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佐野満「えっ?強くてニューゲーム?」
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246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:54:03.99 ID:xchiMuX50
〜清明院大学大学院〜
香川が満と連絡を絶ってから、一週間が経過していた。
その間、香川達はオルタナティブのデッキの改造やミラーワールドの
探検に時間を費やし、次なる戦いへと準備を備えていた。
これまでのデータを元にした改良の結果、仲村のオルタナティブと香川の
ゼロのミラーワールドの活動時間は10分30秒にまで向上した。
「香川先生。そろそろ一週間が経過しますが良いんですか?」
「何がですか?仲村君」
「佐野の事ですよ。いつまでも放っておく訳にはいかないですよ」
東條が神崎優衣の監視で研究室に不在の時、仲村創はそれとなく佐野満の
これからについて香川に問いただしていた。
どちらかというと満の事は信用できない人間だと思っている仲村だが、
それでも自分達に協力してくれる数少ない仲間と自然消滅するような形で
別れるのは忍びないと思っていた。
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:54:43.75 ID:xchiMuX50
「そう、ですね。仲村君の言うとおりですね」
「彼の事をいつまでも放っておく訳にはいきません...が」
「最終的に決断を下すのはもう少し後になりそうです」
「...やっぱり、アイツは信用できませんか?」
「いえ。彼の事は信じていますよ」
「君が東條君のことを理解し切れていないように」
「私も、彼の本質をまだ見極められていません」
真意を見せず、煙に巻くような言い回しをする香川にどう言葉を返せば
良いのかを迷っている内に、東條が研究室に戻ってきたのだった。
「先生。今日の調査は終わりました」
「そうですか。では報告をお願いします」
ミラーワールドの探索から戻った東條がとある通路の見取り図らしき
物にマーカーで印をつけ始めるのを見ながら、香川英行は先日電話した
協力者達の事を思い出していた。
殺人事件被害者遺族の会という一定期間が過ぎると容疑者が判明しても
起訴できなくなる公訴時効制度の撤廃・停止を求めて結成された団体の
存在を香川に教えたのは仲村だった。
時効による時の経過と共に遺族の被害感情は薄れるという考え方を
否定し、時効の停止・廃止を国や世論に訴えていく事を目的としたこの
団体の会員となった遺族達が直面した現実はあまりにも残酷だった。
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:55:16.86 ID:xchiMuX50
「東條君。例の作戦ですが、こちらから二つ報告があります」
例えば、惨たらしく児童を殺した殺人鬼が心神喪失状態と判断され、
遺族達の必死の訴え虚しく、死刑を免れ、今ものうのうと刑務所の中で
余生を謳歌していたり、30年前に起こった一家惨殺事件に至っては、
今日になっても犯人の特定・逮捕には至っていない未解決状態という
有様である。
そして、それは浅倉威によって引き起こされた殺人事件であっても
同様だった。
「例の作戦に参加するオルタナティブは私達を含めて六人になりました」
数え切れないほどの殺人事件を起こしながら、僅か10年程度の実刑判決
しか下されなかった凶悪殺人犯を許せない人間は数多くいる。
大切な人を失った遺族の悲しみはただでさえ計り知れないというのに、
死刑になって当然の鬼畜生がたった10年でまた野に放されることを一体
どうやって納得しろというのか。
「配置はどうしますか?」
中には、復讐は何も産まないと言い、気が狂わんばかりの後悔と慚愧を
抱えながら、殺された家族の無念を果す復讐を諦めた遺族もいる。
だが誰が許せるというのだろう?
罪を贖う事なく脱獄した殺人鬼を一体誰が許せるというのだ?
そういった無念を抱える浅倉威殺人事件被害者遺族の会の人間達は
まさにうってつけの協力者達だった。
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:55:54.81 ID:xchiMuX50
「仲村君のチームが西側の出口に、私のチームが東側の出口に陣取ります」
確かにライダーバトルに全く何の関係のない遺族達を巻き込むのは
香川とて気が引ける。
だが、誰かがあの悪魔を殺さなければならない。
香川の掲げる正義は、悪を担う覚悟を持つ正義である。
死ぬしかない者が殺され、死ぬ理由のない者たちが救われたのであれば、
人は無力に打ちひしがれ、耐えきれない悲しみに心を切り裂かれても、
まだ生きる事を諦めずにいられる。
死ぬ理由のない者達が殺され、死ぬしかない者が生き残った挙げ句に、
罪を償う事なく同じ過ちを繰り返しながら、なおも我欲の為に多くの弱者を
虐げるのだとしたら?
誰かがその悪を食い止めなければならない。
食い止める方法に正義も悪も関係なく、必ず悪を断たなければならない。
誰に許されることもなく、ただただ正しさを成すために悪に身を堕とす
悲壮なまでの正義こそが英雄には必要なのだ。
「東條君、もう一度聞きますよ?本当に本気なんですか?」
「はい。僕が先陣を切って浅倉を足止めします」
「...わかりました。危ないと思ったら、私達も加勢します」
「現状、私達のファイナルベントでは奴の契約獣を敗れません」
「くれぐれも、カードの使い所を間違えないでくださいね」
「はい」
しかし、己が掲げた正義を為すには香川英行はあまりにも清廉すぎた。
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/28(金) 22:56:31.04 ID:xchiMuX50
(いけませんね。深く...考えすぎているようだ)
止めどない思考にピリオドを打った香川は堂々巡りの答えの出ない
問いから目を背け、思考を切りかえた。
「二つ目の報告は、ライダーによる共闘の申し出についてです」
「共闘?誰ですか?」
「...北岡秀一。ゾルダからですよ」
「浅倉威を倒すという一点において共闘したいと申し出てきました」
「...真意が見えませんね」
困惑と敵意を顔に浮かべた仲村と東條は、それぞれの意見を率直に
香川へとぶつけ始めた。
まず最初に口を開いたのは仲村だった。
「先生。ゾルダは信用できませんよ。手を組まない方が賢明です」
「大方敵の敵は味方だけど、敵を倒したらお前らも敵だ」
「北岡秀一って人間はそういう人間なんですよ」
「覚えてますか?ゾルダのファイナルベントのこと」
「あんなのを狭い地下通路でぶっ放されたら俺達は全員死にますよ」
「それに東條が見たという、姿を消すライダーも油断できません」
「搦め手や奇襲が得意な奴は裏切る可能性だってある」
「だから、この作戦は俺達だけで遂行しましょう」
力強く拳を握りしめ、全てを自分達だけで片付けようと力説する仲村に
反するように、東條も自分の意見を述べ始める。
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:57:31.44 ID:xchiMuX50
「先生。僕も仲村君の意見には大体賛成です」
「だけど、やっぱりゾルダの力も借りたいのが僕の本音、かな?」
「東條!お前何言ってんだ!分かってんのか?え!」
「まぁ落ち着きなよ。仲村君。のど飴舐めたら?」
「いるか!」
東條が差し出したのど飴を机に叩き付けた仲村は、少しだけ冷静さを
取り戻し、苛々しながらも話の先を促した。
「要するにさ、ゾルダと手下を分離させれば良いんでしょ?」
「確かに狭い場所に姿を消すライダーがいるのは脅威なんだけどさ」
「僕達の側にも頼れる仲間がいるじゃない」
「先生。ここは佐野君に頼んで姿を消すライダーを始末しましょう」
「....」
「浅倉は北岡の所に必ず来ます。そして北岡の所に手下も控えています」
「どちらも周到なタイプだからこそ、奥の手を隠しているはずです」
「そして、二人とももう話が通じるような相手ではありません」
「確かにそうですね。北岡も浅倉もこれまで上手く生き延びていますしね」
「ではゾルダとその手下を上手く分断させるべきと?そういう事ですか」
「フリーズベントで凍った奴のモンスターを北岡は仕留めに来る筈です」
「数を生かして浅倉を仕留めるのならこれが一番かなと思います」
「時間切れギリギリまでゾルダに浅倉を追い込ませて仕留めさせる」
「で、僕達はその間に出口を塞いで二人を消滅にまで追い込む」
「鏡面となる物全てを取っ払ったトンネルの中でね」
「上手くいけば、三人の強敵を葬れますよ」
「どうしますか?先生」
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:58:27.78 ID:xchiMuX50
仲村の言う本来の作戦通りに事を進めるのか?
それとも東條の言う通りに佐野と北岡の力を借りて浅倉を倒すのか?
香川にも、決断の時が訪れる時がやってきた。
「仲村君。東條君」
「はい」
「佐野君を呼び戻します。その上で浅倉を倒しましょう」
迷いながらも、香川は最終的に両方の策を取った。
「東條君と私とオルタナティブ軍団で浅倉を仕留めます」
「浅倉を仕留める。今回はそれだけを最優先にしましょう」
「ゾルダとその手下は今回だけは見逃しても結構です。なので」
「仲村君と佐野君には、ゾルダとその手下を仕留めて貰います」
「やるんですね。先生」
香川から大任を任された二人の肩に重い期待がのし掛かった。
浅倉も北岡も楽には勝たせてくれない強力なライダーである。
しかし、
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:59:21.45 ID:xchiMuX50
「東條君。私の背中を君に預けます」
「だから、君の命を私に預けて欲しい」
「私が迷ったら、その時は君が私の為すべき事をしてください」
「先生...はい、はいっ!」
香川のその言葉に感極まった東條は歓喜の涙を流した。
憧れていた英雄と遂に肩を並べ、正義の為に戦う事が出来る。
誰かに求められる事なく、誰かに救われる事なく生きてきた青年の心が
奮い立つのにはそれだけで充分だった。
「仲村君」
「はい」
「もし私が倒れたら、東條君と佐野君のことをお願いします」
「北岡か浅倉が斃れた時、きっと神崎士郎は動くはずです」
「オーディンと黒い龍のライダーは単独では倒せません」
「三人で協力して、ミラーワールドを閉じてください」
「...それが、先生の遺志なら。俺が引き継ぎます」
もしかしたら、このやりとりが最後になるかも知れない。
(いや、最後になんかさせてたまるかよ!)
仲村創は頭に浮かんだ気弱な考えをバッサリと切り捨て、前を見据えた。
香川先生と東條と自分と、後は佐野の四人でこの悪夢のようなライダーの
戦いを戦い抜き、平穏な日々を取り戻すのだ。
(皆。待ってろ...必ず仇を取ってやるからな)
復讐の時が遂に来た。
神崎がどんな卑怯な手を使ったとしても、俺達は絶対に敗北しない。
「香川先生。東條」
「どうか、どうか勝って戻ってきてください」
「お願いします」
自分と香川の手を固く握った仲村の懇願に東條は驚きを隠せなかった。
いつも意見が食い違い、ケンカが絶えない間柄だったが、それでも
どこか心の中では仲間意識があった。
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 22:59:51.07 ID:xchiMuX50
「仲村君。君は自分の心配をした方が良いと思うよ」
「正直な話さ、浅倉より君と佐野君の相手の方が手強いんだからさ。でも」
しかし、いや...自分が仲村に抱いているのはきっと同族嫌悪なのだろう
どこかひねくれていて、自分の価値観を正しさよりも優先させて暴走
するような危うさを仲村を見ると、未熟な自分を見せつけられているようで
素直になる事が出来ない。
こうやって一方がもう一方に歩み寄ろうとする時には、それが特に顕著に
現れてしまう。
「東條君。仲村君の気持ちは無碍にしてはいけませんよ」
「君達の仲が悪いのは昔からですが、私達も昔からの仲間なのですから」
「そうですね...」
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:00:17.69 ID:xchiMuX50
(今更仲村君と仲良くするのは遅いかも知れないけど...)
香川の言葉に頷いた東條は、仲村の心臓に拳を突きつけた。
「ありがとう。仲村君」
「また明日ね」
東條の『明日』という言葉に驚きながら、仲村創も東條がしたように
自分の拳を突きつける。
「ああ。また明日な」
そう、全ては自分自身が生きて未来を掴む事に集約される。
だから、戦わなければ生き残れない
「さぁ!始めましょうか。私達の戦いを!」
最後の不安要素が霧消したことを確信できた香川は、まるで英雄が
開戦の角笛を吹き鳴らすように声を張り上げた。
「ライダーバトルを終わらせるための、戦いを!」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:01:04.17 ID:xchiMuX50
18話 再契約
〜401研究室〜
「.......」
満が香川に呼び出されたのは、前に別れた一週間後の事だった。
深く息を吸い込み、前を見据えた満の瞳は一切の迷いが消えていた。
(親父...)
あの日、満が最後に父の顔を見た9時間後、満の最後の家族は安らかに
息を引き取り、永遠の眠りに就いた。
(アンタの言葉を俺は覚えている。だから俺は後ろを振り返らない)
(だから、見ていてくれ)
揺らがぬ決心で扉を開いた満の前には、三人の仲間がいた。
「お久しぶりですね。佐野君」
「...」
「...」
笑みを浮かべる香川と、その両脇に控える東條と仲村。
以前会ったときよりも精悍になった三人の瞳の中にはギラギラと光る
野獣のような獰猛さの使命感が浮かび上がっていた。
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:01:51.70 ID:xchiMuX50
「お久しぶりです。香川先生」
「その様子だと、もう答えは出ているようですね」
「はい」
自分が覚悟を決めたように、香川も仲村も、あとは何を考えているのか
全く分からない東條でさえも、何らかの覚悟を決めてここに立っている。
負けられない。
どういう理由があっても、ここで目をそらすわけにはいかない。
意を決した満は香川を見据えて、あの日出せなかった答えを口にした。
「先生。俺は引き返しません」
例えそれが、誰にも受け入れられる事のない思想や動機だったとしても、
ライダーとなった以上その宿命からは逃れられない。逃げる事はできない。
「ようやく分かったんです。自分がいかにいい加減だったかってことが」
だったら最後まで戦い抜いてやろうじゃないか。
それが満が迷いに迷った末に出した答えだった。
「誰かに守られるだけじゃ、きっといつか倒されてしまう」
例え自分が生き残る確率が0を超えないとしても、そこに賭けなければ
生き残れないなら、俺は英雄になんかならなくてもいい。
「でも、ただやられるのを待つなんて悔しいじゃないですか」
だったら一人の人間として、みっともなくあがいて戦って死んでやる。
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:02:22.78 ID:xchiMuX50
「だから、俺は自分が死ぬその時まで戦う事にしました」
「その上で、先生達に背中を預けたい。そう思ってここに来ました」
誰かに踏みにじられて、その存在を忘れ去られていく雑草であっても、
最後の瞬間までにはどんなに小さくても譲れない矜持を持てれば、きっと
その生涯は無意味なんかじゃないんだ。
満の決意に、香川も自らの思いを明らかにした。
「佐野君。戦いが終わった時、私達四人が揃う事はもうないでしょう」
これからの戦いが犠牲なくしては勝ち抜いていけない程の苛烈な戦いに
なる。香川の口から出た言葉は、満や東條と仲村にそう思わせるだけの
深い重みがあった。
「戦いが終わった時、果たして何人がここに戻ってこられるのか」
「それは、私にも君にもわからない」
「しかし、私は誓いますよ」
「私は最後まで自分が掲げた信念は絶対に曲げない」
だが、満がようやく戦う理由を見つけたように、香川にもこの戦いを
降りる事が出来ない絶対的な信念がある。
「貴方が私に庇護を求めたように、今度は私も貴方に覚悟を求めます」
「佐野君。君は最後まで私達に協力してくれますか?」
「仲間として、一人の人間として、最後まで戦い抜いてくれますか?」
断る理由は、もとよりどこにもなかった。
「誓います」
「その誓い、確かに受諾しました」
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:03:16.79 ID:xchiMuX50
満の前に立つ香川が一歩前に進んだ。満も負けじと一歩踏み出す。
香川の脇に控えていた東條と仲村もその左右から一歩前に出る。
「ま、僕がいる以上、先生が死ぬ事なんてありえないけどね」
「抜かせ東條。英雄が油断して死ぬなんて珍しくもないだろうが」
「こらこら。二人とも縁起でもない事はいうものではありませんよ」
香川が突き出した拳に満は黙って自分の拳を突き合わせた。それに倣い、
東條と仲村も同様に拳を出して、二人の拳に突き合わせる。
「あれぇ、お二人とも前に比べたら随分と仲が良くなってませんかぁ?」
「そんな事ないよ。ま、仲村君より僕が大人になった証拠じゃないの?」
「はぁ?その言葉そっくりお前に返してやるよ」
「全く、仲が良いんだか悪いんだか...」
「さて、戦の前には腹ごしらえが必要と昔から言います」
「どうです?これからぱーっと街に繰り出して食事でもしませんか?」
「あっ。じゃあ焼肉が良いです」
「何言ってんだ佐野。ここは高級寿司に決まってんだろうが」
「仲村君馬鹿なの?一貫500円以上する魚の切り身食べて何が楽しいの?」
「まぁまぁまぁ。そう険悪にならないでください」
「焼き肉にしましょう。さ、三人とも店に行く準備をしてください」
笑顔を浮かべる三人を先に玄関で待つように指示した香川は満面の笑みを
浮かべる教え子達を笑顔で送り出した後、一人椅子に腰掛けた。
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:03:56.16 ID:xchiMuX50
「裕太...」
デスクの傍らに立っている写真立てに写る最愛の息子と妻の笑顔が眩しい。
神崎士郎はライダーバトルへの介入を止めない自分への牽制として、
最愛の家族を人質に取るはずだろう。
英雄<じぶん>の覚悟を鈍らせるだけの例外的な価値が妻と息子にはある。
おそらく、そうされてしまえばきっと自分は剣を振るう事を躊躇し、
英雄ではいられなくなるだろう。
だが、例えそれで自分が命を落としたとしてもきっとここにいる三人が
自分の遺志を引き継いでライダーバトルを、ひいてはミラーワールドを
閉じてくれるだろうと香川は信じる事が出来た。それだけが救いだった。
15分立っても香川が姿を現さない事に不信感を抱いた仲村が研究室の
扉を開いて入ってきた。
「先生?」
「ああ、すいませんね。ちょっと教務課と電話で話をしていました」
「そうですか。車、出してるんで早く行きましょう」
「ええ。カーナビはついてますか?」
「勿論ついてますよ」
(何を迷っている。香川英行...お前はこうなることを予測していた)
(英雄として生きるのなら、その業も宿命も受け入れなければならない)
(だが...私は、この矛盾に答えを出せない...)
