いているよ。鷹野一二三という…」
鷹野「ええ。そうよ」
富竹「…それが…」
鷹野「本当はね、高野って書くのよ」
富竹「…?」
鷹野「…それと、私は鷹野三四じゃない」
富竹「…え?」
鷹野「捨てた名だけど、教えてあげる」
富竹「…?」
鷹野「私の本当の名前は…田無、美代子」
富竹「!!」
鷹野「高野一二三との血縁関係は無いわ」
富竹「…何だって…?」
鷹野「…」
富竹「…君は、一体…」
鷹野「…ある小さな女の子がいました」
富竹「え…」
294 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:14:54.50 ID:tHBc7zmLO
鷹野「小さな女の子には、趣味があったの」
富竹「…」
鷹野「それはね、お子様ランチについてる旗を集める事」
富竹「…」
鷹野「でもね、当時は高くてね…そんな頻繁に集められなかったわ」
富竹「…」
鷹野「…でも、最後。最後の一本を集められると思ったその時」
富竹「…」
鷹野「その子の親は、死んでしまったの。事故でね」
富竹「!」
鷹野「そして女の子は、施設に引き取られました…」
富竹「ちょ、ちょっと待ってくれ!君はッ」
鷹野「でもその施設にはとても怖い人達がいて、その子を含めた子供達は全員いじめられていたの」
富竹「…!」
鷹野「ある日、その子は逃げ出そうと必死に計画を練った…」
富竹「…」
鷹野「…失敗はしたけど、偶然見つけた公衆電話と10円玉で、ある人に助けを求めたの」
富竹「!…まさか、その人が…」
鷹野「死に絶える前に親が言い残した数字の羅列を必死で思い出して、その人に電話をしたわ」
富竹「…」
鷹野「そしたら、繋がったの」
富竹「…」
295 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:16:13.67 ID:tHBc7zmLO
…。
大石「…」カサ
チェイス「…写真…誰だ?」
大石「高野一二三。雛見沢症候群の研究の第一人者です」
チェイス「…鷹野?」
大石「いいえ。…えー…高野山。高野山の高野。高野一二三です」
チェイス「…待て。まさか鷹野三四は…」
大石「ええ。高野一二三は養子を取っています」
チェイス「…それが、鷹野か」
大石「いいえ。その子供の名前は「田無美代子」なっていました」
チェイス「…それは…どういうことだ?」
大石「私も気になりましてねぇ。勿論調べましたよぉ」
チェイス「…」
大石「彼女の親は田無さんが小学生の時に事故でお亡くなりになっていました」
チェイス「…」
大石「その後彼女は施設に引き取られ、そして高野一二三によって助けられました」
チェイス「…助けられた?」
大石「…この施設なんですがね、これがもう、随分酷い所でして。補助金目当ての為だけに建てられたような所なんですよ」
チェイス「…そこで、鷹野は…」
大石「ええ。彼女含めた子供達全員、虐待されていたそうですよ。死人も出ていたらしいですねぇ」
チェイス「…」
大石「…ま、因果応報。この施設の職員は全員児童虐待、殺人の疑いで検挙されていますが、ね」
チェイス「…そうか」
大石「一二三…三四…まあ恐らく、恩人の思いを受け継いだ名前…というところでしょうなぁ」
チェイス「…偽名か?」
大石「…いえ、大学に問い合わせたところ、確かに鷹野三四という生徒がいたそうです」
チェイス「…名前を、変えたのか」
大石「ええ。それ程までに、祖父の想いに応えたかったのでしょうなぁ…」
チェイス「…しかし、奴は方法を間違えている」
大石「ええ。止めなければなりませんねぇ」
チェイス「…」
大石「…ちなみに」
チェイス「?」
大石「…貴方、どう見ても人間なんですが」
チェイス「…」
大石「…」
チェイス「…それは、俺にとって褒め言葉だ」
大石「え?」
296 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:16:58.48 ID:tHBc7zmLO
…。
「…着いたな」
鉄平「…」
「…何たって小此木造園の車がこんなとこに…」
鉄平「それ以上近づくな。バレちまうじゃろうが」
「…しかし、ありゃあ興宮にある庭師って話だぜ?」
鉄平「…知らん。じゃが間違いなくあのアマはここにおる」
「…」
鉄平「…」
「仮に、間宮リナがボディガードなんて雇ってたらどうする?」
