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【ミリマス】琴葉「私とあなたと二人で」
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41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/27(火) 18:41:38.72 ID:D63ZLm3UO
はよ
42 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:13:46.77 ID:Ifg1wY4Xo
P「…あれ?」
しかしレッスン場の中はもぬけの空だ
恵美「どしたの?」
恵美が俺の下首を出してからレッスン場を覗き込む
P「エレナがいない」
恵美「んー?美咲は確かにレッスン場にいるって言ってたんだけどなー…っていた」
43 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:14:36.35 ID:Ifg1wY4Xo
P「どこに?」
恵美「ほらあっち、隅っこのほう」
恵美が指差した方を見ると
エレナ「…」
エレナが隅の方で目を瞑り、精神集中をしていた
P「精神統一中か…」
恵美「…いやーあれは…」
P「とりあえず琴葉との顔合わせを済ませよう」
レッスン場に入り、エレナに声をかける
44 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:15:51.95 ID:Ifg1wY4Xo
P「エレナ」
エレナ「…」
しかし反応が無い
P「エレナ?」
エレナ「…」
試しにもう一度呼び掛けてみたがやはり反応は無かった
…まさか!?
P「め、恵美!大変だ!エレナが、エレナが!」
恵美「ねえプロデューサー、エレナさ」
P「もしかしたらまたアクロバティックなことをしようとして頭を打って意識が…!?」
45 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:16:51.11 ID:Ifg1wY4Xo
恵美「エレナ、多分寝てるだけだよ」
P「えっ」
もう一度エレナを良く見ると
エレナ「すやー…」
口の端からよだれが垂れていた
46 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:20:53.19 ID:Ifg1wY4Xo
エレナ「いやーゴメンネ?朝早めに来て練習してたら良い感じに疲れちゃってつい寝ちゃったヨ〜」
そう言いながら楽しそうに笑うエレナに思わず溜息が出る
P「全く…心配したんだぞ?」
エレナ「ゴメンゴメン、でも心配してくれて嬉しいヨ〜」
P「プロデューサーだからな」
エレナ「それで、どうしたノ?」
P「ああ、実は新しいアイドルが入ったから紹介しておこうと思ってな」
47 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:24:43.72 ID:Ifg1wY4Xo
エレナ「ワオ!新しい仲間が増えるんだネ!」
P「ああ、琴葉」
琴葉「はい」
俺に呼ばれ、琴葉がエレナと向かい合う
琴葉「この度アイドルになりました、田中琴葉です、よろしくお願いします」
エレナ「タナカコトハ…じゃあコトハって呼ぶヨ〜」
琴葉「はい」
エレナ「ワタシは島原エレナ、エレナって呼んで欲しいヨ〜よろしくネ、コトハ!」
琴葉「よろしく、エレナ」
48 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:42:20.47 ID:Ifg1wY4Xo
良かった、二人とも問題は無さそうだ
P「よし、顔合わせも終わったところで恵美とエレナには琴葉の案内を頼みたい」
恵美「おっけー」
エレナ「任されたヨ〜」
琴葉「プロデューサーは…?」
P「俺はこの後やることがあるからな、出来ることなら今日は付いていてやりたかったんだが…」
琴葉「そうですか…」
P「ま、そういうことでまた後でな」
恵美「いってらっしゃい」
エレナ「頑張ってネ〜」
49 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:46:40.77 ID:Ifg1wY4Xo
琴葉「…」
恵美「…?琴葉、どしたの?」
琴葉「え?な、何が?」
恵美「いや、何かテンション落ちた気がしてさ」
琴葉「気のせいよ」
恵美「ふーん?まあ気のせいならいっか」
琴葉「ありがとう恵美、心配してくれて」
恵美「にゃはは!良いって良いって」
エレナ「二人とも、行くヨ〜」
恵美「あ、ほら行こ?」
琴葉「うん」
50 :
LIP
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/08/01(火) 22:47:15.01 ID:Ifg1wY4Xo
一旦ここまで
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 23:21:33.59 ID:ty7PMHJo0
おつ
52 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 21:21:38.69 ID:IFtnyKdao
恵美「ここがドレスアップルーム、衣装とかはここで着替えたりするんだよ」
エレナ「たまにプロデューサーが入ってくるヨ」
琴葉「えっ」
恵美「ここがエントランス、まあ受付だね」
エレナ「みんなで掃除したりグッズを売ったりしてるヨー」
琴葉「あの…あの人段ボール箱を4つくらい運んでるんだけど」
恵美「まあまつりだし」
エレナ「マツリだからネー」
琴葉「ええ…」
恵美「ここが事務室、普段プロデューサーとか美咲が仕事してるよ」
琴葉「ここが…」
エレナ「ミサキとかプロデューサーは大体4時くらいまでいるよネ」
琴葉「えっ…?」
53 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 21:27:10.84 ID:IFtnyKdao
恵美「んで、ここが控え室、みんなでよくたむろってることが多いね」
琴葉「なるほど」
扉を開けた瞬間
琴葉の顔の真横を何かが通り過ぎた
というより掠った