きっと、この究極の二律背反こそが英雄になろうとした自分がこの先に
背負っていかなければならない十字架なのだろう。
そう自嘲的な笑みを浮かべた香川は研究室を後にしたのだった。
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:04:27.68 ID:xchiMuX50
ミラーワールド
城戸真司と手塚海之は先日の一件で契約モンスターを失い、ブランク体と
なってしまった秋山蓮の新しい契約モンスターを探す為、今日もまた
ミラーワールドの中に入っていた。
「で、蓮はどんなモンスターと契約したいんだよ?」
「そうだな。再契約はお前の契約モンスター並の奴としたいな」
「ドラグレッダー並の?いるのかぁ?そんなやつ?」
今までの経験と場所による地理的条件から考えられるライダーのミラー
モンスターとの遭遇率を総合的に吟味した結果、今日の探索場所は街中から
少し離れた場所にある自然公園の中に決定したのだった
「分からん。だが、もしかしたら同じ個体がいる可能性も否定できない」
「それもそっか」
先頭を務める手塚は普段と変わらない蓮と真司のやりとりを聞きながら
注意深く周囲を見回していた。
昨日の夕方、蓮に打ち明けられた事を思い出す。
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:05:10.20 ID:xchiMuX50
『蓮。お前、新しい契約モンスターはどうするんだ?』
『決まっている。鳳凰型モンスターを探しだして再契約する』
『...確かに、現状ではそいつらが一番強いモンスターだな』
『ああ。お前にとっては複雑かも知れないが、それしかないんだ』
『頼む。手伝ってくれ』
蓮が契約しようと狙っているのはミラーワールドで最も強いモンスターに
数えられる鳳凰型モンスターだった。そして、そのモンスター達はあの
神崎士郎の忠実な手下でもあった。
(確かにミラーモンスターは執念深く、狙った獲物は取り逃がさない)
(この仮説が正しければ、先日のモンスターは蓮を付け狙っているはず)
(しかし、モンスターだって馬鹿ではないだろう)
(わざわざ俺達が揃っているど真ん中に姿を現す事などあるわけがない)
ライダーバトルが始まってから既に3ヶ月が経過していた。
真司も蓮もバトル当初の時から格段に腕を上げているし、そう易々と
それが例えミラーモンスターであったとしても後れを取るはずはない。
(大丈夫だ。まだ未来は動いていない)
(落ち着け、落ち着くんだ)
後ろを振り返り、仲間達の安全を確かめる。
「城戸、少し声を落とせ」
「あっ、わりぃ!?」
後ろを振り返った手塚の背後に乱立する木々の間から飛び上がる影を
視界の端に捉えた真司は、素早く蓮を自分の背後に隠した。
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:05:53.97 ID:xchiMuX50
「手塚ァッ!上だ!」
「?!」
本能的に危険を察知した手塚は、今自分が立っている遊歩道の斜面に
なっていないほうの左側へと転がり、頭上からの攻撃を回避した。
「ギャアアオアアアアアア!!」
体勢を崩したライアに狙いを定めたモンスターは、そのまま一気に
ケリをつけるべく、猛然と駆け出していった。
「Strike vent」
ライアの窮地を見過ごすわけにはいかない龍騎は、カードをバイザーに
ベントインしてドラグクローを呼び出した。
「手塚!コイツは俺がやる!蓮を頼む!」
「すまん!」
ドラグクローから吐き出される何発もの火球の一発がライアを襲った
モンスターの背中に直撃した。
苦悶の叫びを上げたミラーモンスターは憎々しげに背後を振り返った。
蓮の視線の先に立っていたミラーモンスターは、かつて手塚と真司が
協力して倒したモンスターと同種の鳳凰型モンスターだった。
ガルドミラージュ。それが蓮の再契約したいモンスターの名だった。
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:06:40.57 ID:xchiMuX50
「アイツだ!城戸!アイツが俺の再契約したいモンスターだ」
「殺すな!無力化してくれ!」
「任せろ!」
蓮の頼みに頷いた真司は、相手がまた空高く飛ぶ前に一気にケリを
つけるべく、アドベントのカードをデッキから引き抜き、自分の契約獣、
無双龍ドラグレッダーを呼び出した。
「ゴオオオオオオオオオオ!!!」
その名の通り、ミラーワールドでも随一の強さを誇るドラグレッダーは
真司が自らに念じて伝えたように、ガルドミラージュの頭上に陣取り、
相手が逃げるに逃げられない状況を作り出した。
コイツも運が悪いな。とドラグレッダーは内心そう思っていた。
大方餌を探して群れから離れた所を一人でうろついていたところを
コイツら三人に見つかってしまったのだ。
普通の人間ならともかく、ライダーかそうでないかの見分けくらいは
自分の仕える主から教わっているだろうに。
そんなことを考えながら、ドラグレッダーは徹底的にガルドミラージュの
逃げ道を防ぎ続けた。
遊歩道から外れた舗装されていない悪路を軽々と駆け抜けようとする
ガルドミラージュのジグザグ走行の先にピンポイントに火球を吐き出し
徐々に徐々に真司と手塚と蓮が囲めるように進路調整をする。
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:07:07.49 ID:xchiMuX50
「しゃあっ!」
ドラグレッダーの放った火球に飛び退いたガルドミラージュの頭に、
ドラグクローの火球が直撃した。
「ギエエエエエエエエ!!」
頭がもげるほどの衝撃と熱にガルドミラージュはあえなく斃れた。
「今だ!蓮」
弱々しく動くガルドミラージュにのし掛かったライアと龍騎の言葉に
名もなきライダーは意を決して、契約のカードを取り出した。
「アアアアアアアアア.....」
断末魔の叫びを上げたミラーモンスターは契約のカードへと一瞬で
吸い込まれた。
「蓮?どうだ?」
「ああ。問題ないようだ。見てくれ」
何もなかったブランクのカードデッキに鳳凰の紋様が浮かび上がり、
蓮の右腰に現れた杖型の専用バイザーを確認した真司と手塚は喜びを
隠せなかった。
「良かったな蓮!これでまた戦えるな」
「ああ。お前らには感謝してる。本当にありがとう」
飛び上がって小躍りする真司の肩に手を置いた蓮は、新しく出来た
自分のデッキからカードを引き抜いて、早速確認を始めた。
ダークウイングと契約していたときのカードの枚数は6枚だった。
果たして自分の手の中には、
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:07:46.92 ID:xchiMuX50
「おっ、六枚かぁ...」
真司に言われるまでもなく、今の自分の手の中には6枚のカードが
しっかりと握られていた。
真司と手塚が周囲を警戒している中、蓮は手持ちのカードの種類を
確認し始めた。
アドベント、ガードベント、ソードベント、ファイナルベントの四枚に
加えて、嬉しい事にトリックベントとコピーベントという前のデッキと
殆ど同じカードで構成されていたのだ。
(いける...これなら例え相手が北岡でも浅倉でもやれる!)
心の中で固く拳を握りしめた蓮はアドベントのカードに封印されている
新しい相棒の名前を言葉にした。
「ガルドミラージュ...」
先程封印したモンスターのAPは5500と中途半端な数値だったが、数値の
上では浅倉や真司の契約獣を僅かに上回っている。
無論、今まで倒してきたモンスターのトータルで考えれば、今の自分は
大分劣るだろうが、そんなことは些末な問題でしかない。
「蓮。名前はどうするんだ?」
「名前?ああ、そうか。そう言えば忘れていたな」
「そうだな。契約モンスターからとってミラージュでいいか」
「ミラージュか...そうだな、蓮がそう言うなら俺達はそれでいいや」
その瞬間、新たなライダーがここに誕生したのだった。
仮面ライダーミラージュ。変身者は秋山蓮。
「よし、じゃあ帰るか」
こうして、新たな力を得た秋山蓮は意気揚々と仲間達と共にミラー
ワールドから現実世界へと帰還したのだった。
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:08:15.05 ID:xchiMuX50
〜花鶏〜
深夜二時、城戸真司は深い眠りの中にいた。
書き上げた幾つかの記事を編集長に送り終わったのが午後11時だった。
珍しく日をまたぐ事なく眠りにつける事を喜んだ真司は、自分の寝間着の
ポケットの中にカードデッキを入れ、一日の疲れを取るべく、ベッドに
潜り込んだ。
「Zzzz...」
「....」
そして、眠りに就いた人間はちょっとやそっとでは起きる事はない。
ましてや深夜二時となれば尚更だった。
「真司...」
花鶏で真司にあてがわれた部屋にある大きな鏡から一人の人間が
音もなく悠然と姿を現した。
真司が眠るベッドの傍に佇むその男は、真司と瓜二つの姿をしていた。
「お前の体を手に入れるのは、まだ先にしてやる」
「だが、お前の力を借りるぞ...」
そう呟いたミラーワールドの真司...城戸真一は邪悪な笑みを浮かべ、
自らのポケットの中からリュウガのデッキを取りだした。
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:08:46.50 ID:xchiMuX50
「....」
そして、ベッドで眠る真司のポケットの部分に手をかざし、何かを
念じ始めると、数秒もしないうちに真司の龍騎のデッキが賭け布団の上に
姿を現した。
真一は自分のデッキと真司のデッキを入れ替えたのを確認すると、先程
同様に掌をデッキの上にかざし、真司のポケットの中にリュウガのデッキを
忍び込ませる事に成功した。
「待っていろ...優衣」
真一はそう呟くと、ズボンの左ポケットから一枚のカードを取り出し、
自分が使う龍騎のデッキの中へと忍ばせたのだった。
そして、机の上に散らばった紙にペンを走らせた真一は、再び鏡の中へ
その姿を消したのだった。
時を刻む時計だけが、全てを見ていた。
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:10:46.72 ID:xchiMuX50
それぞれの陣営が着々と戦いの準備を進めている所で今日の投稿は終わりにします。
第二部は次の投稿で終わりを迎えます。次の投稿は二日後以降になります。
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:14:34.11 ID:xchiMuX50
登場人物紹介 前編
城戸真司
お人好しで誰ともすぐに仲良くなれる皆の人気者。
劇中では手塚に命を救われた満と邂逅し、良好な関係を築けた他に、
本編同様ライダーバトルを止めようと仲間と共に毎日奔走している。
しかし、繰り返された世界のズレにより本来出会うことのなかった
ライダー達との遭遇や台頭により、徐々に彼の行く道に暗雲と不幸が
立ち込み始める。
ライダーとしての実力は高く、浅倉威や北岡秀一、芝浦淳などの
折り紙付の相手と交戦しながら、モンスター狩りを並行してこなし、
何度も生還する程の実力を誇るが、忘却の彼方からやってきたもう一人の
自分を名乗る男に龍騎のデッキを睡眠時に奪われてしまった。
仮面ライダー龍騎 契約獣はドラグレッダー
龍型のモンスターであるドラグレッダーの力を与えられたライダー。
攻守共にバランスが取れた五枚のカードを駆使し、状況に応じた
臨機応変な戦い方を取れるのが特徴と言える。
所持カード
ソードベント
・ドラグセイバーを装備。2000AP。
ストライクベント
・ドラグクローを装備。2000AP。
ガードベント
・ドラグシールドを装備。2000GP。
腕に装備する場合と両肩に装備する場合を選択可能。
アドベント
・ドラグレッダーを召喚。5000AP。
ファイナルベント
・ドラゴンライダーキックを発動。6000AP。
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:15:04.91 ID:xchiMuX50
秋山蓮
仮面ライダーナイトに変身する青年。24歳。
神崎士郎の実験のせいで意識不明の昏睡状態で病院で眠り続ける
恋人を救う為、ライダーになった。
秋山蓮がライダーバトルに身を投じるのは一貫してそれが理由である。
戦いの中で、目的は違えど城戸真司と手塚海之というかけがえのない
仲間を得たことで、命を奪い合う戦いに戸惑いを覚え始めている。
そして戦いが進む中、徐々にその焦りが蓮を蝕んでいく。
アビスとの二度目の邂逅の際に、アビスに完全に土をつけられた後に
突如現れたガルドサンダーに今までの鬱憤が爆発したかのように逆上し、
冷静さを欠いた判断により、契約モンスターであるダークウイングを
失ってしまった。
第二部終盤、なんとか手塚と真司の助力の末にガルドミラージュとの
再契約を果すが....
