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チェイス「雛見沢…」
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2 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:06:02.48 ID:Dq28VAqnO
彼は、罪を犯した
彼は、罪を償おうと決めた
その手は、差し伸べる為に
その脚は、駆け付ける為に
例え、その生命が尽きたとしても
彼は、全てを救う事を誓った
例え、それが何であろうと
3 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:06:42.22 ID:Dq28VAqnO
…。
剛「…寝ぼけたこと言うな……」
…。
剛「俺の全身から溢れ出す怒りの炎が見えねぇのか!」
…。
剛「今一番許せねぇのは……俺の……」
…。
剛「俺の、ダチの命を奪ったことだ!!!」
…。
剛「…一緒に…戦ってくれ…!!」
…。
剛「…変身!!」
…。
ダチ、か…。
剛「返せ!それは俺達の武器だ!!」
…。
剛。
いつか、また会う事が出来たなら…。
剛「「行って」良い…ってさ…」
…その時は、俺から言おう。
お前は、俺の…。
…。
……。
4 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:07:18.84 ID:Dq28VAqnO
「…」
「……」
「……。」パチ
「…ここは…」
「…」
「…どこだ…?」
「…」
「…まさか…ここは…」
「…あの世か…?」
『…違うのです…』
「!!」ガバッ
5 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:08:03.67 ID:Dq28VAqnO
「…」
『…』
「…」
『…やっぱり…見えていないのですね…』
「…何だ…?この声は…」
『…』
「…何故、姿が見えない…?」
『…それは、ボクが普通の人には見えないからです。最も…』
「…」
『貴方も、人ならざるもの、ですが…』
「…」
羽入『…ボクは羽入と申します』
「…ロイミュードか?」
羽入『いいえ。ロイミュードではないのです』
「…」
羽入『…生命体であるかどうかも、怪しいものですが…』
「…以前、進之介が見えない敵と戦った事があると聞いた。クリムも科学では説明出来ない物があるかもしれない、と…」
羽入『…お化け…そう呼ばれるのが正解なのかもしれません』
「…」
羽入『…貴方には、ボクが見えないのですか?』
「…見えない。それよりも…」
羽入『…』
「…俺は、死んだのか?」
6 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:08:40.25 ID:Dq28VAqnO
羽入『…』
「もし生きているならば、俺は、剛に再び会わなければならない。ダチとして」
羽入『…分かりません』
「…」
羽入『ボクは、助けを求めました』
「…助け?」
羽入『助けを求め続け、何度も何度も世界をやり直しました』
「…」
羽入『でも、ダメでした』
「…何を、話している?」
羽入『そうしていく内に、ボクも梨花も疲弊していきました』
「…」
羽入『梨花は、もう良いと諦めてしまいました』
「…」
羽入『最後に死を選び、そのまま世界は進んでいきました』
「…?」
羽入『…そして、2016年。30年以上もの時間が経ってしまい、皆ここで起きた惨劇の事など忘れてしまいました』
「…」
羽入『後ろを、見て下さい』
「…?」
7 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:09:10.74 ID:Dq28VAqnO
「…」
羽入『そこには、何が見えますか?』
「…ダム…以外は見えない」
羽入『…33年前、1983年。その時までここは、村がありました』
「…」
羽入『その名は、雛見沢村。人口は少なく、今の人達が見れば、田舎と呼ばれるような所でした』
「…」
羽入『事の始まりは、とある殺人事件』
「!」
羽入『ダム建設反対の村人による、建設会社の社員の惨殺』
「…」
羽入『そして連鎖していく、様々な事件』
「…村人達は、今何処にいる?」
羽入『…』
「…」
羽入『…あそこの、ダム…』
「…」
羽入『…あれの、下です』
「!!」
8 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:09:58.82 ID:Dq28VAqnO
羽入『ここでは、ある病気が蔓延していました』
「…?」
羽入『それは、雛見沢症候群』
「…この村特有の、病気か…」
羽入『…この病気に犯された人は、疑心暗鬼になり、全ての人間が敵に見えてしまいます』
「…」
羽入『そうした者が、最後に取る行動…』
「…それが、連鎖していった殺人事件…か…」
羽入『…最後は、この村の地から謎の毒ガスが噴出、村の人間は全員…』
「…毒ガス…?」
羽入『ボクにも、それ以上のことは分かりません。何故こうなってしまったのかも…』
「…」
羽入『…今、梨花は全てを諦め自分の世界に閉じこもってしまいました』
「…」
羽入『永遠に、答えの無い、暗い闇の中に』
「…」
羽入『それでも、ボクは信じていました』
「…?」
羽入『いつか、この惨劇を終わらせてくれる、そんな人が来てくれる筈だと』
「…」
羽入『でも、ボクに出来る事は時間を巻き戻すことだけ』
「…」
羽入『時間を巻き戻せば、人間は影響を受けます』
「…」
羽入『…いえ、人間だけではありません。生命体である、限り…』
「…生命体…」
羽入『…』
「…つまり、歴史をやり直す、ということか?」
羽入『…』
「…俺に寿命は無い。もし俺がまだ生きているとすれば、この世に俺が2人、存在するということにもなりかねない」
羽入『…』
「…最も、生きているという保証は無いが」
羽入『…無理を言っているのは、分かっています』
「…」
羽入『貴方の優しさにつけ込んでいるというのも、承知しています』
「…」
羽入『でも、それでもボクは、梨花を、みんなを助けたいのです』
「…」
羽入『みんなの、本当の未来を、子供達に、明るい未来を与えたいだけなのです』
「…」
羽入『だから…だから…!!』ギュッ
「…!」
9 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:10:44.61 ID:Dq28VAqnO
羽入『…』
「…感触…?」
羽入『…!?……そんな…』
「…?」
羽入『…これは…一体…?』
「…お前は、普通の者には見えないと言っていたが…」
羽入『…実体はある筈なのに、どうして…?』
「…それも、科学では説明のつかないことなんだろう」
羽入『…』
「…俺は、生きとし生けるもの全てを守ると決めた」
羽入『…』
「…それは、死んでも変わらない」
羽入『…!』
「時間を戻せ」
羽入『…』
「…」
10 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:11:16.84 ID:Dq28VAqnO
羽入『…本当に、良いんですか…?』
「構わない」
羽入『…もしかしたら、そのお友達に、一生会えないかも…』
「…」
羽入『運命を変えて、そのお友達と会わなくなってしまうかも…』
「そんなことで、会えなくなる程のものではない」
羽入『…!』
「俺がどうしてまだ実体を持ち、そしてお前に触れる事が出来るのか。それは分からないが」
羽入『…』
「まだ俺に出来ることがあるのなら、その役目があるというのなら」
羽入『…』
「迷わず、引き受ける」
羽入『…』
「俺でなくとも、きっと皆そうしただろう」
羽入『…』
「それが、仮面ライダーというものだ」
羽入『…チェイスさん…』
11 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:11:47.29 ID:Dq28VAqnO
チェイス「…要件を話せ」
羽入『…ボクのお願いを聞いてくれて、ありがとうございます』
チェイス「…」
羽入『…先ず、この世界を戻す。それよりも先に、やることがあります』
チェイス「…」
羽入『…この物語、繰り返される惨劇の中心…』
チェイス「…」
羽入『全てを諦めた彼女に、再び光を与える事です』
チェイス「…梨花、か」
羽入『…はい』
12 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:12:37.70 ID:Dq28VAqnO
…。
……。
『梨花、聞こえますですか?』
…。
『…お願いします。どうか返事だけでも…』
…。
『きっと、今度は乗り越えられます。もう一度だけ、やり直してみませんか?』
…。
『あれから、33年。ボクはあの惨劇を打ち破れる方を探していました』
…。
『きっと、大丈夫です。今度は…』
…そうやって…。
『…?』
…そうやって、どれだけ私達は血を流したの?
『…梨花…』
どれだけ死んだ?どれだけ死を見た?
『…』
何回、何十回、何百回…もう覚えてないわ。
『…』
もう、何度も見てきた。何千年経とうが、忘れないわ。
『梨花…どうか話だけでも…』
笑顔、泣き顔、困り顔、怒った顔、焦った顔。
『梨花…』
痛みに苦しみもがく顔。
喉を掻きむしり、朽ち果てていく顔。
毒に苦しみ、弱っていく絶望の顔。
『…』
もう、放っておいて。私はこのままで良い。
『…』
それに、もう出来ないわよ。あんな変な喋り方。
『…』
アンタだって、もうそんな力ほとんど残ってないんでしょ?
…お社も無くなって…。
『…確かに、これが最後かもしれません』
ならせめて、少しでも長生き出来る方を選びなさい。
『…なら、梨花は本当にこのままで良いと言うんですか…?』
…。
『残された時間の少ないボクが消えたら、本当に一人ぼっちなのですよ…?』
…それが、私の運命なのよ。
『梨花!!』
…。
13 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:13:43.77 ID:Dq28VAqnO
『…これは、梨花だけの問題じゃないのですよ…?』
…。
『沙都子や、魅音、レナ、圭一、詩音…悟史』
…。
『みんな、生きるべき人達。なのに、理不尽に死んでしまった。理由も分からずに』
…。
『貴方はもう良いのかもしれない。でもみんなは、沙都子達はどうなるのですか!?』
…それは…。
『それに諦めたのなら、そんな小さな「カケラ」、どうしていつまでも眺めているのですか?』
…!
『もう、世界は貴方やボクを置いて遥か未来へ行きました』
…。
『沙都子達のいない、未来へと』
…。
『でも、今からならまだやり直せます。あの子達に、新しい未来を与えることが出来ます』
…。
『…梨花。貴方にも』
…羽入…。
『だから、そんな心にも無い事、言わないでください』
…。
『貴方は神なんかじゃありません。神の使いでもありません』
…。
『何も悟ってなどいません。貴方の時間はあの時のまま、一秒も進んでいません』
…。
『貴方はただの人間です。人間の、子供なんです』
…。
『だから、言ってください。心の内を、曝け出して下さい』
…。
『必ず、手を差し伸べてくれる存在がいます』
…。
14 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:14:20.48 ID:Dq28VAqnO
…羽入…。
『…はい』
…本当に、これで乗り越えられるの?
『…はい』
本当に、皆と一緒に、未来に行けるの?
『はい』
…信じて、良いの?
『だから、ボクはここにいます』
…。
『前を向いて下さい』
…。
『光は、必ずやってきます』
…光…。
『その光…』
…。
『その光の名は、仮面ライダー』
…仮面…ライダー…?
『願って下さい。念じて下さい。ありったけの思いを込めて』
…。
『貴方の、本当の思いを、叫んで下さい』
…けて…。
『…』
…助けて…!!
『…』
この世界から…!!
