【安価】探偵剣士「一目惚れをしたら冒険が始まった」

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441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 18:09:50.25 ID:a8H9yrRa0
>>440
スマン…素で間違えた
442 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:16:22.61 ID:Psv+YpN+0
飛び起きた時にはもう既に、外が尋常じゃないほど騒がしくなっていた。
怒号や悲鳴、窓ガラスの割れる音や、銃声、爆発音。少なくともただ事ではない。

ロット「な、何が起きたんだ…?おい、キリュウ!起きてくれ!!」

堪らずキリュウを揺する。

キリュウ「…あぁ?なんだヨ…?」

我が相棒は目を覚ましてくれたものの、みょーんと体を伸ばし、呑気にあくびをかいてなんかいる。

ロット「ああもう!この騒ぎになんとも思わないのかい!?」

キリュウ「分かってるヨ…んでロト坊?なんでこうなったヨ?」

ロット「いや、分からない。また賊かなんかの襲撃なんだろうけど、それにしたって異常事態だ。一度宿の周り、ぐるりと様子を見てきてもらえるかい??」


ドンドンドン!!
443 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:17:50.38 ID:Psv+YpN+0
あ、募集については今まで通りまた募集する機会を設けます。
ツイッターのアカウントも一応作りましたがまあいい活用法が見つかるまでは放置します(多分使いません)
444 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:21:10.77 ID:Psv+YpN+0
部屋のドアから激しいノック音がした。僕は反射的に叫ぶ。

ロット「誰だ!!」

イヴ「私です!イヴです!!」

ロット「入って!鍵は開いてるから!」

イヴは部屋に入ると振り返りもせずにすぐにドアを閉めた。
バタン!!

ロット「ふぅ…」
イヴ「はぁ…」

二人とも大きくため息をつく

イヴ「おはようございますロットさん。何が起きているんです?」

イヴは顔を強張らせながらも挨拶を忘れない。
彼女の顔を無事見れたこともあって、僕はほんの少しだけ気が緩んでしまう
445 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:23:41.88 ID:Psv+YpN+0
ロット「お、おはよう…じゃなくて!」

ロット(気を抜くな僕!)

一度自分の頬をピシャリと叩き気合いを入れる。

ロット「僕も気がついたらこの状況だったんだ。キリュウ!」

キリュウを掴み上げ窓を開ける、外には火の手すら見え始めていた。

キリュウ「オーケイオーケイ、行ってくるヨ。……ったく、とんだ目覚めだヨ…」

それを返事として受け取り、窓の外に放り投げた。

イヴ「ロットさん、どうされるのですか?」

ロット「さぁ、まだ何とも言えないけど……嫌な予感がする」

騒音は止む気配がない。
この短時間で様々な音を聞いたけれど、その中でも一番耳を劈いた音は、悲鳴でも怒号でも、物音でもない。

恐らく敵と思われる人の声だった。
446 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:25:19.05 ID:Psv+YpN+0
ロット「じっとしてるわけにはいかないか、行こう」

イヴ「キリュウさんは!?」

ロット「大丈夫」
僕はバックから銀貨を一枚取り出した。

ロット「緊急時の合図でね、面はその場で待機、裏側は後で合流の意味なんだ」

窓の側に裏側を上に向けて置く、これでよし!

ロット「行こう!」

イヴの手を掴み駆け出した。

イヴ「は、はい!」
447 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:27:22.49 ID:Psv+YpN+0
〜エントランス〜

玄関扉が軋む音がする。

給仕「あれま、どうしましょどうしましょ!」

ロット「給仕さん!宿にいた他の人達はどうしたんですか?」

給仕「みんな出て行っちまったよ、戦いに行ったのか逃げたのか知らないけど…」

ガタガタ!!

イヴ「ロットさん!玄関扉がもう壊れそうですわ!」

鍵はかかっているのだろうけど、いつ破られるか分かったもんじゃなかった。

ロット(くそぅ、レイピアもないのに!)

