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士郎「……俺は、偽物なんだ」
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59 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/09(火) 19:54:22.86 ID:MFReYlV7o
△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
【聖杯戦争2日目:終了】
▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
60 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/09(火) 19:54:49.03 ID:MFReYlV7o
△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
【聖杯戦争3日目:開始】
▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
61 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/09(火) 20:02:53.80 ID:MFReYlV7o
『……ご主人様。本当によろしかったのですか?』
翌日。通学路で『キャスター』が念話で聞いてきた。今日もまた一人での通学だ。
『あのワカメ、ぶっちゃけ魂がドロッドロですよ?ご主人様とは正反対です』
「……ひっどい言われようだな……」
『いつご主人様を裏切ってもおかしくないですけど。そもそも、なんでご主人様とあんなのがお友達なんです?』
「そうだな……いつからだったっけな。大分前からの付き合いだから、もう覚えてないや」
『……よくご主人様もあんなのと付き合えますね。イケ魂ここに極まれりというか』
「まあ、あいつにだっていい所はあるから。あとは慣れ、なのかな」
62 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/09(火) 20:07:30.29 ID:MFReYlV7o
『で、同盟は打ち切らないんですね?』
「もちろん。というか、そんなの今更慎二に言い出せるわけないだろ」
もしそんなことを言ったら彼のことだ、十中八九逆上するだろう。
自分に当たってくるだけならまだいいが、最悪の場合ほかの生徒たちにも迷惑がかかる。それだけは避けなければいけない。
『それはまあ、そうですけど……』
「それに、俺は『キャスター』のことを信用してるからな」
『へ?』
「もし俺が慎二や『ランサー』にやられそうになったら、『キャスター』が守ってくれる。そうだろ?」
『……はい!もちろんです!このt…『キャスター』、ご主人様のために頑張ります!』
63 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/09(火) 20:08:24.02 ID:MFReYlV7o
今回はここまでです。
昨日おとといはちょっと体調崩してました。更新できなくてごめんなさい。
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 20:36:53.35 ID:NIeWX/ESo
気持ち悪い
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 20:41:04.66 ID:QQTZsNHWo
おつ
待ってた
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 20:48:59.13 ID:6AutDSjCo
乙
結構鯖とそのクラス配分がずれてるな、残ってるのはライダーとバーサーカーか
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 22:38:50.43 ID:OCt1yIgvO
麻婆が「やっちゃえばーさーかー」って言ってるところは想像した
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/28(日) 23:00:23.33 ID:Sg/WHqDe0
昼休み。自分は慎二に呼び出されて弓道場に向かった。
まだ弓道場には彼が用意したトラップがでかでかと残っている。その存在感は、少しでも魔術の心得があれば近づいただけで存在を感知出来るレベルだろう。
「なあ、撤去しないのか?こっちに発動させる気がなくても、もし暴発でもしたら……」
「大丈夫だって。これは僕の指示がない限り絶対に開かないから。そうだろ?」
慎二が虚空にむかって声をかけると、「おうよ」と、どこからともなく『ランサー』が姿を現した。
「こいつらは俺の『発火』の合図がない限り絶対に作動しないようになってるからな。そういう術式なんだわ」
「そういうこと。だからこれは撤去する必要はないってわけ。残しておけば遠坂への圧力にもなるからね」
「それは……そう……なのか?」
本当にいいのだろうか。
目の前にあるのは、無関係な生徒が犠牲になりかねない爆弾だ。それを、仕掛け人が友達だからって、見過ごしていいのだろうか。
69 :
トリ忘れてた
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/28(日) 23:02:21.84 ID:Sg/WHqDe0
「ま、それは重要なことじゃない。今考えるべきは、どうやって遠坂を倒すかだ」
そこで、慎二は半ば強引に話題を切り替えた。これ以上の追及は難しいと考え、そちらに思考をシフトする。
「あいつのサーヴァントは危険だ。お前もこの前の戦いを見てたんだろ?」
慎二が言っているのは、校庭で侍と斬りあっていたあのことだろう。確かに、あれは人智を超えた戦いだった。
「ああ、しかもそれだけじゃない。あいつはまだ宝具を隠し持っている。それがどれだけ恐ろしいことか」
宝具。英霊たちの伝説やエピソードを象徴する、言うなれば必殺技のようなもの。
もちろん、英霊によって種類や範囲などは様々だ。だからこそ、「分からない」ことが何よりの恐怖なのだ。
「だとすると、最初は相手の戦い方や宝具を見るだけ見て、適当に撤収するのがいいかもしれないな。その後対策を練って……」
「おいおい衛宮、随分消極的じゃないか。そんな時間のかかることしなくても解決策はあるんだけど?」
「……解決策?」
70 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/28(日) 23:04:41.42 ID:Sg/WHqDe0
「一撃必殺だよ、衛宮。最初の一発で相手を即死させれば、何もさせずに戦いは終わる。簡単なことじゃないか」
「いや、そんな簡単に言われても……。確かに、それが一番理想的ではあるけどさ」
「それが出来るんだよね、僕のサーヴァントには。こいつの宝具は優れものでさ」
そう言って、慎二は『ランサー』を……正確には、彼の持つ真紅の槍を指差す。
「詳細は省くけど、この槍は真名を解放すれば『必ず心臓に当たる』宝具なんだ」
「……はい?」
「それでいて燃費もよくて、僕みたいなマスターでもしばらくは魔力を補充しなくて済むらしい」
「……それなんてチート?」
「もちろん弱点はあるさ。僕が思いつく限りでも、射程は槍の長さしかないから短いし、複数戦には弱い」
ただ、一対一の白兵戦ならまず最強の武器であろう。敵に回っていたらどれだけ恐ろしいことか。
「あと、相手の運が良いと直撃を免れることもあったりな。ま、それでも俺の切り札であることに代わりはねえ」