『…』
梨花「私を、助けて!!!」
…。
……。
15 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:15:02.72 ID:Dq28VAqnO
梨花「…」
梨花「…あ…」
梨花「…え…?」
「zzz…」
梨花「…あ…」
「zzz…」
梨花「…」
【昭和58年 6月13日】
梨花「…あ…」
梨花「…は、羽入…?」
梨花「羽入?…羽入!?」
梨花「羽入…?」
「…ん…んー…?」
梨花「返事して!羽入!!」
「んがっ…?な、何ですの…?」
梨花「…ッ…」
沙都子「…梨花、どうしたんですの?大声なんて出して…」
梨花「…沙都子…」
沙都子「?」
梨花「…本当に、沙都子なの…?」
沙都子「監督のとこ行きます?」
梨花「…」ペタペタ
沙都子「ちょ…どうしたんですの?そんなお化けでも見たような目、しないでくださいまし」
梨花「…本当に、沙都子なのね…?」
沙都子「…頭でも打ったんですの?昨日も一昨日もそのずっと前から一緒に暮らしてますわよ」
梨花「…!」
沙都子「…全く…変な夢でも見たに違いありませんわね。顔を洗って、寝ぼけを治してくるこt」
梨花「沙都子!!!」ガバッ
沙都子「ドゥェッホ!!」
16 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:15:48.40 ID:Dq28VAqnO
沙都子「朝からやってくれますわね。いくら親友といえども目覚め時に押し倒されるのは流石に訳が分かりませんことよ」
梨花「…ごめんなさい……なのです」
沙都子「…怖い夢でも見たんですの?」
梨花「…ほんの、ちょっと。長くて怖い夢を見てたのです」
沙都子「あらあら…そんなので怖がるなんて、梨花もまだまだお子ちゃまなのですわね!おーほっほっほ!」
梨花「…」
沙都子「…あら?」
梨花「…」
沙都子「…梨花?」
梨花「…ッッ…!!」
沙都子「…そ、そんな怖い夢でしたの…よーしよし…」
梨花「…ご、ごめんなさいなのです。何だか凄く長い間眠ってたような気がして…」
沙都子「夢なんてそんなものですわ。でも、夢なんですから。すぐに忘れますわ」
梨花「…」
沙都子「さ!早く朝ご飯の支度ですわ!あとお弁当お弁当…」
梨花「…良かった…」
沙都子「?」
梨花「何でもないのですよ。…に、にぱー☆」
沙都子「…?」
17 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:16:23.70 ID:Dq28VAqnO
沙都子「…さ…て!早くお着替えあそばせ!…あ、歯磨き歯磨き…」
梨花「…」
沙都子「梨花も早く食べないと遅刻してしまいますわよ!」
梨花「は、はーいなのです!」
梨花「…」
梨花「(…本当に、戻ってきたのね。ここに…)」
梨花「(…羽入は?羽入は何処に行ったの?)」
梨花「(…それに、羽入の言っていた、光…)」
梨花「(…仮面…ライダー…)」
梨花「(…何処に、居るのかしら…)」
沙都子「梨花!本当に遅刻してしまいますわよ!」
梨花「!は、はーい!!なのです!」
18 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:17:09.51 ID:Dq28VAqnO
梨花「…」
沙都子「…」
梨花「…」
沙都子「…梨花?」
梨花「(こうして、戻ったのは良いけれど…)」
沙都子「梨花?」
梨花「(私は、これからどうやって立ち向かっていくの…?)」
沙都子「りーかー…?」
梨花「(羽入は相変わらず返事が無いし、その光っていうのも、何だか分からない…)」
沙都子「梨花っ!」グイッ
梨花「!?」
沙都子「もー…何をボーっとしてるんですの?それ以上進んだら川に落ちてしまいますわよ?」
梨花「あ…ご、ごめんなさいなのです」
沙都子「…もしかして、調子が悪いんですの?」
梨花「い、いえ。すこぶる元気なのですよ。ほーら、に、にぱー☆」
沙都子「…さっきもそうでしたけれど、凄くぎこちない感じですわよ。無理してる感じが…」
梨花「(33年振りなんだからぎこちなくもなるわよ…)」
沙都子「…元気なら、良いですわ。でも今日はあまり無理をしないことですわね」
梨花「…ありがとうございます……なのです」
19 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:17:51.45 ID:Dq28VAqnO
「!」
「あ!おーい!」
「梨花ちゃーん!沙都子ー!」
沙都子「…あら!皆さんおはようございますですわ!」
梨花「…!」
「どーお?久し振りの圭ちゃんの顔」
沙都子「相変わらずのボケーっとした顔ですわね。まだ旅行気分が抜けてないんじゃありませんの?」
「んだとー!?沙都子ー!こうしてやるー!!」ワシャワシャ
沙都子「ぎゃー!!レナさん!助けて下さいまし!!」
「は…はうっ!?助けを求める沙都子ちゃん…かぁいい…かぁいいよう!!」
「んげっ!?」
「あーあー…相変わらずだねぇ…」
「魅音!元はと言えばお前から…!」
「あーあー聞こえなーい」
「何ぃ!!?」
梨花「…」
「…?」
20 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:18:36.61 ID:Dq28VAqnO
「?どったの?梨花ちゃん…」
梨花「…圭一?」
圭一「ん?」
梨花「…」ペタペタ
圭一「ん?…ん?」
梨花「…レナ?」
レナ「?何かな?…かな?」
梨花「…」ペタペタ
レナ「ひゃっ!ど、どうしたのかな?かな?」
梨花「…魅音…」
魅音「…どーしたの?そんなみんなの顔ペタペタペタペタ…」
梨花「…」モミ
魅音「ん?」
梨花「…本当に、みんな…」
圭一「…あ、ああ…う、うん…」
レナ「れ、レナだよ?どうして?」
沙都子「…今日の梨花は何だかおかしいんですの。私も顔を合わせた時妙に触ってて…」
魅音「私…胸…」
レナ「調子が悪いの?大丈夫かな…?」
圭一「まあ変な夢でも見たんだよ。梨花ちゃんもそういうことあるんだな!」
梨花「…」
沙都子「…!じゃなかったですわ!早く行かないと!全員揃って遅刻ですわよ!!」
魅音「…あ!ヤバっ!!走るよ!」
圭一「げっ!?マジかよ!」
梨花「…本当に…みんな…」
レナ「…梨花ちゃん」
梨花「…?」
レナ「…何があったか分からないけど…」
梨花「…」
レナ「レナ達は、ここにいるよ?」
梨花「…!」
レナ「さ、行こ!」
梨花「…はい。はい…なのです!」
21 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:19:51.22 ID:Dq28VAqnO
…。
圭一「はーっ…はーっ…あー…何とか…ギリギリセーフ…」
魅音「はーっ…はーっ…圭ちゃん、相変わらずスタミナ無いねぇ…」
圭一「お前だってゼーゼー言ってんだろうが。そもそも待ち合わせの時間に遅刻してきただろ!」
魅音「あっるぇー?そーだっけー?」
圭一「がっ……このー!」
魅音「あっはっは!気にしない気にしない!」
圭一「…ったく…」
沙都子「ほらほら、早く教室に行きますわよ。チャイムが鳴ってからじゃ遅いんですのよ!」
レナ「そうだよ。知恵先生怒るとすっごく怖いんだから!」
圭一「そうだな…ん?」
…。
「あ、あの…ですから部外者の方を入れる訳には…」
「ならばどうすれば入れる?」
「え?…い、いえですから、関係者の方以外は…」
「関係者になるにはどうすれば良い?」
「え、ええと…出来ればまず身分を明かして頂いてですね…」
「身分証か。生憎今は持ち合わせていない」
「そんな堂々と言います…?」
「ダメか?」
「ダメっていう言葉が一番最適なんですよ。この場合」
「ならばここで雇ってくれ」
「警察呼びますよ」
「俺も警察の仲間ではあったが…」
「警察はそんな格好しないと思いますよ」
…。
22 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:20:27.37 ID:Dq28VAqnO
沙都子「…アレなんですの?」
魅音「…まー…うん。そーいう…のじゃないの?」
梨花「…」
レナ「…うーん…」
圭一「そういうの…っつーか…そういうのだったら、もっとコソコソしてるっつーか…」
魅音「確かに、随分堂々としてるよね…」
レナ「真っ正面から来てるみたいだし…」
沙都子「ストロングな変態なだけですわよ」
梨花「…!ッ…」ダッ
沙都子「!?り、梨花!?」
魅音「梨花ちゃん!?」
梨花「…知恵!知恵!!」
知恵「!?ふ、古手さん…?」
梨花「そ、その人は…えっと…」
「…」
知恵「…こ、この人は…お知り合い?」
「…」
梨花「ぼ、ボクの…」
知恵「…」
梨花「し、親戚の、遠縁の親戚の、お兄さん…なのですよ!」
知恵「それもう他人で良いんじゃないですかね?」
23 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:21:11.80 ID:Dq28VAqnO
「…」
梨花「えっと…」
「お前が、古手梨花か」
梨花「!」
「羽入から話は聞いた」
梨花「あ…」
知恵「…あの、とりあえず、お引き取り願えませんか?もうすぐ始業時間ですし…」
梨花「あ、あの!」
知恵「?」
梨花「この、この人は…」
「…俺の名は」
知恵「…?」
「チェイs」
梨花「左之助!左之助なのですよ!」
24 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:22:16.34 ID:Dq28VAqnO
知恵「…左之助?」
梨花「はいなのです!紫、紫左之助なのです!」
知恵「…左之助さん?」
チェイス「違う」
知恵「左之助じゃないらしいですよ」
梨花「左之す…けっっ!!」ゲシィ
チェイス「違う」
知恵「…え、ええと…左之助さん。今日のところは、申し訳ありませんが…もしここで働きたいというのなら、まず身分をしっかりさせて、きちんと教員免許を取ってですね…」
梨花「…ッッ…!」ズキンズキン
チェイス「…免許か」
知恵「はい。こういうのは、ここの人がはい良いですよで入れるものではありませんから」
チェイス「分かった。その免許を取ることにしよう」
知恵「そんなジュース買おうみたいな感覚で取れるものじゃないんですよ」
チェイス「…」
梨花「…さ、左之助!とりあえずこっちに来るのです!」グイッグイッ
チェイス「俺は左之助では…」
魅音「…えーと…おーい、梨花ちゃーん!先、行ってる…よ?」
梨花「は、はいなのです!ボクもすぐに行くのです!知恵、ごめんなさいなのです…」
知恵「い、いえ…話がつきましたら、来て下さいね?」
梨花「はいなのです!」
沙都子「…?」
25 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:22:56.60 ID:Dq28VAqnO
…。
梨花「はーっ…はーっ…」
チェイス「お前が梨花だな?」
梨花「…あのねぇ…」
チェイス「羽入から話を…」
梨花「話を聞いても!登場の仕方って、もんが、あるでしょ!?」
チェイス「しかし、これ以外お前に会う方法が無かった」
梨花「…いや、そうかもしれないけど…」
チェイス「俺には戸籍が無い。身分を証明出来るものも無い」
梨花「…もう良いわ。その辺は何とかするから…何とか出来る自信無いけど」
チェイス「それと俺は左之助ではない」
梨花「もう良いから!つい左之助って出ちゃったの!!」
チェイス「…」
26 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:23:52.73 ID:Dq28VAqnO
梨花「…ちなみに、名前は?」
チェイス「チェイスだ」
梨花「却下。どう見てもアンタ日本人よ」
チェイス「俺達ロイミュードは、人間の身姿をコピーして人間体を持つ」
梨花「…や…もうアンタの正体は良いわ。混乱しそうだから」
チェイス「…俺は、ここでは紫左之助として生活すれば良いのか?」
梨花「もうそれしか無いわよ。…名前のセンスがどうとか言わないでよ?」
チェイス「了解した」
梨花「…それよりも、羽入よ。羽入は何処?アンタ、知ってるんじゃないの?」
チェイス「…」
梨花「いつもなら私から離れることはないのに。今回に限って…」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…いない」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…え?」
チェイス「羽入は、俺を含めた時間全てを巻き戻し、力を使い果たした」
梨花「…」
チェイス「俺を送り届け、羽入は33年後の世界に残った」
梨花「…え…?」
チェイス「羽入から全てを聞いた。時間は少ない」
梨花「…」
チェイス「だから、最短でお前に会える方法を選択した。一刻も早くお前達を救う為に」
梨花「…ごめん。もう一回。もう一回だけ…説明して?」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「羽入がいるのは、33年後、お前達が死んだ未来だ」
梨花「…」
チェイス「いつかは分かる。だから隠すことはない」
梨花「…そんな…」
チェイス「…」
梨花「…嘘…でしょ…?」
第1話 終
27 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 04:24:58.51 ID:Dq28VAqnO
続きまたそのうち書きます
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/12(金) 08:05:44.45 ID:5aQcfxHyo
これはエタるフラグ
29 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:30:59.58 ID:I0aTLmJBO
梨花「…」モグモグ
沙都子「…」モグモグ
チェイス「…」
梨花「…」モグモグ
沙都子「…」モグモグ
チェイス「…」
沙都子「…ン、ン゛ン゛!!」
チェイス「…」
沙都子「…ン゛ッ!!…ン゛ン゛ッン゛!!!」
梨花「…」モグモグ
沙都子「ン゛ン゛!!!」
チェイス「どうした?」
沙都子「その言葉そっくりそのままお返ししますわ」
チェイス「…?」
沙都子「何が悪いみたいな顔されても困るんですのよ」
梨花「…」モグモグ
沙都子「…まず、左之助?…さん。貴方はこの村の住人ではない」
チェイス「そうだ」
沙都子「そして、私は貴方を知らない」
チェイス「俺はお前を知っている」
沙都子「清々しい変態ですわね」
30 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:32:21.00 ID:I0aTLmJBO
梨花「…」モグモグ
沙都子「…というより、も!!まず!!」バン!