琴葉「…」
じわっと琴葉に冷や汗が浮かぶ
後ろを振り向くと、野球ボールが転がっていた
「おーい大丈夫かー?」
「当たらなかった−?」
54 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 21:34:43.92 ID:IFtnyKdao
恵美「昴、海美−、まーた野球やってたの?」
海美「だって控え室は広いからね!」
昴「ついなー」
恵美「まったく、怪我させたらどうすんのさ」
エレナ「コトハ、大丈夫だっタ?」
琴葉「う、うん…大丈夫…掠っただけだから」
昴「あれ?その人は?」
恵美「あれ?昴さっきいなかったっけ?」
昴「オレが来たのはついさっきだけど」
恵美「あー、いなかったんだ?じゃあ紹介しよっか」
55 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 21:57:30.82 ID:IFtnyKdao
恵美「琴葉」
琴葉「あ、田中琴葉です、今日から765プロのアイドルとして精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」
昴「新人さんか、オレは永吉昴15歳、よろしくな!」
海美「高坂海美16歳!よろしく琴葉!」
琴葉「永吉さんと高坂さん、よろしくお願いします」
海美「こ、高坂さんってなんかムズムズする!名前で良いよ!」
昴「オレも、なんか苗字で呼ばれるのなんか変な感じがする」
琴葉「じゃあ…海美ちゃんと昴ちゃん?」
海美「うん!そっちの方が良い!」
56 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 22:56:01.78 ID:IFtnyKdao
琴葉「それじゃあよろしく、海美ちゃん、昴ちゃん」
海美「うん!よろしく琴葉!」
昴「よろしく!」
エレナ「あと回ってないとこあったっケ?」
恵美「屋上とかはまあ良いっしょ、うん、無いと思う」
エレナ「よし、それじゃあ一旦事務室に戻ろうヨ!」
恵美「OK、琴葉、行くよ」
琴葉「わかったわ、それじゃあ海美ちゃん、昴ちゃん、また後で」
57 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 23:03:11.70 ID:IFtnyKdao
恵美「結構時間経ったね」
エレナ「なんだかんだでシアターは広いからネ」
事務室に入るとデスクでパソコンを使っていた女の子が声をかけてきた
「あ、恵美ちゃんにエレナちゃん、丁度良かった」
恵美「あ、美咲、どしたの?」
美咲「なんと!プロデューサーさんからお手紙を預かってます!」
恵美「プロデューサーから?」
美咲「読むときっと良いことがありますよ〜♪えへへ〜」
そういって上機嫌に仕事に戻る美咲さん
58 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 23:09:18.12 ID:IFtnyKdao
恵美「手紙かー」
エレナ「とりあえず読んでみようヨ」
恵美「えーって…あー、プロデューサー今日は戻ってこられないんだ」
琴葉「えっ」
エレナ「そっかー、でも仕方ないネ」
恵美「あっ、裏にも何か書いてある…えーっと?ドリンクバー無料券を渡すから三人で親睦を深めてくれ…?」
手紙の間からチケットのような物が三枚、するりと落ちてきた
恵美「うわラッキー!ドリンクバー無料券とかほんと嬉しい!プロデューサー愛してる!」
琴葉「!」
エレナ「メグミはドリンクバーダイスキだもんネ」
59 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 23:37:56.19 ID:IFtnyKdao
恵美「んじゃあ早速ファミレスに出発!」
琴葉「ちょ、ちょっと恵美!」
エレナ「元気良いネー」
美咲「いってらっしゃーい!さあ、私もお仕事頑張ろう!」
恵美の先導でファミレスについた琴葉は、なんだかんだであっさりと順尾した
恵美「そういやさ、琴葉はなんでアイドルになったの?」
琴葉「私?」
恵美「うん」
琴葉「私は…ある人に見つけて欲しくて」
エレナ「ある人?」
恵美「何々?もしかして好きな人!?」
琴葉「好きな人…とは少し違うかも」
琴葉「でも、私にとってすごく大切な人」
60 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/10(日) 23:58:10.85 ID:pNrPFMTTO
恵美「そっか…見つけて貰えたら良いね」
琴葉「うん、絶対見つけて貰って、隣にいるのは琴葉が良いって言って貰いたい」
恵美「にゃはは!その意気その意気!」
エレナ「コトハの話を聞いてるとすっごく大切な人だって伝わってくるヨー」
恵美「目標があるって大事だよねーアタシはまだこれって目標が無いからさ」
琴葉「なら、私も一緒に恵美の目標を探すわ」
琴葉「そして、一緒にたどり着こう?」
恵美「琴葉…うん、ありがと」
エレナ「もちろんワタシも手伝うヨー」
恵美「エレナもありがと!よーし今日は精一杯楽しも!」
デザートなどを注文し、琴葉は新しい友達と楽しい時間を過ごした
61 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/11(月) 00:09:35.85 ID:oCrQdw2mo
その日の夜
P「ふう…今日も一日大変だったな」
今日の業務を思い出し、思わず遠い目になる
紬にはよくわからない罵倒をされ、歌織さんは何かと水着になりたがるので止めるのは大変だった
P「ただいま…」
返事の無い我が家に帰る
一人で住むには十分な広さだが、最近は片付けが疎かになっていて少し散らかり気味だ
P「次の休みにでも片づけるか」
…先週も同じ事を言った気がするが
買い置きのカップ麺でも食べようかと棚を開けたとき、玄関のチャイムが鳴った
62 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/11(月) 00:12:41.60 ID:oCrQdw2mo
P「誰だ、こんな時間に」
時刻は22時、誰かが尋ねてくるにしても明らかに遅い時間だ
P「はい」
「失礼します、私隣に引っ越してきた者なのですが」
P「隣に…?」
