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【安価】京太郎「冥球島?」美穂子「ズバッと三振毎度ありっ!」【咲-Saki-】

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800 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/13(火) 22:55:24.83 ID:pHjQoYLc0
>◆pm1SmnSF6s=弱気に低め
>久:巧打65+コンマ96=161
>玄:変化15+コンマ77=92

>玄:球威35−(久:長打55)=−20
>打撃結果判定20+20=40 【タイムリーヒット】!

菫「…………」

玄「…………」フルフル

久「(んー? 何投げてくるつもりかしら)」

打席に入り、久が構えると同時に――久からは見えないが、菫は玄へとサインを送る。
久の記憶の限りでは、基本的に玄はこの試合中首を振らない。
それが菫に対する信頼なのか、それとも単に思考停止で投げているだけかはわからぬが、
ともかく、これだけ玄が首を振るというのはこの試合初めての事だった。

状況が状況なだけに、玄が慎重になるというのもわかる話ではあるが――。

久「(普通なら、ここは松実さんが一番自信のある球を投げたがるってトコロなんでしょうけど)」

ピンチを抑えたい投手側の心理としては、やはり得意なボールで勝負をしたい筈である。
そして、玄の得意なボールといえばやはりストレート――それを生かすのはインコースへの抉るような際どい球である。
右投手が相手という事もあり、左打席に入っている久は右打席の時に比べてそうパワーが活かせる訳ではない。
ならばこそ、力で押し込むようにして1つアウトを取りたいと考えるのもうなずける、頷けるのだが……。

玄「…………」フルフル

久「(インコースで勝負しますって顔してないわよね……)」

玄「…………」コクッ

久「(ふーん……。 ……さて)」
801 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/13(火) 23:07:46.63 ID:pHjQoYLc0
菫「(1点は覚悟しなければならない場面……最悪ゴロを打たせようにも、
   竹井はあのツモのような叩きつけるバッティングを得意としている……ゴロの間に1点はしょうがない。
   だからこそ、インコースを突いてしまいたかったんだが……)」

玄「…………」

久の予想は当たっていた。
菫の要求したボールは、詰まらせる事を目的としたインコースへのストレート。
しかしながら玄はそのボールを頑なに投げる事を拒否した。
何故か。コントロールに悪い彼女の場合、このメンタルがあまりにも不安定な状況では最悪死球を与えて無死満塁にしてしまう危険性もある。
或いはインコースへのボールが甘く入れば、この狭い球場。簡単にスタンドへと運ばれかねない。
自分の制球にも球威にも自信が無い彼女は、インコースへと投げる事を拒んだ。

玄「(落ちる球で空振り……大丈夫、大丈夫! うまく引っかけさせればゴロだし……仮にヒットを打たれても、長打にはならない!)」

そして選んだボールは、落ちる球での空振り狙い。
玄はなけなしの勇気を胸に、投球フォームに入る。
その、初球であった。

久「残念ね……」

スッ!

玄「えっ!?」

カキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!

                             ,从  , 从
           __            _, /圭7 /圭7 _ -‐' ニニ≧==ー――  ―  ー= ニ 三
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  ヘ   〈ニ=-  >‐'””´ー ン´  , .':´. : . : . :`..‐-\__  _,ノ: . : . ノ: .ノ: . : . :./__`` 、     ノム !: . :.リ i!
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   ∧   \ ̄ _ __     ノ'´     「 ̄>、ニニ : . : .ィノノ : . : .:_,/: .{ ‘ .乂,ュ;ノ`   ,ィf苅゙ア: . :./
    ∧       辷=―        i:;ii:;:;:;:;:;:;:;:;>‐- 、 \: . : . : . : 〈 i!     ´     ゞ-’イ: . ,   「その低い落ちる球……私が1番大好きな球なのよ」
ヘ  ヘ ∧へ、   ニ=-` ‐- /二、 ‐- ヘ:ii:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\ ` ー '' } }         ,   /: ../
    ヽ. \ ` ̄   ― ‐‐    ヽ  ヽ  ̄ ⌒ ー≦、⌒ヽ‐-\   _,'ヘ   、_      ノ: . ,
  \   ヽ  、     ニ=―    :}   }       ヘ  マ:;:;:;:; ̄´:ムノ   \   ー ’  イ: .>
\.  \ ヽ   >  ,_        ::i   i!        ヘ  マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;ム    ` - <:.ヾr ´
\\  へ  、     >  ,_   ..:::i!   }     ',      マ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ム   / ̄: . : . /‐-、
   ヾ、    >、       ヽ ‐-::{  .リ      ヘ   ',  乂:;:;:;>-−゙: . ‐:.'"´: ..:./:;:;:;;ii:}`ヽ
           ` =―'    ヘ    }  ノ   _  ヘ  }    /-−''''アォ,ー--‐'";:;:;:;:;:;:;ii:}  Y
                      \_ノ_,ィ‐-、    ヽ ヽ ,'   /'´ \:;:;:;:;:;:;:ムー−7:;:;:;:;:;:;:;リ   }
                           > 、    ノ /      \:;:;:;:;:;ム  i!:;:;:;:;:;:/}   ヽ
802 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/13(火) 23:19:00.68 ID:pHjQoYLc0
玄の落ちるボールが、決して一線級のボールという訳ではなかったというのもある。
だが、仮に一流投手のフォークボールだったとしても、久のバットに空を切らせるのは至難の業。
左打席の久は、落ちるボールにはめっぽう強い。

初球、正に読み通りだった配球に久は迷う事なくバットを出した。
掬い上げるように、しかしフライにはならぬよう絶妙な角度で。
走りながら久が打球の行方を見てみれば、ボールは綺麗な弧を描いてセンター前へ。

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

玄「あ……」ヘタッ

その打球の行方を、同じく見ていた玄はその場に力無くしゃがみこみ。
急いでセンターの漫が跳ねるボールを拾っても時既に遅し。
3塁ランナーの睦月は見事に生還、2塁ランナーのやえは流石に帰れず――それでも3塁へ。

横浜応援団「いいぞ!いいぞ!竹井!!」「勝てる……勝てるんだ……!」「これはハマの龍神」

久「ふふふ、ま、ざっとこんなものね!」

タイムリーを放った久は1塁ベース上で満足げに笑みを浮かべ。

睦月「あの変態打ち……あれは間違いなく金城そのもの……」

ホームベースを踏んだ睦月は追加点に喜びながらも、久のバッティングに恍惚の溜息を吐き。

やえ「(……麻雀と野球、競技が違うとはいえ、あまりにも脆いな松実。 ……合同練習の際の意気込みはどうしたんだ)」

3塁ベース上のやえは、複雑な表情で玄へと視線を向ける。

玄は未だに立ち上がる様子すら見せなかった。
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/13(火) 23:21:12.47 ID:HGdkN66Co
おまかせあれしちゃうから・・・
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/13(火) 23:22:43.23 ID:LLAC/+R70
頑張ってクロチャー
805 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/13(火) 23:31:07.04 ID:pHjQoYLc0
………