チェイス「…」
沙都子「常識的に考えて下さいまし!普通、そのような方が!レディーの家に転がり込んで!おかしいと思いませんの!?」
チェイス「…」
沙都子「梨花も梨花ですわよ…何か事情があるとはいえ、大人の、それも男の方をスッと家に上げて…」
梨花「…左之助は、悪い人ではないのですよ」
沙都子「悪い人ではないのかもしれませんわよ。でも!常識的にどうかという話!ですわ!!」
梨花「いきなりだったので、仕方ないのですよ…」
沙都子「…はぁ…」
梨花「…」モグモグ
沙都子「梨花も何だか元気が無いようですし…とりあえずしばらくは良いですわ。…しかし!」
チェイス「?」
沙都子「も・し・も!!私達に何かしようものなら…その時は叩き出しますわよ!」
チェイス「了解した」
沙都子「それと!家に居候するだけなんてこの私が許しませんわ!」
チェイス「…」
沙都子「働かざるもの食うべからず。ここに居たいというならば、それなりに家事はやって頂きますわよ」
チェイス「了解した」
沙都子「…本当に大丈夫ですの?この人…」
梨花「…大丈夫なのですよ」
…。
31 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:33:06.92 ID:I0aTLmJBO
梨花『羽入が…いない…?』
チェイス『33年という月日を戻し、俺を送り込む。羽入の力ではそれが限界だった』
梨花『…』
チェイス『羽入の話では、前原圭一という子供がまず事件を起こしたと聞いた』
梨花『…』
チェイス『それを無くしても、次は園崎魅音、園崎詩音が発端となる』
梨花『…』
チェイス『それを回避すると、次は北条沙都子。そして竜宮レナ』
梨花『…』
チェイス『そこからは、まだ見ていない。そう聞いた』
梨花『…羽入は、どうなるの?』
チェイス『…』
梨花『私達が、運命を乗り越えられても、それを羽入は見ずに終わるの?』
チェイス『…』
梨花『…そんなの、何の意味も…無いじゃない…』
チェイス『…』
梨花『私には、諦めるなって言っておいて、自分は…』
チェイス『…』
梨花『…何の為に、世界を戻したのよ…!!』
チェイス『…』
32 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:33:43.97 ID:I0aTLmJBO
チェイス『…羽入は、俺にこう言った』
梨花『…』
チェイス『お前達に、未来を与えてやりたい、と』
梨花『…』
チェイス『そこに、羽入は含まれていなかった』
梨花『…!…何を…!』
チェイス『自分を犠牲にして、羽入はお前達の未来を選んだ』
梨花『ッ…!知った風な口、聞いてんじゃないわよ!!』
チェイス『…』
梨花『羽入はね!!もうずっと前から一緒に居るの!!ずっと!!』
チェイス『…』
梨花『ただの仲間なんかじゃない!!一心同体でやってきたの!!』
チェイス『…ダチ、というやつか』
梨花『それを…っ…』
チェイス『…』
梨花『…そんな…顔で…そんな、淡々と…!!』
チェイス『…』
梨花『言わないで…!!』
チェイス『…』
梨花『…!!』
33 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:34:24.98 ID:I0aTLmJBO
チェイス『お前は、羽入が大事か?』
梨花『…』
チェイス『大事か?』
梨花『…大事に、決まってるでしょ…!』
チェイス『…羽入も、同じだ』
梨花『…!』
チェイス『…羽入は、そんな大切なお前の為に、世界に一人取り残される事を覚悟して俺を送り込んだ』
梨花『…』
チェイス『…その覚悟を、台無しにさせるな』
梨花『…』
チェイス『…』
梨花『…アンタも…』
チェイス『…』
梨花『…アンタも、全部、犠牲にしてきたの?』
チェイス『…』
梨花『一人で、ここに…』
チェイス『俺の目的は、生きとし生けるもの全てを守る事』
梨花『…』
チェイス『何処に居ても、それは変わらない』
梨花『…』
チェイス『俺はお前達を守る。羽入の為に、お前の為に』
梨花『…チェイス…』
チェイス『左之助だ』
梨花『今はチェイスで良いのよ!!』
…。
34 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:35:20.86 ID:I0aTLmJBO
沙都子「良いですこと?先ずはお風呂の掃除ですわ!」
チェイス「了解した」
沙都子「…全く、素直ですわね。圭一さんにも見習って欲しいものですわ」
チェイス「…圭一…」
沙都子「どうかされましたの?」
チェイス「…いや」
…。
……。
羽入『圭一が雛見沢症候群を発症する発端は13日、学校の帰りにレナと近くのゴミ処理場に宝探しに行った時にあります』
チェイス『…』
羽入『レナと離れ、一人でいた時に、近くを通りかかったフリーカメラマン、富竹ジロウに声をかけられ、そこで過去の事件の事を知ります』
チェイス『バラバラ殺人、の話か』
羽入『はい。それをひた隠しにするレナや魅音に、疑心暗鬼になっていくのです。そして、富竹ジロウの死を皮切りに…』
チェイス『…』
羽入『そして全てを信用出来なくなった圭一は、たまたま遊びに来た二人を…』
チェイス『…』
…。
……。
チェイス「…」
梨花「…」
沙都子「それが終わったら、お風呂を沸かして下さいまし。…ぬるめで」
チェイス「…沙都子」
沙都子「…いきなりレディーを呼び捨てとは、遠慮の無い殿方ですわね」
梨花「…」
チェイス「…」
沙都子「…それで?何ですの?真剣な顔をして…」
チェイス「…お前は、俺の全てを、知りたいと思うか?」
沙都子「…」
梨花「…」
チェイス「…」
沙都子「は?」
35 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:36:04.49 ID:I0aTLmJBO
沙都子「は?」
チェイス「知り合いの、過去や、普段の事、全てを知りたいと思うか?」
沙都子「…ああ、そういうことですの。…そうですわね…」
梨花「…」
沙都子「…思いませんわね」
梨花「!」
沙都子「知って、どうするんですの?それに話して嫌な気分になることもあるでしょうし…無理に聞こうとは思いませんわ」
チェイス「…」
沙都子「貴方のきちんとした情報を知りたいとは思いますわよ?いくつで、何処から何故ここに来たのか、とか…」
梨花「…沙都子…」
沙都子「誰しも話したくないことはあるものですわ。なら聞かないのが1番。違いますの?」
チェイス「…」
沙都子「…ま、そんなところですわね」
チェイス「…沙都子」
沙都子「はいはい…何ですの?」
チェイス「…見ず知らずの、俺を受け入れてくれて…」
沙都子「…」
チェイス「…ありがとう」
沙都子「さほど受け入れてませんわよ」
36 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:37:46.09 ID:I0aTLmJBO
沙都子「zzz…」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「今日、夕方。圭一は富竹ジロウと出会い…」
梨花「知ってるわ。このまま行けば圭一は雛見沢症候群を発症する」
チェイス「…」
梨花「発症したが最後、治る事はない」
チェイス「…」
梨花「とは言っても、悪化を止める事は出来るわ」
チェイス「…リビングの棚に、梱包された注射器が入っていた」
梨花「あら、プライベートを覗いたの?」
チェイス「2人の箸を出す時に、間違って開けてしまった」
梨花「…それで?」
チェイス「沙都子には、兄がいると聞いた」
梨花「ええ。それも症候群の中でも1番。Lv5よ」
チェイス「…」
梨花「でも行方不明のまま。結局見つかることはなかったわ」
チェイス「…」
梨花「叔母を金属バットで撲殺。その後…」
チェイス「…お前が、雛見沢症候群にかかっているとは思えない」
梨花「…」
チェイス「感染者は、沙都子か」
梨花「…ご明察。あの子は今Lv3よ」
チェイス「…あの注射器は、それを抑える薬か」
梨花「一時的にだけどね。定期的に打たないと、直ぐに発症よ」
チェイス「…沙都子は、知っているのか?」
梨花「…沙都子はまだ小学生よ。そんな子に、どうやって伝えるの?」
チェイス「…」
37 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:38:23.54 ID:I0aTLmJBO
梨花「…沙都子には、無害な薬の治験と伝えてあるわ。…あの子がもう少し大人になったら直ぐにバレるだろうけど」
チェイス「…」
梨花「…まだ圭一は発症していない」
チェイス「…今からなら、まだ間に合うということか」
梨花「あの注射器を、圭一に使う。そうすれば少なくともこの惨劇は回避出来る」
チェイス「…」
梨花「貴方、圭一を取り押さえられる?」
チェイス「造作も無い」
梨花「もし圭一が惨劇を回避出来ないのなら、その時は…」
チェイス「だが、それでは感染者を増やすだけだ」
梨花「…?」
チェイス「もし惨劇を回避したいのなら、1人の犠牲も出してはならない」
梨花「…」
チェイス「誰も傷つけさせない。そうでなくては羽入を裏切ることになる」
梨花「…甘いのね」
チェイス「…だが、不可能ではない筈だ」
38 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:39:07.52 ID:I0aTLmJBO
沙都子「zzz…」
梨花「…」
チェイス「…この子は、誰とも分からない俺を受け入れてくれた。怪しい存在だと分かっていながら」
梨花「…」
チェイス「そして言った。抱える秘密は聞くべきではないと」
梨花「…」
チェイス「感染しているのにも関わらず、沙都子は既に乗り越えている」
梨花「…」
チェイス「この子に出来たのなら、圭一にも出来る筈だ」
梨花「…そうね」
チェイス「…」
梨花「…そう思ってた時が、私にもあったわ…」
チェイス「…?」
梨花「…圭一はね、そんじょそこらの人間とは違う」
チェイス「…」
梨花「何があっても諦めない、強い意志を持った人間よ」
チェイス「…」
梨花「運命なんて、平気な顔で捻じ曲げられそうな…頼り甲斐のある男だったわ」
チェイス「なら、何故…」
梨花「…解き方の分からない問題は、何度やっても無理なのよ」
チェイス「…」
梨花「運命を乗り越えても、待っていたのは死」
チェイス「…」
梨花「…理不尽よね。どう頑張っても、7月を迎えられないんだから」
チェイス「…お前は、諦めたのか?」
梨花「…」
チェイス「諦めたのならば、何故時間を戻させた」
梨花「…」
チェイス「俺がここに来たのは、お前が助けを求めたからだ」
梨花「…」
チェイス「そのお前が諦めるということは、羽入の覚悟を裏切ることになる」
梨花「…」
チェイス「ダチの思いを、裏切るな」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…簡単に、言ってくれるのね」
チェイス「…」
梨花「…でも、ありがとう」
チェイス「…」
梨花「…今の私には、それくらいが一番嬉しい」
39 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:39:50.38 ID:I0aTLmJBO
…。
……。
知恵「…」
梨花「…」
チェイス「…」
知恵「…あの、私言いましたよね?」
チェイス「分かっている」
知恵「…分かっていると言われましても…」
チェイス「だが、何とかして欲しい」
梨花「ボクからもお願いしますですよ。知恵」
知恵「…いくら古手さんの頼み事と言われましても…」
チェイス「…」
知恵「…この方を、ここで雇うのは…」
梨花「でも、人手が足らないといつもボヤいていたのを知っているのです」
知恵「…ですが…資格の無い方に教鞭を執らせる事は…」
チェイス「報酬はいらない。それならば仕事とは言わない筈だ」
知恵「…ボランティア、だと…?」
チェイス「そうだ」
知恵「・・・」
梨花「…」
知恵「…校長先生。どうされますか?」
校長「…そうですなぁ…」
知恵「本人はボランティアでも構わないと言っていますし…」
梨花「その上ボクのお墨付き、なのですよ」
校長「ううむ…」
梨花「それにチェ…左之助はとっても強いのです。悪い奴なんか一瞬でぱーん☆なのです」
知恵「この人の方がよっぽど悪そうに見えるんですよ」
チェイス「…服か。生憎これ以外は…」
校長「…」
40 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:40:33.33 ID:I0aTLmJBO