そういえば何やら荷物が運ばれてきてたな
そう思い扉を開けると
P「なっ!?」
予想もしていなかった相手が立っていた
「こんばんは、隣に引っ越してきた」
琴葉「田中琴葉です、よろしくお願いします」
63 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/11(月) 00:13:19.50 ID:oCrQdw2mo
一旦ここまで
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 00:42:25.77 ID:x681QbkK0
おつ
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/12(火) 17:55:41.88 ID:Y47Dzvqm0
おつ
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/12(火) 18:10:48.22 ID:OEMS6SAqO
おつおつ
67 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/16(土) 23:48:02.51 ID:8PDNIxmzo
P「それで」
琴葉「もう、部屋が散らかりっぱなしじゃないですか…さっと片付けますね」
P「あ、悪い…ってそうじゃなくて」
琴葉「片付け終わったら晩ご飯作りますね、引っ越し蕎麦でも大丈夫ですか?」
P「ありがたい…ってそうでも無くて」
琴葉「…兄さん、この巨乳の人が表紙のえっちな本はシュレッダーにかけて燃やして灰にしますね」
P「待って!それは苦労して手に入れたレア物だから!ってそんなことはどうでも良い、話しを聞け!」
68 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/17(日) 00:13:40.04 ID:WrJcdlWUo
P「いくつか聞きたいことがあるから答えてくれ」
琴葉「はい」
P「まずは一つ目、俺の家の隣に引っ越してきた理由は?」
琴葉「偶然です」
P「…………二つ目、俺の家の場所は誰に聞いた?」
琴葉「おば様に」
P「…はあ…後で電話するか…三つ目、これが一番大事な質問だ」
琴葉「はい」
P「今日、楽しかったか?」
琴葉「…はい!」
P「ん、なら良かった」
69 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/17(日) 00:58:19.05 ID:vSNu2NXgO
P「それじゃあ晩飯にするか」
琴葉「わかりました、台所お借りしますね」
P「ありがとう琴葉…今のうちに片付けるか」
P「ご馳走さま」
琴葉「お粗末さまでした」
P「最近はうどんばっかりだったから蕎麦は新鮮だった」
琴葉「同じ物ばかりだと栄養が偏りますよ」
P「んー…まあ善処する」
70 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/17(日) 01:00:55.10 ID:vSNu2NXgO
琴葉「…私が作りましょうか?」
P「何を?」
琴葉「朝ご飯と、お弁当と、夕飯を」
P「いやー流石にそれは」
琴葉「でも兄さん、誰かが作らないと絶対に手を抜いたものしか食べませんよね?おば様も心配してましたし」
P「…そんなことは無いぞ?」
琴葉「それなら今日、私が来なかったら何を食べてましたか?」
P「それは…何か作ってたよ、うん」
71 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/17(日) 01:14:16.56 ID:vSNu2NXgO
琴葉「冷蔵庫に調味料しか入っていないのにですか?」
P「…カップ麺のつもりだったよ」
琴葉「やっぱり…」
P「でもカップ麺美味いし」
琴葉「美味しいのは分かりますけど、疲れているときはちゃんと栄養があるものを食べてください」
P「ああ、気を付ける」
琴葉「というわけで、兄さんの食事は私に任せてください」
琴葉の目を見る
どうやら頑固モードになっているようだ
…昔からこうなったらテコでも動かないんだよな
P「…わかった、じゃあお願いするよ」
琴葉「やった!」
72 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/09/17(日) 01:14:52.33 ID:vSNu2NXgO
一旦ここまで
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/21(木) 19:06:04.79 ID:mYsryGwGO
おつおつ
74 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/18(土) 20:24:38.11 ID:s4eDYv2AO
妙にテンションのが上がってはしゃぐ琴葉
こういうところはほんと昔のままだな
P「仕事が忙しかったり、テスト前とかは無理しなくて良いからな?」
琴葉「大丈夫です、ちゃんと自己管理します」
P「ん、信頼してるぞ」
琴葉「はい!」
P「さあ今日はもう遅い、早く部屋に戻って寝なさい」
琴葉「はい、お休みなさい、兄さん」
75 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/18(土) 22:49:59.87 ID:XaHO/Kxeo
琴葉に家の鍵を渡すとまるで大切な宝物を持つかのように両手で胸に抱いた
人の物だから無くさないように大切に保管するらしい
琴葉を見送った後、風呂に入ってから布団に入る
しかしまさか琴葉がアイドルになるとは…
昔はアイドルに興味があるようには見えなかったけど、何らかの心境の変化でもあったのだろうか?
何にせよ琴葉がアイドルをやりたいというのなら俺はその背中を押すだけだ
…琴葉は、どんなアイドルになるんだろうな
そんなことを考えながら、俺の意識は闇に沈んだ
76 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/18(土) 23:37:33.64 ID:XaHO/Kxeo
翌朝
窓から差す光を浴び、目を覚ます
…あれ、もしかして昨日カーテン閉め忘れたのか?
