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島村卯月「シンデレラクエスト」
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17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 08:30:20.71 ID:wgbbUVG5O
乙
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 13:06:22.44 ID:mz9LvmYUO
>>16
こういう奴は減らないよな何様よ
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 16:53:59.56 ID:8jDh0mrho
ちっひは禍ツ神だから魔王は部下も同然じゃん
あれ?何で窓から緑色の光g(いjのjbcえqじょえんqんかふじこhqvwぢいおqjdくぇぴjcw
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 18:37:06.66 ID:IwlnEjjU0
Paは強い人多そう茜ちんとかニンジャとか
21 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:20:18.71 ID:O7+OKHs30
―――ヒトツメノ村
ちひろ「無事、最初の村に辿り着けましたね」
卯月「無事……って言えるんでしょうか、これは」
未央(どく)「…………」
ちひろ「死んではいないので、広義の意味では無事です」
卯月「まさかどく状態を与えてくる魔物が出るなんて……」
未央(どく)「……しまむー、私もうここから動けないから。あと一歩でも動いたらHP0になるから。お願い、急いでどくけし草手に入れてきて!」
卯月「わ、分かった!」
22 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:21:00.75 ID:O7+OKHs30
―――道具屋
卯月「すみません、どくけし草を―――」
亜子「売り切れでーす」
卯月「え、そんな―――って、亜子ちゃん!?」
亜子「あ、卯月ちゃん。こんなとこで何してるの?」
卯月「こっちの台詞だよ!? 亜子ちゃん、どうして道具屋やってるの!?」
亜子「儲かるからに決まってるじゃん」
卯月「単純明快!」
ちひろ「どうやら、こちらに転移してきた子たちはそれぞれたくましく生きているようですね」
亜子「で、どくけし草だっけ? 悪いけど今ないよ」
卯月「そ、そんな……未央ちゃんがどく状態になってるの! 早く治してあげないと……!」
亜子「え、今そんな危ない状況なの? でも無いものは無いし……あ、そういえばこの村には天才魔導士が住んでるんだよ」
卯月「天才魔導士?」
亜子「アタシは会ったことないけど、その人ならどくを消す魔法くらい使えるんじゃない? 家の場所は知ってるから教えてあげる」
卯月「あ、ありがとう!」
23 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:21:38.90 ID:O7+OKHs30
―――天才魔導士の家 前
卯月「ここが……すみませーん! 天才魔導士さん、いらっしゃいませんか!? お願いがあるんです!」
『はいはい、今行きますから』
卯月「……? 今の声どこかで聞いたような……」
《ガチャ―――》
ありす「この天才魔導士クールタチバナに何かご用―――」
卯月「……ありすちゃん?」
ありす「……」
《―――バタンッ!》
卯月「どうしてドア閉めるの!? ありすちゃん! ありすちゃんったら!」
24 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:22:10.37 ID:O7+OKHs30
ありす『あ、ありす? 人違いじゃないですか? 私はクールタチバナですよ?』
卯月「いや、ありすちゃんだよね!? お願い! 未央ちゃんがどく状態になっちゃって今にも死にそうなの! ありすちゃんの力を貸して!」
ありす『未央さんが?……仕方ないですね』
《ガチャ―――》
ありす「ありすではないですが、力を貸しましょう」
卯月「ありがとう!」
ちひろ「未央ちゃんのことを知ってる時点で、ありすちゃんと認めたもののような気がしますが……」
ありす「タチバナですっ!」
25 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:23:05.00 ID:O7+OKHs30
―――ヒトツメノ村 入口
未央(どく)「え、ありすちゃん?」
ありす「違います。私は天才魔導士のタチバナです。あなたのどくを治しに来てあげました」
未央(どく)「おぉ! 上から目線なのが若干気になるけど、治してもらえるならいいや! 早く治して!」
ありす「はいはい。では……クリアー!」シャーンッ
未央(どく)「これは……!? 体が光に包まれてく……!」
ありす「これでもう大丈夫です」
未央(どく)「ありがとう、ありすちゃん! これでようやく動けるよ!」
卯月「……あれ? 未央ちゃん、まだどくの表示が消えて―――」
未央(どく)「じゃあ私も村を見て回ろっかなー」《HP1→0》
棺桶「」チーン
26 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:23:30.58 ID:O7+OKHs30
卯月「未央ちゃん!?」
ちひろ「死にましたね」
卯月「ありすちゃん、未央ちゃん死んじゃったよ!?」
ありす「……あ、MPが切れてました」
卯月「『あ』じゃないよ!? うぅ……未央ちゃあーんっ!」
ちひろ「大丈夫ですよ。教会で生き返らせましょう」
ありす「そ、そうですそうです。すぐに生き返らせられますよ、これくらい」
卯月「……ゲームの世界観って、死の扱いこんなに軽いの?」
27 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:24:26.17 ID:O7+OKHs30
―――教会
クラリス「教会へようこそ」
卯月「これは予想出来てました」
ありす「クラリスさん。未央さんが死んでしまったので、生き返らせてください」
クラリス「はい、分かりました。……では、未央さんはレベル5ですから、500マニーの寄付をお願いいたします」
卯月「マニー?」
ちひろ「この世界の通貨です。卯月ちゃん、ポケットにICカードが入っているはずですよ」
卯月「ICカード?……あ、本当に入ってました」
ちひろ「魔物を倒したり物を売ったりすると、そのICカードに自動的にマニーが加算されます」
卯月「世界観にそぐわない近未来的なアイテムですね……というかクラリスさん、お金取るんですか!?」
クラリス「お金を取るわけではありませんよ。ただ、心ばかりの寄付を頂けたらと」
卯月「……もし寄付しなかったらどうなるんですか?」
クラリス「どうもしません。ただ、私も何もしないだけです」
卯月「やっぱりお金取ってますよね!?」
28 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:25:17.59 ID:O7+OKHs30
ありす「まあここは私が払いますよ。私にも少し責任がありますので」
卯月「……少し?」
ありす「どうぞ、500マニーです」
クラリス「善意の寄付をありがとうございます。では……未央さんカムバック!」
《ポンッ》
未央「……ふぇ?」
卯月「未央ちゃん! い、生き返って良かった……!」
未央「え、生き返ってって……まさか私死んでたの!? ちょっとありすちゃん!?」
ありす「未央さん、無事で何よりです」
未央「いや無事じゃなかったんだよね!? 死んでたんでしょ!?」
29 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:26:00.10 ID:O7+OKHs30