校長「…左之助…さん…で、よろしいのかな?」
チェイス「何だ」
校長「…確かに、貴方からは悪人の気配はしません」
チェイス「…」
校長「…しかし、ですな。それよりも…」
チェイス「…」
校長「…何故、ここを選んだのですか?」
チェイス「…志望動機というやつか」
校長「他にも教鞭を執る事が出来る場所はいくらでもある筈です」
梨花「…」
校長「貴方が、ここを選んだ理由は?」
チェイス「…」
校長「…貴方の言葉で、説明してはもらえませんかな?勿論、嘘偽り無く…」
チェイス「…」
梨花「そ、その…」
チェイス「…」
梨花「ぼ、ボクが代わりに…」
校長「いえ。彼に説明してもらわねばなりません」
知恵「…」
校長「身分も怪しい。目的も不明。そのような者をここに入れるのは私が許しません」
チェイス「…」
校長「ですから。貴方に聞きたい」
チェイス「…」
校長「ここに、何をしに来たのですか?」
41 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:41:17.65 ID:I0aTLmJBO
チェイス「…」
梨花「…」
校長「…」
チェイス「俺の名は、左之助ではない。チェイスだ」
知恵「!」
梨花「!?…ちょっ…!」
チェイス「そして俺は、古手梨花とは何の関係も無い」
校長「…ほう…」
チェイス「俺は、ここに呼ばれた」
梨花「…!!?」
チェイス「この村を守れと、人間を守れと言われた」
知恵「…」
校長「…」
チェイス「…信用は、出来ないか」
知恵「…」
校長「…」
梨花「・・・」
チェイス「…ならば、こうするのが一番早い」スッ
校長「む…?」
知恵「?」
チェイス「…」
梨花「え…?」
チェイス「…」グッ
http://youtu.be/JIde65wVR54
梨花「…え…?」
『Break up』
校長「!?」
知恵「…!」
42 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:42:13.83 ID:I0aTLmJBO
http://www.heroshock.com/wp-content/uploads/2014/12/zpsa498f41c.jpg
チェイス「…」
梨花「…あ…」
知恵「…こ、ここ…校長…先生…!!」
校長「…!!」
チェイス「…俺は、人間ではない」
校長「…」
チェイス「人間に作られた機械生命体、ロイミュード」
梨花「…本当…だったの…?」
チェイス「俺の使命は、この村を襲う「何か」から、お前達を救うことだ」
知恵「…」
校長「…チェイス、さん…」
チェイス「それが何かは分からない。だが少なくとも、こうすることで守る手段は増える」
校長「…」
チェイス「…俺を、此処で雇ってくれ」
校長「…」
知恵「…」
梨花「…」
校長「わ…」
チェイス「…」
校長「…分かり…ました…」
第2話 終
43 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/12(金) 22:42:40.47 ID:I0aTLmJBO
続きまたそのうち書きます
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/12(金) 23:11:10.00 ID:4HPebB9cO
乙……と労うのが人間のルールではないのか
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/12(金) 23:26:24.40 ID:wLwekr6FO
期待してるぞ
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/12(金) 23:26:44.76 ID:A+0fNtPko
乙
000じゃなくてチェイサーになるのか、まぁシグナルチェイサーは剛に渡してるし仕方ないといえば仕方ないか
ライノがあるか、プロトスピード持ってるかは気になるけどまぁ素のチェイサーでも負けないだろ
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 06:00:41.70 ID:f0a/wY+DO
剛役の人がK1役やったからこのクロス?
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 10:40:56.88 ID:I9853MTDo
普通に好きなモノと好きなモノで合わせただけじゃないの
49 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:38:23.45 ID:RTjDP4q9O
知恵「…は、はーい!じゃあ…岡村君?この問題は分かりますか?」
岡村「は、はい…えっと…」
富田「…」
岡村「え、えっと…こ、こう…でしょ…うか…?」
チェイス「違う」
岡村「ヒイッ!!?」
富田「うわっ!!?」
チェイス「文章を良く読め。大概の計算問題は文章にヒントが書いてある」
岡村「は、はいぃ…」
知恵「…」
チェイス「人間が作った問題だ。同じ人間に解けない筈はない」
岡村「はひぃ…」
…。
圭一「・・・」
魅音「・・・」
レナ「・・・」
沙都子「…」
梨花「…」
沙都子「…梨花?」
梨花「…」
沙都子「…どうして、こうなったんですの?」
50 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:39:12.51 ID:RTjDP4q9O
…。
……。
梨花『機械生命体…ロイミュード…』
知恵『…これは…現実…なの…?』
校長『…』
チェイス『現実かどうか、それは知らない。ただ俺は自分の役目を果たしに来た。それだけだ』
校長『…その為に、未来から…』
チェイス『そうだ』
校長『…チェイスさん』
チェイス『…』
校長『…この老いぼれの耳が腐ってなければ確かに、何かが、この村を襲うと聞きましたが…』
チェイス『そうだ』
校長『それは、いつ、なのですか?』
チェイス『…少なくとも、今のままではお前達は7月を迎えることすら出来ない』
知恵『!』
校長『…ほう…』
チェイス『そうならない為に、まず情報を集めたい』
梨花『…』
校長『…古手さんは、この事を?』
梨花『…』
チェイス『梨花。嘘を吐くな。この男に嘘は通じない』
梨花『…!』
知恵『…』
校長『…人生経験は、貴方達よりは上ですからな…人を見極める力はそれなりにあると思いますが…』
梨花『…』
校長『…』
梨花『…話せば、長くなる。…だから、少しだけ』
校長『どうぞ』
知恵『…古手…さん…』
梨花『私も貴方達も、もう何百回も死んでる』
知恵『!!』
校長『…!』
51 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:39:53.57 ID:RTjDP4q9O
梨花『その度に、世界をやり直してる。…「今」、この世界は33年振りだけどね』
校長『…参りましたな』
知恵『…あ、あの…』
校長『…そのような事に、今まで気づかなかったとは…』
梨花『無理もないわ。記憶が残るのは私だけだもの』
知恵『…あの』
校長『知恵先生。このお二方は嘘なぞ吐いてはおりません。本心です』
知恵『…ですが、あまりに突拍子もない…』
校長『その為に、彼は正体を明かしてくれた。それにそう考えれば彼が何故この学校に来たのかも合点がいく』
知恵『…』
梨花『…』
校長『…雛見沢村の住人全員の命の危機。もしも、それが本当だとしたら…』
チェイス『…』
校長『…迷う必要はありませんな』
梨花『…じゃあ』
校長『私達で良ければいくらでも力になりましょう。場合によっては警察にも…信じてはもらえないかもしれませんが…』
チェイス『…ありがとう』
…。
……。
52 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:40:38.07 ID:RTjDP4q9O
魅音「…うーん…にしても、あの左之助って先生にゃー驚いたね」
レナ「そうだねぇ。沙都子ちゃんのトラップも簡単に避けられちゃったし」
沙都子「うぐぐ…精度をもっと高めねばなりませんわね…」
魅音「オマケにあのポーカーフェイスだしねぇ…自己紹介の時も今も、眉一つ変わってないよ」
圭一「…梨花ちゃんの知り合い…なんだよな?ならどういう人なのか、知ってるのか?」
梨花「みー…ボクも久し振りにお会いしたので、細かい事は分からないのですよ」
圭一「…そ、そっか」
梨花「…」
チェイス「…勉強は、進んでいるか?」
圭一「うわっ!?」
チェイス「…」
魅音「あ、あははー…な、何とか…」
チェイス「…前原、圭一」
圭一「えっ?」
チェイス「…竜宮、レナ」
レナ「は、はうっ?」
チェイス「…園崎、魅音」
魅音「!」
チェイス「…お前達は、いつも3人で勉強をしているのか?」
魅音「…え、え…ええまあ!ほら!アタシらしか年長組はいないし…」
レナ「で、でも!圭一君がいつも教えてくれてて…」
チェイス「…そうか」
梨花「…」
チェイス「…圭一」
圭一「は、はい?」
チェイス「計算が途中から合っていない」
圭一「え?…あ」
チェイス「人に教えるのならば、もっと責任感を持って教えるべきだ」
圭一「…」
チェイス「レナと魅音はお前を信頼して、全てを委ねている」
魅音「え?す、全てはー…あはは…」
レナ「あ、あはは…」
圭一「…」
チェイス「…」
梨花「…」
53 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:41:30.27 ID:RTjDP4q9O
梨花「(…結局あれから普通に授業して、お弁当食べて…)」
魅音「…んー…」
圭一「…」
梨花「(今日もこのまま、何も変化せずに終わるのかしら…)」
魅音「…これっ!!」ヒョイ
圭一「がっ…!?」
魅音「はーい!私の勝ちー!」
沙都子「おーほっほっほ!圭一さんのビリッッケツ決定!ですわね!」
圭一「あああああああ!!!昨日のカードはどうした!昨日の傷付きカードは!」
魅音「バレたのに使う訳ないじゃーん☆」
圭一「何ぃぃぃぃぃ!!?この卑怯者ぉぉぉぉおおおおお!!!」
魅音「あっはっはっは!まー新入りの通過儀礼だと思ってさー♪」
沙都子「さ!潔く罰ゲームを受け入れるんですのよぉ?」
圭一「うぐぐ…分かった!だが次はこうはいかねぇ!次は勝つ!絶対に勝つ!」
レナ「そうだよ圭一君!レナ応援してるからね!」
沙都子「…レナさん1番上がりでしたわよね?」
圭一「…さ!今日の罰ゲームは何だ!!」
梨花「(…けど、チェイスだって何か考えが…)」
魅音「はいよっ!…今日はぁ…これっ!」バサッ
梨花「(…でも、あの不器用が服着て歩いてるような奴に…)」
圭一「…なっ…?」
沙都子「今日の罰ゲームは…メイド服を着て村を練り歩く!ですわよ!」
圭一「…んなぁぁぁぁぁぁ!!?」
魅音「はいはーい!レナ!圭ちゃん抑えててー♪」
レナ「はう〜…圭一君のメイド服姿…見たいよぅ、見たいよぅ」
圭一「お前ら…!覚えてろよー!!!」
梨花「(…でも、さっき…)」
沙都子「おーほっほっほっほ!それは負け犬の遠吠えと言うんですのよ!!」
圭一「だああああああ畜生ぉぉおおおおお!!!」
梨花「(確かに…チェイスは圭一に…)」
…。
54 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:42:14.19 ID:RTjDP4q9O
圭一「…あーもう…何たってこんな格好…」
魅音「似合ってる似合ってる。可愛いよぉ」
圭一「嬉しくないんだよ!レナは俺の事お持ち帰りしようとしてたし…村の人はめちゃくちゃこっち見てくるし……ったく…」
魅音「あはは。そりゃそんだけ似合ってりゃみんな見るって」
圭一「嬉しくないんだよ!!」
魅音「…ちなみにそのメイド服…前に着たのはレナだよ」
圭一「えっっ!!?」
魅音「もしかして、洗ってなかったかも…」
圭一「えっっっ!!?」
魅音「……あーっはっはっはっは!!!圭ちゃん顔真っ赤ー!!」
圭一「…!!!み、魅音ー!!!」
魅音「あっはははは!!!ごめんごめんって…あはは…」
圭一「ったく…からかうのも大概にしろよなー…」
魅音「やー…でも圭ちゃん何だか元気無かったみたいだからさー…」
圭一「え?」
魅音「ん?」
圭一「そ、そうだったか?」
魅音「そうだよぉ。ずーっと何か考え事してた」
圭一「…」
魅音「で?何かあった?」