鉄平「…」
「そいつらがチャカ持ってたら、どうする?」
鉄平「…お前も持っとるんじゃろ」
「護身用に持ってるのはナイフだけだ。何せ目の前にいるのは丸腰のオッさん一人だからな」
鉄平「…」
「…」
鉄平「…しかし、ここでお前が間宮リナを捕まえりゃあ…」
「…そりゃ、まあ…」
鉄平「…?お、おい…」
「…ああ、見えてるよ。…間宮リナと…ありゃあ誰だ?男の癖に女みてぇな髪型しやがって…」
鉄平「…それと、もう数人…」
「…しかしありゃあ、仲間にゃ見えねえな。連れてかれる家畜みてぇになってやがる」
鉄平「仲間割れじゃろ。今度は逃げられんかったか…」
「…向こうの部屋に行ったな」
鉄平「…おう」
「…おい。一旦戻るぞ。良い情報が手に入ったからな」
鉄平「アホ抜かせ。ここであいつを捕まえんと一生捕まらんかもしれんぞ」
「相手何人いると思ってんだ!死ぬぞ!」
鉄平「…どうせ捨てた命じゃ。何度でも捨ててやる」
「…そんな台詞、俺も吐いてみてぇや…」
297 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:17:49.74 ID:tHBc7zmLO
鉄平「…おい、火…あるか?」
「あ?…ああ、あるよ」
鉄平「…マッチか。上出来じゃ」
「…何して…」
鉄平「これで気を引く。後は間宮リナを捕まえて逃げるだけじゃ」ビリッ
「…は?」
鉄平「ナイフ、貸さんかい」
「…何を…」
鉄平「今更お前一人殺したって逃げられるとは思わんわ。この車壊すんじゃ。貸せ」
「…は…は?」
鉄平「給油口は…ここか…!」ガギギ…
「…?」
鉄平「…ふんっ!!」バキャッ
「…」
鉄平「…良し…と」スッ
「…破いた服を、給油口に入れて…」
鉄平「…ゆっくりじゃ。玄関開けて放り込むぞ」ポタッ
「は!?」
鉄平「幸いこの建物は木造じゃ。よぉ燃えるじゃろ」
「い、いやそういうことじゃねえよ!」
鉄平「何じゃ」
「お、おめぇまさか…あの人数相手に…」
鉄平「戦うだなんて言っちょらんわ。奴らの気を引いて、その隙にリナを捕まえる」
「…」
鉄平「ヤクザじゃろうが。漢見せんか」
「!…言ってくれるじゃねえか。チンピラが…」
鉄平「そのチンピラが命懸けとるんじゃ」
「…おうよ。なら…い、行くぞ?」
鉄平「…おう」シュッ
「…あ、開けるぞ…」ギ…
鉄平「…」ボッ
298 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:18:40.81 ID:tHBc7zmLO
鷹野「…私はね、一二三博士の研究を世に知らしめたいだけなのよ」
富竹「…」
鷹野「周りの人間はこの研究の素晴らしさを理解出来ずに彼を失脚させたけど…」
富竹「…格好つけていても、それは所詮、ただの恨みだ」
鷹野「…何と言われようと、私はやり遂げる。彼の思いを受け継いで…」
富竹「なら、ちゃんと研究するべきだ!毒ガスで殺し、雛見沢症候群に見せかけるなど!!」
鷹野「そうしないと!!!」
富竹「!」
鷹野「…そうしないと、研究費が打ち切られてしまうのよ…!!」
富竹「…それでも僕は、絶対に認めない」
鷹野「…そう。そうなの」
富竹「…」
鷹野「…貴方は私を裏切らないって思ったのに…」
富竹「…裏切ったのは、君だ」
鷹野「…さよなら」
富竹「…いや」
鷹野「…え?」
富竹「残念ながら、僕はまだ生きられそうだ」
鷹野「…?…えっ!?」
299 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:19:22.20 ID:tHBc7zmLO
小此木『ゴホッ!!ゴホッ…!か、火事だ!!火事だ!!!』
鷹野「!?」
富竹「…!でえ…やっ!!」ドスン
鷹野「きゃあっ!」
小此木『誰か!水だ!水持ってこい!このままじゃ全員お陀仏だぞ!!』
富竹「脚は…動く。なら…!」
鷹野「!ま…待ちなさ…!」
小此木「クッソ…!誰が…!!」
富竹「…!…!!」ズリズリ
鷹野「小此木!!ジロウさんを捕まえて!!」
小此木「!?…テメェ…!」ガチャッ
富竹「…!」
小此木「…逃がッ!?」ドカッ
「…」
富竹「…え?」
小此木「がっ…!痛ぇ…!!」
鷹野「!?」
「…」グイッ
富竹「!…え、え?」
「行くぞ」
富竹「!…は、はい!」
鷹野「待ちなさい!!…このっ…!!」パァン
「うおっ!?やべぇ早く逃げるぞ!!」