健夜「あれ? これってもしかして凄くピンチなのかな?」

智紀「もしかしなくても大ピンチ」

そして、ドラゴンズ側ベンチ。
一部始終をここで見守っていたのは、リリーフ投手の智紀と監督である健夜。そして多数のザコプロさん達。
相変わらず健夜としては今がどれくらいのピンチなのか具体的にわかってはいなかったのだが、
それでも場の雰囲気やら得点の状況から割と大変である、という事だけは想像がついた。

智紀「……準備する? 今からだと、もう少し松実さんには耐えてもらわないといけないけど」

健夜「だ、駄目だよ! 沢村さんは体力無いから、早くても6回からの予定でしょ。 まだ3回だよ!」

智紀「でもこのままだとどう考えてもゲームはぶち壊し。というか今でも壊れかけ寸前」

3回裏で4点ビハインド。なおもノーアウト1・3塁。
おまけに玄は立ち直る気配すらないというおまけつきである。
ここから相手の打順は下位に向かっていくとはいえ、今の玄ではポコポコ打たれかねない。
体力的に厳しくても、智紀がここから投げるというのも致し方ない戦術ではある。

健夜「それでもエースは松実さんって言ったんだから、変えちゃ駄目だよ……。
   でもどうしたんだろう、本当に急に打たれるね。 気持ちを落ち着けたい所だけど……」

智紀「……一旦落ち着ける為にこういう場面だと投手コーチがマウンドに行くらしいけど、うちにはいない」

健夜「うん?」

智紀「……監督、行ってきます?」

健夜「え? 私? 行っていいの?」

智紀「別に監督がマウンドに激を飛ばしに行くのは禁止されてないから平気」

健夜「そうなんだ。 よし! それじゃあ監督らしい事してくるよ!」
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/13(火) 23:39:06.96 ID:LLAC/+R70
大丈夫なんか
807 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/13(火) 23:39:54.96 ID:pHjQoYLc0
健夜「みんな〜!」タタタッ

姫子「あっ、監督……って(なんでこの人笑顔やと?)」

ようやく監督らしい事が出来る、とこの状況には相応しくない表情でマウンドへと向かう健夜。
既にその場には内野陣が集まっており、中心には玄がいるのだが……。

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健夜「うわっ!?」

玄は、相変わらずその場に座り込んで立てず。
おまけにボロボロと大粒の涙を零していた。
思わず健夜が驚きの声をあげたのも、無理からぬ事である。

健夜「あわわわ……ど、どうしたの松実さん。 お腹空いた?」

菫「どうしてそこでお腹が空いたという発想が出てくるんですか……」

姫子「松実、いい加減泣きやまんと……」

玄「でも、でも……みんなの点、いっぱい取られちゃったよぉ……」
808 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 00:14:21.66 ID:Z5MuWGpY0
玄の脳裏にフラッシュバックするのは、やはり麻雀の全国大会の時の事である。
お任せあれ!と意気込んで臨んだはいいものの、点をムシャムシャと毟り取られた準決勝。
決勝はまだマシだったものの、それでもなすすべが無かったのは事実。
阿知賀の先鋒――エースとして一番手で挑んだにも関わらず、出来たのは足を引っ張る事だけ。
その事実は彼女の中でもトラウマであり、そして今また、その際と同じことをやってのけている。
エースとして先発を任されても、大量点を取られ、足を引っ張る。何も変わっていない。

智葉「……監督、やはりもう変えましょう」

健夜「ええ!? だ、だから駄目だよ。 沢村さんの体力が持たないでしょ」

智葉「それでもこのまま松実を投げさせるよりはいいでしょう。 ……もうマトモに投げられるような精神状態じゃない」

事実、今の玄がマトモに投球を続けられるかどうか――。
智葉だけでなく、周囲の者たちも薄々それは感じていた。

健夜「でも……やっぱり、松実さんに長い回投げて貰った方が勝てると思うんだけどなぁ」

菫「……松実、まだ投げられるか?」

玄「ぐすっ……。 ……でも、私が投げてもまた点入れられちゃいます」

玄自身の口からも、事実上これ以上は投げられないという言葉も出てくる。

玄「どこに投げても打たれる気しかしないし、何を投げても駄目なんじゃないかって……もうどうしたらいいかわかんないよぉ」ポロッ

竜華「ああ玄ちゃん、また泣いてる! ほらこれで拭き」

健夜「うーん……」

竜華からハンカチを受け取り、目元をぬぐう玄を見て健夜も唸る。
彼女の中では、玄を下すつもりは毛頭ない。毛頭ないが、本人にやる気が無いのならば無理強いも出来ない。
なんとかやる気を引き出せないだろうか、と頭を捻るもそんな妙案が思い浮かぶ訳もない。
小鍛治健夜。基本的には常識人枠ではあるが、ポンコツ気味で口も上手い訳ではない。
ただ、それでもなんとか励まそうと言葉を口にする。

健夜「でもまだ、松実さん全力出してないでしょ? もっとこう、ガーッとやっちゃおう!」

菫「は?」

智葉「は?」

健夜「……あれ?」
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 00:21:33.87 ID:8p/tou/A0
むう…やっぱりすこやんでは赤土先生みたいには行きませんか
って言うかすこやん…こう言う時こそ赤土先生達との麻雀バーのエピソードを話すべきかと
810 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 00:27:31.00 ID:Z5MuWGpY0
菫「……4点取られて全力で無いって、どういう事ですか。 松実が手を抜いてるとでも?」

智葉「どこからどう見ても、全力投球ですよ……」

そして、健夜の発言は菫らによって速攻で否定をされた。
当然と言えば当然である。
先ほどの場面はこれ以上点を絶対に与えてはならないという重要な場面。
あそこで全力を出さない――すなわち、手を抜く訳もないのだから。
むしろ隠していた力があるというのならば、菫も智葉も喜んで玄を続投させていただろう。