圭一「…えっと…さ、魅音」
魅音「ん?」
圭一「…そのー…昔、此処で…」
魅音「…」
圭一「…バラバラ殺人があったって…」
魅音「・・・無かった」
圭一「!」
55 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:42:53.45 ID:RTjDP4q9O
魅音「…」
圭一「…」
魅音「…でさー!圭ちゃん帰ってくる前の沙都子がねー?」
圭一「…」
…。
チェイス『レナと魅音はお前を信頼して、全てを委ねている』
…。
圭一「…魅音」
魅音「ん?…」
圭一「…大丈夫だ」
魅音「…」
圭一「何があったって、この村を嫌いになったりしない」
魅音「…」
圭一「俺に気を遣ってくれてるなら、嬉しい…けどさ」
魅音「…」
圭一「俺もこの村の住人だし、良いところも、悪かったところも、知ってみたい」
魅音「…圭ちゃん…」
圭一「…でも、無理にとは言わない。お前がそこまで隠すってのは、理由があるってことだから」
魅音「…」
圭一「…」
魅音「…圭ちゃん」
圭一「…」
魅音「…面白い話じゃ、ないけど…」
圭一「…」
魅音「…あのね…」
56 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:44:31.14 ID:RTjDP4q9O
沙都子「〜♪」ジュー
梨花「昭和50年、ダム建設計画の話が出てきてね。この村を全部沈めるって…」
チェイス「…」
梨花「勿論、住人達には手厚い謝礼金が支払われる予定だったわ。老人が多かったし、何より彼らはこの村を愛してやまなかったから」
チェイス「…しかし、住人達は立ち退きを拒否した」
梨花「そう。…拒否だけじゃ済まなかったけどね」
チェイス「…」
梨花「昭和53年。当時の建設大臣の娘が誘拐される事件が起こったわ」
チェイス「…」
梨花「結果的に救えはしたけれど犯人は捕まらず、事件は未解決のまま」
チェイス「…お前は、その時も既に?」
梨花「ご想像にお任せするわ。…そして、遂に起こったのよ」
チェイス「…例の、バラバラ殺人か」
57 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:45:06.60 ID:RTjDP4q9O
梨花「そう。犯人は恐らく村人の誰か。相手は建設会社の現場責任者」
チェイス「…状況的に、そう考えるのが妥当だろうな」
梨花「この現場責任者が隣町の興宮警察署のとある狸刑事の知り合いでね。躍起になって雛見沢に関わろうとして。…でも後にこの男のせいで圭一やレナ達はこの村全体に畏怖の念を抱いてしまうの」
チェイス「…刑事…か」
梨花「?」
チェイス「続けろ」
梨花「…でもね、結局捕まったのは1人だけ。納得いかないみたい。このた…大石刑事は」
チェイス「…」
梨花「…それで、もう限界だって建設会社が引き上げてね、ダム開発は白紙になったのよ」
チェイス「…しかし、33年後は違った」
梨花「誰もいないんだから。そりゃ丁度良い土地が出来たって話じゃない」
58 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:45:40.62 ID:RTjDP4q9O
チェイス「…」
梨花「…でも、そうはさせないんでしょ?」
チェイス「その為に俺はここにいる」
梨花「…そう」
チェイス「…やはり、寂しいか?」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…野暮な質問、するものじゃないわよ」
チェイス「…」
梨花「…こういうのは、察して気を遣うってのが男ってものよ」
チェイス「…すまない」
沙都子「…さ!出来ましたわよ!左之助さん!梨花!今日はハンバーグですのよ!」
チェイス「…」
梨花「…ほら!左之助!沙都子の美味しいご飯なのですよ!」ポン
チェイス「…了解した」
59 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:46:25.39 ID:RTjDP4q9O
圭一「…」
…。
魅音『ごめんね圭ちゃん。…隠すつもりじゃなかったんだけど』
圭一『いや、分かってる。…そんな内容、これから楽しもうって新入りに話せたもんじゃないしな』
魅音『…全く、富竹さんもお喋りなんだからなー…』
圭一『?知り合いなのか?』
魅音『まあね。あの人毎年、この時期になると来るんだ。綿流しのイベントを見に』
圭一『へー…あ、カメラマンって言ってたもんな…』
魅音『…あ!でね?でね?これがもー…でも…あ、良いや、言っちゃえ』
圭一『?』
魅音『あのね?監督の診療所の…あ、まだ行ったことなかったっけ?』
圭一『あの診療所か?そういえば…え?監督?』
魅音『…あ。ごめんごめん。入江先生っていうんだけどさ。…ちなみに監督っていうのは、雛見沢ファイターズっていうこの辺の少年野球チームの、ね?…現場監督とかじゃないよ?』
圭一『分かってるよ……で?その診療所がどうしたんだよ』
魅音『あのね!そこのナースの鷹野っていう人と富竹さんが、…んもっ…すっっごく!仲が良くってねー…』
圭一『…へー…』
魅音『巷の噂じゃ、綿流しは二番手、一番は鷹野さんじゃないかってさー』
圭一『そりゃ…そうかもなー…』
魅音『でしょでしょ!?そう思うよねー!』
…。
圭一「…信頼、か…」
圭一「…レナも、俺に気を遣って…」
圭一「…!」パン
圭一「…よしっ…」
圭一「明日からは、またいつも通りの俺だ!」
圭一「…」
圭一「…全てを…」
圭一「委ねて…」
圭一「…!……いかんいかん…妄想が…」
60 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:47:19.62 ID:RTjDP4q9O
沙都子「どうですの?左之助さん」
チェイス「…何がだ?」
沙都子「どうって…」
梨花「…」
沙都子「美味しいかどうか!ですのよ!食事中なんですから!!味の評価に決まってるでございましょう!!?」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「俺に味を感じる機能は…」
梨花「ン゛ン゛!!!」
チェイス「…」
梨花「ン゛ッン゛ン゛!!!」
チェイス「…美味い」
沙都子「!…そ、そうでございましょう?私が作ったハンバーグなのですから………というより」
チェイス「どうした?」
沙都子「美味しいなら!!もっと美味しいって顔出来ませんこと!?ポーカーフェイスにも程がありますわよ!!」
チェイス「…」
沙都子「ほら、もっとこう…口角を上げて、にぱーっと…」
チェイス「口角を…」
梨花「…」
チェイス「…」ググ…
沙都子「…」
チェイス「…」グググググ…
沙都子「…」
チェイス「…」ギギギ…
沙都子「…笑おうという意思は伝わりましたわ…」
チェイス「…」
梨花「・・・」
沙都子「しかし、素直なのはとても良い事でしてよ。圭一さんももっと左之助さんのようになって欲しいものですわね…」
チェイス「…」ギチギチギチ
梨花「もう戻して良いのですよ」
61 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:47:51.53 ID:RTjDP4q9O
…。
?「…あのアマァ…!」
?「…なぁにが2人で一緒に、幸せにだ…!」
?「上納金掻っ攫って、1人だけ逃げよってからに…!!」
?「…こいつぁ…ちっとばかしマズい事になった…」
「…?お!おいおい!」
?「ああ…?何じゃ。ワシャあ今…お」
「鉄っつぁんじゃねえか!久し振りだなぁ!ええ?」
?「…何じゃ。随分立派な店構えたもんじゃのう…」
「そりゃあな。鉄っつぁんのおかげだよ。全く…どうしたんだよ。世界の終わりみたいな顔しちまって…」
?「…」
「…まあ、なんだ!どうだい?ちょっと一杯…」
?「…悪ぃが、ワシは今…」
「良いって良いって!それにもう店じまいだ。余りモンで良けりゃ食ってきなよ」
?「…すまんのう…」
…。
62 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:48:28.16 ID:RTjDP4q9O
「…は…はァ!?そ、園崎組の上納金を…!!?」
?「シッ…!!何処で誰が聞いとんのか分からん。あまり大きな声を出すな…」
「い、いや…だけどよ…そりゃちっとマズいぜ?…いや、ちっとじゃねぇ。本当に…」
?「…まあ、バレたら指の一本や二本じゃ済まん…な」
「指どころじゃねぇ。腕脚全部切り取っても足りねぇ…何たってそんな…」
?「…このナリと歳で稼ごうとしたって…今の世の中甘くねぇっちゅう事じゃろうな…」
「…」
?「そこに、あんクソアマの話が舞い込んできた」
「…成る程な」
?「…正直、命なんてどうでもええっちゅう額じゃったわ。金の力っちゅうもんは末恐ろしいもんじゃ」
「…」
?「じゃが、やっぱり人間、いざという時にゃ自分の命が惜しくなる。…今みたいに全部の責任押し付けられちまったらな」
「…そりゃ大層な女に引っかかっちまったもんだな」
?「…」
「どうすんだい鉄っつぁん。この先…」
?「…」
「園崎のモンが鉄っつぁんに気付いちまったら、俺だってどうにも…」
?「…その時の為に、な」
「?」
?「…保険はかけとるんよ」
「…保険?」
?「まあな。当てならある」
「…?」
?「…待っとれや…」
「…」
?「…沙都子よぉ…」
第3話 終
63 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/14(日) 23:48:55.60 ID:RTjDP4q9O
続きまたそのうち書きます
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/15(月) 01:21:44.90 ID:QPPuXOEb0
ロイミュードでも屈指の天然無愛想男だもんなあ…
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 02:26:42.47 ID:EWKU9rb+O
待ってるぜ
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/16(火) 06:45:52.70 ID:7TnoJ8fo0
これは俺得スレ
冷静にツッコミ入れる沙都子が良い
67 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:32:31.09 ID:fjZgGhIsO
…。
羽入『り、りぃかぁ…辛いのは食べないで欲しぃのでひゅぅ…』
羽入『苦いのも嫌なのです!甘いのが良いのです!』
羽入『シュークリームにぃ…シュークリーム…シュークリームぅ』
羽入『…!買ってくれるのですか!?ありがとうなのです!あうあう!』
羽入『は、早く…!久し振りのシュークリームなのです…!』
羽入『…あ、あうあう!焦らすのはダメなのですよ!梨花!』
羽入『…!お、おいひぃのでひゅ…』
羽入『梨花!ありがとうなのですよ!にぱー☆』
68 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:33:19.10 ID:fjZgGhIsO
…。
梨花「…」
梨花「…!」
梨花「…夢…」
梨花「…そうよね」
梨花「…羽入は、もう…」
チェイス「…」
梨花「…!」
チェイス「…」
梨花「…起きてたの?」
チェイス「睡眠機能はあるが、したところで意味は無い。だから起きてお前達の身の安全を確保する方が合理的だ」
梨花「…そう」
チェイス「…泣いているのか」
梨花「!…な、泣いてなんか…」
チェイス「涙が、流れている」
梨花「…ほんっと…デリカシーが無いのね…!」ゴシゴシ
チェイス「…」
梨花「…アンタには、一生かかっても分からないわよ…」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「俺も、涙を流したことがある」
梨花「!」
69 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:33:53.23 ID:fjZgGhIsO
沙都子「zzz…」
梨花「…アンタが?」
チェイス「人は、嬉しい時や悲しい時に涙を流す」
梨花「…まあ、そうね…」
チェイス「俺は、悲しい時だった」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…何が…あったの?」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「失恋だ」