ありす「今、未央さんは生きている。それでいいじゃないですか」
未央「良くないよ! 思い出したけど、死んだ時体中に超絶痛みが襲ってきたんだからね!?」
卯月「ち、ちひろさんが前に言っていたこと、ホントだったんだ……」
ちひろ「HPが減ってもそれほど痛みを感じない代わりに、死んだ時は超絶痛みを感じるようになっているんです。まあ、仕様ですね」
卯月「嫌な仕様ですね!」
未央「ありすちゃんったら!」
ありす「過ぎたことをネチネチと……分かりました。お詫びに私も未央さんたちの旅に同行しますよ」
卯月「え、本当に?」
ありす「そろそろ元の世界に帰りたかったので、ちょうどいいです」
未央「……でもその前に私に言うことがあるよね?」
ありす「……すみませんでした」
未央「よろしい」
ちひろ「ありすちゃんが仲間になりました」
30 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:26:37.39 ID:O7+OKHs30
―――ソコイラの森
ありす「この天才魔導士クールタチバナが仲間になったからには、魔物なんて敵じゃないです」
卯月「うん、頼りにしてるね」
ありす「ところで、未央さんの武器はどんなものなんですか?」
未央「私? 私はこれだよ」
ありす「じ、銃ですか、それ?」
未央「そう。しまむーの剣と同じで、お空に上がった時のやつだね。これで魔物をバンバン撃っちゃうよー!」
『きゅぴー』
卯月「きゅぴ?……ま、またスライムです!」
未央「なんかスライムばっかりと遭遇してる気がするなぁ……まあいいや、ばきゅーんっ!」バキュン
『きゅぴ?』
未央「え、効いてない!?」
31 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:27:31.23 ID:O7+OKHs30
ちひろ「そのスライムはただのスライムではなく、物理攻撃が効かないタイプのやつですね。魔法しか通用しませんよ」
未央「こんな序盤でそんな面倒なの出てくるの!?」
卯月「魔法なら……ありすちゃん、お願い!」
ありす「やれやれ、もう出番ですか。では見せてあげましょう。……天才魔導士の力を!」
未央「あ、ありすちゃんの周囲に、魔力が集まって……!」
ちひろ「……あ、なんかまずそうなので離れたほうがいいですよ」
卯月「へ?」
ありす「迸れ、数多の雷よ!」
ありす「スパーキングサンダーノヴァ!」
《ズガガガガッ、ズガ―――――――――――ンッ!》
卯月・未央・スライム『きゃぁああああああああああああっ!?(ぴぎいっ!?)』
32 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/10(水) 22:29:18.97 ID:O7+OKHs30
ありす「……ふぅ、片付きましたね。どうですか、お2人とも? これが私の実力で―――」
棺桶×2「」チーン
ありす「す……」
ちひろ「2人とも巻き添えで死にましたよ」
ありす「……ちょっとやりすぎました」
ちひろ「仕方ないので、さっきの村の教会まで戻りましょう。ありすちゃん、天才魔導士なんですから、瞬間移動の魔法くらい使えますよね?」
ありす「使えますが……もうMPないです」
ちひろ「え、一回魔法使っただけでですか?」
ありす「私、天才なのでほとんどの魔法は使えるんですが……MPは魔法を一回使えるくらいしかなくて」
ちひろ「とんだ天才魔導士ですね……。では、教会まで歩いて戻りましょう。棺桶2つ、頑張って運んでくださいね」
ありす「うぅ、重そうです……」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 02:39:22.32 ID:L8iOxo++0
しっかりしてくれよ橘さん……
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 21:42:52.79 ID:+buj1PhTo
ポテンシャル高いと信じる! C
http://imepic.jp/20170517/772340
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 22:53:57.69 ID:YSN8APjco
>>34
はえーすごい
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 23:51:13.38 ID:U6gZLdJKo
しのーじおひさ
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/18(木) 00:00:03.05 ID:71MxQ1a0O
>>34
妖精というか妖怪みたいなのがいますね
38 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:45:51.96 ID:tJf5meLV0
>>34
素晴らしいイラストを描いてくださり、ありがとうございます
心の底からメチャクチャ嬉しいです
ただ、話の内容のハードル、跳ね上がったような……きっと気のせいですね
前にも書いた通り、これからもテキトーに書いていきます
それとここからは、描写しやすいのでちょっとだけ地の文を書いてこうと思います
ちなみに地の文を入れたからといってシリアスな展開を期待されても、残念ながらその期待には応えられないと思います
39 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:47:31.58 ID:tJf5meLV0
―――フタツメノ村
ソコイラの森を抜けて、私たちはフタツメノ村に到着しました。
ありす「無事、フタツメノ村に到着できましたね」
未央「私としまむー、一回死んでるけどね」
未央ちゃんがそれこそ死んだような目で、そう呟きます。
卯月「そ、そのことはもう忘れよう? 思い出したくもないし……」
ちひろ「卯月ちゃんの言うとおりですよ。過去は振り返らずに、未来のことだけを考えて行きましょう」
40 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:48:31.54 ID:tJf5meLV0
未央「未来かー……魔王倒すまでに、あと何回死ぬことになるのかな?」
卯月「ネガティブ! み、未央ちゃん、いつものポジティブパッションはどうしたの!」
未央「この短期間に2回も死んだら、そりゃネガティブにもなると思うよ!?」
ありす「も、もうやめましょう、そんな暗い話は。それよりも、やっと村についたんです。まずは宿屋にでも行って休みませんか?」
卯月「そ、そうだね。未央ちゃん、きっと疲れてるんだよ。ゆっくり休も?」
未央「……うん、そーする」
41 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:49:56.11 ID:tJf5meLV0
―――宿屋
宿屋の一室にて。
もうベッドでは、未央ちゃんが幸せそうな顔をして眠っています。
未央「……むにゃ……まだ食べられるよ……」
卯月「部屋に着いた途端に眠っちゃった」
ありす「やっぱり大分疲れていたんですね」
ちひろ「ここまでの魔物との戦闘……少し未央ちゃんに頼りすぎていたかもしれませんね」
ちひろさんのその言葉は、確かに的を射ていました。
この村に来るまでの戦闘で魔物と戦っていたのは、ほとんど未央ちゃんだったからです。
42 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:50:58.39 ID:tJf5meLV0
卯月「……そうかもしれません」
ありす「私は一回魔法使ったら、お荷物ですし……」
ちひろ「未央ちゃんは一番レベルが高いですから、仕方ない所もありますが」
卯月「いえ、仕方なくなんてないです……」