と、『キャスター』と雑談していたらしい『ランサー』本人が付け加える。そっけない言い方ではあったが、その表情には自信と誇りが垣間見えた。
71 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/28(日) 23:06:32.43 ID:Sg/WHqDe0
「えーっと、つまりはこういうことか?」
まず、今日の放課後に自分が遠坂凛を呼び出す。
『決闘を申し込む。今日の真夜中、弓道場で待つ』
ただし、自分は実際には弓道場には行かず、遠くから監視するだけ。
弓道場に遠坂凛がやってくる。今まで存在に気付かなかった巨大な魔法陣を見て唖然とする。
その隙に彼女のサーヴァントに対して隠れていた『ランサー』が奇襲にかかる。
宝具が当たればその時点で勝ちだし、外れても相手の宝具を確認するまで粘ってから撤退すれば痛み分けだ。
「まあいいさ。戦略なんてのはマスターである坊主たちに任せるわ」
「ご主人様の選んだ方法ならピンポン大正解に決まってますから。私は一向に構いませんよ?」
サーヴァントたちの許可も得た。だが……
「本当にこんなのでいいのか?俺と『キャスター』、ほぼ仕事してないんだけど」
「いいんだよ。下手に足を引っ張られても困るし、同盟を組んでることを悟られるほうがマズいじゃないか」
確かに一理ある。それにこの作戦、上手くいけば自分のサーヴァントが『ランサー』だと誤認させることが出来るのだ。
慎二がマスターということを遠坂凛に把握されていない(これは慎二の自称だが)現状、これが一番賢い戦法ということか。
72 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/05/28(日) 23:08:00.32 ID:Sg/WHqDe0
今回はここまでです。
投下サボりまくっててすみませんでした。たぶん今後も不定期更新になりますが、気長に待ってくだされば幸いです。
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/28(日) 23:26:08.06 ID:F38V/ZwkO
おつー
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 00:50:52.20 ID:jj3pnICmo
おつなの
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 22:48:57.85 ID:KzebVcONo
staynight のSS完結してるの少ないからなんとか最後まで行ってほしい期待してる
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/05(月) 19:37:46.82 ID:8oLH/LxYo
面白いなこれ
77 :
◆026JPAkZvkOC
[sage]:2017/06/21(水) 04:59:23.58 ID:s3Au7Dp50
ほしゅ
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 11:17:56.31 ID:S/Q8hqufo
保守してないで早く書いてどうぞ
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 12:18:52.54 ID:WrneLKxEO
スレ落ちたら元も子もないんだよなぁ…
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/21(水) 17:41:00.14 ID:ZTNMk5EqO
スレ落ちても続ける気があるなら普通立て直すんだよなぁ
結局、スレが落ちたら書くのやめちゃう程度のやる気しかないって自分で言ってるようなもんなんだけど
81 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/06/24(土) 22:18:17.58 ID:gLYssYjn0
深夜零時。
自分と『キャスター』は、弓道場から少し離れた場所にスタンバイしていた。勿論、弓道場の様子は使い魔で把握できるようになっている。
「そういえば『キャスター』、『ランサー』と何を話してたんだ?」
『んー、基本的には向こうが勝手に愚痴ってる感じでしたよ?「ランサーで現界したのにルーンとかやってられっかよ」みたいな』
「……ルーン?」
ルーン魔術。古代文字を媒介とすることによって効果を発揮する、魔術系統の一種……だった気がする。
必中必殺の槍の名手でありながら、ルーン魔術も使いこなす英霊。これだけヒントがあれば、『ランサー』の真名は比較的容易に特定出来るだろう。
……と、ここで自分は『キャスター』から真名を聞いていないことを思いだす。彼女ならいつ聞いても教えてくれそうだが……
まあ、別に今聞くことでもないだろう。というか正直、狐耳という時点で三択くらいに絞れてるし。
82 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/06/24(土) 22:18:51.77 ID:gLYssYjn0
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「おらぁっ!喰らいな!」
「くっ……!」
嵌められた。
突如目の前に現れた『ランサー』を見て浮かんだ、遠坂凛の率直な感想はそれだった。
どうやら衛宮くんから受け取った果たし状は罠だったようだ。その可能性も少しは考えていたが、彼の人柄から切り捨ててしまっていたのだ。これが心の贅肉というやつか。
そもそも、何故私はこれほど大きな魔法陣の存在に気付かなかったのか。もし昨日の自分に会えたら、思い切りぶん殴りたいくらいだ。
総じて、自分の甘さが今の状況を生み出してしまったことは間違いない。だが、反省するのはあとでいい。今は、この危機をどう打破するかを考えなくては。
83 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/06/24(土) 22:19:35.81 ID:gLYssYjn0
目の前では青装束のサーヴァント……『ランサー』が自分の『セイバー』と戦っている。
『セイバー』は、『ランサー』の不意をついた最初の一撃をもろに喰らってしまっている。幸い急所は逃れたようだが、このまま戦いを続ければ間違いなく不利だ。
自分の後方には巨大な魔法陣……おそらくは地雷のようなトラップとみていいだろう。迂闊に刺激を与えるのは避けた方がいい。
そして、なにより問題なのは、出入り口がサーヴァントたちを挟んで反対側にあることだ。このせいで、自分だけ戦線を離脱して安全な場所に避難する、ということすら難しい。魔法陣に気を取られて、『ランサー』に背後を取られてしまったのがミスだった。
他の陣営の乱入は望み薄。早く決断しなければ、『セイバー』が消耗しきってしまう。
84 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/06/24(土) 22:20:35.48 ID:gLYssYjn0
「ーー『セイバー』、宝具の使用を許可するわ。何がなんでも1分は耐えて!」
「分かりました、マスター!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『ご主人様、どうやら『セイバー』が宝具を使うみたいですよ』
「そうみたいだな……というか、かなり思惑通りに進んでるみたいでびっくりだ」
正直、この作戦が上手くいくかは分からなかった。なにせ、相手はあの遠坂凛なのだ。
どこかで作戦の穴を突かれるのではないかと思っていたのだが……今の所、いい具合に慎二が立てた術中に嵌ってくれている。
問題は相手の宝具だ。使用されることで相手の真名も自ずと見えてくるが、その威力がどれほどのものなのか……