何いってんだこいつ的な視線を向けてくる菫達に、健夜は居心地悪そうに視線を泳がせるのだが……。

健夜「だ、だってその……松実さん、打たれてすぐに蹲ったでしょ?」

智葉「……それが?」

健夜「いやその、私、あんまり野球詳しくないけど……打たれた時も、投手って……色々カバーとかに走らないといけないんじゃなかったかなー……って」

玄「……ふぇ?」

健夜の言う通り、投手はヒットを打たれた後もカバーに走る必要性がある。
このカバーリングを怠る事で、失点の機会を増やしてしまうというケースも少なくない。
先ほどのタイムリーヒットで言うならば、バックホームの際、暴投となって捕手が捕球が出来ない可能性も考えて、
捕手の後方に走り送球がそれた場合でも素早く態勢を整える為のカバーリングを投手はする必要がある。

しかしながら、当然、玄は座り込んでいた為にそのカバーが出来ていない。

健夜「どうしてマウンドに蹲ったの?」

玄「それは……だって、私、打たれて……」
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 00:38:19.33 ID:8p/tou/A0
お?
此処はすこやん赤土先生だったらこうしたよ!って言いますかね?
812 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 00:46:23.70 ID:Z5MuWGpY0
玄としては、健夜の問いかけは予想外の言葉である。
打たれた事を詰られるのならわかる、或いは励ましてもう一度投げるようにとするのもわかる。
ただ、健夜は純粋にどうしてあの時カバーに行けなかったのか――何故蹲ったのかを聞いているのだ。

健夜「まだプレーが続いてたし、試合も続いてるんだから……自分のする事は、ちゃんとしないと駄目だよ」

打たれるのは仕方ない。ただ、その後の動作に健夜としては不満がある。
先に言っていた、『全力ではない』というのは、つまりはそういう事である。
そして、そうさせたのは、玄の心の中にある『甘え』に他ならない。

健夜「あそこでマウンドに蹲っちゃ駄目だよ」

健夜に言われた、蹲った事で出来なかった事を理解し、玄の頭は徐々に冷え始めていた。
無論、あそこでカバーに行っていた事で何かが変わった訳ではない。
どう考えてもタイムリーには変わりはないし、漫も悪送球をした訳ではないのだから問題は無い。
問題は無いが、しかし、やはりそれは玄の怠慢で、甘えである。

玄「はい……」

健夜「マウンドには、まだ立てる?」

玄「………………でも、また打たれたら」

竜華「クロちゃん、何を力んでるんや」

玄「清水谷さん……」

それでもやはり、尻込みする玄に横から声をかけたのは竜華である。
この2人、元々偶然にも全国大会前に知り合ったという経緯からか、はたまたやや天然気味な性格が合うのか、仲がいい。
そんな竜華は、玄を慰めるように声をかけた。
その目は優しかった。
813 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 00:59:50.69 ID:Z5MuWGpY0
竜華「5点でも10点でも取られたら、うちが取り返したる!
   うちらの本拠地と違ってこれだけ狭い球場やからな、バンバン打ったるで!
   やから、点取られる事気にせんと、ブンブン投げたらええ」

玄「…………」

姫子「打たれても、私が取るけん……って、これ何度も言うちょるね。
   でも、ほんとそんつもりやけん、気負わんと投げんね」

智葉「……お前がまだ投げるつもりなら、私は何も言わん。 惰性でなく、意志を持って投げるならな。
   ここまで私たちもノーヒットに抑えられているんだ、大きな事は言えん」

竜華の言葉に呼応するように、姫子、智葉も声をかける。
交代をさせるよう進言をした智葉も、本音を言えば玄がここから抑えられる――その兆しがあるのならば、続投をさせたい。
メンタル面だけが課題の玄。そこさえ改善されれば、まだまだこの先戦える筈なのだから。

菫「……どうする、松実」

玄「弘世さん」

そして、バッテリーを組む菫が最後に声をかける。
その表情は相変わらず険しいものだったが、それでも先の一回戦から玄と共に戦ってきた戦友だ。

菫「4点ビハインド、ノーアウト1・3塁。
  続く打者はザコプロではなく石戸だ、クリーンナップに比べれば劣るが、それでも組し易いとは言い難い」

玄「………………」

健夜「ここでマウンドを降りちゃ駄目だよ、最後まで、試合が終わるまで、あきらめちゃ駄目だよ……えっと……」

健夜「クロちゃん!」

玄「………………」

玄「…………」ゴシゴシ
814 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 01:06:04.21 ID:Z5MuWGpY0
健夜にそうハッパをかけられ、玄はもう一度目元をぬぐうと、ようやく立ち上がった。
ハンカチを竜華へと返すと、菫から白球を受け取る。

