モバP「鼓動が聴きたいなあ」飛鳥「やれやれ」

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43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 08:14:52.53 ID:WgMT7SWMO
@
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 00:27:24.15 ID:WEHPi2yx0
P「……………………」

??「起きてくれ、P」ユサユサ

P「……んん? 飛鳥……?」

飛鳥「何度もすまないが、まぁすぐに寝かしつけられるのだから我慢してくれ。しばらく文香さんの都合が良い日にボクかありすが同伴することになったからね」

P「うん…………うん……? あれ、文香は……?」

飛鳥「文香さんならほら、そこだよ」



文香「……ありすちゃん、どうですか?」

ありす「はい……とても柔らか、じゃなくて、温かくて……Pさんが心安らかに眠れる理由も分かるような気がします……」



P「…………何でありすを胸に抱いてるんだ?」

飛鳥「キミを寝かしつけられるようになりたいというから、練習にどうかってね。文香さんとはボクよりも長いありすの方が適役だろう?」

P「……? あれ、俺、文香に寝かせて貰ってた気がしたんだが。それはもうぐっすりと」

飛鳥「寝ぼけてるのかい? あぁそれと、大事な仕事が入ってる日とか今の内に予定を教えておいてくれないか。毎日は無理でも、キミにとって外せない大事な日ぐらいはボクらとしても万全に臨んで欲しいしね」

P「うーん、しばらくは大丈夫だったような」

飛鳥「ふむ、では聞くことも聞けたし今日のところはお暇するとしよう。さぁP、おいで」

P「? なんで?」

飛鳥「なんでって、キミを寝かしつける前に帰ったらボクらが此処に来た意味がないだろう?」

P「ああ、そうか。でもありすの方が一瞬だった気がするし」

飛鳥「……ボクじゃ不満だと云いたいのかな?」

P「そうじゃないけど、俺だってむぐうううーー!?」 ギューッ

飛鳥「ほら、どうだい? これだけきつく締めればボクの心音もよく聴こえるだろう? 一瞬で片を付けてやるさ」 グイグイ

P「むぐぐ、固い、痛い! 寝れるかこんなもん!」

飛鳥「か、固いとはなんだ!」

P「骨っぽいのが当たるんだよ! もっと肉付けろ肉、ちゃんと飯食ってるのか?」

飛鳥「仮にもアイドルにかける言葉なのか!? キミのボクへの認識が如何なものか、是非一度とことん話し合おうじゃないか……!」 ギューッ

P「だから、寝れねっつの、ふぐうぅ!? ギブ、ギブ!!」 パンパン



ありす「はぁ……起きなきゃ……でも、なんだか癖になっちゃいそうです……」

文香(どうしよう……飛鳥さんを落ち着かせにいった方が良さそうだけど、こんなにリラックスしてるありすちゃんもこのままにしてあげたい…………どうすれば……)
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 00:29:49.87 ID:WEHPi2yx0