僕は仕方なく扉を抑える。

ロット「給仕さん、フライパンを火にかけてください!思いっきり強火で!」
448 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:29:48.26 ID:Psv+YpN+0
給仕「え?フライパン?ええ?」

ロット「いいから早く!」

給仕「あ、あい分かったよ!」

給仕さんはアタフタしながら厨房へ走って行った。
灯油が無いとか言わないでくれて本当に良かった。

ガタガタ、ダンッ!ダンッ!

「「オラ、開けろオラァ!!」」
「往生際が悪ぃぞオイ!!!ウヒヒヒ」

イメージ通りの怒鳴り声、最後の下品な笑い声はなんだ。

ロット「開ける…わけ…ないだろ!」

イヴ「ロットさん!これを取っ手に!」

しめた!閂にちょうどいいモップを取ってきてくれた。

ロット「ありがとう、助かるよ!」

素早く取っ手にモップを通すと、抑えなくてもとりあえずは開かないらしい
449 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/11/28(火) 20:31:18.67 ID:Psv+YpN+0
が、この一本の木製の棒がいつまで持つかわからないのには変わりない。

ロット「よし、今のうちに……」



ミシミシ…バキ!

いよいよ扉が破られた。
斧を手に持つ屈強で悪そうな人が何人かなだれ込んで来きそうだ。

「ヒャッハー!ガキと女は来…」
ロット「大火傷にご注意くださーい!」

威勢の良い文言を言い終わるのなど待たずに、僕は火にかけてあったフライパンで思い切り殴りつけた。

ガーン!!スキンヘッドに命中

「痛!!!アチィィィイイ!!」
450 : ◆YwfwH67PRHMh [saga&]:2017/11/28(火) 20:31:47.54 ID:Psv+YpN+0
一旦ここまで
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/28(火) 20:36:27.45 ID:FOunb+DG0
乙。
452 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:19:04.77 ID:ra8FGmy70
男は鈍い衝撃と、やけどに悶えている。痛そうだ…

ロット「うわ、ジューっていった…」

ならず者「テメェ舐めた真似しやがって!!」

奥にいる他のならず者が睨んできた。

ロット「最近こんな輩ばかりな気がするなぁ…みんな雰囲気が似てると言うか…」

ロット(それにしても、一人、二人、三、四、五…六七八…)

ロット「多いね!!?」

この宿を制圧するためだけに10を超える人間がここに来るのだから、外は相当酷いことになっていそうだ。

ならず者「よそ見してんなよ!!!うら!破岩撃!!」

ロット「おっと、危ない」

僕は床に亀裂が入るほど勢いよくふり降ろされた斧ををかわし、えぇい!とフライパンを振るう。
453 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:20:30.65 ID:ra8FGmy70
ならず者「ちぃ!」

男は思わず手でフライパンを抑えてしまう。
当然これは刃物でもなければ、打撃武器ですらないただの調理道具なのだが。

ジュー…

ならず者「あああ熱いいいぃぃぃいいいい!!!!!」
まあこうなるわけで…

男は手を冷やせる場所を求めてだろうか?逃げていった。
我ながらえげつない武器だ。

ロット「ほらほら、道をあけないと。熱いよ?」

ロット(できればフライパンが冷める前になんとか突破したいけど…!!)






ジュ〜!ガン!ジュ!ジュ―!!ガーン!
454 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:22:06.41 ID:ra8FGmy70
ならず者「ヒィイ!」
ならず者「痛ぇ!!」
ならず者「熱い!!」

攻撃を受けながらも、何人か撃退することに成功する。
フライパンは強い武器だ。

ロット「ゼェ…ゼェ……だいぶ人数は減ってきたけど…えい!」

また近くにいた男に振りかざす。が…

ならず者「よっと」

ロット「な?掴まれた!」

男の手には分厚いガントレットが、なるほどこれじゃいくらフライパンが熱くても影響ない

ならず者「ちょっと、調子に乗りすぎたみたいだなクソガキが!」
455 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:24:41.02 ID:ra8FGmy70
僕は呆気なく組み伏せられ、フライパンも手を離れてしまった。