仮面ライダーナイト 契約獣はダークウイング
名前が示す通り、剣術を駆使した戦闘を得意としている。
契約獣はコウモリ型のミラーモンスター、ダークウイング。
所持カード
ソードベント
・ウイングランサーを召喚。2000AP。
ガードベント
・ウイングウォールを召喚。3000GP。
トリックベント
・分身(シャドーイリュージョン)を作る。1000AP。
ナスティベント
・超音波で相手をかく乱する。1000AP。
アドベント
・ダークウイングを召喚。4000AP。
ファイナルベント
・飛翔斬を発動。5000AP。
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:15:45.99 ID:xchiMuX50
須藤雅史
蟹さんの大好物、もといライダーバトルに参加した悪徳刑事。
初登場は第三話だが、それから五話も経過しないうちに満との同盟を
果たせないまま仮面ライダーガイと交戦し、ストレート負けを喫した後、
デッキを破壊されてミラーワールドに消えていったライダー。
仮面ライダーシザース 契約獣はボルキャンサー
ミラーワールドで一番最弱の蟹型モンスターの力を与えられたライダー。
悲しいことにAP1000のシザースピンチではガイの分厚い鋼鉄の装甲に
傷一つつけることは出来なかった模様。
ちなみにボルキャンサーはメタルゲラスと善戦したものの、最後は
自慢の爪をもぎ取られた後、地面に叩き付けられ爆散。
そのあと、おいしくメタルゲラスに頂かれたようである。
所持カード
ストライクベント
シザースピンチを召喚 1000AP
ガードベント
シェルディフェンスを召喚 2000GP
アドベント
ボルキャンサーを召喚 3000AP
ファイナルベント
シザースアタックを発動 4000AP
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:16:17.70 ID:xchiMuX50
北岡秀一
不治の病を治し、永遠の命を得る為ライダーバトルに参加した弁護士。
弁護士としてもライダーとしても実力は高く、何度も訪れた窮地を
頭と度胸と機転で切り抜けられる力量を持つ選ばれた側の人間。
浅倉威の弁護を担当し、彼を無罪に出来なかったことから逆恨みされ
以降のライダーバトルで何度も付け狙われることになった。
第一部終盤に初登場。仮面ライダーベルデにマグナギガの大砲で
引導を渡した後、そのベルトからベルデのデッキを引き抜き、自分の
忠実な秘書である由良吾郎にこれを譲渡した。
以降第二部では吾郎と共にライダーバトルに本格的に参戦する。
劇中では第二部序盤にガイとベルデと結託し、アビスの命を狙うものの
あと一歩のところでタイガの乱入に遭い、撤退する。
その後、第二部終盤で再登場を果し、疑似ライダーでありながら
ライダーの命を狙ってくる香川陣営を危険視し、吾郎と共にその戦力を
削ぐ事を第一とし、浅倉威を葬るべく行動を開始する。
仮面ライダーゾルダ 契約獣は鋼の巨人マグナギガ
全身武器庫の歩く水牛型ミラーモンスターの力を与えられたライダー。
ゴチャゴチャした戦いを一方的に終了できるだけの高い火力と状況に
応じて使い分けできる様々な銃撃戦に特化した武器を持つ。
所持カード
シュートベント×2
・ギガランチャー(2000AP)、ギガキャノン(3000AP)の2種類。
ガードベント×2
・ギガアーマー(3000GP)、ギガテクター(1000GP×2)の2種類。
ストライクベント
・ギガホーンを召喚。2000AP。
アドベント
・マグナギガを召喚。6000AP。
ファイナルベント
エンドオブワールドを発動。7000AP。
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:17:32.56 ID:xchiMuX50
手塚海之
城戸真司の仲間その2。街では結構有名な占い師。
ガルドサンダーとの一騎打ちに勝利し、親友の仇を取った後も、
城戸真司と秋山蓮に協力し、謎多き神崎優衣を守る優しい男。
劇中ではアビスを殺そうとするナイトを諫めたり、恐怖に震える満に
優しく手を伸ばす等の面が強調されているが、神崎士郎にとってそれは
余分な行為でしかなかった。
第二部の中で神崎士郎からサバイブのカードを手渡される。
戦いを好まない手塚にとって、サバイブはまさに凶兆だった。
現在は真司と蓮のどちらかにサバイブのカードを託すかを迷っている。
仮面ライダーライア 契約獣はエビルダイバー
海に住むエイのミラーモンスターの力を与えられたライダー。
ナイト同様ライダーに飛行能力を与えられる数少ない契約獣。
劇中では数少ない善のライダーであり、エビルダイバーのことも
大切な仲間と見做して、ミラーワールドでの戦いに臨んでいる模様。
ちなみにエビルダイバーもそんな手塚になついている模様である。
ミラーワールドの砂浜を歩くライアの横にふよふよと浮遊しながら
頭を撫でられ、嬉しげに体をくねらせる様子はミラーモンスターの中でも
最強の萌えを誇る。
ぶっちゃけどこかの蟹畜生はコイツを見習うべきである。
所持カード
スイングベント
エビルウィップを召喚 2000AP
コピーベント
相手、仲間の武器をコピーする
アドベント
エビルダイバーを召喚 4000AP
ファイナルベント
ハイドベノンを発動 5000AP
サバイブ〜疾風〜
ライダーに疾風の力を与え、強化する
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:18:28.41 ID:xchiMuX50
芝浦淳
ゲームと現実の区別がつかない頭のねじが外れてる大学生。
劇中ではシザースと真っ向勝負を演じ、デッキの差で勝利を収める。
頑丈な装甲と相手のカードを封じる二枚の特殊カードと忠実な契約獣。
俺の勝ちは揺るがねぇ。過信もここまで来れば一周回って愉快である。
そして、彼の快進撃は第二部であっけなく幕を下ろした。
アビスを追い込み、ゾルダのトドメの一撃が放たれようとしたその時、
アドベントからのファイナルベントという教科書通りのタイガによる
奇襲攻撃の前に、仮面ライダーガイはあっけなく散った。
その後、彼の死後に残されていた最後の一枚のコンファインベントと
忠実な契約獣はタイガに全て奪われてしまった。
無意味な戦いを演じ、無意味に散った彼の最後は誰の記憶にも残らない。
仮面ライダーガイ 契約獣はメタルゲラス
西洋甲冑のような外観をしており、外見とは裏腹に動きは軽快そのもの。
高い防御力とメタルホーンによる強引なゴリ押しで攻めていくパワー
スタイルだが、武器がメタルホーン一つしかないという時点でぶっちゃけ
詰んでいるというのは言わないお約束。(ヨーヨーよりかはマシだが)
特殊カードのコンファインベントは強力ではあるものの、使い所を
間違えたり、あるいはサバイブのカードでモンスターが強化された際には
その効果を打ち消されるデメリットもある。
結論、コイツはタイガの戦いを見習うべきだったと言わざるを得ない。
契約獣であるメタルゲラスもエビルダイバー同様に自分を相棒と
みなしてくれた飼い主に懐いていた。
血も涙もないミラーモンスターだが、目に見えない絆というものは
時として種族を超えた愛を育むのかも知れない。
草を食み、飼い主を肩に乗せて道路や河原、公園で元気いっぱいに
駆け回るメタルゲラスにとって芝浦淳という人間はかけがえのない大切な
存在だったのだろう。
所持カード
ストライクベント
メタルホーンを召喚 2000AP
コンファインベント
相手のカードの効果を無効にする
アドベント
メタルゲラスを召喚 4000AP
ファイナルベント
ヘビープレッシャーを発動 5000AP
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:19:35.13 ID:xchiMuX50
高見沢逸郎・由良吾郎
ここではベルデに変身した二人の概要を記すことにする。
前者はよせば良いのにライダーバトルをふっかけ、深夜の誰も来ない
倉庫でゾルダにフルボッコにされ、マグナギガに頭を吹っ飛ばされた
噛ませ犬である。
後者は北岡秀一にかつて人生を救われた青年であり、病身の秀一の
身の回りの世話や護衛から秘書までを器用にこなす万能執事である。
ライダーバトルに掛ける願いは秀一の病の快癒。
ゾルダの懐刀として、またいざという時の秀一の代行者として今日も
由良吾郎は油断なく自らを鍛えるのだった。
仮面ライダーベルデ 契約獣はバイオグリーザ
カメレオンの契約獣の力を与えられたライダー。
デッキの仕様はコピーベントやクリアーベントなどのトリッキーな
カードによる奇襲戦法をメインとしてライダーバトルを戦い抜く仕様。
殺傷力はないものの、裏方に徹する由良吾郎氏にとってはまさに
これ以上ない程のデッキである。
所持カード
ホールドベント
バイドワインダーを召喚 2000AP
クリアーベント 自身を透明化
コピーベント 相手の姿・武器をコピー
コントラクト モンスターと契約できるカード
アドベント
バイオグリーザを召喚 4000AP
ファイナルベント
デスバニッシュを発動 5000AP
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/28(金) 23:44:21.36 ID:xchiMuX50
ライダー紹介前編はこれでおしまいです。残り半分は次の時に投稿します
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/29(土) 10:53:21.94 ID:8SpQ7X5UO
おつおつ
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/29(土) 18:12:33.66 ID:9caP9LAzO
おつ
続き楽しみにしてるぞ
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/30(日) 11:41:11.79 ID:DSAJ+Ylu0
お待たせしました。今日の分投稿します。
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/30(日) 11:42:08.58 ID:DSAJ+Ylu0
19話 〜生き残るために〜
〜北岡弁護士事務所〜
「ふぅ...朝から随分と騒がしいねぇ。ゴロちゃん」
「...検討はつきますが、どうしましょうか先生?」
「そうだね。扉を蹴破られる前に電話しちゃおうか」
朝九時、北岡弁護士事務所に緊張が走った。
朝食を楽しんでいた秀一と吾郎は顔を見合わせ、今日が運命の日だと
確信した。
玄関の監視カメラの映像を吾郎が確認した所、扉の前に立っているのは
まぎれもなく浅倉威ということが分かった。
無言で電話を取った秀一が電話をかけた相手は香川だった。
(例の場所、ねぇ)
秀一は皮肉めいた笑みを浮かべ、香川とのやりとりを思い出していた。
浅倉を倒すという目的の下に一時的な休戦同盟を受け入れた秀一と
吾郎はここから3km離れた香川の指定した地下通路の事を思い浮かべる。
地上から20mの深さにあるその通路は幅10m、高さ6mの、長さ1300m、
そして出入り口が2ヶ所しかない一方通行という浅倉を仕留めるには、
まさにうってつけの場所だった。
香川によると既に浅倉を逃がさない細工は仕掛け終わり、後は秀一が
浅倉を誘導すれば全部香川の方で終わらせるという取り決めだったが、
秀一も香川もあわよくば互いの首をかっ切るような悪辣さをその策の中に
見いだしていた。
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/30(日) 11:42:38.39 ID:DSAJ+Ylu0
「もしもし。香川です」
「おはようございます。北岡です。浅倉が来ました」
「そうですか。では奴を30分以内に例の場所に誘導してください」
「私達は今から現地ポイントで一時間待機しています」
「了解しました。では」
電話を切った秀一は、吾郎を促して浅倉を招き入れた。
「北岡ァ...何をしている、俺と戦え...」
「浅倉、お前もっと身だしなみに気を遣えよ」
「うっ、鼻が曲がりそうだ。臭いよお前」
鼻が曲がりそうな匂いと共に、浅倉威は土足で遠慮する事なく秀一の
事務所に足を踏み入れてきた。
これまで何度か浅倉が自分の事務所を尋ねてきた時も臭かったが、今日の
浅倉は今まで以上にとんでもない匂いを撒き散らしていた。
「また何人か殺してきたのか。お前いい加減にしろよ」
「は。なんだ怖いのか?お前も直に腸をぶちまける羽目になるぞ?」
「これだから頭まで獣はいやなんだよねぇ」
「ま、いっか。浅倉、いい話と悪い話があるんだけど聞きたいか?」
「なんだ?話してみろ」
浅倉の興味を誘う事に成功した秀一は、香川の魂胆は一先ず置いて、
自分の得意な口八丁で浅倉を罠にかけ始めた。
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/30(日) 11:43:23.30 ID:DSAJ+Ylu0
「まずいい話から。俺についてくれば最大三人のライダーと戦えます」
「ほう。で、誰がその戦いに参加するんだ」
「一人目は俺、二人目と三人目はお前の知っている奴だよ」
「そいつらの名前は?」
「さぁ。俺は知ってるけどお前に教えてやる筋合いもないからね〜」
「ふん。まぁいい。そいつらもまとめて倒すだけだ」
「北岡、案内しろ」
「まぁそう焦るなよ。まだ悪い話が残ってるんだからさ」
どのみち、気が乗らなければここで北岡と一戦交えて殺し合うのも
一つの手ではあるが...
(足りねぇ...北岡程度で足りるかよ...)
どうせ喰らうなら一人よりも複数の方がいい。
秀一の顔色が優れないものに変わった事に違和感を感じた浅倉は
とりあえず静観を決め込み、北岡の話に耳を傾ける事にした。
「で、悪い話って言うのが、ライダーバトルを潰そうとする奴の事」
「なに?どういうことだ?」
「簡単に言えば、俺とお前の決着に茶々を入れようとする奴がいるんだよ」
「城戸の事か?」
「いーや、違う。ゴロちゃん。写真持ってきて」
手を叩いた秀一に傍で控えていた吾郎が一枚の写真を手渡す。
「コイツか...」
「そう、この眼鏡をかけた男がライダーバトルを潰そうと動いてるんだよ」
「俺もお前もなんだかんだ言ってライダーバトルに乗り気じゃん?」
「割と切実に叶えたい願いらしいものも一応は持ってるわけだし」
「....」
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/30(日) 11:43:53.00 ID:DSAJ+Ylu0
「ほう、それは見過ごせないな」
「だろ?俺も気にくわない。お前を[
ピーーー
]のは俺だからな」
「さてと、お前はどうする浅倉?」
「俺と手を組んで今からそいつらを殺しに行くか?」
「それとも、ここから背中を向けて別の奴の所へ向かうか?」
「答えを聞かせろ。浅倉。残り時間は後30分だ」
「はっ、考えるまでもない。お前も含めて全員殺してやる」
「決まりだな。ゴロちゃん。車出して!」
秀一の言葉に従った吾郎は、すぐさま外へと飛び出していった。
「英雄対怪物、か」
「なぁ、浅倉。お前、怪物は英雄に勝てると思うか?」
何気なく自らに投げかけられた言葉に、浅倉の脳裏に一人のライダーの
姿が浮かび上がってきた。
「そうか...お前か、お前が英雄か...」
自分の獲物を横取りした挙げ句、あろうことか悠々と傷一つなく
自分から逃げ去っていったタイガの姿を浅倉は思い出していた。
「感謝するぜぇ...北岡...」
「お前の質問の答えはすぐ出してやる。楽しみにしてろ」
そう吐き捨てた浅倉は吾郎が回した秀一の車に乗り込みながら、宿敵が
待ち受ける戦場へと想いを馳せるのだった。
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/30(日) 11:44:25.92 ID:DSAJ+Ylu0
〜〜
遂にこの日がやってきた。
世間を騒がした連続殺人鬼、浅倉威と戦う時が来たのだ。
401研究室を出た四人は、浅倉を誘導するポイントの近くに停車している
ワゴンの中で最後のミーティングを始めていた。
「役割とそれぞれが為すべき事は、もう頭の中に入っていますね」
「はい」
既に浅倉がここに来るまであと五分をきっていた。
言葉を交す事なく、四人はただひたすらその時を待っていた。
「先生、時間です」
「では、皆さん。行動に移ってください」
東條の一言に香川が頷き、車のドアを開ける。
「死ぬなよ、東條」
「君の方こそ」
短く言葉を交した二人は、正反対の方向へと駆けだしていった。
「先生、どうか必ず勝ってください」
「ええ。その期待に、全力でお答えしましょう」
満も仲村の待機する場所へと駆けだしていった。
信頼できる仲間達を見送った香川の背後から、強烈な殺気を纏った
存在がゆらりとその姿を現した。
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:45:39.97 ID:DSAJ+Ylu0
「お前か...英雄の親玉っていうのは...」
「ええ。名もなき英雄ですが、それも今日までです」
遂に姿を現した浅倉威と対峙する香川英行。
時刻は平日の午前9時43分。場所は清明院大学から遠く離れていない
人通りの多い大通りである。
「面白れぇ...典型的だが、悪くない」
北岡に写真を見せられた時には気が付かなかったが、人の理から外れた
浅倉威は、香川を一瞥するだけで自分とは別のベクトルではあるものの、
目の前の相手も一筋縄ではいかない何かを持っている、人の域を踏み外した
とんでもない化け物だということを一瞬で悟った。
「ライダー同士、いざ尋常に勝負とはお互いガラでもないだろうが...」
「お前となら、かなりギリギリの所で愉しめそうだ」
「結構。どうせ死ぬなら互いの全てを出し切って死にたい物です」
この戦いで自分と同じ土俵に上がって戦おうとするライダーと初めて
遭遇した浅倉の笑顔がますます獰猛さを帯びた凄惨な物へと変化していく。
「分かってるじゃねぇか...英雄サマよぉ...」
尋常ならざる雰囲気の二人のオーラに気圧された何も知らない一般人が
海が割れるように、二人を避けて通り過ぎていく。
まるで怪物と英雄の対決を妨げるものはいないとでもいうように...
「...変身!」
銃の早撃ちのようにカードデッキを取り出した香川と浅倉は
己の全てを戦いの昂揚に任せ、ライダーへと変身した。
「...変身!」
二人が変身したと同時に、打ち上げ花火が空中で爆発する音が周囲に
響き渡る。それを合図に香川と浅倉の体は一瞬のうちに、ミラーワールド
へと吸い込まれていったのだった...。
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:46:14.63 ID:DSAJ+Ylu0
〜ミラーワールド〜
浅倉と香川の戦いが始まったその直後、北岡秀一と由良吾郎も同時に
ミラーワールドの中へと突入し、香川との『同盟』に則り、浅倉威を
今度こそこの世から消し去るべく行動を開始した。
「さて、それじゃあこっちもやりますかね...」
ゾルダがバイザーに一枚ずつカードを挿入して自分の武器を呼び出す。
「Strike vent」
「Gurad vent」
「Copy vent」
ゾルダが呼び出した武装はマグナギガの肩と頭部を模した手甲と肩を
守る盾だった。
「うん。中々似合うじゃない。ゴロちゃん」
利き手にギガホーンを、両肩にギガテクターを装着したゾルダに変身した
ベルデはうんうんと頷きながら完全武装した自分の姿にご満悦だった。
元々奇襲特化型のベルデの戦い方はヨーヨーで敵の体の一部分を縛って
相手の体のバランスを崩したり、特殊カードであるコピーベントで相手の
姿と武器を模倣し、1対1で切り結んでカードデッキを破壊するか、あるいは
クリアーベントで姿を消して気配を殺しながら、ライダーの背後に音もなく
近寄り、ファイナルベントを喰らわせるような戦法しかとれない。
簡潔にまとめるとベルデのカードは肉弾戦にはとても向いているとは
言いがたい代物だった。
しかし、そのハンデを埋める武器を手に入れる事が出来たら?
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:46:50.09 ID:DSAJ+Ylu0
その点、北岡秀一は周到だった。
ゾルダが使う事のない二枚のカードをあえて先に使用し、ベルデにコピー
させる事で他のライダーとの間にある埋めようのない戦力差のカバーに
つなげられ、何よりも相手のミスリードを誘える利点も生まれた。
最も、この作戦が完璧な物かと問われればそうでもない。
ベルデの最大の切り札の一枚と言えるコピーベントは既に使い切って
しまったし、ギガホーンを失ってしまえば丸腰になってしまう。
だから...
「戦力差は経験と奇策で補わなきゃね」
ベルデに変身した秀一はそう呟いた。
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:47:16.48 ID:DSAJ+Ylu0
「ゴロちゃん、絶対に相手と交戦しちゃダメだからね」
「あくまでも俺達の狙いは浅倉一人なんだから」
「相手も一筋縄じゃ行かないと思うけど、逃げ続けてくれよ?」
「大丈夫です。絶対に逃げ切りますから」
秀一の言葉にゾルダに変身した吾郎が頷く。
香川の策が、予め全ての反射物を破壊した完全にほぼ逃げ場のない一方
通行の地下通路でタイガや量産型オルタナティブ達と徒党を組んだ上での
時間切れで浅倉を消滅させる二段構えの策であるのならば、秀一の策は
香川の策に便乗した上で戦いを乱戦に持ち込み、一人でも多くライダーを
引き連れ、地下通路の中におびき寄せた上でのファイナルベントによる
一斉掃射を狙う物だった。
「いたぞ!」
「じゃ、ゴロちゃん。任せたよ」
向こう側の歩道からアビスとオルタナティブを発見した秀一は吾郎の
負担を少しでも減らすべく、オルタナティブへと躍りかかっていった。
「先生。任せてください...」
そう呟いた吾郎は残った自分めがけて突進してくるアビスを誘うように
近くにあった細い裏路地へと駆け込んでいった。
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:47:45.55 ID:DSAJ+Ylu0
「始まったか...」
ライダーバトルの今後の趨勢を決する大規模な戦いを現実世界の鏡から
覗きこむ二人の人間がいた。神崎士郎と城戸真一だった。
「香川め、中々よく考えたものじゃないか」
「全ての反射物を予め現実世界で破壊した上で浅倉をおびき寄せる策とは」
「そうだな」
「どうする?オーディンを出すのか?」
「ああ」
「そうか。俺は俺で動かせて貰う」
神崎を一瞥した真一は龍騎に変身し、鏡の中へと戻っていった。
そして、神崎士郎もこの戦いの結末を見届けるべく、ミラーワールドの
中へと入っていった。
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:48:25.34 ID:DSAJ+Ylu0
〜英雄と怪物〜
遂に三者三様の戦いの幕が切って落とされた。
「Sword Vent」
「Sword Vent」
まず最初に戦況が大きく動いたのは、香川と東條のチームだった。
緩やかなスロープでにらみ合った香川と浅倉は、日の光が当たらない
薄暗い地下通路へと吸い込まれるように駆け下りていった。
「うおーっ!」
力任せに振るわれるAP3000のベノサーベルの力任せで乱雑な一撃を
オルタナティブは殺傷力で劣るスラッシュダガーの特性を生かしながら、
数学の方程式を解くように最小限の解を以て躱しては捌ききる。
(体を躱し、体勢が崩れた時に浅倉は突きを多用する)
(足などの下段部分に対する斬撃対処としてはジャンプによる後方回避)
(ならば、反応できない速度で浅倉を切り刻む!)