85 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/06/24(土) 22:21:23.98 ID:gLYssYjn0
「どうした?来ないんならこっちから……行くぜ!」
『ランサー』が紅の槍を手に、『セイバー』へと特攻する。
「『セイバー』!」「はい!」
マスター、遠坂凛の合図を受け、『セイバー』が構えをとる。
「その心臓、貰い受けるーー!」
『ランサー』の槍が禍々しい光を放つーー
「我が旗よ、我が同胞を守りたまえーー!」
『セイバー』の持つ旗が神々しく輝くーー
「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』!」
「『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」
86 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/06/24(土) 22:24:19.06 ID:gLYssYjn0
今回の更新は以上です。かなり遅れちゃって申し訳ない。
保守は単に、スレを落としたくないってだけです。夏が終わるまでには頑張って完結させるつもりですので、出来れば最後までお付き合いください。
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 01:38:16.78 ID:QwDlxB8Qo
おつかーレ
一ヶ月ルールもこの前は処理されたっぽいし注意
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/29(木) 22:06:06.06 ID:QKx62PbMo
乙
先が気になるスレだが気長に待たせて貰うよ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/01(土) 02:41:26.51 ID:jX6xyd4lo
>>80
少なくとも落とすより落とさない方がいいだろうが
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/01(土) 09:50:37.77 ID:+/uICw6mo
>>89
>>1
がそれやるならまだしも、読者がやるのはただの我儘
10日も昔の話題に噛み付くような初心者には判らないだろうけどそういうもんなんだよ
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/06(木) 17:19:42.14 ID:lxEmwByoO
士郎がセイバー以外を召喚 凛がアーチャー以外を召喚できた理由とかは掘り下げる感じ?
それともこまけぇこたぁいいんだよ!で読んでった方がいい?
92 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 00:51:08.02 ID:kNMeLFuR0
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
結論から言おう。
『セイバー』の宝具は結界宝具……言うなれば防御技だった。『ランサー』の宝具でもそれを貫通することは出来なかった。
そして、宝具同士がぶつかり合っている隙に遠坂凛はその場から離脱。令呪を用いて『セイバー』を戦線から即座に引かせたようだ。
さらに、『セイバー』が宝具を使ったことによって彼女の真名も判明した。
「聖女ジャンヌ・ダルク……オルレアン救国の英雄ですか。確かに、彼女が最優クラスなのは文句なしですね」
ジャンヌ・ダルク。歴史に詳しくなくとも、誰もが名前くらいは知っているだろう。
又の名をオルレアンの乙女。神の声が聞こえる(らしい)。百年戦争におけるフランスの快進撃の立役者。そして、フランスに裏切られ火刑に処された悲劇の聖処女。
……とりあえず彼女について分かることをざっと並べてはみたものの、これは攻略の糸口になるのだろうか?
93 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 00:56:20.74 ID:kNMeLFuR0
そして、慎二のサーヴァント……『ランサー』の真名も同じく判明した。
クー・フーリン。ケルト神話に登場する代表的な英雄。クランの猛犬。必中必殺の槍、ゲイ・ボルグの使い手。
「神代の英雄か……ハイスペックなのも納得だ」
「言っただろう?僕のサーヴァントは優れものだって」
今、自分たちは学校から離れ、慎二の家で再び作戦会議をしている。ここの方が聖杯戦争に関連した資料が多いからだ。少なくとも、そういったものがほぼ何もない自分の家よりははるかにマシだ。
間桐の家は代々御三家として、この冬木の地で行われてきた聖杯戦争に関わってきたそうだ。
しかし慎二が言うには、間桐の家は代を重ねるにつれて血が衰えているらしい。慎二にはほとんど魔術回路が備わっておらず、サーヴァントを召喚でき、それが燃費のいい『ランサー』だったのは運が良かったのだろう。
94 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 00:59:45.92 ID:kNMeLFuR0
「『ランサー』は、『セイバー』と戦ってみてどうだったんだ?」
「あの宝具が面倒だな。今回みたいに、あれで時間を稼がれてる間に逃げられちまうと埒があかねえ。逆に、向こうの宝具が使えなくなったらこっちのもんだな」
原則として、宝具はサーヴァント一騎につき一つ。『セイバー』の宝具が防御特化で攻撃力に欠けるのならば、宝具さえ破壊してしまえば攻撃特化の『ランサー』に分がある、ということか。
「ま、そういうこった。一対一、正面からのぶつかり合いなら分けこそあっても負けることはない」
『ランサー』は得意げに笑う。それだけ、このクー・フーリンという英霊には戦ってきた場数や経験、そして自信があるのだろう。
「そうか。……なら、『セイバー』はしばらく放置しておいていいんじゃないか?」
95 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 01:02:17.10 ID:kNMeLFuR0
「はぁ?何言ってんだよ衛宮。せっかく遠坂を叩きのめすチャンスなのに」
「慎二、よく考えてみろ。もし『セイバー』じゃないと倒せないサーヴァントが敵にいたら、『セイバー』が消えた瞬間に俺たちの負けが確定する。遠坂もろとも共倒れだ」
「『セイバー』……ジャンヌダルクがいないと倒せないサーヴァント?そんなのいるのか?」
「勿論、いる保証はない。ただ、いない証拠もどこにもないだろ?俺たちが動き出すにしても、持っている情報が少なすぎるんだ」
今、自分たちが分かっているサーヴァントは4騎。
自分の『キャスター』。慎二の『ランサー』ーークーフーリン。遠坂凛の『セイバー』ーージャンヌ・ダルク。そして、マスター不明の(多分)『アサシン』。
残りのサーヴァント……アーチャー、バーサーカー、ライダーについては全く分かっていないのだ。
96 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 01:03:21.86 ID:kNMeLFuR0
「だから、しばらくは情報収集に専念した方がいいと思う。行動に出るのは、少なくとも全サーヴァントの姿とステータスだけでも確認してからだ」
「……はっ。衛宮はずいぶん慎重だね。こういう時こそ押せ押せじゃないのか?」
「……これは戦争なんだ。慎重にだってなるさ」
「まあいいさ。確かに、衛宮の言うことにも一理ある。しばらくは様子見に徹するとするか」
「それで頼む。それじゃあ、俺はもう帰るよ。今日はありがとうな」
間桐家を後にして、家路へ向かう。