ロット「ぐっ…!!まずい!単純な力量差じゃ勝てっこない!!」

ならず者「そういうこった。じゃあ、まず手を潰すかなぁ、このあついあつーいフライパンでよぉ!」

するとその男はフライパンを慎重に手に取った。
どうもまだ冷めちゃいないらしい。



ロット「……でも、戦略では勝てるんだなこれが」

僕はきつい体制ながら視線をそのガントレット男に向けてニヤリと笑った。

ならず者「は?」

ロット「今だ!!玄関扉めがけて!!」

給仕「せぇぇい!!」

イヴ「はい!」

僕の声で給仕さんとイヴが、奥からなにかの粉が入った袋をいくつも投げ込んでくる、袋口が空いた状態で
ぶつけられたならず者たちはたちまち粉まみれになる。
456 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:27:28.12 ID:ra8FGmy70
ならず者「ケホッ…なんだこりゃ…、小麦粉??」

分けも分からず、男は僕に組み付きからの脱出を許してしまうのだった。

ならず者「あ、テメ!」

ロット「忠告はしたからね!」
ポケットに入れてあったマッチを一本、火をつけて投げながら、玄関から離れる。

ロット「伏せて!!」
給仕さんとイヴを抱えて奥に伏せた。






ドッカァァァァァアアーン!!!



玄関が豪快に吹き飛んだ。

ロット「……ほらね、大火傷にご注意って言ったでしょ?二人ともケガはないかい?」

イヴ「ええ、わた…くしは大丈夫です」

イヴは立ち上がって、服をパッと払った。
457 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:32:06.87 ID:ra8FGmy70
給仕「な、何が起きたの??」

給仕さんは腰が抜けたらしく、立ち上がれずにいる。

ロット「お手を」
給仕「あぁ、どうも…これ魔法なのかい?」

僕に引き起こされた給仕さんが聞いて来た。

イヴ「ロットさんやはり魔法を使えたのですか?」

ロット「ううん、昨日言った通り魔法はからっきしさ、これは魔法じゃないよ」

使えたとして、こんな爆破魔法なんて恐れ多くて扱おうなんて思わない。

ロット「聞いた事ないかい?『粉塵爆発』って言うんだ。」

給仕「フンジンバク…ハツ?」

ロット「はい、宙に舞った小麦粉の粉粒の一つ一つに次々と火が引火する事により爆発を引き起こす。僕が投げたマッチ一本が火種となってね」

イヴ「あ、聞いたことがありますわ!建物も吹き飛ばすという…」

ロット「まさかここまでうまく行くとは思わなかったけど…」

宿の立派な玄関は、扉だけでなく壁ごと吹き飛び、見るも無残な様子だ。
ならず者達も同様、生死についてはあまり考えたくはない。

ロット「あ、考えなしに玄関吹き飛ばしてごめんなさい。修理費については…」
458 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:34:15.83 ID:ra8FGmy70
給仕「そんなもんまた後でいいよ、逃げましょ、ほら!」
ロット「すぐに出ないで!」

外に出ようとする給仕さんを引き戻し、ゆっくりと外の様子を伺った。

ロット「酷いな、これじゃまるでそこそこの規模の戦場じゃないか…避難する場所は決まってますか?」

敵の数が視界で捉えられるだけでも目に見えて多い、どっからこんな戦力が…

給仕「ええ、避難所があるよ。みんなそこに逃げ込んでるはずさね」

ロット「……いや、できるならここで隠れてた方がいいかも知れない」

給仕「ここに!?」

ロット「この中を一人で避難所まで行くのは現実的ではありません。外に出るなら僕の側を離れない事、その代わり僕は避難所には行きませんし、どんな戦闘に巻き込まれるか未知数です。だったらむしろここで倉庫か何かに隠れていた方が安全という事もあるかも」
459 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/02(土) 22:37:28.51 ID:ra8FGmy70
給仕「そんな事言われても……」

ロット「何より僕には避難所が安全であるか…もっと言えば無事であるかすら疑わしいです」

そう告げると、給仕さんは困った様子で黙り、考え込み始めた。

イヴ「ロットさん、ロットさん」

ロット「うん?」

イヴ「どこに向かうおつもり…でしょうか?」



ギルド本部に向かってみたいところだけど、鍛冶屋やジャックさんの家も心配だ。どこかにいるキリュウも探さなくちゃいけない。さてどうするか?