玄「(阿知賀の皆はここにはいない……お姉ちゃんもいない……でも……)」

まだ、期待をかけてくれる仲間がいる。
まだ、見捨てない女房役がいる。
まだ、甘さを喝破してくれる指導者がいる。

それは阿知賀の者たちとは違う、しかし、ここで出来た新たな絆でもある。

玄「(阿知賀の皆と一旦お別れをして……でも、こうして皆と出会えた。
   これ以上迷惑をかけたくない、だからここで降りるのも、って、思ってたけど……)」

ぐっ、と手の中の白球を握る。

玄「(まだ、私に出来る事があるなら……!)」

玄「……投げます!」

健夜「……うん、それじゃあお願いね」

菫「1アウトずつ、しっかりと取っていこう。 いけるな?」

玄「はいっ!!」

                                        __
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                {:(       /" ̄ ̄ ̄ ̄/::/::::::/::|:::::!__/;イ::/l:::斗!|:{ |:| l:「!i:}
                   \.、      /´      /::/:::::/彡|::´|::///ノ/:::ムリ.lλ|| |j |リ
                       ` `ー――- __ , イ/::/::::/:,. 、::l:::::l伝丁` ム '乏灯ハn /.ハ
                       `二ニ=‐-::::::::::::::::::::/:/:: {⌒゚l :::代ツ     ゞ' ハ::〈イ ヾ {
               , -‐:::二_____:::::::::__//::::::::人___l:::::|""    ` ".::l::::::ヽ_  У`ー-
. __       \、  // ̄  , ィ´:::::::::::::::::::::::::ア::://__  イ l:::::|  ( ̄ア  イ:::|:::::::|入 ̄       `ヽ   「この松実玄に、お任せあれっ!!」
_ヽ\マ、      `ー//===テ´:::::::::::::::::::::,、::::>-‐´ ̄ ̄    八 l:::::ト` x _´ .イ .l::::|:::::@ `ト         \
.\`   `>==イ`ー┴' ̄`´ ̄`ー….  ̄ - _  \     |     ヽlλ|/Yヽ_レ、 人/イ::ハ  `  、         }
.r- `  /ミ             ` ー _      - _ \  .|     ヾ「 ̄`r{:.:.:.:.{ { 彡イ::::::ヽ_  ヘ      __ノ
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          アァ―ァ‐‐ァ‐-‐ァ…'ー―‐--   ____/        ー、:.`:./ λ:.:/ :.    }::::::|ヽ.
          //  {::::/_ イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::/ `ヽ、.      ヽ∧/  ´  |     l:j::::| リ
       `ー=ニ二二__::::::::::::イ:::::::::::::::/_r‐く    `       o      丿  ノイ:::ノ
        `ー―一'::::::::::::::/| ̄`>‐  ̄      ヽ、    ィ __    ´   ー‐ '
           ` ー―一「 ̄ ̄:.:/   くヽ         ー一o  /
                マ:.:.:.:.:./    \\       o   r´
                      }:.:.:.:ハ      ー`   -―一 ´ r'ーf
                rー ´:.:.:.ヽ      \    o __ィ  /__:.:|
                 ヽ:.:.:.:.:.:.:/\__      ` 大o  /:.:.:.:`ヽ
                     \:.:/:./:.:.:.:.:.:`ヽ   /{:.:|ヽ/:.:.ヽ:.:.:./
                      `У:.:.:.:.:.:.:.:ハ`´:.:.:.:ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:〉´|
                    ィ'`ー、:.:.:.:.:{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:\_/ λ
                   {三三三天 ̄ ̄|:.:.:.:.:.:._イト----一 /|
                     ` ̄` <_入    ̄ ̄_ハ|////////|
                          `マ ̄ ̄///ハ.////////|
                           V//////∧///////
                           ∨/////.∧//////’
                              ヽ//////ハ/////.j
815 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 01:12:41.51 ID:Z5MuWGpY0
………

こうして玄が立ち直ろうとしていた頃。

漫「……寂しい」

主力メンバー唯一外野陣の漫は、輪に入れない事に溜息を吐いていた。
マウンドで盛り上がっている一同が、なんとなく羨ましい。

漫「でもしゃーないか……っていうか、松実さん続投なんやな。 てっきり監督も出てきたから交代なんかな思ったけど。
  ……ん?」

話し合いが終わったのか、マウンドから退散する健夜、そして散り散りになっていく内野陣。
漫はなんとなしにその背中を見ていたのだが――不意にマウンドに立つ、
玄の尻ポケットの中身が、何やら淡く光るのをその視界に収めた。

漫「……なんや?」

それはほんの一瞬の事で、しかし、見間違いにしてはやけにくっきりと――大きく光は灯った。
彼女が知る由もない。

玄「(抑えるんだ……今度こそ! 私の、全力で!!)」

自身の甘さを自覚し、それを捨てようともがく少女。
この絶望的なピンチに、逆に闘志を燃やして立ち向かおうとする少女に、
正真正銘のエースの力が今正に宿ったという事を。

【アナウンス】松実玄が新規カード【?? ??】を入手しました。
       松実玄のスキル【乱調】 【豆腐メンタル】が除去されました。
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 01:13:04.84 ID:p/pq1/Om0
ここでホームランめっちゃ打ちたくない?
817 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 01:13:27.35 ID:Z5MuWGpY0
という所で安価ありませんが一旦ここで区切らせていただきます。
お疲れ様でした。
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 01:14:33.09 ID:jaGutv72O

ホームラン出たら面白いな〜
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 07:00:24.69 ID:gVNo7cMHo

みんな言うことが畜生でワロタ 気持はよく分かる
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 08:09:35.71 ID:1eFukrLu0
おかしい
敵のはずなのにクロチャーを応援してしまう
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 09:06:33.35 ID:BymDy1lFo
すこやんェ……って言うつもりだったけどちょっと監督してた
でもやっぱりすこやんェ……
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 09:07:22.67 ID:8p/tou/A0
>>820
其処が玄ちゃーの玄ちゃーたる由縁!
果たして玄ちゃーが新たに手に入れたカードは京太郎くん達の脅威となり得るのか?
あ…乙です
823 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/14(水) 22:04:54.10 ID:Z5MuWGpY0
本日も更新はお休みさせていただきます。よろしくお願いします。
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 01:19:01.12 ID:BfbZTT560
クロチャーの新カードは誰だろうな?
3回4失点の何があかんのですか?
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 18:22:40.29 ID:gfOc+fE5o
防御率12.00なんだよなあ……
でもここからクロチャーが無失点を続けるようになると考えるとむずかしい試合展開になるかもわからんね
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 20:11:26.69 ID:gP+lo/ujO
この試合て前回みたくオートになることあるん?
熱い展開になってきたけどここからバカスカ点入ったらどーなるんやろか
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 20:48:33.57 ID:I5ADMCv70
七夕の夜、プリアムに同点ホームランを打たれたあのピッチャー?
828 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/15(木) 21:17:52.53 ID:p6G7EBEj0
申し訳ありませんが本日も更新はお休みさせていただきます。明日は出来ると思います。
>>826
逆転が厳しいだろうなと判断したらオートにすると思います。
前回の試合と違い、ドラゴンズ側も打線が割と強力なので若干条件は厳しいですが。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 22:25:53.55 ID:gfOc+fE5o
はいよ
ざっと計算したけどそろそろクロチャー体力消耗でステ下がりだすのではww
せっかく乱調抜けたところ悪いが
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 19:24:31.55 ID:FcMpTNNYO
クロチャー覚醒は熱いけどあまり活躍され過ぎても困るジレンマ
悲しいけどこれ戦争(試合)なのよね
京ちゃんもこんなところで負けるわけには行かないのだよ…
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 20:43:19.69 ID:4qSU9kfBo
戸柱カードに得点圏の鬼スキルをつけよう(提案)
832 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/16(金) 22:24:55.82 ID:IWoaaV9J0
どうも乙ありです。もう少ししたら再開します。
833 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/16(金) 22:42:35.35 ID:IWoaaV9J0
DJ「6番 キャッチャー 石戸ぉぉぉぉ霞ぃぃぃぃぃ!!!」

ワアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

横浜応援団「きた!得点圏の鬼きた!」「得点圏でだけ阿部になる捕手」「得点圏絶対打つマン」

霞「(マンじゃないのだけど……)」

そして、試合が再開され……打席に立つのは6番打者、霞。
ノーアウト1・3塁、外野に飛べば――3塁ランナーがやえの為不安ではあるが犠牲フライも可能。
内野ゴロ、ゲッツーでも1点は取れるだろうという展開である。
要は、バットにさえ当てれば――という場面である。

