貴方「奴隷たちに救済を」【安価スレ】【2スレ目】

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89 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/08(木) 00:59:25.94 ID:4P67TS5x0
昨日はごめんなさい!今から再開します。
90 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/08(木) 01:27:41.31 ID:4P67TS5x0
屋敷の前に到着したので、門を何度か叩く。

「動かないでください」

「ッ!?」

人が近づいている気配は一切無かった。

今、アルヴァの後頭部には銃が突きつけられている。

「変な素振りを見せたら、この場で射殺します」

いくらフェニックスのアルヴァでも動けなかった。

それほどの凄みを感じさせる声だったのだ。

「あ、あの…。私はご主人様に頼まれて来たんですけど…」

「つまり襲撃ですか?正面から堂々と来るとは、余程自信がおありなようで」

「違います!スジャータさんにお願いがあって来たんです!」

「では違うという証拠を提出願います」

「具体的には、貴女の名前、そのご主人様とやら…」

「…すみません。どこかでお会いしたことはありませんか?」

「ふぇ?」

声の覇気や辺りに漂っていた殺意が薄れる。

振り向こうとしたら頭を抑えられた。

返答は動かずに、ということだろう。

「えっと…。スジャータさんとは先週に西中島南方?みたいな場所で会ったけど…」

「…なるほど。だいたい状況は把握できました」

「無礼をお詫びします」

殺意が完全に消え、目の前の女性?は深々と頭を下げる。
91 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/08(木) 01:48:55.94 ID:4P67TS5x0
「わわっ頭を下げなくていいですよっ」

突然の謝罪に慌てふためくアルヴァ。

下手に出られるのには慣れていないのだ。

「本当に申し訳ございません」

「何分、私は目が見えませんので」

「えっ…」

振り返り顔を見ると、両目を閉じた端麗な素顔が伺えた。

長い銀髪を一つ結びにして流していて、絹糸のように美しかった。

「私が胎児の時に、母親が流行り病に罹ってしまいましてね」

「産まれる前から、目が潰れてしまったのですよ」

「母親もすぐに亡くなってしまいまして、産まれた時点で奴隷の未来が確定してしまいました」

「まぁ、視力が無いので誰にも相手をされなかったわけですが」

そう言って、目の前の女性?は微笑む。

辛い過去のはずなのに、話している様は悲しそうには見えなかった。

「立ち話も何ですし、中で続きとしましょうか」

「お嬢様に用があるみたいですし、ね」

「あの、そこまで気を遣わなくても…」

「いえいえ、あのお方のメイドさん…ですよね?となれば、これくらいの配慮はしなくては」

「あうぅ…」

「それに、外にお嬢様を出すのも気が引けますよ」

「襲われる可能性は否定できませんので」

「たしかにそうですね…」

「では行きましょうか」

「ひゃわっ!?」

スジャータに仕えているであろう麗人は、アルヴァをヒョイと抱え、屋敷へと入る。

降ろされるまでの間、アルヴァの顔は真っ赤であった。
92 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/08(木) 02:13:40.94 ID:4P67TS5x0
あれよあれよと客間に連れられ、目の前のテーブルには緋色のような紅茶が置かれている。

対面した席のスジャータは、優雅に紅茶に口を付けている。

何も知らないアルヴァでも、一つ一つの所作が綺麗に見えていた。

礼儀やマナーを叩き込まれた証拠だろう。

「…それで、何をしに来たのかしら?」

いきなり本題に入ってきた。

血縁関係があるからなのか、あの人とダブって見える。

「あ、はい。ご主人様に、スジャータさんと協力関係を結んでこいと言われました」

「成程。陣営を固めてリゼル卿と対等に渡り合えるようにしたい、と」

「たぶんそうだと思います」

「…先週、私はこう言ったはずよ」

「『どっちでも気にしない。私はコレクションを増やすだけ』ってね」

「その後に言った言葉は憶えてる?」

その後の言葉。

『家族のよしみもある』、『少しくらいは、サポートしてあげる』くらいだろうか。

「つまりはそういうことよ」

「私だって、きな臭いことをしている他人に従うくらいなら、家族を信じるわよ」

「なんだかんだで、あの人とは幼少期の頃からの付き合いだし」

「つ、付き合っているんですか!?」

純粋なアルヴァは、スジャータの考えている『付き合う』と別なものを連想してしまった。

「…男女の関係ではないわ。ただの家族、それだけよ」

「…この話はこれでおしまい」

「貴女は、この後時間はあるかしら?」

「終わった後のことは聞いてないです」

「そう。なら、今日はここに泊まりなさい」

「もう外は真っ暗だから危ないわ」

その言葉を聞いて、アルヴァは不安になる。

「で、でも…ご主人様に怒られるかも…」

「あの人はこれくらいじゃ怒らないわよ」

「それに、きちんと連絡もしておいてあげるから、その辺りも問題なしよ」

「うぅ…」

「…今なら、美味しいお肉もいっぱい食べられるけど…?」

「泊まります!」

「よろしい」

お肉の魔力には敵わないアルヴァであった。
93 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/08(木) 02:19:03.65 ID:4P67TS5x0
本日の更新はこれで終わりです。昨日は申し訳ありませんでした…。

今回出てきた(視察編でも言及だけはしてました)護衛さんの名前を募集してます。私は『アイン』と付けようかな、と。

他に名前が出てきた場合は、気に入った名前にしようと思います。背景等は設定済みです。

何か案がありましたら、その旨をレスしていただいたらOKです。

次回こそ、夜の12時に開始したいと思います。次回こそは…!皆さん、お疲れ様でした。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/08(木) 02:32:34.27 ID:yImI9TeJ0
乙です
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/08(木) 03:09:51.86 ID:jDDDfYZ5o

主人公陣営の資金源ってなんだっけ?
特急貴族の資金力だとリゼルが一番強いのかな?
96 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 00:53:42.03 ID:XrlIYhHI0
>>95、資金力はリゼル>>アーバン≧貴方です。リゼルは完全なブラック、アーバンは厳しめのホワイトなのでこんな感じです。

送れましたが、今から再開です。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/09(金) 01:19:38.74 ID:bYjTr39dO
ういうい
98 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 01:28:00.84 ID:XrlIYhHI0
>>95、ちょっと抜けてました。貴方陣営の資金源は貿易や娯楽施設の運営です。

アーバンは人材派遣や物資生産、リゼルは真っ黒なことをしています。誤字していて恥ずかしい…。


話がまとまったところで、護衛の麗人が話しかける。

「連絡は誰がしましょうか?」

「言い出しっぺの法則、よ」

「かしこまりました」

「手紙は書いておくから弾を用意しておいて」

「…なるほど。了解いたしました」

そう言って護衛は部屋から出ていく。

二人きりになり、部屋には静寂が訪れた。

アルヴァは、疑問を素直にぶつける。

「護衛さんはどういう人なんですか?」

「護衛と呼ぶのはおやめなさい。彼女にも名前がある」

「『アイン』よ。最初に購入した奴隷だからこの名前にしたわ」

「どこかの国の言葉で、『1』を表す言葉みたいだからそう名付けたの」

手を止めることなく、淡々と返答をするスジャータ。

「…スジャータさんも、奴隷は物だと思っているんですか…?」

「ええ」

「…ッ」

アルヴァの心に、僅かな怒りが生まれる。

「失望したかしら?だけど残念、私はあの人とは違うのよ」

「だけど、私は自分の物は大事にする主義なの」

「アインを、他の子を棄てることなどありえない」

「私かその子が寿命で死ぬまで、面倒を見るわよ」

表情に変化は無いが、発せられた言葉からは覚悟が伝わってきた。

早とちりで怒りを覚えた自分が恨めしい。

「…ごめんなさい」

「…?貴女が謝るところは無かったはずよ?」

「いえ、謝らないといけませんでした」

「私はそれだけのことをしましたから…」

「…よく分からないけれど、自分の非を認めて、反省できるのは優れている証拠よ」

「そう小さくならないで、自信を持ちなさい」

そう言ってスジャータは笑う。

その姿を見たアルヴァは、無自覚で言葉を漏らす。

「ご主人様に似てるなぁ…」

一瞬、手紙を書くスジャータの手が止まる。

「そうかしら?血縁者だし、似てるところがあってもおかしくないはずだけれど」

「…これでよし、と」

「続きはガールズトークの時間にしましょうか」

この後アインが連絡を行うのだが、貴方たちがアルヴァ捜索部隊を結成していたことを、二人が知ることは無かった。
99 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 01:54:33.38 ID:XrlIYhHI0
「美味しかった〜!」