↓3までコンマが一番大きいもの(コンマ00は100とする)
1、ギルド本部
2、ジャックの家
3、鍛冶屋
4、その他(内容は後ほど自由安価)

460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/02(土) 22:39:17.08 ID:VJCp0Q810
3
もしかしたら武器をくれるかもしれないしね
さすがにこんな状態の街でロットンを素手のままにしないだろう……たぶん
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 22:39:33.61 ID:En5mJ1vj0
2
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 22:42:18.24 ID:PVV9zw1wO
1
武器持っても強い訳じゃないし
戦える人の近くでかき乱しつつ情報集めた方がいい気がする
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 22:44:25.18 ID:VJCp0Q810
ジャックの家かー
ジャックの強さによるけど、無事にギルドに連れてってくれるかもしれないからなー(家にジャックがいるとは限らない)
464 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 07:48:29.18 ID:kI984W8w0
ロット「ジャックさんの家に向かおう。単純に心配だ。あの人二日酔いかも知れないし」

イヴ「はい、ミルカちゃんも心配ですしね!」

イヴは両手で握りこぶしを作り、少し大きな声で賛同してくれる。

よし、方針は決まりだ。

〜外〜

給仕は結局倉庫の奥底に隠れる事にするという。

どうにか恐怖に打ち負けないで欲しいが、事が済んだら真っ先に様子を見に来るとしよう。

それはそうと……

ならず者「ぐへへへ」

ならず者「よう坊主、こんなとこで可愛子ちゃんとデートってか?」

ならず者「よくもまあやってくれたな、何人もてめーのせいで伸びちまってるよ」
465 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 07:50:05.26 ID:kI984W8w0
その他数名確認、全員こちらに敵意

ロット「イヴさん、一度戻ろうか…」

イヴ「は、はぁ…」

ならず者「おいおいそんな事が許されると思ってんのかよ?」

ならず者「冗談だよなぁ?」

ならず者「なぁおい?」

もう、なんでこう、ウジャウジャと…

ロット「……も、もうどうなっても知らないぞ!!」
466 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 08:09:34.03 ID:kI984W8w0
〜ジャックの家〜
敵「ぎゃ!」バタッ

悪い奴「こ、このオッサン強ぇ…」

ジャック「ったく、かったるい。何人いやがるんだ、あぁ?」

ミルカ「お父さーん、大丈夫ー??」

ジャック「あぁ、俺は平気だ。いいから引っ込んでろ〜」

ミルカ「でも、他の人達が心配で…なんとか本部に行かないと…」

盗賊「所詮マッチョはノロマだろうが!!うらぁ!!」
ジャック「うるせぇ!」ブン!
盗賊「あれぇ!!??」バタッ

ジャック「…確かにな、どうしたもんか」

ジャックさんは、息一つ上がった様子はないが、一人で長い時間戦っていたようだ。
467 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 08:10:45.18 ID:kI984W8w0
周りには彼が大剣で倒したと思われる悪者達が転がっている。

ロット「ジャックさん!!」

ジャック「お!あんちゃん、譲ちゃんも…」

ロット「ゼェ…ゼェ…だ、大丈夫ですか。こっちは…」

ジャック「なんだ、えれぇボロボロじゃねえか」

イヴ「ロットさん、かなり無理をなさってしまって…」

ジャック「…武器はフライパンだけか!??丸腰も同然じゃねえか、良くここまで来れたな」

ロット「えぇ、まぁ…。敵陣をフライパンと塩コショウとそこらの瓦礫とマッチとモップと柱時計とトイレットペーパーで潜り抜けてきたもので…ゼェ…」

ジャック(ああ…コイツなんでも使うタチか…)