霞「(私の役目は綺麗にヒットを打つ事じゃない。とにかく、加点をする事……その為にも形にはとらわれない)」

元々、霞自体、決して打撃力の高いタイプの選手ではない。
目的をヒットを打つ事ではなく、犠牲フライでもいいから点を取る事とうまく割り切った。
対して、マウンドに立つ玄はロジンを手に取りながら息を一つ吐く。

玄「(1つアウトを取る事だけ……とにかく、アウトを1つ1つ丁寧に取っていくんだ……)」

気負いはある。
懼れもある。
それでも、玄は闘志を燃やしマウンドに立った。

玄「(負けられない……みんなの為にも、負けられない!!)」
834 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/16(金) 22:44:25.83 ID:IWoaaV9J0
【アナウンス】松実玄のステータス更新

                                        __
                                      ´:::::::::::::::::::::`  、
                                  /:::::::::::/::::::::::::::::::::::::::\
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                 ィ        ,.   -――-j::::/::::::/l::::::/:::::::::: /::|::::::::l::::_:λヽ:.
                {:(       /" ̄ ̄ ̄ ̄/::/::::::/::|:::::!__/;イ::/l:::斗!|:{ |:| l:「!i:}
                   \.、      /´      /::/:::::/彡|::´|::///ノ/:::ムリ.lλ|| |j |リ
                       ` `ー――- __ , イ/::/::::/:,. 、::l:::::l伝丁` ム '乏灯ハn /.ハ
                       `二ニ=‐-::::::::::::::::::::/:/:: {⌒゚l :::代ツ     ゞ' ハ::〈イ ヾ {
               , -‐:::二_____:::::::::__//::::::::人___l:::::|""    ` ".::l::::::ヽ_  У`ー-
. __       \、  // ̄  , ィ´:::::::::::::::::::::::::ア::://__  イ l:::::|  ( ̄ア  イ:::|:::::::|入 ̄       `ヽ   
_ヽ\マ、      `ー//===テ´:::::::::::::::::::::,、::::>-‐´ ̄ ̄    八 l:::::ト` x _´ .イ .l::::|:::::@ `ト         \
.\`   `>==イ`ー┴' ̄`´ ̄`ー….  ̄ - _  \     |     ヽlλ|/Yヽ_レ、 人/イ::ハ  `  、         }
.r- `  /ミ             ` ー _      - _ \  .|     ヾ「 ̄`r{:.:.:.:.{ { 彡イ::::::ヽ_  ヘ      __ノ
. `  ̄└- _                   ―       ` /        入:.:.:水\__ト |  ̄ ヽ:::::ヾ、  ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄
          アァ―ァ‐‐ァ‐-‐ァ…'ー―‐--   ____/        ー、:.`:./ λ:.:/ :.    }::::::|ヽ.
          //  {::::/_ イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::/ `ヽ、.      ヽ∧/  ´  |     l:j::::| リ
       `ー=ニ二二__::::::::::::イ:::::::::::::::/_r‐く    `       o      丿  ノイ:::ノ
        `ー―一'::::::::::::::/| ̄`>‐  ̄      ヽ、    ィ __    ´   ー‐ '
           ` ー―一「 ̄ ̄:.:/   くヽ         ー一o  /
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                   {三三三天 ̄ ̄|:.:.:.:.:.:._イト----一 /|
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                          `マ ̄ ̄///ハ.////////|
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                              ヽ//////ハ/////.j

・松実玄

右投げ右打ち 守備位置:投手

所有カード:一場靖弘(楽)、????(ロ)

球威60 変化50 制球E 体力80
巧打20 長打20 走力20 守備30

【ドラゴンシュート】
右打者相手の内角攻めの際に発動。
球威・変化を+10して判定。

【お任せあれ!】
先発時能力。3回まで球威・変化+10。

【??】
????

【??????】
????
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:48:21.32 ID:4qSU9kfBo
ロッテ……? 涌井さん? ううん 未だに西武イメージ強いんだが
836 : ◆pm1SmnSF6s [saga]:2017/06/16(金) 22:49:47.97 ID:IWoaaV9J0
ララララーラーラーラーラーラーラー ララララー

我らーの星横浜ー 戦えー 誇りを胸にー

霞「…………」

玄「…………」

チャンステーマが鳴り響く中、玄はセットポジションから菫の要求するボールを投じる。
菫の要求したボールに対する疑念も、もう無い。

玄「(弘世さんは私を信じて、ずっとミットを構えてくれてるんだ!
   だから……私もそこを信じて、投げぬく!!)」

おもちに対して以外は、執念や執着というものを見せず、
温厚で、アホの娘で、感情豊かではあるが闘争心というものは皆無に近い玄。

玄「やぁぁぁぁっ!!!」ビュッ!!!

しかしこの時、彼女は初めて、その闘志を剥き出しにして真向から霞に挑んだ。
エースと呼ばれた力を目覚めさせて。

松実玄の【??のエース】発動 先発時限定。ビハインド時発動、点差×10球威・変化に補正をかける。最大+30まで。
               現在+30。

レフト側守備力合計:20+62+20+15=117
センター側守備力:30+62+60+30=182
ライト側守備力:10+60+20+15=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:49:57.10 ID:4qSU9kfBo
引っ張り
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:50:26.52 ID:TMuXEyTDO
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:50:53.09 ID:3KCBr20A0
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:51:01.85 ID:PugBPPyZo
むーりー
841 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/16(金) 22:51:42.15 ID:IWoaaV9J0
(トリップ変えるの忘れてましたけどそのまま進行でいいですかね?)
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:52:19.05 ID:3KCBr20A0
おk
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 22:53:04.10 ID:4qSU9kfBo
ウィース
844 : ◆pm1SmnSF6s [saga sage]:2017/06/16(金) 23:08:13.55 ID:IWoaaV9J0
>◆pm1SmnSF6s=弱気に低め
>霞:巧打50+コンマ10−読み外し−30=30
>玄:変化50+52=102
>【アウト】

霞「!?」

フォームは決して大きく変わった訳ではない。
球速にしても先ほどまでと大きな変化がある訳でもない。
ただ、その『球質』は先ほどまでの玄のボールとは雲泥の差だった。

霞「っ!?」

ググギィッ!!

