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未来「わ〜! 遅刻ちこく〜!」【ミリマス】
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77 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:37:44.08 ID:0bh1wEUv0
美也「ふふふ〜 実は今日、もう一つ嬉しいお知らせがありますよ〜」
未来「なになに!?」
美也「なんと! わたし達のCDデビューが決まりました〜」
未来「えっ! ほんとー!?」
育「おめでとう! 未来さん!」
まつり「これで姫もトップアイドルの仲間入りなのです!」
美也「どんとぱふぱふ〜」
未来「ミリオンヒットしたら年末の音楽番組とか出られちゃうかな〜? 今年は年越しお家で出来なかったりして!? でへへ〜」
桃子「全員楽観的すぎない?」
78 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:38:13.91 ID:0bh1wEUv0
その頃のクレシェンドブルー
♪〜
静香「最後! ここで合わせて!」
レッスン室に5つの足踏みが響き合う、しかしその音はバラバラで、最後のポーズも揃わない
静香「一旦休憩にしましょう」
79 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:38:59.31 ID:0bh1wEUv0
リーダーである私の呼び掛けに、4人はそれぞれ別の行動を始める
今、私たちは先輩たちのツアー、そこで務める前座ステージのためのレッスン中だ
前座とはいえ多くの人に私たちのパフォーマンスを見せて、アイドルとしてステップアップするためのチャンスであることは間違いない
だが私たちが下手なステージを見せてしまえば先輩たちの顔に泥を塗ってしまう
歌うのはたった1曲、しかしそれで私たちの今後のアイドル人生が変わると言っても過言ではない
なのに……
80 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:39:30.66 ID:0bh1wEUv0
志保「……」
志保は振りVを見て自主練習を続けている、熱心なのは良いことなのだが休憩時間にしっかりと体を休めないといつか体には限界が来る
何度も注意してはいるのだけど志保が私の話を素直に聞いてくれたことは今まで一度たりとも無い……
星梨花「はぁ…… はぁっ……」
星梨花は逆に三角座りで壁にもたれかかって肩で息をして、もう立ち上がる余力も無さそうだ
私たちの中で最年少である星梨花は体力不足ももちろんのこと、それを無理にカバーしようとして余計な力が入って、より体力を浪費する癖が抜けきらない
81 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:40:02.42 ID:0bh1wEUv0
そして野々原さんは 「『茜ちゃん』て呼んで!」
野々原さんはアドリブが多すぎる、ついていけない私たちも悪いのかもしれないが、個を立てて全体の輪を大きく乱しては本末転倒だ
あと脳内に直接言葉を伝えてくるのはやめてください 「ゴメン!」 だからそれをやめてください
麗花さんは…… まぁ…… 多分私のリーダー力不足です……
麗花「あっ、志保ちゃん、わたしこの前お菓子作りに挑戦したんだ〜」
志保「えっ、あ、はい……」
麗花「これ何だと思う?」
志保「えっと……」
麗花「正解は〜 ひよこでした!」
志保(地獄の具現化かと思った)
82 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:40:32.54 ID:0bh1wEUv0
静香「はぁ……」
もちろん私自身だって課題は山積み、私たちのステージは完璧にはほど遠い
それでも私たちには目指す目標がある、1度だけ、初めてみんなの息が合った、あの『奇跡のステージ』あの感動は私たち全員の記憶に刻み込まれている
あれを奇跡で終わらせないで、常に出来るようになれば私たちはもっと、もっと上へと行ける!
静香「さぁみんな、休憩は終わり 練習行くわよ!」
「うんっ」「オッケー」「はい!」「ええ」
83 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:41:12.95 ID:0bh1wEUv0
P「練習は順調か?」
静香「プロデューサー!」
レッスン室に現れたのは私たちのプロデューサー
この事務所に何人か居るプロデューサーのうち最も古株(と言っても年は30手前だけど)で少しぶっきらぼうな印象を受ける人だ
だが、彼の指示はいつだって的確で、彼の高い理想と出来ないことは言わない主義を私はとても信頼している
P「君たちなら本番で最高のステージを見せてくれると信じている」
静香「いえ、私たちはまだ……」
P「必要以上の卑下はしなくていい、君たちは765プロの次世代の主力グループとして期待されている、これがその証拠だ」
静香「これは……」
P「クレシェンドブルー 1stライブだ」
84 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:41:47.16 ID:0bh1wEUv0
一方その頃
奈緒「聞いたで未来、CD出すんやって?」
美奈子「おめでとう未来ちゃん、ほらこれお祝い!」
未来「ありがとうございます〜! おいし〜」
美奈子「これからお仕事忙しくなるだろうし、沢山食べて体力つけないとね!」
海美「わたしもたくさん食べてCDデビューするぞ〜」
奈緒「わたしらも食べてばっかやなくてそろそろアイドル頑張らんとなぁ…… うまー!」
85 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:42:17.55 ID:0bh1wEUv0
亜利沙「まつりちゃん! CDデビューおめでとうございます!」
まつり「ありがとうなのです〜」
亜利沙「ありさ、早速DVD付き版、まつり版、未来版、美也版全部予約してきました!」
まつり「わぁ、まつり感激なのです〜 そんな亜利沙ちゃんには特別に姫からマシュマロのプレゼントなのです」
亜利沙「えぇー! い、いいんですかぁ〜?????」
まつり「もちろんなのです、それ〜」
亜利沙「うおおおおお! ありさ、死ぬ気でキャッチしまーす!」
86 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:42:48.21 ID:0bh1wEUv0
海美「あれー? そう言えば美也は?」
未来「ほんとだ〜 プロデューサーさん居ないね〜?」
まつり「美也ちゃんならプロデューサーさんに用があるって言ってたのです」
未来「プロデューサー…… あ、静香ちゃん達のプロデューサーさん? 何かあったのかな」
奈緒「まぁプロデューサー同士で話さないといけないこともあるんちゃう?」
美也「こんにちは」
P「何の用だ?」
美也「お話が…… あります」
87 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:43:30.77 ID:0bh1wEUv0
次回予告
未来「静香ちゃん! クレブルのライブ見たよ! 静香ちゃんたちの歌がいっちばん良かった!」
静香「ありがとう未来、でも少し照れるわ……」
未来「あんなおっきなステージに立てるなんてなぁ〜」
静香「未来も見てるだけじゃなくて、アイドルとして大きな舞台に立てるよう頑張るのよ」
未来「うんっ!」
静香「まつりさんにも美也さんにも迷惑かけちゃダメよ?」
未来「だ、大丈夫だよ〜」
次回『激突! タウラスvsクレシェンドブルー!』
静香「えっ!? ちょ、何よこのタイトル! 何で私たちが戦うの!?」
未来「静香ちゃん…… わたし達は争う運命(さだめ)だったんだね……」
静香「未来!? もう! いったいどうなってるのよ!」
88 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:45:21.68 ID:0bh1wEUv0
番外編T くれしぇんどぶるー幼稚園
静香(ここはくれしぇんどぶるー幼稚園 至って普通の幼稚園、今日も花丸いい一日!)