「そう。その言葉を料理人たちに言ってあげなさい」

「きっと大喜びするわ」

予め情報を入手していたのか、テーブルには大量の肉料理が並んでいた。

カエデの料理とはまた違った味わいで格別だった。

それでも、カエデの料理が一番なのだが。

「さて、と」

「ガールズトークの前には、風呂で体を清めるのがお決まりなのよ」

「そうなんですか」

「本当なのかは知らないけれど」

「えっ」

部屋での一件(というほどのことではなかったが)後から、スジャータとアルヴァは気兼ねなく話をしている。

もっとも、アルヴァのコミュ力が高いだけなのだが。

服を素早く脱いで、浴室へと一番乗り。

「わぁ…!」

浴室は、貴方の屋敷のものとはまた違った構造をしていた。

「西中島南方にある旅館の風呂場を参考にした…らしいわ」

「ここができたのは私が産まれる前だったから分からないのよ」

「…ふむ」

「きゃっ!?」

突然、おもむろに手をアルヴァの胸に当てて、揉むスジャータ。

あまりにも唐突だったため、アルヴァは反応できなかった。

「…14くらいなら妥当な成長具合ね。結構結構」

「この調子でご飯は食べなさい」

「ふぇぇ…」

ペタン、と座り込むアルヴァを尻目に、スジャータはアインの方を向く。

「貴女は節制しすぎよ。もう少し食べるべきだと思うわ」

「そう思いますか?」

「ええ。だって貴女の胸は絶壁もいいとこじゃない」

「まだ16なんだから希望は残っているわよ」
100 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 01:55:14.50 ID:XrlIYhHI0
ちょっとしたコンマ判定です。直下でお願いします。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/09(金) 01:57:22.17 ID:Skmse23go
102 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 02:19:07.35 ID:XrlIYhHI0
コンマ判定:7 その胸は実際ホウマンだった

そう言っているスジャータの胸はなかなか大きかった。

普段は目立っていなかったので、着やせするタイプなのだろう。

「ですが、私は自分の体が分からないので」

「いつもの食事量も、結構多くしているつもりです」

「まぁ、可能性はまだあるから気にしないで」

「私としては、このままの方がありがたいですね」

「そんな駄肉があったら動きに支障が出てしまいますので」

「…運動神経が無くて悪かったわね」

「そこがお嬢様のいい所だと思いますけどね」

「…ぷいっ」

なんだかんだ駄弁った後、三人で湯船に浸かる。

「そういえば、アインさんは目が見えないんですよね」

「ええ。完全に視力は無いですよ」

少し躊躇ったが、アルヴァは気を引き締めて言う。

「…でしたら、私の血を飲んでみませんか?」

「…はて?」

首を傾げるアインだが、無理もないだろう。

いきなり血を飲むか聞かれて、困惑しない人は僅かではないだろうか。

「…前にご主人様が言ってたんです」

「『お前がフェニックスだからだ』って」

「これは献血の時に言われたんですけどね」

「自分の体のことだし、気になって調べたんです」

「そうしたら、『フェニックスの血は、万病を治す、不治の病すらも治癒させる第一の奇跡』…こんな文章がありました」

「他にも『フェニックスの肉は、不老不死を授け、喪失した肉体すらも再生させる第二の奇跡』とかもあったんです」

「これを見て、私なりに考えたんです」

「私の肉は、失ったものを、あらゆる怪我を癒すもの」

「私の血は、病を、その肉体を巣食う障害を排除するものなんじゃないか、って」

「そうだとしたら、アインさんが私の血を飲めば、視力を手に入れられると思うんです」

「貴女…フェニックスだったのね…」

「あの人が素性を隠していた理由が分かったわ…」

「血…要りますか…?」
103 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 02:33:47.37 ID:XrlIYhHI0
厳しい顔つきをしながら、アインは答える。

「たしかに、見えるようになるのは魅力的です」

「…ですが、目が見えるようになった時点で、私は私ではないのです」

「不便ではありますが、私もこの体だからこそ、ここまで生きてこれたのだと思っています」

「それに、目が見えていたら、お嬢様と巡り合うことも無かった」

「私にとって、この目は希望への切符だった…いえ、お嬢様と繋いでくれた糸なのです」

「ですから、私はこれからもこの目とともに生きていきます」

「貴女も、そうやって体を売るようなことは控えた方がよろしいかと」

「私の見立てでは、今回が初めてのようですがね」

「うっ」

なぜ分かったのだろうか。

エスパーなのではないか、という疑問が浮かぶ。

「秘密、です」

「…のぼせたから私は上がるわ」

「承知いたしました」

「貴女たち二人で話していてもいいわよ」

「ではお言葉に甘えて…」

その後、アルヴァとアインは我慢比べをしたりして、仲良くすごしたんだとか。
104 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/09(金) 02:36:08.49 ID:XrlIYhHI0
今日はこれで終了です。次回で次の段階に進みたく思っています。

次の更新は再来週になりそうです…。また時間が開いて申し訳ない…。文章の感じとかが迷走してる気がする…。

皆さん、お疲れ様でした。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/09(金) 02:38:37.26 ID:Skmse23go

リゼルが欲しがるフェニックス
106 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 00:38:19.92 ID:mkW8G2Ks0
お待たせしました。今から再開します。
107 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 01:11:46.29 ID:mkW8G2Ks0
「あら、ずいぶんと長湯だったわね」

「アルヴァ様の要望に付き合っていましたので」

「えへへ…」

スジャータは、アルヴァとアインを交互に見る。

「まぁ何かを聞くつもりはないけれど…」

「それよりもアイン、貴女、顔が真っ赤よ?水を口にするべきだと思うわ」

「いえ、お気になさらず」

大きなベッドに三人で腰掛ける。

優しいハーブの香りが心を落ち着かせる。

少しの間訪れた静寂を、スジャータの一言が終わらせる。

「貴女がフェニックスだということ、誰にも教えてないでしょうね?」

「ふぇ?」

アルヴァは記憶を辿る。

憶えている限りでは、身内以外に知っているはずはない。

「ううん」

アルヴァの返答に一瞬、安堵の表情を浮かべたスジャータだが、また顔つきが若干険しくなる。

「…これからは、安易に空を飛んだり自分の種族を答えないことね」

「え?」

「これは警告よ。下手な組織に貴女の存在が知られたら、みんな死ぬわよ」

「それだけ、貴女は特殊な存在ということよ。憶えてなさい」

「えっと…具体的には…?」

スジャータは指を立てて答える。

「三つよ。まずはリゼルたち別勢力の貴族」

「彼らに知られた場合の貴女の末路は…。そうね、苗床、かしら」

「ただ、優秀なキメラを生み出すためだけの装置。一生、貴女はオークや竜人、魔物たちに犯される人生になる」

「犯す?」

純粋なアルヴァには、『犯す』という単語の意味が伝わらない。

「…帰ったら貴方にでも聞くことね」

「…二つ目は、マフィアといった犯罪集団ね」

「これは、まぁ見世物にされるか奴隷として売られるか、くらいね」

「最後は、商人やキャラバン、ハンターたちよ」

「二つ目と三つ目は、国とかお構いなしに貴女を捕まえに来るわ」

「特にハンター。彼らには気を付けて」

「ハンターは文字通り、次元が違うの。普通の人間とは思えないくらいに」

「防具一つでマグマを浴びても、多少の火傷で済むくらいにはおかしいから」

「ふぁい…」

この世界には、まだまだ凄い人がいる。そう思ったアルヴァだった。
108 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 01:33:51.90 ID:mkW8G2Ks0
「それじゃあ、そろそろ寝るとしましょうか」