玄「私が取ります!」

球威に押され、初球から振っていった霞の打球は大きく打ちあがる。
それが外野まで飛べばよかったものの、平凡な内野フライ。
内野陣が集まろうとするのを手で制しながら、玄はほぼ定位置から動かずボールをグラブへとおさめるのだった。
結果、ピッチャーへのフライ。

玄「……よし!」

霞「……京太郎くん、気を付けて」

京太郎「……なんか、見た感じ、変わりましたね松実さん」

霞「ええ。 ……4点を取られて、あのピンチで、さっきまで泣きそう……というか実際に泣いてた人とは思えないくらい、
  今の松実さんは自分のボールに自信を持って投げてるわ」

霞「……まるで別人みたいよ」
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:16:58.14 ID:0WwY7YgN0
スクイズって成功率どんくらいかな?
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:18:07.76 ID:b8U/71EzO
流石に強くなりすぎ
弱体消えて、複数強化スキルついたのか?
追加点、キツくね?
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:18:55.11 ID:4qSU9kfBo
バント判定は>>6
にしても新スキルのお陰で体力切れ狙うにしてもキツイな
848 : ◆2bPkeEfWnE [saga]:2017/06/16(金) 23:18:56.51 ID:IWoaaV9J0
霞の言う通り、今の玄は生き生きとした表情でマウンドに立っていた。
4点を取られ、死に体という有様――では断じてない。
一体何が彼女の投球を変えたのかはわからないが、それでも、霞の言うように注意が必要。
先ほどまでのように、簡単にヒットを打てるとは思わない方がよさそうである。

京太郎「(でも、いくらいいボールを投げるようになったって言ったって……。
     そろそろ松実さんも球数はずいぶん投げてるから、球威も落ちてくる筈)」

しかし、どれだけいい投球を復活させたといっても――ここまでに玄が投げた球数は多い。
元々コントロールが悪く球数が嵩む傾向にあるタイプな上に、
初回、そしてこの回と打者に立て続けに打たれて精神的な疲弊も多分にある。
そこさえ突けば、自分の打力でも付け入る隙はあると京太郎は考えていた。

実際、京太郎の考えは間違ってはいない。
問題なのは。

玄「(まだ降りられない……! 降りる訳にはいかない……!!)」ゴッ

松実玄の【闘志】発動 体力が29以下になった際、一度だけ最大体力の半分体力を回復。

時として、気持ちは限界に来た身体を強く動かすという事。
闘志をそのフォームに漲らせ、玄は京太郎相手にも加減無しにボールを投げ込んでいく。

レフト側守備力合計:20+62+20+15=117
センター側守備力:30+62+60+30=182
ライト側守備力:10+60+20+15=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:19:05.81 ID:PugBPPyZo
流し打ち
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:19:09.41 ID:3KCBr20A0
盗塁
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:19:19.81 ID:cpMfdXH4O
そい
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:20:43.04 ID:i0N50j4iO
どやぁ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:21:47.90 ID:4qSU9kfBo
盗塁はコンマ判定だけどだいぶ厳しかった気がするぞ
しかし60くらいまで体力回復したのかこれww
854 : ◆2bPkeEfWnE [saga sage]:2017/06/16(金) 23:24:47.24 ID:IWoaaV9J0
>>844の計算も??のエースとお任せあれ効果でクロチャーもっと数値高かったですね。
やっぱお酒入ってる時に更新しない方がいいですね申し訳ない。結果は変わりないのでそのまま進行します。

>>846
このクロチャーも前回の誠子さんも、対戦チームの覚醒枠なので……。
覚醒するのも4点ビハインドの場面からなのでご了承下さい。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:28:09.81 ID:4qSU9kfBo
手計算なので間違ってる可能性もあるが
70-27-6-13+40=66か 消耗分ほぼ消えた
856 : ◆2bPkeEfWnE [saga sage]:2017/06/16(金) 23:28:24.44 ID:IWoaaV9J0
>◆2bPkeEfWnE=インのクロ
>京太郎:巧打45+コンマ81−読み違い−20=106
>玄:変化90(お任せあれ!+10 ??のエース+30)+コンマ41=131
>【アウト】 【2アウト】

という所で短いですが一旦ここで区切らせていただきます。
クロチャー強化し過ぎって気もするかもしれませんが、既に4点リードしてるのでこんなもんという事で納得してもらえるとありがたいです。
それでは。
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:31:16.17 ID:4qSU9kfBo

で、62かな 先発のスキル差で後半苦しくなってきそう
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 23:35:15.69 ID:3KCBr20A0
乙です
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 00:26:25.06 ID:LTmNDFU/0
乙ー
補正は未だしも、体力回復はずりぃ
何だよそのスキル…京ちゃんにも欲しいわ……
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 00:49:26.34 ID:SQHG4t3jO
確かに闘志は是非欲しいスキルだな
エースがどれだけ長く投げてられるかは非常に重要な要素だし
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 01:34:09.37 ID:k+Pc1bH2O

これで試合ひっくり返されたら大変になるなぁー気合い入れていかないと・・・
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 01:39:17.23 ID:IqgVCEKXO
乙ー
まぁ4点差あるしある程度はね
ただこれで万一京太郎が打ち込まれたりしたら同じように何かしらの救済措置はもらえるん?
ぶっちゃけ相手の打力高いしコンマ次第じゃ追いつかれることもあり得るよね
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 10:41:35.71 ID:2xX0SKs20
相手は控えの投手居て更に体力回復持ちだから追加点難しいしキツイな
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 19:42:30.86 ID:e5BmR/eOo
戸柱 is GOD
このままだと京太郎が先に体力切れるな そうなるとエースについて今後問われるイベントが起きるかもしれん
865 : ◆2bPkeEfWnE [saga sage]:2017/06/17(土) 22:51:16.59 ID:EZYRsLyh0
どうも、今日も更新はお休みさせていただきます。明日は出来ると思いますのでよろしくお願いします。
866 : ◆2bPkeEfWnE [saga sage]:2017/06/18(日) 22:13:29.99 ID:M9glplqp0
ごめんなさい、今日も出来そうにないです。申し訳ありません。
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 22:21:16.64 ID:+x1N0Mfqo
はい
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 22:23:45.91 ID:o7VCEha20
待ってる
869 : ◆2bPkeEfWnE [saga sage]:2017/06/19(月) 21:43:27.06 ID:w1jUgi610
飯塚くんに勝ちがつかったどころか負けたのがただただ悔しいですが、
それでもあれだけの投球が出来たのはポジポイントだと思います。
なんにせよこれで交流戦五割ピッタリ。リーグ戦に戻っても頑張って欲しいです。

もう少ししたら再開します。
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 21:46:42.53 ID:O7UqniNlo
飯塚くんほんとかわいそうだった つらい
871 : ◆2bPkeEfWnE [saga sage]:2017/06/19(月) 22:09:24.00 ID:w1jUgi610
>◆2bPkeEfWnE=インのクロ
>京太郎:巧打45+コンマ81−読み違い−20=106
>玄:変化90(お任せあれ!+10 ??のエース+30)+コンマ41=131
>【アウト】 【2アウト】

ズッバァァンッ!!