あかね「びえぇぇぇぇぇぇん!!!!!」
静香「ど、どうしたの茜ちゃん、どこかぶつけたの?」
あかね「れいかちゃんが…… れいかちゃんが…… あかねちゃんのプリン食べたぁぁぁぁぁぁ びえぇぇぇぇん」
静香「本当に? ちょっとれいかちゃん」
れいか「はーい」
静香「あかねちゃんのプリン食べちゃったって本当なの?」
れいか「あ……あれあかねちゃんのだったの……」
あかね「うん…… 二つともあかねちゃんの……」
れいか「2こあったからひとつ食べていいかなー って」
あかね「れいかちゃんと一緒に食べようと思って…… ふたつ持ってきたのに……」
静香「ふふ、あかねちゃんは優しいわね」 ナデナデ
あかね「んん……」
静香「ほら、れいかちゃんも謝って」
れいか「ごめんなさい」
あかね「……」
あかね「今度からは一緒に食べよう?」
れいか「うん!」
89 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:46:15.27 ID:0bh1wEUv0
せりか「しほさんしほさーん」
しほ「何?」
せりか「なにしてるんですか?」
しほ「えほん…… 読んでるだけ」
静香「凄いじゃないしほちゃん、もう一人で文字を読めるのね」
しほ「別に…… すごくないですよ……」
せりか「いいえ、すごいですよしほさん!」
しほ「そ、そんなこと……」
せりか「いいなぁ…… わたしはまだママに読んでもらわないといけないから好きな本をよめないんです……」
しほ「……」
しほ「それなら……」
せりか「?」
しほ「二人で…… えほん…… ひらがな…… 教えるから……」
90 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:47:21.99 ID:0bh1wEUv0
番外編U ばーにんぐがーる幼稚園
美也(ここはばーにんぐがーる幼稚園 至って普通の幼稚園です、今日も花丸毎日平和ですよ〜)
美也「今日は公園で遊びますよ〜」
たまき、うみ、めぐみ「わ〜い!」
ことは「ちょっとみんな! あんまり遠くに行ったらみや先生が困るでしょ!」
たまき「たまきボール遊びしたい」
うみ「よーし、まけないぞ〜」
めぐみ「あたしも混ぜて!」
ことは「もう…… みんな……」
美也「ことはちゃん」
ことは「みや先生、みんなが……」
美也「ことはちゃんも向こうで遊んできていいんですよ〜」
ことは「でも……」
美也「先生はちゃんと見てますから、大丈夫ですよ」
ことは「いいん…… ですか……?」
美也「はい」
ことは「それなら……」
めぐみ「ことはー! ことはも一緒にやろー!」
ことは「うん! 今行くよー!」
91 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:47:58.22 ID:0bh1wEUv0
たまき「次はかくれんぼがいい!」
うみ「いいねそれ! みや先生もやろ!」
美也「いいですよ〜 それじゃあ先生がオニに」
ことは「いえ、平等にじゃんけんで」
めぐみ「あはは、ことはいいんちょうみたい〜」
ことは「平等はだいじなの!」
「じゃんけん、ぽん」
めぐみ「あちゃー あたしがオニかー」
たまき、うみ「かくれろ〜!」
92 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:48:43.43 ID:0bh1wEUv0
ことは(ふふふ、ここならきっとめぐみは見つけられないはず……)
ことは(めぐみってばいつもわたしにしつこく構ってきて…… たまには距離を置いた方がいいよね、うん)
ことは(おりがみの時間もやり方聞いてきたり、おえかきの時間も私のクレヨン借りたり)
ことは(おままごとの時だってめぐみはいっつも私のだんなさん役で……)
ことは「……」
ことは「めぐみぃ……」
ことは「うぇぇぇん…… めぐみどこぉー……」
めぐみ「あ! ことは見っけ!」
ことは「めぐみ…… めぐみぃ!」
めぐみ「わっ! どうしたの」
ことは「ひとりで…… さみしかったぁ……」
めぐみ「ほら、よしよし」
ことは「ひとりで…… ずっとこのままなんじゃないかって……」
めぐみ「大丈夫、ことはのことぜったいひとりになんてしないから」
めぐみ「いつだってまっさきにことはのこと見つけてあげる!」
ことは「…… ありがとう、めぐみ」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/04/14(金) 22:51:41.09 ID:0bh1wEUv0
4月15日は所恵美ちゃんの誕生日 恵美誕生日おめでとう!
ということで尺の調整も兼ねて、本編と無関係な番外編をお送りしました。
94 :
◆Jnlik0MEGA
[sage]:2017/04/14(金) 23:48:06.65 ID:26WrFiYx0
園児なことめぐもいいね、恵美誕生日おめでとう!
一旦乙です
>>76
中谷育(10) Vi
http://i.imgur.com/lEiv9kO.jpg
http://i.imgur.com/gMBetJe.jpg
周防桃子(11) Vi
http://i.imgur.com/hnO0MRO.jpg
http://i.imgur.com/1MFCIAU.jpg
>>80
箱崎星梨花(13) Vo
http://i.imgur.com/SW0wYid.jpg
http://i.imgur.com/PGJUcGt.jpg
>>81
野々原茜(16) Da
http://i.imgur.com/rfd5ZlE.jpg
http://i.imgur.com/eTLxQH5.jpg
北上麗花(20) Da
http://i.imgur.com/VtmQJ34.jpg
http://i.imgur.com/holFqdq.jpg
>>84
高坂海美(16) Da
http://i.imgur.com/gmd86vD.jpg
http://i.imgur.com/rzLkPNw.jpg
横山奈緒(17) Da
http://i.imgur.com/q8chmQm.jpg
http://i.imgur.com/jjao8Xw.jpg
佐竹美奈子(18) Da
http://i.imgur.com/ZUzO9Qf.jpg
http://i.imgur.com/XDI4u1A.jpg
>>85
松田亜利沙(16) Vo
http://i.imgur.com/M2I5RBT.jpg
http://i.imgur.com/5aEZqrf.jpg
>>90
大神環(12) Da
http://i.imgur.com/4mOaYhq.jpg
http://i.imgur.com/6KL4MCq.jpg
所恵美(16) Vi
http://i.imgur.com/Jf6k63e.jpg
http://i.imgur.com/RN3cTiy.jpg
田中琴葉(18) Vo
http://i.imgur.com/xUswnEt.jpg
http://i.imgur.com/5BGhhuY.jpg
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/18(火) 15:55:00.97 ID:1lwZunncO
違和感無いうみかわ
96 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:06:47.07 ID:w4vUXQr20
#5 激突! タウラスvsクレシェンドブルー!
美也「お話があります」
P「なんだ」
美也「クレブル1stライブ 決まったんですよね?」
P「ああそうだが…… それは静香にしか伝えてなかったはずだが?」
美也「調べました…… わたしもプロデューサーなので」
P「そうか」
97 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:08:11.17 ID:w4vUXQr20
美也「やっぱり事務所はクレブル推しで行くんですね」
P「その通りだ、新人たちのグループの中でもあの5人は頭ひとつ抜けている」
P「特に成長性が凄まじい、1週間経てば別人と言えるほどパフォーマンスが向上している」
P「…… で、何が言いたい? 回りくどい話は嫌いだ」
美也「……」
美也「タウラスにも、ライブをやらせてください」
98 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:09:16.08 ID:w4vUXQr20
P「何故私に頼む? 君もプロデューサーなら自分の力で会場を押さえればいいだろう? 今の仕事も自分で取ってきたはずだ」
美也「確かに今までのお仕事はわたしの力で取ってきました…… けど、ワンマンライブを行うには『事務所推し』が必要です」
美也「だから頼みにきました、タウラスをクレブルに次ぐ第二の事務所推しグループにしてください、わたし達 歌いたいんです」
P「ふむ……」
P「確かにタウラスはクレブルを除いた新人たちの中では高い人気、実力がある」
P「さらに営業の効果によりファミリー層への認知度がある程度ある、これは新規層開拓のチャンスと言えるだろう」
P「だが……」
99 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:09:58.96 ID:w4vUXQr20
P「今の進言『プロデューサー』としての宮尾美也の提案か? それとも『アイドル』としての宮尾美也の願望か?」
美也「……」
P「まぁ、どちらでもあるのだろう、私はアイドルを兼任してはいないからな、君のことを全て理解出来るわけじゃない」
P「話がそれたな『事務所推し』が欲しければはっきりとした形で証明しろ、タウラスは推す価値のあるグループだと」
P「次の劇場公演の出演は未来 まつり 志保 星梨花 茜だったな、これに君も出ろ 静香と麗花も参加させる」
美也「それって……」
P「次の公演はクレシェンドブルーとタウラスの対バン形式とする」
美也「っ!?」
100 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:11:11.48 ID:w4vUXQr20
P「公演終了後に来てもらったファンにどちらが良かったかアンケートを取り、タウラスが勝利したなら」
P「今度、クレブルの1stライブのために用意していた土日の昼夜4公演のうち、ひとつタウラスに渡そう」
