敏恵「今度こそ、ストライクウィッチーズ!」

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188 :>>1 [sage]:2017/08/18(金) 21:50:06.49 ID:ethE49LG0
>>187
自慰というか惰性でやり始めたせいで前回みたいに終わり方まで組み立ってないので……書けば書くほど蛇足を生やしている気がしてならなんのです

ですが確かにここまで読んで頂いてブツ切るのも酷いのでなんとか次話までやってみます。
今暫くお待ちくださいm(_ _)m
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 21:57:38.42 ID:vCpGK6HWo
困ったら小ネタとかでもいいんだよ
文章好きだからやめないでほしい
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 22:00:20.23 ID:ethE49LG0
(;×;)
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 22:13:28.68 ID:kJ7xEvb2O
頑張れ、キャラとしていい子だし真面目にやってくれてるなと思う
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:39:13.47 ID:LrOpK2i90
 

ウィッチとして復帰をしたものの、航空任務参加を許可されない工藤敏恵は夜間ネウロイ討伐への無断出撃を強行した。


国境付近で暗躍するネウロイのもとへ逸早く辿り着く敏恵だが、かつての様な実力を発揮できず、万事休すに陥る。

すんでの所でハイデマリーの魔法シールドに助けられるが、追い詰められていた敏恵はその光景を過去と重ねて錯乱してしまうのであった――――
 
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:42:07.56 ID:LrOpK2i90
 
【第四話 傷の錘】



敏恵「いやだっ!! マリ、まりぃぃいッ!!!」


ハイデマリー「工藤さん!! どうしたんですか工藤さん!?」

敏恵「ぁあっ……あぁぁ…ッ……〜〜」シュルル

ハイデマリー「!?」

敏恵「〜…」フラッ

ハイデマリー「わっ!! あ、あの…!?」ダキッ


敏恵「…・・ 」


ハイデマリー「えっ…? ぇ、工藤さん??」

敏恵「 」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:46:58.50 ID:LrOpK2i90
 

――ブゥゥウンッ


エイラ「2人ともナニやってんだよ? 危ないじゃないか」

サーニャ「…! 工藤大尉!?」


エイラ「――ちょ!? 大尉やられちゃったのか!?」

ハイデマリー「い、いえ! 攻撃は私が防いだんですけど、突然気を失って…!」オロオロ

エイラ「ハァ?? な、ナンで…?」

ハイデマリー「わた、私にもわかりません!!」

サーニャ「ハイデマリーさん、落ち着いて…」

敏恵「 」

ハイデマリー「っ…工藤さん! しっかりしてください、工藤さん!?」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:52:09.56 ID:LrOpK2i90
 


ネウロイ「……〜」ギラッ





エイラ「――!」キュピン


エイラ「危ね!!」バッ


ビィィイイーーーーッ


パァァアンッ


エイラ「クッ……久々シールド張ったけど、アイツのビーム重いな…!」

サーニャ「――! 不味いわエイラ、対岸〈むこう〉側のネウロイもこっちに来はじめてる」フィィィン

エイラ「ゥ…、例の地上型か!? もうナン体か飛べるようにしてあったのか!」

サーニャ「そうだと思う。残りの群も沿岸際から狙われるとここも危ないかもしれない」

エイラ「どうする指揮官! 今のウチ先にアイツをやっつけるか!?」




ネウロイ「……」ゴゥン ゴゥン
 
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:57:17.47 ID:LrOpK2i90
 
ハイデマリー「…て、撤退します」

エイラ「え、ナンだって!? 放置すンのか!?」ガーン

サーニャ「エイラ、従いましょう? 大尉を抱えてハイデマリー少佐も戦えないわ」

エイラ「イヤでも…今ならワタシとサーニャで倒せるだろ?」

サーニャ「エイラ!」

エイラ「!? さ、サーニャ…?」タジ

サーニャ(ハイデマリーさんは工藤大尉が心配なの。仲間の救助を優先しなきゃ)フルフル
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:23:28.67 ID:3GO0Y1rR0
 
エイラ「……わ、ワカッタ。じゃあ撤退だな」

ハイデマリー「すみません、ユーティライネン中尉…」

エイラ「気にすンなって、それより早く大尉を連れて逃げよう。その後どうするかは中佐達に任せればイイさ!」

ハイデマリー「はい。……ではすみませんが、工藤さんをお願いします」グイ

エイラ「エ? ぁ、ウン。いいけど…」ヨイセ ヨイセ


ハイデマリー「…殿は私が、あの飛行型を牽制します。ユーティライネン中尉は工藤さんを連れて安全圏まで離脱してください!」キリ

エイラ「お、オウ…」

ハイデマリー「サーニャさん、私の砲撃を合図に対岸一帯にフリーガーハマーを! その後はユーティライネン中尉に付いて警戒護衛をお願いします!」グ…ジャギン

サーニャ「了解」

ハイデマリー「では、いきますッ!!」



ドォオオンッ――――

 
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:27:56.11 ID:3GO0Y1rR0
 

――――


――

 
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:30:29.52 ID:3GO0Y1rR0
 
―翌日―

サン・トロン基地


ミーナ「……」

美緒「ふむ…」

ハイデマリー「も、申し訳ありませんでした。全部私の責任です…」


シャーリー「あー…いやまあ気にしないでさ? 大した事じゃないって、ですよね中佐?」

バルクホルン「責任云々についての話で無責任な擁護をするな、シャーリー」ジト

シャーリー「ぐっ! ……そりゃ悪かったね」プイ

ミーナ「……。両大尉は退室していいわ」

シャーリー「ん?」

バルクホルン「なに? どうしてだミーナ?」

ミーナ「いいから、喧嘩は外でやりなさい」ジロ

バルクホルン「!?」

シャーリー(…やばい。なんか中佐、マジで機嫌悪い?)ギクリ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:33:42.81 ID:3GO0Y1rR0
 
美緒「……お前達ちょっと来い」スタスタ


ミーナ「坂本少佐!」


美緒「解っている中佐。直ぐ戻る」

バルクホルン「…?」

美緒「出ろ、2人とも」グイ

シャーリー「あ、あの〜…??」ヨロヨロ


ガチャ

バタン



ハイデマリー「……」


ミーナ「…ごめんなさいね」

ハイデマリー「!」

ミーナ「貴方に苦労を強いてしまって。…まさか工藤大尉がそんな無茶をするなんて」

ハイデマリー「ミーナ中佐?」

ミーナ「美緒の危惧した通りだわ…」ボソ

ハイデマリー「ぇ…?」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 21:03:52.11 ID:3GO0Y1rR0
 

――ガチャ


美緒「……」パタム


ミーナ「…2人には何て言ったの?」

美緒「うむ。工藤の名誉の為、まだ全ては聞かせられんとな」スタスタ

ミーナ「ありがとう少佐。でも反って意味深ね、それだと」

美緒「怒気で誤魔化そうとしたお前が言うな。少し余裕を持て」

ミーナ「……ごめんなさい」

美緒「フッ…いや、個人的に私もまだ役立てる分には構わんがな?」

ハイデマリー(坂本少佐?)チラ

美緒(お前も、あまり気に病むな。察してやってくれ)クイ

ハイデマリー(…! はい)コク
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:07:02.89 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「えぇと、それでハイデマリーさん? 小園大佐が貴方に伝えた話というのは…」

ハイデマリー「あ、はい。その……“工藤さんのPTSDが再発しているかもしれない”と」

美緒「なに、心傷障害だと?」

ハイデマリー「…原因になった出来事については聞いてませんが、工藤さんは元々ネウロイに対して強い恐怖心があったと思います」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

敏恵『あたしはネウロイなんかと戦えない!! 怖くて、本当に怖くて嫌だったのにッ…!』

敏恵『――こんな所もう離れて、家に帰りたい…』



小園『工藤には暗示をかけていた。あいつの抱えたトラウマを取り除き、戦える動機を与えてやった』

小園『ああしてやらねば――…奴が抱える恐怖体験を取っ払ってやる術が最善だったんだ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「……小園大佐がマインドコントロールによって、その恐怖心を強制的に抑えていたそうです」

美緒「それは、流石に初耳だ…」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:14:03.94 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「誰かさんが教示した薬物強化兵士〈よこしまな〉プロジェクトの転用ね…。マインドコントロールと言うより厳密には暗示と洗脳だった筈よ」

美緒「詳しいな中佐?」

ミーナ「…前にハイデマリーさんから相談された時に、ちょっとね?」

ミーナ「昔当時の“新薬強壮剤”試験で偶発した魔導麻薬症のウィッチ、そのリスクをどうにか利用しようと考案された手段よ。そもそもの段階で当然破綻した計画みたいだけど」

ハイデマリー「……」

ミーナ(あの元帥直下のホルテン中佐なら、その辺り知らなくなかったでしょうし…)


美緒「そんな話があったとはな」

ミーナ「ただ、工藤大尉が“夜の女王”になってしまったのは不幸な偶然でしょうね」

ミーナ「あの頃は軍用メタンフェタミンに対する危機意識もまだ薄かったし、…きっと大佐も状況に迫られて投与した結果だったんだと思うわ」

美緒「…成る程。その状況とやらに陥った一時で心的外傷を負ったのか」

美緒(流石にそこまでの事情は聞かされていない。大佐は私を快く思ってないから無理ないが――)チラ


ハイデマリー「……」


美緒(“そっち”の解決は彼女に託した、という訳か)
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:18:17.49 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「施した処置の善悪は別にして、大佐は工藤大尉が暗示から脱却したことでまたトラウマに晒される影響を危惧していたんだわ」

ハイデマリー「で、ですがそれは既に克服した筈なんです! 魔導麻薬症の副作用も治癒魔法で抑えられているのに、どうしてあんな事に…!?」

ミーナ「…いいえ、残念だけど多分克服はできてない。だから過剰防衛に走ったんだわ」

ハイデマリー「!? 過剰、防衛…?」

ミーナ「一口にPTSDと言っても、それによって引き起こされる行動は“逃げる”だけじゃないのよ」

美緒「まあ、そうらしいな。根幹症状として不安、回避、そして追体験であるというのは聞いた事あるが」

ミーナ「ええ、だけどあらゆるケースにおいてそこから先は様々――」

ミーナ「…彼女には実績と経験、つまり自信が有り得たから、トラウマに対して“積極的な”回避症状が出たのね」

ハイデマリー「そ、そんな違います!? そういうのではなくて……工藤さんは自分で打ち勝って、それで戦う意思を決めたんです!」

美緒「……」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:24:09.47 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「ハイデマリーさんがそう言うならそれも真実かもしれないわね。でもその使命感のいくらかはPTSDによる脅迫よ」

ミーナ「ネウロイの討伐に固執して勝手に出撃したのもそう。…貴方も昨夜現場で何か感じたんじゃない? 恐らく普通ではなかったでしょうから」

ハイデマリー「ぅ…! そ、それは――」タジ

ミーナ「……」

ハイデマリー「――…………。はぃ」

ミーナ「はぁ…、参ったわね」ガク

ハイデマリー「……」ショボン


美緒「よせ中佐、我々が呼んだんだぞ?」

ハイデマリー「! 坂本少佐…」

美緒「私が名を挙げ、お前が決めた。今の工藤をどう扱ってやるかは我々の責任だ」

ミーナ「……ええ。だから困ってるの」ハァ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:34:46.90 ID:3GO0Y1rR0
 
美緒「ふむ…。よし分かった、中佐は少し休め」

ミーナ「え? ちょっと――」

美緒「工藤大尉は私が様子を見てみる。報告するまで気にするな」スタスタ


美緒「取り敢えずこの場はもういい、少佐。出よう」ポン

ハイデマリー「…? あ、あの」オド

美緒「心配するな。行くぞ」

ハイデマリー「は、はい…」テクテク


ミーナ「……」


美緒「いいな中佐? 我々に任せて一息つけろ」ピシ

ハイデマリー「…失礼、します」ペコ


ガチャ


パタム…――



ミーナ「……。はぁ…もぅ」ギシ

ミーナ(私、そんなに余裕なくしてるかしら…?)
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:40:35.26 ID:3GO0Y1rR0
 
廊下


――パタム


美緒「…さて。私はこれから工藤と話そうと思うんだが、シュナウファー少佐はどうする?」

ハイデマリー「ぁ…、……えっと…」

美緒「ん、いや無理に答える必要はない。すまないな」

ハイデマリー「……」

美緒「お前も少なからず参ってるんだろう? 一先ず落ち着き、頭を整理してから動いてみるといい」

ハイデマリー「すみません…」

美緒「中佐の様子については大目に見てやってくれ。あいつも色々まあ、背負っているんだ」

ハイデマリー「…はい、それは十分理解しています。責任ある御立場ですし、きっと私なんかよりも苦心されている筈です」

美緒「……。優しいな、少佐は」

ハイデマリー「ぃ、ぃぇ。そんな…」


美緒「――だが、優しさだけでは足りない時もある」

ハイデマリー「ぇ?」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 21:45:27.75 ID:3GO0Y1rR0
 
美緒「ついさっき私がミーナにしたように、厳しく切る事も必要だ。優しく在るのなら尚更な?」

ハイデマリー「……ですが、それは…」シュン

美緒「フッ、どうした“友”なのだろう? 勇気を持て」ス

ハイデマリー「! 坂本少佐…」

美緒「お前のやり方でいい、友を信じて打つかってみろ!」バシィ

ハイデマリー「ぁぅ!?」ビクッ


美緒「はっはっはっ! 私も工藤〈あいつ〉をきっちり扱いて来る、残りは頼むぞ少佐!」スタスタ


ハイデマリー「……。…………」サスサス
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:46:51.54 ID:3GO0Y1rR0
また少し空きます(・×・)
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 22:07:41.02 ID:R4CXR+D0o
おつかれさまです
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 17:19:16.35 ID:cWq8stjT0
 

敏恵&ハイデマリー部屋



美緒「おい工藤、いるか?」ガチャコ


敏恵「……」


美緒「とっくに起床だ、目を覚ませ」テクテク

敏恵「……。嫌だ…」モゴ

美緒「起きているな? 布団から出ろ、ちょっと来い」

敏恵「…ご飯は後でいいです」モゴゴ

美緒「いいから速く出ろ」

敏恵「っ〜〜…あたしは、ナイトウィッチなんですぅ〜… #」モゾモゾ

美緒「……」

敏恵「こんなんじゃ……こんな筈じゃなかったのに〜〜ッ…! ##」モゾモゾモゾ

美緒(鬱ぎ込んだ訳ではなく悔しさか。シュナウファーの言う通り決意は確かなようだ、これなら望みも有るか?)


