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【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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85 :
◆Z5wk4/jklI
[saga]:2017/05/28(日) 00:23:33.96 ID:Q3fcpmY20
「プロデューサー」
裕美とほたるがこちらに歩いてくる。
「おう、お疲れ様」
「なにも大きな事故がなくて、よかったです……」
ほたるはほっとした顔で笑った。
「終わった……でも、終わりじゃなくて、私たちはここがスタート、だよね?」
裕美に尋ねられ、俺はうなずく。
「ああ」俺は二人の顔を順番に見た。「すまない、裕美、ほたる、それと春菜は、これまでもプロダクションでアイドルとしての活動経験があることに俺自身が甘えてしまって、フォローしきれないことが多かった。これからはユニットでリリースまで頑張ろう。仕事もどんどん増やしていくぞ。よろしくな」
「うん。よろしくね」
裕美は穏やかな笑顔で返事をする。
「お仕事……すみません、よろしくお願いします」
ほたるはどこかに不安そうな色をのこして、だけどもやはり笑顔で返事をしてくれた。
二人は曲で共演したメンバーのところへと歩いて行く。
「プロデューサーさん」
「プロデューサー」
こんどは春菜と比奈が近づいてくる。
「今日のライブは、いつもより会場が輝いて見えた気がします。眼鏡の自分に自信をもってやれたからでしょうか。……ふふ」
春菜はほかの共演者にも挨拶をしたいと言って、すぐにその場を離れた。
「お疲れさん」
俺は残った比奈に声をかける。
「お疲れっス。どーしたんスか? その顔」
比奈は悪戯っぽい目できいてくる。きっと、俺の目の周りは真っ赤になっているのだろう。
「大人はいろいろあるんだよ」
「そっスか」
比奈は俺のとなりに立ち、それ以上は聴いてこなかった。
「……いくら辞めたいとは言っても、お前たちのことはちゃんと責任を持つよ」
「……?」
「この前、聞かれたことの話だ。中途半端にはしないさ」
「ああ」比奈は何のことだかわかったようだった。「いまは、その答えでいいことにしておくっスよ、プロデューサー」
そう言って、比奈は笑った。
「プロデューサー! やりました! ファイヤーッ!」
茜が遠くから大声で言い、太陽みたいな笑顔で、こちらに走ってくる。
茜は俺の前で立ち止まり、興奮冷めやらぬ目で俺を見る。
「ああ」
「ライブ! すごく熱くて! すごく楽しかったです! ぜんぶ、私をスカウトしてくれたプロデューサーのおかげです、ありがとうございました!」
「ああ」
俺は茜の目を見ながら言った。
これからはきちんと、名前を呼ぼう。
「でも、輝いたのはお前や、みんな自身の力だよ。頑張ったな。まずは、お疲れ、……『茜』」
俺の言葉に、茜は少しのあいだだけ目を丸くして。
それから、満面の笑顔で応えた。
「はいっ! お疲れ様でした!」
こうして、美城プロダクションのサマーフェス、茜達の最初の舞台は幕を閉じた。
日野茜、荒木比奈、上条春菜、関裕美、白菊ほたるの五人は、次のステップへ向けて、これからも突き進んでいく。
第六話『世界で一番熱い夏』
・・・END
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