美也「……もし」
P「初めから負けた時のことなど考えるなよ?」
P「賽は投げられたのだ、もう君たちに引く選択肢はない」
P「静香たちにも君から説明をよろしく頼む」
美也「…… わかりました」
101 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:11:55.93 ID:w4vUXQr20
後日 事務所
未来「静香ちゃーん!」
静香「久しぶり未来、ちゃんといい子にしてた?」
未来「もう何それ! わたし子どもじゃないよ!」
星梨花「ふふっ、静香さんって未来さんのママみたいですね」
未来「星梨花まで!」
静香「ふふ、未来はドジだから心配で目を離せないし、確かに私がお母さんかもしれないわね」
未来「し、静香ちゃん……」
茜「おーっとぅ? これはモガミンの新たなる魅力発見か〜?」
麗花「静香ちゃんと未来ちゃん、とっても仲がいいんだね」
102 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:12:45.20 ID:w4vUXQr20
志保「で、どうして私たちは呼ばれたのよ」
静香「呼んだのは美也さんなのよね?」
星梨花「美也プロデューサーとお話するの、わたし初めてかもしれません」
未来「プロデューサーさんはとっても優しくていい人だよ!」
静香「いつも未来が迷惑かけているだろうから、ちゃんとお礼を言わないといけないわね」
未来「静香ちゃ〜ん!」
103 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:13:39.95 ID:w4vUXQr20
まつり「はいほー!」
美也「お待たせしました〜」
未来「プロデューサーさん、まつりちゃん」
美也「今日は未来ちゃんとまつりちゃんと、クレシェンドブルーの皆さんに、美也プロデューサーから大切なお話がありますよ〜」
星梨花「大切なお話、ですか?」
美也「はい」
104 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:14:16.48 ID:w4vUXQr20
美也「今度の劇場公演、麗花さんと静香ちゃんにも出てもらいます」
静香「えっ?」
美也「そして、わたしも出ます」
志保「……」
茜「それってそれって…… !」
未来「みんなで一緒にライブってこと?」
105 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:14:50.96 ID:w4vUXQr20
美也「そう…… そうですね……」
まつり「未来ちゃん、確かにみんなで歌うのですけど、それだけじゃないのです」
未来「えっ?」
まつり「ねぇ、美也ちゃん?」
美也「…… はい」
106 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:15:32.88 ID:w4vUXQr20
星梨花「えっと…… どういうことですか?」
志保「これはクレブルとタウラスの対決、そういうことですよね美也プロデューサー?」
美也「はい、ライブの終わった後来てもらったファンの皆さんにどっちのライブが良かったか、投票してもらいます」
星梨花「た、対決って…… わたし達は仲間じゃないんですか…… ?」
茜「対決!? 茜ちゃん頑張っちゃうよー!」
麗花「えへへ、わたしも次の公演出られるんだ〜」
静香「……」
107 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:16:20.51 ID:w4vUXQr20
静香(クレブルとタウラス、765プロの新人グループの中でもかなり有力な二組)
静香(私たちを争わせるということ、それの意味することは……)
静香「事務所にエースは一組で十分、ってことね……」
未来「……」
静香「未来?」
静香(もしかして、未来は私たちと戦うのが嫌なのからしら…… )
静香(でも、アイドルとして生き残っていくにはこういうことも必要なのよ)
108 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:16:49.24 ID:w4vUXQr20
静香「ねぇ未来、悲しいかもしれないけど」
未来「楽しみだね、静香ちゃん」
静香「楽しみ?」
未来「わたし、初めて静香ちゃんが歌ってる所見た時驚いたの、同い年でこんなに歌が上手くてかっこいい子がいるんだ、って」
未来「そんな静香ちゃんと同じ舞台に立てるんだよ? とっても楽しみ」
未来「静香ちゃん、わたし…… わたし達絶対負けないから」
静香「……そう」
静香「ふふっ、私たちだって負けないわ」
静香「最高のステージにしましょう!」
未来「うんっ!」
109 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:17:22.55 ID:w4vUXQr20
美也「最初にセットリストを決めますよ〜」
志保「元々のセトリから大きく変えることになりますよね、考えてあるんですかプロデューサーさん?」
美也「はい、大まかには〜」
全体曲
MC1
茜ソロ
美也ソロ
麗花ソロ
MC2
志保ソロ
未来ソロ
星梨花ソロ
まつりソロ
静香ソロ
ユニット曲
EC
全体曲
110 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:17:52.51 ID:w4vUXQr20
美也「どうでしょうか〜?」
未来「あれ、風花さんは?」
麗花「いいんじゃないかな!」
まつり「まつりはこれで大丈夫なのです」
未来「このユニット曲のところは何を歌うんですか?」
美也「そこはタウラスとクレブルが交互に1曲づつです」
静香「交互に、ですか……」
美也「はい…… 今静香ちゃんが考えてる通りですよ〜」
111 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:18:28.74 ID:w4vUXQr20
星梨花「えっ? どういうことですか?」
まつり「星梨花ちゃん、お客さんが印象に残るのはやっぱり後にやった方なのです」
志保「だからアンコール前ラスト、この位置で歌った方は票対決で大きく有利 ってこと」
茜「アニメとか漫画とかでも切り札を後に出しした方が勝つでしょ? そんな感じかな」
静香(もっと平等になるセトリもあったはずなのに敢えてこういうセトリにした狙いは……)
未来「で、結局どっちが先にやるんですか?」
美也「それは……」
未来「それは?」
112 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:19:53.95 ID:w4vUXQr20
美也「じゃんけんで決めましょう」
志保「じゃんけん…… ってなんですかそれ」
静香「完全な運なら後腐れないし、私はそれでいいわ、志保は?」
志保「…… 静香がそれでいいなら私は従うわ、貴女は私たちの『リーダー』だから」
未来「じゃあこっちはリーダーのまつりちゃんがじゃんけんする?」
まつり「未来ちゃんがやっていいのですよ」
未来「いいの?」
まつり「はいなのです」
未来、静香「じゃーん、けーん」
113 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:21:26.67 ID:w4vUXQr20
『クレブルvsタウラス 対決ライブ』の情報が公開されるや否や、出演者がシアター組のみであるにも関わらずチケットは瞬く間に完売
ファンの間ではどちらが勝つか、このタイミングでの対バンの意図など様々な意見が飛び交う
下馬評
「クレブルとタウラス、どっちが勝つと思う?」
「いや流石にクレブルだろ、前にクレブルの歌見たけどあれは新人のレベルじゃない」
「こんなん票操作で勝つ方決まってんだろ」
「て言うかそんなわかりやすく投票とかすんの?」
「公式に書いてある」
「志保に蹴られたい」
114 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:23:04.65 ID:w4vUXQr20
盛り上がっているのはファンだけでなく、事務所の中もこのライブの話で持ちきりであった
恵美「ねぇ琴葉、今度のライブどっち応援する?」
琴葉「応援って…… みんな仲間なんだし全員応援するに決まってるでしょ」
エレナ「アハハっ、琴葉っぽい!」
琴葉「どういう意味?」
恵美「『みんな頑張れ 全員でゴール』って感じが琴葉っぽいなって」
琴葉「言い方! ……でもアイドルってみんな仲間で協力するものでしょ?」
恵美「まぁね、そうだと思うよ アタシもそれがいい」
エレナ「でも『負けられない』って気持ち、誰でもあると思うヨ?」
115 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:25:09.04 ID:w4vUXQr20
亜利沙「あああああ…… どうしましょう…… クレブルとタウラスの対バンだなんて…… ありさはどっちを応援すれば……」
のり子「あはは、面白いじゃん! やれやれー」
紗代子「面白がってる場合じゃないですよ! こんなはっきり勝敗つけるだなんて……」
亜利沙「ありさはどっちか片方だけ贔屓にするなんて出来ません! だから白票を出すことにします!」
可憐「あ、あのー…… 私たちは投票出来ませんけど……」
116 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:25:48.75 ID:w4vUXQr20
百合子「未来たちと静香たちがライブで対決かー……」
杏奈「未来も、静香も…… 仲良しなのに……」
百合子「でも二人は凄い楽しそうなんだよね…… 私にはわからないなぁ……」
杏奈「…… 杏奈も、アイドルしてたら…… 百合子さんとたたかう、の?」
百合子「……」
杏奈「杏奈、百合子さんのこと大好きだから…… ライバルになりたくない……」
百合子「うん…… 私も、杏奈ちゃんとはずっと仲良しで居たいな……」
117 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:26:52.26 ID:w4vUXQr20
ジュリア「次のシアター公演は対バンか! 面白いこと考えるじゃねーか!」
ジュリア「あぁ、あたしも対バンとかしてみたいなぁ……」