敏恵「〜……」

美緒「……」

敏恵「…………やっぱりお腹空いた」モゴモゴ

美緒(謎の図太さは有るな…)
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 17:25:53.83 ID:cWq8stjT0
 
美緒「食事は後だ。どの道もう片付いてるだろう」

敏恵「……。なにそれ、酷すぎる…」バサ

美緒「自業自得だ馬鹿者。昨日の続きを話すからついて来い、外へ出るぞ」

敏恵「えぇ……〜寝癖直してからじゃダメですか?」ムクリ

美緒「顔を洗って水でも飲め」

敏恵「ぅ〜…」






基地 野外


敏恵「……」ホケー


美緒「ほれ、少しはシャキッとしろ」ペチペチッ

敏恵「ぃぷっ! ちょ…ほっぺ叩かないでくださいよぉ!?」

美緒「呆けてる場合か、お前に差し迫ってる問題なんだぞ?」

敏恵「む、んぅ…」サスサス
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:26:43.94 ID:cWq8stjT0
 
美緒「昨夜起きた件は私も聞いた。お前が何をしでかしたかも含めてな?」

敏恵「!? ゃあの、それはそのっ…!」アタフタ

美緒「…まあそこに関しては、今はいい」

敏恵「――…え、いいの?」

美緒「後で別の奴に叱ってもらえ。それより私の話は戦術の、お前の歪〈いびつ〉についてだ」

敏恵「昨日の? ……確か“あたしがあたしに追いつかないといけない”ってやつ?」

美緒「そうだ。今のお前は三位〈さんみ〉の均衡が著しく崩れている。その所為で存在する二人の己にお前は振り回されてるんだ」

敏恵「は? …??」ポケ

美緒「本来ならばそれは“理想と現実”という形で現れたりする。私も新米の頃は経験したし、教官を務めた折にもよく見た」

美緒「つまり身体も技術も付いて行かないんだ。みな理想は有れどもそれらの研鑚にはどうしたって時間が要るからな?」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:32:09.02 ID:cWq8stjT0
 
敏恵「……えぇっと、結局坂本さん、やっぱりあたしは実力不足って言いたいんですか?」ポリポリ

美緒「いいや違う。お前の練度は昨日の試験と、なによりお前が自負する通り実績がその確かさを裏付けているだろう」

美緒「――にも拘わらず、その実力が発揮できないのは身体や技術以外に重要なもう一つ……精神面の遅れが原因だ」ビシ

敏恵「!! せ、精神ん…!?」ガビーン

美緒「そうだ」

敏恵「……もっと根性出せってぇー…ことですか??」

美緒「そんな事なら一々説明しなくとも、この竹刀でお前の尻を引っ叩けばいいだけなんだがな?」ス

敏恵「――ひ!?」ビク


敏恵「いやだっ!」トタタッ



美緒「…。だから“違う”という意味だ、戻って来い」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:36:19.28 ID:cWq8stjT0
 
――



美緒「…昨日やった模擬戦を憶えているか? 工藤」

敏恵「あ、はい。一応」←戻って来た


美緒「あの時お前は調子が出せないと言ったが、それは無理もない事だ」

敏恵「?」

美緒「お前の言う本調子の姿とは誰だ? 海軍の鎌鼬――…いや、夜の女王としてネウロイを討ち周っていたお前か?」

敏恵「えっ」

美緒「ならばその頃と比べ、今のお前が何を変えたか分かるか? …それが歪を生む根元になったものだ」


敏恵「……? ………〜」モヤモヤ


敏恵「――!! あっ、えぇ…!?」ハッ

美緒「分かったか?」

敏恵「まさか…、魔導麻薬症〈マギードジング〉!?」

美緒「うむ。そうだ」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:47:06.16 ID:cWq8stjT0
 
敏恵「で、でもちょっと待って!? 確かにそのっ…アレのおかげで強くなってたみたいですけど――」ズイ

敏恵「だけどあたし、具合悪くなるからって魔法を抑えて戦ったりもしてたけど、こんなの一度もッ…!?」

美緒「私もお前の患っている奇病について詳しい訳ではないが、恐らく自分の意志で止めるのは無理だったのだろう」ドウドウ


美緒「起伏はあれど基本的にお前は魔導麻薬の影響を受け続けていた筈だ。常に魔法力を行使する戦闘ともなれば、その時の集中力諸々はおよそ尋常ではないな」

敏恵「っ…!」

美緒「…とはいえ身を亡ぼす疾患だ、“今の”お前の方が間違いなく正しい。そこは勘違いするな?」

敏恵「わ、分かってますよ。大丈夫です」

美緒「そうか、ならいいが……こうして歪が出たという事は、今の治療で完全抑制は出来ているんだろう。良かったな?」

敏恵「え? まぁ、はい。…でもあたし、どうすればいいんですか?」

美緒「うむ。まさにそれが本題だ、よく聞け」スタスタ

敏恵「……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:52:38.36 ID:cWq8stjT0
 
美緒「いいか? あらゆる所作を極める為には相応の身体能力と技術、そして精神の力が不可欠だ」ザッ

敏恵「…! ぇ!?」

美緒「動くな? …シッッ!!」ブンッ



ビュッッッ――


――ピタ…


敏恵「いッ!!?」

美緒「心と技と体、この三位によって揺るぎのない完成度が保てる」スス


敏恵「……〜あぁ、危な…?!?」ヨロ~ ドテッ

美緒「はっはっはっ! いや驚かせてすまんな? だが万が一にもミスはない」

敏恵「〜〜ッ!?(眉間て人中〈きゅうしょ〉だよね…? 全然笑えないから!!)」ガーン
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:58:13.10 ID:cWq8stjT0
 
美緒「この芸自体に意味はないが…解るか工藤? 要は今のが、かつてのお前だ」

敏恵「…? えっとつまり、その心技体がなんか…ばっちりだったってこと??」ノソノソ

美緒「ああ。但し外道ではあったがな」

美緒「本来ならば経験と共に培うべき心の強さ、それをお前は自身の麻薬効果で代用していたんだろう。…そしてその欺瞞を取り払った結果が今だ」ビッ

敏恵「……」

美緒「頭の中にはかつて熟していたイメージが有れど、まるで上手くいかない。だから焦り、力む――」

美緒「そうしてお前の考える本調子から益々遠ざかり、終いには有り得んような失敗。…昨夜も大凡こんな感じだったろう?」

敏恵(すご…、本当にお見通しなの?? なんかちょっと怖い…)
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:06:30.18 ID:cWq8stjT0
 
美緒「どうだ、違うか?」

敏恵「えぇ、まあ。…そうです」グヌ

美緒「ふむ…そうか。やはりな」


美緒(難儀な奴だ。PTSDの件も相まって激烈なストレスだったろう、気絶で身を守れたのは幸いだな)ジー

敏恵「っ……坂本さん! 今のあたしにできることを教えてください!!」

美緒(しかしこうしてなお正気を支えるのは工藤の意志だ。何かは知らんが、こいつ自身の戦う決意は本物か。…これは小園さんやシュナウファーを信じるべきだぞミーナ?)

敏恵「何かあるんでしょっ!? だってここに呼ばれたんだから!!」ズイッ

美緒「その通りだが落ち着け。これから話す」

敏恵「さっきもそう言った! 回りくどいっ!! 園さんはもっと短いのに!!」

美緒「昨日はそれで反発しただろ。大佐は“工藤はよく口答えする”と仰っていたぞ?」

敏恵「そ、それは! 〜んだって園さん、理由とか聞かないと説明してくれないんだもん…」

美緒「だから順序立てて説明しているだろ?」


敏恵「……そ、そっか。ごめんなさい」

美緒(小園さんの言う通り、不思議と愛嬌はあれど軍属向きではないな? 滅茶苦茶な奴だ)フッ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:14:57.37 ID:cWq8stjT0
 
美緒「…まあはっきり言ってお前の置かれている状況は非常に特殊で厄介だが、それ故に救いも有る。安心しろ」

敏恵「! 本当に!?」

美緒「ああ。よくあるジレンマと違い、お前の歪は精神面の遅れが主だ。つまり三位のうち技と体の練度はかつてのお前に程近い」

敏恵「ぉ? おぉ…??」

美緒「所謂“身体は記憶している”ということだ。だからこそ今の状況に陥っている、解るな?」

敏恵「ほー……つまり?」モヤ


美緒「……。はぁ、やれやれ」

敏恵「あ、もっさん! 阿保って言わないでくださいよ!?」


美緒「…要するに、お前の考える“実力”は八割がた発揮できる。そういうことだ」

敏恵「!! ……えっ、でも八割だけ!?」

美緒「集中力や判断力、思い切る決定力等は運動神経や技量の向上にも影響する。そもそもに魔導麻薬の作用でお前は動体視力や反射神経すらも底上げしていたそうだな?」

敏恵「えぇっと…難しい話は憶えてないですけど、多分…?」

美緒「正確無比の砲撃や、正面のビームを紙一重で躱しながらの肉薄という妙技はもう流石に厳しいだろう。特に後者の難易度は尋常でないから止めておけ。私の経験則だが、半端なうちは危険なだけだ」

敏恵「ぅ…、そうですか。魔法力の流し込みは決め手にしてたんだけどなぁ…」ニギニギ
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:23:51.94 ID:cWq8stjT0
 
美緒「戦い方――…というよりお前は考え方を変えてみろ、工藤」

敏恵「へ?」

美緒「今のお前が熟せる戦術と己の在り方を正しく理解すれば、本当の実力もまた正しく発揮できる」ポン

美緒「――そしてその為に私はお前を指導するんだ」

敏恵「!」

美緒「いいな、もう愚図るなよ?」


敏恵「…はいっ、よく分かりました!」グッ


美緒「うむ、よし。……これで残る問題はあと一つか」

敏恵「――えっ、まだ何かあるんですか!?」ガーン

美緒「残念だが有る。しかし私の役はお前の訓練指導だ、それは後で教えてやろう」

敏恵「な、なに!? 気になる!」

美緒「…さて訓練だ! 昼過ぎまでに形にするぞ、気合入れろ?」

敏恵「待ってもっさん!? 気になるってば!」

美緒「時間無いぞ! ハンガーへ駆け足!!」ビシッ

敏恵「いや聞いて!?」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:25:24.02 ID:cWq8stjT0
今日はここまで φ(・×・)
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 21:29:24.54 ID:cZsxiCWSo
乙なんだナ
あと今日は坂本さんの誕生日
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/29(火) 21:48:44.15 ID:GzALDD4D0
 

芳佳&静夏の部屋


リーネ「そんなに大変な事情が…」

芳佳「でも良かったじゃないですか! ちゃんと復帰できるって事ですよね?」ポワァァ

敏恵「うん、まぁそうだけ――んぁ…!」ヘニャリ


敏恵「ぃ芳佳ちゃん? なんかちょっと、魔法力重くなってきた…//」

芳佳「えっ、あれ? …少し長くやり過ぎちゃったかも」シュルル

敏恵「ぁふっ… //」

芳佳「ご、ごめんなさい敏恵さん!? また時間空けてからやりますから、先にお腹の傷跡を診ていいですか?」

敏恵「〜ぅん。でも今のは今ので気持ちよかったかも…」ヨッコラショ
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 21:55:45.89 ID:GzALDD4D0
 
リーネ「……あの、ところで工藤大尉?」

敏恵「んー?」クイー

リーネ「私も今のお話を聞いちゃって、大丈夫なんですか…? 偶々ここに居ただけなのに…」

敏恵「えぇ? あー…うん、べつにいいよ。隠して居辛くなったら嫌だし」ハイ オナカ

リーネ「……」


芳佳「――えっとそれで、訓練の方は上手くいったんですか?」ポワワァ

敏恵「うん。改めて“カン”は掴めそうだし、調子は出てきたかなぁ」

芳佳「そうですか、よかったですね!」

敏恵「……。ん…」

リーネ「?」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 22:01:36.39 ID:GzALDD4D0
 
芳佳「どうかしましたか?」

敏恵「あ、いや。…ネウロイの前でも同じように出来るのかなって」

芳佳「ぇ?」

リーネ(…!)


敏恵「――ぁ、あはは! なんてちょっとか弱いふりしてみたけど、どう? 乙女過ぎた?」ケロ

芳佳「…? よく分かりませんけど、前向きな方が敏恵さんらいですよ」ポワァァ

敏恵「はは…。……まぁ、そうだね」

リーネ(工藤大尉…)
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 22:08:49.75 ID:GzALDD4D0
 
芳佳「ん〜…なんだろ、また急に腫れてる?(もう癒合してるけど、ばい菌が触れて炎症したのかな?)」シュルル


芳佳「――ちょっと、医務室から消毒薬とか借りてきます」スク

敏恵「ぇ? ぁぁ、うん」

芳佳「すぐ戻りますから、ちょっと待っててください」トテテ



ガチャ―― パタム



敏恵「…? あれ、今芳佳ちゃん何て言ってた??」ポケ

リーネ「……」


敏恵「まいいか。……ふぅ」クテ




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

敏恵『トラウマって…!』

美緒『何があったかは無理に話さなくていい。それをお前の心が錘としてしまっている』

敏恵『……そっか。あの時の、菊さんのこと…』

美緒『もう自分でも解っていると思うが、ネウロイを意識したお前は到底平静を保てていない。まして実物と対峙した結果が昨夜の様だ』

敏恵『っ…』

美緒『致し方無いうえ過酷だと私も思う。だがそれでもお前が志を遂げたいのならこの訓練だけでなく、“それ”を越えろ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





敏恵「……」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 23:19:32.81 ID:GzALDD4D0
 
リーネ「あの…?」オズ

敏恵「! ぁごめん、今何か言った?」

リーネ「は、はぃ。……私なんかが、余計なことかもしれませんけど――」

リーネ「その……きっと大丈夫ですっ!」ムン

敏恵「…?」


リーネ「私も実戦で上手く出来なくて、ずっと独りで悩んでいました。でも芳佳ちゃんのおかげで乗り越えられたんです」

リーネ「なので、その…誰かと一緒だからできることもあると思うので、諦めない方がいいです!」クワッ

敏恵「!?」ビク
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 23:26:31.55 ID:GzALDD4D0
 
リーネ「――ぁ…す、すみません! 生意気なこと言って…」オド

敏恵「ぁや……ううん、励ましてくれたんだよね? ありがとう」

リーネ「ぃぇ、そんな…」


敏恵「へへ、リネットさん優しい。あたし元気になっちゃった!」

リーネ「そ、そうですか// それは…良かったです、大尉」ペコ

敏恵「あっ! もうそんな遠慮しなくていいから!? 階級なんて関係なく普通に呼んで?」

リーネ「ぇ? はい。…それじゃあ、私も“リーネ”で大丈夫ですから」

敏恵「おぉ、本当に!?」

リーネ「はい」

敏恵「わーお、やった! リーネと友達になった!」

リーネ「あはは…」




芳佳「ごめんなさぁい、お待たせしま――」ガチャコ

芳佳「…!(なんか敏恵さん盛り上がってる、リーネちゃんと仲良くなったのかな?)」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 23:35:23.58 ID:GzALDD4D0
リーネちゃんをちょい出しつつ今日はここまで(・×・)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:00:01.93 ID:3Y39Dbw50
 

敏恵&ハイデマリー部屋



ハイデマリー「〜…、ん…」ノソリ


ハイデマリー(…結局、眠ってしまった)スチャ

ハイデマリー「――! ぇ、もうこんな時間…?」


ハイデマリー「……」


ハイデマリー(こんな寝てる場合じゃないのに、私…)モヤ


ハイデマリー「……。ヴァルトラウト中佐が来たあの時は“皆さん”がいてくれた」

ハイデマリー(だけどもう、今回は私独りで工藤さんを…――)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エステル『偶にはガツンと言ってやれば良いんですよ』

〜〜

美緒『優しさだけでは足りない時もある。頼むぞ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「…どうすれば――」



『〜…はぁ、さてと』



ハイデマリー「!」ピク
 
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:05:02.36 ID:3Y39Dbw50
 

『マリ、まだ寝てるかな?』


ハイデマリー「ぁ…! ぅ…ぇと――」アタフタ



ガチャコ


敏恵「お?」ソロリ ソロリ


ハイデマリー「……」

敏恵「これは…?」

ハイデマリー(わ、私はいったい何をしてるんだろう!? こんな逃げる真似ばかりして…!)

