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西住みほ「シン・ボコラ 〜 君の名は進撃のボコ。」
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253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/25(水) 09:40:14.66 ID:UNsrq7Z+0
しほ?
まほ?
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/25(水) 19:54:14.46 ID:phYtYpGW0
1です。
>>253
赤坂が思いを馳せているのは少女時代のしほです。赤坂としほの話はいずれどこかのタイミングで出す予定です。
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/25(水) 20:01:53.47 ID:phYtYpGW0
1です。
>>253
すみません。
251で歌ってるのはみほとまほです。
以下と差し替えで読んで下さい。
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/25(水) 20:02:48.60 ID:phYtYpGW0
【アンツィオ学園艦 女子寮 みほの部屋】
みほ&まほ 「♪モスラーヤ、モスラ ドゥンガン……」
沙織 「今テレビに出てるあの蝶を、みぽりんとお姉さんが歌と踊りで召喚したっていうの?」
麻子 「流石に無理があるだろ?」
華 「そうでもありませんよ。由緒ある名家には得てしてそういった伝承が残されているものです」
優花里 「ひょっとして五十鈴殿も何かの言い伝えの伝承者なのですか?」
華 「五十鈴家には代々花占が伝わってましたが、残念ながらボヤで秘伝書が失われました」
沙織 「そうなんだ……。残ってたら私の恋愛運、占って欲しかったな」
華 「因みに、家中ではそのボヤを……」
華 「『新三郎の大火』と呼んでいます」
沙織 「え? 名前付いてるの? 新三郎さん可哀想」
麻子 (ボヤなのに『大火』なのか……)
みほ&まほ 「♪ドゥンジュカンラー……」
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 18:16:39.78 ID:pHj5XF290
【アンツィオ学園艦 女子寮 みほの部屋】
ボコ (……)
ボコ 「ココは……?」
まほ 「みほ、大丈夫か、みほ?」
ボコ (誰だこいつ? 入れ替わったみたいだから取り敢えずみほっぽく振る舞うか)
ボコ 「すみません、ご迷惑をおかけしました」
まほ 「気にするな、具合は悪くないか? あと、どこか痛いとか?」
ボコ 「はい……大丈夫です」
まほ 「良かった……少し休んだ方がいい」
まほ (踊ってる最中に急に倒れるから心配したが、大事無いようだ。只、気のせいかみほが他人行儀だな)
沙織 「大丈夫だよ、ボコ。その人には入れ替わりのこと話してるから」
ボコ 「オ、オゥ、そうか」
まほ (?)
麻子 「因みに今ボコを抱きかかえてるのは西住さんのお姉さんだ」
ボコ 「マジ!?」
まほ (!?)
華 「驚かれるのも無理は無いと思います。これがみほさんが話した入れ替わりです」
まほ (この部屋に入った時にみほから聞かされた入れ替わりの話)
まほ (話を聞かされた時は半信半疑だった。ふざけた話だとは思ったが、話している時のみほの表情から私を担いでいるとも思えなかった。こんなことが……)
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 18:28:02.40 ID:pHj5XF290
ボコ 「あんたがみほの姉ちゃんか。オイラボコだせ」
まほ 「西住まほだ。私のことは知っているようだな」
ボコ 「ああ、顔を拝んだのは初めてだが話には聞いてるぜ」
ボコ 「20輛率いて8輛のみほに負けたへっぽこ隊長ってな」
華 「ボコ!」
麻子 (いきなり何を言い出すかと思ったらこの生き物は……)
まほ 「ほう……いきなりご挨拶だな」
ボコ 「ああ、いい機会だから言ってやる」
ボコ 「あんたらは去年負けた責任を全てみほにおっ被せて黒森峰から追い出したんだってな」
ボコ 「あいつが試合でやったことは人命救助だぞ。それなのに黒森峰では誰一人あいつが正しいと言えなかった」
まほ (こいつ、全部知っているのか?)
まほ (去年の高校戦車道全国大会で我々黒森峰はプラウダに敗れ、10連覇を逃した)
まほ (川に落ちた戦車の乗員を救助する為にみほは持ち場を離れ、その間にフラッグ車が撃破された。敗因はフラッグ車車長のみほの独断行動とされ、全責任を追う形でみほは黒森峰を追われた)
ボコ 「あんたはみほの姉ちゃんだろ? あんたが真っ先にみほを守るべきじゃなかったのか? 家族にすら見捨てられたあいつの気持ちを考えたことがあんのか?」
まほ 「貴様に何が分かる」
まほ (身内だからこそ甘い処分で済ませるわけにいかなかった。それを……)
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 18:36:49.46 ID:pHj5XF290
ボコ 「オイラはみほと何度も入れ替わってきた。少なくとも離れて暮らしてきたあんたよりはみほの置かれた状況を見てきた」
ボコ 「何故オイラがこんなこと言うか分かるか? どうせあんたには分かんねえだろ!?」
ボコ 「みほはあんたを決して責めない。あいつの心根の優しさだけじゃねえ。あいつは今でもあんたを血を分けた姉として慕ってるからだ」
まほ (言うな……)
ボコ 「だから……代わりにオイラが怒ってんだ!」
まほ (みほの姿と声でそれ以上私を責めるな……)
ボコ 「それとも……」
ボコ 「自分より出来のいい妹がそんなに邪魔だったか?」
まほ 「!」
優花里 「ボコ殿、流石に言い過ぎです!」
沙織 「そうだよ、謝ってボコ!」
まほ 「……言い過ぎってことは……」
まほ 「言ってる内容自体は間違ってないという意味か……?」
優花里 (!?)
優花里 「いえ、そんなつもりは!?」
まほ 「『自分より出来のいい妹がそんなに邪魔』か……そう思いたければ思っていればいい」
まほ 「邪魔したな」
ボコ 「ケッ、おととい来やがれ!」
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 18:51:03.30 ID:pHj5XF290
【アンツィオ学園艦 女子寮 入り口】
まほ 「ここまででいい」
優花里 「しかし……」
まほ 「道は分かるし、この後、安斎のところにも寄りたいから」
優花里 「あの、先程の自分の発言ですが――」
まほ 「さっきは揚げ足を取るようなことを言ったが、悪意が無いのは分かっている。気にするな」
優花里 「はい」
麻子 「ボコには後でよく言っておきます」
まほ 「そうだな……」
まほ 「只、入れ替わりの相手がみほを大事に思っていることが分かって良かった」
まほ 「それから一つ聞きたいことが……」
まほ 「……」
華 (言い辛いことなのでしょうか?)
沙織 「どうか遠慮せずに言って下さい」
まほ 「ああ、……知ってたらでいいんだが……」
まほ 「……あいつは入れ替わりの間、みほの身体に変なことしてないよな……?」
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 19:09:23.27 ID:pHj5XF290
【太平洋 東日本沖】
みほ (入れ替わってから分かったけど、今回入れ替わったのは人間の攻撃を受けたからだった)
みほ (深海に潜って行方を晦ませることが出来たから良かったけど、今後海面に浮上する時は警戒が必要)
みほ (海自か、米軍か、どちらに遭遇しても苦戦するなぁ……)
みほ (それでも、私はこの目で確かめたい)
みほ (この3ヶ月後の世界で大洗がどうなっているか)
みほ (入れ替わりが解けた時にその情報を持ち帰れるように)
みほ (怪我が治ったら大洗を探そう)
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 19:14:53.10 ID:pHj5XF290
【大洗学園艦 甲板】
みほ (これって……一体……)
みほ (エリガンが……直立したまま固まってる)
ボコと入れ替わったみほが大洗で見たのは、直立したまま凍結したエリガンの姿だった。
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 19:16:46.06 ID:pHj5XF290
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/03(金) 20:01:33.61 ID:V+1nImgl0
【大洗学園艦 校庭】
みほ (怪我が治ってから大洗を目指して……)
みほ (辿り着いたらエリガンを見つけた)
みほ (死んじゃったのかな? まるで石膏の像みたいに立ったまま固まってる)
みほ (あんこうチームの皆がテレビを観ながら口々に『大洗に蛾みたいな生き物が現れた』って言ってたけど、その蛾が倒したのかな? 私は踊ってる最中に入れ替わりが起きたからよく把握してない)
みほ (学園艦は廃墟のまま。艦の解体が始まる訳でもなく、かと言って艦を降りた皆が戻って来てる筈も無く)
みほ (この広い学園艦に私独り……自衛隊も居ない。自衛隊はどうしてここを放棄したんだろう?)