ありす「安眠というより気絶に近かったように見えましたが、Pさんに何をしたんですか?」

飛鳥「ふん……変わった事はしてないよ。心音を聴かせてやった、ただそれだけさ」

文香「……飛鳥さんは、プロデューサーさんと仲が良いのですね」

ありす「えっ、そ、そうなんですか?」

飛鳥「うん? 文香さんともあろうものが、どこを読み違えたらその結論に至るんだ?」

文香「なんだか……お互いに遠慮が無いように見えたので……。気の置けない仲、とでも言うのでしょうか」

飛鳥「どうだかね……ぞんざいに扱われているような気はしていたが、物は言い様か」

ありす「それって飛鳥さんがPさんに敬意を払っていないからじゃないんですか?」

飛鳥「敬意?」

ありす「飛鳥さんの態度は目上の方にするものではないと思います。だからPさんも飛鳥さんにはおざなりなのでは?」

飛鳥「……いや、それは……そんなはずない! ボクがこういうヤツなのはボクをスカウトした時から承知のはずだ、今になって気に入らないから邪険にしようなんて……!」

文香「……プロデューサーさんは、そんな方ではないと私も思います」

飛鳥「そ、そうだろう? Pに限って、そんなはずは」

文香「あの方は……私達の個性を尊重して下さって、それぞれに適した距離感を保っているような……上手く説明出来ませんが」

ありす「そう言われると……そうかもしれませんね。出会って間もない頃、名前で呼ばれたくなかった私に気を悪くするでもなく苗字呼びにしてくれましたし」

飛鳥「今や名前で呼んでほしいと言わせるまで落とし込むんだから、Pは良く立ち回ったものだね」

ありす「わ、私のことはいいんです! つまりPさんは飛鳥さんとの付き合い方を今ぐらいでちょうどいい、と判断していることになりますが」

飛鳥「……そう、だね。ボクにしてはオトナと接しているとは思えないほど彼との居心地は悪くない、それは事実だ」

飛鳥(そう、居心地は決して悪くないんだ。悪くないのに、何かが引っ掛かっている……どうして?)
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 00:38:35.40 ID:WEHPi2yx0
寮・飛鳥の自室


飛鳥「……むぅ」

飛鳥(それぞれに適した距離、か…………文香さんの言わんとするコトは、理解る。それはボクのようなヤツですら彼を悪く思っていないことが何よりの証左だ)

飛鳥(時に先生であり、時に友であり、時に親友であり、時に豚……これはいいか。ボクらアイドルにとってのプロデューサーに留まらず、アイドルが望む関係を自然に受け入れている)

飛鳥(……ならばボクは彼に何を望んでいる? あるいは、現状でその望んだ関係とどれだけの齟齬がある? 引っ掛かりがあるならこの辺のはずなんだが)

飛鳥(整理しよう。ボクが彼に望むのは…………望んでいるのは…………無理に言葉に収める必要はない、か)

飛鳥(つまりボクが今の距離感に満足しているかどうかだ。その観点から解を導くなら――)

飛鳥(……。少々物足りない、と感じているらしい。……どういうことだ?)

飛鳥(くっ…………考えても埒があかない、ここは発想を逆転してみるとしようか。Pからすればボクはどういうヤツなのだろう)

飛鳥(例えば――心音を直に聴かせてくれだなんて、セクハラ以外の何物でもない事を大勢のアイドルの中から真っ先にボクへ懇願した理由は?)

飛鳥(ハワイでの一件によるところが大きそうだが、それにしても許可してからは遠慮が無かった……遠慮が無い、文香さんにも言われたっけ)

飛鳥(何というか、目的が他にあったとはいえ少女の胸元なんてのは有り難がるシーンなんじゃないのか? ありすには飛びついていたくせに)

飛鳥(……む? ボクは有り難がられたいのか? そもそもボクだってPだから許してやったんだ、この身も心も安売りなんてするつもりはない)

飛鳥(その辺をPには勘違いして欲しくないものだな。――あぁ、そういう事だったんだ)

飛鳥(……いや、でも……それって……)

飛鳥(もしその感情を真とするなら……ボクは彼からもっと、遠慮というか――少女らしく扱って欲しい、という事になる……のか? このボクが?)

飛鳥(まさか………………えっ?)

飛鳥(〜〜〜〜〜〜)
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/20(火) 00:41:57.58 ID:WEHPi2yx0
今日はここまで。なんだか飛鳥が思春期の女子中学生みたいになってしまった(すっとぼけ
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 01:45:26.65 ID:IH/1hHKSO
鼓動
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 12:05:36.14 ID:Hj5vE4KP0
はよ……続きを……
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/28(水) 23:35:16.41 ID:GRnfZIZ60
飛鳥「…………夜明け、か」

飛鳥(頭の中を整理するつもりが……はぁ。それにしても、陽が昇るのも早くなったものだ)

飛鳥(Pはあのまま眠れているだろうか。不眠症とはいうが明け方には眠れていたんだっけ?)