「分かっとるわ!!こっちを手伝え!!」
「バカ!こっちも一人抱えてんだぞ!」
「こっちは椅子に縛られた野郎じゃ!どんだけ重いか分からんのか!!」
「…ああもう、行くぞ!!」
鷹野「逃がさな…ッ…!」ズキン
「おい!椅子なんかどうでも良いからトランクにでも詰め込んどけ!」
鷹野「…足が…!!」
「早く出さんか!!追いつかれるぞ!!」
鷹野「…」
…。
300 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:20:57.71 ID:tHBc7zmLO
小此木「…つつ…思いっきり殴りやがって…」
「小此木隊長!」
小此木「…あ…?…おい!俺の事は良い!!早く火を消せ!!」
「え、は、はい!」
小此木「他のとこはどうでもいい!保管庫だけには火を近づけるな!!毒ガスに引火でもしたら全員木っ端微塵だぞ!!」
「…!」
小此木「分かったら早くしろ!!全員死んじまうぞ!!」
鷹野「…」
小此木「鷹野三佐!!アンタもボーッとしてねぇで手伝ってくれ!!」
鷹野「…!」
小此木「こんな所で死にてぇのか!!アンタは!!」
鷹野「…分かったわ。…痛ッ…!」
小此木「…ああ?」
鷹野「ごめんなさい…ジロウさんに突き飛ばされて…」
小此木「…だからあれ程訓練を受けろって言ったでしょうに…!銃はおろか受け身の一つも取れねぇのか…!」
鷹野「…」
小此木「…ええい!今はこの火を止めることだ!!お前ら!絶対にこの火を保管庫に回すな!!」
鷹野「…ジロウさん…」
301 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:22:14.24 ID:tHBc7zmLO
…。
鉄平「…ッハァ!!」
「ハーッ…ハーッ…」
富竹「…」
鉄平「…あー…やっちまったなぁ」
「あー!!!こりゃ気持ち良いじゃねえか!!なァ!?」
鉄平「やかましいわ!!…このアマ…とんでもなくヤバい奴らと手を組みよってからに…!!」
リナ「…」
鉄平「リナ…!もう逃がさんぞ…!!」
リナ「…」
鉄平「お前だけは許さん。このまま園崎に…」
リナ「…った…」
鉄平「あ?」
「?」
リナ「…かった…」
「…何だって?」
リナ「…良がっ゛だぁ゛…」
鉄平「…」
「…」
富竹「…」
鉄平「…お?」
第11話 終
302 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/06(火) 22:22:53.60 ID:tHBc7zmLO
続きまたそのうち書きます
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 00:51:48.02 ID:7AM43UxvO
乙
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 05:54:31.66 ID:jpLPD1+z0
相変わらずコメントが少ないスレを作るな
そのうちじゃなくてちゃんとこの日にやりますってやれよ
いつもゲリラ的にしか投下しないから安価出してもコメント来ないんだぞ
305 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/07(水) 07:38:43.42 ID:f6wUA/HSO
>>304
すいません
でも書き溜めて見直してから投下してるのでそれは難しいです
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 09:29:23.63 ID:J3LTvL3Qo
荒らしだよ。色んなスレに似たようなこと書いてる
このスレ安価出してないし
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 10:10:30.91 ID:xWdo47K0O
レスなんて完結したら山のようにくるよ
完結しなくちゃこのまばらのレスと定期的に出るまるでストーカーみたいな待ってるってレスばかりだけど
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/06/08(木) 00:00:31.36 ID:Zk3mV2Q50
まあ安価どうこう言ってる時点で完全にトンチンカンな荒らしだわな…コピペの流用かなにか