そうやって頼り切っていたせいで、未央ちゃんはこんなにも消耗してしまったのだから。
……ごめんね、未央ちゃん。
43 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:51:34.12 ID:tJf5meLV0
卯月「ありすちゃん、これからは未央ちゃんの負担を減らすために、私たちももっと前に出て戦おう?」
ありす「はい、分かりました。魔法を使えなくなっても、杖でえいっと叩くくらいはやってみせます」
ちひろ「その意気です。旅は助け合いが大事ですよ」
じゃあさっそく、未央ちゃんの負担を減らすために行動を。
卯月「ねぇ、ありすちゃん。未央ちゃんが寝てる間に、私たちで魔王に関する情報を集めようよ」
ありす「了解です。村の人に聞き込みですね」
44 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:52:29.79 ID:tJf5meLV0
―――翌日
未央「んー、ぐっすり寝たーっ!」
卯月「おはよう、未央ちゃん」
ありす「疲れは取れましたか?」
未央「うん、バッチシ!」
ちひろ「元気満タンみたいですね。それでこそ未央ちゃんです」
一晩ぐっすりと眠って、未央ちゃんはもうすっかり元気になったみたいです。
45 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:52:57.61 ID:tJf5meLV0
卯月「未央ちゃん。私たち昨日、この村で魔王に関する情報を集めたんだ」
未央「え、しまむーたちだけで?」
ありす「未央さんはぐっすり寝ていたので、起こすのもどうかと思いまして」
未央「そういうことなら、起こしてくれて良かったのに……。ありがとね、2人とも」
卯月「ううん、こっちこそ。ありがとう、未央ちゃん」
ありす「ありがとうございます、未央さん」
未央「ほぇ? 私はお礼を言われるようなこと、何もしてないよ?」
未央ちゃんが不思議そうな顔をしています。
46 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:53:33.94 ID:tJf5meLV0
もちろん、今のはこれまでの戦闘へのお礼だったんですが……それを言うのは、私もありすちゃんも、ちょっぴり照れくさくて。
ちひろ「いいじゃないですか、未央ちゃん。感謝の言葉は、ありがたく受け取っておくものですよ」
私たちの気持ちを察してくれたのか、ちひろさんがフォローしてくれました。
未央「そ、そうかなぁ。じゃあ……どういたしまして?」
ありす「それでいいです。ありがたく受け取っておいてください」
未央「ありすちゃん、ちょいちょい上から目線になるね!」
47 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 01:54:06.93 ID:tJf5meLV0
卯月「ふふっ」
2人のやりとりを見ていたら、なんだかおかしくなっちゃいました。
つい、私の顔が綻びます。
未央「しまむーも、なんで笑ってるの?」
卯月「あはは、ごめんね」
未央「もう……それで、魔王の情報は集まったの?」
卯月「あ、うん」
ありす「村の人の話によると……この村の近くに、魔王の配下が支配している砦があるそうです」
48 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:06:43.27 ID:tJf5meLV0
―――砦
フタツメノ村近くの砦。その、ある一室において。
??「―――勇者がこの辺りに来てる? それで、この砦に来る可能性が高いんだ? ふーん……だいじょぶだいじょぶ、勇者なんてちょちょいのちょいにゃ」
49 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:11:04.26 ID:tJf5meLV0
―――砦前
私たちはフタツメノ村を出て、話に聞いた砦へとやって来ました。
……正確に言うと、砦が見えるくらいの位置にある茂みの中にいます。
隠れていないと、魔物に見つかってしまうので。
未央「いかにも、中ボスがいそうな砦だね」
ありす「その言い方はどうなんでしょうか」
卯月「どうやって中に入ればいいんでしょうか……やっぱり正面から?」
ちひろ「卯月ちゃん、そんな正々堂々と行く必要はないと思いますよ」
50 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:11:51.04 ID:tJf5meLV0
卯月「ちひろさん、何か考えがあるんですか?」
私が訊ねると、ちひろさんは妖精らしい素敵な笑顔で―――
ちひろ「どうせ相手は魔王の配下なんです。こっそりと忍び込んで闇討ちしましょう♪」
―――魔王もびっくりの作戦を唆してきました。
未央「きたなっ!?」
ありす「とても勇者のすることじゃないですね」
51 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:13:17.52 ID:tJf5meLV0
卯月「ち、ちひろさん、それは流石に……」
いくら相手が魔王の配下でも、その作戦は良心が咎めるというか……。
ちひろ「では正面から行って、わらわらと出てくる魔物と休む間もなく戦うんですか? 卯月ちゃんたちがそれでいいならいいですけど……多分、全滅すると思いますよ」
卯月・未央・ありす『…………』
ちひろ「どうするんですか?」
52 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:14:55.56 ID:tJf5meLV0
―――砦内
良心は生存本能には勝てませんでした。
あの後、私たちは砦の周囲をくまなく探索。
しかし忍び込めそうな場所が見つからず……ちひろさんの指示で、砦の壁をツルハシのように剣で掘削。
そして破壊。
壁に空いた大穴から、砦の中へと侵入しました。
53 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:15:45.20 ID:tJf5meLV0
ちひろ「みなさん、物音は立てないでくださいね。こっそりと、抜き足差し足忍び足、ですよ」
未央「……やってること、まるで盗賊だよね」
ありす「……平和のためです」
卯月「……でもすごい、罪悪感が」
ちひろ「無駄話はしないでください。魔物に見つかってもいいんですか?」
卯月・未央・ありす『……はーい』
ちひろさんに注意され、無言になる私たち。
54 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:16:48.89 ID:tJf5meLV0
ですが、ふと気になったことがあるので、私はちひろさんに話しかけました。
卯月「でもちひろさん、魔王の配下のいる場所、分かるんですか?」
ちひろ「どうせ砦の最深部にいますよ。中ボスなんですから」
未央「身もふたもないことを」
ちひろ「そして中ボスの所まで行ったら、気付かれないように後ろから全員で総攻撃です」
ありす「ゲスの極みですね」
さっきから、とても妖精とは思えない発言が続きます。
もしかして魔王って、ちひろさんなんじゃ……そ、そんなわけないですよね。
55 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:17:48.80 ID:tJf5meLV0
そんなおそらく見当違いなことを考えていると―――
『……れ、か……』
小さな声が、私の耳に入ってきました。
卯月「? 未央ちゃん、今何か言った?」
未央「何も言ってないよ?」
卯月「でも今、何か聞こえたような……ありすちゃん?」
ありす「私も何も言ってないです」
56 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:20:04.02 ID:tJf5meLV0
気のせいでしょうか……?