梨花「寝るわ。静かにしててよ」
チェイス「…」
70 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:35:00.42 ID:fjZgGhIsO
チェイス「…」
梨花「…そういえば、だけど…」
チェイス「どうした」
梨花「…今日の夕方、圭一が魅音に事件のことを質問するのよ。魅音が明日の朝教えてくれるから分かるわ」
チェイス「それは羽入から聞いた」
梨花「…もし圭一が発症していたら、明日になればすぐ分かるわ」
チェイス「何故だ?」
梨花「昼ご飯の時に机をくっつけるんだけど、その動作が少し遅いのよ」
チェイス「…そうか」
梨花「…ねえ、チェイス」
チェイス「どうした」
梨花「…アンタ、圭一に変な事言ってたけど、アレはどういう意味だったの?」
チェイス「…」
梨花「魅音やレナが、圭一を信頼してるって…」
チェイス「…俺達ロイミュードは、単純な能力の他にも人間に対するセンサーが備わっている」
梨花「…」
チェイス「あの二人が圭一に接する時、心臓の鼓動が少し早くなり、体温が上昇している事に気がついた」
梨花「…あー…」
チェイス「特に魅音は顕著に表れていた」
梨花「…何?アンタってそういう話好きなの?」
チェイス「…」
梨花「…意外ね。もっとドライな奴かと思ってた」
チェイス「俺はお前達のように感情を自由に表すことが出来ない」
梨花「…」
チェイス「だから、学びたい。人間のコミュニケーションというものを」
梨花「…なら、アドバイスしてあげる」
チェイス「…」
梨花「…時には、熱い男も悪くないものよ」
チェイス「…」
…。
『ベルトさん!』
『アンタみたいな奴、どー…にも嫌いになれないんだよな』
『うわっ…霧子ォ!!?』
『考えるの、やーめた』
…。
チェイス「本当か?」
梨花「今の間は何?」
71 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:35:58.10 ID:fjZgGhIsO
…。
沙都子「…むにゃ…けいいちさーん…しゅぎょーがたりなくてよぉ…」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…」ムク
チェイス「まだ朝ではない」
梨花「分かってるわよ…何だか眠れなくなっただけ」
チェイス「お前は人間だ。睡眠は取らなくてはならない」
梨花「村がヤバイってのに、そんな事一々気にしないでよ」
チェイス「…」
梨花「…分かった。分かったわよ。じゃあ…もう少し話し相手になりなさい」カチャカチャ
チェイス「…待て」
梨花「何?」
チェイス「それは、酒か?」
梨花「…そうだけど…」
チェイス「ダメだ。お前は子供だ」
梨花「んがっ…!?あ、あのねぇ…こう見えて、アンタの10倍は…」
チェイス「だが、身体は子供だ。未成年の飲酒は健康に著しく害を与える」
梨花「もう何度も飲んでるわよ。それにちょっと酔ったくらいが…」
チェイス「それだけではない。発育にも大きく響く」
梨花「余計なお世話よ」
チェイス「…ルールはルールだ。守らなければならない」
梨花「…はぁ…分かったわよ…もう…」
72 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:36:47.26 ID:fjZgGhIsO
梨花「…アンタ、綿流しの儀式については聞いてる?」
チェイス「実物は見ていないが、古手神社の巫女が古い布団を裂き、その中の綿に願いを込めて川に流す儀式だと聞いた」
梨花「そ。…なら、大体知ってると思うけど…」
チェイス「…」
梨花「私は明後日から暫く帰るのが遅れる事になるわ。奉納演舞の練習があるから」
チェイス「…その間は」
梨花「心配は無用よ。その「何か」がやってくるのは綿流し後だから」
チェイス「…」
梨花「ただ、この子は別よ」
チェイス「…」
梨花「…私がいない間、沙都子は一人になる」
チェイス「…」
梨花「…つまり、あの男の格好の餌食になる可能性があるってわけよ」
チェイス「あの男…沙都子の、叔父か」
梨花「そう。この男ははっきり言って正真正銘人間のクズよ」
チェイス「…」
梨花「沙都子が発症するのは、この男のせい」
チェイス「…」
梨花「薬も打たず、虐待されて…沙都子は壊れてしまうの。…ただ」
チェイス「…ただ?」
梨花「…事件を起こすのは、沙都子ではない…」
チェイス「…」
梨花「沙都子の兄、悟史は知ってる?」
チェイス「ああ」
梨花「…彼が行方不明になってから、沙都子は心の拠り所を探していた」
チェイス「…圭一、か」
梨花「…察しが良いわね」
73 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:37:38.92 ID:fjZgGhIsO
梨花「圭一が疑心暗鬼になる要因は、一つだけじゃない」
チェイス「?」
梨花「圭一はね、沙都子の兄になろうとしたのよ」
チェイス「…兄…」
梨花「そう。悟史の代わり。…沙都子も次第に圭一の事を兄のように慕っていってね…」
チェイス「…兄…」
梨花「…それだけで、終われば良かったのに…」
チェイス「…発症か」
梨花「ええ。そのせいで殺意を抑えきれなくなった圭一は沙都子の叔父、北条鉄平を殺してしまったの」
チェイス「…」
梨花「それだけじゃない。…貴方、北条家については聞いてる?」
チェイス「…何のことだ?」
梨花「…昔ね、沙都子が産まれた当時。北条家の人間は園崎、公由家と折り合いが付かなくてね」
チェイス「…」
梨花「村八分って言葉は、知っているかしら?」
チェイス「ああ」
梨花「それが今でも続いてる。北条家はこの雛見沢では忌み嫌われる存在なのよ」
チェイス「…魅音やお前とは、仲が良いのに、か…?」
梨花「田舎にありがちな風習よ。私も魅音も、こればかりはどうしようもない」
チェイス「…」
梨花「…圭一は、そんな背景を知って雛見沢に敵意を向けるようになってしまうの」
チェイス「…この子の、為にか」
梨花「そう。…行き過ぎた正義感。褒められたものではないわ」
チェイス「…沙都子の親は、今何処にいる?」
梨花「…その辺は、またその内話すわ」
チェイス「…」
梨花「…可哀想。だなんて思わないであげて」
チェイス「…」
梨花「…この子の、精一杯のプライドの為に、ね」
チェイス「…」
沙都子「…zzz…」
74 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:38:21.57 ID:fjZgGhIsO
チェイス「何故、兄になろうとする?」
梨花「え?…さぁ、ね。…同情、かしら」
チェイス「家族になりたい。それは愛しているということではないのか?」
梨花「…どうかしらね。ただ、家族愛っていうのもあったかもしれないわ」
チェイス「家族…愛…」
梨花「異性としてではない。本当の妹のように」
チェイス「…そうか」
梨花「…」
チェイス「不思議だ」
梨花「?」
チェイス「何故、家族なのに虐待など…」
梨花「…ああ、叔父の事?」
チェイス「家族愛は、無いのか?」
梨花「…肩を持つ訳ではないけど、沙都子の親がしたことで少なからず影響はあったみたい」
チェイス「だが、その恨みを沙都子にぶつけたところで何も解決はしない」
梨花「それは、向こうもよく分かってる筈よ。けど、どうしようもないんでしょ」
チェイス「…」
梨花「行き場の無い怒りを、この子にぶつけるしかストレス解消法が無い」
チェイス「…」
梨花「アンタ、生きとし生けるもの全てを守るって言ってたわよね?」
チェイス「ああ」
梨花「…なら、どう?」
チェイス「…」
梨花「目の前で、沙都子が暴力を振るわれたら、貴方は北条鉄平をどうする?」
チェイス「振るわれる前に取り押さえる」
梨花「や…そうじゃないわね。じゃあ、もしも、北条鉄平が、沙都子の親権を盾に沙都子を奪ってしまったら、どうする?」
チェイス「…」
梨花「ルールはルールなんでしょ?これなら向こうに問題は無いわ」
75 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:40:28.91 ID:fjZgGhIsO
チェイス「…難しいな」
梨花「…そ」
チェイス「…」
梨花「…圭一は、解決させたわよ」
チェイス「!」
梨花「貴方には、出来るかしら?」
チェイス「…」
梨花「…まあ、その時は別の発症者が現れたんだけどね…」
チェイス「…」
梨花「大見得切ったんだから、やってみせなさい。出来ないだなんて絶対に言わせない」
チェイス「…どうやって、解決したんだ?」
梨花「あら?もう降参?」
チェイス「俺には出来ない、方法なのか?」
梨花「…この村の人間、隣町の人間。色んな人達を味方につけることが出来るかしら?」
チェイス「…」
梨花「圭一は口から産まれてきたような奴だから。見事に全員手玉に取っちゃったわよ」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…」グググギギ…
梨花「…貴方はまず感情表現の練習からだったわね」
76 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:41:13.38 ID:fjZgGhIsO
…。
沙都子「…んん…さのすけさん…わたくしのとらっぷをぉ…」
梨花「…」
チェイス「…寝ないのか?」
梨花「…もう少し、夜風に当たっていたいのよ」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「心配するな」
梨花「…え?」
チェイス「お前は…お前達は絶対に死なせない」
梨花「…」
チェイス「そんな残り時間を惜しむような行動はするな」
梨花「…」
チェイス「もう「それ」以上、お前を悲しませたりはしない」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…全く…」
チェイス「…」
梨花「…不器用な癖に…そういうところは鋭いのね」
チェイス「…」
梨花「…33年振りだもの」
チェイス「…」
梨花「怖くて、当然じゃない」
チェイス「…」
梨花「…」
77 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:42:19.13 ID:fjZgGhIsO
チェイス「梨花」
梨花「?」
チェイス「…」ギュ
梨花「…ロリコンに目覚めたの?」
チェイス「お前の不安や悲しみが、どうやったら止まるのか、考えた」
梨花「…」
チェイス「…だが、思いつかなかった」
梨花「…それで、これ?」
チェイス「俺には圭一のような器用さも、魅音やレナ、沙都子のように明るく振る舞う事も出来ない」
梨花「…」
チェイス「だが、約束する」
梨花「…」
チェイス「必ず、助ける」
梨花「…」
チェイス「だから、怯えるな」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…アンタと圭一、似てなくもないわよ」
チェイス「…ん…?」
梨花「…こうやって、真っ直ぐ向き合うところ」
チェイス「…」
梨花「約束」
チェイス「…」
梨花「絶対に破らないでよ」
チェイス「…了解した」
第3.5話 終
78 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/16(火) 21:42:52.91 ID:fjZgGhIsO
続きまたそのうち書きます
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 00:35:20.48 ID:nFZAru+Bo
乙
チェイスの不器用さが再現されてる
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 01:07:17.63 ID:kLLMHjrrO
ドライブのキャラはみんな良いよな
乙
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/18(木) 18:30:23.91 ID:fa+XwGbM0
キャラが全員生き生きしてて好き
82 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:55:33.47 ID:wzUQ9MOUO
魅音「あー!ごめん!今日の部活は無し!」
圭一「え?」
レナ「?」