そう思いながらゆっくり目を開けると…
琴葉「〜♪」
琴葉が鼻歌を歌いながら台所に立っていた
P「あれ…琴葉…?」
俺の呟きが聞こえたのか、料理を止めて琴葉が振り返った
琴葉「おはようございます兄さん、もうすぐ朝ご飯が出来ますよ」
77 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/18(土) 23:51:21.71 ID:wKsTul2nO
P「なんで琴葉がここに…?」
琴葉「昨日兄さんが言ったじゃないですか、一生面倒見てやるからいつでも来て良いって」
P「ちょっと待て、そんなことは一言も言ってないぞ」
琴葉の謎発言で一気に意識が覚醒する
琴葉「ふふ、冗談です、目は覚めましたか?」
P「おかげさまでばっちりな」
琴葉「もうすぐ朝食の準備が出来るので、今のうちに顔を洗ってきてはどうでしょうか?」
P「そうだな、そうするよ」
78 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 01:47:55.12 ID:ghsx7N6lo
顔を洗い、スーツに着替える
リビングに戻ると
P「おお…」
何ヶ月ぶりかに見るちゃんとした朝食があった
P「ちゃんとした朝食なんて久しぶりだ」
琴葉「…兄さん、まさか今まで朝ご飯を…?」
P「一人暮らしし始めたときはちゃんと作ってたんだけどな、春香達が売れ始めてから俺も忙しくなって面倒になって作らなくなったんだよな」
琴葉「やっぱり私が作らないと兄さんはそのうち栄養失調になりそう」
P「一応ビタミン剤は飲んでるから栄養は摂れてるんだけどなぁ」
79 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 20:22:31.41 ID:ghsx7N6lo
他愛ない話をしながら朝食を食べ終える
P「ご馳走さま」
琴葉「お粗末さまでした」
P「久しぶりに食べたけど、やっぱり琴葉の作る飯は美味いな」
琴葉「そ、そうかな?」
P「ああ、俺は琴葉の作る飯、好きだよ」
琴葉「あ、ありがとうございます、兄さん」
俺に褒められ、すごくニコニコしている琴葉を微笑ましく思いながら食べた分を片付ける
P「俺はそろそろ出勤するけど、琴葉は?」
琴葉「私もそろそろ行きます」
P「わかった」
80 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 20:30:25.09 ID:ghsx7N6lo
琴葉「これ、お弁当です」
P「ありがとう琴葉」
琴葉から弁当を受け取り、鞄に入れる
P「持ち物は問題なしっと」
琴葉「あ、兄さん、ネクタイが曲がってますよ」
P「おっと」
ネクタイを直そうとするが
琴葉「動かないでくださいね」
琴葉にさっとネクタイをただされた
琴葉「…」
しかしネクタイを直した琴葉は急に顔を赤らめると押し黙ってしまった
P「琴葉?」
81 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 20:38:09.83 ID:ghsx7N6lo
琴葉「え?あ、い、いってらっしゃいあなた」
P「お前は何を言っているんだ」
昔から変なテンパり方をするな、琴葉は
琴葉と一緒に家を出て鍵を掛ける
P「それじゃあ琴葉、気を付けてな」
琴葉「はい、放課後はすぐに行きますね」
P「わかった」
琴葉と分かれた俺は、まっすぐに劇場へ向かった
82 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 22:19:07.57 ID:GlSs7BiTO
P「さーて、昼にするか」
劇場での仕事が一段落し、ようやく一息つく
バキバキと嫌な音のする背中を伸ばしていると
莉緒「あらプロデューサーくん、休憩?」
歌織「お疲れ様です、プロデューサーさん」
P「莉緒、歌織さん」
莉緒と歌織さんが声をかけてきた
莉緒「あー、また呼び捨てにして」
P「あんたが呼び捨てにして良いって言ったんでしょうが」
莉緒「そうだけどー、たまには昔みたいに莉緒ねえって呼んで欲しいのよー」
P「子供かあんたは」
83 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 22:26:10.40 ID:ghsx7N6lo
歌織「ふふ、相変わらず莉緒ちゃんとプロデューサーさんは仲が良いですね」
P「か、歌織さん、違いますよ、俺と莉緒はただの腐れ縁です」
莉緒「昔はあんなにお世話してあげたのに…」
P「ごめんもう一回言ってくれる?20歳になった日にいきなり強い酒飲んで一瞬で酔い潰れた百瀬莉緒さん、もう一回言ってくれる?」
莉緒「笑顔なのになんか怖いわ」
歌織「ふふ♪」
P「と、ところで莉緒は何か用事でもあるのか?」
莉緒「あっとそうだった」
莉緒「プロデューサーくん、一緒にお昼でもどう?」
84 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 22:26:39.92 ID:ghsx7N6lo
一旦ここまで
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/20(月) 02:28:21.51 ID:xi4r3PYg0
きてれぅ
おつおつ
86 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 22:53:57.75 ID:YR2gowtPo
歌織「私達、良いお店を見つけたのでもし良かったらプロデューサーさんもいかがですか?」
P「歌織さんからのお誘いとあらば行きたい所なんですが…」
莉緒「ちょっと〜誘ったのは私なんだけど」
P「生憎今日は弁当を持ってきていまして」
そう言って弁当箱を取り出す
莉緒「あら?プロデューサーくんって料理できたっけ?」
P「作ったのは俺じゃないからな」
歌織「それは…どなたかに作って頂いたんですか?」
P「はい」
莉緒「誰に作って貰ったの?」
P「莉緒もよく知ってる人だよ」
莉緒「私が?…おば様?」
P「それはない」
87 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 22:58:53.63 ID:YR2gowtPo
莉緒「じゃあえーっと……………思い付かないわね」
P「もう一人くらい思い付くだろ」
莉緒「だって私の覚えてる範囲じゃプロデューサーくんが女の子と仲良くしてた記憶なんて無いもの」
P「うぐっ」
歌織「プロデューサーさんは、今お付き合いされている方はいないんですか?」
P「え、ええ、恥ずかしながら」
歌織「そうなんですか…良かった」
P「え?」
歌織「な、何でもありません」
88 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:17:00.09 ID:h+FdZR1LO
莉緒「で、結局誰なのよ」
P「琴葉だよ」
歌織「…琴葉?」
莉緒「琴葉って…え?近所に住んでたあの田中琴葉ちゃん?」
P「そう、その田中琴葉だ」
莉緒「えっ、でもあの子の家、ここから遠いわよね?」
P「それが隣に引っ越してきてさ」
莉緒「一家揃って?」
P「いや琴葉だけ、一人暮らしだ」
89 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:25:03.34 ID:YR2gowtPo
莉緒「昔からプロデューサーくんの後を着いてくる子だったけど、そこまで追いかけてくるのね」
P「まあ、琴葉らしいけどな」
歌織「あの、プロデューサーさん」
P「はい、どうしました?」
歌織「その田中琴葉さん?とは一体どういう…?」