しかしここの鉄平のキャラは結構いい感じになってるな
助けが更なる助けを生んでるみたいで好きだ
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/08(木) 01:31:37.81 ID:Jat84YBA0
オツカーレ
嵐は気にしない
次の更新楽しみだ
マッテルーヨ
310 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:14:37.19 ID:uQrDoXrNO
鉄平『…』ボッ
『うおっ…よく燃えんなぁ…』
鉄平『…』ポイッ
『…おまっ…そんな簡単に…!』
鉄平『ボサボサしとれんのじゃ。躊躇っとったら死ぬぞ』
『…!』
『うわっ!?煙だ!!火が出てるぞ!!』
『かなり燃えてるぞ!!何が起きた!?』
『水だ!水持ってこい!!』
鉄平『…よし!今じゃ!』ダッ
『…あー!!もうどうにでもなれ!!』ダッ
小此木『ゴホッ!!ゴホッ…!か、火事だ!!火事だ!!!』
鉄平『…!』
小此木『誰か!水だ!水持ってこい!このままじゃ全員お陀仏だぞ!!』
『…おい!リナだ!居たぞ!』
鉄平『!』
リナ『…』
鉄平『…貴様…よくもこのワシを…!』
リナ『…鉄平…』
『怒るのは後にしろ!運ぶぞ!』
鉄平『…ッチィ!』
リナ『ま、待って!』
『待てるか!!』
リナ『向こうの部屋!向こうの部屋にもう一人捕まってる!!』
『ぁあ!?』
リナ『助けてあげて!!あっちも殺されそうなの!!』
鉄平『…ああクソ!!』ダッ
『早くしろよ!!』
…。
鷹野『小此木!!ジロウさんを捕まえて!!』
小此木『!?…テメェ…!』ガチャッ
鉄平『…』コソッ
富竹『…!』
鉄平『…フンッ!』ブンッ
小此木『…逃がッ!?』ドカッ
鉄平『…』
富竹『…え?』
小此木『がっ…!痛ぇ…!!』
…。
311 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:15:16.36 ID:uQrDoXrNO
リナ「?え゛え゛…」
「…な、何だァ?こいつ…」ブオオオオン
鉄平「知るか。またいつもの嘘泣きに…」
富竹「違う」
鉄平「?」
富竹「彼女は、本当に命を諦めかけていたんだ」
鉄平「…まあどうでもええわ。…いやどうでも良くないのう」
富竹「…」
鉄平「…ありゃあ何じゃ?拳銃まで持っとったぞ」
富竹「…あれは…」
リナ「…あいつら、この村の住人全員殺すつもりだって」
鉄平「…!?」
「…な、何だそりゃ。どういうことだ?」
リナ「…あいつら言ってたわ。保管庫にある毒ガスで住人を全員殺して、雛見沢症候群に見せかけるって…」
「…んな突拍子もねぇ話…」
富竹「…本当だよ」
鉄平「…何?」
富竹「あそこにいた拳銃を持っていた女性は鷹野三四。…山狗という小隊の長だ」
鉄平「…あいつがか?」
富竹「最も彼女は軍の訓練を受けていないから、銃は撃てても当てられる程の技術は無い。受け身の取り方も分からない」
「…そんな奴が、どうして…」
富竹「実質、隊の指揮を取っているのは、貴方が殴り倒した小此木という男だ」
鉄平「…」
富竹「あの場は冷静さを失っていた上、不意打ちで何とかなったけど…本来の彼は山狗の中でも選りすぐりの隊員だ。もし彼と面と向かっていたら、きっと二人とも命は無かった」
「…そんなやべぇ奴なのか…顔見られてねぇよな?」
鉄平「こっちはこのアマさえ捕まえられりゃ何でもええんじゃ。戦おうだなんて思っちょらん」
リナ「…アタシ、本当は燃やされる予定だったんだって」
鉄平「…あ?」
312 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:15:57.08 ID:uQrDoXrNO
リナ「鷹野って女は、この村のナースの振りして、本当はあの部隊の隊長だった。小此木って奴が…何だっけ?さん…さ?」
富竹「鷹野三佐。彼女の軍での階級だよ」
「…」
富竹「東京大学を首席で卒業。エリートとして色んな人脈を作り、山狗という部隊を立ち上げた…」
鉄平「…ワシが一番嫌うタイプのアマじゃのう」
富竹「三佐の階級と山狗の地域に浸透した諜報網、そして必要とあれば県警から日本政府に至るまでを動かすことができる絶大な権力を彼女は所有している」
鉄平「…あー…」