王蛇の攻撃パターンに対する最適な反撃を組み立てたオルタナティブは
一瞬の内に自らの攻撃パターンの中に浅倉の攻撃と同じ動作と荒々しさを
取り込んだ物へ変化させたのだった。
「?!」
まるで鏡に映った自分のような攻撃をするオルタナティブに王蛇は
たちまち劣勢へと追い込まれていった。
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:48:52.95 ID:DSAJ+Ylu0
ベノサーベルの攻撃力は確かに他のライダーと比較して高い。
頑丈さと攻撃力そして王蛇たる浅倉の後退のねじが外された状態による
無謀な突撃が組み合わさる事で最悪にして最強の攻撃が生みだせる。
いわば肉弾戦で相手の装甲を突き穿ち破壊する事に主眼を置かれた白兵
特化のソードベントと言える。
一方で香川のスラッシュダガーはAP2000とベノサーベルよりも劣るが、
それを埋めるだけの途方もない才気を持つ香川によって魔改造された
サイコローグが得た新しい力がそのままスラッシュダガーに反映されている
状態と言える。
香川に改造される前のサイコローグは、目からビームやミサイルを
出すこともなく、自分の武器であるスラッシュダガーからは炎を放つ事も
出来なかったAP5000のちょっと強いだけのミラーモンスターだった。
だが、香川英行はミラーワールドに滞在する時間を犠牲にすることで
ミラーモンスターがライダーに貸し与える力の出力を上げることに成功した
その副次的なものの結果として、サイコローグは突然変異じみた進化を
遂げることに成功したのだった。即ち、目からビームを放ち、武器から
青い炎を吹き出すようになったのだ。
話は逸れたが、要は単純な攻撃力で勝る王蛇の暴力をオルタナティブの
圧倒的な知力と膂力が押さえ込んでいると言うわけである。
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:49:28.65 ID:DSAJ+Ylu0
確かに浅倉は強い。
死を恐れずに立ち向かう蛮勇はライダーの中で一位と言えるし、自らに
降りかかる危機を切り抜けるだけの悪辣なまでの狡猾さも持っている。
しかし、それ故に浅倉威は香川英行を打破することが出来ない。
何故なら、香川は浅倉の想定のその遙か上を行くからだ。
トンネル内部、自分の背後から聞こえて来たオルタナティブとは異なる
もう一つの電子音声に王蛇はすぐさま反応することが出来なかった。
自分を超える斬撃を繰り出す香川の太刀を捌ききれず、返しのついた
棘で体を抉られては退路を炎で塞がれて追い込まれる王蛇に背後に潜む
一番敵に回してはいけない相手への対処を考えられるだけの時間は
与えられなかったからだ。
「ぐああああああ!!」
わざと作られた香川の隙に乗じて背後に開けた何一つ明かりのない地下
通路の中に飛び退き、距離を取ることに成功した王蛇の背中を鋭い斬撃が
切り裂いた。タイガによる暗闇からの奇襲である。
一度目の斬撃は王蛇の強化スーツの背中を深々と切り裂き、切り裂かれた
箇所からは生身の肌が覗き、そこから大量の血液が飛び散った。
二度目の斬撃は浅倉の足を突き刺すような攻撃だったが、浅倉は自分の
ベノサーベルをタイガに投げつけることでこれを回避し、考え得る限りの
最悪の結末を一先ず先送りにすることに成功したのだった。
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:50:11.12 ID:DSAJ+Ylu0
「Steel vent!」
よろよろと立ち上がった王蛇は悪足掻きのつもりか、バイザーを開き、
特殊カードのスチールベントを使用し、タイガのデストクローを奪い、
間断なく攻防重視の構えを取り、仕切り直しを図った。
「チッ!判断を間違ったかも...!」
アドベントを使い、デストワイルダーかメタルゲラスを召喚して浅倉を
捕らえた方が良かったかも知れないとタイガは後悔した。
そうすれば次の一手にファイナルベントを使うことだって出来たはず。
「いえ、上出来です。残り時間はあと7分あります」
「このまま消耗戦を続けましょう」
王蛇が投げつけたベノサーベルを左手に持ったオルタナティブが頭に
血が登りそうなタイガの心を宥める。
「はい。先生」
「Strike vent!」
デストバイザーにもう一枚のストライクベントを挿入したタイガは、
右手にメタルホーンを構え、改めて目の前の王蛇へと向き直った。
「はぁ...はぁ...楽しいなぁ、ライダー同士の戦いってのはよぉ...」
「これだけでライダーになった価値は充分ある。そう思わねぇか?」
「化け物め...」
王蛇の持つカードはあと二枚。
対して、自分と香川のカードは合わせてあと10枚もある。
しかし、これだけの優位性を確保しているのにも関わらず、タイガも、
オルタナティブも王蛇の発する得体の知れない何かに徐々に飲み込まれつつ
あった。
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:50:42.02 ID:DSAJ+Ylu0
〜ベルデVSオルタナティブ〜
「....」
「....」
香川と東條が地下で浅倉との死闘を繰り広げている中、地上では二組の
ライダーによる戦いの幕が開いていた。
道路を挟んで相対し、にらみ合う疑似ライダーと仮面ライダー。
「Accele vent!」
先に仕掛けたのはオルタナティブだった。
宙高く舞い上がり、停車していたトラックのコンテナの上に飛び乗った
オルタナティブはスラッシュリーダーにアクセルベントを読み込ませ、
50m近くあった距離を一瞬で詰めることに成功したのだった。
「そう来たか!」
ベルデのコピーベントにより、ベルデのバイザーはゾルダのバイザーと
同様の機能を備えるに至っている。
故に、秀一はベルデのコピーベントが解けるまでの間、ゾルダとして
今までと遜色のない戦い方を迷うことなく取ることが出来る。
空中から舞い降りたオルタナティブが、一瞬のうちに直線距離17mの
間合いを一気に詰めようとしたところに、偽ゾルダはマグナバイザーを
連射し、懐に入られないように一定の距離を保つ。
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:51:21.54 ID:DSAJ+Ylu0
(どっちが北岡で、どっちが影武者なんだ?)
秀一が吾郎と入れ替わっていることを悟った仲村だが、もし自分が
相対している相手が姿を消すライダーがゾルダに擬態しているとしたら、
一瞬の隙を突かれる危険性も無視できない。
何しろ、ライダーバトルの半分はファイナルベントの威力で決定するが
残り半分は運と相手の奇策が勝利を左右すると言っても過言ではない。
(浅いねぇ...ま、相手が頭悪い馬鹿で助かったよ)
(ゴロちゃん...頼むから死なないでくれよ...)
「じゃ、近距離戦行ってみようか!」
動揺を敏感に感じ取った秀一は、一気に勝負を決するべく、ベルデが
最もその実力を発揮できる肉弾戦をオルタナティブへと仕掛けていった。
「Sword vent」
しかし、オルタナティブも一瞬で迷いを捨て去りスラッシュリーダーに
ソードベントのカードを読み込ませ、武器を呼び出す。
「うおおおおお!」
絶叫しながらオルタナティブは大上段に振りかぶった大剣をゾルダへと
叩き付けようとするも、ゾルダは軽やかなステップでこれを回避。結果、
地面のアスファルトが抉れ、小さなクレーターが出来た。
なんて馬鹿力だ。
内心で呆れたように呟いた秀一はギガホーンの砲口をオルタナティブの
頭に向けて、弾丸を撃ち出した。
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:52:17.34 ID:DSAJ+Ylu0
「っぁ!」
「へぇ、これってビームなんだ」
ギガホーンから放たれた緑色の光線にニヤリと笑った秀一は両手に構えた
マグナバイザーとギガホーンによる精密な射撃で相手に攻撃をさせること
なく一方的な蹂躙を始めたのだった。
「うわあああああああ!!」
圧倒的な経験差と実力差に圧倒された仲村は、歯痒い思いをしながら
防戦一方の最悪な状況に自分が追い込まれていることを悟った。
前に出て斬りかかろうとすれば、小回りの利くマグナバイザーで牽制され
後ろに下がってカードを切ろうとすれば、火力で勝るギガホーンの光線が
それを許さない。
(考えろ、考えるんだ...なにか、なにか盾になるもの...盾?!)
マグナバイザーの弾丸が自分の右肩をかすめた時、オルタナティブの
頭の中に一か八かの閃きが舞い降りた。
「調子に乗るな!」
逃げることを止めたオルタナティブはゾルダに相対し、自分の持つ
スラッシュダガーに炎を込めた遠距離からの斬撃を見舞った。
「無駄だって言って...」
悪足掻きをせせら笑うゾルダの顔が引きつった。
今、自分とオルタナティブが戦っているのは幅4m程度の歩道だった。
バイクに変身して相手を攻撃するオルタナティブにとって、この狭さは
脅威でしかないが、必ずしもその脅威が逆転に繋がらないとは限らない。
オルタナティブの放った斬撃の対象はゾルダではなく、その近くに
あった大きく育った街路樹の幹だった。
「しまった!」
ベルデのスペックはオルタナティブよりも劣る。
それ故に一方的に銃撃を浴びせられるガードレールで保護された歩道を
秀一は戦場に選択したのだった。
確かにその狙いは間違っていなかったし、オルタナティブの変身者である
仲村創の経験不足に上手くつけ込む形でゾルダに変身したベルデはここまで
戦いを優勢に進めることが出来たのだから。
「隙を見せたな。さぁ、正体を現しやがれ!」
高さ5mを優に超える大木が自分の目の前に倒れ込んで来れば、当然
どんな人間であっても、すぐさまそこから飛び退いて距離を取る。
だが、その距離こそが今のベルデの命綱に他ならなかった。
そして、その命綱が切られた音が切り落とされた街路樹の向こうから
聞こえて来てしまった。
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:52:45.03 ID:DSAJ+Ylu0
「Advent!」
猛烈な勢いで自分の元へと駆けてくる人型をしたオルタナティブの
契約モンスターが自分の頭部からビームを放ってやってきた。
ミラーワールド二位の攻撃力を誇るサイコローグがやってきたのだ。
「やっば!」
「Clear Vent」
近くにあったポストに身を隠した秀一は自分の悪運に感謝した。
自分を捉えきれなかったサイコローグのレーザービームが直撃した
ビルの壁や車のボディがとんでもない音を立てて爆発したからだ。
(ふぅ...ヤバかったぁ...。今日はもう撤退した方がいいな)
(早くゴロちゃんと合流してミラーワールドから脱出しよう)
間一髪でサイコローグに捕らえられ、殺される前に最後の奥の手を
切ることに成功した秀一は、息を殺してサイコローグとオルタナティブの
魔手から命からがら逃げ出した。
「くそがぁあああああああ!!!」
自分の背後から聞こえる怒りの雄叫びに「おお、怖い怖い」といつもの
茶化すような笑みを浮かべた秀一はオルタナティブに見つからないよう、
慎重に吾郎の待つ戦場へと向かうことにしたのだった。
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:53:14.41 ID:DSAJ+Ylu0
〜アビスVSゾルダ〜
ライダーバトルの状況が目まぐるしく変わる中、最後の対戦は意外な
乱入者により、複雑な様相を見せ始めていた。
遡ること八分前、オルタナティブと別れたアビスは路地裏に逃げ込んだ
ゾルダを追いかけて疾走していた。
平均的なライダーが持つカードの枚数が5枚か6枚と仮定すると、既に
武装しているゾルダのカードの残りを4枚程度とアタリをつけたアビスは
躊躇なくアドベントのカードでアビスハンマーを呼び出し、ゾルダを
追いかけ捕獲しろと命令を出したのだった。
地面や湖に潜れば時速125kmの速さで獲物を追跡するアビスハンマーに
とってライダーの脚力などたかが知れている。
案の定、数十秒後にはアビスハンマーに足を掴まれたゾルダが、土中に
ひきずりこまれまいと必死の抵抗をしていた。
「ぐっ!くそっ!」
(あの時のゾルダと声が違う?そうか、そういうことか...)
道理でいつもと違う恰好をしていたと言う訳か。
ガイとゾルダに殺されかけた時に、満は秀一と吾郎の声を一度だけ
聞いていたことが決め手だった。
ゾルダの変身者とその手下は互いのデッキを交換して変身し、敵の目を
欺いて漁夫の利を狙っていた。そう考えるとつじつまが全て合う。
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:53:50.07 ID:DSAJ+Ylu0
「答えろ。偽ゾルダの変身者とどこで落ち合う予定なんだ」
「教えるわけ、ないだろ...」
「ふーん。そう言う事言っちゃうんだね〜」
「アビスハンマー。こいつの体、もっと土の中に埋めて良いよ」
地面の下から気持ちの悪い唸り声が聞こえたと同時に、ゾルダの体が
まるで底なし沼に吸い込まれていくようにずぶずぶと沈んでいく。
ゾルダの体の半分がアスファルトに埋まった所で、アビスハンマーが
俺の役目は終わったと言わんばかりに、地面の中から這いだし、アビスの
隣に黙って控えた。
「俺さ、アンタがどうなろうと別に関係ない訳なのさ」
「ライダーバトルに乗ってる側の人間なんだろ?アンタ達」
「黙って死ぬか、それともしゃべって生き延びるか選んで欲しいなぁ」
脅迫とハッタリをかけ、ゾルダに変身したライダーに揺さぶりをかける。
「殺すなら、殺せ...」
「あーあ。じゃ、そうするわ」
これ以上話しても時間の無駄と悟った満は、躊躇なく地面の中で餌を
待ち侘びるアビスハンマーに食事の許可を出そうとした、が....
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:54:21.93 ID:DSAJ+Ylu0
「Strike vent!」
雲の中から姿を現した深紅のドラゴンが満めがけて避けようがない
豪火球を吐き出したのだった。
「ッ!!アビスハンマー!俺を守れ!」
そう言うなり、アビスハンマーの体を盾にしたアビスは背中から
アスファルトの地面に倒れ込み、アビスハンマーが逃げ出さないように
その両脇から手を入れて雁字搦めにして最低限のダメージだけで
切り抜けることを選択した。
豪雨のように降り注ぐ火の玉は槍のように次々に地面に突き刺さり、
狙い誤ることなくアビスやアビスハンマーの体にも突き刺さった。
「ぐああっ!」
豪火球を真正面から3発受けたアビスハンマーがあっけなく消滅する。
(誰だ!誰なんだ!)