P「年下の幼なじみですよ、昔から俺に懐いていて、良く面倒を見てたんです」
歌織「その子がお弁当を?」
P「はい、まあ昔から俺のために料理を覚えたんだから振る舞わないと意味がないとか言って弁当や夕飯を作っていたので」
莉緒「琴葉ちゃんの料理、結構美味しかったわよね」
P「ああ」
90 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:40:24.39 ID:YR2gowtPo
歌織「…プロデューサーさん」
P「はい」
歌織「もし私が…プロデューサーさんにお弁当を作ってきたら、食べてくれますか?」
P「それって…」
茜「イノベーション、かもね!」
歌織「駄目…でしょうか?」
P「そんなことありません!歌織さんの作るお弁当が食べられるなんて幸せです!むしろ是非お願いします!」
茜「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!!」メキメキメキメキ
莉緒「プロデューサーくん、茜ちゃんの頭蓋骨が陥没するわよ」
91 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:44:16.47 ID:YR2gowtPo
歌織「それじゃあ明日早速作ってきますね!」
P「お願いします!」
歌織「ふふ♪」
莉緒「あ、ちょっと歌織ちゃん!お昼ご飯は!?」
鼻歌を歌いながら歩いていった歌織さんとそれを追い掛けていく莉緒
…歌織さんのお弁当か、まさかこんな幸運が舞い込んでくるとは
茜「プロちゃん…ギブ、ギブ」
P「おっと」
92 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:49:00.85 ID:YR2gowtPo
茜「全く酷いよプロちゃん!危うく可愛い茜ちゃんの頭蓋骨が変形しちゃうところだったよ!」
P「悪い悪い、で、何しに来たんだ?」
茜「ラブコメの波動を感じたから邪魔しに来た」
P「ほう」
茜「うわぉ!プロちゃんの右手が真っ赤に燃えて茜ちゃんを壊せと轟き叫んでるぅ!冗談!冗談だよプロちゃん!」
P「本題は?」
茜「昨日の琴葉ちゃんを迎えるためにサプライズパーティーをやろうかなーって」
P「サプライズパーティーか…」
茜「うん!だからプロちゃんはみんなのスケジュール調整をよろしくぅ!」
P「そういう事なら了解だ、琴葉を楽しませてやってくれ」
茜「任された!」
93 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:49:53.03 ID:YR2gowtPo
一旦ここまで
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/21(火) 00:58:09.99 ID:VLx1tCIf0
琴葉莉緒歌織さんとかなかなか好きなチョイスだ
おつ
95 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 00:44:40.37 ID:wbQaQwsfo
パーティーの琴葉みんなに任せておけば良いだろう
後はどうスケジュールを調整するかだな
シアター組はまだほとんどがレッスンの段階だから容易いとして…
頭の中でスケジュールを練りながら弁当箱を開け、箸をつける
P「うん、美味い」
琴葉の弁当は、やはり美味かった
96 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 00:52:38.34 ID:wbQaQwsfo
恵美「おっはよプロデューサー」
P「恵美か、おはよう」
劇場の備品を管理していると恵美が声をかけてきた
もうそんな時間だったか
恵美「備品整理?手伝おっか?」
P「後はこの棚だけだから大丈夫だ」
恵美「そっか」
P「恵美はこの後レッスンだったな」
恵美「うん」
P「ならちょっと頼みたいことがあるんだが」
97 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:11:05.07 ID:wbQaQwsfo
恵美「なになに?アタシに出来る事ならなんでもやるよ」
P「…言い方が…いや、まあ良い」
恵美「?」
P「今日から琴葉がレッスンを開始するんだけど当然初めてだからペースとかも分からないはずだ」
P「だから琴葉の事を見ていて欲しい」
恵美「オッケー任せてよ、琴葉はちゃーんとアタシがフォローするから」
P「頼りにしてるぞ」
恵美「にゃはは、頼られちゃった♪」
98 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:19:25.77 ID:wbQaQwsfo
しばらくして
琴葉「おはようございます」
琴葉が劇場に到着した
P「おはよう琴葉」
琴葉「おはようございます兄さ…プロデューサー」
P「今、ちょっと危なかったな」
琴葉「中々慣れませんね…」
P「まあ徐々に慣れていくさ、さて、来たばっかりで悪いけど今日は早速レッスンを受けてもらう」
琴葉「はい」
P「初めてだからって緊張はしなくて良いぞ、今日は徐々に慣らしていくための準備運動みたいなもんだからな」
99 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:24:55.90 ID:wbQaQwsfo
P「更衣室にトレーニングウェアがあるはずだ、それに着替えたらレッスン場に集合だ」
琴葉「わかりました」
P「それじゃあ琴葉、レッスン頑張れよ!」
琴葉「はい!」
琴葉をレッスンに送り出した後、机に戻る
もう間もなく劇場の初公演がある
出来れば琴葉も出してあげたいところだ
そのためにも
P「俺も頑張らないとな」
今出来ることをやるんだ
100 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:25:21.74 ID:wbQaQwsfo
一旦ここまで
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/22(水) 15:55:18.56 ID:fDUeuLRsO
おつ
102 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/12/20(水) 00:39:17.58 ID:vIBuw7Gto
琴葉「はあっ…はあっ…」
恵美「大丈夫琴葉?」
琴葉「だ、大丈夫、大丈夫…」
エレナ「そうは言ってもカラダは正直だヨ〜」
琴葉「…普段からもうちょっと運動しようかな」
アイドルのレッスン…テレビとかで見たことはあるけども、実際にやるとこんなにもキツいものだったなんて…
…でも諦めるわけにはいかない
兄さんの期待に応えるためにもどんどんレッスンをして、早く一人前にならないと
水分補給を終えた琴葉はそんな決意を胸に、立ち上がる
そして次のレッスンに挑むのだった
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/20(水) 21:20:20.83 ID:kRConR1+0
待ってた
104 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 13:00:10.54 ID:8pjgvGqbo
P「で」
琴葉「はい」
P「どういう状況かもう一度説明してくれるかな」
琴葉「レッスンを頑張りました」
P「それで?」
琴葉「レッスンをすごく頑張りました」
P「頑張ったのは良い事だな、それで?」
琴葉「でも何だか足りない気がして、自主練もしました」
P「みたいだな、それで?」