みほ (エリガンは他のボコラを食べてた。私自身此処に来るまでに人間の攻撃を受けた。ひょっとしたらボコラ達の中で生き残ってるのは、もうボコだけかもしれない)
みほ (もしそうだとしても、ボコ……貴方は独りぼっちじゃない)
みほ (私がいるから)
みほ (私が居ないとボコは早死にする)
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/03(金) 20:11:24.82 ID:V+1nImgl0
みほ (私とボコの入れ替わりは3ヶ月の時間のズレがあると優花里さんが教えてくれた。優花里さんはボコから聞いたと言っていた)
みほ (私が今見ているのは未来の世界)
みほ (この世界の私は……)
ドゥルルルルル
みほ (!)
みほ (この駆動音! 間違いない……)
みほ (4号が此処にいる!)
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/03(金) 20:21:08.61 ID:V+1nImgl0
キュラキュラキュラキュラキュラキュラ
みほ (キャタピラの音……)
みほ (居た! 戦車倉庫から出て来た)
みほ (大洗の校章もあんこうチームのエンブレムも消してあるし、色も違う。でも4号だ!)
スピーカーの声 「待って!」
みほ (今の声、まさか!?)
スピーカーの声 「私の名前は……」
スピーカーの声 「みほ! 西住みほ!」
みほ (戦車から声が……私の声だ)
スピーカーの声 「貴方は、ボコ? それとも私?」
スピーカーの声 「君の、名前は!?」
みほ 「私の名前も……みほ!」
スピーカーの声 「良かった……私だ」
スピーカーの声 「みぽりん、武部沙織だよ」
スピーカーの声 「西住殿、秋山優花里です」
スピーカーの声 「五十鈴華です。みほさん、合流出来てホッとしました」
スピーカーの声 「冷泉麻子だ。この姿の西住さんに会うのは初めてだな」
ボコと入れ替わり中のみほ(以降、ボコ中みほ) 「皆、どうして此処に?」
4号戦車搭乗中のみほ(以降、4号みほ) 「手短に説明します。お願い……」
4号みほ 「今の私達に力を貸して!」
4号みほ 「そして貴方には今日、11月3日16時30分に再びここに来て欲しいの。それが今の私だから」
ボコ中みほ (11月3日……実際は2ヶ月ちょっとのズレだったんだ)
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/03(金) 20:35:52.03 ID:V+1nImgl0
4号みほ 「状況を説明します」
4号みほ 「そこに居るエリガンは大洗に現れた昆虫型巨大生物との死闘の末、凍結状態になりました」
4号みほ 「只その後も、まるで死んだ後も光り続ける蛍のように放射能を出し続けてます」
ボコ中みほ 「エッ、放射能!?」
4号みほ 「はい、放射能はボコの身体からも出てます」
ボコ中みほ 「エエッ!?」
4号みほ 「ボコ達は人間が海洋投棄した放射性物質を食べてから急速に進化して、体内に原子炉のような器官を獲得したって仮説があるの」
ボコ中みほ 「だったら今あんこうチームの皆危ないんじゃ……」
4号みほ 「大丈夫、戦車の中は特殊なカーボンで守られてるから外に出ない限り安全です」
4号みほ 「それに少し位外に出る分には直ちに影響は無いから」
4号みほ 「因みに車内から外に呼びかけられるように、自動車部が4号にスピーカーとマイクを付けてくれました」
4号みほ (レオポンさんチームがアンツィオに編入してくれてて助かったよ。F 1と言えばイタリアだもんね)
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/03(金) 20:50:44.66 ID:V+1nImgl0
4号みほ 「ボコラに襲撃された知波単とプラウダの調査結果から、ボコラの出す放射能は20日で半減期を迎え、2、3年で殆ど影響が無くなることが分かっています」
4号みほ 「そこに居るエリガンを学園艦の外に出せば、数年後、学園艦は再び人が立ち入り出来ます」
4号みほ 「廃校は決定したし、少なくとも私達の高校在学中には大洗が人の住める場所には戻りません」
4号みほ 「それでも、大洗が幽霊船のように太平洋を彷徨い続ける未来は変えられます。ひょっとしたら数年後に廃校が取り消されるかもしれません」
4号みほ 「諦めず、最後までこの艦を見捨てずにやろう。そう思ったから」
ボコ中みほ 「うん、分かった。私はエリガンを担いで、彼女を海に返せばいいんだね」
4号みほ 「そう、ボコと入れ替わってる貴方はこの艦を救う最後の砦です。大洗の未来を貴方に託します」
ボコ中みほ 「任せて。ねえ、ところであの巨大昆虫は呼べなかったの?」
4号みほ 「うん、エリガンを倒した後、力尽きて海面に墜ちて、そのまま……」
ボコ中みほ 「そうなんだ……可哀想」
4号みほ 「放射能のせいで現在大洗には私達以外誰もいません。私達と4号をここまで運んでくれたサンダースの輸送機も私達の作戦終了までは戻ってきません。ただ、監視カメラやセンサーでボコの乗艦は自衛隊も把握している筈です。恐らく本土かヘリポート艦から戦闘ヘリがこちらに向かっているでしょう。だけど、どうか実行して欲しい」
4号みほ 「作戦名は……『進撃のボコ』!」
ボコ中みほ 「エッ……」
4号みほ 「ごめん、みんなで話し合って決めたから……」
ボコ中みほ 「……うん……それでいいよ」
4号みほ 「作戦開始です、パンツァー・フォー!」
ボコ中みほ (ボコラの皆、大洗を人類に返して貰います)
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/03(金) 20:52:59.82 ID:V+1nImgl0
今日はここまで。
読んで下さった皆さんありがとうございました。
次回から1が最も書きたかった「タイムラグのある入れ替わりが可能にしたWみほ共同作戦」に入ります。
作戦遂行日を11月3日にしたのは『シン・ゴジラ』でゴジラが現れた日と同じ日にしたかったからです。
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/03(金) 23:02:07.31 ID:4zEkgruQO
乙
なんか難しくなってきた!
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/06(月) 23:45:34.99 ID:VIMD6TVE0
ズシン、ズシン、ズシン、ズシン
4号みほ (ボコと入れ替わった私か凍結エリガンを運んでいる)
華 「あんな巨大な物を持ち上げるなんて……」
麻子 「ボコラ……まるで神の化身だ……」
沙織 「そうだよ……みぽりんは私達の守り神だよ」
優花里 「西住殿はその役目を果たそうとしています。後はボコと入れ替わってる西住殿を海まで守れば、我々の勝ちです!」
4号みほ 「麻子さん、ボコの私を先導するように走って下さい。ボコの私が気にならないように距離は200メートル位開けて下さい」
麻子 「あいよ」
4号みほ 「在来線の近くまで来たら砲撃準備です」
華 「在来線ですか?」
4号みほ 「はい、私は2ヶ月前にここに来てるので知ってるんです」
4号みほ 「恐らく自衛隊がしかけたトラップです。ボコが線路を跨ぐ時を狙って爆弾を搭載した列車をぶつけて来ます」
4号みほ 「上下線両方から同時に来るので先に4号の主砲で線路を破壊します。どちらを砲撃するかはその時に指示を出します」
沙織 「特攻じゃないよね?」
4号みほ 「流石に無人列車だと思います」
沙織 (第二鹿島臨海鉄道、この学園艦を走る環状線)
沙織 (ボコラを恐れるあまり、人間はそれすら武器にしてしまうんだ)
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/06(月) 23:54:44.88 ID:VIMD6TVE0
4号みほ 「砲撃開始!」
ドオオン! ……ドゴオオォォ……
ドオオン! ……ドゴオオォォ……
4号みほ 「主砲反転……砲撃開始!」
ドオオン! ……ドゴオオォォ……
ドオオン! ……ドゴオオォォ……
華 「上下線共破壊しました。これで在来線爆弾は来ません」
4号みほ 「はい、後は周囲を警戒しながら進みましょう」
沙織 「みぽりん、この後は何かあるの?」
4号みほ 「分かりません」
沙織 「えっ?」
4号みほ 「2ヶ月前の私は在来線爆弾の攻撃を受けて転倒しました」
4号みほ 「その時に担いでいたエリガンの下敷きになって……作戦は失敗したんです」
4号みほ 「ここから先は何が起こるか私にも分かりません」
4号みほ 「なので十分に警戒して下さい」
4号みほ (自動車部にカメラとモニターを搭載して貰ったとはいえ、本当はキューポラから出て外を見渡した方が視界は広い)
4号みほ (でも放射能のことを考えると余程のことが無い限り、キューポラから身体を出す訳にはいかない)
4号みほ (後はエリガンを担いでいるもう一人の私を信じよう)
4号みほ (共食いを経て異常進化を遂げ、巨大化したエリガンに対し、ボコのサイズは以前のまま)
4号みほ (自分より大きな相手を運ぶのは辛いのは分かるけど……頑張って)
ボコ中みほ (身体が……グシャグシャに潰れそうだよ……)
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/07(火) 00:05:55.66 ID:xrPCHgH90
ボコ中みほ (私達人類は産まれた時からボコマニアだ)
ボコ中みほ (それを拒む者がどんなに強くても)
ボコ中みほ (関係無い)
4号みほ (ボコのアニメでもボコミュージアムでも、何でもいい)
4号みほ (それらを見た者はこの世界で一番の想い人を手に入れた者だ)
ボコ中みほ (ボコられ……)
ボコ中みほ (その為の命なんか惜しくない!)
