【ミリマス】「走れ麗花」

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1 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:16:02.87 ID:17m8CGgL0
※ ミリマス内のエイプリルフールイベント
 「れいかのとある一日」のネタバレをモロに含みます。

===プロローグ「北上麗花の優雅な朝」

 麗花は起床した。

 春はあけぼのやうやうの。目覚まし時計をベッドの上からはたき落とし、
 シーツを纏ったままもぞもぞと、芋虫のように床へずり落ちる。

「ふぇ」

 寝ぼけまなこを擦りながら、小さな欠伸を眠たげに一つ。
 それから今度は猫のように体を伸ばし、大きな欠伸を二つ三つ。

 意識が徐々に晴れ出すと、次の瞬間にはびっくり箱から
 飛び出すピエロ人形もかくやといった勢いで、ビョンと体をはね起こした。

「うん、いい朝!」

 お目々パッチリ寝起きもバッチリ。
 夢の世界から復帰五分で、暖気完了エンジン全開、北上麗花始動である。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491002162
2 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:18:36.50 ID:17m8CGgL0

「今日は〜、何を〜しようか〜な〜……ふふふん♪」

 鼻歌交じりで部屋の中を散策、いや探索。

 北上麗花探検隊は洗濯物でできた丘を越え、出し忘れていたゴミ袋の山を迂回して、
 九龍城ともタメを張れるほど複雑かつ乱雑緻密なバランスで積まれた小物の載ったテーブルの下、
 前人未到の大秘境から、財宝の入ったビニール袋を探し当てた。

「よいしょっと」

 ぐわらぐわらがっしゃん。麗花の腕の一薙ぎで、脆くも崩れ去る旧九龍とテーブルの隣に生まれる新九龍。
 そうしてできたスペースに、彼女は持っていたビニール袋の中身をぶちまける。

 するとドサドサと派手に出てくるのは、パンにおにぎりにお菓子にお茶。要するに彼女の朝食だ。

 もそもそと食べ物で一杯になった口を動かしながら、今度はタンスの中身を引っ張り出す。
 服を着て、髪を直し、鞄にあれやこれやと詰めこむと、麗花は元気よく自宅を飛び出した。

「それじゃ、しゅっぱーつ!」

 進行目標はズバリプロデューサー。
 久々に訪れた休日を、彼女は彼と過ごすことに決めたのだ。
3 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:20:50.40 ID:17m8CGgL0
===1.「オープニングステージ:事務所」

「来ちゃいました」と笑顔で報告する麗花に対し、
 プロデューサーは「お、おう」と曖昧に答えることしかできなかった。

「こんにちは、プロデューサーさん♪ 今日も地味で普通で素敵ですね♪」

 相変わらずの麗花節。褒めているのか貶してるのか、判断に困る挨拶を受けてプロデューサーが頭を掻く。

「こんにちはって……まだ朝だぞ?」

「あっ、じゃあじゃあおはようございます!」

「いや、うん。おはよう! ……じゃなくてだな。
 朝は朝でもまだ六時半。始業は九時で、いくら何でも早すぎだろ」

 そう言って事務所の壁掛け時計を指さすと、麗花はキョトンと首を傾げ。

「でも、プロデューサーさんはいるじゃないですか」

「そりゃ、俺は仕事があるからな」

「私はお仕事ありませーん♪」

「知ってる。スケジュールをオフにしたのは俺だ」

「だからほら、来ちゃいました」
4 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:22:15.18 ID:17m8CGgL0

 先ほどから微妙に噛み合わない二人の会話、一方通行の意思疎通。

 日々の忙しさを忘れられる折角の休日だというのに、どうしてこの娘はココにいるのか?

 プロデューサーには理解できない。

 もしも自分が休みを与えられたなら、その日は一日中家に籠って惰眠と安穏を貪る自信があるからだ。

 ……ちなみに付け加えておくと、前回彼が完全な一日オフを貰ったのがいつだったか、
 本人どころか事務所内でも正確に把握している者はいない。

 にも関わらず、まるでそうするのが当然のように現れた麗花は既に背負っていたリュックをソファーに置き、
 談話用のテーブルの上へ、何やらごちゃごちゃと私物を広げ始めていた。

 その自由気ままな振る舞いに、プロデューサーは諦めた様に肩をすくめると。

「でもまぁ……来ちゃったものは仕方ないなぁ」

「予定は正直無かったですけど。何をしようか考えてたら、自然と足が向いちゃって」

 大きなスケッチブックとクレヨンを手に、麗花がプロデューサーへと振り返る。
5 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:24:00.31 ID:17m8CGgL0