沙都子「あら?何か用事ですの?」
魅音「それがさー…昨日の夜に知り合いから電話がかかってきてね?少しだけバイト頼まれちゃって」
圭一「へー。そりゃ大変だな」
沙都子「ん…まあ、実は私達も今日は興宮までお買い物に出掛けなければなりませんので…」
梨花「みー☆」
圭一「じゃあ、レナと俺だけか」
レナ「二人で部活は出来ないし、今日はお休みだね」
魅音「ごめんねー?明日は通常通りだから!よろしくっ!バイバーイ!!」バビューン
圭一「お、おお…」
沙都子「…何だか、嵐のように去っていきましたわね」
レナ「急いでるのかな?かな?」
梨花「何だか興宮のワードに反応していたようなのです」
沙都子「ん…あ!こうしてはいられませんわ!梨花!左之助さんを呼んで下さいまし!」
梨花「了解した。なのです!」
レナ「?左之助先生がどうかしたの?」
梨花「左之助は荷物持ち担当なのですよ」
沙都子「おーほっほっほ!左之助さんは圭一さんと違って力持ちですから!」
圭一「何ぃ!?」
沙都子「圭一さんは食器棚を一人で持ち上げることが出来まして?」
圭一「ゲッ…あの人そんな事出来んのかよ…」
沙都子「人は見た目によらないということですわ」
レナ「・・・見た目・・・?」
沙都子「…それは否定しませんわ…」
83 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:56:35.08 ID:wzUQ9MOUO
…。
チェイス「部活…」
沙都子「そうですのよ。魅音さんを中心として、様々なゲームで勝負をするのですわ」
チェイス「…部活というのは、ゲームをするものなのか?」
梨花「中身はゲーム同好会なのです」
沙都子「というより部として認知されてるのかどうかすら怪しいものですわね…」
梨花「でも楽しければ良いのですよ。ボクはとっても楽しいのです。にぱー☆」
沙都子「そうですわね…今ではなくてはならないものになっていますから…」
チェイス「…そうか」
沙都子「左之助先生も参加してみませんこと?そのポーカーフェイスなら、魅音さんも見破れませんわよ?」
梨花「カードゲームにボードゲーム、麻雀、色々あるのですよ」
チェイス「…俺は、遠慮しておこう」
沙都子「?」
チェイス「麻雀やボードゲームに関しては、ルールを知らない」
沙都子「あら?そうでしたの?」
梨花「(…そういえば、ロイミュードは人間の身姿をコピーするって言ってたわね…確か、記憶もそのまま引き継ぐって…)」
沙都子「私が教えてあげても宜しくってよ」
チェイス「…考えておこう」
梨花「(…どれだけ真面目な奴をコピーしたのよ…)」
84 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:57:35.19 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「…?」
沙都子「?」
「「「〜!」」」
「…」
梨花「みー…何だか騒がしいのです」
チェイス「…喧嘩ではないな」
沙都子「え?あ、ちょ…左之助さん!」
…。
「だーかーら!!テメェが今蹴飛ばしたのは俺のバイクだってんだよ!!」
「どーすんだ!?傷付いてんじゃねぇか!!」
「蹴飛ばしたんじゃなくて、蹴飛ばした缶が当たっただけですよ。傷もついてないし…」
「よく見ろよ!傷つきまくってんだろ!!?」
「それは貴方達の走り方に問題があるんじゃないですか?」
「んだとこのアマァ!!」
チェイス「何をしている」
「…あ?」
「!」
85 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:58:29.01 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「何故お前達はこの子に怒っている?」
「…んだよ。関係ねーだろ。すっこんでろ!」
チェイス「このままでは彼女が危険だ。見過ごすわけにはいかない」
「…」
チェイス「何があったのか説明しろ」
「あ?そりゃあ…こいつが蹴飛ばした缶が!ここに!当たったんだよ!俺のバイクに!!」
チェイス「…そうなのか?」
「…まあ、そうですけど、傷はついてませんよ。どう見たって壁に擦り付けた後じゃないですか」
チェイス「だが、お前の不注意が招いた事だ。謝らなければならない」
「…え?」
チェイス「ルールはルールだ。お前が謝れば済む話だ」
「…」
「…おい。おい!!」
チェイス「どうした」
「いや、何を勝手に終わらせようとしてんだよ!!」
「謝って済む問題じゃねぇんだよ!!」
チェイス「ならばどうすれば良い」
「…そうさなぁ…うひひ」
「そのボインを好きにさせてくれるってんなら…」
チェイス「ボイン?」
「…ッ!」
沙都子「左之助さん!」
梨花「左之助!」
86 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 21:59:34.67 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「どうした」
沙都子「どうした?じゃありませんわよ。わざわざ何を…あ、詩音さん」
詩音「あら?沙都子」
梨花「詩ぃ。どうしたのですか?」
詩音「どーもこーもありませんよ。このチンピラ様にいちゃもんつけられて困ってるんです。これからバイトあるのに…」
「誰がチンピラだぁ!!」
「調子に乗ってんじゃねえぞ!!」
チェイス「待て。原因を作ったのはお前だ」
詩音「…まあ、そうです…ね。どーもすいませんでした」ペコ
「ああ!?そんなもんで済まされる訳ねーだろ!」
「こいつ…ちょっと来い!」グイ
詩音「!」
沙都子「詩音さん!」
「あまり俺らを舐めてっとどうなるか教えtイダダダダダダダ!!!」
チェイス「…」ググ…
「てめ…!何すんだ!よっちゃんを離しやがれ!!」
チェイス「その女は謝った。もう終わった事だ」
「痛い痛い痛い痛い!!!折れる!腕が折れる!!」
「んだこいつ…!蹴っても殴ってもビクともしねぇ…!!っつか固ぇ!」
チェイス「それ以上彼女を責めるなら、話は別だ」
「分かった!分かったよ!!もうしない!しないから離してくれよおおおお!!」
チェイス「…」パッ
「…お…お…」
沙都子「…お?」
「覚えてやがれええええええ!!!」ピュー
「お、おい!よっちゃん!!」ピュー
87 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:00:52.76 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「…」
詩音「あっはっは!まるで負け犬ですねー、あれ…」
沙都子「ああいう輩に絡むものではありませんわよ。詩音さん」
詩音「しょーがないじゃないですか。成り行きですよ成り行き」
チェイス「…気をつけて、行動するべきだ」
詩音「はいはい…でも助けてもらっちゃって。ありがとうございました」
チェイス「…」
詩音「私は園崎詩音。沙都子の…知り合いの…魅音の、双子の妹です」
沙都子「ややこしいですわね」
梨花「みー。この方は紫、左之助なのですよ」
詩音「・・・左之助・・・?」
チェイス「…」
詩音「…そ、そうですか。でも助かりましたよ。ホント」
沙都子「それよりも詩音さん。バイトのお時間ではありませんの?」
詩音「…!ヤバっ!」
梨花「詩ぃは今日は色んな人に怒られる日なのです。にぱー☆」
詩音「り、梨花ちゃまったらもう…失礼しまーす!!」バビューン
チェイス「…」
沙都子「…本当、姉妹揃って嵐のようでしたわね」
梨花「左之助。今の人は園崎詩音。魅ぃの双子の妹で、興宮に住んでるのですよ」
チェイス「羽入から聞いている」
梨花「ン゛ン゛ッッッ!!!」
沙都子「!?」
梨花「ン゛…さて、買い物買い物…」
沙都子「・・・」
チェイス「…そういえば、沙都子」
沙都子「何ですの?」
チェイス「ボインとは何だ?」
沙都子「ン゛ン゛」
88 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:01:32.72 ID:wzUQ9MOUO
…。
レナ「ふー…お買い物、終了!」
圭一「はー…いつもこんなに買ってんだな…」
レナ「あはは…1週間分だから」
圭一「その上弁当だもんなぁ。…苦労してるんだな…」
レナ「そんな…圭一君だっていつもレナ達に勉強教えてくれるし…それにこうやってお買い物も手伝ってくれるし…」
圭一「良いって。こんなんで良けりゃこれからも手伝うよ」
レナ「こ、これからも!?…はうう…」
圭一「…っていうか、ただ何となくさ、恥ずかしくて」
レナ「?」
圭一「ほら、梨花ちゃんだって沙都子だって、家事を自分達でこなしてるんだろ?…俺、親に全部やってもらってるしさ」
レナ「んー…」
圭一「だから、手伝おうかなって思った…ってだけなんだ」
レナ「あはは。それでも嬉しいかな。…かな」
圭一「で?今日の晩御飯は何にするんだ?」
レナ「うーん…今日は…オムライスにしようかなって」
圭一「へー…オムライスってこんなに卵使うのか?」
レナ「い、1週間分だから。そんないっぱい使わないよう」
圭一「ほー…」
レナ「…」
89 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:02:34.19 ID:wzUQ9MOUO
レナ「圭一君は?今日はどうするの?」
圭一「今日?…うーん。母さんは出掛けてるし、親父は興宮の…エンジェルモートって店に行ってるし」
レナ「エンジェルモート…」
圭一「ああ。何だか凄い嬉しそうでさ。誘われたんだけど、断ってきたよ」
レナ「圭一君。そっちに行かなくて良かったの?」
圭一「?…そんな凄い店なのか?」
レナ「…色々と、圭一君の好きそうなお店かな。…かな…」
圭一「えっ!!?ま、マジで!?」
レナ「…けーいちくん。やっぱり…」
圭一「え!?あ、いや!こっち!レナとの買い物のが大事!!」
レナ「…ちなみに、ご飯は?」
圭一「カップ麺かな」
レナ「え?……うーん……」
圭一「良いって。1日くらい。流石に1週間カップ麺だったらヤバイけどさ」
レナ「…うーーーーーん…」
圭一「…レナ?腕組んでどうしたんだよ」
レナ「…お父さん…カレーくらいなら…」
圭一「…?」
レナ「うーーーーーーーん…」
圭一「長い長い」
90 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:03:26.12 ID:wzUQ9MOUO
…。
沙都子「んー…」
梨花「みー…やっぱり左之助の服を買うには出費が大きすぎるのです」
チェイス「服ならある」
沙都子「それしか無いのでは?」
チェイス「これで十分だ」
沙都子「十分じゃありませんわよ。道行く人間もれなく全員貴方のこと避けていきましたわよ」
チェイス「…」
沙都子「まあ、不思議と汗もかかないし臭いもしませんから何も言いませんでしたが、流石にここずっと同じ服なのは衛生的にどうかと思いますわ」
梨花「でもこのままでは予算オーバーになってしまうのです。パンツが限界なのです」ピラピラ
チェイス「…」
沙都子「うーん…」
梨花「これは困ったのです…」
沙都子「…んー…監督のお古を譲ってもらえるでしょうか?」
梨花「沙都子が頼めばお古でも新品でもくれる筈ですよ」
沙都子「でも、うーん…」
梨花「…みー…」
91 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:04:12.48 ID:wzUQ9MOUO
…。
レナ「…うん!レナ、決めたよ!」
圭一「?」
レナ「今日、圭一君のお家にご飯作りにいくよ!」
圭一「え?で、でも親父さんの…」
レナ「お父さんは料理出来るし…それに…」
圭一「それに?」
レナ「な、何でもない…でも大丈夫だから」
圭一「良いのか?そりゃ俺はレナの手料理が食えるなら嬉しいけど…」
レナ「ほ、ホント!?」
圭一「あ、ああ」
レナ「…えへ」
圭一「あ、あはは…」
…。
沙都子「あ」
梨花「あ」
レナ「あ」
圭一「あ」
チェイス「…」
沙都子「…あら…」
レナ「あれ…」
梨花「ばったり。なのです」
92 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:05:02.29 ID:wzUQ9MOUO
…。
沙都子「レナさん。圭一さんを甘やかしてはいけませんわよ」
レナ「で、でもカップラーメンじゃ可哀想だよ」
沙都子「これを機に圭一さんもチャレンジしてみてはいかがですこと?…ンま!!大火事になるのが関の山でしょうけど!!」