4号みほ (どんなにボコがボコられても)
4号みほ (関係無い)
ボコ中みほ (どんなにボコが負け続けても)
ボコ中みほ (関係無い)
4号みほ (ボコられ……)
ボコ中みほ (ボコられ……)
Wみほ (ボコられ!)
優花里 (遂に凍結エリガンを抱えた西住殿が甲板の端まで来ました……)
優花里 「いっ……」
優花里 「いっけえええ! 西住殿!」
ボコ中みほ 「ウアアアアアッ!」
ボコ中みほ (ボコられ!!)
ドオオオオン!
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/07(火) 00:15:40.01 ID:xrPCHgH90
ボコ中みほ 「キャアアアアッ!」
麻子 (何ッ!?)
華 (ボコの両腕が吹き飛びました……)
沙織 「何があったの!?」
優花里 「モニターを! ……これは……」
優花里 「自衛隊のアパッチです!」
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/07(火) 00:24:24.37 ID:xrPCHgH90
通信員 「目標、両腕を損傷」
戸川 「前にここで戦ったワニ頭よりこいつは脆い。いけるぞ!」
西郷 「今こそ我ら自衛隊の力が試される時だ! 一気に畳みかけろ」
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/07(火) 00:37:06.40 ID:xrPCHgH90
4号みほ (後少しだった)
4号みほ (もう一人の私が海に投げ込もうとした凍結エリガンが甲板の端に転がっている)
4号みほ (本当に後少しで海に落ちそうなのに、私達を嘲笑うかのように辛うじて留まっている)
4号みほ (まるで押せば落ちそうな位だが、推定体重が10万トン近い相手なんて押してどうこうなるものじゃない)
4号みほ (自衛隊のヘリはもう来ていたんだ)
4号みほ (恐らく……私達から死角になる甲板より低い場所、学園艦の船腹辺りでホバリングしながら私達を待ち伏せしていた)
4号みほ (そして私達が海に近づいたところで上昇して左右から同時にミサイル攻撃)
4号みほ (西住流、いや、戦車道は航空戦力を考慮しない。試合に使われることが無いから)
4号みほ (所詮戦車道は競技でしか無かった)
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/07(火) 00:48:49.41 ID:xrPCHgH90
今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました。
余談ですが奇しくも今月は『君の名は』と『シン・ゴジラ』が共に地上波初放送されます。
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:18:11.91 ID:Zaf+Muwy0
ボコ中みほ 「ウグアア……」
ズシイィン!
観測員 「目標、転倒!」
西郷 「目標を立たせるな。足を狙え」
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:30:03.25 ID:Zaf+Muwy0
優花里 「西住殿おおおッ!」
4号みほ(以降みほ) 「いえ、もう入れ替わります」
みほ (入れ替わりのトリガーはボコられること。これだけダメージを受けたら……)
ボコ 「痛でええええ!」
ボコ 「アアアア……腕が!? オイラの腕があああ!」
みほ (入れ替わった!)
バラララララ!
ボコ 「ウガアアアア!」
みほ (戦闘ヘリの機関砲!?)
みほ 「ボコ!」
みほ (このままだとボコが死んじゃう!)
みほ (でも、あんこうチームの皆を危険に晒す訳には……)
沙織 「行ってあげなよ……じゃなかったね。一緒に行こうよ」
みほ 「沙織さん……」
みほ 「今ボコに近づけば、自衛隊の砲弾及び誘導弾の直撃や急性被曝の危険性があります。ここにいる者の生命の保証は出来ません」
優花里 「元より覚悟の上です」
麻子 「危険だというなら尚のこと操縦は私に任せてくれ」
華 「戦車は火砕流の中だって突き進む、ですよね」
沙織 「今更水くさいよ」
みほ 「みんな……みんな、ありがとう」
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:38:37.51 ID:Zaf+Muwy0
ボコ 「こいつら……遠くから一方的に……」
観測員 「目標、脚部を負傷。流血を確認」
西郷 「次でトドメだ、ヘルファイア全弾発射。目標、ボコラ頭部、距離700……発射用意……」
観測員 「射撃待て、射撃待て!」
観測員 「目標周辺に戦車を確認! 射線上に戦車が居る!」
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:47:11.06 ID:Zaf+Muwy0
【都内 首相官邸4階 大会議室】
花森 「戦車ですって?」
郡山 「何故戦車が……?」
財前 「花森大臣、戦車から人が数名降車しました。皆、若い女性と思われるとのことです」
花森 (!)
財前 「戦車は形状からドイツ製4号戦車と推測されます」
矢口 「4号戦車……?」
財前 「はい、戦時中の戦車です」
花森 (まさか……戦車道履修者?)
花森 (だとすれば私の後輩達ということに……)
財前 「射撃を開始して構いませんか?」
金井 「そんなのテロリストだろ? 構わす撃てばいいじゃないか」
花森 「いえ、目標付近にいる人は戦車の操縦が可能な一般人の可能性があります」
花森 「総理、それでも撃ちますか? いいですか?」
花森 「総理!」
大河内 「中止だ、攻撃中止! 自衛隊の弾を国民に向けることは出来ない!」
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:57:01.14 ID:Zaf+Muwy0
【大洗学園艦 甲板】
みほ (自衛隊のヘリが遠ざかっていく)
沙織 「ふうーっ、助かったあ……」
華 「皆さん、これ以上外に居てはボコラプルームが危険です。早く中へ」
みほ (ボコ……)
ボコ 「フーッ……痛ェ……ハヒッ、ハヒッ……」
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 01:00:58.35 ID:Zaf+Muwy0
今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました
昨晩地上波で改めて観た『シン・ゴジラ』面白過ぎ
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 09:39:03.63 ID:NLronv510
乙
花森さんがかつての戦車道履修者ってのは燃える
しほ、千代、蝶野亜美との絡みみてみたくなる
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 19:55:25.18 ID:/TFxaHYR0
ボコ 「ハーヒー、ハーヒー、ハーヒー……」
みほ 「ボコ!」
ボコ 「ヘッ! この位何ともないぜ……イデデデデデ!」
みほ 「ボコ、大丈夫?」
ボコ 「流石にここまでヤラれると直ぐにって訳にはいかねえが、オイラの身体は再生するからよ。イデデ……」
みほ (両腕が吹き飛び、両足が血に染まったボコが横たわってる)
ボコ 「みほ?」
みほ 「聞いてるよ、ボコ」
ボコ 「ハーヒー、ハーヒー……何でお前ら大洗に来てんだよ……」
みほ 「……」
ボコ 「理由、話せよ……ウグッ! 痛え……」
みほ 「うん。話すね」
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 20:04:47.56 ID:/TFxaHYR0
ボコ 「そうか……。事情は分かったけどよ、さっきお前達戦車から降りてたが大丈夫か?」
みほ 「少しの間なら大丈夫。それに今は戦車の中からマイクで話しかけてるから安全だよ」
ボコ 「みほ……昔、交換日記にオイラが博士の話書いただろ? 覚えてるか?」
みほ 「うん、ボコ達の研究をされてた牧教授のことだね。覚えてるよ」
ボコ 「日記には書かなかったけど、実は博士は……脳腫瘍になったんだ」
ボコ 「ある日博士が『自分は脳腫瘍になった。直に死ぬ。もう会えない』って言い出して」
ボコ 「オイラ達は動揺した。そして博士を心配したし、励ましもした。そしたら博士が『自分達人間は悪魔の末裔だ。今後一切人間に関わってはいけない』って言ったんだ」
ボコ 「ひょっとして博士が病気になったのはオイラ達が出してた放射能のせいだったのかなあ……」
ボコ 「博士は他の人間が自分みたいに病気にならないように、オイラ達を人間から遠ざけようとしたのかなあ?」
みほ (ボコの声が涙声になってる)
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 20:14:09.36 ID:/TFxaHYR0