飛鳥(もどかしいな……夜はボクの時間だというのに、一人では力になることを許されないなんて。彼の言い分も理解はしているが)

飛鳥(地元とは違って夜でもそれなりに明るい、交通機関も多少は動いている。住所だって寮からそう遠くなかった)

飛鳥(……駄目だな。いくら言い訳を用意しても彼は納得しない。コドモは夜遅くに出歩くな、で片付けられてしまう)

飛鳥(せめてもっと外が明るければ、東京といえど住宅街では無理か。……明かるければ?)

飛鳥(今――薄明かりではあるが外を歩こうと思えば苦もなく歩ける。夜は明けたとみていい。夜明けともなれば、つまり朝だ。随分な早朝だけど立派な朝といえる)

飛鳥(朝なら……夜じゃない)

飛鳥(この時間にはもう眠れているのかも知れないが、彼の部屋に赴くための障害はないはずだ。強いていえば交通機関が動いているか怪しいところか)

飛鳥(いずれにせよ彼の部屋に向かうなら徹夜は避けたい、となれば夜更かしではなく早寝早起きをする必要があるな)

飛鳥「……ボクが早寝早起き、ねぇ。ふふっ」

飛鳥(参ったな、これではまるでボクのセカイが彼を中心に廻っているみたいじゃないか――)
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/28(水) 23:39:32.73 ID:GRnfZIZ60
P「何時に眠れてるか? そんなの聞いてどうすんだ」

飛鳥「キミの不眠症がどれほどの症状なのか聞いていなかったからね。まぁ、参考程度に」

P「言ってなかったっけ。そうだな……日付が変わる前に横になってから、気がつけば朝日を拝んでることもあるな」

飛鳥「それって、文字通り不眠のまま出勤してるということかい?」

P「いや、身体に限界が近づくとフッと意識が無くなる。寝坊しないよう何とか1時間ぐらいで起きて、オフならそのまま浅い眠りを繰り返してる、ってところか」

飛鳥「ふぅん……いつから発症したんだ?」

P「最近ではあるんだが、原因もよく分からんしほんといつの間にかなんだよなあ。何でこんな寝れなくなったんだろう」

飛鳥「病院には、ってその様子では聞くまでもないか」

P「忙しいからな……つってもこんな状態でお前ら乗せて車なんて運転するわけにいかないし、困ったもんだ」

飛鳥「幸い特効薬に代わるものはあるんだ。それを使わない手はないんじゃないかな」

P「まあな、それに関しちゃ秘策も用意してる。早いうちに試さないと」

飛鳥「? 何の話だい?」

P「お前らがいなくても何とかなるよう、俺なりに代替案を考えたんだよ」

飛鳥「……。キミの次のオフはいつ?」

P「明後日だけど? その時にでも試すつもりだ、駄目なら駄目でオフなら問題ないしな」

飛鳥(くっ……Pが誰の手も借りず眠りに就けるようになってしまえば、部屋に訪れる理由がなくなる……! 残された猶予は明日の朝、か……)

飛鳥(いや、それも今夜Pを寝かしつけに行かないことが条件になる。文香さんとありすの都合によるな……)

飛鳥「……それじゃあボクは文香さんとありすに今夜どうするか尋ねてくるよ」

P「あー、あいつらなら今日はそっとしといてやれ」

飛鳥「ん? 二人がどうかしたのか?」

P「俺もよく分からないんだが……とにかく今日は俺の部屋にこようとするんじゃあないぞ? 飛鳥が思ってる以上に夜出歩くのは危ないんだからな」

飛鳥「了解だ。――夜は、ね」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/28(水) 23:44:34.62 ID:GRnfZIZ60
今日はここまで。次で飛鳥編終わりまでいきたい……
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/04(火) 21:50:22.44 ID:rzHdvZZSO
鼓童
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 00:32:01.25 ID:hK/0MRbw0

P「…………んん」

P(今何時だ……ってもう外が明るくなりつつあるのか。一時間は眠れたけど二度寝が微妙なやつだこれ)

P(まあ、そもそも寝入れるかどうかも怪しいしアラームだけはしっかりして、後はなるようになれだな)

 コンコン

P(……幻聴? こんな時間にノック音のような音が聴こえたぞ。俺ももう駄目なのか)

 コンコン コンコン

P(幻聴じゃなかった! いやむしろ幻聴であってほしかった! こんな時間に誰だよ怖いなあ……警察とか?)