随分と長かったように感じる1日が、ようやく終わりを迎えようとしていた。
97 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 01:03:52.58 ID:kNMeLFuR0
△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
【聖杯戦争3日目:終了】
▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
98 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/15(土) 01:07:34.74 ID:kNMeLFuR0
今日の更新は以上です。
3日目長すぎ問題。というか更新サボりすぎですね。ごめんなさい。
次の更新まで、なんか考察とかしてみてください。残りのサーヴァントとかマスターとか。どこかに今後の伏線張ってないかなーとか(張ってるとは言っていない)
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 01:22:46.64 ID:6H5yJJkmo
おつです
無理せず体調に気をつけて、早く書いてください(無茶振り)
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 01:33:47.14 ID:2VXPco+IO
>>91
の件はどうなん?
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 12:20:37.01 ID:fOCCy2moo
>>100
ssでそれ尊重しちゃうとほのぼのかクロスしか書けなくなるぞ
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 12:39:52.10 ID:Q4v6S2mxO
>>101
いやちゃんと理由があったりするssもあるにはあるから
どっちなのかと思って
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 12:49:34.57 ID:8Ynemu05O
アインツベルンが有能だった世界線があるんだから凛がうっかりせずセイバー呼べた世界だってあるだろ(超適当)
アサシンはSNと違ってしっかり魔翌力供給できるマスターと契約してるっぽいか
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 12:57:05.40 ID:AzWDZXgZO
士郎を触媒にして凛がセイバー呼ぶssとかあったよな
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 15:09:07.42 ID:9Ofq/2HlO
>>102
使用してた宝具や長い間連れ添った人間とその人物が所持していたペンダント以上の触媒なんて、仮に探しだしたとしてもそいつら以外が召喚されるなんて万に1つ程度の確率でしかない
結局はどれだけ御託並べてもそういう世界線としか言えないんだからすっぱり切り捨ててもいいだろ
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 16:02:30.44 ID:OHZxQ4tBO
>>105
別に文句言いたいわけじゃなくて
考察に組み込んでいいのかなっていう
>>1
への疑問なんだ
なんかすまん
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 17:40:53.46 ID:Mbg4PQEDO
ワカメが嫌味ったらしい無能じゃないだと……
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 17:46:33.42 ID:9Ofq/2HlO
>>106
それこそ今後語られるかもしれないことで、完結した時に語られてなかった時に質問することだわ
質問する意味がない
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 18:08:01.13 ID:OHZxQ4tBO
>>108
何をそんなに否定したがるのか分からんけど
そもそもその語られるかもって辺りの話だろうに
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 19:10:51.52 ID:9Ofq/2HlO
>>109
否定してるんじゃなくてお前がキモイんだよ
仮に
>>1
が「そうだよ」って言って、お前以外の誰が得するんだ
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 19:28:25.02 ID:dAIR0121o
もー型月厨はすぐレスポンチバトルする
他人のスレでマウントとってどうすんのよマウンテンゴリラか?
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 20:38:42.99 ID:OHZxQ4tBO
>>110
別に誰かが損するわけではないだろ
わざわざレスつけないでスルーすればええやん
何をそんなにキレてるんだ
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 20:58:36.73 ID:fOCCy2moo
>>112
最初に
>>1
にスルーされて何でスルーされたかも理解できずに聞き返しちゃったお前にスルーしろって言われるとか草はえる
ネタバレになるかも知れないからスルーしたって考える頭が無いんだろうな
ネタバレになるんで言えませんってレスを返すこと自体が既にネタバレになるなんて想像もつかないんだろうな
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 21:07:43.35 ID:lVoIldzgo
はいはいいつもの流れいつもの流れ
お前らスレぶっ潰して楽しそうだな
自分が荒らしじゃないって反論あるなら
>>1
が来るまで書き込まないという行動で示せ
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 01:58:07.25 ID:AalSII/hO
>>113
スルーはお前に言ってんだよ
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/07/16(日) 07:38:15.48 ID:xlrgrhYPO
>>115
病気だな、お前
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 10:54:06.07 ID:Td20OLGGo
乙なの
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/17(月) 17:12:19.86 ID:M+zIEMifo
乙乙楽しみにしてる
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/17(月) 22:25:26.58 ID:QsLmcZCHo
考察してって
>>1
自身が言ってるんだよなぁ
そりゃそこに突っ込み入るのは当然な訳でどうみても病気なのはお前なんだよなぁ(呆れ)
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/17(月) 22:31:51.65 ID:QK+XjC+qO
そうか、考察って直接答えを聞くことだったのか
俺の国の言葉じゃないと思うけどどこの国の言葉?