一言では言い切れない間柄の契約獣の片割れがいなくなったことに
傷つきながらも、ドラグレッダーによる空からの爆撃がようやく終わりを
迎えた。
よろよろと立ち上がった満は、まるでゾルダを庇うような龍騎の攻撃の
仕方に違和感を感じながらも、姿の見えない敵からの再びの来襲に備え、
撤退を選ぶ。
(やばい...このままいけば作戦が全部ぶち壊されるかも知れない)
元々この作戦は、香川陣営の四人と、浅倉と北岡とその手下の三人以外の
ライダーの介入は想定されていない前提で成立している。
香川と東條のツートップが浅倉に後れを取るとは思えないが、その二人の
思考の外から相手が乱入してしまえば、当然戦況はひっくり返ってしまう。
ここに残って八人目のライダーと戦うか、それともゾルダを殺して、
香川と東條の加勢に向かうのか?迷う時間はもう殆どない。
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:54:53.21 ID:DSAJ+Ylu0
「悪く思わないくれよ!」
アビスが選んだのは後者だった。
どのみちゾルダの殺害は今回の作戦に含まれている訳だし、ここで強力な
ライダーを確実に倒しておけば、この先の戦いを優位に進められるのは
目に見えている。
「Strike vent」
由良吾郎は己の命運はここまでかと天を仰いだ。
だが、天は彼を見捨てていなかった。
「Advent」
アビスクローから水が発射される前に、アビスの体がまるで見えない
巨大な何かに突き飛ばされたかのように宙へと吹き飛ばされたのだった。
「うわああああああああ!!!」
叫び声を上げながら路地裏から道路まで吹っ飛ばされたアビスを
目を丸くして見送った吾郎の頭上から懐かしいあの声が聞こえてきた。
「ゴロちゃん!」
「先生!よくご無事で!」
クリアーベントの効果が切れたベルデが土の中に生き埋め寸前になった
ゾルダの横に立っていた。
「バイオグリーザ!ゴロちゃんを穴から出してくれ!傷一つつけるな!」
カメレオンのミラーモンスターが契約主の言葉に従い、その強力な
腕力で土の中に埋め込まれたゾルダを掘り起こした。
「でも、どうしてここが?」
秀一の肩を借りて立ち上がった吾郎は当然の疑問をぶつけた。
「城戸の奴がゴロちゃんの居場所を教えてくれたんだよ」
「城戸さんが?」
「ああ。龍騎に変身した奴が路地裏に入っていくのを見てね」
「そしたらなんとゴロちゃんがそこにいたのさ」
「そうだったんですか」
九死に一生を得た吾郎は、それでも何か腑に落ちないかのように
首をかしげていたが、とりあえず北岡と合流できた事を喜ぶ事にした。
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:55:22.57 ID:DSAJ+Ylu0
「よし、見えてきたぞ!」
自分達を追いかけてきたオルタナティブとアビスの姿が見えないことに
安堵した秀一と吾郎は、無事に自分達の車の場所へと辿りついたのだった。
「せーの!」
車のガラスの中に身を投げた二人は、次の瞬間には現実世界への帰還を
果すことに成功していた。
「やった!やったぞゴロちゃん!!」
「良かった。無事に戻って来れたんですね」
車内に戻った秀一と吾郎は喜びを爆発させて手を取り合った。
思ったよりも疑似ライダーに手こずりはしたが、最悪の状況から
こうしてほぼ無傷での生還を果たせたのだ。何も言うことはない。
「先生。もう帰りましょう。あとは残った人達に任せれば大丈夫です」
「そうだね」
「浅倉は香川に、城戸が残りの二人を倒してくれれば万事OKと言う事で」
香川の戦力を減らすことには失敗したものの、その戦力の底を見る事に
成功したゾルダとベルデの二人組は颯爽と戦場を後にして去って行った。
こうして、戦いは次なる局面へと移り変わっていく。
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:55:53.75 ID:DSAJ+Ylu0
二十話 〜Survive〜
バイオグリーザに吹き飛ばされ、仕留められたはずのゾルダを仕留め
損ねたアビスは、よろよろと吹き飛ばされた場所から自分の身体を
起こした。
顔を上げ、正面を見るとそこには赤い仮面ライダーが立っていた。
「どういうことだよ!城戸さん!」
「アンタと俺は協力関係にあるんじゃなかったのかよ!」
「協力?何をバカな事を言っているんだ、貴様」
この前会った時とは、まるで違う別人のような冷酷な声にアビスは
身震いが止まらなかった。
誰なんだ、コイツは。
真司と全く同じ存在であることは分かる。
だが、根本的な何かが決定的に異なっている。
「アンタ、一体誰なんだ...」
「俺か?俺は、城戸シンジだ」
そんなことは分かっている。
だが、先程から己を襲う悪寒の波は一体何なんだ。
そんな満の内心の動揺を見透かすように、龍騎はアビスの問いかけに
答え始めた。
「俺は本当のシンジの片割れだ。お前の知る城戸真司は偽物だ」
「なにを、言ってるんだ...アンタ」
「俺は真司の中のもう一人の城戸シンジだ」
「アイツは俺の体を奪うどころか、全てを奪い去った」
意味不明な独白をする城戸真司の本物を自称する怪しいライダーは
おもむろにデッキからカードを引き抜き、バイザーにベントインした。
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:56:20.39 ID:DSAJ+Ylu0
「Sword vent」
地面に突き刺さった青竜刀を引き抜いた龍騎は狂ったような叫びを
上げながらアビスへと躍りかかった。
「止めてくれ!止めてくれよ城戸さん!俺はアンタの敵じゃない!」
「死ねぇ!」
恐るべき速さの攻撃にアビスは為す術もなく追い詰められる。
防戦一方のアビスは、必死にガードを固めて致命傷を避け続けるが、
龍騎は息切れすることなく防御の上から雨霰と拳と蹴りの暴力の暴風雨を
降らし続けた。
ドラグセイバーを相手の左腿に打ち付け、がくりと左からバランスを
崩して倒れたアビスの左頭部に龍騎の全力の膝蹴りが吸い込まれていった。
一瞬で意識を刈り取られたアビスはそのまま反撃に転じることなく、
そのまま固いアスファルトの地面に全身を叩き付けられた。
「あがっ!」
こめかみを痛打し、余りの痛みに身動き一つ取れないアビスを一瞥した
龍騎はそのままトドメを刺すべく、アドベントで契約獣を呼び出した。
「ギャオオオオオオオオ!」
無双龍ドラグレッダーの地を裂き、空を割る咆哮がミラーワールドに
響き渡る。
「終わりだ」
「Advent」
自分の隣から姿を現したドラグレッダーにアビスを放り投げた龍騎は
既に勝敗の決した勝負に興味はないというように、その場から離れようと
した。
だが、アビスの近くをオルタナティブが通りかかることまでを龍騎は
想像することが出来なかった。
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:57:27.69 ID:DSAJ+Ylu0
「Wheel vent」
「うおおおおおおおおおおおおお!」
仲間を救うべく猛然とドラグレッダーの元へ突っ込んでくる仲村の
蛮勇に失笑を隠せない龍騎だったが、今更仕留めた相手を取りこぼすのも
愚かしいと思い直し、オルタナティブのファイナルベントが届かない
上空へと舞い上がるようにドラグレッダーに指示を出した。
「うわああああああああ!!」
龍騎を背中に乗せて、オルタナティブのファイナルベントを回避した
ドラグレッダーは後先考えずに突っ込んできた愚か者を仕留めるべく、
その顎を開いて、全てを灰燼に帰す炎の息吹を吐き出した。
しかし、オルタナティブの後先考えない行為によって生じた僅かな隙に
アビスは目を覚まし、おぼつかない手でなんとか龍騎に対抗できる唯一の
カードをバイザーにベントインした。
「Final vent」
「シャアアアアアアアア!!」
雄叫びを上げたアビスラッシャーと先程破壊されたアビスハンマーとは
別の個体が光を放ちながら合体する。
「佐野!おい、佐野!大丈夫か?」
「大丈夫...じゃ、ないかもしれない...です」
「逃げるぞ。早く乗れ」
這々の体で満の傍にやってきた仲村は満が呼び出したアビソドンの
巨大な姿に圧倒されながらも、なんとかホイールベントで呼び出した
サイコローグが変身したバイクへと乗せることに成功したのだった。
意識を失いながらも、しっかりと仲村の腰に手を巻き付けた満は
そのまま深い眠りに落ちていった。
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:57:58.22 ID:DSAJ+Ylu0
「ギャオオオオオオオ!」
「ゴオオオオオオオオオ!!」
地上から飛び立ったアビソドンは陸海空の全ての状況に対応できる
形態へと己の姿を変化させ、空に待ち構える龍騎とドラグレッダーに
襲いかかっていった。
ミラーモンスターにはおおよそ知性と呼ばれるものは備わっていない。
しかし、神崎士郎がライダーバトルにおいて使役するミラーモンスターが
最低限の役割を果すようにカードに組み込んだ一種のプログラムによって
ある程度の優先順位というものが契約モンスターの行動を束縛している。
例えばライダーが敵の攻撃を受け戦闘不可能に陥る、あるいは陥りかね
ない状況ならば、状況に応じて契約主を助けなければならないという
強制が契約モンスターには課せられている。
故にアビソドンはそのファイナルベントの特性と神崎士郎が組み込んだ
プログラムにより、擬似的とはいえ図らずもオルタナティブとアビスの
殿を務める羽目になった。
アビソドンから放たれるビームとミサイルの嵐をかいくぐりながら
龍騎は冷静に頭を使いながら、アビスとオルタナティブの持つ時間を一分
一秒でも多く奪うべくドラグレッダーを巧みに操った。
(リュウガのファイナルベントと同等とは...)
アビスのファイナルベントのAPは7000。素の攻撃力はAP5000である。
対するドラグレッダーのAPはAP5000。正面きってやり合えばどちらが
勝利し、どちらが敗北するのかは目に見えている。
契約主のアビスが敵対するライダーと充分な距離を取ったと判断した
アビソドンは悠々と自分の強さをドラグレッダーに見せつけるように、
何処かへと泳ぎ去って行った。
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:58:25.61 ID:DSAJ+Ylu0
一方、呼び出されるだけ呼び出された挙げ句、無駄骨を折らされた
ドラグレッダーは不機嫌そうな唸り声を上げながら、今にも取り逃がした
アビソドンを追いかけようとしきりに方向転換しようとしていた。
「....ドラグレッダー、もういい。下ろせ」
だが、この状況こそが最もリュウガが望んだ状況だった。
リュウガが降りた場所は香川と浅倉の一騎打ちの場所だった。
ミラーワールドの存在である城戸真一に制限時間はない。
「さて、そろそろ残り三分という所か...」
地下通路の中へと足を踏み出そうとしたその時、
「そこまでだ」
厳かな声の主が己の肩を掴んでいた。
「オーディン...」
「神崎士郎からの命令だ。ナイトとベルデを始末しろ」
「そうか。なら、俺はそれに従うまでだ」
今日に至るまでその姿を一切見せる事のなかった13人目にして、最後の
ライダー、オーディンは何もせず、静かに去って行く龍騎を見送った後、
香川の指示に従った六人の量産型オルタナティブ軍団が地下通路へと
突入しようとしたその瞬間ゴルドフェニックスが現れ一瞬で焼き払う。
「Time vent」
そして、時は全て神の思いのままに操られる。
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:59:09.40 ID:DSAJ+Ylu0
〜進化する王蛇〜
(オルタナティブ軍団がここに到着するまで、残り5分)
浅倉威を作戦通りに追い込んだ香川英行の懸念は、自分が作り出した
量産型オルタナティブの突入するタイミングだった。
一人では浅倉威を取り逃がす恐れがある。下手をすれば仲村や東條と
一緒に戦っても取り逃がす可能性も微かにだが存在している。
故に香川英行は戦いの鉄則に倣い、数の暴力で王蛇を仕留めるという
シンプルだがとても合理的な手段に打って出た。
量産型オルタナティブとオルタナティブの違いはアクセルベントと
ソードベント以外の三枚のカードの代わりにガードベントを二枚入れた
ヒットアンドアウェイの攻防を主眼にしたデッキ構成である。
スペックはオルタナティブよりも一割程度劣るが、それ以外は90%の
性能を発揮できるように作り上げられている。
ソードベントは自分達が使っているものよりもAPが500多い代物だし、
ガードベントは一撃ならどんな攻撃も防げるGP3000に設定してある。
活動時間は9分31秒だが、王蛇の残り時間が三分を切ってしまえば、
そんな活動限界時間は些末事でしかない。
決定力には欠けるが、集団戦でこそ彼等が真価を発揮する。
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 11:59:36.09 ID:DSAJ+Ylu0
そして、香川がこの量産型オルタナティブを託した相手というのが、
法では裁けぬ浅倉威に大切な人達を殺された遺族達だった。
香川は仲村の言葉からヒントを得て、被害者遺族の会に足繁く足を
運び、その中から屈強な六人の男達を選び出したのだった。
浅倉に殺された被害者の数は50人以上にも及ぶ。当然、被害者の
遺族達の数はその数倍にも及ぶ。
彼等の事情はここでは割愛するが、ともかく香川英行は自らが選んだ
六人を完全に説得、信用させることに成功し、今日に至るまで他の仮面
ライダーに気が付かれることなく、量産型オルタナティブを一通り完璧に
使いこなさせる訓練をさせ続けた。
そして、遂に彼等の苦労が報われる日がやってきた。
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:00:08.33 ID:DSAJ+Ylu0
王蛇に残された選択肢はあと二つだった。
一つは闘争ではなく逃走。
アドベントを使い、ベノスネーカーを召喚し、目の前の二人のライダーを
足止めさせた隙にそのまま地下通路から出てミラーワールドから脱出する。
もう一つは逃走ではなく闘争。
玉砕覚悟でファイナルベントを使い、タイガかオルタナティブを仕留め
神崎士郎から貰ったサバイブのカードで残り一人を仕留める。
「ふん...」
壁際に追い詰められた王蛇は不敵な笑みを浮かべ、その毒牙にかける
最初の獲物をタイガにすることに決めた。
「ウオオオオオオオオ!!!」
自分から見て左にいるオルタナティブの足へと右手のデストクローを
投げつけ、すかさず香川のフォローに入った東條へと踊りかかった。
上から振りかぶって下ろされる虎の爪をタイガは右手のメタルホーンで
当然のように上段で受け、その威力を減衰させた上で王蛇の無防備な
土手っ腹めがけて強烈な前蹴りを浴びせた。
「ぐふっ!」
10tを軽く超える蹴りを水月に諸に浴びせられた王蛇はマスクの中に
血反吐を撒き散らしながら、通路の真ん中へと吹き飛ばされた。
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:00:40.74 ID:DSAJ+Ylu0
「Final vent」
「シャアアアアアアアア!!」
背後から猛然と迫るベノスネーカーが吐き出す毒液の奔流に乗った王蛇は
迷いなくバイザーにファイナルベントを叩き込み、タイガに対して必殺の
一撃を叩き込むことに全てを賭けた。
「はぁっ!」
天井ギリギリまで飛び上がった王蛇にベノスネーカーが必殺の毒液を
吐きかけようとしたその時...