京太郎「……は?」

アァァァイッ!!

玄「よーしっ!!」

思わず口から間抜けな声を出しながら、今一度ミットに吸い込まれたボールを見やる京太郎。
一方でその球を投じた玄は、大きくガッツポーズを取る。
1−2と追い込まれてからの4球目、玄の投じた内角へのストレートに京太郎は反応すらできず、
球審の甲高い声が上がり見逃しの三振。

別にその結果自体は、おかしなものではない。
いくらザコプロより打力が上とはいえ、京太郎のベースは投手。
ここまで4失点しているものの、玄の地力は疑う余地も無いのだから安易にアウトを取られる事自体は不自然ではないのだ。
問題は……。

京太郎「(さっきの回より、打ちにくい……! でもなんでだ?)」

球速に変わりはない。
追い込まれるまでのボールも、変化球は投じられてはいたが、先ほどの回と然程変わったような変化はない。
ただ、打てない。
手が出ない、出せても打てる気が今の京太郎にはまるでしない。

睦月「………………」

京太郎「睦月さん……あの、松実さんの事ですけど」

睦月「……うん。 明らかに、さっきまでとは投げてるボールが違うね」
872 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga]:2017/06/19(月) 22:26:23.43 ID:w1jUgi610
ベンチに戻った京太郎がまず声をかけたのは、ベンチ最前列で玄の投球を見守る睦月である。
このチームの中で随一の野球ファンである彼女の観察眼は本物であり、
偵察なり合同練習の際には彼女の意見が大いに参考となっている。
そんな彼女の目から見ても、玄の投球内容は明らかに先ほどまでとは違っていた。

睦月「………………」

美穂子「確かに2人を相手にアウトを取ったけれど……投げてるボール自体はあまり変わりないように見えるのだけど」

睦月「そうですね……ただ、相手打者に向かっていく姿勢がさっきまでとはまるで違う」

睦月の視線の先では、8番打者のザコプロがバッターボックスに入る所。
2アウト1・3塁……まだまだピンチは続いている場面。
しかしながら、マウンドの玄は落ち着いた様子――否、闘志を燃やした様子で菫とサインを交換している。

京太郎「もしかして……松実さん、新しいカードを手に入れたとか? 睦月さんや美穂子さん、霞先輩も新しいカード持ってますし」

哩「試合中にカードば拾ったってこつ? ……流石にそげんこつはなかろ、こげん場所で偶然カードば拾うこつなんてなかやろし」

良子「いえ……」

確かに哩の言うように、偶然カードを拾うという可能性は――この球場で試合をしている限り、低い。
玄はあれからマウンドを一度も降りておらず、そのような機会はまるでなかったのだから。
しかし、そんな哩の言葉を良子は否定しながら……マウンドに立つ玄から視線を外さない。

良子「前回の試合でも、亦野さんが最後の打席で更なる力を発揮したように、
   或いは松実さんも新たなパワーに覚醒した可能性もあります……」

京太郎「覚醒したって言っても……でも、見た限りでは投げてるボールの球速や変化は変わりない筈なんですよね。
    本当に、睦月さんが言ってるように、メンタルが変わったくらいしか変化が無いような……」

言いながら、京太郎はマウンドへと視線を向ける。

ザコプロ「ここで空気を読まず打っても構わんのだろう?」

玄「(3人目……ここを打ち取れば……!!)」

レフト側守備力合計:20+62+20+15=117
センター側守備力:30+62+60+30=182
ライト側守備力:10+60+20+15=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:26:47.83 ID:o7oaGsCA0
スクイズ
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:26:57.82 ID:NZHLYIyd0
ドラゴンロード
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:28:02.87 ID:T/O+cazIo
はいよー
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:28:05.72 ID:O7UqniNlo
ほい
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:28:30.63 ID:NZHLYIyd0
ごめん。コンマがこんな時に限って良いの出してしまう……
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:33:53.97 ID:O7UqniNlo
コンマだし気にするな
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:34:48.97 ID:NZHLYIyd0
こういう時は低コンマが出てくれると嬉しいんだが……
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:38:54.10 ID:T/O+cazIo
まあ言うてザコプロやし
881 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/19(月) 22:40:31.20 ID:w1jUgi610
>◆2huqCiiAOFM/=クロチャーイン
>ザコプロ=スクイズ(2アウトなのでセーフティスクイズ) コンマ83
>【失敗】 【3アウトチェンジ】

打っても構わんのだろう?と言いながら、しかし、実際の所、ザコプロは玄の球を打てる気がまるでしなかった。
よってこの時、彼は小技を駆使した。
2アウトからのスクイズ――セーフティスクイズである。

コンッ

ザコプロ「うげっ」

しかしながら、これが小フライとなってしまう。
元々、玄の直球には威力がある――ただでさえバントでボールの勢いを殺す事が難しい上に、
セーフティである以上はヒッティングの構えからバントをしなければならない。
よってこのザコプロのバント失敗は、致し方ないものと言えるだろう。

ダダダダッ!! ズザーッ!!

玄「やぁっ!!」パシッ!

ザコプロ「おお、もう……」

それでも、小フライは微妙な所へと打ちあがったのだが……。
ザコプロの構えを見て猛チャージをしていた玄が、滑り込みながらキャッチ。
これには走り出していたザコプロも項垂れ――3アウト、チェンジとなってしまうのだった。

玄「(やった! やっと……やっと3つ、アウトを取れた……)」

菫「よく1点で踏ん張った、松実。 ……ここからだぞ」

玄「はいっ!!」
882 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/19(月) 22:51:24.02 ID:w1jUgi610
京太郎「(……特別フィールディングが上手いって訳でもない)」

そして、この光景をベンチから見ていた京太郎はそう反芻する。
今の玄の守備はファインプレーと言って差し支えない――が、もっと守備が上手い投手ならいくらでもいる。

ストレートの球速がある訳でもない。
キレのある、ウイニングショットを持っている訳でもない。
特別守備が上手い訳でもない。
精密なコントロールを持っている訳でもない。

京太郎「(ただ……なんだろう、あの溌剌としたプレーは)」

三振を取った時には叫び、守備には全力で。
つい先ほどまでの玄からは想像もつかないその姿に、京太郎は首を傾げると共に小さく胸を打たれていた。
それは尊敬と、羨望と、そして嫉妬を綯交ぜにしたかのような複雑な感情。
かぶりを振って冷静になろうとする京太郎は、不意に睦月へと視線を向ける。