ミルカ(塩コショウとか柱時計とか何に使ったんだろ…)
468 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 08:18:54.52 ID:kI984W8w0
ジャック「…とりあえず、これ飲め。消費期限ギリギリだけど、ポーションビタミンB+だ」

ビンの蓋を開けて手渡して来たので、遠慮なく頂く事にする

ロット「ありがたく!!…ゴクッ」

ジャック「お前さんもいるか?ベッピンさん」

イヴ「い、いえ…幸い私は無傷なので。どうぞジャックさんがお使いください」

ジャック「そうかぁ」

ジャック(……ん?この敵陣で大した武器もなしに、譲ちゃんを守り抜いたのか?)

ロット「ゴクゴク…プハァ!それで、どういう状況ですか?」

ジャック「ああ、おかげ様で俺が自警団の頭だって事は知られてるみたいでな。正直身動きは取れない状況だよ」

頭を抑えにきた…か

ロット「なるほど、確かにここは宿よりも敵が密集してる気はしますね…」

ジャック「なんとかミルカの奴を本部に連れてってやりたいんだがな、じゃねえとあいつも仕事ができねえ」
469 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 08:28:02.52 ID:kI984W8w0
自警団のサポート…、そういえば昨日そんな事を言っていた。

そこそこ重要な事らしい。

ロット「なんとか敵を減らすしかないでしょうね。僕も加勢します」

ジャック「いや、加勢って兄ちゃん武器…しゃあねぇ。ミルカ!!家の奥から適当に武器持ってこい!」

ミルカ「了解!!」

ロット「いいんですか?」

ジャック「どう考えたってその平べったいのよりぁマシだろ。なんか知らんが使いもしねえエモノが溜まってんだよ、気にすんな」

確かに、流石にフライパンでは心許ない。

ロット「イヴ、ジャックさんの家まで下がってくれ。ミルカさんと一緒にいてくれないかい?」

イヴ「はい、わかりました!」


ジャック「…なんでガキに『さん』付けなんだ?」

ロット「レディに対しての礼儀…というのは冗談で、昔からどうも呼び慣れてないと…」
470 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 08:38:18.08 ID:kI984W8w0
「「てめぇらぁ、いつまで無駄話吹かしてやがるんだおぉい!!?そんなに舐めてんのかおおおいい!!」」

前方からの大声だ。力を入れて叫んでいる表情でもないので、彼は普段からこんな話し方なのかもしれない。

ロット「血気盛んですねぇ…」

ジャック「ああ、ああはなりたくねえだろ若人」

ロット「愚問ですよ。えい!」

僕はフライパンを、ズガズガと近づいてくるその無駄に活力あふれた大声男に投げつけてみる。

大声男「アウ!!」ガーン!

ロット(えぇ、なんで避けないの…?)

大声男「……フフフ、そうかそうか、じゃあてめえから潰すぅぅぅぅ!」

するとその男は鎖鉄球を振り回し始めた。
471 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 09:09:07.01 ID:kI984W8w0
大声男「がぁああああああ!!!!」ドスドスドスドス!!!!

ズガズガ…からドスドス…と足音を大きくしながら向かってくる。そして意外と速い…

ロット「うわわわわ…!!」

僕はとりあえず背を向けていたほうへと走りだす。

大声男は腕の届く範囲に入ったジャックさんすら素通りして僕を追っかけてきた。

ジャック「……あいつ本当に大丈夫なのか??」

ロット(完全に僕狙いになったらしい、これ以上下がるとジャックさん家に近づいてしまう…)

ミルカ「お兄さん!!」

しかし、僕が走っていく方から僕を呼ぶ声が聞こえた。

ミルカ「お兄さんに合いそうな武器です!えぇい!」

イヴ「こちらもどうぞ!」
472 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 18:50:29.85 ID:qM6Xb1OH0
ロット(もう用意できたのか!)

僕はガシャガシャと音を立てながら投げ込まれた武器の中で一番近いものを手に取った。
とりあえず両手にあるのは、ゆるやかカーブした刃身を持つ、見慣れない剣だ。
短い物を左手に、長い物を右手で握る。

ロット(これはどっかで見たような…サーベルかな??いやでも…ちょっと違うような?)