試しに目を閉じて、耳を澄ませてみます。
すると―――
『誰か……助けて…………っ!』
卯月「! 今、助けてって声が聞こえた!」
未央「え、ホント!?」
卯月「あっちから!」
私は、声のした方向へと駈け出しました。
57 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/18(木) 02:23:49.06 ID:tJf5meLV0
声を追って辿り着いた先は……牢屋。
そして、その中に居たのは―――
卯月「……加蓮ちゃん?」
加蓮「……卯月、なの?」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/18(木) 03:29:26.40 ID:psgYttS+O
中ボスがチョロそう…
チュートリアル並みにあっさり倒せそう…
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2017/05/18(木) 07:19:49.77 ID:DtG+99piO
ありすちゃん・・・どこの頭のおかしい爆裂魔法少女だよ
60 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:17:44.03 ID:/7YGYHzE0
私が加蓮ちゃんの元に辿り着くと、すぐに後ろから未央ちゃんたちが追いついてきました。
未央「しまむー、助けてっていったい―――かれん!?」
加蓮「未央? それにありすちゃんに……ちひろさん小さっ!」
ありす「加蓮さん、どうしてこんな所に?」
ちひろ「もしかして、中ボスに捕まったんですか?」
加蓮「中ボス?」
卯月「ま、魔王の配下に捕まったの?」
加蓮「あ、うん、そうなの。みんな、お願い。その辺に鍵あると思うから、それで牢屋から出してくれない?」
未央「オッケー、任せといて!」
61 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:18:15.21 ID:/7YGYHzE0
私たちはその辺を探して鍵を発見し、加蓮ちゃんを牢屋から解放しました。
加蓮「やっと出れたよ……」
卯月「加蓮ちゃん、どうしてこんな所に捕まってたの?」
加蓮「こっちの世界に来てすぐ、魔王の配下と出くわしちゃってさ。そのまま捕まって、ずっとここに閉じ込められてたの」
未央「そうだったんだ。ツイてないね、かれん」
加蓮「ホントだよ」
卯月「でも、無事で良かった」
ありす「加蓮さん。それでその中ボスって、どんな奴なんですか?」
加蓮「どんな奴って言うか……」
62 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:18:49.02 ID:/7YGYHzE0
―――砦 最深部 扉前
加蓮「あんなみく」
みく『勇者め、来るなら来るにゃ! にゃーにゃっにゃっにゃっにゃ!』
扉をちょっと開いて中を覗くと、みくちゃんが悪い顔で高笑いしていました。
未央「みくにゃんじゃん!」
ありす「え、魔王の配下ってみくさんなんですか!?」
加蓮「そうなんだよ……」
卯月「ど、どういうことですか、ちひろさん! なんでみくちゃんが魔王の配下に!?」
ちひろ「ちょ、ちょっと待ってください……ちひろアイ!」
未央「何それ!?」
63 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:19:26.48 ID:/7YGYHzE0
ちひろ「説明しましょう。ちひろアイとは、妖精ちっひだけが持つスペシャルなスキル。これを使って相手を見ると、その相手のステータスがまるっとお見通しなんです」
加蓮「え、そんなスキルあるんだ」
ちひろ「これのおかげで、卯月ちゃんたちのレベルが今どれくらいなのかも把握できるんですよ」
ありす「それのおかげだったんですね」
ちひろ「これを使ってみくちゃんを見れば…………あ、みくちゃん、魔王に操られてますね」
卯月「えぇ!?」
ちひろ「そのせいで、完全に魔王の配下になってるみたいです」
未央「ど、どうするの!? 相手がみくにゃんじゃ戦えないよ!」
ちひろ「いえ、みくちゃんを魔王の支配から解放するには、みくちゃんを倒すしかありません」
卯月「た、倒すって、そんなの……」
ちひろ「安心してください。みくちゃんを傷つけることはないですから」
卯月「え?」
64 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:20:00.57 ID:/7YGYHzE0
ちひろ「卯月ちゃんたちの武器には、特別な魔法がかけられていると前に言ったでしょう? あれは魔物に対してだけではないんです。その武器で人を攻撃して体力を0にした場合、その相手は深い眠りにつくんですよ」
ありす「眠るだけ、ですか?」
ちひろ「はい」
未央「でもちひろさん。私としまむー、ありすちゃんの魔法で死んでるんだけど」
ちひろ「残念なことに、パーティ内には適用されない仕様なので」
未央「むしろそこに適用されるべきじゃないの!?」
ちひろ「こほん。それで卯月ちゃんたちの攻撃によって深い眠りにつきますと……目が覚めた時には全ての状態異常が回復、HPは全快になっているんです」
ありす「ポケ○ンみたいですね」
ちひろ「ここで重要なのは、状態異常が回復するということです。言うなれば、魔王の支配も状態異常のようなもの。なので、眠れば元のみくちゃんに戻るでしょう。……多分」
未央「小声で多分って付け足したし!」
卯月「ほ、本当ですね、ちひろさん? 信じていいんですね?」
ちひろ「もちろんです。導きの妖精ちっひを信じてください」
未央「しまむー。果てしなく怪しいとこだけど、ここは信じるしかないよ」
ありす「そうですね。限りなく疑わしいですが、それしかないなら」
ちひろ「私の信用随分と低いですね!?」
卯月「……分かりました。みくちゃんと、戦いましょう!」
65 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:20:42.63 ID:/7YGYHzE0
―――砦 最深部
その頃みくは、中々やって来ない勇者に待ちくたびれていた。
みく「……遅いなー。勇者なんて全然来ないにゃ。あの話、眉唾なんじゃないの?」
《バキュンッ》
みく「にゃ!? な、何、今の!? なんか鈍い音が聞こえたと思ったら、体がチクってしたにゃ!」
《バキュンッ、バキュンッ》
みく「にゃにゃ!? 何!? 何なの!?」
66 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:21:51.02 ID:/7YGYHzE0
―――砦 最深部 扉前
加蓮「……ねえ。これはあまりにも……あんまりじゃない?」
ちひろ「仕方ないじゃないですか。みくちゃんがこの扉の方を向いているせいで、こっそり侵入して闇討ちすることが出来ないんです」
加蓮「まずその作戦からして、あんまりな気がするんだけど」
ちひろ「さあ未央ちゃん、もっとです。……扉の隙間から、みくちゃんを撃って撃って撃ちまくってください!」
未央「……はーい」
《バキュンッ、バキュンッ》
未央ちゃんが感情のない声で答え、みくちゃんに向かって銃を撃ち続けます。
みくちゃんと戦うにあたって、ちひろさんが立てた作戦。
それは―――みくちゃんにバレないように部屋の扉を少しだけ開き、その隙間からみくちゃんを銃で狙い撃つという姑息な手でした。
67 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:23:25.03 ID:/7YGYHzE0
ちひろ「この世界ではみくちゃんたちの痛覚は大分鈍くなってますから、まだ銃で撃たれていることにすら気付いていないでしょう。このままみくちゃんの体力が無くなるまでこれを続ければ、戦闘に入らずにみくちゃんを倒せますよ♪」
ありす「よく笑顔でそんなエグいこと言えますね」
加蓮「確かめたいんだけど……卯月たち、勇者なんだよね? 魔王の配下じゃないよね?」
卯月「違うよ! そんな疑いの眼差しで見ないで、加蓮ちゃん!」
ちひろ「あ、卯月ちゃん、しっ!」
みく『今の声は何にゃ!?』
卯月「あ」
未央「やばっ!? みくにゃんこっち来る!」
《バァ―――ンッ!》
勢いよく扉が開かれ、私たちとみくちゃんの目が合いました。
みく「…………」
卯月たち『…………』
みく「こんなとこで何してるにゃあ―――――――――――――――――――――っ!?」