P(確認しない訳にはいかんな……どれどれ)

P(…………)

P(制服着た可愛い子がいる……。中学生、か? 何で俺のとこなんかに、部屋間違えてるのかな)

P(……間違えてるなら間違えてるでこんな時間に、まさか朝帰り? おいおい親は何してんだよ……もしくは何かしてこうなった? とりあえず保護するべきか?)

P(うーん……面倒ごとには巻き込まれたくないけど、可愛いしなあ。こんな場面でもなきゃスカウトしたくなるところだ)

P(しょうがない、部屋番間違ってるだけかもしれないし一応出るか。何にせよ放っておくのはまずいよな)

 ガチャ...

P「あのー……部屋間違えてませんか?」

??「? あぁ、寝ぼけているのか。ということは多少は眠れていたのかな、それとも起こしてしまったかい?」

P「え? いや、あの、どちら様で……」

??「……。冗談を云っているように見えないのは気のせい、でもなさそうだ。敢えて問おう、ボクが理解らないのか?」

P「ボク? ……あれ、その声……あ、もしかして……飛鳥か?」

飛鳥「確かにこんな恰好してはいるが、少々薄情だと思うよ。P?」

P(気付かんかった……。制服だし、エクステないし、こんな普通の格好してる飛鳥は初めて見たぞ)

P「って、何でこんな時間に? いや、いい。とりあえず上がれ、話ぐらいは聞いてやろう。それから……覚悟しとけよ?」

飛鳥「ボクのことを認識した途端にそれかい。やれやれ、まぁ立ち話するつもりは毛頭ないしいいだろう」

P(あれほど夜遅くに出歩くなって言ったのに、さてどうしてくれようかこの不良娘……?)
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 00:36:36.20 ID:hK/0MRbw0
P「――で、どうしてこんな時間に、しかも1人で来たんだよ。それにその格好は?」

飛鳥「そう急かさなくても順に答えるさ。こんな時間とは云うが、もう夜は明けてきている。今はむしろ朝に部類される時間だと思わないか?」

P「ほーう。夜遅くが駄目でも朝早くなら問題ないと、そんな屁理屈を思いついた訳だな?」

飛鳥「実際この時間帯はちらほら早朝ランニングに勤しむ人達がいてね、道を選べば人目に付かないということはなさそうだったよ」

P「歩いてきた、んだろうなその言い草……」

飛鳥「寮からはそう遠くなかったしね、マップアプリもあるし。体力をつけるには良い運動になったかな」

P「そこまでしてここに来られても、どうして来たんだよ。わざわざ俺の不眠症のために?」

飛鳥「……いや、まぁ……今日しかなくなる可能性があった、というのが大きな要因か」

P「ん? はあ……それで、その格好は?」

飛鳥「また寮に戻って支度し直すのもどうかと思ってさ、中学生には学校があるんだよ。そういえばキミにこんな恰好を晒すのは初めてだね」

P(普段の自己主張の強い格好しか見たことなかったもんな……なんというか、いつもとは違う可愛さが――っていかんいかん!)

P「あのな、飛鳥。少なからず俺のために来てくれたのはあるんだろうけど、やっぱり女の子が1人でこんな所まで来るのはいただけない。預かる身としては親御さんに申し訳が立たないぞ」

飛鳥「それは……コドモ扱い、か? キミがそう云うだろうと思案して、危ない橋を渡ってきたつもりはないよ。訪ねるには非常識な時間だというのは謝罪するけれど」

P「子供扱い……もそうだし、そうだな……」

P(もっと自分が年相応の女の子、それも美少女の部類に入ってることを自覚してほしいもんだ。危険は何も外だけとは限らな――って待てよ?)