敏恵「……。んー…」ジー

ハイデマリー「っ… //」

233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:09:02.10 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「……」ツンツン

ハイデマリー「ッ! //」ビクッ

敏恵「…?」ホッペプニ~

ハイデマリー「ッ…、っ… //」モゾ


敏恵「ふむふむ…。やっぱり」

ハイデマリー「……」


敏恵「マリ、普通に起きてるよね?」

ハイデマリー「……はぃ」モゴ

敏恵「そのぉ、なんか、気まずいのは解るんだけどさ? …メガネ掛けたままだし、それだと直ぐバレるよ?」

ハイデマリー「ぅ… ///」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:19:24.05 ID:3Y39Dbw50
 
――



ハイデマリー「……」


敏恵「――マリ♪ 着替えなくていいの?」トサ

ハイデマリー「……」

敏恵「あー…じゃあ、お腹空かない? 何かつまみに行こっか!」

ハイデマリー「……」

敏恵「えっと…まぁ、もし面倒臭いならあたしが此処に持って来よ――」


ハイデマリー「……」

敏恵「――……。ん、んん……(ダメか、やっぱ昨日のこと気にしてる…)」ムグ


ハイデマリー「…工藤さん」チラリ

敏恵「! ぅ、うん。…なに?」

ハイデマリー「私は、工藤さんのことがちゃんと知りたいです」

敏恵「ぇ?」

ハイデマリー「……教えてくれますか? 私に」ジ
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:23:34.43 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「ぁ…う、うん。勿論いいよ?」

ハイデマリー「なら聞かせてください。5年前のカールスラントで何があったんですか?」

敏恵「!」

ハイデマリー「何が貴方を、傷つけてしまったんですか?」


敏恵「……そ、その話かぁ…」

ハイデマリー「……。すみませんでした、やっぱり――」

敏恵「あ! ぃいいって、大丈夫だから!? ちゃんと教える!」オロオロ

ハイデマリー「……」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:30:31.57 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「はぁ……あれだよね? 何で昨日みたいになっちゃったかマリも聞いたんでしょ?」

ハイデマリー「はい。中佐達から伺いました」

敏恵「そっか。…いやぁ参っちゃうね、今更トラウマで戦えないなんてさ」

ハイデマリー「工藤さん…」

敏恵「…………。初めてネウロイに襲われた時、庇ってくれた先輩が死んだんだ」

ハイデマリー「!?」


敏恵「あたしの目の前でね、眩しい筋が遮った瞬間その中で――」

敏恵「何て言うのかな……影みたいな、塵みたいな姿が確かに見えた。…気がしたの」

ハイデマリー「……」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:33:48.95 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「まるで何も無かったみたいに消えちゃってさ。全然意味が解らなくて、信じたくなかったんだけど――」

敏恵「…菊さんは死んだ、消し飛んだんだって園さんに怒鳴られて。もう無理だった」

ハイデマリー「それは…っ、残酷ですね…」

敏恵「べつに園さんは悪くないよ。とにかくネウロイをどうにかしなくちゃいけなかったし、隊長だったんだから」

ハイデマリー「そうかもしれませんが、でも…」

敏恵「…菊井さんは園さんの親友なの。本当はあたしなんかよりずっとショックだったと思う」

ハイデマリー「!」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:42:11.39 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「そんなに一緒じゃなかったけど、あたしも菊さん好きだった。明るい人で優しくて、ネウロイが来たあの時も、怯えるあたしを園さんと励ましてくれてた」

敏恵「っ……あの時、先にあたし達を庇ったから! だからあたしは…!!」ギリ

ハイデマリー「…負い目を、感じているんですね?」

敏恵「――……。うん、多分それもある…。でも何よりもう嫌だった」

敏恵「友達とか、あたしの側にいて欲しい人があんな風に……いなくなるなんて」ジワ


ハイデマリー(工藤さん…。だからリーパーの時も、それで貴方は昨夜――)


ニギ…


ハイデマリー「!」

敏恵「〜ッ、ごめんねマリ…。あたし…っ……今度は自分でなんとかしたかったのッ…!」ポロポロ

ハイデマリー「……」

敏恵「だって出来ると思ったからッ……〜っ…そうじゃないと、あたし…〜ぇぐ……〜ッ」

ハイデマリー「…解りますよ工藤さん、どうか安心してください」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:50:14.09 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「ぅ…ぅうっ……」エグエグ

ハイデマリー「工藤さんの本音をやっと聞くことができました。…だから――」

ハイデマリー「今度こそ私も、貴方の力になりますから」

敏恵「〜ぇうッ、……まりぃ…」

ハイデマリー「さあ、涙を拭って。よく聞いてください」

敏恵「っ…、……ぅ…ぅん。うん…」グシ


ハイデマリー「……。っ… //」

敏恵「…?」グス

ハイデマリー「工藤さん」スス


ヒシ…


敏恵「!」

ハイデマリー「貴方は、その……。わ、我儘です」ギュ

敏恵「ぇ…!?」

ハイデマリー「とても親切なのに、自分勝手で…。どうして周りを置いて行ってしまうんですか?」

敏恵「ま、マリ…」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:57:12.58 ID:3Y39Dbw50
 
ハイデマリー「私も工藤さんと戦います。私が貴方の側にいるんです」

ハイデマリー「――…だから少しくらい、我慢もしてください」

敏恵「……」

ハイデマリー「……」ヒシシ



敏恵「…………ん、分かった。ごめんねマリ」

ハイデマリー「約束です。もう絶対、“独り”にならないで…。一緒に乗り越えましょう」

敏恵「うん…」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 20:09:35.90 ID:SKALhD1N0
 
ハイデマリー「――…いきなり驚かせてすみませんでした」スス

敏恵「へへ…ぃゃ、こんなに温かく叱られたのは初めてだし… //」

ハイデマリー「工藤さんは厳しくされるの嫌なんですよね? 私も強く言うのは苦手ですから」

敏恵「ぁはは、その通り……。でも今回の上官命令には文句言えないね」ポリポリ


ハイデマリー「…! 違いますよ工藤さん?」

敏恵「え?」

ハイデマリー「“軍とかウィッチとかそういうの関係なく、女友達として”…ですよ?」

敏恵「…? あっ!」

ハイデマリー「憶えていますか?」

敏恵「……えっへへ、参っちゃうなぁ。あたしの台詞 //」

ハイデマリー「いいえ、“私達の”です。独り占めしない約束ですよ?」ニコ

敏恵「でゅ…!? な、なにもぉ〜! 急に遠慮なくなっちゃってマリってば〜!」

ハイデマリー「ふふ」クス
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 20:14:11.66 ID:SKALhD1N0
 
敏恵「むむむ、楽しそうにしちゃってぇ…。〜そりゃ!」フニュ

ハイデマリー「ふゃ! ひょ……く、くどぅひゃ…!? ///」


敏恵「笑顔がまだ硬いよ? ほぐしてあげる、それそれ!」ムニムニ

ハイデマリー「ぁぅ…す、すみまぇんでしっ……ゃめてく… ///」

敏恵「お〜何ですか〜? よく聞こえませんよぉ?」ウリウリ





廊下 部屋前


エイラ(な、なにイチャついてンだよアイツら…)フィィン ←未来予知で覗き見

サーニャ「工藤大尉はどうエイラ? 入っても平気そう?」

エイラ「……」チラ

サーニャ「?」

エイラ(サーニャ…)ジー

サーニャ「??」

エイラ「ぐっ…!(ぅ羨ましくナイ、羨ましくなンかナイぞ!! #)」ミシミシミシ

サーニャ「ぁ、エイラ!? ドアノブが…」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 19:22:53.58 ID:sMLj56xJo
お、来てた!
毎回クオリティ高い作品乙です
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 09:40:06.58 ID:JfFvlenl0
 
[ざっくり!解説メモ]


 未来予知の応用

エイラ・ユーティライネンの固有魔法“未来予知”はその直後の行動によって予知した未来を避ける事が出来る。
>>242で中尉が行った覗き行為はこれの応用で、以下の仕組みで“ドアを開けた後”の景色を透視した。

ドアを開けようとする → 未来予知 → ドアを開けない(未来回避)


 菊井

敏恵が初遣欧で配属された航空戦隊で知り合ったウィッチ、当時19歳で故人。
小園里葉とは腐れ縁で訓練生時代からの仲。同い年にも拘らず多感な時期にあった彼女の女房役を務めた。

扶桑がネウロイ侵略から逃れてなお戦う道を選ぶ小園に付き添い欧州へ行くが、カールスラント撤退戦下にネウロイのビームを諸に浴びて消滅、死亡した。
遺体は残らなかったが、母国実家のある兵庫加西郡某所の家墓にて先祖と一緒に供養されている(家系長男ではないが遺族の意向にて)。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 09:42:33.76 ID:JfFvlenl0
 
執務室


ミーナ「――待ちなさい。それ本気で言ってるの?」


敏恵「勿論です! この辺には偶にやって来るけど、昨日の“でか輪っか”もやっぱり普通のネウロイじゃない」

敏恵「カールスラントや大陸扶桑でもそうでしたけど、ああいうの放っておくと絶対ろくな事になりません! さっさと倒した方がいいです」

ミーナ「ええ、その点については私も同意見よ。残念ながら日中の哨戒に捕まらなかった以上、今夜改めて夜間討伐任務を組むわ」

ミーナ「…だけど工藤大尉? 貴方がそれに参加したいと言うのはちょっと、どうかしらね?」

バルクホルン「……」チラ

シャーリー(うん。流石にあたし等は何も言えない)フイフイ

美緒(ふむ…)
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:02:34.32 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「大尉は自分が昨晩何をしたか理解してる?」

敏恵「ばっちりしてます!」

ミーナ「……。なのに直ぐまた同じ“危険”を犯したい、そういう認識でいい?」ジト

ハイデマリー「ミーナ中佐、あの――」オズ

敏恵「自分で言うよマリ、大丈夫だから」スッ

ハイデマリー「工藤さん…」

ミーナ「……」

敏恵「仰りたいことは本当に解ってます、隊長さん。だから今度こそあたしも役に立って、それで責任を取ります!」

ミーナ「…それは貴方が決められる事じゃないわ」

敏恵「はい、だからお願いします! やらせてくださいっ!!」バッ


シャーリー(おーおー…。なんかメチャクチャだけどガッツあるなぁ)

バルクホルン(少佐といい宮藤といい、扶桑海軍は何というか……まさか服部も実はこうなのか?)モヤ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:11:52.52 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「…今度は徒な逸りじゃないというのは解ったわ。でも現実貴方にはもう少し、時間が必要な気がするけど?」

敏恵「そうかもしれません。だけどここで逃げたら……昨日の後悔を晴らさないとあたし、変われない気がする!!」

ミーナ「それは自分の為ってことよね?」

敏恵「っ…! そ、そうです。あたしと、あたしの大事な人の為――」チラ

ハイデマリー「!」

敏恵「それからこの隊の一員として認められる為に。…隊長さんだってそれが望みでしょ?」


シャーリー(中佐相手に開き直ったなぁ…)

バルクホルン(しかし繕うよりはよっぽど信頼できる。後はミーナがどう判断するか)
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:19:34.42 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「……。坂本少佐、意見を聞かせて」

美緒「そうだな、戦術面での問題は少ない。元々の練度に申し分は無いので今朝からの訓練だけでも十分出来る様にはした」

美緒「後は本人の“心”次第だが、こればかりはやってみない事には分からんな?」チラ

ミーナ「…つまり?」

美緒「いずれ出撃す気なら、今やろうと同じ事だ。準備が万全だろうと結局は最初に壁を越えねばならん」

美緒「つまり挑戦を躊躇う限り工藤は“肥やし”のままだぞ、中佐?」ニッ

ミーナ「……」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:26:50.92 ID:JfFvlenl0
 
敏恵「…? ぇ、ちょっと待ってもっさん? 今あたしのことウンチに例え――」オズ

ミーナ「工藤大尉」

敏恵「――! ぁ、はっ、はい!? すみません!」シャキッ

ミーナ「私は何よりこの隊の命を預かる身として、間違った判断を下す訳にはいかない」

敏恵「……」


ミーナ「責任どうこうを気にする必要は無いわ。但し今夜、貴方にやれるのね?」ジィ


敏恵「それはー…まあ、まだ無理そうですけど」ポリポリ

ミーナ「――ぇ!? …??」

敏恵「でもマリと、みんなと一緒なら絶対できますから! やりますっ!」グッ

ミーナ「……」

敏恵「ね? マリ」チラ

ハイデマリー「はい、そうですね」コク

ハイデマリー「…ミーナ中佐、坂本少佐。工藤大尉はもう大丈夫です。私達で乗り越えますから」

美緒(ふむ、これは…。正直どうかと思っていたが小園さんの目論見は当たったか?)
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:33:35.97 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「…なるほど、分かったわ。いいでしょう」

敏恵「!」


ミーナ「夜間チームにライン沿岸国境に潜伏する特異型ネウロイへの攻撃を命じます」

ミーナ「ハイデマリー少佐は今夜2300時にリトヴャク中尉以下“3名”全員を率いて出撃しなさい。作戦および現場指揮は任せるわ」

ハイデマリー「…はい! 了解しました」

敏恵「お、おぉー!! 有難うございますミーナさん! やっぱりいい人だったんだ!?」ヤター!

ミーナ「……」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:40:14.70 ID:JfFvlenl0
 
美緒「フッ、いや落ち着け中佐? ああいう奴だが決して悪気はないんだ」ポン

ミーナ「…はぁ、はいはい。べつに何も言ってないでしょ?」ガク

バルクホルン「――しかし本当に平気なのか少佐? 私から見ても、昨日の模擬戦では結構危な気だったが…?」テクテク

美緒「ん? ああ、もうあの時点からは見違えてまともだぞ。今やればお前の演習にもなるかもしれないなバルクホルン?」

バルクホルン「ほう、ハンデ無しでか? それは言い過ぎじゃないか少佐?」

美緒「はっはっはっ! まあ、そのうち試してみろ」




シャーリー「ヘーイ! よかったな工藤?」ポンッ

敏恵「んへへ、ありがとシャーリー」

シャーリー「でも気を付けなよ? 2人が来る前に話してたんだけど、今のところ周辺基地からもネウロイが来たって情報はまだ無いらしいんだ」

敏恵「へ?」

ハイデマリー「…そうですか。だとするとやはり向こうは…」

シャーリー「ええ。待ち構えてそうですね」

敏恵「んん? どうして解るの??」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:45:04.84 ID:JfFvlenl0
 
シャーリー「え? あー、だって昨晩も敵は空飛ぶ“脚つき”を作ってたんだろ?」

敏恵「うん。作ってたっていうか、地上型を飛べるようにしてた感じだけどね」

シャーリー「そいつらがまだこっちに侵攻して来ないんだよ」

敏恵「ほうほう? …??」チラ

ハイデマリー「あのネウロイ達によると疑われる最近の襲撃パターンでは、今日の日中にも表れておかしくない筈なんです」コク

敏恵「ん、んー…それが来てない。ということは…?」チラ

シャーリー「まあだから、つまり迎撃態勢とられたかもしれないってこと。向こうもまたあたし達がちょっかい出しに来るつもりで“待たれてた”ら厄介かも」

敏恵「!? なにそれ不味いじゃん!」ガーン

シャーリー「うん。だから気を付けた方がいいよって」


敏恵「えぇ……。ねえ、シャーリーも一緒に出撃ない?」

シャーリー「いや、あたし夜間はちょっとなぁ…。一応スクランブル鳴ってもすぐ行けるように寝とくよ」

敏恵「あ、うん…。なんかごめん」

ハイデマリー「――…ですがあまり憶測ばかりで悲観するのも危険です。先ずはミーナ中佐に情報を確認してからブリーフィングをしましょう」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/02(木) 19:39:02.01 ID:PBhM9KlT0
 
 
―22:40―

格納庫


敏恵「――ん、よし!」ピッ

ハイデマリー「工藤さん、その服…!」

敏恵「へへ、そうだよ。夜空四隊の時と同じ特製一種服! もうボロいけど、やっぱこれの方が気持ち入るや」

ハイデマリー「……工藤さんのシンボルですもんね?」

敏恵「うん。これを着てた“夜の女王”は負け無しだったから、あたしもね」

ハイデマリー(工藤さん…)


整備兵「――大尉殿、出撃準備完了しました!」タタッ

敏恵「ぉ、速い。高さ調整もしたんですか?」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/02(木) 19:46:54.82 ID:PBhM9KlT0
 
整備兵「固定解放時に沈む分ですよね? 援戦武官でいらした頃から自分がみてますから、完璧ですよ」

敏恵「んー、やっぱりマリの隊員さんは優秀! 昨日は嘘ついてごめんなさい」ペコ

整備兵「いえ、また御任せ頂き光栄ですよ。隊長(※ハイデマリー)の担当は整備士長班が譲りませんし、バルシュミーデ少尉達もいなくて暫く手持ち無沙汰でしたから」

ハイデマリー「…小園大佐のご指示もあって“月光”の整備には私の隊員を中心にした専属チームを組んでいます」

敏恵「へぇ…! ぇなに、じゃあ武器整備とかも?」

整備兵「大尉の扶桑製機銃だけこっち〈欧州〉用にイニシャライズされてませんから。持ち回りでやるより効率いいです(それに貴女よく投棄するし、壊すし…)」

敏恵「ふーん? そっかぁ」

整備兵「えぇと、それでですね大尉殿? 隊長の御指示通り五式機銃の弾薬は魔導炸榴弾を装填しましたが、支給数が少なく予備弾帯もありませんので注意して下さい」

敏恵「うん分かった。 じゃあいつもの徹甲弾も持って行こう、十八試三号は?」

整備兵「……昼間のうちに回収済みですが、案の定銃身がイッてました」

敏恵「のっ!? おぅ…」ギク

整備兵「残念ながら“また”一時返還でしょう」

敏恵「でゅぁあ不味い、園さんに怒られる…っ!!」

ハイデマリー「し、仕方ありませんよ工藤さん?」

整備兵(いや、投棄を止めればいいだけでは…)モヤ
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/02(木) 19:57:18.36 ID:PBhM9KlT0
 
敏恵「……まぁでも、とりあえずいいか。もう独りでやっつける訳じゃないし、五式の一門だけでも…」

ハイデマリー「そうですよ工藤さん?」スス

整備兵「!」

ハイデマリー「作戦通りで大丈夫ですから」サス

敏恵「…うん、だね。先ずはそこから頑張るよ」

ハイデマリー「はい。私が付いていますから、頑張りましょう」ニコ

敏恵「ん…!」ニッ


整備兵「……」マジマジ

整備兵(なんだろうか、何か凄く役得をした気がする!)
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/02(木) 20:04:44.62 ID:PBhM9KlT0
 