琴葉「…体力が尽きて、歩くことすら辛いです」
P「そうか」
P「…はあ」
琴葉「」ビクッ
105 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 13:07:40.27 ID:8pjgvGqbo
恵美「プ、プロデューサー、あんま怒んないであげてよ!琴葉はちょっとでも追いつこうと必死で」
P「わかってる」
琴葉「…」
P「琴葉、頑張るのは良いけどな、それで身体を壊したりしたら意味がないんだ」
P「琴葉だって嫌だろ?頑張ったのに、頑張りすぎて台無しにしちまうのは」
琴葉「はい…」
P「何事にも適切に対応すること、それが上達への近道なんだから」
P「ま、今回は授業料ってことで、明日明後日の筋肉痛を楽しみにしていると良い」
エレナ「レッスン頑張った後の筋肉痛は凄いヨ−、痛みで悶えちゃうネ!」
恵美「エレナなんで追い打ちかけてんの」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/28(日) 15:03:47.10 ID:NVXAMJBs0
来てた
107 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 19:31:52.31 ID:8pjgvGqbo
P「とりあえず歩けないなら車で送って帰るけど、恵美とエレナも乗っていくか?」
恵美「アタシのチャリ積める?」
エレナ「ビンジョーするヨー」
P「チャリは積めるぞ、じゃあ微妙に残った仕事を片付けてくるからちょっと待っててくれ」
恵美「いってらっしゃ〜い」
恵美「それじゃ、ウチらも帰る準備しよっか」
エレナ「ワタシはいつでも帰れるヨー」
琴葉「私も、いつでも動けるように荷物はまとめてあるから」
恵美「りょーかい!んじゃアタシは荷物まとめてくるね」
108 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 22:43:13.66 ID:8pjgvGqbo
恵美が出て行ってから、エレナが声をかけてくる
エレナ「コトハ」
琴葉「?」
エレナ「焦ったって仕方ないヨ、だからネ」
エレナ「焦らず楽しく行こうヨー、そうしたら自然に結果も着いてくるしネ♪」
焦らず…楽しく…
琴葉「エレナ…うん、ありがとう」
エレナ「えっへへ〜」
恵美「お待たせ〜」
P「待たせたな」
兄さんと恵美が戻ってくる
P「車は正面に停めてある、エレナ、恵美、琴葉を支えてやってくれ」
恵美「おっけー」
エレナ「うんしょっと」
109 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 23:03:31.69 ID:8pjgvGqbo
P「…ん」
車を走らせること大体30分
さっきまで車内は女子三人の姦しいトークが聞こえていたのだが…
琴葉「…」
恵美「んん…」
エレナ「すやー」
どうやら三人とも眠ってしまったらしい
P「やれやれ」
琴葉は言わずもがな、他の二人も琴葉に付き合ってレッスンしていただろうから疲れたんだろう
…今はゆっくり寝かせてやるか
P「…お疲れさま」
俺は三人の寝息をBGMに、恵美とエレナを家に送っていった
110 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 23:04:03.05 ID:8pjgvGqbo
一旦ここまで
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 01:39:45.05 ID:SmXXY+uA0
おつおっつ
112 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:15:15.25 ID:I+SIHcn8o
P「琴葉、着いたぞ」
恵美とエレナを家に送り届けた後、アパート近くの駐車場に着いた俺は琴葉を起こすために声をかける
琴葉「んぅ…」
しかし琴葉は起きる様子が無い
P「…」
今日はかなり張り切ってレッスンをしていたようだし、慣れないことをしたからかかなり疲れたのかも知れない
そうなると起こすのは可哀想だな…となると
P「よっと」
眠る琴葉を起こさないようにゆっくり身体を持ち上げ、おんぶする
P「よし」
ずり落ちないようにしっかりと支え、車をロックして歩き出した
113 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:22:53.97 ID:I+SIHcn8o
琴葉「ん…あれ…?」
アパートに向かって歩いていると、琴葉が起きたのか背中でもぞもぞと動き出した
P「琴葉、起きたのか?」
琴葉「お兄ちゃん…?……あ、あれ?な、なんで私」
P「車の中で寝ちゃったんだよ、きっと疲れたんだろうな」
琴葉「恵美とエレナは…」
P「ちゃんと送っていったよ、二人ともぐっすりだったけどな」
琴葉「そうですか…」
P「目が覚めたなら降ろそうか?」
琴葉「ん…もう少し、このままでいたいです」
P「そっか」
114 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:29:50.66 ID:I+SIHcn8o
琴葉「兄さんの背中、昔と変わらないですね」
P「そうか?」
琴葉「はい、広くて、大きくて、温かくて…私の、大好きな背中のままです」
P「大袈裟だな」
琴葉「大袈裟でも良いんです、だって私にとってはそれでも足りないくらいなんですから」
P「…」
琴葉「ふふっ♪」
P「ま、なら今のうちに堪能しておくべきだな」
P「明日からは多分死ぬほど痛いぞ」
琴葉「ううっ…エレナに脅された筋肉痛ですか…」
P「頑張れ頑張れ」
115 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:32:59.57 ID:I+SIHcn8o
くだらない話をしながら歩いていると俺達の住むアパートに到着した
P「そろそろ降ろすぞ」
琴葉「あ、はい」
琴葉を降ろして鍵を開ける
P「一応湿布は渡しておく、まあ筋肉痛で起きられないって事はないだろうけど…もし辛かったら連絡してくれ」
琴葉「そ、それなら兄さん」
P「ん?」
琴葉「今日は泊めてくれませんか!?」
P「えっ」
116 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:39:19.20 ID:I+SIHcn8o
琴葉「それなら私が筋肉痛で起きられなかったとしてもすぐに気付けますし!」
P「それはそうだが…」
琴葉「お願いします兄さん、流石に一人で地獄のような苦しみに耐えるのは辛いですから」
P「…」
頭を掻き、考える
泊めるのは吝かではないが…
P「…今回だけだぞ?」
琴葉「!はい!」
琴葉の事だ、これで断ったら間違いなく辛いのを隠すだろう
それなら目が届く範囲に置いておく方が良い
琴葉「〜♪」
嬉しそうな琴葉と一緒に部屋に入る
…とりあえず湿布を貼ってやるとするか
117 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:38:51.83 ID:zR2NkG/co
琴葉の作った夕飯を食べ、資料を見る
夕飯を食べ終えた琴葉は一足先に風呂に入っていた
P「莉緒と歌織さんで一度ユニットを組んでみるか…他には紬と瑞希と…」
劇場のみんなのデータを見ながら、売り出し方を考えていく
構想のあるユニット、一から考えなくてはならないユニット、既に活動しているユニット…考えることは沢山ある
そしてふと、琴葉をユニットに組み込むならどうなるのだろうかと考えた
琴葉はまだみんなと顔合わせをした訳ではない