睦月「………………」

睦月は小さく溜息を吐きながら、京太郎と視線を交じらせた。

京太郎「睦月さん、松実さん……やっぱり新しいカード持ってると思いますか?」

睦月「……うむ」

京太郎「……何を持ってるか、ってわかります?」

睦月「うむ……散々聞かされたし、検討がつくよ。 ……新しいカードを手に入れたのか、4点入れた後でよかった」

美穂子「やっぱり、強いカードなのかしら?」

睦月「うむ。 ……強いなんてもんじゃない。 歴史に名を残すエースです」
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 23:03:12.16 ID:O7UqniNlo
ロッテで歴史に名を残す?
まさか伊良部?
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 23:10:27.55 ID:5K89MAHd0
黒木かな?
885 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/19(月) 23:19:41.79 ID:w1jUgi610
霞「歴史に……」

睦月のその言葉を聞いて、思わず周囲の者たちはどよめく。
悲しいかな、このチームのエースである京太郎も――そしてリリーフとしても使える睦月も、
所持する投手カードはお世辞にもエース級のものとは言い難い。
ただ、そのどよめきに対して睦月は小さくかぶりを振る。

睦月「……球史に残ってるのは、どっちかというと不名誉な名前の方だけどね」

久「不名誉?」

ベンチへと戻ってきた久の疑問に今度は首を縦に振ってから、睦月は一同に問いかけた。

睦月「NPB――日本のプロ野球での最大での連敗記録って知ってる?」

京太郎「……確か、ロッテの18連敗ですよね」

睦月「うむ。 ……それ以前までは、16連敗までが最大の連敗記録だったんだ。
   その記録を更新する――17連敗目。 9回2アウトまでいきながら、最後の最後で被弾をして勝ちを手放した投手がいる」

睦月「追いつかれた後、ロッテはそのまま逆転負け。
   ……この日が7月7日、七夕だった事から、この事は七夕の悲劇とも呼ばれてるんだ」

睦月「……松実さんが持ってるのは、多分その時の投手のカード」

暗いトンネルへと迷い込み、光を求めて闘志を燃やし。
吠え、抗い、それでも見放されてどん底を味わった投手。

睦月「【悲劇のエース】、ジョニー黒木――【黒木知宏】だ」
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 23:20:51.66 ID:O7UqniNlo
あー 魂のエースか それで闘志か
887 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/19(月) 23:21:09.19 ID:w1jUgi610
【黒木知宏】
元千葉ロッテマリーンズ所属。現役引退済み。
いわゆる『七夕の悲劇』で有名になった、ロッテを代表するエース。
愛称は「ジョニー」

七夕の悲劇ばかりが先行するが、その年には最多勝と最高勝率のタイトル2冠を達成している。

特別早い球を投げる訳ではない。
決め球となる変化球を持ってる訳でもない。
抜群の制球力を誇ってる訳でもない。

しかし、溢れる闘志を燃やしながら、吠えながら投げるピッチングスタイル。
暗黒期にあったロッテの中で、遮二無二となってエースとしてチームを支え続けた男。

よく投手を評価する際に使われる「マウンド度胸」だとか、「投げっぷりがいい」だとかいう、
いまいち球速や変化球に比べてどう受け止めればいいのかわからない評価。
その評価を最大限までに高めた投手が、彼だろう。

闘志、根性、何よりも気持ちを感じる――ロッテが愛した、そしてロッテを愛した、
球史に名を残す――海風受ける大エース。
888 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/19(月) 23:24:10.96 ID:w1jUgi610
というところで一旦ここで区切らせていただきます。
豆腐メンタルのクロチャーがちょっと闘志を燃やしたらクロちゃんになったという話でした。
それでは。
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 23:26:33.39 ID:O7UqniNlo
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 23:28:16.92 ID:5K89MAHd0
乙です
やえさんはクロチャーの覚醒に喜んでそうやね
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 23:32:24.78 ID:T/O+cazIo
乙ー
ジョニー黒木は幼な心にも何かくるものがあった…好きだったなー
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 01:19:52.33 ID:LTh0YDYh0
ジョニー…パワプロとかやきゅつくとかではあんまり使えないんだよな…
893 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/20(火) 21:51:35.77 ID:XcnFFp0O0
本日も更新はお休みさせていただきます。それでは。
894 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/21(水) 22:28:06.61 ID:I6w3aMP40
本日も更新はお休みさせていただきます。よろしくお願いします。
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 23:24:26.50 ID:NTf7BndF0
了解しました。待ってるよー
896 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/22(木) 22:27:00.07 ID:fhuN+KWP0
ごめんなさい、今日もお酒が入りすぎた為更新をお休みさせていただきます。
明日は出来ればなと思います。
897 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/23(金) 22:58:34.38 ID:rYk6tR/i0
遅くなりましたがもう少ししたら再開させていただきます。
悔しい負け。
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 23:14:16.79 ID:U9PUEkRio
この間のオリ戦といい負け方がひどすぎますよー
899 : ◆2huqCiiAOFM/ [saga sage]:2017/06/23(金) 23:26:00.71 ID:rYk6tR/i0
京太郎「ジョニー黒木……ですか」

睦月の言葉を聞いて、しばらく誰もが口を開けなかったが……。
そんな中、重々しく口を開いたのは京太郎である。
彼も、実際に黒木の全盛期を生で見た経験は無い。
野球にある程度詳しいとはいえ、熱烈なファンという訳でもないのが京太郎。
しかも、当時は現在とは違いパ・リーグの中継というものは殆ど無かったのだ。
見る機会がまるで無かった、というのも仕方のない話ではある。

ただ、そんな京太郎でも名前と偉業は知っている。
千葉ロッテマリーンズのエース――黒木知宏の名くらいは。

京太郎「……それを考えると、追加点は難しそうですね」

睦月「うむ……いや、こちらにも金城のカードを持つ竹井さんや石川のカードを持つ福路さんもいるし、戸柱のカードを持つ石戸さんもいる。
   名前負けはしてないよ!」

京太郎「(どう考えても名前負けしてるような気がするんだけどなぁ……)」

それでもそれを指摘しない辺りが大人である京太郎であった。
一方……。

やえ「(エースか……)」

そんな会話を聞きながら、やえはじっと三塁側ベンチに戻っていった玄へと視線を向ける。
先にも散々述べた通り、彼女が玄に対して持っている執着心は相当なもの。
ここまでまるでそれらしい結果を見せていない玄に失望に近い念を抱いていたが……。

やえ「(そうでなくては面白くない……松実……次の打席が本当の勝負だ)」

リベンジに燃えるやえは、そっと心中でそう呟いた。
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