「貴女はこっちよ」

「わわっ」

手を引かれ、アルヴァはスジャータの隣へと倒れこむ。

「ではお嬢様、アルヴァ様おやすみなさいませ」

「ええ。アインも、今日は伝令お疲れ様」

「おやすみなさい!」

アインは、ドアを閉める直前、年相応な可愛らしい笑みを浮かべる。

「あ、来週のお食事、楽しんできてくださいね」

「…は?」

静かに、ドアは閉められた。

「ちょっとアイン、どういうこと?まさか手紙を…読めないか」

「とにかく、なんで貴女が内容を知ってるのよ?ねえ、怒らないから。カムバック!ハリー!」

どんなに叫んでも戻ってくることはなかった。

「………」

スジャータは頭に手を当てる。

「…まぁ、今更考えても、か…。早く寝ましょう」

「はーい」

布団を頭に被る仕草が、結構可愛かった。


第6週 終了
109 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 01:40:00.78 ID:mkW8G2Ks0
それでは、仕様を変えてから初の視点判定です。直下コンマです。

1〜3:貴方陣営
4〜6:???(A)
7〜9:???(R)
110 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 02:11:57.71 ID:mkW8G2Ks0
うーん…。この判定は廃止にしますかね。どんどん進めた方がよさそうです。

それに、これは貴方のお話なのに他のキャラを操作するのもおかしな話ですよね。進めていきます。
111 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 02:41:02.67 ID:mkW8G2Ks0
朝は憂鬱だ。

気持ちよく眠っているのに起こされてしまう。

ずっと寝ていたいのだが、それでは目的が達成できない。

寝間着から、いつもの服へと着替える。

いくつか装飾品はあるが、なるべく質素に済ませた特注品だ。

矛盾している気がするが。

今日の朝食はサラダと味噌汁。

カエデの故郷の料理だと聞いている。

一気に口の中に流し込むと、濃厚でいてさっぱりとした味わいが広がる。

この味噌の風味がたまらない。

味噌自体は輸入していないからか、自作しているようなのだが、このクオリティは素晴らしい。

特別ボーナスでもあげた方がいいのかもしれない。

右手でサラダを口に運びながら、左手で書類を扱う。

先週の戦闘報告書に、気になる点があったのだ。

『亜人のキメラと思しき敵兵が存在していた』という報告がいくつかあったのだ。

もしこれが事実なら、この一連の騒動の首謀者は…。

だが、決めつけるのは早計だ。

まだ、追撃部隊が本拠地に到着していないのだ。

報告を待ってからでも遅くはない。

報告書を読み終えたのと同時に、食事が終わった。

今から働かないといけないが、働きたくない。

夜にはスジャータと外食の予定だし、ぐうたらしててもいいのではないだろうか。
112 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/20(火) 02:42:10.56 ID:mkW8G2Ks0
直下に、朝の行動をお願いします。

今回はこれで終了です。次回も明日の同じ時間くらいに再開予定です。お疲れ様でした。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 04:07:35.23 ID:RSLeHptzO
まぁ、最近忙しかったし、ぐうたらしよう
ついでにレイスとかユウとかの様子とか交流とか
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 21:26:38.12 ID:zvPLwPxno
キメラの敵兵はガチで管理能力が低いのかそれともばれてもいいくらいの物理戦闘能力を確保しているのか
後者の場合亜人の内乱はキメラの宣伝目的ではなく威力偵察だったのかな?

そして説明に出てきたハンターというのは何を目的とした人たちなんだろう?
115 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/21(水) 01:18:46.05 ID:YCXCvsAk0
>>114、ハンターは、某狩猟ゲームに出てくるそれと大体は同じです。要人警護等のPMCがやるような仕事が増えているくらいです。

主人公として選ぶことも可能ですよ。というか、殆どの職業や立場は選べます。

今回は初回だったので自由に設定しましたが、次回からはコンマで決定になります。

少し遅れましたが、今から再開です。
116 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/21(水) 01:23:41.47 ID:YCXCvsAk0
では、誰と交流する(様子を見る)かです。↓1、2に一人ずつお願いします。彼らとどうするか、まで一緒に書いてもらえたら嬉しいです。

選ぶキャラは奴隷組からの選択でお願いします。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 01:26:54.27 ID:U4psR5H9o
ユウ
118 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/21(水) 02:36:03.41 ID:YCXCvsAk0
すみません、ちょっと気分悪いので中止です…。明日の同じ時間に今度こそ…。すみません…。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 08:35:59.07 ID:jD6pyQAHO
アルヴァ
120 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/22(木) 01:49:08.36 ID:AIeTozxY0
すみません…。まだ気分が悪いです…。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 02:16:24.86 ID:E+3KeAZzo
よく休んで
栄養とって
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 04:04:12.98 ID:DEqRVRDEO
体調整ってからで大丈夫やで

ところでアルヴァって戻って来てるの?
123 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/23(金) 00:45:36.98 ID:Gd8IZ1Zc0
>>122何かアナウンスしていなければ、その週に取った行動(監視や宿泊等)は次週では終わってますよ。

何とか復帰したので再開です。休んで申し訳ありませんでした…。
124 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/23(金) 01:38:53.92 ID:Gd8IZ1Zc0
前から働いてばっかりだし、今日くらいは気を抜いていいだろう。

それに、ユウとは殆ど話していないから、彼のことはもっと知っておきたい。

掲示板を見たところ、今は留守のようだ。

仕事を与えていないし、街でもぶらついているのだろう。

とはいえ、どこにいるか分からないのは困る。

アリサあたりなら知っているのだろうか。

「あーユウさんなら警備してますよ」

「警備?」

「ええ。彼が『この街は治安が悪いわけではない』」

「『だが、貿易が盛んな関係上警備が多い方が、商人たちも安心するだろう』と申しておりました」

「仕事を探している…のか?」

彼も暇なのだろうか。

今日会った時に聞いてみよう。

「いえ、そうは見えませんでした。たぶん彼の厚意だと思われます」

「…そういえば、一昨日は孤児院に差し入れしに行ってましたね」

「本当にユウは悪霊か?」

やってることが善人すぎる。

「悪霊(天使)なんじゃないですかね」

それにしても孤児院か。

ユウが言っていたことをそのまま受け取るなら、何かに執着したりはしないはずだ。

彼の出生に関係あるのかもしれないな。

「当主様もどこかに行かれますか?」

「まぁ、少し野暮用がな」

「私も同行しましょうか」

「愛人オーラを出しながらですが」

「やめてくださいお願いします」

「冗談ですよ」

「…で、真面目に結婚とかどうするんです?貴方もそろそろ適齢期でしょう」

「…ハッ!もしや今日は女漁りや恋人と逢いに…。やーん当主様がケダモノに!」

「違う!ホントにただの野暮用だから!あと俺はマトモだからな!」

「…結婚する気は無いさ。反吐が出る」

立場上、お見合いの話がいっぱいあるのだが、皆名声や資産目当てなのが明白だ。

「…まぁ、しない理由は分かってますけどね。あんなクズたちと結婚するなんて私が男でも嫌ですよ」

お見合い相手の素性調査はアリサに頼んでいる。

だから、どういう人なのかは彼女が一番理解しているだろう。

それ故の酷評なのだ。

「…でも、世継ぎをどうするかは考えるのは遅くはないかと」

「…全てが終わった後、かな」

「その頃にはお爺さんになってそうですがね」

養子を迎えるとか色々な方法があるし大丈夫だとは思うが。

「それはさておき、外出するならお気をつけて」

分かってる、と手を挙げて答え、外に出る。

アリサが弓を構えて姿を消したが、俺はそんなところを見ていない。
125 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/23(金) 02:10:58.36 ID:Gd8IZ1Zc0
外に出てから思ったのだが、どこにいるのかを俺は何も知らない。