ベルギガ東端 某空域


エイラ「ホントに大丈夫なのかー? あんな自爆しといて、昨日の今日でさ」ブゥゥン

サーニャ「エイラ、その話はもうブリーフィングで…」

エイラ「まーそうだけどさぁ、扶桑のウィッチってなんか頑固だし。無理してるンじゃないか? 止めとくなら今のウチだぞ?」

ハイデマリー「……」

敏恵「大丈夫! 多少の無理は承知済みだから」

エイラ「イヤそういう意味じゃなくてナ…」

敏恵「それにもう分は弁えてるし、マリの作戦もあるから上手くいくよ。というかいかせる!」

エイラ「……ンー、じゃあ今夜だけは付き合ってヤルけど、気を付けろよ大尉?」

敏恵「了解りょーかい♪ ありがとうエイラ」

サーニャ「――! 敵の群れを捉えた、けどやっぱり……ハイデマリー少佐」フィン

ハイデマリー「…そうですね。皆さん一度停まって下さい」

エイラ「ン、了解」
257 :>>1 [saga sage]:2017/11/02(木) 20:14:10.54 ID:PBhM9KlT0
更新していますが書き溜めている訳ではないので、あしからず
258 :>>1 [saga sage]:2017/11/03(金) 13:21:16.91 ID:bvWmYT4K0
と言いつつ書き溜め始めたのでまた後日に更新を予定します(・×・)
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 13:24:45.58 ID:BWBUJIRQo
オー来てた!
久しぶりに読めてよかったいつもありがと!
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 13:52:21.44 ID:bvWmYT4K0
>>259
ありがとうございます
正直もう誰も見てなくても>>300前くらいまで書くつもりだったので頑張ります
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/07(火) 12:21:37.08 ID:nCFbU3ovO
来てたか、工藤さんを上手く使いこなしててすごいと思う
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/09(木) 20:34:59.06 ID:34aYX2co0
 
敏恵「なになに、どうかしたのマリ?」~フワ

ハイデマリー「……昨日より数が多いです」フィン フィン

サーニャ「展開してるみたいですが、動きはありませんね?」

ハイデマリー「やっぱり待ち構えられています」

敏恵「あー…、シャーリー達が言ってた通りかぁ」

エイラ「ナンだよ、やっかいそうだな」

ハイデマリー「いえ大丈夫です。それでもこちらの想定内である限り問題ありません」

敏恵(おぉ…頼もしさというか、凄い自信。マリも半年前とは見違えたよね)

ハイデマリー「サーニャさんとユーティライネン両中尉、それに工藤さん。…私が経験した中でも抜出る夜間戦力です。必ずやり遂げます」

サーニャ「……」

エイラ「オ、オゥそっか。ウン…(なんかすげー意気込んでるけどどうしたんだ…?)」

敏恵(あでも、もしかしてあたしの為に気負ってる? …なんだ、そういう所は相変わらずじゃん)フゥ
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 20:43:53.62 ID:34aYX2co0
 
敏恵「あ〜マリ? 今の台詞、元サントロンの皆が聞いたらショックかもよ?」

ハイデマリー「ぇ…? あっ、いえ!? そういうつもりで言ったつもりは無くて…!」アセ

敏恵「あはは、なんちゃって! 茶々入れてごめん」

ハイデマリー「く、工藤さん。こんな時に…」

敏恵「まあまあ、そう熱くなり過ぎずにさ? どうせこれから緊張するんだし」ゴソソ

敏恵「ん…」パク

ハイデマリー「…!? ぇ、工藤さん??」

敏恵「〜〜…? む、点かない。ルーツィアさんこんな上空でどうやって――」カシュカシュカシュ

エイラ「オイ大尉、ココでそんなモノ…」

サーニャ(たばこ…?)

敏恵「〜……。ふぃ〜〜…」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 20:47:08.18 ID:34aYX2co0
 
ハイデマリー「あ、あの工藤さん!? それは…??」

敏恵「えへへ、あたしも実は吸っちゃう人だったんだ。まあ“あの魔法”なしでどうしても不安を抑える奥の手みたいな感じ?」

ハイデマリー「……」

敏恵「ふぅ〜…。ごめんね、こういうのに頼ってるあたしが偉そうなこと言って」

敏恵「でもさ、なるべく落ち着いて行こうよ。“あたし”みたいに失敗したら嫌じゃん?」

ハイデマリー「工藤さん…」

敏恵「〜〜、ぷぃー〜…!」クシャシャ

敏恵「――さてと!」ペィッ

エイラ(あ、コイツ今…)

サーニャ(ポイ捨てした)ジー

敏恵「…それじゃ、行こっか」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 20:50:30.59 ID:34aYX2co0
 
――――
――



ネウロイ「……」ゴゥンゴゥン





ハイデマリー「確認できますか工藤さん?」ブゥゥン

敏恵「…うん、群れの一番奥手に隠れてる。急所〈コア〉まではっきり視えるよ」

エイラ「ホントに分かるんだな、大尉」ホエー

サーニャ「……夜じゃないと無理なんですよね?」

敏恵「まあね。明るいとそうみたい」

エイラ「便利だけど変な固有魔法だなー?」

ハイデマリー「…では作戦通り、中尉達は目標以外への陽動と殲滅をお願いします。敵が乱れた隙に特異型は私達が」

エイラ「了解。サーニャ、正面から横へ抜けてくから援護頼む」ブゥゥン

サーニャ「うん」ブゥゥン
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 21:12:00.23 ID:34aYX2co0
 
敏恵「……。エイラ達大丈夫かな、あんな大群…」

ハイデマリー「大丈夫です、お二人の能力なら十分過ぎるでしょう。恐らくその気なら彼女達だけでもこの場を攻略可能な程だと思います」

敏恵「そんなになんだ、そっか…。でも、ならそうすればいいって事じゃないんだよね?」

ハイデマリー「はい。私達の為に、“この先”の為に最初のひとつを始めましょう」

敏恵「……大事な一つ目かな?」

ハイデマリー「ええ」

敏恵「今のあたしに出来る、かな…?」

ハイデマリー「その為に来たんですから」

敏恵「……」


ハイデマリー「…怖くても平気です、工藤さん」

敏恵「!」ギク
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 21:23:55.52 ID:34aYX2co0
 
ハイデマリー「私がいます。貴方と出会えて励まされた私が、ここにいますよ」

敏恵「……。マリ…」

ハイデマリー「――…フフ」クス

敏恵(…!?)

ハイデマリー「少し、お腹が空きましたね?」

敏恵「えっ??」

ハイデマリー「今度こそ無事に帰って、一緒に食事しましょうか」

敏恵「…! ぁ…はは、それいいね」

ハイデマリー「はい。とても良いです」ニコ
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 21:30:15.01 ID:34aYX2co0
 
――ガザザッ

エイラ『見えてるか大尉達? 一応、引きつけは上手くいってるぞー?』

サーニャ『ハイデマリー少佐、こちらは問題ないです。目標の撃墜お願いします』


ハイデマリー「! …中尉達の陽動が上手くいきました」

敏恵「みたいだね。今なら本丸は直接狙えそう」ガジョン

ハイデマリー「始めましょう、工藤さん」

敏恵「ぅ、うん…!」
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 21:49:26.89 ID:34aYX2co0
 
ハイデマリー「――…逃げながら私も昨晩経験しましたが、あのネウロイ自体の戦力は高くありません。これだけ離れていればビームの精度はかなり悪いです」

敏恵「……うん」

ハイデマリー「逆に工藤さんの装備と実力なら十分中てられる筈です」

敏恵「コア、ぶち抜くんだよね…?」

ハイデマリー「大丈夫です。危険な反撃には備えていますから、落ち着いて狙って下さい」

ハイデマリー「工藤さんは絶対に私が守ります。怖い事なんてないです」

敏恵「ぅ…! ま、マリ…?」オロロ

ハイデマリー「分かってますよ。私も決して、やられませんから」

敏恵「ん、ん…。そうだよね、うん…」


ハイデマリー「…こちらハイデマリーです。今から目標撃墜を開始します」ス


敏恵「……」ドキドキ
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 21:59:01.45 ID:34aYX2co0
 

ネウロイ「〜〜、ー…」ゴゥンゴゥン





敏恵「っ…」フィィン

敏恵(いくぞこの…! おっかないけど、あたしは絶対乗り越えるんだ!!)ガチ゛ン


ドガァアンッッ――




ネウロイ「…?」ゴッッ

ネウロイ「!??」バァンッ




敏恵「ぅ…装甲硬いじゃん!? コアなんて全然…!」

ハイデマリー(射程が伸び過ぎて炸裂弾の食い込みが浅い!? でも外装にはちゃんと効いてる――)

ハイデマリー「良いですよ工藤さん! そのままコアを狙い続けてください!」

敏恵「ぐっ、確かに中てられたのは大進歩だけど――」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:01:22.43 ID:34aYX2co0
 

ネウロイ「…! 〜〜〜〜!!」ギラッッ


ビビィィーーーーッッ




敏恵「ッ…!!」ビクッ

ハイデマリー「大丈夫です! 向こうは当て推量なので数を撃ってるだけですから、怯たら駄目です!!」パァァア

敏恵「づぅぅ……解ってる、解ってるよ…。でも早く終われぇぇ…!」ドフッ ドフ




ネウロイ「ッッ、ー〜ーー!!」バゴォン ゴガァァ




敏恵「っ…! 〜〜っ!!」ドフドフドフドフ




ネウロイ「!!?!? ッ…ッッ…!!」ボガゴガ ドゴァァッッ
 
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:11:59.27 ID:34aYX2co0
 
ハイデマリー(照準が荒れて火力がばらけてる!? 工藤さん!)チラ

敏恵「ふぅ……はぁっ…、はっ…!」ドキドキドキ

ハイデマリー(昨日と比較すれば勿論見違えてるけど、それでもまだ――)

ハイデマリー(…私も攻撃に参加するべき? でも万が一で今の工藤さんに身を守る余裕なんて――)モヤモヤモヤ


敏恵「はぁ……ふっ…。ま、まりぃい…ッ!!」

ハイデマリー「!?」


敏恵「〜ぅあ、あたしのことも信じてぇーっ!!!」

ハイデマリー「――!」

敏恵「あぁ…、あと少しだけッ! お願い!!」ゼェハァ
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/09(木) 22:16:09.73 ID:34aYX2co0
 
ハイデマリー「っ……すみません工藤さん! 守備は任せてください!」バッ


敏恵「〜はふっ……ふぅ…!(落ち着けあたし。落ち着けば出来るんだから、落ち着けあたし!!)」ザワザワ



敏恵(コア〈あそこ〉に中てれば勝つんだ、もうすぐじゃん! あと一回ちゃんと撃てばあたしが勝つから――)


敏恵(――…死なない! もう誰も死なない!!)




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ゃ、…死に……死にたくないっ…!! 死にたくないぃぃいぃっ!!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





敏恵(頭では解ってるのに、あの感じがへばりついて来るっ…!)ゾワゾワゾワ
 
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/09(木) 22:22:28.68 ID:34aYX2co0
 
敏恵(し、心臓も脳ミソもなくなりそう…っ!! それに引き金が、固い!?)




ネウロイ「ッ…〜〜」ゴゴォォ




敏恵「ぎぐぐ…#(違う!! 武器じゃない!)」ギリ


敏恵「っ……あたしの指〈こころ〉が、ちょっと重いだけなんだ!! あと一撃くらいぃ!!!##」クワッ

ハイデマリー「…!?」ドキッ



敏恵(――撃ってしまえ! 乗り越えろ!! 証明するんだっ!!)ググ…


敏恵「〜〜〜〜っ! ぶ…、ぶぁかやろぉおーーっ!!!」ガヂッッ
 
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/09(木) 22:24:00.23 ID:34aYX2co0
 


ド ォ オ ウ ン ッ ッ ――


 
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 16:45:57.84 ID:dO3qo6d/0
 
ネウロイ「fジhv…!?」バァアンッッ








ネウロイ「――……、…〜」ギラリ

 
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 16:50:03.41 ID:dO3qo6d/0
 
敏恵「ぅ、うぅぅ…!?」

敏恵(あ、中ったのに。コアが出ただけ…足りなぃ…)ガクガク


敏恵「……ご、ごめんマリぃいい!!! あたしもうっ、いゅ、指がっ…!!」


ジャギンッ


敏恵「!」

ハイデマリー「心配ないです工藤さん――」ズン


ハイデマリー「…私が、今この時だけは絶対、外しません!」グ…




――…


ビィィイィイイーーーーッッ



ハイデマリー「!?」

敏恵「――!! あっ…ぁあ゛ッ゛!!」バッ
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 16:55:17.76 ID:dO3qo6d/0
 

パァアァッッン


ハイデマリー「――!? 工藤さん!」

敏恵「〜っ…だ、大丈夫!! 今度こそ、あたしたちっ…」パァァ

ハイデマリー「…! はいっ、今夜は一緒に」ジャギ


ハイデマリー「――無事で帰りましょう」グ



ドォオンッッ




ネウロイ「!!!」バギィィイン

ネウロイ「〜ッ … ・ ・ 」


ネウロイ「 」


バァァァンッッ

バラバララ…
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 17:01:13.26 ID:dO3qo6d/0
 
ハイデマリー「……。こちらハイデマリーと工藤大尉です、優先目標は撃破しました」ス


――ガザザ

エイラ『ンー、丁度見てたぞ〜! な、サーニャ?』

サーニャ『…こちらも国境内の異形飛行型は殲滅完了しました。カールスラント領沿岸の地上型は撤退しています』

エイラ『越境するワケにいかないし、追わなくてもイイんだろ?』

ハイデマリー「はい、作戦終了です。有り難うございました」



ハイデマリー「ふぅ……。終わりましたね?」チラ

敏恵「……」

ハイデマリー「工藤さん」

敏恵「うん…。そう、だよね…」

ハイデマリー「……」

敏恵「…あぁ〜〜」フヨフヨ

ハイデマリー「!」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 17:18:29.20 ID:dO3qo6d/0
 
〜トサッ

敏恵「しんどかった…」

ハイデマリー「……お疲れ様です」サス


敏恵「ん…。でも悔しぃ、本当はあたしでやっつけられた」

ハイデマリー「ですがその後に私を守ってくれました。貴方が勝ったんですよ」

敏恵「……」

ハイデマリー「工藤さんは負けてなんていません。…そうでないと、瞬間あんなこと出来ませんから」

敏恵「…もし、引き金どころか」ボソ

ハイデマリー「ぇ?」

敏恵「瞬きひとつ動けなかったとしても、飛び出したんだと思う。…五年前〈あのとき〉もそうやってあたしの命が守られて」

ハイデマリー「……」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 17:25:54.10 ID:dO3qo6d/0
 
敏恵「…菊さんは死んじゃったけどあたしは、生きてる」ヒシ

敏恵「今あたしが守れた人は“いつか”みたいに、“誰か”みたいに悲しくないんだね…」

ハイデマリー「……そうですよ。瀕死の工藤さんなんてもう本当に嫌なんですから」


敏恵(そっか…。あたしはこうしたかったんだ、そんなウィッチだから――)



敏恵「ねえ、マリ?」

ハイデマリー「はい」

敏恵「…あたしってこんな身体だし、正直まだ心も全部軽くはならないけどさ」

敏恵「――それでもここから目指してみるよ。もう一度、女王さま」

ハイデマリー「…!」


敏恵「だからさ、手伝って欲しいんだ。独りじゃ挫けるかも」

ハイデマリー「…ええ、そうですね。分かりました」ポンポン

敏恵「へへ… //」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 17:34:43.02 ID:dO3qo6d/0
 
――――


――



 
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 17:37:33.25 ID:dO3qo6d/0
 

―数日後―

サン・トロン基地 野外



敏恵「――それぇい!」グイー




  \ デデーンッ! /
   / ̄ ̄∨ ̄ ̄\
  /   ∧   \
 |   / \   | 
 |  /   \  |
  ヽ/| 祝 | \ノ
    |   | ・
 -。 |あ 工|・ `
   |ん 藤| 。
  ・ `|ど 敏|・ `
   |五 恵|
   |○ 復| ` 
 。 |一 帰|
   |参  | 。
  、|加  |
   |_ _|



敏恵「さあ皆さん、どんどん召し上がれ! あたしの大気解放祝いに工藤家自家製米おにぎり大盤振る舞いですよぉー!」

芳佳「具別でこっちに並べてますから、自由に取ってくださーい」

美緒「…分かったぞ服部、恐らくこう。左手だ」

静夏「な、なるほど。よし…」

リーネ「あれ、服部さん? まさかここにあったお塩全部使ったんですか…?」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 17:43:36.93 ID:dO3qo6d/0
 
ルッキーニ「ん〜♪ トンノ〈ツナ〉おいしー!」モムモム

エーリカ「サーニャンどれにする?」

サーニャ「えっと…」

ペリーヌ「それにしてもまた凄い沢山ありますわね?」

エイラ「マー最近は涼しくなってきたし、余っても明日くらいまでは持つんだろ」パク

エイラ「――!? ブェエッッ!! な、なんだこれカライ!!?」

静夏「えっ? あ、多分それは私が握った…」

リーネ(やっぱり…)


わいわい




バルクホルン「……いくらなんでも駄目だろ、これは」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 17:50:23.50 ID:dO3qo6d/0
 
シャーリー「まあまあ、いいじゃん。なかなか美味いよ?」

バルクホルン「いやそういう問題じゃなく、浮かれ過ぎだ。ここは軍事基地であって我々はピクニックをしに来た訳じゃないんだぞ?」

シャーリー「なーんだよ今更それ言う? 工藤もしっかりメンバー入りしたんだし、やれるうちに浮かれとくのは寧ろOKだって」


シャーリー「――なあ少佐?」チラ

ハイデマリー「はい」コク

バルクホルン「ぐっ、まさかハイデマリー少佐までこいつに同調するとは…」


ミーナ「うふふ、けど一応理屈は通るわよトゥルーデ?」

バルクホルン「…しかしいいのかミーナ? 今回ばかりはもっと緊張感を」

ミーナ「解ってる。“川を越え始めたら”こういう事する余裕も無くなってしまうわ」

ミーナ「だから今のうちに力を抜くべきよね? 特に貴方や私なんかは、少し張りつめ過ぎるのかもしれないわ」

バルクホルン「……」

ハイデマリー(ミーナ中佐…?)
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 17:56:22.96 ID:dO3qo6d/0
 
シャーリー「そういうこと! だからあたし等もはやく行こう、飯無くなっちゃうぞ?」グイ

バルクホルン「だ、おい!? 引っ張るな! お前は既に食べてるだろうが」

シャーリー「一個で足りる訳ないだろ? あとジュースも欲しいし」

バルクホルン「わ、分かったから責っ付くな!」




ハイデマリー(バルクホルン大尉とイェーガー大尉ってなんだか……不思議な関係性?)