華 「しかし貴方達は学園艦に現れた。何故ですか?」
ボコ 「博士がオイラ達のところに来なくなって……。オイラは博士に会いに行きたかったけど博士の言いつけを守ろうとした。他の奴等は博士に会いに行くって言って出かけた。そしたら……」
ボコ 「帰ってきたアイツ等は口々に言ったんだ」
ボコ 「博士の居場所を聞こうとしてどデカい船に乗ったら、人間共が問答無用で撃ってきたって。博士の言う通り、アイツ等は悪魔の末裔だって」
華 (知波単以降の悲劇はこうして引き起こされたのですね)
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 20:19:51.83 ID:/TFxaHYR0
みほ 「博士の脳腫瘍とボコの放射能の因果関係は今となっては分からないけど、牧博士はボコと出会ったことを後悔してないと思うよ」
ボコ 「何でだよ?」
みほ 「もし本当にボコの放射能のせいで博士が病気になってそれを博士が恨んでたら、博士はボコ達のことを学会に発表してボコ達を駆除するように国に働きかけてたかもしれない」
みほ 「私もあんこうチームの皆と一緒に調べたんだけど、牧博士はボコに関する論文を発表していないの」
みほ 「自分以外の人間がボコ達と出会って無用の争いが起きてはいけない。人間の手からボコ達を守りたい……」
みほ 「博士はそう思ったから今後人間に会ってはいけないって言ったんだと思う」
みほ 「私だって、ボコと出会ったことちっとも後悔なんてしてないから」
ボコ 「みほ……」
みほ (他者と触れ合うと軋轢が生まれることもあるし、お互いが善意や信念で行動しても傷付けあうことだってある。でもそれと同時に素晴らしい出会いもあれば、いい思い出が作れることだってある)
みほ (私はこうして貴方と出会えたことが嬉しいよ、ボコ)
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 20:38:16.70 ID:/TFxaHYR0
ボコ 「でも、オイラ達のせいで大洗は廃校になったんだろ?」
みほ 「まだ諦めてないよ」
みほ 「そこに居る凍結状態のエリガンを船の外に移せたら、数年後、この大洗は人が住めるようになるから」
みほ 「そうしたら、廃校が取り消されるかもしれない」
みほ (希望的観測に過ぎないことは分かって居る。それでも私は……)
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 20:45:43.10 ID:/TFxaHYR0
ボコ 「みほ、オイラに任せろ」
ボコ 「そこに転がってるアイツを海に戻せばいいんだな」
ボコ (物言わぬエリガンが甲板の端っこに転がっている)
ボコ (……)
ボコ (お互い、人間に迷惑かけるのはもうヤメにしようぜ)
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 20:56:01.72 ID:/TFxaHYR0
ボコ 「グッ! ……チキショウ……動きやがれ……」
麻子 (傷ついた身体に鞭打って、ボコが凍結エリガンを頭で押してる……)
優花里 (足を負傷して立ち上がることもままならないから、腹這いになって匍匐前進のようになって押してます)
沙織 (あんなに血を流して……辛いだろうに……)
華 (私達に出来ることは……)
みほ 「ボコーッ! 頑張れーッ!」
あんこうチーム(みほ除く) 「!」
みほ 「頑張れーッ、ボコーッ!」
沙織 (そうだよ!)
華 (自分達にも)
麻子 (出来ることが)
優花里 (あります!)
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 21:07:44.13 ID:/TFxaHYR0
あんこうチーム一同 「ボコーッ! 頑張れーッ! 頑張れーッ! ボコーッ!」
あんこうチーム一同 「ボコーッ! 頑張れーッ! 頑張れーッ! ボコーッ!」
ボコ (思えばオイラはエリガンに一度も勝ったことがねえ)
ボコ (でも今回だけは何が何でも勝たなきゃいけねえんだ……)
ボコ (文字通り這いつくばってでも、コイツ等の楽園を奪っちまったことへの償いをするんだ!)
あんこうチーム一同 「ボコーッ! 頑張れーッ! 頑張れーッ! ボコーッ!」
華 (時間ばかりが刻一刻と過ぎて行きます。自衛隊は恐らく第二波がこちらに向かっている筈)
沙織 (このままだとボコの体力が保たないよ)
優花里 「あの……後日、体力回復して怪我が癒えたボコ殿に改めて押して貰っては?」
麻子 「それは最後の手段だ。次があるか分からない」
麻子 「自衛隊が簡単にボコを駆逐出来ることが分かった以上、自衛隊が一時的に撤退しているこの機会を逃すべきではない」
優花里 「それはそうですが……」
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 21:21:46.35 ID:/TFxaHYR0
みほ (そうだ!)
みほ 「ボコーッ! 押すんじゃなくて、寄り掛かって身体を起こしてから体重を掛けるの!」
ボコ 「応! オイラの力、見せてやる!」
華 (なる程、寄りかかりながらなら、怪我した足でも身体を起こせます)
沙織 (推定体重数万トンのボコが体重を掛けながら押したら!)
優花里 (動くかもしれません!)
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 21:32:55.40 ID:/TFxaHYR0
ボコ 「ウオオオオーッ!」
優花里 (エリガンに寄りかかりながら、ボコが身体を起こしました!)
ボコ (いっけええエエ!)
ボコ 「ギャアアオオ!↑ グオオオォ……↓」
華 「この雄叫び、鯨の鳴き声や列車の汽笛を混ぜたかのようです」
優花里 「自分は錆びたシャッターを無理やり動かす時の音を連想しました」
沙織 「私にはブレーキを掛けたバスをゆっくり引っ張る音みたいな鳴き声に聞こえたよ」
麻子 「まるで松ヤニを付けた革手袋でコントラバスの弦を掴んで引っ張ったかの様な咆哮……」
みほ (これが……ボコの本気!)
グラッ、グラグラッ!
ガラガラガラ……
ドッパアアン!
優花里 (凍結エリガンが海に落ちました……)
華 「これで大洗の除染に光明が見えます……良かった」
みほ 「ボコ、ありがとう。頑張ったね……」
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/29(水) 21:35:27.59 ID:/TFxaHYR0
投稿の間隔が空きましたが今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 21:00:50.55 ID:TJxxW4jU0
ボコの鳴き声はゴジラの鳴き声と同じだったのか・・・
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/03(日) 17:34:00.94 ID:dwCebFdT0
乙
ボコの応援が泣けてくる
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/03(日) 23:04:06.80 ID:KGEgrYJ80
ボコ 「痛でー……。ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ……」
みほ 「ボコーッ!」
ボコ (!?)
ボコ 「バカヤロウッ! 戦車から出る奴が居るか!? オイラから放射能が出てるって言ったのはみほじゃねえか!」
みほ 「分かってる。それでもきちんとあなたの顔を見てお礼を言いたいから」
みほ 「ボコ、本当にありがとう」
戦車を降りた少女達はボコの前に立つと深々とお辞儀をした。みほを先頭に、他の者達はみほの後ろに並んで、感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
ボコ 「ヘッ、オイラが本気出せばこんなもんよ……も、もういい! 分かったから頭上げろ」
優花里 「あの……国立新美術館では酷いこと言ってすみませんでした!」
ボコ 「それもいいってことよ。……前に言ったろ? これでも優花里には感謝してるって」
優花里 (私こそ、あなたには感謝しきれません)
ボコ 「お、お前達全員とっとと戦車に戻りやがれ!」
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 01:46:37.34 ID:TgUpYWgS0
みほ 「あーっ!」
優花里 「どうしたのですか、西住殿?」
沙織 (戦車の中に戻った途端……忘れ物かな?)
みほ 「マイク貸して下さい」
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 01:55:35.83 ID:TgUpYWgS0
ボコ (あいつ等ようやく戦車の中に戻りやがった)
ボコ (それにしても戦車道で乗員を守るのに使われてる特殊カーボンって放射能も防ぐのか、すげぇなぁ)
みほ 「ボコーッ!」
ボコ (ん?)