虱潰しに捜すのは非効率的すぎる。

孤児院を優先的に捜せばいいのかもしれないが、孤児院にいるとは限らない。

どうしたものか、と思案していたら、足元に矢がぶっ刺さった。

淡い光を放っているところから、アリサが撃った矢だと理解できたが、辺りを見ても姿はない。

よく見たら鏃には紙が巻かれている。

魔力で構成された矢にどうやって巻くのだろうか。

疑問は残るがとりあえず読んでみる。

ホモ疑惑の掛かっている貴族様へ

『お捜しの人なら、この時間は近くの孤児院にいますよ』

謎の弓兵Aより

情報はありがたいが、ホモは流石に傷つく。

帰ったら食事を激辛カレーにすり替えてやる。

手紙を仕舞おうとしたら、文字がうっすらと浮かんできた。

『なお、この矢はあと1秒後に爆発しながら雷が落ちます』

読み終わる前に爆発して、雷まで当然直撃した。

いくらなんでも警告が出るまで遅すぎる。

飲む水まで唐辛子たっぷりにしてやらねば。
126 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/23(金) 02:22:37.82 ID:Gd8IZ1Zc0
アリ…弓兵のアドバイスに従い、孤児院に向かったら、何やら人だかりができている。

人だかりと言っても、少年少女ばかりだが。

その中心には、良く知るオークがいた。

「おや、主殿がどうしてここに?」

「ユウと話がしたくてな」

「それでわざわざここまで…。ご足労いただきすまないね」

「ねーねー、このおじさんは誰?」

お、おじさんちゃうわ。

「彼は私の雇い主さ。悪い人じゃないから安心してあげて」

「この剣凄ーい!変な文字が書かれてる!」

「こらこら、勝手に武器を使ったら危ないよ。早く仕舞いなさい」

「はーい」

「…慕われてるんだな」

「はは…。私もここ数日、毎日来ているからね」

毎日、か。

アリサは一昨日と言っていたが、それ以外にも来ているのか。

いよいよ悪霊詐欺疑惑が出てきたな。

「…失礼だが、少しいいかい?」

「なんだ?」

「どうして、貴殿は真っ黒焦げな上に髪の毛がブロッコリーのようにもっさりしているのだろうか」

「聞くな」

「え?」

「…聞かないでくれ」

「あ、ああ」
127 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/06/23(金) 02:24:17.07 ID:Gd8IZ1Zc0
本日はここまでです。病み上がりみたいなものなのですみません…。今回はこちらで自動進行させていただきますね。

次回は再来週の月曜日あたりになるでしょうか…。お疲れ様でした。
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 04:22:53.97 ID:FUkKnzCFO

アリサへの仕返し安価はまかせろー
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 14:36:18.20 ID:qw/4cjX5o
この主人公に子供が居たとしても国を犠牲にしてもいいレベルで奴隷制度を廃止してはくれないよね
130 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/04(火) 00:00:53.36 ID:+ID3DgED0
>>128、仕返し安価はまだ時間掛かりそうですけど…。行う日にはアナウンスしますね。

>>129、貴方も、色々あるまでは奴隷賛成派だったんですよ。ある事情があって反対派になりましたが。

子供がいても、そこまで本気で廃止させようとするなら、洗脳するレベルの教育が必要になるかもですね…。

遅れてすみません。今から再開します。
131 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/04(火) 01:14:38.89 ID:+ID3DgED0
「ところで、だ」

「なんだい?」

「どうしてユウはここにいるんだ?」

「それは…。私にも分からない」

ユウは空を眺めながら答える。

「私自身、意味がないことだと理解しているんだ」

「治安維持が目的なら、警備だけで充分だと、ね」

「分かっている…。のに、どうしてもここに来てしまうんだ」

「…不思議だね」

「…ああ。不思議だな…」

正直に言うと、ある程度の見当は付いている。

だが、本人は知りたいという意志を見せていない。

ユウの過去は、ユウ自身の問題だ。

部外者である俺が口出ししていいことじゃない。

「主殿」

「どうした?」

「…いや、何でもないよ。ただ、不思議な感じがしただけさ」

「そうか」

「また屋敷で会おう」

「ああ。また後でな」

…一雨来そうだな。
132 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/04(火) 01:37:22.69 ID:+ID3DgED0
「っあー!致命傷は避けれた!」

土砂降りになった直後に、屋敷へと帰還する。

全身ずぶ濡れである。

あと数分でも遅かったら風邪確定だった。

「そういや、もう雨期に入ってたな…」

ここハイランディアは、5月の中旬から6月に入るまでが雨期だ。

もともと乾燥しがちな土地のため、雨期も極端に短い。

「うわーびしょ濡れだよ…。はい、タオル」

「ん、ありがとな」

「えへへ…」

こうやってアルヴァの頭を撫でるのが日課になってる気がする。

撫で心地がいいから、つい撫でてしまう。

これがレイスだったら指を噛まれるが。

めっちゃ痛いです。

アリサの場合は、アリサの態度はふざけてはいるが耳が赤いのが分かる。

で、指摘したら氷漬けにされる。

まぁ、体を凍らせるわけじゃなくて、周りの空間を凍らせる…つまり、氷で閉じ込められるわけだ。

凄い寒いから、好き好んで受けたくはない。

カエデは、俺が手をどけるまでじっと待つ。

本人曰く、「褒められるのは嬉しいが、他の人にするべきだ。その方が、私ごときを労うよりよっぽど有意義だろう」とのことだ。

昔の件があるからだろう。

自分に価値がないと思っている節がある。

こればっかりは、どうしようもないのかもしれない。

しかし、最初の頃に比べたらだいぶ改善された方だ。

彼女の問題だから、強くは言えないが、過去を知っているからどうにかしたい。

「…まーた難しい顔してる…。めっ、だよ?」

「…そうか。すまん」

「…むぅ」

ふくれっ面をされても困るのだが。
133 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/04(火) 01:51:13.82 ID:+ID3DgED0
「とりあえず着替えたらどうかな?」

「それもそうだが、ラフすぎる服装も、な」

「家の中だし別にいいと思うんだけどなぁ」

む、一理ある。

「…アルヴァは、家の中ではいつもワンピースなんだな」

「うん!今持ってる服では一番好きだし、ご主人様から初めて貰ったプレゼントだからね!」

ホンマええ子や…。

「じゃあ俺は着替えてくるよ」

「お手伝いしよっか?」

「一人でできるから大丈夫だ」

「んー…。じゃあお部屋の掃除!」

「大丈夫」

「むー!」

「カエデー!アルヴァが暴走したから抑えてくれー!」

「了解」

「もごもご!もごごごご!」

「な、ナイス」

呼んだら来てくれるのはありがたいが、どうやって来ているのかが気になる。

「さあ、主人は早く行くといい」

「サンキューな」

「どういたしまして」

「もごごー!」

「はいはい、試作品ができたから試食を頼むよ」

「もご!」
134 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/04(火) 02:00:46.39 ID:+ID3DgED0
ワイシャツに普通のズボン、うん。