圭一「やかましいわ!!!」
梨花「…」
チェイス「…どうした」
梨花「え?あ、いや…」
チェイス「…」
梨花「…ちょ、ちょっと…」ボソ
チェイス「何だ」
梨花「こ、これは異常自体よ…今までに無かった事だわ…」ボソボソ
チェイス「…この辺りの地域は狭い。同じ時間に歩いていれば会うだろう」
梨花「違うわよ!圭一は本来、この時間にエンジェルモートで詩音と会うの!」ボソボソ
チェイス「エンジェルモート…?」
梨花「メイドカフェみたいなもんよ!そこに行く筈なの!」ボソボソ
チェイス「…圭一」
圭一「?何ですか?」
チェイス「お前は今日、エンジェルモートに行くのか?」
圭一「え?」
梨花「ン゛ン゛!!!」
沙都子「!!?」
圭一「い、いや…確かに親父に誘われましたけど…断って…」
レナ「レナのお買い物を手伝ってくれるって、来てくれたんです!」
梨花「…そ、そうなのですか…」
圭一「でも、何でそれを?」
梨花「け、圭一の性格ならエンジェルモートがきっと好きになると思ったのですよ」
圭一「えっ!?」
レナ「…けーいちくん…」
圭一「え!?あ、いや!レナの!レナの買い物のが良い!幸せ!!」
レナ「えへへ…」
梨花「…」
93 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:05:53.35 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「沙都子」
沙都子「何ですの?」
チェイス「圭一の好きなようなもの、とは何だ?」
沙都子「…大分グレーゾーンなお店とだけ伝えておきますわ」
圭一「!!!」
レナ「・・・」
圭一「れ、レナ…無言は勘弁…」
チェイス「何故摘発されない?」
沙都子「…さあ…?」
梨花「…さあ…?」
「はーい!お釣り280円ねー」
チェイス「…?」
「わーい!ありがとー!」
「また来てねー!」
圭一「!」
レナ「…この声…」
沙都子「…まさか…?」
梨花「…嘘でしょ…?」
沙都子「え?」
梨花「ん?」
沙都子「ん?」
梨花「魅ぃの声なのです。見に行くのですよ」
沙都子「…え、え?あ、はい…」
「…はー…あとちょっとかー…」
圭一「おーい!」
「…んぐぇっ!?」
94 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:07:01.31 ID:wzUQ9MOUO
魅音「びっくりしたー…何この偶然」
沙都子「私達の方がびっくりですわよ。仮にも女性なのですからもうちょっと驚き方を考えて欲しいものですわ」
レナ「魅ぃちゃんの言ってた手伝いってここのお店のことだったんだね」
圭一「おもちゃ屋かー…」
魅音「何か限定品買いに行くからってさ、昨日の夜いきなり頼まれちゃって」
圭一「そりゃまた随分急だな…」
魅音「まあ、限定品っていうくらいだからそんなもんじゃない?…あ、噂をすれば…」
「おーい!魅音ちゃーん!」
沙都子「…何だか凄い大荷物ですわね」
チェイス「…」
「悪かったねー…突然こんな事頼んじゃって」
魅音「良いよ良いよ。楽しかったし」
「…あれ?何だか大所帯だねぇ」
魅音「あー…うん!私の友達!」
「…彼もかい?」ボソ
チェイス「…」
魅音「あ、あはは…」
「まー…お礼と言っちゃなんだけどさ、ちょっと待っててよ!…あ!君達もさ!」
レナ「?」
沙都子「?」
「すぐ来るから!ちょっとだけ待っててよ!」
梨花「…」
魅音「おじさーん?そんな無理しなくてもー…あー…ごめんね?何か…」
梨花「みー。ボク達は貰える物は貰う主義なのですよ」
魅音「そういえば、左之助先生は何か買ったの?」
沙都子「それが、服を買おうと思ったのですが、流石に予算オーバーですわ…」
梨花「左之助は給料が出るまでかわいそかわいそなのです」
チェイス「…」
魅音「あ、あはは…はは…」
チェイス「俺は特に注文は無い。着れるものなら着る」
沙都子「…いえ、それではいけませんわ。服というのはその人「らしさ」を表すものでもありますから」
チェイス「…俺…らしさ…」
魅音「だとしたらまあまあヤバイ人になるけど」
95 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:07:50.22 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「服がその人間のらしさを表すというのは、俺には分からない」
沙都子「そうですの?…例えば魅音さん」
魅音「おじさん?」
チェイス「…おじさん…?」
魅音「あ、ごめん…私?」
沙都子「男勝りな性格を表していると思いませんこと?」
チェイス「…」
梨花「…」
圭一「まあ、確かにな。制服も女の子らしいっていうか、スケ番ぽいっていうか…」
魅音「あ、あれはそういうデザイン!デザインだから!!」
チェイス「服、というのはある種の鎧のようなものだ」
沙都子「…鎧?」
チェイス「鎧というのはその身を守る為のもの。鎧を取ってみなければその人間の本質は分からない」
圭一「…本質…」
チェイス「戦っても、話しても。その本質を見極め、理解しない限り分かり合うことは出来ない」
沙都子「何の話ですの?」
梨花「…左之助は、こう言いたいのですよ」
レナ「…」
梨花「普段見せる顔と、本当に見せる顔が違う事もある、ということなのですよ」
圭一「…」
魅音「…」
沙都子「…そういう考えも、無いことはない、ですわね」
「おーい!お待たせー!」
魅音「!」
96 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:08:35.20 ID:wzUQ9MOUO
「いやー、探すのにちょっと時間食っちゃってねー…」
沙都子「!…ちょ、ちょっと!それ埃被ってるじゃありませんの!」
「あーごめんごめん。正月の福袋の余りでさ…」
梨花「もう6月なのですよ…」
「でもね、これ結構良いの入れてたんだよー?…えーと、ひーふーみー…5袋!…」
チェイス「俺はいらない」
「あ、あはは…申し訳ありません…じゃ、じゃあさ!子供達で分け合って!」
魅音「えー?でも悪くない?店の商品なのに…」
「良いって!売れ残…お駄賃お駄賃!」
圭一「今売れ残りって…」
レナ「言ってた…」
「ン゛ン゛!ま、まあまあ!結構良さげなのも入れといたからさ!」
沙都子「でしたら、お言葉に甘えて…」
梨花「先手必勝なのですよ」
魅音「じゃー…私はこれ!」
レナ「じゃあ、レナはこれ…」
圭一「俺は…これで…」
チェイス「…」
圭一「…」
97 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:09:22.75 ID:wzUQ9MOUO
「どう?良いのあった?」
圭一「え?あ、いやー…」
沙都子「あら?圭一さん…ププッ…」
レナ「わあ…かぁいいお人形さん!」
圭一「…えええ…?」
「あー…でもそれその中じゃまあまあ高い部類だよ?」
圭一「いや…これは…」
沙都子「まさに試合に勝って勝負に負けるというやつですわね。そのお人形さんでおままごとでもしてはどうですの?」
圭一「なぁぁぁにぃぃぃぃ?お前を着せ替え人形にしてやろうか沙都子ォ!」
沙都子「セクハラですわ!酷い男ですわ!」
魅音「…」
圭一「…あー…これはちょっと…なぁ…」
レナ「…」
圭一「…んー…」
梨花「…」
圭一「…」
…。
『戦っても、話しても。その本質を見極め、理解しない限り分かり合うことは出来ない』
『普段見せる顔と、本当に見せる顔が違う事もある、ということなのですよ』
…。
圭一「…なあ、魅音」
魅音「ン゛っ?」
梨花「!」
98 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:10:17.45 ID:wzUQ9MOUO
圭一「…これ、いるか?」
魅音「え?わ、私!?」
圭一「…ん」
魅音「…え、え?」
圭一「…ほら、何つーか…えーと…ほ、ほら!お前のやつ!その手品セット!そっちの方が良いかなって…」
魅音「え…えっと、そ、それなら!それなら仕方ないかなぁ!!貰っちゃおうかなぁ!!?」
圭一「は、はははははははは!!」
魅音「あ、あははははははは!!」
沙都子「…何ですのこの空気」
レナ「…ふふっ」
チェイス「…」
梨花「…ちょっと」
チェイス「何だ」
梨花「…わざと?」
チェイス「…」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…なんだかんだで、器用なもんじゃない」
チェイス「…」
魅音「いやー!欲しくないけど!貰っちゃしょーがないよねー!ねー!」
レナ「レナのと交換する?」
魅音「だ、ダメっ!!」
レナ「…ふふふっ」
圭一「…」
99 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:11:24.09 ID:wzUQ9MOUO
…。
……。
圭一「なあ、レナ」
レナ「なあに?」
圭一「…俺、あれで良かったのかな?」
レナ「…魅ぃちゃんにあげたこと?」
圭一「…何ていうか、その…左之助さんと梨花ちゃんの言葉が引っかかったっていうか…」
レナ「魅ぃちゃんが、喜んでるかどうかってこと?」
圭一「…」コク
レナ「…圭一君は、魅ぃちゃんのこと、どう思ってるの?」
圭一「え?」
レナ「魅ぃちゃんのこと。どう思ってる?」
圭一「…そりゃあ、部活の頼れる部長で、いざという時は俺なんか比べ物にならないくらい動けるし、男勝りな感じはするけど…」
レナ「…」
圭一「…へ、変な意味じゃないからな?」
レナ「うん。ちゃんと聞いてるよ?」
圭一「その…ほら、あいつ、意外と使ってる文房具とか小物とか、可愛いやつだったりするし…」
レナ「…」
圭一「…もしかしたら、そういう部分もあるのかなって。思い返してみたら…」
レナ「…圭一君」
圭一「?」
レナ「明日、魅ぃちゃんの顔。良く見てあげてね」
圭一「え?あ、ああ…」
レナ「…あ!ちょっと待っててね!冷蔵庫に入れたら直ぐ行くから!」
圭一「…」
レナ「ちょっとだけ!ちょっとだけ待ってて!」
圭一「なあ、レナ」
レナ「?」
圭一「…俺も、晩御飯作るの手伝うよ」
レナ「…」
圭一「…レナにばっかりやってもらってたら、その…良くないから」
レナ「…うんっ!」
…。
100 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:12:06.63 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「ちょっと、お家に寄ってもよろしくて?」
梨花「?…はい。良いのですよ」
チェイス「…?」
梨花「左之助。沙都子の本来のお家なのですよ」
チェイス「…」
沙都子「もしかしたらサイズの合う物があるかもしれませんわ。ちょっと左之助さん…しゃがんでくださる?」
チェイス「…」
沙都子「…ん。丁度良いサイズの物があった気がしますわ。良かったら着てみませんこと?」
チェイス「了解した」
沙都子「では決まりですわね。行きますわよ」
チェイス「…」
梨花「…でも今日はもう遅いのです。明日でも…」
沙都子「思い立ったが吉日ですわ。それに左之助さんの衣服はそろそろ洗わないと」
梨花「…」
チェイス「…どうした?」
梨花「…」
チェイス「…」
梨花「…嫌な、予感がするのよ」
チェイス「…」
梨花「…一難去ってまた一難…かもしれないわよ…」
チェイス「…」
…。
101 :
◆GWARj2QOL2
[saga]:2017/05/19(金) 22:12:56.16 ID:wzUQ9MOUO
レナ「…ただいま…」
「おお。お帰り礼奈。今日は遅かったみたいだね」
レナ「…今日、圭一君の家でご飯を作ろうかなって思って…」
「そうなのかい?なら今日は父さんが作るよ。楽しんでおいで」
レナ「…うん」
?「えー?礼奈ちゃんの手料理食べれないの?」
レナ「…あ…」
「まあそう言わないで…礼奈はお友達思いだから…」
?「ふーん…ねえ、礼奈ちゃん」
レナ「…」
?「いつも帰ってくるのが遅いのって、私のせい?」
レナ「…」ブンブン
?「そっ。なら良かったー!」
「リナさん。礼奈はそんな事を思うような子じゃないよ」
リナ「そうだよねー!礼奈ちゃん優しいもん!」
レナ「…」
リナ「じゃあねー♪れ・い・な・ちゃん♪」
レナ「…」ペコ
…。
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