ジュリア「なぁ、翼はどう思う?」
翼「そうですねー」
ジュリア「はぁ、興味無さすぎだろ…… あたしが言うのもおかしいけどもっとやる気出せよ……」
翼「だってー アイドルって思ったよりつまんないなーって」
ジュリア「そうなのか?」
翼「美希先輩と同じ事務所に入って、美希先輩の近くに居たらきっとすっごい楽しいんだろうなーって思ってたんだけど……」
118 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:27:25.07 ID:w4vUXQr20
翼「アイドルって案外退屈ですよね」
ジュリア「……翼に、本気でアイドルやってない翼にアイドルがわかるのか?」
翼「わからないですよ、でも興味もわかないです」
翼「わたしにとってのアイドルは、この髪の毛の跳ねよりもどうでもいいことなんです」
翼「あー早く美希先輩ツアーから帰ってこないかな〜」
119 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/07(日) 00:28:03.76 ID:w4vUXQr20
次回予告
翼『わたしにとってのアイドルは、この髪の毛の跳ねよりもどうでもいいことなんです』
美希「……」
美希「おかしいの…… 翼はこんなキャラじゃなかったはずなの……」
美希「翼はもっとこう…… 油断したら背後から忍び寄ってきて」
翼「はぁはぁ……」
美希「気付いた時にはもう手遅れで、そのままいただきますされちゃうような……」
翼「はぁはぁ……」
美希「こんな物憂げでアンニュイな子じゃなかったはずなの……」
翼「美希先輩…… いただきまーす!」
美希「ひぃっ!」
次回『最上静香の一計』
翼「あー、退屈だなー、ものうい?だなー、アンニュイだなー」
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/07(日) 00:29:29.56 ID:w4vUXQr20
久しぶりの更新になってしまいました。 続きものの話なので次の更新はなるべく早くしたい… です。
121 :
◆Jnlik0MEGA
[sage]:2017/05/07(日) 01:29:19.09 ID:ouq7j+AK0
翼が不穏ですな
一旦乙です
>>114
島原エレナ(17) Da
http://i.imgur.com/HNlmTzo.jpg
http://i.imgur.com/sARL4rq.jpg
>>115
福田のり子(18) Da
http://i.imgur.com/LEN8cnH.jpg
http://i.imgur.com/erMHUDP.jpg
高山紗代子(17) Vo
http://i.imgur.com/G3Xvfmo.jpg
http://i.imgur.com/MBb0gBI.jpg
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 02:44:23.62 ID:vK11jW94O
熱い展開だ…
ただ三人とも記憶喪失だけには気を付けてほしいな…
123 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 00:58:12.85 ID:KOzOC2JO0
#6 最上静香の一計
ライブ当日
まつり、静香「ようこそ」
「765プロライブシアターへ!」
まつり「それでは早速、本日の一曲目」
静香「今日は来てくれて、本当にありがとう!」
『Welcome!!』
124 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 00:58:39.36 ID:KOzOC2JO0
ジュリア「始まったな」
翼「そうですね」
ジュリア「…… 落ち着き過ぎだろ」
翼「じゃあ亜利沙さんみたいに盛り上がった方がいいですか?」
亜利沙「1!2!3!4! ハァイ!」
ジュリア「いやあそこまでとは言わねぇけど……」
ジュリア「楽しくないのか、ライブ」
翼「…… 普通です」
125 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 00:59:30.36 ID:KOzOC2JO0
静香「改めまして、今日は私たちクレシェンドブルーと」
まつり「まつり達タウラスのわんだほーなライブにお越しくださり、ありがとうなのです〜」
静香「今日は私たちとまつりさん達との対バン、という形式にはなりますが、二組とも最高のパフォーマンスを見せようと思います!」
まつり「それじゃあみんな、自己紹介お願いなのです」
風花「あぁ…… 始まっちゃった…… どうしよう……」
千鶴「どうしましたの? 風花」
風花「あ、ううん 何でもない…… けど……」
風花(結局未来ちゃんに曖昧な態度のまま、ここまで来ちゃった……)
風花(昨日も未来ちゃんから……)
126 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:00:29.14 ID:KOzOC2JO0
未来『風花さん! 明日はついにクレブルとタウラスの対バンの日ですよ!』
未来『今回は風花さんは出られないみたいですけど、いつかタウラス4人全員で歌いたいです』
未来『絶対見に来てくださいね!』
風花(あぁ、私はっきりと言えないまま未来ちゃんに嘘つき続けて…… ずるい大人だなぁ……)
まつり「それじゃあ次に歌うのは?」
茜「はいはーい! 茜ちゃんが会場のみ〜んなトリコにしちゃうよ〜?」
茜「♪〜」
風花「……」
風花(ステージで歌うみんな、とっても綺麗で可愛いなぁ……)
風花「私も…… あぁなりたいからアイドルになったはずなのに……」
127 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:01:25.06 ID:KOzOC2JO0
未来「みんなも一緒に歌ってくださーいっ!」
未来「『あっふれーるゆーめ』」
亜利沙「いっぱい!!!!!」
未来「『いっつのひでーも』」
亜利沙「ぜったい!!!!!」
未来「みんなありがとー!」
128 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:01:51.74 ID:KOzOC2JO0
志保「すごい盛り上がり……」
美也(いいですよ未来ちゃん、わたし達の作戦通りです)
未来『作戦?』
まつり『ほ?』
美也『はい〜 今度の対決ライブでは二人にやって欲しいことがあります』
美也『それは、アオリです』
未来『アオリ?』
まつり『お客さんに向けて呼び掛けたり、コールアンドレスポンスをすることですよ』
129 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:02:18.70 ID:KOzOC2JO0
美也『じゃんけんに勝ってユニット曲を後に歌えることになりましたが、それでも歌う曲の数はクレブルの方が多いです』
美也『だから少しでも強く印象に残るため、わたし達の持ち味をたくさんアピールしましょう』
未来『わたし達の持ち味?』
まつり『それがアオリなのです?』
美也『はい、わたし達イオンで数多くイベントを行い、時には興味無い人たちにも振り向いて貰えるよう沢山努力してきました』
美也『だからファンの皆さんを盛り上げる力はクレブルに負けてないと思います』
美也『この勝負…… 絶対勝ちましょう』
未来『はい!』
まつり『なのです!』
130 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:02:53.81 ID:KOzOC2JO0
まつり「『もっとみんなの声を、聞かせて欲しいのです〜!』」
まつり「せー、のっ」
まつり「ほっ、ほっ、ほ?」
亜利沙「Ho! Ho! Ho!!」
まつり「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ」
亜利沙「Ho! Ho! Ho! Ho!!」
まつり「ほっ、ほっ、ほ?」
亜利沙「Ho! Ho! Ho!!」
まつり「ほっ!」
亜利沙「Ho!」
まつり「ほっ!」
亜利沙「Ho!」
131 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:04:40.99 ID:KOzOC2JO0
星梨花「わ……」
静香(私たちの曲も盛り上がるような曲が多いけど、ここまで激しいアオリがあるようなものは無かった)
静香(あのアオリの上手さはステージ経験が多いからこそ、か……)
星梨花「わ、わたし達この後に歌うんですよね……?」
静香「ええ、そうよ」
星梨花「その……」
静香「…… 安心して、まつりさんに伝えてくるわ」
静香「『会場の暖めありがとうございます』って」
星梨花「静香さん…… !」
静香「私の次は5人での曲、今のうちに円陣いくわよ」
静香「ミラクル起こせ!」
「「「「「クレシェンドブルーッ!!」」」」」
132 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:05:35.47 ID:KOzOC2JO0
亜利沙「うひょおおおおおお! 最高、最高ですよ今日のライブ!」
亜利沙「流石のクレブルはソロでもパフォーマンスのレベルすっごく高くて、対するタウラスは会場との一体感が素晴らしい!」
亜利沙「次の静香ちゃんの番が終わったらいよいよグループ曲でしょうか!? 実はありさクレシェンドブルーのライブを生で見るのは始めてなんですよ〜〜〜!」
ジュリア「どうだ翼? 今日のライブは」
翼「凄いと思いますよ」
ジュリア「ほんとにそう思ってんのか?」
翼「……」
翼「みんなの実力を考えたらあんな感じだと思いますよ、特に驚くほどじゃないです」
ジュリア「はぁ……」
ジュリア「天才の見てる景色は酷くつまんなそうだな」
翼「別に…… そんなこと……」
133 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:08:40.04 ID:KOzOC2JO0
静香「たった一つだけの……」
静香「大切な宝物……」
静香「ありがとうございました!」
静香「これでソロ曲のパートは終わり、ということで?」
亜利沙「おおお!」
静香「みんな、来て」
静香(今の私たちなら出来る、あの時の『奇跡』はもう『奇跡』じゃない!)