「Freeze vent」
これ以上はないという絶妙なタイミングでタイガの秘中の秘である
フリーズベントがその効果を発動させた。
いかなるミラーモンスターの動きを停止させるカードの力により、
ベノスネーカーは一瞬で凍り付き、無力化された。
「何?!」
初めて体験するカードの効力に反応が遅れた王蛇にたたみかけるように
タイガは攻撃の手を緩める事なく、ファイナルベントを挿入した。
「ガオオオオオオオオオオ」
振り返った王蛇の腹に猛虎の爪が突き刺さる。
「グワーッ!」
デストワイルダーに引き倒され、無様に地面を引きずられる王蛇の体は
あと十秒もしないうちに自分の契約獣と挟撃しようとするタイガの元へと
辿りついてしまうだろう。
「舐めるなーっ!」
オルタナティブもタイガでさえも、もう王蛇は万事休すなのだと誰もが
確信していた。しかし、浅倉威は驚くべき方法で自らの窮地を脱した。
「ギャアアアアアア」
「なにっ!どうしたんだデストワイルダー!」
自分の爪が浅倉威に届くまで、あと残り半分の距離という所でいきなり
デストワイルダーが左手を押さえて、地面に転がって消えてしまったのだ。
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:02:14.37 ID:DSAJ+Ylu0
「ありえない。なんでファイナルベントが無効化されたんだ?」
「ハハハ...窮地に追い込まれた毒蛇が獲物を噛まないわけがねぇだろ」
瀕死の重傷を負いながら、それでも立ち上がる王蛇の生命力の余りの
強さにオルタナティブとタイガも恐怖を禁じ得なかった。
「王蛇の...そうか、毒をデストワイルダーに」
得意げに嘲笑する王蛇のベノバイザーのコブラの頭部の牙の部分に、
何か白い物がこびりついていた。それはデストワイルダーの毛だった。
そう、王蛇は引きずられる最中に自由な右手でベノバイザーの牙を
デストワイルダーの右腕に突き刺したのだった。
毒蛇が僅か1mg以下の毒で何百匹もの生物や人間を死に至らしめるのと
同様に、ミラーワールドで最強の致死毒を持つベノスネーカーの毒を
体内に注がれて無事なミラーモンスターはまずいないだろう。
「どこまでも...悪運の強いやつなんだ...」
「どうしたよ英雄サマ?俺を殺すんじゃなかったのか?」
瀕死の重傷を負いながらも、王蛇は戦況をゼロに戻す事に成功した。
「さぁ、殺し合いを始めようぜ...?」
王蛇が最後の一枚をデッキから引き抜いた。
その瞬間、地下通路の全てが烈火の炎に包まれる。
「Survive」
燃え盛る劫火に煌々と照らされた棺桶の中で、絶対的な死の権化として
王蛇は新たな力を携え、不死鳥の如く全ての傷を癒やした完全無欠の
存在となって生まれ変わったのだった。
「さぁ...今度は俺がお前らを殺す番だ...」
烈火の力を手に入れ新生したベノヴァイパーが戦いの終幕を告げる
第三のゴングを鳴らした。
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:06:35.31 ID:DSAJ+Ylu0
〜力の差を埋める『』〜
神崎士郎の奥の手を得た浅倉威との圧倒的な実力差を敏感に感じ取った
香川英行は活動限界時間の迫るタイガに撤退を命じた。
状況は浅倉威に傾きつつあった。
神崎士郎から渡された強化カードを受け取らないライダーがいたとは
想定外にも程がある。
しかも、予め量産型オルタナティブにセットしていた位置情報及び
生存確認システムが王蛇の強化と同時に全てロストしてしまったのだ。
これ以上、東條を危険に晒すわけにはいかない。
故に、香川英行は東條を逃がす為の血路を開く覚悟を決めた。
「東條君!逃げるんだ!」
「何でですか!先生」
「あれはもう君の手には負えない!オルタナティブを率いて撤退しなさい」
「嫌です!先生は僕に言いました!一緒に戦おうって!」
たとえ浅倉威と差し違えてでも、香川の命は守り抜かなければならない。
英雄にはなれなくても、英雄の盾になって死ぬことなら...それが浅倉の
魔手から大切な人を守る唯一の手段であれば、東條悟は躊躇うことなく
命を捧げられる。
「覚悟はもう決めている!カードだってまだ残って...」
「私には責任がある!君をこの戦いに巻き込んだ責任がある!」
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:07:16.46 ID:DSAJ+Ylu0
しかし香川は東條と共に戦うことを拒んだ。
たった一人で目の前に立つ紅蓮の大蛇とその契約者を相手取って
その命を散らそうとしているのだ。
意味が分からない。
あれほど英雄になることは命を軽々なものとして扱ってはいけないと
常日頃から自分に説いていた香川が、今この時になってその言葉とは
真逆の行為を取ろうとすることが理解できない。
「東條君。英雄にはね、守らなければならないことがあるんですよ」
「かけがえのない仲間を失いそうになった時に自らが盾になる覚悟」
「力なき多くの者を守るために非情な悪を担う覚悟」
「そして、自分にだけは負けないという誓いを最後まで貫く覚悟」
「どうやら今日は君が私と肩を並べて戦うには早すぎたようですね」
仮面の下に笑顔を隠した香川は、すがりつく東條の手を振り払い、
右手に持ったスラッシュダガーを両手で構えた。
「先生!先生ッ!なんで!なんで!」
王蛇がサバイブに変身する前に仕留める機会が何度もあったにも拘わらず
何度も選択を間違えた東條は激しい怒りに襲われていた。
でも、もうどんなに激昂しても過ぎた時は二度と戻ることはない。
「浅倉アアアアアアアアアアアッ!」
香川の期待を裏切り、あまつさえその命を危険に晒した自分の愚かさと
どこまでも生き延びようとする王蛇の生き汚さに東條は怒っていた。
「ハハハハハハハハ!いいザマだなぁ英雄さんよぉ」
「その滑稽さに免じて、そら」
地下通路を煌々と照らしていたサバイブで作り出された炎の障壁が
一瞬でベノヴァイパーに吸い込まれていった。
「十秒くれてやる。その間に生きるか、死ぬかを決めろ」
浅倉の悪辣なまでの慈悲にタイガはいかに自分が非力で無力なのかを
思い知らされた。
「東條君。約束を破って一人死んでいく私を、許してください」
「!!!」
闘争を選んだ王蛇と真逆の選択をしたタイガは猫が尻尾を巻いて
大蛇から逃げ出すように、光り差す出口へと向かって走り出した。
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:07:53.81 ID:DSAJ+Ylu0
「ふぅ...」
タイガが階段を登って地下通路から出て行くのを確認した王蛇は香川との
戦いを再開すべく、再び炎の障壁を展開して邪魔者が入らないように場を
整えた。
「良いんですか?」
「貴方にとって一人でも殺すライダーが減るのは好ましくないのでは?」
絶体絶命の窮地に追い込まれているにもか関わらず、香川英行は余裕を
崩すことなく、目の前に立つ王蛇サバイブに好戦的な笑みを向ける。
「はっ、確かに獲物が減るのは業腹極まりない。が、奴は小物だ」
「俺が手をかけるまでもない」
「その点、アンタはアイツと違ってギリギリまで殺し合えるからな」
「正々堂々からほど遠い貴方の口からそんな言葉が出るとはね...」
「ふふふふふふ...」
「ハハハハハハハハ」
策は破れ、孤立無援の絶体絶命の窮地に追い込まれながらも香川英行は
目の前のライダーとの戦いに、今までにない程に心が沸き立ち血が滾るのを
感じていた。
(結局、英雄も怪物も戦いにおいては等しくライダーということですか)
「香川、気が付いているか?」
「上を見ろ」
浅倉が指さした方向に目を向けると、そこには現実世界で破壊した筈の
カーブミラー、天井についたガラス張りの照明器具、そしてトイレの中に
ある鏡まで苦心して浅倉威を追い込むために取り外し、破壊した全てが
時を巻き戻されたかのように蘇っていた。
「ハハハハハ。鏡の世界で鏡を壊すのはタブーらしいな」
「ふむ。どうせやるならフェアに殺し合え。ということですね」
「いや、神崎の奴が時を弄ったんだろう」
タイムベントの存在を浅倉威が知っている事に少し驚いた香川だったが、
時が巻き戻され、停止した状況に置かれた今こそが浅倉威を討ち取る
最後の機会なのだと改めて認識した。
「ええ、そういう事なら時が動き出すまで目一杯愉しめますね」
「ならば!獣同士、どちらかが死ぬまで存分に殺し合いましょう!」
理性の箍とオルタナティブ・ゼロに掛けていたリミッターを全て外した
香川英行はデッキから今まで誰にも見せたことのないカードを引き抜く。
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:10:06.70 ID:DSAJ+Ylu0
「そうだ!お前のようなライダーを俺は待っていたんだ!」
小賢しさや矜持を投げ捨て、怪物と同じ土俵に上がってきた香川英行に
歓喜の叫びを上げた浅倉威は夢中になった。
「Sword vent」
手甲型のベノバイザーツヴァイに王蛇サバイブはソードベントのカードを
挿入し、AP4500にまで破壊力を引き上げられたベノサーベルの強化版、
ヴァイパーブレードを召喚した。
サバイブの力を得た新しいベノサーベルの形状は、サーベルに鞭と刀を
足した刀身が剣に近い形状をしていた。
烈火の力を宿した刃の部分に炎が踊り、刀身の峰の部分には相手の刀身を
受け止め、手首の返しを利用して破壊する鋸歯がずらりと生え揃っている。
そして刃の鋒から長く伸びるのは一刺しされれば絶命必至の猛毒を持つ
ベノヴァイパーの毒が含まれている伸縮自在の鋭い鞭だ。
対するオルタナティブも負けてはいない。
時を止められたことにより、浅倉を仕留めるために待機していた忠実な
量産型オルタナティブの援軍が見込めないことを理解した瞬間、香川は
ゼロにしかない特殊な暗号コードを解除し、緊急事態にのみ使える特殊な
カードを発動する。
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:10:33.78 ID:DSAJ+Ylu0
「Callsummon!」
コールサモンと書かれた魔方陣の描かれたオルタナティブ・ゼロの
カードが効力を発揮する。
そのカードは、半径100m以内に居る量産型オルタナティブの持つ全ての
カードをゼロの元に回収した上で、消耗したゼロの武器と防具を増やす
効果を持つまさに反則じみたカードだった。
量産型オルタナティブが全てロストした上で、自分よりも戦闘力の勝る
ライダーに孤立無援の状態で対峙した状態でしか使えない最終手段だが、
その効果は決してサバイブに劣りはしない。
今回引き連れてきた量産型オルタナティブは六体。
そして彼等の持つカードは合計24枚。香川の残りのカードを合わせれば
なんと合計28枚もの武器カードがゼロの手中へと収まってしまう。
神崎製のカードデッキは、破壊された瞬間に全てのカードがロストするが
香川製の量産型オルタナティブのデッキは破壊されたその時点で、未使用の
アドベントカードがオルタナティブ・ゼロのカードのストックとして
量子転送されるようになっている。
王蛇サバイブの持つカードの合計枚数は特殊系三枚と武器系五枚の
合計8枚。単純計算にしておよそ4倍の差が王蛇とゼロの間に生まれた。
この時点で王蛇サバイブがオルタナティブ・ゼロに勝る唯一の点が
契約モンスターであるベノヴァイパーだけという異常事態が生まれた。
つまりこれは、香川の頭脳とオルタナティブがサバイブ無しで
神崎士郎のサバイブの力を凌駕したという証明に他ならない。
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:11:09.25 ID:DSAJ+Ylu0
「ハハハハハ!良いぞォ香川ァ!お前はやっぱり最高だァ!」
「Guard vent!」
喜悦の叫びを上げながらマンホールの蓋を隙間なく6枚重ねたような
盾を呼び出したオルタナティブに王蛇サバイブは飛びかかっていった。
右手に剣を、左手に盾を構えたオルタナティブはベノサーベルの先端の
鞭からにじみ出る毒液が己に掛かることのないように巧みに操っては
盾の頑強さを生かした突撃と撤退を織り交ぜた攻防を展開した。
圧倒的劣勢を覆すべく、王蛇もサバイブで強化された力で香川の
シールドを力づくで破壊しに掛かった。
10発目の攻撃でオルタナティブの盾の最下部が綻びを見せた。
王蛇は一旦距離を置き、壊れた盾の部分に鞭を叩き付け、全てを溶かす
溶解毒をその先端から流し込んだ。
地面を溶かし、有害な毒ガスを発生するベノヴァイパーの毒が霧となり
オルタナティブの周囲に立ちこめる。
一息でも吸い込めばたちまち身動きが取れなくなるのは必至。
オルタナティブも王蛇を追うように有毒ガスが発生した箇所よりも
前の場所へと飛び出した。
王蛇とオルタナティブも次のカードをバイザーにベントインし、決定的な
優位性を相手に先んじて先取すべく動き出した。
「Accele vent」
「Strange vent」
アクセルベントで自らを加速させたオルタナティブは破損して使い物に
ならなくなった盾の最下部を切り捨て、残り五枚となった盾を構えて
円盤投げの要領で王蛇へと投げつけた。
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:11:41.04 ID:DSAJ+Ylu0
「そんなもので俺を殺せると思ってんのか!!」
怒りの声と同時にベノサーベルがまるでバターのようにシールドを
切り裂いた。炎と毒を纏った斬撃に真っ二つにされたGP3000を誇る大きな
盾はその原型を一秒たりとも留める事なく、跡形もなく消え去った。
「思ってませんよ!」
アクセルベントの効力が切れる前の最後の高速移動で王蛇の背後に
回り込んだ香川は王蛇の右膝裏を切り裂くことに成功する。
膝裏の防御しようのない急所を斬り捨てられた王蛇は溜まらず地面に
転げ落ちるはずだった...が。
「どこを見ている?」
地面に倒れる前に霧のようにかき消えた王蛇がオルタナティブの背後から
先程と全く同じ攻撃を仕掛けてきた。
恐るべきは王蛇の戦術眼である。
アクセルベントの効力が失われた一瞬の隙を突くとはいえ、一目見た
相手の動きをトレースしたり、そこから攻撃パターンを割り出す香川の
裏をかくのは容易ではない。
「戦いってのは何が起こるか分からないから楽しいよなぁ?」
バイザーにベントインされ、カードリーダーに読み込まれたストレンジ
ベントは分身を生み出すトリックベントへと変化した。
矢継ぎ早に繰り出される香川の攻撃を受け続ける分身と入れ替わった
王蛇サバイブは残り6体の内、3体を香川の拘束要員として向かわせ、
残り三体を自分の忠実な護衛として間断なく周囲を警戒させる。
「くっ!」
背後からがっちり体を固められ、為す術もなく王蛇サバイブの分身に
滅多切りにされ続けるオルタナティブの装甲が徐々に剥がれ落ちていく。
(まずい!このままでは殺されるッ!)
しかし、肩に手を回され、足首も拘束された状態でサバイブ状態の
ライダーにどう立ち向かえるというのか?
「楽しかったぜ、英雄さんよ」
「名残惜しいが、そろそろ決着つけさせて貰うぜ?」
息を整え、ダメージから立ち直った王蛇サバイブはデッキからカードを
取り出し、見せつけるようにベントインした。
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:12:37.58 ID:DSAJ+Ylu0
「Advent」
万事休すか。
地面に波打ち浮かび上がる鏡面から、ウロボロスの如き蛇身と化した
烈火王蛇ベノヴァイパーが王蛇サバイブの傍らに召喚された。
絡みつくようなその巨躯に禍々しい赤と紫の極彩色と炎を纏った巨大な
双頭のコブラは新たな力を得た歓喜の叫びを上げようとその大きな口を開き、
全てを溶かす万物熔解の黒炎弾を放とうとした。
「Confine vent」
次の瞬間、脅威のアドベントモンスターはその姿を一瞬のうちにまるで
神隠しに遭ったかのように、忽然とその姿を消してしまったのだった。
当然、ベノヴァイパーの攻撃は不発に終わる。
「どういう...ことだ?」
「こういう、ことさ!」
「Advent!」
この場にいないライダーの声が再び聞こえた時、炎の障壁が陽炎のように
揺らぎ、あり得ない乱入者が姿を現したのだった。
「東條!貴様ァアアアアアアア!」
アドベントで呼び出したメタルゲラスの背中に隠れ、灼熱の防壁を
突破して香川の窮地に駆けつけたのは仮面ライダータイガだった。
「東條君...なぜ...」
メタルゲラスが猛然と雄叫びを上げながら、王蛇サバイブの分身達に
単騎で突っ込んでいく。
タイガも瞬く間に分身を片付け、先程の攻撃で傷つき、立てない程に
消耗したオルタナティブを抱きかかえ、王蛇の攻撃が届かない地下通路の
端へと回避した上で、その毒牙から仲間を守るように立ちはだかる。
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:13:11.36 ID:DSAJ+Ylu0
「誰かを守る英雄が、一人だけじゃいけないって誰が決めたんですか?」
「....」
「先生は犠牲になっちゃいけない人なんだ。だから僕は先生を守る」
「やりましょう。先生。あと一息です」
「東條君...分かりました!」
最後の力を振り絞った二人のライダーは指し示したかのように己の
デッキからこの戦いの勝敗を決する為のの切り札を取り出した。
そして展開されていた炎の障壁が消え去り、メタルゲラスの突進により、
一番端の出口にまで追いやられた王蛇サバイブも、この戦いに終止符を
打つべく、自らのデッキの中で最も攻撃力の高い切り札を、一際眩い炎の
輝きを放つファイナルベントをバイザーに挿入する。
「「「ハァ、ハァ、ハァ....」」」
命を賭けたこの戦いに終止符を打つ願い(チカラ)が
躊躇わない勇気だけが、悪を滅ぼし未来を変える!
「「「Final vent!!」」」
再びその巨大な姿を現した烈火王蛇ベノヴァイパーはその姿を瞬時に
巨大なバイクへと変貌させ、自らの契約主と共に眼前の敵を破壊すべく、
猛毒と烈火の両方の性質を併せ持った漆黒の黒炎弾を吐き出しながら
前に向かって走り出す。
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:13:39.73 ID:DSAJ+Ylu0
ポイズントルネードクラッシュ。
技の威力はAP9000だが、王蛇が今までに契約獣に捕食させた大量の
ミラーモンスターのエネルギーを加算すると、その威力はAP10000を
軽く超え、眼前の二人のファイナルベントを合わせた数値にも肉薄する
可能性を秘めている。
しかし、
「東條君!私に続け!」
「はいっ!」
対するタイガとオルタナティブも負けてはいない。
個々のファイナルベントの数値は確かに王蛇サバイブには届かない。
しかし、どんなに強大な個が目の前に立ちはだかったとしても...
(先生は凄いや...だって、こんな時でも負ける気がしないんだから)
二人なら信じられる。二人ならきっと乗り越えられる。
強固な信頼で結ばれた師弟の絆が王蛇を凌駕する時が遂に来た。
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:14:14.94 ID:DSAJ+Ylu0
サイコローグがバイクに姿を変えたサイコローダーが目の前に迫る
ベノヴァイパーと同じ速度で横方向に高速スピンしながら突撃を掛ける。
一見無意味なスピンのように思えるが、高速スピンによって生じた
強烈な風の防護壁により、ベノヴァイパーが吐き出した漆黒の豪火球は
悉く弾かれる。
事ここに至っては、全てを天に任す他ない。
これ以上の言葉はいらない。後は全力で正面からたたき伏せるのみ。
「……っ、アアアアアアアアアアアア、ハァァァァァ!」
運命を切り裂く白銀の弾丸と
「行くぞオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」
曲がることなく敵を貫く人犀一体の一撃を以て
「ウオオオオオアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
命を貪り、永遠の戦いを望む無限の蛇身を今ここで貫く一撃とする!
この間、時間にして僅か10秒。
そして、三者三様の願いと想いを秘めた最後の一撃が激突した時、
停止していた全ての時が動き出した。
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:14:45.41 ID:DSAJ+Ylu0
第21話 〜やがて消えゆく命の灯火〜
ドゴオオオオオオオオオオオオオン!!!!