「アレコレ迷ってるうちに、事務所の前に着いちゃってました♪」

「まるでクラブの迷惑OBだな」

「プロデューサーさんと遊ぼうと思って、色々と持って来たんですよ? ほらほら、落書き帳に積み木とか!」

 追記、北上麗花に皮肉は通じず。

 そしてその舌の根も乾かぬうちに、言ってることが矛盾する。
 予定は無いのに遊ぼうと思ったってそりゃお前……確固たる目的があって来てるじゃないか!

 だが、プロデューサーは大人である。
 年齢にしても、三つ四つは彼女より上だ。

 要は余裕があるワケであり、忙しい朝の準備時間にやって来た彼女を邪険に扱うほど心の狭い男でも無い。

 とはいえ、素直に彼女に付き合っていては、
 例えどれだけの時間があったとしても仕事に支障をきたすのは必至。

 彼はできる限り穏便に、なおかつ麗花を傷つけたりはしないよう言葉を選んで話し出した。
6 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:25:22.68 ID:17m8CGgL0

「うん、確かに魅力的な誘いだが……悪いな麗花。俺にはご覧の通り仕事があって、相手をするのは難しそうだ」

 そう言って、彼はデスクの上に積まれた書類の山を披露する。

 目的は二つ。

 実際に手をつけねばならぬ仕事の量を物理的に示すことにより、彼女に忙しさをアピールするのが一つ目で、
 第二の目的は向こうから「それじゃ、仕方ないですね」と自粛の言葉を引き出すことだ。

 だがしかし、麗花はまじまじとプロデューサーのデスクを眺めると。

「お仕事って、机の上のお掃除ですか?」

「えっ」

「だったら私、手伝いますよ。お片付け得意分野です♪」

 言うが早いか書類の束に手を伸ばそうとする麗花を、
 プロデューサーが必死の形相で止めに入る。
7 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:26:51.81 ID:17m8CGgL0

「待て待て待て待て違うんだ!」

「大丈夫ですよプロデューサーさん。こういうのはまず、一つの袋にまとめちゃって……」

「いいから! 俺は汚れた机が好きだから!」

「……見た目は全然平凡なのに、変わった趣味があるんですね?」

「キレイなお目々でありがとう! だけどな? 机の上は触らないの!」

 途端にシュンとすると言うよりは、残念そうな顔になる麗花。

 少々強く言い過ぎたかとプロデューサーが気まずそうにしていると、
 彼女は「そこまで嫌がられるようじゃ仕方ないですね」と悲し気な声で呟いた。

 事務所に漂う空気が凍る。悲痛な面持ちで佇む美女と、彼女を厳しく見据える男。
 事情を知らぬ者が見れば悪いのは冷血無慈悲なプロデューサーの方であり、麗花は完全に被害者だ。
8 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:27:48.71 ID:17m8CGgL0

「やっぱり私、帰ります。……今までお世話になりました……うぅっ!」

 最早場の空気は完璧に、メロドラマにおけるソレであった。

 嗚咽を堪えるように口元へと手を当てて、その長い髪を翻して部屋を出ようとする麗花。

「ま、待ってくれっ!」

 プロデューサーが座っていた椅子から腰を上げ、逃げる彼女を引き留めようとその手を伸ばし呼びかける。
 ドアノブに手を添えたまま、ピタリと動きを止める麗花。

「待ってくれ麗花。俺が、俺が悪かったよ……」

「……ぐすん」

「君を不用意に傷つけるなんて、プロデューサー……
 いや、男としても失格だ! 俺は、俺は自分のことが恥ずかしい!」

 そうして彼は詫び始めた。

 仕事を理由に麗花の誘いを断ろとしたことを、彼女のお片付け得意発言に、正直疑問しか抱けなかったことも。
 そして何より彼女の来訪を快く迎え入れなった、自分の器の小ささを。
9 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:28:50.20 ID:17m8CGgL0

「だが、こんな俺にもう一度だけチャンスをくれるなら……今から、一緒に遊んでくれないか? 
 それこそ○×ゲームでも積み木崩しでもなんでもいい! 麗花の、麗花がしたい遊びに対して、俺も全力で応えたいんだ!」