だから誰と組ませるとどんな魅力が発揮できるのか未知数だ
118 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:45:52.16 ID:zR2NkG/co
ひとまず現在進行で交流のある恵美、エレナとユニットを組ませてみるのも良いかもしれない
となるとユニットのセンターは誰にするか
琴葉「兄さん、お風呂いただきました」
P「ああ」
ユニットのことを考えているとちょうど琴葉が風呂から上がってきた
琴葉「兄さんは、まだお仕事ですか?」
P「まあな」
琴葉が隣に座って資料を見てくる
…何だか良い匂いがする
119 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:49:16.45 ID:zR2NkG/co
その匂いに思わずドキッとしてしまう
…相手は琴葉だ、妹みたいなものなのに
琴葉「これは…みんなのデータですか?」
P「そうだ、だからあんまり見ないように」
琴葉「わかりました」
琴葉がすっと離れる
…琴葉の残り香が俺の鼻腔をくすぐってきた
…くそう、これじゃ集中出来ないぞ
120 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:51:21.31 ID:zR2NkG/co
P「ふう…」
資料を整理し、片付ける
琴葉「お仕事、終わったんですか?」
P「あんまり遅くまでやっても集中出来ないしな」
…嘘は言っていない
琴葉「それなら兄さん、一つお願いが」
P「なんだ?」
琴葉「髪を梳いてくれませんか?」
121 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:56:21.83 ID:zR2NkG/co
…
P「お前の髪を梳いてやるのも久しぶりだな」
ドライヤーで髪を乾かしながら櫛で梳いていく
さらさらとしていて気持ちの良い手触りだ
琴葉「中学生以来でしょうか」
P「お前が最後に家に泊まったのがそのくらいだったかな」
あの時は莉緒も泊まりに来て琴葉ばっかりずるいとか言ってたっけな…
琴葉「…兄さん、今誰のことを考えてましたか?」
P「莉緒だよ」
琴葉「莉緒って…莉緒姉さん?」
P「ああ」
122 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:59:53.56 ID:zR2NkG/co
琴葉「そういえば私が最後に泊まった時、莉緒姉さんもいましたね」
P「ゴールデンウィークだったからこっちに帰ってきてな」
琴葉「懐かしい…莉緒姉さん、今何してるのかなぁ…」
P「…」
同じ事務所でアイドルやってるって言ったらどんな反応するのやら
ま、それは本人と会ったときのために取っておくかな
123 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 01:34:07.77 ID:zR2NkG/co
P「よし、こんなもんか」
乾いた琴葉の髪を整えてやる
琴葉「ありがとうございました、兄さん」
時計を見るともうすぐ天辺だ
そろそろ寝ないとな
P「琴葉はベッドを使ってくれ、俺は…まあ適当に寝るよ」
琴葉「お布団も無いのに…ですか?」
P「ん…まあ、平気だろ」
琴葉「駄目です、ちゃんと寝ないと身体を壊します」
P「そうは言うがな…」
琴葉「なら…一緒のベッドで、寝ませんか?」
P「えっ」
124 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 01:36:26.02 ID:zR2NkG/co
一旦ここまで
おかえりは言わない
ただ、待ってたぞ琴葉って言いたい
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/09(金) 01:46:35.51 ID:7OwULXy70
乙
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/09(金) 11:32:22.71 ID:z4SI2IhoO
莉緒ちゃん幼馴染時の樣子も気になるね
127 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 23:22:57.70 ID:zR2NkG/co
P「…」
琴葉「な、なんだか凄く緊張しますね」
P「そうか、なら俺は床で」
琴葉「駄目です」
P「…」
琴葉「兄さんを床で寝させるくらいなら私が床で寝ます」
P「なら二人とも床で寝るか」
琴葉「別にそれでも構いませんけど、結局お布団は一つしか無いので一緒に寝ることになりますよ?」
P「…ふう」
128 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 23:49:14.39 ID:zR2NkG/co
P「琴葉」
琴葉「はい」
P「何か不安を抱えてるみたいだな」
琴葉「…」
P「お前が甘えたりする時は何か不安な事があった時だ、今こうやってわがままを言ってるのもそうだ」
P「話してみないか?気が楽になるかもしれないぞ」
琴葉「…やっぱり兄さんにはバレてしまいましたか…はい、実はとても不安なんです」
琴葉「私は…本当にアイドルとしてやっていけるんでしょうか」
P「どういう意味だ?」
129 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/10(土) 00:23:15.76 ID:XyZHEoCyo
琴葉「私には、アイドルとしてのビジョンがありません」
琴葉「どんなアイドルになりたいかっていう目標が無いんです」
琴葉「だから…」
P「琴葉」
俺は琴葉の言葉を遮る
P「みんながみんな、なりたい目標があるわけじゃない」
P「エレナみたいにダンスが楽しいからってアイドルになった子もいる」
P「目標を持つのは良いことだ、だけどな」
P「目標を持つのが目標みたいなことになったら意味がない」
P「琴葉は真面目な子だ、だから時に考えすぎることもある」
P「でもたまには、楽しむことだけを考えても良いんじゃないかな」
130 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/10(土) 01:00:47.12 ID:XyZHEoCyo
琴葉「楽しむことだけを…」
P「楽しんでいく中で、きっと琴葉だけのアイドル像が見付かるはずだ」
P「俺はそのために背中を押して、手を引いてやる」
P「だからさ琴葉、全力で今を楽しめ」
琴葉「兄さん…」
その言葉を聞いて、琴葉が何故か抱き着いてくる
琴葉「わかりました、全力で『今』を楽しむ事にします」
俺に抱き着いたまま深呼吸をする琴葉
…何だろう、何かが食い違ってる気がする
しかし何が食い違っているのかがわからない…
ま、良いか
俺は考えるのをやめ、目を閉じた
131 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/10(土) 01:02:46.20 ID:XyZHEoCyo
一旦ここまで
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/10(土) 10:37:45.08 ID:lylB5zdno
おつ 今を楽しむとは
133 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:04:41.43 ID:GZbwXfN9o
兄さんがあっという間に寝てしまった
琴葉「…むう」
せっかく勇気を出して誘ったのに…
もう少し頑張って誘惑した方が良かったんだろうか?