134 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:09:20.68 ID:KOzOC2JO0
♪〜
「あれ…… なんだこのイントロ」
「SSsじゃないのか……?」
「て言うか聞いたことないぞ」
「まさか」
亜利沙「まさか……」
亜利沙「まさかまさかまさかまさか!」
亜利沙「し、新曲ですかぁ〜〜〜〜〜!?」
135 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:12:02.21 ID:KOzOC2JO0
静香『今度のライブで新曲をやろうと思うの』
志保『新曲、って…… あれは今度の1stライブでお披露目のはずじゃ……』
静香『プロデューサーには許可は取ったわ』
星梨花『でもあの曲はまだ一回も練習してないですし、ライブ本番まで時間も……』
静香『確かに、星梨花の言うことはもっともだと思うわ』
静香『でも、私たちクレブルはタウラスより先に歌うことになる』
静香『この勝負に勝つためには圧倒的なインパクトを与えて、絶対的なパフォーマンスを見せつけるしか無い』
静香『そのためには新曲を歌う必要があるわ』
静香『今回の対バン、勝っても得られるものは無いかもしれない、だけど私は…… 勝ちたい』
136 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:12:32.08 ID:KOzOC2JO0
静香『もちろん強制は出来ないから、みんなの意見を聞きたいんだけど……』
茜『茜ちゃんは賛成だよー!』
麗花『それじゃあわたしも!』
志保『それが最善ならそうするわ』
星梨花『……』
静香『星梨花は?』
星梨花『わたしは……』
星梨花『自信が無いです、今だって皆さんの足を引っ張っているのに、これ以上足を引っ張ったらって』
星梨花『でも…… やる前から諦めるのは違うって思います』
星梨花『だからわたし、頑張ります 誰よりも頑張って皆さんに少しでも追い付けるように!』
静香『…… うん、そうね』
静香『一緒に頑張りましょう、私たちは一つのチームなんだから!』
137 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:13:24.59 ID:KOzOC2JO0
「『Emotional-Flooding!』」
亜利沙「お…… お……」
亜利沙「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
亜利沙「おーいっ! おーいっ! おーいっ!」
ジュリア「すげぇなシズ達! 個人の技量だけじゃない、5人でひとつの歌を作ってる!」
ジュリア「なぁ翼! ……翼?」
翼「っ……!」
138 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:15:04.78 ID:KOzOC2JO0
まつり「ほ……」
美也「……」
未来「すごい! すごいよ静香ちゃん達!」
まつり「後攻を取ったから有利だと思ってたけど、これは……」
美也「……」
まつり「美也ちゃん?」
美也「あ、はい……」
未来「静香ちゃん達 わたし達より全然上だ…… その静香ちゃんと同じステージに今まで立ってたんだ……!」
まつり「未来ちゃんはやる気たっぷり、ぱわほー! なのです?」
未来「はいっ! 今すぐ歌いたいくらい!」
美也「……」
まつり「……それじゃあ、そろそろ姫たちの舞台だから、掛け声行くのです!」
美也「え、」
まつり、未来、美也「えいえい、はいほー!」
139 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:16:49.16 ID:KOzOC2JO0
静香「『今を、運命に変えてく』」
「『Emotional-Flooding!』」
静香「…… っふう」
亜利沙「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
亜利沙「静香ちゃーん! 志保ちゃーん! 星梨花ちゃーん!」
亜利沙「茜ちゃーん! 麗花さーん!」
亜利沙「クレシェンドブルー さいこおおおおお!!!!!」
静香「ありがとうございました!」
静香(どう未来? これが私たちが魅せる『奇跡』よ)
静香(さぁ、貴女はどんなライブを見せてくれるのかしら?)
140 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:18:56.89 ID:KOzOC2JO0
美也「っ……」
未来「すぅ……」
未来「皆さーん! 今のクレブルの歌、どうでしたー?」
未来「さいこー! でしたよねー!」
未来「わたしの親友の静香ちゃんは、あんなにすごくて…… 凄いんですっ!」
未来「わたし、静香ちゃんのことをとっても尊敬していて、あんな歌が上手くてかっこいいアイドルになりたいって、思ってます」
未来「だけどわたしは春日未来で、静香ちゃんみたいにはなれない」
未来「そんなわたしのことを、静香ちゃんが『ライバル』って言ってくれるなら……」
未来「わたしは今出来る最高のわたしで、歌います! 聞いてください」
『Starry Melody』
141 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:19:40.64 ID:KOzOC2JO0
「『わたし達の"Starlight"』」
未来「いぇーーいっ!」
亜利沙「いぇーーいっ!」
ジュリア「おお、未来たちも熱いな!」
翼「…… 未来はここまで歌える子じゃなかった、少なくともさっきまでは」
翼「静香ちゃんの歌が、未来を成長させてるんです……」
翼「……」
翼「わたしは……」
142 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:21:07.11 ID:KOzOC2JO0
静香「いいわよ未来……! やっぱり貴女は私のライバル、間違いないわ」
静香「貴女は見た人を惹き付ける 天性のアイドル性を持っている」
静香「未来が頑張る一生懸命な姿、それを見た人は誰もが放っておけない、応援したくなる」
静香「歌の才能でもダンスの才能でもない、『人の才』」
静香「だけど……」
静香(勝つのは私たちなの、それは『決まっている』のよ……)
未来「みんなも歌ってー!」
"rarara-rararara-ra-rara rarara-rararara"
"rarara-rararara-ra-rara rarara-rararara"
亜利沙「らーらーらー らららーららーらー」
未来「今日は」
まつり、未来、美也「ありがとうございましたー!」
143 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:21:47.85 ID:KOzOC2JO0
未来「静香ちゃーん!」
静香「未来! 凄かったわよ貴女のステージ」
未来「静香ちゃんも! やっぱり静香ちゃんは、わたしの一番のアイドルだよ!」
静香「ふふ、ありがとう でも……」
亜利沙「あんこーる、あんこーる」
亜利沙「あんこーる! あんこーる!」
静香「呼ばれてるわ」
未来「行こう!」
静香「……」
静香「未来」
未来「えっ、何?」
静香「一緒のライブ、とっても楽しかったわ」
未来「あ、うん……」
144 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:22:24.03 ID:KOzOC2JO0
静香「アンコール、ありがとうございます!」
まつり「みんなの声援に呼ばれて姫たちの魔法の時間は続くのです〜」
静香ちゃん達とのライブはとっても楽しくて、歌っている時にいつものわたしじゃないくらいの力が出せて
こんな楽しい時間が終わってしまうのが悲しかった
隣に居る静香ちゃんも同じこと思ってたら って横を見たら目があって
静香ちゃんは少しだけ、暗い顔になって
「ごめんね」
と呟いた
145 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:23:02.04 ID:KOzOC2JO0
静香「ここで! 皆さんに私たちからスペシャルなお知らせがあります!」
えっ?