P(これもいい機会か……ちょっと脅かして自覚を促してやるとしよう。頭が働かないのもあって、今なら際どいことも出来そうだ)

P「この話は……あー、ひとまず置いといてだな。俺を少しでも眠らせにきてくれたんだろう? 来ちまったもんはしょうがない、時間が勿体ないから早く済ませよう」

飛鳥「そう、だね。時間を浪費していては本末転倒もいいところだ。じゃあボクは枕側にでも――」

 ドサッ

飛鳥「――、え?」

P(さすがの飛鳥もベッドに押し倒されりゃ平然としてられないだろう。さあ、ここからどうしてやろうか)
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/14(金) 00:37:54.04 ID:hK/0MRbw0
近い内に飛鳥編終わらせますので、今回はとりあえずここまでということでどうか一つ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/14(金) 15:34:05.37 ID:apSscRn50




















































































58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/14(金) 15:53:23.11 ID:GPHGCXBy0




















































































59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 23:04:38.38 ID:8MaWQL60O
あすかわいい
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 02:23:00.34 ID:83zl+0RZ0
飛鳥「……」

P「……」

飛鳥「ら、乱暴に扱ってくれるじゃないか……どういうつもりだい?」

P「言っても聞かない飛鳥には、身体に直接教えてやる必要があると思ってな」

飛鳥「なっ……ふ、ふふっ。キミにはあまり似合つかわしくないなその台詞は。さぁ退いてくれ、制服もシワになるじゃないか」

P「あのな飛鳥。一人暮らしの男のところに女の子がたった一人で来ることの意味……お前なら少し考えれば分かるんじゃないか?」

飛鳥「……それは、キミがボクを一人の少女として認識していることが前提の話だ」

P「俺がお前を女の子と見なしていない、とでも?」

飛鳥「……違うの?」

P「じゃなきゃこんな事、したいとも思わないぞ」

P(さすがにお触りはアウトだから、唇奪うフリでもしてギリギリまで迫ってみるか)

飛鳥「うぅ……」

P(お? 借りてきた猫みたいに縮こまっちゃってまあ、こういうところがまだまだ子供なんだよな……実際子供だから仕方ないけど)

飛鳥「……くっ」

P(大人の男の力に敵うはずもなく、自分の力だけじゃどうにもならない事があるのをこれで体感してくれたか?)

飛鳥「ま、待ってくれ! 本気なの――ひゃっ!?」

P(頬を撫でただけで良い反応だな。……やばいやばい、そろそろ音を上げてくれないと俺も引き際を誤りそうだ)

飛鳥「あ……う…………っ」

P(まだか? いざとなったら首筋にでも不時着して、それからネタばらしかな)

飛鳥「……やっ」

P(お、やっとか?)

飛鳥「やめっ――ま、まだ……心の準備がっ……!」

P「…………、ん?」

P(今、なんて言った?)
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 02:27:16.22 ID:83zl+0RZ0
飛鳥「…………っ」

P(目を瞑ったまま体も縮こませてるし、もういいよな。……とはいえ)

P「あー、その。ちょっといいか?」

飛鳥「……?」

P「さっきの、飛鳥に心の準備とやらが出来てたら、俺は飛鳥にこういうことしていいの?」

飛鳥「……。ボク……そんなこと言った?」

P「言った言った」

飛鳥「本当に?」

P「ほんとほんと」

飛鳥「……………………………………」

P「飛鳥?」

飛鳥「…………いだろう」

P「え?」

飛鳥「そ、そんなワケ……ないに、決まってる、だろう……」

P「お、おう」

P(こんだけ顔が真っ赤だと自分が何を口走ったのか理解したらしいな。あ、なんかめっちゃ可愛く見えてきた――じゃなくて)