我ながらだいぶラフな格好になったと思う。

「ワイシャツっていうかアロハシャツですし、グラサンを掛けて言うセリフじゃないと思います」

「暑いんだからいいだろう」

「室温下げておきますね」

「うん、氷点下になってるな」

加減というものを知らんのかこのメイド。

「注文が多いですねぇ。20度くらいならいいでしょう」

「最初からそうしてほしかった」

「ところでさ」

「はい?」

「謎の弓兵Aって誰かなぁ?」

「…ぴゅーひゅぷぴゅー…」

「………」

「………」

「三十六計逃げるに如かず!」

「待てやコラァ!」
135 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/04(火) 02:02:44.68 ID:+ID3DgED0
昼の行動を直下にお願いします。

短いですが、今回はここまでとさせていただきます。すみません…。次回は来週月曜日の予定です。お疲れ様でした。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/04(火) 02:36:43.16 ID:Jecng1kno

バジルスから情報収集、亜人集団の主義主張やその信頼性について
137 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/11(火) 00:19:57.40 ID:IvOfTYyo0
お待たせいたしました。今から再開します。
138 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/11(火) 00:34:35.56 ID:IvOfTYyo0
言い遅れましたが、今回で仕返し安価をする可能性があります。
139 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/11(火) 00:41:41.88 ID:IvOfTYyo0
「クソ…見失った…。転移魔法はせこくないか…」

廊下の角を曲がった瞬間に、転移魔法で逃げられてしまった。

捕まえるの無理ゲーじゃないですかね、これ。

「うぐぅ!」

「へあっ!?」

凄まじい音がしたので、慌てて振り返ると、そこにはバジルスが倒れていた。

「ど、どうした!?」

「…足がもつれてこけただけだ」

何もない廊下でこけるとは、どれほどドジなのだろうか。

重要なことを忘れていたな。

彼から一度も情報について聞いたことが無かった。

そもそも、俺が聞いてないだけなのだが。

「今から俺の部屋で待機していてくれるか?少し聞きたいことがある」

「…?別に構わないが」

埃を払い、バジルスは部屋へと向かう。

カエデさん、いらっしゃーい。

「何か用か?」

「指を鳴らしたらすぐ来るのはおかしいと思うの」

「偶然近くにいたからな」

「本当に?」

「…本当だ」

何だその間は。

「それはそうと、一つ作ってほしいものがあるんだ」

「ふむ、私ができることなら何でもしよう」

「カツ丼を二杯作ってくれ」

「なぜにカツ丼」

昔読んだ本の内容を思い出す。

「ほら、昔三人で読んだ本があっただろ?『これであなたも名刑事!情報の吐かせ方スペシャル』って本」

「あぁ、懐かしいな」

「これにさ、『カツ丼を置いておふくろさんが悲しむぞ?』って言ったらイチコロって書いてたんだよ!」

「実践するしかないじゃないか!」

「…なるほど。状況は理解したよ。二十分ほど時間を貰うが構わないか?」

「ああ」

「…ここまで純粋だと心配になるな…」

聞こえないように言ったみたいだが、丸聞こえである。

なんでこうも立場が逆転しているのだろうか。

私、気になります。
140 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/11(火) 01:09:53.64 ID:IvOfTYyo0
部屋の前で待っていると、カエデがカツ丼を持ってきた。

卵やトンカツの香ばしい匂いが漂う。

バジルス用なのに、俺が食べたくなってしまうではないか。

「まぁまぁ、言えば作ってあげるから、今回は譲ってあげればいいだろう」

「取り調べの健闘を祈っているよ」

「いきなりの頼みだったのにありがとな」

「ふふ、主人の期待に応えられたならいいさ」

「では、持ち場に戻るよ」

「ん、お疲れさん」

カエデを見送り、部屋に入る。

そこには、倒れているバジルスがいた。

「………」

「…大丈夫か?」

「…生きてるから問題ない」

「いや、この部屋で死なれたら困るんだが」

逮捕されてしまうじゃないか。

「流石にこけて死ぬことはないだろう」

「正直心配なんだが」

「…両手のどんぶりはいったいなんだ?」

「っとそうだ、忘れてた」

机にどんぶりを置き、照明を点ける。

「…こんなことをしてたのを知ったら、おふくろさんが悲しむぞ?」

「怒らないから、正直に言ってみなさい」

「待て、明らかにおかしいところがあるだろう」

「これだと、俺が罪を認めたらそれで終わりって感じじゃないか」

「あ、用途が違うのか」

本の知識もあてにならないものだ。

「普通、情報を聞き出すのなら拷問や尋問を行うのが基本だろう」

「そんな辛いことしたくない」

「………」

なんで大丈夫かこいつ?みたいな顔するんだ。

こっちは至って大真面目なんだぞ。
141 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/11(火) 01:11:36.10 ID:IvOfTYyo0
直下コンマが4以上で情報が取得できます。ついでに↓2コンマで戦闘力を判定します。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 01:26:19.84 ID:nAN5GFkTO
だがしかし
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 01:27:44.17 ID:yhtVVvt8o
せんとう
144 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/11(火) 01:36:02.45 ID:IvOfTYyo0
情報判定:4 情報が入手できました。自動的に、今回の戦争の首謀者が特定されます。

戦闘力:7 カエデやアリサほどではありませんが、充分な強さを誇っています。

早いですが、今回はこれで終了にさせていただきたいです…。次回は来週の月曜日予定です。

↓1〜3に、アリサへの仕返しを募集します。それと、直下コンマで追撃部隊の進捗状況を判定します。皆さん、お疲れ様でした。
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 01:37:54.50 ID:yhtVVvt8o

しばらく椅子にする
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 07:28:59.70 ID:NeBvkbId0
気になる人が出来たと言って自慢げに話す(ドッキリ的な意味で)
いっぽうのアリサさんは気が気でない感じ(胸がモヤモヤ的な)
って感じで
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 09:44:32.92 ID:KrWYxl9s0
無言で頭を撫でながら、抱き締める
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 18:25:10.44 ID:FrHj7ZGJ0

















































































ああ
149 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/16(日) 12:01:29.85 ID:2RWj5N10O
すみません…。今週の更新は無理そうです…。来週なら更新できると思います。申し訳ありません…。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 13:37:32.12 ID:h7scV+Q7O
カラダニキヲツケテネ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 17:01:55.59 ID:UILmcVjvo
待ってます
152 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/23(日) 12:43:51.57 ID:tBB/pjSMO
本日の深夜になら更新できそうです。

それと、バジルスから情報を引き出せた&まさかの追撃判定が0なので、(バレてる気がしますが)黒幕の正体その他諸々の情報が開示されます。

なので、次週に黒幕ぶっ潰しタイムに移行することが可能になります。報告は以上です。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 12:52:14.29 ID:4XTa9K0ho
待ってます
亜人側にキメラが居るってことはリゼルの目的は宣伝ではないんだな
154 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/24(月) 02:50:38.61 ID:q8bGJI1G0
予定よりも大幅に遅れてしまいました…。今から少しだけ再開します。
155 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/24(月) 02:54:25.88 ID:q8bGJI1G0
バジルスの戦闘力を直下コンマで判定します。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 02:56:56.23 ID:uKtGCBlQo
>>143じゃないの?
157 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/24(月) 02:59:46.71 ID:q8bGJI1G0
>>156、あ、本当ですね…。すみません。少々お待ちください。
158 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/24(月) 03:23:19.77 ID:q8bGJI1G0
「…まぁ、これ以上あいつらに与する必要もない、か」