みほ 「あなた、未来が変わる前に私のこと食べたでしょ!?」
ボコ 「ど、ど、どうしてそれを?」
みほ 「優花里さんから聞いたんだからね」
ボコ 「あああ、すまん! それ一回だけだって!」
みほ 「一回だけ、うーん……一回で死んじゃうんだから何回でも同じだよ」
ボコ 「あ、すまん!」
華 (手を合わせて謝ろうとしたら両手が無くてあたふたしてるボコ)
沙織 (仕草は微笑ましいのにホラーだよ)
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 02:03:15.38 ID:TgUpYWgS0
みほ 「そういえば以前……」
みほ 「私が死んだ後に、どうやって私が生きてる時間まで遡って入れ替わったの?」
ボコ 「みほが毎晩抱いて寝てるオイラの姿をしたぬいぐるみを食ったんだ」
みほ 「へ……あ……あ……あれを食べたあ?」
ボコ 「えっ?」
みほ 「バカ! 変態!」
ボコ 「え、えぇ…」
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 02:19:42.99 ID:TgUpYWgS0
ボコ 「オゥ、オゥ、オゥ、言ってくれるじゃねえか!」
みほ 「あのぬいぐるみ、私がどんなに大事にしてたか知ってるよね!」
ボコ 「仕方ねえだろ! ああでもしないと入れ替わり出来なかったんだから!」
沙織 「隊長、サンダースより暗号通信!」
みほ 「!?」
沙織 「トラブル発生、私達の回収に来られないとのことです」
みほ 「沙織さん、『了解した』と暗号で返して下さい」
沙織 「はい……」
みほ 「皆さん、サンダースは自衛隊機に捕捉されたものと思われます」
みほ 「これで私達は本土に戻る術を失いました」
みほ 「自衛隊の第二波が間もなくここに来る筈です。その時は速やかに投降しましょう」
華 「退学届は事前に出しましたがアンツィオ高校には迷惑をかけることになります」
沙織 「私達を受け入れてくれたアンツィオには悪いことしちゃったね」
優花里 「アンツィオに残留する元自動車部への風当たりが強くならなければいいのですが」
麻子 「皆、自分の心配もした方がいい。私はおばあにこっぴどく叱られて終わりだろうが」
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 02:22:03.60 ID:TgUpYWgS0
今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 07:03:06.86 ID:TgUpYWgS0
優花里 「流石にそれでは終わらないのでは?」
麻子 「無論冗談だ」
麻子 「私達は仲良く犯罪者だ。立入禁止の学園艦に無断で乗り込み、しかも自衛隊の重要な作戦を妨害した。保護者に説教されて済む話じゃない」
麻子 「それにボコラを助けようとしたことで、ボコラを憎む人達から後ろ指を差されるだろう」
麻子 「だから捕まる前に皆で口裏を合わせたい」
沙織 「考えがあるの?」
麻子 「無罪放免は無理でもやれることはやっておきたい」
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/04(月) 07:06:19.72 ID:TgUpYWgS0
投下漏れがあったので追加しました
読んで下さった皆さんありがとうございました
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/05(火) 22:31:02.38 ID:j3Lpt3fw0
みほ 「麻子さん、その前に少しだけボコと話をさせて下さい」
麻子 「分かった」
みほ (これだけはボコに伝えなきゃ)
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/05(火) 22:35:32.53 ID:j3Lpt3fw0
ボコ 「みほーッ! シカトしてんじゃねえ!」
みほ 「ボコ、ごめん」
ボコ (えっ?)
みほ 「ぬいぐるみを食べたことはもう責めないから」
ボコ (何だコイツあっさり引き下がりやがった……?)
みほ 「入れ替わってる間は好きな物食べていいから」
みほ 「オッドボールももうしないから」
みほ 「だからもう人間と戦うのは止めて!」
みほ 「私はもう、ボコと人間が戦うところを見たくない……」
ボコ 「んなこと言ってもよう、先に手出してきたのは人間だせ」
ボコ 「さっきだってヘリの連中、オイラに向かってバカスカ撃ちやがって」
ボコ 「それにオイラはどんなにボコられても逃げないのが信条だ。そこは簡単には曲げられねえ」
みほ 「そうだよね……でもね、ボコ」
みほ 「このままだと死ぬよ」
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/06(水) 01:15:35.74 ID:Nr5/K0mP0
みほ 「さっきまであなたと入れ替わってたのは9月1日の私」
みほ 「そして今日は11月3日」
みほ 「この間、一度も入れ替わりが起きなかったの」
みほ 「それが何を意味するか……分かるよね」
みほ 「だからもう人間とは戦わないで。ボコは私達に危機を告げることで私達を救ってくれた。今度は私がボコを救う番」
ボコ 「みほ、舐めんなよ」
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/06(水) 01:28:12.80 ID:Nr5/K0mP0
ボコ 「オイラはそんなに弱っちく見えるか? そんなに頼りないか?」
みほ 「ボコ、お願い! 話を聞いて!」
ボコ 「エリガンを海に落としたオイラの勇姿を見たばかりのお前にそんなこと言われるなんて、オイラ情けなくてよう……」
みほ 「私はただ、あなたと人間が争う世界を変えたいの。あなたに生きて欲しいの!」
ボコ 「オイラは好きにした。お前達も好きにしろ」
みほ 「ボコーッ、待ってえええ!」
ドッパアアン!
みほ 「ああ、行かないで……」
みほ (さっき戦車を降りた時、目に映ったのは美しい夕焼けだった)
みほ (太陽が、黄昏時の空と海を赤く染めていた)
みほ (その太陽も、ボコが海に飛び込んで姿を消したのに呼応するかの様に水平線の下に沈み)
みほ (私達あんこうチーム以外に人気の無い学園艦を夜の帳が包み込んでいく)
みほ (漸く会えて言葉を交わせても、同じ時間を過ごせても)
みほ (私の想いはボコに届かなかった。それどころか私はボコの心を傷つけた)
みほ (ボコ……ごめんね)
みほ (ねえ、私たちは、深海と地上にひきさかれる、恋人みたいだね)
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/06(水) 01:31:48.38 ID:Nr5/K0mP0
途中寝てしまった
今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:00:22.04 ID:ffN/BKAP0
【都内 首相官邸4階 大会議室】
財前 「大臣、作戦を妨害した戦車の乗員を拘束したと報告がありました」
花森 「分かりました。保護した彼女達の様子は?」
財前 「……負傷者はいませんが、精神的ショックを受けた者がいるとのことです」
花森 「無理もありません。彼女達が落ち着いたら東京まで移送をお願いします。彼女達の保護者及びに学校への連絡はこちらで行います」
大河内 (自衛隊の作戦を妨害した戦車を攻撃するか否か私に問うた時、防衛相は僅かにかぶりを振っていた)
大河内 (目で私に『撃つな!』と必死に訴えていた)
大河内 (総理である私が気圧されてしまった。あれが元戦車乗りの気迫……)
赤坂 (かつて北アフリカの大学に留学中、欧州の強豪校を次々と撃破し『女ロンメル』と呼ばれた防衛大臣)
赤坂 (大臣が女学生時代に率いた黒森峰は彼女の名を冠した『花森峰』の異名で恐れられ、当時高校戦車道最強を誇った)
赤坂 (正に女傑だ)
赤坂 (もう一人の女傑は今頃どうしてるだろう)
東 「総理、既に自衛隊からは本日の作戦を持ってボコラを殲滅したとの報告を受けております。ここは会議を終わらせてもよろしいかと」
大河内 「うむ、分かった」
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:12:56.07 ID:ffN/BKAP0
【都内 首相官邸 二階会議室 巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)】
矢口 (ボコラの1体、個体名ボコが大洗に出現し、自衛隊と交戦)
矢口 (思わぬ闖入者にて一度は撤退を余儀無くされた自衛隊だったが、その後海中に逃れたボコを潜水艦の魚雷攻撃で仕留めた)
矢口 (その約2か月前、エリガンと呼ばれる個体は、後に我々が『モスラ』と名付けた昆虫型巨大不明生物と相打ちとなり、凍結状態となった)
矢口 (エリガンは共食いする個体で、ボコ以外の個体は既にエリガンに捕食されたと推測される)
矢口 (ボコラ騒動もこれにて終結。巨災対も解散か……)
安田 「あっ! あっ! ああ……こんなんアリか!」
矢口 「えっ?」
尾頭 「この動画を見て下さい」
矢口 (……これは!?)