121 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/31(月) 23:08:38.31 ID:QHGpUkZY0
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「ウオ■ォ……■■オォ……」
月に向かい、その者は吠える。辺りに飛び散った真紅の液体には目も向けず、ただ拳を振るう。
「クス……クスクス……」
地に目を向け、その者は笑う。喜びと哀しみを一緒くたにしたようなその仮面の下で、ただただ"何か"を見つめる。
その両者は狂気に包まれながら、まるで何かを探しているようで。
失ってしまったものを、■■■いた何かを追い求めているようで。
夜が明け、朝日が昇る。
狂気に満ちた二人は姿を消し、血だらけの"何か"だけが後に残されていた。
ー
ーー
ーーー
ーーーー
ーーーーー
122 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/07/31(月) 23:10:45.19 ID:QHGpUkZY0
生存報告を兼ねて1レスの幕間だけ投下しました。短くて申し訳ないです。
次の更新はもうちょい早めに出来ると思います。
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/01(火) 00:35:58.60 ID:1ojpoum9o
へいおー
124 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:03:46.44 ID:em8Lgwja0
△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
【聖杯戦争4日目:開始】
▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
125 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:04:26.87 ID:em8Lgwja0
「ーーということで、今日から部活動はしばらく禁止だから、学校が終わったらすぐ帰宅するように!HR終わり!」
藤ねえ……藤村先生による朝のホームルームが終わり、一限が始まるチャイムが鳴る。
部活動禁止令が出た理由は、先日から起きている通り魔事件だ。恐らく、この事件も聖杯戦争によるものだろう。
サーヴァントは人の魂を喰らうことで魔力を蓄え、パワーアップすることが出来る。俗に言う魂喰いだ。
もしこの通り魔事件が魂喰いによるものだとすれば、時間が経てば取り返しのつかないことになる。早急に手をつけないといけない。
そもそも、無関係な人々が犠牲になっている時点で放っておくわけにはいかないのだ。一刻も早く、この事件を止めなければいけない。
一人でも多くの人を守る。それが、今の自分のやるべきことなのだから。
126 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:05:07.48 ID:em8Lgwja0
『流石です、ご主人様!……でも、何故なんですか?』
(何故って……?)
突然、『キャスター』が話しかけてきた。授業中なので念話で答える。
……というかこのサーヴァント、また頭の中を勝手に読んだらしい。正直なところ、出来れば自重してほしいのだが。
『……率直に申し上げます。ご主人様は気負いすぎです!もっと気楽に、自分の幸せのことも考えていいんです!』
(自分の幸せ……か。……でもさ、それは『キャスター』だってそうじゃない?)
『それは、まあ、私はサーヴァントでございますし?それに、ご主人様と一緒にいれれば私は……』
(じゃあ、こっちだって同じだ。俺は、誰かの役にたてれば、誰かを助けることが出来ればそれで十分だ)
『むぅ……本当ですか?』
(あぁ、もちろん。じゃないと、こんな酔狂な真似は出来ないさ)
127 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:07:19.77 ID:em8Lgwja0
放課後、商店街で買い物をするついでに探索をすることにした。通り魔事件がサーヴァントやマスターによるものなら、何かしらの痕跡が残っていると踏んでのことだ。
ただ、今回は慎二とは別行動をとっている。常に一緒に行動していては他のマスターに怪しまれるだろうという独断によるものだ。
それ以前に、彼がわざわざこういう自分の身勝手な行動に付き合ってくれると思っていなかったというのもあるが。
商店街のメインストリートは普段通りに営業していたが、心なしか客が少なく活気がないように思われた。
そして、事件現場と思しき細長い路地裏の入り口にはキープアウトテープが張られていた。警察の姿は見えないが、すでにはけてしまったのだろうか。
時間が経っているので血の匂いなどは全くしなかったが、不穏な雰囲気は消えることなく残っていた。
……否。それは、雰囲気なんて漠然としたものではない。
128 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:08:25.58 ID:em8Lgwja0
『魔力、ですね。しかも、時間が経ってもご主人様が体感出来るほどのものとなると……』
「……あぁ。間違いなく、サーヴァント絡みのものだろうな」
戦闘行為等において放出された魔力はすぐに消えるわけではない。しばらくの間はそこに残存魔力として僅かに留まり続けるのだ。
もっとも、普通なら長い間残り続けるほどのものではない。よほどのことがない限り、精々1〜2時間程度で消えるはずだ。
それが今も残り続けているとなると、人の尺度では測れないほど桁外れの魔力を持つ者……サーヴァントによるものだと考えるのが自然だろう。
しかし……いくらサーヴァントとはいえ、単なる魂喰いで、これほど長時間残るものなのだろうか?