「悪ぃ。もうちょっと分かりやすく説明してくれ」
富竹「偉いって事さ」
鉄平「極端にも程があるわ」
富竹「…というより、出来ればこの拘束を解いて欲しいんだ。流石に腰が痛くなってきてね…」
鉄平「お?…おお」
リナ「…良いよ。アタシがやるから、続けて」
富竹「ありがとう。…しかし、それはつい最近までだったんだよ」
鉄平「…?」
富竹「…その昔、高野一二三という、雛見沢症候群の研究をしていた男がいてね…」
「…さっきも言ってたけどよ。その雛見沢症候群ってなぁ…何だ?」
富竹「この村特有の寄生虫による病気さ。これに感染するとその人間は凶暴化し、全てを信用出来なくなる」
鉄平「き、寄生虫…?」
富竹「この村にいる以上、感染率は100%だ」
リナ「え…?」
富竹「君達も、僕も感染している」
「…身体ン中に虫が入ってるたぁ…気持ちの悪い話だなぁ」
リナ「そういう問題…?」
313 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:16:40.13 ID:uQrDoXrNO
鉄平「…で、それはいつ発症するんじゃ」
富竹「具体的には決まっていない。けど、少しでも不安を感じたら、それは始まる」
リナ「不安…?」
富竹「例えば、誰かを信用出来なくなったり…そんなことはなかったかい?」
鉄平「そんなことしかないわ」
リナ「…」
富竹「…えっ…?」
鉄平「ワシはこのアマに儲け話持ち掛けられて、全部掻っ攫われたんじゃ」
富竹「…それで、発症していないのかい?」
鉄平「その話がデタラメなだけと違うんか?」
富竹「そ、そんなはずはない!既に前例が…」
鉄平「…」
「守りたいモンが出来た。からじゃねぇのか?」
鉄平「あ?」
富竹「え?」
「…その鉄平って奴ァな、自分の為じゃなく、人の為に命を捨てたんだ」
富竹「…」
「細けぇことは分からねぇけどよ。つまり…自分の命の為に人を攻撃するってことだろ?その病気ってのは」
富竹「…そう、だね。宿主が死ねば寄生虫も死ぬ。寄生虫は生きる為に宿主を利用する…」
「だが、こいつはその寄生虫には従わなかった」
鉄平「…」ポリポリ
「つまり、勝ったってことだな」
富竹「…そんな…」
鉄平「…」ポリポリ
リナ「…鉄平…」
314 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:17:17.34 ID:uQrDoXrNO
鉄平「…確かに、前までのワシならその寄生虫にかからずとも人なんぞ誰も信用しとらんかったわ」
富竹「…」
鉄平「…ま、それも大金の前じゃ何てことないモンじゃったがのう…」
リナ「…」
鉄平「…お前に持ち逃げされて、無一文で逃げるように雛見沢におる沙都子っちゅう、一応家族の家に転がり込んだ」
リナ「!…そんな近くに…」
鉄平「……昔は、よう虐めとったわ。ドン臭くてのう…」
「…」
鉄平「…そこは変わっとらんかったが…」
富竹「…」
鉄平「唯一頼りにしとった兄もおらん、親もおらん。家族なんざだーれもおらん状態でのう…」
リナ「…」
鉄平「それでも、必死で生きているあいつの顔が…とんでもなく眩しく見えたんじゃ」
「…」
鉄平「…それに比べワシは、何をしとるんか…そう思ってな」
富竹「…守りたいものが、出来た…」
鉄平「…お前もその内分かるわ」
リナ「…アタシも、ね」
富竹「?」
鉄平「…」
315 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:17:56.95 ID:uQrDoXrNO
リナ「アタシも、雛見沢に隠れてたんだ。そっちのが見つからないかなって思ってて」
鉄平「…分かっとるわ。さっきの反応で」
リナ「たまたまお店に来てた上客がね、前の奥さんから貰った慰謝料が沢山あるからって…」
鉄平「…がめついお前の事じゃ。それも掻っ攫おうと思ったんじゃろ」
リナ「その時はね、そう思ってた」
「…その時は?」
リナ「…色々あってね。やっぱり恨み買っちゃうんだ」
鉄平「…」
リナ「丼でぶん殴られそうになったんだけど、その人の娘に助けられてね」
富竹「…レナちゃんだね」
リナ「うん。アンタは知ってると思うけどさ…」
富竹「…君も、彼女を助けたい一心で、寄生虫の魔の手から逃れたんだね」
リナ「今知ったんだけどね。それ」
鉄平「…」