ミーナ「…なんとか収まりついて本当良かった」

ハイデマリー「――ぇ?」チラ

ミーナ「工藤大尉のこと。貴方のおかげもあって間に合ったわ、有難う少佐?」

ハイデマリー「あ、はい」コク

ミーナ「!? …ふふ」

ハイデマリー「?」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 18:03:29.57 ID:dO3qo6d/0
 
ミーナ「貴方、また少し変わった」

ハイデマリー「そ、そう…ですか?」

ミーナ「ええ、良いと思うわ」

ハイデマリー「??」

ミーナ「…一方だけじゃなくて、あの子もまたハイデマリーさんを強くするのかしら?」




美緒「むぅ…何故だ、何を間違えた? 結局まん丸になってしまった」

シャーリー「ライスボールって言うくらいだから、丸い方が正解じゃないんですか?」

敏恵「坂本さん、それも三位のなんとかですよ。心技体のどれか駄目なんじゃないですか?」

美緒「そうか。技術は宮藤の手解きを受けたんだが…」

敏恵「じゃあ体力は間違いなくあるから、多分心構えが足りてないんですよ! もっと白米への気持ちを込めて!」

美緒「気持ち様か、つまり気合いだな? ……せぇいッッ!!」グジャッ

敏恵「えっ、ちょ…ぁあああもっさん!!? 貴重なご飯がぁーっ!!」

シャーリー「あははは! いやいや少佐?」

バルクホルン「見ていられないな。少佐、変わってくれ」

美緒「待て、今ので分かった。一度丸くなった後に三辺をこう……ふんッッ!」グチャァ

敏恵「わーーやめて!! 丸くていいから、ご飯潰さないでぇー!?」

シャーリー「あっははは!」




ミーナ「……。但しあのままそっくり影響されても困るけど(というか美緒も何やってるのよ…)」

ハイデマリー「私には無理ですよ中佐? ああいう所は工藤さんの魅力ですから」

ミーナ「そ、そう?」

ハイデマリー「はい。…皆さん、楽しそうです」クス



――――ここから時を間もなくして統合軍はカールスラント領奪還の火蓋を切る。

“夜の女王”は前線を退くまでの残りをその空で戦い、歴史に知れぬ戦果を再び積み上げることとなるが



 それは新たな彼女、“工藤敏恵”の物語である
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/10(金) 18:19:39.04 ID:dO3qo6d/0
 

ノイエ・カールスラント 某所


――…ガゴォン


ヴァルトラウト「ん〜、プロトタイプとしては良くできた方よねぇ?」コンコン

レベッカ「はいお姉様、あれだけの機構がこの形に収まっているのが奇跡と感じます」

ヴァルトラウト「ふふ、頭悪いのに“腕”は器用よねぇ。さすがお猿といった所かしら」

レベッカ「…お姉様が一部でも他人の設計を受け入れるなんて、いつ以来でしょうか?」

ヴァルトラウト「貴方以外とここまでやるのは初めてよぉ? わたくしのプライドは拗ねているけど、まぁ得る物もそれなりだから仕方ないわねぇ」

レベッカ「……」

ヴァルトラウト「さぁてそれじゃあ、塗装はまだいいとして、いい加減に型名くらい決定すべきかしら? 試験機のアウトまでしちゃったのだし」

レベッカ「と仰いますと、やはり連番に加えるのでしょうか?」

ヴァルトラウト「…わたくし達の作品群に異姓のイニシャルが入るのは嫌ねぇ。それ以外ならべつに何でもいいわ」


「――名前はもう決まっている」


レベッカ「!」

ヴァルトラウト「…あらぁ? ひと月も遅刻しておいて悪びれもなく主張出来るのねぇ、大佐?」クル

小園「お前達のような輩に誠意など効果無いだろうが。それに今何でも構わないと言ったぞ」スタスタ

ヴァルトラウト「ふふ、生意気。…それでぇ? 今後これはなんて呼ばれる予定なのかしらぁ?」

小園「うむ、先日の噴流試験で閃いた。この新型戦闘脚の名は――」


小園「…“彗星”だ」



ストライクウィッチーズ the 3rd like 〜彗撃の明かり〜 【完】
 
289 :>>1 [sage]:2017/11/10(金) 19:24:01.89 ID:dO3qo6d/0
という形で区切りだけはつけさせて頂きました。
悪く言えば打ち切りですね(-×-;)
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:21:29.60 ID:nVM8dINRo
見てたぞ、乙
打ちきりってことはもう続きはないのかな?
>>1の書くSS好きだから続きでも別のでもまたなんか書いてくれたら嬉しい
291 :>>1 [saga sage]:2017/11/16(木) 02:48:39.63 ID:snrDRKhs0
>>290
残念ですが>>188から気持ちは変わっていないので……。しかし前回の蛇足になった感ある「工藤敏恵」の落とし所は付けられたかなと思います。
本当はタイトルにある通り『501に参加して月光から彗星に履き替えてカールスラント戦線へ』という具合で、ここから本編のつもりだったのですが結果的に>>1の体力不足です。


※※なのでここから先は完全に>>1の自由帳化します※※

好きに設定や補足を綴ったり、唐突に書きたかったシーンだけ投げたり、放置など、無責任に進行する恐れがあります。
その上で付き合い頂ける人も是非自由にレスしてください。…元から自由だけどナ(・×・)
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/16(木) 02:52:42.69 ID:snrDRKhs0
>>291訂正?

前回の蛇足 → 前作からは蛇足
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/16(木) 04:50:22.61 ID:snrDRKhs0
 
[ざっくり!解説メモ]


・特異型ネウロイ“フライ=フープ”

敏恵がサン・トロンに戻って最初に相対した敵。トラウマを乗り越えハイデマリーと共に撃破した。
コアを含む本体と離れた位置にリング状の部位を持つ大型規模の飛行ネウロイ。敏恵いわく「でか輪っか」

単体での脅威性は低いが、地上型の陸戦ネウロイに“浮力”を与え飛行させる事が可能。その際に一体ずつリングを通すためそこそこ時間がかかる模様…
比較的凡弱な攻撃力に反して本体の外角装甲は硬い。

その特別に恣意的な能力と一連の行動から、501指揮官ミーナ・ヴィルケは、カールスラント領内の敵勢力に想定以上の戦略性が存在することを危惧する。※おまけで書くかも


・第三次501部隊の組織図について

  隊長(指揮官):ミーナ・D・ヴィルケ中佐
戦闘隊長(副指揮):ゲルトルート・バルクホルン大尉
 記録係(補 佐):シャーロット・E・イェーガー大尉
夜間隊長(補 佐):ハイデマリー・W・シュナウファー少佐

上記4名を新たな頭脳組織として構成している。
これまでは前戦闘隊長の坂本美緒が補佐役を務めつつもミーナが総括していたが、ウィッチ増員による運用や任務規模の拡大予想から、上位面子による精査・分担等のクッションが設けられた。
当然のこと最終的な意思決定者はミーナさん
実は対外印象的な意味で、カールスラント軍人一色を阻止するシャーリーの配置意義は大きかったりする。

 ※原作劇場版の経緯で合流した坂本も、扶桑艦隊に戻るまでは以前通りにミーナを輔佐した。
※※厳密にハイデマリーは501隊員ではないがミーナの裁量で配置されている。
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 07:34:15.96 ID:+xodOVDmO
おつ!
毎回読んでるよ、細かい設定についても付け足してくれてるから読みやすい
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/22(水) 01:54:04.00 ID:i0l+/W/l0
>>294
好きに殴り書いているので、くどくなっていないか心配です



 ・統合軍最高指揮の戦略概要と各国の動き


1945年時、ネウロイ主勢力は東欧州を中心としたユーラシア大陸に集中している(他アフリカ大陸戦線、太平洋方面は38年に沿岸新勢力を扶桑皇国が打倒済)
アニメ1期での巻き返しによって西部戦線の大陸上拠点(ガリア、ベルギガ)を得た統合軍は、オストマルク方面の前線拠点構築を急ぎ、東部戦線オラーシャ方面を加えた三方包囲による敵地攻略に踏み切った。
これは欧州戦力のみならず、リベリオン他主要各国軍の動きにも影響を与える巨大戦略である。

 ※オストマルク方面は505JFW“ミラージュウィッチーズ”の極秘任務による極地攻略が下地になり、臨時徴収された各統合部隊などの活躍によりカールスラント国境付近へのインフラを確保した。
※※前作ラストで転属になったエステルとハルテはこの臨時部隊のひとつにいる。

世界戦力を一極集中させる後ろはブリタニア、扶桑、リベリオン各国が守る。
国力のが豊富な扶桑とリベリオンで太平洋全域とオラーシャ東部地域の牽制、統合指揮の根拠地を置くブリタニアはリベリオンと協力して大西洋全域を見張ることとなる。

 ※例外的にのっぴきならないアフリカ地域は引き続いた戦線維持。しかし現実的にはしわ寄せを受けて支援に影響が出ているらしい…
※※他、何故か北極圏にも隠れた物資の流れがあるという噂も…?
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/11/22(水) 02:40:40.36 ID:i0l+/W/l0
 
 ・工藤敏恵召喚の背景(魔眼の確保)


ネウロイの急所である“コア”を特定できるというアドバンテージは戦略的にも戦術的にも非常に大きい。

オラーシャ圏の“グリゴーリ”を消滅させた一件で、ネウロイの巣の発生源にすらもコアが存在した前例が記録された(もちろん軍機)。
このため坂本離脱による魔眼喪失を重くみたミーナは、ネウロイのコア特定ができる人材探しを急いだ。

502JFを離れた雁淵孝美中尉を同海軍の坂本経由で勧誘しようとしたのが>>27でうかがえるが、↑レスに記した事情で太平洋方面管轄に新設予定の508JFW“マイティウィッチーズ”の構成ウィッチとして既に唾をつけられていた。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 05:32:26.00 ID:LzP7azFTo
まだかー!、読んでるぞ!
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:20:25.27 ID:N2QvXjUtO
 
【おまけ?】




―とあるメタ時空―




敏恵「――はい! というわけで久々この6人が集まりました!」



エステル「…なぁにが“というわけで〜!”よ」ムスー

ハルテ「あはは…」

オクタヴィア「うふふ、この面子はしっくりと来るわね♡」

ルーツィア「ん、まあそうですね」

ハイデマリー「……。ぁの、工藤さん?」オズ

敏恵「ん? どうかしたマリ?」

ハイデマリー「此処はいったい…? その、なんだか記憶というか、時間の感覚も曖昧なんですが」

ハルテ「あ、そうですね? そういえばどうして私達はこの場に集合できているのでしょうか?」

敏恵「あーそれね、大丈夫! ここは“めたじくう”だからなんでも有りだよ」

ルーツィア「ハッキリ言いやがったなこいつ」

オクタヴィア「辻褄もなにもないわね♪」アラアラ

エステル「……」ムスー
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:28:35.42 ID:N2QvXjUtO
 
ルーツィア「まあそれはいいとして、態々こんな目に遭ってるつう事は私等にまだなんか用あるの?」

オクタヴィア「なぁにルーちゃん、久々に顔合わせしたのに。急ぎ?」

ルーツィア「いや仕事があるんすよ。多分途中だった――…と思う」

オクタヴィア「あらやだ行きたい。そのお店“お触り”できる?」

ルーツィア「全然違えし、ウェイトレスじゃないから。来たらしょっ引きますよ」

オクタヴィア「!! …ルーちゃんとならそういうプレイもいいわね?」

ルーツィア「……#」


ハルテ「や、やっぱり旦那さんがいても准佐さんは変わりませんね?」

ハイデマリー「そのようですね…」
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:32:23.22 ID:N2QvXjUtO
 
敏恵「わ! そうだった、タヴィアさん本当に彼氏さんと結婚しちゃったの!?」ガタッ

オクタヴィア「ん?」

ルーツィア「婚約ってそういう事だしな。…相手の野郎には同情する」

オクタヴィア「ふふ、同性の愛人はウェルカムだから遠慮しなくて大丈夫よ敏恵ちゃん♡」

敏恵「ぁいや全然そんな心配してないですけど、おめでとうございます!」

ハイデマリー「…そうですね。デュッケさん、私からもお祝い申し上げます」

ルーツィア「ちゃんと旦那を構ってやれよ? マジで気の毒だから」

オクタヴィア「あらあら、ありがとう皆。ちゃんと彼ともお互い愛し合ってるわよ?」

敏恵「ぉ、おぉっ! 甘々な発言!? いいなぁそういうの!! ///」ズイ

オクタヴィア「うふふ♡」ニコニコ
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:36:19.04 ID:N2QvXjUtO
 
敏恵「あ、あのあのタヴィアさんっ! その愛し合うって……ぉ、大人の儀式とかやっちゃったんですか!? //」ムフー

オクタヴィア「!」

ルーツィア「おい大尉、あんま少佐を調子付かせ――」

ハイデマリー「く、くどうさっ… ///」アセ


オクタヴィア「ん〜…、聞きたい?」

敏恵「わぁー、わ〜!! きき聞きたいっ! ////」



ルーツィア「…あいつ“こういう”所あるよな?」

ハルテ「可愛いですよね? 大尉さんって」クス

ルーツィア「は? ……いや、ん…」モヤ

ハルテ「?」


エステル「っ…#」イライライライラ
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:39:35.24 ID:N2QvXjUtO
 
オクタヴィア「でもそうねぇ、どうしようかしら? やっぱり恥ずかしいわ」

敏恵「んぐぅ〜〜!! そんな、ちょっとだけでいいですからー!? //」ヤキモキ

ハイデマリー「……//」ゴクリ

オクタヴィア「うふふふ♡(あぁ楽しいわこれ)」



――バンッッ


エステル「んぬぁあああ、もうッ!!! #」


ハイデマリー「…!!?」ビクッ

敏恵「――どぅ…? び、ビックリした」

エステル「もうもうもぅ、もうっ!!! ##」バンバンバンッ

ルーツィア「……何やってんだエステル?」

敏恵「えっと…、どうしたのエステルちゃん? 牛の真似??」

エステル「むがーー!! ぶっ叩くわよあんた!? #」クワッ

敏恵「えっ、えぇぇ!??」ガーン
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:44:02.58 ID:N2QvXjUtO
 
エステル「いっつもいっつも!! おちゃらけて話を脱線させんじゃないわよ!? #」

敏恵「…? …??」

オクタヴィア「あらあら、なんだか本気の癇癪みたいね? 真面目に聞くから説明してくれない少尉?」

エステル「私にはだいたい想像ついてんのよっ! だからさっさと文句のひとつも言ってやりたいのっ!! #」

ハイデマリー「え、エステル少尉??」

ハルテ(――ぁ! 私なんとなく分かりました…)ギク




ルーツィア「…よく分かんねえけど、まあ話がズレてたってのは、そうだろな」ギシ…

オクタヴィア「あら少しくらいはいいじゃない? スレ沢山余ってるみたいだし、久々揃ったんだから楽しくお喋りしたって」

ルーツィア「あんたが悪乗りで煽ってんだろうが。あとそういうメタやめろ」

オクタヴィア「やだ流石ルーちゃん、バレてたのね?」ウフフ

ルーツィア「はぁ…。んで大尉は――」チラ


敏恵「〜! むぃ?」モグモグ

ルーツィア「――……。急に、なに食ってんだよ」
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/10(土) 23:48:49.46 ID:N2QvXjUtO
 
敏恵「〜〜ング。ど、どらやき?」ダベマス?