「俺の知ってることを全て話させてもらう」

「嫌なことを無理して言う必要はないぞ」

「そういうものは無いから気にするな」

「…そうか」

バジルスの言っていたことを纏めると、次のようになった。

バジルスは紛争地帯出身で、それ故に、幼少期から殺しあって生きていた。

そのため、気に掛ける家族も友も存在せず、生き延びるために何もかもを利用してきた。

紛争が終結した後は、傭兵組織を転々としていて、レジスタンスの占領地域に入った時にスカウトされた。

バジルスが知っていたのは、数ヵ月前からキメラを少しずつ入手していたこと。

それと、キメラの販売人は人間だということくらいらしい。

もう一つ加えるなら、レジスタンスの主導者は、人間に従うのを嫌う賢人とのことくらいか。

…となると、今回の戦闘…迎撃戦でも生存している可能性が高い。

追撃部隊が働いてくれれば、捕縛することも充分あり得るだろう。

「レジスタンスに戦力を供給しているのは人間か…。それも、キメラを有する」

「ああ。かなり物資も支給していた。莫大な資産を持っているのだろう」

「…ということは、首謀者はリゼル…で間違いないな。だが、情報が少ない」

「もっと有力な発言があればいいのだが」

「ふむ。この料理は美味いな」

口をリスのように膨らませているバジルス。

めっちゃ満足気にカツ丼を食べている。

というか、少し目を離した隙によくここまで食べられたな。

「一口でいいから食べさせてくれ。凄い美味そうだ」

「ほれ」

「…美味ーい!」

…忘れていたが、そろそろ追撃作戦の報告が来る頃か。

吉報があれば嬉しいのだが、そう事は上手く運ばないだろうな。
159 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/24(月) 03:36:34.67 ID:q8bGJI1G0
椅子の背もたれの寄りかかってぐったりしていたら、ドアがノックされる。

「ん、誰だ?」

「アリサです。緊急の連絡があります」

「…なんだ?」

「レジスタンスの主導者が捕縛されました。現在、輸送中とのことです」

「本当か!?」

「はい。伝令からの通達なので確定事項かと」

「よし、これで一気に事態が進展する」

「ここに戻るのはいつになる?」

「本日の夜だそうです。尋問は深夜ごろになるかと」

「分かった。他の特級貴族にも通達は行ってるな?」

「だと思いますけどねぇ」

「ならいい」

まさか、主導者を捕縛できるとは思わなかった。

上手くいけば、来週には決着を付けられそうだ。

…親父、もう少しだ。

あともう少しで、俺たちの願いが叶いそうだよ。

そこから見えるのなら、最後まで見届けてくれよ。

…それはそうとして。

「バジルスはもう出ていいぞ。食器は厨房に運んでくれ」

「承知した」

「では私も失礼し」

「あ、アリサは残れ。命令だ」

「うぐ」

積年の恨み、今晴らさでおくべきか。
160 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/07/24(月) 03:39:43.35 ID:q8bGJI1G0
すみません。時間がギリギリなので、短いですがこれで終了にさせてもらいます。次回は正直分かりません…。

一月経つことはないと思うのですが、いつ休暇になるか分かりませんので…。

更新日が判明したら報告しますね。遅くまでお疲れ様でした。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 03:41:24.76 ID:uKtGCBlQo

待ってます

もしやリゼルが相手を選ばずにキメラを売っていたという話だったり……
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/25(火) 20:24:17.46 ID:ohv5+QOCo
捕縛されたのが本当に首謀者ならリゼルの配下が暗殺に来るかも
163 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/07(月) 14:54:14.06 ID:dRuwrWdcO
本日の夜10時頃に再開できそうです。
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 21:13:25.03 ID:RuNd9bDqo
待ちます
165 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 00:34:49.94 ID:jlEeQR3M0
すみません…。予定を大幅に過ぎてしまいました…。今から再開します。
166 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 00:53:29.74 ID:jlEeQR3M0
さて、今までにされたことの仕返しはどうするべきか。

痛くなるようなことはNGだし、心に傷を残すのももってのほかだ。

ドッキリ的な感じのやつでいいか。

「アリサ、とりあえず四つん這いになれ」

「は?」

「椅子だよ椅子。これは今までの蛮行に対する罰だからな」

真顔でこっちを見るな。

マジで怖いんだってば。

「…なるほど」

「当主様の趣味は他人を椅子にして優悦に浸ることですか」

「えっ」

「分かりました。どうぞご自由にお使いください」

そう言って四つん這いになるアリサ。

なんだか背徳感を感じる光景だ。

「ほらほら早く座ってくださいよー」

「んじゃ遠慮なく」

「んっ…。…ん?」

アリサ椅子に腰を下ろすが、直前でギリギリ止める。

実際に体重を載せるのはダメだと思います。

「あの、それ空気椅子状態ではないですかね」

「誰がなんと言おうと、今のアリサは椅子で、俺を座らせている。OK?」

「体重が載ってない時点で椅子になってないじゃないですかやだー!」

あっこれ凄い太ももにくる。

踏ん張れマイタイ。

「当主様一人なら充分耐えられますので…。ほらもう楽になってください?」

「断る!そんな酷い仕打ちをしてたまるか!」

「変なところで頑固ですねホント!」
167 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 01:06:03.81 ID:jlEeQR3M0
どうして、四つん這いと入力しようとしたらヨツンヴァインが出るんですかねぇ…。


次の仕返しは…これだ!

「聞いてくれよアリサ」

「はいはい何ですか?」

「俺、気になる人ができたんだ」

「…はぁ!?」

突然叫ばないでくれ。

ビックリするじゃないか。

「それって恋的な感じですか?それともライバル的な感じですか?」

「あっ!そもそも相手は女性ですか?男性ですか?ショタですか?ロリですか?」

「っていうか人間ですか?まずそれは生きていますか?」

「うん、俺に対するイメージが尋常じゃないくらい酷いことだけは分かった」

ホモ疑惑を掛けられているどころか、無機物フェチとかそんな感じのレッテルを貼られている可能性があるな。

「普通に女性だよ。気になるっていうのも、たぶん恋だと思うぞ」

「今までしたことが無いから分からんが」

下のアリサを見ると、明らかに動揺しているのが分かる。

凄い震えてるんですけど。

氷水に落ちたおっさんですかあなたは。

「そ、そうですかー!遂に身を固める気になったんですね!良かった良かった!」

「ところで相手はどなたですか!?」

「プライバシーってものがあるからな。秘密だ」

「せめて特徴だけでも!」

「ダメ」

「うぅ〜…!」

どうしてそんなにがっつくんだ?
168 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 02:04:08.29 ID:jlEeQR3M0
最後は、ぶっ飛ばされるかもしれないが、アレでいこう。

「もう終わっていいぞ」

「あ、はい。全然辛くなかったですけどね」

「誰かさんがずっと空気椅子してたおかげで」

「太ももがヤバいです」

「でしょうねぇ」

立ち上がったアリサの目の前へと歩き、見つめる。

「な、なんですか…?」

そして、右手で頭を撫でながら、左腕で抱き寄せる。

「ひゃっ!?」

アリサが驚いてもぞもぞと動くが、そんなことは気にせずに抱きしめる。

「冗談はやめってっ…くだ…さい…」

抜け出そうとしても、決して離しはしない。

「はうぅぅ…」

20秒もすれば、アリサは全く動かなくなった。

アリサの耳まで真っ赤だが、こっちの方がよっぽど恥ずかしい。

5分ほどそのままの状態が続き、充分だと思ったので抱きしめるのをやめる。

すると、力が抜けているかのように、ペタンと地面に座り込むアリサ。
169 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 02:16:12.49 ID:jlEeQR3M0
「…いきなり何するんですかぁ…」