129 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:09:14.63 ID:em8Lgwja0
昨晩サーヴァント同士の戦闘行為が行われた弓道場の魔力痕は、朝の時点でほぼ完全に消えていた。一方、同じく昨晩発生したらしいこちらの事件跡ではまだ魔力が感じられる。
この差はどういうことだろう。普通に考えれば逆なはずなのに、何が起きているのか。
事件痕でサーヴァント同士の戦いがあって、被害者はそれに巻き込まれた?それなら魔力痕が残っているのは納得出来る。
納得出来るが……あんなに狭い路地裏で戦いが起きるとは思えない。闇討ちのようなものならまだ分かるが、小規模な戦闘だけで弓道場以上に魔力が残るはずがない。
じゃあ、逆に弓道場の方が自然でないとしたら?例えば、戦闘後に何者かが弓道場の魔力痕を消したとしたら……
……いや、いくら桁外れなサーヴァントの魔力量とはいえ、半日以上経っても魔力が感じられるのは不自然だ。
やはり、路地裏の方が異常だ。だが、何が異常だったのかがまるで分からない。与えられている情報が余りに少なすぎる。
ーー事件当時、あの路地裏で何が起きていた?
130 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/05(土) 22:10:17.54 ID:em8Lgwja0
今回の更新は以上です。謎をぶん投げて終わるスタイル。
夏に入ったので、頑張って更新頻度を上げていきたい。
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/06(日) 12:33:14.93 ID:csSuSIyao
乙カレー
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/06(日) 20:35:18.12 ID:nwnkLEBoo
乙乙
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/07(月) 14:16:05.67 ID:mFhYeQkzo
おつおつ
134 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/12(土) 21:03:15.22 ID:2DXfZ1Rh0
『ーーご主人様、あまり考えこむのもよくありませんよ。少し風に当たってみては?』
「……あぁ、そうだな」
気づいたら、もう日が落ちかけている。帰る前にと、公園の自動販売機で缶コーヒーを買う。冷え切ったベンチや喉を通るコーヒーの熱さが、今の季節を感じさせた。
「ーーもうすっかり冬だなぁ……」
頬に冷たい風を感じながら、ぼんやりと空を見上げる。思えば、ここ最近はあまりに激動すぎてろくに休めていなかった気がする。
この瞬間だけは、聖杯戦争のことも考えず、頭の中を空っぽにしてリフレッシュしよう。そんな風に思っていた。
だからこそ、気づくのが遅れてしまったのだろう。
周りに、人の気配がほとんどないことに。
135 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/12(土) 21:04:17.06 ID:2DXfZ1Rh0
「っご主人様!敵です!」
『キャスター』が突如実体化し、自分の前で臨戦態勢をとる。自分も慌ててベンチから立ち上がった。
周りには人影が一切ない。どうやら人避けの魔術か何かを使われたらしい。
そして、目の前には自分でも分かるほどの魔力を持ったーー幼い少女がいた。
「こんばんは、お兄ちゃん。こうして会うのは初めてね」
彼女の側にはサーヴァントの姿は見えない。それでも余裕綽々とした態度を崩さないのは、余程の自信があるのか。
「初めまして、シロウ。私はイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」
そう言い、幼い少女はお辞儀をする。その立ち振る舞い、その所作の一つ一つから、彼女の育ちの良さが感じられた。
「アインツベルン……?ーーというか、どうして名前を!?」
「別にどうだっていいよね。どうせここで死んじゃうんだから!来なさい!『ライダー』!」
イリヤスフィールが高らかに声をあげ、己のサーヴァントーーライダーを呼ぶ。自分も『キャスター』も同じように身構える。
136 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/12(土) 21:05:02.24 ID:2DXfZ1Rh0
ーーが。
中々ライダーが姿を現さない。
イリヤスフィールも決めポーズをしたまま動かない。周りに人気がないのも相まって、まるで時間が止まったかのような錯覚を覚えてしまう。
気まずい沈黙の後、公園の入り口に人影が見えた。
「あ、いたいた。こんな所にいたんだ、マスター」
「遅ーい!私が呼んだらすぐ来なさいって言ったでしょ!」
「いやぁ、本屋さんでイリアスを探してたら遅くなっちゃって」
その姿は……子供だった。イリヤスフィールよりは大きいが、
だが、放たれるオーラはそのシルエットからは似ても似つかぬほど強烈なものだった。覇気……とはまた違う。言うなれば……王気。
そのサーヴァントは少年ながらにして、並々ならぬカリスマを発揮していた。
137 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/12(土) 21:07:03.38 ID:2DXfZ1Rh0
しばらくの間イリヤスフィールの説教が続いたが、やがて『ライダー』がこちらに目を向けた。
「それで、そこに見えるのが相手なのかな?マスター」
「そうよ。やっちゃいなさい『ライダー』!」
『ライダー』が改めてこちらに向き合う。こちらも身構え、臨戦態勢に入る。
「初めまして、『キャスター』のマスターさん……でいいのかな?僕はアレキサンダー。アレクサンドロス3世、でもいいよ。他の名前でもね」
「……アレキサンダー大王?この子供がですか?」
『キャスター』が眉をひそめる。それも当然だ。アレキサンダー、アレクサンドロス、イスカンダル等、数々の異名を持つ『征服王』が、こんな少年だとは到底思えないからだ。
「どういう因果か、この姿で召喚されちゃってさ。大人になったら僕のことも覚えてはいるけど、ちょっと記憶が曖昧でね」
138 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/12(土) 21:07:42.31 ID:2DXfZ1Rh0