圧倒的な実力を誇る龍騎の乱入により、香川と東條の戦う場所から
離れた場所へと避難していた満と仲村は、サイコローダーから降りた時に
聞こえた爆音の方向へと互いの首を向けた。
「なんだあれは!!」
驚愕した満の言葉に、ひょっとしたら自分達があえて香川達の助太刀に
入れないように遠ざけられたのではないかと思い当たり、仲村創はその
顔を青ざめさせた。
「まさか、俺達はあのライダーに先生達と分断されたんじゃ...」
「ええっ!だったらまずいじゃないですか!」
オルタナティブに搭載されているミラーワールド活動限界時間は
残り2分45秒。アビスに至っては一分も残されていない。
「戻りましょう!ライドシューターに乗ればまだ間に合います!」
量子化の止まらないアビスはライドシューターを呼び出し、仲村を乗せ
香川達が交戦している地下通路へと引き返していった。
「間に合った!」
「Sword vent」
「仲村先輩。俺、時間切れになるんで、これを使って下さい」
大切な仲間達の無事を信じるアビスは、武器を失った仲村に自らの
二振りの剣を預け、一足先に近くにあった鏡の中に急いで飛び込み
現実世界へと帰還していった。
「頼む!二人とも生きていてくれ...」
アビスの剣を携えたオルタナティブは地下通路の入り口の前に立ち、
躊躇うことなく仲間たちのもとへと走り出していった。
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:15:28.00 ID:DSAJ+Ylu0
〜〜
「せんせい...いきて、ますか?」
「なんとか、ぶじ...ですよ」
地下通路の戦いは英雄達に辛くも軍配が上がった。
王蛇サバイブとオルタナティブのファイナルベントがぶつかりあう中、
タイガの捨て身のヘビープレッシャーが王蛇の頭部を貫き、結果、
生命活動を強制的に停止させられた王蛇とベノヴァイパーは同時に爆散、
消滅したのだった。
その爆発の余波は凄まじく、駆けつけたオルタナティブが階段の傍で
倒れている二人を発見した時、余りの惨状に言葉を失う程の惨状が
目に飛び込んできたのだった。
香川は何とか五体満足で命に関わる程の怪我を負う事はなかったが、
それは東條の挺身あってこその奇跡の生還だった。
「東條...お前...」
香川を爆発の余波から守る為に身を挺したタイガの背中には、びっしりと
隙間もない程の瓦礫の破片が突き刺さり、一見して助からないと分かる程の
大量の血が流れている。
それは王蛇の、怪物の最後の悪足掻きだった。
サバイブの力が消失し、原形を留められずに消え去った王蛇サバイブの
ベノサーベルの刀身が深々とタイガの左肩部分に突き立てられている。
更に両足には焼けただれながらも、しっかりと獲物に噛みついている
四匹もの小型の毒蛇が、その毒牙を突き立てていた。
肉が腐り、ぐずぐずと溶けていく音がタイガの体から聞こえて来た。
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:16:00.84 ID:DSAJ+Ylu0
「とう、じょう君。とうじょう、君?」
強かに頭を打った香川が混乱から戻る前に、バックルからデッキを
引き抜いたタイガの変身が強制的に解除される。
変身解除された東條の体は、なぜそうなっても息があるのかを疑う程の
惨たらしい状態だった。
王蛇の毒を注入された左半身は、その毒素によりほぼ溶けかけている。
そしてその毒の猛威は留まることを知らず、比較的無事な右半身と
その血管に乗り、瞬く間に残る肉体を破壊しようとしている。
東條悟にとっての唯一の救いは、全てが決した刹那の瞬間の中で、
尊敬する師の理想に殉じて死ぬことが出来る多幸感と、既にその体が
ミラーワールドにおけるタイムリミットを迎え、本格的な肉体の崩壊が
始まった事による身体を襲う王蛇の猛毒による地獄のような責め苦が
あと数秒で終わることだった。
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:17:03.09 ID:DSAJ+Ylu0
仲村創にとって東條悟の存在は大きかった。
分かり合えない存在だった。ずっと相容れない相手だった。
時には憎み合い、時には命を狙われた間柄だったが、それでもいつも
気が付いた時には背中合わせで共に窮地を乗り越えてきた仲間だった。
そんな仲間との別れが後数秒の所まで迫ってきている。
なにも心の整理がつかないまま、ただただ無情に過ぎ去る時が大切な
仲間を死の世界へと誘う。
だから、創はたった一つだけ自分に出来る事を勇敢に戦い、今まさに
最後を迎えようとする名もなき英雄への手向けにしようと決めた。
「東條....お前、勝ったんだな」
「うん...なかむらくんにもみせたかったなぁ」
「ぼく、がんばったんだよ?」
「ああ。俺の完敗だ。東條、お前は先生の正しさを証明したんだ」
「もう浅倉威が人を殺すことはない。もう誰も泣くことはないんだ」
「ああ。そっか...だったら、みんなはぼくをみとめてくれるよね?」
「これで、わかったでしょ?」
「きみより、ぼくのほうがせんせいにふさわしいって」
焦点の合わない瞳でなにもない虚空を掴むように仲村の頬に手を
伸ばした東條悟は、それきり言葉を話すことなく永遠の眠りに就いた。
「東條...とうじょぉぉぉぉ....」
「馬鹿野郎...英雄になっても死んじまったら....」
「意味なんて...意味なんて、何も意味なんてないだろうが!!」
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:17:45.28 ID:DSAJ+Ylu0
安心しきった笑顔を浮かべた悟は、最後に拾ったもう一つの勝利を
側にいた誰かに褒めて貰おうと、最後の力を振り絞った...。
静かに眠る英雄の頬を赤い涙が伝う。
怪物と戦い勝利した英雄の手には、一枚のカードが握られていた。
それは、東條が命と誇りを賭けて王蛇から勝ち取った、炎の力を秘めた
赤と黄金の翼のサバイブ〜烈火〜のカードだった。
「先生、帰りましょう...」
気を失った恩師の体を抱きかかえた仲村創は、最後にもう一度だけ
かけがえのない仲間の勇姿をその目に焼き付けて、ミラーワールドを
後にしたのだった。
誰にも看取られる事のない暗闇の中で、英雄は一人微かに微笑んだ。
結局、憧れた人を悲しませてしまったけど、最後にその背中に追いつき
肩を並べて共に戦えた事を己が人生の最大の喜びと誇りとして、彼は歴史に
名を残さぬ名もなき英雄として、その短い人生の幕を下ろしたのだった。
仮面ライダー王蛇/浅倉威、死亡 残り9人。
仮面ライダータイガ/東條悟、死亡 残り8人。
戦いは加速する。終焉の時は近い。
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:18:15.87 ID:DSAJ+Ylu0
〜〜〜
誰もいない教会の中で、一人の男がオルガンを弾いていた。
その隣には鈍い輝きを放つ白銀の鏡が鎮座していた。
万華鏡のようにあらゆる世界を映し出す虚ろなる境界を覗きながら、
神崎士郎は繰り返された世界の終わりが近づきつつある事を悟った。
「優衣。待っていろ...必ずお前に、新しい命を...」
一際勇壮な最後の一節の後、戦いの無意味さを思い知らせるような
虚しい余韻が誰もいない教会の中に響き渡る。
「さぁ、行け」
そして、コアミラーから新たな悪夢が姿を現す。
絞首台から突き落とされた断末魔に嗚咽を足したような産声を上げる
白い人型のモンスターが次々と生み出されていく。
シアゴースト。
ミラーワールドに終焉をもたらす存在にして、ミラーモンスターの中でも
最強の数の暴力と進化を司る悪魔達が遂に解き放たれてしまった。
「戦え。お前達の命は、全て優衣の為に存在する」
生み出され続ける白い悪魔を放置した神崎士郎は、自らの傍らに
置かれた幼き日の妹と自分が描かれた一枚の絵を大切に抱きかかえた。
戦いは加速する。ライダーが最後の一人になるまで....
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:26:22.69 ID:DSAJ+Ylu0
第二部完となったところで、今日の投稿を終わりにしたいと思います。
第三部と第四部は未だ執筆中なので、この続きを投稿するには時間が掛かると思います。
五月末には投稿したいと考えているのですが、もし間に合わなければ別スレ立てるかも知れません。
長文、かつ佐野君が誰だコイツ?な感じの拙作でしたが、応援して頂ける皆様のおかげでここまで
話を書き上げる事が出来ました。本当に感謝しております。ありがとうございます。
それでは、しばらくの間失礼させて頂きます。
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:28:03.29 ID:DSAJ+Ylu0
登場人物紹介 後編
佐野満
何の因果か主役に抜擢された龍騎屈指の雑魚ライダー。
繰り返された世界のズレか、あるいは作者の都合というメタ的要素の
寵愛を受けた結果、第二部終了時においてほぼ無傷のラッキーボーイ。
性格は本編よりではある物のライダーバトル初期から参戦し、多くの
出会いや別れを繰り返し、自分なりに世の中の厳しさや出来ないことを
乗り越えて行くことの大切さを思い知り、徐々に彼の父親が望んでいた
困難を乗り越えて前を進む人間へと変わっていった。
お調子者ではあるものの小賢しい小知恵が上手いこと状況とかみ合い、
それが彼の命を長らえさせることに成功した。
ぶっちゃけ神崎士郎とのファーストコンタクトで彼から契約のカードを
ぶんどっていなければ須藤刑事に騙されて彼の契約モンスターの餌食に
なっていたのは内緒の話。
劇中では契約のカードをベルトに挟んでアビスハンマーをゲットしたり
香川の傘下に『英雄が守るべき多数の弱者』として入ったりと本編よりも
遙かに上手く立ち回り、後述する新たな契約獣の力を存分に振るって
徐々にその力量を香川研究室の面々に認められるようになっていった。
ライダーとしての実力は下から数えた方が早く、かつては香川教授に
戦う覚悟のなさを指摘され、戦わずに生き残ろうとしていた弱い自分と
最後の肉親である父親と訣別したことにより、ライダーバトルに改めて
参戦して、必要とあらば他のライダーを殺す覚悟を決めたことにより、
インペラーだった時よりも遙かに強い実力を出すようになった。
仮面ライダーインペラー 契約獣はギガゼール
スペックと契約獣とカードは本編準拠。
第二話から第五話と少ない登場回数だったものの、群体をなして
数で圧倒するバトルスタイルが最大の強みのライダー。
変身者の満の命を何度も助けた功績はとても大きい。
劇中では所持カード三枚の所謂ハズレライダーということに悲観した
満の謀略により、その儚い命を散らしたが、契約したギガゼールは
自らを倒した二体の鮫型モンスター達にその役割を譲り、静かに
海中に没していった。
仮面ライダーアビス 契約獣はアビスラッシャー、アビスハンマー
第六話以降に満の新たな力となった鮫型モンスターの力を与えられた
本来、龍騎本編の世界には存在し得なかった新しく生まれたライダー。
王蛇同様、白兵戦と攻撃力に特化した超アタリライダー。
所持するアドベントカードのAPは3000を下回ることはなく、切り札の
ファイナルベントのAPに至ってはゾルダのそれと同じ威力を誇るという
まさにぶっ壊れ性能という言葉が相応しい最強スペックを持つ。
本編では第二部終盤にアビスハンマーを盾代わりにした事以外に
目立った失敗は特になく、ライダーと戦う事を決めた満の覚悟次第では
大化けするかも知れない今回のライダーバトルの台風の目と言える。
所持カード
ソードベント
・アビスセイバーを召喚。3000AP。
ストライクベント
・アビスクローを召喚。3000AP。
アドベント×2(アビスラッシャー、アビスハンマーの一枚ずつ)
・アビスラッシャー、アビスハンマーを召喚。5000AP。
ファイナルベント
・アビスダイブを発動。7000AP。
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:29:11.32 ID:DSAJ+Ylu0
霧島美穂
ライダーバトルの紅一点にして、最初の脱落者。
戦いの序盤に城戸真司に出会い、彼に恋するも運悪くキチガイ状態の
東條と交戦してしまい、フリーズベントで契約モンスターの首を落とされ
惨たらしく殺されてしまった可哀想な人。
しかし、彼女のブランク体から抜き取られた一枚の契約のカードが
浅倉威を葬る切り札になった。
仮面ライダーファム 契約獣はブランウイング
ミラーワールド一美しい白鳥の力を与えられたライダー。
ぶっちゃけ器用貧乏なスペックとか言わない。
蟹さん同様サバイブがなければやってられないカード構成である。
所持カード
ソードベント
ウイングスラッシャーを召喚 2000AP
ガードベント
ウイングシールドを召喚2000GP
アドベント
ブランウイングを召喚 4000AP
ファイナルベント
ミスティースラッシュを発動 5000AP
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:29:40.47 ID:DSAJ+Ylu0
鏡像の城戸真司
本名は城戸真一。かつて城戸真二と呼ばれた青年の兄である。
神崎優衣と幼い頃に弟と共に出会った過去を持つ。
しかし何らかの理由で神崎優衣と同じ鏡の中の自分と一体化しており、
現実世界には存在できるものの、制限時間が課せられている。
彼がこうなった背景には、城戸真司が深く関わっている筈だが...
仮面ライダーリュウガ 契約獣はドラグブラッカー
かつて城戸真二が神崎優衣に願って描いて生み出された深紅の龍と
対を為すもう一匹のドラゴン。真一が優衣に願って生み出された存在。
何から何までドラグレッダーにそっくりだが、ドラグレッダーよりも
早く生み出されたことと、ミラーワールドに深く一体化している
真一の影響でドラグレッダーよりも高い攻撃力を誇る。
所持カードは龍騎と全て同じだが、龍騎よりAPが1000高い。
第一部、第二部では披露されなかったものの、ドラグブラッカーの
ブレスには石化効果があり、そのブレスを浴びたミラーモンスターは
例えサバイブの力を得た状態であったとしても、石化を免れない。
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:30:37.37 ID:DSAJ+Ylu0
東條悟
龍騎の世界で一際異彩を放つ英雄になりたい永遠の英雄中毒者。
英雄になれば皆が自分を好きになってくれるという理由でライダーに
なっちゃったある意味いい加減な25歳の夢見がちな青年。
かつてライダーになってデストワイルダーに命を狙われたところを
香川教授に救われ、以降その思想に心酔して戦うことにした過去を持つ。
その頃から仲村創とは犬猿の仲だった。
劇中ではファム、ガイを完璧な奇襲で葬る等の活躍を見せた他、下心が
丸見えで自分達を利用する佐野を牽制したり、犬猿の仲である仲村の
窮地を救う等、打算はあるが結果的に誰かの為になる行為を取った事で
自分を高く買う香川の信用を得るという幸運に恵まれた。
そして、浅倉威の存在を英雄として断罪する事に決めた香川英行は
全幅の信頼を置くようになった東條を相棒に指名し、東條もその期待に
答えるべく全力で香川の力になることを決め、運命の闘いに身を投じた。
戦いは熾烈を極めるが、東條が持つ特殊カードと高い戦闘能力が
香川が己の優位性を崩さずに王蛇を追い詰める最大の武器となった。
しかし、サバイブで強化された王蛇に悟は恐怖を覚え、香川と浅倉の
言葉に促されるように、尻尾を巻いて地下通路から逃げ出してしまった。
この時点で浅倉から逃げ出さなかった香川のような勇気を持てなかった
自分は英雄になんか到底なれないと悲嘆に暮れるが、例え英雄なんかに
なれなかったとしても、先生を見捨てて逃げる臆病者にはなりたくないと
奮起し、香川と浅倉が戦いを続ける戦場へと舞い戻る。
だが、サバイブの力を得た王蛇は全てにおいてタイガを圧倒していた。
猛毒を孕んだ炎の障壁をメタルゲラスと共に突撃し打ち破ったまでは
良かったものの、ベノヴァイパーから分離した猛毒の子蛇に足を執拗に
噛まれ、致死量の毒を流し込まれた事で瀕死の重傷を負った。
皮肉な事にこの毒こそが東條悟と言う人間を英雄にまで押し上げた。
王蛇の暴力に屈しそうな香川を奮い立たせた後、残っていたもう一枚の
メタルゲラスのファイナルベントを使い、香川と共に全てを燃やし尽くす
王蛇サバイブのファイナルベントを迎え撃った。
そして、ベノヴァイパーのファイナルベントのダメージに耐えきれずに
それでもベノヴァイパーの頭と胴体を吹き飛ばしたサイコローグが爆散。
自らを守る契約獣を失った王蛇にヘビープレッシャーの一撃が直撃するも
頭部だけになってもしぶとく生き残ったベノヴァイパーがメタルゲラスに
噛みつき、王蛇諸共爆散。この時に瓦礫やベノヴァイパーの体内から
飛び散った毒から香川を守る盾となり、命を落とした。
そして、己の命がミラーワールドに消える寸前、犬猿の仲だった仲村に
タイガのデッキと香川のことを託し、自分が英雄になれた事を誇りながら
その短い生涯を閉じたのだった。
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:31:06.67 ID:DSAJ+Ylu0
仮面ライダータイガ 契約獣はデストワイルダー
白虎型モンスターの力を与えられたライダー。
主に不意打ちによる奇襲と恵まれた筋力による白兵戦を得意とする。
デストワイルダーのお陰で龍騎や王蛇に肉薄する実力を持っているが、
ファムやガイ等を倒し、両ライダーが持っていたコンファインベントや
契約などの特殊カードを手に入れたことにより、より広範囲にわたる
戦いを単独で展開出来るようになった。
なおデストワイルダーとメタルゲラスも王蛇同様にモンスターを充分に
捕食させていたため、それぞれのファイナルベントは元々の数値よりも
およそ1000〜2000程上昇していた裏事情がある。
所持カード
ストライクベント
・デストクローを召喚。3000AP。
フリーズベント
・相手の動きを一時的に封じる。1000AP。
リターンベント
・一回使ったカードをもう一回使える。
コンファインベントで消された効果も戻せる。
アドベント
・デストワイルダーを召喚。5000AP。
ファイナルベント
・クリスタルブレイクを発動。6000AP。
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:33:02.26 ID:DSAJ+Ylu0
浅倉威
関東拘置所に拘留されていた25歳の凶悪殺人犯。
今まで自分が引き起こした殺人の動機は全てイライラしたからという
とんでもない極悪人。
神崎士郎にその凶悪さ故にライダーバトルを円滑に進める存在として
選ばれたライダーだったが、繰り返された世界のズレにより、彼が
劇中で他のライダーを手にかけることはなかった。
劇中での扱いは物語終盤に突入する前の中ボス。
雨が降る六月の第四週目に神崎士郎から烈火のサバイブのカードを
受け取り、七月第二週に北岡秀一の元を尋ねた際、罠と分かりつつも
秀一を含めた多くのライダー達が待ち受ける祭りの場所に向かう。
香川によって全ての反射物が破壊された地下通路の中で、一進一退の
攻防をオルタナティブ・ゼロとタイガと繰り広げる。
だが、タイガのアシストとこの日のためにスペックを底上げされた
オルタナティブ・ゼロの猛攻に敗北寸前にまで追い込まれたが...