大声男「しんねぇえええ!!!」

気が付くとすでに追いつかれていた。

ロット「くっ!」

二振りの剣をクロスして振り回された鉄球をなんとか受け止める。

大声男「凌いでんじゃねええええ!!!」
473 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 18:52:48.06 ID:qM6Xb1OH0
ロット「…双連斬!!」

受け止めた鉄球をそのまま流しつつ、二連撃を浴びせようとする……が。

大声男「ぬああああ!!!」

男は、僕が流した筈の鉄球を再度振り回し、そのまま今度は僕の攻撃を凌いだのだ。

ロット「凌がれた…!?」

大声男「ふんぬううう!!」

ロット「ぐっ…!!」

今度は鉄球攻撃をもろに食らい、吹っ飛ばされてしまった。
転げる僕とともに大きく砂煙が立つ。


ジャック「って、おいあんちゃん!」

ならず者「おっとおっさんの相手は俺たちだぜ???」

ジャック「ちっ!湯水のように湧いて出やがって…」



大声男「ざまぁねえなあああああ!!!……ああ?」
474 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 21:02:50.24 ID:qM6Xb1OH0
ロット「まだまだ…こんなものならね」

砂煙が止み、まだ立ち上がれる僕を見て、奴は顔をしかめた。

ロット(思い出した…この剣はカタナって言ったかな。意外と重い…、それに両刃じゃないから、少々扱いづらい)

僕はカタナを手放し、転げてる途中でつかんだもう一つめの武器。2個で1セットのチャクラムを構える。
前に見た、この武器を使って戦っていた人を思い出す。

ロット「これも初めて、見よう見まねだけど…デュアルスロウ!!!」シュ!

スナップを効かせながら、その男に向けて両方一緒にに投げた。

大声男「おおおう!!」

男はそれも避けた、そこそこ不意をついた遠距離攻撃だったはずだが

ロット(ただ大声出すだけじゃないみたいだね…、他の人達より戦い慣れはしてるみたいだ)

空を切ったチャクラムが手元に戻ってくる。

ロット「…それ!」
475 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 21:04:43.84 ID:qM6Xb1OH0
僕は戻って来るチャクラムをキャッチし、もう一度投げた。

大声男「舐めんじゃねえええ!!ふん!!!」

カキン、カキン!
今度は二つとも撃ち落とされた。

ロット「お見事」

しかし、そうなることは大体予想していたので、今度は驚くことはない。
奴がチャクラムを撃ち落とす隙に、こっちは「お目当てのもの」に手を伸ばす。

ロット「うん…やっぱりこれだね」

細身で、カタナよりかは軽い。
手になじむそれは普通の【ショートレイピア】だ。

ロット「準備万端だよ。かかっておいで?」

大声男「なぶり殺しにしてやるぅぅぅ!!!」
476 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 21:05:44.61 ID:qM6Xb1OH0
ロット(この人、攻撃の後の隙をカバーする芸当は持ち合わせてるらしい。流石にレイピア一本じゃあの鉄球をいなすのも無理があるだろう)

大声男「ぬがあああああああ!!!」

ロット(だったら…!)




男の鉄球は振り下ろされることなく決着がついた。
ロット「……月昇剣」

僕が出した結論は、重い鉄球の攻撃前の隙をに突き上げるだけだった。

大声男「がはっぁあ」バタッ

ロット「ふぅ……勝負あり、かな?」
477 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/06(水) 21:06:21.01 ID:qM6Xb1OH0
一旦ここまで
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 21:09:05.12 ID:uRwKiYol0

やっぱ武器は使いなれた物が一番なんやなって
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/06(水) 21:10:49.04 ID:nG7rb62N0

レイピアでも高いレイピア選んでおけば武器屋で追い出されずに済んだものも…
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 22:57:36.43 ID:l/Gn45V40
ロットンはレイピア以外も使えないわけではないのか
器用系なのかね
481 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 21:53:36.95 ID:AUfmuumu0
ジャック「兄ちゃん、やるじゃねえか。大したケガもねえみてえだし」

ロット「ええ、まぁ…」
ロット(あばら骨が2本ほど折れるかと思った…)

ジャック「腕っ節ってよりかはあれだ。スマートって言えばいいか?」

ロット「お褒めに預かり光栄です。小細工が得意なだけですが……あれ?さっきの賊達は?」

ジャック「ん?ああ、そこに積み上げてあるけどどうした?」

ロット(人が山積みになってるぅぅぅ!!?)