リナ「…今更だけど、上納金なら竜宮さんの家にある庭の下に埋めたよ」
「あ!!?」
鉄平「・・・」
リナ「一銭も使ってない。…それどころじゃなかったし」
「…そうか」
リナ「…ごめんなさい」
「俺に謝られても困るんだよな…」
リナ「…鉄平も、ごめん」
鉄平「…その竜宮ってのに謝るのが先じゃろ」
リナ「…ん」
316 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:18:40.45 ID:uQrDoXrNO
「…さて、と」キッ
富竹「?…どうして車を…」
「…まあどうせもう待ち合わせには間に合わねえんだ。だから聞けるだけ聞いとくが…」
富竹「…」
「話を戻すが、さっきおめぇは鷹野って奴が偉かったのはつい最近だって言ってたな?」
富竹「…ああ」
「そりゃ何だ?何か失敗でもしたのか?」
富竹「…雛見沢症候群の第一人者、高野一二三。理由は割愛するけど、鷹野さんの命の恩人さ」
「…」
富竹「…彼はある日突然研究費を打ち切られてね。研究の中断を余儀無くされたんだ」
リナ「…その時、鷹野は?」
富竹「僕もさっき聞かされた話だから信憑性までは分からないけど、彼と折り合いがつかない学会側が無理矢理失脚させたらしいんだ」
リナ「…」
富竹「結局、一二三はそのまま病気で亡くなったらしい」
鉄平「…それで、その無念を目の前で見たっちゅうわけか」
富竹「命の恩人が、良いように利用され、消された。彼女にとってはたまらなく嫌なことだっただろうね」
「…だろうな」
富竹「…そこから彼女の人生は、高野一二三に捧げられた。彼の為に、彼の研究を本物にする為に」
鉄平「…」
富竹「先の頭脳と……どうやって作ったかは想像に任せるしかない人脈。それで再び雛見沢症候群の研究機関を作ったんだ」
リナ「…」
富竹「…しかしね、前例がある、といってもこの寄生虫は宿主が死ぬと同時に消滅する。正直なところ、証明しようが無いんだ」
鉄平「同じ轍を踏んだ…ちゅうことかい」
富竹「ああ。初めはカットされる程度だったけど、どんどん下がっていってね。最後には打ち切りの話が出たんだ」
リナ「それをさせない為に鷹野は毒ガスを使って…」
富竹「ああ。だがそれはあくまで最後の手段に過ぎない」
「…どういうこった?」
317 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/06/10(土) 00:19:20.30 ID:uQrDoXrNO
富竹「…雛見沢症候群が発症する条件として、まず疑心暗鬼になること」
「…ああ」
富竹「それと、女王の死」
鉄平「…女王…だァ?」
富竹「そう。この雛見沢症候群に感染していても影響を一切受けない。それどころか薬を拒絶する程身体が病気に慣れてしまっている」
リナ「…何それ」
富竹「…古手家の人間だ」
「…今古手家の生き残りって言ったら…梨花ちゃまか!?」
富竹「そう。鷹野さんがこの実験で最も重要視しているもの。それが梨花ちゃんだ」
鉄平「…待て。梨花っちゅうと…沙都子の友達か!?」
富竹「…ああ。彼女の死を目撃することによって信仰心の強い雛見沢村の人達は皆連鎖的に発症する。という鷹野さんの考察だ」
鉄平「仮にその考察が正しいとしても、そんなもん…!」
富竹「認められる訳がない。しかし鷹野さんは止まらない」
「…つまりあれか。梨花ちゃまが死んで、村人達が死ねば、ほら病気はあったでしょってか…?」
鉄平「死ぬ理由なんざどうでもええ。結果論っちゅうことか…」
リナ「…それで、混乱の最中に毒ガスを…」
富竹「…そういうことだ。彼女は警察とも繋がりがある上、医学の道ではトップクラスの知識を誇る。その彼女が雛見沢症候群だと言えば、警察もそれに準ずるだろう…」
リナ「…そんな凄い奴だったなんて…」
「…ここに来て雛見沢の鎖国状態が皮肉にも役に立っちまったってことか…」
鉄平「…なんちゅう厄介な奴じゃ…」
「…そりゃあ、俄かには信じ難いが…確かに辻褄は合うな。さっきのを見りゃあ…」
富竹「…お願いだ。このままでは雛見沢村の人達が危ない。何とかして止めて欲しい」
「…てめぇの知り合いのケツ拭けってことかよ…」
富竹「…」
「…あああああ!!!こうなったらヤケだ!!行くぞ!!」ブオオオオオオン
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