68 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:24:03.93 ID:/7YGYHzE0
卯月「そ、それはそのぉ……」
みく「さっきからチクチクすると思ったら、未央チャンがここから銃で撃ってたの!?……あ、みくのHPメッチャ減ってるにゃ!? 姑息にもほどがあるよ!」
ありす「返す言葉もないです」
ちひろ「まずいですね……もうこうなったら、ちゃんと戦うしかありません」
未央「それが普通だと思うよ!?」
みく「卯月チャンたち、みくに何の用!? こんなことするなんて、この世界で暗殺者にでもなったの!?」
卯月「あ、暗殺者じゃなくて勇者だよ!」
みく「え、勇者? 卯月チャンたちが?」
卯月「う、うん、一応」
加蓮「そうらしいよ」
みく「あ、加蓮チャン! 牢屋から出てきたの!?」
加蓮「卯月たちに出してもらったんだ。みく、これまでのお返しをしに来たよ!」
みく「むむっ、生意気なことを!」
加蓮「じゃ、そういうわけで……みんな、私の分も頑張って!」
卯月・未央・ありす『……えっ?』
69 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:24:42.89 ID:/7YGYHzE0
加蓮「私はその辺に隠れてるね。……ファイトっ!」
そう言うと、加蓮ちゃんは驚きの速さでこの場から逃げていきます。
未央「ちょっとかれん!?」
ありす「一緒に戦ってくれるんじゃないんですか!?」
加蓮「だって私、戦うのとか無理だから―――っ!」
卯月「そんな!?」
ちひろ「……行っちゃいましたね」
みく「あーあ、加蓮チャンも魔王様の元に連れてって、心を支配してもらうつもりだったのに」
卯月「そ、そんなことを考えてたの?」
未央「みくにゃん、正気に戻ってよ! みくにゃんはそんなことする子じゃないでしょ!」
ありす「優しいみくさんに戻ってください!」
みく「うるさいにゃ! みくは魔王様の忠実なるしもべなり!」
ちひろ「完全に操られていますね……」
70 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:25:26.93 ID:/7YGYHzE0
みく「魔王様の命に従い、みくがこの辺り一帯を支配した暁には―――」
みく「全ての人間どもに、猫耳を付けさせるのにゃ!」
卯月たち『…………』
みく「ふっ……恐ろしくて言葉も出ないにゃ?」
未央「呆れて言葉も出ないよ」
ありす「くだらないことを……」
卯月「ちひろさん、魔王ってそんなことを企んでいるんですか?」
ちひろ「支配した後のことはみくちゃんの独断でしょう。心を操られていても、元の人格の影響があるようですね」
みく「勇者である卯月チャンたちを倒せば、猫耳ワールドにまた一歩近づくにゃ! さあ、かかってくるにゃ!」
71 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:26:06.72 ID:/7YGYHzE0
ちひろ「いよいよ中ボス戦です! みなさん、頑張ってください!」
卯月「は、はいっ!」
未央「ありすちゃんは切り札だから、下がってて! いよいよヤバそうになったら、魔法お願い!」
ありす「分かりました!」
卯月「いきますっ!」
先手必勝とばかりに、私は手に持った剣を振りかぶり、みくちゃんの体を斬りつけます。
みく「その程度の攻撃で!……こう、げき……で……」
どうしたことか、みくちゃんはだんだんと弱弱しい声になっていきながら……その場にゆっくりと倒れました。
卯月「? み、みくちゃん?」
みく「……ぐぅ」
未央「ぐぅ?」
ありす「……寝てます」
ちひろ「勝ちましたね」
卯月・未央・ありす『もう!?』
72 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:26:52.66 ID:/7YGYHzE0
ちひろ「さっきの未央ちゃんの銃撃で、みくちゃんのHPは風前の灯火でしたから。やはり私の作戦が功を奏しましたね」
未央「えぇー……」
ありす「なんでしょう……勝ったのに、すごく虚しいんですが」
ちひろ「その通り。戦いとはいつも虚しいものです」
卯月「意味が違う気がします……」
私たちが微妙な気分になっていると―――
加蓮「あ、終わったー?」
加蓮ちゃんが、ひょっこり戻ってきました。
73 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:28:14.76 ID:/7YGYHzE0
卯月「うん、終わったよ。加蓮ちゃん」
未央「かれん、一人だけ安全なとこ行ってー!」
加蓮「ごめんごめん」
ありす「まあ私も何もしてませんが」
加蓮「にしても、随分早く終わったよね。やっぱりさっきのあんまりな作戦のせい?」
ちひろ「巧妙な作戦と言ってください」
未央「どこが?」
加蓮「あ、ホントにみく寝ちゃってるし」
みく「……もう食べられないにゃ……」
加蓮「幸せそうな顔しちゃって。まったく、みくったら……」
加蓮「こんな簡単にやられないでよ」
74 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/19(金) 19:30:37.65 ID:/7YGYHzE0
ありす「……え」
未央「か、かれん……?」
加蓮「ホントはこのまま当分、卯月たちにくっついてくつもりだったんだけどなー。でも、みくは不甲斐ないし……それにちひろアイだっけ? そんなのあったら、どうせすぐ気付かれちゃうよね」
卯月「そ、それ、どういう……」
ちひろ「加蓮ちゃん、まさかあなた……!」
加蓮「ご自慢のちひろアイで見てみれば?」
ちひろ「……な!? か、加蓮ちゃんも……魔王に操られています!」
未央「嘘!?」
ありす「みくさんだけじゃなかったんですか!?」
卯月「か、加蓮ちゃんまで……?」
加蓮「ふふっ、それでさみんな。これじゃ不完全燃焼でしょ? だから……次は、私が相手をしてあげるね」
卯月「っ!」
加蓮「あ、せっかくだし、改めて自己紹介しとこうかな」
加蓮「一応、魔王様の側近をしてる―――魔導将、北条加蓮だよ。よろしくね♪」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/19(金) 20:25:57.48 ID:cyYEMVMyO
一体魔王は何者なんだー
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/19(金) 21:39:03.23 ID:vyo5dYo+o
魔王の側近の片割れは誰なんだ…ちひろは卑劣様か何か
卯月一行が外道過ぎて笑う、みくの目的しょぼすぎて草
加連は魔導将(物理かな)何人かいるんだよな
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/19(金) 23:19:59.80 ID:RWgUX3Vqo
みくにゃん弱くてワロタww 加蓮強そう。
ドラクエだけど特撮系女幹部っぽいキャラも似合ってるな〜
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 00:59:00.25 ID:rB0YGAwfo
加蓮の相方はちょろいに違いない
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 01:10:23.70 ID:xVrh3lf2o
姑息の使い方間違ってるよ
アイドル自身が誤用してるって設定でもいいけど
80 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:39:40.08 ID:/epmwej50
>>79
指摘ありがとうございます
今更修正出来ないのでそういう設定でお願いします
81 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:40:49.13 ID:/epmwej50
加蓮ちゃんの告白に、私たちは驚きを隠せませんでした。
加蓮「実は魔王様に、勇者が旅立ったらしいから、どの程度のものか見極めてきてって頼まれてさ。それでかよわいヒロイン枠で勇者パーティに潜り込み、じっくりと見極めるというナイスなアイデアを思いついたの」
未央「自分でかよわい言うんだ!」
加蓮「で、みくにも協力してもらって一芝居打ったんだけど……ちひろアイなんてのがあるなんてね。それ知ってたら、こんな回りくどいことしなかったのに」