ルーツィア「……」

敏恵「…ぁいや“めたくうかん”だし。なんかいつの間にかあったから、つい…」

エステル「…##」


ルーツィア「チッ、ま何でもいいけどさ――」ワシャワシャ

敏恵(うっ!? 舌打ちされた…)


ルーツィア「始めにお前が仕切り出したんだから、多少はまともに進めろよ。何か話すことあるんだろ?」

敏恵「は、はい。…すみません」

ハイデマリー(やっぱりこういう時は私でなく、ルーツィア曹長のおかげで持っていますよね…)
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 00:06:40.12 ID:fn2ajA4qo
待ってたぞ!
濃い内容だから続けてくれ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 00:33:23.68 ID:ADYj4NrvO
 
敏恵「えぇと、その〜……実は今後のことなんですけど」

ルーツィア「…?」

オクタヴィア「“今後”のって、なにかしら?」


ハイデマリー「――ぁ! 工藤さんもしかして私達の、カールスラントの件ですか?」

敏恵「…うん」

ルーツィア「なんか知ってるんすか?」

ハイデマリー「はい。あの……今まで続いた工藤さんの物語ですが、これから先は少し難しいそうで…」

オクタヴィア「あらあら」

エステル「…ほらやっぱり、その話じゃん」ボソ

ハイデマリー「カールスラント本土を奪還する流れもそうですし、時系列的にもこれ以降は公式の“ストライクウィッチーズ”世界にも情報がありませんから、つまり……ちゃんとした物を構築するのは辛いようです」

エステル「ふんっ! 私達を外したあげく、欲張って501なんか使うからそうなんのよ。書ける訳ないじゃない」ムッス~~

ハルテ「ま、まあまあエステルさん…」ドウドウ
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 00:42:43.93 ID:ADYj4NrvO
 
オクタヴィア「けど確かにそうだわ。妄想するのは自由だけど落としどころも見えないなら、これまでみたいにはいかないでしょうね?」

敏恵「んん…というか、そもそもあたしが芳佳ちゃん家を訪れた所で本当は終わってるし。続編は冗談だった訳で、いい気になってなんとなーく始めたらこうなっちゃったんだよね…」

ルーツィア「…まあお前の設定つうか、その辺のネタはもう使っちまったからな。マジで枯渇してしょっぱくなる前に無理矢理打ち切ったんだろ?」

敏恵「うん」

ルーツィア「じゃあ終わりでいいだろ」

敏恵「ぇ、でもそうしちゃうのも“なんだかなぁ”と…。なんと未だ読んでくれた人もいるみたいで」

ルーツィア「ああそう。それで私等こんな事やらされてんのか…」

オクタヴィア「そう思うならやればいいんじゃない? べつに自由だと思うわ」

敏恵「うん。でもだから、さっき言った通りあたしとマリの続きはちょっと……ね?」チラ

ハイデマリー「あ、はい。現状では困難だという判断みたいです」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 01:11:26.40 ID:ADYj4NrvO
 
ルーツィア「ん…、じゃあどうするっつうの? つうか私もうタバコ吸っていい? 今何やってもアリなら――」ゴソソ

オクタヴィア「そういえばルーちゃん、禁煙したの?」

ルーツィア「本当は。でもどうせノーカンだろ」シュボ


ルーツィア「…フゥ〜―……。で結局話が見えないんだけど、どうする気?」プカ~

敏恵「まさにそこなんですよ、ルーツィアさん」

ルーツィア「あ?」

敏恵「だから、なんて言ったかな、あ〜ー……」

ハイデマリー「…工藤さん。“スピンオフ”です」ヒソ

敏恵「ぉ、ありがとうマリ! …“すぴんおふ”をやればいいんじゃないかなって」

ルーツィア「ふーん」

敏恵「どうですかね?」ジー

ルーツィア「…? べつに、やればいいんじゃねえの?」プカ


エステル「ッ… ###」ギリギリギリ

ハルテ(あぁ、これは不味そうです…)ハラハラ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 01:13:04.39 ID:ADYj4NrvO
 
敏恵「わっかりました! じゃあ頑張ってください」

ルーツィア「……」

オクタヴィア「あらあら、よかったわねルーちゃん」

ルーツィア「……あ? 何が…??」

敏恵「いや〜、一安心! これであたし達ものんびり休めるよ!」

ハイデマリー「ぇ、えっと…(自分が降板扱いな事は全く気にしないんですね…?)」モヤ

ルーツィア「…………え、待てよ? おい――」





エステル「――〜〜っ!! だから、ちっがぁぁああう、つーのッ!!! ##」バチコーーンッ

敏恵「えぶっ!!?」

ハイデマリー「きゃ!? く、工藤さん!」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 01:22:15.42 ID:ADYj4NrvO
 
ハルテ「あわわ! エステルさん、大尉さんにやつあたってはいけませんよ!?」アセアセ

オクタヴィア「今回は“グー”じゃなくて“パー”だから、一応手加減したのね?」

ハルテ「そ、そんな冷静に…」


ハイデマリー「大丈夫ですか工藤さん…?」

敏恵「ぃ…いひゃぃ…。メタ時空なのにすごい痛ぃ…」ヒリヒリ

エステル「スピンオフですって!? だったらもうあるわよっ! 忘れてんじゃないっつの!!」

敏恵「??」ヒリヒリ

ハルテ「それは……はい。そうですけど、とりあえず落ち着きましょうエステルさん?」

エステル「落ち着いて待ってたら“すっぽかされて”んじゃないのよぉー、もぉぉおおぉお!!! ##」

ハルテ(ぅぅ…、これは止められそうにないです…)
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 19:22:53.60 ID:p6HhBdoJO
 
オクタヴィア「ごめん、ちょっといい? “もうある”って…あるの?」

ルーツィア「……ん、思い出した。これですよ(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489678851/)」ヒョイ

ハルテ「は、はい…」

オクタヴィア「あら、ちょっと見せて?」

オクタヴィア「――…ふうん、こういうのがあったのね? あたし知らなかったわ」ヨミヨミ


エステル「なぁああぁあ!! ちっくしょう!!!」ガシャーン!!

敏恵「あーっ!! エステルちゃんそれ、まだ全部食べてないのに!?」

ハイデマリー「く、工藤さんそういうのはっ…! 少尉の神経を刺激してますから…」アセアセ


ルーツィア「スレ変えてたしな。マイナーどころかオリキャラの続編とか“知るか”って感じだろうし」

オクタヴィア「……ふふ、やだ。お菓子ちゃんのモノローグ、初々しくて可愛い♡」クス

ハルテ「ぁぅぅ…言わないでくださぃ //」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 19:28:39.44 ID:p6HhBdoJO
 
オクタヴィア「でもルーちゃん、よくこれ知っていたわね? sageてたみたいだし、スレ順8000番代ってこれもう化石よ?」

ルーツィア「〜、フゥー……。…まあ、一応な」

オクタヴィア「ん〜?」ニコ

ルーツィア「……私等には知った奴のことだろ? 気にしちゃ悪いかよ」クシャ

オクタヴィア「うふふ♡ 優しいのよねえ、ルーちゃん。好きだわ」

ルーツィア「…チッ #」シュボ

ハルテ「あ、ありがとうございます曹長さん //」ペコ

ルーツィア「ん……べつに」プカ
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 19:36:50.84 ID:Oe1NzFjTO
 
エステル「――というか副隊長すら知らないってなんなのよっ!? 後付けでしょ!! 勝手に放置しといてそんなネタっぽい扱いにしてんじゃないわよ!? #」

敏恵「う、うぅでも…あたし達に文句言われてもなぁ〜…」

ハイデマリー「……」

エステル「あーそう!? 大尉達は良いですよね!! 打ち切りだろうがまた活躍書いてもらえたんだから!」

敏恵「え? “活躍”っていうか、あたし書かれるたびに酷い目に遭わされてるだけなような――」

エステル「こぉんの、減らずぐちぃいーっっ!! ##」ビシィイッ

敏恵「じゅい!? い、痛っつぅ…」

ハイデマリー「…工藤さん、ここは少尉が落ち着くまで大人しく聞いた方が安全だと思います」ヒソ


ルーツィア「でもさ、エステルがキレるのも尤もだな。つうかこれ(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489678851/)の続きやればいいじゃん、で解決だろ」ヒョイ

エステル「流石ルーツィア先輩、ちゃんと分かってるわ! …あと何度もリンクすみません」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 19:45:24.94 ID:Oe1NzFjTO
 
エステル「――どう? だれかこの真っ当な道理に反対できる奴いる!? このエステル・バルシュミーデの活躍をさっさと書くのよ!」ビッ

敏恵「んー、あたしは文句とか無いけど……あれ? でもこれエステルちゃんっていうか、スレタイはハルテちゃんの名前が――」

エステル「!!」

ハルテ「わっ…! た、大尉さんそれは言っては駄目です!?」グイ

敏恵「え?」

エステル「〜〜ッ! しし知ってるわよそんなことっ!! 本当はそこも不満だけど、我慢してるんじゃない…!!」バンッ


エステル「っ…私だって書いて貰えるんだからって、我儘いってないだから…〜っ…! //」ウルル


ハルテ「ぁぅ…あぁ、エステルさん…」

エステル「ぅ、うぅぅ…っ、なんでこんなぁ……期待させといて…〜ウグ、わたしがんばってるのにぃ…」エグエグ

敏恵「ちょっ! ちょちょと、エステルちゃん!?」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 19:50:04.05 ID:Oe1NzFjTO
 
エステル「…わっ、わたしが……カールスラントをとり返すってぇ……エグッ…かぞくのかたっ…かたきをうつってぇ…」ポロポロ


ハイデマリー「工藤さん」ポン

敏恵「――え、ちょっと待って!? これまさかあたしが泣かせちゃった感じなの??」

ハイデマリー「…私はさっき忠告しました」ボソ

敏恵「あ、あえぇっと! ごめんねエステルちゃん!? その、意地悪したかった訳じゃなくて――」アワアワ




オクタヴィア「あらあら…。エステルちゃん、かわいそうに」

ルーツィア「……ん、じゃあエステルとハルテの続きって事で決まりだな。うし、帰る」ノソ

オクタヴィア「! やだルーちゃんったら。お尻の可愛い後輩が泣いてるのに、それを利用して逃げちゃうの?」ハシ

ルーツィア「……」ギク

オクタヴィア「貴方のスピンオフまでうやむやになっちゃうわよ?」ウフフ
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 19:57:59.45 ID:Oe1NzFjTO
 
ルーツィア「チッ…。そうなって欲しいんすけど」ドサ

オクタヴィア「いいじゃないの。あんなに悔しがってる子だっているんだから、贅沢よ?」

ルーツィア「はぁ……。マジで代わっていいよ、本当」

オクタヴィア「そんなに嫌なの?? まあでも正直には分からないわよ? 肝心の書く側が“口だけ”なんだし、どうせ確証とは言えないんじゃないかしら」

ルーツィア「そうすか。……なんか、このメタにも疲れた。いいからもう帰してくれ…」ガク

オクタヴィア「……。随分疲れてるわね」

ルーツィア「ああ」

オクタヴィア「除隊後に何しているかは知らないけど、やっぱり設定練られちゃってるんじゃない? さっき働いてるって言ってたけど、何か思い当たる?」


ルーツィア「……」

オクタヴィア「……」


ルーツィア「…………。ちっくしょう、マジかよ…」

オクタヴィア「あらあら、やっぱり」

ルーツィア「どおりで都合よく、あんな野郎が…――」チッ

オクタヴィア「…エステルちゃんには、まだ黙っておいた方がいいわね?」ヒソ




敏恵「――ほ、ほらエステルちゃん!? これあたしの大好きな“こていべぇかりぃ”のシベリアってお菓子で、凄く美味しいから食べてみない…?」オズ

エステル「そんなのいらないっ…〜エグ、みんな大っきらぃ……ぅぅ…」

ハイデマリー「あのエステル少尉、えぇと、そのぉ…」アセアセ

ハルテ「ぁぅぅ…」オロオロ



  【 完 】
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 20:25:25.41 ID:fn2ajA4qo
もっと読みたいから小ネタで良いから書いてほしいな
おつー!
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 22:07:09.88 ID:45EjTsrrO
乙ですよ
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 01:44:17.81 ID:9UFNUjT40
メタ空間その後


オクタヴィア「…ルーちゃん本当に帰っちゃったわねぇ」

ハルテ「お忙しそうでしたね?」

オクタヴィア「その設定が語られるといいんだけど。でないと骨折り損で不憫だわ」

ハルテ「そ、そうですね…」

敏恵「あーーっ!!」

ハルテ「きゃ!?」

ハイデマリー「ど、どうしたんですか工藤さん…!?」

敏恵「こ、これ!! これ見てよ!?」

オクタヴィア「なあに? ……あらあら」

ハルテ「え? あ…!」

ハイデマリー「これは、先程ルーツィア曹長の言っていた…」

敏恵「エステルちゃん、エステルちゃん!」

エステル「……」

敏恵「ほら! これ!? 更新されてるよ、見て!」

エステル「……。…………」

敏恵「よかったね! やったやった!!」

エステル「……3じゃん」

敏恵「えっ」

エステル「たった3スレじゃんって言ってんの…」

敏恵「え? あ、うん」

エステル「……話進んでないし、気まぐれでしょ? もういいわよ…」

敏恵「ぁいや、でも」

エステル「また放置よどうせ。さっさと落としなさいよ、運営何やってんのよ…」

敏恵「う、運営?? …あの、エステルちゃん?」

エステル「っ…くそ、くそくそくそ…」


オクタヴィア「凄いわ、あのエステルちゃんが本気で諦めてる。完全に卑屈になっちゃったわね?」

ハイデマリー「た、確かに今更なので期待は薄いというか…。少尉が信用しないのも無理ないと思います」

オクタヴィア「……そうね。これだって今下書きもなしで携帯端末から適当に打ってるものね?」

ハイデマリー「はい」

ハルテ「ぁぅぅ、皆さん…」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 01:58:09.63 ID:9UFNUjT40
敏恵「エステルちゃん数え間違えてる!! ほら、もっとある! 3じゃなくて4だよ!?」

エステル「……うっさぃ ///」

敏恵「しかも“スレ”じゃなくて“レス”だよ!? お茶目さんだエステルちゃん!」

エステル「…あんた慰めてんのか馬鹿にしてんのかどっちなのよ? ##」

敏恵「励ましてるんだよ!!」


ハイデマリー「……」

ハルテ「……」

オクタヴィア「うふふ、やっぱりあたしはまたこの面子でやりたいわ?」


※続かない※
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 21:04:07.06 ID:Z/f5aQNLO
待ってた!こういうのもっとほしい!
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 00:11:05.19 ID:3nzdJVvfO
 

ルーツィア「……」




敏恵「ルーツィアさんがんばぇー、…〜んぐんぐ」モグモグ

ハルテ「完全に“観る”体制ですね大尉さん…」

エステル「大尉、私にもポップコーンください」ムンズ

敏恵「むい、いいぉ。みんぁもほら、とってとって?」

エステル「げっ…汚い!! 口から飛んでるわよ馬鹿!」

オクタヴィア「濡れシーンとか有るのかしら? 前戯は長い方があたし好みだけど――」ゴソ

ハイデマリー「デュッケさん、その花束と貝はいったいどこから…?」


やいの やいの――




ルーツィア「チッ……やっぱさっさと死んどきゃよかった #」
 
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 00:30:45.22 ID:3nzdJVvfO
 

【ベルギガ外伝 〜 Happy Lilli's locality 〜】






 ――1945年秋。


 ルーツィア・ピッケンハーゲンは苛立っていた






とあるレストラン


おっさん「70フラン」

ルーツィア「……」


おっさん「終日働いてもらったら、それだけ払うよ」

ルーツィア「…それマジで言ってんの? こっちは真面目に話してるんだけど」

おっさん「悪いね、確かに人手は有り難いけどそれ以上の賃金は出せない。店が燃えちまう」

ルーツィア「……大概忙しくしてるって聞いて来たんだけど、繁盛してるんだろ? いくら解放地域つっても金回りだって都市〈ここ〉は一番いい筈だ」

おっさん「だとしても現実の勘定は変わらんよ。数字ってのは明確過ぎて嫌になるね…」

ルーツィア「?」

おっさん「はぁ…」
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 00:39:18.35 ID:3nzdJVvfO
 