静香「なんと! 先ほど歌った新曲『Flooding』がクレシェンドブルーのCD第二段としてリリースされることが決まりました!」
静香「そしてもう一つ、私たちクレシェンドブルーの1stライブが決まりました!」
やっと見えた背中、今度こそ近付いて触れられると思ったそれは幻で
彼女はわたしの遥か、その先を走っていた
静香ちゃんの発表に会場は更なる盛り上がりを見せ、今回の対バンは静香ちゃんたちクレシェンドブルーの勝利に終わった
146 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:23:41.01 ID:KOzOC2JO0
ライブ後
星梨花「静香さん!」
静香「星梨花、今日はお疲れさま 星梨花のパフォーマンスとっても良かったわ」
星梨花「ほんとですか!」
静香「ええ、星梨花はあんなに頑張ったんだから、努力が実ったのよ」
星梨花「えへへ……」
147 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:24:13.19 ID:KOzOC2JO0
星梨花「…… でも」
静香「でも?」
星梨花「わたし、今回の結果は……」
静香「納得がいかない?」
星梨花「…… はい、未来さんたちの歌もとても良かったです、お客さんたちもすごく盛り上がっていました」
星梨花「わたし達が勝てたのは純粋に歌だけで勝負をしなかったから、もしクレブルの発表が無かったら……」
志保「それでも、勝ったのは私たちよ」
星梨花「志保さん」
志保「もしも、だったら、なんて話をするのは無意味、今起きた結果が全てよ」
静香「志保の言うとおりよ、それに……」
静香「私たちのステージが上だった、発表が無くても勝ったのは私たちよ」
この日、少女たちは初めての『勝利』と忘れ得ぬ『しこり』を手にして、次のステージへと歩き出す
148 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:24:46.93 ID:KOzOC2JO0
まつり「美也ちゃーん?」
まつり「どこに居るのですー?」
美也「っ……」
まつり「あ、美也ちゃん プロデューサーさんが呼んで……」
まつり「美也ちゃん?」
まつり「泣いて…… いるのです?」
美也「……」
美也「……ごめんなさい」
まつり「ほ?」
美也「この対決ライブには、大きな意味があって……」
美也「この勝負にわたし達が勝てたら、タウラスも単独ライブをさせてもらえるはずだったんです……」
美也「タウラスがもっと売れるためには、単独ライブを成功させる必要があったんです……」
まつり「だからあんなに勝つことに拘って……」
149 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:25:21.05 ID:KOzOC2JO0
美也「でも、勝てなかった……」
まつり「それは……」
まつり「…… わたし達の実力が足りなかったから」
美也「違うんです、わたしが…… わたしのせいなんです……」
まつり「え?」
美也「クレブルのステージを見た時に『勝てない』って諦めちゃったから…… 未来ちゃんはあんなに輝いていたのに、わたしは……」
まつり「美也ちゃん……」
美也「わたしは二人の、タウラスのプロデューサーだから…… わたしが一番信じてあげなくちゃいけないのに……」
美也「やっぱり、わたしがプロデューサーもアイドルも両方なんて無理だったんです……」
まつり「……」
150 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:26:15.44 ID:KOzOC2JO0
まつり「泣かないで、美也ちゃん」
美也「……」
まつり「美也ちゃんがまつりと未来ちゃんのためにたくさん頑張っていることは知っているのです」
まつり「普段のお仕事以外にも、裏で何かやっていたのでしょう?」
まつり「ライブなら、またいつかチャンスが巡ってくるのです」
まつり「だから…… ね? 少しずつ、また頑張ろう?」
まつり「まつりと、美也ちゃんと、未来ちゃんならきっとどこまでも行けるのです」
美也「まつりちゃん……」
美也「うぅ…… こんなわたしでも、また頼ってもらえますか〜?」
まつり「もちろん! なのです」
151 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:26:48.18 ID:KOzOC2JO0
P「ここに居たか、探したぞ美也」
美也「ん……」
まつり「プロデューサーさん」
P「今日のライブの結果について、話がある」
まつり「今、姫たちは休息中なのです 後にしていただけますか?」
P「アイドルには何も話すことは無い、今は『プロデューサー』に用がある」
まつり「っ…… !」
美也「大丈夫です…… まつりちゃん」
152 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:27:14.40 ID:KOzOC2JO0
美也「はい、なんでしょうか」
P「今日のライブでタウラスの今の実力はわかった、その上で、だ」
美也「…… !?」
まつり「これ…… タウラス1stライブ……」
P「金曜日とはいえ平日の開催、それにクレブルと比べて会場のグレードは落ちる」
P「だが、必ず成功させろ 君たちなら出来るはずだ」
美也「はいっ!」
153 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:28:10.94 ID:KOzOC2JO0
美也「全部、全部お見通しだったんですね……」
美也「わたしが直談判しにくることも、タウラスが負けることも……」
まつり「頑張ろう、このライブ 絶対に成功させよう」
美也「はい…… !」
少女たちは知る、決定的な敗北と自分たちの世界の狭さを、しかし少女たちの瞳は未だ輝く、その先へたどり着く日を夢見て
154 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:28:49.65 ID:KOzOC2JO0
翼「どうでした? 今日のライブ」
ジュリア「そりゃもちろん熱かったよ! 二組ともいい刺激になったんじゃないか?」
翼「刺激ならわたしも……」
ジュリア「ん?」
翼「あの、何かわたし今すっごい歌いたい気分なんです! 付き合ってもらえますか?」
ジュリア「…… あぁ、いいぜ」
ジュリア「翼が満足するまでいつまでも付き合ってやるよ!」
翼「あ…… でもちょっとお腹すいてきたんで歌う前にご飯食べに行きましょ?」
ジュリア「おいおい…… せっかくやる気出したかと思ったのに……」
ジュリア(でもわかるぜ、さっきのライブを見て、翼の中で何かが変わったんだろ?)
長かった少女の眠りは終わった、誰よりも綺麗な翼を広げ、果ての無い青空へ羽ばたいていく
155 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/05/19(金) 01:29:47.46 ID:KOzOC2JO0
次回予告
未来「つ、ついに来たね! わたし達のワンマンライブ本番!」
まつり「未来ちゃん、緊張してるのです?」
未来「そ、そんなこと無いですよ!」
美也「わたし達が出来る 最高のライブをやりましょ〜!」
風花「バラバラだった欠片(ピース)がひとつずつ集まって、完成していくパズル」
風花「だけど『それ』はまだ欠片の足りない不完全パズル」
風花「完成のための最後の1片は……」
次回 『私たちのStarLight!』
未来「もっと…… もっと上手に!」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/19(金) 01:31:13.60 ID:KOzOC2JO0
次が最終回になります。 頑張って6月くらいには終わらせたいです。
157 :
◆Jnlik0MEGA
[sage]:2017/05/19(金) 01:53:55.52 ID:znzSQ2A70
残り1話か、三者三様に動き始めたがどうまとまるんだろ
乙です
>>125
二階堂千鶴(21) Vi
http://i.imgur.com/akNco2n.jpg
http://i.imgur.com/kikIfuP.jpg
>>123
『Welcome!!』
http://youtu.be/mv1UDSZI6kM?t=97
>>137
『Flooding!』
http://www.youtube.com/watch?v=YJKthzf7BUw
>>140
『Starry Melody』
http://www.youtube.com/watch?v=soQU9fSpTC8
158 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:45:15.01 ID:JC2Hvkrg0
#7 私たちのStarLight!
ついに…… ついにこの日が来てしまいました…… タウラス1stライブ当日
客席は超満員で『ハコのチョイスミスだろ』なんて声も聞こえてきます
私もタウラスのメンバーですが、今日のライブには不参加です…… いえ今日の、ではないですね
私は今までファンの人たちの前でタウラスのメンバーとして活動したことはありません
練習には何度か参加したことがあるんですが……
クレシェンドブルーとの対決ライブ以降、未来ちゃん達の中で何かが変わったようで、3人のパフォーマンスはみるみる向上していきました
特に未来ちゃんの気合いの入りようは別格で、練習中の未来ちゃんは、いつものまぶしい笑顔の彼女と全く別の人間が憑いているようでした
一度、まつりちゃんに聞かれました 『風花ちゃんはどうしたいの?』と
私は……
159 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:46:03.28 ID:JC2Hvkrg0
舞台裏
美也「未来ちゃん! 髪止めが〜」
未来「えっ! あ、ほんとだ!」
美也「まつりちゃんも〜 ボタンが〜」
まつり「あっ…… 取れちゃったのです」
スタッフ「すいません、ステージ演出の件で」
美也「はい〜」
未来「プロデューサーさん大忙しだね……」
まつり「ここ最近の美也ちゃんとっても忙しそうだったのです、アイドルとしてのレッスンに加えてプロデューサーとしての仕事もあって……」
未来「わたし達も何かプロデューサーさんを手伝えることないかな?」
まつり「…… そうですね、まつりたちも美也ちゃんをサポートするのです!」
160 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:49:03.49 ID:JC2Hvkrg0
今日のライブ…… わたし達にとって、そしてわたし自身にも大切なライブです…… !