ちょっと恥ずかしいけど、手を握るとか…
…
しかしこのままだと少し不安になる
この先ずっと妹みたいな存在としてしか見られないのかな
…いや、弱気になっちゃ駄目だ
134 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:35:06.34 ID:GZbwXfN9o
お母さんは押しに押していけって言ってた
お父さんは私が段々お母さんに似てきた…色んな意味でって言ってた
つまり私だって頑張れば私の両親みたいな素敵な関係になれるはず
だからもっと頑張らないと
琴葉「あっ」
せっかく生の兄さんの寝顔があるなら今のうちに写真を撮ってコレクションしないと
今までは毎年おば様に送っていただいていたけど、やっぱり自分で撮るに越したことはない
スマートフォンを構え、カメラを起動する
少し暗いけど、後で明度を補正すれば問題ない
フラッシュをオフにし、ピントを合わせて私はシャッターを切った
135 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:43:47.84 ID:GZbwXfN9o
琴葉「…よしっ」
綺麗に撮れた
後はこれをパソコンに取り入れて補正をかければ良い
スマートフォンを置き、もう一度抱き着く
兄さんから許可は貰った
だから全力で今この瞬間を楽しもう
そして願わくば、この先も
兄さんの胸に顔を埋めながら、私は意識を手放した
136 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:53:12.35 ID:GZbwXfN9o
P「ん…?」
窓から差す光の眩しさに、目が覚める
目が覚めると同時に、胸元に赤い何かがぷるぷると震えているのが見えた
そういえば昨日は琴葉と一緒に寝たんだっけ…
そこで改めて異変に気付く
…なんで琴葉は震えてるんだ?
P「琴葉、どうしたんだ?」
俺の声が聞こえたのか、琴葉が顔を上げる
琴葉「に、兄さん」
顔を上げた琴葉は涙目だった
P「ど、どうした!何があった!?」
琴葉「あ、足が…」
琴葉「足が凄く痛いです…」
137 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:10:02.81 ID:GZbwXfN9o
P「あー、筋肉痛か」
琴葉「こ、これは想像以上に辛いです…それと」
P「ん?」
今度は顔を赤くして俯く琴葉
琴葉「そ、その、兄さんのが太股に当たっていて…」
P「俺の?太股?」
そこまで言ってから気付いた
自分が今、寝起きであることを
P「あ、いや違うんだ琴葉!これは生理現象でいやらしい気持ちがあるわけじゃ」
琴葉「そ、そうですよね、私の胸が小さいから…」
P「一体何を言ってるんだ琴葉」
138 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:20:34.16 ID:GZbwXfN9o
P「足のどの辺りが痛い?」
琴葉「太股から下のほぼ全部です…」
P「ふむ…この辺りか?」
琴葉「はうっ!」
P「なるほど」
琴葉「に、兄さん」
P「よし琴葉、一旦風呂に入ってこい」
琴葉「お、お風呂ですか?」
P「ああ、湯を張ってじっくり浸かるんだ」
139 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:29:51.53 ID:GZbwXfN9o
琴葉「わかりました」
生まれたての子鹿みたいに震えながら歩く琴葉を見ていると流石に心配になったので脱衣所に連れて行く
P「これを渡しておこう」
琴葉「これは?」
P「プロデューサーたるものいつ呼び出されても良いようにと使っている完全防水の携帯だ」
P「風呂に入ってると電話が掛かってきたりしても気付かないだろ?だから持ち込むようにしてるんだ」
琴葉「なるほど…」
P「浸かったのは良いものの立てなくなったりしたら困るだろうし、そうなったら呼んでくれ」
琴葉「はい」
140 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:52:35.99 ID:GZbwXfN9o
琴葉「お風呂、いただきました」
P「お、大丈夫だったか?」
琴葉「はい、お湯に浸かっているうちに少し和らいだみたいで」
P「よし、なら次はベッドに座ってくれ」
琴葉「はい」
ベッドに座った琴葉の前に膝をつく
そして琴葉の足を持ち上げた
P「ちょっと我慢しろよ〜」
琴葉「に、兄さん、何を?…!?」
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