「……『ライダー』?」
「おおっと、少ししゃべりすぎた?分かってるよ、マスター」
そう言って『ライダー』……アレキサンダーは腰につけた剣に手をかける。それと同時に、彼の魔力が上昇するのを感じる。
「さあ、出でよブケラファス!蹂躙を始めよう!」
彼が虚空をその剣で切ると、その切っ先から黒く美しい馬が出現した。そして、彼はそれに飛び乗ると、一気にこちらに向かって突進してきた。
「突撃ーー!」
「来ます、ご主人様!」
『キャスター』は咄嗟に詠唱を行い、防壁を作った。どうにか防いでくれている間に、サーヴァント同士の戦いの余波に巻き込まれないように少しだけ移動する。
ここから先に生身の人間が干渉できる余地はない。サーヴァント同士の、英霊たちの戦いだ。
139 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/12(土) 21:10:13.84 ID:2DXfZ1Rh0
本日の更新は以上です。
次回、キャスターvsライダー(書き溜め/zero)
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/12(土) 22:29:10.03 ID:p3noUM3pO
乙
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/12(土) 23:44:16.10 ID:ueQHLN5Lo
おつ
142 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:17:05.63 ID:wvKm0gXu0
「とぉっ!はいやっ!」
『キャスター』が符から色とりどりの魔弾を放つ。その弾幕はあまりに美しく、まるで芸術品のようだ。
「甘いよっ!……ほっ!」
しかし『ライダー』は華麗な馬さばきでそれらを避けきる。時に素早く、時に止まりながら見事に全ての弾を回避した。
「……そろそろ当たってくれてもいいんじゃないですか〜?タ……私、そろそろ本気で怒りますよ?」
「当てられるものなら当ててみなよ。僕とブケファラスの動きを捉えられるなら、ね」
心の苛立ちを隠せない『キャスター』とは異なり 、余裕綽々といった表情をしている。しかし内心、『ライダー』ももどかしさを感じていた。
ブケファラスの脚力をもってしても回避が精一杯で、一向に自分の間合いに入ることが出来ない。ダメージ覚悟で突っ込むのも手ではあるが、自分の心許ない対魔力スキルを考えるとリスクとリターンが噛み合わない。
『キャスター』と『ライダー』、どちらのサーヴァントも己の勝機を見出せずにいた。
143 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:18:09.61 ID:wvKm0gXu0
「なあ、イリヤスフィール!答えてくれ!」
サーヴァント同士が激しい戦闘を繰り広げる一方で、キャスターのマスターはライダーのマスターに対して舌戦を仕掛けていた。
真っ向からの魔術での勝負で、あの化け物じみた魔力を持つ少女に勝てるとは思えない。
ならば、自分に残された武器は「口」しかない。
「俺はお前のことを知らないし、お前に恨まれた覚えも全くない。だから教えてくれ!何で俺を狙うんだ!」
その問いに、イリヤスフィールは笑いながら答える。その笑い声は無邪気でありながら邪悪なものに聞こえた。
「そんなの当たり前じゃない。シロウがキリツグを奪ったんだから、その責任を取ってもらうためよ」
「……?……ごめん、話が全く飲み込めないんだけど。キリツグを奪った……?」
自分の記憶の中に、キリツグという名前の人物は一人しかいない。
衛宮切嗣。10年前に火災の中から士郎を拾った命の恩人。満月の綺麗な夜に息を引き取った士郎の育ての親。
それとイリヤスフィールが……どういうことだ?
144 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:18:51.55 ID:wvKm0gXu0
「……いいわ、教えてあげる。メイドのミヤゲってやつ?」
まるで事態を飲み込めていない自分の様子を見てか、呆れたようにイリヤスフィールは言う。
「私のお父様はキリツグ。そしてキリツグは10年前に、聖杯戦争に参加したの。アインツベルン代表としてね」
「なっ……!?」
「でも、キリツグは帰って来なかったの。『絶対に迎えに来る』って約束したのに……分かるわよね?貴方がキリツグを奪ったんだもの!」
堰を切ったように彼女の言葉は続く。
「私は許さない。アインツベルンを裏切って、お母様を裏切って、約束も裏切ったキリツグのことを許さない。そして、私からキリツグを奪ったシロウのことも許さない!」
彼女が怒りを募らせ言葉を発するごとに、彼女の魔力が高まるのを感じる。もし彼女が怒りに任せ、ありったけの魔力で自分に攻撃をしてきたとしたら……
145 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:19:27.89 ID:wvKm0gXu0
ーー今は穏便に事を進めなければいけない。何はともあれ、彼女の怒りを抑えなければ……
「……辛かったんだな」
「な……何よ!知った風な口をきいて!」
「あぁ。俺にお前の気持ちは分からないさ。でも、家族と突然離れ離れになるのがどれだけ辛いかは知ってる」
衛宮士郎は、生みの親とも育ての親とも死に別れてしまった。ある日突然、親と離れなくてはいけなくなってしまったのは自分だってそうだ。それらの苦しみや辛さだって、彼女のそれと通じる所はあるはずだ。
「……それに、切嗣はお前のことを見捨てたわけじゃないはずだ」
「何言ってるの?キリツグは私を、私たちを捨てたのよ。私、ずっと待ってたのに!」
「言ってたんだ。切嗣が死ぬ前にーー」
「ーー『あの子にもう一度会いたかった』ってさ」
146 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:19:56.78 ID:wvKm0gXu0
「……え?」
嘘だ。今、自分は彼女に嘘をついた。
「その時は分からなかったけどさ、今気づいたんだ。切嗣の言ってた『あの子』って、お前のことなんじゃないかってさ」
違う。自分はそんな言葉は聞いてないし、そんな話をされたこともない。
「……本当なの?」
「あぁ、本当だ。切嗣が死ぬ前に、そう呟いてた」
これだって偽りだ。この場を取り繕うためのでまかせにすぎない。
「……嘘だったら承知しないわよ?」
「嘘じゃない。紛れもなく本当のことだ」