ルーツィア「……。あのさ、もしかして本当に“そう”なの?」

おっさん「その様子じゃうちが最初じゃないんだろう? 少なくともこの辺はどの店も同じだと思うよ」

ルーツィア「…………わかった。それじゃどうも、お邪魔さま」ノソ

おっさん「あ、ちょっと待て! 折角だから軽食くらいサービスするぞ?」ガタッ

ルーツィア「いい。べつに恨まないから、他で稼いだ給料で食いに来るよ」

おっさん「いやいや待ちなさい!」


ルーツィア「…何? ガキの駄賃じゃこっちもお断りだよ、切実なんだ #」ジト

おっさん「いや…うん、そこは力になれなくて悪いが。それなら“鉱山”に行くといいぞ」

ルーツィア「……」

おっさん「市街からは随分離れるが、今は鉄鋼輸出が一番景気いい。人手も追っ付いてないって噂だ」

ルーツィア「鉱夫が稼げるのは知ってるし、ぶっちゃけその方が家も近いよ。けど女〈わたし〉にする話じゃないぜそれ」

おっさん「だがお前さん、ウィッチだろ?」

ルーツィア「!」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 00:43:06.02 ID:3nzdJVvfO
 
おっさん「…? おい何驚いてるんだ、分かるさ。俺の娘と変わらないような年頃が軍歴持って職探してるんだ、悪いけど普通とは思えない。それに曹長ってのは結構偉いんだろ?」

ルーツィア「……さあな」

おっさん「とにかくウィッチなら、なんだ、よく知らんがスーパーパワーで信じらんないくらいタフなんだろ? 男手より寧ろ歓迎されるんじゃないか?」

ルーツィア(…話になんねえな)チッ

おっさん「?」

ルーツィア「他探す。それじゃ」プイ


おっさん「なんだ? おーい! どうしたってんだー!?」



ルーツィア「……」スタスタ
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 00:54:16.45 ID:3nzdJVvfO
 
ベルギガ王国

首都ブリュッセル市


ルッキーニ「――ねぇシャーリー! このお店じゃない? 敏恵が言ってたワッフルのとこ」

シャーリー「お? …あー、確かにそれっぽい匂いする。でもテラスのあるレストランて言ってなかったか?」


ルッキーニ「地図は? この辺なんでしょ?」

シャーリー「んん、まあ。……実は遠慮して言えなかったんだけど、工藤の描き方が曖昧過ぎてこれ、いまいち読めないんだよなぁ」ピラピラ

ルッキーニ「えぇ〜、ダメじゃん」

シャーリー「つうか店の名前も憶えてないくらいじゃ無理もないか…」

ルッキーニ「敏恵も一緒に来ればよかったのに」

シャーリー「いや〜、あいつは誰よりも街に出たかったろうさ。昨日ネウロイが越境してこなかったらな?」

シャーリー「今日は夜間の警戒レベルも上がるんだから仕方ない。今頃は嫌々ベッドの中だよ」

ルッキーニ「うん。…んじゃあたし達は? なんで外出ダメになんなかったのかな?」

シャーリー「そりゃ人数の差もあるし、なにより資材調達は大事だからだろ」

ルッキーニ「そっか」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 01:00:29.64 ID:3nzdJVvfO
 
シャーリー「リストもぎっしりだからこの後わりと大変だぞ? もうそろそろ入る店決めて昼飯済ませないとヤバいかも」

ルッキーニ「じゃあここにする? あたし美味しいワッフル食べたいんだけど」

シャーリー「うん、まあ…もう賭けだ。良さそうな匂いしてるし、最悪ワッフルなくても美味い思いできれば文句ないだろ?」

ルッキーニ「えぇ〜…」

シャーリー「他探したって結局は当てずっぽうで入るのは一緒だぞー?」

ルッキーニ「ぅ〜どうしよかな…?」トタタ

シャーリー「お! 入るか?」


ルッキーニ「ん、違う、ちょっと待って。先に中覗いてみる」


シャーリー「こだわるなぁ…。おーい、誰か出てきたらぶつかるぞー?」



カララン――


ガチャ


ルッキーニ「? にゃじゅ!?」ドッ

ルーツィア「…!」ヨロ


ガッッ

ドタダンッ
 
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 01:07:10.88 ID:3nzdJVvfO
 
ルーツィア「っ…つぅ…… 」

ルッキーニ「――とと、びっくりした」シュタ


シャーリー「お、おいルッキーニ!?」ダッ



ルーツィア「んだよくっそ、碌な目に合わないな… #」ノソ

ルッキーニ「…えと、大丈夫? ごめんなさい」

シャーリー「――本当すみません! あのっ、あたしこいつの連れなんですけど!」タタッ

ルーツィア「ぁ? …ああべつに――」


ルーツィア「!」ヨタ

ルッキーニ「あ! 危ないよ!?」

シャーリー「え!? 待った、今おもいっきり足ぶつけてたって!」


ルーツィア(…チッ、石垣に打ち付けて狂ったか。マジで今日は、どいつもこいつも…っ!)イラ
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 01:15:59.00 ID:3nzdJVvfO
 
シャーリー「あの? 無理しないで、あたし達の車で病院運びます――」ス

ルーツィア「何ともないから、構うな #」バシッ

シャーリー「!? ちょ…(やば、気難しい人か?)」

ルッキーニ「――! 何してんの、やめてよ!?」

ルーツィア「あ?」

シャーリー「おいルッキーニ、よせって」

ルッキーニ「シャーリーは迷惑かけてないじゃん! 優しくしただけなのに!」

ルーツィア「……」

ルッキーニ「それにあたしだって、さっきから謝ってんのにぃ…!」グヌヌ

ルーツィア「…………。…――」


ルーツィア「…悪かったな、あたっちまって」

シャーリー「え? あー、いや、あたしは全然いいんですけど。それよりそっちこそ怪我は…?」

ルーツィア「右の“義足〈あし〉”は頑丈なんだ。本当何ともない」

シャーリー「そっか。じゃあ、まあ…よかった」

ルーツィア「……」チラ

ルッキーニ「!」

ルーツィア「こっちも不注意だった。…お互い気を付けようぜ?」

ルッキーニ「にゃ…? う、うん」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/03(日) 01:23:26.80 ID:3nzdJVvfO
 

ルーツィア「……はぁ」スタスタ






シャーリー(なんか、がらは悪そうだけど、まともな人だったのか…?)モヤ

ルッキーニ「――あ!…ねぇー、お姉さーんっ!」オーイ

シャーリー「?」

ルッキーニ「このお店、おいしかったーー?」ネーネー

シャーリー「いやルッキーニ、もうそっとしとけって…」



『…知るかよ、食った事ねえー』



ルッキーニ「…?? んじゃあの人、何しに入ってたのかな?」ポカン

シャーリー「いいから。取り敢えず時間もないし、ここで済ますぞ?」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 01:45:05.29 ID:60SDhz8x0
気まぐれ更新なので(・×・)
332 :>>1 [sage]:2018/06/03(日) 01:50:27.51 ID:60SDhz8x0
上がってんじゃないよ、WiFi落ちてんじゃないよ
気まぐれ更新なので(・×・)
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 14:47:31.00 ID:IJR/Ba90O
やったぜ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 23:26:57.01 ID:vdr1HzSMO
 
――――
――



ルーツィア「クソ…! どうなってんだ」テクテク


ルーツィア(わざわざ市街まで来たってのに、何処もかしこも酷い賃金提示しやがる)イライライラ

ルーツィア(話は聞く癖に…、あれじゃ追っ払ってる様なもんだ!)


ルーツィア(…つうか、実際そうだったのか? 私が何か駄目だってのか…?)ピタ



ルーツィア「……」



ルーツィア「チッ…、今日はもう帰るしかないか。さっさと車返さねえとフローラが責められちまう」


「――いや、諦めるのはまだ早い」スス



ルーツィア「…? 何だお前」

ネイス「私はエル・ネイス。君に良い話を持ってきた」

ルーツィア「は?」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 23:30:33.19 ID:vdr1HzSMO
 
ネイス「さて、取り敢えず何処か入らないか? 座って話す方が君も楽だろう」

ルーツィア「……。才能ないぜおっさん」

ネイス「なに?」

ルーツィア「ナンパは諦めて病院行きな」プイ


ネイス「…ふむ、やはりこういうのは駄目か」

ネイス「私が“おっさん”に見える程若いとは。慣れない相手だな」ヤレヤレ



ルーツィア「……」テクテク



ネイス「…待て、“リリー”・ピッケンハーゲン」


ルーツィア「――!」ピク
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 23:33:49.22 ID:vdr1HzSMO
 
ネイス「訂正するが私は現役だ。君達的に言えばそう、“バリバリ”ってやつだ」

ルーツィア「……」

ネイス「――……。もしくは“イケイケ”か?」

ルーツィア「てめえ、誰だ? 何が目的だ? #」グ

ネイス「知りたければ先ずその拳を解け。一緒にお茶をしようじゃないか」

ルーツィア「っ… #」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 23:40:12.79 ID:vdr1HzSMO
 
――――

――




ウェイトレス「お待たせしました」カチャン


ネイス「有難う。…君はブリタニアに居たのかな?」

ウェイトレス「ぇ? ええ、疎開先から最近戻ったばかりですが」

ネイス「そうか。こんな美味い紅茶を淹れに故郷へ戻るとは、素晴らしい志だ」

ウェイトレス「やだそんな、お客さんまだ口も付けてないじゃないですか?」クス

ネイス「香りで分かる、いい腕だ。大変な境遇にあっても勤勉だったとは、私も同郷として頭が下がるよ」

ウェイトレス「ふふ、お世辞はいいですから。冷めないうちに飲んでくださいね」

ネイス「おっとそうだな。闇雲に入った店だったもので、つい嬉しくなって」

ウェイトレス「うふふ、やっぱり酷く見えました? このお店」

ネイス「ははは、いやいや全然――」


ドガ゛ッッ


ウェイトレス「!?」ビク


ネイス「…こら、店の物〈テーブル〉を蹴るのは止めろ。迷惑だろう?」

ルーツィア「っざけてんじゃねえよ。さっさと説明しろ #」

ウェイトレス「えぇっと……ぁでは、その、ごゆっくり…」ソソクサ

ネイス「申し訳ない。よく言い聞かせておく」

ルーツィア「おい ##」イラ
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 23:46:54.13 ID:vdr1HzSMO
 
ネイス「落ち着け、そう焦っては立ち話と変わらない。君も何か頼め、代金は持つぞ?」

ルーツィア「正体不明な奴の貸なんかいるか。…とにかく話せよ、何で“私”を知ってる?」ジト

ネイス「……」

ルーツィア「名前を知っていたとして、あの呼びかたを敢えてする訳ないよな? んな奴は軍にもいなかった」

ネイス「確かにそのつもりで気を引いたんだが、…君は少し神経質だな」

ルーツィア「うるせえよ。お前マジで誰だ、あいつ等の回し者か?」

ネイス「“あいつ等”?」

ルーツィア「とぼけんな。お前、ノイエから来たんだろ?」

ネイス「ああ、なるほど。そういうことか」


ネイス「んー……君の生い立ちに同情の余地はあると思うが、その呼び方は流石に気の毒だ。公的には正しい君の御両親なんだぞ?」

ルーツィア「ッ…!! やっぱそうかよ――」ガタッ

ネイス「止めろ、座れピッケンハーゲン」

ルーツィア「私はお前等の飯事〈ままごと〉には付き合わねえっ! 今直ぐ帰ってそう伝えろ!! #」

ネイス「……想像以上に関係は悪いようだな」

ルーツィア「っ… #」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/05(火) 23:51:57.44 ID:vdr1HzSMO
 
ネイス「安心しろピッケンハーゲン。君の御両親とは面識もないし、こちらの用事にも全く関係していない」

ルーツィア「は? #」

ネイス「早合点だよ。琴線に触れてしまった事は謝るが、まあ座って水くらい飲め」

ルーツィア「…………。っ…んだよこいつ #」ドカ


――




ネイス「私は君の御両親の回し者ではなく、この王国に関わっている人間だ。カールスラントも隣人としては親しんでいるがね」

ルーツィア「ベルギガの役人?? …つうかその“両親”言うの止めろ」

ネイス「違う。私は政府組織でなく王家に従属している立場だ」

ルーツィア「? ……あー、そう」シラ

ネイス「…信じていないだろう?」

ルーツィア「お前の言う早合点の方がよっぽど信じそうなんだけど、一応全部聞いてやるよ。…で、その王様のパシリが突拍子も無く、私に“良い話”を持ってきたって?」

ネイス「そうだ。交渉材料はそれなりに用意していたが、職探しに此処へ来ていたのは互いに都合がいい。まあ郊外まで無駄足は踏んだが」

ルーツィア「…つまりなんだよ?」

ネイス「んー、つまり君を雇いたい」

ルーツィア「……」

ネイス「ほら。君にとっても、丁度良い話だ」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/06(水) 00:17:32.78 ID:6pN78ctrO
 
ルーツィア「…馬鹿じゃねえの?」

ネイス「そう思うか?」

ルーツィア「お前、薬でもやってんの?」

ネイス「こちらは本気だ。君に願ったりな話だろうからハッキリそういった。“雇いたい”と」


ルーツィア「はぁ…。色々言いたいけどさ、取り敢えず、何やらせようってんだ?」ギシ

ネイス「ふふ、やはり気になるか。随分熱心に探し回っていたようだから」

ルーツィア「いいから内容を言えよ、ストーカー野郎 #」

ネイス「その認識は完全に誤解だが、まあいい。…君に頼みたい仕事は治安の維持だ」

ルーツィア「……。何処の?」

ネイス「此処だ。この国の中心、ブリュッセルの社会秩序を君が“担保”する」


ルーツィア「…………」


ネイス「ちなみに他の候補はまだいない」

ルーツィア「…そうかよ。ならどういう理屈で私なんだ?」ジト

ネイス「それは一口に言い切れない。要因はあくまで複合的だが、君が退役ウィッチである事も大きい」

ルーツィア「チッ、やっぱりそれか…」ガタ
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/06(水) 00:27:13.01 ID:6pN78ctrO
 
ネイス「どうした、気を変えるのか? まだ全部話せていないんだが」

ルーツィア「真面に相手するなんて誰が言ったよ。聞く気も失せた」

ネイス「…待てリリー」

ルーツィア「気安く呼ぶな」

ネイス「まったく…。君なりに考えている事は分かるが、そういうつもりなら尚更他に選択肢は無いぞ?」

ルーツィア「ああそう。じゃあな」スタスタ

ネイス「おい待て」



ルーツィア「……」テクテク


カララン




ネイス「……」


ウェイトレス「――…フラれちゃいましたね?」ヒョコ

ネイス「しまった想像以上だ。対応を間違えたな、これは」

ウェイトレス「ふふ、きっと大丈夫ですよ? 親子喧嘩なんてそんなものですって」ポンポン

ネイス「?」

ウェイトレス「元気だしてください、ね? おかわりサービスしますから。セイロン茶はいかがですか?」スッ

ネイス「あ、ああ…。じゃあ頂こう」
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/06(水) 00:36:27.88 ID:6pN78ctrO
ねるーん
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/14(木) 00:41:35.57 ID:dEHShVhQO
 

郊外

義肢店



「ほぉ……。これは参ったな」


ルーツィア「冗談やめろロズさんよ、どうせすぐ直せるんだろ?」

ロズ「まあな。金がありゃ5日後にはなんとかなる」

ルーツィア「は? 遅いだろ」

ロズ「部品が無いんだ。カラクリが少し割れちまってるから取り寄せだ」

ルーツィア「そんな訳ないだろ、歩けるぞ?」

ロズ「粉々になってからじゃ遅いんだよトウシロウ。あーあー……神経通ってねえと痛みも分からんとは、俺の芸術もまだまだ」

ルーツィア「……。そんなヤバいのかよ? コケて打つけただけだ」

ロズ「ずっこけて死んじまう事もある、それが人間だ」
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/14(木) 00:58:01.64 ID:dEHShVhQO
 