 男の全身全霊を込めた謝罪を聞いて、麗花がゆっくりと振り返る。
 その顔は未だ冴えないが、彼女は形の良い唇をゆっくりと動かし、震える声で返事する。


「……なら、最初は人生ゲームから」

 この瞬間、本日もプロデューサーの残業が確定した。
 落涙しても社畜に神はおらず、また世は押しなべて非情である。
10 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:30:16.87 ID:17m8CGgL0
===

 こうして始まった人生ゲームは参加人数僅かに二人。

 しかしその道なりは波乱万丈過酷な物で、およそ二時間に渡って繰り広げられた熱い戦いが終わる頃には、
 プロデューサーは精も根も尽き果てその風貌は廃人のようにもなっていた。

 それがつまり、どういうことかと説明すると……。

「1、2、3、4……はい上がりでーす♪」

 麗花の操作する車。「ビュンビュン丸」がゴール地点へと一足先に置かれた後でなお、
 プロデューサーは頑なにゲーム終了から拒まれていた。

 何度も回すルーレット。ピタリと届かない憎らしい出目。

 全力で相手すると宣言してしまった以上、途中でギブアップするのもカッコ悪い。
 まさに彼は、悪い意味で意地になっていたのである。
11 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:32:02.08 ID:17m8CGgL0

「畜生、ちくしょう! チクショーっ!!」

 既に怒りは通り越し、情けなさにヤケてゴールを目指すプロデューサー。
 その隣ではすぅすぅと、暇を持て余した麗花が可愛らしい寝息を立てていた。

 仮にも仕事場である事務所に置いて、なんとも気の抜けた光景である。

「今度こそ、今度こそ……っ!!」

 そして何十回目かのトライの後、遂にプロデューサーはゴールのマスへ駒を進める。
 喜びに思わず感極まり「よっしゃあっ!」とガッツポーズを決める彼に横から声をかけた者がいた。

「おやおや君は、朝から随分と嬉しそうだねぇ」

「そりゃそうですよ。なんたって二時間に渡る熱闘のフィナーレですから!」

「ほう、人生ゲームを二時間もかい」

「はい、人生ゲームを二時間です!」

 だがしかし、ここで彼は気づくべきだった。
 いや、本当はとっくに気づいていたが、勢いに乗せて誤魔化そうとしたのかもしれない。

 どちらにせよ、声の主はプロデューサーの肩にポンと手を置くと。
12 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:33:23.33 ID:17m8CGgL0

「後で、社長室に来るように」

 これが後に、飲みの席で何度も酒の肴として語られることになる「早朝人生ゲームの変」のあらましだ。

 連日の残業に加えて減給まで決まった男の姿は見るも無残に老け込んでおり、居眠りから起きた麗花が彼の姿を見た瞬間、
 それまで見せたことの無いほどのマジな顔をしたことからもそれは語ることができる。

 ――閑話休題。

「それじゃあ、もう遊べないんですか?」

 おねだりするように人差し指を唇に添え、可愛らしく小首を傾げる麗花に向けて、
 プロデューサーは腐乱した死体よりも酷い微笑みを浮かべて頷いた。
13 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:34:59.59 ID:17m8CGgL0

「ほ……本当にすまないと思ってる……が、俺にも生活があるかなら」

「……残念です。まだまだ遊びたかったのに」

 だがしかし、彼に返事をする気力は残ってない。
 今はただ押しに押した今日のスケジュールを必死に処理することで手一杯。

 麗花も忙しそうな彼から離れると、一人ソファに腰かける。

 麗花の胸に、ポッカリと穴が開いた気分であった。

 楽しい休日はまだまだまだまだこれからなのに、一緒に遊ぶ人が居ない。
 事務所の中を見回しても、彼女以外には誰もいない。

「うーん……これからどうしようかな」

 そう呟くだけで解決策が浮かぶなら、世は問題解決のスペシャリストで溢れかえっていることだろう。

 とはいえ子供と同じ感受性……失礼。二十歳になっても純真な心を持ち続ける麗花にとってしてみれば、
 突如訪れた退屈をワクワクに変える方法など、息をするよりも簡単に思いつくことができるのだ。

 むしろ本人に言わせれば「息をすることの方が難しい」とまで言いかねない。
14 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:37:28.01 ID:17m8CGgL0

 現にこの時も彼女のそのキラキラと光る双眸は、事務所の壁に掛けられたホワイトボードへと向かっていた。

 そこには各アイドルたちの仕事の予定が書きこまれ、
 一体誰が今どこで、どんな仕事をしているのかも一目瞭然丸わかり。

「そうだ!」

 ポンと豆電球が光るような軽快さで声を上げ、麗花がソファから立ち上がった。

 ……遊び相手が見つからなければ、自分から探しに行けばいい!