おずおずと自分の顔を覗き込んでくる彼女の瞳を正面から見据える。全てが嘘なんてことはおくびにも出さずに。
あぁーーいつから自分は、こうも簡単に嘘をつける人間になったんだろう。
147 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:21:05.56 ID:wvKm0gXu0
しばらく自分の顔を見続けていたイリヤスフィールは、やがてライダーに向かって叫んだ。
「……っライダー!帰るわよ!」
「ふーん……いいのかい?」
「もういい!つまんない!」
イリヤスフィールはそう吐き捨てるように言うと、急ぎ足で公園から去っていった。その後を『ライダー』が追う。
その後ろ姿を、自分と『キャスター』は黙って見つめていた。
「……キャスター、大丈夫か?怪我とかーー」
彼女らの姿が見えなくなったのを確認して、自分は『キャスター』に向かって言った。
「問題ありません。魔力は少しばかり消耗しましたが、明日には回復しているかと」
「そうか。ならよかった」
「魔力もちゃんと節約してますの。私、家計に優しい良妻狐ですから♪」
『キャスター』の言葉を適当に聞き流しながら、『ライダー』陣営の突破法を考える。
イリヤスフィール。彼女の貯蔵魔力量はケタ違いだ。自分と慎二が持つ全魔力を合わせても彼女の半分にも及ばないだろう。
となると、持久戦は不利。ならば、速攻で倒すしか勝ち目はない。
幸い、先ほどの戦いを見る限り『ライダー』自身の戦闘力は高いとはいえない。慎二と協力するなり、こちらの宝具を展開するなりすれば勝てない相手ではないはずだ。
148 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:22:02.47 ID:wvKm0gXu0
ーー帰り道。
『……はっ!しまった!魔力を節約せずに使っていれば、魔力供給と称してご主人様とにゃんにゃんできたのに……!一生の不覚!』
「念話で全部聞こえてるぞ」
いくら魔力消費を抑えているとはいえ、もし遭遇戦になったら『キャスター』も辛いだろう。ということで、自分は家までの道を急ぎ足で歩いていた。
その時、ふとイリヤスフィールの言葉が脳裏に浮かぶ。
『私は許さない。アインツベルンを裏切って、お母様を裏切って、約束も裏切ったキリツグのことを許せない。そして、私からキリツグを奪ったシロウのことも許さない!』
彼女の思う切嗣は、自分の考えていた切嗣像とはいくらか異なるようだ。その食い違いが何故発生したのか、まるで分からない。
本人に聞ければ手っ取り早いのだが、彼は既にこの世にはいない。聖杯に願えば可能かもしれないが、自分には心に決めた願いがある。そもそもの話、聖杯戦争が終結してから切嗣を生き返らせたところでたぶん遅い。
衛宮切嗣。彼は一体、何者なのかーー
『ご主人様!もう家過ぎちゃってますよ!』
「……あっ」
149 :
◆026JPAkZvkOC
[saga]:2017/08/31(木) 23:24:03.08 ID:wvKm0gXu0
今日の更新は以上です。
もう八月が終わるってマジすか(マジすか)
色々理由はあったんですが、ずっとSSを書き溜める時間が取れませんでした。遅れちゃって本当すみません。
今後も亀進行になるとは思いますが、どうかよろしくお願いします。
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 23:39:25.14 ID:+DFR52JWO
おつー
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/01(金) 10:26:28.05 ID:Fvshg4W9O
おつおつ
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/01(金) 19:28:59.74 ID:0hiKy7sSo
おつ
そして9月がはじまる
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/01(金) 22:11:24.45 ID:SHZz9Qczo
第5次(というか冬木の)聖杯戦争のルールだと、アサシンのクラスは「ハサン・ザッハーハ」以外呼べないんじゃなかったっけ?
Fate/SN本編でアサ二郎が召喚されたのは「マスターがイレギュラー(同じサーバント)だった」からだったはずだけど。
さらに「龍堂寺を触媒にしたから、山門から離れられない」って制約のおまけつき。
ひょっとしてアサ二郎、学校まで山門と石段を担いできたんだろうか……?
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/01(金) 23:29:39.90 ID:4/tOze7gO
山門については依り代が山門だったからでハサン云々は関係ない
まあアンリマユの影響で反英雄が召喚されてるとかあるしハサン以外きてもそんな驚かない
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/01(金) 23:41:47.56 ID:q9xITItuo
ハサンが呼ばれるのはアサシンってクラス名自体が語源であるハサンの触媒になってるからだったような
別に触媒を使えば普通に呼べるんでないの、もうひとつ何か召喚対象に関して制限があったような気がするがまぁどちらにせよそんなに問題はないな
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/02(土) 00:49:17.17 ID:TqiVMR0Io
聖杯に関しての知識のある者しか呼べない、ってのがある
暗殺者として挙げられる程の名を持ち、かつエルサレムに属したアサシン教団の頭目であり聖杯に関する知識を正確に有しているって理由でハサンくらいしかまともに殺として呼べないとかなんとか
>>153
小次郎が山門担いで動き回るのは公式ネタだぞ
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/02(土) 01:23:11.28 ID:p9UWtIESO
ここは一つ、こまけぇことはいいんだよの精神で
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/02(土) 06:59:01.73 ID:2GC9yPG9O
同じ聖杯使ってるアポでも普通にハサン以外のアサシン喚べてるしなぁ
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