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:22:47.22 ID:ffN/BKAP0
【都内 首相官邸 五階 官房長官執務室】
矢口 「大洗で拘束された少女達と話がしたい」
赤坂 「どうした?」
矢口 「ネットで興味深い動画が見つかった」
赤坂 「その動画を観たら未成年者に興味を示すようになるのか?」
矢口 「これを見て欲しい」
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:35:02.63 ID:ffN/BKAP0
>>313
は書き間違えました。
>>315
と差し替えて下さい。
寝ボケてる……ダメだ
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:35:31.81 ID:ffN/BKAP0
【都内 首相官邸 五階 官房長官執務室】
矢口 「大洗で拘束された少女達と話をさせて下さい」
赤坂 「どうした?」
矢口 「ネットで興味深い動画が見つかったんです」
赤坂 「その動画を観たら未成年者に興味を示すようになるのか?」
矢口 「これを見て下さい」
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:44:07.10 ID:ffN/BKAP0
動画の音声 「ボコーッ! 頑張れーッ! 頑張れーッ! ボコーッ!」
動画の音声 「ボコーッ! 押すんじゃなくて、寄り掛かって身体を起こしてから体重を掛けるの!」
動画の音声 「応! オイラの力、見せてやる!」
赤坂 「これがネットに上がっていたのか?」
矢口 「はい、複数の動画投稿サイトで確認されました。恐らくものすごい勢いで拡散しています」
赤坂 「ボコラは意思疎通が可能で人間との友好関係を築ける生物だった……政府がこれを見落としていたのは……」
赤坂 「大失態だそ。本来なら巨災対が真っ先に気付くべきだろうが」
矢口 「それについては返す言葉もありません。今から動いても遅いですが……」
赤坂 「ああ遅い。ボコラを殲滅した今となってはな!」
矢口 「せめてこの動画を撮影したであろう人物と会って話がしたいんです」
赤坂 「その動画に関係なく俺は彼女達に会うつもりだった。一緒に来い」
矢口 「どうして会おうとしていたのですか?」
赤坂 「俺は今でこそ東京に選挙区を持つが、大学に入るまでは熊本に住んでた」
赤坂 「俺は高校時代の友達の娘さんに会いに行くんだ」
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/09(土) 01:50:36.82 ID:ffN/BKAP0
今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました
赤坂が熊本出身というのはあくまでこのSS内だけの設定です
実際のところ赤坂は選挙区が東京というのは判明してますが出身は不明です
なお、矢口は山口県出身と明記されています
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 01:16:54.51 ID:jvSHUskr0
《翌年の夏》
【静岡 東富士演習場】
ねこにゃー 「去年サンダースに編入したばっかりの時は酷い扱いだったにゃー」
ももがー 「『そもそも生え抜きじゃないので出世に無縁な大洗のはぐれ者、一匹狼、変わり者、オタク、問題児、鼻つまみ者、厄介者、戦車道の異端児、そういった人間の集まりだ。気にせず好きにやってくれ』なんてあんまりだもも」
左衛門佐 「しかし我らはその前評判を見事覆してサンダースの優勝に貢献した!」
おりょう 「昨年卒業したぴよたん先輩もきっと喜んでくれるぜよ」
カエサル 「エルヴィンが編み出した長距離索敵陣形の賜物だな」
エルヴィン 「買被りだ。アリサ隊長の手腕だよ」
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 01:27:57.52 ID:jvSHUskr0
みほ 「折角応援に来て頂いたのに負けてしまって……」
赤坂 「あの戦力で決勝まで進んだ。大したもんだ」
みほ 「去年、ボコが居なくなって落ち込んでた私に赤坂先生がかけてくれた言葉、今でも覚えています」
みほ 「『スクラップアンドビルドでこの国はのし上がって来た。君も立ち直れる』」
みほ 「何度ボコられても立ち上がる……それはボコと一緒なんだって」
赤坂 「君のボコ好きは相変わらずだな。……もうこんな時間か。失礼する」
みほ 「はい、赤坂先生ありがとうございました」
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 01:35:43.14 ID:jvSHUskr0
沙織 「赤坂さん、相変わらずカッコ良かったなあ」
麻子 「落ち着け沙織。相手は沙織の親御さんと大して変わらない年だぞ」
優花里 「最初は驚きました。総理大臣補佐官と知り合いとは西住流の人脈恐るべしです」
華 「もし赤坂補佐官と花森大臣が動いてくれなかったら昨年私達はどうなっていたやら」
みほ (去年、大洗で自衛隊に投降することを決めた時、麻子さんがあんこうチームの皆に提案したこと、それは……)
みほ (私達が自衛隊に拘束される前に皆で口裏を合わせることだった)
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 01:46:25.62 ID:jvSHUskr0
みほ (大洗に潜入した目的を聞かれたら『ボコとのコミュニケーションが可能か検証し、可能ならボコとの説得と和解を目指す為だった』と話す)
みほ (私とボコとの入れ替わりの話は伏せる)
みほ (これが麻子さんの提案だった)
みほ (私達が麻子さんの提案通りに振る舞ったことと)
みほ (優花里さんが大洗で撮影と編集をした動画を動画投稿サイトにアップしたことは)
みほ (ボコ達とのコミュニケーションを模索せずに戦後初の防衛出動を布告した政府への批判に繋がった)
みほ (ちなみに自衛隊が大洗に駆けつけるまでの僅かな時間で動画を編集してネットに上げた優花里さんの手際の良さは神がかっていた)
みほ (被害を防ぐ為に害獣として問答無用で駆除すべきだったという意見もあったが、自衛隊の防衛出動は日本と東アジア周辺諸国との軋轢を生み、それに呼応するかのように北朝鮮が血迷ったかのように弾道ミサイルを日本近海に撃ち込んだことで私達に関する世間の関心は薄れていった)
みほ (そして何よりも、嘗て私の両親と親交があったという赤坂先生と、黒森峰OG会会長の花森大臣の尽力により、私達は不起訴となった)
みほ (国もまた、大洗の廃校を決定した経緯を蒸し返されるのを良しとしなかったのかもしれない)
みほ (只、アンツィオ高校は半年間の対外試合禁止と補助金大幅減額の処分を受け)
みほ (私達あんこうチームは4号戦車を接収され、全ての戦車道大会の無期限出場停止処分及び2週間の停学処分を受けた)
みほ (元々大洗に行く前にアンツィオには退学届を出していたが、アンチョビさんが握り潰していた)
みほ (アンチョビさんには『退学して楽になろうと思うな。本当に申し訳ないと思っているなら来年アンツィオを優勝させろ』と言われた)
みほ (新ドゥーチェことカルパッチョさんの元、アンツィオ高校の戦車道履修者は文字通り一丸となってチームの建て直しに奔走した)
みほ (そんなアンツィオの状況に責任を感じた私達あんこうチームもまた、出場停止処分が解けてから練習や試合に加わり、皆と一緒に戦ってきたが、アンツィオは決勝でサンダースに敗れた)
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 01:57:17.65 ID:jvSHUskr0
赤坂 (自分でもリアリストのつもりだが、君の屈託の無い笑顔を見ると多少なりとも罪悪感に駆られる)
赤坂 (西住みほ、去年私が君を助けたのは善意からではない)
赤坂 (君のご両親とは君が生まれる前に親交があった。そう、嘗てはあったのだ)
赤坂 (昔、君の父親に『実を言うと俺もしほさんに惚れていた』と言ったら『そんなことは知ってたさ。だがお前が選んだのは政治だろ』と返されたのが懐かしい)
赤坂 (その昔、自分が想い人の眼中に無かったことを知った男が『鉄屑を乗り回すしか能の無い女が』と暴言を吐いてしまったこと)
赤坂 (そのことへの贖罪を君を通して行っているに過ぎない)
赤坂 (さらに言えば花森防衛相が君を庇ったのは、補助金を削られたアンツィオに君を留めておいた方が、黒森峰を優勝させるのに都合が良かったからだ)
赤坂 (『流石に家元のお嬢様かつ優勝校の隊長に対し出場資格剥奪まではする訳にはいかないが、下手に退学させて他の強豪校に入学されては困る』と大臣は仰った)
赤坂 (しかもこの件は家元も了承済と言うのだから戦車道の世界もドロドロしている)
赤坂 (昨年優勝した大洗、一昨年優勝したプラウダが廃校になった状況で、流石に3年連続優勝を逃したとあっては、黒森峰の立場、ひいては黒森峰を指導してきた西住流の立場が無くなってしまうから形振り構ってられなかったのは分かる)
赤坂 (しほ、今年黒森峰が一回戦でサンダースに敗れた時、君は何を思った?)