前回の対決ライブ、わたしは未来ちゃんとまつりちゃんについていくことが出来ませんでした
プロデューサーとして二人をトップアイドルにする、そのために必要なことだと思って始めたアイドル
今までは本気じゃありませんでした タウラスは二人が売れるまでの繋ぎで、いつかは終わるものだって
でも、それじゃダメだったんです 二人は…… いいえ静香ちゃん達もみんな全員真剣なのだから、繋ぎもどうでもいいステージも存在しません
本当の意味で、二人の隣に立つために……
わたし自身も目指します、トップアイドルを!
161 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:51:07.17 ID:JC2Hvkrg0
ステージ裏
未来「いよいよだね! ライブ!」
美也「はい!」
まつり「お客さんも沢山なのです!」
未来「そうだ、プロデューサーさん あそこの曲のところで……」
美也「……! なるほど〜」
まつり「……」
162 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:52:52.69 ID:JC2Hvkrg0
『何か』が違う、そう感じていた
1stライブに向けて今日までみんな全力投球で、その結果今のわたし達のパフォーマンスはクレシェンドブルーにも劣らないほど向上した
未来ちゃんも美也ちゃんも、あの日から完璧なステップに正確な音程を、とレッスンしていた
これで…… いいのかな
わたし達はアイドル、歌とダンスで人を魅了して楽しくさせる そういうものだと思っていた
ねぇ、この場の張り詰めた、とても居心地の悪い空間はいったいなんだろう?
今のふたりは前しか見ていなくて、横に居るわたしの疑問なんて気にも留めないよね
163 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:54:31.66 ID:JC2Hvkrg0
まつり「そろそろ時間なのです、円陣しましょう」
未来「…… あっ! 忘れてた!」
美也「今日は大切なライブですよ〜!」
まつり「それじゃあ えいえい」
まつり、未来、美也「はいほーっ!」
あ……
今の掛け声、未来ちゃんは少し早くて美也ちゃんは少し遅れた
みんな…… どこを見ているの…… ?
164 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:56:26.68 ID:JC2Hvkrg0
ステージの幕が上がり、ライトを浴びて少女たちは光り輝く『アイドル』になる
未来「みんなー! 今日は来てくれてありがとー!」
未来の声に呼応して会場から地を揺らす声援が飛び、『アイドル』を祀り上げる
未来「1,2,3,4,せーのでジャンプ」
まつり、美也「はいっ!」
アイドルは歌い踊り、光り輝く
だが今の彼女たちはまだみっつの小さな輝き、連なってひとつの大きな光になるためには……
165 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:57:56.95 ID:JC2Hvkrg0
スタッフ「美也さんソロ、まつりさん未来さん衣装チェンジです!」
未来「えとえと……」
まつり「ねぇ未来ちゃーん! ちょっと飛ばしすぎなのですー?」
未来「えっ! そんなこと無いですー! わたしはいつだって全力でー……」
スタッフ「あと2分です!」
未来「わっ! 急がなくちゃ」
まつり「待って未来ちゃん! 少し落ち着いて水分も取って」
未来「着替えが遅れてお客さんが待って、その間に盛り下がったら大変だから!」
まつり「そうだけど……」
未来「このライブは大切な、絶対に失敗出来ないライブなんです……!」
スタッフ「美也さん終わりました!」
未来「未来、行きます!」
まつり「あっ、まっ……」
166 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:59:41.74 ID:JC2Hvkrg0
美也「ふぅ……」
まつり「お疲れさま、美也ちゃん」
美也「はい〜 今日はとっても暑いですね〜」
まつり「……」
まつり「未来ちゃんも美也ちゃんも飛ばしすぎなのです……」
美也「ふぇ〜?」
まつり「未来ちゃんはまだ大丈夫そうだけど、美也ちゃんはもうバテ始めてるのです」
167 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:01:21.17 ID:JC2Hvkrg0
美也「…… でも、今日は大事なライブですから」
まつり「そうだけど、だからこそ一度クールダウンするのです もしステージ上で事故なんて起こしたら……」
美也「……」
美也「わたしは、頑張りたいです…… この前みたいに後悔したくはないから……」
まつり「っ……」
美也「…… まつりちゃんは頑張らないんですか」
まつり「そうじゃなくて……」
美也「もう時間ですよ」
まつり「…… うん」
168 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:02:59.09 ID:JC2Hvkrg0
小さな光はそれぞれ重なり 『濁る』
ほんの少しの歯車の狂い、それは次々と伝播し、大きな事故となる
未来「あっ!」
まつり「っ!?」
ダンス中未来が軽くフラつく、しかし倒れはせずに踏みとどまり何事も無かったようにダンスを続ける
明らかなミス、しかしステージの上で起きたあまりにも小さな事象を気にするものなど盛り上がった会場に居なかった
風花(未来ちゃん…… 今の足の曲がり方…… !)
……ごく一部を除いて
169 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:04:11.76 ID:JC2Hvkrg0
まつり「今日はありがとうございましたー!」
未来、美也「ありがとうございましたー!」
タウラスの3人は一旦ステージから引き、同時に何処からともなく聞こえる『アンコール』
しかしそのステージ裏では……
未来「アンコールですね! 衣装チェンジして
まつり「未来ちゃん!」
一際大きな声をあげるまつり、場は静まり視線は未来とまつりへ向けられる
未来「な、なんですか……?」
まつり「足…… さっき捻ったところ…… !」
未来「えと……」
170 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:05:17.85 ID:JC2Hvkrg0
まつり「軽くよろけた後から明らかに右足を庇って踊っていたのです」
美也「未来ちゃん怪我してるんですか…… ?」
未来「だ、大丈夫ですよ! 後3曲なんだしテーピングすればそれくらい……」
美也「ダメです!」
次に声を荒げたのは美也、普段のおっとりしたそれとは180度違う声で未来を止める
未来「っ!?」
美也「そんな無理なんてさせられません…… アンコール後はわたしとまつりちゃんだけで歌います……」
未来「そんな! せっかく3人で頑張ろうって決めたのに最後に歌えないなんて……」
美也「やっぱりまつりちゃんの言う通りでした…… 未来ちゃんは気負いすぎちゃったんです……」
171 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:05:47.92 ID:JC2Hvkrg0
未来「…… わたし、やります」
美也「未来ちゃん!」
未来「いくらプロデューサーさんの言うことだって聞けません! わたしは大丈夫です! わたしが言ってるんです!」
まつり「未来ちゃん! そんなテーピングした足じゃ全力のパフォーマンスなんて出来ない…… 姫たちのステージの邪魔なのです!」
未来「っ! なら全力でやりますっ!」
まつり「そういうことじゃ……」
売り言葉に買い言葉、強い言葉で無理矢理押さえ付けようとしたまつりの忠告も聞かない未来
バラバラになりかける3人の気持ち、それを繋ぎ止めるのは……
風花「みんな落ち着いて」
未来「風花さん!?」
『タウラスのメンバー』豊川風花だった
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:06:36.08 ID:JC2Hvkrg0
気づいたら落ちそうになってたのでアリバイ更新です。
完結させる気はあります。
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/18(日) 08:57:53.01 ID:xj9vR9Nho
おつ
更新待ってました!