ありす「ちひろアイが無ければ、危うくずっと騙され続ける所だったんですね」
ちひろ「さすが私。我ながら自分のスペックが恐ろしいです」
卯月「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!」
加蓮「そう、お喋りはそろそろ終わり。……ここからは、ボス戦の始まりだよ」
82 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:41:44.73 ID:/epmwej50
未央「かれん、ホントにやる気なの!?」
卯月「加蓮ちゃん、さっき魔王の側近って言ってたけど……それが本当なら、相当な強敵なんじゃ―――」
ちひろ「ありすちゃん、瞬間移動の魔法です! 逃げますよ!」
ありす「え!? に、逃げるんですか!?」
ちひろ「早く!」
加蓮「ふふっ、ちひろさん少し落ち着いたら? 屋内じゃ瞬間移動の魔法は使えないよ?」
ちひろ「あ!」
加蓮「ていうか、ちひろさん余計なことしすぎじゃないかな。ちょっと黙ってて。バインド」
加蓮ちゃんが唱えると、掌から小さな魔方陣が浮かび上がります。
ちひろ「むぐっ!?」
卯月「ちひろさん!?」
ちひろさんの小さな体が、光る縄のようなもので縛られました。
当然、羽も動かせなくなり、地面へと落下。
83 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:42:43.06 ID:/epmwej50
未央「大丈夫!?」
ちひろ「むぐ、むぐぅ」
加蓮「邪魔だったから、口を塞ぐついでに動けなくしただけだって」
ありす「つ、杖も持たずに魔法を……?」
加蓮「ん? だって杖重いんだもん」
ありす「そんな理由ですか!?」
加蓮「ふふっ、それよりさ……自分たちの心配をした方がいいんじゃない?」
加蓮「言っとくけど私、すごく強いよ」
―――瞬間。
加蓮ちゃんから凄まじいほどの闘気が、私たちに向かって放たれました。
84 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:43:18.44 ID:/epmwej50
卯月「っ!」
ありす「な、なんですか……この、プレッシャーは……」
未央「び、ビビっちゃ駄目! 相手は1人、こっち3人! 全然勝機はあるよ!」
ありす「そ、そうですよね。……やるしかないです!」
卯月「……加蓮ちゃんを、魔王から救い出さないと!」
加蓮「そうそう、それでこそ勇者だよね。……じゃ、始めよっか!」
―――戦闘、開始ですっ。
85 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:43:53.00 ID:/epmwej50
未央「ありすちゃん、さっきと同じ! まずは下がってて、やばそうになったら魔法お願い!」
ありす「分かりました!」
未央「いくよ、しまむー!」
卯月「うん!」
私と未央ちゃんが、真っ直ぐに加蓮ちゃんへと突っ込みます。
まずは、未央ちゃんの銃撃から。
未央「いくよ、かれん!」
未央ちゃんが引き金を引き、加蓮ちゃんに向かって何発もの銃弾が放たれました。
それに対して、加蓮ちゃんは右腕を前に出し―――
加蓮「フレア」
そう唱えました。
浮かび上がる魔方陣。
そして、加蓮ちゃんの掌から球状の小さな炎が生まれ―――銃弾はそれに飲み込まれます。
未央「な!?」
加蓮「こんなもの?」
86 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:45:07.51 ID:/epmwej50
未央「くっ、しまむー!」
卯月「いきますっ!」
加蓮「次は卯月か」
卯月「やぁっ!」
私は振りかぶった剣を加蓮ちゃんへと―――
加蓮「アイス」
加蓮ちゃんが唱えた瞬間、方形の氷が形成されます。
その氷はまるで盾のように―――今まさに、私が剣を振り下ろそうとしていた位置に。
卯月「え!?」
キィンという音とともに、振り下ろした剣は氷によって防がれました。
加蓮「もう、これぐらい砕いてみせてよ」
卯月「っ!」
87 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:45:42.13 ID:/epmwej50
未央「引いちゃ駄目! しまむー、攻撃し続けて!」
卯月「うん!」
私が繰り出す、斬撃、斬撃、斬撃。
そして未央ちゃんが撃ち出す、銃撃、銃撃、銃撃。
連続で、次は交互に、また連続。
息つかせる暇をなくす勢いで、私と未央ちゃんは、加蓮ちゃんに攻撃を仕掛け続けます。
―――しかし、その全てを、加蓮ちゃんは魔法で防ぎきりました。
加蓮「もう終わり?」
卯月「ぜ、全然、効いてない……」
未央「嘘でしょ……?」
加蓮「うーん……やっぱり弱いね。これくらいじゃ魔王様には―――」
ありす「卯月さん、未央さん、離れてください!」
88 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:46:26.52 ID:/epmwej50
卯月「! 分かった!」
未央「任せたよ、ありすちゃん!」
加蓮「今度はありすちゃん? さて、一体何をしてくれ―――」
ありすちゃんが魔力を集中。
周囲にバチバチと青い稲妻が走り始めます。
加蓮「!? これ、まさか……!」
ありす「迸れ、数多の雷よ!」
加蓮「っ! 焼き尽くせ、灼熱の炎よ!」
ありす「スパーキングサンダーノヴァ!」
加蓮「ブレイジングフレアノヴァ!」
ありすちゃんに続いて、加蓮ちゃんも呪文を唱えました。
89 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:47:08.35 ID:/epmwej50
かたや、生み出されたのは青き稲妻。
かたや、生み出されたのは赤き烈火。
強大な2つのエネルギーは、地を這うように真っ直ぐ、向かい合う相手の元へと。
そして―――雷撃と炎撃は、直線上でぶつかり合いました。
《ドゴォオオオオオンッ!》
激突の余波が、辺りに衝撃となって伝わります。
卯月「きゃっ!」
ありす「ど、どうです……!」
未央「やったか!?」
ありす「どうして余計なフラグを!?」
私たちの視線の先に―――
加蓮「い、今のは……本気で焦った……」
まだ、加蓮ちゃんは立っていました。
90 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:48:34.24 ID:/epmwej50
ありす「ほら未央さんのせいで倒せなかったじゃないですか!」
未央「わ、私のせい!?」
卯月「多分、未央ちゃんは関係ないと思うよ!?」
加蓮「まさかありすちゃんがノヴァ系……最上級魔法を使えるなんて。すごいね、ありすちゃん。さあ、もっともっと撃ってきなよ!」
ありす「え。あ、そ、そのぅ……」
加蓮「? どうしたの?」
ありす「……」
加蓮「まさか……もうMPないとか?」
ありす「ぎくぅ!?」
未央「もうちょい隠せない!?」
加蓮「……なんだ。じゃあ3人とも、今ので全部出し切っちゃった感じ?」
ありす「そ、それは……」
未央「私たちの攻撃は、全然通用しないし……」
卯月「これ以上、どうしようも……」
91 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:49:41.95 ID:/epmwej50
私たちの様子を見て、加蓮ちゃんは小さくため息をつきました。
加蓮「もうちょいやれると思ったんだけどなぁ。じゃあもう、これ以上やっても仕方ないし……そろそろ全滅しとく?」
卯月「っ!」
加蓮「まずはやっぱり、勇者の卯月からかな。……フレアレイ」
加蓮ちゃんの右手の前に浮かび上がる魔法陣。
そこから生み出されたのは、一条の炎の光線。
一筋の炎は、まっすぐに、私へと迫って―――
未央「しまむー、危ない!」
卯月「未央ちゃん!?」
92 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:51:10.85 ID:/epmwej50
未央ちゃんが声を上げた次の瞬間、私は未央ちゃんに勢いよく突き飛ばされました。
倒れ行く私の視線の先では……炎の光線が、未央ちゃんを貫こうと―――
そんなの、させない。
私はまるで砕こうとするかのように、地面を強く踏みつける。
踏みとどまる。
そして踏み出す、未央ちゃんの前へと。
未央「しまむー!?」
決めたはず。
未央ちゃんに頼りきるのは、もうやめるって。
だから……!