「Survive!」
烈火のサバイブの力を用い、不利になった戦況を打開。
全てが1.5倍近くにまで跳ね上がった強化形態で香川英行と東條悟に
リターンマッチを挑む。その際、自らが手を下すまでもないと判断した
英雄ではない小物を炎の障壁から逃がし、英雄を自称し、それに相応しい
実力を持つ香川との一騎打ちに持ち込むことに成功した。
「Callsummon!」
怪物の圧倒的暴力に対し、英雄は自らが力を与えた量産型ライダーの
カードデッキのカードを全て自らの手元に召喚するカードを使い、
サバイブの質とカードの枚数に圧倒的物量で対抗した。
戦いは更なる激化の一途を辿り、加速するオルタナティブ・ゼロに
王蛇サバイブはストレンジベントで呼び出したトリックベントの分身で
立ち向かい、これを捕縛。これにて勝敗は決したかと思われたが...。
Adventをコンファインベントで無効化したタイガがメタルゲラスと共に
炎の障壁を突き破り、王蛇サバイブへと敢然と立ち向かってきたのだった。
メタルゲラスと共に分身を蹴散らされ、オルタナティブ・ゼロをタイガに
掻っ攫われた王蛇サバイブの怒りは頂点に達した。
「「「Final vent」」」
ファイナルベントをバイザーにベントインした王蛇サバイブ。
そして、その傍らに出現した契約獣、烈火王蛇ベノヴァイパーが
その巨大な姿をバイクに変形させ、毒と炎の両方の性質を併せ持つ
黒炎弾を放ち、相手を葬るポイズンファイヤートルネードクラッシュで
オルタナティブ・ゼロとタイガとの一騎打ちへと王蛇サバイブは臨む。
王蛇サバイブの必殺技に対し、オルタナティブ・ゼロとタイガは
デッドエンドとヘビープレッシャーの二段構えによる壮絶な一騎討ちを
選択。それぞれのファイナルベントがぶつかり合った。
そして香川の契約するサイコローグと東條の契約したメタルゲラスを
道連れに爆散するという壮絶な最期を王蛇サバイブは迎えたのだった。
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:33:38.39 ID:DSAJ+Ylu0
仮面ライダー王蛇 契約獣はベノスネーカー
ミラーワールドに生息する巨大な毒蛇の力を与えられたライダー。
ライダーとしての能力自体は龍騎、タイガと互角であるが、変身者の
浅倉の闘争心と攻撃的な性格、凶暴性、生身での格闘能力の高さ等により
他のライダーを圧倒する戦闘力を持つに至っている。
執拗に標的を襲撃する戦法を得意としている。
第二部中盤に神崎士郎から得た烈火のサバイブのカードの力により
新たな力を得た王蛇サバイブに変身できるようになった。
所持カード
ソードベント
ベノサーベルを召喚 3000AP
アドベント
ベノスネーカーを召喚 5000AP
スチールベント 相手の武器を奪う
ファイナルベント ベノクラッシュを発動 6000AP
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:34:37.07 ID:DSAJ+Ylu0
仮面ライダー王蛇サバイブ 契約獣は烈火王蛇ベノヴァイパー
サバイブ-烈火-のカードによりパワーアップした王蛇の最強フォーム。
ライダーを仕留められず、その苛々を解消する為、ミラーワールドで
100体を超えるモンスターを乱獲、もとい狩り続けた為、オーディンさえ
圧倒するスペックを手に入れた。
タイガとオルタナティブ・ゼロを各個撃破していれば間違いなく
勝利していたものの、自らのファイナルベントの数値が二人の使った
ファイナルベントを合計した数値に僅かに及ばず敗北を喫した。
スペック
身長198cm
体重93kg
パンチ力 450AP
キック力 600AP
ジャンプ力 一飛び65m
走力(100m)3.5秒
所持カード
ソードベント
・ヴァイパーブレードを発動。4500AP。
形状は鞭と剣の峰に相手の刀剣の刀身をへし折るソードブレイカーを
合体させた遠近両用の両手剣。
烈火のサバイブの力を得た事により、刀身は最大温度摂氏1000℃の
炎を纏い、先端から伸びた黒い鞭は猛毒を持つクラゲのように相手の体に
張り付いて、全てを溶かす溶解毒を相手の体に流し込んで破壊する。
ガードベント
・ファイヤーウォールを常時発動する。3500GP。
王蛇サバイブの意思一つで展開出来る炎の障壁。
並のミラーモンスターなら全て焼き払ってしまう灼熱の盾。
あくまでも実体がない炎の障壁なので、命を捨てる覚悟を決めて全力で
突っ込めば突破できるが、最終的にはライダーであっても炎でこんがりと
ローストされてしまったり、炎の中に含まれる猛毒で致命傷を負わせる等、
付与効果の付かないガードベントの中でも随一の攻撃力を誇る。
タイガはこれを突破する際に重度の火傷を負い、この時点で自らの死を
覚悟した。
そして一度突破されるとそのバトルの間は二度と展開出来なくなるのが
唯一の弱点である。
劇中では香川との一騎打ちを邪魔されないように浅倉が最大出力で
障壁を展開していたが、メタルゲラスの特攻により強引に障壁が破られた
ことによって効果が途切れ、無効化されてしまった。
シュートベント
・ポイズンバレットを発動。4000AP。劇中未登場。
ストレンジベント
・使ってみないと何が起こるか分からないカード。
劇中では分身を作るトリックベント(2000AP)に変化した。
アドベント
・烈火王蛇ベノヴァイパーを召喚。8000AP。
サバイブ「烈火」
・ライダーをサバイブの力を持つライダーに変化させる。
ゴルトフェニックスの左の翼の力を宿している。
ファイナルベント
・ポイズンファイヤートルネードクラッシュを発動。10000AP。
王蛇サバイブを乗せたベノヴァイパー・バイクモードがウィリー走行し
漆黒の火炎弾を連続発射しながら接近して車体で敵を踏み潰す。10000AP。
10000APと表記されているものの、今まで王蛇が倒してきたモンスターの
エネルギーをベノヴァイパーが己自身の力に変えているため、実質
香川と東條と一騎討ちした時点の本当のAPは15000APだった。
しかし、それは彼と相対した二人のライダーも同様であり、最終的には
15000対16500という僅差で惜敗し、ミラーワールドへと散っていった。
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:35:10.62 ID:DSAJ+Ylu0
烈火王蛇ベノヴァイパー
全長 12m
全幅 2m
全高 1.3m
重量 300kg
最高速度 時速750km
ベノスネーカーがサバイブの力でパワーアップした姿。AP8000。
モンスターモードとバイクモードの2つの姿をとる。
外見はベノヴァイパーに強化された事によって、従来の二倍の体躯を
誇るようになり、その蛇身は毒々しい紫色から烈火の炎の如き深紅へと
染め上げられている。
更に一つしかなかった頭部と実体の横に実体のない炎のベノヴァイパーの
蛇身が融合している状態になっている為、実体と炎の両方の独立した
思考による攻撃が可能となった。
炎の蛇身は本体から分離可能で、その気になれば自由自在にいかなる
場所であっても登場する事が出来る。
また進化の恩恵として、頭部両脇につけられた鋭い刃はそれぞれが
意思を持つ小型の蛇型モンスターとして独立思考による移動が可能になり、
母体であるベノヴァイパーに仇為す敵に姿を消して襲いかかるように
なった。ちなみにソードベントの猛毒の鞭の部分はコイツらである。
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:35:51.16 ID:DSAJ+Ylu0
仲村創
神崎士郎のミラーワールドと現実世界を結びつける入り口を構築する
実験により、研究室の仲間を皆殺しにされた為、その復讐を誓った25歳の
怒れる大学院生。
神崎士郎への復讐以外何も眼中に入っていないものの、自分に力を
貸し与えた香川教授には心から敬服し、その指示の元動いている。
第二部に東條と共に登場し、佐野満を使ってみるように香川を説得し、
その面倒を見る役を担った。
同士である東條悟とはそりが合わず、互いを香川の元から追い出そうと
する程に険悪な関係だったが、満の加入により、少しずつではあるが、
冷静さを取り戻し、東條との関係もそれに伴い軟化していった。
しかし、第二部最後の戦いにより東條が自らの命を犠牲にしたことで、
浅倉威と刺し違えてその命を散らした為、もう二度と東條と和解する事は
出来なくなったが、最終的に東條を認めた上で、自らの敗北を宣言。
共に戦った戦友を安堵させ、あの世へと送り出した。
オルタナティブ 契約モンスターはサイコローグ
スペックと契約モンスターと所持カードは香川のデッキと同一である。
仲村のサイコローグは香川のサイコローグよりも好戦的な性質である。
地下駐車場で圧倒的な数で襲いかかってきたミラーモンスターを
単身で食い止め、自分より大きなディスパイダーをファイナルベントを
使用することなくスラッシュダガーで頭を串刺しにして仕留めたり、
クリアーベントで姿を消したベルデを見逃したものの、前述した通り、
香川の開発によって得た高度な知能により、あえてベルデを見逃して
次の戦いで仕留めようとする周到さも見せている。
所持カード
ソードベント
・スラッシュダガーを召喚 2000AP。
アクセルベント
・使用者のスピードを上げる 2500AP。
アドベント
・サイコローグを召喚 6500AP。
ホイールベント
・サイコローグをバイク形態に変形させる 4500AP。
ファイナルベント
・デッドエンドを発動 8000AP
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:36:45.28 ID:DSAJ+Ylu0
香川英行
正義について深い拘りを持つ反面、キチガイ一歩手前の東條悟や
復讐以外目に入らず、異常に短気な仲村創や、下心丸出しで自分を
利用しようとする佐野満等の一癖ある連中を束ねるデカい器の持ち主。
ぶっちゃけ、彼がいなければこの三人の早期退場は必至だった。
登場は第二部からだったが、的確な指示と超天才としか言いようのない
頭脳で確実に神崎士郎の思考パターンを推測したり、自らが開発した
疑似ライダーであるオルタナティブの弱点を潰した上で活動時間の延長や
量産型オルタナティブの量産に成功し、GP3000の盾を作り出すなど
その才気は留まるところを知らない。
神崎士郎が目下の脅威として見做す危険人物でもあるが、彼も佐野満が
内心で評したように自分の元に集った三人のアブノーマルな同士達同様、
普通ではない程の覚悟を持ってライダーの戦いに参戦している、ある種の
破綻者でもある。
そして、彼の初陣となった王蛇戦では、あえて自らの罠に飛び込んだ
浅倉威と互角の白兵戦を演じ、自らが最も信用する東條悟と共に何度も
王蛇を窮地に追い込み、死闘の末にサイコローグと東條の命を犠牲にし、
見事にノーマルスペックのまま神崎士郎のサバイブによって強化された
ライダーを撃破した。
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:38:00.37 ID:DSAJ+Ylu0
オルタナティブ・ゼロ 契約モンスターはサイコローグ
コオロギ型ミラーモンスター。身長225p、体重125sの二足歩行型で、
サイコロのような顔面から複数のパイプが伸びた異形の姿をしている。
劇中ではオルタナティブとオルタナティブ・ゼロと契約し、契約主達に
疑似ライダーの力を与えた。
なお今作ではオルタナティブ・ゼロとオルタナティブはそれぞれが
別々のサイコローグと契約を結んでいる為、一方が破壊されても
オルタナティブとゼロのデッキはブランクになることはない。
「ホイールベント」によりバイク形態「サイコローダー」に変形する。
AP6500とドラグレッダーを超えるAPを誇るが、これは香川教授が
ミラーワールドでの滞在時間を減少させる事でその分の疑似ライダーや
サイコローグの出力を上げる理論の構築と実用化に成功した賜物と言える。
後に攻撃力を保持したままミラーワールドの制限時間の延長に成功。
またその際にサイコローグは知能を獲得し、僅かとは言え人に近い
思考パターンとある程度の自我が発露し、敵味方を自分の意思で判別し、
状況に沿った戦いが出来るというまさにトンデモミラーモンスターに
進化した。
劇中では最強候補に恥じない立派な活躍を上げ、仲村創と香川英行を
良く助け、彼等の戦いが優位になるようなアシストを連発し続けた。
また夜な夜なミラーワールドから抜け出して、深夜三時の誰もいない
道路をバイクになって猛スピードで走る奇妙な癖を持っている。
そして自分を追い越す車に突撃する悪癖もある。
所持カード
ソードベント
・スラッシュダガーを召喚 2000AP。
アクセルベント
・使用者のスピードを上げる 2500AP。
アドベント
・サイコローグを召喚 6500AP。
ホイールベント
・サイコローグをバイク形態に変形させる 4500AP。
ファイナルベント
・デッドエンドを発動 8000AP
コールサモン
・オリジナル設定のカード
ある極端なまでの危機的状況に陥った時にのみ発動される香川専用の
二枚目のファイナルベント。
質でダメなら量で押せというシンプルなコンセプトの元、香川先生と
東條と仲村がアイディアを出して作り上げた香川研究室最高の発明。
その効果は後述の量産型オルタナティブのカードを全て自分に集め、
己の武器として使用できるというトンデモ効果のカードである。
劇中ではタイムベントで時を止めたオーディンにミラーワールドに
連れてきた全ての量産型オルタナティブが襲撃され、死亡したと同時に
浅倉威がサバイブを発動した為、香川がこれの解除コードを用いて
六体の持つソードベント、アクセルベント、ガードベントの未使用状態の
アドベントカードを回収し、自らのデッキに装填した。
AP2500のソードベント6枚とアクセルベント6枚の攻撃カード12枚と
GP3000のファイナルベントを普通に防げる盾12枚の計24枚+自分の残りの
カードという神崎士郎も涙目になる鬼畜仕様のサバイブ殺し。
これさえ応用すればオーディンだってイチコロさと思われがちだが、
このカードそのものが実用化に成功していないプロトタイプの数枚の内、
一番効果を発現させる可能性の高い試作品であり、常に失敗の可能性が
つきまとうギャンブル性の高い諸刃の剣の代物だった。
香川が自らの契約したサイコローグをベノヴァイパーに破壊された時、
このコールサモンのカードと彼の持っていた全てのカードは契約獣を
失ったライダー同様、初期状態のブランク体へとスペックダウンし、
現状でオーディンやサバイブを持つライダーを単体で制圧できる可能性を
持つ唯一のカードはあっけなく消え去ってしまったのだった。
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/30(日) 12:40:39.55 ID:DSAJ+Ylu0
量産型オルタナティブ 契約獣???
量産型オルタナティブとは疑似ライダーオルタナティブのスペックが
一割減しただけのオルタナティブの劣化コピーライダーである。
香川英行が対神崎士郎用に開発したオルタナティブ軍団の先鋒を務める
役割を担う。劇中最初の装着者達は浅倉威にかけがえのない存在の命を
奪われた遺族達である。
現行でロールアウトされた六体はファムと同等のスペックを誇る
安定した運用が出来る成功した量産型だったが、神崎士郎の操るライダー、
オーディンによって実用化に成功した全てが破壊されてしまった。
この量産型オルタナティブの特筆すべき特徴は、契約した契約獣の
スペックが低かろうと、香川が作り出したオルタナティブのデッキと
契約した瞬間から香川が定義し、カードに組み込んだプログラムによって
強制的にサイコローグがオルタナティブに与える同じ姿と性能をもたらす
存在へと変えてしまう特性を持つ。
神崎製のカードデッキは契約者と契約のカードで正式に契約獣と契約を
果したライダーに契約獣の持つ力が与えられるシステムになっているが、
香川製のデッキは最初からライダーのスペックが全て定義済みであり、
どのようなミラーモンスターと契約してもオルタナティブと全く同じ
外見とスペックになるように調整されている。
簡潔に説明するとミラーモンスターが量産型オルタナティブのデッキの
契約のカードで契約させられると、カードとデッキの両方に設定された
プログラムにより、オルタナティブのデッキの性能を引き出すのに最適な状態へ、
つまり香川の持つオルタナティブの契約獣、サイコローグと同様の状態へと
強制的に上書きと最適化されてしまう。
つまり、サイコローグがライダーに提供しているのと同じだけの出力の
エネルギーを一回の変身ごとに契約した契約獣に強制的に供出させる
システムと言える。
例えるなら100馬力分の車が出すエネルギーを100頭分の馬を使って
同量のエネルギーを捻り出させるのが量産型オルタナティブであり、
前者の100馬力分の出力を持つ車が神崎士郎製のカードデッキによって
生まれたライダーである。
変身者を選ばないが、変身者に負担を掛けず、契約するモンスターも
選ばないが、契約獣には多大な負担を掛けるというある意味理想的な
エネルギーサイクルを実現したカードデッキ。まさにチートである。
当然、サイコローグより弱いミラーモンスターはデッキから自らに
掛けられる負担に耐えきれずどんどんその生命エネルギーを武器や
盾に吸い取られ、最終的には死に至ってしまう。
三回も戦えば契約した雑魚ミラーモンスターは消滅してしまうが、
消滅したら消滅したらでまた再契約すれば量産型オルタナティブとして
バトルに復帰できるのでそんなにデメリットはない。
しかし、契約した雑魚ミラーモンスターはミラーワールドには掃いて
捨てるほど存在しているし、デッキも量産型の為、ライダーと交戦して
破壊されたとしても再生産が可能という神崎士郎のライダーバトルを
根底から覆す恐るべきメリットを保持している。
活動限界時間は9分31秒。神崎製のライダーに性能が肉薄している。
所持カード
契約獣を量産型オルタナティブを動かすバッテリーとして用いる為、
アドベント及びファイナルベント、ホイールベントは使用不可。
しかし、その分不足した攻撃力を500AP上昇させたソードベントと
防御に優れた二枚のGP3000のガードベントによって補っている。
・ソードベント
量産型スラッシュダガーを召喚する。AP2500
・アクセルベント
自らを加速させる
・ガードベント(二枚)
量産型オルタナティブシールドを展開する。GP3000
二枚重ねればどんなファイナルベントも防げる優れもの
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/30(日) 18:53:46.57 ID:I1BUxjckO
映像で見たいくらいハマったわ
続きも楽しみに待ってるぞ
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