P「えっと……すまん。これぐらいやらなきゃきかないと思って、今までのはただのフリだ。ほら、離れてやるから」

飛鳥「…………フリ?」

P「本気で襲ったりするはずがないだろ? いや、正直なところ魔が差しそうにならなくもなかったけど、俺はまだまだお前らのプロデューサーでいたいからな」

飛鳥「……。なんだ、そういうことか……」

P「ともあれ、見舞いに行った相手が狼に成り代わってることもあるんだ。飛鳥は女の子なんだから、用心するようにしてくれ」

飛鳥「フッ……女の子、か。ボクの目指すべきが灰かぶりなのなら、赤ずきんになりきっている場合ではない。そうだね?」

P「ま、そういうことだ」

飛鳥「だがキミは、少なくとも狼ではなかった。狼の皮を被った面倒見のいいお婆さんといったところか」

P「一周して変な役回りになってるな俺」

飛鳥「ああ、でも確か……魔が差しそうになったとか言ってたよね。それについては追及する余地があると思うが」

P「えっ、あれえ? そんなこと言ったっけなあ?」

飛鳥「とぼけても無駄さ。何だい、自分の役柄も忘れてボクを味見でもしたくなった?」

P「ま、まあいいじゃないか。俺はこの通り手出さなかったんだから」

飛鳥「よくない! 演じていただけとはいえ、その一瞬の間キミはボクを……は、辱めようとしていたことには変わらないんだからな!」

P「それを言われると……怖い思いさせたのは、謝るよ。やりすぎた。すまなかった」

飛鳥「だ、だから……今回はこれで幕引きにしてあげようと、提案をしているんだ。ボクにそういう気を起こしかけたのか、正直に答えてほしい。いや、キミは答えなければならない」

P「えー……どう答えても飛鳥に嫌われるんじゃないかこれ」

飛鳥「いいから答えるんだ。それにボクはそこまで狭量じゃない。嘘さえ吐かなければ、あるいは寛容な処遇を得られるかもね。その逆もあり得るが、どうする?」

P「……わかったよ。正直に答えるさ、じゃなきゃ許してくれそうもないしな。あー、っとだな。俺はさっき、飛鳥のことを――」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 02:31:41.24 ID:83zl+0RZ0

そして


コンコン ガチャガチャ

P「ーー何だ、今日も来たのか」

飛鳥「そっちこそ、起きてたんだ」

P「まあな。……はあ、アテさえ外れなきゃご足労願うことも無かったろうよ。……心音だけじゃ眠れないなんてなあ」

飛鳥「ふふ、それはどうも。まぁ今更どうなろうとこの部屋の鍵はまだ借りておくつもりだけどね」

P「好きにしろい。止めたって聞きゃあしないなら、俺が眠れてようと中入って匿えるようにしといた方がマシだ」

飛鳥「……」

P「ん、どうした?」

飛鳥「いや……キミ、少し汗をかいているようだね」

P「そりゃ暑いからな。年中スーツの俺には地獄の季節だ、ははは」

飛鳥「……冷房が効いた部屋で? それに寝間着とも取れるがそのジャージ姿、玄関には運動靴……ボクが来ることを予見していたような応対の早さ」

P「……なんだよ、何が言いたい?」

飛鳥「別に……ふふっ、やはり面倒見が良いなキミは」

P「何のことだか。軽く運動して疲れた方が少しは眠れそうってだけだ。ついでに俺が何をしてたとしても、それはついでに過ぎない」

飛鳥「はいはい、それじゃボクはシャワーを借りようかな。たまには一緒に浴びるかい?」

P「狭いからいいよ、浴びたいならさっさと浴びとけ」

飛鳥「ちぇっ、つまらない返事だな。すぐに戻るからそれまでに寝ないでくれよ?」

P「俺としては寝れるに越したことないんだが……わかったよ」

P(んー、今日あたり来そうだと思って様子見しに行ったのバレたか。そりゃ夜中よりマシな明るさだけどマシってだけだ、心配なものは心配なんだから仕方ないだろ?)




飛鳥「お待たせ。起きてる?」

P「これで眠れてるなら苦労はしないさ。……あー、俺もシャワー浴びとこうか」

飛鳥「ボクを気にしてのことなら、それには及ばないよ。その様子なら最低限は対処してるみたいだし、キミのことだからいつもは起きた後で眠気覚ましも兼ねて浴びればいいや、って感じだろう?」

P「何度も入るの面倒だしな。……まあ飛鳥がいいならいいんだけど。今からなら2〜3時間は眠れるか……? じゃあ、頼む」

飛鳥「うん…………その前に、P。たまにはボクもキミの鼓動を聴いてみたいんだけど、いいかな?」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 02:38:38.53 ID:83zl+0RZ0
P「は? 今? いやいや、だとしてもそれこそ」