おかしい、30人は居たはずだ。仮に僕が相手したのだけが、その中で強い方だったとしても。
あの量を一人で??
しかも撃退じゃなくてKO!!?

ジャック「ま、何はともあれだ。とりあえずギルドに行ってみるか。あっちは大丈夫だと思うけどよ。しっかしなんなんだこの軍勢は?どっかで見たような顔も居た気がーー」
482 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 22:27:00.09 ID:AUfmuumu0
ジャックさんはそこで突然固まった。いや側から見れば、僕も同じような反応を示しているはずだ。

僕がここに来るまでに凌いで来た人数、ここで倒した人数、その他見かけた何人もの敵達。
それだけでも十分軍隊並みだった筈だ。

しかしそれと同等とも思える軍勢が、たった今町の門から入って来たのだ。

ジャック「おい、マジで、あとどんだけいるんだって……」

さっき…ジャックさんが言いかけた、いや、言っていた事が僕は激しく気にかかっていた。

ロット「……さっき、知った顔が居るようなって言っていましたよね?」

ジャック「ああ、なんか知らんがずっとそんな気がするんだよ。は、これもあれか?酒飲みすぎの影響なのかねえへへへ」

どうやら思い当たる節があるようだ。

ロット「ええ、それが飲み過ぎの影響ならいいんですけどね…」
483 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 22:33:25.29 ID:AUfmuumu0
ジャック「??」



「おい、あいつだあいつ自警団のリーダーだ」
「あの時の借りを倍返ししてやるぜ」
「この人数がいれば八つ裂きに出来るだろ!一斉に行け!!」

ジャック「あの時の借りだぁ?何言ってーー」

ロット「ねえ君たち、一つ聞きたいんだけどね。ひょっとしてヤスクワルト収容所……」


僕は間を空けて言った。


ロット「陥落したのかい?」

ジャック「な!?兄ちゃんそりゃどういう?」

ロット「収容所は捕まえた襲撃者達で一杯一杯、騎士も酷く疲弊していたと聞きました。ありえない話ではないかと」
484 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 22:45:54.86 ID:AUfmuumu0
「ああご名答だよ!!あそこの騎士さんたちは楽しい奴らだったなぁ」
「ほぼ全員ぶっ殺してやったよ!ヒャハハハ」



ジャック「ああそうかよ、騎士ってのは本当に肝心な時にーーあんちゃん、収容所から出てきた奴らが全部こっちに流れるってわけか?だいぶ狂った戦力になるぞ!!」

ロット「はい、マズイかもしれません」

相当戦える人ならなんとかなるかもしれないけど、向こうにだって何人か強敵は居るはず。
加えて戦力的アドバンテージ、僕達は一般市民を守りつつ戦わなきゃいけない。
さらに頭を抑えられてこの状況では自警団の統制も取れていない、みんなの状況も分からずじまい。
485 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 22:50:28.83 ID:AUfmuumu0
そして…

ロット「考える時間すらない!!」

前方から何人もこちらに向かってくる。標的はジャックさんに定まっている様子だ。僕達が退けば、イヴやミルカさんにも危害が及ぶ可能性が…

ジャック「兄ちゃん構えろ!こうなった以上死ぬ気でやるしかねえぞ!」

ロット「はい!」





「おい人間どもヨォ、そこ、滑るから気をつけろヨ?」



「お、なんだ?足が滑って…!」
「止まらねえ!!」
「うぎゃあ!」

全員すっ転んだ。
486 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 22:52:39.46 ID:AUfmuumu0
ジャック「……壮観だな」