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/16(土) 02:02:50.83 ID:jvSHUskr0
内容がだいぶ駆け足になってますが今日はここまで
読んで下さった皆さんありがとうございました
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/16(土) 17:27:11.14 ID:fzYPOaz20
乙
ほんと、ドロドロしてるなぁw
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 21:37:33.55 ID:vzkLuo+q0
『○HK ク○ーズアップ現○ あの時学園艦で何があったか』
ナレーション ―カチューシャさん(仮名)は当時、プラウダ高校の戦車道履修者の隊長として50輌の戦車を指揮しました―
カチューシャ 「学園を守る為にカチューシャをはじめプラウダの生徒は勇敢に戦ったわ。その結果私達は何も知らないままボコラの出す放射能を浴びてしまったのよ」
ナレーション ―カチューシャさんの身長は127cm、放射能の影響だと彼女は言います―
カチューシャ 「本当だったらカチューシャはもっともっと背が伸びてたのよ。ボコラのせいよ。そして重い腰をなかなか上 げようとしなかった国が悪いのよ。知波単が襲撃された時点で国が自衛隊を出動させてたらプラウダは廃校にならずに済んだわ!」
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 23:18:49.55 ID:vzkLuo+q0
ナレーション ―ノンナさん(仮名)は当時副隊長としてカチューシャさんを支えていました―
ノンナ 「あの日のことはよく覚えています」
ノンナ 「涙ながらに母校を去り避難所で暮らす私達の前に、眼鏡の中年の男がガイガーカウンターを片手にハイエースから降りて来ました」
ノンナ 「私はその男を問答無用でボコりました。『この男はカチューシャを狙っている。放っておけばカチューシャに<ピー>なことや<ピー>なことを するに違いない。カチューシャを守らねば』その一心からでした」
ナレーション ―ノンナさんが暴行を加えたのは市の環境業務課から派遣された調査員でした。国はプラウダ高校の被災者への放射能による健康被害を調査していました。ノンナさんは駆け付けた警察官に逮捕されました。―
ノンナ 「早とちりとはいえ申し訳なかったと思っています」
ノンナ 「そして私の場合、176cmまで身長が伸びました。これも放射能の影響です」
テロップ ―ノンナさんは大学で戦車道を履修されてますが、スポーツをするうえで体が大きいことは有利にはならないのでしょうか?―
ノンナ 「戦車道において大き過ぎる身体は仇となります。狭い戦車内部で行動する度に『頭をぶつけないか』『胸が当たらないか』『お尻がつっかえないか』を意識しながら行動することになり、それがコンマ一秒を争う試合において命取りとなるのです」
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 23:28:02.63 ID:vzkLuo+q0
ノンナ (私達がプラウダを放棄して早2年……)
ノンナ (当初ロシアへの留学を考えていたカチューシャはロシア語の習得が遅れたことを理由に国内の大学に進学)
ノンナ (私も同じ大学に進学した)
ノンナ (自衛隊がボコラを殲滅してもカチューシャは変わらなかった)
ノンナ (寧ろ自らの手で復讐を遂げる機会を永遠に失ったことでカチ ューシャはもはや前に進めなくなった)
ノンナ (今回テレビ局の取材が来たのも私達が反政府デモの中心人物だからだ。1年生のうちからこんなことをしていたら、じきに大学での戦車道も続けられなくなるだろう)
ノンナ (最早私に出来ることはどこまでも彼女につき従うことのみ)
ノンナ (この狂った世の中でみんな何かに酔っぱらってないとやってられなかったのだ)
ノンナ (それは戦車だったり、ロシアだったり、カチューシャだったりする)
ノンナ (みんな……何かの奴隷だった……)
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 23:37:41.11 ID:vzkLuo+q0
《某県 墓地》
絹代 「あなたは……」
福田母 「……お久しぶりです」
絹代 「ご無沙汰しております!」
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 23:40:01.17 ID:vzkLuo+q0
福田母 「あの子の為にお花を……ありがとうございます」
絹代 「せめてもの手向けです……」
福田母 「今は何を?」
絹代 「高校に通っています」
福田母 「そう……戦車には?」
絹代 「私は戦車道の無い高校に編入しました。私には戦車に乗る資格がありません」
福田母 「……」
絹代 「……」
福田母 「昨年、貴方の口から娘が亡くなったことを聞かされた時、私正直貴方のこと恨みました」
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 23:55:12.44 ID:vzkLuo+q0
福田母 「でも同時に忘れられないんです。生前あの子が帰省した時に話していたことが」
福田母 「『西隊長は自分の憧れだ。自分は隊長の元で戦車道に励むことが出来て嬉しい』と」
福田母 「『あの方は真っ直ぐで、一生懸命で、仲間を大切にする方だと』」
福田母 「貴方だってあの時精一杯戦ったのでしょう?」
絹代 「無論全力で戦いました。しかし、あの日英霊となった58名は私の指揮で命を落としました。そして生還者のうち13名は身体に障害が残りました」
絹代 「全ては私の責任です」
福田母 「人は神様ではありません。願えば、頑張れば成し遂げられるというのは傲慢かつ能天気な考えです」
福田母 「私は、あの子に生きて帰って来て欲しいというたった一つの切実な願いも叶わなかった」
絹代 「……」
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 23:59:59.05 ID:vzkLuo+q0
>>330
は書き間違えました。?
>>332
と差し替えて下さい。
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 00:00:57.26 ID:hqoo/bhJ0
福田母 「でも同時に忘れられないんです。生前あの子が帰省した時に話していたことが」
福田母 「『西隊長は自分の憧れだ。自分は隊長の元で戦車道に励むことが出来て嬉しい』と」
福田母 「『あの方は真っ直ぐで、一生懸命で、仲間を大切にする方だ』と」
福田母 「貴方だってあの時精一杯戦ったのでしょう?」
絹代 「無論全力で戦いました。しかし、あの日英霊となった58名は私の指揮で命を落としました。そして生還者のうち13名は身体に障害が残りました」
絹代 「全ては私の責任です」
福田母 「人は神様ではありません。願えば、頑張れば成し遂げられるというのは傲慢かつ能天気な考えです」
福田母 「私は、あの子に生きて帰って来て欲しいというたった一つの切実な願いも叶わなかった」
絹代 「……」
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 00:26:22.35 ID:hqoo/bhJ0
今日はここまで
今日は試しに行間を大きめにしたのですが、空け過ぎたので次回から元に戻します
読んで下さった皆さんありがとうございました
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/12/31(日) 20:08:03.65 ID:mV8pshKR0
1です。
年内完結の目標は達成出来ませんでしたが、ラストに向けて考え中です。
残り2〜3回の投下で完結予定です。
もうしばらくお付き合い頂ければ幸いです。
皆さんよいお年を。
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 17:45:36.27 ID:KyNNC9gs0
福田母 「例え成果を得られなかったとしても、あなた方は学園艦とそこで暮らす方々の為に文字通り死力を尽くしました。そのあなた方を責めることは娘の死を汚すことになります」
絹代 「しかし私はこうしてのうのうと生きてます。何の償いも出来ないまま!」
福田母 「のうのうとは生きてこなかったでしょう? 貴方だってずっと辛かったでしょうに」
福田母 「本当はやりたいのでしょう? 戦車道を」
絹代 「……」
福田母 「あなたがいつまでも苦しんでいたら娘もまた浮かばれません」
福田母 「そろそろ、好きになさってはいかがですか?」
絹代 「……私は戦車道を続けていいのでしょうか?」
福田母 「ええ、きっとあなたは立派な隊長になれるわ」
福田母 「挫折を味わってそこから這い上がった人の方が強くなるに決まってますもの」
絹代 (福田……お前はいい母上を持ったな)
絹代 (私は……福田の尊敬に値する戦車乗りになろう。それが私の償いだ)
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 17:59:10.12 ID:KyNNC9gs0
《さらにその翌年》
【北海道 ボコミュージアム 入り口】
みほ 「こんなところにボコミュージアムがあったんだ」
優花里 「はい、事前に調べておきました。スキー場に行く前にここで少し楽しんでみてはいかがでしょうか?」
華 (元々は旧あんこうチームでのスキー旅行という目的で集まりましたが、みほさんにはこちらの方が楽しめそうですね)
みほ 「みんな、入ろうよ! ボコミュージアム」
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 18:06:50.33 ID:KyNNC9gs0
【北海道 ボコミュージアム BOCO SHOWステージ】
ボコ 「オウッ、お前等よく来たな。オイラボコだぜ!」
みほ (これが本場のBOCO SHOW……)
優花里 (西住殿が食い入るように見てます)
ボコ 「今日はお前らに……」
ボコ 「……」
みほ (ボコがこっちを見て固まってる……)
華 (中の人が慣れてないのでしょうか?)
ボコ 「……お、お前らに! オイラの強さを見せてやる、ぜ」
麻子 (随分とテンパってるな)
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 18:17:58.61 ID:KyNNC9gs0
【北海道 ボコミュージアム カフェスペース】
みほ (何だか胸騒ぎがする)
みほ (さっきのショーで聞いたあのボコの声……)
優花里 「どうしたんですか、西住殿? 何か考え事ですか?」
みほ 「ううん、何でもないよ」
優花里 「……実は、今回のサプライズはとても悩んだんです」
みほ (優花里さんが言おうとしてることは想像がつくよ)
優花里 「西住殿のボコ好きが従来通りなのは分かってますが、先程の西住殿の表情を見て昔を思い出させてしまったのかと。自分は余計なことを――」
みほ 「そんなこと無いよ! 私、凄く嬉しかった。ありがとう」
みほ 「だから、優花里さんもそんな顔しないで」
優花里 「はい!」
みほ 「私、ミュージアム内のキャストさんのサイン貰って来るから、皆さんはここで待っててくれますか?」
優花里 「サイン集めるなら手分けしては? 自分もやります」
みほ 「ありがとう。でもこういうのは自分で貰いたいから」
みほ 「皆はここでしばらく休んでて」
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 18:27:30.86 ID:KyNNC9gs0
優花里 「西住殿、行ってしまいました……」
華 「しばらくみほさんの好きにさせてあげましょう」
沙織 「私……」
麻子 「どうした?」
沙織 「私、あんこうチームの皆が今も戦車道続けてて良かったと思ってるよ。大学は皆バラバラになったけど」
麻子 「私もだ。私の大学は六大学戦車道最弱だけどな」
優花里 「しかし冷泉殿出場の試合で勝ち点2を挙げたではないですか」
麻子 「観てくれていたのか」
優花里 「勿論です。それに引きかえ自分はまだ大学でレギュラー入りも叶いません」
華 「それだけサンダース大の選手層が厚いということですね」
優花里 「まあ、ケイ先輩からは『そのうちレギュラーになれる』と言われてはいるのですか……」
華 (大洗学園艦の放射能は来年で殆ど影響が無くなります。それまで国は大洗の廃校問題を保留すると宣言しました)
華 (可能性は低いですが、私達が学園に通うことはもうありませんが、いつか大洗で同窓会を開きたいですね)
華 (こうして5人で再会した出来ただけでもこんなに嬉しいんですもの)
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 18:44:13.53 ID:KyNNC9gs0
【北海道 ボコミュージアム 屋外スペース】
みほ (さっきのショーでボコの着ぐるみを着てた人)
みほ (いや、きっと人じゃない)
みほ (こちらを見て明らかに動揺していた)
みほ (向こうも知ってるんだ、私を)
みほ (どこ、どこに居るの!?)