卯月「私が!」
93 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:52:29.52 ID:/epmwej50
……感じる。
今、自分の中に新しい力が生まれた。
それを―――引き出す!
卯月「ティンクルスター!」
叫ぶと同時、手に持つ剣の切っ先に光が収束していく。
―――炎が目の前に迫る。
今だ。
これに突き刺す!
そして―――切り裂くっ!
加蓮「フレアレイを!?」
未央「斬っちゃった!?」
ありす「すごいです……!」
94 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:53:04.67 ID:/epmwej50
まだ。
このまま突っ込んで―――決める。
卯月「たぁっ!」
加蓮「しまっ!?」
そして―――私の剣が、加蓮ちゃんの体を貫いた。
加蓮「……やるじゃん、卯月」
卯月「加蓮、ちゃん」
加蓮「でも、この程度じゃ私は倒せないよ」
加蓮ちゃんがそう告げた瞬間、私は加蓮ちゃんに両手で突き飛ばされました。
卯月「わっ!?」
当然、加蓮ちゃんを貫いていた剣は、加蓮ちゃんの体から引き抜かれます。
95 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:53:49.88 ID:/epmwej50
加蓮「さて、じゃあ今のお返しに最上級魔法を―――」
卯月「!?」
未央「しまむー!」
ありす「逃げてください!」
加蓮「なーんてね♪ 今日はもうおしまいでいいや」
卯月・未央・ありす『……へ?』
加蓮「いやー、3人とも思ってたよりもやるね。さすが勇者パーティ」
ありす「な、何を急に……」
卯月「おしまいって……?」
加蓮「だから、もう戦闘はおしまいだって。卯月たちの力は十分見せてもらったし、これ以上やる必要ないもん。だって、全滅させてもどうせ生き返っちゃうでしょ?」
ありす「そ、それは……そういえばそうですね」
96 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:55:09.36 ID:/epmwej50
未央「じゃあかれん、逃げるって言うの?」
加蓮「逃げる?……その言い方はなんか気になるなぁ。3人とも、ちょっと離れてて」
卯月「え?」
加蓮「あ、死にたいんなら別にいいけど」
未央「しまむー、早く!」
ありす「よく分かりませんが、離れましょう!」
卯月「う、うん!」
私たちは急いで、加蓮ちゃんから離れました。
加蓮「ま、それくらい離れれば大丈夫でしょ。じゃ……」
加蓮ちゃんの周りに、膨大な魔力が収束していきます。
97 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:55:39.30 ID:/epmwej50
ありす「な、何を……」
加蓮「出口作るだけだよ、ありすちゃん」
ありす「で、出口?」
加蓮「天さえもかき消す無垢なる光よ……ヴァニシングライトレイ!」
加蓮ちゃんが呪文を唱えた瞬間、今までに見たことがないほど大きな魔方陣が、宙に浮かび上がりました。
そしてそこから―――凄まじい量の光の奔流が、天へと向かって昇っていきます。
卯月・未央・ありす『うぇえええええええええええええ!?』
その光景に、絶叫するしかない私たち。
98 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:56:19.78 ID:/epmwej50
ちひろ「むぐぅ、むぐぅ」
未だに拘束が解けないちひろさん。
みく「……魚は……魚だけは勘弁して……っ」
未だに寝ているみくちゃん。
そして気付くと―――砦の天井が完全に消滅していました。
卯月「えぇええええええええええええええ!?」
未央「天井なくなったぁあああああああああああああ!?」
加蓮「こうすれば、瞬間移動の魔法使えるからね」
ありす「加蓮さん、なんですか今の魔法!? チートじゃないですか、あれ!?」
加蓮「普通の魔法だよ。最上級魔法の上の、超級魔法だけど」
ありす「そんなのあったんですか!?」
99 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:58:11.54 ID:/epmwej50
加蓮「ありすちゃんもいつか使えるようになるかもね。じゃ、私もう行くけど……あ、その前にありすちゃんにスタドリあげる」
加蓮ちゃんはどこから取り出したのか、スタドリをありすちゃんに向かって優しく投げました。
ありす「え、あ、どうも」
加蓮「それ飲めばMP回復するから。そうすれば、瞬間移動の魔法で近くの村まで飛んで行けるよね?」
未央「何その優しさ!」
加蓮「友達なんだから当然でしょ。じゃ、またねー。……テレポラ!」
瞬間移動の呪文を唱え―――加蓮ちゃんは、その場から姿を消しました。
100 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:58:40.68 ID:/epmwej50
ありす「……行っちゃいましたね」
卯月「加蓮ちゃん、本当に魔王に操られてるのかな……?」
未央「うーん……さっきまでは戦ってたわけだし、微妙なとこだよね……」
ちひろ「むぐぅ、むぐぅ」
未央「あ! かれん、ちひろさんの拘束解き忘れてる!」
卯月「ど、どうしよう、剣で斬れるかな!?」
ありす「ちひろさんごとザックリいってしまうかもですが、その時はその時でしょう」
ちひろ「むぐ!?」
みく「……うん、たい焼きなら大丈夫にゃ……」
101 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:59:28.90 ID:/epmwej50
―――フタツメノ村 宿屋
あの後、私たちはありすちゃんの魔法で近くの村に戻ってきました。
みく「……尻尾にあんこは、入ってない方が……」
未央「みくにゃん、いつまで寝てるんだろ」
ちひろ「それにしても、加蓮ちゃんが引いてくれて良かったですね」
ちひろさんの拘束は、あの後無事に解けました。
ありす「そうですね、まだあんな魔法を撃てたなんて」
ちひろ「それだけじゃありませんよ。加蓮ちゃんのレベル、いくつだったと思います?」
卯月「レベル?」
未央「あ、そっか。ちひろアイで見えたんだね」
ありす「私が今11ですから……多めに見積もって、30くらいじゃないですか?」
ちひろ「いえ、70です」
卯月・未央・ありす『70!?』
102 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:00:10.94 ID:/epmwej50
未央「そこまで差があったの!?」
卯月「どうりでこっちの攻撃が通用しないと……」
ありす「メチャクチャ手加減されていたわけですか……」
ちひろ「でしょうね。やはり魔王の側近を名乗るだけはあるということです」
私たちが、その事実に驚愕していると―――
みく「……にゃ?」
みくちゃんが、目を覚ましました。
卯月「あ、みくちゃん。大丈夫?」
みく「卯月チャン? みく、一体どうして……」
ちひろ「良かった。今見てみましたが、魔王の支配はきちんと解けているようです」
103 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:00:57.90 ID:/epmwej50
みく「魔王?……あ! ごめん、みんな!」
未央「え?」