これは氷魔法『ビルドスケートリンク』。
本来は氷魔法を強化するための陣地を形成する『ホワイトフィールド』に若干の性質変化を加えたオリジナル魔法!つまりは…

ロット「キリュウ!ナイスタイミング!最近調子いいじゃないか」

キリュウ「はぁ?我様はいつも絶好調だろがヨ」

キリュウ「つーか、お前どっか行く時はコインだけじゃなくて行先残してけヨ!」

ジャック(これが噂に聞く喋る動物とやらか…珍しいもん見たな)


ーーーーーーーーーーーーー
ミルカ「しゃ、喋ってる!?」

イヴ「ええ、あの猫さんが、昨日話していたキリュウさんです」

ミルカ「凄い……、あでも、猫でも魔法使えるんですね、私できないのに…」シュン

イヴ「あ、あはは……」
ーーーーーーーーーーーーー
487 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 22:53:49.62 ID:AUfmuumu0
ジャック「つっても敵さんまだまだいるぞ!」

ジャックさんはそう言うと大剣を構え突撃する。
僕もそれに続かなくては

キリュウ「へ!腕がなるヨ。ロト坊、ワレ様は何すればいいヨ?」

ロット「よし、それじゃあイヴとミルカさんを頼んだ!あの家にいるから!」

僕は後ろに建つジャックさんの家を指差した。

キリュウ「よっしゃ!フルボッコにしてやる……え?」

ロット「じゃ、任せたよ!」




キリュウ「……なんだヨ、ワレ様、小娘達のお守りかヨ」
488 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/11(月) 23:09:12.44 ID:AUfmuumu0
ロット(出来る限り接近戦にはしたくない、とりあえず牽制しながら、あのチャクラムを拾うことを目標にしよう)

ロット「3連かまいたち!!」シュ!

「うぉ、こいつ小癪な攻撃ばかりしやがって!」

ロット「あいにくと、まともに戦ってたら誰にも勝てやしないんでね!」

「そいつはモーニングスターのカズを倒した奴だ。気をつけろ!」

ならず者の1人が、僕が先ほど倒した男を指差してそう言った。
あの鉄球モーニングスターっていう武器らしい。

ジャック「ほいっと」
「うぎゃ!」
ジャック「あらよっと」
「いぎぃ!」
ジャック「ふぅ…あのなぁ、ただ数を揃えただけじゃなぁ……ゼェ」

「そう言いつつ息上がり始めてるように見えるが??」

ジャック「っ!うるせえ!」

僕より遥かに多くの量の敵を相手にしてるジャックさんにも若干だが疲れが見え始めた。
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/11(月) 23:56:58.85 ID:PJVXhRTY0
490 : ◆YwfwH67PRHMh [saga]:2017/12/12(火) 00:18:59.15 ID:VGShGU+k0
奥にアーチャーらしき隊列が見えた。
おそらく敵側の人間だ。
なんだろう、妙に考えられてるような…

ロット「ジャックさん!弓です!!」

ジャック「わかってらぁ!隆起壁!!!」

ジャックさんが大剣を地面に叩きつけると、その衝撃で地面が割れ、僕達の前に壁のようにせり上がった。

ロット(うわぁ、凄い…)

僕達は2人でその壁の影に隠れると、かすかに矢が風を切る音が聞こえる。

ジャック「おお放ってんな〜」

ロット「回り込んでは…来ないようですね」

ジャック「壁はすぐ沈む、そう長くは持たないぞ」

ロット「はい、これが沈んだら、正面はチャクラムで牽制します」

ジャック「おうよ」

ズズズ……
壁になってくれた地面が元に戻っていく
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 01:40:11.87 ID:yuTiUOKY0
続きはまだかなぁ……
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 18:40:29.40 ID:sdTEqHUhO
待ってます
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 17:36:52.86 ID:HaB3qz2AO
待ってます
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 11:44:49.77 ID:XTB9VKuE0
待ってます
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 01:49:00.85 ID:wtXG5V6S0
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