「いや、今までいいようにされてきたからな。一泡吹かせようと思ってつい」

俺が答えたら、アリサはふくれっ面になる。

「ということは今のは全部嘘だったってことですかぁ。酷いですね」

慌てている姿が見られただけでも満足だ。

全て種明かしをしよう。

「嘘なのは気になる人云々と椅子のところだけだ」

「それ以外は全部本心だぞ」

アリサが突然、小悪魔のような笑みを浮かべる。

「つまり、私は大切な人なんですね?」

「当たり前だ。この家の人はみんな大切に決まっている」

「ふふっ。それは嬉しい限りです…ねっ!」

「…!?」

状況が理解できない。

アリサが飛び込んできたと思ったら、唇に柔らかい感触を感じる。

息もできない。

そのまま、時間が止まったと錯覚するような感覚が続く。
170 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 02:46:02.31 ID:jlEeQR3M0
「…ぷはっ」

その感覚は、アリサが離れることで終わりを迎えた。

それと同時に、自分が何をされたのかを理解した。

「ど、どうしてこんなことを…」

「…当主様は、今までに何回私を抱きしめたか憶えていますか?」

しばらく記憶を掘り起こすが、該当するものは何も出てこない。

「…いや」

「3回ですよ。といっても、私がここに来てすぐのことですけど、ね」

アリサは下を向きながら、一つ一つ言葉を発していく。

「…私は、結構悩んでいたんです。ずっと伝えられなくて。本当の気持ち」

「正直に言おうと、伝えようとしても、照れ隠しできつい行動を取ったりしてましたから」

「…ですが、もうやめます。当主様が本心をぶつけてくれたなら、私も本心をぶつけなきゃ」

アリサは顔を上げる。

その目からは、一筋の涙が零れ落ちており、その顔は、優しく微笑んでいた。

「…愛しています。当主様。主としても。一人の人間としても」

「そして、一人の男性としても、です」

「今まで散々ふざけた行為をしておいて言えるような口ではありません…」

「だけど、はっきりと、何度でも言いましょう」

「私は、貴方に助けられたあの時から、ずっとお慕いしておりました」

「この体は、命は、心は、すでに貴方のものです」

「どうか、この命が尽きるまで、私をお使いください」

「それが、それこそが、私の最大の悦びですから」

それほどまでに、俺は慕われていたのか。

どうして、俺がそこまで慕われていたのかは分からない。

俺はただ、正しいと思ったことをしているだけだ。

正しいと思ったから、瓦礫に埋もれていたアリサを助けた。

正しいと思ったから、カエデの飼い主をこの手で殺めた。

後悔はない…はずだ。

「…俺は」

アリサに言わなければならないことがある。

それは。

「お前たちが老衰や病気で死ぬ以外は許さない」

「命が尽きるまで使え?ハッ、馬鹿馬鹿しい」

「何があっても、死なせはしないさ」

「大切な家族だ。死なせるわけがないだろう」

「だから…」

言いたいことを言いきる前に、アリサの指が口に触れる。

「…いえ、言わなくていいですよ」

「…何があっても、私は貴方の傍にいます」

「だから、これからも共に進みましょう」

「…言われなくても、そのつもりだ」

そうはっきりと答え、拳と拳を軽くぶつけた。
171 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 03:07:39.08 ID:jlEeQR3M0
その後、今までの自分の行いを振り返ると、凄い恥ずかしくなってきた。

「俺めっちゃ痛いやつじゃないか…。黒歴史確定だ…」

「私は胸キュンでしたけどね」

「大切な家族って言ってくれた時は、本当に嬉しかったですよ」

「私の家族は、目の前で死にましたので…」

「…自殺に見せかけた他殺…だっけか」

「…はい。おそらく、土地と遺産目当ての人たちです」

「今、その場所は都会になっているようですから」

「…帰りたいとは思わないのか?」

「全く。…とは言えませんかね。両親の墓参りくらいはしたいです」

「もっとも、両親が眠っているわけではないですが…」

「…全てが終わったら、みんなの故郷を回ってみるか」

「いいですね」

「…絶対生き残るぞ」

「はい」

時計を見ると、約束の時間が近づいていた。

「俺はそろそろ出るよ。アリサには、一仕事頼みたい」

「何なりと」

「現在帰還中の追撃部隊の護衛だ。そろそろ西中島南方に到着する頃だからな」

西中島南方は、ハイランディアの首都、我々の住むレステルとレジスタンスの本拠地の中継地点だ。

自動的に、この場所を通ることになる。

「リゼルのことだ。暗殺部隊を向かわせている可能性が高い」

「主導者を連れてくれば、それで全て終わるはずだ」

「殲滅するよりも、守ることを優先してくれ」

「分かりました」

そう言って、アリサは姿を消す。

転移魔法が使えて羨ましい。

だが、使えないものを求めても仕方ない。

早く店に向かわなければ。
172 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/08(火) 03:10:20.80 ID:jlEeQR3M0
これで今回の更新は終わりです。自分で書いていて顔から火が出ていました。

ただの仕返しでワイワイするはずだったのに…。どうしてこうなった。

次回更新は今日の同じ時間に再開できれば…と思っています。あと数回で終わりそうですね。お疲れ様でした。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 03:19:48.71 ID:UFsr+cwCo

決戦前に告白……死ぬのか

暗殺者は直接主人公やアーバンを取りに来る可能性もあるな
174 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 00:07:33.37 ID:WQ6XKafM0
>>173、充分あり得ます。今まではそこまで目立った行動をしていませんでしたが、今回は襲撃判定を行います。

失敗すれば、強制的に戦闘となります。貴方が死亡する可能性もありますよ。今から再開します。
175 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 00:54:58.33 ID:WQ6XKafM0
これから向かうレストランは、俺が所有しているものだ。