みく「みく、みんなに……あ、つい謝ったけど、特に何もしてなかったにゃ」
ありす「一撃で戦闘終わりましたからね」
卯月「みくちゃん、魔王に操られていた時の記憶があるの?」
みく「うん、うっすらと」
未央「じゃあ、魔王のことも覚えてる? どんなやつなの?」
みく「うーん……ごめん。記憶にもやみたいのがかかってて、思い出せない」
卯月「そっか……」
未央「魔王……一体何者なんだろ?」
104 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:01:45.11 ID:/epmwej50
―――魔王城 玉座の間
卯月たちとの戦闘の後、加蓮は魔王城へと帰還していた。
加蓮「ただいまー」
玉座の間には、加蓮以外に2人の人影が。
一人は、加蓮と同じく魔王の側近を務めている将―――魔戦将。
そして、残る一人は当然―――魔王である。
魔王「おかえり、加蓮」
魔戦将「それで、勇者はどうだったんだ?」
加蓮「卯月だった」
魔戦将「へー、卯月か。……卯月!?」
魔王「……え、本当に?」
105 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:02:22.80 ID:/epmwej50
加蓮「ホントだって。それに未央とありすちゃんも一緒」
魔戦将「うわー……」
魔王「……どうしよう。戦い難いよ、それじゃ」
加蓮「そうなんだよねー……」
魔戦将「うーん……あっ!」
加蓮「どうしたの?」
魔戦将「あー、その……ち、ちょっと用事思い出してさ。あたし、もう行っていい?」
魔王「何言ってるの? 今は大事な話の最中だよ」
魔戦将「そ、それは分かってるんだけど……」
106 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:03:05.38 ID:/epmwej50
加蓮「……そういえばもうすぐ、アニメ始まる時間なんじゃない?」
魔戦将「!? そ、そんな、アニメ見たいから部屋戻りたいなんて、一言も言ってないだろ!」
加蓮「今言ったけどね」
魔戦将「あぅっ!?」
魔王「はぁ……いいよ、好きにしなよ」
魔戦将「え、いいのか? じ、じゃあお言葉に甘えて……あっ、でもアニメ見るわけじゃないからな!」
加蓮「分かったからもう行きなって」
魔戦将「わ、分かればいいけどさ。……やたっ♪」
最後の言葉だけは2人に聞こえないように小さく呟き、魔戦将は玉座の間をウキウキ気分で後にしていった。
加蓮「なんでこっちの世界でアニメとか放送してるんだろ……?」
魔王「知らないよ……とにかく、卯月たちのことはしばらく加蓮に任せるから。どうにかして旅を諦めさせてみて」
加蓮「りょーかい、魔王様」
107 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:03:36.88 ID:/epmwej50
―――フタツメノ村 宿屋
みく「―――そっか。卯月ちゃんたちは、魔王を倒すために旅をしてるんだね」
ありす「はい」
卯月「それに、加蓮ちゃんも魔王の支配から解放しないと」
ちひろ「……いえ、加蓮ちゃんだけではないかもしれません」
未央「どういう意味?」
ちひろ「もしかしたら、他にも魔王に操られている子がいるかもしれないということです」
卯月「え!?」
ありす「確かにみくさん、加蓮さんと2人も操られているわけですから……その可能性はありますね」
卯月「そんな……」
108 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:04:19.98 ID:/epmwej50
未央「大丈夫! もしそうでも、みくにゃんだって助けられたんだし、同じように助けられるよ!」
卯月「未央ちゃん……うん、そうだよね!」
ありす「私たちなら、きっと出来ます」
みく「……じゃあ、みくの力も貸してあげるね」
未央「え、いいの?」
みく「もちろんにゃ! 友達が魔王に操られてるのを、放っておけないよ!」
卯月「ありがとう、みくちゃん!」
ちひろ「みくちゃんが仲間になりました」
みく「ふふん、このみくが仲間になったからには、大船に乗ったつもりで―――」
話している途中で、みくちゃんが唐突に消えました。
卯月・未央・ありす『え!?』
109 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:04:49.88 ID:/epmwej50
―――楓の酒場
みく「―――いるといいにゃ!」
楓「……みくちゃん?」
みく「にゃ?……楓さん!? え、なんでにゃ!? ここ、どこ!?」
楓「ちょうど良かったわ。今、人手が足りなかったの。手伝ってくれる?」
みく「え、え、え!?」
110 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:05:26.87 ID:/epmwej50
―――フタツメノ村 宿屋
未央「みくにゃんどこ行ったの!?」
ありす「消えちゃいましたよ!?」
ちひろ「大丈夫です。ただの仕様ですよ」
卯月「仕様!?」
ちひろ「パーティに編成できるのは、3人までですから。それ以上の仲間が増えると、自動的に楓さんの酒場に転送されるんです」
卯月「て、転送って……」
ありす「みくさんもさぞ驚いているでしょうね」
ちひろ「みくちゃんを編成したい時は、一旦楓さんの酒場まで戻ってください」
未央「面倒くさっ!」
ちひろ「ありすちゃんの魔法を使えば、一瞬で飛べますよ」
ありす「その度にMP回復しなければいけないわけですが……」
卯月「と、当分、この3人でいいかな」
未央「だね」
ありす「みくさんには悪いですが、そうしましょう」
111 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:05:53.89 ID:/epmwej50
―――楓の酒場
みく「酷くない!?」
楓「みくちゃん、どうしたの?」
みく「なんか、急にツッコまなきゃいけない気がして」
楓「? とにかく次、このビールをあちらのお客様にお願いね」
みく「あ、はい。……お待たせしましたにゃー!」
112 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:07:23.34 ID:/epmwej50
呪文名はテキトーに決めてます
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 23:54:45.41 ID:/n2aZYlxO
魔王とその側近…一体何プリムスなんだ…
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/22(月) 00:06:30.42 ID:imwPrg3yo
魔王と側近は正体が分かりやすい
魔戦将さん楽しそうですね
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 15:26:35.95 ID:BCokaJ+vo
>魔戦将「へー、卯月か。……卯月!?」
これでわかった
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 16:31:14.93 ID:LEGFSUiAo
魔戦将さんはカラテ(格闘技)で戦いそう今季の中の人繋がりで
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