「今日はみんなの所に会いに行こっと! 
 それにそれに、突然私がやって来たら、みんな驚いてくれるかも……ふふ♪」


 それは麗花流のサプライズ。

 一応断っておくならば、彼女の辞書に「有難迷惑」なんて言葉は無い。

 彼女にとって喜びは分かち合う物であり、楽しみは共有するものなのだ。
 そして嬉しい驚きという物は、北上麗花が特に気に入っているイベント事の一つでもあった。

 差し出されるプレゼント、箱の中身を想像しつつ、ラッピングを開けてゆく時のようなワクワク感……
 それを自ら演出することが出来るのが、サプライズという名の贈り物だ……というワケである。
15 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 08:38:37.87 ID:17m8CGgL0
とりあえずここまで。
ゲームは既にクリアした。後は最後まで書ききるだけだ……。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 08:45:11.12 ID:B7OnObYMO
去年ほどしゃ無いけど今年も狂ってたな
まさかナチュラルに空を飛び宇宙まで行くとは
17 : ◆Jnlik0MEGA [sage]:2017/04/01(土) 10:31:42.13 ID:i27WbvmS0
あれ難易度高すぎるよ
一旦乙です

>>1
北上麗花(20)Da
http://i.imgur.com/0m9SRoy.jpg
http://i.imgur.com/VtmQJ34.jpg
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 10:48:41.24 ID:x5N9VJo+O

仕事が早いな
飛ぶ時の髪がピョコピョコするのちょーかーわいー!
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 11:06:17.80 ID:iv8GubFKo
わーい♪
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 12:21:27.92 ID:tpdp/IYAO
デカイ茜ちゃんやっつけたときになんか言ってるんだけど聞き取れない……
21 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 12:28:29.90 ID:17m8CGgL0
===「ファーストステージ:街」

 清々しく晴れ渡った青い空の下。

 勢いも良く事務所を飛び出した麗花はしかし、プロダクションのある貸しビルの一階にまで降りたところで、
 今回のチャレンジが困難極まる過酷な挑戦であることに気がついた。

 その主な要因としてはまず第一に、事務所に所属する自分を含めた五十人のアイドルはみな
 一ヶ所に集まって仕事をしているワケでは無いということ。

 第二に、各々の居場所を目指すための、移動手段を選択する必要があるということだ。


 ところで、麗花は乗り物の類が好きである。

 特にスピードが出る物を好み、車でのドライブを好きなものとしてプロフィールに載せるほどには運転することも大好きだ。

 ここで「麗花の運転は上手い」と断言しない辺りから、皆様には彼女自慢のドライビングテクニックに、
 何かしらの欠か……欠点があるのだろうという事をどうか察して頂きたい。
22 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/04/01(土) 12:31:27.99 ID:17m8CGgL0

「車なら……遠くの方までススイのスイで行けるけど」

 だがしかし、プライベートでの運転はプロデューサーから固く戒められている。

 あれはとある仕事の送迎で、社用車の運転を彼と交代した時のこと。

 同乗していた他のアイドル達の悲鳴木霊す車内において
「乗ってくれるなとは言わないが、これからは極力控えて貰いたい」と顔面蒼白で訴えるプロデューサーの姿がそこにはあった。

「今から家に戻るのは、ちょっと面倒くさいかなぁ」

 それになによりコレである。

 今から家に戻る労力と、それによって短縮できる移動時間の兼ね合いを軽く鑑みてみれば、
 圧倒的に車を取りに戻る方がはるかに効率的だというのにだ。

「ん〜……いいや! 今日は天気も凄く良いし、このまま走って行っちゃおっと♪」

 正に愛車は家に置いて来た。

 麗花は頼りにするのは己が肉体、山登りで鍛えた足腰と体力には自信があるんです! 
 と言わんばかりのスマイルを浮かべると、軽やかなリズムで走り出す。

 そうして遠ざかってゆく麗花の背中を眺めながら、
 早朝の社外清掃を行っていた音無小鳥は誰に聞かせるでもないため息をついて思うのだった。

 ああ、若いってなんて素晴らしい――!
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