というより、この街にある娯楽施設は殆どが俺の一族の管轄内だ。

その中には飲食店も含まれている。

大衆食堂などはそこまで経営していないが、いわゆる高級レストランは殆ど管轄内である。

今回向かうレストランも、所有している高級レストランの一つだ。

他の貴族も使うため、安全面には細心の注意を払っている。

店内外に警備員を配置し、要望があれば、送迎用の馬車も向かわせる。

従業員は、シェフと警備員は俺の一族から、それ以外は民間人を起用している。

全員保険にも入れているし、住居等の手配も当然している。

ホワイトなのが自慢なので、その辺りの整備はしっかりとしているのだ。

屋敷を出て、門外に停められている馬車へと乗り込む。

今回、護衛は付けていない。

アリサは別の護衛任務に就いているし、カエデはみんなに食事を振舞っている時間だ。

アルヴァは洗濯中だし、レイスにはそんなことはさせられない。

バジルスは名目上は捕虜だから仕事はさせられないし、ユウはまだ孤児院にいるらしい。

警備員もいるから、襲われるようなことはないだろう。

リゼルだって、民間人が近くを通るような場所で襲撃するほど、傍若無人な行いをするバカではないはずだ。

「到着いたしました」

「分かった」

知らせを聞き、馬車を降りる。

店内に入ると、すでにスジャータが席に着いて待っていた。

護衛のアインも一緒だ。

「貴方は護衛を付けてないのね」

「ここなら安心だしな」

「貴方は当主なのよ?常に護衛を付けるべきだと思うわ」

「相変わらず心配性だな。スジャータは」

「貴方がいなければ、法律を変えるのだって不可能でしょうに…」

「お爺様が敵の時点で、正面から戦って勝つのは厳しいわよ」

「爺さん、闘病中なのに現役だもんなぁ…」

昔は非常に腕の立った剣士だったらしいが、病には勝てないようだ。

「そういえば、お爺様とは面会したの?」

「いや」

「…最近、また容体が悪化したわ。早く会いなさい」

「間に合わなくて後悔しても遅いのよ」

「…そうだな」
176 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 00:58:08.72 ID:WQ6XKafM0
スジャータに聞きたいことがあれば、↓1、2にお願いします。無い場合はその旨をお書きください。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 01:16:30.53 ID:8phcNhCMo
最近の周辺警備員の人員管理についての意見
178 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 03:28:03.93 ID:WQ6XKafM0
なさそうなので、先に進めます。ちょっと待ちすぎでしたね…。深夜だから人はいないのに…。
179 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 04:03:00.10 ID:WQ6XKafM0
「しかし、今日は警備員が多いわね」

「まぁ、ちょっと気を遣ってな」

人数が多い方が、相手からしても攻めにくいだろう。

「…私としては、今の半分でもいいと思うわ」

「…ふむ。詳しく頼む」

「まず、この店は開けた作りをしているでしょう」

「つまり、見通しがいい、ということよ」

「人数が増えるほど、見通しが悪くなる。だから、隠れる場所が増えてしまうのよ」

「それに万が一、戦闘になった時に、相手が動きやすいったらありはしないわ」

「そもそも、ここの警備員は巡回させるのではなく、一定の距離に配置して、監視させるタイプよ」

「だから、数を増やせばいい、という話でもないのよ」

「お、おう」

矢継ぎ早に話すスジャータに、つい気圧されてしまった。

いちおう俺の方が年上のはずなんだがな。

「だけど、状況に合わせて考えるのは悪くないことよ」

「これは一つの意見として、軽く捉えていればいいから」

「最後に決めるのは貴方でしょう?」

こうして、他人の意見を貰えるのはありがたい。

自分とは違う視点から見て、判断された意見は、考えもしなかったものばかりだからだ。

「ありがとな、スジャータ」

「別に感謝されるようなことじゃないけれど」

「素っ気ないなぁ」

だが、そこがスジャータのいいところなのだろう。

人によって態度は変えず、はっきりと物を言える。

つまり、誰に対しても平等に接するということだ。

そんなところがあるから、アインだってずっと従っているんだろう。
180 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 04:22:32.46 ID:WQ6XKafM0
「そうだ。数日前に、他国の首脳と話し合ってきたんだ」

「へぇ。結果はどうだったのかしら?」

「上々だ。近いうちに、ここに鉄道が通ることになったぞ」

「凄いじゃない。移動手段が増えるということはレステルの、いや、ハイランディアそのものの利益が増えるのと同義よ」

「ああ。貿易の手段も増えるし、何より、ここに来る人が増えるだろう」

レステルは、ハイランディアが位置する大陸の玄関口でもある。

他の大陸や島国の物資はいったん、ここを通るのが殆どだ。

空路…飛空艇を使った場合は、直接輸送されるのでここは使われない場合が多い。

こちらも幾つか飛空艇は飛ばしているのだが、空路で得られる収益は少なくなってしまう。

なので、新しい貿易ルートが増えることは、ハイランディアの所得が、仕事が増えるのと同じなのだ。

今まで数ヵ月掛けて移動していた場所へ、数時間で行けるようになるのは非常に大きい。

観光に利用することもできるだろう。

とはいえ、鉄道の開通にはまだ時間が掛かる。

あと数ヵ月は必要だ。

気長に待とう。
181 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 04:23:44.34 ID:WQ6XKafM0
襲撃判定です。直下コンマが4以下だと戦闘に移行します。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 04:43:09.93 ID:8phcNhCMo
空路あったのか
183 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 05:08:55.32 ID:WQ6XKafM0
「今日、主導者の尋問を行う予定で、来週にはたぶん終わるはずだ」

「先週頼みにきたばかりじゃない…」

「俺も驚いてるさ…」

まさか、主導者を捕縛できるとは思いもしなかった。

兵士たちの報酬を増やさなければ。

「まぁ、早く終わるのならいいことじゃない」

「だな」

「それと、全てが終わったらアリサたちの故郷を巡る予定でな」

「スジャータが良ければだが、一緒にどうだ?」

「構わないわよ。面白いことがありそうだし」

「そうか」

「…話していたら、時間がかなり経過してたわね」

「…あっ。早く王宮に行かないと」

「でしょうね…。早く行きなさい」

「ああ。またな」

「ええ、また」

席を立ち、外に出ようとした瞬間、目の前で爆発が起こった。

「ぐぅっ!?」

直撃は免れたが、爆風に耐えられず吹き飛ばされる。

「…最悪だ。このタイミングで襲撃されるか…」

「貴方様、それとお嬢様は後ろへお下がりください」

「アイン…」

「大丈夫です。命に代えても護りますから」

「…頼んだわ」

「奴らの数はざっと十人…。警備員を増やしていて正解だったかな」

「相手がバカ、とも言えるわね。わざわざ狙うタイミングじゃないわよ」

「とにかくスジャータは俺の後ろだ。俺だって多少は戦える」

「分かったわ」

腰に差していた剣を抜き、相手に向ける。

数人キメラが交じっており、戦力差は大きい。

ここで死ぬ可能性も充分ある。

そう思った直後、紫色の光が降り注ぐ。

「このアホみたいな魔力は…!?」

「すまない、処理するのが間に合わなかった」

「カエデ!お前は飯を作ってたはずだろう!」

「急いで済ませてきたのさ。嫌な予感がしたのでな」

「さて、手早く片付けようか」

「ああ…!」

恐れないで、できることだけをしよう。

カエデがいる今なら勝てるはずだ。
184 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/08/09(水) 05:10:33.26 ID:WQ6XKafM0
>>182、申し訳程度ですが、存在はしてます。九割以上は陸路(キャラバンとか)と航路に依存してますが…。

時間も遅いですので、これで終了にしたいと思います。

次回更新では、主導者の尋問まで進ませようと思います。いつ再開できるかはまだ分かりませんので、後ほど連絡します。

皆さん、お疲れ様でした。
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 21:56:14.11 ID:8phcNhCMo

スジャータを守り一般人を壁にされながら伏兵も気にして多数と戦う
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 22:16:49.89 ID:MnJsns3zo
そういえば複数の亜人を合体させたキメラってどんな見た目だろう?
今回のは市街地なんだから邪魔にならない程度の人型なんだろうけど
187 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/03(火) 15:56:23.09 ID:Np1IfwbvO
>>186、この世界では技術的にはまだキメラ製造が可能なレベルに到達してません。
ですので、ベースとなった素体に複数の種族の特徴(角や尻尾、指や腕の数、体毛etc…)がごちゃ混ぜになってます。
基本的にサイズはベースよりも大きくなっております。技術的な問題で、寿命は短命です。助ける手段は2つしかありません。
片方はすぐに実行可能、もう一方は時間が掛かる可能性が高いです。

ある程度落ち着いてきたので今週の土曜の深夜に再開をします。お待たせして申し訳ありませんでした…。
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 20:51:09.78 ID:6SrAiHkXo
そのレベルでも戦争を左右するくらいに強いという意味なのか
そんなレベルの物をリゼルはたくさん造ってしまったという意味なのか
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