ルーツィア「そりゃただの間抜けだろ。で、結局今直せないならこいつ着けて帰れんの?」

ロズ「んん……普通に歩く程度ならまだ持つか。但し気をつけろよ」

ルーツィア「ん、じゃあ5日後だな?」

ロズ「預けたくないなら午前中に来い。それから調整代は先払ってけ、部品発注の手付けに当てる」

ルーツィア「あ? ああ、……ほら」ポサ

ロズ「精密金属は高い。修理後はこの10倍はかかるからな?」

ルーツィア「……分かったよ」

ロズ「? どうした、やけに嫌そうだな」

ルーツィア「金払うのに嬉しい奴なんていないだろ」

ロズ「いいやそうでもないなぁ? お前さんはその義足〈あし〉の価値を解ってる筈だ。必要な投資に躊躇なんてしなかっただろ?」

ルーツィア「……」

ロズ「何かあったかのか?」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/14(木) 01:22:20.24 ID:dEHShVhQO
 
ルーツィア「…知ってるだろ。今稼いでないんだから」ボソ

ロズ「ああ、そうだな。それで?」

ルーツィア「あ…? 何が??」

ロズ「べつに困ってないんだろ? 数カ月やそこらじゃ……当面は平気だって聞いたぜ?」

ルーツィア「は? んだよそれ」

ロズ「“ヴィオラ嬢”がそう言ってたぞ? だからお前の面倒には妥協してくれるなってなぁ」

ルーツィア「!? …あいつかよ、くそ」ボソ

ルーツィア(つうか何で少佐が――…まさか知ってんのか?? いや、そんなわけ…)モヤモヤ

ロズ「手をつけてない預金がそれなりに貯まってるらしいが、知らないか?」

ルーツィア「!」

ロズ「…? どうした、俺が聞いちゃマズかったか?」

ルーツィア「っ……あんなもの、私の金じゃねえよ #」

ロズ「はあ? そうかい」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/14(木) 02:09:26.24 ID:dEHShVhQO
 
ルーツィア「チッ…、とにかく5日後はなんとかする。準備頼むよ」ノソ

ロズ「まあ、そう言うなら構わないが。…そういやヴィオラ嬢はどうした? 暫く見かけないが、そろそろまた人体美について話したい」

ルーツィア「…? 除隊して、とっくに大西洋の向こう」

ロズ「あぁ゛!? あいつも辞めてたのか? なんだ、通りで…」

ルーツィア(ったく…。私の個人情報垂れ流しといてそこは言ってないのかよ)

ロズ「“身体”を見る感性もピカイチだったが、いい尻もしてたのに。惜しいな」

ルーツィア「……おい嘘だろ? あの変人と意気合ってたのか??」

ロズ「そりゃあそうだ、非凡なのは間違いない。まあ芸術の輩ってのは傍から見れば異端だろうが」

ルーツィア(…なるほど。変人同士ってことか)
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/24(日) 23:19:22.45 ID:D8at0Y3tO
 
ルーツィア「はぁ……マジでどうするか…」パサ

「すうじいっぱい」

ルーツィア「…そうだな(この調子だと想定してた稼ぎでも赤だ)」

「いち、じゅう」ツン ツン

ルーツィア「?」

「じゅう〜〜…さん、しー」

ルーツィア「桁なのか数なのかどっち数えてんだ」

「よん」

ルーツィア「……」

「リリ〜、よん…」モソソ

ルーツィア「ああもう何だこいつ。お前限界なんだろ? 寝惚けやがって」

「ん〜〜…」ヒシ
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/24(日) 23:41:24.22 ID:D8at0Y3tO
>>347訂正
 
 
—その夜—

フローラ孤児院


ルーツィア「はぁ……マジでどうするか…」パサ

「すうじいっぱい」

ルーツィア「…そうだな(この調子だと想定してた稼ぎでも赤だ)」

「いち、じゅう」ツン ツン

ルーツィア「?」

「じゅう〜〜…さん、しー」

ルーツィア「桁なのか数なのかどっち数えてんだ」

「よん」

ルーツィア「……」

「リリ〜、よん…」モソソ

ルーツィア「ああもう何だこいつ。お前限界なんだろ? 寝惚けやがって」

「ん〜〜…」ヒシ
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/24(日) 23:51:14.84 ID:D8at0Y3tO
 
ルーツィア「ほら部屋行きな」

「〜…」

ルーツィア「おい? だから部屋で」

「…zz」スヤ-

ルーツィア「寝ろって——……。はぁ…ガキの頃ってこんな勝手だったか?」


フローラ「ふふ、ツェツィったら貴方が帰るのをずっと待っていたのよ?」スタスタ

ルーツィア「! …見てたのかよ姉さん」

フローラ「ごめんね? でも貴方と遊ぶからって今日はずっといい子にしてたのよ」

ルーツィア「先生が夜更かし許すなよ。今に調子のるぜ?」

フローラ「ずっと膝の上で相手してあげてた人に言われても、ふふ。貴方が一緒に寝てあげれば解決しない?」クス

ルーツィア「ぐ……チッ、悪いけど私はもうガキじゃないから。それに夜更かしは“専門”だ」ガサガサ

フローラ「言い訳は駄目。それはもう終わったでしょ?」

ルーツィア「…まあな」ゴソ
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 18:47:49.40 ID:Htg6dPjJo
乙ー
祝新アニメ決定ですの
351 :>>1 [sage]:2018/07/10(火) 19:46:18.99 ID:8xoDaOjy0
みんできビックリしましたね

一応続き溜めてますが>>349の後だけ書けていなくて放置気味です
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 22:28:59.25 ID:4jScrkPGO
 
フローラ「ところで、今日はどうだったの?」カタ

ルーツィア「え…?」チラ

フローラ「ブリュッセルまでお出かけして、どんな素敵なことがあったのかまだ聞いていないわ」

ルーツィア「…ああ、んー……。まあ、普通」フイ

フローラ「……秘密なの?」

ルーツィア「何が? べつになんも無いよ、ただフラフラしたってだけだし」

フローラ「そう?」

ルーツィア「そう」


フローラ「……」ジ-

ルーツィア「……なに?」チラ


フローラ「ふふ、いいえ」ニコ

ルーツィア「…んだよ姉さん。何か言いたいならハッキリしろよ」

フローラ「いいの? じゃあ、ひとつだけ聞いてくれる?」

ルーツィア「……」

フローラ「リリー、逸らなくていいのよ。そんな心配はもういいから」

ルーツィア「!」

フローラ「こうして、また一緒に暮らせているだけで私には贅沢。…“前”よりずっと」

ルーツィア「……。…悪い、何の話かよくわかんねえ」ガタ

フローラ「リリー?」

ルーツィア「もう寝るよ。ガキどもに土産せがまれたし、明日また首都行って何か買ってくる」

フローラ「…分かったわ。じゃあ子供達には期待しないように言っておくから」

ルーツィア「ああ、サンキュー。…うしツェツィ、一緒に寝てやるからぜってぇ粗相はすんなよ?」


「〜…ゃ……zz」

ルーツィア「あ? 嫌じゃねえ。こいつ寝言で勝手言いやがって」テクテク




フローラ「……(リリー…)」

 
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 23:01:30.53 ID:4jScrkPGO
 
—翌日—

ブリュッセル市



ルーツィア「……」


ルーツィア(フローラの気持ちは汲んでやりたいけど、あんなこと大真面目に言われたら、寧ろ放っとけるかよ)

ルーツィア「…チッ、仕方ねえ」



——




某茶店


ウェイトレス「ぁ〜ぁ〜……今日もお客さん少な〜いな〜…」モジモジ


——カララン


ウェイトレス「!! いらっしゃいませ〜♪」タタッ



ルーツィア「ん、やっぱりいやがった。あの男…」


ウェイトレス「あ! よかったぁ、本当に来たんですね!?」パタパタ

ルーツィア「…?」

ウェイトレス「今日にでも戻って来るって言ってましたから。ほら、“お父様”は昨日と同じ席にいますよ!」チョイ

ルーツィア「は? #」イラ

ウェイトレス「?」

ルーツィア「……はぁ…。勘違いするにしたって……ったく… 」

ウェイトレス「どうかしました??」ポケ
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 23:15:45.87 ID:4jScrkPGO
 
ルーツィア「…あのさ、余計なお喋りが嫌な客ってのもいるんだ。特にそういう疲れる冗談はやめてくれ」ジト

ウェイトレス「は、はあ…? すみません」

ルーツィア「あー…それと、適当に安いドリンク頼む。昨日は無注文で悪かったよ」テクテク

ウェイトレス「ぇ? あっ、はい! 直ぐお持ちしまーす!」


——



ネイス「……」ゴクゴク

ルーツィア「——おい、おっさん」ザ


ネイス「だから言っただろ? 他に選択肢も無いと」

ルーツィア「…つうことは、あんたには出せるんだろうな?」

ネイス「まあ予算はあるが王家の財布だ。信用していい」

ルーツィア「堕ちかけた国が何言ってやがる」

ネイス「…んー、厳しい批判だな。“隣人”にそれを言われるとは」カチャ

ルーツィア「……」

ネイス「しかしそれでも君の義足〈からだ〉と生活にかかる費用は保証できる。友人や子供達の分も幾ばくかは助けてやれるだろう」

ルーツィア「!? お前ーー」

ネイス「まあ話する気に戻ったなら、取り敢えず座ったらどうだ。人の後ろに立ったままで会話も無いだろう」

ルーツィア「……チッ、この野郎」ズカズカ
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 23:30:27.67 ID:4jScrkPGO
 

——パタパタパタ


ウェイトレス「お待たせしました、ストレートアッサム茶です♪」コト

ルーツィア「…? ああ、そうだった。どうも」トスン

ウェイトレス「そちらのお代わりはいかがです?」

ネイス「…なら私もストレートで淹れなおして貰おう。それから果物でもあれば適当に盛り合わせて出してくれるかな?」

ウェイトレス「わ、やった! 少々お待ちくださ〜い♪」


パタパタパタ——…



ルーツィア「……でおっさん、まず聞いておきたいんだけど、あんた私をどこまで調べてる?」

ネイス「ルーツィア——…いや、リリー・ピッケンハーゲンについて我々に必要なこと全てだ」

ルーツィア「(…この野郎、わざと煽った言い方してるな)それが何かって聞いてんだよ。答えろ」

ネイス「少なくとも我々の依頼を受けないなら教えられない。勅令業務で得た情報は一応、王国機密だ」
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 23:39:51.22 ID:4jScrkPGO
 
ルーツィア「……大した“信用”じゃねえか」

ネイス「嘘をつかないだけ有難いだろう? こういう交渉の方が君好みだと昨日で解った」

ルーツィア「ああそう。私は昨日から一貫してお前が嫌いだけど」

ネイス「そうじゃない職場なんて無いぞ? 子供じみた事を言うんじゃない」フッ

ルーツィア「っ…! そういう目上気取った奴はムカつくんだよ #」イラ

ネイス「気取るも何も、実際そうだ。私は“おっさん”」

ルーツィア「あ…?」

ネイス「イケイケでも、ここのウェイトレスに親子と勘違いされる程のおっさんだ」

ルーツィア「……」


ルーツィア「…んな根に持ったなら、謝るから」

ネイス「フフッ、“大人”気ないというやつだな? 話が逸れた」

ルーツィア「……」

357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 23:54:58.89 ID:4jScrkPGO
 
ネイス「それでどうするピッケンハーゲン? 色々話するのもいいが、一日待ち惚けてしまったから、私もそろそろ結論が要る」

ルーツィア「……」

ネイス「どうだ、ここを良い街にしてみないか?」

ルーツィア「…………」

ネイス「報酬は言った通りだ。金額の検討もつくから問題はない」

ルーツィア「……。…わかった」

ネイス「ん、賢明な判断だ」

ルーツィア「——まず一度だ! マジで話に乗るかは、その後に私が決める」ギシ

ネイス「……さっきの言葉は取り消す。だがいいだろう、取り敢えず研修採用だ」

ルーツィア「タダじゃねえぞ、きっちり払って貰うからな?」ジロ

ネイス「ああ、踏み倒しはしない」

ルーツィア「時間に関わらず一月分、この一回にそれが出なきゃ私は今直ぐ出て行く」

ネイス「王家直属の名にかけて約束する」

ルーツィア「…決まりだな。言質とったぜ?」
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/17(火) 00:04:21.03 ID:Rd37KV/xO
 
ネイス「ん…それじゃ早速だが、仕事の話をしよう」ゴソ

ルーツィア「いいぜ。浮浪者の取り締まりか? それともパトロールでもすりゃいいか?」ニヤ



——バサッ



ルーツィア「…? なんだよこれ」

ネイス「そいつを検挙しろ」

ルーツィア「あ? …“そいつを”って、いったい」ガサ

ネイス「まあ読んでみろ」


ルーツィア「…… “組織的な不当行為”? …何、まさかギャングでもいんのか?」

ネイス「んーどうだかな」

ルーツィア「どうだかなって、おい…こんなの寄越されても意味わかんねえよ。“そいつ”って何処のどいつだ」

ネイス「…リリー、この辺りの繁盛店が今軒並み苦しんでいるのに気が付いてるか?」

ルーツィア「は? …てめラリッてんのか? 繁盛して金に困る道理があるかよ、つうか話逸らしてんじゃねえ」ジト

ネイス「いや…、外道が絡めば理屈はある」

ルーツィア「!」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/17(火) 00:17:16.12 ID:Rd37KV/xO
 
ネイス「我々の暮らすこの社会なんて場所は、真っ直ぐなものだけで成り立ってはいない。君や私がいい例だ」

ルーツィア「……“ハネ”られてんのか? 売上を」

ネイス「そういう噂だ、どうやら中心街の景気が纏めて吸われている。王国の財産を掠め取ってる連中がいるようだ」

ルーツィア「ん…待てよ? まさか私が周った店、やけに渋い賃金ばっかだったのは——」モヤモヤ

ネイス「それ以上出す訳にもいかなかったんだろう。人件費は動かしやすいうえ、負担も大きいと考えてしまうから無理もない」

ルーツィア「!! ……クソ、どこの馬鹿野郎だ?」

ネイス「だから“そいつ”を検挙するんだ。元締めを特定して頭を捕らえろ」トン

ルーツィア「…チッ……思ったより面倒くせえ話だな」ギシ


ルーツィア「けどまあ、本当なら私もこいつ許せねえしヤル気にはなった。…いいよ、のせられてやる」

ネイス「フッ、“一回”で一月分。上手くすれば私を嵌めて楽に稼ぐつもりだっただろう?」

ルーツィア(…!)ギク

ネイス「期待に添えなくて悪いが、まあ頑張れ。この問題に君がどう対処するのか見せてもらおう」

ルーツィア「うるせえよ。ったく…」チッ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/17(火) 00:33:37.71 ID:Rd37KV/xO
 
ルーツィア「……けど分かんねえな。仮に阿漕な稼ぎしてる奴がいるとして、なんでベルギガ? 復興も始まったばかりの地域で」

ネイス「さあな。しかし個人や数人の出来心でという規模じゃない。目的はどうあれ、それなりの意思があって行われている筈だ」

ルーツィア「ほーん、意思か…」

ルーツィア(一度ネウロイに堕とされたこの土地には必然的に外から来た人間しか存在しねえけど……謎だな)モヤ

ネイス「まあ君の言うように馬鹿なのかもしれない。捕まえた後にでも聞いてみろ」


——パタパタパタ


ウェイトレス「お待たせしました〜♪ フルーツとお茶のお代わりです!」コト

ルーツィア(…!)


ネイス「ああ、ありがとう。…いいねぇ? 美味そうだ」

ルーツィア「……」

ウェイトレス「はい、ガリアとロマーニャから新鮮な旬果実を送ってもらってるんです!」ニコニコ

ネイス「ほう、リベリオン産じゃないとは。……ん、確かにジューシー」モグ

ウェイトレス「私はこれとか、すご〜く甘くて大好きです♪」

ネイス「ん? どれ——」ヒョイ

ネイス「……んー、これは柔過ぎて食感が弱いな」モムモム

ウェイトレス「えー、そこがいいじゃないですか〜! 口の中が蕩ける感じで」

ルーツィア「…………」ジ--

ネイス「甘さと相まってジャムを食べてるみたいだが…。ほらピッケンハーゲン、君も食べるだろう?」ス

ルーツィア「! …初めて良いこと言ったなあんた? その甘いやつくれ」ムンズ

ウェイトレス「まだ有りますから、足りなかったら追加注文してくださいね〜♪」ウキウキ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 19:09:15.99 ID:hly9g1vHO
生きてるかな
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