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 18:55:20.91 ID:KyNNC9gs0
みほ (居た!)
みほ (階段の下からこちらを見上げてる……階段を上がって来た……)
みほ (どうしよう……いざとなると声をかけられない)
みほ (立ち止まってると変だがら取り敢えず階段を降りよう)
みほ (相手は着ぐるみで、中に誰が入ってるか何て分かりっこないのに)
みほ (ボコは2年前に自衛隊に殺されたってニュースにもなったのに)
ボコ 「あ、あの!」
みほ 「!」
みほ (階段を上がりきったボコから話しかけてきた!?)
ボコ 「オイラ、あんたをどこかで!」
グ、グググ……スッポン!
みほ (頭の着ぐるみを脱いだ!?)
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/03(水) 19:03:33.32 ID:KyNNC9gs0
明けましておめでとうございます
今日はここまで
次回投下で完結予定です
読んで下さった皆さんありがとうございました
なお今晩21:00からテレ朝にて映画『君の名は。』の放送があります!
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/04(木) 13:02:18.17 ID:TEL6kAXi0
乙
あと2,3回か
初めは一発ネタだし続かんだろうと正直思ったが
なかなかどうして面白く、よくここまで話を膨らませられるものだと感心しきりだわ。
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/06(土) 23:21:19.72 ID:xBMLDrXp0
みほ (ボコだ!)
みほ (小顔で等身が高くなって、背丈も人間位になって……)
みほ (でもボコだ!)
みほ (高校生の時に私と入れ替わりを繰り返した、大洗で会った、あのボコだ……)
みほ 「私も……」
みほ (ボコの呼びかけに応えると同時に自然と熱いものが頬を伝ってゆく)
みほ (ずっと探していた)
みほ&ボコ 「君の名前は!」
この時、みほとボコが奇跡の再会を果たす姿を少し離れた所から見つめる人影があった。
??? 「恩知らず……」
??? 「遅いよとボコる君、これでも……♪」
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/06(土) 23:34:25.63 ID:xBMLDrXp0
みほ 「ボコ、ボコ、ボコが居る、ボコ!」
ボコ 「みほ……」
みほ 「でも、どうやって……ボコは自衛隊の攻撃を受けて……」
ボコ 「自衛隊の魚雷攻撃で文字通りボコボコにされた時」
ボコ 「流石のオイラも再生能力が追っ付かなくて」
ボコ 「再生じゃなくて進化したんだ」
みほ 「進化?」
ボコ 「元の身体を捨てて、尻尾の先からかろうじてこの姿で分離して、それから泳いで北海道に流れついた」
ボコ 「元々の身体の尻尾の先で、今の身体が出来上がるまでの長い間……」
ボコ 「お日様も届かない深い海の底で、お前の夢を何度も見た」
ボコ 「それから今のオイラは放射能出さなくなったから安心しろ」
みほ 「ボコ……」
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/06(土) 23:45:58.98 ID:xBMLDrXp0
華 「二人して互いを見つめ合ってますね」
優花里 「覗き見してるみたいで後ろめたいですが」
麻子 「みたいじゃなくて覗き見そのものだ。それにビデオカメラ回しながら言っても説得力が無い」
優花里 「今撮らないで何時撮るのですか!? これは『AKIYAMAFILM』の秘蔵版決定です!」
沙織 (二人は幸せなキスをして終了、二人は幸せなキスをして終了、二人は幸せなキスをして終了……キャーッ! もうやだー)
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/06(土) 23:59:31.18 ID:xBMLDrXp0
みほ 「背丈も人間位になって、放射能も出さなくなって」
みほ 「私はようやくボコに抱き締めて貰えるんだね」
ボコ 「みほ……」
??? 「だから戦戦戦車から僕は君を探しに来たよ♪」
みほ 「あなたは!?」
??? 「お客様、キャストとの過度なスキンシップはお控え下さい」
みほ 「愛里寿ちゃん!?」
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/07(日) 16:48:08.12 ID:bu9QZX4V0
昨晩は寝落ちしました。
今日こそ完結です。
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/07(日) 16:49:06.29 ID:bu9QZX4V0
愛里寿 「久しぶりですね」
みほ 「うん、お久しぶり」
みほ (彼女とは大学に入ってから対戦したことがある。島田流家元の後継者……)
みほ (島田愛里寿ちゃん)
愛里寿 「ボコ、頭の被り物を被って」
ボコ 「愛里寿、これは――」
愛里寿 「早く」
ボコ 「オウ……」
グググッ……カポッ!
みほ (ボコが頭の被り物をもう一度被った……)
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/07(日) 16:58:18.05 ID:bu9QZX4V0
みほ 「どういうこと?」
愛里寿 「私はこのミュージアムの館長、ボコの雇い主」
みほ 「本当なの?」
ボコ 「ああ、愛里寿のおかげでオイラここで働いてるんだ」
みほ 「ねえ、ボコ……」
みほ 「ここを出て私と一緒に暮らそう」
ボコ 「みほ……」
愛里寿 「そんなこと勝手にきめないで」
みほ 「これは私とボコの問題だから」
愛里寿 「ボコとみほさんの間にどんな過去があったか知らないし知りたくもありません」
愛里寿 「ただ、みほさんが私達の間に入る隙間はもうありません」
愛里寿 「ねえ、ボコ……私を捨てたりなんてしないよね」
愛里寿 「海岸に打ち上げられてたボコを見つけて保護したのは私」
愛里寿 「他の目撃者を口封じして、ここで働けるように便宜を図ったのも私」
愛里寿 「『ボコは光に対して極端に皮膚が弱い人だから顔や身体を常に覆う必要がある。無理やり脱がせて万が一のことがあれば殺人罪で訴える』という設定で他の従業員を言い包めて、表向きは障害者雇用で雇ってるのも私」
愛里寿 「私はボコの為にそこまでしてきたんだよ」
みほ 「私だってボコの為なら何だってするよ」
愛里寿 「それだけじゃない。私はもうボコの愛を受け止めている」
愛里寿 「私のお腹の中には新しい命が
」
みほ 「えっ……」
ボコ 「そういうことしてねぇだろ! みほもいちいち真に受けてんじゃねぇよ」
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/07(日) 17:07:21.66 ID:bu9QZX4V0
みほ 「だったら……」
みほ 「私もボコの赤ちゃん産む!」
ボコ 「何でそうなるんだよ……」
愛里寿 (こちらがブラフで言ったことを真に受けたみほさんの眼から光が消えたけど……)
愛里寿 (直ぐに立ち直った。私がライバルと認めたボコマニアだけのことはある)
愛里寿 「これでは埒が開かない」
愛里寿 「ただ……私がすべきことは自分のした行いや選択した結果に対し」
愛里寿 「戦車乗りと して最後まで責任を果たすこと」
みほ 「愛里寿ちゃん……」
みほ 「やるんだね!? 今……! ここで!」
愛里寿 「ええ! 勝負は今! ここで決める!」
ガシッ!
ガシッ!
みほ&愛里寿 「さあ、ボコ。私を選んで!」
ボコ「今ここで決めるのか? 聞いてないぞ!」
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/07(日) 17:11:50.98 ID:bu9QZX4V0
麻子 「西住さんと島田愛里寿がボコのゴニョゴニョを一つずつ掴んでる」
優花里 「着ぐるみの上から的確に掴むとは流石西住流と島田流です」
華 「殿方のそういうところを握るというのはちょっと……」
沙織 (みぽりん、正念場だよ)
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