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/26(月) 18:57:26.72 ID:qDddyCHZO
完結はよ
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/07(金) 12:00:55.24 ID:t+zzzSy5O
うほ
176 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:24:46.80 ID:U1akNgMr0
未来「えと、どうして風花さんがここに……」
風花「さっきまでライブ見て、未来ちゃんの足が変な方向に曲がってたから、心配になって裏に来たの」
風花「そしたら未来ちゃんが足を怪我したこと、それを押してライブに出ようとしてることを聞いてね」
未来「…… わたしは出ますよ」
風花「足、見せて?」
未来「ヤです」
風花「落ち着いて、未来ちゃん まずは今未来ちゃんの足がどうなってるのかを見るの」
風花「もしかしたらアイシングすれば何とかなるかもしれない、でしょ?」
未来「……」
風花「それじゃあ、少し触るね 痛かったら言って?」
未来「はい……」
177 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:25:36.20 ID:U1akNgMr0
風花「……うん」
美也「どうですか…… ?」
風花「10分くらい冷やしたら、1曲くらいなら踊れる、大丈夫」
未来「ほんとですか!」
風花「アイシングお願いします」
まつり「それならわたし達が歌ってその後未来ちゃんが合流で
風花「待って」
まつり「え?」
178 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:28:37.72 ID:U1akNgMr0
風花「ステージ、私が出てもいい?」
美也「風花さんが、ですか?」
風花「さっきまでちょっと喧嘩していたでしょ? 私が出ている間に仲直りして?」
風花「このライブはタウラスにとって大事なライブ、そうでしょ? だから最後の1曲は最高の形で届けてあげて」
未来「……」
風花「勝手なお願いだけど…… いい…… ?」
まつり「…… こちらこそお願いします なのです」
美也「衣装はまつりさんのが使えるでしょうか〜?」
風花「時間無さそうだし、急ぐね!」
179 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:29:49.66 ID:U1akNgMr0
風花「…… と」
まつり「?」
風花「聞いていい?」
美也「なんですか?」
風花「私、未来ちゃんに『入って』て言われて断れなくてなぁなぁでここまで来ちゃったんだけど……」
風花「私も…… みんなの仲間って…… そう言ってもいいかな…… ?」
未来「はいっ! よろしくお願いします風花さん!」
180 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:31:40.32 ID:U1akNgMr0
アンコールの声が響くライブ会場、しかし一部では『遅くない?』という声も流れ始めていた
風花(今から立つんだ…… ここに……)
風花(劇場以外で歌うのは初めてだし、バックダンサーも居ない完全なソロも初めて…… とっても緊張するけど…… これは私にしか出来ない役目だから……!)
風花「アンコールありがとうございます!」
袖から出てきた豊川風花に一瞬静まり、ざわつく会場
なにせ風花はまだ正式にデビューしていないアイドル研修生、765プロのファンでも風花のことを知っている者はそこまで居ない
風花「えっと……」
風花「『タウラス』のメンバーの豊川風花です!」
会場は更にざわつく、この場居る全ての者は『タウラスは3人組』と思っているのだから
風花「えっと、その新メンバーとかそういう訳じゃないんですよ? あ、でも初めてのステージだし新メンバーみたいなものなのかな……」
緊張からか風花の話は要領を得ず、観客のどよめきは大きくなるばかり
風花(ど、どうしよう……)
181 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:32:29.67 ID:U1akNgMr0
まつり「っ…… やっぱりまつり達が出なきゃ! 美也ちゃん準備して」
美也「は、はい〜」
未来「待って!」
未来「少し…… 話そ…… ?」
未来「風花さんの言った通りだよ、わたし達すれ違ってばかり……」
未来「ステージ上で息が合ってても、それ以外の部分はまるでバラバラだった……」
美也「……」
未来「……」
未来「えっとあの…… わたし、焦っていました ごめんなさい!」
美也「え?」
182 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:34:03.16 ID:U1akNgMr0
未来「この前の静香ちゃん達のライブを見て、もっと正確にステップを踏んで、完璧な音程で歌えたらって そう思って一生懸命レッスンしてて」
未来「そのことばっかり考えていたせいで周りが、自分も全然見えてなかった……」
美也「…… それはわたしも同じですよ」
美也「本当はこのライブ 前の対決ライブに勝つことを条件に開催する予定だったんです」
美也「だけどわたし達は勝てなくて、それでもライブは行われることになって」
美也「わたし、悔しかったです…… あのライブの時に全力を出せなかったのが……」
まつり「みんな焦っていたんだね……」
未来「うん…… 良かった! 今ここで話し合えて!」
美也「風花さんに感謝、ですね〜」
まつり「あっ! そう言えば風花ちゃんは!?」
183 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:35:22.20 ID:U1akNgMr0
風花「えっと……」
風花はステージで言葉も無く、ただ立ち尽くしていた
何も喋れないのなら曲を流して歌えばいいのだが、風花の『未来の足が落ち着くまで時間を稼ぐ』という目的上すぐ歌ってステージを去る訳にもいかず
このままではいけない、そう思っても言葉は出てこないまま
風花(ど、どうしよう…… 何を話したら……)
風花「そっか……」
風花(この人たちは未来ちゃん達のライブを見に来ている人たち、それなら未来ちゃん達のことを話せば……)
184 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:36:19.88 ID:U1akNgMr0
風花「えっと、聞いてください」
風花「皆さんは、あの3人をどういう風に見ていますか?」
風花「いつも笑っていて、楽しそうな3人って思う人も多いと思います」
風花「でも、それだけじゃないんです」
風花「美也ちゃんはおっとりしていますが、決して闘争心とか向上心とかが無いわけじゃなくて、より良くなるためにとても貪欲なんです」
風花「まつりちゃんは個性的で目立つ子だけど、自分を輝かせる方法だけじゃなくて、人を輝かせる方法も知っている子です」
風花「未来ちゃんは意外と抱え込みやすい子で、悩むこともあるから、並んで立つ人が必要なんです」
風花「えっと、上手く言えないですけど…… これからもあの3人をお願いします」
頭を下げ、横目でステージ袖を見ると『曲準備OK』の文字
風花「3人の最高のライブ 私が少しでも役に立てたら…… 聞いてください! 『オレンジの空の下』」
185 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:37:51.72 ID:U1akNgMr0
風花「ありがとうございました」
曲が終わり風花は何とか歌い終えたことに安堵し、目を閉じる あぁ2番Aメロの振りを間違えた いやそうじゃない
風花(未来ちゃん達は……)
袖に視線を向けると…… 果たしてそこにはこちらを見つめながら拍手、全身を使った大きな丸マーク、顎に指を当てたお姫様ポーズ
各々の作法で風花のステージを称賛する3人が居た
風花「それでは、改めて今日の主役を呼びますね、出て来て未来ちゃん、まつりちゃん、美也ちゃ〜ん」
未来「はーい」
まつり「はいほー」
美也「は〜い」
186 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:39:18.15 ID:U1akNgMr0
未来「皆さん少し遅れましたけど、アンコールありがとうございます!」
まつり「姫たちは準備があって、少し出られなかったのです」
美也「だからわたし達と同じ事務所の仲間の、風花さんにお手伝いしてもらいました〜」
未来「風花さんは普段はわたし達の劇場で歌ってるので、今日来た皆さんの中で風花さんを気になった人が居たら是非来てください!」
未来「…… よし」
一瞬目を閉じ一呼吸、予め用意してあったMCはトラブルのせいでもう使えない、ここから話すのは全てオリジナルの、自分の中にある心からの言葉
187 :
◆KakafR9KkQ
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:40:57.10 ID:U1akNgMr0
未来「皆さん、ペンライトって持っていますか? もし持っているなら振ってみてください」
未来「わぁ……」
未来「ここから見る景色って赤に緑に黄色、他にも色々な色があってとっても綺麗だって思います」
未来「わたし、アイドルって夜空に光る『星』みたいだなって思うんです」
未来「小さい星もあれば、大きい星もあって、それが集まって星座、ユニットになって」
未来「大きい光の側にあると小さな光は見えなくなることもあって、そのことで悩んだり……」
未来「でも、自分で自分がわからなくなる時にも遠くから見てくれている人は居て、その人たちが居るから『星』に名前が付いてみんなに見てもらえるんです」
未来「ううん…… よくわかんなくなっちゃったけど…… これが最後の曲です!」
未来「風花さんも一緒に歌いましょう!」
風花「えっ! わ、私も!?」
まつり「風花ちゃんも姫たちの仲間なのです」
美也「最後ですから〜」
風花(じ、自分の持ち歌でもあれだけ緊張したのに〜)
未来「それじゃあ聞いてください! 『Starry Melody』!」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/30(日) 22:41:46.32 ID:U1akNgMr0
まだまだ続きます。 続きはみやみやペースで…
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/08(火) 15:38:47.10 ID:xN3R6syE0
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190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/08(火) 15:46:58.86 ID:xN3R6syE0
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191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/10(日) 15:45:23.40 ID:JyCy5Mli0
保守
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/25(土) 03:14:32.76 ID:bIueju41O
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