飛鳥「すぐ終わるから。……やっと準備も、出来たことだし」

P「? うーん……別にいいけど、何でまた?」

飛鳥「いいから、早く済ませよう。ほら横になって」

P「わかったわかった、これでいいのか?」

飛鳥「うん。……へぇ、結構聴こえるものなんだ」

P(くっ……平常心平常心。うちに通い詰めるようになって、外では見せない飛鳥の女の子らしいとこが目に付くようになってから自制心が鍛えられて困る)

飛鳥「? 特に鼓動を早めている様子ではないね。ボクがこうしてるっていうのに」

P「このぐらいで俺が緊張あるいは興奮するとでも思ったか?」

飛鳥「ふぅん……気に入らないな。まぁいいさ、足りないのなら足すまでの事だ」

P「えっ? 何を――」

飛鳥「んっ……」

P「――――!?!?!?!?」

飛鳥「…………ふ、ふふ。どうしたんだい、こんなに鼓動を早めたりして」

P「ばっ……お、お前なあ!? 飛鳥の方こそそんなに顔紅くして、お前の鼓動も聴かせてみろ!」

飛鳥「なっ、そ、そんなにボクの胸元に顔を埋めたいのか?」

P「言い方ぁー! こんな時だけ、あーくそ!」

飛鳥「……だんだん理解ってきたよ、キミを手玉に取る方法が。ふふっ♪」

P「ぐぬぬ……。あんまり大人をからかうもんじゃあないぞ、ん?」

飛鳥「おやおや、こんな時だけコドモ扱いするのかい?」

P「まあな。俺は悪い大人なんだ。参ったか」

飛鳥「年の差を笠に着るキミじゃないくせに。それに、確かにボクはキミより長くは生きていないが、キミよりずっと少女としてこのセカイで生きてきたんだ。年の差だけでボクをやり込めるとは思わないことさ」

P「んー?? わかるようなわからないような理屈を並べおって……はあ。もういいから、そろそろ寝かせてもらえませんでしょうか」

飛鳥「む、少々遊び過ぎたか……やはり夜も明けてからでは時間が足りないな。午前0時に魔法が解けるよりはいいかとも思ったが、せっかく同じ時を刻めてもすぐに夢の中へ誘う案内人にならなくてはならないとは何とも」

P「今度オフにどこか連れてってやろう、うん。それでいいか?」

飛鳥「♪ っ……ゴホン、ところで文香さんとありすはどうしたんだ? ボクのようにここへ通っている形跡もないみたいだが」

P「あー……それなんだが、聞く限りではどうもありすはあの時文香が心音を聞かせる練習に付き合って以来、文香の安らぎが忘れられなくなり」

飛鳥「……ん?」

P「文香は文香でそんなありすを胸に抱くことが心の平穏をもたらすようで、互いに互いの存在が不可欠になったらしい」

飛鳥「は?」

P「だもんで、そうしないと眠れなくなったみたいだから最近は夜をありす宅で過ごして一緒に寝てる……んだそうな。元々ありすから話は聞いてたせいか親御さんの信頼を文香も得られてるみたいだし、ならいいかなって」

飛鳥「……あの日からやけに親密な関係を築いているなと思っていたら……いや、何も云うまい。ボクらも他人のことをとやかくいえないな」

P「ふあぁ……あ、俺はこの不眠症を絶対治すからな。いつまでも誰かさんに頼ってられるかってんだ」

飛鳥「……鍵、返さないよ?」

P「その話は――また後でしよう、うん。それじゃあ、いいか?」

飛鳥「あぁ、おいで。……おやすみ、P」



64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/24(月) 02:42:02.38 ID:83zl+0RZ0
いつ終わるとも分からなくなってきたので、一旦ここで終わります

ありす編及びハーレム編は気が向いたらまた改めてスレ立てます……本当はちゃっちゃとこなして各属性で似たような感じにやってみたかったけど仕方ないね
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